(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】複数の内部電子供与体の組合せを用いて作製されるプロ触媒組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 4/654 20060101AFI20220729BHJP
C08F 10/06 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
C08F4/654
C08F10/06
(21)【出願番号】P 2019518396
(86)(22)【出願日】2017-09-28
(86)【国際出願番号】 US2017053863
(87)【国際公開番号】W WO2018067367
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-08-31
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】エルダー,マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】エプスタイン,ロナルド・エイ
(72)【発明者】
【氏名】スパイン,コートニー・エス
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤー,ティモシー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,マイケル・エス
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121549(WO,A1)
【文献】特開2009-263678(JP,A)
【文献】特開2010-248469(JP,A)
【文献】特表2013-508477(JP,A)
【文献】特表2016-510835(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0302709(US,A1)
【文献】特表2012-514125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60- 4/70
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム部分、チタン部分、および混合内部電子供与体の組合せを含む、プロピレンの立体選択的重合のためのプロ触媒組成物であって、混合内部電子供与体が、少なくとも第1の内部電子供与体および第2の内部電子供与体を含み、第1の内部電子供与体が、非フタレートのフェニレンジカルボン酸エステルを含み、第2の内部電子供与体が、1,3-ジエーテルを含む、プロ触媒組成物。
【請求項2】
第1の内部電子供与体と第2の内部電子供与体が、10:1から1:10のモル比で組成物中に存在する、請求項1に記載のプロ触媒組成物。
【請求項3】
第2の内部電子供与体が、以下の構造:
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4は同じまたは異なり、メチル、C
2~C
18直鎖または分岐アルキル、C
3~C
18シクロアルキル、C
4~C
18シクロアルキル-アルキル、C
4~C
18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C
7~C
18アリールアルキル、C
7~C
18アルキルアリール基を含み;R
1、R
2または両方が、任意選択により水素原子である)
を有する、請求項1または2に記載のプロ触媒組成物。
【請求項4】
第2の内部電子供与体が、以下の構造:
【化2】
(式中、R
1~R
6は同じまたは異なり、メチル、C
2~C
18直鎖もしくは分岐アルキル、C
3~C
18シクロアルキル、C
4~C
18シクロアルキル-アルキル、C
4~C
18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C
7~C
18アリールアルキル、またはC
7~C
18アルキルアリール基を含み、R
1~R
4は、任意選択により水素原子であるか、または組み合わさって、N、OもしくはSヘテロ原子を任意選択により含有する1つもしくは複数のC
5~C
7縮合芳香族もしくは非芳香族環構造を形成する)
を有する、請求項1または2に記載のプロ触媒組成物。
【請求項5】
第2の内部電子供与体が、ビス(メトキシメチル)アルカンを含む、請求項1から3のいずれかに記載のプロ触媒組成物。
【請求項6】
第2の内部電子供与体が、置換ビス(メトキシメチル)シクロペンタジエンを含む、請求項1または2に記載のプロ触媒組成物。
【請求項7】
第2の内部電子供与体が、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを含む、請求項1または2に記載のプロ触媒組成物。
【請求項8】
第2の内部電子供与体が、4,4-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタンを含む、請求項1または2に記載のプロ触媒組成物。
【請求項9】
組み合わされたマグネシウム部分、チタン部分、および混合内部電子供与体が、実質的に球形状の粒子を形成する、請求項1に記載のプロ触媒組成物。
【請求項10】
マグネシウム部分が、マグネシウムベースの球状担体を含む、請求項1に記載のプロ触媒組成物。
【請求項11】
第1の内部電子供与体が、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む、請求項1から10のいずれかに記載のプロ触媒組成物。
【請求項12】
置換フェニレン芳香族ジエステルが、以下の構造:
【化3】
(式中、R
1~R
4は同じまたは異なり、R
1~R
4の各々は、水素、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、6個から20個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せからなる群から選択され、R
1~R
4の少なくとも1つは水素でなく;
R
1~R
4の少なくとも1つまたは2つ、または3つ、または4つのR基は、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、6個から20個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択され、E
1およびE
2は同じまたは異なり、1個から20個の炭素原子を有するアルキル、1個から20個の炭素原子を有する置換アルキル、1個から20個の炭素原子を有するアリール、1個から20個の炭素原子を有する置換アリール、または1個から20個の炭素原子を有するヘテロ原子含有官能基からなる群から選択される)
を有する、請求項11に記載のプロ触媒組成物。
【請求項13】
プロピレンポリマーの重合のための触媒系であって、請求項1から12のいずれかに記載のプロ触媒組成物;および共触媒を含む、触媒系。
【請求項14】
外部電子供与体をさらに含む、請求項13に記載の触媒系。
【請求項15】
活性制限剤をさらに含む、請求項13または14に記載の触媒系。
【請求項16】
チーグラー・ナッタプロ触媒組成物、共触媒組成物、および任意選択により外部電子供与体化合物を含む触媒組成物の存在下でオレフィンを重合するステップを含む重合方法であって、プロ触媒組成物が、遷移金属化合物ならびに少なくとも第1の内部電子供与体および第2の内部電子供与体を含む内部電子供与体の混合物から形成され、第1の内部電子供与体が、非フタレートのフェニレンジカルボン酸エステルを含み、第2の内部電子供与体が、1,3-ジエーテルを含む、重合方法。
【請求項17】
ポリプロピレンポリマーを生成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第2の内部電子供与体が、以下の構造:
【化4】
(式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は同じまたは異なり、メチル、C
2~C
18直鎖もしくは分岐アルキル、C
3~C
18シクロアルキル、C
4~C
18シクロアルキル-アルキル、C
4~C
18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C
7~C
18アリールアルキル、またはC
7~C
18アルキルアリール基を含み、R
1、R
2または両方は、任意選択により水素原子である)
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
第2の内部電子供与体が、以下の構造:
【化5】
(式中、R
1~R
6は同じまたは異なり、メチル、C
2~C
18直鎖もしくは分岐アルキル、C
3~C
18シクロアルキル、C
4~C
18シクロアルキル-アルキル、C
4~C
18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C
7~C
18アリールアルキル、またはC
7~C
18アルキルアリール基を含み、R
1~R
4は、任意選択により水素原子であるか、または組み合わさって、N、OもしくはSヘテロ原子を任意選択により含有する1つもしくは複数のC
5~C
7縮合芳香族もしくは非芳香族環構造を形成する)
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
オレフィンが、プロピレンおよびエチレンコポリマーを形成するためにプロピレンおよびエチレンを含む、請求項16から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
第2の内部電子供与体がビス(メトキシメチル)アルカンを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項22】
第2の内部電子供与体が置換ビス(メトキシメチル)シクロペンタジエンを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項23】
第2の内部電子供与体が9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項24】
第2の内部電子供与体が4,4-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタンを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項25】
プロ触媒組成物が、マグネシウム部分、チタン部分、および混合内部電子供与体
の組合せを含み、
かつ実質的に球形状の粒子を形成する、請求項16から20のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
マグネシウム部分が、マグネシウムベースの球状担体を含む、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
第1の内部電子供与体が置換フェニレン芳香族ジエステルを含む、請求項16から20のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
触媒組成物が重合方法中に増加された活性を有するように、第2の内部電子供与体が第1の内部電子供与体に対して存在する、請求項16から27のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2016年10月6日に出願された米国仮特許出願番号第62/404,794号に基づき、これに対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ポリオレフィンポリマーは、多数および多様な用途および分野で使用される。ポリオレフィンポリマーは、例えば、容易に加工することができる熱可塑性ポリマーである。ポリオレフィンポリマーは、リサイクルされ再使用されることもできる。ポリオレフィンポリマーは、石油化学製品から得られるとともに豊富に入手可能であるエチレンおよびアルファ-オレフィンなどの炭化水素から形成される。
【0003】
[0003]ポリオレフィンポリマーの1つの種類であるポリプロピレンポリマーは、一般に、プロピレンモノマーに基づく線状構造を有する。ポリプロピレンポリマーは、様々な異なる立体特異的配置を有することができる。ポリプロピレンポリマーは、例えば、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチックであり得る。アイソタクチックポリプロピレンは、おそらく最も普通の形態であり、高結晶性であり得る。生成することができるポリプロピレンポリマーとしては、ホモポリマー、修飾ポリプロピレンポリマー、およびポリプロピレンターポリマーを含むポリプロピレンコポリマーが挙げられる。ポリプロピレンを修飾することまたはプロピレンを他のモノマーと共重合することによって、個々の用途のための所望の特性を有する様々な異なるポリマーが生成され得る。例えば、ポリマーの衝撃強度を大きく増強するエラストマー特性を有するポリプロピレンコポリマーが生成され得る。
