(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】電池加熱制御方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20220729BHJP
B60L 58/25 20190101ALI20220729BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220729BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220729BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20220729BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220729BHJP
H01M 10/637 20140101ALI20220729BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20220729BHJP
H01M 10/657 20140101ALI20220729BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220729BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20220729BHJP
【FI】
H01M10/633
B60L58/25
H01M10/44 A
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/637
H01M10/651
H01M10/657
H02J7/00 P
H02M7/48 E
(21)【出願番号】P 2021057659
(22)【出願日】2021-03-30
(62)【分割の表示】P 2019236180の分割
【原出願日】2019-12-26
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】201811641276.2
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】但志敏
(72)【発明者】
【氏名】左希▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】候▲貽▼真
(72)【発明者】
【氏名】李国▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲興▼▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】李▲艷▼茹
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-135085(JP,A)
【文献】特開2014-072955(JP,A)
【文献】特開2012-120347(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103560304(CN,A)
【文献】特開2015-216776(JP,A)
【文献】特開2016-165201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
H01M10/42-10/667
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02M7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池加熱制御方法であって、
電池管理モジュールは、電池パックの状態パラメータを取得し、前記状態パラメータは、温度及び充電状態を含み、
前記電池管理モジュールは、前記電池パックの状態パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、車両用コントローラに加熱指令を送信し、前記予め設定された加熱条件は、前記温度が予想温度閾値未満である及び前記充電状態が加熱許容充電状態閾値を超えることを含み、前記車両用コントローラが車両の状態を検出し
、モータが非作動状態にあると判定すると
、モータコントローラに加熱指令を送信し、前記車両用コントローラが前記モータコントローラから前記加熱指令による通信要求を受信すると、前記モータコントローラと前記電池管理モジュールに通信パラメータを配置し、
前記電池管理モジュールは、前記通信パラメータに応じて前記モータコントローラに対しハンドシェイク通信を行うことで、通信接続を確立し、
前記電池管理モジュールは、前記状態パラメータに基づいて、所望の周波数と所望のデューティ比を算出し、
前記電池管理モジュールは、前記所望の周波数および前記所望のデューティ比を前記モータコントローラに送信することで、前記所望の周波数および前記所望のデューティ比が、駆動信号の周波数およびデューティ比として別個に使用され、前記駆動信号は、前記電池パックを加熱するようにインバータを制御するために使用される、
ことを特徴とする電池加熱制御方法。
【請求項2】
前記状態パラメータは、電流を更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池加熱制御方法。
【請求項3】
前記駆動信号は、パルス幅変調(PWM)信号である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池加熱制御方法。
【請求項4】
前記駆動信号の周波数の範囲は、100Hz~100000Hzであり、前記駆動信号のデューティ比の範囲は5%~50%である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池加熱制御方法。
【請求項5】
前記駆動信号は、インバータの対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの周期的なオン/オフを制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の電池加熱制御方法。
【請求項6】
前記インバータは、並列に接続された支持容量と、第1相ブリッジアームと、第2相ブリッジアームと、第3相ブリッジアームとを含み、前記対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアーム、第2相ブリッジアーム、および第3相ブリッジアームのいずれかの上部ブリッジアームのスイッチモジュールであり、前記対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールが位置するブリッジアーム以外のブリッジアームのうちの少なくとも1つの下部ブリッジアームのスイッチモジュールであることを特徴とする請求項5に記載の電池加熱制御方法。
【請求項7】
前記駆動信号は、前記インバータのブリッジアームの上部ブリッジアームスイッチモジュールを制御するための第1の駆動信号と、前記インバータのブリッジアームの下部ブリッジアームスイッチモジュールを制御するための第2の駆動信号とを備え、前記第1の駆動信号のレベルが変化する時刻と、前記第2の駆動信号のレベルが変化する時刻との間にデッドタイムが設定されることを特徴とする請求項1に記載の電池加熱制御方法。
【請求項8】
前記電池管理モジュールは、前記状態パラメータがパラメータ安全範囲を超える場合、前記モータコントローラに停止信号を送信して、前記モータコントローラからの駆動信号の出力を停止するように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池加熱制御方法。
【請求項9】
電池加熱制御方法であって、
車両用コントローラは、電池パックの状態パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電池管理モジュールから加熱指令を受信し、前記状態パラメータは、温度及び充電状態を含み、前記予め設定された加熱条件は、前記温度が予想温度閾値未満である及び前記充電状態が加熱許容充電状態閾値を超えることを含み、
