(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】菓子パッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 85/78 20060101AFI20220729BHJP
A23G 9/24 20060101ALN20220729BHJP
【FI】
B65D85/78
A23G9/24
(21)【出願番号】P 2020523672
(86)(22)【出願日】2018-07-10
(86)【国際出願番号】 NL2018050455
(87)【国際公開番号】W WO2019013620
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-07-05
(32)【優先日】2017-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】520011898
【氏名又は名称】ワット・ザ・フューチャー・ベンチャー・キャピタル・(ダブリューティーエフヴイシー)・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルト・ヴィレム・ザーネン
(72)【発明者】
【氏名】エドムント・ダーフィト・アウフェナスト
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-164183(JP,U)
【文献】米国特許第02151282(US,A)
【文献】実公昭37-015498(JP,Y1)
【文献】実開昭54-169949(JP,U)
【文献】実開昭59-004291(JP,U)
【文献】実開昭56-111786(JP,U)
【文献】特開2005-018532(JP,A)
【文献】実開昭51-009074(JP,U)
【文献】国際公開第2017/125488(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/78
A23G 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
菓子用の空間2、持ち手6の一端用の空間3、および水平な平坦表面5を含むプラスチック成形製品1であり、前記菓子用の空間2が、前記持ち手6の一端用の空間3から流体分離され、前記持ち手6の一端用の空間3および前記菓子用の空間2が、前記平坦表面5より下方に位置決めされる、プラスチック成形製品1と、
前記プラスチック成形製品1の前記平坦表面5を密封する平面状カバーシート7と、
前記菓子用の空間2内にある冷凍可能または冷凍菓子8の塊と、
前記菓子用の空間2内の前記冷凍可能または冷凍菓子8の塊内に位置決めされる前記持ち手6の内側部分9、および前記持ち手6の一端用の空間3内に位置決めされる、使用時に前記冷凍可能菓子8の塊をユーザが手で保持することを可能にする外側部分10を含む前記持ち手6であり、前記内側部分9が、オフセット中間部分11、22によって前記外側部分10に接続される、前記持ち手6と、
を含む、菓子パッケージであって、
前記持ち手6の前記中間部分11、22の一部分は、その上側端部13が前記平面状カバーシート7によって密封され、その下側端部14が前記プラスチック成形製品1の壁面部分16の上側端部15によって密封され、前記壁面部分16が、前記菓子用の空間2を前記持ち手6の一端用の空間3から水平方向に分離し、前記持ち手6の前記上側端部13が、前記平坦表面5より上方に位置決めされる、菓子パッケージ。
【請求項2】
前記持ち手の前記オフセット中間部分11が、3つの屈曲部からなり、第1の屈曲部が、前記内側部分9と前記中間部分の間にあって、前記持ち手を前記菓子から前記壁面部分16の前記上側端部15に向かって方向付け、第2の屈曲部が、前記上側端部15に位置し、前記持ち手を前記持ち手6の一端用の空間3に向かって方向付け、第3の屈曲部が、前記持ち手6の前記中間部分11と前記外側部分10とを接続し、前記持ち手を前記持ち手6の一端用の空間3の方向に方向付け、前記第2の屈曲部が、前記持ち手6の前記上側端部13に含まれる、請求項1に記載の菓子パッケージ。
【請求項3】
