(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】額縁
(51)【国際特許分類】
E06B 1/62 20060101AFI20220729BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
E06B1/62 B
E06B1/56 A
(21)【出願番号】P 2019021761
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 高大
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-101988(JP,U)
【文献】実開平07-044548(JP,U)
【文献】実開昭55-055573(JP,U)
【文献】特開2004-204496(JP,A)
【文献】特開2004-239006(JP,A)
【文献】特開2016-191192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/62
E06B 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側の縁部に設けられた取付部を介して支持される板状の基板部を備え、前記基板部には仮想の切断面に沿って延在し、かつ前記基板部の表面に開口する折り取り用の溝が設けられている額縁であって、
前記溝は、最深部が前記仮想の切断面上に位置し、かつ前記基端側に対して先端側が大きくなるように前記基板部の表面に開口し
、
前記溝の底部は、前記仮想の切断面に対して左右対称に形成されていることを特徴とする額縁。
【請求項2】
基端側の縁部に設けられた取付部を介して支持される板状の基板部を備え、前記基板部には仮想の切断面に沿って延在し、かつ前記基板部の表面に開口する折り取り用の溝が設けられている額縁であって、
前記溝は、最深部が前記仮想の切断面上に位置し、かつ前記基端側に対して先端側が大きくなるように前記基板部の表面に開口し
、
前記溝の底部及び前記溝の開口縁部がそれぞれ曲面によって形成されていることを特徴とする額縁。
【請求項3】
前記溝において基端側の開口縁部に設けられた曲面は、前記溝の底部に設けられた曲面よりも曲率半径が小さく構成されていることを特徴とする
請求項2に記載の額縁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に設けられる額縁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建造物に建具を取り付けた枠には、室外側の外周部分や室内側の内周部分に額縁を設ける場合がある。通常、この種の額縁には、折り取り溝と称される折り取り用の溝が長手に沿って複数設けられている。折り取り溝は、額縁の延在長さを変更する際の切断ガイドとなるものである。折り取り溝が設けられた額縁によれば、例えば、ペンチ等の工具を用いて額縁を折り取り溝に沿って折り曲げることにより、建具の施工現場においても額縁を切断することができ、覆い隠す部分の大きさに応じて額縁の長さを調整することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建具に適用される額縁としては、アルミニウム合金等の金属や樹脂によって成形されたものが多く用いられている。これらの金属や樹脂は、比較的弾性に富んだ材質である。従って、額縁を折り取り溝に沿って折り曲げると、額縁として残すべき基端側の縁部にも変形が及ぶおそれがあり、外観品質を考慮した場合、必ずしも好ましいとはいえない。こうした問題は、額縁の板厚を増大させることで改善できる可能性がある。しかしながら、額縁としては押し出し形材から成るものを適用するのが一般的であり、成形性を考慮すると、折り取り溝の深さを大きくとることが困難である。この結果、板厚の増大した場合には、折り取りの際に大きな操作力が必要になる等、作業性に影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、作業性を損なうことなく折り取り後の外観品質を向上することのできる額縁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る額縁は、基端側の縁部に設けられた取付部を介して支持される板状の基板部を備え、前記基板部には仮想の切断面に沿って延在し、かつ前記基板部の表面に開口する折り取り用の溝が設けられている額縁であって、前記溝は、最深部が前記仮想の切断面上に位置し、かつ前記基端側