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特許7113868エレベーターのブレーキホイールの引き抜き治具
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  • 特許-エレベーターのブレーキホイールの引き抜き治具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】エレベーターのブレーキホイールの引き抜き治具
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20220729BHJP
   F16D 65/00 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B66B7/00 K
F16D65/00 E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020095389
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021187630
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】硯川 政秀
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-180852(JP,A)
【文献】特開2017-177245(JP,A)
【文献】特開2007-021633(JP,A)
【文献】特開2005-279809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0179616(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102935969(CN,A)
【文献】中国実用新案第201776733(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00-11/08
F16D 49/00-71/04
B25B 25/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの巻上機の駆動軸に軸孔が締り嵌めされているブレーキホイールを該駆動軸から引き抜く引き抜き治具であって、
前記ブレーキホイールに少なくとも複数形成された貫通孔に挿通され、前記貫通孔よりも大きい外径を有すると共に前記ブレーキホイールの一側に係止する係止片を有する複数の引き抜き棒と、
前記ブレーキホイールの他側において前記引き抜き棒がそれぞれ連結され、中央部にねじ孔が形成される引き抜き基板と、
前記引き抜き基板の前記ねじ孔に螺合され、前記駆動軸と同軸上に配置される押しねじと、
端部が互いに回動自在に軸支される複数の連結片を有し、前記引き抜き棒と前記引き抜き基板とをそれぞれ連結し、前記引き抜き棒と前記引き抜き基板との位置調整を行う複数の連結機構と、
前記連結片同士を固定する固定板と、
を備える、
引き抜き治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの巻上機の駆動軸に締り嵌めされているブレーキホイールを引き抜く引き抜き治具に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの巻上機は、主ロープの両端にそれぞれ吊り下げられた乗りかごと釣合錘とを昇降させる装置である。巻上機は、主ロープが巻き架けられる綱車と、綱車を回転駆動する駆動軸と、駆動軸を制動するブレーキ装置とを備える。ブレーキ装置は、駆動軸に締り嵌めされるブレーキホイールと、ブレーキホイールに接触してブレーキホイールを制動するブレーキライニングとを有する。特許文献1には、保守点検作業においてブレーキライニングの擦り合わせを容易に行う擦り合わせ装置が開示されている。
【0003】
ところで、保守点検作業において巻上機の構成部品を交換する際には、駆動軸からブレーキホイールを取り外す必要がある。当該取り外し作業では、ハンマーによってブレーキホイールを叩いて押し出す作業、又はギヤプーラーでブレーキホイールを引き抜く作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6512278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ハンマーによってブレーキホイールを叩いて押し出す作業では、ブレーキホイールが破損するおそれがある。また、巻上機がエレベーターの昇降路の直上の機械室に設けられる場合は、狭い空間でハンマーを使用することになり作業効率が悪い。
【0006】
また、ギヤプーラーでブレーキホイールを引き抜く作業では、ブレーキホイールの外周にアームの爪を引っ掛けることができる大型のギヤプーラーが必要である。この場合には、作業者が重量物である大型のギヤプーラーを持ち上げて作業することになり作業効率が悪い。
【0007】
さらに、ギヤプーラーでブレーキホイールを引き抜く作業では、押しねじを押す力の一部がアームの広がる方向に作用するため、アームの爪がブレーキホイールの外周から外れるおそれがある。同様に、押しねじを押す力(引き抜く力)の一部がアームの広がる方向に作用するため、引き抜く力が全てブレーキホイールを引き抜く力として作用していないことになり作業効率が悪い。