【0004】
[0004]チーグラー・ナッタ触媒は、典型的に、IV族遷移金属および有機アルミニウム化合物を含有する化合物間の反応生成物を含む。遷移金属構成成分はしばしばプロ触媒と称され、一方、有機アルミニウム化合物は共触媒と称される。
【0005】
[0005]ポリオレフィンの生成において使用される、チーグラー・ナッタ触媒の1つの種類は、例えば、アルミニウム化合物との組合せで使用されるアルミニウム-アルキルを用いるTiCl4の還元によって得られるTiCl3ベースの触媒構成成分を含む。上に記載されている触媒は、しかしながら、結果として得られたポリマーにおいて相対的に多量の触媒残渣をもたらし得る相対的に低い活性を有することが知られている。
【0006】
[0006]ポリオレフィンポリマーを生成するために使用される触媒の別の種類は、チタン化合物および内部電子供与体化合物が担持されるジハロゲン化マグネシウムを含む。アイソタクチックポリマー生成物のための高い選択性を維持するために、様々な内部電子供与体化合物が提案されてきた。加えて、アルコキシシランなどの外部電子供与体化合物が、重合方法をさらに制御するために添加される様々な他の構成成分の使用に加えて添加されてきた。
【0007】
[0007]フタレートは、ポリプロピレンのためのチーグラー・ナッタ触媒における内部電子供与体としての広い使用が見出されてきた。シラン外部電子供与体との組合せにおいて、それらは、触媒活性および結果として得られたポリマー特性の点から良好な重合性能を提供できる。しかしながら、ポリプロピレン生成物および加工装置における開発は、追加触媒能の必要性を生み出している。より高い立体選択性および改善された水素応答を有する、前に使用された触媒系と比較して、等しいまたはより良好な触媒活性を有する触媒系の必要性が依然としてある。これらの改善された特性および様々な最終使用製品をカバーできる最適な分子量分布を有する触媒系の必要性が特に存在する。
【0008】
[0008]近年、当業者は、フタレート以外の内部供与体を用いる新たな触媒系を生み出すことによって触媒性能をさらに改善する試みをしてきている。例えば、米国特許第9,284,392号、PCT公開番号WO2009/085649、PCT公開番号WO2014/048964、米国特許第8,536,372号、米国特許第8,604,235号、PCT公開番号WO2010/078494、PCT公開番号WO2010/021762、PCT公開番号WO2013/074087および米国特許第6,329,315号は全て、様々な異なる触媒系を記載し、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0009】
[0009]一般に、本開示は、2種の非フタレート内部電子供与体の混合物を利用するポリオレフィンポリマーを生成するための触媒系を対象とする。異なる内部電子供与体の相対量を制御することによって、および/または異なるプロセス条件を制御することによって、本開示の触媒系は、増加された活性、増加された立体選択性、および高い/改善された水素応答を示す。該触媒は、単一の内部電子供与体に基づく触媒よりも最適なポリマー分子量分布も提供する。
【0010】
[0010]増強された触媒活性および改善された特性により、本開示の触媒系は、ポリプロピレンを生成するのに特によく適している。
[0011]一実施形態において、本開示は、マグネシウム部分(プロ触媒前駆体)、チタン部分および混成内部電子供与体の組合せを含むプロ触媒組成物を対象とする。混成内部電子供与体は、少なくとも第1の内部電子供与体および第2の内部電子供与体を含む。
【0011】
[0012]プロ触媒前駆体は、(i)マグネシウム、(ii)周期表IV~VII族からの遷移金属化合物、(iii)ハロゲン化物、オキシハロゲン化物および/もしくはアルコキシド、ならびに/または(i)もしくは(i)および/もしくは(ii)のアルコキシド、ならびに(iv)(i)、(ii)および(iii)の組合せを含むことができる。適当なプロ触媒前駆体の非限定的な例としては、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、マグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウムのアルコキシド、およびその組合せが挙げられる。一実施形態において、プロ触媒前駆体は、スプレー結晶化されたジハロゲン化マグネシウム担体である。ジハロゲン化マグネシウム担体は、例えば、実質的に球形状を有することができる。二塩化マグネシウムを含むことができるジハロゲン化マグネシウム担体は、約30ミクロンから約150ミクロン、より好ましくは約40ミクロンから約80ミクロンの平均粒子径(d50)を有することができる。
【0012】
[0013]本開示によると、上に記載されているプロ触媒前駆体は、内部電子供与体の組合せと組み合わされる。第1の内部電子供与体は、個々の用途に応じて様々な異なる化合物を含むことができる。一実施形態において、第1の内部電子供与体は、非フタレートかつ非スクシネートである(フタレートでもスクシネートでもない)内部電子供与体を含む。例えば、第1の内部電子供与体は、マロネートを含むことができる。代替実施形態において、第1の内部電子供与体は、フェニレンジカルボン酸エステルを含む。例えば、第1の内部電子供与体は、以下の構造(I):
【0013】
【0014】
(式中、R1~R4は同じまたは異なり、R1~R4の各々は、水素、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、6個から20個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せからなる群から選択され、R1~R4の少なくとも1つは水素でなく;R1~R4の少なくとも1つまたは2つ、または3つ、または4つのR基は、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、6個から20個の炭素原子を有するアリール基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択され、E1およびE2は同じまたは異なり、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、またはヘテロ原子を任意に含有してよい官能基、例えば活性水素がない官能基を含めて、1個から20個の炭素原子を含有する基から選択される)
を有する置換フェニレン芳香族ジエステルを含むことができる。
【0015】
[0014]一実施形態において、置換フェニレン芳香族ジエステルは、以下の構造:
【0016】
【0017】
(式中、R1~R14は同じまたは異なる。R1~R14の各々は、水素、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択される)
を有することができる。少なくとも1つのR1~R14は水素でない。第1の内部電子供与体の特定の例は、3-メチル-5-tert-ブチル-1,2-フェニレンジベンゾエートおよび3,5-ジイソプロピル-1,2-フェニレンジベンゾエートである。
【0018】
[0015]一実施形態において、第2の内部電子供与体は、構造II:
【0019】
【0020】
(式中、R1、R2、R3およびR4は同じまたは異なり、メチル、C2~C18直鎖または分岐アルキル、C3~C18シクロアルキル、C4~C18シクロアルキル-アルキル、C4~C18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C7~C18アリールアルキル、C7~C18アルキルアリール基であり;R1またはR2は、水素原子であってもよい)
の置換1,3-ジエーテルを含むことができる。
【0021】
[0016]別の実施形態において第2の内部電子供与体は、環式または多環式構造III:
【0022】
【0023】
(式中、R1乃至R6は、上記の構造のR1乃至R4について記載されている通りである)
を有する1,3-ジエーテルを含むことができる。R1乃至R4は、任意に水素原子であってもよいし、あるいは組み合わさって、Ν、ΟもしくはSヘテロ原子を任意に含有してよい1つまたは複数のC5~C7縮合芳香族もしくは非芳香族環構造を形成していてもよい。第2の内部電子供与体の特定の例としては、4,4-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン、またはその混合物が挙げられる。
【0024】
[0017]プロ触媒前駆体は、無機ハロゲン化物化合物、好ましくはハロゲン化チタン化合物とのさらなる反応(ハロゲン化)および内部電子供与体の組み込みによって固体プロ触媒に変換される。該前駆体に十分な量でまだ組み込まれていないならば、内部電子供与体は、ハロゲン化の前、最中または後に別々に添加することができる。この手順は、任意に追加の添加剤または助剤の存在下で、1回または複数回繰り返すことができ、最終の固体生成物は脂肪族溶媒で洗浄される。
【0025】
[0018]一実施形態において、球状のMgCl2-EtOH前駆体は、過剰のTiCl4との反応によってハロゲン化され、上に記載されている通りの第2の内部電子供与体は、活性化担体を第1の内部電子供与体と接触させる前に添加される。内部電子供与体とのプロ触媒前駆体の接触時間は、少なくとも約25℃の温度、例えば少なくとも約60℃の温度、および最大約140℃未満の温度、好ましくは最大約100℃から125℃の間の温度で、少なくとも約15分、例えば少なくとも約30分、例えば少なくとも約1時間であってよい。一実施形態において、TiCl4との反応は、最終のプロ触媒を脂肪族溶媒で洗浄する前に、高温で少なくともあと2回繰り返される。
【0026】
[0019]未知ではあるが、ある特定の実施形態において、第1の内部電子供与体の前に第2の内部電子供与体と活性化担体を接触させることは、プロ触媒組成物に組み込まれる第1の内部電子供与体の量をさらに増加させることができると思われる。例えば、プロ触媒組成物に組み込まれる第1の内部電子供与体の百分率は、第1の内部電子供与体の元の電荷の約35%超、一部の条件において60%超であってよい。比較において、過去に、多くの内部電子供与体が、25%未満、例えばさらに20%未満の保持率を有した。
【0027】
[0020]本開示は、ポリオレフィンポリマーの生成のための触媒系も対象とする。該触媒系は、上に記載されている通りのプロ触媒組成物を、共触媒と組み合わせて、さらに任意に外部電子供与体と組み合わせて含む。
【0028】
[0021]共触媒は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、マグネシウムおよびその組合せの水素化物、アルキルまたはアリールを含むことができる。一実施形態において、共触媒は、式R3Al(式中、各Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヒドリド基であり;少なくとも1つのRは、ヒドロカルビル基であり;2つまたは3つのR基は、環式基に加わって、複素環式構造を形成することができ;各Rは、同じであっても異なっていてもよく;ヒドロカルビル基である各Rは、1個から20個の炭素原子、好ましくは1個から10個の炭素原子を有する)によって表されるヒドロカルビルアルミニウム共触媒である。一実施形態において、好ましい共触媒は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、および水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウムから選択され、最も好ましい共触媒はトリエチルアルミニウムである。
【0029】
[0022]一実施形態において、触媒組成物は、外部電子供与体を含む。本明細書で使用される場合、「外部電子供与体」は、プロ触媒形成とは独立して添加される化合物であり、1対の電子を金属原子に供与できる少なくとも1つの官能基を含有する。特定の理論によって結び付けられることなく、外部電子供与体は、触媒立体選択性を増強する(即ち、フォルマントポリマー中のキシレン可溶性材料を低減するため)と思われる。
【0030】
