(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ワイパーシステム及びワイパーシステムを備える自動車両
(51)【国際特許分類】
B60S 1/46 20060101AFI20220729BHJP
B60S 1/48 20060101ALI20220729BHJP
B60S 1/04 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B60S1/46 F
B60S1/46 G
B60S1/48 A
B60S1/04
(21)【出願番号】P 2020572803
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(86)【国際出願番号】 CN2019091644
(87)【国際公開番号】W WO2020001316
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201810686935.8
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル、メネグツ
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト、カピッツァ
(72)【発明者】
【氏名】ジン、シュ
(72)【発明者】
【氏名】チュンリアン、ジ
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-520468(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第3743520(DE,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2679851(FR,A1)
【文献】特開平9-032417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/46
B60S 1/48
B60S 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両のウインドスクリーン(121)を拭くように構成されるワイパー手段(111)と、
洗浄剤を噴射するように構成される第1のウォッシャーシステム及び第2のウォッシャーシステムと、
第1の方向に回転する際に前記洗浄剤を前記第1のウォッシャーシステムに送出するとともに、第2の方向に回転する際に前記洗浄剤を前記第2のウォッシャーシステムに送出するように構成される双方向ポンプ(13)と、
前記双方向ポンプ(13)が前記第1の方向又は前記第2の方向にそれぞれ回転するようにプラス電圧又はマイナス電圧を前記双方向ポンプ(13)に選択的に印加するように構成されるウォッシャーパワーモジュール(15)と、
前記ウォッシャーパワーモジュール(15)及び前記双方向ポンプ(13)と直列に接続されるとともに、前記第1のウォッシャーシステムが前記洗浄剤を噴射する又は前記洗浄剤の噴射を停止するように前記ワイパー手段(111)の角度位置に応じて開閉するように構成されるウォッシャースイッチモジュール(17)と、
前記ウォッシャースイッチモジュール(17)と並列に接続されるとともに、前記第1のウォッシャーシステムの噴射が前記ワイパー手段(111)の角度位置と協働するように信号によってトリガーされるときにオフにされ、前記第2のウォッシャーシステムの噴射が前記ワイパー手段(111)の角度位置とは無関係であるように信号によってトリガーされるときにオンにされるべく構成される、トリガースイッチモジュール(18)と、
を備える自動車両用のワイパーシステム(1)。
【請求項2】
前記トリガースイッチモジュール(18)が電流又は電圧信号によってトリガーされる、請求項1に記載のワイパーシステム(1)。
【請求項3】
前記ウォッシャーパワーモジュール(15)が前記双方向ポンプ(13)にプラス電圧を印加すると、前記双方向ポンプ(13)が前記第1の方向に回転し、前記洗浄剤が前記ワイパー手段(111)の角度位置にしたがって前記第1のウォッシャーシステムにより断続的に噴射される、請求項1又は2に記載のワイパーシステム(1)。
【請求項4】
前記ウォッシャーパワーモジュール(15)が前記双方向ポンプ(13)にマイナス電圧を印加すると、前記双方向ポンプ(13)が前記第2の方向に回転し、前記洗浄剤が前記フロントワイパー手段(111)の角度位置に関係なく前記第2のウォッシャーシステムにより噴射される、請求項1又は2に記載のワイパーシステム(1)。
【請求項5】
前記トリガースイッチモジュール(18)がリレーである、請求項1又は2に記載のワイパーシステム(1)。