前記車両用コントローラは、モータが非作動状態にある場合、前記モータコントローラに加熱指令を送信し、
前記車両用コントローラは、前記モータコントローラから前記加熱指令による通信要求を受信し、
前記車両用コントローラは、前記モータコントローラと前記電池管理モジュールに通信パラメータを配置し、前記電池管理モジュールが前記通信パラメータによって前記モータコントローラと通信接続を確立し、前記通信接続により、前記電池管理モジュールから所望の周波数および所望のデューティ比を前記モータコントローラに送信し、前記所望の周波数および前記所望のデューティ比が、駆動信号の周波数およびデューティ比として別個に使用され、前記駆動信号は、前記電池パックを加熱するようにインバータを制御するために使用される、
ことを特徴とする電池加熱制御方法。
【請求項10】
前記状態パラメータは、電流を更に含む、ことを特徴とする請求項9に記載の電池加熱制御方法。
【請求項11】
前記駆動信号は、パルス幅変調(PWM)信号である、ことを特徴とする請求項9に記載の電池加熱制御方法。
【請求項12】
前記駆動信号の周波数の範囲は、100Hz~100000Hzであり、前記駆動信号のデューティ比の範囲は5%~50%である、ことを特徴とする請求項9に記載の電池加熱制御方法。
【請求項13】
前記駆動信号は、インバータの対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの周期的なオン/オフを制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項9に記載の電池加熱制御方法。
【請求項14】
前記インバータは、並列に接続された支持容量と、第1相ブリッジアームと、第2相ブリッジアームと、第3相ブリッジアームとを含み
、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアーム、第2相ブリッジアーム、および第3相ブリッジアームのいずれかの上部ブリッジアームのスイッチモジュールであり
、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、
前記対象上部ブリッジアームスイッチモジュールが位置するブリッジアーム以外のブリッジアームのうちの少なくとも1つの下部ブリッジアームのスイッチモジュールであることを特徴とする請求項9に記載の電池加熱制御方法。
【請求項15】
前記駆動信号は、前記インバータのブリッジアームの上部ブリッジアームスイッチモジュールを制御するための第1の駆動信号と、前記インバータのブリッジアームの下部ブリッジアームスイッチモジュールを制御するための第2の駆動信号とを備え、前記第1の駆動信号のレベルが変化する時刻と、前記第2の駆動信号のレベルが変化する時刻との間にデッドタイムが設定されることを特徴とする請求項9に記載の電池加熱制御方法。
【請求項16】
コンピュータを請求項1ないし8のいずれか一項に記載の電池加熱制御方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項17】
コンピュータを請求項9ないし15のいずれか一項に記載の電池加熱制御方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池電力の分野に関し、特に、電池加熱システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギーの発展に伴い、動力として新エネルギーを採用する分野が増えている。電池は、エネルギー密度が高く、循環充電が可能で、安全性、環境に優しいなどの利点があるため、新エネルギー自動車、消費電子、エネルギー貯蔵システムなどの分野に広く応用されている。
【0003】
しかし、低温環境での電池の使用はある程度で制限されている。具体的には、低温環境では電池の放電容量が著しく低下することや、低温環境では電池を充電できなくなることがある。このため、電池を正常に使用するためには、低温環境で電池を加熱する必要がある。
【0004】
現状では、電池に専用の熱循環容器を配置し、熱循環容器中の熱伝導物質を間接的に加熱することにより、熱を電池に伝導し、電池の加熱を実現することができる。しかし、このような加熱方式は時間がかかり、加熱効率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、電池パックの加熱効率を向上させることができる電池加熱システム及びその制御方法を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点では、本発明の実施形態は、電池パックの正極に接続されたメイン正極スイッチと、電池パックの負極に接続されたメイン負極スイッチと、メイン正極スイッチ及びメイン負極スイッチに接続されたインバータと、インバータに接続されたモータと、電池管理モジュールとを備え、インバータは、並列に接続された第1相ブリッジアームと、第2相ブリッジアームと、第3相ブリッジアームとを含み、第1相ブリッジアーム、第2相ブリッジアーム及び第3相ブリッジアームは、それぞれ上部ブリッジアーム及び下部ブリッジアームを有し、上部ブリッジアームには、スイッチモジュールが設けられ、下部ブリッジアームには、スイッチモジュールが設けられており、モータの第1相入力端、第2相入力端及び第3相入力端は、第1相ブリッジアームにおける上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点、第2相ブリッジアームにおける上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点、及び第3相ブリッジアームにおける上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点にそれぞれ接続されており、インバータは、モータコントローラを更に含み、モータコントローラは、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールに駆動信号を出力して、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの周期的なオン/オフを制御し、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアーム、第2相ブリッジアーム、第3相ブリッジアームのいずれかの上部ブリッジアームのスイッチモジュールであり、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールが配置されたブリッジアームを除く少なくとも1つのブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールであり、電池管理モジュールは、電池パックの状態パラメータを取得し、電池パックの状態パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、モータコントローラに制御信号を送信し、モータコントローラからの駆動信号の出力を制御する電池加熱システムを提供する。
【0007】
