IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイコテック・プロジェクト・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】歪み軽減ブッシング
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20220729BHJP
   H02G 15/013 20060101ALI20220729BHJP
   H02G 3/06 20060101ALI20220729BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20220729BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20220729BHJP
   F16L 5/10 20060101ALI20220729BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
H02G3/22
H02G15/013
H02G3/06
H02G3/08 080
H05K7/00 N
F16L5/10
F16L5/02 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020501241
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2018058820
(87)【国際公開番号】W WO2019011485
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】102017212009.6
(32)【優先日】2017-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519187919
【氏名又は名称】アイコテック・プロジェクト・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・エーマン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティン・エーマン
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5155303(US,A)
【文献】国際公開第2016/135928(WO,A1)
【文献】特開2006-248380(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2746634(EP,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2825841(FR,A1)
【文献】欧州特許第1498994(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
H02G 15/013
H02G 3/06
H02G 3/08
H05K 7/00
F16L 5/10
F16L 5/02
H01B 17/58
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放可能となるような方法でスリット(3)を介して、隣接する貫通開放部(2)に接続されるか、または、歪み軽減ブッシング(1)の外側(4)に接続される少なくとも1つの軸方向貫通開放部(2)において、少なくとも1つのケーブル(20)を受け入れるための、弾性材料から作られた歪み軽減ブッシング(1)であって、
前記貫通開放部(2)の各々は、軸方向(a)において連なって、異なる断面の少なくとも2つの歪み軽減部分(51、52、53)を有し、
異なる断面の少なくとも2つの前記歪み軽減部分(51、52、53)は互いに対して偏心して配置され、
前記貫通開放部(2)の最も小さい断面を有する前記歪み軽減部分(52)は、それぞれの前記貫通開放部(2)の軸方向長さ(D)の少なくとも10%を占め、
異なる断面の少なくとも2つの前記歪み軽減部分(51、52、53)の外周部は、前記貫通開放部(2)の前記歪み軽減部分(51、52、53)の前記外周部同士が連続的な真っ直ぐの移行の形態で前記スリット(3)の線において互いと接触しているように、前記スリット(3)を有する側において互いに直接的に隣接する、歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項2】
前記貫通開放部(2)の最も小さい断面を有する前記歪み軽減部分(52)は、それぞれの前記貫通開放部(2)の軸方向長さ(D)の少なくとも15%を占めることを特徴とする、請求項1に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項3】
移行領域(6)は、異なる断面の少なくとも2つの前記歪み軽減部分(51、52、53)の間に各々の場合で配置され、
前記移行領域は、隣接する前記歪み軽減部分(51、52、53)同士を接続することを特徴とする、請求項1または2に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項4】
前記移行領域(6)は、前記貫通開放部(2)を貫く断面で見たとき、前記スリット(3)から離れた側における段差または傾斜の形態で設計されることを特徴とする、請求項3に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項5】
前記移行領域(6)は、前記貫通開放部(2)を貫く断面で見たとき、前記スリット(3)から離れた側における連続的な移行として設計されることを特徴とする、請求項3に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項6】
前記移行領域(6)は、前記貫通開放部(2)を貫く断面で見たとき、前記スリット(3)から離れた側における湾曲として設計され、前記湾曲は、連続する様態で1つの歪み軽減部分(51、52、53)へ併合し、縁を介して他の歪み軽減部分(51、52、53)へ併合することを特徴とする、請求項3に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項7】
前記貫通開放部(2)の各々は、異なる断面の少なくとも3つの歪み軽減部分(51、52、53)を有し、