前記持ち手の前記オフセット中間部分22が、少なくとも4つの屈曲部からなり、第1の屈曲部23が、前記内側部分9と前記中間部分の間にあって、前記持ち手を前記菓子から前記平坦表面5に向かって方向付け、第2の屈曲部24が、前記持ち手の水平部分25を前記平坦表面5に沿って方向付け、第3の屈曲部26が、前記持ち手を前記持ち手6の一端用の空間3に向かって方向付け、第4の屈曲部27が、前記持ち手6の前記中間部分22と前記外側部分10とを接続し、前記持ち手を前記持ち手6の一端用の空間3の方向に方向付け、前記持ち手6の前記上側端部13が、前記持ち手6の水平部分25に含まれる、請求項1に記載の菓子パッケージ。
【請求項4】
前記持ち手が、丸みのある上側表面と、平坦な下側表面とを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の菓子パッケージ。
【請求項5】
前記持ち手の前記内側部分9および前記外側部分10が、平行な長手方向に延びる、請求項1から4のいずれか一項に記載の菓子パッケージ。
【請求項6】
前記持ち手の前記内側部分9と前記外側部分10とが位置合わせされる、請求項5に記載の菓子パッケージ。
【請求項7】
前記内側部分9と前記外側部分10とが、持ち手6が対称な形状になるように、同じ形状を有する、請求項6に記載の菓子パッケージ。
【請求項8】
前記持ち手の前記内側部分9および前記外側部分10が、1つまたは複数のスナップ嵌め型コネクタ28を備える、請求項7に記載の菓子パッケージ。
【請求項9】
前記持ち手6の前記外側部分10と、前記持ち手6の一端用の空間3の底部19との間に、空気の隙間18が存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の菓子パッケージ。
【請求項10】
前記冷凍可能菓子が、冷凍されていない、請求項1から9のいずれか一項に記載の菓子パッケージ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の菓子パッケージを準備するプロセスであって、
(i)持ち手6を、菓子用の空間2、持ち手6の一端用の空間3、および水平な平坦表面5を有するプラスチック成形製品1と組み合わせるステップであり、前記菓子用の空間2が、前記持ち手6の一端用の空間3から流体分離され、前記持ち手6の一端用の空間3および前記菓子用の空間2が、前記平坦表面5より下方に位置決めされる、ステップと、
(ii)前記菓子用の空間2に未冷凍の冷凍可能菓子を液体として追加するステップと、
(iii)平面状カバーシート7によって、前記プラスチック成形製品1の前記水平な平坦表面5、および前記持ち手6の上側端部13を密封するステップと、
を含む、プロセス。
【請求項12】
前記ステップ(ii)において、前記未冷凍の冷凍可能菓子が、前記水平な平坦表面5によって規定される高さまで追加される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
熱形成によって前記プラスチック成形製品を提供するプラスチック成形製品形成ステーションと、持ち手配置ステーションと、未冷凍菓子装荷ステーションと、密封ステーションと、切断ステーションとを含む、熱形成装置を使用する、請求項11から12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記プラスチック成形製品形成ステーションが、3D印刷によって得られる型を利用する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記密封ステーションが、3D印刷によって得られる密封型30を利用する、請求項13から14のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍可能菓子または冷凍菓子で充填された菓子用の空間と、持ち手の一端用の空間とを有するプラスチック成形製品を含む菓子パッケージを対象とする。菓子用の空間および持ち手の一端用の空間は、平坦表面より下方に位置決めされ、平面状カバーシートで、この平面状の成形製品を密封する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、菓子用の空間および持ち手の一端用の空間が流体接続されている、このような菓子パッケージが記載されている。菓子用の空間内にある菓子は、冷凍形態であり、したがって、持ち手用の空間に流入しない。問題は、例えば菓子の一部が溶けたときなどに、冷凍菓子の一部が、持ち手用の空間に入る可能性があることである。
