(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】光エネルギー蛍光励起
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20220729BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
(21)【出願番号】P 2019571271
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 US2018063401
(87)【国際公開番号】W WO2019133183
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-04-01
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】ルイ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ピント
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-500183(JP,A)
【文献】特表2017-504789(JP,A)
【文献】国際公開第2016/168996(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/037535(WO,A2)
【文献】特表2003-515107(JP,A)
【文献】特開2013-092393(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105980832(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101470075(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0258700(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光エネルギー励起装置により励起光を放射する工程であって、前記光エネルギー励起装置は、第1の光源および第2の光源を備え、前記第1の光源は、第1の波長放射帯域で励起光線を放射し、前記第2の光源は、第2の波長放射帯域で励起光線を放射し、
前記光エネルギー励起装置は、励起光を均質化し、励起光を光エネルギー励起装置の先端部に方向づける光パイプであって、光入射面および光出射面を備え、前記第1の光源および前記第2の光源から励起光線を受ける光パイプをさらに備え、
該光パイプは、テーパ構造であり、前記光パイプの前記光入射面から前記光パイプの前記光出射面に向かう方向における、前記光パイプの長さ全体にわたって、増大する径を有し、前記光パイプは、前記光パイプの前記光出射面を出射する光パイプ出射光線が、前記光エネルギー励起装置の光軸に対して発散する光の発散円錐を画定するように、励起光を反射する、工程と、
励起光および該励起光による励起から生じる発光シグナル光を検出部で受け、該検出部は、生物学的または化学的サンプルを支持するための検出部表面と、該検出部表面から間隔を置いて配置されたセンサーアレイとを備え、前記光エネルギー励起装置は、前記検出部表面の形状およびサイズに一致するイルミネーションパターンを前記検出部表面上に投影するように構成され、前記検出部は、励起光を遮断し、発光シグナル光が前記センサーアレイの光センサーに向かって伝播することを可能にする、工程と、
前記センサーアレイの光センサーによって感知された光子に応じて検出部データシグナルを回路で送信する、工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記光エネルギー励起装置を用いて放射する工程は、前記光エネルギー励起装置の光パイプ光出射面を結像して、前記検出部表面の大きさおよび形に合致するイルミネーションパターンを投影することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
相補型メタルオキシドセミコンダクタ(CMOS)集積回路製造技術を使用して前記検出部を製造することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
DNA配列決定処理のサポートにおける各複数のサイクルについて、
(a)前記検出部表面によって規定されるフローセルから液体を除去し、
(b)第1および第2の色素がフローセル内に同時に含まれるようにフローセルを第1および第2の色素で満たし、
(c)前記第1の光源が通電され、前記第2の光源が非通電状態に維持され、発光シグナル光に曝された光センサーから第1のシグナルを読み出し、
(d)前記第2の光源が通電され、前記第1の光源が非通電状態に維持され、発光シグナル光に曝された光センサーから第2のシグナルを読み出し、
(e)第1のシグナルのシグナルおよび第2のシグナルのシグナルを使用してDNAヌクレオチドを識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光エネルギー励起装置は、第3の波長の発光帯域で光を放射する第3の光源を備え、
前記放射は、前記光センサーの第1の露光期間中に、前記第2の光源と前記第3の光源とを非通電状態に維持した状態で前記第1の光源を選択的に通電することを含み、
前記放射は、前記光センサーの第2の露光期間中に前記第1の光源と前記第3の光源とを非通電状態に維持した状態で前記第2の光源を選択的に通電することを含み、
前記放射は、前記光センサーの第3の露光期間中に前記第1の光源と前記第2の光源とを非通電状態に維持した状態で前記第3の光源を選択的に通電することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
励起光線を放射するための少なくとも1つの光源と、
励起光を均質化し、励起光を光エネルギー励起装置の先端部に方向づける光パイプであって、光入射面および光出射面を備え、少なくとも1つの光源から励起光線を受ける光パイプと、を備え、
該光パイプは、テーパ構造であり、前記光パイプの前記光入射面から前記光パイプの前記光出射面に向かう方向における、前記光パイプの長さ全体にわたって、増大する径を有し、前記光パイプは、前記光パイプの前記光出射面を出射する光パイプ出射光線が、前記光エネルギー励起装置の光軸に対して発散する光の発散円錐を画定するように、励起光を反射し、
前記先端部は、生物学的または化学的サンプルを支持するための検出部表面
およびフローセルを備える検出部アッセンブリと結合するように適合され、
前記光エネルギー励起装置は、前記検出部表面の形状およびサイズに一致するイルミネーションパターンを前記検出部表面上に投影するように構成される、
光エネルギー励起装置。
【請求項7】
前記先端部は、前記検出部アッセンブリの対応する形状のハウジング部分に嵌合するように適合された形状のハウジング部分を含む、請求項6に記載の光エネルギー励起装置。
【請求項8】
前記先端部は、前記検出部アッセンブリに結合されたときに、前記光出射面によって画定された物体平面を、前記検出部アッセンブリの検出部表面によって画定された画像平面上に結像するレンズを備える、請求項6に記載の光エネルギー励起装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光源は、前記光パイプの前記光入射面に面結合された発光ダイオードを含む、請求項6に記載の光エネルギー励起装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光源が、第1および第2の光源を備え、光パイプが前記光源から励起光線を受け、前記光パイプと共通のハウジングに収容された第2の光パイプを備え、該第2の光パイプが、前記第2の光源から励起光線を受け、
前記光パイプおよび前記第2の光パイプが、それぞれ、前記第1の光源および前記第2の光源から放射された励起光線を伝播し、前記光パイプおよび前記第2の光パイプをそれぞれ通って伝播する励起光線を成形して、第1および第2の別個のイルミネーションパターンを画定する、請求項6に記載の光エネルギー励起装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの光源は、前記光パイプの光入射面に表面結合された第1の発光ダイオードと、前記光パイプの光入射面に表面結合された第2の発光ダイオードとを含み、前記第1の発光ダイオードは、第1の波長帯域の光を放射し、前記第2の発光ダイオードは、第2の波長帯域の光を放射する、請求項6に記載の光エネルギー励起装置。
【請求項12】
前記出射光線は、前記光軸に並行する方向に、前記光出射面から延在する基準光線に対して0度から最大発散角までの範囲の角度で発散し、前記最大発散角は、約60度未満の角度である、請求項6に記載の光エネルギー励起装置。
【請求項13】
光の発散円錐が、前記テーパ構造なしで形成された光発散角の発散円錐に対して低減された光軸に対する角度を形成する、請求項6に記載の光エネルギー励起装置。
【請求項14】
前記光パイプから励起光を受け、前記先端部を出射する励起光の励起光線が、前記光エネルギー励起装置の光軸に向かって収束して前記検出部表面の大きさおよび形状に合致するイルミネーションパターンを投影する収束円錐を画定するように前記励起光の光線を成形するレンズを備える、請求項6に記載の光エネルギー励起装置。
【請求項15】
前記光パイプから励起光を受け、レンズの光出射面を出射する励起光線が、前記光エネルギー励起装置の光軸に向かって収束する光の収束円錐を画定するように前記励起光の光線を成形するレンズを備え、該レンズを出射する前記光出射光線は、前記光軸に並行する方向に前記光出射面から延在する基準光線に対して0度から最大収束角度までの範囲の角度で収束し、最大発散角度は、約60度未満の角度である、請求項6に記載の光エネルギー励起装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの光源は、前記光パイプの光入射面に結合された表面である発光ダイオードを備え、
前記光パイプはガラスを含み、前記光パイプは、テーパ構造であり、前記光パイプの前記光パイプの長さ全体にわたって、前記光パイプの前記光入射面から前記光出射面に向かう方向における、増大する径を有し、前記光パイプの前記光出射面を出射する光パイプ出射光線が、前記光エネルギー励起装置の光軸に対して発散する光の発散円錐を画定するように、前記光パイプが励起光を反射し、
前記光パイプから前記励起光を受け、前記励起光の光線を成形して、前記先端部を出射する前記励起光の光線が、前記光軸に対して収束する光の収束円錐を画定するようにするレンズを備え、
1つまたは複数の光源の波長の累積発光帯域よりも長い波長の光をフィルタリングする1つ以上のフィルタを備え、
光軸を折り曲げるフォールド光学系を備える、請求項6に記載の光エネルギー励起装置。
【請求項17】
励起光線を放射するための少なくとも1つの光源と、励起光線を均質化し、該励起光線を方向付けるための光パイプとを備える光エネルギー励起装置であって、光パイプはが少なくとも1つの光源から励起光線を受けるための光入射面を備える、光エネルギー励起装置と、