に対して先端側が大きくなるように前記基板部の表面に開口し、前記溝の底部は、前記仮想の切断面に対して左右対称に形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る額縁は、基端側の縁部に設けられた取付部を介して支持される板状の基板部を備え、前記基板部には仮想の切断面に沿って延在し、かつ前記基板部の表面に開口する折り取り用の溝が設けられている額縁であって、前記溝は、最深部が前記仮想の切断面上に位置し、かつ前記基端側に対して先端側が大きくなるように前記基板部の表面に開口し、前記溝の底部及び前記溝の開口縁部がそれぞれ曲面によって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、仮想の切断面を基準として開口の位置が非対称となり、先端側の剛性が基端側に比べて小さくなる。これにより、折り取りの際に大きな操作力が必要とならず、しかも基端側に変形の影響が及ぶおそれもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態である額縁を適用した建具の縦断面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示した建具に適用される額縁を折り取り用の溝に沿って切断する際の操作例を概念的に示す図である。
【
図4】
図1及び
図2に示した建具に適用される額縁の要部を拡大した端面図である。
【
図5】
図1及び
図2に示した建具に適用される額縁を折り取り用の溝に沿って切断する際の要部を拡大したもので、(a)は額縁を工具で把持した状態の図、(b)は額縁を切断した状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る額縁の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1及び
図2は、本発明の実施の形態である額縁を適用した建具を示したものである。ここで例示する建具は、ドアパネルを省略した状態の玄関用のドアであり、特に既存の枠体を残した状態で建造物の躯体に設置される改修用の玄関ドアを例示している。すなわち、この玄関ドアでは、躯体Bに取り付けられた状態の既存の上枠1a、下枠1b及び左右の縦枠1cに対して個々の内周側に新たな上枠10a、下枠10b及び左右の縦枠10cを設置することにより枠体10が構成してある。新たな上枠10a、下枠10b及び左右の縦枠10cは、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれ長手に沿った全長がほぼ一様な断面形状を有するように構成してある。なお、以下においては便宜上、躯体Bに残した既設の枠体の構成要素を説明する場合には既設上枠1a等、既設という用語を付与して説明し、新たに設置した枠体10の構成要素を説明する場合には新設上枠10a等、新設という用語を付与して両者を区別することとする。
【0010】
上述した新設枠体のうち、新設上枠10a及び左右の新設縦枠10cは、見込み方向が長手となる矩形の断面形状となるように構成してある。ここで、見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。また、本実施の形態では見付け方向という用語も用いる。見付け方向とは、上枠1a,10a等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠1c,10c等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0011】
上述した新設上枠10a及び左右の新設縦枠10cには、それぞれ室内側となる部分に見付けカバー20及び室内用額縁30が設けてあるとともに、室外側となる部分に室外用額縁40が設けてある。見付けカバー20は、木材や木質材によって成形したものである。室内用額縁30及び室外用額縁40は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれ長手に沿った全長がほぼ一様な断面形状を有するように構成してある。以下、これら見付けカバー20、室内用額縁30及び室外用額縁40の構成について詳述し、併せて本願発明の特徴部分について説明する。なお、以下の説明においては便宜上、建造物に取り付けられた状態でそれぞれの姿勢を特定することとする。
【0012】