前記歪み軽減部分は、軸方向(a)において互いの後に続くことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項8】
前記歪み軽減部分は、前記断面の大きさに応じて分類される様態で、軸方向(a)において互いの後に続くことを特徴とする、請求項7に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項9】
前記弾性材料は、ショアA100未満のショア硬度を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項10】
前記弾性材料は、ショアA30~90のショア硬度を有することを特徴とする、請求項9に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項11】
前記貫通開放部(2)のうちの少なくとも1つは、より大きな断面のうちの1つを有する前記歪み軽減部分(51、53)の少なくとも1つの領域において封止リップ(22)を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項12】
最も小さい断面を有する前記歪み軽減部分(52)の中心軸が、軸方向(a)に対して垂直である前記歪み軽減ブッシング(1)の表面において中心に配置されることを特徴とする、1のみの貫通開放部(2)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の歪み軽減ブッシング(1)。
【請求項13】
中間ウェブ(14)によって分離される1つまたは複数のチャンバ(15)を伴って設計されるフレーム(8)を備え、前記チャンバ(15)は、各々の場合で少なくとも1つの歪み軽減ブッシング(1)を収容するように設計される、請求項1から12のいずれか一項に記載の歪み軽減ブッシング(1)とあらかじめ組み立てられるケーブル通過具(7)。
【請求項14】
前記フレーム(8)は1つの側において開放しており、略U字形であり、前記略U字形のフレームを閉じるためのフレームカバー(9)を伴い、組み立てられた状態において、前記少なくとも1つの歪み軽減ブッシング(1)は、前記フレームカバー(9)によって少なくとも1つの前記チャンバ(15)において締め付けられることを特徴とする、請求項13に記載のケーブル通過具(7)。
【請求項15】
組み立てられた状態において、前記歪み軽減ブッシング(1)の前記スリット(3)は前記フレームカバー(9)の最も大きい寸法と平行に延びることを特徴とする、請求項14に記載のケーブル通過具(7)。
【請求項16】
組み立てられた状態において、前記フレームカバー(9)は係り止め要素(16、11)を介して前記フレーム(8)に係り止めされることを特徴とする、請求項14または15に記載のケーブル通過具(7)。
【請求項17】
前記フレームカバー(9)および前記フレーム(8)は、対応する形態適合要素(12)を有し、前記フレームカバー(9)と前記フレーム(8)とを連結するとき、前記形態適合要素(12)を介して、前記フレーム(8)および/または少なくとも1つの前記チャンバ(15)の所望の幅が確保されることを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載のケーブル通過具(7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放可能となるような方法でのスリットを介して、歪み軽減ブッシングの外側に少なくとも間接的に接続される少なくとも1つの軸方向貫通開放部において、少なくとも1つのケーブルを受け入れるための、弾性材料から作られた歪み軽減ブッシングに関する。本発明は、一方の側において開放しているフレームとフレームカバーとを備える、このような歪み軽減ブッシングとあらかじめ組み立てられるケーブル通過具にも関する。
【背景技術】
【0002】
プラグなどとあらかじめ組み立てられているケーブルを受け入れるのに適する開放可能な歪み軽減ブッシングが、一般的な先行技術から知られている。これらは、例えばエラストマなどの弾性材料から典型的には作られる。歪み軽減ブッシングは、貫通開放部が側方からアクセス可能となるように、スリットに沿って開放できる。したがって、例えばプラグなどが両側に配置されている場合であっても、ケーブルが貫通開放部へと挿入できる。次に、歪み軽減ブッシングは閉じられ、封止した様態でケーブルを包囲し、圧縮された場合には、ケーブルを非常にきつく包囲するため、封止効果に加えてケーブルの歪み軽減も達成もできる。閉じられた歪み軽減ブッシングは、次に、例えばフレームまたは受入要素へと挿入され、前記フレームまたは受入要素を閉じることによって圧縮される。したがって、歪み軽減ブッシングの材料とケーブルの外被との間の密な接触が達成され、同時に、スリットはしっかりと確実に閉じて押し付けられる。したがって、非常に良好な歪み軽減が、優れた封止と共に可能である。
【0003】
実際には、これまでは、信頼できる歪み軽減および封止がそれぞれのケーブル直径と合致する歪み軽減ブッシングを必要とすることが事実である。そのため、歪み軽減ブッシングは、具体的には1mmの増分で、異なる直径において市場で入手可能である。実際には、公称直径と合致するケーブルが、各々の場合で合致する歪み軽減ブッシングへと挿入される。これは、良好な歪み軽減および封止を確実にする。ケーブル内の公差および1mmまでの若干の直径の逸脱は、特に、歪み軽減ブッシングを収容したフレームを閉じるときに十分な押し付け力が加えられ得る場合、弾性材料によって補償される。これは、前記フレームが閉じる過程の間に互いにネジ留めされるフレーム部品から成る場合、特に当てはまる。しかしながら、実際には、1mmを超える逸脱は不十分な封止をしばしばもたらし、特にケーブルの直径が歪み軽減ブッシングの公称直径と比較して小さすぎる場合、ケーブルの不十分な歪み軽減の危険性をしばしばもたらす。
【0004】
実際に存在する1つの代替は、ブッシングにおけるケーブルのフローティングマウントであり、これは、ケーブル進入を封止するように供するだけであり、歪み軽減を可能にしない、または、実際の適用に十分である歪み軽減を可能にしない。例えばEP1498994B1において開示されているこのような構造では、適切に薄く高度に弾性の膜が、ケーブルが通過させられる貫通開放部に設置される。膜の変形により、例えば、ケーブルの延びる方向における曲げ、または、ケーブルの直径に対応するような様態で膜が撓むことによる膜の材料の弾性変形といった、許容可能な封止が、ケーブルの比較的大きい直径範囲について達成され得る。すでに言及しているように、一方で、問題は、実際には達成できないケーブルのための歪み軽減であり、ケーブルが引っ張られる場合に膜への損傷の危険性があり、そのため封止はもはや確保されないということである。