光出射面であって、前記光パイプは、テーパ構造であり、前記光パイプの前記光入射面から前記光パイプの前記光出射面に向かう方向における、前記光パイプの長さ全体にわたって、増大する径を有し、前記光パイプは、前記光パイプの前記光出射面を出射する光パイプ出射光線が、前記光エネルギー励起装置の光軸に対して発散する光の発散円錐を画定するように、励起光を反射する、光出射面と、
生物学的または化学的サンプルを支持するための検出部表面と、該検出部表面から離間された光センサーを備えるセンサーアレイとを備える検出部であって、前記光エネルギー励起装置は、前記検出部表面の形状およびサイズに一致するイルミネーションパターンを前記検出部表面上に投影するように構成され、前記光エネルギー励起装置からの励起光および発光シグナル光を受け、センサーアレイの光センサーによって検出された光子に応じてデータシグナルを送信するための回路を備え、励起光を遮断し、発光シグナル光が前記光センサーに向かって伝播することを可能にする検出部と、を備える、システム。
【請求項18】
前記光エネルギー励起装置は、前記光パイプの光出射面によって画定される物体平面を、前記検出部表面によって画定される像平面上に集束させるレンズを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの光源が、前記光パイプの前記光入射面に結合された表面である発光ダイオードを備え、前記光パイプがガラスを備え、前記光パイプはテーパ構造であり、前記光パイプの前記光入射面から前記光パイプの前記光出射面に向かう方向における、前記光パイプの長さ全体にわたって、増大する径を有し、前記光パイプは、前記光パイプの前記光出射面を出射する光パイプ出射光線が、前記光エネルギー励起装置の光軸に対して発散する光の発散円錐を画定するように、励起光を反射し、
前記光エネルギー励起装置は、前記光エネルギー励起装置が、前記光パイプから励起光を受け、レンズを出射する光出射光線が、前記光エネルギー励起装置の前記光軸に対して収束する光の収束円錐を規定するように、励起光の光線を成形するレンズを備え、
前記光エネルギー励起装置は、1つまたは複数の光源の波長の累積発光帯域よりも長い波長の光をフィルタリングする1つ以上のフィルタを備える、
請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「光エネルギー蛍光励起(Light Energy Fluorescence Excitation)」という名称の、2017年12月28日に出願された米国特許出願第62/611,448号の優先権を主張する。本出願はまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「2018年3月19日に出願された「光エネルギー蛍光励起」という名称の米国特許出願第62/644,805号の優先権を主張する。本出願はまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「光エネルギー蛍光励起」という名称の、2018年3月20日に出願されたオランダ特許出願第2020636号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
生物学的または化学研究における種々のプロトコルは、制御された反応を行うことを含む。次いで、指定された反応を観察または検出することができ、その後の分析は、反応に関与する化学物質の特性を同定または明らかにするのに役立つことができる。
【0003】
いくつかの多重アッセイにおいて、同定可能な標識(例えば、蛍光標識)を有する未知の分析物は、制御された条件下で、数千の既知のプローブに曝露され得る。各既知のプローブは、マイクロプレートの対応するウェルに配置することができる。既知のプローブとウェル内の未知の分析物との間で起こる任意の化学反応を観察することは、分析物の特性を同定または明らかにするのに役立ち得る。このようなプロトコルの他の例には、合成による配列決定(SBS)または環状アレイ配列決定などの既知のDNA配列決定プロセスが含まれる。
【0004】
いくつかの蛍光検出プロトコルでは、励起光をフルオロフォア(蛍光体)、例えば蛍光標識された検体に向けるために、また、付着したフルオロフォアを有する検体から発光することができる蛍光発光シグナル光を検出するために、光学系が使用される。しかしながら、このような光学系は、比較的高価であり、より大きなベンチトップ設置面積を必要とする可能性がある。例えば、光学系は、レンズ、フィルタ、及び光源の配置を含むことができる。
【0005】
他の提案された検知システムでは、フローセル内の制御された反応は、固体光センサーアレイ(例えば、相補型メタルオキシドセミコンダクタ(CMOS)検出部または電荷結合素子(CCD)検出部)によって規定される。これらのシステムは、蛍光発光を検出するための大きな光学アセンブリを含まない。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、1つまたは複数の光源を含むことができる光エネルギー励起装置を説明する。光エネルギー励起装置は、生物学的又は化学的サンプルを支持することができる検出部表面に向けられた励起光を放射することができる。
【0007】
本明細書では、光エネルギー励起装置により励起光を放射する工程であって、前記光エネルギー励起装置は、第1の光源および第2の光源を備え、前記第1の光源は、第1の波長放射帯域で励起光線を放射し、前記第2の光源は、第2の波長放射帯域で励起光線を放射する、工程と、励起光および該励起光による励起から生じる発光シグナル光を検出部で受け、前記検出部は、生物学的または化学的サンプルを支持するための検出部表面と、該検出部表面から間隔を置いて配置されたセンサーアレイとを備え、前記検出部は、励起光を遮断し、発光シグナル光が前記センサーアレイの光センサーに向かって伝播することを可能にする、工程と、前記センサーアレイの光センサーによって感知された光子に応じて検出部データシグナルの回路を送信する、工程と、を含む方法を説明する。
【0008】
本明細書では、励起光線を放射するための少なくとも1つの光源と、励起光を均質化し、励起光を光エネルギー励起装置の先端部に方向づける光パイプであって、光入射面および光出射面を備え、少なくとも1つの光源から励起光線を受ける光パイプと、を備え、前記先端部は、生物学的または化学的サンプルを支持するための検出部表面を備える検出部アッセンブリと結合するように適合される、
光エネルギー励起装置を説明する。
【0009】
本明細書では、励起光線を放射するための少なくとも1つの光源と、励起光線を均質化し、該励起光線を方向付けるための光パイプとを備える光エネルギー励起装置であって、光パイプはが少なくとも1つの光源から励起光線を受けるための光入射面を備える、光エネルギー励起装置と、生物学的または化学的サンプルを支持するための検出部表面と、該検出部表面から離間された光センサーを備えるセンサーアレイとを備える検出部であって、前記光エネルギー励起装置からの励起光および発光シグナル光を受け、センサーアレイの光センサーによって検出された光子に応じてデータシグナルを送信するための回路を備え、励起光を遮断し、発光シグナル光が前記光センサーに向かって伝播することを可能にする検出部と、を備える、システムを説明する。
【0010】
前述の概念と、以下でより詳細に論じられる追加の概念とのすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)が、本明細書で開示される本発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求の範囲に記載された主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示された本発明の主題の一部であると考えられる。
【0011】
以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むと、本明細書に記載のこれらおよび他の特徴、態様、および利点がよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、生物学的または化学的試験を実施するためのシステムの概略構成図であり、このシステムは、光エネルギー励起装置と、一実施形態による検出部を有する検出部アッセンブリとを有する。
【
図2】
図2は、一実施形態による、光エネルギー励起装置の断面側面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による、
図2の光エネルギー励起装置における光線伝播を示す光線トレース図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による、印刷回路基板上に配置された複数のLEDによって提供される光源を含む光源列を示す。
【
図5】
図5は、一実施形態による、光パイプの光入射面上に結合された複数のLED表面によって提供される光源の側面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態による、光エネルギー励起装置の概略斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施形態による、光エネルギー励起装置の模式図である。
【
図8】
図8は、一実施形態による、第1および第2の光パイプを有する光エネルギー励起装置の動作を示す光線トレース図である。
【
図9】
図9は、一実施形態による光エネルギー励起装置を示す斜視断面側面図である。
【
図10】
図10は、一実施形態による、検出部アッセンブリに結合された光エネルギー励起装置を有する装置の斜視図である。
【
図11】
図11は、一実施形態によるフローセルを画定するフローセルフレームの組立斜視図である。
【
図12】
図12は、一実施形態による、結合され、その上に位置合わせされ得る光エネルギー励起装置の位置合わせのための位置決め特徴部を画定する検出部アセンブリカートリッジの内面図である。
【
図13】
図13は、一実施形態による、集積回路によって提供される検出部に関して規定されるフローセルの上面図である。
【
図14】
図14は、一実施形態による、光パイプおよびレンズを画定する単一の材料片によって提供される光エネルギー励起装置である。
【
図15】
図15は、一実施形態による、光パイプおよびレンズを一般に画定する単一の材料片を有する光エネルギー励起装置の斜視図であり、レンズは、フレネルレンズによって提供される。
【
図16】
図16は、一実施形態による、光センサーアレイと整列された光導波路アレイとを有する集積回路によって提供される検出部の一部の切り欠き側面図である。
【
図17】
図17は、一実施形態による、ライトセンサ部と、整列された光ガイド(導光板)とを有する集積回路によって提供される検出部の一部の切り欠き側面図である。
【
図18】
図18は、一実施形態による、工程管理体制の模式図である。
【
図19】