【請求項6】
前記トリガースイッチモジュール(18)は、前記ウォッシャーパワーモジュール(15)の第1の電圧端子(151)に接続される第1の端部(181)と、前記双方向ポンプ(13)の一端に接続される第2の端部(182)とを備え、前記第1の電圧端子(151)が高電位にあるときに前記トリガースイッチモジュール(18)がオンになる、請求項1又は2に記載のワイパーシステム(1)。
【請求項7】
前記トリガースイッチモジュール(18)は、前記ウォッシャーパワーモジュール(15)の第2の電圧端子(152)に接続される第3の端部(183)を備える、請求項6に記載のワイパーシステム(1)。
【請求項8】
前記トリガースイッチモジュール(18)は金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)タイプのトランジスタを備え、前記トランジスタのソース(S)、ゲート(G)、及び、ドレイン(D)はそれぞれ、前記トリガースイッチモジュール(18)の前記第2の端部(182)、前記第3の端部(183)、及び、前記第1の端部(181)に接続される、請求項7に記載のワイパーシステム(1)。
【請求項9】
前記トリガースイッチモジュール(8)は、前記トリガースイッチモジュール(18)の前記第2の端部(182)と前記第3の端部(183)との間に接続されるツェナーダイオードを備える、請求項7又は8に記載のワイパーシステム(1)。
【請求項10】
ドライバーの指示又は自動車両のセンサから受信される信号にしたがって前記ウォッシャーパワーモジュール(15)がプラス又はマイナス電圧を前記双方向ポンプ(13)に印加できるようにするボディー制御モジュールを更に備える、請求項1又は2に記載のワイパーシステム(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のワイパーシステム(1)を備える自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイパーシステムに関し、より詳細には、双方向ポンプによって制御される第1のウォッシャーシステム及び第2のウォッシャーシステムを備えるとともに第1のウォッシャーシステム及び第2のウォッシャーシステムを別々に制御できるようにするワイパーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォッシャーシステムは、通常、自動車両などの車両におけるワイパーシステムに組み込まれる。そのようなワイパーシステムは、フロントウインドスクリーン及びリアフウインドスクリーンなどの車両のウインドスクリーンをウォッシャーシステムによってウインドスクリーン上に噴射される洗浄剤(液体又は粉末)を用いて拭くためのワイパー手段を含む。ワイパー手段は、一般に、それぞれがウインドスクリーンと滑り接触するワイパーブレードを有する2つのワイパーアームを含む。
【0003】
ワイパーアームの往復移動中に洗浄液が車両のウインドスクリーン上に連続的に噴射していれば、洗浄液がワイパー手段に衝突して窓の幅広い領域にわたって飛散する場合があり、それにより、洗浄液の経済的不利益がもたらされる場合があるとともに、ドライバーの明瞭な視界に関して悪影響が及ぶ場合がある。
【0004】
ワイパー手段の角度位置にしたがって洗浄剤を噴射できるようにするため、ワイパーシステムは、ウォッシャーシステム用のポンプの作動をワイパー手段の往復移動と協働させるべくワイパー手段の角度位置に応じて開閉するためのウォッシャースイッチモジュールを更に含む場合がある。
【0005】
しかしながら、リアウインドスクリーン用のウォッシャーシステムがフロントウインドスクリーンのワイパー手段の角度位置にしたがって洗浄剤を噴射することは望ましくない。したがって、フロントウインドスクリーン及びリアウインドスクリーンのためのウォッシャーシステムの噴射を別々に制御する必要がある。
【0006】
この目的のための従来の制御装置は、ワイパーシステムから独立している制御システムであり、一方では、システムの統合を低減させ、他方では、さほどコンパクトな製品構造にせず、スペース利用の効率を低下させる。
【0007】
Changshu Valeo Automotive Wiper Systems Co.、LTDによって提出された他の特許出願PCT/CN2018/074704では、ダイオードなど、ワイパーシステムに組み込まれた一方向ユニットが提案され、このユニットは、ウォッシャースイッチモジュールと並列に接続されるとともに、ウォッシャーパワーモジュールによって印加される電圧の極性に応じてウォッシャースイッチモジュールを選択的にバイパスするように構成される。
【0008】