【0003】
このような菓子パッケージは、特許文献2にも記載されている。この文献には、持ち手を備えた冷凍菓子用のチャンバからなる菓子パッケージが記載されている。このような製品は、棒付きアイスキャンデーとも呼ばれる。冷凍菓子用のチャンバは、文字の外観を有する。持ち手の外側部分は、溝内に配置される。溝と、菓子用のチャンバとは、パッケージの1つの部分にある。平面状シールが、このパッケージのチャンバおよびスロットを、それらの上側端部で密封する。持ち手は、持ち手の外側部分にある同じ形状の開口によってロックする、溝内にあるペグによって適所に保持される。
【0004】
特許文献3に記載される菓子パッケージは、特許文献2と同様の構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】英国特許出願20175327号
【文献】米国特許第4001440号
【文献】実開昭54-134184
【文献】GB866557
【文献】米国特許第3005282号
【文献】米国特許第4552541号
【文献】米国特許第4744780号
【文献】米国特許第4919635号
【文献】米国特許第5230195号
【文献】米国特許第5471808号
【文献】米国特許出願第2011/045733号
【文献】米国特許出願第2016/263489号
【文献】米国特許出願第2014/227937号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の菓子パッケージの欠点は、菓子が産業包装プロセスにおいて冷凍される前に、液状の菓子が溝に流入する可能性があることである。これにより見た目が悪くなり、これは、商用の菓子パッケージとしては望ましくない。本発明の目的は、液状の菓子が持ち手の外側部分に向かって流れる危険性を制限した、菓子パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは、
菓子用の空間、持ち手の一端用の空間、および水平な平坦表面を含むプラスチック成形製品であり、菓子用の空間が、持ち手の一端用の空間から流体分離され、持ち手の一端用の空間および菓子用の空間が、平坦表面より下方に位置決めされる、プラスチック成形製品と、
プラスチック成形製品の平坦表面を密封する平面状カバーシートと、
菓子用の空間内にある冷凍可能または冷凍菓子の塊と、
菓子用の空間内の冷凍可能または冷凍菓子の塊内に位置決めされる持ち手の内側部分、および持ち手の一端用の空間内に位置決めされる、使用時に冷凍可能菓子の塊をユーザが手で保持することを可能にする外側部分を含む持ち手であり、内側部分が、オフセット中間部分によって外側部分に接続される、持ち手と、
を含む、菓子パッケージであって、
持ち手の中間部分の一部分は、その上側端部が平面状カバーシートによって密封され、その下側端部がプラスチック成形製品の壁面部分の上側端部によって密封され、壁面部分が、菓子用の空間を持ち手の一端用の空間から水平方向に分離し、持ち手の上側端部が、平坦表面より上方に位置決めされる、菓子パッケージによって達成される。
【0008】
出願者等は、オフセット中間部分を、プラスチック成形製品の平坦表面より上方に位置付けることによって、液体バリヤが生じ、それにより液状の菓子が菓子用の空間から持ち手の一端用の空間に流れることが回避されることを発見した。
【0009】
本発明、およびさらなる利点について、以下でさらに説明する。以下の説明では、上側、下側、水平、垂直、上方、および下方のような用語は、菓子パッケージが未冷凍の菓子で満たされているときの菓子パッケージの好ましい姿勢を指している。これらの用語は、菓子パッケージをより明確に説明するために使用したものであり、本発明をこの姿勢の菓子パッケージのみに限定することを意図したものではない。
【0010】
持ち手のオフセット中間部分は、3つの屈曲部からなると適当であることがあり、この場合、第1の屈曲部は、内側部分と中間部分の間にあって、持ち手を菓子から壁面部分の上側端部に向かって方向付け、第2の屈曲部は、この上側端部に位置し、持ち手を持ち手の一端用の空間に向かって方向付け、第3の屈曲部は、持ち手の中間部分と外側部分とを接続し、持ち手を持ち手の一端用の空間の方向に方向付け、第2の屈曲部は、持ち手の上側端部に含まれる。