第2の観点では、本発明の実施形態は、第1の観点の技術案に記載の電池加熱システムに適用される電池加熱システムの制御方法であって、電池管理モジュールは、電池パックの状態パラメータを取得し、電池パックの状態パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、モータコントローラに制御信号を送信することと、モータコントローラは、制御信号を受信して、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールに駆動信号を出力し、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの周期的なオン/オフを制御することとを含む電池加熱システムの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態は、電池加熱システム及びその制御方法を提供し、電池加熱システムにおける電池管理モジュールは、電池パックの状態パラメータが予め設定された加熱条件を満たすか否かを判定し、加熱条件を満たすと、モータコントローラに制御信号を送信し、モータコントローラが対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールに駆動信号を出力するように制御され、前記対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び前記対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの周期的なオン/オフを制御する。電池パック、メイン正極スイッチ、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール、モータ、対象下部ブリッジアームスイッチモジュール、メイン負極スイッチにより形成される回路に交流電流を発生させ、つまり、電池パックは充電と放電を交互に行う。電池パックは内部抵抗を有しており、電池パックが充電と放電を交互に行う過程で、電池パックの内部抵抗に交流電流が流れて発熱し、即ち電池パックが内部から発熱するため、電池パックの加熱効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付の図面を参照した以下の詳細な説明からよりよく理解できる。ここで、同一又は類似の符合は、同一又は類似の特徴を示す。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電池加熱システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の他の実施形態に係る電池加熱システムの概略構成図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態における駆動信号生成ユニットの構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態における駆動信号のデッドタイムを示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る電池加熱システムの制御方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の他の実施形態に係る電池加熱システムの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の様な態様の特徴及び例示的な実施形態を詳細に説明する。以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が提示されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細の一部を必要とせずに実施され得ることは、当業者にとっては明らかである。以下の実施形態の説明は、単に、本発明の実施形態を示すことによって、本発明のより良い理解を提供するためのものである。本発明は、以下に示す特定の構成及びアルゴリズムに限定されるものではなく、本発明の精神から逸脱することなく、要素、構成部材、及びアルゴリズムの変形、置換、及び改良を含む。図面及び以下の説明では、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、公知の構造及び技術は示されていない。
【0011】
本発明の実施形態は、電池加熱システム及びその制御方法を提供しており、電池パックの温度が低い条件で、電池パックを加熱し、電池パックの温度を上昇させ、電池パックが正常に使用できる温度に達するように適用することができる。ここで、電池パックは、少なくとも1つの電池モジュール又は少なくとも1つの電池ユニットを含むことができるが、これらに限定されるものではない。電池パックは、電気自動車に応用され、モータに給電し、電気自動車の動力源とすることができる。電池パックは、電気自動車の他の電気機器、例えば、車内エアコン、車載プレーヤ等に電力を供給することもできる。本発明の実施形態では、電池加熱システムを制御することによって、電池パックが配置されている回路内に交流電流が生成される。交流電流は連続的に電池パックを通過することで、電池パックの内部抵抗を発熱させ、電池パックの均一で高効率の加熱を実現することができる。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る電池加熱システムの概略構成図である。
図1に示すように、当該電池加熱システムは、電池パックP1の正極に接続されたメイン正極スイッチK1と、電池パックP1の負極に接続されたメイン負極スイッチK2と、メイン正極スイッチK1及びメイン負極スイッチK2に接続されたインバータP2と、インバータP2に接続されたモータP3と、電池管理モジュールP4とを備える。
【0013】
いくつかの例では、メイン正極スイッチK1及びメイン負極スイッチK2は、リレーであってもよい。
【0014】
インバータP2は、並列に接続された支持容量と、第1相ブリッジアームと、第2相ブリッジアームと、第3相ブリッジアームとを含む。第1相ブリッジアーム、第2相ブリッジアーム及び第3相ブリッジアームは、それぞれ上部ブリッジアーム及び下部ブリッジアームを有し、上部ブリッジアームには、スイッチモジュールが設けられ、下部ブリッジアームには、スイッチモジュールが設けられている。
【0015】
例えば、
図1に示すように、第1相ブリッジアームはU相ブリッジアームであり、第2相ブリッジアームはV相ブリッジアームであり、第3相ブリッジアームはW相ブリッジアームである。U相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールは第1のスイッチモジュールP21であり、U相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールは第2のスイッチモジュールP22である。V相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールは第3のスイッチモジュールP23であり、V相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールは第4のスイッチモジュールP24である。W相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールは第5のスイッチモジュールP25であり、W相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールは第6のスイッチモジュールP26である。
【0016】
いくつかの例では、スイッチモジュールは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)チップ、IGBTモジュール、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、MOSFET)等のパワースイッチデバイスの1種または2種以上を含むことができる。ここで、スイッチモジュールにおける各IGBTデバイスとMOSFETデバイス等の組み合わせ方式及び接続方式を限定するものではない。上記パワースイッチデバイスの材料の種類も限定されず、例えば、炭化ケイ素(即ち、SiC)または他の材料から製造されたパワースイッチデバイスを使用することができる。なお、上記パワースイッチデバイスは、ダイオードを有する。具体的には、寄生ダイオード又は意図的に設けられたダイオードであってもよい。ダイオードの材料の種類も限定されず、例えば、シリコン(即ち、Si)、炭化ケイ素(即ち、SiC)、又は他の材料から製造されたダイオードを使用することができる。
【0017】
支持容量Caの一端は、第1相ブリッジアームとメイン正極スイッチK1とが接続された一端に接続され、支持容量Caの他端は、第1相ブリッジアームとメイン負極スイッチK2とが接続された一端に接続されている。支持容量Caは、スイッチモジュールの遮断時に発生する可能性のある高脈動電圧電流を吸収し、電池加熱システムにおける電圧変動及び電流変動を許容範囲内に維持し、電圧及び電流オーバーシュートを回避するために使用される。