[0023]外部電子供与体は、以下:アルコキシシラン、アミン、エーテル、カルボキシレート、ケトン、アミド、カルバメート、ホスフィン、ホスフェート、ホスファイト、スルホネート、スルホンおよび/またはスルホキシドの1種または複数から選択することができる。一実施形態において、外部電子供与体はアルコキシシランである。アルコキシシランは、一般式:SiRm(OR’)4-m(I)(式中、Rは、各出現において独立して、水素、または1つもしくは複数の14族、15族、16族または17族のヘテロ原子を含有する1個、もしくは任意に複数の置換基で置換されていてよいヒドロカルビルもしくはアミノ基であり、前記R’は、水素およびハロゲンを数に入れずに最大20個の原子を含有し;R’は、C1-4アルキル基であり;mは、0、1、2または3である)を有する。一実施形態において、Rは、C6-12アリール、アルキルもしくはアラルキル、C3-12シクロアルキル、C3-12分岐アルキル、またはC3-12環式もしくは非環式アミノ基であり、R’はC1-4アルキルであり、mは、1または2である。好ましい実施形態において、シラン組成物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(MChDMS)、ジイソプロピルジメトキシシラン(DIPDMS)またはn-プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)、およびそのいずれかの組合せである。
【0031】
[0024]一実施形態において、触媒組成物は、活性制限剤(ALA)を含む。本明細書で使用される場合、「活性制限剤」(「ALA」)は、高温(即ち、約85℃超の温度)で触媒活性を低減する材料である。活性制限剤は、カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリ(アルケングリコール)、ポリ(アルケングリコール)エステル、ジオールエステル、およびその組合せであってよい。
【0032】
[0025]本開示は、上に記載されている通りのプロ触媒および触媒組成物を使用してポリオレフィンポリマーを生成するための重合方法もさらに対象とする。一実施形態において、方法は、ポリプロピレンポリマーを生成することを対象とする。本明細書で使用される場合、ポリプロピレンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー、ランダムポリマー、ターポリマー、異相コポリマー(heterophasic copolymer)、インパクトコポリマーなどを含めたコポリマーを指す。該重合方法は、公知の技法、例えば、流動床もしくは撹拌床反応器における気相、希釈液として不活性炭化水素溶媒を使用するスラリー重合、または反応物および希釈液として液体モノマーを使用するスラリー重合に従って実施することができる。一実施形態において、重合方法は、ハイブリッドプロセス、例えば、気相反応器と結合されたバルクプロピレン液体ループ反応器(bulk propylene liquid loop reactor)であってよい。
【0033】
[0026]触媒活性を増加させることに加えて、プロ触媒製剤における第1の内部電子供与体および第2の内部電子供与体の組合せは、特性の非常に望ましい組合せを有するポリマーを生成することが見出された。該方法によって生成されるポリオレフィンポリマーは、例えば、多くの最終使用用途に最適である分子量分布を有することができる。例えば、ポリオレフィンポリマーは、約4.1から約5.0、例えば約4.2から約4.8の多分散性指数(PDI)を有することができる。本開示の触媒は、フタレート触媒に対して、増加された水素応答も提供し、改善された立体選択性を有する。ある特定の製剤は、より高い溶融流量(MFR)を有するポリマーを提供しながら、1.0wt%以下の非常に低いキシレン可溶分を達成することができる。
【0034】
[0027]本開示の他の特色および態様は、より詳細に下記にて考察される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[0028]本考察が、例証的な実施形態のみの記載であるとともに本開示のより広い態様を限定すると意図されないことは、当業者によって理解されるべきである。
[0029]本開示は、一般に、ポリオレフィンポリマー、特にポリプロピレンポリマーを生成するための非フタレートベースの触媒系を対象とする。本開示は、プロ触媒組成物、プロ触媒組成物を作製する方法、プロ触媒を使用する触媒系、ならびに触媒系を使用してオレフィンを重合および共重合する方法も対象とする。一般に、本開示は、チタン、活性形態における塩化マグネシウム、および少なくとも1種の置換ポリエーテルを含有する内部電子供与体化合物の組合せを含むプロ触媒組成物を対象とする。
【0036】
[0030]本開示によると、少なくとも1種のポリエーテルと組み合わされる第1の内部電子供与体を含む内部電子供与体の組合せの使用は、高い/改善された活性、高い立体選択性、および改善された水素応答を有する触媒を提供する。個別の供与体に基づく触媒よりも高い立体選択性を示す2つの内部供与体を使用して相乗効果が見出された。該触媒が、狭すぎず広すぎないとともに様々な最終使用製品をカバーできる分子量分布(または多分散性指数、PDI)を有するポリマーを生成することも望ましい。本開示の触媒を用いて生成されたポリプロピレンは、フタレート触媒を用いて得られたPDIと同様またはそれよりもわずかに広いPDIを有する。
【0037】
[0031]予想外にも、第2の内部電子供与体は、プロ触媒組成物への第1の内部電子供与体の組み込みの効率を増加させることが見出された。特に、第2の内部電子供与体が存在する場合、より大きい量の第1の内部電子供与体がプロ触媒組成物に組み込まれる。その結果として、第1の内部電子供与体は、プロ触媒を作製するプロセス中に消費および/または無駄にされることが少ない。
【0038】
[0032]本開示のプロ触媒組成物は、一般に、マグネシウム部分で作製される活性担体を、内部電子供与体およびハロゲン化チタンの組合せと組み合わせることによって作製される。
【0039】
[0033]本開示の一実施形態において、プロ触媒前駆体が最初に作り出される。プロ触媒前駆体は、(i)マグネシウム、(ii)周期表IV~VII族からの遷移金属化合物、(iii)ハロゲン化物、オキシハロゲン化物および/またはアルコキシド、ならびに/または(i)もしくは(i)および/もしくは(ii)のアルコキシド、ならびに(iv)(i)、(ii)および(iii)の組合せを含むことができる。適当なプロ触媒前駆体の非限定的な例としては、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、マグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウムのアルコキシド、およびその組合せが挙げられる。
【0040】
[0034]一実施形態において、プロ触媒前駆体は、唯一の金属構成成分としてマグネシウムを含有する。非限定的な例としては、無水塩化マグネシウムおよび/もしくはそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド、および/もしくアリールオキシド、混成マグネシウムアルコキシハロゲン化物、ならびに/またはカルボキシル化マグネシウムジアルコキシドもしくはアリールオキシドが挙げられる。
【0041】
[0035]一実施形態において、プロ触媒前駆体は、無水塩化マグネシウムのアルコール付加物である。無水塩化マグネシウム付加物は、一般に、MgCl2-nROH(式中、nは、全アルコールで1.5~6.0、好ましくは2.5~4.0、最も好ましくは2.8~3.5モルの範囲を有する)として定義される。ROHは、直鎖もしくは分岐C1~C4アルコール、またはアルコールの混合物である。好ましくは、ROHは、エタノール、またはエタノールおよび高級アルコールの混合物である。ROHが混合物であるならば、エタノール対高級アルコールのモル比は、少なくとも80:20、好ましくは90:10、最も好ましくは少なくとも95:5である。
【0042】
[0036]マグネシウムプロ触媒前駆体は、当技術分野において知られている様々な方法を介して均一な粒子に形成することができる。これらの方法のいくつかは、とりわけ、米国特許第5468698号、同第5476824号、同第5905050号、同第4315835号、同第4469648号、同第4399054号、同第6127304号、同第5082907号、同第5066737号、同第4442276号、同第4540679号、同第4547476号、同第4460701号、同第4829037号、同第5028671号、同第5247031号、および他所に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
[0037]一実施形態において、実質的に球状のMgCl2-nEtOH付加物は、スプレー結晶化プロセスによって形成することができる。該プロセスにおいて、nが1~6であるMgCl2-nROH溶融物は、槽の上部に20~80℃の温度で不活性ガスを伝導しながら、槽の内側でスプレーされる。溶融物液滴は、不活性ガスが-50℃から20℃の温度で導入される結晶化部域へ移されて、溶融物液滴を球形状の非凝集化固体粒子に結晶化する。球状のMgCl2粒子は、次いで、所望のサイズに分類される。所望されないサイズの粒子は、リサイクルすることができる。プロ触媒合成のための好ましい実施形態において、球状のMgCl2前駆体は、約15~150ミクロンの間、好ましくは20~100ミクロンの間、最も好ましくは35~85ミクロンの間の平均粒径(Malvern d50)を有する。
【0044】
[0038]プロ触媒前駆体の調製は、マグネシウムアルコキシドおよびチタンアルコキシドの混合物のハロゲン化を伴うことができ、トリアルキルボレート化合物を含み得るクリッピング剤として知られている1種または複数の他の化合物の使用を伴ってよい。
【0045】
[0039]一実施形態において、プロ触媒前駆体は、遷移金属化合物およびマグネシウム金属化合物を含有する。遷移金属化合物は、一般式TrXx(式中、Trは遷移金属であり、Xは、ハロゲン、またはC1-10ヒドロカルボキシルもしくはヒドロカルビル基であり、xは、マグネシウム金属化合物との組合せにおける化合物中のこうしたX基の数である)を有する。Trは、IV族、V族またはVI族の金属であってよい。一実施形態において、Trは、チタンなどのIV族金属である。Xは、塩化物、臭化物、C1-4アルコキシドまたはフェノキシド、またはその混合物であってよい。一実施形態において、Xは塩化物である。
【0046】
[0040]該前駆体組成物は、前述の混成マグネシウム化合物、チタン化合物またはその混合物の塩素化によって調製することができる
[0041]一実施形態において、前駆体組成物は、式MgdTi(ORe)fXg[式中、Reは、1個から14個の炭素原子を有する脂肪族または芳香族炭化水素基またはCOR’(式中、R’は、1個から14個の炭素原子を有する脂肪族または芳香族炭化水素基である)であり;各ORe基は、同じまたは異なり;Xは、独立して塩素、臭素またはヨウ素であり;dは、0.5から56;または2~4、または3であり;fは、2から116、または5から15であり;gは、0.5から116、または1から3である]の混成マグネシウム/チタン化合物である。該前駆体は、その調製において使用される反応混合物からアルコールの除去を介する制御沈殿によって調製することができる。一実施形態において、反応媒体は、芳香族液体、殊に塩素化芳香族化合物、例えばアルカノール、殊にエタノールとクロロベンゼンまたは塩素化トルエン、および無機塩素化剤との混合物を含む。適当な無機塩素化剤としては、ケイ素、アルミニウムおよびチタンの塩素誘導体、例えば四塩化チタンまたは三塩化チタン、特に四塩化チタンが挙げられる。塩素化において使用される該溶液からのアルカノールの除去は、望ましいモルフォロジーおよび表面積を有する固体前駆体の沈殿をもたらす。さらに、結果として得られた前駆体は、特に、粒径が均一であり、粒子粉砕ならびに結果として得られたプロ触媒の分解に抵抗性である。
【0047】
[0042]本開示によると、上に記載されているプロ触媒前駆体は、内部電子供与体の組合せと組み合わされる。第1の内部電子供与体は、個々の用途に応じて様々な異なる化合物を含むことができる。一実施形態において、第1の内部電子供与体は、非フタレートかつ非スクシネートである内部電子供与体を含む。例えば、第1の内部電子供与体は、マロネートを含むことができる。代替実施形態において、第1の内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルなどのフェニレンジカルボン酸エステルを含む。第2の内部電子供与体は、ポリエーテルを含む。
【0048】
[0043]一実施形態において、第1の内部電子供与体は、以下の構造
【0049】
【0050】
(式中、
R1~R4は同じまたは異なり、R1~R4の各々は、水素、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、6個から20個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せからなる群から選択され、R1~R4の少なくとも1つは水素でなく;
