(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ジベンゾイルメタン誘導体、メロシアニン化合物及びジベンゾイルメタン化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能な化合物を含む光防護組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/35 20060101AFI20220729BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20220729BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220729BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
A61K8/35
A61K8/41
A61K8/37
A61Q17/04
(21)【出願番号】P 2019572085
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2018067472
(87)【国際公開番号】W WO2019002495
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2019-12-26
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ・バティスタ
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ・カンドー
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリーナ・ルドー
(72)【発明者】
【氏名】マハシン・サフォウアン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・グリュメラール
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-529337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0134118(US,A1)
【文献】特表2013-513570(JP,A)
【文献】特開2006-117669(JP,A)
【文献】特表2016-505034(JP,A)
【文献】特表2016-523984(JP,A)
【文献】特表2014-509618(JP,A)
【文献】特表2010-535779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局部的使用のための光防護組成物であって、前記組成物が、美容的に許容可能な媒体中に:
(i)以下の式(I)のものから選択される1種以上のジベンゾイルメタン誘導体化合物
、及び/又はその混合物:
【化1】
(式(I)において、
R
1、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルコキシ基を表し、
R
2及びR
3は、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルキル基若しくは直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルコキシ基を表し、又は、共有結合C-R
2及びC-R
3の2個の炭素原子と一緒に、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4炭化水素ベースの鎖で置換されるか若しくは置換されない5若しくは6員複素環を形成する
);
(ii)以下の式(II)のものから選択される1種以上のメロシアニン化合物
、その互変異性形態、その幾何異性体E/E若しくはE/Z、及び/又はその混合物:
【化2】
(式(II)において、Rは、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
22アルキル、C
2~C
22アルケニル又はC
2~C
22アルキニル基、C
3~C
22シクロアルキル基又はC
3~C
22シクロアルケニル基を表し、前記基は、1つ以上の酸素原子で中断されるか又は中断されない
);並びに
(iii)前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物(i)の三重項励起準位エネルギーを受容可能である1種以上の化合物であって、単独で又は混合物として、以下の式(IV)のジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート、及びその互変異性形態、その光学異性体、並びに/又はその混合物;以下の式(VI)のトリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)シトレート、及びその光学異性体、並びに/又はその混合物
から選択される、化合物(iii)
【化3】
を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物が、単独で又は混合物として、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’-ジメトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(2-ヒドロキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、1-(4-メトキシ-1-ベンゾフラン-5-イル)-3-フェニルプロパン-1,3-ジオンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物(i)の総含有量が、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、式(II)の少なくとも1種のメロシアニン化合物(ii)を含み、Rが、1つ以上の酸素原子で中断されるか又は中断されない直鎖又は分岐鎖C
1~C
22アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、以下の化合物(1’)~(6’)
、及びその互変異性形態、その幾何異性体E/E若しくはE/Z、並びに/又はその混合物:
【化4】
から選択される少なくとも1種のメロシアニン化合物(ii)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、以下の構造:
【化5】
を有するその幾何学的構成E/Zの、
及び/又は以下の構造:
【化6】
を有するその幾何学的構成E/Eの、2-エトキシエチル2-シアノ{3-[(3-メトキシプロピル)アミノ]シクロヘキサ-2-エン-1-イリデン}エタノエート(2’);及びその互変異性形態;並びにその混合物から選択される少なくとも1種のメロシアニン化合物(ii)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記メロシアニン化合物(ii)の総含有量が、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の前記三重項励起準位エネルギーを受容可能である前記化合物(iii)の総含有量が、前記組成物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の前記三重項励起準位エネルギーを受容可能である前記化合物(iii)の質量含有量対前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物(i)及び前記メロシアニン化合物(ii)の質量含有量の和の比が、0.01~10であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、
親水性、親油性若しくは不溶性有機UV-スクリーニング剤及び/又は1種以上の無機顔料から選択される1種以上の追加のUV-スクリーニング剤も含み、
前記有機UV-スクリーニング剤が、単独で又は混合物として、アントラニレート;サリチル酸誘導体;ベンジリデンカンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;エチルヘキシルメトキシクリレン誘導体とは異なるβ,β-ジフェニルアクリレート化合物;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;ビスベンゾアゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;ベンゾキサゾール誘導体;スクリーニングポリマー及びスクリーニングシリコーン;α-アルキルスチレンベースのダイマー;4,4-ジアリールブタジエン
から選択され、並びに
前記無機顔料が、単独で又は混合物として、処理された
又は無処理の金属酸化物顔料
又はナノ顔料から選択され
る
ことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記追加のUV-スクリーニング剤が、単独で又は混合物として、以下のUV-スクリーニング剤:エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、4-メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1-(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、及びこれらの混合物から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、炭化水素ベースの油、シリコーン油、フルオロ油、及び/又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、水中油型又は油中水型エマルジョンの形態であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
UV放射線に対して皮膚を処置するための美容的方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物を前記皮膚に適用する少なくとも1つのステップを含む、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の前記三重項励起準位エネルギーを受容可能な少なくとも1種の化合物の使用であって、請求項1~3のいずれか一項に記載の少なくとも1種のジベンゾイルメタン誘導体化合物(i)と請求項1及び4~7のいずれか一項に記載の少なくとも1種のメロシアニン化合物(ii)とを含む組成物をUV放射線に対して光安定化させるための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容的に許容可能な媒体中に、少なくとも1種のジベンゾイルメタン誘導体化合物、少なくとも1種のメロシアニン化合物、及び、前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能な少なくとも1種の化合物を含む局部的使用のための光防護組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、少なくとも1種のジベンゾイルメタン誘導体化合物及び少なくとも1種のメロシアニン化合物を含む組成物をUV放射線に対して光安定化させるための、前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能な少なくとも1種の化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
280nm~400nmの波長を有する光の放射線がヒト表皮の褐色化をもたらすことが可能であること、及び、特に280~320nmの波長を有する、UV-Bの名で知られている放射線が、自然な日焼けの進行を損なせる可能性がある紅斑及び皮膚のやけどを生じさせることが知られている。これらの理由のために、並びに、審美的な理由のために、この自然な日焼けを調節し、これにより、皮膚の色を調節するための手段に対する一定の要求が存在しており;それ故、このUV-B放射線はスクリーニングされるべきである。
【0004】
皮膚を日焼けさせる320~400nmの波長を有するUV-A放射線は、特に敏感な皮膚又は太陽放射線に継続的に露出される皮膚の場合、有害な変化を誘起させやすいことも知られている。UV-A放射線は特に、皮膚の弾力性を失わせると共にしわの出現を生じさせ、結果的に早期の皮膚の老化をもたらしてしまう。それ故、皮膚の自然な弾力性の保持などの審美的及び美容的理由のために、例えば、ますます多くの人々が、皮膚に対するUV-A放射線の影響を制御したいと願っている。従って、UV-A放射線をスクリーニングすることもまた望ましい。
【0005】
UV放射線に対する皮膚及びケラチン材料の保護を目的として、UV-A領域において活性であり、及び、UV-B領域において活性である有機スクリーニング剤を含む抗太陽光組成物が一般に使用される。これらのスクリーニング剤のほとんどは脂溶性である。
【0006】
この点において、UV-Aスクリーニング剤の特に効率的なファミリはジベンゾイルメタン誘導体、特に4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンから構成されており、これは、これらが高い固有の吸収能を示すためである。現在それら自体がUV-A範囲において活性であるスクリーニング剤として周知である生成物であるこれらのジベンゾイルメタン誘導体は、特に仏国特許出願公開A-2 326 405号明細書及び同A-2 440 933号明細書、また、欧州特許出願公開A-0 114 607号明細書に記載されており;4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンはしかも、現在、商品名Parsol 1789(登録商標)で、DSM Nutritional Products社により販売されている。
【0007】
同様に特に有利である他のファミリは、親油性メロシアニン誘導体から構成される。これらの誘導体は、370nmを超える波長を有する長波長UV-A放射線をスクリーニングすることで知られており、これらは、特に米国特許第4 195 999号明細書、国際公開第2004/006878号パンフレット、2004年4月3日出版の文献IP COM Journal 4(4)、16 No.IPCOM000011179Dに記載されている。
【0008】
しかしながら、本出願人は、メロシアニン誘導体とジベンゾイルメタン誘導体との組み合わせは、特に、紫外放射線(特にUV-A放射線)に対する光安定性が劣っているという欠点を有することに気が付くことができた。UV-スクリーニング剤のこれらの特定の組み合わせはUV放射線の作用下ではいくらか分解され、この分解はメロシアニン誘導体について特に顕著である。従って、このメロシアニン誘導体とジベンゾイルメタン誘導体との組み合わせに係る光化学安定性が実質的に欠如していることで、この組み合わせが本来対象として意図される紫外放射線に曝された場合に、長期にわたる太陽光に対する曝露の最中に継続的な保護を保証することが可能ではなくなり、従って、UV放射線に対して皮膚を効果的に長期にわたって保護するために、使用者は、定期的に短い時間間隔で反復的に塗布しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】仏国特許出願公開A-2 326 405号明細書
【文献】同A-2 440 933号明細書
【文献】欧州特許出願公開A-0 114 607号明細書
【文献】米国特許第4 195 999号明細書
【文献】国際公開第2004/006878号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【文献】2004年4月3日出版の文献IP COM Journal 4(4)、16 No.IPCOM000011179D
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、太陽光に対する長期にわたる曝露の最中に、UV-A放射線に対する一定の保護を保証するために、UV放射線に対して、メロシアニン誘導体とジベンゾイルメタン誘導体との組み合わせを光安定化させる深刻な必要性が存在している。
しかしながら、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体のすべての安定剤が、メロシアニン化合物とのこれらの組み合わせの安定化を可能としているわけではない。
