(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ソマトスタチンモジュレーターを製造するプロセス
(51)【国際特許分類】
C07D 401/04 20060101AFI20220729BHJP
C07D 498/04 20060101ALI20220729BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20220729BHJP
A61P 5/04 20060101ALI20220729BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220729BHJP
A61K 31/5383 20060101ALN20220729BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
C07D498/04 112T
A61K31/4709
A61P5/04
C07B61/00 300
A61K31/5383
(21)【出願番号】P 2020538675
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(86)【国際出願番号】 US2019013844
(87)【国際公開番号】W WO2019143718
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-10-21
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519006414
【氏名又は名称】クリネティックス ファーマシューティカルズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】レッディ,ジャヤチャンドラ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ミルメフラビ,マームード
(72)【発明者】
【氏名】コタ,マドゥカー
(72)【発明者】
【氏名】ダッシュ,ウッタム
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,チャン
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ユンフェイ
【審査官】池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-530276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0228417(US,A1)
【文献】特表2005-523901(JP,A)
【文献】国際公開第2015/046482(WO,A1)
【文献】特表2014-515374(JP,A)
【文献】特表2005-518365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/00
A61K 31/47
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を有する、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物。
【化1】
【請求項2】
結晶化した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物。
【請求項3】
Cu Kα1放射線を用いて測定した時、4.5° 2-シータ、9.1° 2-シータ、10.2° 2-シータ、16.3° 2-シータ、18.4° 2-シータ、および19.1° 2-シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン、
毎分10℃の加熱速度で測定した時、207°Cで開始し、220°Cでピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
2223cm
-1、1620cm
-1、1595cm
-1、1457cm
-1、1238cm
-1、1220cm
-1、および1117cm
-1でピークを有する赤外線(IR)スペクトル、
200°Cまで加熱されたとき、24時間、90%を超える相対湿度に晒されたとき、あるいは1週間にわたって75%のRHと40°Cに晒されたとき、あるいはこれらの組み合わせのときの変動しないXRPD、
あるいは、
これらの組み合わせ、
を有する
と特徴付けられる、請求項2に記載の
結晶化した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物。
【請求項4】
Cu Kα1放射線を用いて測定した時、4.5° 2-シータ、9.1° 2-シータ、10.2° 2-シータ、16.3° 2-シータ、18.4° 2-シータ、および19.1° 2-シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを有する
と特徴付けられる、請求項2に記載の
結晶化した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物。
【請求項5】
毎分10℃の加熱速度で測定した時、207°Cで開始し、220°Cでピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する
と特徴付けられる、請求項2に記載の
結晶化した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物。
【請求項6】
最大200°Cまで加熱されたときに変動しないXRPDを有する
と特徴付けられる、請求項2に記載の
結晶化した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物。
【請求項7】
24時間、90%を超える相対湿度に晒されたとき、および1週間にわたって75%のRHと40°Cに晒されたときに変動しないXRPDを有する
と特徴付けられる、請求項2に記載の
結晶化した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物。
【請求項8】
2223cm
-1、1620cm
-1、1595cm
-1、1457cm
-1、1238cm
-1、1220cm
-1、および1117cm
-1で特徴的なピークを有する赤外線(IR)スペクトルを有する
と特徴付けられる、請求項2に記載の
結晶化した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物。
【請求項9】
以下の構造を有する、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物、
【化2】
および、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
結晶化した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項11】
結晶化した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、
Cu Kα1放射線を用いて測定した時、4.5° 2-シータ、9.1° 2-シータ、10.2° 2-シータ、16.3° 2-シータ、18.4° 2-シータ、および19.1° 2-シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン、
毎分10℃の加熱速度で測定した時、207°Cで開始し、220°Cでピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
2223cm
-1
、1620cm
-1
、1595cm
-1
、1457cm
-1
、1238cm
-1
、1220cm
-1
、および1117cm
-1
でピークを有する赤外線(IR)スペクトル、
200°Cまで加熱されたとき、24時間、90%を超える相対湿度に晒されたとき、あるいは1週間にわたって75%のRHと40°Cに晒されたとき、あるいはこれらの組み合わせのときの変動しないXRPD、
あるいは
これらの組み合わせ、
を有する
と特徴付けられる、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
医薬組成物は、固形の医薬組成物の形態である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬組成物は、錠剤、丸剤、またはカプセルの形態である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物を製造する方法であって、前記方法は、
(a)5容量のイソプロパノール:水(1:1)の混合物中で、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル二塩酸塩をスラリー化する工程、
(i)(a)のスラリーを45°Cに加熱する工程、
(ii)4.0-6.0のpHを達成するために、工程(a)(i)の加熱したスラリーに、0.5~1.2当量の水酸化アンモニウム溶液、炭酸水素ナトリウム溶液、あるいは水酸化ナトリウム溶液を添加する工程、
(iii)工程(a)(ii)の混合物に、2時間にわたって水を添加する工程、
および、
(iv)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物を得るために、工程(a)(iii)のスラリーをろ過する工程、あるいは、
(b)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルに、適切な溶媒を添加する工程、
(i)(b)の溶媒と3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルの混合物に、1当量の塩酸を添加する工程、および、
(ii)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物を得るために、工程(b)(ii)に由来する固形物をろ過する工程、
あるいは、
(c)20容量~50容量の水の中で、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル二塩酸塩を撹拌する工程、および、
(i)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル
)-3-
(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物を得るために、工程(c)の固形物をろ過する工程、
を含む、方法。
【請求項15】
水酸化アンモニウム溶液が(a)(ii)で使用され、
(b)における適切な溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、水、あるいはこれらの組み合わせである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸の合成のためのプロセスであって、
【化3】
前記プロセスは、
(1)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル二塩酸塩を得るために、適切な溶媒中の塩酸を用いて、化合物A-VI
【化4】
を処理する工程、および、
(2)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩を得るために、水性アンモニアを用いて、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル二塩酸塩を処理する工程、
を含む、プロセス。
【請求項17】
適切な溶媒は、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、あるいは酢酸イソプロピルである、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
化合物A-VIは、
(1)化合物A-V
【化5】
を得るために、カップリング触媒、適切な塩基の存在下において、および、適切な溶媒中で、化合物A-IV
【化6】
を、化合物1
【化7】
と反応させる工程であって、式中、Bはボロン酸、ボロン酸エステル、あるいはトリフルオロボレートである、工程、および、
(2)化合物A-VIを得るために、カップリング触媒、適切な塩基の存在下において、および、適切な溶媒中で、化合物A-Vを、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸
【化8】
と反応させる工程、
によって調製される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
Bはボロン酸またはトリフルオロボレートであり、
工程(1)のカップリング触媒はパラジウム触媒であり、
工程(1)の適切な塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミン、炭酸水素ナトリウム、Na
2CO
3、K
2CO
3、Cs
2CO
3、NaOAc、KOAc、Ba(OH)
2、Na
3PO
4、あるいはK
3PO
4であり、
工程(1)の適切な溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、エタノール、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、1,4-ジオキサン、水、あるいはこれらの組み合わせであり、
工程(2)のカップリング触媒はパラジウム触媒であり、
工程(2)の適切な塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミン、炭酸水素ナトリウム、Na
2CO
3、K
2CO
3、Cs
2CO
3、NaOAc、KOAc、Ba(OH)
2、Na
3PO
4、あるいはK
3PO
4であり、および、
工程(2)の適切な溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、エタノール、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、1,4-ジオキサン、水、あるいはこれらの組み合わせである、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
化合物A-IVは、
(1)化合物A-II
【化9】
を得るために、適切な溶媒中の適切な塩素化剤を用いて化合物A-I
【化10】
を塩素化する工程、
(2)化合物A-III
【化11】
を得るために、適切な溶媒中の適切な臭素化剤を用いて化合物A-IIを臭素化する工程、および、
(3)化合物A-IVを得るために、適切な塩基の存在下において、および、適切な溶媒中で、4-(N-Bocアミノ)ピペリジンを化合物A-IIIと結合させる工程、
あるいは、
(i)化合物4
【化12】
を得るために、適切な塩基の存在下において、および、適切な溶媒中で、4-(N-Bocアミノ)ピペリジンを6-ブロモ-4-クロロ-キノリンと結合させる工程、および、
(ii)化合物A-IVを得るために、適切な溶媒中で適切な塩素化剤を用いて化合物4を塩素化する工程、
によって調製される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項21】
工程(1)の塩素化剤は、N-クロロスクシンイミド、トリクロロイソシアヌル酸、塩化スルフリル、塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸、あるいは2,3,4,5,6,6-ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエン-1-オンであり、
工程(1)の適切な溶媒は、酢酸、水、エタノール、メタノール、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、あるいはN,N-ジメチルホルムアミドであり、
工程(2)の臭素化剤は、三臭化リン、オキシ臭化リン、臭化水素酸、臭素、あるいはジブロモトリフェニルホスホランであり、
工程(2)の適切な溶媒は、アセトニトリル、水、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸、あるいはアセトンであり、
工程(3)の適切な塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミン、炭酸水素ナトリウム、Na
2CO
3、K
2CO
3、あるいはCs
2CO
3であり、および、
工程(3)の適切な溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、エタノール、あるいはイソプロパノールである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
工程(ii)の塩素化剤は、N-クロロスクシンイミド、トリクロロイソシアヌル酸、塩化スルフリル、塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸、あるいは2,3,4,5,6,6-ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエン-1-オンであり、および、
工程(ii)の適切な溶媒は、酢酸、水、エタノール、メタノール、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、あるいはN,N-ジメチルホルムアミドである、請求項20に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本出願は、2018年1月17日に出願された米国仮特許出願62/618,538号の利益を主張するものであり、当該文献は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書には、ソマトスタチンモジュレーターである化合物、上記化合物を作る方法、上記化合物を含む医薬組成物と製剤、およびソマトスタチン活性を調節することから利益を得ることになる疾病、疾患、または障害の処置において上記化合物を使用する方法が記載されている。
【背景技術】
【0003】
ソマトスタチンは、内分泌系を調節し、かつ、Gタンパク質共役ソマトスタチン受容体との相互作用および多くの第2のホルモンの放出の阻害を介して神経伝達と細胞増殖に影響を与える、ペプチドホルモンである。6つのソマトスタチン受容体タンパク質のサブタイプが同定されており(SSTR1、SSTR2a、SSTR2b、SSTR3、SSTR4、SSTR5)、5つの様々なソマトスタチン受容体遺伝子によってコードされる。特別のソマトスタチン受容体のサブタイプあるいはその組み合わせの調節は、ソマトスタチン活性の調節から利益を得ることになる疾病、疾患、あるいは障害の処置に魅力的である。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、以下の構造を有する、化合物3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物を本明細書に記載される。
【0005】
【0006】
別の態様では、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、4.5° 2-シータ、9.1° 2-シータ、10.2° 2-シータ、16.3° 2-シータ、18.4° 2-シータ、および19.1° 2-シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
図1に示されるのとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターン;約207℃で開始し、約220℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
図2(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
図2(b)に示されるのとほぼ同じ熱重量分析(TGA)サーモグラム;2223cm
-1、1620cm
-1、1595cm
-1、1457cm
-1、1238cm
-1、1220cm
-1、および1117cm
-1でピークを有する赤外線(IR)スペクトル;
図3に示されるのとほぼ同じ赤外線(IR)スペクトル;約200℃まで加熱されたとき、約24時間、90%を超える相対湿度に晒されたとき、あるいは1週間にわたって約75%のRHと40℃に晒されたとき、あるいはこれらの組み合わせのときの変動しないXRPD;または、これらの組み合わせ、を有する。
【0007】
いくつかの実施形態において、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、4.5° 2-シータ、9.1° 2-シータ、10.2° 2-シータ、16.3° 2-シータ、18.4° 2-シータ、および19.1° 2-シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、20.7° 2-シータ、23.3° 2-シータ、23.4° 2-シータ、23.6° 2-シータ、27.1° 2-シータ、および28.0° 2-シータでさらにピークを有するXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態において、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、
図1に示されるのとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、約207℃で開始し、約220℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、
図2(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、最大約200°まで加熱されたときに変動しないXRPDを有する。いくつかの実施形態において、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、24時間、90%を超える相対湿度に晒されたとき、あるいは1週間にわたって約75%のRHと40℃に晒されたときに変動しないXRPDを有する。いくつかの実施形態において、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、2223cm
-1、1620cm
-1、1595cm
-1、1457cm
-1、1238cm
-1、1220cm
-1、および1117cm
-1で特徴的なピークを有する赤外線(IR)スペクトルを有する。いくつかの実施形態において、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物は、
図3に示されるIRスペクトルとほぼ同じ赤外線(IR)スペクトルを有する。
【0008】
別の態様では、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物、および、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は経口投与による哺乳動物への投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、固形の医薬組成物の形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤、丸剤、またはカプセルの形態である。
【0009】
別の態様では、結晶性の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物を製造する方法が本明細書に記載され、上記方法は:
(a)5容量のイソプロパノール:水(1:1)の混合物中で、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル二塩酸塩をスラリー化する工程;
(i)(a)のスラリーを約45℃に加熱する工程;
(ii)約4.0-6.0のpHを達成するために、工程(a)(i)の加熱したスラリーに、約0.5~約1.2当量の水酸化アンモニウム溶液、炭酸水素ナトリウム溶液、あるいは水酸化ナトリウム溶液を添加する工程;
(iii)工程(a)(ii)の混合物に、約2時間にわたって水を添加する工程;および、
(iv)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物を得るために、工程(a)(iii)のスラリーをろ過する工程;あるいは、
(b)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルに、適切な溶媒を添加する工程;
(i)(b)の溶媒と3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルの混合物に、約1当量の塩酸を添加する工程;および、
(ii)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物を得るために、工程(b)(ii)に由来する固形物をろ過する工程;あるいは、
(c)約20容量~約50容量の水の中で、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル二塩酸塩を撹拌する工程;および、
(i)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル-3-3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩またはその溶媒和物を得るために、工程(c)の固形物をろ過する工程を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、水酸化アンモニウム溶液は、(a)(ii)で使用される。いくつかの実施形態において、(a)(ii)で使用される水酸化アンモニウム溶液の量は約0.8当量であり、達成されたpHは約4.5-4.7である。
【0011】
いくつかの実施形態において、(b)における適切な溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、水、あるいはこれらの組み合わせである。
【0012】
別の態様では、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル二塩酸塩の合成のためのプロセスが本明細書に記載され、
【0013】
【化2】
上記プロセスは:適切な溶媒中の塩酸を用いて、化合物A-VI
【0014】
【0015】
別の態様では、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩の合成のためのプロセスが本明細書に記載され、
【0016】
【化4】
上記プロセスは:(1)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル二塩酸塩を得るために、適切な溶媒中の塩酸を用いて、化合物A-VI
【0017】
【化5】
を処理する工程;および、(2)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩を得るために、水性アンモニアを用いて、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル二塩酸塩を処理する工程を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、あるいは酢酸イソプロピルである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はイソプロピルアルコールである。
【0019】
他の態様では、化合物A-VI
【0020】
【化6】
の調製のためのプロセスが本明細書に記載され、上記プロセスは:
(1)化合物A-V
【0021】
【化7】
を得るために、カップリング触媒、適切な塩基の存在下において、および、適切な溶媒中で、化合物A-IV
【0022】
【0023】
【化9】
と反応させる工程であって、式中、Bはボロン酸、ボロン酸エステル、あるいはトリフルオロボレートである、工程;および
(2)化合物A-VIを得るために、カップリング触媒、適切な塩基の存在下において、および、適切な溶媒中で、化合物A-Vを、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸
【0024】
【0025】
いくつかの実施形態において、Bはボロン酸またはトリフルオロボレートである。
【0026】
いくつかの実施形態において、Bはボロン酸である。いくつかの実施形態では、Bはトリフルオロボレートである。
【0027】
いくつかの実施形態において、工程(1)のカップリング触媒はパラジウム触媒である;工程(1)の適切な塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミン、炭酸水素ナトリウム、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、NaOAc、KOAc、Ba(OH)2、Na3PO4、あるいはK3PO4であり;および、工程(1)の適切な溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、エタノール、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、1,4-ジオキサン、水、あるいはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、工程(1)は約80℃の温度で実施される。いくつかの実施形態において、工程(1)は約80-85℃の温度で実施される。
【0028】
いくつかの実施形態において、工程(1)のカップリング触媒はパラジウム触媒であり;工程(1)の適切な塩基はK2CO3であり;および、工程(1)の適切な溶媒は1,4-ジオキサンと水の混合物である。
【0029】