R1~R4の少なくとも1つまたは2つ、または3つ、または4つのR基は、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、6個から20個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択され、E1およびE2は同じまたは異なり、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、またはヘテロ原子を任意に含有してよい不活性な官能基からなる群から選択され、ここで、全てが1個から20個の炭素原子を有する)
を有する置換フェニレン芳香族ジエステルなどのフェニレンジカルボン酸エステルを含む。
【0051】
[0044]置換フェニレン芳香族ジエステル、例えば、以下の構造:
【0052】
【0053】
(式中、R1~R14は同じまたは異なる)
を有することができる。R1~R14の各々は、水素、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択される。少なくとも1つのR1~R14は水素でない。
【0054】
[0045]一実施形態において、置換フェニレン芳香族ジエステルは、2008年12月31日に出願された米国特許出願番号第61/141,959号に開示されている通りのいずれかの置換フェニレン芳香族ジエステルであってよく、この全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
[0046]一実施形態において、置換フェニレン芳香族ジエステルは、2011年12月20日に出願されたWO12088028に開示されているいずれかの置換フェニレン芳香族ジエステルであってよく、この全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
[0047]一実施形態において、R1~R4の少なくとも1つの(または2つ、または3つ、または4つの)R基は、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択される。
【0057】
[0048]一実施形態において、R5~R14の少なくとも1つの(または一部の、または全ての)R基は、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択される。別の実施形態において、R5~R9の少なくとも1つ、およびR10~R14の少なくとも1つは、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択される。
【0058】
[0049]一実施形態において、R1~R4の少なくとも1つ、およびR5~R14の少なくとも1つは、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択される。別の実施形態において、R1~R4の少なくとも1つ、R5~R9の少なくとも1つ、およびR10~R14の少なくとも1つは、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択される。
【0059】
[0050]一実施形態において、R1~R4におけるいずれかの連続したR基、および/またはR5~R9におけるいずれかの連続したR基、および/またはR10~R14におけるいずれかの連続したR基は、連結されて、環間または環内構造を形成することができる。環間/環内構造は、芳香族でああっても、芳香族でなくてもよい。一実施形態において、環間/環内構造は、C5またはC6員環である。
【0060】
[0051]一実施形態において、R1~R4の少なくとも1つは、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、およびその組合せから選択される。任意に、R5~R14の少なくとも1つは、ハロゲン原子、または1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基であってよい。任意に、R1~R4、および/またはR5~R9、および/またはR10~R14は、連結されて、環間構造または環内構造を形成することができる。環間構造および/または環内構造は、芳香族であっても、芳香族でなくてもよい。
【0061】
[0052]一実施形態において、R1~R4における、および/またはR5~R9における、および/またはR10~R14におけるいずれかの連続したR基は、C5~C6員環のメンバーであってよい。
【0062】
[0053]一実施形態において、構造(I)は、R1、R3およびR4を水素として含む。R2は、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、およびその組合せから選択される。R5~R14は同じまたは異なり、R5~R14の各々は、水素、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン、およびその組合せから選択される。
【0063】
[0054]一実施形態において、R2は、C1~C8アルキル基、C3~C6シクロアルキル、または置換C3~C6シクロアルキル基から選択される。R2は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基であってよい。
【0064】
[0055]一実施形態において、構造(I)は、メチルであるR2を含み、R5~R14の各々は水素である。
[0056]一実施形態において、構造(I)は、エチルであるR2を含み、R5~R14の各々は水素である。
【0065】
[0057]一実施形態において、構造(I)は、t-ブチルであるR2を含み、R5~R14の各々は水素である。
[0058]一実施形態において、構造(I)は、エトキシカルボニルであるR2を含み、R5~R14の各々は水素である。
【0066】
[0059]一実施形態において、構造(I)は、R2、R3およびR4を各々水素として含み、R1は、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、およびその組合せから選択される。R5~R14は同じまたは異なり、各々は、水素、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン、およびその組合せから選択される。
【0067】
[0060]一実施形態において、構造(I)は、メチルであるR1を含み、R5~R14の各々は水素である。
[0061]一実施形態において、構造(I)は、水素であるR2およびR4を含み、R1およびR3は同じまたは異なる。R1およびR3の各々は、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、およびその組合せから選択される。R5~R14は同じまたは異なり、R5~R14の各々は、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン、およびその組合せから選択される。
【0068】
[0062]一実施形態において、構造(I)は、同じまたは異なるR1およびR3を含む。R1およびR3の各々は、C1~C8アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、または置換C3~C6シクロアルキル基から選択される。R5~R14は同じまたは異なり、R5~R14の各々は、水素、C1~C8アルキル基およびハロゲンから選択される。適当なC1~C8アルキル基の非限定的な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、n-ヘキシル基および2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基が挙げられる。適当なC3~C6シクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が挙げられる。さらなる実施形態において、R5~R14の少なくとも1つは、C1~C8アルキル基またはハロゲンである。
【0069】
[0063]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1およびt-ブチル基であるR3を含む。R2、R4およびR5~R14の各々は、水素である。
[0064]一実施形態において、構造(I)は、イソプロピル基であるR1およびR3を含む。R2、R4およびR5~R14の各々は、水素である。
【0070】
[0065]一実施形態において、構造(I)は、R1、R5、およびR10の各々をメチル基として含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4、R6~R9およびR11~R14の各々は、水素である。
【0071】
[0066]一実施形態において、構造(I)は、R1、R7およびR12の各々をメチル基として含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14の各々は、水素である。
【0072】
[0067]一実施形態において、構造(I)は、R1をメチル基として含み、R3は、t-ブチル基である。R7およびR12の各々はエチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14の各々は、水素である。
【0073】
[0068]一実施形態において、構造(I)は、R1、R5、R7、R9、R10、R12およびR14の各々をメチル基として含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4、R6、R8、R11およびR13の各々は、水素である。
【0074】
[0069]一実施形態において、構造(I)は、R1をメチル基として含み、R3はt-ブチル基である。R5、R7、R9、R10、R12およびR14の各々は、i-プロピル基である。R2、R4、R6、R8、R11およびR13の各々は、水素である。
【0075】
[0070]一実施形態において、置換フェニレン芳香族ジエステルは、メチル基であるR1を含む構造(II)を有し、R3はt-ブチル基である。R2およびR4の各々は水素である。R8およびR9は、1-ナフトイル部分を形成するためのC6員環のメンバーである。R13およびR14は、別の1-ナフトイル部分を形成するためのC6員環のメンバーである。構造(II)は、下記に示される。
【0076】
【0077】
[0071]一実施形態において、置換フェニレン芳香族ジエステルは、メチル基であるR1を含む構造(III)を有し、R3はt-ブチル基である。R2およびR4の各々は水素である。R6およびR7は、2-ナフトイル部分を形成するためのC6員環のメンバーである。R12およびR13は、2-ナフトイル部分を形成するためのC6員環のメンバーである。構造(III)は、下記に示される。
【0078】
【0079】
[0072]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7およびR12の各々はエトキシ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、およびR14の各々は、水素である。
【0080】
[0073]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7およびR12の各々はフッ素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14の各々は、水素である。
【0081】
[0074]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7およびR12の各々は塩素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14の各々は、水素である。
【0082】
[0075]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7およびR12の各々は臭素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14の各々は、水素である。
【0083】
[0076]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7およびR12の各々はヨウ素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14の各々は、水素である。
【0084】
[0077]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R6、R7、R11およびR12の各々は、塩素原子である。R2、R4、R5、R8、R9、R10、R13およびR14の各々は、水素である。
【0085】
[0078]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R6、R8、R11およびR13の各々は、塩素原子である。R2、R4、R5、R7、R9、R10、R12およびR14の各々は、水素である。
