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特許7113834経皮ドラッグデリバリーデバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】経皮ドラッグデリバリーデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20220729BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
A61M37/00
A61M5/142 530
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2019543292
(86)(22)【出願日】2018-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 US2018018047
(87)【国際公開番号】W WO2018148746
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/458,325
(32)【優先日】2017-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517263734
【氏名又は名称】クロノ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHRONO THERAPEUTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】バックマン,ダニエラ,テイマー
(72)【発明者】
【氏名】トング,リン-カン
(72)【発明者】
【氏名】ライト,マイケル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン,アダム,ブレイク
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0220798(US,A1)
【文献】特表2009-520570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142-5/145
A61M 35/00
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤デリバリーシステムであって、
製剤を内部に保持するように構成されたリザーバチャンバーと、
流体連通路を介してリザーバチャンバーと流体連通し、前記リザーバチャンバーからの製剤の一部分を保持するように構成されたボーラスチャンバーと、
前記リザーバチャンバー内で動いて前記リザーバチャンバーからの製剤を前記ボーラスチャンバーに放出するように構成されたリザーバチャンバーピストンと、
前記ボーラスチャンバー内で動いて前記ボーラスチャンバーからの製剤を患者に放出するように構成されたボーラスチャンバーピストンと、
を備えたカートリッジと、
前記カートリッジと係合するように構成された制御ユニットであって、前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンを作動させるように構成された制御部を含む制御ユニットと、
前記リザーバチャンバーピストンと前記リザーバチャンバーの間の、又は前記ボーラスチャンバーピストンと前記ボーラスチャンバーの間の第1の固着を解除するように構成されたピストン固着解除要素と、
を備えた製剤デリバリーシステム。
【請求項2】
前記ピストン固着解除要素は、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合するにつれて、前記ピストン固着解除要素が前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンに力を印加して前記第1の固着を解除するように構成されている、請求項1に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項3】
前記流体連通路は、前記ピストン固着解除要素が前記第1の固着を解除する為に前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンに力を印加した場合に、前記力が、前記製剤を通して、前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンのうち他方に伝達されて第2の固着を解除するように構成されている、請求項2に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項4】
前記リザーバチャンバーピストン及び前記ボーラスチャンバーピストンは両方とも、前記第1と第2の固着が解除された場合に距離d分移動する、請求項3に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項5】
前記距離dは0.5mm~2.5mmの間である、請求項4に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項6】
前記制御ユニットは更に第1のシャフトと第1のばねを含み、前記第1のばねは、前記第1のシャフトに、前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンを動かす力を提供するように構成される、請求項1に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項7】
前記ピストン固着解除要素は前記第1のシャフト上の延長部であり、前記延長部は、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合するにつれ前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンを押して前記第1の固着を解除するように構成されている、請求項6に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項8】
前記制御ユニットは内部に当り止めを含み、前記当り止めは、前記制御ユニットと前記カートリッジが係合するにつれ前記第1のばね又は前記第1のシャフトと係合して前記第1のばねと前記第1のシャフトの遠位方向への運動を防止し、前記延長部が前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンを押すことを可能にするように構成されている、請求項7に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項9】
前記延長部は、前記延長部が前記リザーバチャンバーピストンを押すように構成されている、請求項7に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項10】
更に前記制御ユニット内に第2のシャフトと第2のばねを備え、前記第2のシャフトは、前記第2のシャフトに前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンのうち他方を動かす為の力を提供するように構成されている、請求項6に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項11】
前記第1のばねは、第1の固着を解除する為に15N以下の力を提供するように構成されている、請求項6に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項12】
前記ピストン固着解除要素は、前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンと係合するように構成されたタブである、請求項1に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項13】
前記タブは離脱タブである、請求項12に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項14】
前記離脱タブは、前記離脱タブを解除する為に印加された力が、前記第1の固着も解除するように構成されている、請求項13に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項15】
前記タブは、一対のカートリッジのパッケージングに装着されるか、又はその一部であり、前記パッケージングを取り除くことは、前記タブに前記第1の固着を解除させる、請求項12に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項16】
前記ピストン固着解除要素はばねシステムの一部であり、前記ばねシステムは、第2のばねより高い剛性を有する第1のばねを含み、前記第1のばねは、前記ボーラスチャンバーピストン又は前記リザーバチャンバーピストンに前記第1の固着を解除する為の力を提供するように構成されている、請求項1に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項17】
前記第1のばねは第1の部分と第2の部分を含み、前記第1の部分は前記第2の部分よりも高い剛性を有する、請求項6に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項18】
前記ピストン固着解除要素は、前記カートリッジから延出するロッドであり、前記ロッドは、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合するにつれて前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンを押すように構成されている、請求項1に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項19】
前記製剤デリバリーシステムは経皮ドラッグデリバリーシステムであり、前記システムがさらに、前記ボーラスチャンバーと流体接続する経皮膜を備えている、請求項1に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項20】
前記ボーラスチャンバーと前記リザーバチャンバーの間の第1の流体連通路を形成する第1の位置と、前記ボーラスチャンバーと前記経皮膜の間の第2の流体連通路を形成する第2の位置とを有する制御弁を更に備えた請求項19に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項21】