【0018】
モータP3の第1相入力端、第2相入力端及び第3相入力端は、第1相ブリッジアームにおける上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点、第2相ブリッジアームにおける上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点、及び第3相ブリッジアームにおける上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点にそれぞれ接続されている。
【0019】
例えば、
図1に示すように、モータP3の固定子は、3相固定子インダクタンスと等価である。固定子インダクタンスは、エネルギー蓄積機能を有する。各相固定子インダクタンスは、一つの相ブリッジアームに接続されている。3相固定子インダクタンスをそれぞれ第1の固定子インダクタンスL1、第2の固定子インダクタンスL2及び第3の固定子インダクタンスL3とする。第1相入力端は、第1の固定子インダクタンスL1に対応する入力端である。第2相入力端は、第2の固定子インダクタンスL2に対応する入力端である。第3相入力端は、第3の固定子インダクタンスL3に対応する入力端である。なお、モータP3の第1相入力端、第2相入力端及び第3相入力端は、入力端として電流を入力してもよいし、出力端として電流を出力してもよい。
【0020】
具体的には、第1の固定子インダクタンスL1の一端は、第1相入力端となり、第1の固定子インダクタンスL1の他端は、第2の固定子インダクタンスL2の他端と第3の固定子インダクタンスL3の他端とに接続されている。第2の固定子インダクタンスL2の一端は、第2相入力端となる。第3の固定子インダクタンスL3の一端は、第3相入力端となる。
【0021】
上記インバータP2は、モータコントローラP20をさらに含む。モータコントローラP20は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールに駆動信号を出力して、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの周期的なオン/オフを制御する。なお、モータコントローラP20は、インバータP2内の各スイッチモジュールに接続されており、この接続関係は
図1には示されていない。
【0022】
駆動信号は、具体的には、パルス信号であってもよい。更に、駆動信号は、パルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)信号であってもよい。いくつかの例では、駆動信号のうちの高レベル信号は、スイッチモジュールがオンになるように駆動し、駆動信号のうちの低レベル信号は、スイッチモジュールがオフになるように駆動する。駆動信号は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの周期的なオン/オフを制御することができる。
ここで、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアーム、第2相ブリッジアーム、第3相ブリッジアームのいずれかの上部ブリッジアームのスイッチモジュールである。対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールが配置されているブリッジアームを除く少なくとも1つのブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールである。
【0023】
なお、駆動信号により駆動されていないスイッチモジュール(即ち、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールと対象下部ブリッジアームスイッチモジュール以外のスイッチモジュール)は、いずれもオフになっている。
【0024】
例えば、
図1に示すように、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールが第1のスイッチモジュールP21である場合、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第4のスイッチモジュールP24及び/又は第6のスイッチモジュールP26である。対象上部ブリッジアームスイッチモジュールが第3のスイッチモジュールP23である場合、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第2のスイッチモジュールP22及び/又は第6のスイッチモジュールP26である。対象上部ブリッジアームスイッチモジュールが第5のスイッチモジュールP25である場合、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第2のスイッチモジュールP22及び/又は第4のスイッチモジュールP24である。
【0025】
なお、周期的なオン/オフの各周期における対象上部ブリッジアームスイッチモジュール、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、同一であってもよく、異なっていてもよいが、ここでは限定されるものではない。例えば、各周期で駆動信号は、第1のスイッチモジュールP21及び第4のスイッチモジュールP24がオン/オフなるように駆動される。また、例えば、第1の周期において、駆動信号は、第1のスイッチモジュールP21及び第4のスイッチモジュールP24がオン/オフになるように駆動する。第2の周期において、駆動信号は、第3のスイッチモジュールP23及び第2のスイッチモジュールP22がオン/オフになるように駆動する。第3の周期において、駆動信号は、第1のスイッチモジュールP21、第4のスイッチモジュールP24及び第6のスイッチモジュールP26がオン/オフになるように駆動する。即ち、異なる周期において、駆動信号によって駆動される対象上部ブリッジアームスイッチモジュール、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールが異なっていてもよい。
【0026】
駆動信号は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールが周期的にオン/オフなるように駆動することで、電池パックP1、メイン正極スイッチK1、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール、モータP3、対象下部ブリッジアームスイッチモジュール、メイン負極スイッチK2により形成された回路内に交流電流を発生させる。具体的には、交番正弦波電流を発生させることができる。即ち、電池パックP1は、充電と放電とを交互に行う。電池パックP1が充電と放電とを交互に行う過程で、電池パックP1は熱を発生し、即ち電池パックP1は内部から発熱する。これにより、電池パックP1の加熱が実現される。
【0027】
電池管理モジュールP4は、電池パックP1の状態パラメータを取得し、電池パックP1の状態パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、モータコントローラP20に制御信号を送信し、モータコントローラP20からの駆動信号の出力を制御する。電池管理モジュールP4とモータコントローラP20との間に通信接続が確立されており、具体的には、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよいが、これに限定されるものではなく、この接続関係は
図1には示されていない。
【0028】
いくつかの例では、状態パラメータは、温度及び充電状態を含み、予め設定された加熱条件は、温度が加熱温度閾値未満であることと充電状態が加熱許容充電状態閾値を超えることを含む。即ち、電池管理モジュールP4は、取得した電池パックの温度が加熱温度閾値を下回り、且つ充電状態が加熱許容充電状態閾値を上回れば、モータコントローラP20に制御信号を送信し、モータコントローラP20が駆動信号を出力するよう制御する。