見付けカバー20は、新設上枠10a及び新設縦枠10cよりも室内側となる部分において露出する既設上枠1a及び既設縦枠1cに対して見込み方向に沿って並設され、既設上枠1a及び既設縦枠1cの室内に臨む見付け面を覆い隠すものである。図示の例では、厚板状を成す見付けカバー20を適用するようにしている。
【0013】
室内用額縁30は、既設上枠1a及び既設縦枠1cの内周側に設けられ、既設上枠1a及び既設縦枠1cの見付け面を覆い隠すものである。図示の例では、室内側に位置する端縁部に設けたカバー取付部(取付部)31と、カバー取付部31から室外側に向けて見込み方向に延在する薄板状のカバー基板部(基板部)32とを有した室内用額縁30を適用している。カバー取付部31には、カバー基板部32に対して直交するように延在した一対の取付基板部(基板部)31aが設けてある。この室内用額縁30は、カバー取付部31から見付けカバー20を介して躯体Bと内装材Cとの間の胴縁Dにネジ33を螺合することによって取り付けてある。カバー取付部31には、ネジ33の頭部をカバーするキャップ34が装着してある。室内用額縁30のカバー基板部32は、延在端縁部が新設上枠10a及び新設縦枠10cの室内に臨む見付け面に当接した状態にある。カバー取付部31における取付基板部31aの内周側への突出長さ及びカバー基板部32の見込み方向に沿った延在長さは、それぞれに設けた折り取り溝31b,32aに沿って切断することにより適宜調整してある。
【0014】
室外用額縁40は、新設上枠10a及び新設縦枠10cの室外に臨む見付け面からそれぞれの外周部分を覆い隠すためのものである。本実施の形態では、新設上枠10a及び新設縦枠10cのそれぞれに対して、見付け側部材41及び見込み側部材42を備えた室外用額縁40を設けるようにしている。
【0015】
見付け側部材41は、新設上枠10a及び新設縦枠10cの室外に臨む見付け面から既設額縁2を超えた建造物の外装材Fまでの間の表面を覆い隠すように配置されるものである。より具体的に説明すると、新設上枠10aに設けられる見付け側部材41は、新設上枠10aの見付け面に取り付けられる枠取付部(取付部)41aと、枠取付部41aの外周側に位置する縁部から外周側に向けて延在した後、室外側に屈曲して見込み方向に延在する見込み板部41bと、見込み板部41bの延在端縁部から外周側に向けて延在する見付け基板部(基板部)41cとを一体に成形したものである。新設縦枠10cに設けられる見付け側部材41は、新設縦枠10cの見付け面に取り付けられる枠取付部41aと、枠取付部41aの外周側に位置する縁部から室外側に向けて見込み方向に延在する見込み板部41bと、見込み板部41bの延在端縁部から外周側に向けて延在する見付け基板部41cとを一体に成形したものである。新設上枠10aに設けられる見付け側部材41の見付け基板部41cは、平板状に形成してある一方、新設縦枠10cに設けられる見付け側部材41の見付け基板部41cは、見込み板部41bの延在端縁部から外周側に向けて漸次室外側となるように湾曲凹状に延在した後、外周側に向けてわずかに湾曲突状となるように延在している。それぞれ見付け基板部41cの内表面外周部分には、長手に沿って延在する折り取り溝41dが複数設けてある。
【0016】
見込み側部材42は、見付け基板部41cの外周側に配置される端縁部から建築物の外装材Fまでの間の隙間を覆い隠すように配置されるものである。本実施の形態では、新設上枠10a及び新設縦枠10cで共通となる平板状の見込み基板部(基板部)42aを有した見込み側部材42を適用している。見込み基板部42aの内周面には、長手に沿って延在する折り取り溝42bが複数設けてある。
【0017】
図1及び
図2に示すように、見付け側部材41における見付け基板部41cの外周側に位置する端縁部と見込み側部材42における見込み基板部42aの室外側に位置する端縁部との間には、係合取付部(取付部)43が設けてある。係合取付部43は、見付け側部材41と見込み側部材42との間を着脱可能に連結するもので、第1の係合要素対43A及び第2の係合要素対43Bを備えて構成してある。
【0018】
第1の係合要素対43Aは、見込み基板部42aに設けた見込み側フック部44と、見付け側部材41に設けた見付け側フック部45とによって構成してある。これら見込み側フック部44及び見付け側フック部45は、互いに係合させると、見込み側部材42の室外側に位置する端縁部(見込み側フック部44の先端縁部)を中心として見込み側部材42が見付け側部材41に対して回転可能となるように支持することができる。また、見付け側フック部45及び見込み側フック部44が係合すると、見付け側部材41に対して見込み側部材42の外周側への移動及び室外側への移動(見付け側部材41に近接する方向への移動)が制限された状態となる。