前記ボーラスチャンバーピストン又は前記リザーバチャンバーピストンの移動を開始させる為に必要な総力は、2Nから15Nの間である、請求項1に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項22】
製剤デリバリーシステムであって、
製剤を内部に保持するように構成されたリザーバチャンバーと、
リザーバチャンバー内で動いてリザーバチャンバーからの製剤を放出するように構成されたリザーバチャンバーピストンと、
を備えたカートリッジと、
前記カートリッジと係合するように構成された制御ユニットを備え、前記制御ユニットが、
シャフトと、
前記シャフトに、前記リザーバチャンバーピストンを移動させる力を提供するように構成されたばねと、
前記ばねを作動させるように構成された制御部と、を備えており、更に、
前記リザーバチャンバーピストンと前記リザーバチャンバーの間の第1の固着を解除するように構成されたピストン固着解除要素と、を備えている製剤デリバリーシステム。
【請求項23】
更に、流体連通路を介して前記リザーバチャンバーと流体連通しているボーラスチャンバーを備え、前記ボーラスチャンバーは、前記リザーバチャンバーからの製剤の一部分を保持するように構成されている、請求項22に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項24】
更に、前記ボーラスチャンバー内で動いて前記ボーラスチャンバーからの製剤を患者に放出するように構成されたボーラスチャンバーピストンを備えている、請求項23に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項25】
前記流体連通路は、前記ピストン固着解除要素が前記リザーバチャンバーピストンに力を印加して固着を解除した場合に、前記力が、前記製剤を通して前記ボーラスチャンバーピストンに伝達されて、前記ボーラスチャンバーピストンと前記ボーラスチャンバーの間の第2の固着を解除するように構成されている、請求項24に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項26】
前記リザーバチャンバーピストン及び前記ボーラスチャンバーピストンは両方とも、前記第1と第2の固着が解除された場合に距離d分移動する、請求項25に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項27】
前記距離dは0.5mm~2.5mmの間である、請求項26に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項28】
前記ピストン固着解除要素は、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合するにつれて、前記ピストン固着解除要素が、前記リザーバチャンバーピストンに力を印加して前記第1の固着を解除するように構成されている請求項22に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項29】
前記ピストン固着解除要素は前記シャフト上の延長部であり、前記延長部は、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合したときに前記リザーバチャンバーピストンを押して前記第1の固着を解除するように構成されている、請求項22に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項30】
前記制御ユニットは内部に当り止めを含み、前記当り止めは、前記制御ユニットと前記カートリッジが係合するにつれ前記ばね又は前記シャフトと係合して前記ばねと前記シャフトの遠位方向への運動を防止し、前記延長部が前記リザーバチャンバーピストンを押すことを可能にするように構成されている、請求項29に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項31】
前記ばねは、第1の固着を解除する為に15N以下の力を提供するように構成されている、請求項22に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項32】
前記ピストン固着解除要素は、前記リザーバチャンバーピストンと係合するように構成されたタブである、請求項22に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項33】
前記タブは離脱タブである、請求項32に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項34】
前記離脱タブは、前記離脱タブを解除する為に印加された力が、前記第1の固着も解除するように構成されている、請求項33に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項35】
前記タブは、一対のカートリッジのパッケージングに装着され、前記パッケージングを取り除くことは、前記タブに第1の固着を解除させる、請求項32に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項36】
前記ピストン固着解除要素はばねの一部であり、前記ばねは第1の部分と第2の部分を含み、前記第1の部分は、第2のばねより高い剛性を有する、請求項22に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項37】
前記ピストン固着解除要素は、前記カートリッジから延出するロッドであり、前記ロッドは、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合するにつれて前記リザーバチャンバーピストンを押すように構成されている、請求項22に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項38】
前記製剤デリバリーシステムは経皮ドラッグデリバリーシステムであり、前記システムがさらに、前記リザーバチャンバーと流体接続する経皮膜を備えている、請求項22に記載の製剤デリバリーシステム。
【請求項39】
前記リザーバチャンバーピストンの移動を開始させる為に必要な総力は、2Nから15Nの間である、請求項22に記載の製剤デリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本明細書に全体を参照により組み込む、「経皮ドラッグデリバリーデバイス及び方法(TRANSDERMAL DRUG DELIVERY DEVICES AND METHODS)」というタイトルの、2017年2月13日に出願された米国仮特許出願第62/458,325号の優先権を主張する。
【0002】
参照による援用
本明細書で言及される全ての公報及び特許出願は、恰も個々の公報又は特許出願が特定的且つ個々に、参照により援用されると示されたのと同程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本特許出願は一般に、ユーザに生物活性剤を提供する為のデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
医薬品は、糖尿病、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎等の医学的状態又は疾病を防止又は治療する、或いは、ニコチン又は他の中毒若しくは依存症に対処する、又は痛みに対処する等の種々の理由で人々の健康状態を管理又は改善する為に人々に与えられる。
【0005】
一部の医薬品は身体によって急速に代謝される。従って、多くの場合、所望の効果を提供する為に、所定期間に亘り薬剤の複数回投与が必要である。所望の予防的又は治療的効果を有することに加えて、医薬品は、刺激から致死的状態までの幅があり得る身体への副作用も有し得る。人体は、薬剤を一定期間服用した後では薬剤に対する耐性を発現し、その薬剤に対する反応の減少を経験し、効果を得る為により多い用量を必要とし、結果として薬剤使用が増加し付加的な副作用をもたらす。副作用にも拘らず、全体としては薬剤は害よりは益をもたらす為、一般に人は医薬品を服用する。しかしながら、薬剤を服用する人にとって、薬剤からの所望の治療効果を依然として得ながら、耐性及びその他の望ましくない副作用を防止又は極減する為に、薬剤の摂取量を極減することは有益である。
【0006】
喫煙等の煙草の使用は深刻な健康障害を引き起こし、早期死亡を招く可能性がある。米国疾病管理予防センター(United States Center for Disease Control、CDC)によれば、煙草の使用は、年間5百万人を超える死亡を引き起こすと共に、癌、糖尿病、心臓疾病、肺疾病(気管支炎、慢性気道解除、肺気腫)及び脳卒中等の深刻な病気の進行に寄与している。反喫煙広告キャンペーン、法律制定、課税及び、人々が煙草を使用することを停止又は防止する為の禁煙製品の開発にも拘らず、煙草の販売は依然として数十億ドルの産業であり続け、年間推定350億ドルの利益を生み出している。更に、煙草がニコチンを含有する為、人が煙草の使用を止めることは難しい。ニコチンには高度の中毒性があり、ニコチンを摂取しないことは苛酷な禁断症状を引き起こす。人がニコチン中毒を克服して喫煙を止めることは非常に困難である。
【0007】
医薬品は煙草のユーザによって、彼等のニコチン中毒を克服し煙草の使用を止めるよう補助する為に服用され得る。人が喫煙を止めることを補助する幾つかの製品は、禁断症状を極減する為に医薬品として少量のニコチンを含有し、人をニコチン中毒から徐々に遮断させる。ニコチン等の薬用禁煙薬剤は、身体に、ニコチンが少ない状態に適応する為の時間を与える為に長期間に亘り服用されなければならない(多くの場合、何ヶ月にも亘り)。禁煙製品を含む医薬品、医療機器及びその他の製品は、米国では米国医薬食品局(U.S. Food and Drug Administration(FDA))によって規制されている。人が喫煙を止めるのを補助する市販のFDA承認製品は、医者の処方箋が必要な種々の医薬品並びに市販薬を含む。これらの医薬品はカプセル又はタブレット、ガム、吸入器、トローチ、鼻内噴霧、肌パッチを含む。従ってこれらの製品はこれまで、人が喫煙を止める為には不適切であり続け、成人の紙巻煙草喫煙者の68.9%は、喫煙を止めたいと言い、毎年42.7%程度が喫煙を止めようと試みるが成功していない。
【0008】
既存の禁煙製品及び健康問題に関するその他の治療及び予防治療は、種々の問題に見舞われている。それらは不便であるか又は使用するには社会的に違和感があり得る。それらは、何時使われたか、又、過剰投与を防止する為に、どの程度の量が使用されたかに関する入念且つ面倒な追跡が必要であり得る。それらは投与後に効くのが遅過ぎることがあり、必要な時に所望の効果をもたらさない。それらは必要な時に(人の睡眠中等)簡単に利用できる訳ではないことがある。それらは何れも、種々の医学的又はその他の状態を予防又は治療するのに完全に有効ではなかった。例えば、喫煙は、重大な健康上の、及び社会的な問題であり続けている。
