(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/16 20200101AFI20220729BHJP
B60W 40/112 20120101ALI20220729BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220729BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20220729BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20220729BHJP
B60T 8/1755 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B60W30/16
B60W40/112
G08G1/16 D
B62J45/00
B60T7/12 F
B60T8/1755 Z
(21)【出願番号】P 2020537896
(86)(22)【出願日】2019-08-10
(86)【国際出願番号】 IB2019056824
(87)【国際公開番号】W WO2020039301
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】P 2018155988
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】押田 裕樹
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-034819(JP,A)
【文献】特開2010-012903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/16
B60W 40/112
G08G 1/16
B62J 45/00
B60T 7/12
B60T 8/1755
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗り型車両(100)の走行を制御する制御装置(60)であって、
前記鞍乗り型車両(100)を、当該鞍乗り型車両(100)から前走車までの距離、当該鞍乗り型車両(100)の動き及びドライバの指示に応じて走行させるアダプティブクルーズコントロールを実行可能な制御部(62)を備え、
前記制御部(62)は、前記アダプティブクルーズコントロールの実行中に、前記鞍乗り型車両(100)の車輪(3,4)に生じる制動力の前後輪の配分である制動力配分を、前記鞍乗り型車両(100)の横加速度に基づいて制御
し、
前記制御部(62)は、
前記リーン角が第1基準角より小さい場合に、前記鞍乗り型車両(100)がカーブ路の入口を通過していると判断し、前記横加速度が前記鞍乗り型車両(100)のリーン角を増大させる加速度になるように前記制動力配分を制御する第1制動モードを実行し、
前記リーン角が前記第1基準角以上である場合に、前記鞍乗り型車両(100)が前記カーブ路を走行中であると判断し、前記横加速度が維持されるように前記制動力配分を制御する第2制動モードを実行する、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部(62)は、
前記アダプティブクルーズコントロールの実行中に、前記車輪(3,4)に伝達される駆動力の前後輪の配分である駆動力配分を、前記鞍乗り型車両(100)の前記横加速度に基づいて制御し、
前記鞍乗り型車両(100)のリーン角に応じて、前記横加速度に基づいて制御される前記駆動力配分を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部(62)は、前記鞍乗り型車両(100)のリーン角が第2基準角以上である場合、前記横加速度が維持されるように前記駆動力配分を制御する第1駆動モードを実行する、
請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1駆動モードは、カーブ路の走行中に実行される、
請求項
3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部(62)は、前記鞍乗り型車両(100)のリーン角が前記第2基準角より小さい場合、前記横加速度が前記鞍乗り型車両(100)のリーン角を減少させる加速度になるように前記駆動力配分を制御する第2駆動モードを実行する、
請求項
3又は
4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部(62)は、前記鞍乗り型車両(100)のリーン角が第2基準角より小さい場合、前記横加速度が前記鞍乗り型車両(100)のリーン角を減少させる加速度になるように前記駆動力配分を制御する第2駆動モードを実行する、
請求項
2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第2駆動モードは、カーブ路の出口の通過時に実行される、
請求項
5又は
6に記載の制御装置。
【請求項8】
鞍乗り型車両(100)の走行を制御する制御方法であって、
前記鞍乗り型車両(100)を当該鞍乗り型車両(100)から前走車までの距離、当該鞍乗り型車両(100)の動き及びドライバの指示に応じて走行させるアダプティブクルーズコントロールの実行中に、前記鞍乗り型車両(100)の車輪(3,4)に生じる制動力の前後輪の配分である制動力配分を、制御装置(60)により前記鞍乗り型車両(100)の横加速度に基づいて制御
し、
前記制御部(62)は、
前記リーン角が第1基準角より小さい場合に、前記鞍乗り型車両(100)がカーブ路の入口を通過していると判断し、前記横加速度が前記鞍乗り型車両(100)のリーン角を増大させる加速度になるように前記制動力配分を制御する第1制動モードを実行し、
前記リーン角が前記第1基準角以上である場合に、前記鞍乗り型車両(100)が前記カーブ路を走行中であると判断し、前記横加速度が維持されるように前記制動力配分を制御する第2制動モードを実行する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、鞍乗り型車両のアダプティブクルーズコントロールの実行中に適切なコーナリングを実現することができる制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鞍乗り型車両に関する技術として、ドライバの運転を支援するためのものがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、走行方向又は実質的に走行方向にある障害物を検出するセンサ装置により検出された情報に基づいて、不適切に障害物に接近していることをモータサイクルのドライバへ警告する運転者支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ドライバの運転を支援するための技術として、車両を当該車両から前走車までの距離、当該車両の動き及びドライバの指示に応じて走行させるアダプティブクルーズコントロールを、モータサイクル等の鞍乗り型車両に適用することが考えられる。アダプティブクルーズコントロールでは、ドライバによる加減速操作によらずに自動で車両に制動力又は駆動力が付与されることにより加減速が行われる。また、鞍乗り型車両のコーナリングは、例えば4輪を有する車両と異なり、鞍乗り型車両をロール方向に傾かせることによって実現される。ここで、コーナリング時における鞍乗り型車両のロール方向の姿勢は、車両に付与される制動力又は駆動力による影響を受ける。ゆえに、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、鞍乗り型車両に自動で付与される制動力又は駆動力が適切に制御されない場合、コーナリングを適切に行うことが困難となるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、鞍乗り型車両のアダプティブクルーズコントロールの実行中に適切なコーナリングを実現することができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御装置は、鞍乗り型車両の走行を制御する制御装置であって、前記鞍乗り型車両を、当該鞍乗り型車両から前走車までの距離、当該鞍乗り型車両の動き及びドライバの指示に応じて走行させるアダプティブクルーズコントロールを実行可能な制御部を備え、前記制御部は、前記アダプティブクルーズコントロールの実行中に、前記鞍乗り型車両の車輪に生じる制動力の前後輪の配分である制動力配分又は前記車輪に伝達される駆動力の前後輪の配分である駆動力配分の少なくとも一方を、前記鞍乗り型車両の横加速度に基づいて制御する。