【0019】
第2の係合要素対43Bは、第1の係合要素対43Aが相互に係合した状態で見込み側部材42の室内側に位置する端縁部を内周側に向けて回転させた場合に互いに係合するものである。本実施の形態では、見込み基板部42aの内周側に位置する内表面から突出した係合片47と、見付け基板部41cの室内に臨む内表面から突出した係合受部48とを有して第2の係合要素対43Bが構成してある。
【0020】
上記のように構成した室外用額縁40は、枠取付部41aを介して新設上枠10a及び新設縦枠10cの室外に臨む見付け面にネジ50を螺合することにより、見付け基板部41cが外周側を覆うように見付け側部材41が取り付けられる。ネジ50を螺合した後においては、枠取付部41aにキャップ51が装着される。
【0021】
その後、係合取付部43を介して見付け側部材41における見付け基板部41cの外周側端縁部に見込み側部材42が連結される。すなわち、第1の係合要素対43Aを係合した状態で見込み側部材42の室内側に位置する端縁部を内周側に向けて回転させると、見込み側部材42に設けた係合片47の先端縁部が係合受部48に係合するとともに、係合受部48の先端縁部が係合片47の室外側に位置する面に当接した状態となる。これにより、見付け側部材41に対して見込み側部材42が連結された状態に維持され、見込み側部材42によって見付け側部材41と建築物の外装材Fまでの間の隙間が覆い隠されることになる。見込み側部材42の延在長さは、予め折り取り溝42bに沿って切断することにより適宜調整してある。
【0022】
ここで、室内用額縁30の取付基板部31aやカバー基板部32を折り取り溝31b,32aに沿って切断する場合、並びに室外用額縁40の見込み側部材42を折り取り溝42bに沿って切断する場合には、
図3に例示するように、切断する折り取り溝31b,32a,42bよりも先端部側をペンチ等の工具Tによって把持し、そのまま折り取り溝31b,32a,42bが拡開するように額縁30,40に操作力を加えることになる。見付け側部材41を折り取り溝41dに沿って切断する場合も同様である。額縁30,40の板厚が小さい場合には、折り取り溝31b,32a,42b,41dに沿って切断した場合、額縁30,40の基端側30A,40Aにも変形が及ぶおそれがある。額縁30,40の基端側30A,40Aとは、建造物に額縁30,40として残る部分である。具体的には、室内用額縁30の取付基板部31a及びカバー基板部32については折り取り溝31b,32aに対してカバー取付部31が設けられている側であり、見込み側部材42の見込み基板部42aについては折り取り溝42bに対して係合取付部43が設けられている側である。見付け側部材41の見付け基板部41cの基端側40Aとは、折り取り溝41dに対して枠取付部41aが設けられている側である。従って、基端側30A,40Aの部分に変形が及ぶのは、外観品質を考慮した場合、必ずしも好ましいとはいえない。一方、額縁30,40の板厚を増大させた場合には、折り取りの際に大きな操作力が必要になる等、作業性に影響を及ぼすおそれがある。
【0023】
そこで、実施の形態の額縁30,40では、
図4に示すように、最深部aが仮想の切断面CP上に位置し、かつ基板部31a,32,42a,41cの表面においては基端側30A,40Aに対して先端側30B,40Bが大きく開口するように折り取り溝31b,32a,42b,41dが形成してある。図からも明らかなように、折り取り溝31b,32a,42b,41dは、底部bが仮想の切断面CPに対して左右対称となる曲面cによって形成してある。また基板部31a,32,42a,41cの表面における折り取り溝31b,32a,42b,41dの開口縁部には、曲面d,eが設けられている。折り取り溝31b,32a,42b,41dの基端側30A,40Aに位置する開口縁部の曲面dは、曲率半径r1が底部bを構成する曲面cの曲率半径r3よりも小さくなるように構成してある。さらに図示の例では、折り取り溝31b,32a,42b,41dの先端側30B,40Bに位置する開口縁部の曲面eは、曲率半径r2が底部bを構成する曲面cの曲率半径r3よりも大きくなるように構成してある。
【0024】
上記のような断面形状を有する折り取り溝31b,32a,42b,41dを有した額縁30,40においては、仮想の切断面CPを基準として折り取り溝31b,32a,42b,41dが非対称となるように開口しているため、先端側30B,40Bの剛性が基端側30A,40Aに比べて小さくなる。これにより、