【0009】
更に、禁煙デリバリーシステム等の一部のドラッグデリバリーシステムでは、薬剤を患者に送達する為に、ピストンを用いてその内部に収容された薬剤に力を及ぼすことができる。しかしながら、多くの場合、特に、デリバリーシステムが倉庫又は棚に長時間留まっている場合、ピストン(複数可)は詰まって動きにくくなり得る。この現象は固着(striction)と呼ばれ得る。固着は、場合によっては、デバイスが保管場所で費やす時間と共に増加する可能性がある。従って、ピストンと、ピストンが収まっているチャンバーとの間(例えば、ピストンと、調剤を保持するリザーバチャンバーの間)の固着を解除する為に、多くの場合ピストンに力を印加することが必要となる。保管状態及び投与/ボーラスチャンバー又は薬剤リザーバチャンバー内の溶液によって、固着を解除する為に必要な力は非常に大きくなり得る。更に、システムが、ピストンと係合するばねのうち1つに頼って固着を解除する場合、要求されるばねの剛性は非常に大きくなり得る。より高剛性のばねを使用することは、デバイスのサイズ、デバイスのコスト、デバイスを組み立てる為にユーザが及ぼさなければならない力を不必要に増加させる可能性があり、より望ましくないユーザ経験をもたらす。更に、固着が解除された後で、ばねからピストン(複数可)を動かす為に必要な力は、固着を解除する為に必要な力よりも格段に低く、その結果、通常使用中には大き過ぎるばね及び/又は力をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
必要とされるのは、これらの欠点のうち幾つかを克服する、禁煙補助薬等の、薬剤及びその他の生物活性剤を送達する為の新規且つ改善されたシステム、デバイス及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は一般に、生物活性剤を送達する為のシステム及び生物活性剤を送達するシステムの使用方法に関する。
【0012】
一般に、一実施形態では、製剤デリバリーシステムは、カートリッジと、制御ユニットと、固着解除要素を含む。カートリッジは、リザーバチャンバーと、ボーラスチャンバーと、リザーバチャンバーピストンとボーラスチャンバーピストンを含む。リザーバチャンバーは、内部に製剤を保持するように構成されている。ボーラスチャンバーは、流体連通路を介してリザーバチャンバーと流体連通し、リザーバチャンバーからの製剤の一部を保持するように構成されている。リザーバチャンバーピストンは、リザーバチャンバー内で動いて、リザーバチャンバーからの製剤をボーラスチャンバーに放出するように構成される。ボーラスチャンバーピストンは、ボーラスチャンバー内で動いて、ボーラスチャンバーからの製剤を患者に放出するように構成される。制御ユニットは、カートリッジと係合するように構成され、リザーバチャンバーピストン又はボーラスチャンバーピストンを作動させるように構成された制御部を含む。ピストン固着解除要素は、リザーバチャンバーピストンとリザーバチャンバーの間の、又はボーラスチャンバーピストンとボーラスチャンバーの間の第1の固着を解除するように構成されている。
【0013】
この実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。ピストン固着解除要素は、カートリッジと制御ユニットが係合するにつれて、ピストン固着解除要素がリザーバチャンバーピストン又はボーラスチャンバーピストンに力を印加して第1の固着を解除するように構成され得る。流体連通路は、ピストン固着解除要素がリザーバチャンバーピストン又はボーラスチャンバーピストンに力を印加して第1の固着を解除する場合に、力が製剤を通してリザーバチャンバーピストン又はボーラスチャンバーピストンのうち他方に伝達されて第2の固着を解除するように構成され得る。リザーバチャンバーピストンとボーラスチャンバーピストンは両方とも、第1と第2の固着が解除された時に距離d分移動する。距離dは約0.5mm~2.5mmの間であり得る。制御ユニットは更に、第1のシャフトと第1のばねを含んでよく、第1のばねは第1のシャフトに力を提供してリザーバチャンバーピストン又はボーラスチャンバーピストンを移動させるように構成され得る。ピストン固着解除要素は第1のシャフト上の延長部であってよく、延長部は、カートリッジと制御ユニットが係合するにつれて、リザーバチャンバーピストン又はボーラスチャンバーピストンを押して第1の固着を解除するように構成され得る。制御ユニットは、内部に当り止めを含んでよく、当り止めは、制御ユニットとカートリッジが係合するにつれ、第1のばね又は第1のシャフトを係合して、第1のばねと第1のシャフトの遠位への移動を防止し、延長部がリザーバチャンバーピストン又はボーラスチャンバーピストンを押すことを可能にするように構成され得る。延長部は、延長部がリザーバチャンバーピストンを押すように構成され得る。第1のばねは、第1の固着を解除する為に約15N以下の力を提供するように構成され得る。ピストン固着解除要素は、リザーバチャンバーピストン又はボーラスチャンバーピストンと係合するように構成されたタブであり得る。タブは離脱タブであり得る。離脱タブは、離脱タブを離脱する為に印加された力が、第1の固着も解除するように構成され得る。タブはカートリッジのパッケージングに装着されても、又はカートリッジのパッケージングの一部であってもよく、パッケージングを取り除くとタブに第1の固着を解除させることができる。ピストン固着解除要素は、ばねシステムの一部であってよく、ばねシステムは、第2のばねより高い剛性を有する第1のばねを含み得る。第1のばねは、ボーラスチャンバーピストン又はリザーバチャンバーピストンに、第1の固着を解除する為の力を提供するように構成され得る。第1のばねは第1の部分と第2の部分を含んでよく、第1の部分は第2の部分より高い剛性を有し得る。ピストン固着解除要素は、カートリッジから延出するロッドであってよく、ロッドは、カートリッジと制御ユニットが係合するにつれて、リザーバチャンバーピストン又はボーラスチャンバーピストンを押すように構成され得る。ドラッグデリバリーシステムは、ボーラスチャンバーと流体接続する経皮膜を含む経皮ドラッグデリバリーシステムであってよい。製剤デリバリーシステムは更に、ボーラスチャンバーとリザーバチャンバーの間の第1の流体連通路を形成する第1の位置と、ボーラスチャンバーと経皮膜の間の第2の流体連通路を形成する第2の位置とを備えた制御弁を含み得る。ボーラスチャンバーピストン又はリザーバチャンバーピストンの移動を開始させる為に必要な総力は約2N~15Nの間であり得る。
【0014】
一般に、一実施形態では、製剤デリバリーシステムは、カートリッジと、制御ユニットと、ピストン固着解除要素を含む。カートリッジは、製剤を内部に保持するように構成されたリザーバチャンバーと、リザーバチャンバー内で動いてリザーバチャンバーからの製剤を放出するように構成されたリザーバチャンバーピストンを含む。制御ユニットは、カートリッジと係合するように構成され、シャフトと、ばねと、ばねを作動させるように構成された制御部とを含む。ばねは、リザーバチャンバーピストンを動かす為にシャフトに力を提供するように構成されている。ピストン固着解除要素は、リザーバチャンバーピストンとリザーバチャンバーの間の第1の固着を解除するように構成されている。
【0015】
この実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。製剤デリバリーシステムは更に、流体連通路を介してリザーバチャンバーと流体連通しているボーラスチャンバーを含み得る。ボーラスチャンバーは、リザーバチャンバーからの製剤の一部分を保持するように構成され得る。製剤デリバリーシステムは更に、ボーラスチャンバー内で動いてボーラスチャンバーからの製剤を患者に放出するように構成されたボーラスチャンバーピストンを含み得る。流体連通路は、ピストン固着解除要素がリザーバチャンバーピストンに力を印加して固着を解除する場合に、力が製剤を通してボーラスチャンバーピストンに伝達されて、ボーラスチャンバーピストンとボーラスチャンバーの間の第2の固着を解除するように構成され得る。リザーバチャンバーピストンとボーラスチャンバーピストンは両方とも、第1と第2の固着が解除された時に距離d分移動する。距離dは約0.5mm~2.5mmの間であり得る。ピストン固着解除要素は、カートリッジと制御ユニットが係合するにつれて、ピストン固着解除要素が、第1の固着を解除する為にリザーバチャンバーピストンに力を印加するように構成され得る。ピストン固着解除要素はシャフト上の延長部であってよく、延長部は、カートリッジと制御ユニットが係合するにつれリザーバチャンバーピストンを押して第1の固着を解除するように構成され得る。制御ユニットは、内部に当り止めを含んでよく、当り止めは、制御ユニットとカートリッジが係合するにつれ、ばね又はシャフトと係合してばね及びシャフトの遠位への移動を防止し、延長部がリザーバチャンバーピストンを押すことを可能にするように構成され得る。ばねは、第1の固着を解除する為に約15N以下の力を提供するように構成され得る。ピストン固着解除要素は、リザーバチャンバーピストンと係合するように構成されたタブであり得る。タブは離脱タブであり得る。離脱タブは、離脱タブを離脱する為に印加された力が、第1の固着も解除するように構成され得る。タブはカートリッジのパッケージングに装着されても、又はカートリッジのパッケージングの一部であってよく、パッケージングを取り除くとタブに第1の固着を解除させることができる。ピストン固着解除要素は、ばねの一部であってよく、ばねは第1の部分と第2の部分を含み得る。第1の部分は第2の部分より高い剛性を有し得る。ピストン固着解除要素は、カートリッジから延出するロッドであってよく、ロッドは、カートリッジと制御ユニットが係合するにつれて、リザーバチャンバーピストンを押すように構成され得る。ドラッグデリバリーシステムは、リザーバと流体接続する経皮膜を含む経皮ドラッグデリバリーシステムであってよい。リザーバチャンバーピストンの運動を開始させる為に必要な総力は約2N~15Nの間であり得る。
【0016】