偶然にも、本出願者はつい最近、前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能である少なくとも1種の特定の化合物を使用することで、意外なことに、メロシアニン化合物とジベンゾイルメタン誘導体との組み合わせに係る光化学安定性(又は光安定性)を実質的に向上させることが可能であり、それ故、これらの2種の太陽光スクリーニングを含有する組成物に係る光防護性能レベルを向上させることが可能であることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の主題は従って、美容的に許容可能な媒体中に:
(i)以下の式(I)のものから選択される1種以上のジベンゾイルメタン誘導体化合物
【化1】
(式(I)において、
R
1、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルコキシ基を表し、並びに
R
2及びR
3は、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルコキシ基を表し、又は、共有結合C-R
2及びC-R
3の2個の炭素原子と一緒に、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4炭化水素ベースの鎖で任意選択により置換される5若しくは6員複素環を形成する)
、及び/又は、その混合物;
(ii)以下の式(II)のものから選択される1種以上のメロシアニン化合物
【化2】
(式(II)において、Rは、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
22アルキル、C
2~C
22アルケニル又はC
2~C
22アルキニル基、C
3~C
22シクロアルキル基又はC
3~C
22シクロアルケニル基を表し、前記基は1つ以上の酸素原子で中断されてもよい)
、その互変異性形態、その幾何異性体E/E若しくはE/Z、及び/又は、これらの混合物;並びに
(iii)前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物(i)の三重項励起準位エネルギーを受容可能である1種以上の化合物
を含むことを特徴とする局部的使用のための光防護組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これらの組成物は、太陽放射線の効率的なスクリーニングを可能とし、これらは、特にUV-A放射線(長波長UV-A放射線を含む)に関して広い範囲を有し、その一方で、同時に、特に、UV曝露下においても経時的に安定である。
【0014】
これらの組成物はまた、一定の事例において、向上した太陽光防護指数又は「SPF」を示し得る。
【0015】
本発明の他の主題、特徴、態様及び利点は、後に続く明細書及び実施例を読めば直ぐにより明らかに浮かび上がるであろう。
【0016】
本明細書中以下の文章において、及び、別段の定めがある場合を除き、値の範囲の境界は、特に表記「…~…の間」及び「…~…の範囲」において、その範囲内に含まれる。
【0017】
しかも、本明細書において用いられる表記「1つ以上(one or more)」及び「~以上(greater than or equal to)」は、それぞれ、表記「少なくとも1つ(at least one)」及び「少なくとも(at least)」と均等である。
【0018】
用語「美容的に許容可能な媒体」は、皮膚及び/又はその外皮と適合することを意味することが意図され、これは、好感の持てる色、匂い及び感触を有し、そして、消費者にこの組成物の使用を思い留まらせる少しも容認できない不快感(ヒリヒリ感、緊縮性又は赤み)を生じさせない。
【0019】
表記「任意選択により置換され」及び「置換又は無置換の」は、ラジカル又は基が、1つ以上のヒドロキシルで;R1及びR2が、互いに独立して、水素原子又はC1~C3アルキル基を表すようアミノ基-NR1R2で;カルボキシル-COOH、カルボニル又はC1~C4アルキル基で任意選択により置換されていてもよいことを意味することが意図されている。
【0020】
ジベンゾイルメタン誘導体化合物
本発明に係る組成物は、以下の式(I)のもの:
【化3】
(式(I)において、
R
1、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルコキシ基を表し、並びに
R
2及びR
3は、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4アルコキシ基を表し、又は、共有結合C-R
2及びC-R
3の2個の炭素原子と一緒に、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
4炭化水素ベースの鎖で任意選択により置換される5若しくは6員複素環を形成する)
から選択される1種以上のジベンゾイルメタン誘導体及び/又はその混合物を含む。
【0021】
R2及びR3が共有結合C-R2及びC-R3の2個の炭素原子と一緒に複素環を形成する場合、これらは、好ましくは、5員芳香族複素環を形成し、より優先的にはフラン環を形成する。
【0022】
好ましくは、R2及びR3は、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖若しくは分岐鎖C1~C4アルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖C1~C4アルコキシ基を表す。
【0023】
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明に係る組成物に含まれるジベンゾイルメタン誘導体化合物は:単独で又は混合物として、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’-ジメトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(2-ヒドロキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、1-(4-メトキシ-1-ベンゾフラン-5-イル)-3-フェニルプロパン-1,3-ジオンから選択され;好ましくは、単独で又は混合物として、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン及び/又は4-イソプロピルジベンゾイルメタンから選択され;優先的には4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンから選択される。
【0024】
一例として、4-イソプロピルジベンゾイルメタンは、名称Eusolex 8020でMerck社によって販売され、及び、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン又はブチルメトキシジベンゾイルメタンは、名称Parsol 1789でRoche Vitamins社によって販売されている。
【0025】
一例として、同様に、1-(4-メトキシ-1-ベンゾフラン-5-イル)-3-フェニルプロパン-1,3-ジオンは、名称PongamolでQuest社によって式:
【化4】
で販売されている。
【0026】
好ましくは、組成物中に存在するジベンゾイルメタン誘導体化合物(I)の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.2質量%~10質量%、より優先的には0.3質量%~5質量%である。
【0027】
メロシアニン化合物
本発明に係る組成物は、以下の式(II)のもの:
【化5】
(式(II)において、Rは、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
22アルキル、C
2~C
22アルケニル又はC
2~C
22アルキニル基、C
3~C
22シクロアルキル基又はC
3~C
22シクロアルケニル基を表し、前記基は1つ以上の酸素原子で中断されてもよい)
から選択される1種以上のメロシアニン化合物、その互変異性形態、その幾何異性体E/E若しくはE/Z、及び/又は、その混合物を含む。
【0028】
上記のとおり、本発明のメロシアニン化合物は、これらの幾何異性体形態E/E、E/Z、及び/又は、これらの2種の形態:
【化6】
の混合物で存在し得る。
【0029】
好ましくは、式(II)のメロシアニン化合物は、1つ以上の酸素原子で中断されてもよい直鎖若しくは分岐鎖C1~C22アルキル基を表す基Rを有する。
【0030】
本発明の好ましい一実施形態によれば、メロシアニン化合物は、以下の化合物(1’)~(6’)、及び、その互変異性形態、その幾何異性体E/E又はE/Z;並びに/又は、その混合物から選択される。
【化7】
【0031】
本発明のさらに特に好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のメロシアニン化合物は、2-エトキシエチル2-シアノ{3-[(3-メトキシプロピル)アミノ]シクロヘキサ-2-エン-1-イリデン}エタノエート(2’)(INCI名:メトキシプロピルアミノシクロヘキセニリデンエトキシエチルシアノアセテート)であって、以下の構造:
【化8】
を有するその幾何学的構成E/Z;
及び/又は、以下の構造:
【化9】
を有するその幾何学的構成E/E、及び、その互変異性形態;並びに、その混合物から選択される。
【0032】
本発明に係る組成物は、好ましくは、前記メロシアニン化合物(ii)を、組成物の総質量に対して、0.1%~10質量%、好ましくは0.2%~10質量%及びさらにより優先的には0.3%~5質量%の含有量で含む。
【0033】
式(II)の化合物は、国際公開第2007/071582号パンフレット、IP.com Journal(2009),9(5A),29-30 IPCOM000182396D、表題「Process for producing 3-amino-2-cyclohexan-1-ylidene compounds」、及び、米国特許第A4,749,643号明細書、第13欄第66行~第14欄第57行に、そしてこの点に関して引用される参考文献に記載されるプロトコルに従って、調製され得る。
【0034】
前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能である化合物
本発明に係る組成物は、UV放射線の影響下で励起されたジベンゾイルメタン分子の励起状態を非活性化して、分子がその基底状態にもどるように、前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能である1種以上の化合物を含む。
【0035】
前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能である化合物は:
(a)国際公開第03/007906号パンフレットに記載されているものなどの4-ヒドロキシベンジリデンマロネート誘導体若しくは4-ヒドロキシシンナメート誘導体、及び/又は、4-ヒドロキシベンジルマロネート誘導体;
(b)国際公開第03/103622号パンフレットに記載されているものなどのピペリジノール塩;
(c)米国特許第5 993 789号明細書、米国特許第6 113 931号明細書、米国特許第6 126 925号明細書及び米国特許第6 284 916号明細書に記載されているものなどのナフタレン誘導体;
(d)エチルヘキシルメトキシクリレン誘導体;並びに/又は
(e)これらの混合物
から選択され得る。
【0036】
本発明の好ましい一実施形態によれば、前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能である化合物は、40kcal/mol~70kcal/molの範囲の三重項励起準位エネルギーを有する。
【0037】
三重項励起準位エネルギーは、J.Gonzenbach,T.J.Hill,T.G Truscottによる論文,The Triplet Energy Levels in UVA and UVB Sunscreens,J.Photochem.Photobiol.B:Biol,vol 16,pages 337-379(1992)に記載されている酸素摂動又はリン光技術を用いて測定可能である。酸素摂動技術は、高酸素圧力下環境(すなわち、2000psi)に置かれている場合における化合物のUV吸収スペクトルの計測から構成される。これらの条件下では、スピン選択律が摂動され、化合物のUVへの曝露で、基底状態の直接励起によって最低三重項励起準位がもたらされる。遷移が生じる波長λ(μm)を利用することで、式E=hυ(ここで、Eはエネルギーであり、hはプランク定数であり、υは電磁波の周波数である)から導かれる式E=28.635/λを介して、三重項レベルのエネルギーがkcal/molで算出される。
【0038】
リン光技術は、多くの化合物が、その三重項励起準位の非活性化中にリン光を発するという事実に基づいている。リン光が介在する波長を計測することにより、三重項励起準位エネルギーを既述のとおり算出することが可能である。三重項励起準位エネルギーは、リン光用のアクセサリを備える分光測光計でサンプルのリン光スペクトルを計測することにより測定可能である。このような三重項励起準位は、例えばA.J.Gordon,R.A.Fordによる論文,The Chemist Companion,John Wiley & Sons,pages 351-355(1992)において広範に報告されている。
【0039】
4-ヒドロキシベンジリデンマロネート誘導体又は4-ヒドロキシシンナメート誘導体のうち、以下の式(III)のもの:
【化10】
(式中:
Aは、カルボニル官能基を有する2つの1価の基を含む、UV放射線を吸収する発色団基であり;
R
14は、水素原子;直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基;直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルコキシ基を表し;
R
15は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基を示す)
、及び、その互変異性形態、その光学異性体、その幾何異性体;並びに/又は、その混合物が優先的に用いられることとなる。
【0040】
これらの化合物のうち、以下の式(IIIa)のもの:
【化11】
(式中、
R
14は、水素原子、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルコキシ基を表し;
R
15は、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基を表し;
R
16は、-C(O)CH
3、-CO
2R
18、-C(O)NH
2及び-C(O)N(R
19)
2から選択され;
XはO又はNHを示し;
R
17は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
30アルキル基を表し;
R
18は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
20アルキル基を表し;
各R
19は、互いに独立して、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基を表す)
、及び、その互変異性形態、その光学異性体、その幾何異性体;並びに/又は、その混合物がより優先的に用いられることとなる。
【0041】
これらの化合物のうち、以下の式(IIIb)又は(IIIc)のもの:
【化12】
(式中:
R
16は-CO
2R
18を示し;
R
17は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキルを示し;
R
18は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキルを示し;
XはOを示す)
、及び、その互変異性形態、その光学異性体、その幾何異性体;並びに/又は、その混合物がより優先的に用いられることとなる。
【0042】
商品名Oxynex STでMerck社により販売されている市販の製品などの、以下の式(IV)のジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート化合物(INCI名:ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート):
【化13】
、及び、その互変異性形態、その光学異性体、及び/又は、その混合物が特に用いられることとなる。
【0043】
4-ヒドロキシベンジルマロネート誘導体のうち、以下の式(IIIbis)のもの:
【化14】
(式中:
Aは、カルボニル官能基を有する2つの1価の基を含む、UV放射線を吸収する発色団基であり;