【0086】
[0079]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4およびR5~R14の各々は、フッ素原子である。
[0080]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7およびR12の各々はトリフルオロメチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14の各々は、水素である。
【0087】
[0081]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7およびR12の各々はエトキシカルボニル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14の各々は、水素である。
【0088】
[0082]一実施形態において、R1はメチル基であり、R3はt-ブチル基である。R7およびR12の各々はエトキシ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14の各々は、水素である。
【0089】
[0083]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7およびR12の各々はジエチルアミノ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14の各々は、水素である。
【0090】
[0084]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基である。R2、R4およびR5~R14の各々は、水素である。
【0091】
[0085]一実施形態において、構造(I)は、各々がsec-ブチル基であるR1およびR3を含む。R2、R4およびR5~R14の各々は、水素である。
[0086]一実施形態において、置換フェニレン芳香族ジエステルは、R1およびR2が、1,2-ナフタレン部分を形成するためのC6員環のメンバーである、構造(IV)を有する。R5~R14の各々は水素である。構造(IV)は、下記に示される。
【0092】
【0093】
[0087]一実施形態において、置換フェニレン芳香族ジエステルは、R2およびR3が、2,3-ナフタレン部分を形成するためのC6員環のメンバーである、構造(V)を有する。R5~R14の各々は水素である。構造(V)は、下記に示される。
【0094】
【0095】
[0088]一実施形態において、構造(I)は、各々メチル基であるR1およびR4を含む。R2、R3、R5~R9およびR10~R14の各々は、水素である。
[0089]一実施形態において、構造(I)は、メチル基であるR1を含む。R4はi-プロピル基である。R2、R3、R5~R9およびR10~R14の各々は、水素である。
【0096】
[0090]一実施形態において、構造(I)は、各々がi-プロピル基であるR1、R3およびR4を含む。R2、R5~R9およびR10~R14の各々は、水素である。
[0091]一実施形態において、R1およびR4の各々は、メチル基、エチル基およびビニル基から選択される。R2およびR3の各々は、水素、第2級アルキル基または第3級アルキル基から選択され、R2およびR3は同時に水素であることはない。言い換えれば、R2が水素である場合、R3は水素でない(および逆もまた同じ)
[0092]第2の内部電子供与体は、一般に、ポリエーテル化合物を含む。一実施形態において、第2の内部電子供与体は、構造:
【0097】
【0098】
(式中、R1、R2、R3およびR4は同じまたは異なり、メチル、C2~C18直鎖または分岐アルキル、C3~C18シクロアルキル、C4~C18シクロアルキル-アルキル、C4~C18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C7~C18アリールアルキル、C7~C18アルキルアリール基であり;R1またはR2は、水素原子であってもよい)
の置換1,3-ジエーテルである。
【0099】
[0093]一実施形態において、第2の内部電子供与体は、環式または多環式構造:
【0100】
【0101】
(式中、R1乃至R6は、上記の構造のR1乃至R4について記載されている通りである。R1乃至R4は、任意に水素原子であってよく、あるいは組み合わさって、Ν、ΟもしくはSヘテロ原子を任意に含有してよい1つまたは複数のC5~C7縮合芳香族または非芳香族環構造を形成していてもよい)
を有する1,3-ジエーテルを含むことができる。
【0102】
[0094]第2の内部電子供与体の特定の例としては、4,4-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタン、9,9-ビス(メトキシメチル)フッ素、またはその混合物が挙げられる。
【0103】
[0095]第2の内部電子供与体として使用することができるジエーテル化合物のさらなる例は、1,3-ジメトキシ-2,2-ジメチルプロパン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルブタン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルペンタン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルヘキサン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルヘプタン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルオクタン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルノナン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルウンデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルドデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルテトラデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルヘキサデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルオクタデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルイコサン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルドコサン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,3-ジメチルブタン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,4-ジメチルペンタン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,5-ジメチルヘキサン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,7-ジメチルオクタン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,8-ジメチルノナン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,9-ジメチルデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,10-ジメチルウンデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,11-ジメチルドデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,13-ジメチルテトラデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,15-ジメチルヘキサデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,17-ジメチルオクタデカン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,19-ジメチルイコサン;1-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2,21-ジメチルドコサン;3,3-ビス(メトキシメチル)-2,4-ジメチルペンタン;3,3-ビス(メトキシメチル)-2,5-ジメチルヘキサン;3,3-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタン;3,3-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジメチルオクタン;5,5-ビス(メトキシメチル)-2,9-ジメチルデカン;4,4-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジメチルオクタン;4,4-ビス(メトキシメチル)-2,8-ジメチルノナン;5,5-ビス(メトキシメチル)-2,8-ジメチルノナン;6,6-ビス(メトキシメチル)-2,10-ジメチルウンデカン;3,3-ビス(メトキシメチル)-2-メチルペンタン;4,4-ビス(メトキシメチル)-2-メチルヘキサン;5,5-ビス(メトキシメチル)-2-メチルヘプタン;6,6-ビス(メトキシメチル)-2-メチルオクタン;6,6-ビス(メトキシメチル)-2-メチルデカン;4,4-ビス(メトキシメチル)-2-メチルヘプタン;5,5-ビス(メトキシメチル)-2-メチルオクタン;6,6-ビス(メトキシメチル)-2-メチルノナン;5,5-ビス(メトキシメチル)-2-メチルノナン;6,6-ビス(メトキシメチル)-2-メチルウンデカン;3,3-ビス(メトキシメチル)ペンタン;3,3-ビス(メトキシメチル)ヘキサン;3,3-ビス(メトキシメチル)ヘプタン;3,3-ビス(メトキシメチル)オクタン;5,5-ビス(メトキシメチル)デカン;4,4-ビス(メトキシメチル)ヘプタン;4,4-ビス(メトキシメチル)オクタン;4,4-ビス(メトキシメチル)ノナン;5,5-ビス(メトキシメチル)ノナン;6,6-ビス(メトキシメチル)ウンデカン;(1,3-ジメトキシ-2-メチルプロパン-2-イル)シクロヘキサン;(3-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロピル)シクロヘキサン;1-(3-メトキシ-2-(メトキシメチル)-2-メチルプロピル)-4-メチルシクロヘキサン;1-(1,3-ジメトキシ-2-メチルプロパン-2-イル)-4-メチルシクロヘキサン;(1,3-ジメトキシ-2-メチルプロパン-2-イル)シクロペンタン;1-(1,3-ジメトキシ-2-メチルプロパン-2-イル)-3-メチルシクロペンタン、1,1-ビス(メトキシメチル)-シクロペンタジエン、1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5,-テトラメチルシクロペンタジエン、1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5,-テトラフェニルシクロペンタジエン、1,1,-ビス(メトキシメチル)-2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエン、1,1-ビス(メトキシメチル)インデン、1,1-ビス(メトキシメチル)-3-メチルインデン、1,1-ビス(メトキシメチル)-3-tert-ブチルインデン、1,1-ビス(メトキシメチル)-4,7-ジメチルインデン、1,1-ビス(メトキシメチル)-2-メチルインデン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン、9,9-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン、9,9-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジイソプロピルフルオレン、9,9-ビス(メトキシメチル)-1,2,3,4,-テトラヒドロフルオレン、4,4-ビス(メトキシメチル)シクロペンタ[def]フェナントレン、7,7-ビス(メトキシメチル)シクロペンタジチオフェン、6,6-ビス(メトキシメチル)-5-メチル-ジヒドロインデノインドール、またはその混合物を含む。
【0104】