一般に、一実施形態では、経皮ドラッグデリバリーシステムの使用方法は、経皮ドラッグデリバリーシステムのカートリッジを経皮ドラッグデリバリーシステムの制御ユニットと係合することを含む。カートリッジは、内部に製剤があるリザーバチャンバーと、内部に製剤があるボーラスチャンバーと、リザーバチャンバーピストンとボーラスチャンバーピストンを含む。方法は更に、力を印加してカートリッジと制御ユニットを一体にロックすることを含み、力の印加は、固着解除機構に、リザーバチャンバーピストンとリザーバチャンバーの間の第1の固着又はボーラスチャンバーピストンとボーラスチャンバーの間の第2の固着の解除を作動させる。付加的に、方法は、製剤が患者に送達されることを可能にすることを含む。
【0017】
この実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。カートリッジと制御ユニットを一体にロックする為に印加される力は、約12N~35Nの間であり得る。力の印加は第1の固着及び第2の固着を解除できる。
【0018】
一般に、一実施形態では、経皮ドラッグデリバリーシステムの使用方法は、経皮ドラッグデリバリーシステムのカートリッジを経皮ドラッグデリバリーシステムの制御ユニットと係合することを含む。カートリッジは、内部に製剤があるリザーバチャンバーと、内部に製剤があるボーラスチャンバーと、リザーバチャンバーピストンとボーラスチャンバーピストンを含む。方法は更に、タブを引いて、リザーバチャンバーピストンとリザーバチャンバーの間の第1の固着又はボーラスチャンバーピストンとボーラスチャンバーの間の第2の固着を解除し、力を印加してカートリッジと制御ユニットを一体にロックし、製剤が患者に送達されることを可能にすることを含む。
【0019】
この実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。タブを引くことで第1の固着と第2の固着を解除できる。タブを引くことは、カートリッジをパッケージングから開封し、開封するとタブが引かれることを含み得る。タブはパッケージングに固定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の新規の特徴は、以下の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的実施形態を記載する以下の詳細な説明と、添付の図面を参照することによって得られるであろう。
図1】ピストン固着解除機構を備えた経皮ドラッグデリバリーデバイスの図である。
図2A】乃至
図2B】リザーバシャフト上にバンプを含むピストン固着解除機構を備えた経皮ドラッグデリバリーデバイスの図である。図2Aは上面図であり図2Bはバンプとピストンの間の重複距離dを示す側面図である。
図2C】乃至
図2F図2A乃至2Bの同じ固着解除概念での経皮ドラッグデリバリーデバイスの使用を示す図である。図2C及び2Eは、第1と第2の部品が係合する前のデバイスを示すのに対し、図2D及び2Fは2つの部品が係合した後のデバイスを示す図である。
図3】6ヶ月間置かれたピストンと18時間置かれたピストンに関する力対変位のグラフである。
図4】タブを含むピストン固着解除機構を備えた経皮ドラッグデリバリーデバイスの使い捨て部品の部分を示す図である。
図5】ロッドを含むピストン固着解除機構を備えた経皮ドラッグデリバリーシステムを示す図である。
図6】タブを含むピストン固着解除機構を備えた経皮ドラッグデリバリーシステムの図である。
図7A】乃至
図7B】変動する剛性を有するばねを含むピストン固着解除機構を備えた経皮ドラッグデリバリーデバイスの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、固着解除機構を含む経皮ドラッグデリバリーデバイス等のドラッグデリバリーデバイスについて記載する。そのような固着解除機構を用いることによって、より小型のばねをデバイスに用いることができ、それによって、サイズと、ユーザがデバイスを組み立てる為に及ぼさなければならない力と、コストが低減される。ピストンの固着を解除する、又はピストン固着の効果を極減する為の改良された方法も、本明細書に記載される。
【0022】
図1を参照すると、経皮ドラッグデリバリーデバイス100は、薬剤リザーバチャンバー101と、例えば経皮膜を介してユーザに製剤を送達するように構成されたボーラス(投与)チャンバー103を含み得る。リザーバチャンバーピストン107は部分的にリザーバチャンバー101内に配置され得るが、ボーラスチャンバーピストン109は部分的にボーラスチャンバー103内に配置され得る。ばね117,119は、シャフト127,129からピストン107,109に力を及ぼす為にシャフト127,129に接続され得る。リザーバ101とボーラスチャンバー103の間に配置された制御弁106は、リザーバ101からボーラスチャンバー103への流体連通を可能にする第1の位置と、ボーラスチャンバー103及びデバイス100の下側の経皮膜からの流体連通を可能にする第2の位置を有し得る。制御部108(エレクトロニクス、プリント回路基板、コンピュータ、コントローラ及び/又はモータを含む)は、流体の配給を作動させ得る。例えば、モータは、弁106を第1の位置に回して、リザーバチャンバー101とボーラスチャンバー103の間の流体の流れを可能にし(それによって、ばね117、シャフト127及びピストン107が流体をボーラスチャンバー103内に押しやる)、又、弁106を第2の位置にして、流体がボーラスチャンバー103から流出する(ばね119、シャフト129、及びピストン109からの力によって)ことを可能にするように作動させ得る。
【0023】
デリバリーデバイスは再使用部品113と使い捨て部品115を含み得る。使い捨て部品115は、例えば、制御弁106、ボーラスチャンバー103、リザーバチャンバー101及びピストン107,109を含み得るのに対し、再使用部品113は制御部108、ばね117,119及びシャフト127,129を含み得る。
【0024】
デリバリーデバイス100は更に、リザーバチャンバーピストン107及び/又はボーラスチャンバーピストン109の固着を解除する為の固着解除機構111を含み得る。固着解除機構111は、ボーラスチャンバー109から流体を患者に送達する使用の為にピストン107,109を準備する為に機能し得る。一部の実施形態では、リザーバチャンバーピストン107等の1つのピストン上への固着を解除する為に及ぼされる力は、リザーバチャンバー101内の流体への圧力を増加させる可能性があり、それらは、流路によって繋がっている為、ボーラスチャンバー103内の流体への圧力も増加させることができ、それによってピストン109等の他のピストンに力を及ぼして第2のピストン109への固着も解除できる。
【0025】
一部の実施形態では、ピストン固着解除機構111は再使用部品113の剛性構成要素である。剛性構成要素は、再使用部品が使い捨て部品と係合した場合にピストン(複数可)107,109に力を及ぼして、固着を解除する為に必要な力を提供できる。剛性構成要素は、シャフト127,129の、ピストンとの係合に干渉せずにピストン(複数可)107,109に力を及ぼし得る、突起、ノッチ又は他の構造を備えた形状を有し得る。一部の実施形態では、ばね(複数可)117,119は、剛性構成要素の一部分が、ばね(複数可)117,119のプロファイルを通って最初にピストン(複数可)107,109と係合して固着を解除することを可能にするように構成され得る。固着が解除された後で、ばね(複数可)117,119が作動されて、シャフト(複数可)127,129がピストン(複数可)107,109と係合して、経皮ドラッグデリバリーデバイスの通常動作に望まれるようにピストン(複数可)107,109に力を及ぼすことを可能にする。
【0026】
一部の実施形態では、使い捨て部品115の一部分又は使い捨て部品115のパッケージングは、ユーザがパッケージングから使い捨て部品115を取り除いた場合に、パッケージングの一部分がリザーバチャンバーピストン107を「突いて」、リザーバチャンバーピストン及びボーラスチャンバーピストン107,109両方への固着を解除するように構成され得る。そのような1つの例において、ピストン固着解除機構111はタブ又は離脱タブであり得る。一部の事例では、使い捨て部品115は、ピストン/複数のピストンの固着を解除するまでピストン107及び/又は109を引くか押して、その後タブが解除して取り去られる解除プルタブを含み得る。
【0027】
一部の実施形態では、ピストン固着解除機構111は、再使用部品113と使い捨て部品115が係合した場合に内側に押し込まれるピストン係合面又はバンプを含み得る。例えば、ピストン係合面はリザーバ及び/又はボーラスシャフト127,129の一部であってよく、剛性の構成を有し得る。
【0028】
一部の実施形態では、ばね(複数可)117,119は、ばねの軸の異なる部分に沿って複数の異なる剛性又は異なる剛性特性を有し得る。例えば、ばね(複数可)117,119は、ピストン係合面付近の領域においてより低い剛性を有し、ピストン係合面からより離れた領域においてより高い剛性を有してもよく、又はその逆であってもよい。ばね(複数可)117,119は、再使用部品113と使い捨て部品115が係合している場合に、連携するピストン107,109に比較的高い力を及ぼすように設計され得る。使い捨て部品115と再使用部品113の係合中に、剛性構成要素又はバンプ及びばね(複数可)117,119は圧縮されて、ピストン107,109(複数可)に、固着を解除する為に十分に大きい力を及ぼす。
【0029】
以下に、ピストン固着解除機構の幾つかの異なる実施形態を提供し説明する。
【0030】
図2A乃至2Bは、再使用部品213及び使い捨て部品215を含む例示的デリバリーデバイス200を示す。再使用部品213は、制御部208と、リザーバシャフト227と、リザーバばね217と、ボーラスシャフト229と、ボーラスばね219を含む。使い捨て部品215は、リザーバ201と、リザーバチャンバーピストン207と、ボーラスチャンバー203と、ボーラスチャンバーピストン209と、制御弁206を含む。更に、リザーバシャフト227は、ピストン207の固着を解除する為に、再使用部品213と使い捨て部品215が係合するにつれリザーバチャンバーピストン207と係合するように構成された、バンプ222の形態のピストン固着解除機構211をその遠位端に含み得る(バンプ222はピストン207を重複距離d分移動させる)。リザーバチャンバー201とボーラスチャンバー203内の流体は圧縮不能である為、固着207の解除はピストン209にリバース圧をかける可能性があり、それによって、ピストン209の固着も解除される。
【0031】