図19は、複数の光エネルギー励起装置の光源およびそれら励起光源の使用により励起され得る複数のフルオロフォアのスペクトルプロファイルを示すスペクトルプロファイル調整図である。
【
図20】
図20は、DNAシークエンス再構成のDNA配列決定過程のサポートに使用できるプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、システム100で使用するための光エネルギー励起装置10が示されている。システム100は、生物学的または化学的試験を実施するために使用することができる。装置100は、光エネルギー励起装置10及び検出部アッセンブリ20を含むことができる。検出部アッセンブリ20は、検出部200及びフローセル282を含むことができる。検出部200は、サンプル502(例えば、DNAフラグメントによって提供され得る分析物)を支持するための複数の光センサー202および検出部表面206を含み得る。一実施形態による検出部表面206は、複数の反応凹部210を画定することができ、生物学的または化学的サンプルなどのサンプル502を、そのような反応凹部210内に支持することができる。
【0014】
検出部200は、励起光と、励起光による励起から生じる検出部表面206からの発光シグナル光とを受ける複数の光ガイド214を含むことができる。光ガイド214は、検出部表面206から光を導くことができる。光ガイド214は、それぞれの光センサー102に向かって延在し、励起光を遮断し、発光シグナル光がそれぞれの光センサーに向かって伝播することを可能にするフィルタ物質を含むことができる。
【0015】
一実施形態によれば、検出部200は、相補型メタルオキシド半導体(CMOS)集積回路検出部または電荷結合素子(CCD)集積回路検出部などの固体集積回路検出部によって提供することができる。
【0016】
一実施形態によれば、それぞれの光センサー202は、長軸268が光センサー202、光ガイド214、および反応凹部210の断面幾何学中心(幾何学的断面中心)を通って延びるように、それぞれの光ガイド214およびそれぞれの反応凹部210に整列させることができる。フローセル282は、検出部表面206、側壁284、およびフローカバー288によって画定することができる。フローカバー288は、光エネルギー励起装置10によって提供される励起光を透過する光透過性カバーであり得る。
【0017】
別の態様では、検出部200は、光ガイド214の中間に誘電体積層領域218を含むことができる。誘電体積層領域218は、例えば、光センサー202のデジタル化ストレージおよびプロセスからのシグナルの読み取りのために、その中に形成された回路を有することができる。
【0018】
システム100は、流体がフローセル282に入ることができる入口ポート289と、流体がフローセル282から出ることができる出口ポート290とを含むことができる。入口ポート289および出口ポート290は、フローカバー288によって画定することができる。
【0019】
一例によれば、システム100は、フルオロフォアを使用して生物学的または化学的試験を行うために使用することができる。例えば、1つ以上のフルオロフォアを有する流体は、入口ポート289および出口ポート290を使用して、入口ポートを通ってフローセル282に流入し、そして流出するようにされ得る。フルオロフォアは、様々なサンプル502に引きつけることができ、したがって、それらの検出によって、フルオロフォアは、サンプル502のマーカー、例えば、それらが引きつける生物学的または化学的検体として作用することができる。
【0020】
フローセル282内のフルオロフォアの存在を検出するために、励起波長範囲の励起光101が光エネルギー励起装置10によって放射されるように、光エネルギー励起装置10にエネルギーを与えることができる。サンプル502に付着した励起光フルオロフォアは、光センサー202による検出のための興味のシグナルである放射シグナル光501を発することができる。サンプル502に付着したフルオロフォアの蛍光による発光シグナル光501は、励起光101の波長範囲に対して赤方偏移した波長範囲を有する。
【0021】
光エネルギー励起装置10は、サンプル502に付着したフルオロフォアを励起するために励起光101を放射するように作動させることができる。励起光101によって励起されると、サンプル5102に付着したフルオロフォアが蛍光を発して、励起光101の波長範囲よりも長い波長を有する波長範囲で発光シグナル光501を放射することができる。発光シグナル光501の有無は、サンプル502の特性を示すことができる。一実施形態による光ガイド214は、光センサー202が励起光101を発光シグナル光501として検出しないように、光エネルギー励起装置10によって透過される励起光101の波長領域の光をフィルタすることができる。
【0022】
試験サポートシステムエリア300内のシステム100は、プロセス制御システム310と、流体制御システム320と、流体貯蔵システム330と、操作者がシステム100の制御のためのインプットを入力することを可能にするユーザインタフェース340とを含むことができる。一実施形態による処理制御システム310は、処理部ベースのシステムによって提供することができる。プロセス制御システム310は、DNA配列再構築プロセスなどの様々な生物学的または化学的処理を実行することができる。一例によれば、生物学的または化学的処理を実行するために、プロセス制御システム310は、例えば、光エネルギー励起装置10、検出部200、および/または液体制御システム320に、調整された制御シグナルを送信することができる。流体貯蔵システム330は、フローセル282を通って流れる流体を貯蔵することができる。
【0023】
一実施形態によれば、光エネルギー励起装置10は、1つ以上の光源を含むことができる。一例によれば、光エネルギー励起装置10は、1つ以上の光整形要素を含むことができる。光エネルギー励起装置10は、1つまたは複数の光源から放射された光を方向付ける光放射を整形するための1つまたは複数の光学部品を含むことができる。1つ以上の光源は、例えば、1つ以上の光パイプ、レンズ、くさび、プリズム、反射材、フィルタ、格子、コリメーター、または上記の任意の組合せを含むことができる。
【0024】
図2は、一例による光エネルギー励起装置10を示す。光エネルギー励起装置10は、1つ以上の光源、例えば、光源102A-102Zと、図示の例では折り曲げ軸である光軸106に沿って光を方向付けるための様々な光学素子とを有する光源列102を含むことができる。
【0025】
光エネルギー励起装置10は、光パイプ110と、光パイプ110を透過した励起光線を整形するためのレンズ114とを含むことができる。光パイプ110およびレンズ114は、光軸106を中心とする断面幾何学中心を有することができる。
【0026】
光パイプ110は、光入射面109および光出射面111を含むことができる。光源列102から放射された励起光101は、光入射面109に入射することができ、光パイプ110の光出射面111から出射することができる。内面反射を提供するように選択された屈折率を有することによる光パイプ110は、光パイプ110を透過した出射光線が均質になるように光を均質化するために、光源列102から受けた受光線を様々な方向に反射することができる。したがって、光源列102の光源が「ホットスポット(hot spot)」を有するか、または光パイプ110に対して非対称に配置されるか、または他の凹凸を有する場合であっても、光パイプ110の光出射面111において均一な光を生成することができる。
【0027】
光パイプ110は、内面反射を提供するように選択された屈折率を有することによって、光パイプ110を画定するサイドウォール表面によって画定される体積領域に受光し、送信する励起光線を閉じ込めることができる。光パイプ110は、均一な光透過性物質、例えば、ポリカーボネートまたはシリカグラスで形成することができる。
【0028】
一例によれば、光パイプ110は、光入射面109から光パイプ110の光出射面111への方向に、その長さ全体にわたって直径が増大することによって画定されるテーパ構造であってもよい。一例によれば、光パイプ110は、光入射面109から光パイプ110の光出射面111への方向に、その長さ全体にわたって直線的に増大する直径によって画定されるテーパ構造であってもよい。
【0029】
一例によれば、光エネルギー励起装置10は、レンズ114が光パイプ110の光出射面111を画像平面130上に結画像するように構成することができ、一例によれば、システム100は、画像平面130が、DNAフラグメントなどのサンプル502を支持するように構成することができる検出部表面206と一致するように構成することができる。物体平面を画像平面上に結画像することによってレンズ114は、光パイプ110の光出射面111に存在する均質化された光の画像を、検出部200(
図1)のサンプル支持検出部表面206上に投影することができる。
【0030】
本明細書の実施例は、光源バンク102から放射される励起光線が蛍光範囲光線を含まないように光源バンク102を選択することができるが、それにもかかわらず、蛍光範囲光線は、自己蛍光の結果として光エネルギー励起装置10内で放射することができることを認識する。別の態様では、光エネルギー励起装置10は、光エネルギー励起装置10内からの自己蛍光の結果として放射する、例えば、レンズ114、光パイプ110、および反射材118、ならびに光エネルギー励起装置10の他の表面から放射する蛍光範囲波長をフィルタするために、ショートパスフィルタ122を含むことができる。
【0031】
光エネルギー励起装置10は、光軸106が、光軸106が図示の基準Y軸に平行に延びる第1の方向から、光軸106が図示の基準Z軸に平行に延びる第2の方向に方向を変えるように、光軸106を曲げる(fold)ための光反射器118を含むことができる。光エネルギー励起装置10は、光軸106を中心とする断面中心を有する窓126と、ハウジング134と、
図1に示される一定の空間関係などの一定の空間関係で様々な光学部品を支持するための他の支持構成要素とを含むことができる。
【0032】
図2の例における光エネルギー励起装置10の光線トレース図を
図3に示す。
図3の光線追跡図を参照すると、レンズ114は、光パイプ110の光出射面111で画定することができる物体面112を、生物学的または化学的サンプルを支持するように適合させることができる検出部表面206に配置することができる像面130上に結像させることができる。
図3の光線トレース図から分かるように、光パイプ110の光出射面111を出射する光線は、光パイプ110の光出射面111を出射する光線の大部分がレンズ114の光入射面によって受光されるように十分に制限された発散角で発散する発散光線とすることができる。本明細書の実施例は、光パイプが光を均質化する目的に有用であるが、光パイプは、大きな最大発散角、例えば90°に近い角度で出射する出射光線を透過することができることを認識する。
【0033】