[0096]該前駆体は次に、無機ハロゲン化物化合物、好ましくはハロゲン化チタン化合物とのさらなる反応(ハロゲン化)、および該内部電子供与体の組み込みによって、固体プロ触媒に変換される。該前駆体にまだ十分な量で組み込まれていないならば、該内部電子供与体は、ハロゲン化の前、最中または後に別々に添加することができる。この手順は、任意に追加の添加剤または助剤の存在下で、1回または複数回繰り返すことができ、最終の固体生成物は、脂肪族溶媒で洗浄される。固体プロ触媒を作製、回収および貯蔵するいかなる方法も、本開示における使用に適当である。
【0105】
[0097]該前駆体のハロゲン化のための1つの適当な方法は、任意に炭化水素またはハロ炭化水素希釈液の存在下で、四価のハロゲン化チタンと高温で前駆体を反応させることによる。好ましい四価のハロゲン化チタンは、四塩化チタンである。オレフィン重合プロ触媒の生成において用いられてよい任意の炭化水素またはハロ炭化水素溶媒は、好ましくは、包括的に最大12個の炭素原子、または包括的に最大9個の炭素原子を含有する。例証的な炭化水素としては、ペンタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼンおよびデカヒドロナフタレンが挙げられる。例証的な脂肪族ハロ炭化水素としては、塩化メチレン、臭化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジブロモエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロシクロヘキサン、ジクロロフルオロメタンおよびテトラクロロオクタンが挙げられる。例証的な芳香族ハロ炭化水素としては、クロロベンゼン(MCB)、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼンおよびクロロトルエンが挙げられる。脂肪族ハロ炭化水素は、四塩化炭素または1,1,2-トリクロロエタンなど、少なくとも2つの塩化物置換基を含有する化合物であってよい。芳香族ハロ炭化水素は、クロロベンゼンまたはo-クロロトルエンであってよい。以下の実施形態の目的で、「炭化水素」という用語は、炭化水素またはハロ炭化水素溶媒を含むことができる。
【0106】
[0098]本発明の一実施形態による固体プロ触媒を生成するための方法に含まれる第1のステップにおいて、固体マグネシウム前駆体は、四価のハロゲン化チタン化合物、または四価のハロゲン化チタン化合物および炭化水素溶媒の混合物と接触させる。一実施形態において、マグネシウム前駆体を過剰の四価のハロゲン化チタンと、0℃未満、好ましくは-10℃未満、最も好ましくは約-20℃の温度で接触させることが好ましい。反応を実施するため、温度は、1.0℃/分未満、好ましくは0.7℃/分未満、最も好ましくは0.16℃から0.44℃/分の間の速度で約20℃にゆっくり上昇させる。一実施形態において、内部供与体添加は、プロ触媒反応混合物が約20℃から30℃の温度に達した後に開始される。別の実施形態において、内部供与体は、温度傾斜が開始される前に添加される。内部供与体は、ニートでまたは炭化水素溶媒中の溶液として添加することができる。一実施形態において、内部供与体添加は、約20℃の温度で開始され、約60℃までに完了される。一実施形態において、第2の内部供与体は、熱上昇期間中に添加され、その後、第1の内部供与体が添加される。別の実施形態において、第1の内部供与体は、熱上昇期間中に添加され、その後、第2の内部供与体が添加される。なお別の実施形態において、第1および第2の内部供与体の混合物が、熱上昇期間中に添加される。内部供与体は、温度傾斜速度を一時停止しながら所与の温度で投与することができるか、または温度傾斜中に計量することができる。一実施形態において、第2の内部供与体は、温度傾斜を一時停止しながら約20℃で添加され、第1の内部供与体は、温度傾斜速度を再開した後に計量される。第1のステップの最終温度は、好ましくは約80℃から135℃、より好ましくは約90℃から125℃である。第1のステップの供与体添加部分のための温度傾斜速度は、初期の傾斜速度と異なることがあり、好ましくは2.0℃/分未満、より好ましくは1.6℃/分未満、および最も好ましくは約0.4℃から1.0℃/分の間である。最終温度に達した後、第1のステップ反応は、ある時間期間の間続けることができる。一実施形態において、該反応は、約20分から120分、より好ましくは約30分から90分続けられる。第1のステップ反応を完了した後、母液は固体プロ触媒から分離される。母液は、濾過プロセスによって、または固体生成物を沈降させることおよび母液をデカントすることによって分離することができる。一実施形態において、母液はデカントされる。
【0107】
[0099]本発明の一実施形態による固体プロ触媒を生成するための方法に含まれる第2のステップにおいて、第1のステップからの固体生成物は、四価のハロゲン化チタン、または四価のハロゲン化チタンおよび炭化水素溶媒の混合物の第2の電荷と高温で反応させる。一実施形態において、第2のステップの温度は、約90℃から130℃で、より好ましくは約100℃から125℃で行われる。一実施形態において、第1の内部供与体、第2の内部供与体、または第1および第2の内部供与体の混合物の第2の量が添加され得る。第2のステップを完了した後、反応液体は、上に記載されている通りの固体プロ触媒から分離される。
【0108】
[00100]ハロゲン化は、1回または複数回繰り返すことができ、任意に、ハロゲン化と次のハロゲン化との間に脂肪族または芳香族の炭化水素またはハロ炭化水素などの不活性液体で洗浄することが伴われてもよい。さらに任意に、殊に約50℃から100℃の間の高温で、不活性液体希釈剤、殊に脂肪族または芳香族炭化水素と接触させることを伴う1回または複数の抽出が用いられることで、不安定な種、殊にTiCl4を除去することができる。
【0109】
[00101]内部電子供与体とのプロ触媒前駆体の接触時間は、少なくとも約25℃、例えば少なくとも約60℃の温度、および最大約140℃未満、例えば約130℃未満の温度で、少なくとも約15分、例えば少なくとも約30分、例えば少なくとも約1時間であってよい。
【0110】
[00102]一実施形態において、上に記載されている通りの第2の内部電子供与体は、第1の内部電子供与体と活性化担体を接触させる前に、活性化担体またはプロ触媒前駆体と接触される。未知ではあるが、ある特定の実施形態において、第1の内部電子供与体の前に第2の内部電子供与体と活性化担体を接触させることは、プロ触媒組成物に組み込まれる第1の内部電子供与体の量をさらに増加させることができると思われる。
【0111】
[00103]例えば、本開示の利益の1つは、第2の内部電子供与体が存在する場合、より大きい量の第1の内部電子供与体がプロ触媒組成物に組み込まれることである。例えば、プロ触媒組成物に組み込まれる第1の内部電子供与体の百分率は、第1の内部電子供与体の元の電荷の約35%超であってよい。例えば、該プロ触媒は、第1の内部電子供与体の40%超、例えば45%超、例えば55%超、例えばさらに60%超を保持することができる。比較において、過去に、多くの内部電子供与体は、25%未満、例えばさらに20%未満の保持率を有した。第1の内部電子供与体と併せた第2の内部電子供与体の使用は、予想外にもおよび劇的に、プロセスの効率を改善し、第1の内部電子供与体の著しい無駄を防止する。
【0112】
[00104]結果として得られたプロ触媒組成物は、一般に、チタンを約0.5重量%から約6重量%、例えば約1.5重量%から約5重量%、例えば約2重量%から約4重量%の量で含有することができる。固体触媒は、マグネシウムを一般に約5重量%超の量で、例えば約8重量%超の量で、例えば約10重量%超の量で、例えば約12重量%超の量で、例えば約14重量%超の量で、例えば約16重量%超の量で含有することができる。マグネシウムは、触媒中に約25重量%未満の量で、例えば約23重量%未満の量で、例えば約20重量%未満の量で含有される。組み合わされた第1の内部電子供与体および第2の内部電子供与体は、一般に、触媒組成物中に約30重量%未満の量で、例えば約25重量%未満の量で、例えば約22重量%未満の量で、例えば約20重量%未満の量で、例えば約19重量%未満の量で存在する。内部電子供与体は、一般に、約5重量%超の量で、例えば約9重量%超の量で存在する。
【0113】
[00105]第1の内部電子供与体と第2の内部電子供与体とのモル比は、慎重に制御されることで、所望の結果を生成することができる。一実施形態において、例えば、より大きいモル量の第2の内部電子供与体が、第1の内部電子供与体のモル量に対して存在する。例えば、第1の内部電子供与体と第2の内部電子供与体とのモル比は、一般に、約20:1から約1:20、例えば約10:1から約1:10、例えば約3:1から約1:3であってよい。
【0114】
[00106]一実施形態において、プロ触媒組成物は、共触媒と組み合わされて、触媒系を形成する。触媒系は、重合条件下でオレフィンと接触される場合にオレフィンベースのポリマーを形成する系である。該触媒系は、任意に、外部電子供与体、活性制限剤、および/または様々な他の構成成分を含むことができる。
【0115】
[00107]本明細書で使用される場合、「共触媒」は、プロ触媒を活性重合触媒に変換できる物質である。共触媒は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、マグネシウムおよびその組合せの水素化物、アルキルまたはアリールを含むことができる。一実施形態において、共触媒は、式R3Al(式中、各Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヒドリド基であり;少なくとも1つのRは、ヒドロカルビル基であり;2つまたは3つのR基は、環式基に加わって、複素環式構造を形成することができ;各Rは、同じであっても異なっていてもよく;ヒドロカルビル基である各Rは、1個から20個の炭素原子、および好ましくは1個から10個の炭素原子を有する)によって表されるヒドロカルビルアルミニウム共触媒である。さらなる実施形態において、各アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよく、こうしたヒドロカルビル基は、混成基であってよく、即ち、該基は、アルキル基、アリール基および/またはシクロアルキル基を含有することができる。適当な基の非限定的な例は:メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、5,5-ジメチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシル、n-ウンデシル、n-ドデシルである。
【0116】
[00108]適当なヒドロカルビルアルミニウム化合物の非限定的な例は、以下の通り:トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウム、二水素化イソブチルアルミニウム、二水素化n-ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリ-n-デシルアルミニウム、トリ-n-ドデシルアルミニウムである。一実施形態において、好ましい共触媒は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムおよび水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウムから選択され、最も好ましい共触媒は、トリエチルアルミニウムである。
【0117】
[00109]一実施形態において、共触媒は、式RnAlX3-n(式中、n=1または2であり、Rはアルキルであり、Xはハロゲン化物またはアルコキシドである)によって表されるヒドロカルビルアルミニウム化合物である。適当な化合物の非限定的な例は、以下の通り:メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ジエチルアルミニウムエトキシド、塩化ジイソブチルアルミニウム、テトラエチルジアルミノキサン、テトライソブチルジアルミノキサン、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、および塩化ジメチルアルミニウムである。
【0118】
[00110]一実施形態において、触媒組成物は、外部電子供与体を含む。本明細書で使用される場合、「外部電子供与体」は、プロ触媒形成とは独立して添加される化合物であり、1対の電子を金属原子に供与できる少なくとも1つの官能基を含有する。特定の理論によって結び付けられることなく、外部電子供与体は、触媒立体選択性を増強する(即ち、フォルマントポリマー中のキシレン可溶性材料を低減するため)と思われる。
【0119】
[00111]一実施形態において、外部電子供与体は、以下:アルコキシシラン、アミン、エーテル、カルボキシレート、ケトン、アミド、カルバメート、ホスフィン、ホスフェート、ホスファイト、スルホネート、スルホンおよび/またはスルホキシドの1種または複数から選択することができる。
【0120】