【0005】
DE10334996B4において保護されているような、例えばスリットの領域におけるより小さい弾性といった、異なる弾性の領域を使用することで、封止に関する問題は部分的に緩和されるが、実用的な目的に関わる歪み軽減は、膜を有するこのようなブッシングを用いては達成できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】EP1498994B1
【文献】DE10334996B4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、本発明の目的は、導入部において概説された前述の先行技術から原理的に知られているような歪み軽減ブッシングを、異なる直径での使用の意味においてより柔軟になるように、さらに発展させることである。本発明の目的は、このような歪み軽減ブッシングとあらかじめ組み立てられるケーブル通過具を、特には容易および効率的に取り扱うことができるように、さらに発展させることでもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1における特徴を有する歪み軽減ブッシングと、請求項11における特徴を有するケーブル通過具とによって達成される。有利な改良および発展は、それらにそれぞれ依存する従属請求項から明らかとなる。
【0009】
先行技術における歪み軽減ブッシングのように、本発明による歪み軽減ブッシングは弾性材料から作られる。歪み軽減ブッシングは、少なくとも1つのケーブルを受け入れるための少なくとも1つの貫通開放部を有する。前記貫通開放部は、スリットを介して、歪み軽減ブッシングの外側に接続される。複数のケーブルを受け入れるために、複数の貫通開放部が存在してもよい。前記複数の貫通開放部の各々は、開放可能となるような方法で、スリットを介して隣接する貫通開放部に接続され、隣接する前記貫通開放部を介して歪み軽減ブッシングの外側に間接的に接続される、または、好ましくは、スリットを介して歪み軽減ブッシングの外側に直接的に接続される。歪み軽減ブッシングは、1つの貫通開放部か、互いの隣に位置させられる2つの貫通開放部か、または、均等に分配された様態で配置される4つの貫通開放部を典型的には有する。理想的には、これらの貫通開放部は開放の目的のためにスリットを各々有し、前記スリットは外側へと延びる。互いの隣に位置させられる2つの貫通開放部の場合、貫通開放部のうちの1つだけがスリットを介して外側に接続され、次にこの貫通開放部は、さらなるスリットを介して他の隣接する貫通開放部に接続されることも、前述したように考えられる。
【0010】
本発明によれば、貫通開放部の各々は、軸方向において連なって、互いに対して偏心して配置される異なる断面の少なくとも2つの歪み軽減部分を有することが提供される。本発明によれば、貫通開放部の最も小さい断面を有する歪み軽減部分は、それぞれの貫通開放部の軸方向長さの少なくとも10%を占め、好ましくは少なくとも15%を占め、特に好ましくは少なくとも20%を占めることが、さらに提供される。歪み軽減ブッシングの全体での厚さ、または、それぞれの貫通開放部の対応する軸方向長さの少なくとも10%の比較的大きい幅を伴う、貫通開放部の最も小さい断面を有する歪み軽減部分のこの設計は、最も小さい断面の領域であっても、良好な封止に加えて、実際において十分である歪み軽減を確保するだけの厚さであることを確保する。そのため、最も小さい断面を有する歪み軽減部分は、意図的にある種の膜として設計されていないが、このような膜が有するよりはるかに大きな幅を代わりに有する。
【0011】
例えば、5mmの程度の公称直径と、異なる断面の少なくとも2つの歪み軽減部分を伴う設計との場合、その異なる断面は、5mmの公称直径の場合、例えば、最も小さい断面の領域において5mmであり、より大きい断面の領域において7mmであり、歪み軽減ブッシングは、5mmからおおよそ8mmの範囲の直径でのケーブルを受け入れることが可能であり、そのようにするとき、一方では良好な歪み軽減を確保し、他方では非常に良好な封止を確保することが可能であることが実際にわかっている。例えば、5mmの公称直径を有するケーブルが挿入される場合、これは、最も小さい断面を有する歪み軽減部分の領域において確実に締め付けられて封止される。そのため、環状の隙間が、より大きい断面を有する歪み軽減部分の領域においてケーブルの周りに残るが、これは影響がない。例えば7mmまたは8mmのケーブルが挿入される場合、最も小さい断面を有する歪み軽減部分は、材料の弾性のため、ケーブルがこの歪み軽減部分を通じて適合するような度合いまで変形できる。それでもなお、発生する変形は、ケーブルと歪み軽減ブッシングとの間の信頼できる封止がもはや確保されないほどの大きさとなる。しかしながら、十分な封止は他の歪み軽減部分の領域において達成され、他の歪み軽減部分の領域は、2つの歪み軽減部分の場合、歪み軽減ブッシングの反対の面において理想的には位置させられ、そのため全体の構造の不浸透性がなおも確保される。ケーブルと歪み軽減ブッシングとの間への水分の進入を防止するために、理想的には、歪み軽減ブッシングの配向は、あらゆる事象において不浸透性を確実に確保するために、ケーブルの公称直径により適した歪み軽減部分が各々の場合で外方を向くように組み立ての間に選択され得る。
【0012】
先行技術と構造を比較して、全く同一の歪み軽減ブッシングにおいて使用できるケーブル直径の種類がはるかにより多くできる一方で、歪み軽減と、保護等級IP65までの不浸透性とをなおも達成する。ミリメートルの増分で歪み軽減ブッシングを提供する代わりに、例えば、30個の異なる歪み軽減ブッシングの代わりに5個~7個だけの異なる歪み軽減ブッシングを用いて、例えば2~15mmのケーブル直径範囲を網羅することが可能である。これは、必要な工具コストと、設置の間に作業者によって運ばれる必要がある歪み軽減ブッシングの数とを相当に減らせ、これは、本発明による歪み軽減ブッシングの使用を非常に効率的にする。
【0013】