本明細書の実施例は、例えば、光パイプ110が一様な直径、すなわちテーパのない直径を有するように代替的に構成される場合、光パイプ110を出る出射光線のかなりの割合が、レンズ114の光入射面113が出射光線を集めないように十分に大きい発散角で光出射面111を出ることができることを認識する。本明細書の実施例は、光パイプ110が、その長さに沿ってテーパ状であり、光軸106を中心とする断面幾何学中心を有し、適切な屈折率を含むように設けられることにより、光パイプ110内での反射が提供され、その結果、光パイプ110の光出射面111から出射する光線は、90°の最大限の発散角に対して低減された角度で光パイプ110の光出射面111を出射することを認識する。
【0034】
図2および
図3を参照して説明した例では、光パイプ110の光出射面111を出射する出射光線は、光出射面から光軸106に並行に延びる基準光線に対して0度から最大発散角までの範囲の角度で発散する光線を有する光の発散円錐1100を画定することができる。定義された発散円錐光1100は、光軸106に対して最大限の発散角で発散することができる。一例によれば、最大発散角は、光出射面111を出射する出射光線の大部分がレンズ114の光入射面によって集光されるように設計された発散角である。一実施形態によれば、光エネルギー励起装置10は、出射面111を出射する光励起光線が、光出射面から延びる基準光線に対して、レンズ114の光入射面113による集光を確実にするのに十分に小さな光軸106に並行する方向に最大限の発散角で発散するように構成される。
【0035】
一実施形態によれば、光エネルギー励起装置10は、光パイプ110の光出射面111から出射する出射光線が、光軸106に並行する方向に光出射面から延在する基準光線に対して0度から最大発散角までの範囲の角度で発散する光線を有する光1100の発散円錐を画定するように構成することができ、光パイプ110は、最大発散角が約60度以下であるように構成される。一実施形態によれば、光エネルギー励起装置10は、光パイプ110の光出射面111から出射する出射光線が、光軸106に並行する方向に光出射面から延在する基準光線に対して0度から最大発散角までの範囲の角度で発散する光線を有する光の発散円錐1100を画定するように構成され、光パイプ110は、最大発散角が約50度以下であるように構成される。一実施形態によれば、光エネルギー励起装置10は、光パイプ110の光出射面111から出射する出射光線が、光軸106に並行する方向に光出射面から延在する基準光線に対して0度から最大発散角までの範囲の角度で発散する光線を有する光の発散円錐1100を画定するように構成され、光パイプ110は、最大発散角が約40度以下であるように構成される。一実施形態によれば、光エネルギー励起装置10は、光パイプ110の光出射面111から出射する出射光線が、光軸106に並行する方向に光出射面から延在する基準光線に対して0度から最大発散角までの範囲の角度で発散する光線を有する光の発散円錐1100を画定するように構成され、光パイプ110は、最大発散角が約35度以下であるように構成される。一実施形態によれば、光エネルギー励起装置10は、光パイプ110の光出射面111から出射する出射光線が、光軸106に並行する方向に光出射面から延在する基準光線に対して0度から最大発散角までの範囲の角度で発散する光線を有する光の発散円錐1100を画定するように構成され、光パイプ110は、最大発散角が約30度以下であるように構成される。
【0036】
結像機能を提供するために、レンズ114は、光パイプ110を透過した受信励起光線を収束させることができる。
図2および
図3を参照して説明した例では、レンズ114の光出射面115を出射する出射光線は、光軸106に並行する方向に光出射面から延在する参照光線に対して0度から最大収束角度までの範囲の角度で収束する光線を有する収束円錐光1400を画定することができ、レンズ114は、最大収束角度が約60度以下であるように構成される。定義された収束円錐光1400は、光軸106に対して最大限の収束角で収束することができる。
図2および
図3を参照して説明した例では、レンズ114の光出射面115を出射する出射光線は、光軸106に並行する方向に光出射面から延在する参照光線に対して0度から最大収束角度までの範囲の角度で収束する光線を有する収束円錐光1400を画定することができ、レンズ114は、最大収束角度が約50度以下であるように構成される。
図2および
図3を参照して説明した例では、レンズ114の光出射面115を出射する出射光線は、光軸106に並行する方向に光出射面から延在する参照光線に対して0度から最大収束角度までの範囲の角度で収束する光線を有する収束円錐光1400を画定することができ、レンズ114は、最大収束角度が約40度以下であるように構成される。
図2および
図3を参照して説明した例では、レンズ114の光出射面115を出射する出射光線は、光軸106に並行する方向に光出射面から延在する参照光線に対して0度から最大収束角度までの範囲の角度で収束する光線を有する収束円錐光1400を画定することができ、レンズ114は、最大収束角度が約35度以下であるように構成される。
図2および
図3を参照して説明した例では、レンズ114の光出射面115を出射する出射光線は、光軸106に並行する方向に光出射面から延在する参照光線に対して0度から最大収束角度までの範囲の角度で収束する光線を有する収束円錐光1400を画定することができ、レンズ114は、最大収束角度が約30度以下であるように構成される。
【0037】
図4は、一実施形態による光源バンク102を示す。光源バンク102は、1つまたは複数の光源を含むことができる。1つの例によれば、1つ以上の光源は、1つ以上のエレクトロルミネッセンスベースの光源、例えば、発光ダイオード、発光電気化学セル、エレクトロルミネッセンスワイヤ、またはレーザー、または上記の任意の組合せによって提供することができる。
図4に示す実施形態では、光源列102は、複数の発光ダイオード(LED)によって提供される複数の光源102A~102Jを含むことができる。説明した例示の光源102A~102Gは、緑色波長帯域の励起光線を放射する緑色LEDとすることができ、光源102H~102Jは、青色波長帯域の励起光線を放射する青色LEDとすることができる。LEDによって提供される光源102A~102Jは、一実施形態によれば、印刷回路基板1020上に配置することができる。システム100の動作において、プロセス制御システム310は、LEDによって提供される光源102A~102Jの通電を制御することができ、その結果、一定の発光帯域の1つ以上のLEDが、一定の時点で選択的に活性化される。一実施形態による光源102A~102Jは、面発光LEDによって提供することができる。面発光LEDなどのLEDは、光線角度を光強度と相関させる放射パターンを有することができる。LED発光パターンは、ダイス形状、ダイス窓、光成形材料の屈折率及び屈折角のようなパラメータの機能とすることができる。放射パターンは、一例によれば、すなわち、強度が法線に対する放射角のコサインに比例することを指定するランバートとすることができる。
【0038】
プロセス制御システム310は、例えば、光センサー202が露光される検出部200の第1の露光期間中に緑色LEDによって提供される光源102A~102Gのみを通電することができ、光センサー202が露光される検出部200の第2の露光期間中に青色LEDによって提供される光源102H~102Jのみを通電することができる。2つの、独立して選択可能なピーク波長で発光するように光源列102を提供することは、緑色(532nm)および青色(470nm)励起の両方を使用することができる色素ケミストリープロセスを容易にする。一例によれば、光源列102は、赤色帯域中心波長(例えば、赤色:630nm)で発光する光源、例えば、印刷回路基板1020上に配置された赤色LEDを含むことができる。赤色照明を提供することは、一例による追加の試験および較正手順を促進する。
【0039】
図4に示すように、光源画定光源列102は、対称的に一様に、または任意の順序付けられた構成に従って配置される必要はないことが分かる。例えば、
図4に示される特定の構成によれば、緑色LEDによって提供される光源102A~102Gは、非通電(消勢)状態に維持された青色LEDによって提供される光源102H~102Jによって選択的に通電され、励起光線のより大きな割合が、光パイプ110の光入射面109の左側を通って光パイプ110に入り、青色LEDによって提供される光源102H~102Jが、非通電状態に維持された緑色LEDによって選択的に通電されると、励起光線のより大きな割合が、光パイプ110の光入射面109の右側を通って光パイプに入ることが分かる。それにもかかわらず、光パイプ110は、その光反射特性によって、不均衡な入射光を均質化し、光源列102の光源の配置にかかわらず、光パイプ110の光出射面111において均質化された光を生成する。光パイプ110の屈折率は、光源列102からの光線が光パイプ110内で全反射(TIR)を示すように選択することができ、その結果、光パイプ110の光出射面111において、均一な(均一である)イルミネーションが達成される。
【0040】
図5に示すように、光源列102は、光損を確実に低減するように光パイプ110に結合することができる。
図5に示す構成では、
図4のプリント回路基板1020上に配置されたLEDの側面図が示されている。
図5に示される側面図において、LEDによって提供される光源102A、102C、および102Eは、
図4に示されるように、光源102A、102C、および102Eに対応するように示される。光源102A~102Jは、
図5に示すような扁平状平面発光面を有するLEDによって提供することができる。
図5を参照すると、LED(その光源102A、102C、および102Eが側面図に示されている)によって提供される光源102A~102Jの扁平状平面発光面は、光パイプ110の光入射面109に表面結合(突き合わせ結合)される。LEDによって提供される光源102A~102Jの放射面のような光入射面109は、LEDによって提供される光源102A~102Jが光入射面109上に表面結合されるとき、低光ロスを保証するために、扁平状かつ平面であり得る。
図5に示された面結合を使用することにより、90パーセント以上の光パイプ110を通るLED光の透過率を特定するカップリング効率を達成することができ、一実施形態によれば、カップリング効率がレンズの開口数に依存するレンズへの光源のカップリング効率に有利に匹敵する98パーセント以上を達成することができる。
【0041】
さらに
図5に関して、LEDによって提供されるそれぞれの光源102A~102Jのフロントフェイスの全体が、光パイプ110の光入射面109によって対向され、したがって、LEDによって提供される光源102A~102Jによって放射される励起光線の大部分が、光パイプ110の光入射面109によって確実に受けられることが分かる。
【0042】
光エネルギー励起装置10は、励起光101(
図1)を第1のより低い波長領域、例えば約560nm未満で放射して、フルオロフォアを励起することができ、フルオロフォアは、励起光に応答して、より長い波長、例えば約560nmより長い波長を含む、放射シグナル光501の第2の波長領域を放射する。検出部200は、より長い波長でのこれらの波長域発光が光センサー202によって検出されるように構成することができる。検出部200は、蛍光フルオロフォアに起因する発光シグナル光501が光センサー202によって選択的に受光されるように、励起光101の波長領域の光を遮断するためにフィルタ材から形成され得る光ガイド214を含み得る。