そのような一方向ユニットには依然として改善の余地があり、これは、ダイオードによって生み出されるかなりの熱において明らかにされる。結果として、ダイオードにヒートシンクを設けなければならない場合があり、それにより、製品の体積及びコストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述の欠点を少なくとも改善し、構造がコンパクトで低コストなワイパーシステムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、自動車両のウインドスクリーンを拭くように構成されるワイパー手段と、洗浄剤を噴射するように構成される第1のウォッシャーシステム及び第2のウォッシャーシステムと、第1の方向に回転する際に洗浄剤を第1のウォッシャーシステムに送出するとともに、第2の方向に回転する際に洗浄剤を第2のウォッシャーシステムに送出するように構成される双方向ポンプと、双方向ポンプが第1の方向又は第2の方向にそれぞれ回転するようにプラス電圧又はマイナス電圧を双方向ポンプに選択的に印加するように構成されるウォッシャーパワーモジュールと、ウォッシャーパワーモジュール及び双方向ポンプと直列に接続されるとともに、第1のウォッシャーシステムが洗浄剤を噴射する又は洗浄剤の噴射を停止するようにワイパー手段の角度位置に応じて開閉するように構成されるウォッシャースイッチモジュールと、ウォッシャースイッチモジュールと並列に接続されるとともに、第1のウォッシャーシステムの噴射がワイパー手段の角度位置と協働するように信号によってトリガーされるときにオフにされ、第2のウォッシャーシステムの噴射がワイパー手段の角度位置とは無関係であるように信号によってトリガーされるときにオンにされるべく構成される、トリガースイッチモジュールとを備える自動車両用のワイパーシステムに関する。
【0012】
これにより、第1のウォッシャーシステム及び第2のウォッシャーシステムの噴射の別個の制御を達成することができる。更に、別個の制御システムと比較して、トリガースイッチモジュールはワイパーシステムのサブモジュールとして実装され、これは、自動車メーカーがパッケージ全体のサイズを縮小させるのに役立ち得るとともに、サブシステムの数を減らすことができ、それにより、ワイパーシステム及び更には車両全体のコストを低減できる。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態によれば、トリガースイッチモジュールが電流又は電圧信号によってトリガーされる。ダイオードを利用してウォッシャースイッチモジュールをバイパスする解決策と比較して、トリガースイッチモジュールは、より高い安定性及び信頼性を有しており、ダイオードの大きな熱効果によって引き起こされる悪影響を回避する。
【0014】
ウォッシャーパワーモジュールが双方向ポンプにプラス電圧を印加すると、双方向ポンプが第1の方向に回転し、洗浄剤がワイパー手段の角度位置にしたがって第1のウォッシャーシステムにより断続的に噴射される。これにより、ワイパーシステムのポンプの作動、言い換えると、第1のウォッシャーシステムを通じた洗浄剤の噴射が、ワイパー手段の往復動作と協働できるようになる。
【0015】
ウォッシャーパワーモジュールが双方向ポンプにマイナス電圧を印加すると、双方向ポンプが第2の方向に回転し、洗浄剤がフロントワイパー手段の角度位置に関係なく第2のウォッシャーシステムにより噴射される。これは、第2のウォッシャーシステムが第1のウインドスクリーンにおける第1のワイパー装置の往復動作と協働して洗浄剤を断続的に噴射することを防止し、代わりに、第2のウォッシャーシステムが洗浄剤を連続的に噴射する。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、トリガースイッチモジュールがリレーである。この場合、トリガースイッチモジュールをトリガーするトリガー信号は電流信号である。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、トリガースイッチモジュールは、ウォッシャーパワーモジュールの第1の電圧端子に接続される第1の端部と、双方向ポンプの一端に接続される第2の端部とを備え、第1の電圧端子が高電位にあるときにトリガースイッチモジュールがオンになる。この場合、トリガースイッチモジュールをトリガーするトリガー信号が電圧信号である。
【0018】
トリガースイッチモジュールは、ウォッシャーパワーモジュールの第2の電圧端子に接続された第3の端部を備えてもよい。
【0019】