【0029】
なお、電池加熱システムは、電気機器に搭載可能である。例えば、電池加熱システムは、電気自動車に搭載される。電気自動車の運転中、インバータP2とモータP3は共に作動状態になっており、インバータP2における各ブリッジアームにおけるスイッチモジュールを制御することができない。したがって、本発明の実施形態における電池加熱システムでは、インバータP2及びモータP3のいずれもが非作動状態、即ち電気自動車が静置状態になっていると判定された場合、電池管理モジュールP4は、電池パックP1の状態パラメータの判断及びモータコントローラP20への制御信号の送信のステップを実行する。いくつかの例では、電池管理モジュールP4は、モータコントローラP20に制御信号を送信する前に、メイン負極スイッチK2が閉じられた後に、メイン正極スイッチK1が閉じられるように制御することができる。具体的には、電池管理モジュールP4は、モータコントローラP20に制御信号を送信する前に、加熱指令を車両用コントローラに報知することができる。車両用コントローラは、電池管理モジュールP4とモータコントローラP20に制御指令を下す。電池管理モジュールP4は、メイン負極スイッチK2が閉じられた後、メイン正極スイッチK1が閉じられるように制御する。
【0030】
いくつかの例では、電池パックP1に温度センサを設けてもよい。電池管理モジュールP4は、温度センサから電池パックP1の温度を取得する。ここで、電池パックP1の温度は、具体的には、電池パックP1の筐体の温度であってもよいし、電池パックP1の内部空間における空気の温度であってもよいし、電池パックP1内のいずれかの電池パックP1又は電池ユニットの温度であってもよいし、電池パックP1内の全ての電池パックP1や電池ユニットの温度の平均値などであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0031】
加熱温度閾値は、電池パックP1が正常に作動する最低要求温度、即ち、電池加熱システムが加熱モードに入る必要がある温度閾値とすることができる。加熱温度閾値は、作業シーンや作業ニーズに応じて設定することができるが、ここでは限定されない。電池パックP1の温度が加熱温度閾値を下回ると、電池パックP1が正常に作動せず、加熱する必要がある。
【0032】
加熱許容充電状態閾値は、電池パックP1の加熱を許容する最低要求充電状態、即ち、電池加熱システムが加熱モードに入る必要がある充電状態の閾値である。充電状態閾値は、作業シーンや作業ニーズに応じて設定することができるが、ここでは限定されない。電池パックP1の充電状態が充電状態閾値よりも高い場合、電池パックP1の現在の電力量は、加熱モードに入るために必要な電力量を提供するのに十分であることを示す。
【0033】
そこで、電池管理モジュールP4は、電池パックP1の温度が加熱温度閾値を下回り、且つ電池パックP1の充電状態が加熱許容充電状態閾値を上回ると判定された場合、モータコントローラP20に制御信号を送信する。制御信号は、電池加熱システムに交流電流を発生させ、電池パックP1の内部で熱を発生させて電池パックP1を加熱するように、モータコントローラP20が駆動信号を出力するようにトリガすることができる。
【0034】
図1において、電池パックP1とメイン正極スイッチK1との間の抵抗は、電池パックP1の等価内部抵抗Rxである。電池パックP1の内部抵抗は、温度が低いと抵抗値が大きくなる。例えば、-25℃での動力リチウム電池の内部抵抗は、25℃での動力リチウム電池の内部抵抗の5~15倍である。電池パックP1が充電と放電を交互に行う過程では、発生する熱がより大きくなり、加熱速度がより速くなる。電池パックP1の安全的な使用を保証するために、電池パックP1の内部にヒューズが設けられていてもよい。
【0035】
いくつかの例では、電池管理モジュールP4、メイン正極スイッチK1、及びメイン負極スイッチK2は、高電圧ボックス内に封入されてもよい。
【0036】
本発明の実施形態では、電池加熱システムにおける電池管理モジュールP4は、電池パックP1の状態パラメータが予め設定された加熱条件を満たすと判定すると、モータコントローラP20に制御信号を送信し、モータコントローラP20が対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールに駆動信号を出力するように制御して、前記対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び前記対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの周期的なオン/オフを制御する。電池パックP1、メイン正極スイッチK1、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール、モータP3、対象下部ブリッジアームスイッチモジュール、メイン負極スイッチK2で形成される回路に交流電流を発生させ、つまり、電池パックP1は充電と放電を交互に行う。電池パックは内部抵抗を有しており、電池パックP1が充電と放電を交互に行う過程で、電池パックP1の内部抵抗に交流電流が流れて発熱し、即ち電池パックP1が内部から発熱するため、電池パックP1の加熱効率が向上する。本実施形態における熱は、電池パックP1に交流電流が流れることにより発生するため、電池パックP1の内部の発熱が均一になる。また、インバータP2及びモータP3の構成を変更していないため、追加の構成変更費用も発生しない。
【0037】
以下、各スイッチモジュールが1つのパワースイッチデバイスを備える場合を例にして説明する。
図2は、本発明の他の実施形態に係る電池加熱システムの概略構成図である。
図2は、スイッチモジュールがパワースイッチデバイスを含む点で
図1と異なっている。また、電池加熱システムは、電池パックP1の正極とメイン正極スイッチK1との間に設けられたヒューズモジュールP5と、電池パックP1の負極とメイン負極スイッチK2との間に設けられた電流センサP6とを備えている。
【0038】
ヒューズモジュールP5は、電池パックP1を電池加熱システムから切り離すために使用される。いくつかの例では、保険モジュールP5は、手動保守スイッチ(Manual Service Disconnect、MSD)であってもよい。
【0039】
電流センサP6は、電池加熱システム内の電流パラメータを取得し、電池管理モジュールP4が分析演算を行うように、電池管理モジュールP4に電流パラメータをアップロードすることができる。電池管理モジュールP4は、モータコントローラP20に制御信号を送信する前に、電流センサP6を起動することもできる。
【0040】
図2に示すように、第1のスイッチモジュールP21は第1のパワースイッチデバイスS1を含み、第2のスイッチモジュールP22は第2のパワースイッチデバイスS2を含み、第3のスイッチモジュールP23は第3のパワースイッチデバイスS3を含み、第4のスイッチモジュールP24は第4のパワースイッチデバイスS4を含み、第5のスイッチモジュールP25は第5のパワースイッチデバイスS5を含み、第6のスイッチモジュールP26は第6のパワースイッチデバイスS6を含む。ここで、第1のパワースイッチデバイスS1のダイオードはVD1であり、第2のパワースイッチデバイスS2のダイオードはVD2であり、第3のパワースイッチデバイスS3のダイオードはVD3であり、第4のパワースイッチデバイスS4のダイオードはVD4であり、第5のパワースイッチデバイスS5のダイオードはVD5であり、第6のパワースイッチデバイスS6のダイオードはVD6である。
【0041】
上部ブリッジアームのスイッチモジュールのダイオードのアノードは、上部ブリッジアームと下部ブリッジアームの接続点に接続され、ダイオードのカソードは、上部ブリッジアームとメイン正極スイッチK1との間に位置し、例えば、上部ブリッジアームのスイッチモジュールのダイオードのカソードは、上部ブリッジアームとメイン正極スイッチK1とが接続された一端に接続される。ダイオードのアノードは、下部ブリッジアームとメイン負極スイッチK2との間に位置し、例えば、下部ブリッジアームのスイッチモジュールのダイオードのアノードは、下部ブリッジアームとメイン負極スイッチK2とが接続された一端に接続され、下部ブリッジアームのスイッチモジュールのダイオードのカソードは、上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点に接続されている。