いくつかの実施形態において、工程(2)のカップリング触媒はパラジウム触媒であり;工程(2)の適切な塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミン、炭酸水素ナトリウム、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、NaOAc、KOAc、Ba(OH)2、Na3PO4、あるいはK3PO4であり;および、工程(2)の適切な溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、エタノール、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、1,4-ジオキサン、水、あるいはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、工程(2)は約90℃-約100℃の温度で実施される。いくつかの実施形態において、工程(2)のカップリング触媒はパラジウム触媒であり;工程(2)の適切な塩基はK2CO3であり;および、工程(2)の適切な溶媒は1,4-ジオキサンと水の混合物である。
【0030】
いくつかの実施形態において、化合物A-Vは工程(2)の前に単離される。
【0031】
いくつかの実施形態において、化合物A-Vは工程(2)の前には単離されない。
【0032】
いくつかの実施形態において、プロセスはさらに、適切な溶媒から化合物A-VIを再結晶させる工程を含む。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン/石油エーテル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン/水、テトラヒドロフラン/石油エーテル、ジメチルホルムアミド/水、ジクロロメタン/メチルtert-ブチルエーテル、メタノール/メチルtert-ブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、あるいはトルエンである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルである。
【0033】
いくつかの実施形態において、プロセスはさらに、金属捕捉剤を用いる再結晶化合物A-VIの処理を含む。いくつかの実施形態において、金属捕捉剤は、SiO2、木炭、L-システインの水溶液、Silicycle金属捕捉剤、Siチオール、SiliaBond DMT、あるいはSiliaBondシステインを含む。
【0034】
他の態様では、化合物A-IV
【0035】
【化11】
の調製のためのプロセスが本明細書に記載され、上記プロセスは:
(1)化合物A-II
【0036】
【化12】
を得るために、適切な溶媒中の適切な塩素化剤を用いて化合物A-I
【0037】
【化13】
を塩素化する工程;
(2)化合物A-III
【0038】
【化14】
を得るために、適切な溶媒中の適切な臭素化剤を用いて化合物A-IIを臭素化する工程;および、
(3)化合物A-IVを得るために、適切な塩基の存在下において、および、適切な溶媒中で、4-(N-Bocアミノ)ピペリジンを化合物A-IIIと結合させる工程;あるいは、
(i)化合物4
【0039】
【化15】
を得るために、適切な塩基の存在下において、および、適切な溶媒中で、4-(N-Bocアミノ)ピペリジンを6-ブロモ-4-クロロ-キノリンと結合させる工程;および、
(ii)化合物A-IVを得るために、適切な溶媒中で適切な塩素化剤を用いて化合物4を塩素化する工程を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、工程(1)の塩素化剤は、N-クロロスクシンイミド、トリクロロイソシアヌル酸、塩化スルフリル、塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸、あるいは2,3,4,5,6,6-ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエン-1-オンであり;および、工程(1)の適切な溶媒は、酢酸、水、エタノール、メタノール、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、あるいはN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0041】
いくつかの実施形態において、工程(1)の塩素化剤は、N-クロロスクシンイミドであり;および、工程(1)の適切な溶媒は酢酸である。
【0042】
いくつかの実施形態において、工程(2)の臭素化剤は、三臭化リン、オキシ臭化リン、臭化水素酸、臭素、あるいはジブロモトリフェニルホスホランであり;および、工程(2)の適切な溶媒は、アセトニトリル、水、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸、あるいはアセトンである。
【0043】
いくつかの実施形態において、工程(2)の臭素化剤は、三臭化リンであり;および、工程(2)の適切な溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0044】
いくつかの実施形態において、工程(3)の適切な塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミン、炭酸水素ナトリウム、Na2CO3、K2CO3、あるいはCs2CO3であり;および、工程(3)の適切な溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、エタノール、あるいはイソプロパノールである。
【0045】
いくつかの実施形態において、工程(3)の塩基はジイソプロピルエチルアミンであり;および、工程(3)の適切な溶媒はジメチルスルホキシドである。
【0046】
いくつかの実施形態において、工程(i)の適切な塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミン、炭酸水素ナトリウム、Na2CO3、K2CO3、あるいはCs2CO3であり;および、工程(i)の適切な溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、エタノール、あるいはイソプロパノールである。
【0047】
いくつかの実施形態において、工程(i)の塩基はK2CO3であり;および、工程(i)の適切な溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0048】
いくつかの実施形態において、工程(ii)の塩素化剤は、N-クロロスクシンイミド、トリクロロイソシアヌル酸、塩化スルフリル、塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸、あるいは2,3,4,5,6,6-ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエン-1-オンであり;および、工程(ii)の適切な溶媒は、酢酸、水、エタノール、メタノール、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、あるいはN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0049】
いくつかの実施形態において、工程(ii)の塩素化剤は、N-クロロスクシンイミドであり;および、工程(ii)の適切な溶媒はトルエンである。
【0050】
他の態様では、化合物1
【0051】
【化16】
の調製のプロセスが本明細書に記載され:式中、Bはボロン酸またはボロン酸エステルであり;上記プロセスは:
(1)化合物2a
【0052】
【0053】
【化18】
のヒドロキシル基を、適切な保護基(PG’)で保護する工程;
(2)適切な反応条件下で化合物2aをホウ素化剤で反応させる工程;および、
(3)化合物1を得るために保護基(PG’)を除去する工程、を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、Bはボロン酸である。
【0055】
いくつかの実施形態において、プロセスはさらに、Bをトリフルオロボレートに変換する工程を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、ホウ素化剤は、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリメチル、テトラヒドロキシジボロン、ピナコールボラン、カテコールボラン、ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロン、ビス(ピナコラート)ジボロン、ビス(ヘキシレングリコラート)ジボロン、ビス(カテコラート)ジボロン、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、4,6,6-トリメチル-1,3,2-ジオキサボリナン、ジイソプロピルアミンボラン、ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロン、ビス(カテコラート)ジボロン、あるいはビス(ピナコラート)ジボロンである。
【0057】
いくつかの実施形態において、(2)の適切な反応条件は、金属ハロゲン交換試薬の使用を含む。いくつかの実施形態において、(2)の適切な反応条件は、グリニャール試薬とアルキルリチウム試薬から選択された金属ハロゲン交換試薬の使用を含む。いくつかの実施形態において、(2)の適切な反応条件は、テトラヒドロフラン中のイソプロピル塩化マグネシウムの使用を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、ホウ素化剤はホウ酸トリイソプロピルであり、(2)の適切な反応条件は、テトラヒドロフラン中のイソプロピル塩化マグネシウムの使用を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、(2)の適切な反応条件は、遷移金属媒介反応条件の使用を含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、(2)の適切な反応条件は、パラジウム金属媒介反応条件の使用を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)は、メトキシメチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、ベンジルオキシメチル、2-メトキシエトキシメチル、ベンジル、パラ-メトキシベンジル、2-ナフチルメチル、メチル、アリル、テトラヒドロピラニル、アセチル、ベンゾイル、2,2,2-トリクロロエチルカルボニル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、あるいはtert-ブチルジフェニルシリルである。
【0062】
いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)は、メトキシメチル、2-メトキシエトキシメチル、ベンジル、パラ-メトキシベンジル、メチル、アリル、テトラヒドロピラン-2-イル、[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、あるいはtert-ブチルジフェニルシリルである。
【0063】
いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)は、メトキシメチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、ベンジルオキシメチル、2-メトキシエトキシメチル、ベンジル、パラ-メトキシベンジル、2-ナフチルメチル、メチル、アリル、あるいはテトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)は、メトキシメチル、エトキシエチル、あるいは2-メトキシエトキシメチルである。いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)はメトキシメチルである。
【0064】
いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)は、アセチル、ベンゾイル、あるいは2,2,2-トリクロロエチルカルボニルである。いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)はアセチルである。
【0065】
いくつかの実施形態において、工程(3)中の保護基の除去は、塩酸、臭化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、パラ-トルエンスルホン酸、ZnBr2、Pd/C上の水素、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、トリメチルシリルヨウ化物、Pd(PPh3)4、テトラ-n-ブチルアンモニウムフッ化物(TBAF)、あるいはHF-ピリジンを用いる処理によって達成される。
【0066】
いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)はメトキシメチルであり;および、工程(3)における保護基の除去は、塩酸を用いる処理によって達成される。
【0067】
包装材料と、包装材料内の本明細書に記載されるようなソマトスタチンモジュレーター、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物と、ソマトスタチンモジュレーター、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が、1つ以上のソマトスタチン受容体タンパク質のサブタイプを調節するために、あるいは、1つ以上のソマトスタチン受容体タンパク質のサブタイプの調節から利益を得ることになる疾患または疾病の1つ以上の症状の処置、予防、または改善のために使用されることを指示するラベルとを含む製品が提供される。
【0068】
本明細書に記載の化合物、方法、および、組成物の他の目的、特徴、および、利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の趣旨と範囲内の様々な変化と修飾が詳細な記載から当業者に明らかとなるため、詳細な記載と特定の実施例は特定の実施形態を示しつつも、一例として与えられるものに過ぎないことが、理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】化合物A、一塩酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターン。
【
図2a】示差走査熱量測定法(DSC)サーモグラム。
【
図2b】化合物A、一塩酸塩の熱重量分析/示差走査熱量測定(TGA/DSC)サーモグラム。
【
図3】化合物A、一塩酸塩(mono-HCl salt)の赤外線(IR)スペクトル。
【
図4】化合物A、二塩酸塩(di-HCl salt)のX線粉末回折(XRPD)パターン。
【
図5a】化合物A、二塩酸塩の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム。
【
図5b】化合物A、二塩酸塩の熱重量分析(TGA)サーモグラム。
【
図6】化合物A、二塩酸塩の赤外線(IR)スペクトル。
【
図7a】化合物A、遊離塩基のX線粉末回折(XRPD)パターンA。
【
図7b】化合物A、遊離塩基のX線粉末回折(XRPD)パターンB。
【
図7c】化合物A、遊離塩基のX線粉末回折(XRPD)パターンC。
【
図8a】化合物A、遊離塩基のパターンCの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム。
【
図8b】化合物A、遊離塩基のパターンCの熱重量分析(TGA)サーモグラム。
【
図9】2~95%の相対湿度(RH)間での動的蒸気吸着(DVS)試験の前(下のスペクトル)および後(上のスペクトル)の化合物A、一塩酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターン
【
図10】2~95%の相対湿度(RH)間での動的蒸気吸着(DVS)試験の前(下のスペクトル)および後(上のスペクトル)の化合物A、二塩酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターン
【発明を実施するための形態】
【0070】
ソマトトロピン放出抑制因子(SRIF)としても知られているソマトスタチン(SST)は当初、ヒツジの視床下部から、14のアミノ酸ペプタイドとして単離された(Brazeau et al.,Science 179, 77-79, 1973)。14のアミノ酸ソマトスタチンと同様の生物学的活性を有するN末端伸長した28のアミノ酸ペプチドがその後、単離された(Pradayrol et, al.,FEBS Letters, 109, 55-58, 1980; Esch et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. U S A, 77, 6827*6831, 1980)。SSTは、他の神経ペプチド、神経伝達物質、ホルモン、サイトカイン、および成長因子に応答して複数の細胞型によって産生された調節ペプチドである。SSTはその標的細胞に影響を与えるために内分泌経路とパラクリン経路の両方によって作用する。これらの効果の多くは、他のホルモン、最も顕著には成長ホルモン(GH)の分泌の阻害に関連する。それらは、中枢神経系(CNS)と腸の多種多様な細胞型によって産生され、抗増殖性の他の多くのホルモンと同様に、成長ホルモン(GH)、インスリン、グルカゴンの分泌の調節を含む複数の機能を有する。
【0071】
ソマトスタチンのこうした多面的な作用は、6つのソマトスタチン受容体タンパク質(SSTR1、SSTR2a、SSTR2b、SSTR3、SSTR4、SSTR5)によって媒介する。6つのソマトスタチン受容体タンパク質は、5つの様々なソマトスタチン受容体遺伝子によってコードされる(Reisine and Bell, Endocr Rev. 16, 427-442, 1995; Patel and Srikant, Trends Endocrinol Metab 8, 398-405, 1997)。すべての受容体はGPCRスーパーファミリーのAクラスのサブグループのメンバーである。SST2A受容体はヒト腫瘍中で最も広く発現されるサブタイプであり、GH分泌を抑える支配的な受容体である。特段の定めのない限り、SSTR2との用語はSSTR2aを意味する。
【0072】
ソマトスタチン受容体サブタイプのいずれか1つ、またはその組み合わせを選択的に調節することは可能である。いくつかの実施形態において、他のソマトスタチン受容体サブタイプに対してソマトスタチン受容体サブタイプのいずれか1つ、またはその組み合わせを選択的に調節することは、様々な臨床応用で役立つ。いくつかの実施形態において、他のソマトスタチン受容体サブタイプに対してソマトスタチン受容体サブタイプのいずれか1つを選択的に調節することは、様々な臨床応用で望まれない副作用を減少させる。
【0073】
例えば、SSTR2活性の調節は、下垂体前葉からの成長ホルモン(GH)の放出と、膵臓からのグルカゴン放出の阻害を媒介する。SSTR2も、限定されないが、細胞増殖、侵害受容、炎症、および血管新生などの他の多くの生物学的機能に関与している。いくつかの実施形態において、選択的なSSTR2モジュレーターは、異常な血管成長に起因する網膜症だけでなく、先端巨大症、腸神経内分泌腫瘍、疼痛、神経障害、腎症、および炎症の処置で使用される。他のいくつかの実施形態では、選択的なSSTR2モジュレーターは、関節炎、疼痛、癌、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、クッシング病、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、および加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、およびグレーブス眼症などの眼の病気の処置で使用される。
【0074】
いくつかの実施形態において、SSTR4アゴニストは、抗炎症性および抗侵害受容性の効果を示す。
【0075】
いくつかの実施形態において、SSTR3アゴニストはインスリン分泌を阻害する。
【0076】
いくつかの実施形態において、SSTR5アゴニストはインスリン分泌を阻害する。加えて、SSTR5は成長ホルモンの放出を調節することにも関与している。
【0077】
ソマトスタチンペプチドおよびその受容体サブタイプは脳でも後半に発現され、その活性の破壊と減少は、複数の精神疾患と神経変性疾患にも関与している可能性がある。例えば、大脳皮質と海馬中のソマトスタチンの濃度は統合失調症患者では減少し、この患者群で最も一貫した神経病理学的発見の1つは、ソマトスタチンを発現する皮質の抑制性介在ニューロンの欠損である。ソマトスタチンは発作に関連する脳の領域でも高度に発現され、てんかんにおいて重要な役割を持っていることも示唆されている。ソマトスタチンレベルは、アルツハイマー病とパーキンソン病の患者の海馬で減少しており、神経変性の潜在的な薬物標的としてそのシグナル伝達の回復が示唆されている。
【0078】
一態様では、本明細書に記載される化合物は、SSTR2のモジュレーターである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるに化合物は、他のソマトスタチン受容体に対してSSTR2の活性を選択的に調節する。
【0079】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、ソマトスタチンモジュレーターを用いる処置を必要とする哺乳動物への経口投与に対応可能である。
【0080】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレーターは、広範囲な治療用途に有用性を備える。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレーターは、精神疾患や神経変性疾患だけではなく、限定されないが、先端巨大症、神経内分泌腫瘍、網膜症、および他の眼の病気、神経障害、腎症、呼吸器疾患、癌、疼痛、神経変性疾患、炎症性疾患などの様々な疾患あるいは疾病の処置で使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレーターは、哺乳動物の先端巨大症の処置で使用される。
【0081】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレーターは、哺乳動物において様々なホルモンおよび栄養因子の分泌を阻害する。いくつかの実施形態において、化合物は、限定されないが、GH、インスリン、グルカゴン、およびプロラクチンなどの特定の内分泌腺の分泌を抑えるために使用される。特定の内分泌腺の分泌の抑制は、先端巨大症;カルシノイド、VIP腺腫、インスリノーマ、およびグルカゴノーマなどの内分泌腺の腫瘍;あるいは、網膜症、神経障害、および腎症を含む糖尿病および糖尿病関連の病状などの病気の処置に役立つ。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレーターは、膵臓、胃、および腸における外分泌腺の分泌を抑えるために、膵臓炎、瘻孔、出血性潰瘍、およびAIDSまたはコレラのような疾患に関連する下痢などの病気の処置に使用される。本明細書に記載される化合物の投与によって処置され得る、IGF-1などの栄養因子(複数の内分泌腺因子と同様に)のオートクリンまたはパラクリンの分泌に関与する病気としては、乳房、前立腺、および肺(小細胞および非小細胞の類表皮の両方)の癌に加え、肝細胞癌、神経芽細胞腫、結腸と膵臓の腺癌(管型)、軟骨肉腫、および黒色腫、糖尿病網膜症、ならびに血管形成術後の人工血管と再狭窄に関連するアテローム動脈硬化症が挙げられる。
【0082】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレーターは、神経原性炎症(例えば、P物質またはタキキニン)のメディエーターを抑制するために使用され、関節リウマチ;乾癬;日焼け、湿疹、あるいは他の源のかゆみに関連する局所的な炎症;炎症性腸疾患;過敏性腸症候群;喘息および他の呼吸器疾患を含むアレルギーの処置で使用され得る。他のいくつかの実施形態では、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレーターは、中枢神経系において神経調節物質として機能し、アルツハイマー病、および痴呆、疼痛、ならびに頭痛の他の形態の処置に役立つ。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレーターは、肝硬変と食道静脈瘤を含む内臓血流を含む障害において細胞保護作用を提供する。
【0083】
化合物Aは、本明細書に記載される治療方法で役立つソマトスタチンモジュレーターである。
【0084】
化合物A
本明細書で使用されるように、化合物Aとは、3-(4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル)-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルを指し、これは、以下に示す化学構造を有する。
【0085】
【0086】
いくつかの実施形態では、化合物Aは非晶質である。
【0087】
いくつかの実施形態では、化合物Aは結晶である。
【0088】
いくつかの実施形態では、化合物Aは結晶であり、9.2°2シータ、12.3°2シータ、14.4°2シータ、および24.0°2シータでピークを有するX線粉末回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物Aは結晶であり、
図7(a)に表示されたXRPDに実質的に似ているX線粉末回折パターンを有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、化合物Aは結晶であり、5.9°2シータ、13.9°2シータ、14.2°2シータ、17.5°2シータ、および24.6°2シータでピークを有するX線粉末回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物Aは結晶であり、
図7(b)に表示されたXRPDに実質的に似ているX線粉末回折パターンを有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、化合物Aは結晶であり、7.2°2シータ、8.3°2シータ、10.9°2シータ、および12.0°2シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
図7(c)に示されるのとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターン;約128℃で開始し、約145℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
図8(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
図8(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
図8(b)に示されるのとほぼ同じ熱重量分析(TGA)サーモグラム;または、これらの組み合わせ、を有すると特徴づけられる。
【0091】
いくつかの実施形態において、化合物Aは結晶であり、以下の特性の少なくとも1つを有すると特徴づけられる:
a)7.2°2シータ、8.3°2シータ、10.9°2シータ、および12.0°2シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)
図7(c)に示されるのとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)約128℃で開始し、約145℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
d)
図8(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム。
【0092】
いくつかの実施形態において、化合物Aは結晶であり、a)~(d)から選択される特性の少なくとも2つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物Aは結晶であり、a)~(d)から選択される特性の少なくとも3つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物Aは結晶であり、特性a)、b)、c)、およびd)を有すると特徴付けられる。
【0093】
いくつかの実施形態では、化合物Aは結晶であり、7.2°2シータ、8.3°2シータ、10.9°2シータ、および12.0°2シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物Aは結晶であり、
図7(c)に示されるのとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物Aは結晶であり、約128℃で開始し、約145℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、化合物Aは結晶であり、
図8(c)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。
【0094】
いくつかの実施形態において、化合物Aの薬学的に許容可能な塩が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、化合物Aの薬学的に許容可能な塩は、一塩酸塩(化合物A-HCl)である:
【0095】
【0096】
いくつかの実施形態では、化合物A-HClは非晶質である。
【0097】
いくつかの実施形態では、化合物A-HClは結晶である。
【0098】
いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、4.5° 2-シータ、9.1° 2-シータ、10.2° 2-シータ、16.3° 2-シータ、18.4° 2-シータ、および19.1° 2-シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
図1に示されるのとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターン;約207℃で開始し、約220℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
図2(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