【0008】
本発明の目的は、エレベーターの巻上機の駆動軸に締り嵌めされているブレーキホイールを効率良く引き抜くことができる引き抜き治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る引き抜き治具は、エレベーターの巻上機の駆動軸に軸孔が締り嵌めされているブレーキホイールを駆動軸から引き抜く引き抜き治具であって、ブレーキホイールに少なくとも複数形成された貫通孔に挿通され、貫通孔よりも大きい外径を有すると共にブレーキホイールの一側に係止する係止片を有する複数の引き抜き棒と、ブレーキホイールの他側において引き抜き棒がそれぞれ連結され、中央部にねじ孔が形成される引き抜き基板と、引き抜き基板のねじ孔に螺合され、駆動軸と同軸上に配置される押しねじとを備える。
【0010】
本発明に係る引き抜き治具において、端部が互いに回動自在に軸支される複数の連結片を有し、引き抜き棒と引き抜き基板とをそれぞれ連結し、引き抜き棒と引き抜き基板との位置調整を行う連結機構と、連結片同士を固定する固定片と、をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る引き抜き治具によれば、エレベーターの巻上機の駆動軸に締り嵌めされているブレーキホイールを効率良く引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係わるエレベーターの巻上機を示す側面図である。
図2】本実施形態に係わるエレベーターの巻上機の電動機を取り外した状態を図1の矢印Aから見た図である。
図3図2のB-B断面図である。
図4】本実施形態の一例である引き抜き治具を示す平面図である。
図5】本実施形態の一例である引き抜き治具を用いてブレーキホイールを引き抜く手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、方向、数値等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。
【0014】
図1から図3を用いて、本実施形態に係わるエレベーターの巻上機10について説明する。図1は、巻上機10を示す側面図である。図2は、巻上機10の電動機13を取り外した状態を図1の矢印Aから見た図である。図3は、図2のB-B断面図である。
【0015】
巻上機10は、エレベーターの主ロープの両端にそれぞれ吊り下げられた乗りかごと釣合錘とをそれぞれのレールに沿って昇降させる装置である。巻上機10は、エレベーターの昇降路の直上の機械室に設けられる。図1及び図2に示すように、巻上機10は、上記主ロープが巻き架けられる綱車11と、減速機を介して綱車11を回転させる駆動軸12と、駆動軸12を駆動する電動機13と、駆動軸12の回転を制動するブレーキ装置14とを備える。
【0016】
減速機は、駆動軸12と共にケーシング15に収容されている。また、ケーシング15には、駆動軸12を軸支する軸受けと、減速機の潤滑油が駆動軸12の周りから漏れ出すのを防止するオイルシールとが収容されている。
【0017】
ブレーキ装置14は、駆動軸12の先端側に固定されたブレーキホイール16と、ブレーキホイール16に接触することによってブレーキホイール16を制動するブレーキライニング17と、下端部が軸支され当該下端軸周りに回動することによってブレーキライニング17をブレーキホイール16に近接又は離間させるブレーキアーム18と、ブレーキアーム18の上端部をブレーキライニング17がブレーキホイール16に近接する向きに付勢するブレーキスプリング19とを有する。
【0018】
図3に示すように、電動機13の出力軸20の先端側には、軸止めナット21によってホイール内側板22が固定されている。ホイール内側板22は、上述したブレーキホイール16に固定されている。ホイール内側板22には、軸方向に貫通する複数の貫通孔22Hが形成される。本実施形態では、軸方向から見て90°間隔にて4つの貫通孔22Hが形成される。ブレーキホイール16には、軸方向に貫通する複数の貫通孔16Hが形成される。本実施形態では、軸方向から見て90°間隔にて4つの貫通孔16Hが形成される。ブレーキホイール16の貫通孔16Hは、ブレーキホイール16とホイール内側板22とを同軸上に配置したときに、ホイール内側板22の貫通孔22Hとそれぞれ連通するように形成される。
【0019】
ブレーキホイール16とホイール内側板22とは、継手ボルト23が貫通孔22H及び貫通孔16Hを貫通して継手ナット24が螺合することによって締め付け固定されている。ブレーキホイール16は、駆動軸12の先端側に軸止めナット25によって固定されている。また、駆動軸12の先端側は、先細り状となるテーパー軸として形成されている。これにより、ブレーキホイール16の軸孔16Pは、駆動軸12に締り嵌めされている。
【0020】
巻上機10の保守点検作業において上述したケーシング15に収容された軸受け、オイルシール等の部品を交換する際には、巻上機10から電動機13及びブレーキ装置14を取り外す必要がある。
【0021】