【0042】
駆動信号により対象上部ブリッジアームスイッチモジュールと対象下部ブリッジアームスイッチモジュールがオンになるように駆動されると、電池パックP1の放電回路が形成され、電流方向は、電池パックP1→ヒューズモジュールP5→メイン正極スイッチK1→対象上部ブリッジアームスイッチモジュール→対象上部ブリッジアームスイッチモジュールに対応する固定子インダクタンス→対象下部ブリッジアームスイッチモジュールに対応する固定子インダクタンス→対象下部ブリッジアームスイッチモジュール→メイン負極スイッチK2→電流センサP6→電池パックP1である。
【0043】
駆動信号により対象上部ブリッジアームスイッチモジュールと対象下部ブリッジアームスイッチモジュールがオフになるように駆動されると、固定子インダクタンスがエネルギー蓄積機能を有し、固定子インダクタンスが放電するため、電池パックP1の充電回路が形成され、電流方向は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールに対応する固定子インダクタンス→対象上部ブリッジアームスイッチモジュールのダイオード→メイン正極スイッチK1→ヒューズモジュールP5→電池パックP1→電流センサP6→メイン負極スイッチK2→対象下部ブリッジアームスイッチモジュールのダイオード→対象下部ブリッジアームスイッチモジュールに対応する固定子インダクタンスである。
【0044】
いくつかの例では、駆動信号の周波数の範囲は、100Hz~100000Hzである。駆動信号の周波数は、スイッチモジュールのスイッチ周波数である。駆動信号のデューティ比の範囲は5%~50%である。駆動信号のデューティ比は、スイッチモジュールのオン期間とオフ期間との合計に対するスイッチモジュールのオン期間の割合である。
【0045】
電池加熱システムでは、各ブリッジアーム内のスイッチモジュールに対する駆動信号の制御が頻繁に切り替わる。同じブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールと下部ブリッジアームのスイッチモジュールが共にオンになる場合、例えば、同じブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールと下部ブリッジアームのスイッチモジュールが共に10ミリ秒以上オンになる場合、電池加熱システム内の機器や電池パックP1が焼損するおそれがある。同一のブリッジアーム内の上部ブリッジアームのスイッチモジュールと下部ブリッジアームのスイッチモジュールが共にオンになることを防止するため、モータコントローラP20において論理回路を用いることにより、同一のブリッジアーム内の上部ブリッジアームのスイッチモジュールと下部ブリッジアームのスイッチモジュールの導通の相互排他を実現することができる。
【0046】
本発明の実施形態におけるモータコントローラP20は、第1相ブリッジアーム、第2相ブリッジアーム及び第3相ブリッジアームにそれぞれ対応する3つの駆動信号生成ユニットを備えていてもよい。各駆動信号生成ユニットは、一つのブリッジアームに対応する。
【0047】
例えば、3つの駆動信号生成ユニットは、それぞれA1、A2、A3である。駆動信号生成ユニットA1は、
図2のU相ブリッジに対応しており、2つの出力端A11、A12を有している。駆動信号生成ユニットA1の出力端A11は、第1のスイッチモジュールP21における第1パワースイッチデバイスS1の制御端に接続され、第1のスイッチモジュールP21における第1パワースイッチデバイスS1の駆動信号を出力する。駆動信号生成ユニットA1の出力端A12は、第2のスイッチモジュールP22における第2のパワースイッチデバイスS2の制御端に接続され、第2のスイッチモジュールP22における第2のパワースイッチデバイスS2の駆動信号を出力する。
【0048】
駆動信号生成ユニットA2は、
図2のV相ブリッジアームに対応しており、2つの出力端A21、A22を有している。駆動信号生成ユニットA2の出力端A21は、第3のスイッチモジュールP23における第3のパワースイッチデバイスS3の制御端に接続され、第3のスイッチモジュールP23における第3のパワースイッチデバイスS3の駆動信号を出力する。駆動信号生成ユニットA2の出力端A22は、第4のスイッチモジュールP24における第4のパワースイッチデバイスS4の制御端に接続され、第4のスイッチモジュールP24における第4のパワースイッチデバイスS4の駆動信号を出力する。
【0049】
駆動信号生成ユニットA3は、
図2のW相ブリッジアームに対応しており、2つの出力端A31、A32を有している。駆動信号生成ユニットA3の出力端A31は、第5のスイッチモジュールP25における第5のパワースイッチデバイスS5の制御端に接続され、第5のスイッチモジュールP25における第5のパワースイッチデバイスS5の駆動信号を出力する。駆動信号生成ユニットA3の出力端A32は、第6のスイッチモジュールP26における第6のパワースイッチデバイスS6の制御端に接続され、第6のスイッチモジュールP26における第6のパワースイッチデバイスS6の駆動信号を出力する。
【0050】
以下、一つの駆動信号生成ユニットについて説明する。
図3は、本発明の一実施形態における駆動信号生成ユニットの構成模式図である。
図3に示すように、駆動信号生成ユニットは、第1のフィルタサブユニットP203、第2のフィルタサブユニットP204、第1のNORモジュールP201、及び第2のNORモジュールP202を含む。
【0051】
第1のフィルタサブユニットP203の第1端は上部ブリッジアーム元駆動信号端に接続され、第1のフィルタサブユニットP203の第2端は第1のNORモジュールP201の第1入力端に接続され、第1のフィルタサブユニットP203の第3端は、第1のNORモジュールP201の第2入力端とグランドに接続されている。
【0052】
具体的には、第1のフィルタサブユニットは、第1の分圧抵抗集合と第1の容量C1とを含むことができる。第1の分圧抵抗集合の一端は上部ブリッジアーム元駆動信号端に接続され、第1の分圧抵抗集合の他端は第1のNORモジュールP201の第1入力端に接続されている。第1の分圧抵抗集合は、少なくとも1つの抵抗を含むことができる。第1の分圧抵抗集合が複数の抵抗を含む場合、複数の抵抗の間の接続関係はここでは限定されない。
図3に示す駆動信号生成ユニットは、第1の分圧抵抗集合が1つの抵抗R1を含む場合を例にする。第1の容量C1の一端は第1の分圧抵抗集合の他端に接続され、第1の容量C1の他端は第1のNORモジュールP201の第2入力端とグランドに接続されている。
【0053】
上部ブリッジアーム元駆動信号端は、上部ブリッジアームのスイッチモジュールのオン/オフを駆動する上部ブリッジアーム元駆動信号を供給する。
【0054】
第2のフィルタサブユニットP204の第1端は下部ブリッジアーム元駆動信号端に接続され、第2のフィルタサブユニットP204の第2端は第1のNORモジュールP201の第3入力端に接続され、第2のフィルタサブユニットP204の第3端は、第1のNORモジュールP201の第4入力端とグランドに接続されている。
【0055】
具体的には、第2のフィルタサブユニットP204は、第2の分圧抵抗集合と第2の容量C2とを含むことができる。第2の分圧抵抗集合の一端は下部ブリッジアーム元駆動信号端に接続され、第2分圧抵抗集合の他端は第1のNORモジュールP201の第3入力端に接続されている。第2の分圧抵抗集合が複数の抵抗を含む場合、複数の抵抗の間の接続関係はここでは限定されない。
図3に示す駆動信号生成ユニットは、第2の分圧抵抗集合が1つの抵抗R2を含む場合を例にする。第2の容量C2の一端は第2の分圧抵抗集合の他端に接続され、第2の容量C2の他端は第1のNORモジュールP201の第4入力端とグランドに接続されている。