【0008】
本発明に係る制御方法は、鞍乗り型車両の走行を制御する制御方法であって、前記鞍乗り型車両を当該鞍乗り型車両から前走車までの距離、当該鞍乗り型車両の動き及びドライバの指示に応じて走行させるアダプティブクルーズコントロールの実行中に、前記鞍乗り型車両の車輪に生じる制動力の前後輪の配分である制動力配分又は前記車輪に伝達される駆動力の前後輪の配分である駆動力配分の少なくとも一方を、制御装置により前記鞍乗り型車両の横加速度に基づいて制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、鞍乗り型車両を当該鞍乗り型車両から前走車までの距離、当該鞍乗り型車両の動き及びドライバの指示に応じて走行させるアダプティブクルーズコントロールの実行中に、鞍乗り型車両の車輪に生じる制動力の前後輪の配分である制動力配分又は鞍乗り型車両の車輪に伝達される駆動力の前後輪の配分である駆動力配分の少なくとも一方が、鞍乗り型車両の横加速度に基づいて制御される。それにより、コーナリング時に、制動力又は駆動力が自動で鞍乗り型車両に付与されることに起因して鞍乗り型車両がドライバの意図しないロール方向の挙動を示すことを抑制することができる。ゆえに、鞍乗り型車両のアダプティブクルーズコントロールの実行中に適切なコーナリングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る制御装置が搭載されるモータサイクルの概略構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るブレーキシステムの概略構成を示す模式図である。
【
図3】リーン角について説明するための説明図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る制御装置が行う横加速度に基づく制動力配分の制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】コーナリング時において前輪及び後輪に生じる制動力の方向について説明するための説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る制御装置が行う横加速度に基づく駆動力配分の制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】コーナリング時において前輪及び後輪に作用する駆動力の方向について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る制御装置について、図面を用いて説明する。なお、以下では、二輪のモータサイクルに用いられる制御装置について説明しているが、本発明に係る制御装置は、二輪のモータサイクル以外の鞍乗り型車両(例えば、三輪のモータサイクル、バギー車、自転車等)に用いられるものであってもよい。なお、鞍乗り型車両は、ドライバが跨って乗車する車両を意味する。また、以下では、モータサイクルの車輪を駆動するための駆動力を出力可能な駆動源としてモータが搭載されている場合を説明しているが、モータサイクルの駆動源としてモータ以外の他の駆動源(例えば、エンジン)が搭載されていてもよく、複数の駆動源が搭載されていてもよい。
【0012】
また、以下で説明する構成及び動作等は一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成及び動作等である場合に限定されない。
【0013】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0014】
<モータサイクルの構成>
図1~
図4を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置60が搭載されるモータサイクル100の構成について説明する。
【0015】
図1は、制御装置60が搭載されるモータサイクル100の概略構成を示す模式図である。
図2は、ブレーキシステム10の概略構成を示す模式図である。
図3は、リーン角について説明するための説明図である。
図4は、制御装置60の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
モータサイクル100は、
図1に示されるように、胴体1と、胴体1に旋回自在に保持されているハンドル2と、胴体1にハンドル2と共に旋回自在に保持されている前輪3と、胴体1に回動自在に保持されている後輪4と、モータ5,6と、ブレーキシステム10とを備える。本実施形態では、制御装置(ECU)60は、後述されるブレーキシステム10の液圧制御ユニット50に設けられている。さらに、モータサイクル100は、
図1及び
図2に示されるように、車間距離センサ41と、入力装置42と、前輪回転速度センサ43と、後輪回転速度センサ44と、慣性計測装置(IMU)45と、横加速度センサ46と、マスタシリンダ圧センサ48と、ホイールシリンダ圧センサ49とを備える。
【0017】
モータ5,6は、モータサイクル100の駆動源の一例に相当し、車輪を駆動するための駆動力を出力可能である。具体的には、モータ5,6は、前輪3及び後輪4にそれぞれ設けられる。モータ5の出力軸は前輪3と接続されており、モータ5から出力される駆動力は前輪3に伝達される。一方、モータ6の出力軸は後輪4と接続されており、モータ6から出力される駆動力は後輪4に伝達される。詳細には、モータ5,6は、バッテリ(図示省略)とインバータを介してそれぞれ接続されており、インバータの動作が制御されることによって、モータ5,6による駆動力の生成が制御される。このようなモータ5,6の動作は、制御装置60によって制御される。それにより、モータ5から前輪3に伝達される駆動力及びモータ6から後輪4に伝達される駆動力が制御される。
【0018】
ブレーキシステム10は、
図1及び
図2に示されるように、第1ブレーキ操作部11と、少なくとも第1ブレーキ操作部11に連動して前輪3を制動する前輪制動機構12と、第2ブレーキ操作部13と、少なくとも第2ブレーキ操作部13に連動して後輪4を制動する後輪制動機構14とを備える。また、ブレーキシステム10は、液圧制御ユニット50を備え、前輪制動機構12の一部及び後輪制動機構14の一部は、当該液圧制御ユニット50に含まれる。液圧制御ユニット50は、前輪制動機構12によって前輪3に生じる制動力及び後輪制動機構14によって後輪4に生じる制動力を制御する機能を担うユニットである。
【0019】
第1ブレーキ操作部11は、ハンドル2に設けられており、ドライバの手によって操作される。第1ブレーキ操作部11は、例えば、ブレーキレバーである。第2ブレーキ操作部13は、胴体1の下部に設けられており、ドライバの足によって操作される。第2ブレーキ操作部13は、例えば、ブレーキペダルである。
【0020】