電動機13及びブレーキ装置14の取り外し手順としては、まず、ホイール内側板22とブレーキホイール16とを固定している継手ボルト23及び継手ナット24を取り外して、電動機13を巻上機10から取り外す。次に、ブレーキ装置14においてブレーキスプリング19を取り外すことによってブレーキホイール16へのブレーキライニング17の付勢力を解除する。この状態において、軸止めナット25を取り外して、後述する引き抜き治具30を用いて駆動軸12からブレーキホイール16を引き抜く。
【0022】
図4を用いて、本実施形態の一例である引き抜き治具30について説明する。図4は、引き抜き治具30を示す平面図である。
【0023】
引き抜き治具30は、エレベーターの巻上機10の駆動軸12に軸孔16Pが締り嵌めされているブレーキホイール16を駆動軸12から引き抜く治具である。引き抜き治具30によれば、詳細は後述するが、ブレーキホイール16を効率良く駆動軸12から引き抜くことができる。
【0024】
図4に示すように、引き抜き治具30は、ブレーキホイール16の貫通孔16Hに挿通される複数の引き抜き棒40と、引き抜き棒40がそれぞれ連結され、中央部にねじ孔50Aが形成される引き抜き基板50と、引き抜き基板50のねじ孔50Aに螺合される押しねじ60と、複数の引き抜き棒40と引き抜き基板50とをそれぞれ連結する連結機構70と、連結機構70同士を連結する固定板80とを備える。
【0025】
以下では、駆動軸12からブレーキホイール16を引き抜く方向を軸方向とし、ブレーキホイール16を軸方向の一側から他側に向けて引き抜くものとする。また、軸方向と直交する方向を径方向とする。
【0026】
引き抜き棒40は、ブレーキホイール16の他側から貫通孔16Hに挿通され、ブレーキホイール16の一側で螺合された係止片としてのナット42によりブレーキホイール16に固定される。引き抜き棒40によれば、ブレーキホイール16の貫通孔16Hを利用してブレーキホイール16を駆動軸12から引き抜くことができる。
【0027】
引き抜き棒40は、引き抜き治具30に2つ備えられることが好ましい。また、引き抜き棒40は、ブレーキホイール16において軸孔16Pを中心として径方向に沿って対照的に並んで形成される2つの貫通孔16Hにそれぞれ貫通されることが好ましい。
【0028】
引き抜き棒40は、ブレーキホイール16の貫通孔16Hに挿通される丸環ボルト41と、ブレーキホイール16の一側から丸環ボルト41の後述するネジ部41Aに螺合され、ブレーキホイール16の一側に係止する係止片としてのナット42と、ナット42とブレーキホイール16の間に介在される座金43とを有する。
【0029】
丸環ボルト41は、棒状部材の側周面にネジ山が形成されたネジ部41Aと、ネジ部41Aの他端側に形成される環部41Bとを含む。ネジ部41Aの軸方向の長さは、ブレーキホイール16の厚み(軸方向の長さ)よりも十分長いものとする。環部41Bには、後述する連結機構70の連結片71Aの端部が回動自在に軸支される。環部41Bは、アイナットがネジ部41Aに螺合することで構成されてもよい。
【0030】
ナット42は、ブレーキホイール16の貫通孔16Hよりも大きい外径を有し、ブレーキホイール16の一側から丸環ボルト41のネジ部41Aに螺合され、ブレーキホイール16の一側に係止する部材である。ナット42によれば、ブレーキホイール16の一側に係止することによって、引き抜き棒40によってブレーキホイール16を引き抜く際の引き抜き力の支点となる。ナット42は、六角ナット又は蝶ナットであることが好ましい。
【0031】
座金43は、ナット42の回転を防止する部材である。座金43によれば、引き抜き棒40を引き抜く際に、ナット42が回転することを回避することができる。座金43は、平座金であることが好ましい。
【0032】
引き抜き基板50は、ブレーキホイール16の他側において2つの引き抜き棒40を連結すると共に軸方向の他側に向けて移動することによって引き抜き棒40を他側に移動させてブレーキホイール16を引き抜く部材である。引き抜き基板50は、径方向の中央部において軸方向に貫通し、内周面にネジ山が形成されるねじ孔50Aを有する。引き抜き基板50の径方向の両側には、後述する連結機構70の他端側の連結片71Cの端部が回動自在にそれぞれ軸支される。
【0033】
押しねじ60は、先端面60Tが駆動軸12の先端面12Tに対向した状態で駆動軸12と同軸上に配置され、先端面60Tが先端面12Tに当接した状態で回転することによって引き抜き基板50を軸方向の他側へ向けて移動させる部材である。押しねじ60によれば、引き抜き基板50を他側へ移動させることによって引き抜き棒40によってブレーキホイール16を引き抜くことができる。押しねじ60は、引き抜き基板50のねじ孔50Aに螺合している。
【0034】
押しねじ60は、棒状部材の側周面にネジ山が形成されたネジ部60Aと、ネジ部60Aの他側に形成される頭部60Bとを含む。ネジ部60Aは、引き抜き基板50のねじ孔50Aに螺合する部分である。頭部60Bは、軸方向から見てネジ部60Aの径よりも大きい径を有する六角形として形成される。
【0035】
連結機構70は、引き抜き棒40と引き抜き基板50とを連結する部材である。連結機構70及び後述する固定板80によれば、引き抜き棒40を軸方向と平行にした状態で引き抜き棒40と引き抜き基板50との間隔を調製することができる。これにより、軸孔16Pと貫通孔16Hの間隔がそれぞれ異なるブレーキホイール16に引き抜き治具30を適用することができる。