【0056】
下部ブリッジアーム元駆動信号端は、下部ブリッジアームのスイッチモジュールのオン/オフを駆動する下部ブリッジアーム元駆動信号を供給する。
【0057】
第1のNORモジュールP201の第1出力端は、第2のNORモジュールP202の第2入力端に接続され、第1のNORモジュールP201の第2出力端は、第2のNORモジュールP202の第3入力端に接続されている。
【0058】
第1のNORモジュールP201は、第1のNORモジュールP201の第1入力端の信号及び第1のNORモジュールP201の第2入力端の信号に対してNOR操作を行い、第1のNORモジュールP201の第1出力端から第2のNORモジュールP202の第2入力端の入力信号に相当する信号を出力し、及び、第1のNORモジュールP201の第3入力端の信号及び第1のNORモジュールP201の第4入力端の信号に対してNOR操作を行い、第1のNORモジュールP201の第2出力端から第2のNORモジュールP202の第3入力端の入力信号に相当する信号を出力する。
【0059】
いくつかの例では、
図3に示すように、第1のNORモジュールP201は、1つの4入力2出力のNORゲートデバイスであってもよく、2入力は、1出力を制御する。
【0060】
他の例では、第1のNORモジュールP201は、2つの2入力1出力のNORゲートデバイスを含むことができる。
【0061】
第2のNORモジュールP202の第1入力端は、下部ブリッジアーム元駆動信号端に接続され、第2のNORモジュールP202の第4入力端は、上部ブリッジアーム元駆動信号端に接続されている。第2のNORモジュールP202の第1出力端は、ブリッジアームにおける上部ブリッジアームのスイッチモジュールの制御端に接続され、第2のNORモジュールP202の第2出力端は、ブリッジアームにおける下部ブリッジアームのスイッチモジュールの制御端に接続されている。
【0062】
第2のNORモジュールP202は、第2のNORモジュールP202の第1入力端の信号及び第2のNORモジュールP202の第2入力端の信号に対してNOR操作を行うためのものであり、第2のNORモジュールP202の第1出力端からブリッジアームにおける上部ブリッジアームのスイッチモジュールの駆動信号を出力し、及び、第2のNORモジュールP202の第3入力端の信号及び第2のNORモジュールP202の第4入力端の信号に対してNOR操作を行い、第2のNORモジュールP202の第2の出力端からブリッジアームにおける下部ブリッジアームのスイッチモジュールの駆動信号を出力する。
【0063】
いくつかの例では、
図3に示すように、第2のNORモジュールP202は、1つの4入力2出力のNORゲートデバイスであってもよく、2入力は、1出力を制御する。
【0064】
他の例では、第2のNORモジュールP202は、2つの2入力1出力のNORゲートデバイスを含むことができる。
【0065】
次に、
図2及び
図3を参照して、第1のパワースイッチデバイスS1及び第2のパワースイッチデバイスS2が配置されたU相ブリッジアームに対応する駆動信号生成ユニットにおける信号の入出力について説明する。表1は、駆動信号生成ユニットにおける信号の入出力を示している。
【表1】
【0066】
ここで、S1元駆動信号は、第1のパワースイッチデバイスS1の上部ブリッジアーム元駆動信号端により供給される上部ブリッジアーム元駆動信号である。S2元駆動信号は、第2のパワースイッチデバイスS2の上部ブリッジアーム元駆動信号端により供給される上部ブリッジアーム元駆動信号である。S1駆動信号は、駆動信号生成ユニットから出力される第1のパワースイッチデバイスS1の駆動信号である。S2駆動信号は、駆動信号生成ユニットから出力される第2のパワースイッチデバイスS2の駆動信号である。
【0067】
表1中の1はハイレベル、0はローレベルを表す。ハイレベルはパワースイッチデバイスをオンに駆動し、ローレベルはパワースイッチデバイスをオフに駆動する。表1からわかるように、上部ブリッジアーム元駆動信号端から供給される上部ブリッジアーム元駆動信号と下部ブリッジアーム元駆動信号端から供給される下部ブリッジアーム元駆動信号が、第1のパワースイッチデバイスS1と第2のパワースイッチデバイスS2が共にオンになるように指示したとき、駆動信号生成ユニットを介して出力される第1のパワースイッチデバイスS1と第2のパワースイッチデバイスS2に供給される駆動信号は反発され、第1のパワースイッチデバイスS1と第2のパワースイッチデバイスS2が同時にオンになる状況は発生しないため、同一のブリッジアーム内の上部ブリッジアームのスイッチモジュールと下部ブリッジアームのスイッチモジュールの導通の相互排他を実現する。
【0068】
別の実施形態では、同一のブリッジアームにおける上部ブリッジアームのスイッチモジュールの駆動信号と、同一のブリッジアームにおける下部ブリッジアームのスイッチモジュールの駆動信号とを調整することもできる。同一のブリッジアームにおける上部ブリッジアームのスイッチモジュールの駆動信号と同一のブリッジアームにおける下部ブリッジアームのスイッチモジュールの駆動信号に対して、デッドタイムを設けて、同一のブリッジアームにおける上部ブリッジアームのスイッチモジュールと下部ブリッジアームのスイッチモジュールが同時にオンにならないようにする。具体的には、同一のブリッジアームにおける上部ブリッジアームのスイッチモジュールの駆動信号のレベルが変化する時刻と、同一のブリッジアームにおける下部ブリッジアームのスイッチモジュールの駆動信号のレベルが変化する時刻との間にデッドタイムを設定する。
【0069】
いくつかの例では、デッドタイムは、スイッチモジュールのオンディレイ、オン期間、オフディレイ、およびオフ期間に関連している。例えば、デッドタイムは、式(1)のように設定できる。
【0070】
デッドタイム=[(オフディレイ-オンディレイ)+(オフ期間-オン期間)]×D(1)
ここで、Dは計算パラメータであり、Dの値の範囲は1.1から2である。
【0071】
例えば、
図4は、本発明の実施形態の駆動信号におけるデッドタイムの模式図である。
図4は
図2の電池加熱システムにおける第1のパワーデバイスの駆動信号及び第2のパワーデバイスの駆動信号を示している。
【0072】
図4に示すように、横方向が時間である。第1のパワーデバイスの駆動信号がローレベルからハイレベルに変化する時刻と、第2のパワーデバイスの駆動信号がハイレベルからローレベルに変化する時刻との時間差がデッドタイムとなる。第1のパワーデバイスの駆動信号がハイレベルからローレベルに変化する時刻と、第2のパワーデバイスの駆動信号がローレベルからハイレベルに変化する時刻との時間差がデッドタイムとなる。デッドタイムを設けることにより、第1パワースイッチデバイスS1と第2パワースイッチデバイスS2とが同時にオンになる状況を避し、同一のブリッジアームにおける上部ブリッジアームのスイッチモジュールと下部ブリッジアームのスイッチモジュールの導通の相互排他を実現する。
【0073】
なお、電池加熱システムの安全性を高めるために、上記駆動信号生成ユニットとデッドタイムは同時に電池加熱システムに設けられてもよい。
【0074】
いくつかの例では、電池加熱システムは、車両用コントローラ(
図1及び
図2には示されていない)を更に含むことができる。電池加熱システムが電気自動車に搭載されている場合、電池管理モジュールとモータコントローラとの通信を確立しておく必要がある。車両用コントローラは、車両の状態を検出する。車両用コントローラは、モータが非作動状態にあると判定すると、モータコントローラP20に加熱指令を送信する。加熱指令は、電池加熱システムが加熱モードに入る必要があることを示す。モータコントローラP20は、車両用コントローラから送信された加熱指令を受信し、車両用コントローラに通信要求を送信する。車両用コントローラは、モータコントローラP20から送信された通信要求を受信し、モータコントローラP20と電池管理モジュールP4とが通信可能に接続されるように、モータコントローラP20と電池管理モジュールP4との間の通信権限を開放する。