図2(b)に示されるのとほぼ同じ熱重量分析(TGA)サーモグラム;2223cm
-1、1620cm
-1、1595cm
-1、1457cm
-1、1238cm
-1、1220cm
-1、および1117cm
-1でピークを有する赤外線(IR)スペクトル;
図3に示されるのとほぼ同じ赤外線(IR)スペクトル;約200℃まで加熱されたとき、約24時間、90%を超える相対湿度に晒されたとき、あるいは1週間にわたって約75%のRHと40℃に晒されたとき、あるいはこれらの組み合わせのときの変動しないXRPD;または、これらの組み合わせ、を有すると特徴づけられる。
【0099】
いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、以下の特性の少なくとも1つを有すると特徴づけられる:
a)4.5° 2-シータ、9.1° 2-シータ、10.2° 2-シータ、16.3° 2-シータ、18.4° 2-シータ、および19.1° 2-シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)
図1に示されるのとほぼ同じX線粉末回析(XRPD)パターン;
c)約207℃で開始し、約220℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
d)
図2(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
e)2223cm
-1、1620cm
-1、1595cm
-1、1457cm
-1、1238cm
-1、1220cm
-1、および1117cm
-1で特徴的なピークを有する赤外線(IR)スペクトル;
f)
図3に示されるのとほぼ同じ赤外線(IR)スペクトル;
g)2~95%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~4.5%w/w);
h)15~75%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~2.3%);
i)24時間にわたる、90%のRHおよび室温でのDVS分析後の変動しないXRPD;あるいは、
j)1週間にわたる75%のRHおよび40℃でのDVS分析後の変動しないXRPD。
【0100】
いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも2つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも3つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも4つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも5つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも6つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも7つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも8つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも9つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶で、特性a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、およびj)を有すると特徴づけられる。
【0101】
いくつかの実施形態では、化合物A-HClは結晶であり、4.5°2シータ、9.1.°2シータ、10.2°2シータ、16.3°2シータ、18.4°2シータ、および19.1°2シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、
図1に示されるのとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、約207℃で開始し、約220℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、
図2(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、2223cm
-1、1620cm
-1、1595cm
-1、1457cm
-1、1238cm
-1、1220cm
-1、および1117cm
-1で特徴的なピークを有する赤外線(IR)スペクトルを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、
図3に示されるのとほぼ同じ赤外線(IR)スペクトルを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、2~95%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~4.5%w/w)を有する。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、15~75%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~2.3%)を有する。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、24時間にわたる、90%のRHおよび室温でのDVS分析後の変動しないXRPDを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは結晶であり、1週間にわたる、75%のRHおよび40℃でのDVS分析後の変動しないXRPDを有する。
【0102】
いくつかの実施形態において、化合物Aの薬学的に許容可能な塩が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、化合物Aの薬学的に許容可能な塩は、二塩酸塩(化合物A-2HCl)である:
【0103】
【0104】
いくつかの実施形態では、化合物A-2HClは非晶質である。
【0105】
いくつかの実施形態では、化合物A-2HClは結晶である。
【0106】
いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、5.4° 2シータおよび7.3° 2シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
図4に示されるのとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターン;約233℃で開始し、約252℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
図5(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
図5(b)に示されるのとほぼ同じ熱重量分析(TGA)サーモグラム;2227cm
-1、1620cm
-1、1594cm
-1、1456cm
-1、1439cm
-1、1321cm
-1、および1122cm
-1で特徴的なピークを有する赤外線(IR)スペクトル;
図6に示されるのとほぼ同じ赤外線(IR)スペクトル;2~95%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~18%w/w);2~95%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~9%w/w);24時間にわたる、90%のRHおよび室温でのDVS分析後の変動しないXRPD;1週間にわたる、75%のRHおよび40℃でのDVS分析後の変動しないXRPD;または、これらの組み合わせ、を有すると特徴づけられる。
【0107】
いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶性であり、以下の特性の少なくとも1つを有する:
a)5.4° 2シータおよび7.3° 2シータでピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)
図4に示されるのとほぼ同じX線粉末回析(XRPD)パターン;
c)約233℃で開始し、約252℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
d)
図5(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
e)2227cm
-1、1620cm
-1、1594cm
-1、1456cm
-1、1439cm
-1、1321cm
-1、および1122cm
-1で特徴的なピークを有する赤外線(IR)スペクトル;
f)
図6に示されるのとほぼ同じ赤外線(IR)スペクトル;
g)2~95%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~18%w/w);
h)2~95%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~9%w/w);
i)24時間にわたる、90%のRHおよび室温でのDVS分析後の変動しないXRPD;あるいは、
j)1週間にわたる75%のRHおよび40℃でのDVS分析後の変動しないXRPD。
【0108】
いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも2つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも3つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも4つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも5つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも6つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも7つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも8つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、a)~(j)から選択される特性の少なくとも9つを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、特性a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、およびj)を有すると特徴づけられる。
【0109】
いくつかの実施形態では、化合物A-2HClは結晶であり、5.4°2シータおよび7.3°2シータで特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、
図4に示されるのとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、約233℃で開始し、約252℃でピークを有する吸熱を備えた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、
図5(a)に示されるのとほぼ同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、2227cm
-1、1620cm
-1、1594cm
-1、1456cm
-1、1439cm
-1、1321cm
-1、および1122cm
-1で特徴的なピークを有する赤外線(IR)スペクトルを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、
図6に示されるのとほぼ同じ赤外線(IR)スペクトルを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、2~95%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~18%w/w)を有する。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、2~95%の相対湿度(RH)の可逆的な水取り込み(~9%w/w)を有する。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、24時間にわたる、90%のRHおよび室温でのDVS分析後の変動しないXRPDを有する。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは結晶であり、1週間にわたる、75%のRHおよび40℃でのDVS分析後の変動しないXRPDを有する。
【0110】
化合物A、化合物A-HCl、および化合物A-2HClの合成
本明細書に記載される化合物は、標準的な合成技術を使用して、または、本明細書に記載される方法と組み合わせて当該技術分野で知られている方法を使用して、合成される。特段の定めのない限り、質量分析法、NMR、HPLCの従来の方法が採用される。
【0111】
化合物は、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry,6th Edition,John Wiley and Sons,Incに記載されるような標準的な有機化学技術を用いて調製される。溶媒、反応温度、反応時間の変化、および様々な化学試薬や他の反応条件などの本明細書に記載される合成形質転換の代替的な反応条件が用いられることもある。
【0112】
記載された反応では、反応性官能基(例えば、ヒドロキシまたはアミノ基)が反応中において望ましくない形で参加することを回避するために、これらが最終生成物中で望まれる場合には、これらを保護することが必要なこともある。保護基の生成と除去に適用可能な技術の詳細な記載は、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999, and Kocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994(本開示のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0113】
スキームAで概説されるように、化合物A、化合物A-HCl、および化合物A-2HClの合成のための方法が本明細書で開示される。
【0114】
【0115】
いくつかの実施形態において、化合物A-Iの塩素化は、化合物A-IIを生成する。化合物A-IIを臭素化剤または塩素化剤と反応させることで、化合物A-IIIaを得る(ここで、XはClまたはBrである)。いくつかの実施形態において、化合物A-IIを臭素化剤と反応させることで、化合物A-IIIaを得て、ここで、XはBr(つまり、化合物A-III)である。A-IIIaを4-(N-PG-アミノ)ピペリジンと結合させることで、化合物A-IVa(ここで、PGは適切なアミノ保護基である)を得る。化合物A-IVaは、化合物1を用いる鈴木反応を経験して化合物A-Vaを生成し、これは、(3,5-ジフルオロフェニル)B(ここで、Bはそれぞれ独立して、ボロン酸、ボロン酸エステル、あるいはトリフルオロボレートである)と第2の鈴木反応を経験して化合物A-VIaを得る。いくつかの実施形態では、環Bはそれぞれボロン酸である。いくつかの実施形態において、(3,5-ジフルオロフェニル)Bは(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン酸である。いくつかの実施形態において、同じPd触媒は両方の鈴木反応で使用される。他の実施形態では、様々なPd触媒はそれぞれの鈴木反応で使用される。いくつかの実施形態において、それぞれの鈴木反応は同じ溶媒中で実施される。他の実施形態では、それぞれの鈴木反応は様々な溶媒中で実施される。いくつかの実施形態において、化合物A-Vaは第2の鈴木反応の前に単離される。他の実施形態では、2つの鈴木反応は、化合物A-Vaの単離あるいは精製なく、1つの反応容器中で実施される。いくつかの実施形態において、残留するパラジウムは、SiO2、木炭、L-システイン、SilicaBondシステイン、Si-チオール、SilicaBond DMTなどのパラジウム捕捉剤によって化合物A-VIaから取り除かれる。
【0116】
化合物A-VIaのPG基の脱保護とHClの処理により、化合物A-2HClが生成され、これが化合物A-HClに変換される。いくつかの実施形態において、化合物A-HClあるいは化合物A-2HClは、化合物A(遊離塩基形態)を得るために、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの適切な塩基で処理される。
【0117】
いくつかの実施形態において、PGがtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)である場合、化合物A-VIaはHClで処理されることで、化合物A-2HClが得られ、これが化合物A-HClに変換される。いくつかの実施形態において、化合物A-HClあるいは化合物A-2HClは、化合物A(遊離塩基形態)を得るために、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの適切な塩基で処理される。
【0118】
いくつかの実施形態において、化合物A、化合物A-HCl、あるいは化合物A-2HClの結晶形態は、反応混合物から直接単離される。いくつかの実施形態において、化合物A、化合物A-HCl、あるいは化合物A-2HClの結晶形態は、適切な溶媒から再結晶化によって形成される。適切な溶媒としては、限定されないが、水、メタノール、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0119】
6-ブロモ-3-クロロキノリン-4-オール(A-II)の合成
【0120】
【0121】
いくつかの実施形態において、化合物A-IIは、A-Iの塩素化によって生成される。いくつかの実施形態において、塩素化は、N-クロロスクシンイミド(NCS)、トリクロロイソシアヌル酸(TCA)、塩化スルフリル、塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸、あるいは2,3,4,5,6,6-ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエン-1-オンなどの塩素化剤でA-Iを処理することによって達成される。いくつかの実施形態において、塩素化はN-クロロスクシンイミド(NCS)でA-Iを処理することによって達成される。
【0122】
いくつかの実施形態において、塩素化は、酢酸、水、エタノール、メタノール、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で実施される。
【0123】
いくつかの実施形態において、塩素化は酢酸中で実施される。いくつかの実施形態において、1容量の酢酸とは、反応中の試薬(つまり、A-Iおよび/またはNCS)と同じ容量である量を指す。いくつかの実施形態において、反応は、約5、7.5、10、12.5、15、あるいは20容量の酢酸中で実施される。いくつかの実施形態において、反応は約10容量の酢酸中で実施される。いくつかの実施形態において、反応は約12.5容量の酢酸中で実施される。いくつかの実施形態において、反応は約20容量の酢酸中で実施される。
【0124】
いくつかの実施形態において、塩素化は高温で実施される。いくつかの実施形態において、反応温度は、約40℃~約150℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約40℃~約120℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約40℃~約100℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約40℃~約80℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約40℃~約60℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約45℃~約55℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約40℃、45℃、50℃、55℃、あるいは60℃である。いくつかの実施形態において、反応温度は約50℃である。
【0125】
4,6-ジブロモ-3-クロロキノリン(A-III)の合成
【0126】
【0127】
いくつかの実施形態において、化合物A-IIのヒドロキシル基はハロゲン原子(XはBrまたはClである)に変換される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化は臭素化である。いくつかの実施形態では、ハロゲン化は塩素化である。
【0128】
いくつかの実施形態において、化合物A-IIは、三臭化リン(PBr3)、オキシ臭化リン(POBr3)、臭化水素酸、臭素、ジブロモトリフェニルホスホランなどで臭素化される。いくつかの実施形態において、A-IIはPBr3で臭素化される。いくつかの実施形態において、A-IIが臭素化され、生成物はA-IIIである。
【0129】
いくつかの実施形態において、化合物A-IIはPOCl3、塩化チオニルで塩素化される。いくつかの実施形態において、A-IIはPOCl3で塩素化される。
【0130】
いくつかの実施形態において、ハロゲン化反応は適切な溶媒中で行われる。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、アセトニトリル、水、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸、アセトンなどである。いくつかの実施形態において、ハロゲン化溶媒はDMFである。いくつかの実施形態において、反応温度は、0℃~30℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、0℃~室温の間である。いくつかの実施形態において、反応は0℃で始まり、室温まで暖まる。
【0131】
N保護された1-(6-ブロモ-3-クロロキノリン-4-イル)ピペリジン(A-IVa)の合成
【0132】
【0133】
いくつかの実施形態において、化合物A-IVaは化合物A-IIIから調製される。いくつかの実施形態において、化合物A-IVaは、適切な溶媒中の塩基の存在下で、化合物A-IIIを、N保護された4-アミノピペリジンと反応させることにより、化合物A-IIIから作られる。
【0134】
いくつかの実施形態において、アミノ保護基は、カルバメート(9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、t-ブチルカルバメート(Boc)、ベンジルカルバメート(Cbz)など)、アミド(アセチル、トリフルオロアセチルなど)、フタルイミド、ベンジル、トリチル、ベンジリデンアミン(benzylidineamine)、トシルなどである。いくつかの実施形態において、アミノ保護基はカルバメートである。いくつかの実施形態において、アミノ保護基はBocである。いくつかの実施形態において、保護基がBocである場合、生成物は化合物A-IVである。
【0135】
いくつかの実施形態において、塩基は非求核塩基である。いくつかの実施形態において、塩基はアミン塩基である。いくつかの実施形態において、塩基は、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(DBU)、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミンなどのアミン塩基である。いくつかの実施形態において、塩基はDIPEAである。
【0136】
いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態において、塩基はカーボネート(MCO3)または重炭酸塩(MHCO3)塩基であり、ここで、Mはナトリウム、カリウム、あるいはセシウムである。いくつかの実施形態において、塩基は、炭酸水素ナトリウム、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3などの無機塩基である。
【0137】
いくつかの実施形態において、反応に適切な溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロルメタン、クロロホルム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノールなどである。いくつかの実施形態において、反応のための溶媒はジメチルスルホキシドである。
【0138】
いくつかの実施形態において、反応温度は、約0℃~約250℃、約50℃~約200℃、あるいは約100℃~約180℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約120℃~約150℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、あるいは180℃である。
【0139】
N保護された1-(6-ブロモ-3-クロロキノリン-4-イル)ピペリジン(化合物A-IVa)の代替的な合成
【0140】
【0141】
いくつかの実施形態において、化合物A-IVaは化合物3から調製される。いくつかの実施形態において、化合物A-IVaは、化合物4aを得るために適切な溶媒中の塩基の存在下で化合物3を、N保護された4-アミノピペリジンと反応させることによって、および、その後、化合物4aの塩素化によって、化合物3から作られる。いくつかの実施形態において、保護基がBocである場合、化合物4aは化合物4である。
【0142】
いくつかの実施形態において、アミノ保護基は、カルバメート(9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、t-ブチルカルバメート(Boc)、ベンジルカルバメート(Cbz)など)、アミド(アセチル、トリフルオロアセチルなど)、フタルイミド、ベンジル、トリチル、ベンジリデンアミン、トシルなどである。いくつかの実施形態において、アミノ保護基はカルバメートである。いくつかの実施形態において、アミノ保護基はBocである。いくつかの実施形態において、保護基がBocである場合、生成物は化合物A-IVである。
【0143】
いくつかの実施形態において、塩基は非求核塩基である。いくつかの実施形態において、塩基はアミン塩基である。いくつかの実施形態において、塩基は、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(DBU)、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミンなどのアミン塩基である。いくつかの実施形態において、塩基はDIPEAである。いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態において、塩基はカーボネート(MCO3)または重炭酸塩(MHCO3)塩基であり、ここで、Mはナトリウム、カリウム、あるいはセシウムである。いくつかの実施形態において、塩基は、炭酸水素ナトリウム、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3などの無機塩基である。いくつかの実施形態において、反応に適切な溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロルメタン、クロロホルム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノールなどである。いくつかの実施形態において、反応のための溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである。いくつかの実施形態において、反応温度は、約0℃~約250℃、約50℃~約200℃、あるいは約100℃~約180℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約120℃~約150℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、あるいは180℃である。
【0144】
いくつかの実施形態において、化合物A-IVaは、化合物4aの塩素化によって生成される。いくつかの実施形態において、塩素化は、N-クロロスクシンイミド(NCS)、トリクロロイソシアヌル酸(TCA)、塩化スルフリル、塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸、あるいは2,3,4,5,6,6-ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエン-1-オンなどの塩素化剤で化合物4aを処理することによって達成される。いくつかの実施形態において、塩素化はN-クロロスクシンイミド(NCS)で化合物4aを処理することによって達成される。いくつかの実施形態において、塩素化は、酢酸、水、エタノール、メタノール、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で実施される。いくつかの実施形態において、塩素化はトルエン中に実施される。いくつかの実施形態において、塩素化は高温で行われる。いくつかの実施形態において、反応温度は、約40℃~約150℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約40℃~約120℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約40℃~約100℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は、約50℃~約80℃の間である。いくつかの実施形態において、反応温度は約70℃である。
【0145】
(3-シアノ-2-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(化合物1)の合成
【0146】
【0147】
化合物1の合成のための2工程プロセスがさらに本明細書で開示され、ここで、Bはボロン酸またはボロン酸エステルであり;上記プロセスは、(1)化合物2aを得るために、化合物2のヒドロキシル基を、適切な保護基(PG’)で保護する工程;(2)適切な反応条件下で化合物2aをホウ素化剤で反応させる工程;および、(3)化合物1を得るために保護基(PG’)を除去する工程、を含む。