前述の環状の隙間を封止するために、貫通開放部のうちの少なくとも1つは、より大きな断面のうちの1つを有する歪み軽減部分の少なくとも1つの領域において封止リップを有することが、追加的に提供され得る。それ自体は歪み軽減部分を形成せず、むしろ歪み軽減部分には薄すぎるこのような封止リップは、小さい断面で、または、最も小さい断面を有する歪み軽減部分の断面よりいくらか小さい断面で、設計されてもよい。歪み軽減および主要な封止は、ケーブルに合致するより小さい断面を有する歪み軽減部分とケーブルとの間で行われる。封止リップは、その領域における汚れおよび水分の堆積を防止するように、環状の隙間を大まかに封止するように供するだけである。
【0014】
しかしながら、この代替として、小さい断面を有する歪み軽減部分が貫通開放部の各々の外側に設けられ、少なくとも1つの歪み軽減部分がそれらの間に位置させられるより大きい断面を有するように、少なくとも10%の関連する必要な幅を有するさらなる歪み軽減部分を、封止リップの代わりに提供することも考えられる。
【0015】
本概念の1つの非常に有利な発展は、異なる断面の少なくとも2つの歪み軽減部分が、スリットを有する側においてそれらの外周部と互いへと直接的に併合するように配置されることを提供する。そのため、それら歪み軽減部分は、スリットを有する側において軸方向で互いの後に直接的に続く。これは、原理的には、連続的または非連続的な移行で行うことができ、好ましくは実質的に直線的な移行で行うことができる。
【0016】
軸方向と、軸方向に対して垂直との両方におけるスリットの経路は、直線的である必要はなく、波状または段付きの経路を有してもよい。しかしながら、スリットの経路が軸方向において直線的に延びる場合、異なる断面の歪み軽減部分が、具体的には、スリットを有する側において互いと実質的に面一であり得る。
【0017】
本発明による歪み軽減ブッシングの1つの有利な発展によれば、移行領域が、異なる断面の少なくとも2つの歪み軽減部分の間に各々の場合で配置され、前記移行領域は、隣接する歪み軽減部分同士を接続することが提供される。このような移行領域は特定の度合いの成形および適応を可能にする。例えば、本概念の有利な発展によれば、前記移行領域は、スリットから離れた側における段差または傾斜の形態で、非常に単純に設計され得る。いずれの場合でも、面一の周囲の直線的な経路がスリットを向く側に存在し、そのためこの場所では、幾何学的に成形された移行領域はない。具体的には、段差の様態で連なって後に続く異なる断面の複数の歪み軽減部分の場合であっても、段差は非常に単純な設計である。しかしながら、実際には、これは、移行領域における材料が相当の変形を受ける状況をもたらし、これは、不浸透性に悪影響を有する可能性がある。そのため、段差の代わりに傾斜が使用されることが提供されてもよく、これはより良好な機能性を可能にする。
【0018】
移行領域の別の非常に好ましい設計によれば、段差が連続的な移行として設計されることが提供されてもよい。ある歪み軽減部分の高さから別の隣接する歪み軽減部分の高さまで延びるこのような連続的な移行は、望ましくない材料の変形の問題を大部分で防止できる。しかしながら、別の非常に有利な設計によれば、移行領域は、連続する様態で1つの歪み軽減部分へ併合し、縁を介して他の歪み軽減部分へ併合する湾曲として設計されるように構成されることが提供されてもよい。移行が、具体的には、連続的な様態でより大きな断面を有する歪み軽減部分へと併合し、縁を介してより小さい断面を有する歪み軽減部分へと併合するこのような設計は、より小さい断面を有する歪み軽減部分のケーブルに対する信頼できる押し付けを可能にし、そのため理想的な歪み軽減が確保される。縁を介しての移行を用いることで、より小さい断面を有する歪み軽減部分の材料は、大きい断面のケーブルが挿入されるときに容易に撓むことができる。他の歪み軽減部分の断面への連続的な移行は、同時に、この歪み軽減部分における材料の望ましくない変形を防止し、そのため、ここでは高度の不浸透性が確保される。そのため、例えば指数的または放物線状の曲線の輪郭を有し得るこの構造は、一方における歪み軽減と他方における封止との間での非常に良好な妥協点である。
【0019】
本概念のさらなる洗練によれば、貫通開放部の各々は、異なる断面の少なくとも3つの歪み軽減部分を有し、前記歪み軽減部分は、断面の大きさに応じて分類される様態で、軸方向において互いの後に続くことが追加的に提供され得る。異なる断面の3つの歪み軽減部分を伴うこのような設計は、歪み軽減ブッシングの柔軟性をさらに増大させる。したがって、先に記載した様態では、信頼できる封止は、第1、第2、または第3の領域のいずれかで達成され得る。それら領域は、昇順または降順で、それらの断面に応じて分類される様態で互いの後に続き、そのため、ケーブルの直径に最もよく合致する領域は信頼できる封止のための役目を担い、他の領域は、相当の変形および/または残っている環状の隙間があるが、歪み軽減ブッシングの機能性に悪影響を与えない。
【0020】
本概念の1つの有利な洗練によれば、本発明による歪み軽減ブッシングが作られる弾性材料は、ショアA100までのショア硬度で構成され、好ましくはショアA30~90のショア硬度で構成される。具体的には、このショア硬度範囲における材料は、記載された特性を達成するのに理想的には適しており、したがって、例えば5mの歪み軽減ブッシングの公称直径の場合、例えば2~3mmの直径の差でケーブルのための信頼できる封止および歪み軽減を達成するのに理想的には適している。
【0021】
1つだけの貫通開放部を有する歪み軽減ブッシングを使用するとき、本概念の別の非常に有利な洗練によれば、最も小さい断面を有する歪み軽減部分の中心軸が、歪み軽減ブッシングにおいて中心に配置されることが提供され得る。実際には、これは、より大きい断面を有する歪み軽減部分が、スリットから離れた外側に向けてずれた様態で対応するように配置されることを意味する。結果として、スリットの反対に位置させられた歪み軽減ブッシングの側における材料は、対応するようにより薄くなっている。したがって、歪み軽減ブッシングはケーブルの周囲の周りで理想的には変形でき、そのため、この場合における構造は、対応するように低い圧力によってすでに確実に封止され得る。
【0022】