【0011】
あるいは、持ち手のオフセット中間部分は、少なくとも4つの屈曲部からなると適当であることもあり、この場合、第1の屈曲部は、内側部分と中間部分の間にあって、持ち手を菓子から平坦表面に向かって方向付け、第2の屈曲部は、持ち手の水平部分を平坦表面に沿って方向付け、第3の屈曲部は、持ち手を持ち手の一端用の空間に向かって方向付け、第4の屈曲部は、持ち手の中間部分と外側部分とを接続し、持ち手を持ち手の一端用の空間の方向に方向付け、持ち手の上側端部は、持ち手の水平部分に含まれる。
【0012】
持ち手は、冷凍菓子に接合するのに適し、ユーザが手で保持するのに適した持ち手になる形状であれば、いかなる形状であってもよい。好ましくは、持ち手は、中間部分と、上述の水平部分とを含み、中間部分または水平部分は、丸みのある上側表面と、平坦な下側表面とを有する。丸みのある上側表面は、平面状カバーシートによる効率的な密封を保証し、平坦な下側部分は、この平坦な部分がプラスチック成形製品の壁面部分の好ましくは水平である部分に載置されたときに液体バリヤを確保する。好ましくは、持ち手全体が、丸みのある上側表面と、平坦な下側表面とを有する。
【0013】
棒付きアイスキャンデーは、菓子パッケージから取り出されたときに、実際上の理由から、菓子の塊から遠ざかるように延びる外側部分を備えた持ち手を有する。持ち手の内側部分は、菓子の塊の中の中心、またはほぼ中心にあるのが適当である。持ち手の内側部分および外側部分は、平行な長手方向に延びることがある。ただし、持ち手の内側部分および外側部分が、角度をなすように位置決めされることが排除されるわけではない。好ましい持ち手は、持ち手の外側部分と位置合わせされた内側部分を有する。さらに好ましくは、内側部分と外側部分とは、持ち手が対称な形状になるように、同じ形状を有する。対称な形状を有する持ち手は、プラスチック成形製品内への持ち手の自動配置が簡略になるので好ましい。すなわち、持ち手を配置するために使用される可能性がある、いわゆるピックアンドプレース式装置は、持ち手を1方向に配向する必要がなく、持ち手の一端用の空間および菓子用の空間内に無作為に持ち手を位置決めすればよい。
【0014】
持ち手の内側部分および外側部分は、1つまたは複数のスナップ嵌め型コネクタを備える。持ち手の内側部分の表面に開口または延長部があれば、菓子と持ち手とのより緊密な接合を保証することができる。スナップ嵌め型コネクタには、ユーザが菓子を食べた後で複数の持ち手をつなげて持ち手で遊ぶことができるという利点がある。これは、ユーザが持ち手をとっておく可能性が高くなり、持ち手を捨てて環境を汚染しなくなるので、環境にとって好ましい。コネクタは、スナップ嵌め方式で接続することができる雄型要素および雌型要素からなることが好ましい。このようなコネクタは、周知であり、例えば特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、および特許文献13に記載されている。雄型要素は、持ち手の上側および/または下側にある延長部であることが好ましく、円筒形または円錐台形の外側表面を有する。雌型要素は、雄型要素を受けて、その雄型要素とのスナップ嵌め接続を生じることができる任意の設計の開口とすることができる。これらのコネクタは、複数の持ち手の様々な配置が可能になるように、離間していることが好ましい。スナップ嵌め接続は、2つの持ち手を1つのスナップ嵌め接続で接続したときに、その接続に沿った枢動が可能になっていることが好ましい。
【0015】
持ち手の外側部分と、持ち手の一端用の空間の底部との間に、空気の隙間が存在すると適当である。これにより、持ち手が持ち手の一端用の空間の底部に凍結する可能性が回避される。
【0016】
冷凍可能菓子は、冷凍されていても、冷凍されていなくてもよい。菓子パッケージは、周囲温度で保管および流通することができ、この場合には、菓子は冷凍されていない。例えば、エンドユーザが、自宅で食べる直前に未冷凍の菓子を冷凍してもよい。プラスチック成形製品の持ち手の菓子用の空間と持ち手の一端用の空間とは、流体接続されていないので、液状の菓子が持ち手の一端用の空間に流入する危険性は低い。