【0148】
いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)は、メトキシメチル(MOM)、エトキシエチル(EE)、メトキシプロピル(MOP)、ベンジルオキシメチル(BOM)、2-メトキシエトキシメチル(MEM)、ベンジル(Bn)、パラ-メトキシベンジル(PMB)、2-ナフチルメチル(Nap)、メチル(Me)、アリル、テトラヒドロピラニル(THP)、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、2,2,2-トリクロロエチルカルボニル(Troc)、[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、あるいはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。
【0149】
いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)は、メトキシメチル、2-メトキシエトキシメチル、ベンジル、パラ-メトキシベンジル、メチル、アリル、テトラヒドロピラニル、[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、あるいはtert-ブチルジフェニルシリルである。いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)は、メトキシメチルあるいは2-メトキシエトキシメチルである。いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)はメトキシメチルである。いくつかの実施形態において、適切な保護基(PG’)はアセチルである。
【0150】
いくつかの実施形態において、工程(3)における保護基の除去は、保護基が何かであるかに依存して、様々な試薬で達成される。いくつかの実施形態において、工程(3)中の保護基の除去は、塩酸、臭化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トシル酸、ZnBr2、Pd/C上の水素、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、トリメチルシリルヨウ化物、Pd(PPh3)4、テトラ-n-ブチルアンモニウムフッ化物(TBAF)、あるいはHF-ピリジンを用いる処理によって達成される。いくつかの実施形態において、工程(3)における保護基の除去は、塩酸、臭化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、あるいはトシル酸を用いる処理によって達成される。いくつかの実施形態において、工程(3)における保護基の除去は、塩酸を用いる処理によって達成される。
【0151】
いくつかの実施形態において、ホウ素化剤は、ピナコールボラン、カテコールボラン、ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロン、ビス(ピナコラート)ジボロン、ビス(ヘキシレングリコラート)ジボロン、ビス(カテコラート)ジボロン、テトラヒドロキシジボロン、トリメトキシボロン、トリイソプロポキシボロン、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、4,6,6-トリメチル-1,3,2-ジオキサボリナン、ジイソプロピルアミンボラン、ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロン、ビス(カテコラート)ジボロン、あるいはビス(ピナコラート)ジボロンである。いくつかの実施形態において、(2)の適切な反応条件は、金属ハロゲン交換試薬の使用を含む。いくつかの実施形態において、(2)の適切な反応条件は、グリニャール試薬とアルキルリチウム試薬から選択された金属ハロゲン交換試薬の使用を含む。いくつかの実施形態において、(2)の適切な反応条件は、テトラヒドロフラン中のイソプロピル塩化マグネシウムの使用を含む。いくつかの実施形態において、ホウ素化剤はトリイソプロポキシボロンであり、(2)の適切な反応条件は、テトラヒドロフラン中のイソプロピル塩化マグネシウムの使用を含む。いくつかの実施形態において、(2)の適切な反応条件は、遷移金属媒介反応条件の使用を含む。いくつかの実施形態において、(2)の適切な反応条件は、パラジウム金属媒介反応条件の使用を含む。
【0152】
いくつかの実施形態において、Bはボロン酸またはボロン酸エステルである。いくつかの実施形態では、Bは、
【0153】
【0154】
いくつかの実施形態において、Bはボロン酸である。いくつかの実施形態では、Bは、
【0155】
【0156】
いくつかの実施形態において、Bはボロン酸エステルである。いくつかの実施形態では、Bは、
【0157】
【0158】
いくつかの実施形態において、プロセスはさらに、(4)ボロン酸またはボロン酸エステルをトリフルオロボレートに変換する工程を含む。いくつかの実施形態では実施形態、Bは、
【0159】
【化31】
である。いくつかの実施形態において、この変換は、KHF
2を用いて、ホウ素含有化合物を処理することにより達成される。tert-ブチル(1-(6-(3-シアノ-2-ヒドロキシフェニル)-3-(3,5-ジフルオロフェニル)キノリン-4-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(化合物A-VI)の合成
【0160】
【0161】
いくつかの実施形態において、化合物A-IVaは化合物A-IVaから合成される。いくつかの実施形態において、化合物A-VIaはA-IVaの2つの連続する鈴木反応を実施することにより調製される。いくつかの実施形態において、化合物A-IVaを、適切な溶媒中で、化合物1、適切なパラジウム触媒、適切なリガンド、および適切な塩基を用いる第1の鈴木反応中で反応させることで、化合物A-Vaを生成する。いくつかの実施形態において、化合物A-Vaを、適切な溶媒中で、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、適切なパラジウム触媒、適切なリガンド、および適切な塩基を用いる第2の鈴木反応中で反応させることで、化合物A-VIaを生成する。いくつかの実施形態において、化合物A-Vaは第2の鈴木反応の前に単離される。いくつかの実施形態において、化合物A-Vaは第2の鈴木反応の前には単離されない。PGがBocである場合、化合物A-Vaは化合物A-Vである。
【0162】
いくつかの実施形態において、鈴木反応中の適切な塩基は、アミン塩基および無機塩基を含む。鈴木反応に適切なアミン塩基としては、限定されないが、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(DBU)などが挙げられる。鈴木反応に適切な無機塩基としては、限定されないが、NaOAc、KOAc、Ba(OH)2、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、Na3PO4、K3PO4などが挙げられる。いくつかの実施形態において、各鈴木反応中の塩基は同じである。いくつかの実施形態において、各鈴木反応中の塩基は同じではない。いくつかの実施形態において、塩基の約1、2、3、4、5、あるいは6当量は、鈴木反応中で使用される。いくつかの実施形態において、化合物A-Vaが第2の鈴木反応の前に単離されない場合、追加の塩基は反応に添加されない。
【0163】
いくつかの実施形態において、各鈴木反応のパラジウムの量は約0.05当量未満である。いくつかの実施形態において、各鈴木反応のパラジウムの量は約0.05当量~約0.2当量である。いくつかの実施形態において、各鈴木反応のパラジウムの量は約0.05、0.1、0.15、または0.2当量である。いくつかの実施形態において、各鈴木反応のパラジウムの量は同じである。いくつかの実施形態において、各鈴木反応のパラジウムの量は同じではない。
【0164】
いくつかの実施形態において、適切なリガンドはパラジウム触媒に使用される。いくつかの実施形態では、リガンドはホスフィンリガンドである。いくつかの実施形態において、リガンドは、トリメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチル-ホスフィンなどの脂肪族ホスフィンリガンドである。いくつかの実施形態において、リガンドは、XPhos、SPhos、JohnPhos、Amphos、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィンなどの芳香族ホスフィンである。いくつかの実施形態において、リガンドは、トリメチルホスファイト、トリフェニルホスファイトなどのホスファイトリガンドである。いくつかの実施形態において、リガンドは、ジフェニルホスフィノメタン(dppm)、ジフェニルホスフィノエタン(dppe)、1、1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)などのビス-ホスフィンリガンドである。いくつかの実施形態において、各鈴木反応中のリガンドは同じである。いくつかの実施形態において、各鈴木反応中のリガンドは同じではない。
【0165】
いくつかの実施形態において、1つまたは両方の鈴木反応におけるパラジウム源は、Pd2(dba)3、Pd(PPh3)4などのPd(0)源である。いくつかの実施形態において、1つまたは両方の鈴木反応におけるパラジウム源は、PdCl2、Pd(OAc)2、PdCl2(PPh3)2、PdCl2(dppf)・DCM、PdCl2(Amphos)などのPd(II)源である。いくつかの実施形態において、各鈴木反応中のパラジウム源は同じである。いくつかの実施形態において、各鈴木反応中のパラジウム源は異なる。
【0166】
いくつかの実施形態において、1つまたは両方の鈴木反応中で使用される溶媒系は単一の溶媒である。いくつかの実施形態において、1つまたは両方の鈴木反応中で使用される溶媒系は共溶媒混合物である。いくつかの実施形態において、1つまたは両方の鈴木反応中で使用される溶媒系は、トルエン、DMF、アセトニトリル、EtOH、IPA、THF、ジオキサン、水、あるいはこれらの混合物である。いくつかの実施形態において、各鈴木反応中で使用される溶媒系は同じである。いくつかの実施形態において、各鈴木反応中で使用される溶媒系は同じではない。
【0167】
いくつかの実施形態において、1つまたは両方の鈴木反応中で使用される温度は、約50°~150℃、好ましくは約60℃~120℃である。いくつかの実施形態において、1つまたは両方の鈴木反応中で使用される温度は、80℃~85℃である。いくつかの実施形態において、1つまたは両方の鈴木反応中で使用される温度は、90℃~100℃である。いくつかの実施形態において、それぞれの鈴木反応は同じ温度で実施される。いくつかの実施形態において、それぞれの鈴木反応は異なる温度で実施される。
【0168】
いくつかの実施形態において、化合物A-Vaは反応間で単離される。いくつかの実施形態において、化合物A-Vaは反応間で単離されない。いくつかの実施形態において、それぞれの鈴木反応は同じ反応容器中で実施される。いくつかの実施形態において、それぞれの鈴木反応は、化合物A-Vaの単離なく、同じ反応容器中で実施される。いくつかの実施形態において、それぞれの鈴木反応は同じ溶媒中で実施される。いくつかの実施形態において、それぞれの鈴木反応は同じ塩基を用いて実施される。
【0169】
一態様では、2つの鈴木反応は、中間体A-Vaの単離なく、かつ、溶媒の除去なく、同じ反応容器中で連続的に実施され、ここで、第1の反応が完了した後、反応容器は第2のボロン酸の添加の前に冷まされ、その後、反応容器は第2の鈴木反応のために加熱される。いくつかの実施形態において、第2のパラジウム源および/またはリガンドに、第2のボロン酸が添加される。いくつかの実施形態において、いかなる追加のパラジウム源および/またはリガンドにも、第2のボロン酸は添加されない。いくつかの実施形態において、さらなる塩基は第2のボロン酸を用いる反応に添加される。いくつかの実施形態において、さらなる塩基は第2のボロン酸を用いる反応に添加されない。
【0170】
いくつかの実施形態において、1つまたは両方の鈴木反応の進行は、HPLCあるいはTLCによってモニタリングされる。
【0171】
いくつかの実施形態において、使用される溶媒系は、10:1のジオキサン:水である。いくつかの実施形態において、使用される塩基はK2CO3であり、塩基の4当量が使用される。いくつかの実施形態において、第1のパラジウム源はPdCl2(dppf)・CH2Cl2である。いくつかの実施形態において、第2のパラジウム源はPdCl2(Amphos)である。いくつかの実施形態において、第1の鈴木反応は約80-85℃で進む。いくつかの実施形態において、第2の鈴木反応は約90-100℃で進む。
【0172】
いくつかの実施形態において、化合物A-VIaは、不純物として検知可能な量の残留パラジウムを含有している。PGがBocである場合、化合物A-VIaは化合物A-VIである。
【0173】
いくつかの実施形態において、化合物A-VIの単離された生成物は、検知可能な量の未反応の化合物A-Vを含有している。いくつかの実施形態において、化合物A-VIのサンプルは、以下から選択された検知可能な量の不純物を含有している:
【0174】
【0175】
【0176】
いくつかの実施形態において、化合物A-VIは再結晶化によって精製される。いくつかの実施形態において、化合物A-VIは、適切な時間、適切な溶媒または溶媒混合物において加熱される。いくつかの実施形態において、化合物A-VIの純度は、このプロセスによって改善される(以下の表1を参照)。いくつかの実施形態において、再結晶化/スラリー化のこのプロセスは、化合物A-VIのサンプル中の残留パラジウムの量を取り除くか、減少させる。
【0177】
【0178】
上記の合成方法が遷移金属触媒を利用するという事実により、精製工程は生成物中のパラジウムの量を減らすために実施される。医薬品有効成分がパラジウム仕様ガイドラインを満たすように、生成物中のパラジウムの量を減らすための精製工程が行われる。(“Guideline on the Specification Limits for Residues of Metal Catalysts” European Medicines Agency Pre-authorisation Evaluation of Medicines for Human Use, London, January 2007, Doc. Ref. CPMP/SWP/QWP/4446/00 corr.).いくつかの実施形態において、生成物中のパラジウムの量を減らすための精製工程は、限定されないが、固体トリメルカプトトリアジン(TMT)を用いる処理、ポリスチレン結合TMT、メルカプト多孔性ポリスチレン結合TMT、ポリスチレン結合エチレンジアミン、活性炭、ガラスビーズスポンジ、Smopex(商標)、シリカ結合捕捉剤、チオール誘導体化シリカゲル、N-アセチルシステイン、n-Bu3P、結晶化、抽出、l-システイン、n-Bu3P/乳酸を含む(Garrett et al., Adv. Synth. Catal. 2004, 346, 889-900)。いくつかの実施形態において、活性炭は、限定されないが、DARCO(登録商標)KB-G、DARCO(登録商標)KB-WJを含む。一態様では、シリカ結合捕捉剤は、限定されないが、
【0179】
【0180】
【化36】
は、シリカゲルを示す。いくつかの実施形態において、パラジウムの量を減らすための精製工程は、活性炭、誘導体化シリカゲル(例えば、チオール誘導体化シリカゲル)、あるいはこれらの組み合わせの使用を含む。
【0181】
いくつかの実施形態において、A-VIは、残留パラジウムを取り除くために、金属捕捉剤でさらに処理される。いくつかの実施形態において、金属捕捉剤は、SiO2、木炭、L-システインの水溶液、Silicycle金属捕捉剤、Si-チオール、SiliaBond DMT、あるいはSiliaBondシステインを含む。いくつかの実施形態において、捕捉剤の充填(w/w)は1:3、1:2、あるいは1:1である。いくつかの実施形態において、金属捕捉剤はSi-チオールである。
【0182】
いくつかの実施形態において、反応から単離されるような粗製のA-VIは、金属捕捉剤で処理される。他のいくつかの実施形態では、再結晶化A-VIは、金属捕捉剤で処理される。これらの実施形態のいくつかにおいて、パラジウムレベルは検出不可能となるのに十分なほど低下する。
【0183】
いくつかの実施形態において、残存する重金属(例えば、パラジウム)不純物の存在は、当該技術分野で既知の方法を利用することによって判定される。いくつかの実施形態において、残存する重金属(例えば、パラジウム)不純物の存在は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)の使用によって判定される。いくつかの実施形態において、残存する重金属(例えば、パラジウム)不純物の存在は、米国薬局方のGeneral Chapter <231> Heavy Metalsに記載される技術の使用によって決定される。
【0184】
3-(4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル)-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル、二塩酸塩(化合物A-2HCl)の合成
【0185】
【0186】
いくつかの実施形態において、化合物A-VIは、化合物A-2HClを生成するために、適切な溶媒中で塩酸を用いて処理される。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、水、あるいはこれらの混合物である。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、あるいは酢酸イソプロピルである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はIPAである。
【0187】
化合物A-2HClからの化合物A-HClの調製
【0188】
【0189】
いくつかの実施形態において、化合物A-2HClを適切な溶媒中に溶かし、アンモニア水を用いて処理することで、化合物A-HClが生成される。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、IPA、水、酢酸メチル、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、溶媒は水である。いくつかの実施形態において、溶媒は、9:1、8:2、7:3、6:4、あるいは5:5の比率のIPA:水である。いくつかの実施形態において、溶媒は、9:1、8:2、7:3、6:4、あるいは5:5の比率の酢酸メチル:水である。いくつかの実施形態において、追加の炭酸水素ナトリウムが反応に添加される。いくつかの実施形態において、溶媒容量は、5、10、15、20、あるいは20を超える容量である。
【0190】
いくつかの実施形態において、水性アンモニア源は、飽和した塩化アンモニウム(28-30%)である。他の実施形態では、水性アンモニア源は25%である。いくつかの実施形態において、約1当量のアンモニアが添加される。いくつかの実施形態において、1当量未満、例えば0.8当量のアンモニアが添加される。いくつかの実施形態において、1当量未満、例えば1.25当量のアンモニアが添加される。いくつかの実施形態において、添加されたアンモニアの量は、溶液のpHをモニタリングすることにより決定される。いくつかの実施形態において、pHはアンモニア、重炭酸塩、あるいは水酸化物の添加により、約4-6に調整される。いくつかの実施形態において、pHはアンモニアの添加により調整される。いくつかの実施形態において、pHはアンモニアの添加により約4.5~4.7に調整される。
【0191】
いくつかの実施形態において、反応は、約30、35、40、45、50、55、あるいは60℃に加熱される。いくつかの実施形態において、反応は約45℃まで加熱される。いくつかの実施形態において、反応はアンモニアの添加前に加熱される。
【0192】
いくつかの実施形態において、水は加熱しながら反応混合物に添加される。いくつかの実施形態において、水は反応の終了時に反応混合物に添加される。いくつかの実施形態において、水は反応混合物に2時間かけて添加される。
【0193】
いくつかの実施形態において、スラリーは、化合物A-HClまたはその溶媒和物を単離するためにろ過される。
【0194】
他のいくつかの実施形態では、アンモニアは、化合物A-2HClを化合物A-HClに変換するためには必要ではない。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは、約10、約20、約30、約40、あるいは約50容量の水で撹拌される。いくつかの実施形態において、化合物A-2HClは約20~約50容量の水で撹拌される。いくつかの実施形態において、炭酸水素ナトリウムはpHを調整するために水混合物に添加される。いくつかの実施形態において、化合物A-HClはこの水混合物から固形物をろ過することで単離される。
【0195】
化合物A-2HClからの化合物Aの調製
【0196】
【0197】
いくつかの実施形態において、化合物Aの遊離塩基は、適切な溶媒中で適切な塩基を用いて化合物A-2HClを処理することによって作られる。いくつかの実施形態において、適切な塩基は水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は水である。いくつかの実施形態において、化合物Aの遊離塩基を単離するために、固形物が混合物からろ過される。
【0198】
化合物Aからの化合物A-HClの調製
【0199】
【0200】
いくつかの実施形態において、化合物A-HClは、適切な溶媒中で約1当量のHClを用いて遊離塩基を処理することにより生成される。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、水、アセトン、あるいはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、HCl源は、IPA中のHCl、トルエン中のHCl、MTBE中のHCl、あるいは水中のHClである。いくつかの実施形態において、化合物A-HClは、この反応混合物から固形物をろ過することで単離される。
【0201】
追加の化合物
別の態様において、式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、ジアステレオマー混合物、またはエナンチオマーが本明細書に記載されており:
【0202】
【化41】
式中、
R
aはF、Cl、あるいは-CH
3であり;
R
bは、水素、F、Cl、-CH
3、-CN、-OH、あるいは-OCH
3であり;
R
Bは、非置換または置換のフェニルあるいは非置換または置換のピリジニルであり、ここで、R
Bが置換される場合、R
BはR
cとR
dで置換され;
R
cは水素、F、Cl、Br、-CH
3、-CN、-OH、-OCH
3、-C(=NOCH
3)H、あるいは-C(=NOH)Hであり;
R
dは-OHあるいは-NH
2であり;および、
R
fはそれぞれ水素またはFである。
【0203】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、ジアステレオマー混合物、個々のエナンチオマー、またはプロドラッグを有する:
【0204】
【0205】
いくつかの実施形態において、RBは、表2に記載される通りである。
【0206】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、以下の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、ジアステレオマー混合物、または個々のエナンチオマーを有し:
【0207】
【化43】
ここで、R
a、R
b、およびR
Bは表2に記載される通りである。
【0208】
いくつかの実施形態では、Ra、Rb、およびRBは表2に記載される通りである。
【0209】
様々な変数について上に記載された基の任意の組み合わせが本明細書で企図される。明細書全体にわたって、基とその置換基は、安定した部分と化合物を提供するために当業者によって選択される。
【0210】
式(I)の典型的な化合物は、表2に記載される化合物を含む:
【0211】
【0212】
【0213】
表2の化合物が命名される:
1-1:2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3,5-ジフルオロフェニル)キノリン-6-イル}-6-[(1E)-(ヒドロキシイミノ)メチル]フェノール;
1-2:2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3-フルオロ-5-メチルフェニル)キノリン-6-イル}-4-[(1E)-(メトキシイミノ)メチル]ピリジン-3-アミン;
1-3:2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3-クロロ-5-フルオロフェニル)キノリン-6-イル}-4-[(1E)-(メトキシイミノ)メチル]ピリジン-3-アミン;
1-4:2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3-フルオロ-5-メチルフェニル)キノリン-6-イル}-3-アミノピリジン-4-カルボニトリル;
1-5:2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3-クロロ-5-フルオロフェニル)キノリン-6-イル}-3-アミノピリジン-4-カルボニトリル;
1-6:2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3,5-ジフルオロフェニル)キノリン-6-イル}-4-[(1E)-(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジン-3-アミン;
1-7:2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3-フルオロフェニル)キノリン-6-イル}-3-アミノピリジン-4-カルボニトリル;および、
1-8:2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3-フルオロフェニル)キノリン-6-イル}-4-メチルピリジン-3-アミン。
【0214】
いくつかの実施形態において、表2に記載される化合物の薬学的に許容可能な塩が本明細書で提供される。
【0215】
さらに、1-9:3-[4-(4-アミノピペリジン-1-イル)-5-フルオロ-3-(3-フルオロ-5-メチルフェニル)キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシベンゾニトリル、あるいはその薬学的に許容可能な塩が本明細書で提供される。
【0216】
【0217】
さらに、1-10:3-[4-(4-アミノピペリジン-1-イル)-7-フルオロ-3-(3-フルオロ-5-メチルフェニル)キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシベンゾニトリル、あるいはその薬学的に許容可能な塩が本明細書で提供される。
【0218】
【0219】
1つの態様において、本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態である。同様に、同じタイプの活性を有するこうした化合物の活性代謝物は、本開示の範囲内に含まれている。加えて、本明細書に記載される化合物は、非溶媒和形態だけでなく、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を含む溶媒和形態で存在することができる。本明細書に提示の化合物の溶媒和形態は、同様に本明細書で開示されるものとみなされる。
【0220】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、スキームBに記載されるとおりに調製される。
【0221】
【0222】
いくつかの実施形態において、化合物Iは、Et3NまたはDIEAの存在下において、クロロ上の対応する環状アミンとの求核交換によって化合物IIに変換される。RBB(OH)2あるいはそのボロン酸エステルを用いる選択的な鈴木-宮浦反応は、化合物IVを生成し、これは、ボロン酸エステル(化合物III)の形成による2段階配列と、その後のRBX(X=Cl、Br、あるいはI)を用いる選択的な鈴木-宮浦反応によって調製可能である。RA(OH)2あるいはそのボロン酸エステルを用いる鈴木-宮浦反応、および、その後の酸などの適切な脱保護方法を使用する全保護基の除去によって、化合物Vが形成される。
【0223】
いくつかの実施形態において、上記の方法から得られた化合物は、ラセミ体またはジアステレオマーの混合物として調製される。他のいくつかの実施形態では、化合物のラセミ混合物は、キラルHPLC、キラル超臨界流体クロマトグラフィー系(SFC)、擬似移動床クロマトグラフィー(SMB)など一般的なキラル分離方法の使用によって、光学的に純粋な(光学的に富化された)異性体を得るために分離される。
【0224】
他のいくつかの実施形態では、化合物のジアステレオマー混合物は、結晶化方法、あるいは、シリカゲルクロマトグラフィーなどの一般的な非キラルクロマトグラフィー方法、あるいは、キラルHPLC、キラル超臨界流体クロマトグラフィー系(SFC)、擬似移動床クロマトグラフィー(SMB)などのキラルクロマトグラフィー方法の使用によって、光学的に純粋な(光学的に富化された)異性体を得るために分離される。
【0225】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は実施例で概説されるように合成される。
【0226】
「薬学的に許容可能な」とは、本明細書で使用されるように、担体または希釈剤などの材料を指し、これは、化合物の生物学的活性あるいは特性を抑制せず、比較的無毒であり、つまり、この材料は望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、あるいはそれが含まれている組成物の成分のいずれにも有害なやり方で相互作用することなく、個体に投与される。