R
14は、水素原子;直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基;直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルコキシ基であり;
R
15は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基を示す)
、及び、その互変異性形態、その光学異性体、その幾何異性体;並びに/又は、その混合物が優先的に用いられることとなる。
【0044】
これらの化合物のうち、以下の式(IIIbis a)のもの:
【化15】
(式中、
R
14は、水素原子、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルコキシ基を表し;
R
15は、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基を示し;
R
16は、-C(O)CH
3、-CO
2R
18、-C(O)NH
2及び-C(O)N(R
19)
2から選択され;
XはO又はNHを示し;
R
17は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
30アルキル基を表し;
R
18は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
20アルキル基を表し;
各R
19は、互いに独立して、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基を表す)
、及び、その互変異性形態、その光学異性体、その幾何異性体;並びに/又は、その混合物がより優先的に用いられることとなる。
【0045】
これらの化合物のうち、以下の式(IIIbis b)又は(IIIbis c)のもの:
【化16】
(式中:
R
16は-CO
2R
18を示し;
R
17は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキルを示し;
R
18は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキルを示し;
XはOを示す)
、及び、その互変異性形態、その光学異性体、その幾何異性体;並びに/又は、その混合物がより優先的に用いられることとなる。
【0046】
商品名Ronacare APでMerck社により販売されている市販の製品などの、以下の式(IVbis)の化合物ビス(2-エチルヘキシル)2-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)メチル]プロパンジオエート(INCI名:ビス-エチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルマロネート):
【化17】
、及び、その互変異性形態、その光学異性体、並びに/又は、その混合物が特に用いられることとなる。
【0047】
本発明に係るピペリジノール塩のうち、以下の式(V)のもの:
【化18】
(式中:
R及びR
1は、同一でも又は異なっていてもよく、水素原子又はメチル基を示し;
yは、1、2、3又は4であり;
zは、1、2、3又は4であり;
xは1又は2であり;
1)xが1と等しい場合:
R
2は、水素原子;C
1~C
18アルキル基;C
2~C
18アルケニル基;プロパルギル基;グリシジル基;1~20個の酸素原子で中断され、及び、1~10個のヒドロキシル基で置換されるC
2~C
50アルキル基;カルボキシ基又は基-COOZ(ここで、Zは、水素原子、C
1~C
4アルキル、フェニル、基(COO
-)
pM
p+(ここで、pは1~3の整数であり、及び、Mは、周期律表の1、2及び3族の金属イオン又はZn、Cu、Ni若しくはCoであるか、或いは、Mは基N
p+(R”)
4(ここで、R”はC
1~C
8アルキル又はベンジルである)である)で置換されるC
1~C
4アルキルを表す)で置換されるC
1~C
4アルキル基を示し、
2)Xが2である場合:
R
2は、C
1~C
12アルキレン基;C
4~C
12アルケニレン基;キシリレン基;1~20個の酸素原子で中断され、及び、1~10個のヒドロキシル基で置換されるC
1~C
50アルキレン基であり;
Yは有機又は無機アニオンを示し;
カチオンの総電荷yがアニオンの総電荷zと等しい)
、及び、その光学異性体、その幾何異性体;並びに/又は、その混合物が好ましく用いられることとなる。
【0048】
アニオンYのうち、ホスフェート、ホスホネート、カーボネート、バイカーボネート、ナイトレート、クロライド、ブロミド、バイスルファイト、スルファイト、バイスルフェート、スルフェート、ボレート、ホルメート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、オキサレート、タルトレート、アクリレート、ポリアクリレート、フマレート、マレエート、イタコネート、グリコレート、グルコネート、マレート、マンデレート、チグレート、アスコルベート、ポリメタクリレート、ニトリロ三酢酸カルボキシレート、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸カルボキシレート、エチレンジアミン四酢酸カルボキシレート、ジエチレンジアミン五酢酸カルボキシレート、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート、アルキルスルホネート又はアリールスルホネートが挙げられ得る。
【0049】
名称Tinoguard Q又はTinoguard S-FXでCiba-Geigy社により販売されている市販の製品などの、R、R
1及びR
2が水素原子を示し、x=1であり、並びに、Yが、シトレートアニオンシトレートを示す化合物であって、さらには、特に式(VI)のトリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)シトレート化合物:
【化19】
(ここで、y=3である)
、及び、その互変異性形態、その光学異性体、及び/又は、その混合物が特に用いられることとなる。
【0050】
本発明によるナフタレン誘導体のうち、
(i)以下の式(VII)のジエステル:
【化20】
(ii)以下の式(VIII)のジエステル又はポリエステル:
【化21】
(iii)以下の式(IX)のアルコールでブロックされたジエステル又はポリエステル:
【化22】
(iv)これらの混合物;
(式中:
-同一でも又は異なっていてもよい基R
1は、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
22アルキル基を示し;
-同一でも又は異なっていてもよい基R
2及びR
3は、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
6アルキレン基を示し;
-k及びlは、1~100、好ましくは1~10、及び、より優先的には2~7の数字である)
から選択されるナフタレンジカルボン酸ジエステル及びポリエステルがさらに特に用いられることとなる。
【0051】
式(VII)、(VIII)又は(IX)のこれらのナフタレンジカルボン酸ジエステル及びポリエステルのうち、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジエステル及びポリエステルが好ましく用いられることとなる。
【0052】
式(IX)に相当するポリエステルのうち、2,6-ナフタレンジカルボン酸とトリプロピレングリコールとの反応から得られ、2-ブチルオクタノールでブロックされたもの、並びに、2,6-ナフタレンジカルボン酸とトリプロピレングリコール及びジエチレングリコールとの反応から得られ、2-エチルヘキサノールでブロックされたポリエステルが選択されることが好ましいであろう。
【0053】
本発明によるナフタレン誘導体のうち、ジエチルヘキシル2,6-ナフタレート(INCI名)、及び、その光学異性体(商品名Coropan TQでC.P.HALL社により販売されている製品など)が好ましく用いられることとなる。
【0054】
エチルヘキシルメトキシクリレン誘導体のうち、以下の式(X)のもの:
【化23】
(式中:
R
1は、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
8アルキル基を表し、
R
2は、直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
20、好ましくはC
1~C
8アルキル基を表す)
、及び、その光学異性体、その幾何異性体;並びに/又は、その混合物が優先的に用いられることとなる。
【0055】
商品名Solastay S1でHallstar社により販売されている市販の製品などの、以下の式(Xbis)の化合物2-エチルヘキシル-2-シアノ-3-(4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロプ-2-エノエート(INCI名:エチルヘキシルメトキシクリレン):
【化24】
、及び、その互変異性形態、その光学異性体、及び/又は、その混合物が特に用いられることとなる。
【0056】
好ましくは、組成物中に存在する前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能である化合物(iii)の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.001%~15質量%、好ましくは0.003%~10質量%、及び、より優先的には0.005%~5質量%である。
【0057】
本発明の好ましい一実施形態によれば、前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能である化合物(iii)は、単独で又は混合物として、式(IV)のジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート、及び、その互変異性形態、その光学異性体、及び/又は、その混合物;式(IVbis)のビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルマロネート、及び、その互変異性形態、その光学異性体、及び/又は、その混合物;式(VI)のトリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)シトレート、及び、その光学異性体、及び/又は、その混合物;ジエチルヘキシル2,6-ナフタレート、及び、その光学異性体;並びに、式(Xbis)のエチルヘキシルメトキシクリレン、及び、その互変異性形態、その光学異性体、及び/又は、その混合物から選択される。
【0058】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能である化合物(iii)の質量含有量対ジベンゾイルメタン誘導体化合物(i)とメロシアニン化合物(ii)との質量含有量の和の比は、0.01~20、好ましくは0.1~15、より優先的には0.5~10である。
【0059】
追加のUVスクリーニング剤:
本発明に従う組成物はまた、親水性、親油性、若しくは不溶の有機UVスクリーニング剤、及び/又は1つ若しくは複数の鉱物色素から選択される1つ又は複数の追加のUVスクリーニング剤を任意選択的に含有してもよい。これは優先的に、少なくとも1つの親水性、親油性、又は不溶の有機UVスクリーニング剤で構成されることとなる。
【0060】
用語「親水性UVスクリーニング剤」は、UV放射線をスクリーニングするあらゆる化粧用又は皮膚科用の有機化合物又は無機化合物を意味することが意図され、これは、液体水性相中で分子の形態で完全に溶解され得、又は液体水性相中でコロイド状の形態で(例えばミセル形態で)溶解され得る。
【0061】
用語「親油性スクリーニング剤」は、UV放射線をスクリーニングするあらゆる化粧用又は皮膚科用の有機化合物又は無機化合物を意味することが意図され、これは、液体脂肪相中で分子の形態で完全に溶解され得、又は液体脂肪相中でコロイド状の形態で(例えばミセル形態で)溶解され得る。
【0062】
用語「不溶のUVスクリーニング剤」は、UV放射線をスクリーニングするあらゆる化粧用又は皮膚科用の有機化合物又は無機化合物を意味することが意図され、これは、水中の溶解性が0.5質量%未満であり、且つ大部分の有機溶媒、例えば流動パラフィン、脂肪族アルコールベンゾエート、及び脂肪酸トリグリセリド、例えば、Dynamit Nobel社によって販売されるMiglyol 812(登録商標)中の溶解性が0.5質量%未満である。この溶解性は、70℃にて判定されて、周囲温度に戻した後に懸濁液中に過剰の固体が存在する平衡時の溶媒における、溶液中の製品の量と定義される。これは、ラボで容易に評価され得る。
【0063】
追加の有機UVスクリーニング剤は、特に、ケイ皮化合物;アントラニレート化合物;サリチル酸化合物(salicylic compound);ベンジリデンカンファー化合物;ベンゾフェノン化合物;エチルヘキシルメトキシクリレン誘導体とは異なるβ,β-ジフェニルアクリレート化合物;トリアジン化合物;ベンゾトリアゾール化合物;ベンザルマロネート化合物、特に、米国特許第5624663号明細書に引用されるもの;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン化合物;欧州特許669323号明細書及び米国特許第2463264号明細書に記載されるビスベンザゾリル化合物;p-アミノ安息香酸(PABA)化合物;米国特許第5237071号明細書、米国特許第5166355号明細書、英国特許第2303549号明細書、独国特許第19726184号明細書、及び欧州特許第893119号明細書に記載されるメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物;欧州特許第0832642号明細書、欧州特許第1027883号明細書、欧州特許第1300137号明細書、及び独国特許第10162844号明細書に記載されるベンゾキサゾール化合物;スクリーニングポリマー及びスクリーニングシリコーン、例えば、特に、国際公開第93/04665号パンフレットに記載されるもの;α-アルキルスチレンベースのダイマー、例えば独国特許第19855649号明細書に記載されるもの;欧州特許第0967200号明細書、独国特許第19746654号明細書、独国特許第19755649号明細書、欧州特許出願公開第A-1008586号明細書、欧州特許第1133980号明細書、及び欧州特許第133981号明細書に記載されるもののような4,4-ジアリールブタジエン化合物、並びにそれらの混合物から選択される。
【0064】
有機光防護剤の例として、以下にINCI名で示されるものが言及され得る:
【0065】
ケイ皮化合物:
特に、Parsol MCX(登録商標)の商標名でDSM Nutritional Productsによって販売されるメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
メトキシケイ皮酸イソプロピル、
Neo Heliopan E 1000(登録商標)の商標名でSymriseによって販売されるp-メトキシケイ皮酸イソアミル、
メトキシケイ皮酸DEA、
ジイソプロピルケイ皮酸メチル、
ジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル。
【0066】
para-アミノ安息香酸化合物(para-Aminobenzoic compound):
PABA、
エチルPABA、
エチルPABAジヒドロキシプロピル、
特に、Escalol 507(登録商標)の名でISPによって販売されるジメチルPABAエチルヘキシル、
グリセリルPABA、
Uvinul P 25(登録商標)の名でBASFによって販売されるPEG-25 PABA。
【0067】
サリチル酸化合物:
Eusolex HMS(登録商標)の名でRona/EM Industriesによって販売されるホモサレート、
Neo Heliopan OS(登録商標)の名でSymriseによって販売されるサリチル酸エチルヘキシル、
Dipsal(登録商標)の名でScherによって販売されるサリチル酸ジプロピレングリコール、
Neo Heliopan TS(登録商標)の名でSymriseによって販売されるサリチル酸TEA。
【0068】
β,β-ジフェニルアクリレート化合物:
特に、Uvinul N 539(登録商標)の商標名でBASFによって販売されるオクトクリレン、
特に、Uvinul N 35(登録商標)の商標名でBASFによって販売されるエトクリレン。
【0069】
ベンゾフェノン化合物:
Uvinul 400(登録商標)の商標名でBASFによって販売されるベンゾフェノン-1、
Uvinul D 50(登録商標)の商標名でBASFによって販売されるベンゾフェノン-2、
Uvinul M 40(登録商標)の商標名でBASFによって販売されるベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、
Uvinul MS 40(登録商標)の商標名でBASFによって販売されるベンゾフェノン-4、
ベンゾフェノン-5、
Helisorb 11(登録商標)の商標名でNorquayによって販売されるベンゾフェノン-6、
Spectra-Sorb UV-24(登録商標)の商標名でAmerican Cyanamidによって販売されるベンゾフェノン-8、
Uvinul DS 49(登録商標)の商標名でBASFによって販売されるベンゾフェノン-9、
ベンゾフェノン-12、
Uvinul A Plus(登録商標)の商標名で、又はメトキシケイ皮酸オクチルとの混合物として、Uvinul A Plus B(登録商標)の商標名でBASF社によって販売されるn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
例えば国際公開第2007/071584号パンフレットに記載される、1,1’-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]メタノン](CAS 919803-06-8);この化合物は、有利には、微粒状にされた形態(0.02から2μmの平均サイズ)で(これは、例えば、英国公開特許第A-2303549号明細書及び欧州特許出願公開第A-893119号明細書に記載される微粉化プロセスに従って得られ得る)、そして特に水性分散系の形態で、用いられる。
【0070】
ベンジリデンカンファー化合物:
Mexoryl SD(登録商標)の名でChimexによって製造される3-ベンジリデンカンファー、
Eusolex 6300(登録商標)の名でMerckによって販売される4-メチルベンジリデンカンファー、
Mexoryl SL(登録商標)の名でChimexによって製造されるベンジリデンカンファースルホン酸、
Mexoryl SO(登録商標)の名でChimexによって製造されるメト硫酸カンファーベンザルコニウム、
Mexoryl SX(登録商標)の名でChimexによって製造されるテレフタリリデンジカンファースルホン酸、
Mexoryl SW(登録商標)の名でChimexによって製造されるポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー。
【0071】
フェニルベンズイミダゾール化合物:
特に、Eusolex 232(登録商標)の商標名でMerckによって販売されるフェニルベンズイミダゾールスルホン酸。
【0072】
ビスベンゾアゾルイル化合物:
Neo Heliopan AP(登録商標)の商標名でHaarmann and Reimerによって販売されるフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム。
【0073】
フェニルベンゾトリアゾール化合物:
Silatrizole(登録商標)の名でRhodia Chimieによって販売されるドロメトリゾールトリシロキサン。
【0074】
メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物:
メチレンビス-ベンゾトリアゾリル テトラメチルブチルフェノール、特に固体形態(例えば、MIXXIM BB/100(登録商標)の商標名でFairmount Chemicalによって販売される製品)、又は微粒状にされた粒子の水性分散系の形態(平均粒子サイズが0.01から5μm、より優先的に0.01から2μm、特に0.020から2μmに及び、構造:CnH2n+1O(C6H10O5)xHの少なくとも1つのアルキルポリグルコシド界面活性剤を伴い、式中、nは、8から16の整数であり、xは、(C6H10O5)単位の平均重合度であり、1.4から1.6に及び、特に、英国公開特許第A-2303549号明細書に記載され、Tinosorb M(登録商標)の商標名でBASFによって販売される)、又は微粒状にされた粒子の水性分散系(平均粒子サイズが0.02から2μm、より優先的に0.01から1.5μm、特に0.02から1μmに及び、少なくとも1つのポリグリセリルのモノ-(C8~C20)アルキルエステルの存在下で、グリセロール重合度が少なくとも5である)、例えば国際公開第2009/063392号パンフレットに記載される水性分散系の形態。
【0075】
トリアジン化合物:
Tinosorb S(登録商標)の商標名でBASFによって販売されるビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、
特に、Uvinul T 150(登録商標)の商標名でBASFによって販売されるエチルヘキシルトリアゾン、
Uvasorb HEB(登録商標)の商標名でSigma 3Vによって販売されるジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(n-ブチル4’-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4’-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
米国特許第6225467号明細書、国際公開第2004/085412号パンフレット(化合物6及び化合物9参照)、又は文献「Symmetrical Triazine Derivatives」,IP.COM IPCOM000031257 Journal,INC West Henrietta,NY,US(2004年9月20日)に記載されるナフタレニル基又はポリフェニル基で置換される対称性トリアジンスクリーニング剤、特に2,4,6-トリス(ジフェニル)トリアジン及び2,4,6-トリス(テルフェニル)トリアジン、これはまた、国際公開第06/035000号パンフレット、国際公開第06/034982号パンフレット、国際公開第06/034991号パンフレット、国際公開第06/035007号パンフレット、国際公開第2006/034992号パンフレット、及び国際公開第2006/034985号パンフレットでも言及されており、これらの化合物は、有利には、微粒状にされた形態(0.02~3μmの平均粒子サイズ)(例えば、英国公開特許第A-2303549号明細書及び欧州特許出願公開第A-893119号明細書に記載される微粉化プロセスに従って得られ得る)、特に水性分散系の形態で用いられる、
欧州特許第0841341号明細書に記載される、2つのアミノベンゾエート基で置換されたシリコーントリアジン、特に、2,4-ビス(n-ブチル4’-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン。
【0076】
アントラニル酸化合物(anthranilic compound):
Neo Heliopan MA(登録商標)の商標名でSymriseによって販売されるアントラニル酸メンチル。
【0077】
イミダゾリン化合物:
ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシル。
【0078】
ベンザルマロネート化合物:
ベンザルマロネート官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えば、Parsol SLX(登録商標)の商標名でHoffmann-LaRocheによって販売されるPolysilicone-15。
【0079】
4,4-ジアリールブタジエン化合物:
1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0080】
ベンゾキサゾール化合物:
Uvasorb K2A(登録商標)の名でSigma 3Vによって販売される2,4-ビス[5-(1,1-ジメチルプロピル)ベンズオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
【0081】
優先される有機スクリーニング剤は、以下から選択される:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル
サリチル酸エチルヘキシル、
ホモサレート、
オクトクリレン、
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
ベンゾフェノン-3、
ベンゾフェノン-4、
ベンゾフェノン-5、
n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
4-メチルベンジリデンカンファー、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸、
フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(n-ブチル4’-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4’-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(n-ブチル4’-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジフェニル)トリアジン、
2,4,6-トリス(テルフェニル)トリアジン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
ポリシリコーン-15、
1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、
2,4-ビス[5-(1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、
及びそれらの混合物。
【0082】
特に好ましい有機スクリーニング剤は、以下から選択される:
サリチル酸エチルヘキシル、
ホモサレート、
オクトクリレン、
n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸、
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4-ビス(n-ブチル4’-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、
ドロメトリゾールトリシロキサン
及びそれらの混合物。
【0083】
本発明に従って用いられる無機UVスクリーニング剤は、金属酸化物色素である。より優先的に、本発明の無機UVスクリーニング剤は、平均基本粒子サイズが0.5μm以下、より優先的に0.005から0.5μm、さらに優先的に0.01から0.2μm、より良好には0.01から0.1μm、特に0.015から0.05μmである金属酸化物粒子である。
【0084】
これは特に、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウム、又はそれらの混合物から選択されてよい。
【0085】
そのようなコーティングされた、又はコーティングのない金属酸化物色素は、特に、欧州特許出願公開第A-0518773号明細書に記載されている。言及され得る市販の色素として、Sachtleben Pigments社、テイカ株式会社、Merck社、及びDegussa社によって販売される製品が挙げられる。
【0086】
金属酸化物色素は、コーティングされていてもよいし、コーティングされていなくてもよい。
【0087】
コーティングされた色素は、化合物、例えばアミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪族アルコール、陰イオン界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、若しくはアルミニウム塩、(チタン又はアルミニウムの)金属アルコキシド、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、又はヘキサメタリン酸ナトリウムによる、化学的性質、電子的性質、機械化学的性質、及び/又は機械的性質の1つ又は複数の表面処置を受けた色素である。
【0088】
コーティングされた色素は、特に、以下でコーティングされた酸化チタンである:
シリカ、例えば、池田物産株式会社の製品Sunveil(登録商標)、
シリカ及び酸化鉄、例えば、池田物産株式会社の製品Sunveil F(登録商標)、
シリカ及びアルミナ、例えば、テイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 500 SA(登録商標)及びMicrotitanium Dioxide MT 100 SA、並びにTioxide社のTioveil、
アルミナ、例えば石原産業株式会社の製品Tipaque TTO-55(B)(登録商標)及びTipaque TTO-55(A)(登録商標)、並びにSachtleben Pigments社のUVT 14/4、
アルミナ及びステアリン酸アルミニウム、例えばテイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 T(登録商標)、MT 100 TX(登録商標)、MT 100 Z(登録商標)、及びMT-01(登録商標)、Croda社の製品Solaveil CT-10 W(登録商標)、及びSolaveil CT 100(登録商標)、並びにMerck社の製品Eusolex T-AVO(登録商標)、
シリカ、アルミナ、及びアルギン酸、例えばテイカ株式会社の製品MT-100 AQ(登録商標)、
アルミナ及びラウリン酸アルミニウム、例えばテイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 S(登録商標)、
酸化鉄及びステアリン酸鉄、例えばテイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 F(登録商標)、
酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛、例えばテイカ株式会社の製品BR 351(登録商標)、
シリカ及びアルミナ、そしてシリコーン処理、例えばテイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 600 SAS(登録商標)、Microtitanium Dioxide MT 500 SAS(登録商標)、又はMicrotitanium Dioxide MT 100 SAS(登録商標)、
シリカ、アルミナ、及びステアリン酸アルミニウム、そしてシリコーン処理、例えばチタン工業株式会社の製品STT-30-DS(登録商標)、
シリカ、そしてシリコーン処理、例えばSachtleben Pigments社の製品UV-Titan X 195(登録商標)、
アルミナ、そしてシリコーン処理、例えば石原産業株式会社の製品Tipaque TTO-55(S)(登録商標)、又はSachtleben Pigments社の製品UV Titan M 262(登録商標)、
トリエタノールアミン、例えばチタン工業株式会社の製品STT-65-S、
ステアリン酸、例えば石原産業株式会社の製品Tipaque TTO-55(C)(登録商標)、
ヘキサメタリン酸ナトリウム、例えばテイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 150 W(登録商標)、
オクチルトリメチルシランで処理されたTiO2(T 805(登録商標)の商標名でDegussa Silices社によって販売される)、
ポリジメチルシロキサンで処理されたTiO2(70250 Cardre UF TiO2SI3(登録商標)の商標名でCardre社によって販売される)、
ポリジメチルヒドロゲノシロキサンで処理されたアナタース/ルチルTiO2(Micro Titanium Dioxyde USP Grade Hydrophobic(登録商標)の商標名でColor Techniques社によって販売される)、
トリエチルヘキサノインで、ステアリン酸アルミニウムで、そしてアルミナでコーティングされたTiO2(Solaveil CT-200-LQ-(WD)の商標名でCrodaによって販売される)、
ステアリン酸アルミニウムで、アルミナで、そしてシリコーンでコーティングされたTiO2(Solaveil CT-12W-LQ-(WD)の商標名でCrodaによって販売される)、
ラウロイルリジンでコーティングされたTiO2(LL 5 Titanium Dioxyde CR 50の名で大東化成工業株式会社によって販売される)、