【0043】
本明細書の実施例は、光エネルギー励起装置10が蛍光放射帯域(蛍光範囲)の光を放射する場合、そのような放射光は、望ましくなく、光センサー202によって放射シグナル光として感知され得ることを認識する。本明細書の実施例は、光エネルギー励起装置10による蛍光範囲波長の放射を低減する特徴を含む。
【0044】
上述したように、光エネルギー励起装置10は、ショートパスフィルタ122を含むことができる。短通過フィルタ122は、光源列102の発光エネルギー帯域の励起光線の透過を可能にするが、光エネルギー励起装置110内の自己蛍光成分に起因するフローセル282内の蛍光範囲の光を遮断する。ショートパスフィルタ122は、ショートパスフィルタ122が、光エネルギー励起装置10内の自己蛍光材料に起因する自己蛍光範囲波長を拒絶できるように、光エネルギー励起装置10の先端部に配置することができる。レンズ112およびレンズ114の前方に配置された構成要素から光伝播方向に照射される自己蛍光範囲照射のフィルタ処理を容易にするために、光エネルギー励起装置10の先端部において、レンズ114の後方に光伝播方向に短通過フィルタ122を配置することができる。一実施形態によるショートパスフィルタ122は、より高い屈折率およびより低い屈折率を有する材料の交互の層を堆積させた基材を含むことができる。屈折率の高い材料には、例えば、二酸化チタン(TiO2)又はタンタル一酸化炭素(Ta2O5)を含み、屈折率の低い材料には、例えば、二酸化シリコン(SiO2)を含むことができる。一例によれば、材料層は、例えばイオンビームスパッタリングを用いてハードコーティングすることができる。
【0045】
蛍光範囲光をさらに低減するために、光エネルギー励起装置10の材料を、低減された自己蛍光のために選択することができる。本明細書の実施例は、ケイ酸ガラスが、光学系で一般に使用されるポリカーボネート材料よりも自己蛍光が少ないことを認識する。一実施形態によれば、光エネルギー励起装置10の1つ以上の光学部品は、ケイ酸ガラスで形成されるように選択することができる。本明細書の実施例は、ケイ酸ガラスが、光学部品の代替材料と比較して、低減された自己蛍光を生成することができ、したがって、1つ以上の例示に従って、光パイプ110、レンズ114、ショートパスフィルタ122(その基材)、および窓126のうちの1つ以上が、自己蛍光の低減のためにケイ酸ガラスで形成されるように選択され得ることを認識する。一実施形態によれば、光パイプ110、レンズ114、ショートパスフィルタ122(その基材)、および窓126のうちの1つまたは複数は、自己蛍光の低減のために均一なケイ酸ガラスで形成されるように選択される。光パイプ110、レンズ114、ショートパスフィルタ122(その基材)、及び窓126の各々は、自己蛍光の低減のために均一なケイ酸ガラスで形成されるように選択される。
【0046】
図6には、光エネルギー励起装置10の三次元模式図が示されている。
図6に示すように、物体平面112は、レンズ114によって像平面130上に結像することができる。ここで述べるように、物体平面112は、光パイプ110の光出口面111で定義することができ、出口面111での光の画像が画像平面130に投影されるようになり、このようにしてサンプルを支持するために検出部200の検出部表面206(
図1)に位置することができる。レンズ114は光パイプ110の光出射面111を結像することができるので、光出射面111の形状を結像面130上に結像し、それに従って結像することができることが理解されよう。一実施形態によれば、光出射面111の形状は、検出部表面206の形状およびサイズに対応するように選択され、光エネルギー励起装置110は、光出射面111の形状を画像平面130上に結像するように構成され、その結果、レンズ114は、検出部表面206の形状およびサイズに一致するイルミネーションパターン107(
図3)を検出部表面206上に投影する。
【0047】
光エネルギー励起装置10を、検出部表面206の形状および大きさに合致する光パターン107(
図3)を検出部表面206上に投影するように構成することにより、様々な利点が得られる。このように構成することによって、投影されたイルミネーションパターンは、光エネルギーを浪費する検出部200の周囲外の領域を照明(イルミネーション)せず、また、関心のある領域である領域を不十分に照明しない。
【0048】
図6に関連して説明した実施形態では、サンプルを支持するための光出射面111および検出部表面206の両方を直線状にすることができる。
図6に見られるように、光パイプ110は、その長さ全体にわたって直線断面(光軸106を横切る6-6に沿った)を含むことができる。さらに、上述したように、光パイプ110は、テーパ構造とすることができ、光入射面109から光出射面111までのその長さ全体にわたって増大する直径を有することができる。光パイプ110が直線断面を有する場合、光パイプ110の光出射面111を出る励起光線によって画定される光1100の発散円錐は、レンズ114の光入射面113に向かう光伝播の方向にコーナーがより柔らかくなり、より拡散する直線断面を有することができることが理解されるであろう。
【0049】
一実施形態によれば、光エネルギー励起装置10は、光パイプ110が直線状の光出射面111を有するように構成することができ、その画像は、光出射面111の形状に対応する直線状の周囲を有することができるサンプルを支持するために、レンズ114によって検出部表面206上に投影することができる。
【0050】
一例による光エネルギー励起装置10の構成要素の仕様が、一例による光エネルギー励起装置10の様々な光学パラメータ値を示す
図7に示されている。
図7に示す例では、レンズ114は、像平面130における投影像のサイズが物体平面112における物体(光出射面111)のサイズと共通であるように、1:1の倍率を有する。一実施形態による光エネルギー励起装置10は、LEDダイス当たり2Aの駆動電流で約5W/cm
2の緑色照明強度を生成することができ、LEDダイス当たり2Aの駆動電流で約7W/cm
2の青色照明強度を生成することができる。約>75%のイルミネーション均一性が、全体イルミネーション領域内で達成され得る。光エネルギー励起装置10に使用する材料を以下の表1に示す。
【0051】
【0052】
別の例では、光パイプ110は、光パイプ110の光出射面111が直線形状以外の形状、例えば、光軸106を横切る6-6に沿った円形断面を有することができるような形状とすることができる。このような実施形態は、サンプル支持検出部表面206が、直線形状以外の形状であり、光出射表面111の形状に対応する周囲を有する場合に好都合であり得る。
【0053】
光エネルギー励起装置10の設計は、異なる形状を有する異なる検出部表面206を有する検出部200による異なる検出部による最適化のために容易に修正することができる。例えば、検出部200による第1の検出部は、(Z軸に沿った上面図から)長方形の検出部表面206を有することができ、検出部200による第2の検出部は、正方形の検出部表面206を有することができ、検出部200による第3の検出部は、円形の検出部表面206を有することができる。レンズ114は、光出射面111と一致する物体面112を検出部表面206上に結像するように構成されているので、光エネルギー励起装置10は、光パイプ110を異なる構成に変更するだけで、異なる形状の検出部のいずれかと共に使用するように最適化することができる。一例によれば、
図2の破線132によって示されるように、交換可能なモジュール・エネルギー・励起装置10を保持するためのホルダは、交換可能な光パイプモジュール133を備えたモジュール型の構造であってもよく、光エネルギー励起装置10は、異なる構造の一つ又は複数の光パイプ110を備えた、当該光パイプブロックモジュールの複数のものと共に提供することができる。異なる形状の検出部表面206を有する異なる形状の検出部200と共に使用するために光エネルギー励起装置10を最適化することは、異なる形状の検出部表面206を有する異なる形状の検出部200の形状に一致する第2の光パイプ110及び第2の形状の光パイプ出射面111を有する第2の光パイプモジュール133と共に、第1の光パイプ110及び第1のパイプ光出射面111を有する、現在設置されている第1の光パイプモジュール133を単にスイッチアウトすることを含むことができる。光エネルギー励起装置10は、破線132で示されるように、別のモジュールがハウジング114のホルダに取り付けられると、新たに取り付けられたモジュール133の光パイプ110の光出射面111が物体平面112上に配置され、光パイプ110の光出射面111が検出部表面206上に配置された像平面上に結像できるように構成することができる。
【0054】
図8の例では、光エネルギー励起装置10は、本明細書に記載の光パイプ110と、第2の光パイプ10Bとを含むことができる。光パイプ110は、例えばLEDによって提供される第1の光源102Aに表面結合することができ、光パイプ110Bは、例えば第2のLEDによって提供される第2の光源102Bに表面結合することができる。光源102Aおよび光源102Bは、同じ波長帯域または異なった波長帯域の光を放射するように構成することができる。レンズ114は、光パイプ110および第2の光パイプ110Bの光出射面111に画定された物体面112を、検出部表面206に画定され得る像面130上に結像するように構成され得る。したがって、光エネルギー励起装置10は、2つの別個のイルミネーションパターン107Aおよび107Bを検出部表面206上に投影することができ、これは、生物学的または化学的試験設計者が検出部表面206を別個の試験領域に分離することを望むケースで好都合であり得る。一実施形態によれば、試験設計者は、検出部200による第1の検出部を使用して試験を実行することを指定することができ、検出部200および装置100による第2の検出部は、光エネルギー励起装置10が、第1および第2の異なった検出部200のそれぞれ別々の検出部表面206上にイルミネーション領域(照明領域)107および17Bを投影するように構成することができる。
【0055】
本明細書では、光源102Aおよび第2の光源102Bを有する光エネルギー励起装置10が説明され、光パイプ110は、光源102Aから励起光を受け、励起装置は、光パイプ110とのコモンハウジング134に収容された第2の光パイプ110Bを備え、第2の光パイプ110Bは、第2の光源102Bから励起光を受け、光パイプ110および第2の光パイプ110Bは、それぞれ、第1の光源102Aおよび第2の光源102Bから放射された励起光を伝播し、光エネルギー励起装置10は、光パイプ110および第2の光パイプ110Bをそれぞれ通って伝播する励起光を成形して、第1および第2の別個のイルミネーション領域107および107Bを画定する。
【0056】