前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれは、ピストン(図示省略)を内蔵しているマスタシリンダ21と、マスタシリンダ21に付設されているリザーバ22と、胴体1に保持され、ブレーキパッド(図示省略)を有しているブレーキキャリパ23と、ブレーキキャリパ23に設けられているホイールシリンダ24と、マスタシリンダ21のブレーキ液をホイールシリンダ24に流通させる主流路25と、ホイールシリンダ24のブレーキ液を逃がす副流路26と、マスタシリンダ21のブレーキ液を副流路26に供給する供給流路27とを備える。
【0021】
主流路25には、込め弁(EV)31が設けられている。副流路26は、主流路25のうちの、込め弁31に対するホイールシリンダ24側とマスタシリンダ21側との間をバイパスする。副流路26には、上流側から順に、弛め弁(AV)32と、アキュムレータ33と、ポンプ34とが設けられている。主流路25のうちの、マスタシリンダ21側の端部と、副流路26の下流側端部が接続される箇所との間には、第1弁(USV)35が設けられている。供給流路27は、マスタシリンダ21と、副流路26のうちのポンプ34の吸込側との間を連通させる。供給流路27には、第2弁(HSV)36が設けられている。
【0022】
込め弁31は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。弛め弁32は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。第1弁35は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。第2弁36は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。
【0023】
液圧制御ユニット50は、込め弁31、弛め弁32、アキュムレータ33、ポンプ34、第1弁35及び第2弁36を含むブレーキ液圧を制御するためのコンポーネントと、それらのコンポーネントが設けられ、主流路25、副流路26及び供給流路27を構成するための流路が内部に形成されている基体51と、制御装置60とを含む。
【0024】
なお、基体51は、1つの部材によって形成されていてもよく、複数の部材によって形成されていてもよい。また、基体51が複数の部材によって形成されている場合、各コンポーネントは、異なる部材に分かれて設けられていてもよい。
【0025】
液圧制御ユニット50の上記のコンポーネントの動作は、制御装置60によって制御される。それにより、前輪制動機構12によって前輪3に生じる制動力及び後輪制動機構14によって後輪4に生じる制動力が制御される。
【0026】
例えば、通常時(つまり、後述されるアダプティブクルーズコントロール及びアンチロックブレーキ制御のいずれも実行されていない時)には、制御装置60によって、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖される。その状態で、第1ブレーキ操作部11が操作されると、前輪制動機構12において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が前輪3のロータ3aに押し付けられて、前輪3に制動力が生じる。また、第2ブレーキ操作部13が操作されると、後輪制動機構14において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が後輪4のロータ4aに押し付けられて、後輪4に制動力が生じる。
【0027】
車間距離センサ41は、モータサイクル100から前走車までの距離を検出する。車間距離センサ41が、モータサイクル100から前走車までの距離に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。ここで、前走車は、モータサイクル100より前方に位置する車両を意味し、モータサイクル100の走行車線と同一の車線上でモータサイクル100から最も近い車両のみならず、モータサイクル100から複数台前の車両又はモータサイクル100の走行車線に隣接する車線上を走行する車両等を含んでもよい。例えば、モータサイクル100より前方に複数の車両が存在する場合、車間距離センサ41は、モータサイクル100の走行軌跡として推定される軌跡及び当該複数の車両の挙動に基づいて、モータサイクル100からの距離の検出の対象となる前走車を選択する。この場合、モータサイクル100からこのように選択された前走車までの距離の検出結果を用いて、後述されるアダプティブクルーズコントロールが実行される。
【0028】
車間距離センサ41としては、例えば、モータサイクル100の前方を撮像するカメラ及びモータサイクル100から前方の対象物までの距離を検出可能なレーダーが用いられる。その場合、例えば、カメラにより撮像される画像を用いて前走車を認識し、前走車の認識結果及びレーダーの検出結果を利用することによって、モータサイクル100から前走車までの距離を検出することができる。車間距離センサ41は、例えば、胴体1の前部に設けられている。なお、車間距離センサ41の構成は上記の例に限定されず、例えば、車間距離センサ41としてステレオカメラが用いられてもよい。
【0029】
入力装置42は、ドライバによる走行モードの選択操作を受け付け、ドライバにより選択されている走行モードを示す情報を出力する。ここで、モータサイクル100では、後述されるように、制御装置60によってアダプティブクルーズコントロールを実行可能となっている。アダプティブクルーズコントロールは、モータサイクル100を当該モータサイクル100から前走車までの距離、当該モータサイクル100の動き及びドライバの指示に応じて走行させる制御である。ドライバは、入力装置42を用いて、走行モードとして、アダプティブクルーズコントロールが実行される走行モードを選択することができる。入力装置42としては、例えば、レバー、ボタン又はタッチパネル等が用いられる。入力装置42は、例えば、ハンドル2に設けられている。
【0030】
前輪回転速度センサ43は、前輪3の回転速度を検出し、検出結果を出力する。前輪回転速度センサ43が、前輪3の回転速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。前輪回転速度センサ43は、前輪3に設けられている。
【0031】
後輪回転速度センサ44は、後輪4の回転速度を検出し、検出結果を出力する。後輪回転速度センサ44が、後輪4の回転速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。後輪回転速度センサ44は、後輪4に設けられている。
【0032】
慣性計測装置45は、3軸のジャイロセンサ及び3方向の加速度センサを備えており、モータサイクル100の姿勢を検出する。例えば、慣性計測装置45は、モータサイクル100のリーン角を検出し、検出結果を出力する。慣性計測装置45が、モータサイクル100のリーン角に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。リーン角は、例えば、
図3に示されるモータサイクル100の鉛直上方向に対するロール方向の傾きの角度θに相当する。慣性計測装置45は、例えば、胴体1に設けられている。なお、モータサイクル100では、リーン角を検出する機能のみを有するセンサが慣性計測装置45に替えて用いられてもよい。
【0033】
横加速度センサ46は、モータサイクル100の横加速度を検出し、検出結果を出力する。横加速度センサ46が、モータサイクル100の横加速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。横加速度は、モータサイクル100に生じている加速度における当該モータサイクル100の横方向(つまり、車幅方向)の成分である。横加速度センサ46は、例えば、胴体1に設けられている。