図2C乃至2Fは、ピストン固着解除要素211の使用を示す。固着を解除する前に(図2C及び2Eに示すように)、使い捨て部品215は再使用部品213から(従ってシャフト227/バンプ222)から離脱され得る。ボーラスチャンバー203は、ボーラスチャンバーピストン209が、ボーラスチャンバーの端部から距離d分ずれてボーラスチャンバー203内に配置されるように、部分的にのみ充填され得る。距離dは、例えば、0.5~2.5mm、1.5~2mm等であり得る。更に、制御弁206は、流体がリザーバチャンバー201とボーラスチャンバー203の間を移動することを可能にするように配置され得る。図2D及び2Fを参照すると、使い捨て部品215と再使用部品213が係合すると、シャフト227,229は、シャフト227が当り止め299に当たるまで遠位方向に移動され得る(ばね217,219の圧縮によって)。するとバンプ222はリザーバチャンバーピストン207を押し、固着を解除してリザーバチャンバーピストン207をリザーバチャンバー201内で距離d分移動させる。リザーバチャンバー201及びボーラスチャンバー203内の流体は圧縮できない為、リザーバチャンバーピストン207に印加された力は、流体をボーラスチャンバー203内に移動させてボーラスチャンバーピストン209を(距離d分)後退方向に押しやり、それによってボーラスチャンバーピストン209への固着も解除する。こうして、リザーバチャンバーピストン207上で固着が解除されると、ボーラスチャンバーピストン209への固着も解除され得る。
【0032】
ピストン固着解除機構211は、通常使用中にピストン207,209を動かす為に、より低い力が必要となることを有利に確実にする。つまり、棚に置かれている間(例えば6ヶ月以上)に固着が進んだピストン207,209を動かすように要求されるというよりも、ばね217,219は、デバイスの使用中(例えば18時間)に固着が進んだピストン207,209を動かすのに必要な力を供給するだけで済む。ピストンを変位させる為に必要な力の量の18時間対6ヶ月でのグラフを図3に示している。図示のように、6ヶ月ではなく18時間での固着を解除する為に必要な力の量は、力をほぼ半分、例えば3N未満に減少させる。システム200内で(例えば、ばね207及び209を有する)使用された場合、リザーバばね217によって必要とされる力は、15N未満、例えば10N以下であり得るが、それに対しボーラスばね219によって必要とされる力は6N未満、例えば5N未満、4N未満、又は3N未満であり得る。固着解除機構211を使用する場合にボーラスチャンバーピストン及びリザーバチャンバーピストン209,207の運動を開始させる為に必要な総力は、2N~15N、例えば5N~10Nであるのに対し、リザーバチャンバーピストン207及びボーラスチャンバーピストン209を用いて流体を移動する為に必要な力は0.5N/mm~3N/mmの間であり得る。このように、固着解除機構211を使用することで、システム200によって必要とされる総ばね力を、例えば40~50%減少させることができる。
【0033】
図4は、別の例示的デリバリーデバイスの使い捨て部品415を示す。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、使い捨て部品415は、リザーバチャンバー401と、ボーラスチャンバー403と、リザーバチャンバーピストン407と、ボーラスチャンバーピストン409と、制御弁406を含む。使い捨て部品415は更に、タブ444の形態のピストン固着解除要素を含む。タブ444のサイズ、形状及び/又は配置は、タブ444の解除又は除去が、薬剤リザーバ内でのピストンへの固着を解除するのに必要な力より大きい力を要するようなものである。一実施形態では、デバイスのユーザは、タブ444に力を印加してタブを解除して外し、それによってピストン407に、リザーバチャンバー401とリザーバチャンバーピストン407の間の固着を解除する為の力を印加できる。別の実施形態では、使い捨て部品415を保持するパッケージングは、タブ444(離脱タブの場合と固定タブの場合がある)を含み得る、又はタブ444に装着されている。ユーザによってパッケージングが開封される及び/又は使い捨て部品415が取り除かれると、タブ444は同時に解除又は取り除かれて、ピストン407に固着を解除する為の力を印加する。デバイス300と同様に、ボーラスチャンバー403は、使用前に部分的にのみ充填されてよく、それによって、ピストン407上の固着が解除された場合に、ボーラスチャンバーピストン409が後退する余地を提供してその固着を解除する。
【0034】
図5は、固着解除機構511を含む経皮ドラッグデリバリーシステム500の一実施形態を示す。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、デバイス500は、再使用部品513と、リザーバシャフト527と、リザーバばね517と、ボーラスシャフト529と、ボーラスばね519を含む。使い捨て部品515は、リザーバチャンバー501と、リザーバチャンバーピストン507と、ボーラスチャンバー503と、ボーラスチャンバーピストン509と、制御弁506を含む。再使用部品は、リザーバばね517及びリザーバシャフト527付近のハウジング552から少し突出し、リザーバチャンバーピストン507の少なくとも一部分と一直線の定置型ピストン係合ロッド555の形態のピストン固着解除要素を含む。再使用部品513と使い捨て部品515が一体に係合されると、ピストン係合ロッド555は、リザーバチャンバーピストン507に、リザーバチャンバーピストン507とリザーバチャンバー501の間の固着を解除する為の力を提供する。他の実施形態と同様に、この力はボーラスチャンバーピストン509の固着も解除する。
【0035】
図6は、再使用部品613上のピストン固着解除要素611の別の実施形態を示す。ピストン固着解除要素611は、要素511と類似しているが、ロッドというよりは小型タブ666の形態である。タブ666は、再使用部品613と使い捨て部品615が一体に係合された場合にピストン607に固着解除力を及ぼす。
【0036】
図7A及び7Bは、固着解除機構711を備えた別の経皮デリバリーデバイス700を模式的に示す。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、デバイス700は、リザーバシャフト727と、リザーバばね717と、ボーラスシャフト729と、ボーラスばね719を含む再使用部品713を含む。使い捨て部品715は、リザーバチャンバー701と、リザーバチャンバーピストン707と、ボーラスチャンバー703と、ボーラスチャンバーピストン709と、制御弁706を含む。更に、固着解除機構711は、ばね717,719に組み込まれている。つまり、リザーバばね717は、その遠位端に中剛性部分771を含み、又、その近位端に高剛性部分773(即ち、中剛性部分771よりも高い剛性を有する)を含み得る。一部の実施形態では、ばねは、遠位端に高剛性部分773、近位端に中剛性部分771の、反対の配向にも配置され得る。更に、ボーラスばね419は、中剛性部分771よりも低い剛性を有し得る。例えば、高剛性部分773は15~25Nの剛性を有し、中剛性部分771は5~10Nの剛性を有し、ボーラスばね419は2~6Nの剛性を有し得る。図7Aから図7Bへの移行で示すように、リザーバばね717は、再使用部品713と使い捨て部品715が一体に係合された場合に圧縮され得る。高剛性部分773故に、初期係合は、リザーバばね717に、リザーバチャンバーピストン707とリザーバチャンバー701の間の固着を解除する為にシャフト727を介して比較的大きな力を及ぼさせる。リザーバチャンバー701内の固着を解除することは、リザーバチャンバー701からボーラスチャンバー703に、少量の流体を流出させる。ボーラスチャンバー703への流体の移動が、ピストン709に力を及ぼすことができ、ピストン709を後退させてピストン709の固着も解除する。一部の実施形態では、2つの部分771,773は互いに直列というよりも平行に配置され得る。中剛性部分771は、リザーバ701の全長を移動するのに対し、高剛性部分773はより短く、固着解除中にのみ係合する。
【0037】
本明細書に記載のいずれのピストン固着解除機構も、経皮ドラッグデリバリーデバイスのピストンのいずれか又は両方に直接適用され得る。図示の例は、薬剤リザーバ上のピストンとの直接接触を介して固着を解除するが、代わりに、同じ概念と構図をボーラス/投与チャンバーに適用して、そのピストンに直接接触して先ず流体でそこの固着を解除し、次にリザーバチャンバー内のピストンに力を及ぼしてそのピストンへの固着を解除してもよい。
【0038】
使い捨て部品と再使用部品を含むものとして説明されているが、本明細書に記載の2部品設計は、両部品が再使用可能であるシステム、又は両部品が使い捨てであるシステムにも適用可能であることを理解すべきである。例えば、使い捨て部品は、カートリッジ(使い捨て又は再使用可能)と同義であり得るのに対し、再使用部品は制御ユニット(使い捨て又は再使用可能)と同義であり得る。
【0039】
本明細書のいずれかの実施形態に関するいずれの特徴も、いずれの他の実施形態に関して説明されたいずれかの特徴と組み合わせて、又はそれらを置き換えて用いられ得る。
【0040】
本明細書に記載のシステムは、装着者の皮膚に接触する経皮膜を含み得る。薬剤又はその他の生物活性剤及び溶媒溶液は、制御された量で経皮膜に送達され得る。経皮膜は、薬剤又はその他の生物活性剤の、膜を介して拡散して皮膚に接触することを可能にしながら溶媒溶液の浸透を極減するように構成され得る。溶媒溶液は、蒸気浸透膜を通して除去され得る。本明細書に記載のシステムは、薬剤又はその他の生物活性剤の実質的に全てを、経皮膜を介して装着者の皮膚に接触させるように送達できる。除去された溶媒は、溶媒除去要素に回収され得る。本明細書に記載の経皮ドラッグデリバリーデバイスで使用され得る溶媒除去要素の一例は、その開示全体を参照により組み込む、米国特許第8,673,346号に開示されている。
【0041】
ドラッグデリバリープロファイルは、経皮ドラッグデリバリーデバイスを使用している患者の概日リズム又は生体同期パターンに対応し得る。本明細書に記載のデバイスと使用され得る概日リズム又は生体同期ドラッグデリバリープロファイルの例は、米国特許出願公開2015/0283367号及び米国特許第8,741,336号に開示されており、それぞれの開示は全体が参照により組み込まれる。
【0042】
経皮膜は、生物活性剤を膜透過させ得る任意の適切な材料(複数可)であるか、又は任意の適切な特性を有してよい。膜は親水性でも疎水性でもよい。膜は、0.010~0.01μm(例えば、0.02μm~0.05μm等)の細孔を有してよい。膜は、20%~60%に亘る多孔性を有してよい(例えば、30%~50%、45%~50%等)。特定の例では、セルガード(Celgard)2400ポリプロピレン等のポリプロピレン(例えば、約25μ程度、1μm~100μmの間等の厚さ、0.043程度、例えば0.005~0.2μm等の細孔径が使用され得る)。材料は、生物活性剤、治療の長さ等に基づいて選択されてよい。