【0227】
「薬学的に許容可能な塩」との用語は、適切なアニオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のカチオンの形態、あるいは代替的な実施形態では、適切なカチオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のアニオンの形態からなる、治療上有効な薬剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use. International Union of Pure and Applied Chemistry, Wiley-VCH 2002. S.M. Berge, L.D. Bighley, D.C. Monkhouse, J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19. P. H. Stahl and C. G. Wermuth, editors, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use, Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA, 2002.薬学的な塩は、典型的には非イオン種よりも溶けやすく、胃液および腸液中では急速に溶けやすく、ゆえに、固体剤形に有用である。さらに、その溶解度がしばしばpHに応じたものであるため、消化管の1つまたは別の部分における選択的な溶解が可能であり、こうした能力は遅延放出および徐放の挙動の1つの態様として操作可能である。さらに、塩成形分子が中性の形態と平衡状態にあり得るため、生体膜の通過を調節することができる。
【0228】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、本明細書で開示される化合物を酸と反応させることにより得られる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物(つまり、遊離塩基形態)は塩基性であり、有機酸または無機酸と反応させる。無機酸としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、およびメタリン酸が挙げられる。有機酸は、限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2,2-ジクロロ酢酸;2-ヒドロキシエタンスルホン酸;2-オキソグルタール酸;4-アセトアミド安息香酸;4-アミノサリチル酸;酢酸;アジピン酸;アスコルビン酸(L);アスパラギン酸(L);ベンゼンスルホン酸;安息香酸;樟脳酸(+);カンフル-10-スルホン酸(+);カプリン酸(デカン酸);カプロン酸(ヘキサン酸);カプリル酸(オクタン酸);炭酸;桂皮酸;クエン酸;シクラミン酸;ドデシル硫酸;エタン-1,2-ジスルホン酸;エタンスルホン酸;ギ酸;フマル酸;ガラクタル酸;ゲンチシン酸;グルコヘプトン酸(D);グルコン酸(D);グルクロン酸(D);グルタミン酸;グルタル酸;グリセロリン酸;グリコール酸;馬尿酸;イソ酪酸;乳酸(DL);ラクトビオン酸;ラウリン酸;マレイン酸;リンゴ酸(-L);マロン酸;マンデル酸(DL);メタンスルホン酸;ナフタレン-1,5-ジスルホン酸;ナフタレン-2-スルホン酸;ニコチン酸;オレイン酸;シュウ酸;パルミチン酸;パモ酸;リン酸;プロピオン酸;ピログルタミン酸(-L);サリチル酸;セバシン酸;ステアリン酸;コハク酸;硫酸;酒石酸(+L);チオシアン酸;トルエンスルホン酸(p);および、ウンデシレン酸を含む。
【0229】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される化合物は、塩化物塩、硫酸塩、臭化物塩、メシレート塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、あるいはリン酸塩として調製される。
【0230】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、本明細書で開示される化合物を塩基と反応させることにより得られる。こうした状況下で、本明細書で開示される化合物の酸性プロトンは、金属イオン、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、あるいはアルミニウムイオンと取り替えられる。いくつかの場合、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メグルミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基と協働する。他の場合では、本明細書に記載される化合物は、アルギニン、リジンなどのアミノ酸とともに塩を形成する。酸性プロトンを含む化合物とともに塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基は、限定されないが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、N-メチルグルカミン塩、またはアンモニウム塩として調製される。
【0231】
薬学的に許容可能な塩に対する言及は、溶媒付加形態を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態では、溶媒和物は溶媒の化学量論または非化学量論のいずれかを含み、水、エタノールなどのような薬学的に許容可能な溶媒を用いる結晶化のプロセスの間に形成される。水和物は溶媒が水である場合に形成され、アルコラートは溶媒がアルコールの際に形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセスの間に都合よく調製されるか、または形成される。加えて、本明細書で提供される化合物は随意に、溶媒和形態と同様に非溶媒和形態で存在する。
【0232】
ヒトなどの哺乳動物に投与可能な治療薬は、以下の規制ガイドラインに従って調製されなければならない。こうした政府により規制されたガイドラインは医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理規則(GMP)と呼ばれる。GMPガイドラインは、例えば最終生産物中の残留溶媒の量などの活性な治療薬の許容可能な汚染レベルを概説したものである。好ましい溶媒は、GMP設備での使用に適しており、産業上の安全性に係る懸念に矛盾しない。溶媒のカテゴリーは、例えば、International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH),”Impurities: Guidelines for Residual Solvents,Q3C(R3),(November 2005)で定義されている。
【0233】
溶媒は3つのクラスへ分類される。クラス1の溶媒は毒性であり、避けるべきものとされている。クラス2の溶媒は治療薬の製造中の使用に制限された溶媒である。クラス3の溶媒は潜在的に低毒性あり、ヒトの健康に対するリスクが低い溶媒である。クラス3の溶媒のデータは、それが急性または短期の研究において毒性が低く、遺伝毒性試験でも陰性であることを示す。
【0234】
回避されるべきクラス1の溶媒は次のものを含む:ベンゼン;四塩化炭素;1,2-ジクロロエタン;1,1-ジクロロエテン;および、1,1,1-トリクロロエタン。
【0235】
クラス2の溶媒の例は:アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、2-エトキシエタノール、エチレングリコール、フォルムアミド、ヘキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N-メチルピロリジン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1,1,2-トリクロロエテン、およびキシレンである。
【0236】
低毒性を持つクラス3の溶媒は:酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、イソブチルアセテート、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、およびテトラヒドロフランを含む。
【0237】
医薬品有効成分(API)中の残留溶媒は、APIの製造に由来する。場合によっては、溶媒は実際の製造技術によっては完全には取り除かれない。APIの合成のための溶媒の適切な選択により、収率が増強されることもあれば、結晶形、純度、および溶解性のような特性が決定されることもある。したがって、溶媒は合成プロセスでは重大な意味を持つパラメータである。
【0238】
いくつかの実施形態において、化合物Aあるいはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物は、有機溶媒を含む。いくつかの実施形態において、化合物Aあるいはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物は、残留量の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態において、化合物Aあるいはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物は、残留量のクラス3の溶媒を含む。いくつかの実施形態では、クラス3の溶媒は、酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、およびテトラヒドロフランからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、クラス3の溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、ヘプタン、イソプロパノール、およびエタノールから選択される。
【0239】
いくつかの実施形態において、化合物Aあるいはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物は、検知可能な量の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態において、化合物Aの薬学的に許容可能な塩は、HCl塩(つまり、化合物A-HCl)である。いくつかの実施形態では、有機溶媒はクラス3の溶媒である。
【0240】
他の実施形態では、化合物Aあるいはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物があり、ここで、組成物は、約1%未満である検出が可能な量の溶媒を含み、溶媒はアセトン、1,2-ジメトキシエタン、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、ヘプタン、および2-プロパノールから選択される。さらなる実施形態において、化合物Aあるいはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物があり、組成物は、約5000ppm未満の検出可能な量の溶媒を含む。さらなる実施形態において、化合物Aを含む組成物であり、検知可能な量の溶媒は、約5000ppm未満、約4000ppm未満、約3000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、または約100ppm未満である。
【0241】
本明細書で記載される方法および製剤は、本明細書で開示される構造を有する化合物のN-オキシド(適切である場合)あるいは薬学的に許容可能な塩と、同様に、同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性代謝物の使用も含む。
【0242】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される化合物の有機ラジカル(例えば、アルキル基、芳香族環)の部位は、様々な代謝反応に弱い。有機ラジカルへの適切な置換基の取り込みにより、この代謝経路は減らされ、最小限に抑えられ、または除去される。特定の実施形態では、代謝反応に対する芳香環の感受性を減らすか、または取り除くための適切な置換基は、一例として、ハロゲン、重水素、アルキル基、ハロアルキル基、またはジュウテロアルキル基である。
【0243】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、同位体で(例えば、放射性同位体で)、あるいは、限定されないが、発色団あるいは蛍光性部分、生物発光標識、または化学発光標識の使用を含む他の手段によって、標識される。
【0244】
本明細書で記載される化合物は同位体標識された化合物を含み、これは、1つ以上の原子が自然界で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子と取り替えられるという事実を除けば、本明細書で提示される様々な式と構造において詳述されるものと同一である。本化合物に組み込むことが出来る同位体の例としては、例えば、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Cl、123I、124I、125I、131I、32P、および33Pなどの、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素、塩素、ヨウ素、リンなどの同位体が挙げられる。1つの態様では、本明細書に記載される同位体標識された化合物、例えば、3Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれる化合物は、薬物および/または基質組織の分布アッセイに有用である。1つの態様では、重水素などの同位体での置換は、例えば、望ましくない代謝物を減少させるためのインビボ半減期の増加または代謝経路の変更、あるいは投与量要件の減少などの、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点をもたらす。
【0245】
いくつかの実施形態において、化合物A上の1つ以上の水素原子は、重水素と交換される。いくつかの実施形態において、重水素での置換は、例えば、インビボ半減期の増加または投与量要件の減少などのより大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点をもたらす。
【0246】
1つの態様において、以下の構造を有する化合物が記載される:
【0247】
【化47】
ここで、Rはそれぞれ、水素または重水素、あるいはその薬学的に許容可能な塩から独立して選択される。
【0248】
いくつかの実施形態において、化合物の薬学的に許容可能な塩は、HCl塩である。いくつかの実施形態において、化合物の薬学的に許容可能な塩は、DCl塩である。
【0249】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される化合物は、1つ以上の立体中心を有し、各立体中心はRあるいはS配置のいずれかで独立して存在する。例えば、いくつかの実施形態では、1つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はR配置で存在する。他の実施形態では、1つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はS配置で存在する。いくつかの実施形態では、2つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はRR配置で存在する。他の実施形態では、2つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はRS配置で存在する。他の実施形態では、2つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はSS配置で存在する。他の実施形態では、2つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はSR配置で存在する。
【0250】
本明細書で提示される化合物は、すべてのジアステレオマー形態、個々のエナンチオマー、アトロプ異性体、およびエピマー形態と、これらの適切な混合物を含む。本明細書で提供される化合物と方法は、すべてのシス(cis)、トランス(trans)、syn、anti、entgegen(E)、およびzusammen(Z)の異性体と、これらの適切な混合物を含む。
【0251】
個々の立体異性体は、立体選択的な合成および/またはキラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離、あるいは、非キラルまたはキラルクロマトグラフィーカラムによるジアステレオマーの分離、あるいは、適切な溶媒あるいは溶媒の混合物中での結晶化および再結晶化などの方法によって、望ましい場合に得られる。特定の実施形態では、本明細書で開示される化合物は、一対のジアステレオマー異性体化合物/塩を形成するために、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回復させることによって、その個々の立体異性体として調製される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物の個々のエナンチオマーの分解は、本明細書に記載される化合物の共有結合のジアステレオマー誘導体を用いて実行される。別の実施形態では、本明細書で開示される化合物のジアステレオマーは、溶解度の差に基づいて分離/分解技術によって分離される。他の実施形態では、本明細書で開示される立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによって、またはジアステレオマー塩の分離、および再結晶化またはクロマトグラフィーまたはその任意の組み合わせによる分離によって行われる。Jean Jacques,Andre Collet,Samuel H.Wilen,“Enantiomers,Racemates and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981.いくつかの実施形態では、立体異性体は立体選択的な合成によって得られる。
【0252】
ラセミ混合物の個々のエナンチオマーの分離は、キラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)またはキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の使用によって行うことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるエナンチオマーは、キラルSFCまたはキラルHPLCの使用によって互いから分離される。いくつかの実施形態において、1つ以上のキラル中心(例えば、化合物、本明細書に開示される、トランス-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]モルホリン-6-イルを含む)を含む本明細書で開示される化合物は、キラルSFCあるいはキラルHPLCを使用して、個々のエナンチオマーへ分離される。様々な条件と適切なカラムが利用可能である。
【0253】
Daicel多糖キラル固定相(CSP)は、キラルのSFC分離に使用されるカラムの中にある。いくつかの実施形態において、Daicel分析固定化およびコーティングCHIRALPAKとCHIRALCEL HPLCカラムが、SFC分析に使用することができる。
【0254】
いくつかの実施形態において、SFCカラムを使用する適切性のためのスクリーニングは、様々な濃度の有機修飾剤(organic modifier)で、4つの主な固定相(CHIRALPAK IA、IB、IC、およびID)と、4つの主なコーティングされたカラム(CHIRALPAK ADおよびASと、CHIRALCEL ODおよびOJ)で行われる。限定されないが、ODとOJ、OXとOZ塩素化相、および、OA、OB、OC、OF、OG、ならびにOKを含む一連の相補的なセルロースベースのCHIRALCEL相を含む様々なカラム相が利用可能である。
【0255】
エナンチオマーの分離で使用するために企図されたキラルセレクタの非限定的な例は、アミロース トリス(3,5-ジメチルフェニルカルバメート)、セルロース トリス(3,5-ジメチルフェニルカルバメート)、セルロース トリス(3,5-ジクロロフェニルカルバメート)、アミロース トリス(3-クロロフェニルカルバメート、アミロース トリス(3,5-ジクロロフェニルカルバメート)、アミロース トリス(3-クロロ,4-メチルフェニルカルバメート)、アミロース トリス((S)-アルファ-メチルベンジルカルバメート)、アミロース トリス(5-クロロ-2-メチルフェニルカルバメート)、セルロース トリス(4-安息香酸メチル)、セルロース トリス(4-クロロ-3-メチルフェニルカルバメート)、およびセルロース トリス(3-クロロ-4-メチルフェニルカルバメート)。
【0256】
エナンチオマーの分離で使用するために企図されるキラルカラムの非限定的な例は、CHIRALPAK IA SFC、CHIRALPAK AD-H SFC、CHIRALPAK IB SFC、CHIRALCEL OD-H SFC、CHIRALPAK IC SFC、CHIRALPAK ID SFC、CHIRALPAK IE SFC、CHIRALPAK IF SFC、CHIRALPAK AZ-H SFC、CHIRALPAK AS-H SFC、CHIRALPAK AY-H SFC、CHIRALCEL OJ-H SFC、CHIRALCEL OX-H SFC、およびCHIRALCEL OZ-H SFCを含む。
【0257】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物上での置換基の同一性と配置は、望ましくない活性を最小限に抑えるのを助ける。例えば、いくつかの実施形態では、望ましくない活性は望ましくないhERG阻害を含む。いくつかの実施形態において、芳香族環上のヒドロキシル基と隣接するシアノ基の存在は、両方の基が存在しないこと、隣接するシアノ基のない水酸基の存在、あるいは隣接する水酸基のないシアノ基の存在と比較して、望ましくないhERG阻害を大幅に減らす。例えば、いくつかの実施形態では、RBが置換または非置換の2-ヒドロキシ-3-シアノフェニルであるとき、望ましくないhERG阻害の有意な減少が観察される。
【0258】
追加のまたはさらなる実施形態において、本明細書に記載される化合物は、必要に応じて生物体への投与時に代謝されことで代謝物質が精製され、これは所望の治療効果を含む所望の効果をもたらすために使用される。
【0259】
本明細書で開示される化合物の「代謝産物」は、化合物が代謝される際に形成されるその化合物の誘導体である。「活性代謝物」との用語は、化合物が代謝されるときに形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。「代謝される(metabolized)」との用語は、本明細書で使用されるように、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(限定されないが、加水分解反応および酵素によって触媒される反応を含む)の全体を指す。したがって、酵素は、化合物への具体的な構造的変化をもたらし得る。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の移動を触媒する。本明細書で開示される化合物の代謝産物は随意に、宿主への化合物の投与および宿主からの組織サンプルの解析、または肝細胞を用いた化合物のインビトロでのインキュベーション、およびその結果生じる化合物の解析のいずれかによって特定される。
【0260】
特段の定めのない限り、本出願で使用される以下の用語の定義を下に示す。用語「含むこと(including)」に加えて、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含んだ(included)」などの他の形態の使用は、限定しない。本明細書に使用される段落の見出しは、組織化するためのものに過ぎず、記載される主題を制限するものと解釈されてはならない。
【0261】
「ハロ」との用語、あるいは代替的に「ハロゲン」または「ハロゲン化物」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、あるいはヨードを意味する。いくつかの実施形態では、ハロはフルオロ、クロロ、またはブロモである。
【0262】
「結合」あるいは「単結合」との用語は、結合によって結合された原子がより大きな下部構造の一部であると考えられるときの2つの原子間あるいは2つの部分間の化学結合を指す。1つの態様では、本明細書に記載される基が単結合であるときに、参照された基は存在せず、それによって、残りの特定された基の間での単結合の形成が可能になる。
【0263】
「部分」との用語は、分子の特定のセグメントまたは官能基を指す。化学的部分は、分子に埋め込まれたまたは付加された化学物質と認識されることが多い。
【0264】
本明細書で使用されるような、製剤、組成物、または成分に関する「許容可能な」との用語は、処置されている被験体の健康状態に対して持続的な有害効果がないことを意味する。
【0265】
本明細書で使用されるような「調節する(modulate)」との用語は、ほんの一例として、標的の活性を増強する、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を拡大することを含み、標的の活性を変更するように、直接または間接に標的と相互作用することを意味する。
【0266】
本明細書で使用されるような「モジュレーター」との用語は、直接または間接に標的と相互作用する分子を指す。相互作用は、限定されないが、アゴニスト、部分アゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、分解剤(degrader)、またはそれらの組み合わせの相互作用を含む。いくつかの実施形態では、モジュレーターはアゴニストである。
【0267】
本明細書で使用されるような「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、「投与(administration)」などの用語は、生物学的作用の望ましい部位への化合物または組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注入(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、または点滴を含む)、局所投与、および直腸投与を含む。当業者は、本明細書に記載される化合物および方法を用いて使用され得る投与技術に精通している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、経口で投与される。
【0268】
「同時投与」などの用語は、本明細書で使用されるように、一人の患者に対する選択された治療薬の投与を包含することを意味しており、同じあるいは異なる投与経路によって、または同じあるいは異なる時間に、薬剤が投与される治療レジメンを含むことを意図している。
【0269】
「有効な量」あるいは「治療上有効な量」という用語は、本明細書で使用されるように、処置されている疾患または疾病の症状の1つ以上をある程度まで軽減する、投与されている十分な量の薬剤あるいは化合物を指す。結果は、疾患の徴候、症状、または原因の減少および/または緩和、あるいは生体系の他の所望の変化を含む。例えば、治療用途のための「有効な量」は、疾患症状を臨床的に有意に減少させるために必要とされる、本明細書に開示されるような化合物を含む組成物の量である。個々のケースでの適切な「有効な」量は、用量漸増試験などの技術を使用して随意に決定される。
【0270】
「増強する(enhance)」あるいは「増強すること(enhancing)」との用語は、本明細書で使用されるように、効能または持続時間のいずれかにおいて所望の効果を増加させるか延長することを意味する。したがって、治療薬の効果を増強することに関して、用語「増強する」は、効能または持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療薬の効果を増大させるまたは延長する能力を指す。本明細書で使用されるような「増強有効量」は、望ましい系において別の治療薬の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0271】
本明細書で使用されるような「薬学的な組み合わせ(pharmaceutical combination)」との用語は、1つを超える有効成分の混合または併用に起因し、かつ、有効成分の固定されたおよび固定されていない組み合わせを含む生成物を意味する。「固定された組み合わせ」との用語は、有効成分、例えば、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、単一の実体または用量の形態で同時に患者に両方とも投与されることを意味する。「固定されていない組み合わせ」との用語は、有効成分、例えば、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、特定の介在する時間制限なく、同時に、同時発生的に、また連続して、別々の実体として患者に投与されることを意味し、こうした投与は、患者の身体に有効レベルの2つの化合物を提供する。後者の用語はカクテル療法、例えば、3以上の有効成分の投与にも当てはまる。
【0272】
「製品」および「キット」との用語は、同義語として使用される。
【0273】
「被験体」または「患者」との用語は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例は、限定されないが、以下の哺乳動物のクラスのメンバーを含む:ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、および他の類人猿ならびにサル類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物、ラット、マウスおよびモルモットなどの、げっ歯類を含む実験動物。1つの態様では、哺乳動物はヒトである。
【0274】