【0034】
マスタシリンダ圧センサ48は、マスタシリンダ21のブレーキ液の液圧を検出し、検出結果を出力する。マスタシリンダ圧センサ48が、マスタシリンダ21のブレーキ液の液圧に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。マスタシリンダ圧センサ48は、前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれに設けられている。
【0035】
ホイールシリンダ圧センサ49は、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を検出し、検出結果を出力する。ホイールシリンダ圧センサ49が、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。ホイールシリンダ圧センサ49は、前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれに設けられている。
【0036】
制御装置60は、モータサイクル100の走行を制御する。
【0037】
例えば、制御装置60の一部又は全ては、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されている。また、例えば、制御装置60の一部又は全ては、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。制御装置60は、例えば、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。
【0038】
制御装置60は、
図4に示されるように、例えば、取得部61と、制御部62とを備える。
【0039】
取得部61は、モータサイクル100に搭載されている各装置から出力される情報を取得し、制御部62へ出力する。例えば、取得部61は、車間距離センサ41、入力装置42、前輪回転速度センサ43、後輪回転速度センサ44、慣性計測装置45、横加速度センサ46、マスタシリンダ圧センサ48及びホイールシリンダ圧センサ49から出力される情報を取得する。
【0040】
制御部62は、モータサイクル100に搭載されている各装置の動作を制御することによって、モータサイクル100に付与される駆動力及び制動力を制御する。
【0041】
ここで、制御部62は、モータサイクル100に搭載されている各装置の動作を制御することによって、モータサイクル100を当該モータサイクル100から前走車までの距離、当該モータサイクル100の動き及びドライバの指示に応じて走行させるアダプティブクルーズコントロールを実行可能である。具体的には、制御部62は、アダプティブクルーズコントロールが実行される走行モードがドライバによって選択されている場合に、アダプティブクルーズコントロールを実行する。なお、制御部62は、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、ドライバによりアクセル操作又はブレーキ操作が行われた場合、アダプティブクルーズコントロールを解除する。
【0042】
アダプティブクルーズコントロールでは、モータサイクル100から前走車までの距離が基準距離に近づくように制御される。基準距離は、モータサイクル100から前走車までの距離としてドライバの安全性を確保し得る値に設定される。なお、前走車が認識されない場合には、モータサイクル100の速度が予め設定された設定速度になるように制御される。また、アダプティブクルーズコントロールでは、モータサイクル100の加速度及び減速度が、ドライバの快適性を損なわない程度の上限値以下に制限される。
【0043】
具体的には、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、制御部62は、モータサイクル100から前走車までの距離と基準距離との比較結果及びモータサイクル100と前走車との相対速度に基づいて加速度の目標値(以下、目標加速度と呼ぶ)又は減速度の目標値(以下、目標減速度と呼ぶ)を算出し、算出結果に基づいてモータサイクル100に付与される駆動力及び制動力を制御する。
【0044】
例えば、モータサイクル100から前走車までの距離が基準距離より長い場合、制御部62は、モータサイクル100から前走車までの距離と基準距離との差に応じた目標加速度を算出する。一方、モータサイクル100から前走車までの距離が基準距離より短い場合、制御部62は、モータサイクル100から前走車までの距離と基準距離との差に応じた目標減速度を算出する。
【0045】
制御部62は、例えば、駆動制御部62aと、制動制御部62bとを含む。
【0046】
駆動制御部62aは、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、車輪に伝達される駆動力を制御する。具体的には、駆動制御部62aは、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、モータ5,6の動作を制御するための信号を出力するモータ制御装置(図示省略)に指令を出力することによって、モータ5,6の動作を制御する。それにより、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、前輪3及び後輪4にそれぞれ伝達される駆動力が制御される。
【0047】
通常時には、モータ5,6の動作は、モータ制御装置によって、ドライバのアクセル操作に応じて車輪に駆動力が伝達されるように制御される。
【0048】
一方、アダプティブクルーズコントロールの実行中には、駆動制御部62aは、ドライバのアクセル操作によらずに車輪に駆動力が伝達されるように、モータ5,6の動作を制御する。具体的には、駆動制御部62aは、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、モータサイクル100の加速度がモータサイクル100から前走車までの距離及びモータサイクル100と前走車との相対速度に基づいて算出される目標加速度となるように、モータ5,6の動作を制御し、車輪に伝達される駆動力を制御する。
【0049】
ここで、駆動制御部62aは、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、モータ5及びモータ6の各々の動作を個別に制御することによって、モータ5及びモータ6から出力される駆動力を個別に制御し、車輪に伝達される駆動力の前後輪の配分である駆動力配分(つまり、前輪3に伝達される駆動力と後輪4に伝達される駆動力の配分)を制御することができる。具体的には、駆動制御部62aは、各車輪に伝達される駆動力の目標値の合計値が目標加速度に応じた要求駆動力(つまり、アダプティブクルーズコントロールの実行中における車両の駆動時に要求される駆動力)になるように、前後輪の駆動力配分を制御する。要求駆動力は、具体的には、モータサイクル100の加速度をモータサイクル100から前走車までの距離及びモータサイクル100と前走車との相対速度に基づいて算出される目標加速度にするために必要な駆動力である。
【0050】
制動制御部62bは、ブレーキシステム10の液圧制御ユニット50の各コンポーネントの動作を制御することによって、モータサイクル100の車輪に生じる制動力を制御する。
【0051】
通常時には、制動制御部62bは、上述したように、ドライバのブレーキ操作に応じて車輪に制動力が生じるように、液圧制御ユニット50の各コンポーネントの動作を制御する。
【0052】