【0043】
溶媒の組成は、薬剤又は生物活性剤の、経皮膜を介した拡散を最適化する為にも設計され最適化され得る。溶媒の組成は更に、望ましい薬剤又は生物活性剤のデリバリーレートを達成する為に経皮膜と組み合わせて選択され得る。
【0044】
本明細書に記載のデバイスは、溶媒を受けて保持する吸収剤等の溶媒除去要素を含み得る。溶媒除去要素は使い捨て部品又はカートリッジの一部であり得る。本明細書に記載の経皮パッチで使用する吸収剤は、吸収剤ジェル、吸い取り紙、紙、その他の高分子、シリカゲル又は、溶媒液若しくは蒸気等の流体媒体を容易に吸い取って保持するその他の材料であってよい。吸収剤は一般に、物理的スポンジとして機能する。吸収剤は、単一ピース又は複数ピース等の任意の構造又は形状であってよい。吸収剤は無形性物質又は賦形体であってよく、ブロック、層、一枚のシート、複数枚のシート、複数の粒子等であってよい。吸収剤の代わりに、又は吸収剤に加えて乾燥剤が用いられてよい。
【0045】
生物活性剤用の溶媒は、アルコール、水又は容易に気化する別の溶媒等の、単一の成分又は複数の成分を含み得る。1つの、又は2つ以上の成分が気化して吸収剤によって吸収されてよい。蒸気/ガス透過膜は、膜の一方の側から他方の側に延在してガスを貫通して流す離散した細孔を含んでよい。
【0046】
一部の実施形態では、溶媒溶液は、水、アルコール及び薬剤又は生物活性剤を含む。一部の実施形態では、アルコールは、イソプロパノール、エタノール及びメタノールのうち1つ以上であってよい。溶媒溶液は、界面活性剤、賦形剤又は、浸透を促進するか、皮膚感応性若しくは皮膚反応を低減することを意図した他の成分のうち1つ以上も含み得る。
【0047】
溶媒溶液は約40:60から約60:40の水/アルコール比を有し得る。溶媒溶液は約45:55から約55:45の水/アルコール比を有し得る。溶媒溶液は約46:54から約54:46の水/アルコール比を有し得る。溶媒溶液は約47:53から約53:47の水/アルコール比を有し得る。溶媒溶液は約48:52から約52:48の水/アルコール比を有し得る。溶媒溶液は約49:51から約51:49の水/アルコール比を有し得る。
【0048】
種々の異なる薬剤又は生物活性剤が、本明細書に記載のシステムと使用され得る。一部の実施形態では、生物活性剤はニコチンを含む。例えば、ニコチンは溶媒溶液内に、体積で約0.5%から約20%存在し得る。一部の実施形態では、ニコチンは溶媒溶液内に、体積で約0.5%から約10%存在し得る。一部の実施形態では、ニコチンは溶媒溶液内に、体積で約0.5%から約5%存在し得る。一部の実施形態では、ニコチンは溶媒溶液内に、体積で約0.5%から約3%存在し得る。
【0049】
一例では、生物活性剤はニコチンである。生物活性剤の他の例は、アカンプロセート、アセトアミノフェン、アセトアミノフェン+オキシコドン、アレビシンSG、アルフェンタニル、アロプリノール、アルモトリプタン、アルプラゾラム、アルプラゾラムXR、アミトリプチリネン、アモキサピン、アポモルフィン、アリピプラゾール、アルモダフィニル、アセナピンマレイン酸塩、アトモキセチン、アゼラスチンHCL、バクロフェン、ベンズブロマロン、ベンジダミン、ブレクスピプラゾール、ブデソニド、ブピバカイン、ブプレノルフィン、ブプレノルフィン+ナラクソン、ブプロピオン、ブプロピオンヒドロブロミド、ブプロピオン塩酸塩、ブプロピオンSR、ブプロピオンXR、ブスピロン、カベルゴリン、カプサイシン、カルバマゼピンCR、カルバマゼピンXR、カルビドパ+レボドパEr、カリスプロドール、セレコキシブ、シタロプラム、クロバザム、クロナゼパム、クロニジンパッチ、クロニジンSR、クロピドグレル、コルチシン、シクロベンザプリンER、シクロベンザプリンPO、ダルテパリンナトリウム、デスベンラファキシン、デスベンラファキシンER、デキサフェタミン、デキサメチルフェニデートHcl、デキサメチルフェニデートHcl LA、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジクロフェナクGel、ジクロフェナクIR、ジクロフェナクIV、ジクロフェナクカリウムIR、ジクロフェナクカリウムXR、経皮ジクロフェナク、ジスルフィラム、ジバルプロエクスナトリウム、ドラセトロンメシル酸塩、ドキセピン、ドロナビノール、ドロキシドーパ、デュロキセチン、エレトリプタン、エンタカプトン、エスシタロプラムシュウ酸塩、エスリカルバゼピン酢酸塩、エスオメプラゾール/ナプロキセン、エストラジオール、エストロゲン、エスゾピクロン、エトスクシミド、エトドラク、エゾガビン、フェブキソスタット、フェルバメート、フェンブフェン、フェンタニルクエン酸塩、経口フェンタニル、フェンタニルパッチ、フェンタニルSL、フルニソリド、フルオロラシル、フルオキセチン、プロピオン酸フルチカソン、フルボキサミンCr、フォルモテロール、フォスフェニトイン、フロバトリプタン、ガバペンチン、ガバペンチンER、グラニセトロンER、グアンファシン、酒石酸水素ヒドロコロンCR、ヒドロコロン+アセトアミノフェン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルフォンHcl、ヒドロキシジン、セイヨウオトギリソウ抽出物、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラック、ラコサミド、ラモトリギン、ラモトリギンCDT、ラモトリギンODT、ラモトリギンXR、ラベトリアセタム、ラベトリアセタムIR、ラベトリアセタムXR、レボミルナシプラン、レボサルブタモール、リドカインパッチ、リドカイン/テトラカイン、リスデキサフェタミン、炭酸リチウム、ロラゼパム、ロルカセリン、塩酸塩、ロサルタン、ロキサピン、メクリジン、メロキシカム、メタキサロン、メチルフェニデート、メチルフェニデート塩酸塩、メチルフェニデートLA、メチルフェニデートMR、メチルフェニデートパッチ、ミルナシプラン、ミルタザピン、モダフィニル、モルヒネ、モルヒネCR、モルヒネER、ナビロン、ナドロール、ナルトレキソン、ナプロキセン、ナラトリプタン、ネドクロミル、ネファゾドン、ニトログリセリン、ニトログリセリン軟膏、オラザンピン、オラザンピンIM、オラザンピンLA、オンダンセトロン、オンダンセトロンODFS、オンダンセトロンODT、オルリスタット、オキサプロジン、オクスカルバゼピン、オクスカルバゼピンER、オキシブチニン、オキシブチニンゲル、オキシコドン、オキシコドン+アセトミノフェン、オキシコドン塩酸塩、オキシコドンIR、オキシモルフォン、オキシモルフォンER、パロノセトロ、パミドロネート、パロキセチン、メシル酸パロキセチン、ペランパネル、フェンテルミン+トピラマート、フェンテルミン塩酸塩、フェントラミンメシル酸塩、プラミペキソール、プラミペキソールEr、プラスグレル、プラゼパム、プレドニゾン、プレガバリン、プロメタジン、プロパフォール、クエチアピン、クエチアピンフマル酸塩、クエチアピンフマル酸塩XR、ラメルテオン、ラサギリンメシル酸塩、レミフェンタニル、リスペリドン、リバスチグミン酒石酸塩、リザトリプタン、ロピニロール、ロピニロールXL、ロピバカイン、ロチゴチン、ルフィナミド、サルブタモール、スコポラミン、セレギリン、セレギリンODT、経皮セレギリン、セルトラリン、オキシ酸ナトリウム、ストロンチウム、スフェンタニル-Ent、スマトリプタン自動注入装置、スマトリプタンニードルフリー、スマトリプタンコハク酸塩、スボレキサント、タペンタドール、タペンタドールER、タシメルテオン、テマゼパム、テストステロン、テトラカイン+リドカイン、テオフィリン、チアガビン、チオトロピウム、チロフィバンHcL、トルカポン、トピラマート、トピラマートXR、トラマドール、トラマドール+アセトアミノフェン、トラマドールER、トラゾドンCr、トリアゾラム、トリミプラミンマレイン酸塩、バルプロ酸セミナトリウムER、バルプロ酸ナトリウム、ベンラファキシン、ベンラファキシンER、ビガバトリン、ビラゾドン、ボルチオキセチン、ザレプロン、ジレウトン、ジプラジドン、経口ゾロミトリプタン、ゾロミトリプタンZMT、ゾルピデム、ゾルピデムスプレー、ゾルピデム酒石酸塩CR、ゾルピデム酒石酸塩低ドーズSL、ゾルピデム酒石酸塩SL、ノルエチステロン酢酸塩(NETA)、エナプリル、エチニルエストラジオール、インスリン、メマンチン、メタムフェタミン、ノルエルゲストロミン、ペルゴリド、ラミプリル、テクリン、チモロール、トルテロジン及びゾニサミドを含む。
【0050】
経皮デリバリーシステム等のデリバリーシステムの別の態様は、参照により本明細書に全体を組み込む、「ドラッグデリバリー方法及びシステム(Drug Delivery Methods and Systems)」というタイトルの米国特許出願公開第2016/0220798号に記載されている。
【0051】
本明細書で特徴又は要素が他の特徴又は要素の「上」にあると記載された場合、それは他の特徴又は要素の直接上にあってもよく、又は、介在する特徴及び/又は要素が存在してもよい。対照的に、特徴又は要素が他の特徴又は要素の「直接上」にあると記載された場合、介在する特徴又は要素は存在しない。特徴又は要素が別の特徴又は要素に「連結」、「取り付け」又は「結合」されていると記載された場合、それは、他の特徴又は要素に直接連結、取り付け又は結合されてよく、又は、介在する特徴又は要素が存在してもよいことも理解される。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接連結」、「直接取り付け」又は「直接結合」されていると記載された場合、介在する特徴又は要素は存在しない。1つの実施形態に関して説明され図示されていても、そのように説明され図示された特徴及び要素は、他の実施形態にも適用され得る。当業者ならば、他の特徴に「隣接して」配置された構造又は特徴への言及は、隣接する特徴に重なる又はその下になる部分を有し得ることも理解するであろう。
【0052】
本明細書で用いた用語は特定の実施形態を説明する為のみであって、本発明を限定する意図はない。例えば、本明細書で用いる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)は、文脈上特段に明示しない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で用いられる場合、用語「備える」及び/又は「備えた」は、言及された特徴、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しないことも更に理解されよう。本明細書で用いられる場合、用語「及び/又は」は関連する列挙されたアイテムのうちあらゆる組み合わせを含み、「/」と略記され得る。