「処置する」、「処置すること」、あるいは、「処置」との用語は、本明細書で使用されるように、疾患または疾病の少なくとも1つの症状を緩和するか、軽減するか、あるいは改善すること、追加の症状を防ぐこと、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の発現を抑えること、疾患または疾病を軽減すること、疾患または疾病の退行を引き起こすこと、疾患または疾病によって引き起こされた状態を軽減すること、あるいは疾患または疾病の症状を予防的におよび/または治療的に止めることを含む。
【0275】
医薬組成物
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、医薬組成物へ製剤化される。医薬組成物は、薬学的に使用される調製物への活性化合物の処理を促進する1つ以上の薬学的に許容可能な不活性成分を使用して、従来の方法で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。本明細書に記載される医薬組成物の要約は、例えば:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed(Easton,Pa.: Mack Publishing Company, 1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975、Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York,N.Y.,1980、および、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)これらは、そのような開示のために引用によって本明細書に組み込まれる。
【0276】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、単独で、あるいは、医薬組成物において、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と組み合わせて、投与される。本明細書に記載される化合物および組成物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする方法によって達成され得る。これらの方法は、限定されないが、腸内経路(経口、胃または十二指腸の栄養管、肛門坐剤および直腸の浣腸を含む)、非経口経路(動脈内、心臓内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、鞘内、血管内、静脈内、硝子体内、硬膜外および皮下を含む、注射または注入)、吸入、経皮、経粘膜、舌下、頬側、および局所(上皮、真皮、浣腸、点眼、点耳、鼻腔内、膣を含む)の投与を介した送達を含むが、最も適切な経路は、例えば、レシピエントの疾病または障害に左右され得る。ほんの一例として、本明細書に記載される化合物は、例えば、手術中の局所注入、クリーム剤または軟膏剤などの局所適用、注射、カテーテル、または移植によって、処置を必要としている領域へと局所的に投与され得る。投与は病変組織または臓器の部位での直接注射によるものでもあり得る。
【0277】
いくつかの実施形態において、経口投与に適した医薬組成物は、各々があらかじめ決められた量の有効成分を含む、カプセル、カシェ、あるいは錠剤などの分散単位として、粉末または顆粒として;水性液または非水性の液体中の溶液または懸濁液として;あるいは、水中油型エマルションまたは油液中の油中水型エマルションとして提示される。いくつかの実施形態では、有効成分は、ボーラス剤(bolus)、舐剤、あるいはペースト剤として提供される。
【0278】
経口で使用することができる医薬組成物は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル、同様に、ゼラチンとグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤とで作られた密封されたソフトカプセルを含む。錠剤は、随意に1つ以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られてもよい。圧縮錠剤は、随意に結合剤、不活性希釈剤、平滑剤、表面活性剤または分散剤と混合して、粉末または顆粒などの自由流動形態で有効成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。湿製錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作られ得る。いくつかの実施形態では、錠剤はコーティングされるかスコア化され、製剤化されることで、その中の有効成分の遅延放出または制御放出をもたらす。経口投与のためのすべての製剤はこうした投与に適した量でなければならない。押し出し型のカプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/または滑石またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および随意に安定化剤と組み合わせて活性成分を含むことができる。ソフトカプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体のポリエチレングリコールなどの、適切な液体中に溶解または懸濁され得る。いくつかの実施形態では、安定剤が加えられる。糖衣錠コアは適切なコーティングと共に提供される。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用されてもよく、これは随意に、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合液を含有し得る。染料または色素は、識別のために、または活性化合物の投与量の様々な組み合わせを特徴付けるために、錠剤またはドラゼーコーティングに加えられ得る。
【0279】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、例えば、ボーラス注入または持続注入などの注入によって非経口投与のために製剤化される。注入のための製剤は、追加の保存剤とともに、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回投与用容器で提供されてもよい。組成物は、油性または水性のビヒクル中で懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの調合剤を含有し得る。組成物は、単位投与用また複数回投与用の容器、例えば、密封したアンプルおよびバイアル中に提供されてもよく、粉末形態で保存されることもあれば、、使用の直前に無菌の液体担体、例えば、生理食塩水または発熱性物質を含まない蒸留水の追加しか必要としない冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保存されることもある。即席の注射液および懸濁液は、上に記載された種類の無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製されてよい。
【0280】
非経口投与のための医薬組成物は、製剤を所望のレシピエントの血液と等張にする抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および溶質を含み得る、活性化合物の水性および非水性(油性)の無菌注入溶液、および、懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の無菌の懸濁液を含む。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性の注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘度を増加させる物質を含み得る。随意に、懸濁液は、高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤または薬剤も含んでもよい。
【0281】
医薬組成物はデボー製剤としても製剤化され得る。そのような長時間作用型の製剤は、移植によって(例えば皮下または筋肉内)または筋肉内注射によって投与されてもよい。したがって、例えば、化合物は、適切な高分子材料または疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂で、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化されてもよい。
【0282】
頬側投与または舌下投与については、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤、ロゼンジ、パステル剤、あるいはゲル剤の形態をとり得る。そのような組成物は、スクロースおよびアカシアまたはトラガントなどの香味をつけた(flavored)主成分中の有効成分を含み得る。
【0283】
医薬組成物は局所的に、すなわち、非全身投与によって投与され得る。これは、化合物が血流に大量に入ることのないように、外部の表皮または頬腔への本発明の化合物の適用、および上記化合物の耳、目、および鼻への滴下を含む。対照的に、全身投与とは経口、静脈内、腹腔内、および筋肉内の投与を指す。
【0284】
局所投与に適した医薬組成物は、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、あるいはペースト剤、および、目、耳、あるいは鼻への投与に適した液滴などの、皮膚を通って炎症部位へ浸透するのに適した液体あるいは半液体の製剤を含む。有効成分は、局所投与のために製剤の0.001%-10%w/w、例えば、1重量%-2重量%を含み得る。
【0285】
吸入による投与のための医薬組成物は、注入器、噴霧器、加圧されたパック、あるいはエアロゾルスプレーを送達する他の便利な手段から便利よく送達される。加圧されたパックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体などの、適切な噴霧剤(propellant)を含み得る。加圧されたエアロゾルの場合、投与単位は、測定された量を送達するためのバルブを設けることによって決定され得る。代替的に、吸入または通気による投与のために、製剤は、乾燥粉組成物、例えば、化合物の粉末混合物、およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤の形態をとり得る。粉末組成物は、粉末が吸入器または注入器を用いて投与され得る単位剤形、例えば、カプセル剤、カートリッジ、ゼラチン、またはブリスターパックで提供され得る。
【0286】
例えば、とりわけ上で言及された成分に加えて、本明細書に記載される化合物と組成物は、問題の製剤のタイプを考慮して当該技術分野で従来の他の薬剤を含むことがあり、例えば、経口投与に適した薬剤は香料を含むことがあることを理解されたい。
【0287】
投薬方法と処置レジメン
1つの実施形態において、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、ソマトスタチン活性の調節から利益を得ることになる哺乳動物における疾患または疾病の処置のための薬物の調製に使用される。そのような処置を必要としている哺乳動物において本明細書に記載される疾患または疾病のいずれかを処置するための方法は、本明細書で開示される少なくとも1つの化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、活性代謝物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な溶媒和物を、治療上有効な量で哺乳動物に投与する工程を含む。
【0288】
特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物を含む組成物は、予防的および/または治療的な処置のために投与される。特定の治療用途では、組成物は、疾患または疾病の症状の少なくとも1つを治癒するまたは少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、疾患または疾病に既に苦しんでいる患者に投与される疾病。この使用に有効な量は、疾患または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬物に対する反応、並びに処置する医師の判断に依存する。治療上有効な量は、限定されないが、用量漸増および/または投与量決定の臨床試験を含む方法によって随意に決定される。
【0289】
予防的な用途では、本明細書に記載される化合物を含む組成物は、特定の疾患、障害、あるいは疾病になりやすい、あるいはそのリスクのある患者に投与される。このような量は、「予防上有効な量または投与量」であると定義される。この用途では、正確な量は患者の健康状態、体重などによっても変わる。患者に使用される際、この使用のための有効な量は、疾患、障害、または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する反応、並びに処置する医師の判断に依存する。1つの態様では、予防処置は、疾患または疾病の症状の再発を防ぐために、処置されている疾患の少なくとも1つの症状を以前に経験し、現在寛解期にある哺乳動物に、本明細書で開示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む。
【0290】
患者の状態が改善しない特定の実施形態において、医師の裁量で、化合物の投与は、患者の疾患または疾病の症状を寛解させるか、あるいは抑制または制限するために、慢性的に、すなわち、患者の一生涯を含む長期間にわたって投与される。
【0291】
いったん患者の状態が改善すると、必要に応じて維持用量が投与される。続いて、具体的な実施形態では、投与の用量または頻度、あるいはその両方は、症状に応じて、改善された疾患、障害、または疾病が保持されるレベルまで減少される。しかしながら、特定の実施形態では、患者は、症状の再発で長期間にわたって断続的な処置を必要とする。
【0292】
そのような量に相当する所定の薬剤の量は、特定の化合物、疾患の状態およびその重症度、治療を必要とする被験体または宿主の独自性(例えば、体重、性別)などの因子に依存して変わるが、それにもかかわらず、例えば、投与されている特定の薬剤、投与経路、処置されている疾病、および処置されている被験体または宿主を含むそのケースを取り巻く特別な状況に応じて決定される。
【0293】
しかしながら、一般に、成人のヒトの処置に使用される投与量は典型的には、1日当たり0.01mg-2000mgの範囲である。1つの実施形態では、所望の投与量は、単回投与で、あるいは、同時にまたは適切な間隔で投与される分割量で、例えば、1日当たり2、3、4回またはそれ以上のサブ用量として、好適に提供される。
【0294】
1つの実施形態において、本明細書で開示される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩に適切な毎日の投与量は、体重1kg当たり約0.01-約50mgである。いくつかの実施形態において、剤形中の有効成分の毎日の投与量は、個々の処置レジメンに関する多くの変数に基づいて、本明細書に示される範囲より少なくなるかまたは高くなる。様々な実施形態では、毎日の投与量および単位用量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患または疾病、投与の様式、個々の被験体の必要条件、処置されている疾患または疾病の重症度、および医師の判断を含む、多くの変数に依存して変更される。
【0295】
こうした治療レジメンの毒性と治療の有効性は、限定されないが、LD50とED50の決定を含む、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定される。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これは、LD50とED50との間の比率として表される。特定の実施形態では、細胞培養アッセイと動物研究から得られたデータは、ヒトを含む哺乳動物で使用するための治療上有効な毎日の投与量範囲および/または治療上有効な単位用量の製剤で使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の毎日の投与量は、最小限の毒性のED50を含む血中濃度の範囲内にある。特定の実施形態では、毎日の投与量範囲および/または単位用量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変動する。
【0296】
前述の態様のいずれかにおいて、さらなる実施形態では、本明細書で開示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効な量は、(a)哺乳動物に全身に投与され、および/または、(b)哺乳動物に経口で投与され、および/または、(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または、(d)哺乳動物に注入によって投与される、および/または、(e)哺乳動物に局所的に投与される、および/または、(f)哺乳動物に非全身的または局所的に投与される、さらなる実施形態がある。
【0297】
前述の態様のいずれかにおいて、(i)化合物が一日に一度投与される、または、(ii)化合物が1日にわたって哺乳動物に複数回投与される、さらなる実施形態を含む、有効な量の化合物の単回投与を含むさらなる実施形態がある。
【0298】
前述の態様のいずれかにおいて、(i)化合物が継続的にあるいは断続的に単回投与でのように投与され;(ii)複数回投与の間隔が6時間ごとであり、(iii)化合物が8時間ごとに哺乳動物に投与される、(iv)化合物が12時間ごとに哺乳動物に投与される、(v)化合物が24時間ごとに哺乳動物に投与される、さらなる実施形態を含む、有効な量の化合物の複数回投与を含むさらなる実施形態がある。さらなるまたは代替的な実施形態において、方法は、休薬期間を含み、ここで、化合物の投与は一時的に中断されるか、または投与されている化合物の量は、一時的に減らされ、休薬期間の終わりに、化合物の投与が再開される。1つの実施形態において、休薬期間の長さは2日から1年と様々である。
【0299】
併用療法
特定の例では、本明細書で開示される少なくとも1つの化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩を、1つ以上の他の治療薬と組み合わせて投与することが適切である。
【0300】
1つの実施形態において、本明細書に記載される化合物の1つの治療効果は、アジュバントの投与によって増強される(つまり、アジュバントはそれ自体では最小限の治療的利点しか有していないが、別の治療薬と組み合わせると、患者への全体的な治療上の利点が増強される)。あるいは、いくつかの実施形態では、患者が受ける効果は、本明細書に記載される化合物の1つを、同様に治療効果を有する別の薬剤(これは治療レジメンも含む)とともに投与することによって増加する。
【0301】
1つの特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩は、第2の治療薬と同時投与され、ここで、本明細書で開示される化合物あるいはその薬学的に可能な塩と第2の治療薬は、処置されている疾患、障害、または疾病の様々な態様を調節し、それによっていずれかの治療薬のみを投与した場合よりも大きな全体的な利点を与える。
【0302】
どんな場合でも、処置されている疾患、障害、または疾病にかかわらず、患者が経験する全体的な効果は単に2つの治療剤の相加的なものであるか、あるいは患者は相乗的な効果を経験する。
【0303】
本明細書に記載される併用療法に関して、同時投与された化合物の投与量は、使用される特定の共薬、使用された特定の薬物、処置されている疾患または疾病などによって変わる。追加の実施形態では、1つ以上の他の治療剤と同時投与されたときに、本明細書に提供される化合物は、1つ以上の他の治療剤と同時に、または連続して投与される。
【0304】
併用療法では、複数の治療薬(その1つは本明細書に記載される化合物の1つである)は、任意の順序で、あるいは同時でも投与される。投与が同時である場合、複数の治療剤は、ほんの一例として、単一の統一した形態で、または複数の形態で(例えば、単一の丸剤、または2つの別個の丸剤として)提供される。
【0305】
本明細書で開示される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩は、併用療法と同様に、疾患または疾病の発生の前、最中、あるいは後に投与され、化合物を含む組成物を投与するタイミングは変動する。したがって、1つの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、疾患または疾病の発症を防ぐために予防薬として使用され、疾患または疾病にかかる傾向のある被験体に継続的に投与される。別の実施形態では、化合物および組成物は、症状の発症の間にまたはその後できるだけすぐに被験体に投与される。特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、疾患または疾病の発症が検知されたまたは疑われた後に実用可能となってすぐに、および疾患の処置に必要な期間にわたって、投与される。いくつかの実施形態では、処置に必要な期間は様々であり、処置期間は各被験体の具体的なニーズに合わせて調節される。
【実施例】
【0306】
略語:
BINAP:(2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル);
DCE:1,2-ジクロロエタン;
DCM:ジクロロメタン;
DI:脱イオン化した;
DIEAまたはDIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;
EtOAc:酢酸エチル;
EtOH:エタノール;
equiv:当量、典型的にはモル当量;
HATU:1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート;
IPA:イソプロピルアルコール;
IPAc:酢酸イソプロピル;
MeOAc:酢酸メチル;
NBS:N-ブロモスクシンイミド;
NCS:N-クロロスクシンイミド;
OPA:オルトリン酸;
PTS:p-トルエンスルホン酸;
Pd(Amphos)Cl2:ビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II);
Pd2dba3:トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0);
Pd(dppf)Cl2:[1’,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II);
(pinB)2:ビス(ピナコラート)ジボロン;
rtまたはRT:室温;
RT:滞留時間;
SFC:超臨界流体クロマトグラフィー;
SST:ソマトスタチン;
SSTR:ソマトスタチン受容体;
TEA:トリメチルアミン;
TFA:トリフルオロ酢酸;
THF:テトラヒドロフラン;
vol:典型的には溶媒の反応量あるいは比率に使用される容量;
Xphos:2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル;
hrs:時間;
hまたはhr:時間。
【0307】
以下の実施例は、例示目的のためのみに提供され、本明細書で提供される請求項の範囲を制限するものではない。
【0308】
実施例1:3-ブロモ-2-(メトキシメトキシ)ベンゾニトリル(化合物2b)の合成
【0309】
【0310】
ジイソプロピルエチルアミン(114mL、1.3当量)を、0℃でCH2Cl2(1L、10容量)中のニトリル化合物2(100g、1当量)の溶液にゆっくり添加し、30分撹拌した。その後、クロロメチルメチルエーテル(MOMCl)(46mL、1.2当量)を、0~5℃の内部温度を維持しつつ、ゆっくり添加した。その後、TLCが完全な反応を示すまで、反応を室温まで温め、4時間撹拌した。反応を0℃に冷却して、脱イオン水(300mL、3容量)でクエンチし、層を分離させた。水層を、CH2Cl2(300mL、3容量)を用いて抽出し、結合した有機層を水とブラインで洗浄し、ロータバップ(rotavap)で濃縮することで、褐色油として115gの粗製生成物を得た。粗製生成物をSiO2のプラグ上で精製し、10%の酢酸エチルとpet-エーテル(20容量)で溶離させた。1つの画分だけを採取し、真空下で蒸発させ、高真空下で乾燥させることで、無色の油として86gの化合物2b(70%)を得て、これは99.96%純粋であった(HPLC-AUC)。
【0311】
実施例2:(3-シアノ-2-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(化合物1a)の合成
【0312】
【0313】
THF(THF中の2M、340mL、2.2当量)中のiPrMgClの溶液を、-5℃から5℃の内部温度を維持しながら、THF(1.12L、15容量)中の化合物2b(75g、1当量)の溶液にゆっくりと添加し、10分間撹拌した。その後、-5から3℃の内部温度を維持しながら、ホウ酸トリイソプロピル(180mL、2.5当量)を添加した。その後、TLCが完全な反応を示すまで、反応を室温まで温め、18時間撹拌した。その後、反応を-10℃に冷却し、-10℃で3NのHCl(620mL、6当量)のゆっくりとした添加によってクエンチした。混合物を室温で3時間撹拌し、酢酸エチル(525ml、5容量)で抽出し、水層を、酢酸エチル(225mL、3容量)を用いて抽出した。結合した有機層を脱イオン水(3×3容量)、ブライン(525mL、3容量)で連続して洗浄し、真空下で濃縮することで、粘着性の固形物として粗製材料を得た。粗製物をpet-エーテル(525mL、5容量)中で30分撹拌し、結果として生じた固形物をろ過し、pet-エーテル(150mL、2容量)で洗浄し、真空下で乾燥させることで、オフホワイト固形物として35gのボロン酸化合物1a(70%)を得て、これは97.91%純粋(HPLC-AUC)であった。
【0314】
実施例3:2-ブロモ-6-シアノフェニルアセテート(化合物2c)の合成
【0315】
【0316】
3-ブロモ-2-フルオロ-ベンゾニトリル(25g、1.0当量)、酢酸カリウム(5当量)をDMSO(7容量)で混合し、48時間90-95℃に加熱した。IPCは0.38%の3-ブロモ-2-フルオロ-ベンゾニトリルを示し、96.5%の化合物2を示した。反応混合物を25-30℃に冷まし、水(25容量の水)でクエンチした。その後、6NのHCl溶液を使用して、pHを3-4のpHになるように調整した。得られた結果として生じた混合物を、MTBE(10容量)で希釈した。有機層を分離し、水層を10容量のMTBEで抽出した。結合した有機層を水(10容量×3)で洗浄して、2容量レベルに濃縮し、DCM(3容量)で追跡し、DCM(8容量)で希釈する前に2容量まで再度濃縮することで、化合物2の粗製溶液を得た。この溶液をそれ以上精製することなくその後のプロセスで使用した。
【0317】
化合物2の粗製溶液を、撹拌しながら2時間、25-30℃で無水酢酸(1.3当量)、DMAP(0.1当量)と混合した。IPCは、0.8%の化合物2と94.8%の化合物2cを示した。反応生成量を精製水(10容量)で希釈し、30分間撹拌した。有機層を分離した。水層は2容量のDCMで抽出した。結合した有機層を水(8容量×2)で洗浄した。木炭(10%)を有機層へ添加し、セライトベッド(celite bed)を通してろ過する前に、1時間撹拌した。その後、室温に冷まして5-10℃で1時間撹拌する前に、ろ液を2容量のレベルに濃縮して、3容量の、その後、2容量のn-ヘプタンで追跡した。生成物を固形物としてろ過により単離した(25.5g、2工程で85%の収率、HPLC純度96.8%)。
【0318】
実施例4:2-ヒドロキシ-3-シアノ-フェニルトリフルオロホウ酸カリウム(化合物1c)の代替的な合成
【0319】
【0320】
化合物2c(20g、1.0当量)を、2-メチルTHF中でKOAc(3.0当量)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.2当量))と混合した。Pd(dppf)Cl2・DCM(0.025当量)の添加の前に、混合物を撹拌して、N2バブリングで脱気した。結果として生じた混合物を80-85℃で16時間加熱した。IPCは、0.3%の出発物質と92%の化合物1bを示した。反応混合物を25-30℃に冷まし、セライト・パッドでろ過した。セライト・パッドをMTBE(5容量)で洗浄した。結合したろ液を2容量まで濃縮し、MTBEを用いて2容量まで追跡した。結果として生じた溶液を、MTBE(10容量)で希釈し、周囲温度で1時間撹拌した。懸濁液をセライト・パッドで再びろ過し、セライト・パッドをMTBEで洗いだ。結合したろ液を水(500ml、5容量)で洗浄した。水層をMTBEで抽出した。結合した有機層を、5%のN-アセチル-L-システイン溶液で2度(各回300ml、3溶液)、および、水(300ml、3容量)で洗浄した。その後、有機層を分離し、10%の活性炭で処理し、セライト・パッドでろ過した。セライト・パッドをMTBEで洗いだ。結合したろ液を、2容量レベルに濃縮し、メタノールで2度3容量まで(2×4容量)追跡し、室温まで冷まし、その後、次の工程で使用した。
【0321】
化合物1bの溶液に、KHF2(5.0当量)、純水(2.6容量)、およびMeOH(1容量)を加えて、その後、1時間65℃に加熱した。10±5℃に冷却する前に、反応混合物をMTBE(15容量)で希釈した。結果として生じた懸濁液を、ろ過の前に1時間撹拌した。固形物を反応フラスコに移し、20容量のアセトンを添加し、1時間25±5℃で撹拌し、10%の木炭で処理し、さらに1時間撹拌した。生じた反応混合物をその後セライトパッドでろ過した。ろ液を2容量レベルに濃縮し、MTBE(3容量×2)で追跡し、2容量レベルに濃縮し、MTBE(4容量)で希釈した。ろ過する前に懸濁液を25±5℃で1時間撹拌することで、オフホワイト固形物(11.5g、49.5%、HPLC純度97.8%)として所望の生成物化合物1cを得た。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 8.2(s,1H), 7.41(m,1H), 7.34(m,1H), 6.80(m,1H);13C NMR (100 MHz, DMSO-d6):161.8, 138.0, 138.0, 130.8, 119.4, 118.0, 96.6.