一方、アダプティブクルーズコントロールの実行中には、制動制御部62bは、ドライバのブレーキ操作によらずに車輪に制動力が生じるように、各コンポーネントの動作が制御される。具体的には、制動制御部62bは、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、モータサイクル100の減速度がモータサイクル100から前走車までの距離及びモータサイクル100と前走車との相対速度に基づいて算出される目標減速度となるように、液圧制御ユニット50の各コンポーネントの動作を制御し、車輪に生じる制動力を制御する。
【0053】
例えば、アダプティブクルーズコントロールの実行中には、制動制御部62bは、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が閉鎖され、第2弁36が開放された状態にし、その状態で、ポンプ34を駆動することにより、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を増加させて車輪に制動力を生じさせる。また、制動制御部62bは、例えば、第1弁35の開度を制御することによりホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を調整することによって、車輪に生じる制動力を制御することができる。
【0054】
ここで、制動制御部62bは、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、前輪制動機構12及び後輪制動機構14の各々の動作を個別に制御することによって、前輪制動機構12及び後輪制動機構14のホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を個別に制御し、車輪に生じる制動力の前後輪の配分である制動力配分(つまり、前輪3に生じる制動力と後輪4に生じる制動力の配分)を制御することができる。具体的には、制動制御部62bは、各車輪に生じる制動力の目標値の合計値が目標減速度に応じた要求制動力(つまり、アダプティブクルーズコントロールの実行中における制動時に要求される制動力)になるように、前後輪の制動力配分を制御する。要求制動力は、具体的には、モータサイクル100の減速度をモータサイクル100から前走車までの距離及びモータサイクル100と前走車との相対速度に基づいて算出される目標減速度にするために必要な制動力である。
【0055】
なお、制動制御部62bは、車輪にロック又はロックの可能性が生じた場合に、アンチロックブレーキ制御を行ってもよい。アンチロックブレーキ制御は、ロック又はロックの可能性が生じた車輪の制動力を、ロックを回避し得るような制動力に調整する制御である。
【0056】
例えば、アンチロックブレーキ制御の実行中には、制動制御部62bは、込め弁31が閉鎖され、弛め弁32が開放され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖された状態にし、その状態で、ポンプ34を駆動することにより、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を減少させて車輪に生じる制動力を減少させる。また、制動制御部62bは、例えば、上記の状態から込め弁31及び弛め弁32の双方を閉鎖することにより、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を保持し車輪に生じる制動力を保持することができる。また、制動制御部62bは、例えば、上記の状態から込め弁31を開放し、弛め弁32を閉鎖することにより、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を増大させて車輪に生じる制動力を増大させることができる。
【0057】
上記のように、制御装置60では、制御部62は、アダプティブクルーズコントロールを実行可能である。ここで、制御部62は、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、前後輪の制動力配分又は駆動力配分の少なくとも一方を、モータサイクル100の横加速度に基づいて制御する。それにより、モータサイクル100のアダプティブクルーズコントロールの実行中に適切なコーナリングを実現することができる。このような制御装置60が行うアダプティブクルーズコントロールの実行中における横加速度に基づく制動力配分の制御に関する処理及び横加速度に基づく駆動力配分の制御に関する処理については、後述にて詳細に説明する。
【0058】
なお、制御部62は、制動力配分及び駆動力配分の制御で参照するモータサイクル100の横加速度として、横加速度センサ46の検出結果を用いてもよく、制御装置60により取得される他の情報を用いて算出される値を用いてもよい。例えば、制御部62は、前輪回転速度センサ43及び後輪回転速度センサ44に基づいて車速を算出し、当該車速と旋回半径とに基づいて横加速度を算出してもよい。なお、旋回半径は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した信号を利用することによって取得され得る。
【0059】
なお、上記で説明したモータサイクル100では、車輪に生じる制動力を前後輪の間で個別に制御できるようになっており、さらに車輪に伝達される駆動力を前後輪の間で個別に制御できるようになっているが、本発明に係る制御装置が用いられる鞍乗り型車両では、少なくとも制動力又は駆動力の一方を前後輪の間で個別に制御できるようになっていればよい。ゆえに、本発明に係る制御装置が用いられる鞍乗り型車両は、例えば、駆動源としてエンジンが搭載されており当該エンジンから後輪4のみに駆動力が伝達される鞍乗り型車両であってもよい。
【0060】
なお、上記では、駆動制御部62aがモータ制御装置を介してモータ5,6の動作を制御する例を説明したが、駆動制御部62aがモータ5,6の動作を制御するための信号を出力し、モータ5,6の動作を直接的に制御してもよい。その場合、通常時におけるモータ5,6の動作についても、アダプティブクルーズコントロールの実行中におけるモータ5,6の動作と同様に、駆動制御部62aによって制御される。
【0061】
<制御装置の動作>
図5~
図8を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置60の動作について説明する。
【0062】
図5は、制御装置60が行う横加速度に基づく制動力配分の制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。具体的には、
図5に示される制御フローは、アダプティブクルーズコントロールの実行中に繰り返し行われる。また、
図5におけるステップS510及びステップS590は、
図5に示される制御フローの開始及び終了にそれぞれ対応する。
図6は、コーナリング時において前輪3及び後輪4に生じる制動力の方向について説明するための説明図である。
【0063】
図5に示される制御フローが開始されると、ステップS511において、制御部62は、モータサイクル100のリーン角が第1基準角より小さいか否かを判定する。モータサイクル100のリーン角が第1基準角より小さいと判定された場合(ステップS511/YES)、ステップS513に進む。一方、モータサイクル100のリーン角が第1基準角以上であると判定された場合(ステップS511/NO)、ステップS515に進む。
【0064】
ここで、コーナリング時には、まず、カーブ路の入口の通過時(つまり、モータサイクル100がカーブ路の入口を通過する時)に、モータサイクル100が減速しながらドライバにより倒されることに伴って、リーン角が増大する。そして、モータサイクル100がカーブ路の入口を通過し終えた後、カーブ路の走行中(具体的には、カーブ路の入口を通過した後、出口に進入するまでの間)において、ドライバによりリーン角が維持された状態で、自動で加減速が行われる。なお、カーブ路の入口は、カーブ路と当該カーブ路に対して後方に連接される直線路との接続部を意味する。また、カーブ路の入口の通過時には、アダプティブクルーズコントロールが実行されることによってモータサイクル100の加減速が制御される結果として、モータサイクル100は減速する。