本発明によれば、トリガースイッチモジュールは金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)タイプのトランジスタを備えてもよく、トランジスタのソース、ゲート、及び、ドレインはそれぞれ、トリガースイッチモジュールの第2の端部、第3の端部、及び、第1の端部に接続される。
【0020】
好ましくは、トリガースイッチモジュールは、トリガースイッチモジュールの第2の端部と第3の端部との間に接続されるツェナーダイオードを備えてもよい。
【0021】
好ましくは、ワイパーシステムは、ドライバーの指示又は自動車両のセンサから受信される信号にしたがってウォッシャーパワーモジュールがプラス又はマイナス電圧を双方向ポンプに印加できるようにするボディー制御モジュールを更に備える。
【0022】
また、本発明は、前述したワイパーシステムを備える自動車両にも関連する。
【0023】
本開示は、以下の図面及び説明を参照することにより、より良く理解され得る。図面中の構成要素は必ずしも原寸に比例しているとは限らず、代わりに本開示の原理を説明することに重点が置かれる。更に、図中、同様の参照番号は、異なる図の全体にわたって同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係るワイパーシステムを示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るリレーを含むワイパーシステムのフロントウォッシャーポンプ回路を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るリレーを含むワイパーシステムのリアウォッシャーポンプ回路を示す概略図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係るトランジスタを含むワイパーシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について更に詳しく説明する。本発明の以下の説明では、本発明の主題をかなり不明確にし得る場合には、本明細書中に組み入れられる既知の機能及び形態の詳細な説明が省かれる。
【0026】
本明細書中で使用される用語は、実施形態を説明するために使用され、本開示を制限及び/又は限定しようとするものではない。
【0027】
本明細書中で使用される用語は、実施形態を説明するために使用され、本開示を制限及び/又は限定しようとするものではない。
【0028】
本明細書中で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び、「その(the)」は、文脈が別段明たかに示唆しなければ、複数形も含むように意図される。
【0029】
また、本明細書中では、様々な要素を説明するために「第1」、「第2」などの用語が使用される場合があるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されないことが理解され得る。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためにだけに使用される。
【0030】
自動車両の従来のワイパーシステム1を示す
図1を参照すると、システム1は、2つのワイパーアームを有するワイパー手段を備え、ワイパーアームはそれぞれ、車両のウインドスクリーンを拭くためのワイパーブレードをその自由端に備える。ワイパーモータ(図示せず)がリンケージユニット(図示せず)を介してワイパー手段を駆動するように構成され、リンケージユニットは、ワイパーモータの回転動作をワイパーアームの往復動作に変換する。ウォッシャーシステム(図示せず)が、ウインドスクリーン上に洗浄剤(液体又は粉末)を噴射するように構成される。ポンプ13が、洗浄液のリザーバに接続され、ワイパー手段に洗浄剤を供給するように構成される。ワイパースイッチ14が、ワイパー手段の電力供給を制御するように構成される。ウォッシャーパワーモジュール15がポンプ13の電力供給を制御するように構成される。ボディー制御モジュール(UCM)16が、例えばユーザからのコマンド及び様々なセンサから受信される信号にしたがって、ワイパースイッチ14及びウォッシャーパワーモジュール15を制御するように構成される。
【0031】