C9~C15フルオロアルコールリン酸で、そして水酸化アルミニウムでコーティングされたTiO2(PFX-5 TiO2 CR-50の名で大東化成工業株式会社によって販売される)。
【0089】
また、少なくとも1つの遷移金属、例えば鉄、亜鉛、又はマンガン、特にマンガンでドープされたTiO2色素が言及され得る。好ましくは、前記ドープされた色素は、油性の分散系の形態である。油性の分散系中に存在する油は、好ましくは、カプリン酸/カプリル酸のものが挙げられるトリグリセリドから選択される。酸化チタン粒子の油性の分散系は、1つ又は複数の分散剤、例えばソルビタンエステル、例えばイソステアリン酸ソルビタン、又はグリセロールのポリオキシアルキレン化脂肪酸エステル、例えばクエン酸TRI-PPG-3ミリスチルエーテル及びポリリシノレイン酸ポリグリセリル-3を含んでもよい。好ましくは、酸化チタン粒子の油性の分散系は、グリセロールのポリオキシアルキレン化脂肪酸エステルから選択される少なくとも1つの分散剤を含む。特に、クエン酸TRI-PPG-3ミリスチルエーテル及びポリリシノレイン酸ポリグリセリル-3及びイソステアリン酸ソルビタンの存在下での、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド中の、マンガンでドープされたTiO2粒子(INCI名:二酸化チタン(及び)クエン酸TRI-PPG-3ミリスチルエーテル(及び)リシノレイン酸ポリグリセリル-3(及び)イソステアリン酸ソルビタンを有する)の油性の分散系が言及され得、例えば、Optisol TD50(登録商標)の商標名でCroda社によって販売される製品がある。
【0090】
コーティングのない酸化チタン色素は、例えば、Microtitanium Dioxide MT 500 B又はMicrotitanium Dioxide MT 600 B(登録商標)の商標名でテイカ株式会社によって、P 25の名でDegussa社によって、Transparent titanium oxide PW(登録商標)の名でWackher社によって、UFTR(登録商標)の名で三好化成株式会社によって、ITS(登録商標)の名で株式会社トーメンによって、そしてTioveil AQの名でTioxide社によって販売される。
【0091】
コーティングのない酸化亜鉛色素は、例えば以下のものである:
Z-Coteの名でSunsmartによって販売されるもの;
Nanox(登録商標)の名でElementis社によって販売されるもの;
Nanogard WCD 2025(登録商標)の名でNanophase Technologies社によって販売されるもの。
【0092】
コーティングされた酸化亜鉛色素は、例えば以下のものである:
Zinc Oxide CS-5(登録商標)の名でToshibi社によって販売されるもの(ポリメチルヒドロゲノシロキサンでコーティングされたZnO);
Nanogard Zinc Oxide FN(登録商標)の名でNanophase Technologies社によって販売されるもの(Finsolv TN(登録商標)、安息香酸アルキルC12~C15中の40%の分散系として);
Daitopersion Zn-30(登録商標)及びDaitopersion Zn-50(登録商標)の名で大東化成工業株式会社によって販売されるもの(シクロポリメチルシロキサン/オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン中の分散系、シリカ及びポリメチルヒドロゲノシロキサンでコーティングされた30%又は50%の酸化亜鉛を含有);
NFD Ultrafine ZnO(登録商標)の名でダイキン工業株式会社によって販売されるもの(リン酸ペルフルオロアルキルでコーティングされたZnO、及びシクロペンタシロキサン中の分散系としての、パーフルオロアルキルエチルに基づくコポリマー);
SPD-Z1(登録商標)の名で信越化学工業株式会社によって販売されるもの(シリコーングラフト化アクリルポリマーでコーティングした、シクロジメチルシロキサン中に分散したZnO);
Escalol Z100(登録商標)の名でISP社によって販売されるもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP-ヘキサデセンコポリマー/メチコン混合物中に分散した、アルミナ処理されたZnO);
Fuji ZnO-SMS-10(登録商標)の名で冨士色素株式会社によって販売されるもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンでコーティングされたZnO);
Nanox Gel TN(登録商標)の名でElementis社によって販売されるもの(ヒドロキシステアリン酸重縮合体を有する安息香酸アルキルC12~C15中で55%の濃度にて分散したZnO)。
【0093】
コーティングのない酸化セリウム色素は、例えば、Colloidal Cerium Oxide(登録商標)の名でRhone-Poulenc社によって販売されるものであってよい。
【0094】
コーティングのない酸化鉄色素は、例えば、Nanogard WCD 2002(登録商標)(FE 45B(登録商標))、Nanogard Iron FE 45 BL AQ、Nanogard FE 45R AQ(登録商標)、及びNanogard WCD 2006(登録商標)(FE 45R(登録商標))の名でArnaud社によって、又はTY-220(登録商標)の名でMitsubishi社によって販売される。
【0095】
コーティングされた酸化鉄色素は、例えば、Nanogard WCD 2008(FE 45B FN)(登録商標)、Nanogard WCD 2009(登録商標)(FE 45B 556(登録商標))、Nanogard FE 45 BL 345(登録商標)、及びNanogard FE 45 BL(登録商標)の名でArnaud社によって、又はTransparent Iron Oxide(登録商標)の名でBASF社によって販売される。
【0096】
また、金属酸化物の、特に二酸化チタンの、そして二酸化セリウムの混合物が言及され得、Sunveil A(登録商標)の名で池田物産株式会社によって販売されるシリカでコーティングされた二酸化チタン及び二酸化セリウムの等質量混合物、及び、Sachtleben Pigments社によって販売される製品M 261(登録商標)等の、アルミナ、シリカ、及びシリコーンでコーティングされた、又はSachtleben Pigments社によって販売される製品M 211(登録商標)等の、アルミナ、シリカ、及びグリセロールでコーティングされた、二酸化チタン及び二酸化亜鉛の混合物が挙げられる。
【0097】
本発明に従えば、コーティングされた、又はコーティングのない酸化チタン色素が、特に好ましい。
【0098】
本発明の好ましい一実施形態によれば、組成物はまた、親水性、親油性若しくは不溶性有機UV-スクリーニング剤及び/又は1種以上の無機顔料から選択され;より優先的には、単独で又は混合物として、アントラニレート;サリチル酸誘導体;ベンジリデンカンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;エチルヘキシルメトキシクリレン誘導体とは異なるβ,β-ジフェニルアクリレート化合物;ビスレゾルシニルトリアジンタイプの誘導体などのトリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;ビスベンゾアゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;ベンゾキサゾール誘導体;スクリーニングポリマー及びスクリーニングシリコーン;α-アルキルスチレンベースのダイマー;4,4-ジアリールブタジエン;並びに/又は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム及びこれらの混合物などであり、好ましくは、単独で又は混合物として、酸化チタンから選択される処理された若しくは無処理の金属酸化物顔料又はナノ顔料から選択される、1種以上の追加のUV-スクリーニング剤を含む。
【0099】
本発明のきわめて好ましい実施形態によれば、本発明に係る組成物はまた、単独で又は混合物として、以下のUV-スクリーニング剤:エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、4-メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5,1(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、及び、これらの混合物から選択される1種以上の追加のUV-スクリーニング剤を含む。
【0100】
本発明に係る組成物中に存在する追加のUV-スクリーニング剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~50質量%の範囲であり得る。これは、組成物の総質量に対して、好ましくは0.2質量%~30質量%、より優先的には0.5質量%~25質量%の範囲であり、及び、より良くは1質量%~15質量%の範囲である。
【0101】
界面活性剤
本発明に係る組成物は、任意選択により、1種以上の界面活性剤をも含んでいてもよい。
【0102】
本発明に係る界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び/又は双性界面活性剤、及び、これらの混合物から選択されることが好ましい。
【0103】
本発明に係る組成物中に存在していてもよいアニオン性界面活性剤は、特に、植物由来のタンパク質又はシルクタンパク質のアニオン性誘導体、ホスフェート及びアルキルホスフェート、カルボン酸及びカルボキシレート、スルホスクシネート、アミノ酸誘導体、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、スルホネート、イセチオネート、タウレート、アルキルスルホアセテート、ポリペプチド、アルキルポリグルコシドのアニオン性誘導体、石鹸(脂肪酸塩)、並びに、これらの混合物から選択され得る。
【0104】
a)植物由来のタンパク質のアニオン性誘導体は、疎水性基を有するタンパク質加水分解物であり、前記疎水性基が、タンパク質中に自然に存在していること、又は、タンパク質及び/又はタンパク質加水分解物の疎水性化合物との反応によって追加されることが可能である。タンパク質は植物由来のものであるか、又は、絹由来のものであり、疎水性基は、特に、例えば10~22個の炭素原子を含むアルキル鎖といった脂肪鎖であり得る。植物由来のタンパク質のアニオン性誘導体としては、特に、10~22個の炭素原子を有するアルキル鎖を含むリンゴ、コムギ、ダイズ又はカラスムギタンパク質加水分解物、及び、その塩が挙げられ得る。アルキル鎖は特に、ラウリル鎖であり得、並びに、塩は、ナトリウム、カリウム及び/又はアンモニウム塩であり得る。
【0105】
それ故、疎水性基を有するタンパク質加水分解物としては、例えば、名称Kawa Silkで川研ファインケミカル株式会社により販売されている製品などの、タンパク質がラウリン酸で変性されたシルクタンパク質であるタンパク質加水分解物の塩;名称Aminofoam W ORでCrodaにより販売されているカリウム塩(CTFA名:ラウロイルコムギアミノ酸カリウム)、及び、名称Proteol LW 30でSEPPIC社により販売されているナトリウム塩(CTFA名:ラウロイルコムギアミノ酸ナトリウム)などの、タンパク質がラウリン酸で変性されたコムギタンパク質であるタンパク質加水分解物の塩;タンパク質が10~22個の炭素原子を含有するアルキル鎖を含むカラスムギタンパク質であるタンパク質加水分解物の塩、及び、特に、名称Proteol OAT(30%水溶液)でSEPPIC社により販売されているナトリウム塩(CTFA名:ラウロイルカラスムギアミノ酸ナトリウム)などの、タンパク質がラウリン酸で変性されたカラスムギタンパク質であるタンパク質加水分解物の塩;又は、名称Proteol APL(30%グリコール水溶液)でSEPPIC社によって販売されているナトリウム塩(CTFA名:ココイルリンゴアミノ酸ナトリウム)などの、10~22個の炭素原子を含有するアルキル鎖を含むリンゴタンパク質加水分解物の塩が挙げられ得る。SEPPIC社によって名称Proteol SAV 50 Sで販売されているN-メチルグリシンナトリウムで中和されたラウロイルアミノ酸の混合物(アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニン)(CTFA名:ココイルアミノ酸ナトリウム)もまた挙げられ得る。
【0106】
b)記載し得るホスフェート及びアルキルホスフェートの例としては、名称MAP 20(登録商標)でKao Chemicals社により販売されているラウリルモノホスホネートなどのモノアルキルホスフェート及びジアルキルホスフェート、ドデシルリン酸のカリウム塩、名称Crafol AP-31(登録商標)でCognis社により販売されているモノエステル及びジエステルの混合物(主にジエステル)、名称Crafol AP-20(登録商標)でCognis社により販売されているオクチルリン酸モノエステル及びジエステルの混合物、名称Isofol 12 7 EO-Phosphate Ester(登録商標)でCondea社により販売されているエトキシル化(7molのEO)リン酸モノエステル及び2-ブチルオクタノールのジエステルの混合物、Arlatone MAP 230K-40(登録商標)及びArlatone MAP 230T-60(登録商標)リファレンスでUniqema社により販売されているモノ(C12~C13)アルキルホスフェートのカリウム又はトリエタノールアミン塩、名称Dermalcare MAP XC-99/09(登録商標)でRhodia Chimie社により販売されているラウリルリン酸カリウム、並びに、名称Arlatone MAP 160KでUniqema社により販売されているセチルリン酸カリウムが挙げられる。
【0107】
c)カルボン酸及びカルボキシレートとしては、例えば、名称Akpyo Foam 30(登録商標)でKao Chemicals社により販売されているラウリルアミドエーテルカルボン酸ナトリウム(3EO)などのアミドエーテルカルボキシレート(AEC)、名称Akpyo Soft 45 NV(登録商標)でKao Chemicals社により販売されているオキシエチレン化(6EO)ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム(C12-14-16 65/25/10)などのポリオキシエチレン化カルボン酸塩、名称Olivem 400(登録商標)でBiologia E Tecnologia社により販売されているオリーブ油由来のポリオキシエチレン化及びカルボキシメチル化脂肪酸、名称Nikkol ECTD-6NEX(登録商標)でNikkol社により販売されているオキシエチレン化(6EO)トリデシルエーテルカルボン酸ナトリウム、ステアリン酸などのC6~C22アルキル鎖を有する脂肪酸、並びに、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、リシン及びアルギニンなどの有機又は無機塩基で中和されたC6~C22アルキル鎖を有する脂肪酸塩(石鹸)が挙げられ得る。
【0108】
d)特に記載され得るアミノ酸誘導体としては、以下のものなどのアミノ酸のアルカリ塩が挙げられる:
サルコシネート、例えば、ココイルサルコシンナトリウム、名称Sarkosyl NL 97(登録商標)でCiba社により販売されている、又は、名称Oramix L 30(登録商標)でSEPPIC社により販売されているラウロイルサルコシンナトリウム、名称Nikkol Sarcosinate MN(登録商標)でNikkol社により販売されているミリストイルサルコシンナトリウム、及び、名称Nikkol Sarcosinate PN(登録商標)でNikkol社により販売されているパルミトイルサルコシンナトリウム;
アラニネート、例えば、名称Sodium Nikkol Alaninate LN 30(登録商標)でNikkol社により販売されている、又は、名称Alanone ALE(登録商標)で川研ファインケミカル株式会社により販売されているN-ラウロイルN-メチルアミドプロピオン酸ナトリウム、及び、名称Alanone Alta(登録商標)で川研ファインケミカル株式会社により販売されているトリエタノールアミンN-ラウロイルN-メチルアラニン;