[00112]一実施形態において、外部電子供与体はアルコキシシランである。アルコキシシランは、一般式:SiRm(OR’)4-m(I)(式中、Rは、各出現において独立して、水素であるかまたは、1つもしくは複数の14族、15族、16族もしくは17族のヘテロ原子を含有する1個もしくは複数の置換基で任意に置換されていてよいヒドロカルビルもしくはアミノ基であり、前記R’は、水素およびハロゲンを数に入れずに最大20個の原子を含有し;R’はC1-4アルキル基であり;mは、0、1、2または3である)を有する。一実施形態において、Rは、C6-12アリール、アルキルもしくはアラルキル、C3-12シクロアルキル、C3-12分岐アルキル、またはC3-12環式もしくは非環式アミノ基であり、R’はC1-4アルキルであり、mは、1または2である。適当なシラン組成物の非限定的な例としては、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、エチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、シクロペンチルピロリジノジメトキシシラン、ビス(ピロリジノ)ジメトキシシラン、ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、およびジメチルジメトキシシランが挙げられる。一実施形態において、シラン組成物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシランまたはn-プロピルトリエトキシシラン、およびそのいずれかの組合せである。
【0121】
[00113]一実施形態において、外部供与体は、少なくとも2種のアルコキシシランの混合物であってよい。さらなる実施形態において、該混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシランおよびメチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランおよびテトラエトキシシラン、またはジシクロペンチルジメトキシシランおよびn-プロピルトリエトキシシランであってよい。
【0122】
[00114]一実施形態において、外部電子供与体は、以下:ベンゾエート、スクシネートおよび/またはジオールエステルの1種または複数から選択される。一実施形態において、外部電子供与体は2,2,6,6-テトラメチルピペリジンである。別の実施形態において、外部電子供与体はジエーテルである。
【0123】
[00115]一実施形態において、触媒組成物は、活性制限剤(ALA)を含む。本明細書で使用される場合、「活性制限剤」(「ALA」)は、高温(即ち、約85℃超の温度)で触媒活性を低減する材料である。ALAは、重合反応器の不具合を抑制またはそうでなければ防止し、重合方法の連続性を確実にする。典型的に、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、反応器温度が上がるにつれて増加する。チーグラー・ナッタ触媒は、その上典型的に、生成されたポリマーの融点温度近くで高い活性を維持する。発熱重合反応によって発生された熱は、ポリマー粒子に凝集体を形成させることがあり、最終的に、ポリマー生成プロセスのための連続性の途絶に至ることがある。ALAは、高温で触媒活性を低減し、それによって反応器の不具合を防止し、粒子凝集を低減(または防止)し、重合方法の連続性を確実にする。
【0124】
[00116]活性制限剤は、カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリ(アルケングリコール)、ポリ(アルケングリコール)エステル、ジオールエステル、およびその組合せであってよい。カルボン酸エステルは、脂肪族または芳香族のモノまたはポリカルボン酸エステルであってよい。適当なモノカルボン酸エステルの非限定的な例としては、安息香酸エチルおよび安息香酸メチル、エチルp-メトキシベンゾエート、メチルp-エトキシベンゾエート、エチルp-エトキシベンゾエート、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、酢酸エチル、酢酸オクチル、エチルp-クロロベンゾエート、ヘキシルp-アミノベンゾエート、ナフテン酸イソプロピル、n-アミルトルエート、エチルシクロヘキサノエート、吉草酸ペンチル、ならびにピバル酸プロピルが挙げられる。
【0125】
[00117]一実施形態において、外部電子供与体および/または活性制限剤は、別々に反応器に添加することができる。別の実施形態において、外部電子供与体および活性制限剤は、前もって一緒に混合し、次いで、混合物として反応器に添加することができる。該混合物において、1つより多い外部電子供与体または1つより多い活性制限剤が使用され得る。一実施形態において、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシランおよびミリスチン酸イソプロピル、ジシクロペンチルジメトキシシランおよびポリ(エチレングリコール)ラウレート、ジシクロペンチルジメトキシシランおよびミリスチン酸イソプロピルおよびポリ(エチレングリコール)ジオレエート、メチルシクロヘキシルジメトキシシランおよびミリスチン酸イソプロピル、n-プロピルトリメトキシシランおよびミリスチン酸イソプロピル、ジメチルジメトキシシランおよびメチルシクロヘキシルジメトキシシランおよびミリスチン酸イソプロピル、ジシクロペンチルジメトキシシランおよびn-プロピルトリエトキシシランおよびミリスチン酸イソプロピル、ならびにジシクロペンチルジメトキシシランおよびテトラエトキシシランおよびミリスチン酸イソプロピル、ならびにその組合せである。
【0126】
[00118]一実施形態において、触媒組成物は、前述の活性制限剤のいずれかとの組合せにおいて前述の外部電子供与体のいずれかを含む。
[00119]本開示によるオレフィン重合方法は、本発明のプロ触媒、共触媒を含み、および任意に外部電子供与体を含む触媒系の存在下で実施される。一般的に言えば、Rが水素であるかまたは1~12個の原子を有する炭化水素基であるオレフィンCH2=CHRは、適当な条件下で触媒系と接触されることで、ポリマー生成物を形成する。重合という用語は、本開示において使用される場合、異相コポリマーを発生させるために使用される場合のランダム共重合またはマルチステップ共重合などの共重合を含むことができる。該重合方法は、公知の技法、例えば、流動床もしくは撹拌床反応器における気相、希釈液として不活性炭化水素溶媒を使用するスラリー重合、または反応物および希釈液として液体モノマーを使用するスラリー重合に従って実施することができる。該重合方法は、組合せまたはハイブリッドプロセス、例えば、気相反応器に接続されたバルクプロピレン液体ループ反応器であってもよい。重合は、一般に、20℃から120℃、より好ましくは約50℃から90℃の温度で実施される。
【0127】
[00120]一実施形態において、触媒構成成分または触媒構成成分の一部は、重合反応器ゾーンに供給される前に予備接触される。予備接触ステップは、典型的に、重合反応器ゾーンよりも高い濃度および低い温度条件で行われる。別の実施形態において、プロ触媒は、別々に反応器に供給し、重合条件下で共触媒および外部電子供与体と接触させることができる。有機アルミニウム共触媒は、好ましくは、プロ触媒中のチタンのモルに対して約1~1000、好ましくは約100~600、より好ましくは約45~300のモル量で使用される。外部電子供与体は、好ましくは、有機アルミニウム共触媒のモルに対して約0.005~1.0、より好ましくは約0.01~0.5のモル量で使用される。高レベルの外部電子供与体で、キシレン可溶分によって測定される通りの、非晶質ポリプロピレンをさらに低減する能力は減退し、触媒活性が減少し得る。本開示のプロ触媒は、外部電子供与体を供給する収穫逓減点に達せられる前に、低いキシレン可溶レベルに達し得る。一部の場合において、1%以下の非常に低いXSが達成可能である。
【0128】
[00121]一実施形態において、予備的重合ステップ(プレポリ)は、主重合の前に行われる。別の実施形態において、主重合は、プレポリステップなく実施される。プレポリが使用される場合、それはバッチ式で行われ、プレポリ触媒は引き続いて重合方法に供給され得る。代替として、該触媒は連続的重合方法に供給され、プレポリステップは方法の一部として行われ得る。プレポリ温度は、好ましくは、-20から+100℃、より好ましくは-20℃から+80℃、最も好ましくは0℃から+40℃の範囲である。プレポリステップを行うことによって、触媒活性、立体選択性、粒子断片化、および結果として得られたポリマーモルフォロジーを改善することが可能である。
【0129】
[00122]水素は、典型的に、ポリマー分子量を制御するための連鎖移動剤として添加される。異なる重合方法は、より低いポリマー分子量に添加され得る水素の量に異なる限度を有する。本開示のプロ触媒は、水素への増加された感受性を有し、したがって、該方法の分子量制御能を改善し、生成され得るポリマーの種類を拡大する。
【0130】
[00123]以下の実施例は、本発明を限定することなく例示するために示される。
特徴付け
[00124]ASTM D 1238-01試験方法に従って230°で2.16kgの重量を用いて、溶融流量をプロピレンベースのポリマーについて測定した。Polymer CharによるCrystex自動化機器を使用して、キシレン可溶分(XS)を測定した。ASTM D 5492-10試験方法によってXSについて分析されたポリプロピレンホモポリマー試料を用いて、Crystexを較正した。ZiechnerおよびPatel、(1981)「A Comprehensive Study of Polypropylene Melt Rheology」Proc.Of the 2nd World Congress of Chemical Eng.、Montreal、Canadaの方法を使用する、180℃で作動されるTA InstrumentsからのRheometrics800円錐およびプレートレオメーターを使用して、多分散性指数(PDI)を測定した。この方法において、クロスオーバー係数が決定され、PDIが(パスカルにおける)100,000/クロスオーバー係数として定義される。
【実施例】
【0131】
実施例1
[00125]球状のMgCl2前駆体調製は前に記載されている(US5468698を参照されたい)。58ミクロン(Malvern d50)の平均粒径を有する試料をプロ触媒合成に使用した。
【0132】
[00126]プロ触媒調製:MgCl2前駆体(20g)およびオクタン(70mL)を1Lのジャケット付きガラス反応器にオーバーヘッド撹拌しながら添加し、混合物を-20℃に冷却した。TiCl4(-20℃に予冷された340g)を添加し、温度を20℃に1.5時間の期間をかけて増加した。オクタン(5mL)中の4,4-ビス(メトキシメチル)-2,6ジメチルヘプタン(「DE1」、1.8g)の溶液を、マイクロカニューレによって添加した。添加を完了した後、反応器温度を0.89℃/分の速度で100℃に増加させた。温度傾斜中、トルエン(25mL)中の3-メチル-5-tert-ブチル-1,2フェニレンジベンゾエート(「CDB」、2.5g)の溶液を、0.428mL/分の速度でシリンジポンプによって計量した。100℃に達した後、撹拌を1時間続けた後に、触媒固体を沈降させ、上澄みをデカントした。予備加熱されたTiCl4(340g)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した後に、沈降およびデカントステップを繰り返した。TiCl4処理を120℃において0.5時間繰り返し、次いで、反応器を80℃に冷却した。触媒固体をヘプタンにて80℃で(3×200mL)および25℃で(2×200mL)洗浄した。最終のヘプタン洗浄後、触媒を真空下にて40℃で4時間、自由流動性粉末に乾燥させた。収量:7.2g(3.5%のTi、9.2%のDE1、10.1%のCDB)
実施例2
[00127]2.25gのDE1および1.1gのCDBを使用したことを除いて、実施例1に記載されている通りに、プロ触媒組成物を調製した。収量:7.9g(3.4%のTi、14.3%のDE1、4.8%のCDB)
実施例3
[00128]DE1の代わりに第1の供与体として、トルエン(20mL)中の9,9-ビス(メトキシメチル)-9H-フルオレン(「DE2」、2.2g)の溶液を使用したことを除いて、実施例1に記載されている通りに、プロ触媒を調製した。収量:9.8g(3.8%のTi、11.2%のDE2、9.3%のCDB)。
【0133】
比較例1