【0322】
実施例5:6-ブロモ-3-クロロキノリン-4-オール(A-II)の合成
【0323】
【0324】
N-クロロスクシンイミド(377g、1.05当量)を、室温で酢酸(12L、20容量)中の6-ブロモキノリン-4(1H)-オン(化合物A-I、600g、1当量)の懸濁液に添加した。反応物をその後50℃に加熱し、8時間撹拌した。反応を20℃に冷まし、ろ過し、AcOH(1.8L、3容量)、水(2.4L、4容量)、およびMTBE(1.2L、2容量)で連続的に洗浄し、フィルター上の真空下で乾燥させることで、粗製化合物A-IIを得た。粗製材料を2時間MTBE(7.2L、12容量)中で撹拌し、ろ過し、MTBE(0.6L、1容量)で洗浄し、真空下で乾燥させることで、オフホワイト固形物として541g(78%)の化合物A-IIを得て、これは97.35%純粋(HPLC-AUC)であるとわかった。
【0325】
実施例6:4,6-ジブロモ-3-クロロキノリン(A-III)の合成
【0326】
【0327】
三臭化リン(317mL、1.6当量)を、0-5℃でDMF(7L、13容量)中のA-II(540g、1当量)の溶液にゆっくり添加した。反応を室温に温め、4時間撹拌した。反応を0℃に冷却し、NaHCO3の飽和した水溶液でpH~8(10.8L、20容量)までクエンチし、水(5.4L、10容量)で希釈した。混合物を室温で2時間撹拌し、固形物をろ過し、水(2.7L、5容量)で洗浄し、真空下においてフィルター上で乾燥させた。ウェットケーキを2時間水(5.4L、10容量)中でスラリー化して、ろ過し、水(980mL、2容量)で洗浄し、真空下のフィルター上で乾燥させることで、固形物として粗製化合物A-IIIを得た。粗製材料を2時間MTBE(2.7L、5容量)中で撹拌し、ろ過し、MTBE(980mL、2容量)で洗浄し、真空下で乾燥させることで、オフホワイト固形物として434g(65%)の化合物A-IIIを得て、これは97.95%純粋(HPLC-AUC)であるとわかった。
【0328】
実施例7:tert-ブチル(1-(6-ブロモ-3-クロロキノリン-4-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(A-IV)の合成
【0329】
【0330】
ジイソプロピルエチルアミン(932mL、4当量)および4-(N-Boc-アミノ)ピペリジン(430g、1.6当量)を、室温でDMSO(4.3L、10容量)中の化合物A-III(430g、1当量)の溶液に連続して添加した。懸濁液をその後140℃に加熱し、3時間撹拌した。反応を室温に冷まし、水(12.9L、30容量)で希釈し、2時間撹拌した。結果として生じた固形物をろ過してフィルター上で乾燥させた。ウェットケーキをDCM(3L、7容量)に溶かし、水層をDCM(860mL、2容量)で抽出した。結合した有機層を、水(2×2.1L、それぞれ5容量)、ブライン(2.1L、5容量)で洗浄し、真空下で乾燥させることで、固形物として粗製化合物A-IVを得た。粗製材料を1時間MTBE(2.21L、5容量)中で撹拌し、ろ過し、MTBE(860mL、2容量)で洗浄し、真空下で乾燥させることで、オフホワイト固形物として412g(70%)の化合物A-IVを得て、これは98.26%純粋(HPLC-AUC)であるとわかった。
【0331】
実施例8:tert-ブチル(1-(6-ブロモ-3-クロロキノリン-4-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(A-IV)の代替的な合成
【0332】
【0333】
6-ブロモ-4-クロロ-キノリン(25g、1.0当量)、DMF(6.0容量)、4-(tert-ブトキシ カルボニルアミノ)ピペリジン(2.0当量)、K2CO3(2.5当量)の混合物を撹拌し、16時間105℃まで加熱した。反応はIPC-HPLCによってモニタリングされ、93.5%の化合物3と0.12%の化合物4を示した。その後、反応混合物を25-30℃に冷まし、精製した水(30容量)を加え、2時間撹拌した。固形物をろ過し、精製した水で洗浄した。粗製の固形物をn-ヘプタン(5容量)でスラリー化し、n-ヘプタン(2容量)で洗浄した。固形物を55℃で乾燥させることで、所望の生成物化合物4(35.3g、84%の収率)が得られた。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 8.69(d,1H), 8.02(d,1H), 7.88(m,1H), 7.80(m,1H), 7.02(d,1H), 6.97(d,1H), 3.44(m,3H), 2.87(m,2H), 1.94(d,2H), 1.68(m,2H), 1.38(s,9H).
【0334】
化合物4(25g、1当量)、DIPA(0.078当量)、NCS(1.5当量)、トルエン(10容量)を混合して、4時間70℃で加熱した。反応混合物を45±5℃で3容量レベルまで濃縮し、室温に冷まし、MTBE(10容量)で希釈し、精製した水(10容量)で洗浄した。層分離の後、水層をMTBE(5.0容量)で抽出した。結合した有機層を、精製した水で2回(2x5容量)洗浄し、その後、ブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、2容量レベルまで濃縮し、MTBEで2回(2x2容量)追跡した。それを冷まして、MTBE(1容量)を加え、その後、50±5℃に温めて1時間撹拌した。結果として生じた懸濁液を5±5℃に冷却し、1時間撹拌した。固形物をろ過によって集め、あらかじめ冷ましたMTBE(1容量)で洗浄した。固形物の上に、MTBE(2容量)が取り込まれ、再度55±5℃に加熱し、1時間撹拌し、5±5℃に冷却し、さらに1時間撹拌した。固形物をろ過によって集め、あらかじめ冷ましたMTBE(1容量)で洗浄した。集めた固形物を8時間45±5℃において減圧下で乾燥させることで、98.9%のHPLC純度と66%(18g)の単離収率を備える生成物化合物A-IVを得た。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 8.65(s,1H), 8.25(d,1H), 7.92(m,1H), 7.73(m,1H), 3.76(s,1H), 3.51(m,2H), 3.37(d,2H), 2.14(d,2H), 1.69(m,2H), 1.46(s,9H).
【0335】
実施例9:tert-ブチル(1-(6-(3-シアノ-2-ヒドロキシフェニル)-3-(3,5-ジフルオロフェニル)キノリン-4-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(化合物A-VI)の合成
【0336】
【0337】
キノリンA-IV(350g、1当量)、(3-シアノ-2-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(化合物1a)(155g、1.2当量)、およびK2CO3(438g、4当量)を丸底フラスコに負荷した。1,4-ジオキサン(3.5L、10容量)と脱イオン水(350mL、1容量)をフラスコに加え、結果として生じた反応混合物を30分間アルゴンで脱気した。PdCl2(dppf)・CH2Cl2(32.5g、0.05当量)をアルゴン下の反応に添加し、混合物を10分間さらに脱気した。反応を80-85℃で撹拌し、TLCとHPLCによってモニタリングした。完全な反応(6時間)後、25-30℃に冷まし、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸(346g、3当量)を反応混合物に添加し、その後、10分のアルゴンで脱気した。PdCl2(amphos)(25.9g、0.05当量)をアルゴン気圧下でフラスコに添加し、反応混合物を10分間さらに脱気した。その後、反応を90-100℃に加熱し、19時間撹拌した(TLCとHPLCによってモニタリングした)。HPLCは、8.2分で1.95%の未反応化合物A-Vと0.94%の他の不純物と共に、82.04%の化合物A-VIを示した。反応を25-30℃に冷まし、セライトのパッドを介してろ過し、酢酸エチル(1350mL、3容量)で洗浄した。~10%の溶媒が残るまでろ液を真空下で濃縮し、結果として生じた残留物を酢酸エチル(6.3L、18容量)で希釈し、水(2×3.5L、それぞれ10容量)、ブライン(3.5L、10容量)で洗浄し、無水のNa2SO4で乾燥させた。有機層を乾燥するまで真空下で濃縮し、その後、室温で4時間酢酸エチル(2.1L、6容量)中でスラリー貸した(室温で2.5時間の撹拌後、遊離固形物の形成が観察された)。結果として生じた遊離固形物をろ過し、酢酸エチル(700mL、2容量)で洗浄し、一定の重量になるまで真空下で乾燥させることで、オフホワイト固形物として200g(45%)の化合物A-VIを得て、これは、約3500ppmの微量パラジウムを有する98.4%純粋(HPLC-AUC)であった。
【0338】
実施例10:tert-ブチル(1-(6-(3-シアノ-2-ヒドロキシフェニル)-3-(3,5-ジフルオロフェニル)キノリン-4-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(化合物A-VI)の代替的な合成
【0339】
【0340】
化合物A-IV(25.0g、1当量)、化合物1c(1.2当量)、K2CO3(3.0当量)、1,4-ジオキサン(9容量)、および精製した水(0.75容量)を反応フラスコに添加した。Pd(PPh3)4(0.017当量)の添加の前に、混合物をN2バブリングで脱気した。反応混合物を80-85℃で12時間加熱した。12時間のIPCは、化合物A-IVの<1%を示した。その後、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸(2.0当量)、Pd(amphos)Cl2(0.03当量)を添加し、反応混合物を再度脱気し、その後、最大で90-95℃、6時間加熱した。IPCは<2%の残留化合物A-Vを示した。純粋な化合物A-Vサンプルは、1HのNMR(400MHz、DMSO-d6)によって単離され、特徴づけられた:δ 8.63(s,1H), 8.27 (bs, 1H), 7.94(m,2H), 7.53(d,1H, J=7.2 Hz), 7.47(d,1H, J=6.0 Hz), 6.99(d,1H, J=7.6 Hz), 6.77 (bs, 1H), 3.50(m,1H), 3.41(m,2H), 3.34(m,2H), 1.87(m,2H), 1.65(m,2H), 1.39(s,9H).
【0341】
ワークアップおよびPd除去:反応混合物を25-30℃に冷まし、セライト・パッドでろ過した。セライト・パッドをIPAc(2.0容量)で洗浄した。ろ液を組み合わせ、3容量まで濃縮し、IPAc(5容量)で2回、4容量まで追跡した。結果として生じた溶液をIPAc(8容量)で希釈し、水(2x10容量)で洗浄した。有機層を分離させ、1%のN-アセチル-L-システイン(2x10容量)で洗浄し、その後、6容量まで濃縮した。結果として生じた懸濁液を2時間還流で撹拌し、周囲温度まで冷ました。懸濁液を10±5℃にさらに冷却し、2時間撹拌し、ろ過した。ろ過ケーキを1容量のIPAcで洗浄し、乾燥させることで、淡黄色固形物として所望の粗製生成物を得た。
【0342】
単離した化合物A-VI粗製固形物を2-メチルTHF(15容量)に溶かし、SILIAMET Sチオール(0.25%w/w)を加え、3時間周囲温度で撹拌した。懸濁液をセライト・ベッドでろ過し、2-メチルTHF(2容量)で洗浄した。上記のプロセスを再度繰り返した。最終的なろ液を2容量まで濃縮し、n-ヘプタンで2回(2x3容量)追跡した。結果として生じた懸濁液をろ過した。固形物を45±5℃にて真空下で乾燥させることで、固形物として精製された化合物A-VIを得た(13ppmのPdレベルでHPLC純度96%)。
【0343】
実施例11:A-VIのさらなる精製
【0344】
化合物A-VI(200g、98.40%純粋)をIPAc(1L、5容量)に取り込み、1時間還流させた。その後、混合物を室温に冷まし、それから15℃に冷却し、ろ過し、IPAc(600mL、3容量)で洗浄し、乾燥させることで、オフホワイト固形物として170gの化合物A-VIを得て、これは、およそ50ppmの微量のパラジウムを有する98.71%純粋(HPLC-AUC)であった。
【0345】
実施例12:A-VIからの残留パラジウムの除去
【0346】
化合物A-VI(150g、98.71%純粋)をTHF(3.4L、20容量)に溶かした。Si-チオール(240g)を添加し、溶液を室温で夜通し撹拌した。混合物を、セライト・ベッドを通してろ過し、THF(510mL、3容量)で洗浄し、真空下で濃縮することで、固形物を得た。その後、粗製の固形物をIPAc(1L、5容量)で希釈し、スラリーを2時間還流させた。その後、混合物を室温に冷まし、それから15℃に冷却し、ろ過し、IPAc(510mL、3容量)で洗浄し、乾燥させることで、オフホワイト固形物として150gの化合物A-VIを得て、これは、検出不可能な残留パラジウムしか有していない100%純粋(HPLC-AUC)であった。
【0347】
実施例13:3-(4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル)-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル、二塩酸塩(化合物A-2HCl)
【0348】
【0349】
6MのHCl-IPA(1.45L、10容量)中の化合物A-VI(150g、269.5mmol)の懸濁液を4時間室温で撹拌した。TLCは完全な反応を示した(厚い懸濁液が観察された)。反応をMTBE(2.17L、15容量)で希釈し、2時間撹拌し、結果として生じた固形物をろ過し、MTBE(290mL、2容量)で洗浄し、真空下で乾燥させることで、淡黄色固形物として130g(91%)の化合物A-2HCl塩を得て、これは検出可能な残留パラジウムを含まず100%純粋であった(HPLC-AUC)。塩化物滴定は15.8wt%の塩化物を示した。
【0350】
実施例14:3-(4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル)-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル、一塩酸塩(化合物A-HCl)
【0351】
【0352】
IPAc(5容量)中の化合物A-VI(120.0g)の懸濁液に、室温で酢酸イソプロピル(10容量)中の6MのHClを添加した。結果として生じた混合物を室温で2時間撹拌した。反応完了後(化合物A-VI内容物は、HPLCによって<1.0%であると分かった)、厚い懸濁液をIPAc(0.6L、5容量)で希釈し、1時間撹拌し、ろ過した。ろ過ケーキをIPAc(240.0mL、2容量)で洗浄し、2時間真空下で吸引乾燥させることで、黄色固形物として化合物A-2HClを得た。粗製物収率:110.0g(96%)
【0353】
精製した水(18容量)中の化合物A-2HCl(110.0g)の溶液を45±5℃に加熱し、その後、NH3水溶液(25%、2.4当量)をゆっくり添加し、45±5℃で1時間撹拌した。最終反応混合物のpHは5-5.5であった。その後、精製した水(550.0mL、5容量)を、2時間かけて同じ温度でゆっくり添加した。結果として生じた懸濁液を室温に冷まし、その後、10±5℃に冷却し、1時間撹拌した。混合物をろ過し、冷たい精製した水(2容量)(10±5℃)で洗浄した。ウェットケーキを1時間吸引乾燥させ、真空下で24時間55±5℃で乾燥させることで、山吹色~金色の固形物として化合物A-HClを得た(88.0g、99.4%のHPLC純度を有する83%の単離収率)。
【0354】
実施例15:化合物A-2HClからの化合物A-HClの調製
【0355】
【0356】
脱イオン水(2.4L、20容量)中の化合物A-2HCl(118g)の懸濁液を、40-45℃で撹拌した。アンモニア水(25%、35.4mL、0.3mL/g)を熱い懸濁液にゆっくり添加してpH~5-6に調整し、1時間撹拌した。脱イオン水(590mL、5容量)を2時間かけて同じ温度で添加し、懸濁液を室温~25℃に冷まし、その後、氷水を使用して、5-10℃に冷却した。その後、遊離固形物をろ過し、脱イオン水(3×500mL)で洗浄した。ウェットケーキを55℃で真空オーブン中において18時間乾燥させることで、淡黄色粉末として一定量の101gの化合物A-HCl(92%)を得て、これは、検出可能な残留パラジウムがなく100%純粋であった(HPLC-AUC)。塩化物滴定は8.1wt%の塩化物を示した。
【0357】
実施例16:化合物A-2HClからの化合物A-HClの代替的な調製
【0358】
【0359】
1:1のIPA:水(10mL、5容量)における化合物A-2HCl(2.1g)の懸濁液を45℃で撹拌した。濃縮された水酸化アンモニウム(28-30%、0.8当量)をゆっくり添加し、熱い懸濁液を1時間撹拌した。脱イオン水(20mL、10容量)を2時間同じ温度で添加し、懸濁液を2時間かけて10℃まで冷却した。その後、結果として生じた流動性のスラリーをろ過し、15:85のIPA:水(2×3容量)で洗浄した。ウェットケーキを18時間45℃で真空下において乾燥させることで、淡黄色粉末として一定量の1.42gの化合物A-HCl(78%)を得た。塩化物滴定は8.0wt%の塩化物を示した。
【0360】
実施例17:塩基を使用しない、化合物A-2HClからの化合物A-HClの代替的な調製
【0361】
【0362】
約80mgの化合物A-2HCl塩を様々な溶媒に溶かした(以下の表を参照)。反応を30分間50℃に加熱し、室温まで2時間かけて冷まし、1時間室温で維持し、その後、固形物をろ過して50℃で真空下において乾燥させた。溶媒を蒸発させることで化合物A-HClを得て、結果として生じたXRPDパターンを評価した。9:1の酢酸メチル:水を除く各溶媒系で、
図1のようなXRPDパターンが得られた。
【0363】
【0364】
実施例18:化合物A-2HClからの化合物Aの調製
【0365】
【0366】
約1.2gの化合物A-2HClを30分間、15容量の飽和した炭酸水素ナトリウム溶液中でスラリー化した。固形物をろ過して真空下にて40-45℃で乾燥させることで、遊離塩基として730mgの化合物A(77%)を得た。
【0367】
実施例19:化合物Aからの化合物A-HClの調製
【0368】
【0369】
約17mgの化合物A、遊離塩基を様々な溶媒(それぞれ500uL、以下の表を参照)に溶かし、その後、1.0当量の3M HCl/IPA溶液を添加した。固形物をろ過することで、化合物A-HClを得て、結果として生じたXRPDパターンを評価した。MTBEを除いて、各溶媒を
図1のようなXRPDパターンを生成した。
【0370】
【0371】
実施例20.X線粉末回折(XRPD)
【0372】
X線粉体回折はRigaku MiniFlex 600を使用して行われた。サンプルはSiゼロ-リターンウエハー上で調製された。典型的な走査は、40kVと15mAで5分間にわたって0.05度のステップサイズで、4~30度の2θからである。XRPDのための典型的なパラメータは以下に列挙される。
【0373】
【0374】
結晶化合物A-HClの特徴づけ
【0375】
化合物A-HClのためのX線粉末回折パターンが
図1に表示される。このXRPDパターンは、化合物A-HClの結晶形態を示す。ピークは、以下の表で表記されたピークを含む:
【0376】
【0377】
結晶化合物A-2HClの特徴づけ
【0378】
化合物A-2HClのためのX線粉末回折パターンが
図4に表示される。このXRPDパターンは、化合物A-2HClの結晶形態を示す。ピークは、以下の表で表記されたピークを含む:
【0379】
【0380】
結晶化合物AのパターンAの特徴づけ
【0381】
化合物AのパターンAのためのX線粉末回折パターンは、
図7(a)で表示される。このXRPDパターンは、化合物Aの結晶形態を示す。ピークは、以下の表で表記されたピークを含む:
【0382】
【0383】
結晶化合物AのパターンBの特徴づけ
【0384】
化合物AのパターンAのためのX線粉末回折パターンは、
図7(b)で表示される。このXRPDパターンは、化合物Aの結晶形態を示す。ピークは、以下の表で表記されたピークを含む:
【0385】
【0386】
結晶化合物AのパターンCの特徴づけ
【0387】
化合物AのパターンCのためのX線粉末回折パターンは、