【0065】
上記の第1基準角は、具体的には、コーナリング時にモータサイクル100が減速する状況下において、現時点がカーブ路の入口の通過時であるのか、又はモータサイクル100がカーブ路の入口を通過し終えたのかを適切に判断し得る角度に設定される。例えば、第1基準角は、モータサイクル100がカーブ路の入口を通過することに伴いドライバにより倒された後のリーン角として想定される平均的な角度より小さい角度に設定される。ゆえに、コーナリング時にモータサイクル100が減速する状況下において、ステップS511でYESと判定された場合は、現時点がカーブ路の入口の通過時であると判断することができる。一方、ステップS511でNOと判定された場合、現時点がカーブ路の走行中であると判断することができる。
【0066】
ステップS511でYESと判定された場合、ステップS513において、制動制御部62bは、制動力配分の制御モードを第1制動モードに切り替える。
【0067】
第1制動モードにおいて、制動制御部62bは、横加速度がモータサイクル100のリーン角を増大させる加速度になるように制動力配分を制御する。
【0068】
ここで、
図6を参照して、コーナリング時において前輪3及び後輪4に生じる制動力の方向について説明する。なお、
図6では、モータサイクル100が進行方向D1に対して左方向に旋回している状況下で車輪に制動力が生じている様子が示されている。
【0069】
図6に示されるように、コーナリング時には、前輪3に生じる制動力FB_fの方向と後輪4に生じる制動力FB_rの方向とは、互いに異なる。例えば、モータサイクル100が進行方向D1に対して左方向に旋回する場合、
図6に示されるように、前輪3に生じる制動力FB_fは、進行方向D1に対して逆方向の成分FB_fx及び当該成分FB_fxと直交し進行方向D1に対して右方向の成分FB_fyを有する。一方、後輪4に生じる制動力FB_rは、進行方向D1に対して逆方向の成分FB_rx及び当該成分FB_rxと直交し進行方向D1に対して左方向の成分FB_ryを有する。
【0070】
例えば、モータサイクル100が進行方向D1に対して左方向に旋回する場合、モータサイクル100は、進行方向D1に対して左方向に傾いている。前輪3に生じる制動力FB_fは、進行方向D1に対して右方向の成分FB_fyを有するので、モータサイクル100のリーン角を減少させる方向(換言すると、モータサイクル100を起こす方向)に作用する。一方、後輪4に生じる制動力FB_rは、進行方向D1に対して左方向の成分FB_ryを有するので、モータサイクル100のリーン角を増大させる方向(換言すると、モータサイクル100を倒す方向)に作用する。
【0071】
なお、モータサイクル100が進行方向D1に対して右方向に旋回する場合においても、進行方向D1に対して左方向に旋回する場合と同様に、前輪3に生じる制動力は、モータサイクル100のリーン角を減少させる方向に作用し、後輪4に生じる制動力は、モータサイクル100のリーン角を増大させる方向に作用する。
【0072】
具体的には、第1制動モードにおいて、制動制御部62bは、前輪3及び後輪4に生じる制動力の横方向成分(つまり、車幅方向の成分)と対応するモータサイクル100の横加速度の成分の方向が、モータサイクル100が傾いている方向(例えば、
図6の例では、進行方向D1に対して左方向)と一致するように、制動力配分を制御する。
【0073】
例えば、
図6の例において、制動制御部62bは、前輪3よりも優先して後輪4に制動力を配分する(つまり、制動力配分を配分比が後輪4に偏重した配分にする)ことによって、後輪4に生じる制動力FB_rの成分FB_ryを前輪3に生じる制動力FB_fの成分FB_fyよりも大きくすることができる。それにより、前輪3及び後輪4に生じる制動力の横方向成分と対応するモータサイクル100の横加速度の成分の方向を進行方向D1に対して左方向にすることができる。それにより、モータサイクル100を倒す力を生じさせることができる。
【0074】
ここで、コーナリング時にモータサイクル100が減速する状況下において、ステップS511でYESと判定された場合は、上述したように、現時点がカーブ路の入口の通過時である場合に相当する。ゆえに、第1制動モードは、コーナリング時にモータサイクル100が減速する状況下において、具体的には、カーブ路の入口の通過時に実行される。よって、カーブ路の入口の通過時に、モータサイクル100を倒す力を生じさせることができるので、ドライバの意図に即してモータサイクル100のロール方向の挙動を制御することができる。
【0075】
なお、モータサイクル100の転倒を抑制する観点では、制動制御部62bは、第1制動モードにおいて、前輪3及び後輪4に生じる制動力の横方向成分と対応するモータサイクル100の横加速度の成分の大きさがモータサイクル100の転倒を適切に抑制し得る程度の上限値以下になるように制動力配分を制御することが好ましい。
【0076】
ステップS511でNOと判定された場合、ステップS515において、制動制御部62bは、制動力配分の制御モードを第2制動モードに切り替える。
【0077】
第2制動モードにおいて、制動制御部62bは、横加速度が維持されるように制動力配分を制御する。
【0078】
具体的には、第2制動モードにおいて、制動制御部62bは、横加速度が、前輪3及び後輪4に生じる制動力によらずに、維持されるように制動力配分を制御する。
【0079】
例えば、
図6の例において、制動制御部62bは、前輪3に生じる制動力FB_fの成分FB_fyの大きさと、後輪4に生じる制動力FB_rの成分FB_ryの大きさとが一致するように、制動力配分を制御する。それにより、前輪3に生じる制動力FB_fの成分FB_fyと、後輪4に生じる制動力FB_rの成分FB_ryとを互いに打ち消し合わせることができる。ゆえに、モータサイクル100の横加速度を、前輪3及び後輪4に生じる制動力によらずに、モータサイクル100が旋回することに起因して生じる進行方向D1に対して右方向の遠心力に維持することができる。
【0080】
ここで、コーナリング時にモータサイクル100が減速する状況下において、ステップS511でNOと判定された場合は、上述したように、現時点がカーブ路の走行中である場合に相当する。ゆえに、第2制動モードは、コーナリング時にモータサイクル100が減速する状況下において、具体的には、カーブ路の走行中に実行される。よって、カーブ路の走行中に、モータサイクル100の横加速度を、前輪3及び後輪4に生じる制動力によらずに、遠心力に維持することができるので、ドライバの意図に反してモータサイクル100の姿勢がロール方向に変化することを抑制することができる。
【0081】
ステップS513又はステップS515の後に、
図5に示される制御フローは終了する。
【0082】
上記のように、第1制動モード及び第2制動モードにおいて、制動制御部62bは、制動力配分をモータサイクル100の横加速度に基づいて制御する。また、制動制御部62bは、モータサイクル100のリーン角に応じて、横加速度に基づいて制御される制動力配分を制御する。
【0083】
なお、上記では、モータサイクル100のリーン角と第1基準角との比較結果に応じて制動力配分の制御モードが切り換えられる例を説明したが、制動力配分の制御モードの切り換えのトリガは、上記の例に限定されない。
【0084】