【0017】
プラスチック成形製品は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびポリアミドで構成されたものなどの高分子材料で構成することができる。特に好ましいのは、MP300(ポーランド、Wipak社)という登録商標で販売されているものなど、非晶質ポリエステルおよびポリオレフィンの同時押出シートである。平面状カバーシートは、例えばポリエステルフィルム、特にBIAXER(ポーランド、Wipak社)という登録商標で販売されているものなどの二軸延伸ポリエステルフィルムなど、プラスチックフィルムであってもよい。フィルムを、例えばアルミニウムで金属化して、パッケージの絶縁性を高めてもよい。
【0018】
本発明は、また、本発明による菓子パッケージを準備するプロセスも対象とする。このプロセスは、
(i)持ち手を、菓子用の空間、持ち手の一端用の空間、および水平な平坦表面を有するプラスチック成形製品と組み合わせるステップであり、菓子用の空間が、持ち手の一端用の空間から流体分離され、持ち手の一端用の空間および菓子用の空間が、平坦表面より下方に位置決めされる、ステップと、
(ii)菓子用の空間に未冷凍の冷凍可能菓子を液体として追加するステップと、
(iii)平面状カバーシートによって、プラスチック成形製品の水平な平坦表面、および持ち手の上側端部を密封するステップと、を含む。
【0019】
ステップ(ii)において、未冷凍の冷凍可能菓子が、水平な平坦表面によって規定される高さまで追加されると適当である。
【0020】
プラスチック成形製品は、例えば射出成形、ブロー成形、または回転成形など、任意の既知の製造方法で製造することができ、好ましくは、フィルムおよび型を用いる熱形成で製造される。使用する型は、任意の形状を有することができ、任意の材料で構成することができる。通常は、この方は、金属製であり、1つまたは複数の機械加工ツールを用いる管理された材料除去プロセスによって型を製造する除去製造法で形成される。この方法は、時間がかかり、大量の同じプラスチック成形製品を製造するのに適した型を製造するときに使用するのが好ましい。様々な設計を有する本発明によるプラスチック成形製品を少量だけ製造したいときには、3D印刷とも呼ばれる付加製造によって型を製造することが好ましい。出願者等は、3D印刷を使用することにより、プラスチック成形製品を比較的少数製造するのに経済的に使用することができるオーダーメイドの形状を有する型を簡単に製造することができることを発見した。
【0021】
上記の3D印刷は、自分のコンピュータのところにいるクライアントがデータ通信ネットワークを介して型の製造業者の制御下にあるコンピュータにデータを伝送することができる方法で、特に使用される。クライアントコンピュータは、従来のデスクトップコンピュータ、ラップトップ、またはタブレット、あるいはスマートフォンなどのモバイルデバイスであってよく、型の製造業者のコンピュータから遠隔であることが好ましい。ネットワークを介して伝送されるデータは、冷凍菓子の形状、したがってプラスチック成形製品の形状を表すものである。これは、型の製造業者がそれを解釈して3Dモデルを形成する写真またはその他の2次元グラフィックの形態であってもよいし、3Dモデル自体のデジタル表現の形態であってもよい。データ通信ネットワークは、通常はインターネットである。
【0022】
供給業者がこのデータを受信し、このデータが、次いで熱形成プロセスで使用される型の製造のために準備される。3Dモデル最適化段階が、このプロセスに含まれることもあり、その場合、最適化は、以下のステップのうちのいずれか1つを含むこともある。
i)オブジェクトの2D表現から3Dモデルへの変換。これは、画像処理ソフトウェアによって自動的に実行してもよいし、あるいは人間の作業員からの入力を含む、または人間の作業員からの入力からなっていてもよい。
ii)プラスチック成形製品を凝固後に型から容易に取り外すことができることを保証するための、このようにして作製された、または供給業者から受け取った3Dモデルのアンダーカットの除去。
iii)除去しないとプラスチック成形製品の縁部に不要な材料を残す可能性がある不要または不必要な背景情報または画像コンテンツの除去。