[00129]プロ触媒調製:スプレー結晶化されたMgCl2担体(1.90kg)およびヘプタン(4.67kg)を、50Lのかき混ぜられたジャケット付き金属反応器に添加し、混合物を-20℃に冷却した。TiCl4(-20℃に予冷された32.8kg)を480分かけて添加した。温度を20℃に2.0時間の期間をかけて傾斜させた。次いで、エチルベンゾエート(0.143kg)を添加した。添加を完了した後、反応器温度を直線的に100℃に150分かけて増加させた。温度傾斜中、トルエン(2.47kg)中のCDB(0.370kg)の溶液を、反応器に0.0247kg/分の速度で計量した。100℃に達した後、撹拌を30分間続けた後に、触媒固体を沈降させ、上澄みをデカントした。予備加熱されたTiCl4(100℃、32.8kg)を添加し、トルエン(1.24kg)中のCDB(0.185kg)の溶液を添加し、混合物を30分間100℃で撹拌した後に、沈降およびデカントステップを繰り返した。供与体の添加を用いないTiCl4処理を120℃において15分間繰り返し、次いで、反応器を95℃に15分かけて冷却した。次いで、固体を沈降させ、上澄みをデカントした。触媒固体をヘプタンにて80℃で(3×13.0kg)および25℃で(2×13.0kg)洗浄した。最終のヘプタン洗浄後、触媒を25℃で出発する真空下で乾燥させ、40℃で終了することで、自由流動性粉末を生成した。収量:1.25kg(3.7wt%のTi、10.8wt%のCDB)。
【0134】
比較例2
[00130]プロ触媒調製:スプレー結晶化されたMgCl2担体(20g)およびオクタン(70mL)を、1Lのジャケット付きガラス反応器にオーバーヘッド撹拌しながら添加し、混合物を-20℃に冷却した。TiCl4(-20℃に予冷された340g)を添加し、温度を20℃に1.5時間の期間をかけて増加させた。オクタン(7mL)中のDE1(2.5g)の溶液をマイクロカニューレによって添加した。添加を完了した後、反応器温度を110℃に1.0℃/分の速度で増加させた。110℃に達した後、撹拌を1時間続けた後に、触媒固体を沈降させ、上澄みをデカントした。予備加熱されたTiCl4(340g)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した後に、沈降およびデカントステップを繰り返した。TiCl4処理を0.5時間の間に2回繰り返し、次いで、反応器を80℃に冷却した。触媒固体をヘプタンにて80℃で(3×200mL)および25℃で(2×200mL)洗浄した。最終のヘプタン洗浄後、触媒を真空下にて40℃で4時間、自由流動性粉末に乾燥させた。収量:9.0g(4.1%のTi、13.9%のDE1)。
【0135】
比較例3
[00131]内部供与体としてフタル酸ジイソブチルを用いる市販の触媒を使用した。
実施例4
[00132]プロ触媒を液体ポリプロピレン重合において70℃で使用した:15mLのヘプタン中にて2.23mmolのトリエチルアルミニウムおよび0.15mmolのジシクロペンチルジメトキシシラン(DCDMS)を混合することによって、共触媒溶液を調製した。乾燥した2Lのステンレス鋼オートクレーブ反応器に、20℃で、300mLの液体プロピレンを添加した。次いで、プロピレンを約5psigの反応器圧力まで放出し、188mmolの水素を添加した。共触媒溶液の一部(6mL)を反応器に600mLのプロピレンとともに添加し、撹拌を500rpmで開始した。残りの共触媒溶液をプロ触媒と5分間接触させ、反応器に450mLのプロピレンとともに投入した。反応器を10分で70℃に加熱し、重合を1時間続けた。攪拌機を止め、過剰のモノマーを20℃に冷却しながら放出し;反応器を5分間アルゴンでパージした。反応器の底を落とし、ポリマーを除去した。ポリマーを真空オーブン内にて50℃で乾燥させた後に、秤量および分析した。結果は、表1にまとめられている。
【0136】
実施例5
[00133]0.15mmolのシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMS)を外部供与体として使用し、水素投入が63mmolであったことを除き、実施例5に記載されている通りに、プロピレン重合において、プロ触媒を使用した。結果は、表2に要約されている。
【0137】
【0138】
【0139】
[00134]本発明のこれらのおよび他の修飾および変動は、添付の特許請求の範囲におい
てより具体的に説明される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者によって
実践することができる。加えて、各種実施形態の態様は、全部または一部においての両方
で交換することができることが理解されるべきである。さらに、当業者は、前述の説明が
例としてのみであるとともにこうした添付の特許請求の範囲にさらに記載されている通り
の本発明を限定すると意図されないことを理解されよう。
[発明の態様]
[1]
マグネシウム部分、チタン部分、および混合内部電子供与体の組合せを含む、プロピレンの立体選択的重合のためのプロ触媒組成物であって、混合内部電子供与体が、少なくとも第1の内部電子供与体および第2の内部電子供与体を含み、第1の内部電子供与体が、非フタレートおよび非スクシネート内部電子供与体を含み、第2の内部電子供与体が、ポリエーテル化合物を含む、プロ触媒組成物。
[2]
第2の内部電子供与体が1,3-ジエーテルを含む、1に記載のプロ触媒組成物。
[3]
第1の内部電子供与体と第2の内部電子供与体が、約10:1から約1:10、例えば約5:1から約1:5のモル比で組成物中に存在する、1または2に記載のプロ触媒組成物。
[4]
第2の内部電子供与体が、以下の構造:
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4は同じまたは異なり、メチル、C
2~C
18直鎖または分岐アルキル、C
3~C
18シクロアルキル、C
4~C
18シクロアルキル-アルキル、C
4~C
18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C
7~C
18アリールアルキル、C
7~C
18アルキルアリール基を含み;R
1、R
2または両方が、任意選択により水素原子である)
を有する、1から3のいずれかに記載のプロ触媒組成物。
[5]
第2の内部電子供与体が、以下の構造:
【化2】
(式中、R
1~R
6は同じまたは異なり、メチル、C
2~C
18直鎖もしくは分岐アルキル、C
3~C
18シクロアルキル、C
4~C
18シクロアルキル-アルキル、C
4~C
18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C
7~C
18アリールアルキル、またはC
7~C
18アルキルアリール基を含み、R
1~R
4は、任意選択により水素原子であるか、または組み合わさって、N、OもしくはSヘテロ原子を任意選択により含有する1つもしくは複数のC
5~C
7縮合芳香族もしくは非芳香族環構造を形成する)
を有する、1から3のいずれかに記載のプロ触媒組成物。
[6]
第2の内部電子供与体が、ビス(メトキシメチル)アルカンを含む、1から5のいずれかに記載のプロ触媒組成物。
[7]
第2の内部電子供与体が、置換ビス(メトキシメチル)シクロペンタジエンを含む、1から3のいずれかに記載のプロ触媒組成物。
[8]
第2の内部電子供与体が、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを含む、1から3のいずれかに記載のプロ触媒組成物。
[9]
第2の内部電子供与体が、4,4-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタンを含む、1から3のいずれかに記載のプロ触媒組成物。
[10]
組み合わされたマグネシウム部分、チタン部分、および混合内部電子供与体が、実質的に球形状の粒子を形成する、1に記載のプロ触媒組成物。
[11]
マグネシウム部分が、マグネシウムベースの球状担体を含む、1に記載のプロ触媒組成物。
[12]
第1の内部電子供与体が、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む、1から11のいずれかに記載のプロ触媒組成物。
[13]
置換フェニレン芳香族ジエステルが、以下の構造:
【化3】
(式中、R
1~R
4は同じまたは異なり、R
1~R
4の各々は、水素、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、6個から20個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せからなる群から選択され、R
1~R
4の少なくとも1つは水素でなく;
R
1~R
4の少なくとも1つまたは2つ、または3つ、または4つのR基は、1個から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、6個から20個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびその組合せから選択され、E
1およびE
2は同じまたは異なり、1個から20個の炭素原子を有するアルキル、1個から20個の炭素原子を有する置換アルキル、1個から20個の炭素原子を有するアリール、1個から20個の炭素原子を有する置換アリール、または1個から20個の炭素原子を有するヘテロ原子含有官能基からなる群から選択される)
を有する、12に記載のプロ触媒組成物。
[14]
プロピレンポリマーの重合のための触媒系であって、1から13のいずれかに記載のプロ触媒組成物;および共触媒を含む、触媒系。
[15]
外部電子供与体をさらに含む、14に記載の触媒系。
[16]
活性制限剤をさらに含む、14または15に記載の触媒系。
[17]
チーグラー・ナッタプロ触媒組成物、共触媒組成物、および任意選択により外部電子供与体化合物を含む触媒組成物の存在下でオレフィンを重合するステップを含む重合方法であって、プロ触媒組成物が、遷移金属化合物ならびに少なくとも第1の内部電子供与体および第2の内部電子供与体を含む内部電子供与体の混合物から形成され、第1の内部電子供与体が、非フタレートおよび非スクシネート内部電子供与体を含み、第1の内部電子供与体が、フェニレンジカルボン酸エステルを含み、第2の内部電子供与体が、ポリエーテル化合物を含む、重合方法。
[18]
ポリプロピレンポリマーを生成する、17に記載の方法。
[19]
第2の内部電子供与体が、以下の構造:
【化4】
(式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は同じまたは異なり、メチル、C
2~C
18直鎖もしくは分岐アルキル、C
3~C
18シクロアルキル、C
4~C
18シクロアルキル-アルキル、C
4~C
18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C
7~C
18アリールアルキル、またはC
7~C
18アルキルアリール基を含み、R
1、R
2または両方は、任意選択により水素原子である)
を含む、17に記載の方法。
[20]
第2の内部電子供与体が、以下の構造:
【化5】
(式中、R
1~R
6は同じまたは異なり、メチル、C
2~C
18直鎖もしくは分岐アルキル、C
3~C
18シクロアルキル、C
4~C
18シクロアルキル-アルキル、C
4~C
18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C
7~C
18アリールアルキル、またはC
7~C
18アルキルアリール基を含み、R
1~R
4は、任意選択により水素原子であるか、または組み合わさって、N、OもしくはSヘテロ原子を任意選択により含有する1つもしくは複数のC
5~C
7縮合芳香族もしくは非芳香族環構造を形成する)
を含む、17に記載の方法。
[21]
オレフィンが、プロピレンおよびエチレンコポリマーを形成するためにプロピレンおよびエチレンを含む、17から20のいずれかに記載の方法。
[22]
第2の内部電子供与体が1,3ジエーテルを含む、17に記載の方法。
[23]
第2の内部電子供与体がビス(メトキシメチル)アルカンを含む、17または18に記載の方法。
[24]
第2の内部電子供与体が置換ビス(メトキシメチル)シクロペンタジエンを含む、17または18に記載の方法。
[25]
第2の内部電子供与体が9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを含む、17または18に記載の方法。
[26]
第2の内部電子供与体が4,4-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタンを含む、17または18に記載の方法。
[27]
組み合わされたマグネシウム部分、チタン部分、および混合内部電子供与体が、実質的に球形状の粒子を形成する、17から21のいずれかに記載の方法。
[28]
マグネシウム部分が、マグネシウムベースの球状担体を含む、17から21のいずれかに記載の方法。
[29]
第1の内部電子供与体が置換フェニレン芳香族ジエステルを含む、17から21のいずれかに記載の方法。
[30]
触媒組成物が重合方法中に増加された活性を有するように、第2の内部電子供与体が第1の内部電子供与体に対して存在する、17から29のいずれかに記載の方法。