グルタメート、例えば、名称Acylglutamate CT-12(登録商標)で味の素株式会社により販売されているトリエタノールアミンモノココイルグルタメート、名称Acylglutamate LT-12(登録商標)で味の素株式会社により販売されているトリエタノールアミンラウロイルグルタメート、アスパラテート、例えば、名称Asparack(登録商標)でMitsubishi社により販売されているトリエタノールアミンN-ラウロイルアスパラテート/トリエタノールアミンN-ミリストイルアスパラテートの混合物;
グリシン誘導体(グリシネート)、例えば、名称Amilite GCS-12(登録商標)及びAmilite GCK 12で味の素株式会社により販売されているN-ココイルグリシン酸ナトリウム;
名称Witconol EC 1129でGoldschmidt社により販売されているココイルアルコールのオキシエチレン化(9mol)クエン酸モノエステルなどのシトレート、及び、Soliance社により販売されているドデシルD-ガラクトシドウロン酸ナトリウムなどのガラクツロネート。
【0109】
e)記載され得るスルホスクシネートの例としては、名称Setacin 103 Special(登録商標)及びRewopol SB-FA 30 K 4(登録商標)でWitco社により販売されているオキシエチレン化(3EO)ラウリルアルコールモノスルホスクシネート(70/30 C12/C14)、名称Setacin F Special Paste(登録商標)でZschimmer Schwarz社により販売されているC12~C14アルコールのヘミスルホコハク酸の二ナトリウム塩、名称Standapol SH 135(登録商標)でCognis社により販売されているオキシエチレン化(2EO)オレアミドスルホコハク酸二ナトリウム、名称Lebon A-5000(登録商標)でSanyo社により販売されているオキシエチレン化(5EO)ラウリルアミドモノスルホスクシネート、名称Rewopol SB CS 50(登録商標)でWitco社により販売されているラウリルシトレートモノスルホスクシネートのオキシエチレン化(10EO)二ナトリウム塩、並びに、名称Rewoderm S 1333(登録商標)でWitco社により販売されているリシノール酸モノエタノールアミドモノスルホスクシネートが挙げられる。名称Mackanate-DC30でMacIntyre社により販売されているPEG-12ジメチコンスルホコハク酸二ナトリウムなどのポリジメチルシロキサンスルホスクシネートもまた用いられ得る。
【0110】
f)記載され得るアルキルスルフェートの例としては、Huntsmanにより名称Empicol TL40 FLで販売されている製品、又は、Cognisによって名称Texapon T42で販売されている製品(これらの製品は40%水溶液である)などのラウリル硫酸トリエタノールアミン(CTFA名:TEAラウリルスルフェート)が挙げられる。Huntsmanにより名称Empicol AL 30FLで販売されている製品(30%水溶液である)などのラウリル硫酸アンモニウム(CTFA名:ラウリル硫酸アンモニウム)もまた挙げられ得る。
【0111】
g)記載され得るアルキルエーテルスルフェートの例としては、名称Texapon N40及びTexapon AOS 225 UPでCognis社により販売されている製品などのラウリルエーテル硫酸ナトリウム(CTFA名:ラウレス硫酸ナトリウム)、又は、名称Standapol EA-2でCognis社により販売されている製品などのラウリルエーテル硫酸アンモニウム(CTFA名:ラウレス硫酸アンモニウム)が挙げられる。
【0112】
h)記載され得るスルホネートの例としては、名称Bio-Terge AS-40(登録商標)でStepan社により販売されており、名称Witconate AOS Protege(登録商標)及びSulframine AOS PH 12(登録商標)でWitco社により販売されており、又は、名称Bio-Terge AS-40 CG(登録商標)でStepan社により販売されているα-オレフィンスルホン酸ナトリウム(C14~C16)、名称Hostapur SAS 30(登録商標)でClariant社により販売されている第2級オレフィンスルホン酸ナトリウムなどのα-オレフィンスルホネート;又は、名称Manrosol SXS30(登録商標)、Manrosol SXS40(登録商標)及びManrosol SXS93(登録商標)でManro社により販売されているキシレンスルホン酸ナトリウムなどの直鎖アルキルアリールスルホネートが挙げられる。
【0113】
i)記載され得るイセチオネートとしては、例えば、名称Jordapon CI P(登録商標)でJordan社により販売されている製品などのココイルイセチオン酸ナトリウムといった(C8~C18)アシルイセチオネートが挙げられる。
【0114】
j)記載され得るタウレートとしては、名称Hostapon CT Pate(登録商標)でClariant社により販売されているパーム核油メチルタウレートの塩(特にナトリウム塩);名称Hostapon LT-SF(登録商標)でClariant社により販売されている、又は、名称Nikkol CMT-30-T(登録商標)でNikkol社により販売されている、例えば、N-ココイルN-メチルタウリンナトリウムといったN-(C8~C18)アシルN-メチルタウレート、及び、名称Nikkol PMT(登録商標)でNikkol社により販売されているパルミトイルメチルタウリンナトリウムが挙げられる。
【0115】
k)(C8~C18)アルキルポリグルコシドのアニオン性誘導体は、特に、アルキルポリグルコシドから得られるグリセロールのシトレート、タルタレート、スルホスクシネート、カーボネート及びエーテルであり得る。例えば、名称Eucarol AGE-ET(登録商標)でCesalpiniaにより販売されているココイルポリグルコシド(1,4)酒石酸エステルのナトリウム塩、名称Essai 512 MP(登録商標)でSeppicにより販売されているココイルポリグルコシド(1,4)スルホコハク酸エステルの二ナトリウム塩、又は、名称Eucarol AGE-EC(登録商標)でCesalpiniaにより販売されているココイルポリグルコシド(1,4)クエン酸エステルのナトリウム塩が挙げられ得る。
【0116】
l)石鹸は、塩基性薬剤で部分的又は完全に鹸化(中和)された脂肪酸から得られる。これらは、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属石鹸、又は、有機塩基の石鹸である。脂肪酸としては、8~30個の炭素原子を含む、及び、好ましくは8~22個の炭素原子を含む飽和、直鎖若しくは分岐鎖脂肪酸が用いられ得る。この脂肪酸は、特に、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸及びラウリン酸、及び、これらの混合物から選択され得る。
【0117】
用いられ得る塩基性薬剤の例としては、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化マグネシウム)、水酸化アンモニウム、或いは、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、リシン及びアルギニンなどの有機塩基が挙げられる。
【0118】
石鹸は特に脂肪酸アルカリ金属塩であり得、塩基性薬剤はアルカリ金属水酸化物であり、及び、好ましくは水酸化カリウム(KOH)である。
【0119】
塩基性薬剤の量は、脂肪酸を少なくとも部分的に中和するのに十分でなければならない。
【0120】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルスルフェート、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテルスルフェート、ホスフェート、セチルリン酸カリウムなどのアルキルホスフェート、アミノ酸誘導体、特に、ココイルサルコシンナトリウムなどのサルコシネート誘導体(サルコシネート)、ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸、ステアリン酸などのカルボン酸、及び、これらの混合物から選択される。
【0121】
優先的には、アニオン性界面活性剤は、ホスフェート、セチルリン酸カリウムなどのアルキルホスフェート、ココイルサルコシンナトリウムなどのサルコシネート誘導体(サルコシネート)、ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸、ステアリン酸などのカルボン酸、及び、これらの混合物から選択される。
【0122】
本発明の組成物中に存在し得るノニオン性界面活性剤は、特に、アルキルポリグルコシド(APG)、オキシアルキレン化グリセロールエステル、ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪酸エステル、例えばICI社によって名称Arlacel 165で販売されているPEG-100ステアレート/グリセリルステアレート混合物などの、任意選択によりグリセロールの脂肪酸エステルと組み合わされるポリオキシアルキレン化(特にポリオキシエチレン化及び/又はポリオキシプロピレン化)脂肪酸エステル、オキシアルキレン化糖質エステル、及び、これらの混合物から選択されることが可能である。
【0123】
アルキルポリグルコシドとしては、6~30個の炭素原子を含む、及び、好ましくは8~16個の炭素原子を含むアルキル基を含有するもの、並びに、1.2~3のグルコシド単位を含むグルコシド基を含有するものが好ましく用いられる。アルキルポリグルコシドは、例えば、例えば、名称Mydol 10(登録商標)でKao Chemicals社により販売されている製品、又は、名称Plantacare 2000 UP(登録商標)でCognis社により販売されている製品といった、デシルグルコシド(アルキル-C9/C11-ポリグルコシド(1.4));例えば、名称Plantacare KE 3711(登録商標)でCognis社により販売されている製品といった、カプリリル/カプリルグルコシド;例えば、名称Plantacare 1200 UP(登録商標)でCognis社により販売されている製品といった、ラウリルグルコシド;例えば、名称Plantacare 818 UP(登録商標)でCognis社により販売されている製品といった、ココイルグルコシド;例えば、名称Plantacare 810 UP(登録商標)でCognis社により販売されている製品といった、カプリリルグルコシド;並びに、これらの混合物から選択される。
【0124】
オキシアルキレン化グリセロールエステルは特に、グリセロール、及び、脂肪酸、及び、これらの水素化誘導体のエステルのポリオキシエチレン化誘導体である。これらのオキシアルキレン化グリセロールエステルは、例えば、名称Rewoderm LI-S 80でGoldschmidt社により販売されている、PEG-200水素化グリセリルパルメートなどの水素化及びオキシエチレン化されている脂肪酸のグリセリルエステル;名称Tegosoft GCでGoldschmidt社により販売されているPEG-7グリセリルココエート、及び、名称Rewoderm LI-63でGoldschmidt社により販売されているPEG-30グリセリルココエートなどのオキシエチレン化グリセリルココエート;オキシエチレン化グリセリルステアレート;並びに、これらの混合物から選択される。
【0125】
オキシアルキレン化糖質エステルは特に、脂肪酸及び糖質エステルのポリエチレングリコールエーテルである。これらのオキシアルキレン化糖質エステルは、例えば、名称Glucamate DOE 120でAmerchol社により販売されているPEG-120メチルグルコースジオレアートなどのオキシエチレン化グルコースエステルから選択され得る。
【0126】
好ましくは、ノニオン性界面活性剤は、単独で又は混合物として、任意選択によりグリセロールの脂肪酸エステルと組み合わされる、オキシアルキレン化グリセロールエステル及びポリオキシアルキレン化脂肪酸エステルから選択される。
【0127】
優先的には、ノニオン性界面活性剤は、PEG-200水素化グリセリルパルメート、PEG-7グリセリルココエート及びPEG-30グリセリルココエート、PEG-100ステアレート/グリセリルステアレート混合物;並びに、これらの混合物から選択される。
【0128】
本発明の文脈において、用語「双性界面活性剤」は、各々親水性のヘッド及び疎水性のテールからなり、親水性のヘッドで、スペーサー基によって互いにリンクされている2つの界面活性剤単位を含む二量体界面活性剤を意味することが意図されている。
【0129】
本発明において用いられることが可能である双性界面活性剤は、特に、独国特許出願公開第199 43 681号明細書において構築されており、すなわち、国際公開第96/14926号パンフレットに記載の式(XI)の化合物である。
【化25】
(式中:
R
1及びR
3は、相互に独立して、1~25個の炭素原子を含有するアルキル基を示し;
R
2は、1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖アルキレン鎖からなるスペーサー基を示し;
Xは、-(C
2H
4O)
a-(C
3H
6O)
bZ基を示し、
Yは、-(C
2H
4O)c-(C
3H
6O)
dZ基を示し、
Zは、水素原子又は基-CH
2-COOM、-SO
3M、-P(O)(OM)
2、-C
2H
4-SO
3M、-C
3H
6-SO
3M又は-CH
2(CHOH)
4CH
2OHを示し、ここで、M及びM’は、水素原子又はアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン又はアンモニウム又はアルカノールアンモニウムイオンを表し、
a及びcは、互いに独立して、0~15の範囲であり、
b及びdは、互いに独立して、0~10の範囲であり、及び
a+b+c+dの和は1~25範囲であり;並びに
nは1~10の範囲である)。
【0130】
好ましくは、b及びdは0に等しい。
【0131】
R1及びR3は、相互に独立して、好ましくは、5~21個、及び、さらに特に、7~19個の炭素原子を含有するアルキル基を示す。
【0132】
双性界面活性剤は、好ましくは、基R1-CO-及びR3-CO-の各々が8~20個の炭素原子を含み、並びに、好ましくは、ココナッツ脂肪酸残渣(主にラウリン酸及びミリスチン酸を含む)を示すようなものである。
【0133】
加えて、双性界面活性剤は好ましくは、a、b、c及びdの和が10~20の範囲の平均値を有し、好ましくは12~18であり、さらに特には15に等しいようなものである。
【0134】
Zに係る好ましい基は基-SO3Mであり、ここで、Mは好ましくは、ナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンである。
【0135】
スペーサー基R2は、直鎖C1~C3アルキレン鎖、及び、好ましくはエチレン(-CH2CH2-)鎖からなるものであることが有利である。
【0136】
最後に、nは1に等しいことが有利である。
【0137】
双性界面活性剤は特に、以下の構造:
【化26】
(式中、Rはヤシ油脂肪酸を表し、及び、m+nは15の平均値を有する)
を有するINCI名:エチレンジコカミドPEG-15ジ硫酸二ナトリウムにより識別されるものである。
【0138】
好ましくは、本発明に係る双性界面活性剤は他の界面活性剤との混合物として用いられ、特に、(a)C6~C22脂肪酸のグリセリルエステル(好ましくは、ステアレートなどのC14~C20)、(b)C6~C22脂肪酸の(好ましくは、ステアレートなどのC14~C20)、及び、クエン酸の、及び、グリセロールのジエステル(特にC6~C22脂肪酸、及び、グリセリルモノシトレートのジエステル)、並びに、(c)C10~C30脂肪アルコール(好ましくは、ベヘニルアルコール)との混合物として用いられる。
【0139】
双性界面活性剤は、例えば、Sasol社により名称Ceralution(登録商標)で販売されている製品、及び、特に以下の製品:
・Ceralution(登録商標) H:ベヘニルアルコール、グリセリルステアレート、グリセリルステアレートシトレート及びエチレンジココアミドPEG-15ジ硫酸二ナトリウム、
・Ceralution(登録商標) F:ラウロイル乳酸ナトリウム及びエチレンジコカミドPEG-15ジ硫酸二ナトリウム、
・Ceralution(登録商標) C:カプリル/カプリリルトリグリセリド、セテアレス-25、エチレンジコカミドPEG-15ジ硫酸二ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ベヘニルアルコール、グリセリルステアレート、グリセリルステアレートシトレート、(INCI名)
の形態で、他の界面活性剤との混合物として用いられ得る。