図5に示すように、折り取りの際に大きな操作力が必要とならず、しかも基端側30A,40Aに変形の影響が及ぶおそれがなく、所望の切断面で額縁30,40を切断することが可能となる。特に、実施の形態の額縁30,40では、折り取り溝31b,32a,42b,41dの底部bに比べて基端側30A,40Aの剛性が高くなるため、基端側30A,40Aが変形する事態をより確実に防止することができる。さらに、折り取り溝31b,32a,42b,41dの底部bに所望の幅を確保することができるため、例えばカッターを挿入して額縁30,40に切り込みを加えることができ、折り取りの際の作業をより容易に行うことができるようになる。加えて、折り取り溝31b,32a,42b,41dが角部を有することなく構成されているため、押し出し成形する際の成形性の点で有利となり、製造上の問題を招来するおそれもない。
【0025】
なお、上述した実施の形態では、折り取り溝31b,32a,42b,41dの底部bが仮想の切断面CPに対して左右対称に形成されているものを例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、底部bにおいても基端側30A,40Aの幅が先端部側の幅より小さく構成してあっても良いし、底部bが先端部側にのみ空所となるように構成することも可能である。また、折り取り溝31b,32a,42b,41dの底部bが曲面cによって形成され、かつ折り取り溝31b,32a,42b,41dの開口縁部に曲面d,eが形成してあるが、本発明はこれに限定されず、V字状の底部bとなるように折り取り溝を形成しても良いし、基板部の表面との間が突条の角部となるように折り取り溝を形成しても良い。
【0026】
さらに、上述した実施の形態では、改装用ドアの枠体10に設けられる額縁30,40を例示しているが、必ずしもドアである必要はなく、その他の建具にも適用することが可能である。この場合の建具は、改装用である必要もない。さらに、アルミニウム合金によって成形した額縁30,40を例示しているが、アルミニウム合金以外の金属や樹脂によって額縁を成形しても構わない。
【0027】
以上のように、本発明に係る額縁は、基端側の縁部に設けられた取付部を介して支持される板状の基板部を備え、前記基板部には仮想の切断面に沿って延在し、かつ前記基板部の表面に開口する折り取り用の溝が設けられている額縁であって、前記溝は、最深部が前記仮想の切断面上に位置し、かつ前記基端側に対して先端側が大きくなるように前記基板部の表面に開口していることを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、仮想の切断面を基準として開口の位置が非対称となり、先端側の剛性が基端側に比べて小さくなる。これにより、折り取りの際に大きな操作力が必要とならず、しかも基端側に変形の影響が及ぶおそれもなくなる。
【0029】
また本発明は、上述した額縁において、前記溝の底部は、前記仮想の切断面に対して左右対称に形成されていることを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、溝の内部に所望の幅を確保することができるため、例えばカッターを挿入して切り込みを加えることができ、折り取りの際の作業をより容易に行うことができるようになる。
【0031】
また本発明は、上述した額縁において、前記溝の底部及び前記溝の開口縁部がそれぞれ曲面によって形成されていることを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、角部を設けることなく折り取り用の溝を構成することができるため、押し出し成形する際の成形性の点で有利となる。
【0033】
また本発明は、上述した額縁において、前記溝において基端側の開口縁部に設けられた曲面は、前記溝の底部に設けられた曲面よりも曲率半径が小さく構成されていることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、溝の底部に比べて基端側の剛性が高くなるため、基端側が変形する事態をより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0035】
30,40 額縁、30A,40A 基端側、30B,40B 先端側、31 カバー取付部、31a 取付基板部、31b,32a,42b,41d 折り取り溝、32 カバー基板部、41a 枠取付部、41c 見付け基板部、42a 見込み基板部、43 係合取付部、CP 仮想の切断面、a 最深部、b 底部、c,d,e 曲面、r1,r2,r3 曲率半径