このような歪み軽減ブッシングとあらかじめ組み立てられるケーブル通過具が、1つの側において開放しており、中間ウェブによって分離される1つまたは複数のチャンバを伴う実質的にU字形とされるフレームを備え、チャンバは、各々の場合で少なくとも1つの歪み軽減ブッシングを収容するように設計される。歪み軽減ブッシングは、開放可能ブッシングに挿入されたケーブルと一緒に前記フレームへと導入され得る。互いの隣に位置させられる1つまたは複数のチャンバを伴う実質的にU字形とされるフレームは、次にフレームカバーによって閉じられ、組み立てられた状態において、少なくとも1つの歪み軽減ブッシングは、少なくとも1つのチャンバにおいてフレームカバーによって圧縮される。したがって、カバーが閉じられるにつれて、構造は、明確には少なくとも1つの貫通孔の軸方向に対して垂直な方向に、歪み軽減ブッシングの圧縮を引き起こす。結果として、歪み軽減ブッシングにおけるスリットは圧縮され、そのため、スリットの封止と、挿入されたケーブルの貫通開放部の封止との両方が最終的に達成される。フレームカバーは、例えばフレームにネジ留めされ得る。したがって、歪み軽減ブッシングを圧縮するときに比較的大きな力が可能であり、そのため、ケーブル直径が貫通開放部の公称直径と理想的に合致しないときであっても、良好な封止が達成できる。
【0023】
実際には、ネジ留めによってフレームカバーを取り付けることはしばしば困難であり、そのため、本概念の1つの有利な展開によれば、フレームカバーはフレームに係り止めされる。フレームカバーとフレームとの係り止めは、フレームカバーをフレームに押し付けることでフレームとフレームカバーとの間に連結され得る係り止め要素を用いて好ましくは行われ得る。例えば、外側領域においてフレームにわたって係合するフレームカバーにおける係り止め舌部といったこのような係り止め要素は、手によってフレームカバーを押し付け、フレームカバーが押し付けられるときにフレームカバーに自動的に連結することができるように特に容易で効率的である。適切に設計される場合、これらの係り止め要素は、例えば、手によって、または、小さなネジ回しなどの工具の助けで、再び持ち上げることができ、そのため、フレームカバーは必要な場合に再び取り外すこともできる。
【0024】
フレームカバーとフレームとが一緒に係り止めされる場合、フレームカバーが典型的には手によって係り止めされるだけであるため、力は限定されてしまう。封止効果を達成するための押し付け力は、この場合、ネジ留めによって取り付けられたフレームカバーの場合においてよりはるかに小さくなる。具体的には、フレームカバーの手作業の取り付けのためにこれらの比較的小さい押し付け力の場合であっても、IP65などの関連する保護等級を達成するのに十分な封止が、全く同一のブッシングにおいて、例えば2~3mmで互いと異なるといった、異なるケーブル直径のための歪み軽減ブッシングの本発明の設計で達成できることはなおも事実である。理想的には、組み立てられた状態において、歪み軽減ブッシングのスリットは、フレームカバーの最も大きい寸法と平行に延びる。そのため、フレームカバーは、フレームカバーが配置されるときにスリットの2つの相互に向く面を確実に圧縮するために、スリットの配向に対して垂直に配置される。
【0025】
本概念の1つの有利な発展は、フレームカバーおよびフレームは、対応する形態適合要素を有し、フレームカバーとフレームとを連結するとき、形態適合要素を介して、フレームおよび/または少なくとも1つのチャンバの所望の幅が確保されることをさらに提供する。例えば、フレームカバーとフレームとの間での円錐状のピンおよび対応する受入開口といった、形態適合で互いに係合するこのような要素を介して、一定の幅が組み立ての後に達成されることが確保される。これは、フレームカバーの最も長い寸法全体にわたって圧力の比較的均一な分配を確保し、そのため、例えば、フレームの中間において膨らみが残ることはなく、したがって、U字の脚部が例えばある角度で内向きに延び、そのためにフレームカバーが「上向きに曲げられる」場合のように、フレームの中間に位置付けられる歪み軽減ブッシングに、縁領域においてより小さい圧力が作用することはない。
【0026】
提供される歪み軽減ブッシングおよび/またはフレームの有利な発展および洗練が、図を参照して以下においてより詳細に記載されている例示の実施形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】1つの貫通開放部を伴う本発明による歪み軽減ブッシングの可能な実施形態を示す側方からの図である。
図2】1つの貫通開放部を伴う本発明による歪み軽減ブッシングの可能な実施形態を示す側方からの図である。
図3】1つの貫通開放部を伴う本発明による歪み軽減ブッシングの可能な実施形態を示す側方からの図である。
図4】1つの貫通開放部を伴う本発明による歪み軽減ブッシングの可能な実施形態を示す断面図である。
図5】異なる直径のケーブルが挿入されている図4と類似の概略図である。
図6】異なる直径のケーブルが挿入されている図4と類似の概略図である。
図7】本発明による歪み軽減ブッシングの代替の可能な実施形態を示す図4と類似の断面図である。
図8】貫通開放部のさらに異なる設計を示す図である。
図9】貫通開放部のさらに異なる設計を示す図である。
図10】貫通開放部のさらに異なる設計を示す図である。
図11】貫通開放部のさらに異なる設計を示す図である。
図12】貫通開放部のさらに異なる設計を示す図である。
図13】貫通開放部のさらに異なる設計を示す図である。
図14】歪み軽減の代替の実施形態を示す図である。
図15】4つの貫通開放部を伴う歪み軽減ブッシングの別の代替の実施形態を示す図である。
図16】4つの貫通開放部を伴う歪み軽減ブッシングの別の代替の実施形態を示す図である。
図17】4つの貫通開放部を伴う歪み軽減ブッシングの別の代替の実施形態を示す図である。
図18】4つの貫通開放部を伴う歪み軽減ブッシングの別の代替の実施形態を示す図である。
図19】4つの貫通開放部を伴う歪み軽減ブッシングの別の代替の実施形態を示す図である。
図20】4つの貫通開放部を伴う歪み軽減ブッシングの別の代替の実施形態を示す図である。
図21】2つの貫通開放部を伴う別の代替の設計を示す図である。
図22】第1の実施形態における、制御キャビネットへの設置についてのケーブル通過具における歪み軽減ブッシングを示す図である。
図23】第1の実施形態における、制御キャビネットへの設置についてのケーブル通過具における歪み軽減ブッシングを示す図である。
図24】ケーブル通過具の代替の実施形態における歪み軽減ブッシングを示す図である。
図25】ケーブル通過具の代替の実施形態における歪み軽減ブッシングを示す図である。