本開示の一実施形態によれば、ワイパー手段11は、フロントウインドスクリーン121用のフロントワイパー手段111とリアウインドスクリーン用のリアワイパー手段(図示せず)とを更に含んでもよい。ワイパーモータは、フロントワイパー手段を駆動するためのフロントワイパーモータ(図示せず)と、リアワイパー手段を駆動するためのリアワイパーモータ(図示せず)とを含んでもよい。ウォッシャーシステムはフロントウォッシャーシステム(図示せず)及びリアウォッシャーシステム(図示せず)を含んでもよく、これらのウォッシャーシステムのそれぞれは、パイプと、パイプを介してポンプ13に接続されるとともにフロントウインドスクリーン上及びリアウインドスクリーン上に洗浄液のジェットを送ることができるノズルとを含む。ウォッシャーパワーモジュール15は、自動車両のUCMから受信される信号に応じてプラス電圧又はマイナス電圧をポンプ13に印加してもよい。ポンプ13は、2つの方向に回転できる双方向ポンプであってもよく、一例として、ウォッシャーパワーモジュール15を介してプラス電圧がポンプ13に供給されると、ポンプは、フロントウォッシャーシステムが洗浄剤を噴射するように第1の方向に回転し、ウォッシャーパワーモジュール15を介してマイナス電圧がポンプ13に供給されると、ポンプは、リアウォッシャーシステムが洗浄剤を噴射するように第1の方向と反対の第2の方向に回転する。ワイパースイッチ14は、フロントワイパー手段111及びリアワイパー手段の電力供給を制御するように構成される。ウォッシャーパワーモジュール15は、ポンプ13の電力供給、特に電源の電気極性を制御するように構成される。
【0032】
本開示の一実施形態によれば、要求通りに洗浄剤の噴射を制御するために、ワイパーシステム1は、ワイパースイッチ14及びポンプ13と直列に接続されるウォッシャースイッチモジュール17を更に含んでもよい。ウォッシャースイッチモジュール17は、ワイパー手段11を駆動するワイパーモータの回転と共に回転するように構成されるホイールに取り付けられるカムと、カムに面するように固定されるとともにウォッシャーパワーモジュール及びポンプ13にそれぞれ接続されるばね接点などの2つの固定接点172,173とを含む。一例として、ホイールは、ワイパー手段11の往復動作をもたらすワイパーモータの出力シャフトと同心回転してもよく、したがって、ホイールの角度位置は、ワイパー手段11の角度位置に対応する。カムは、ホイールと同心の導電トラック171を有し、この導電トラック171は、ワイパー手段11の角度位置に応じて2つの固定接点172,173を接続又は切断して、ワイパー手段11の角度位置に応じてウォッシャースイッチモジュール17の開閉を可能にする。
【0033】
ポンプ13が2方向に回転する双方向ポンプである場合、ポンプ13は、フロントウインドスクリーン及びリアウインドスクリーンの両方に関して使用される。フロントウインドスクリーン用のフロントウォッシャーシステム及びリアウインドスクリーン用のリアウォッシャーシステムの両方が1つのワイパー手段の角度位置に応じて開閉するように構成されるウォッシャースイッチモジュール17によって制御されることは望ましくない。特に、1つのワイパー手段がフロントワイパー手段である場合、フロントワイパー手段の角度位置に応じてリアウォッシャーシステムを制御することは望ましくない。
【0034】
したがって、フロントウォッシャーシステムとリアウォッシャーシステムとを別々に制御する必要がある場合がある。特に、フロントワイパー手段の角度位置にしたがってフロントウォッシャーシステムを制御するとともに、フロントワイパー手段の角度位置に関係なくリアウォッシャーシステムを制御する必要がある場合がある。
【0035】
以上の問題に対処するために、ワイパーシステム1は、ウォッシャースイッチモジュール17と並列に接続されるとともに電圧又は電流信号によってオンになるように構成されるトリガースイッチモジュール18を更に含んでもよい。
【0036】
図2及び
図3は、トリガースイッチモジュール18の1つの実施形態を示す。この実施形態では、トリガースイッチモジュール18がリレーである。一例として、リレーのコイル部は、一端が接地され、他端がウォッシャー給電モジュール15の第1の電圧端子151に接続される。第1の電圧端子151が高電位であるとき、コイル部を通る電流iの結果としてリレーの電機子部を閉位置から開位置に至らせることができ、それにより、リレーが開状態になる。
【0037】
図2に示されるように、ウォッシャーパワーモジュール15は、双方向ポンプ13にプラス電圧を印加し、ウォッシャーパワーモジュール15の第1の電圧端子151は高電位にあり、第2の電圧端子152は低電位にあり、また、電流iがリレーのコイル部を通過し、リレーの電機子部が閉位置から開位置に入り、リレーが切断される。したがって、ウォッシャー給電モジュール15、ポンプ13、及び、ウォッシャースイッチモジュール17は、閉回路、すなわち、(
図2に太線で示されるように)フロントウォッシャーポンプ回路を構成する。この場合、双方向ポンプ13が第1の方向に回転し、また、洗浄剤は、フロントワイパー手段の角度位置にしたがってフロントウォッシャーシステムにより断続的に噴射される。