【0053】
「の下」、「下方」、「下部」、「の上」「上部」等の空間的相対用語は、本明細書において、図に示されるような1つの要素又は特徴の、別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する関係性を説明する為の記述を易化する為に使用され得る。空間的相対用語は、図に描写された配向に加えて、使用時又は動作時デバイスの異なる配向を包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図中のデバイスが反転された場合、他の要素又は特徴「の下」又は「下」と記載された要素は、他の要素又は特徴の「上」に配向する。従って、例示的用語「の下」は、上及び下の両配向を包含し得る。デバイスは別の配向であってもよく(90度回転又は他の配向)、本明細書で用いられる空間的相対表現はそれに応じて解釈される。同様に、本明細書において用語「上向きに」「下向きに」、「垂直」、「水平」等は、特段に明記しない限り説明の為のみに用いられる。
【0054】
本明細書では、用語「第1の」及び「第2の」は種々の特徴/要素を説明する為に用いられ得るが、これらの特徴/要素は、文脈が特段に示さない限りこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、1つの特徴/要素を他の特徴/要素から区別する為に用いられてよい。従って、本発明の教示から逸脱せずに、以下に論じる第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ばれることもでき、又同様に、以下に論じる第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と呼ばれることもできる。
【0055】
例で用いられるものを含めて、又、特段に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、全ての数は、「約」又は「概ね」という語が明記されていなくても「約」又は「概ね」の前置きが付いているかの如く読み取られてよい。語句「約」又は「概ね」は、説明した値及び/又は位置がその値及び/又は位置の合理的な予測範囲内にあることを示す為に規模及び/又は位置を説明する場合に用いられ得る。例えば、数値は、表示値(又は値の範囲)の+/-0.1%の値、表示値(又は値の範囲)の+/-1%の値、表示値(又は値の範囲)の+/-2%の値、表示値(又は値の範囲)の+/-5%の値、表示値(又は値の範囲)の+/-10%等の値を有してよい。本明細書に記載の任意の数値範囲は、そこに属する全てのサブレンジを含むことを意図している。
【0056】
上記では種々の例示的実施形態が説明されたが、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の実施形態に幾つかの変更のうちいずれが為されてもよい。例えば、種々の説明された方法ステップが実行される順序は、別の実施形態では多くの場合変更されることがあり、又、別の代替的実施形態では、1つ以上の方法ステップは全て省略されることもある。種々のデバイス及びシステムの実施形態の随意の特徴が、一部の実施形態には含まれ他の実施形態には含まれないことがある。従って、上記の説明は主に例示目的で提供されたものであり、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0057】
本明細書に含まれた例及び例証は、例としてであって限定ではなく、主題が実行され得る特定の実施形態を示す。言及したように、他の実施形態が利用されそこから導出されてよく、その結果、本開示の範囲から逸脱せずに構造的及び論理的置換及び変更が為され得る。本発明の主題のそのような実施形態は、本明細書では単に利便性の為個々に又は包括的に用語「本発明」と呼ばれてよく、それは、本出願の範囲を、実際に2つ以上の発明又は発明的概念が開示されている場合に任意の単一の発明又は発明的概念に自発的に限定する意図はない。従って、特定の実施形態について本明細書で図示し説明してきたが、同じ目的を達成する為に計算された任意の構成が、示された特定の実施形態と置き換えられてもよい。本開示は種々の実施形態のありとあらゆる適応例又は変形例を網羅することを意図している。上記の実施形態及び本明細書で特に記載していない他の実施形態の組み合わせは、上記の説明を再考察すれば当業者には明らかとなろう。
〔付記1〕
製剤デリバリーシステムであって、
製剤を内部に保持するように構成されたリザーバチャンバーと、
流体連通路を介してリザーバチャンバーと流体連通し、前記リザーバチャンバーからの製剤の一部分を保持するように構成されたボーラスチャンバーと、
前記リザーバチャンバー内で動いて前記リザーバチャンバーからの製剤を前記ボーラスチャンバーに放出するように構成されたリザーバチャンバーピストンと、
前記ボーラスチャンバー内で動いて前記ボーラスチャンバーからの製剤を患者に放出するように構成されたボーラスチャンバーピストンと、
を備えたカートリッジと、
前記カートリッジと係合するように構成された制御ユニットであって、前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンを作動させるように構成された制御部を含む制御ユニットと、
前記リザーバチャンバーピストンと前記リザーバチャンバーの間の、又は前記ボーラスチャンバーピストンと前記ボーラスチャンバーの間の第1の固着を解除するように構成されたピストン固着解除要素と、
を備えた製剤デリバリーシステム。
〔付記2〕
前記ピストン固着解除要素は、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合するにつれて、前記ピストン固着解除要素が前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンに力を印加して前記第1の固着を解除するように構成されている、付記1に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記3〕
前記流体連通路は、前記ピストン固着解除要素が前記第1の固着を解除する為に前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンに力を印加した場合に、前記力が、前記製剤を通して、前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンのうち他方に伝達されて第2の固着を解除するように構成されている、付記2に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記4〕
前記リザーバチャンバーピストン及び前記ボーラスチャンバーピストンは両方とも、前記第1と第2の固着が解除された場合に距離d分移動する、付記3に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記5〕
前記距離dは約0.5mm~2.5mmの間である、付記4に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記6〕
前記制御ユニットは更に第1のシャフトと第1のばねを含み、前記第1のばねは、前記第1のシャフトに、前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンを動かす力を提供するように構成される、付記1に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記7〕
前記ピストン固着解除要素は前記第1のシャフト上の延長部であり、前記延長部は、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合するにつれ前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンを押して前記第1の固着を解除するように構成されている、付記6に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記8〕
前記制御ユニットは内部に当り止めを含み、前記当り止めは、前記制御ユニットと前記カートリッジが係合するにつれ前記第1のばね又は前記第1のシャフトと係合して前記第1のばねと前記第1のシャフトの遠位方向への運動を防止し、前記延長部が前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンを押すことを可能にするように構成されている、付記7に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記9〕
前記延長部は、前記延長部が前記リザーバチャンバーピストンを押すように構成されている、付記6に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記10〕
更に前記制御ユニット内に第2のシャフトと第2のばねを備え、前記第2のシャフトは、前記第2のシャフトに前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンのうち他方を動かす為の力を提供するように構成されている、付記6に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記11〕
前記第1のばねは、第1の固着を解除する為に約15N以下の力を提供するように構成されている、付記6に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記12〕
前記ピストン固着解除要素は、前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンと係合するように構成されたタブである、付記1に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記13〕
前記タブは離脱タブである、付記12に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記14〕
前記離脱タブは、前記離脱タブを解除する為に印加された力が、前記第1の固着も解除するように構成されている、付記13に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記15〕
前記タブは、一対のカートリッジのパッケージングに装着されるか、又はその一部であり、前記パッケージングを取り除くことは、前記タブに前記第1の固着を解除させる、付記12に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記16〕