iv)3つの次元全てにおいてアスペクト比を維持する、あるいはこの3D印刷によって形成ステーションに収容することができる型が生成され、かつ/または所望の型容積が生じるように、1つまたは2つの次元を選択的にスケーリングする、3Dモデルのスケーリング。
【0023】
3Dモデルの最適化に続いて、3D印刷を用いて型を作製する。いくつかの3D印刷技術を、当業者(skilled addressee)は、プラスタ(例えば米国3D systems社製の「ProJet(R) 660 Pro」という登録商標で販売されている3Dプリンタを用いる)、熱可塑性樹脂、光重合ポリマー、または熱焼結材料など、ある範囲の材料の印刷に利用することができる。特に好ましい実施形態では、型は、ポリアミドの粉末組成物および粉末アルミニウムを含む、Alumide(R)という登録商標販売されている材料などの材料の熱焼結(好ましくはレーザによる)を用いて作製される。発明者等は、このようなプロセスおよび材料により、熱形成プロセス中にさらされる温度に特に効果的に耐えることができる型が作製されることを発見した。
【0024】
上述のように低い熱伝導率を有する材料を用いて3D印刷によって型を作製するときには、型は、型の成形製品に向く側を反対側と流体接続するいくつかの開口を備えることが好ましい。型の厚さは、0.5mmから5mmの間であることが好ましい。穴は、通常は、直径が2mm未満であり、直径が1mm未満であることが好ましい。これらの開口により、形成プロセス中に型から空気を逃がすことができる。この方は、冷却空気を通すためのチャネルを備えるとさらに適当である。型を冷却することにより、成形製品が型の中で所望の形状に凝固しやすくなる。
【0025】
プラスチック成形製品を形成するためには、熱可塑性材料のシートを型の上に配置し、この材料をその軟化点超に加熱しながら、このシート材料の上で圧力差を生じさせる。圧力差は、通常は、赤外線源によって加熱を行いながら、シートの下方で真空ポンプ(vacuum)を使用して生じさせる。この型形成プロセスは、当技術分野では、真空成形として周知である。成形材料を形成するための特に好ましい材料は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびポリアミドで構成された材料などのシート状高分子材料である。特に好ましいのは、MP300(ポーランド、Wipak社)という登録商標で販売されているものなど、非晶質ポリエステルおよびポリオレフィンの同時押出シートである。これらのシート状材料は、好ましくは1mm未満の厚さを有し、さらに好ましくは100ミクロンから500ミクロンの間の厚さを有する。
【0026】
上述した熱形成プロセス、および上述した菓子パッケージを製造するプロセスは、熱形成によってプラスチック成形製品を提供するプラスチック成形製品形成ステーションと、持ち手配置ステーションと、未冷凍菓子装荷ステーションと、密封ステーションと、切断ステーションとを含む、自動熱形成装置で実行されるのが適当である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による菓子パッケージの3つの要素を、別個の品目として、概略的に示す図である。
【
図2】
図1の3つの品目を、1つに組み合わせた菓子パッケージとして示す図である。
【
図4】本発明による菓子パッケージの見え方の例を示す図である。
【
図9】平面状シートによって平坦表面および持ち手の水平部分の上側を密封するために使用される、密封型を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明について、
図1~
図9を利用してさらに説明する。
【0029】
図1は、本発明による菓子パッケージの3つの要素を、別個の品目として、すなわち平面状カバーシート7、持ち手6、およびプラスチック成形製品1として、概略的に示す図である。
図2は、これら3つの品目を、1つに組み合わせた菓子パッケージとして示す図である。
【0030】
プラスチック成形製品1は、菓子用の空間2と、持ち手6の一端用の空間3と、水平な平坦表面5とを有する。菓子用の空間2は、上側端部15を有する壁面部分16によって、持ち手6の一端用の空間3から流体分離されている。持ち手6の一端用の空間3と、菓子用の空間2とは、平坦表面5よりも下方に位置決めされている。