図8に示す構成は、光軸106および第2の光軸106Bを画定することができる。
図2~7に示されるような単一チャネルシステムにおいて、光軸106は、レンズ114の中心軸線1060と同じ場所に配置することができる。
図8の実施例では、光軸106および光軸106Bの各々は、レンズ114の中心軸線1060に対してずらして並列にすることができる。光パイプ110および光パイプ110Bのそれぞれは、
図3を参照して説明した光線トレース図(単一チャネルシステム)を参照して説明した光1100の発散円錐の発散視野角特性をそれぞれ有する光1100および1100Bの発散円錐を画定することができる。レンズ114は、
図3を参照して説明した光線トレース図(単一チャネルシステム)を参照して説明した光線1400の収束円錐の収束角特性を有する光1400および1400Bのそれぞれの収束円錐を画定することができる。
【0057】
一実施形態によれば、第1および第2の照明チャネルを画定するための光パイプ110および光パイプ110Bは、
図2に関連して説明される破線132によって示される光エネルギー励起装置10のハウジング134の画定されたホルダ内に交換可能に取り付けることができる、本明細書で説明されるような1組の交換可能モジュール133内に含めることができる。
【0058】
図9は、光エネルギー励起装置10の切り欠き物理形状図を示す。
図9に示すように、光エネルギー励起装置10は、光エネルギー励起装置10の性能を改善するために、光エネルギー励起装置10から熱を奪うために放熱板702上に取り付けることができる。
図10は、検出器アセンブリ20に結合された光エネルギー励起装置10を有するシステム100の物理的な斜視図である。
図10に示すように、検出部アッセンブリ20は、フローセル282を収容するカートリッジ802を含むことができる。フローセル282は、
図11に示されるように、フローセル282を規定するフローセルフレーム902の観点アセンブリ物理的形態図を示すフローセルフレーム902によって規定され得る。フローセルフレーム902は、例えば、
図1の模式図に示すように、サイドウォール284およびフローカバー288を含むことができる。
【0059】
図12は、検出部アッセンブリ20のカートリッジ802の内部構成要素を示す構造詳細図である。
図12に示すカートリッジ802は、検出部200への光エネルギー励起装置10の位置合わせを助ける物理的位置合わせ機構806を含むように構成することができる。
図2に示すように、検出部200は、検出部200およびフローセル282がカートリッジ802の溝814に受け入れられるフローセルフレーム902によって確立される位置に配置されるように示されている。物理的な位置合わせ機構806は、光エネルギー励起装置10のハウジング134の先端部によって画定される光エネルギー励起装置10の対応する機構を捕捉するために設けることができる。光エネルギー励起装置10を検出部アセンブリ20および検出部200に結合するために、光エネルギー励起装置10のハウジング134の先端部は、検出部アセンブリ20のカートリッジ802のレセプタクル826に挿入され得、そして光エネルギー励起装置10のハウジング134の先端部が、
図12に示されるように、対応する位置合わせ特徴806と位置合わせされるように配置され得、その結果、光エネルギー励起装置10は、
図1に示されるように、フローセル282および検出部200と適切に整列される。
【0060】
図13は、検出部200の上に配置されたフローセル282の上面図を示す。
図13に示されるような一実施形態によれば、フローセル282は、生物学的または化学的試験の間、全てより少ない光センサー202が活性であるようにフローセル282を形づくる、サイドウォール283を含むことができる。一実施形態による検出部200は、ピクセルとみなすことができる14Mの光センサーの配列を含むことができ、フローセル282は、約8Mの光センサー202が生物学的または化学的試験中に活性であるように、フローセル壁283によって構成することができる。
【0061】
光エネルギー励起装置10の別の例を、
図14および
図15を参照して説明する。
図14に示す一例によれば、レンズ114は、光パイプ110と一体に形成することができる。
図14は、光パイプ110およびレンズ114の両方を画定する単一の材料片によって一体的に形成された光パイプ110およびレンズ114を示す。光エネルギー励起装置10は、光パイプ110と一体に形成されたレンズ114が、サンプル(
図1)を支持するために検出部表面206に画定することができる像平面130上に均質化された光を投影するように構成することができる。
【0062】
図15は、光パイプ110と一体に形成され、レンズ114と光パイプ110の両方を共通に画定する単一の材料片で画定された一体型レンズ114を有する光エネルギー励起装置10の別の例を示す。
図15の例では、レンズ114は、フレネルレンズによって提供されるものとして示されている。フレネルレンズは、低減されたレンズ厚さを有する収束光線を生成することができ、したがって、省スペースの利点を提供することができる。
図13の実施形態におけるレンズ114は、光パイプ110内で反射された均質化された光を、サンプル支持検出部表面206に画定され得る像平面130上に投影することができる。
図14および
図15の例を含む本明細書の任意の例では、フィルタ塗装をレンズ114の光出射面115に直接的に堆積させて、光エネルギー励起装置10の離散フィルタ22を除去することができる。
【0063】
図16および
図17は、光エネルギー励起装置10と共に使用することができる、一実施形態による検出部アッセンブリ20および検出部200のさらなる細部を示す。
【0064】
図16に示される例示的な実施形態では、フローセル282は、検出部表面206サイドウォール284と、サイドウォール284および他のサイドウォール(図示せず)によって支持されるフローカバー288とによって画定される。サイドウォールは、検出部表面206に結合することができ、フローカバー288と検出部表面206との間に延在することができる。いくつかの例では、サイドウォールは、フローカバー288を検出部200に結合する硬化性接着層から形成される。
【0065】
フローセル282は、高さH1を含むことができる。ほんの一例として、高さH1は、約50μm~約400μm、またはより具体的には、約80μm~約200μmとすることができる。フローカバー288は、検出部アッセンブリ20の外側からフローセル282内に伝播する励起光101に対して光透過性である物質を含むことができる。
【0066】
また、図示されているように、フローカバー288は、他のポート(図示せず)と流体的に係合するように構成された入口ポート289および出口ポート290を画定することができる。例えば、他のポートは、カートリッジ(図示せず)またはワークステーション(図示せず)からのものとすることができる。
【0067】
検出部200は、光センサー202のセンサーアレイ201と、光ガイド214のガイドアレイ213と、反応凹部210の反応アレイ209とを含むことができる。特定の例では、構成要素は、それぞれの光センサー202が単一の光ガイド(光導波路)214および単一の反応凹部210と整列するように配置される。しかし、他の例では、単一の光センサー202が、2つ以上の光ガイド214を介して光子を受けることができる。いくつかの例では、光センサーアレイのそれぞれの光センサーに対して2つ以上の光ガイドおよび/または反応凹部を設けることができる。
【0068】
いくつかの例では、反応凹部アレイの反応凹部に位置合わせされた2つ以上の光導波路および/または光センサーを設けることができる。用語「アレイ」は、必ずしも、検出部200が有することができる特定の種類の各アイテムおよびすべてのアイテムを含む必要はない。例えば、光センサー202のセンサーアレイ201は、検出部200の各およびすべての光センサーを含まなくてもよい。別の例として、ガイドアレイ213は、検出部200の各およびすべての光ガイド214を含まなくてもよい。別の例として、反応アレイ209は、検出部200の各およびすべての反応凹部210を含まなくてもよい。したがって、特に明記しない限り、用語「アレイ」は、検出部200のすべてのそのようなアイテムを含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0069】
検出部200は、官能化(例えば、指定された反応を行うのに適した方法で化学的または物理的に修飾)することができる検出部表面206を有する。例えば、検出部表面206は、官能化することができ、それに固定された1つ以上の生体分子を有する複数の反応部位を含むことができる。検出部表面206は、反応凹部210の反応アレイ209を有することができる。各反応凹部210は、1つ以上の反応部位を含むことができる。反応凹部210は、例えば、検出部表面206に沿った窪みまたは深さの変化によって画定することができる。他の例では、検出部表面206は、実質的に平坦であってもよい。
【0070】
図17は、様々な特徴をより詳細に示す検出部200の拡大断面図である。より具体的には、
図17は、単一の光センサー202と、発光シグナル光501を光センサー202に向けるための単一の光導波路214と、光センサー202によって検出された発光シグナル光501(例えば、光子)に基づいてシグナルを送信するための関連回路246とを示す。センサー配列201(
図16)の他の光センサー202および関連する構成要素は、同一または類似の方法で構成され得ることが理解される。しかしながら、検出部200は、全体を通して同一に又は均一に製造される必要はないことも理解される。その代わりに、1つまたは複数の光センサー202および/または関連する構成要素は、異なるように製造することができ、または互いに異なる関係を有することができる。
【0071】
回路246は、検出された光子に基づくデータシグナルの伝送など、電流を伝導することができる相互接続された導電性要素(例えば、導体、トレース、ビア、インターコネクトなど)を含むことができる。検出部200は、光センサー202の平面配列を有する集積回路を含む。検出部200内に形成された回路246は、光センサー202によって受光された発光シグナル光501、シグナル増幅、デジタル化、貯蔵、および加工に応じて、光センサー202上に電荷が蓄積する露光期間(積分期間)中に露光された光センサー202からの読み出しシグナルのうちの少なくとも1つのために構成することができる。回路246は、検出された発光シグナル光501を収集し、分析し、検出データをバイオアッセイシステムに伝達するためのデータシグナルを生成することができる。回路246はまた、検出部200において追加のアナログシグナルプロセッシングおよび/またはデジタルシグナルプロセッシングを行うことができる。光センサー202は、ゲート241~243を介して回路246に電気的に結合することができる。
【0072】
一実施形態による検出部200は、CMOS集積回路検出部またはCCD集積回路検出部などの固体集積回路検出部によって提供することができる。一実施形態による検出部200は、相補型メタルオキシドセミコンダクタ(CMOS)製造プロセスなどの集積回路製造プロセスを用いて製造された集積回路チップであってもよい。