【0036】
連結機構70は、端部が互いに回動自在に軸支される複数の連結片71を有する。本実施形態の連結機構70は、一対の長円状の板材で構成される連結片71A、71Cと、一枚の長円状の板材で構成される連結片71Bとを有する。
【0037】
連結片71Aは、連結機構70の一端側に設けられる。連結片71Aの一端側は、引き抜き治具30の丸環ボルト41の環部41Bを一対の板材によって挟持し、ボルト及びナットによって軸支している。
【0038】
連結片71Bは、連結片71Aと連結片71Cとの間に設けられる。連結片71Bの一端側は、連結片71Aを構成する一対の板材によって挟持され、ボルト及びナットによって軸支している。連結片71Bには、後述する固定板80を固定する固定孔71Hが形成される。
【0039】
連結片71Cは、連結機構70の他端側に設けられる。連結片71Cの一端側は、連結片71Cを構成する一対の板材が連結片71Bを構成する一枚の板材を挟持し、ボルト及びナットによって軸支している。連結片71Cの一端側は、連結片71Cを構成する一対の板材を引き抜き基板50を挟んでボルト及びナットによって軸支している。
【0040】
固定板80は、連結片71B同士を連結して引き抜き棒40同士の間隔を固定するものである。固定板80によれば、引き抜き棒40同士の間隔を固定することによって安定してブレーキホイール16を引き抜くことができる。固定板80は、長尺状の板材であって、長手方向に沿って複数の調整孔80Hが形成される。固定板80は、調整孔80Hと連結片71Bの固定孔71Hとに蝶ボルトを貫通させて蝶ナットによって締め付け固定される。
【0041】
図5(A)~図5(C)を用いて、本実施形態の一例である引き抜き治具30を用いてブレーキホイール16を引き抜く手順を説明する。
【0042】
図5(A)に示すように、作業者は、ブレーキホイール16の貫通孔16Hの一つに一方の引き抜き棒40を軸方向の他側から差し込み、ブレーキホイール16の他側に延出した引き抜き棒40に座金43を介在してナット42を螺合させる。さらに、一方の引き抜き棒40が挿通された貫通孔16Hと軸孔16Pを中心として径方向に沿って対照的に並んで形成される貫通孔16Hに他方の引き抜き棒40を差し込み、同様に座金43を介在してナット42を螺合させる。
【0043】
図5(B)に示すように、2つの引き抜き棒40がそれぞれ貫通孔16Hに挿入された状態において、固定板80をそれぞれの連結片71Bに固定する。具体的には、連結片71Bの上に固定板80を仮置きし、それぞれの連結片71Bの固定孔71Hと固定板80の調整孔80Hとが略一致するようにそれぞれの連結機構70の軸方向に対する傾斜角度を調整し、固定孔71Hと調整孔80Hとに蝶ボルトを貫通させて蝶ナットによって固定する。
【0044】
図5(C)に示すように、作業者は、押しねじ60をつまんで回転させることによって押しねじ60の先端面60Tを駆動軸12の先端面12Tに当接させる。さらに、作業者は、工具によって押しねじ60を回転させることによって、押しねじ60が螺合している引き抜き基板50を軸方向の他側に移動させると共に引き抜き棒40を引き抜き、引き抜き棒40に係止されているブレーキホイール16を駆動軸12から引き抜く。
【0045】
引き抜き治具30によれば、従来のギヤプーラーのようにブレーキホイール16の外周を掴む必要がないため小型化かつ軽量化することができる、これにより、作業者が重量物である大型のギヤプーラーを持ち上げて作業する場合と比較して、ブレーキホイール16を効率良く引き抜くことができる。
【0046】
また、引き抜き治具30によれば、ナット42をブレーキホイール16の一側に係止させる構成とすることによって、従来のギヤプーラーのようにブレーキホイール16の外周を掴む構成と比較して治具がブレーキホイール16から外れるおそれを低減することができる。これにより、ブレーキホイール16を効率良く引き抜くことができる。
【0047】
さらに、引き抜き治具30によれば、押しねじ60を押す(回転させる)力が直接ブレーキホイール16の引き抜く力として作用するため、押しねじを押す力の一部がアームの広がる方向に作用する従来のギヤプーラーと比較して、効率良くブレーキホイール16を引き抜くことができる。
【0048】
なお、本発明は上述した実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
10 巻上機、11 綱車、12 駆動軸、13 電動機、14 ブレーキ装置、15 ケーシング、16 ブレーキホイール、16H 貫通孔、16P 軸孔、17 ブレーキライニング、18 ブレーキアーム、19 ブレーキスプリング、20 出力軸、21 軸止めナット、22 ホイール内側板、22H 貫通孔、23 継手ボルト、24 継手ナット、25 軸止めナット、30 引き抜き治具、40 引き抜き棒、41 丸環ボルト、41A ネジ部、41B 環部、42 ナット(係止片)、43 座金、50 引き抜き基板、50A ねじ孔、60 押しねじ、60A ねじ部、60B 頭部、60T 先端面、70 連結機構、71A、71B、71C 連結片、71H 固定孔、80 固定板、80H 調整孔
図1
図2
図3
図4
図5