図7(c)で表示される。このXRPDパターンは、化合物Aの結晶形態を示す。ピークは、以下の表で表記されたピークを含む:
【0388】
【0389】
実施例21.水、FaSSGF、およびFaSSIF中の溶解度
【0390】
塩形態を2日間、37℃における水、絶食状態の模擬胃液(FaSSGF)、および絶食状態の模擬腸液で腸液(FaSSIF)中でスラリー化した。溶解性測定用の上清を回収するために0.4uMシリンジフィルターを使用して、スラリーの一部をろ過し、XRPD分析用の残留固形物を回収するために残りをろ過した。
【0391】
HPLCによって濃度を測定するために較正曲線を展開させた。化合物Aを100mLの容量フラスコに添加し、その後、HPLCグレードのエタノールを用いて、その容量まで充填した。表3は較正濃度と対応するAUCを示す。0.1%のTFAを有する水としての溶媒Aと、メタノール:アセトニトリル(1:1)としての溶媒Bとを用いる30分間の勾配方法が使用された。
【0392】
【0393】
較正相関は塩形態の溶解度を測定するために使用された。透明な飽和溶液から、0.1mLの液体を10mLのバイアルへ移し、その後、メタノールを用いてその容量まで充填した。その後、溶液をHPLCに直接注入した。
【0394】
溶解度試験の結果が表4にある。
【0395】
【0396】
溶解度は明らかにpHの関数である。胃液をシミュレートするFaSSGF中で化合物がHCl塩として残ったことがさらに分かった。
【0397】
実施例22:動的蒸気吸着(DVS)
【0398】
動的蒸気吸着(DVS)は、DVS内因性1(DVS Intrinsic 1)を用いて行われた。サンプルはサンプルパンにロードされ、微量天秤から懸濁される。DVS測定のための典型的なサンプル質量は25mgである。蒸留水によって泡立てられた窒素ガスは所望の相対湿度をもたらす。
【0399】
典型的な測定は以下の工程を含む:1- 50%のRHで平衡化する2- 50%~2%。(50%、40%、30%、20%、10%、および2%)a.各湿度で最低5分および最大60分保持する。合格基準は0.002%未満の変化である。3- 2%~95%(2%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%)a.各湿度で最低5分および最大60分保持する。合格基準は0.002%未満の変化である。4- 95%~2%(95%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、2%)a.各湿度で最低5分および最大60分保持する。合格基準は0.002%未満の変化である。5- 2%~50%(2%、10%、20%、30%、40%、50%)a.各湿度で最低5分および最大60分保持する。合格基準は0.002%未満の変化である。
【0400】
以下に記載されるように、化合物A-HClは、化合物A-2HClよりも、集めた湿気が非常に少なかった。
【0401】
化合物A-HCl
【0402】
化合物A(化合物A-HCl)の一塩酸塩を試験することにより、(2~95%のRH間での可逆的な水の取り込み(~4.5%w/w);および、15~75%のRH間での可逆的な水の取り込み(~2.3%w/w)を示した。XRPDはDVS分析後に変化しなかった(
図9)。
【0403】
化合物A-2HCl
【0404】
化合物A(化合物A-2HCl)の二塩酸塩を試験することにより、(2~95%のRH間での可逆的な水の取り込み(~18%w/w);および、15~75%のRH間での可逆的な水の取り込み(~9%w/w)を示した。XRPDはDVS分析後に変化しなかった(
図10)。
【0405】
実施例23:化合物A-HClの熱研究
【0406】
示差走査熱量測定(DSC)は、メトラー・トレドのDSC3+を使用して行われた。締め金で締めるピン留め式のフタ(cramped pinned lid)を備えたアルミニウム製のルツボが使用された。加熱速度は通常、30~250℃までで毎分10℃である。
【0407】
熱重量分析(TGA)は、メトラー・トレドのTGA/DSC3+を使用して行われた。締め金で締めるピン留め式のフタ(cramped pinned lid)を備えたアルミニウム製のルツボが使用された。加熱速度は通常、30~250℃までで毎分10℃である。
【0408】
保護ガスおよびパージガスは窒素(20-30mL/分および50-100mL/分)である。DSC/TGAのための典型的なパラメータは以下に列挙される。
【0409】
【0410】
化合物A-HCl
【0411】
図2(a)と
図2(b)で示されるように、化合物A-HClはそのサーモグラムで複数のピークを示す。これらのピークは熱分析およびXRPD技術を使用して評価された。化合物A-HClはTGA/DSCを使用して、様々な温度に加熱され、その後、室温に冷まされ、XRPDを使用する分析にかけられた。固形物をカールフィッシャー滴定によって分析し、サンプル中で5.9%の水を示した。以下の熱処理が実施された:
【0412】
サンプル1:塩を100℃まで加熱し、室温に冷まし、その後、XRPD;
【0413】
サンプル2:塩を150℃まで加熱し、室温に冷まし、その後、XRPD;
【0414】
サンプル3:塩を200℃まで加熱し、室温に冷まし、その後、XRPD;
【0415】
サンプル4:塩を250℃まで加熱し、室温に冷まし、その後、XRPD;および、
【0416】
サンプル5:塩を295℃まで加熱し、室温に冷まし、その後、XRPD。
【0417】
固形物は最大で200℃まで変化せず、220℃で溶解し、その時点で、化合物はその化学的および結晶の完全性を失うことが分かった。したがって、220℃よりも上のピークは関連しない。
【0418】
固形物が約5.9%の水を含有しているので、当初の吸熱ピークは水分損失によるものである。
【0419】
化合物A-2HClのDSCサーモグラムは
図5(a)に示される。
【0420】
化合物A-2HClのTGAサーモグラムは
図5(b)に示される。
【0421】
パターンC 化合物Aの遊離塩基のDSCサーモグラムは
図8(a)に示される。
【0422】
パターンC 化合物Aの遊離塩基のTGAサーモグラムは
図8(b)に示される。
【0423】
実施例24:赤外線(IR)分光法
【0424】
200mgの新鮮な乾燥させた臭化カリウムの重さを計り、鉢へ移し、粉砕させて細粉にした。これに、2.0mgの試験化合物を添加し、固形物を徹底的に混合した。少量の粉末を薄い半透明なペレットに形作った。島津製作所のIR Prestige 21を使用して、4000cm-1から400cm-1まで60回の走査で、試験化合物のIRスペクトルを得た。空気を基準として使用した。結晶形態A-HClの結晶形態の特徴づけ
【0425】
化合物A-HClのためのIRスペクトルが
図3に表示される。特徴的なピークは、2223cm
-1、1620cm
-1、1595cm
-1、1457cm
-1、1238cm
-1、1220cm
-1、および1117cm
-1でのピークを含む。
【0426】
結晶形態A-2HClの結晶形態の特徴づけ
【0427】
化合物A-2HClのためのIRスペクトルが
図6に表示される。特徴的なピークは、2227cm
-1、1620cm
-1、1594cm
-1、1456cm
-1、1439cm
-1、1321cm
-1、および1122cm
-1でのピークを含む。
【0428】
実施例25:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)方法
【0429】
方法A。
【0430】
DAD検出器を装備した日立のHPLCが、溶解度と純度試験に使用された。使用されたHPLCカラムは、C18 5μ 100A 4.6mm×250mmであった。クロマトグラフィー条件は以下の表のとおりであった:
【0431】
【0432】
方法B.
【0433】
DAD検出器を装備したウォーターズのAlliance HPLC(あるいは同等物)が、純度試験に使用された。使用されたHPLCカラムは、C18 5μ 110A 4.6mm×250mmであった。クロマトグラフィー条件は以下の表のとおりであった:
【0434】
【0435】
実施例26:2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3-フルオロフェニル)キノリン-6-イル}-4-メチルピリジン-3-アミン(1-8)
【0436】
【0437】
工程1-1。ベンジル(4aS,8aS)-6-[3-クロロ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)キノリン-4-イル]-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1-カルボキシレートの調製:ベンジル(4aS,8aS)-6-(6-ブロモ-3-クロロキノリン-4-イル)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1-カルボキシレート(1.0当量、0.29mmol、150mg)のジオキサン溶液(3.0mL)に対して、大気のN2下において、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(2.0当量、0.58mmol、147mg)、KOAc(3.0当量、0.87mmol、85mg)、およびPd(dppf)Cl2(0.06当量、0.02mmol、12mg)を添加した。結果として生じた混合物を90℃で1時間加熱し、その後、周囲温度に冷ました。反応溶液を真空下で濃縮することで、170mgの粗製生成物を得た。これを、それ以上精製することなく次の工程で使用した。
【0438】
工程1-2。ベンジル(4aS,8aS)-6-[6-(3-アミノ-4-メチルピリジン-2-イル)-3-クロロキノリン-4-イル]-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1-カルボキシレートの調製:粗製ベンジル(4aS,8aS)-6-[3-クロロ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)キノリン-4-イル]-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1-カルボキシレート(1.0当量、0.29mmol、170mg)のジオキサン溶液(4.0mL)に対して、大気のN2下において、2-ブロモ-4-メチルピリジン-3-アミン(1.0当量、0.29mmol、56mg)、Pd(Amphos)Cl2(0.10当量、0.029mmol、21mg)、K2CO3(3.0当量、0.90mmol、125mg)、および水(0.4mL)を添加した。結果として生じた混合物を2時間90℃で加熱した。反応混合物を周囲温度に冷まし、真空下で濃縮した。得られた残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(3:1)で溶離するシリカゲルクロマドグラフィーによって精製することで、黄色油として70mgの所望の生成物を得た。MS(M+H)+=544.2。
【0439】
工程1-3。ベンジル(4aS,8aS)-6-[6-(3-アミノ-4-メチルピリジン-2-イル)-3-(3-フルオロフェニル)キノリン-4-イル]-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1-カルボキシレートの調製:ベンジル(4aS,8aS)-6-[-6-(3-アミノ-4-メチルピリジン-2-イル)-3-クロロキノリン-4-イル]-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1-カルボキシレート(1.0当量、0.13mmol、70mg)のトルエン溶液(3.0mL)に対して、大気のN2下において、(3-フルオロフェニル)ボロン酸(2.0当量、0.26mmol、36mg)、Pd(Amphos)Cl(0.10当量、0.013mmol、9mg)、K2CO3(3.0当量、0.38mmol、53mg)、および水(0.3mL)を添加した。結果として生じた混合物を1時間110℃で加熱した。反応混合物を周囲温度に冷まし、真空下で濃縮した。得られた残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶離するシリカゲルクロマドグラフィーによって精製することで、黄色油として50mgの所望の生成物を得た。MS(M+H)+=604.3。
【0440】
工程1-4。2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3-フルオロフェニル)キノリン-6-イル}-4-メチルピリジン-3-アミンの調製:ベンジル(4aS,8aS)-6-[6-(3-アミノ-4-メチルピリジン-2-イル)-3-(3-フルオロフェニル)キノリン-4-イル]-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-1-カルボキシレート(1.0当量、0.08mmol、50mg)をトリフルオロ酢酸(2.0mL)と組み合わせて、結果として生じた混合物を2時間間80℃で加熱した。反応溶液を周囲温度に冷まし、真空下で濃縮した。得られた残留物を、以下の条件(分取HPLC-007)を用いて分取HPLCによって精製した:カラム、SunFire分取C18 OBDカラム、19*150mm、5um、10nm;移動相、水(0.1%TFA)およびACN(2.0%ACN 6分で最大20.0%、1分間95%で保持、1分で2.0%まで低下、1分間2.0%で保持);検出器、UV220nm。これにより、黄色固形物として、2-{4-[(4aS,8aS)-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b][1,4]オキサジン-6-イル]-3-(3-フルオロフェニル)キノリン-6-イル}-4-メチルピリジン-3-アミンの11.4mgのギ酸塩(27%)が生成された。MS(M+H)+=470.2。
【0441】
様々な工程での試薬と気質の適切な置換と、必要に応じて適切な試薬を用いる周知の化学によるさらなる官能基修飾とによって、以下の化合物を実施例25と同様に調製した。HClまたはギ酸などの様々な塩が従来の方法によって得られ得る。
【0442】
【0443】
実施例A-1:非経口医薬組成物
【0444】
注入(皮下、静脈内)による投与に適した非経口医薬組成物を調製するために、本明細書で開示される1-100mgの化合物の水溶性塩、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、滅菌水中に溶解させ、その後、0.9%の無菌食塩水10mLと混合する。適切な緩衝液を、随意の酸または塩基とともに随意に加えて、pHを調整した。混合物を、注射による投与に適した単位剤形に組み込む。
【0445】
実施例A-2:経口溶液
【0446】
経口送達用の医薬組成物を調製するために、十分な量の本明細書で開示される化合物、あるいはその薬学的に許容な塩を、(随意の可溶化剤、随意の緩衝液、および味を隠す賦形剤と共に)水に加え、20mg/mLの溶液を得る。
【0447】
実施例A-3:経口錠剤
【0448】
20-50重量%の本明細書で開示される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、20-50重量%の微結晶性セルロース、1-10重量%の低置換ヒドロキシプロピルセルロース、および1-10重量%のステアリン酸マグネシウム、または他の適切な賦形剤を混合することによって、錠剤を調製する。錠剤は直接の圧縮によって調製される。圧縮錠剤の全重量を100-500mgで維持する。
【0449】
実施例A-4:経口カプセル
【0450】
経口送達用の医薬組成物を調製するために、10-500mgの本明細書で開示される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩を、デンプンまたは他の適切な粉末混合物と随意に混合する。混合物を、経口投与に適した、ハードゼラチンカプセルなどの経口剤形に組み込む。
【0451】
別の実施形態において、10-500mgの本明細書で開示される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩を、サイズ4のカプセル、またはサイズ1のカプセル(ヒプロメロースまたはハードゼラチン)に入れ、カプセルを閉じる。
【0452】
実施例A-5:局所ゲル組成物
【0453】
医薬用の局所ゲル組成物を調製するために、本明細書で開示される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩を、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、イソプロピルミリステート、および精製アルコールUSPと混合する。結果として生じたゲル混合物を、その後、局所投与に適した、例えば、チューブなどの容器に組み込む。
【0454】
実施例B-1:SSTRアッセイ
【0455】
SSTR2アゴニストのための機能アッセイ
一般的な概観:5つのSSTRサブタイプはすべて、アゴニストによって活性化されると細胞内のサイクリックAMP(cAMP)を減少させる、Gi共役Gタンパク質結合受容体(GPCR)である。したがって、細胞内cAMPレベルの測定は、本発明の化合物がSSTRサブタイプのアゴニストであるかどうかを評価するために使用することができる(John Kelly, Troy Stevens,W. Joseph Thompson, and Roland Seifert, Current Protocols in Pharmacology, 2005,2.2.1-2.2)。ヒトのSSTR2細胞内cAMPアッセイが以下に記載される。ヒトSSTR1、3、4、および5のアッセイが、SSTR2の同じプロトコルに従う。
【0456】
cAMPアッセイプロトコル:
アッセイの4日前に、10%のドナーウシ血清(Gemini Bio-Products #100-506);100U/mLのペニシリン;100μg/mLのストレプトマイシン;2mMのL-グルタミン(Gemini Bio-Products #400-110)、および0.2mg/mLのヒグロマイシンB(GoldBio #31282-04-9)を補充したHamのF12成長培地(ThermoFisher #10-080-CM)中の96ウェルの組織培養処置プレートの各ウェルに、ヒトSSTR2を安定して発現する5,000のチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO-K1、ATCC #CCL-61)を蒔いた。細胞を、37℃、5%CO2、および95%の湿度で培養する。アッセイの日に、培地を吸引し、50μLの1.6μMのNKH477(Sigma #N3290)とアッセイ緩衝液中の本発明の化合物の様々な希釈物で細胞を処理した[1xハンクス液(ThermoFisher #SH3058802)、0.5mMのHEPES pH 7.4、0.1%のウシ血清アルブミン、0.2mMの3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX、VWR #200002-790)]。細胞を37℃で20分間インキュベートする(本発明の化合物の最終濃度は通常、0-10,000nMである)細胞を50μLの溶解バッファ(HRTF cAMPキット、Cisbio)で処理する。ライセートを384ウェルのプレートに移し、cAMP検出および可視化用の抗体を添加し、室温で1-24時間インキュベートする。Tecan M1000Proマルチプレートリーダを用いて、時間分解された蛍光シグナルが読み取られる。細胞内のcAMP濃度は標準曲線への回帰によって計算され、本発明の化合物の濃度対してプロット化され、化合物のEC50は標準的な方法を使用して計算される。すべてのデータ操作はGraphPadプリズムv6にある。
【0457】
化合物の例示的な生物学的活性は、ヒトSST2RによってcAMP活性の阻害を評価することにより、以下の表を実証され、ここでAは<10nMを意味し;Bは≧10nMかつ<100nMを意味し;Cは≧100nMかつ<1000nMを意味し;Dは≧1000nMを意味する。
【0458】
【0459】
本明細書に記載される実施例と実施形態は説明の目的のためのものに過ぎず、当業者に示唆される様々な修飾や変化は、本明細書の精神と範囲、および添付の請求項の範囲内に含まれるものとする。