前記ピストン固着解除要素はばねシステムの一部であり、前記ばねシステムは、第2のばねより高い剛性を有する第1のばねを含み、前記第1のばねは、前記ボーラスチャンバーピストン又は前記リザーバチャンバーピストンに前記第1の固着を解除する為の力を提供するように構成されている、付記1に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記17〕
前記第1のばねは第1の部分と第2の部分を含み、前記第1の部分は前記第2の部分よりも高い剛性を有する、付記1に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記18〕
前記ピストン固着解除要素は、前記カートリッジから延出するロッドであり、前記ロッドは、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合するにつれて前記リザーバチャンバーピストン又は前記ボーラスチャンバーピストンを押すように構成されている、付記1に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記19〕
前記ドラッグデリバリーシステムは経皮ドラッグデリバリーシステムであり、前記システムがさらに、前記ボーラスチャンバーと流体接続する経皮膜を備えている、付記1に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記20〕
前記ボーラスチャンバーと前記リザーバチャンバーの間の第1の流体連通路を形成する第1の位置と、前記ボーラスチャンバーと前記経皮膜の間の第2の流体連通路を形成する第2の位置とを有する制御弁を更に備えた付記1に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記21〕
前記ボーラスチャンバーピストン又は前記リザーバチャンバーピストンの移動を開始させる為に必要な総力は、約2Nから15Nの間である、付記1に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記22〕
製剤デリバリーシステムであって、
製剤を内部に保持するように構成されたリザーバチャンバーと、
リザーバチャンバー内で動いてリザーバチャンバーからの製剤を放出するように構成されたリザーバチャンバーピストンと、
を備えたカートリッジと、
前記カートリッジと係合するように構成された制御ユニットを備え、前記制御ユニットが、
シャフトと、
前記シャフトに、前記リザーバチャンバーピストンを移動させる力を提供するように構成されたばねと、
前記ばねを作動させるように構成された制御部と、を備えており、更に、
前記リザーバチャンバーピストンと前記リザーバチャンバーの間の第1の固着を解除するように構成されたピストン固着解除要素と、を備えている製剤デリバリーシステム。
〔付記23〕
更に、流体連通路を介して前記リザーバチャンバーと流体連通しているボーラスチャンバーを備え、前記ボーラスチャンバーは、前記リザーバチャンバーからの製剤の一部分を保持するように構成されている、付記22に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記24〕
更に、前記ボーラスチャンバー内で動いて前記ボーラスチャンバーからの製剤を患者に放出するように構成されたボーラスチャンバーピストンを備えている、付記23に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記26〕
前記流体連通路は、前記ピストン固着解除要素が前記リザーバチャンバーピストンに力を印加して固着を解除した場合に、前記力が、前記製剤を通して前記ボーラスチャンバーピストンに伝達されて、前記ボーラスチャンバーピストンと前記ボーラスチャンバーの間の第2の固着を解除するように構成されている、付記24に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記27〕
前記リザーバチャンバーピストン及び前記ボーラスチャンバーピストンは両方とも、前記第1と第2の固着が解除された場合に距離d分移動する、付記26に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記28〕
前記距離dは約0.5mm~2.5mmの間である、付記27に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記29〕
前記ピストン固着解除要素は、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合するにつれて、前記ピストン固着解除要素が、前記リザーバチャンバーピストンに力を印加して前記第1の固着を解除するように構成されている付記22に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記30〕
前記ピストン固着解除要素は前記シャフト上の延長部であり、前記延長部は、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合したときに前記リザーバチャンバーピストンを押して前記第1の固着を解除するように構成されている、付記22に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記31〕
前記制御ユニットは内部に当り止めを含み、前記当り止めは、前記制御ユニットと前記カートリッジが係合するにつれ前記ばね又は前記シャフトと係合して前記ばねと前記シャフトの遠位方向への運動を防止し、前記延長部が前記リザーバチャンバーピストンを押すことを可能にするように構成されている、付記30に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記32〕
前記ばねは、第1の固着を解除する為に約15N以下の力を提供するように構成されている、付記22に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記33〕
前記ピストン固着解除要素は、前記リザーバチャンバーピストンと係合するように構成されたタブである、付記22に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記34〕
前記タブは離脱タブである、付記33に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記35〕
前記離脱タブは、前記離脱タブを解除する為に印加された力が、前記第1の固着も解除するように構成されている、付記34に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記36〕
前記タブは、一対のカートリッジのパッケージングに装着され、前記パッケージングを取り除くことは、前記タブに第1の固着を解除させる、付記33に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記37〕
前記ピストン固着解除要素はばねの一部であり、前記ばねは第1の部分と第2の部分を含み、前記第1の部分は、第2のばねより高い剛性を有する、付記22に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記38〕
前記ピストン固着解除要素は、前記カートリッジから延出するロッドであり、前記ロッドは、前記カートリッジと前記制御ユニットが係合するにつれて前記リザーバチャンバーピストンを押すように構成されている、付記22に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記39〕
前記ドラッグデリバリーシステムは経皮ドラッグデリバリーシステムであり、前記システムがさらに、前記リザーバと流体接続する経皮膜を備えている、付記22に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記40〕
前記リザーバチャンバーピストンの移動を開始させる為に必要な総力は、約2Nから15Nの間である、付記22に記載の製剤デリバリーシステム。
〔付記41〕
経皮ドラッグデリバリーシステムの使用方法であって、
経皮ドラッグデリバリーシステムのカートリッジを経皮ドラッグデリバリーシステムの制御ユニットと係合し、前記カートリッジは内部に製剤があるリザーバチャンバーと、内部に製剤があるボーラスチャンバーと、リザーバチャンバーピストンと、ボーラスチャンバーピストンを含み、
力を印加して前記カートリッジと前記制御ユニットを一体にロックし、力の印加は、固着解除機構を、前記リザーバチャンバーピストンと前記リザーバチャンバーの間の第1の固着又は前記ボーラスチャンバーピストンと前記ボーラスチャンバーの間の第2の固着を解除するように作動させ、
前記製剤を患者に送達することを可能にする、ことを含む方法。
〔付記42〕
前記カートリッジと前記制御ユニットを一体にロックする為に印加される力は約12Nから35Nの間である、付記41に記載の方法。
〔付記43〕
力の印加は、前記第1の固着と前記第2の固着を解除する、付記41に記載の方法。
〔付記44〕
経皮ドラッグデリバリーシステムの使用方法であって、
経皮ドラッグデリバリーシステムのカートリッジを経皮ドラッグデリバリーシステムの制御ユニットと係合し、前記カートリッジは内部に製剤があるリザーバチャンバーと、内部に製剤があるボーラスチャンバーと、リザーバチャンバーピストンと、ボーラスチャンバーピストンを含み、
タブを引いて、前記リザーバチャンバーピストンと前記リザーバチャンバーの間の第1の固着又は前記ボーラスチャンバーピストンと前記ボーラスチャンバーの間の第2の固着を解除し、
力を印加して前記カートリッジと前記制御ユニットを一体にロックし、
前記製剤が患者に送達されることを可能にする、
ことを含む方法。
〔付記45〕
前記タブを引くことは前記第1の固着と前記第2の固着を解除する、付記44に記載の方法。
〔付記46〕
前記タブを引くことは前記パッケージングから前記カートリッジを開封することを含み、前記開封が前記タブを引く、付記44に記載の方法。
〔付記47〕
前記タブは前記パッケージングに固定されている、付記46に記載の方法。
【符号の説明】
【0058】
100 経皮ドラッグデリバリーデバイス
101 リザーバチャンバー
103 ボーラスチャンバー
106 制御弁
107 リザーバチャンバーピストン
108 制御部
109 ボーラスチャンバーピストン
111 固着解除機構
113 再使用部品
115 使い捨て部品
117,119 ばね
127,129 シャフト
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B