【0038】
図3に示されるように、ウォッシャーパワーモジュール15は、双方向ポンプ13にマイナス電圧を印加し、ウォッシャーパワーモジュール15の第1の電圧端子151は低電位にあり、第2の電圧端子152は高電位にあり、また、電流はリレーのコイル部を通過せず、リレーの電機子部が閉位置のままであり、リレーが接続される。したがって、ウォッシャー給電モジュール15、ポンプ13、及び、リレーは、閉回路、すなわち、(
図3に太線で示されるように)リアウォッシャーポンプ回路を構成する。この場合、双方向ポンプ13が第2の方向に回転し、また、洗浄剤は、フロントワイパー手段の角度位置に関係なくリアウォッシャーシステムによって連続的に噴射される。
【0039】
前述の常時閉タイプのリレーに加えて、例えば、常時開タイプのリレーが設けられてもよいと考えられる。
【0040】
図4は、トリガースイッチモジュール18の他の実施形態を示す。この実施形態において、トリガースイッチモジュール18は、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)タイプのトランジスタを含む。トリガースイッチモジュール18は3つの端部を有してもよく、この場合、第1の端部181はウォッシャーパワーモジュール15の第1の電圧端子151に接続され、第2の端部182は双方向ポンプ13の一端に接続され、及び、第3の端部183はウォッシャーパワーモジュールの第2の電圧端子152に接続される。一例として、電界効果トランジスタはPチャネルタイプであり、トランジスタのソースSはトリガースイッチモジュール18の第2の端部182に接続され、トランジスタのドレインDはトリガースイッチモジュール18の第1の端部181に接続され、及び、トランジスタのゲートGはトリガースイッチモジュール18の第3の端部183に接続される。トリガースイッチモジュールはツェナーダイオードを更に含んでもよく、ツェナーダイオードのアノードは、トリガースイッチモジュール18の第3の端部183に接続され、ツェナーダイオードのカソードは、トリガースイッチモジュール18の第2の端部182に接続される。また、トリガースイッチモジュールがレジスタを含んでもよく、レジスタの一端は、ツェナーダイオードのアノード及びトランジスタのゲートGに接続され、他端は、ウォッシャーパワーモジュール15の第2の電圧端子152に接続される。
【0041】
ウォッシャーパワーモジュール15が双方向ポンプ13にプラス電圧を印加するとき、第1の電圧端子151は高電位にあり、第2の電圧端子152は低電位にあり、したがって、トランジスタのゲートGが低電位にあり、ドレインDが高電位にあり、そのため、トランジスタがオンになり、トリガースイッチモジュール18の第1の端部181と第2の端部182との間で電流が流れる。ツェナーダイオードのカソードは高電位にあり、アノードは低電位にあり、したがって、ツェナーダイオードはブレークダウンが逆にされる。したがって、ウォッシャー給電モジュール15、ポンプ13、及び、トリガースイッチモジュール18は、閉回路、すなわち、リアウォッシャーポンプ回路を構成する。この場合、ワイパー手段の角度位置に関係なく洗浄剤がリアウォッシャーシステムによって連続的に噴射される。
【0042】
ウォッシャーパワーモジュール15が双方向ポンプ13にマイナス電圧を印加するとき、第1の電圧端子151は低電位にあり、第2の電圧端子152は高電位にあり、したがって、トランジスタのゲートGが高電位にあり、ドレインDが低電位にあり、そのため、トランジスタがオフになり、トリガースイッチモジュール18の第1の端部181と第2の端部182との間で電流が流れない。したがって、ウォッシャー給電モジュール15、ポンプ13、及び、ウォッシャースイッチモジュール17は、閉回路、すなわち、フロントウォッシャーポンプ回路を構成する。この場合、洗浄剤は、フロントワイパー手段の角度位置にしたがってフロントウォッシャーシステムにより断続的に噴射される。
【0043】
前述のPチャネル型電界効果トランジスタに加えて、例えば、Nチャネル型電界効果トランジスタを設けることもできると考えられる。
【0044】
本開示の幾つかの実施形態について図示して説明してきたが、当業者であれば分かるように、本開示の原理及び思想から逸脱することなく、これらの実施形態に変更が成されてもよく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びそれらの均等物において規定される。
【0045】
本開示を典型的な実施形態を用いて説明してきたが、様々な変更及び修正が当業者に示唆され得る。本開示が添付の特許請求の範囲内に入るような変更及び修正を包含することが意図される。