【0073】
光センサー202によって画定されるセンサー配列201の分解能は、約0.5メガピクセル(Mピクセル)よりも大きくすることができる。より具体的な例では、分解能は、約5Mピクセルより大きく、より具体的には、約14Mピクセルより大きくすることができる。
【0074】
検出部200は、センサー層231を含む複数の積層231~237を含むことができ、センサー層231はシリコン層であり得る。積層された層は、複数の誘電体層232~237を含むことができる。図示の例では、誘電体層232~237の各々は、例えば、金属元素(例えば、W(タングステン)、Cu(銅)、またはAl(アルミニウム))および誘電体材料、例えば、SiO2を含む。集積回路製造に適したものなど、様々な金属要素および誘電体材料を使用することができる。しかし、他の例では、誘電体層232~237のうちの1つまたは複数は、SiO2の1つまたは複数の層などの誘電体のみを含むことができる。
【0075】
図17の具体例に関して、誘電体層232~237は、
図17において層M1~M5としてラベル付けされた金属化(メタライゼーション)層を含むことができる。図示のように、金属化層M1~M5は、回路246の少なくとも一部を形成するように構成することができる。
【0076】
いくつかの例では、検出部200は、金属化層M5の上の領域全体にわたって延在する1つまたは複数の層を有するシールド構造250を含むことができる。図示の例では、シールド構造250は、フローセル282から伝播する光シグナルを遮断するように構成された材料を含むことができる。光シグナルは、励起光101および/または発光シグナル光501であってもよい。例えば、シールド構造250は、タングステン(W)を含むことができる。具体例としてのみ、励起光は、約523nm(緑色光)または456nm(青色光)のピーク波長を有することができ、発光シグナル光501は、約570nm以上の波長を含むことができる(
図4)。
【0077】
図17に示すように、シールド構造250は、それを貫通する開口面252を含むことができる。シールド構造250は、このような開口面252のアレイを含むことができる。アパーチャ252は、シグナル放射光が光ガイド214に伝播することを可能にするような寸法にすることができる。検出部200はまた、シールド構造250に沿って開口面252を横切って延びる不動態化層256を含むことができる。検出部200はまた、パッシベーション層256に沿って開口252を横切って延びる検出部表面206を含むパッシベーション層(不動態化層)258を含むことができる。シールド構造250は、開口面252の上に延在することができ、それによって、開口面252を直接的または間接的に覆うことができる。パッシベーション層256およびパッシベーション層258は、フローセル282の流体環境から下側隆起層およびシールド構造250を保護するように構成することができる。一例によれば、パッシベーション層256は、SiNまたは同様のものから形成される。一例によれば、パッシベーション層258は、タンタルペントキシド(Ta
2O
5)又はそれに類似したものから形成される。パッシベーション層256およびパッシベーション層258を有する構造260は、反応凹部210を有する検出部表面206を画定することができる。検出部表面206を画定する構造260は、1~N層など、任意の数の層を有することができる。
【0078】
構造260は、生体分子または関心のある他の検体がその上に固定されることを可能にする中実表面(すなわち、検出部表面206)を画定することができる。例えば、反応凹部210の反応部位の各々は、パッシベーション258の検出部表面206に固定化された生体分子のクラスターを含むことができる。このように、パッシベーション層258は、反応凹部210の反応部位を固定化することができる材料から形成することができる。パッシベーション層258はまた、所望の蛍光に対して少なくとも透明な材料を含むことができる。パッシベーション層258は、生体分子の固定化を容易にするために、および/または発光シグナル光501の検出を容易にするために、物理的または化学的に修飾することができる。
【0079】
図示の実施例では、パッシベーション層256の一部はシールド構造250に沿って延在し、パッシベーション層256の一部は光ガイド214を画定するフィルタ材に沿って直接的に延在する。反応凹部210は、光ガイド214と整列し、その直上に形成することができる。一実施形態によれば、反応凹部210及び光ガイド214の各々は、長軸268を中心とする断面幾何学中心を有することができる。フィルタ材は、積層した層232~237を有する誘電体積層体内に形成されたサイドウォール254によって画定されたキャビティ内に堆積させることができる。
【0080】
光ガイド214は、誘電体層231~237によって画定される誘電体積層の周囲材料に対して構成されて、光ガイド構造を形成することができる。例えば、光ガイド214は、一例によれば、光ガイド214を通って伝播する光エネルギーが、光ガイド214と誘電体層231~237によって画定される周囲の誘電体積層体との間のサイドウォール254のインタフェースで実質的に反射されるように、少なくとも約1.6の屈折率を有することができる。特定の例では、光ガイド214は、励起光の光学濃度(OD)または吸光度が少なくとも約4ODであるように構成することができる。より具体的には、フィルタ材を選択することができ、光ガイド214は、少なくとも4ODを達成するように寸法決めすることができる。より具体的な例では、光ガイド214は、少なくとも約5ODまたは少なくとも約6ODを達成するように構成することができる。より具体的な例では、光ガイド214は、少なくとも約7ODまたは少なくとも約8ODを達成するように構成することができる。検出部200の他の特徴は、電気的および光学的クロストークを低減するように構成することができる。
【0081】
図18を参照して、プロセス制御システム310のさらなる詳細を説明する。プロセス制御システム310は、1つ以上の例示によれば、1つ以上の処理部3101、記憶部3102、および1つ以上の入力/出力部3103を含むことができる。1つまたは複数の処理部3101、記憶部3102、および1つまたは複数の入力/出力部を、システムバス3104を介して接続することができる。一例によれば、プロセス制御システム3110は、
図18に示すようなコンピュータシステムによって提供することができる。記憶部3102は、システム記憶部とストレージ記憶部との組合せを含むことができる。一実施形態による記憶部3102は、本明細書で説明されるプロセスを容易にするための1つまたは複数のプログラムを記憶することができる。1つまたは複数の処理部3101は、本明細書で説明するプロセスを容易にするために、記憶部3102に記憶された1つまたは複数のプログラムを実行することができる。記憶部3102は、コンピュータ可読媒体を定義することができる。
【0082】
光エネルギー励起装置10によって促進されるDNA配列決定プロセスは、
図19および20を参照して記載される。
図19を参照すると、システム100の動作の態様を示すスペクトルプロファイル調整図が示されている。1つの例示的な光源列102は、第1及び第2の異なった波長で発光する光源を含むことができる。第1および第2の異なった波長範囲で励起光を放射する光源を含むように光源列102を設けることは、第1および第2の色素をフローセル282内の流体中に配置することができる色素化学DNA配列再構成プロセスを容易にする。
【0083】
図19に示されるスペクトルプロファイル1702は、例えば、
図4に示されるような光源102Aのような、光エネルギー励起装置10の緑色発光光源の励起波長発光帯域を示す。スペクトルプロファイル1712は、
図4に示すように、光源102Hなどの光エネルギー励起装置10の青色発光光源の波長発光帯域である。スペクトルプロファイル1704は、フローセル282内に流体と共に配置することができる緑色光に感受性の第1のフルオロフォアの吸収帯スペクトルプロファイルである。スペクトルプロファイル1714は、流体と共にフローセル282内に配置することができる青色光に感受性の第2のフルオロフォアの吸収帯スペクトルプロファイルである。スペクトルプロファイル1707は、フローセル282内に流体と共に配置され得る、緑色光および青色光に感受性の第3のフルオロフォアの吸収帯スペクトルプロファイルである。
【0084】
スペクトルプロファイル1706は、スペクトルプロファイル1702を有する緑色光によって励起されたときに蛍光を発する第1のフルオロフォアに起因する発光シグナル光501の部分スペクトルプロファイルである。スペクトルプロファイル1716は、スペクトルプロファイル1712を有する青色光によって励起されたときに蛍光を発する第2のフルオロフォアに起因する発光シグナル光501の部分スペクトルプロファイルである。スペクトルプロファイル1708は、スペクトルプロファイル1702を有する緑色光によって励起されたときに蛍光を発する第3のフルオロフォアに起因する発光シグナル光501の部分スペクトルプロファイルである。スペクトルプロファイル1709は、スペクトルプロファイル1712を有する青色光によって励起されたときに蛍光を発する第3のフルオロフォアに起因する発光シグナル光501の部分スペクトルプロファイルである。
【0085】
スペクトルプロファイル1730は、光センサーアレイ201の検出帯域を示す光センサーアレイ201を規定する光センサー202の透過スペクトルプロファイルである。
【0086】
本明細書の実施例は、
図19のスペクトルプロファイルコーディネーション図を参照して、プロセス制御システム310が、(a)1つ以上の緑色発光光源による励起に限定された励起下で光センサー202によって感知される蛍光、および1つ以上の青色発光光源による励起に限定された励起下で光センサー202によって感知されない蛍光に基づいて、第1のフルオロフォアがサンプル502に付着されることを決定するように、(b)1つ以上の青色発光光源による励起に限定された励起下で光センサー202によって感知される蛍光、および1つ以上の緑色発光光源による励起に限定された励起下で光センサー202によって感知されない蛍光に基づいて、第2のフルオロフォアがサンプル502に付着されることを決定するように、および(c)1つ以上の青色発光光源による励起に限定された励起下で光センサー202によって感知される蛍光、および1つ以上の緑色発光光源による励起に限定された励起下で光センサー202によって感知される蛍光に基づいて、第3のフルオロフォアがサンプル502に付着されることを決定するように構成され得る。第3のフルオロフォアが、1つ以上の緑色発光光源による励起に限定された励起下で光センサー202によって感知される蛍光、および1つ以上の青色発光光源プロセス制御システム310は、どのフルオロフォアがサンプルに結合したかを識別することができ、例えば、サンプル502を提供するDNA鎖のフラグメント中に存在するヌクレオチドタイプ、例えば、A、C、T、およびGを、フルオロフォアの存在をヌクレオチドタイプにマッピングする表2の決定ロジックテーブルによって示される決定ロジックデータ構造を使用して決定することができ、ここで、識別されたヌクレオチド、ヌクレオチド-ヌクレオチドデオチドは、ヌクレオチドタイプA、C、T、およびGの4つのヌクレオチドである(試験設定パラメータに基づく特定のマッピング)。