例えば、制動制御部62bは、カーブ路におけるモータサイクル100の位置を特定し、特定されたモータサイクル100の位置に応じて、制動力配分の制御モードを切り替えてもよい。具体的には、制動制御部62bは、特定されたモータサイクル100の位置に基づいてモータサイクル100がカーブ路の入口を通過していると判定される場合に、制動力配分の制御モードを第1制動モードに切り替える。一方、制動制御部62bは、特定されたモータサイクル100の位置に基づいてモータサイクル100が入口を通過し終えてカーブ路を走行していると判定される場合に、制動力配分の制御モードを第2制動モードに切り替える。なお、カーブ路におけるモータサイクル100の位置の特定は、例えば、GPS衛星から受信した信号を利用すること、又はカメラにより撮像されるモータサイクル100の前方を映す画像を用いて前方の走行路の形状を認識すること等によって実現され得る。
【0085】
図7は、制御装置60が行う横加速度に基づく駆動力配分の制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。具体的には、
図7に示される制御フローは、アダプティブクルーズコントロールの実行中に繰り返し行われる。また、
図7におけるステップS610及びステップS690は、
図7に示される制御フローの開始及び終了にそれぞれ対応する。
図8は、コーナリング時において前輪3及び後輪4に作用する駆動力の方向について説明するための説明図である。
【0086】
図7に示される制御フローが開始されると、ステップS611において、制御部62は、モータサイクル100のリーン角が第2基準角以上であるか否かを判定する。モータサイクル100のリーン角が第2基準角以上であると判定された場合(ステップS611/YES)、ステップS613に進む。一方、モータサイクル100のリーン角が第2基準角より小さいと判定された場合(ステップS611/NO)、ステップS615に進む。
【0087】
ここで、コーナリング時には、上述したように、モータサイクル100がカーブ路の入口を通過し終えた後、カーブ路の走行中において、ドライバによりリーン角が維持された状態で、自動で加減速が行われる。そして、カーブ路の出口の通過時(つまり、モータサイクル100がカーブ路の出口を通過する時)に、モータサイクル100が加速しながらドライバにより起こされることに伴って、リーン角が減少する。なお、カーブ路の出口は、カーブ路と当該カーブ路に対して前方に連接される直線路との接続部を意味する。また、カーブ路の出口の通過時には、アダプティブクルーズコントロールが実行されることによってモータサイクル100の加減速度が制御される結果として、モータサイクル100は加速する。
【0088】
上記の第2基準角は、具体的には、コーナリング時にモータサイクル100が加速する状況下において、現時点がカーブ路の出口の通過時であるのか、又はモータサイクル100がカーブ路の出口に進入する前であるのかを適切に判断し得る角度に設定される。例えば、第2基準角は、モータサイクル100がカーブ路の出口に進入することに伴いドライバにより起こされ始める時点のリーン角として想定される平均的な角度より小さい角度に設定される。ゆえに、コーナリング時にモータサイクル100が加速する状況下において、ステップS611でYESと判定された場合は、現時点がカーブ路の走行中であると判断することができる。一方、ステップS611でNOと判定された場合、現時点がカーブ路の出口の通過時であると判断することができる。
【0089】
ステップS611でYESと判定された場合、ステップS613において、駆動制御部62aは、駆動力配分の制御モードを第1駆動モードに切り替える。
【0090】
第1駆動モードにおいて、駆動制御部62aは、横加速度が維持されるように駆動力配分を制御する。
【0091】
ここで、
図8を参照して、コーナリング時において前輪3及び後輪4に作用する駆動力の方向について説明する。なお、
図8では、モータサイクル100が進行方向D1に対して左方向に旋回している状況下で車輪に駆動力が作用している様子が示されている。
【0092】
図8に示されるように、コーナリング時には、前輪3に作用する駆動力FD_fの方向と後輪4に作用する駆動力FD_rの方向とは、互いに異なる。例えば、モータサイクル100が進行方向D1に対して左方向に旋回する場合、
図8に示されるように、前輪3に作用する駆動力FD_fは、進行方向D1の成分FD_fx及び当該成分FD_fxと直交し進行方向D1に対して左方向の成分FD_fyを有する。一方、後輪4に作用する駆動力FD_rは、進行方向D1の成分FD_rx及び当該成分FD_rxと直交し進行方向D1に対して右方向の成分FD_ryを有する。
【0093】
例えば、モータサイクル100が進行方向D1に対して左方向に旋回する場合、モータサイクル100は、進行方向D1に対して左方向に傾いている。前輪3に作用する駆動力FD_fは、進行方向D1に対して左方向の成分FD_fyを有するので、モータサイクル100のリーン角を増大させる方向(換言すると、モータサイクル100を倒す方向)に作用する。一方、後輪4に作用する駆動力FD_rは、進行方向D1に対して右方向の成分FD_ryを有するので、モータサイクル100のリーン角を減少させる方向(換言すると、モータサイクル100を起こす方向)に作用する。
【0094】
なお、モータサイクル100が進行方向D1に対して右方向に旋回する場合においても、進行方向D1に対して左方向に旋回する場合と同様に、前輪3に作用する駆動力は、モータサイクル100のリーン角を増大させる方向に作用し、後輪4に作用する駆動力は、モータサイクル100のリーン角を減少させる方向に作用する。
【0095】
具体的には、第1駆動モードにおいて、駆動制御部62aは、横加速度が、前輪3及び後輪4に作用する駆動力によらずに、維持されるように駆動力配分を制御する。
【0096】
例えば、
図8の例において、駆動制御部62aは、前輪3に作用する駆動力FD_fの成分FD_fyの大きさと、後輪4に作用する駆動力FD_rの成分FD_ryの大きさとが一致するように、駆動力配分を制御する。それにより、前輪3に作用する駆動力FD_fの成分FD_fyと、後輪4に作用する駆動力FD_rの成分FD_ryとを互いに打ち消し合わせることができる。ゆえに、モータサイクル100の横加速度を、前輪3及び後輪4に作用する駆動力によらずに、モータサイクル100が旋回することに起因して生じる進行方向D1に対して右方向の遠心力に維持することができる。
【0097】
ここで、コーナリング時にモータサイクル100が加速する状況下において、ステップS611でYESと判定された場合は、上述したように、現時点がカーブ路の走行中である場合に相当する。ゆえに、第1駆動モードは、コーナリング時にモータサイクル100が加速する状況下において、具体的には、カーブ路の走行中に実行される。よって、カーブ路の走行中に、モータサイクル100の横加速度を、前輪3及び後輪4に作用する駆動力によらずに、遠心力に維持することができるので、ドライバの意図に反してモータサイクル100の姿勢がロール方向に変化することを抑制することができる。
【0098】
ステップS611でNOと判定された場合、ステップS615において、駆動制御部62aは、駆動力配分の制御モードを第2駆動モードに切り替える。
【0099】
第2駆動モードにおいて、駆動制御部62aは、横加速度がモータサイクル100のリーン角を減少させる加速度になるように駆動力配分を制御する。
【0100】
具体的には、第2駆動モードにおいて、駆動制御部62aは、前輪3及び後輪4に作用する駆動力の横方向成分(つまり、車幅方向の成分)と対応するモータサイクル100の横加速度の成分の方向が、モータサイクル100が傾いている方向に対して逆方向(例えば、
図8の例では、進行方向D1に対して右方向)と一致するように、駆動力配分を制御する。
【0101】
例えば、