【0140】
双性界面活性剤は、これらの混合物の質量の3~50%に相当する。
【0141】
双性界面活性剤は、組成物の総質量に対して、0.05~10質量%の範囲、好ましくは0.1~5質量%の範囲、及び、より良くは0.2~2質量%の範囲となる活性物質の含有量で本発明に係る組成物中に存在することが可能である。
【0142】
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明に係る組成物はまた、PEG-200水素化グリセリルパルメート、PEG-7グリセリルココエート、PEG-30グリセリルココエート、PEG-100ステアレート/グリセリルステアレート混合物、ステアリン酸、エチレンジコカミドPEG-15ジ硫酸二ナトリウム;及び、これらの混合物から選択される1種以上の界面活性剤を含む。
【0143】
界面活性剤はまた、ソルビタンの、グリセロールの、ポリオールの、又は糖のアルキルエステル又はエーテル;シリコーン界面活性剤、例えばジメチコンコポリオール、例えばシクロメチコンの、そしてジメチコンコポリオールの混合物(DC 5225 C(登録商標)の名でDow Corning社によって販売される)、及びアルキルジメチコンコポリオール、例えばラウリルメチコンコポリオール(Dow Corning 5200 Formulation Aidの名でDow Corning社によって販売される);セチルジメチコンコポリオール、例えばAbil EM 90R(登録商標)の名でGoldschmidt社によって販売される製品、並びにセチルジメチコンコポリオールの、イソステアリン酸ポリグリセリル(4mol)の、そしてラウリン酸ヘキシルの混合物(Abil WE O9(登録商標)の名でGoldschmidt社によって販売される)から選ばれてもよい。有利には、ポリオールアルキルエステルを含む群から選択され得る1つ又は複数の共乳化剤が加えられてもよい。
【0144】
非シリコーン系乳化界面活性剤、特にポリオールのアルキルエステル又はエーテルもまた挙げられる。ポリオールのアルキルエステルとしては、例えば、名称Arlacel P135(登録商標)でICI社により販売されている製品などのPEG-30ジポリヒドロキシステアレートといった、ポリエチレングリコールエステルが特に挙げられ得る。
【0145】
両親媒性ポリマー
本発明に係る組成物はまた、任意選択により1種以上の両親媒性ポリマーを含んでいてもよい。
【0146】
本発明に係る組成物において用いられる両親媒性ポリマーは:
(a)以下の式(XII):
【化27】
(式中、Xは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はアンモニウムイオンであり;Xがアルカリ土類金属カチオンを表す場合、これは、2つの正の電荷を2つのSO
3
-基で共有すると理解される)
の80mol%~99mol%の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位;並びに
(b)以下の式(XIIbis):
【化28】
(式中、n及びpは、相互に独立して、モル数を示すものであって、0~30及び好ましくは1~20の範囲であり、但し、n+pは、30以下であり、好ましくは、25未満であり、及び、より良くは20未満であり;R
1は、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖C
1~C
6アルキル基(好ましくはメチル)を示し、及び、R
3は、6~30及び好ましくは10~25個の炭素原子の範囲のm個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルキル基を示す)
の1mol%~20mol%、及び、好ましくは1mol%~15mol%の単位を含む2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)から誘導されるポリマーであることが可能である。
【0147】
用語「両親媒性ポリマー」は、少なくとも1つの親水性部分(又はブロック)及び少なくとも1つの疎水性部分(又はブロック)を含むポリマーを意味することが意図されている。このポリマーは水溶性又は水分散性である。
【0148】
本発明の組成物において用いられる両親媒性ポリマーは、水溶性又は水分散性である。用語「水溶性又は水分散性ポリマー」は、1質量%に等しい濃度で水に導入された場合に、厚さ1cmのサンプルに対する500nmに等しい波長の透光率が少なくとも10%(これは1.5未満の吸光度[abs=-log(透過率)]に相当する)である肉眼で均質な溶液をもたらすポリマーを意味することが意図されている。
【0149】
本発明に係る両親媒性ポリマーは一般に、50000~10000000、より優先的には100000~8000000、及び、さらにより優先的には200000~3000000の範囲の質量平均モル質量を有する。
【0150】
本発明に係るポリマーは、優先的には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム若しくは水性アンモニアといった無機塩基で、又は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、又は、例えばアルギニン及びリシンといった塩基性アミノ酸といった有機塩基で、並びに、これらの混合物で、部分的に若しくは完全に中和されている。
【0151】
本発明に従って用いられるポリマーは、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2-アゾビス[2-アミジノプロパン]ヒドロクロリド(ABAH)、過酸化ジラウリル、過酸化ベンゾイル、t-ブチルヒドロ過酸化物等などの有機過酸化物、過硫酸カリウム若しくは過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化化合物、又は、H2O2などの1種以上の開始剤の存在下、任意選択により、還元剤の存在下における標準的なラジカル重合プロセスに従って入手され得る。
【0152】
ポリマーは、これらが沈殿するt-ブタノール媒体中におけるラジカル重合によって特に入手される。t-ブタノール中における重合を用いることで、その使用のために特に好適なポリマー粒子のサイズ分布を達成することが可能である。
【0153】
重合反応は、0~150℃、好ましくは20~100℃の温度で、大気圧又は減圧下で行われ得る。これはまた、不活性雰囲気下で、及び、好ましくは窒素下で行われ得る。
【0154】
本発明に係る組成物において用いられるAMPSの両親媒性ポリマーは非架橋である。
【0155】
本発明に係る組成物において用いられ得るAMPSベースのポリマーとしては、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)又はそのナトリウム若しくはアンモニウム塩と、(メタ)アクリル酸及び6~25のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化C10~C20アルコールのエステルとから調製されるポリマーが挙げられ得る。
【0156】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、又は、そのナトリウム若しくはアンモニウム塩と、(メタ)アクリル酸のエステル、及び:
8molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC10~C18アルコール(Genapol C-080、Clariant製)のエステル、
8molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC11オキソアルコール(Genapol UD-080、Clariant製)のエステル、
7molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC11オキソアルコール(Genapol UD-070、Clariant製)のエステル、
7molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコール(Genapol LA-070、Clariant製)のエステル、
9molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコール(Genapol LA-090、Clariant製)のエステル、
11molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコール(Genapol LA-110、Clariant製)のエステル、
8molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(Genapol T-080、Clariant製)のエステル、
11molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(Genapol T-110、Clariant製)のエステル、
15molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(Genapol T-150、Clariant製)のエステル、
20molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(Genapol T-200、Clariant製)のエステル、
25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(Genapol T-250、Clariant製)のエステル、
25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC18~C22アルコールのエステル、
25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18イソアルコールのエステル
とから調製されるポリマーが特に挙げられ得る。
【0157】
好ましい一実施形態によれば、両親媒性ポリマーは、AMPSと、メタクリル酸又はメタクリル酸塩及び6~25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコールから得られる6~25molのオキシエチレン基を含むC16~C18アルキルメタクリレートとのコポリマーである。両親媒性ポリマーはまた、AMPSと、メタクリル酸又はメタクリル酸塩及び6~25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコールから得られる6~25個のオキシエチレン基を含むC12~C14アルキルメタクリレートとのコポリマーであり得る。
【0158】
本発明による好ましい両親媒性ポリマーとしては:
Clariant社により名称Aristoflex SNCで販売されている製品などの、92.65mol%のAMPSと8個のオキシエチレン基を含む7.35mol%のC16~C18アルキルメタクリレートとから得られる非架橋コポリマー(Genapol T-080);
Clariant社によって名称Aristoflex LNCで販売されている製品などの、91.5mol%のAMPSと7個のオキシエチレン基を含む8.5mol%のC12~C14アルキルメタクリレートとから得られる非架橋コポリマー(Genapol LA-070);
及び、これらの混合物が挙げられ得る。
【0159】
上記の両親媒性ポリマーは、任意選択により、組成物の総質量に対して、0.01%~10質量%、好ましくは0.05%~5質量%、より優先的には0.1%~3質量%の含有量で本発明に係る組成物中に存在している。
【0160】
リン酸及び脂肪アルコールのエステルの塩
任意選択により、本発明に係る組成物は、リン酸及び脂肪アルコールのエステルの塩を追加で1種以上含んでいることが可能である。
【0161】
本発明に係るリン酸及び脂肪アルコールのエステルのアルカリ金属塩は、以下の式(XIII):
(R’O)-P(O)-(O-M)2(XIII)
に相当し、式中、R’は、直鎖若しくは分岐鎖飽和C8~C22アルキル基を表し、並びに、Mは、ナトリウム又はカリウム、及び、さらにより優先的にはカリウムなどのアルカリ金属を表し;
R’は、例えばラウリル、セチル、ステアリル、及び、より優先的には、セチルを示すことが可能である。リン酸及び脂肪アルコールのエステルの塩は、リン酸及び脂肪アルコールのエステルの混合物の塩の形態であることが可能である。
【0162】
本発明の好ましい一態様によれば、例えば商品名Amphisol K(登録商標)でDSM Nutritional Products Inc社により販売されている製品、又は、商品名Evermap 160K(登録商標)でSino Lion(USA)Ltd.社により販売されている製品、又は、商品名Hostaphat CK 100(登録商標)でClariant International Ltd.社により販売されている製品といった、INCI名セチルリン酸カリウムを有するリン酸及びセチルアルコールのエステルの混合物のカリウム塩が用いられることとなる。
【0163】
上記のリン酸及び脂肪アルコールのエステルの塩は、組成物の総質量に対して、任意選択により、0.1質量%~5質量%、及び、より優先的には0.1質量%~3質量%の含有量で本発明に係る組成物中に存在している。
【0164】
添加剤
本発明に係る組成物はまた、任意選択により、エタノールなどのアルコール;ジプロピレングリコール及びブチレングリコールなどのグリコール;グリセロール;活性剤;塩;有機粒子;Lubrizol社により販売されているPemulens TR1又はTR2又はCarbopol ETD2020などの両親媒性ポリマー;ポリ(N-ビニルピロリドン)などの親水性ポリマー;例えば、グアーガム、キサンタンガム及びセルロースベースの誘導体といった多糖類;例えば、アクリルシリコーン、ポリエーテルシリコーン及びカチオン性シリコーンといった水溶性又は水分散性シリコーン誘導体;並びに、これらの混合物などの、化粧用、並びに、特に抗太陽光、ケア及びメイクアップ製品の分野において通常用いられる本発明の化合物とは異なる1種以上の添加剤を含んでいることが可能である。
【0165】
活性剤としては、単独、又は、混合物としてのビタミン(A、C、E、K、PP等)及びその誘導体;角質溶解及び/又は剥離剤(サリチル酸及びその誘導体、α-オキシ酸、アスコルビン酸及びその誘導体);脱色剤;合成ポリマーなどの張力剤;植物タンパク質;任意選択によりミクロゲルの形態である植物由来の多糖類;ワックス分散体;無機充填材の混合シリケート及びコロイド状粒子;艶消剤;脱毛予防及び/又は育毛のための薬剤;又は、アンチリンクル剤;並びに、これらの混合物が特に挙げられ得る。
【0166】
当然のように、当業者は、本発明に係る組成物に本質的に付随する有利な特性が、想定される付加によって悪影響をうけないか、又は、実質的に受けないよう、この又はこれらの任意選択の追加の化合物を注意して選択するであろう。
【0167】
上記の添加剤は一般に、組成物の総質量に対して、これらの各々について、0~20質量%の量で存在し得る。
【0168】
組成物の形態
本発明に係る組成物は、当業者に周知である技術に従って調製され得る。これらは特に、クリーム、乳又はクリーム状のゲルなどの単純又は複合的なエマルジョン(水中油型又はO/Wと略記されるもの、油中水型又はW/O、油中水中油型又はO/W/O、又は水中油中水型又はW/O/W)の形態であり得る。
【0169】
本発明に係る組成物が水中油型エマルジョンの形態である場合、本発明に係る組成物は、連続する水性相と水性相中に分散された少なくとも1つの油性相とを含む。
【0170】
本発明に係る組成物が油中水型エマルジョンの形態である場合、本発明に係る組成物は、連続する油性相と油性相中に分散された少なくとも1つの水性相とを含む。
【0171】
本発明によれば、水性相は、水、及び、任意選択により他の水溶性又は水和性の有機溶剤を含有する。
【0172】
本発明における使用に好適である水性相は、例えば、La Roche-Posay由来の水、Vittel由来の水若しくはVichy由来の水などの天然の湧水、又は、フローラルウォーターから選択される水を含み得る。
【0173】
本発明における使用に好適である水溶性又は水和性の溶剤は、エタノール又はイソプロパノールなどの、例えばC2~C4モノアルコールといった短鎖モノアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセロール及びソルビトールなどのジオール又はポリオール、並びに、これらの混合物を含む。
【0174】