【0031】
持ち手6は、持ち手6の内側部分9と、使用時に冷凍可能菓子8の塊をユーザが手で保持することを可能にする外側部分10とを有する。持ち手は、オフセット中間部分11を備える。持ち手6のオフセット中間部分11は、3つの屈曲部からなり、第1の屈曲部16は、水平な内側部分9と中間部分11の間にあって、持ち手6を上方に向ける部分であり、第2の屈曲部12は、持ち手6を下方に向ける部分であり、第3の屈曲部17は、持ち手6の中間部分11と外側部分10とを接続する、持ち手を水平方向に向ける部分である。
【0032】
図1の持ち手の内側部分9および外側部分10は、平行な長手方向に延び、位置合わせされ、同じ形状を有する。持ち手6は、対称な形状を有する。
【0033】
図2には、これら3つの品目がどのように組み合わされるかが示してある。オフセット中間部分11は、その上側端部13を平面状カバーシート7で密封され、その下側端部14を壁面部分16の上側端部15で密封される。平面状カバーシート7は、プラスチック成形製品1の平坦表面5も密封する。冷凍可能菓子または冷凍菓子8の塊は、菓子用の空間2内にある。持ち手6の外側部分10と、持ち手6の一端用の空間3の底部19との間には、空気の隙間18がある。
図2には、持ち手6の上側端部13が平坦表面5より上方に位置決めされていることも示してある。
【0034】
図3は、
図2の菓子パッケージを示す上面図である。番号の意味は、
図1~
図2と同じである。
【0035】
図4は、本発明による菓子パッケージの見え方の例を示す図である。
図4は、
図2の図と同様の、菓子パッケージの断面図である。同様の構成要素には、
図1~
図3と同じ番号を付してある。
図1~
図3との違いは、
図5に示すように、持ち手21が、4つの屈曲部からなる中間部分22を有することである。4つの屈曲部は、内側部分9と中間部分22の間にあって、持ち手を菓子から平坦表面5に向ける第1の屈曲部23、持ち手21の水平部分25を平坦表面5に沿うように方向付ける第2の屈曲部、持ち手21を持ち手21の一端用の空間3に向かって方向付ける第3の屈曲部26、持ち手21の中間部分22と外側部分10とを接続する、持ち手を空間3の方向に向ける第4の屈曲部27である。持ち手21は、スナップ嵌めコネクタの雄型コネクタ28をさらに備える。
図6は、
図4の菓子パッケージを示す立体図である。ただし、カバーシート7は示していない。
【0036】
図7は、
図5の持ち手21を示す上面図であり、
図8は、
図5の持ち手21を示す底面図である。
図8には、別の持ち手21にある4つの雄型コネクタ28のうちのいずれかとスナップ嵌め接続を形成することができる4つの雌型コネクタ29が示してある。したがって、これらの雄型コネクタ28および雌型コネクタ29によって相互接続された複数の持ち手を用いて、タワー、橋、および建造物などの構造を作成することもできる。
【0037】
図9は、平面状シート7によって平坦表面5および持ち手21の水平部分25の上側を密封するために使用される、密封型30を示す図である。密封型30は、ガスケット溝31、およびプレスブロック32を備える。プレスブロック32は、水平部分25の下側部分によって壁面部分16の上側端部15をプレスして密封する。密封型30は、
図1、
図2、
図4、および
図6に示す成形製品1を製造するために使用される型について説明したのと同じ製造技術によって製造することができる。この型を3D印刷によって製造する場合には、密封型30も3D印刷で製造することが好ましい。
【符号の説明】
【0038】
1 プラスチック成形製品
2 菓子用の空間
3 持ち手の一端用の空間
5 水平な平坦表面
6 持ち手
7 平面状カバーシート
8 冷凍可能または冷凍菓子
9 内側部分
10 外側部分
11 オフセット中間部分
12 第2の屈曲部
13 上側端部
14 下側端部
15 上側端部
16 壁面部分/第1の屈曲部
17 第3の屈曲部
18 空気の隙間
19 底部
21 持ち手
22 オフセット中間部分
23 第1の屈曲部
24 第2の屈曲部
25 水平部分
26 第3の屈曲部
27 第4の屈曲部
28 スナップ嵌めコネクタの雄型コネクタ
29 スナップ嵌めコネクタの雌型コネクタ
30 密封型
31 ガスケット溝
32 プレスブロック