図8の例において、駆動制御部62aは、前輪3よりも優先して後輪4に駆動力を配分する(つまり、駆動力配分を配分比が後輪4に偏重した配分にする)ことによって、後輪4に作用する駆動力FD_rの成分FD_ryを前輪3に作用する駆動力FD_fの成分FD_fyよりも大きくすることができる。それにより、前輪3及び後輪4に作用する駆動力の横方向成分と対応するモータサイクル100の横加速度の成分の方向を進行方向D1に対して右方向にすることができる。それにより、モータサイクル100を起こす力を生じさせることができる。
【0102】
ここで、コーナリング時にモータサイクル100が加速する状況下において、ステップS611でNOと判定された場合は、上述したように、現時点がカーブ路の出口の通過時である場合に相当する。ゆえに、第2駆動モードは、コーナリング時にモータサイクル100が加速する状況下において、具体的には、カーブ路の出口の通過時に実行される。よって、カーブ路の出口の通過時に、モータサイクル100を起こす力を生じさせることができるので、ドライバの意図に即してモータサイクル100のロール方向の挙動を制御することができる。
【0103】
なお、モータサイクル100の転倒を抑制する観点では、駆動制御部62aは、第2駆動モードにおいて、前輪3及び後輪4に作用する駆動力の横方向成分と対応するモータサイクル100の横加速度の成分の大きさがモータサイクル100の転倒を適切に抑制し得る程度の上限値以下になるように駆動力配分を制御することが好ましい。
【0104】
ステップS613又はステップS615の後に、
図7に示される制御フローは終了する。
【0105】
上記のように、第1駆動モード及び第2駆動モードにおいて、駆動制御部62aは、駆動力配分をモータサイクル100の横加速度に基づいて制御する。また、駆動制御部62aは、モータサイクル100のリーン角に応じて、横加速度に基づいて制御される駆動力配分を制御する。
【0106】
なお、上記では、モータサイクル100のリーン角と第2基準角との比較結果に応じて駆動力配分の制御モードが切り換えられる例を説明したが、駆動力配分の制御モードの切り換えのトリガは、上記の例に限定されない。
【0107】
例えば、駆動制御部62aは、カーブ路におけるモータサイクル100の位置を特定し、特定されたモータサイクル100の位置に応じて、駆動力配分の制御モードを切り替えてもよい。具体的には、駆動制御部62aは、特定されたモータサイクル100の位置に基づいてモータサイクル100が出口に進入する前でありカーブ路を走行していると判定される場合に、駆動力配分の制御モードを第1駆動モードに切り替える。一方、駆動制御部62aは、特定されたモータサイクル100の位置に基づいてモータサイクル100がカーブ路の出口を通過していると判定される場合に、駆動力配分の制御モードを第2駆動モードに切り替える。
【0108】
<制御装置の効果>
本発明の実施形態に係る制御装置60の効果について説明する。
【0109】
制御装置60では、制御部62は、アダプティブクルーズコントロールの実行中に、モータサイクル100の車輪に生じる制動力の前後輪の配分である制動力配分又は車輪に伝達される駆動力の前後輪の配分である駆動力配分の少なくとも一方を、モータサイクル100の横加速度に基づいて制御する。それにより、コーナリング時に、制動力又は駆動力が自動でモータサイクル100に付与されることに起因してモータサイクル100がドライバの意図しないロール方向の挙動を示すことを抑制することができる。ゆえに、モータサイクル100のアダプティブクルーズコントロールの実行中に適切なコーナリングを実現することができる。
【0110】
好ましくは、制御装置60では、制御部62は、モータサイクル100のリーン角に応じて、横加速度に基づいて制御される制動力配分又は駆動力配分を制御する。それにより、カーブ路におけるモータサイクル100の位置に応じて、横加速度に基づいて制御される制動力配分又は駆動力配分を適切に制御することができる。ゆえに、コーナリング時に、制動力又は駆動力が自動でモータサイクル100に付与されることに起因してモータサイクル100がドライバの意図しないロール方向の挙動を示すことをより適切に抑制することができる。ゆえに、モータサイクル100のアダプティブクルーズコントロールの実行中により適切なコーナリングを実現することができる。
【0111】
好ましくは、制御装置60では、制御部62は、モータサイクル100のリーン角が第1基準角より小さい場合、横加速度がモータサイクル100のリーン角を増大させる加速度になるように制動力配分を制御する第1制動モードを実行する。それにより、ドライバによりモータサイクル100が倒されるカーブ路の入口の通過時に、第1制動モードを実行することができる。ゆえに、カーブ路の入口の通過時に、モータサイクル100を倒す力を生じさせることができるので、ドライバの意図に即してモータサイクル100のロール方向の挙動を制御することができる。
【0112】
好ましくは、制御装置60では、制御部62は、モータサイクル100のリーン角が第1基準角以上である場合、横加速度が維持されるように制動力配分を制御する第2制動モードを実行する。それにより、ドライバによりモータサイクル100のリーン角が維持されるカーブ路の走行中に、第2制動モードを実行することができる。ゆえに、カーブ路の走行中に、モータサイクル100の横加速度を、前輪3及び後輪4に生じる制動力によらずに、遠心力に維持することができるので、ドライバの意図に反してモータサイクル100の姿勢がロール方向に変化することを抑制することができる。
【0113】
好ましくは、制御装置60では、制御部62は、モータサイクル100のリーン角が第2基準角以上である場合、横加速度が維持されるように駆動力配分を制御する第1駆動モードを実行する。それにより、ドライバによりモータサイクル100のリーン角が維持されるカーブ路の走行中に、第1駆動モードを実行することができる。ゆえに、カーブ路の走行中に、モータサイクル100の横加速度を、前輪3及び後輪4に作用する駆動力によらずに、遠心力に維持することができるので、ドライバの意図に反してモータサイクル100の姿勢がロール方向に変化することを抑制することができる。
【0114】
好ましくは、制御装置60では、制御部62は、モータサイクル100のリーン角が第2基準角より小さい場合、横加速度がモータサイクル100のリーン角を減少させる加速度になるように駆動力配分を制御する第2駆動モードを実行する。それにより、ドライバによりモータサイクル100が起こされるカーブ路の出口の通過時に、第2駆動モードを実行することができる。ゆえに、カーブ路の出口の通過時に、モータサイクル100を起こす力を生じさせることができるので、ドライバの意図に即してモータサイクル100のロール方向の挙動を制御することができる。
【0115】
本発明は各実施の形態の説明に限定されない。例えば、各実施の形態の全て又は一部が組み合わされてもよく、また、各実施の形態の一部のみが実施されてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 胴体、2 ハンドル、3 前輪、3a ロータ、4 後輪、4a ロータ、5 モータ、6 モータ、10 ブレーキシステム、11 第1ブレーキ操作部、12 前輪制動機構、13 第2ブレーキ操作部、14 後輪制動機構、21 マスタシリンダ、22 リザーバ、23 ブレーキキャリパ、24 ホイールシリンダ、25 主流路、26 副流路、27 供給流路、31 込め弁、32 弛め弁、33 アキュムレータ、34 ポンプ、35 第1弁、36 第2弁、41 車間距離センサ、42 入力装置、43 前輪回転速度センサ、44 後輪回転速度センサ、45 慣性計測装置、46 横加速度センサ、48 マスタシリンダ圧センサ、49 ホイールシリンダ圧センサ、50 液圧制御ユニット、51 基体、60 制御装置、61 取得部、62 制御部、62a 駆動制御部、62b 制動制御部、100 モータサイクル。