図26】ケーブル通過具の代替の実施形態における歪み軽減ブッシングを示す図である。
図27】ケーブル通過具の別の代替の実施形態における歪み軽減ブッシングを示す図である。
図28】ケーブル通過具のなおも別の代替の実施形態における歪み軽減ブッシングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
歪み軽減ブッシング1が図1の描写において前面図で見られる。側面図が図2の描写において見られ、同じ歪み軽減ブッシング1の後面図が図3の描写において見られる。図4は、図1における線IV-IVに沿っての断面を示している。ここで示されている歪み軽減ブッシング1は、ケーブルを受け入れるための、符号2の付けられた1つの貫通開放部を有する。貫通開放部は、符号3の付けられたスリットを介して、歪み軽減ブッシング1の外側4のうちの1つに接続されている。したがって、ショアA100までの程度であって、好ましくはショアA30~90のショア硬度を有する弾性材料から作られるように意図されている歪み軽減ブッシング1は、図1図4には示されていないあらかじめ組み立てられているケーブル20であって、換言すれば、プラグなどをすでに担持するケーブル20を、貫通開放部2へと挿入することができるようにするために、スリット3に沿って開放できる。次に、挿入されたケーブル20を伴う歪み軽減ブッシング1は、一方では貫通開放部2においてケーブル20の歪み軽減を達成し、他方では信頼できる封止を達成するために、フレーム8または受入要素において典型的には圧縮される。これは、原理的には先行技術から知られており、このような歪み軽減ブッシングを含むフレーム9の使用との関連で、後で図19の説明において記載されている。長方形または正方形の形でここでは主に示されている歪み軽減ブッシング1は任意の他の外側輪郭を有してもよく、同様に貫通開放部2は、図25において純粋に例を用いて見られるように、円形である必要はない。
【0029】
図4の描写は、図1における線IV-IVに沿っての断面を示している。この断面は、符号51の付けられた第1の断面を有する第1の歪み軽減部分と、符号52の付けられた、歪み軽減部分51の断面より小さい第2の断面を有する第2の歪み軽減部分とを呈する貫通開放部2を示している。貫通開放部2の断面の中心軸またはその歪み軽減部分51、52の断面の中心軸は、前記断面が例としてここでは円いため、互いと平行に偏心して延びており、したがって、ここでは距離xで互いから離間されている。それぞれの外径は、具体的には断面図においてはっきりと見られ、図3に示した視点においても見られるように、スリット3の領域において互いに重なり合っている。符号6の付けられた移行領域が2つの歪み軽減部分51、52の間で延びている。ここで示されている例示の実施形態では、この移行領域は、歪み軽減部分51へと連続的に途切れなく併合し、縁を介して歪み軽減部分52へと連結される湾曲によって形成されている。貫通開放部2の歪み軽減部分51、52の外周部同士がスリット3の線において互いと接触している設計のため、この移行領域6は、スリット3の方向において変化し、2つの歪み軽減部分51、52の間での連続的な真っ直ぐの移行の形に益々近づいていく。
【0030】
貫通開放部2の最も小さい断面を有する歪み軽減部分52は、貫通開放部2の全体の軸方向長さの特定の割合を有する。貫通開放部2の全体のこの軸方向長さは、図4の描写において符号Dの付けられた、軸方向aにおける歪み軽減ブッシング1の厚さに対応する。この全体の軸方向長さ、すなわち、歪み軽減ブッシング1の厚さDに対する最も小さい断面を有する歪み軽減部分52の軸方向長さdの割合は、10%より大きく、好ましくは15%より大きく、特に好ましくは20%より大きくなるべきである。したがって、d/Dは少なくとも0.1である。図4の描写では、この割合はおおよそ0.35であり、そのため、最も小さい断面を有する歪み軽減部分52は、貫通開放部2の軸方向の全長Dのおおよそ35%を占める。この値は材料のショア硬度に応じて適切に適合されなければならず、そのショア硬度は、好ましくはショアA30~90程度のものである。最終的に、この値は、歪み軽減部分51、52の2つの断面にも依存する。先に示した例示の実施形態にあるように、これらは、直径において5mmから8mmの間のケーブルを歪み軽減ブッシング1においてしっかりと封止および歪み軽減される様態で受け入れるために、例えば一方では5mmであり、他方では7mmであり得る。
【0031】
ここで、歪み軽減ブッシング1の貫通開放部2のこの特別な設計は、貫通開放部2の歪み軽減部分52の断面に合致する直径を有するケーブル20が、貫通開放部2の歪み軽減部分51の断面と合致するケーブル20とちょうど同じくらいしっかりと確実にきつくされて収容されることを可能にする。より細いケーブル20の場合、歪み軽減部分52は、ケーブル20に対して封止して圧し掛かることになり、比較的大きい接触面積のため、封止を確保し、同時にケーブル20の信頼できる歪み軽減を確保する。歪み軽減部分51では、歪み軽減ブッシング1はケーブル20に接触しない。実際には、そのため、歪み軽減部分52によって隣接される歪み軽減ブッシング1の側が封止される領域に向けて方向付けられるように、ケーブル20を伴う歪み軽減ブッシング1を設置することが望ましく、そのため、液体が歪み軽減ブッシング1の領域へと浸透すらできない。貫通開放部2の歪み軽減部分51の直径までのより太いケーブル20を使用するとき、まさに反対のことがこの場合である。
【0032】
これは、図5および図6の2つにおいて概略的に示されている。構造は、実質的に図4のものである。図5の描写では、例えば5mmの直径を有するケーブルが挿入されている。歪み軽減部分52は、歪み軽減ブッシング1が適切に圧縮されるや、ケーブル20を周囲の環境に対して封止し、同時に、良好な歪み軽減を確保する。ここでは符号21の付けられた環状の隙間が、歪み軽減部分51とケーブル20との間に残る。図6の描写では、例えば7mmの直径を有するより太いケーブルが同じ歪み軽減ブッシング1に挿入されている。ここでは、歪み軽減部分52は、図6の描写において指示されているように、相当に変形されている。これは、可及的に、歪み軽減部分52の軸方向領域においてスリット3にも関与している。これは、歪み軽減ブッシング1の対応するように変形された表面輪郭によってここでは指示されている。このような輪郭は信頼できる封止をもはや確保しないが、歪み軽減を通常は確保できる。信頼できる封止と歪み軽減とは、ここでは歪み軽減部分51の領域で確保され、歪み軽減部分51の断面はケーブル20の直径に合致し、そのためきつくされた接触がここでは達成され得る。理想的には、この構造は、この場合、ケーブル20と歪み軽減ブッシング1との間での液体の進入を安全かつ確実に防止するために、例えば制御キャビネットに設置されるとき、きつくなっている側が外方を向くように設置される。