本発明の好ましい一実施形態によれば、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、及び、これらの混合物がさらに特に使用され得る。
【0175】
特に、水は、水性相の総質量に対して、30~99質量%、好ましくは50~99質量%、及び、より良くは60~98質量%の範囲の総量で存在し得る。
【0176】
水は、組成物の総質量に対して、30質量%以上、好ましくは45質量%以上、及び、優先的には45質量%~65質量%の範囲の総量で存在し得る。
【0177】
本発明によれば、用語「油性相」は、本発明の組成物の配合物に用いられる少なくとも1種の油、並びに、すべての脂溶性及び親油性成分、並びに、脂質を含む相を意味することが意図されている。
【0178】
用語「油」は、周囲温度(25℃)及び大気圧(1.013×105Pa)で液体形態であるいずれかの脂質を意味することが意図されている。
【0179】
用語「脂質」は、周囲温度(25℃)及び大気圧(1.013×105Pa)で水に不溶性である有機化合物(5質量%未満、好ましくは1質量%未満、及び、さらにより好ましくは0.1質量%未満の溶解度)を意味することが意図されている。脂質は、少なくとも6個の炭素原子及び/又は少なくとも2個のシロキサン基の配列を含む少なくとも1つの炭化水素ベースの鎖をその構造中に有する。加えて、脂質は一般に、同一の温度及び圧力条件下で有機溶剤に可溶性であり、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、エタノール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、液体石油ゼリー又はデカメチルシクロペンタシロキサンである。
【0180】
本発明に好適な油は、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0181】
本発明に好適な油は、炭化水素ベースの油、シリコーン油及びフルオロ油、及び、これらの混合物から選択され得る。
【0182】
本発明における使用に好適である炭化水素ベースの油は、動物性炭化水素ベースの油、植物性炭化水素ベースの油、無機炭化水素ベースの油又は合成炭化水素ベースの油であり得る。
【0183】
本発明における使用に好適である油は、無機炭化水素ベースの油、植物性炭化水素ベースの油、合成炭化水素ベースの油及びシリコーン油、並びに、これらの混合物から有利に選択され得る。
【0184】
本発明の目的のために、用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子、及び、特に少なくとも1個のSi-O基を含む油を意味する。
【0185】
用語「炭化水素ベースの油」は、主に水素及び炭素原子を含有する油を意味する。
【0186】
用語「フルオロ油」は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を指す。
【0187】
本発明における使用に好適である炭化水素ベースの油はまた、任意選択により、酸素、窒素、硫黄及び/又はリン原子を、例えばヒドロキシル、アミン、アミド、エステル、エーテル又は酸基の形態で、並びに、特に、ヒドロキシル、エステル、エーテル又は酸基の形態で含んでいてもよい。
【0188】
油性相は、1種以上の揮発性又は不揮発性炭化水素ベースの油及び/又は1種以上の揮発性及び/又は不揮発性シリコーン油を含んでいてもよい。
【0189】
本発明の目的のために、用語「揮発性油」は、皮膚又はケラチン繊維との接触で、周囲温度及び大気圧で、1時間未満の間に蒸発することが可能である油を意味することが意図されている。本発明の揮発性油は、周囲温度で、特に0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、特に1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、及び、さらに特に、1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の大気圧及び周囲温度で蒸気圧がゼロではない液体である揮発性化粧用油である。
【0190】
用語「不揮発性油」は、周囲温度及び大気圧で皮膚又はケラチン繊維上に少なくとも数時間残留し、及び、特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味することが意図されている。
【0191】
本発明に従って使用可能である不揮発性炭化水素ベースの油のうち、Stearineries Dubois社により販売されているもの、又は、名称Miglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)でDynamit Nobel社により販売されているものなどのグリセリドトリエステル及び特にカプリリル/カプリン酸トリグリセリド、商品名Eldew SL 205(登録商標)で味の素株式会社から販売されている製品などのイソプロピルN-ラウロイルサルコシネートなどの脂肪族アミド、合成エステル、及び、特に商品名Finsolv TN(登録商標)若しくはWitconol TN(登録商標)でWitco社により、又は、Tegosoft TN(登録商標)でEvonik Goldschmidt社により販売されている製品などのイソノニルイソノナノエート、ジイソプロピルセバケート、C12~C15アルキルベンゾエート、名称X-Tend 226(登録商標)でISP社により販売されている市販の製品などの2-エチルフェニルベンゾエート、及び、脂肪アルコール、特にオクチルドデカノールが挙げられ得る。
【0192】
本発明に従って用いられ得る揮発性炭化水素ベースの油としては、特に8~16個の炭素原子を有する炭化水素ベースの油、及び、特に分岐C8~C16アルカン、石油由来のC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)など、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)など、イソデカン又はイソヘキサデカン、Isopar又はPermethylの商品名で販売されている油、分岐C8~C16エステル、イソヘキシルネオペンタノエート、及び、これらの混合物が挙げられ得る。
【0193】
不揮発性シリコーン油のうち、シリコーン鎖から突き出ており(pendent)及び/又はその末端にあるアルキル若しくはアルコキシ基であって、その各々の基が2~24個の炭素原子を含有するものを含む不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリジメチルシロキサン、又は、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサン若しくは(2-フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケートなどのフェニルシリコーンが挙げられ得る。
【0194】
揮発性シリコーン油のうち、例えば、揮発性直鎖又は環式シリコーン油であって、特に25℃で8センチストーク(8×10-6m2/s)以下の粘度を有するもの、及び、特に2~7個のケイ素原子を含有するものが挙げられ得、これらのシリコーンは、任意選択により、1~10個の炭素原子を含有するアルキル又はアルコキシ基を含む。本発明において用いられ得る揮発性シリコーン油としては、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン、並びに、これらの混合物が挙げられ得る。
【0195】
揮発性フルオロ油のうち、ノナフルオロメトキシブタン、デカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン及びドデカフルオロペンタン、及び、これらの混合物が挙げられ得る。
【0196】
本発明に係る油性相はまた、油中混合又は溶解された他の脂質を含んでいてもよい。
【0197】
油性相中に存在していてもよい他の脂質は、例えば:
ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸及びステアリン酸などの8~30個の炭素原子を含む脂肪酸から例えば選択される脂肪酸;
ラノリン、蜜蝋、カルナウバ又はカンデリラワックス、パラフィンワックス、亜炭ワックス、ミクロクリスタリンワックス、セレシン若しくはオゾケライトなどのワックス、又は、ポリエチレンワックス若しくはFischer-Tropschワックスなどの合成ワックスから選択されるワックス
シリコーンゴム(ジメチコノール)から選択されるゴム;
ポリマー又は非ポリマーシリコーン化合物、グリセロールオリゴマーのエステル、プロピオン酸アラキジル、脂肪酸トリグリセリド、及び、これらの誘導体などのペースト状の化合物;
並びにこれらの混合物
であり得る。
【0198】
本発明に係る組成物が水中油型エマルジョンの形態である場合、水性相の量は、組成物の総質量に対して、好ましくは50質量%~95質量%、より優先的には50質量%~90質量%、さらにより良くは50質量%~80質量%、及び、さらにより優先的には55質量%~75質量%の範囲である。
【0199】
油性相の量は、組成物の総質量に対して、好ましくは5質量%~50質量%、及び、より優先的には10質量%~45質量%の範囲である。
【0200】
本発明の組成物中に存在する油の小滴の数値的平均サイズは、好ましくは0.4~40ミクロン、及び、より優先的には1~20ミクロンの範囲である。
【0201】
この数値的平均サイズは粒径アナライザを用いて計測可能である。
【0202】
本発明に係る組成物が油中水型エマルジョンの形態である場合、油性相の量は、組成物の総質量に対して、好ましくは50質量%~95質量%、より優先的には50質量%~90質量%、さらにより良くは50質量%~80質量%、及び、さらにより優先的には55質量%~75質量%の範囲である。
【0203】
水性相の量は、組成物の総質量に対して、好ましくは5質量%~50質量%、及び、より優先的には10質量%~45質量%の範囲である。
【0204】
本発明の組成物中に存在する水の小滴の数値的平均サイズは、好ましくは0.4~40ミクロン、及び、より優先的には1~20ミクロンの範囲である。
【0205】
この数値的平均サイズは粒径アナライザを用いて計測可能である。
【0206】
水中油型又は油中水型エマルジョン形態の組成物である場合、用いられ得る乳化プロセスは、パドル又はインペラ、ロータ-ステータ及びHHP(高静水圧)タイプのものである。
【0207】
ポリマー含有量が低い(油/ポリマー比>25)安定なエマルジョンを得るために、濃縮相中に分散体を調製し、次いで、分散体を残量の水性相で希釈することが可能である。
【0208】
エマルジョンは一般に、単独で又は混合物として用いられる、上記の両性、アニオン性、カチオン性又はノニオン性界面活性剤から選択される少なくとも1種の乳化剤を含有する。乳化剤は、得られるべきエマルジョン(W/O又はO/Wエマルジョン)に従って適切に選択される。
【0209】
組成物がエマルジョンである場合、このエマルジョンの水性相は、知られているプロセスに従って調製される非イオン性の小胞性の分散系を含んでよい(Bangham,Standish and Watkins,J.Mol.Biol.13,238(1965)、仏国特許第2315991号明細書及び仏国特許第2416008号明細書)。
【0210】
本発明に係る組成物はまた、無水組成物の形態、例えば油の形態であり得る。用語「無水組成物」は、組成物の総質量に対して、2質量%未満の水、好ましくは1質量%未満の水、及び、さらにより優先的には0.5質量%未満の水を含有する組成物、又は、さらには、水を含まない組成物を意味することが意図されている。この種の組成物において、存在する可能性がある水は、組成物の調製中に加えられたものではなく、混合された成分によってもたらされる残存水に相当する。これらは、任意選択により、エアロゾル形態にパッケージされ得、及び、ムース又はスプレー形態であり得る。
【0211】
本発明による無水組成物は、好ましくは上記のものから選択される、及び、より優先的には炭化水素ベースの油、シリコーン油、フルオロ油、及び/又は、その混合物から選択される少なくとも1種の油を含む。
【0212】
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明に係る組成物は、炭化水素ベースの油、シリコーン油、フルオロ油、及び/又は、その混合物から選択される少なくとも1種の油を含む。
【0213】
この好ましい実施形態の第1の変形例によれば、本発明に係る組成物は、水中油型又は油中水型エマルジョンの形態、優先的には水中油型エマルジョン形態である。
【0214】
この好ましい実施形態の第2の変形例によれば、本発明に係る組成物は無水組成物の形態である。
【0215】
本発明に従う化粧用組成物の硬さは、液体から半液体、例えば乳液、多かれ少なかれ滑らかなクリーム、クリーム状のゲル、又はペーストであってもよい。化粧用組成物は、場合によっては、エアロゾル形態でパックされていてもよく、そしてムース又はスプレーの形態であってよい。
【0216】
本発明に従って気化可能な流体ローションの形態の、本発明に従う組成物は、細かい粒子の形態で、加圧装置によって皮膚又は毛髪に塗布される。本発明に従う装置は、当業者に周知であり、そして、非エアロゾルポンプ又は「アトマイザ」、推進剤を含むエアロゾルコンテナ、及び圧縮空気を推進剤として用いるエアロゾルポンプを備える。これらの装置は、米国特許第4077441号明細書及び米国特許第4850517号明細書に記載されている。
【0217】
本発明に従うエアロゾル形態でパックされる組成物は一般に、従来の推進剤、例えばハイドロフルオロ化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n-ブタン、プロパン、又はトリクロロフルオロメタンを含有する。これらは好ましくは、組成物の総質量に対して、15質量%~50質量%の範囲の量で存在する。
【0218】
本発明に係る化粧用組成物は、顔及び/又は身体のためのケア製品及び/又は抗太陽光防護製品として用いられ得る。
【0219】
本発明の主題はまた、UV放射線に対する特にヒトの皮膚といった皮膚を処置するための美容的方法であって、先に定義されている組成物を皮膚に適用する少なくとも1つのステップを含む方法である。
【0220】
本発明の主題はまた、先に定義されている前記ジベンゾイルメタン誘導体化合物の三重項励起準位エネルギーを受容可能な少なくとも1種の化合物の使用であって、先に定義されている少なくとも1種のジベンゾイルメタン誘導体化合物(i)と、先に定義されている少なくとも1種のメロシアニン化合物(ii)とを含む組成物をUV放射線に対して光安定化させるための使用であり;好ましくは、UV放射線は太陽放射線に相当する。
【0221】
本発明の主題はまた、特に太陽放射線といったUV放射線に対して皮膚を防護するための方法において使用される先に定義されている組成物である。
【0222】
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、しかしながら、本質的に限定的ではない。
【実施例】
【0223】
組成物1、2及び3を以下の表に示されている成分から調製し、その量は活性物質(AM)の質量パーセントとして表記されている。
【0224】
【0225】
組成物調製方法:
80℃で機械撹拌しながら出発材料を混合することにより、水性相A及び油性相Bを調製した。水性相A及び油性相Bが肉眼で均質となったら、エマルジョンは、ロータ-ステータホモジナイザにより、4500回転/分の撹拌速度で20分間撹拌して、相Bを相Aに導入することにより調製される。次いで、相Cを添加し、組成物は周囲温度(25℃)と呼ばれる。
【0226】
結果:
組成物1~3を調製したら、次いで、これらにUV-A太陽光ランプ下に21.6J/cm2で、1時間照射を行う。
【0227】
照射後、組成物の各々中における化合物4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン及び2-エトキシエチル2-シアノ{3-[(3-メトキシプロピル)アミノ]-シクロヘキサ-2-エン-1-イリデン}エタノエートの残存含有量を、従来のHPLCクロマトグラフィ法により計測した。
【0228】
成分の残存含有量は、UV照射前の成分の含有量に対するUV照射後の成分の含有量の質量比に相当する。残存含有量は割合として表記される。
【0229】
得られた結果が以下の表に照合されている。
【0230】
【0231】
これらの結果は、本発明に係る組成物2及び3が、比較組成物1と比して実質的に高いジベンゾイルメタン誘導体及びメロシアニン化合物の残存含有量を示し、それ故、UV放射線に対してより良好な光安定性を示すことを表している。