【0087】
【0088】
プロセス制御システム310は、複数のサイクルでDNA配列の再構成を保持体してプロセスを実行することができる。各々の周期において、DNAフラグメントの異なった部分は、例えば、表2に示されるような決定データ構造のような決定データ構造を使用して、フラグメントに関連するヌクレオチドタイプ、例えば、A、C、T、またはGを決定するための配列決定処理に供され得る。光エネルギー励起装置10を使用してDNA配列再構成を行う際に使用するために、プロセス制御システム310によって実行され得るプロセスの態様が、
図20のフローチャートに記載される。
【0089】
工程1802において、プロセス制御システム310は、フローセル282をクリアすることができ、これは、プロセス制御システム310が、前のサイクル中に使用されたフローセル282から流体を除去することができることを意味する。工程1804において、プロセス制御システム310は、複数のフルオロフォア、例えば、第1および第2のフルオロフォア、または第1、第2および第3のフルオロフォアを有する流体をフローセル282に入力することができる。第1および第2のフルオロフォアは、例えば、
図19のスペクトルプロファイル図を参照して説明したように、吸収帯域スペクトルプロファイル1704および吸収帯域スペクトルプロファイル1714をそれぞれ参照して説明した吸収特性を含むことができる。第1、第2および第3のフルオロフォアは、例えば、
図19のスペクトルプロファイル図を参照して説明したように、吸収帯域スペクトルプロファイル1704ならびに吸収帯域スペクトルプロファイル1714および吸収帯域スペクトルプロファイル1707をそれぞれ参照して説明した吸収特性を含むことができる。
【0090】
工程1806において、プロセス制御システム310は、第1の波長領域励起活性で露光された光センサー202からシグナルを読み出すことができる。工程1806では、光センサー202の露光時間中に、光エネルギー励起装置10が1つ以上の緑色光源によって制限された励起光を放射するように、プロセス制御システム310は光エネルギー励起装置10を制御することができる。工程1806において、プロセス制御システム310は、光センサー202の露光期間中に、光源列102の1つ以上の緑色発光光源、例えば、
図4に示される光源102A~102Gの各々にエネルギーを与え、一方、非通電状態で、光バンクの1つ以上の青色発光光源、例えば、
図4に示される光源102H~102Jの各々を維持することができる。光センサー202の露光時間中に緑色光源がオンで青色光源がオフになるように光源列102が上述のように制御されると、プロセス制御システム310は、工程1806において、本明細書に記載の1つ以上の緑色光源による励起に制限された励起で露光された光センサー202から第1のシグナルを読み出すことができる。
【0091】
工程1808において、プロセス制御システム310は、第2の波長領域励起活性で露光された光センサー202からシグナルを読み出すことができる。工程1808において、プロセス制御システム310は、光センサー202の露光時間中に、光エネルギー励起装置10が、光エネルギー励起装置10の1つ以上の青色光源による励起に制限された励起光を放射するように、光エネルギー励起装置10を制御することができる。工程1808において、プロセス制御システム310は、光センサー202の露光期間中に、光源バンク102の1つ以上の青色発光光源、例えば、
図4に示される光源102H~102Jの各々を付勢し、一方、非通電状態で、光バンクの1つ以上の緑色発光光源、例えば、
図4に示される光源102A~102Gの各々を維持することができる。光センサー202の露光周期中に青色光源がオンで緑色光源がオフになるように光源列102が上述のように制御されると、プロセス制御システム310は、工程1808において、本明細書に記載の1つ以上の青色光源による励起に制限された励起で露光された光センサー202から第2のシグナルを読み出すことができる。
【0092】
工程1810において、現在のサイクルのためのプロセス制御システム310は、工程1806で読み出された第1のシグナルおよび工程1808で読み出された第2のシグナルを処理して、例えば、一例に従って、表2に示されるような判定データストラクチャーを使用して、現在のサイクルの間の試験に供されるDNAフラグメントのヌクレオチドタイプを決定し得る。プロセス制御システム310は、各スケジュールされたサイクルについてヌクレオチド識別が行われるまで、DNA配列決定プロセスの各サイクルについて、
図20のフローチャートを参照して記載された記載されたヌクレオチド識別プロセスを行うことができる。
【0093】
プロセス制御システム310は、システム100の動作を試験するための広範囲の試験を実行するように構成することができる。プロセス制御システム310は、光エネルギー励起装置10および検出部200の動作が試験される較正試験を実行することができる。このような例示的なプロセス制御システム310は、センサーアレイ201の露光期間中に様々な光源に選択的にエネルギーを与えるように構成することができ、露光期間中にセンサーアレイ201から読み出されたシグナルを検査することができる。該方法は、非通電状態に維持された第2の(青色発光)及び第3の(赤色発光)光源を有する光センサーの第1の露光期間中に第1の光源(例えば緑色発光)を選択的に通電するステップと、非通電状態に維持された第1及び第3の光源を有する光センサーの第2の露光期間中に第2の光源を選択的に通電するステップと、非通電状態に維持された第1及び第2の光源を有する光センサーの第3の露光期間中に第3の光源を選択的に通電するステップとを含むことができる。
【0094】
前述の概念と、以下でより詳細に論じられる追加の概念とのすべての組合せ(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件として)が、本明細書で開示される主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本発明の最後に現れる特許請求の範囲の主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される主題の一部であると考えられる。同様に当然のことながら、本明細書に明示的に用いられ、参照として組み込まれている任意の開示にも現れるであろう専門用語は、本明細書に開示された特定の概念と最も整合する意味を有するものとする。
【0095】
本明細書は、主題を開示するために、また、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、任意の当業者が主題を実施することを可能にするために、実施例を使用する。主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の実施例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異なる構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と実質的に異なる均等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0096】
上記の説明は、例示的であり限定的ではないことを意図されていることを理解されたい。例えば、上述の例(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。さらに、その範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を様々な実施例の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。本明細書に記載される材料の寸法およびタイプは、様々な実施例のパラメータを定義することを意図しているが、それらは決して限定するものではなく、単に例示的なものである。多くの他の例が、上記の説明を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。したがって、様々な実施例の範囲は、添付の特許請求の範囲と、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等の全範囲とを参考にして決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、用語「含む(including)」および「~における(in which)」は、それぞれの用語「含む(comprising)」および「ここで(wherein)」の単純な同等の英語として使用される。さらに、用語「第1の」、「第2の」、および「第3の」などは、単にラベルとして使用され、それらの目的に数値要件を課すことを意図していない。本明細書における用語「に基づく」の形態は、要素が部分的に基づいている関係、ならびに要素が完全に基づいている関係を包含する。用語「定義された」の形態は、要素が部分的に定義されている関係、ならびに要素が完全に定義されている関係を包含する。さらに、特許請求の範囲の限定は、ミーンズ・プラス・ファンクションフォーマットで書かれておらず、そのようなクレームの制限がある場合を除いて、「手段」というフレーズを明示的に使用し、その後にさらなる構造のない機能のステートメントを使用しない限り、35U.S.C.§112、第6段落に基づいて解釈されることを意図していない。必ずしも上記の全てのこのような目的または利点が、任意の特定の例に従って達成され得るわけではないことが理解されるべきである。したがって、例えば、当業者は、本明細書で説明されるシステムおよび技法が、本明細書で教示または示唆され得るような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点または複数の利点を達成または最適化する方法で実施または実行され得ることを認識するであろう。
【0097】
主題を、限定された数の例のみに関連して詳細に説明したが、本主題は、そのような開示された例に限定されないことを容易に理解されたい。むしろ、主題は、これまで説明されていないが、主題の趣旨および範囲に相応する、任意の数の変形、変更、置換、または当量の構成を組み込むように修正することができる。さらに、主題の様々な例を説明したが、本発明の態様は、説明した例のうちのいくつかのみを含み得ることを理解されたい。また、いくつかの例は、一定の数の要素を有するものとして説明されているが、主題は、一定の数よりも少ないまたは多い要素で実施され得ることが理解されるであろう。したがって、主題は、前述の説明によって限定されるものと見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。