【0033】
図7における変形は、別の可能な実施形態を示している。図5において詳述したように、小さい直径を有するケーブル20が挿入されるとき、これは、より大きい断面を有する歪み軽減部分51の領域において、ケーブル20の周りに環状の隙間21をもたらす。この環状の隙間21を封止するために、封止リップ22が設けられてもよく、前記封止リップは、小さい開放断面、または、最も小さい断面を有する歪み軽減部分52の断面よりいくらか小さい開放断面を同じく有する。図7に示した実施形態では、この封止リップ22は力を全く伝達しない。図5における描写と類似の様態において、歪み軽減および主要な封止は、歪み軽減部分52とケーブル20との間で行われる。封止リップ22は、その領域における比較的粗い汚れおよび水分の堆積を防止するために、環状の隙間21を封止するように供するだけである。
【0034】
しかしながら、これの代替として、封止リップ22の代わりに、この目的のために必要であるd>0.1Dの幅を有するさらなる歪み軽減部分53を設けることも考えられる。
【0035】
図8図14は、貫通開放部2の内側輪郭の代替の実施形態を示している。図8の描写は、歪み軽減部分51と歪み軽減部分52との間に段差を伴う非常に単純な変形を示している。図9の描写は、歪み軽減部分51と52との間の連続的な移行を示している。図10の描写は段差付きの構造を再び示しており、3つの異なる歪み軽減部分51、52、53が降順の断面の順番で配置されている。これは、3つの異なるケーブル直径を確実に受け入れることを可能にする。図11の描写は、3つの歪み軽減部分51、52、53を伴う同様の構造を示しており、ここでは移行が図4の描写におけるものと同様に構成されているが、原理的に逆になっており、つまり、1つの歪み軽減部分への連続的な移行を伴い、他の歪み軽減部分への移行において縁を伴う。同じくここで示されているのは、第1の歪み軽減部分51と、歪み軽減ブッシング1の縁との間のある種の導入段階である。これは、なおもさらに大きいケーブル直径の場合であっても信頼できる封止を可能にする。図12の描写は、段差付き構造での描写を再び示している。図8の描写と異なる様態において、構造は、貫通開放部2の軸方向における段差が、2つの小さい歪み軽減部分52、53と、1つの対応する大きいまたは長い歪み軽減部分51とへ分割されるように選択されている。図13は、スリット3を有する側において貫通開放部2の中心軸に対してある角度で延びる側縁を伴うさらなる変形を示している。例えば抜き勾配から生じる安易な捩れなど、射出成形によって製造を単純化するのに特に供する、直線的な経路から逸脱する他の形も、加えて考えられる。図14は、側面図において、軸方向aにおけるスリット3の非直線的な経路を示している。経路が波状の形でここでは示されていることを除いて、1つまたは複数の段差なども考えられる。
【0036】
最後に、図15は、外側輪郭が長方形または正方形の外側輪郭と異なり、この場合には円い輪郭での歪み軽減ブッシング1の変形を示している。図3における描写と類似の態様において、貫通開放部2は、より大きい断面を有する歪み軽減部分51の側から示されている。図15は、円い形から逸脱する歪み軽減部分51の断面輪郭を伴う変形を示している。ここで、より大きい断面を有する歪み軽減部分51の断面輪郭は、例えばスリット3から離れた側において、窪み18を有する。例えば楕円形、多角形などの他の輪郭も考えられる。歪み軽減部分のうちの他方52は、ここでは例として円い断面の輪郭で示されているが、円い断面の輪郭からの逸脱はここでも考えられる。しかしながら、逸脱する輪郭は、より大きい断面を有する歪み軽減部分51の領域において特に有用であり、これは、歪み軽減ブッシング1の材料を、より大きいケーブルの周りでより良好に「流す」ことができ、したがって断面におけるより大きな差を可能にするためである。
【0037】
図16は、図1図4の描写と実質的に類似の様態で、4つの貫通開放部2を伴う歪み軽減ブッシング1の代替の実施形態を示しており、図19の描写において図16からの追加の断面XIX-XIXを伴う。ここで、貫通開放部2の各々は、図4に示された貫通開放部と類似の様態で設計されている。原理的には、図7図13および図15に記載されているような内側輪郭のすべての変形は、ここでは当然ながら考えられる。貫通開放部2の各々が歪み軽減ブッシング1の外側4へのそれ自体のスリット3を有するここで示されている実施形態の代替として、例えば、図13の描写における2つの右手側の貫通開放部2が、スリットを介して、図16の描写にある2つの左手側の貫通開放部2に接続され、そのため前記左手側の貫通開放部がスリット3を介して外側に接続される構造も考えられる。
【0038】
図21の描写は、歪み軽減ブッシング1のさらなる代替を示している。図21の描写において線IV-IVに沿う断面は、その見方において、図4に示した断面に対応している。ここでもまた、設計は、図7図13および図15において述べられたものと類似であり得る。
【0039】
ケーブル通過具7が、図22において前面図で見られ、図23において平面図で見られる。図22の例示の実施形態では、この実施形態は、下方フレーム8と、大部分が同一に成形されたフレームカバー9とから成り、これらの各々はU字形とされている。フレーム8における、および、ここではフレームカバー9における個々のチャンバ15が、中間ウェブ14によって形成されている。ケーブル20(ここでは図示されていない)を伴う歪み軽減ブッシング1がこれらのチャンバ15に配置される。要件に依存して、例えば前述の変形の実施形態におけるといった、異なる歪み軽減ブッシング1はチャンバ15に挿入でき、チャンバ15は、その幅において、歪み軽減ブッシング1のうちの1つに対応する格子の大きさを有し、その高さにおいて、例えば各々の場合で、歪み軽減ブッシング1のうちの2つを受けることができる。組み立てられた状態において、ケーブル通過具7は、フレーム8および/またはフレームカバー9の側部における孔13を介して制御キャビネット(図示せず)の壁にネジ留めされるように設計されている。図22の描写では、貫通開放部2を各々有する10個の個々の歪み軽減ブッシング1が、図3における見方と類似の見方において、ケーブル通過具7に挿入されている。図22の描写において見られるように、ケーブル通過具7のフレーム8とフレームカバー9とは、封止および歪み軽減のための必要な押し付け力を、歪み軽減ブッシング1と貫通開放部2に位置させられた、ここでは図示されていないケーブル20とに加えるために、3つのネジ10によって互いにネジ留めされている。
【0040】
図24は、このようなケーブル通過具7の代替の実施形態を示している。三次元図は、図16図20における描写と類似した変形の実施形態において、歪み軽減ブッシング1のうちの2つだけを示している。歪み軽減ブッシング1はチャンバ15のうちの1つに配置され、残りのチャンバは、より良好に見えるようにするためにここでは空けられたままである。
【0041】
ここでも、ケーブル通過具7は、フレーム8と、この変形では平坦であるフレームカバー9とから成る。フレーム8は実質的にU字形とされ、5つの個々のチャンバ15を有し、それらチャンバ15は、ここでも中間ウェブ14によって互いから分離されており、図22の描写におけるフレームに相当する様態で、幅において、歪み軽減ブッシング1のうちの1つに対応する格子の大きさを有する。ケーブル20を伴う歪み軽減ブッシング1のうちの2つが、ここではチャンバ15のうちの1つだけにおいて一方が他方の上方に挿入されているため、チャンバ15は、図22における描写と比較してここでは非常にはっきりと見られる。図25の前面図において、同じ構造が解放した状態で示されている。フレームカバー9は、図24の三次元図においても見られるように、実際のフレーム8の側部の周りを把持する2つの係り止めフック16を有する。ここで実際には、フレーム8のチャンバ15が、歪み軽減ブッシング1で、または、封止する目的のための対応するめくらブッシングで満たされる状態において、歪み軽減ブッシング1が挿入されると、フレームカバー9は、係り止めするように手で押し付けられる必要があるだけである。これは、図26における閉じたケーブル通過具7の断面図において見られる。フレームカバー9の係り止めフック16は、対応する凹部11に着座させられ、凹部11に係り止めされる。フレームカバー9がひとたび配置されたときにフレーム8の幅を安定させるために、形態適合する様態で互いに係合する複数の要素12が追加的に設けられている。これは、フレームカバー9が設置された後にフレーム8の幅が各々の場合で所望の幅に対応することと、フレーム8内での中間ウェブ14同士の間の個々のチャンバ15の幅が所定の幅で確実に維持されることとを確保する。これは、歪み軽減ブッシング1がフレームカバー9によって対応するように圧縮されるため、特に重要である。変形による個々のチャンバ15の異なる幅は、歪み軽減ブッシング1における異なる圧力をもたらすことになり、したがって封止効果を損なうことになる。これを防止するために、円錐状のピンと、相手側における対応する円錐状の孔とが、例えば対応する形態適合要素12として設けられてもよい。これは、構造全体にわたって均一に封止するために、フレームカバー9によって均一の圧力がそれぞれのチャンバ15に位置させられた歪み軽減ブッシング1に発揮され得るように、一方では中間ウェブ14によって分離された個々のチャンバ15の幅と、他方ではフレーム8の幅とが、全体として一定のままとなることを確保する。
【0042】
これとは無関係に、幅の意味におけるチャンバ15の異なる格子の大きさが、当然ながら、それぞれの適切な歪み軽減ブッシング1を含むフレーム8内において考えられる。
【0043】
図27の描写は、ここではチャンバ15のうちの1つと歪み軽減ブッシング1のうちの1つとだけを収容するための、フレーム8とフレームカバー9とを備えるケーブル通過具7の別の変形を示している。フレーム8およびフレームカバー9は、ここでも非常に似ている様態で設計されており、その外側の一部分に沿って、ここでは、純粋に例として各々の場合で半分に沿って、歪み軽減ブッシング1を各々包囲する。フレーム8とフレームカバー9とは2つの係り止めフック16を介して互いに係り止めされるが、ネジ留めされる設計も考えられる。次に、フレーム8とフレームカバー9との組み立てられた組み合わせは、ここでは示されていない歪み軽減ブッシング1および挿入されたケーブル20と共に、例えば制御キャビネットにおいて、開口に通され、ナット(ここでは図示されていない)およびネジ山17を介してネジ留めされる。
【0044】
最後に、図28は、フレーム8が一体品で形成されており、1つの側において開放しないケーブル通過具7を示している。チャンバ15はまた、ここでは十字形の中間ウェブ14によって形成されている。そのため、ケーブル20(ここでは図示されていない)はフレーム8を通過させることができる。次に、中間ウェブ14が挿入される、および/または、歪み軽減ブッシング1がケーブル20の周りに配置される。そのため、これらは、可及的には中間ウェブ14と一緒に、軸方向aにおいてフレーム8へと押し込まれ、フレーム8において圧力嵌めおよび/または形態適合によって保持される。
【0045】
異なる例示の実施形態からのすべての変形は、当然ながら、任意に互いと組み合わせることができる。例えば、円いチャンバ15を伴うケーブル通過具7、または、一体品のフレームなどを伴う図27と類似のケーブル通過具も考えられる。長方形または正方形の歪み軽減ブッシング1の場合における貫通開放部2の形における逸脱も、図4図21に示されたすべての変形と対応するように組み合わせることができ、これらの変形も互いと組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 歪み軽減ブッシング
2 貫通開放部
3 スリット
4 外側
6 移行領域
7 ケーブル通過具
8 下方フレーム
9 フレームカバー
10 ネジ
11 凹部
12 形態適合要素
13 孔
14 中間ウェブ
15 チャンバ
16 係り止めフック
17 ネジ山
18 窪み
20 ケーブル
21 環状の隙間
22 封止リップ
51 第1の歪み軽減部分
52 第2の歪み軽減部分
53 歪み軽減部分
a 軸方向
D 厚さ
d 軸方向長さ
x 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28