【0075】
図5は、本発明の一実施形態に係る電池加熱システムの制御方法を示すフローチャートである。当該制御方法は、上述した
図1及び
図2に示す電池加熱システムに適用することができる。
図5に示すように、当該電池加熱システムの制御方法は、ステップS501とステップS502を含むことができる。
【0076】
ステップS501において、電池管理モジュールは、電池パックの状態パラメータを取得し、電池パックの状態パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、モータコントローラに制御信号を送信する。
【0077】
いくつかの例では、状態パラメータは、温度及び充電状態を含む。予め設定された加熱条件は、温度が予想温度閾値未満であり、且つ充電状態が加熱許容充電状態閾値を超えることを含む。
【0078】
ステップS502において、モータコントローラは、制御信号を受信して、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールに駆動信号を出力し、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの周期的なオン/オフを制御する。
【0079】
対象上部ブリッジアームスイッチモジュールと対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの選択にはいくつかの態様がある。例えば、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールと対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの選択には次の9つの態様がある。
【0080】
第1の態様は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールを含み、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第2相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールを含む。
【0081】
第2の態様は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールを含み、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第3相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールを含む。
【0082】
第3の態様は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールを含み、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第2相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールと、第3相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールとを含む。
【0083】
第4の態様は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第2相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールを含み、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールを含む。
【0084】
第5の態様は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第2相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールを含み、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第3相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールを含む。
【0085】
第6の態様は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第2相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールを含み、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールと第3相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールを含む。
【0086】
第7の態様は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第3相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールを含み、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールを含む。
【0087】
第8の態様は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第3相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールを含み、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第2相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールを含む。
【0088】
第9の態様は、対象上部ブリッジアームスイッチモジュールは、第3相ブリッジアームの上部ブリッジアームのスイッチモジュールを含み、対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは、第1相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールと、第2相ブリッジアームの下部ブリッジアームのスイッチモジュールとを含む。
【0089】
対象上部ブリッジアームスイッチモジュールと対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの選択の違いにより、交流電流が伝送される回路も異なる。次に、
図2に示す電池加熱システムを例にして、電池加熱システムで発生する交流電流の伝送回路及び電流方向について説明する。
【0090】
第1の態様では、モータコントローラP20から第1のパワースイッチデバイスS1及び第4のパワースイッチデバイスS4に送信された駆動信号は、第1のパワースイッチデバイスS1及び第4のパワースイッチデバイスS4がオンになるように駆動される。電池パックP1が放電され、電池パックP1の放電回路が形成される。電流方向は、電池パックP1→ヒューズモジュールP5→メイン正極スイッチK1→第1のパワースイッチデバイスS1→第1の固定子インダクタンスL1→第2の固定子インダクタンスL2→第4のパワースイッチデバイスS4→メイン負極スイッチK2→電流センサP6→電池パックP1である。
【0091】
モータコントローラP20から第1のパワースイッチデバイスS1及び第4のパワースイッチデバイスS4に送信された駆動信号は、第1のパワースイッチデバイスS1及び第4のパワースイッチデバイスS4がオフになるように駆動される。第1の固定子インダクタンスL1と第2の固定子インダクタンスL2が放電され、電池パックP1が充電され、電池パックP1の充電回路が形成される。電流方向は、第1の固定子インダクタンスL1→第3のパワースイッチデバイスS3のダイオードVD3→メイン正極スイッチK1→ヒューズモジュールP5→電池パックP1→電流センサP6→メイン負極スイッチK2→第2のパワースイッチデバイスS2のダイオードV2→第2の固定子インダクタンスL2である。
【0092】
第2の態様では、モータコントローラP20から第1のパワースイッチデバイスS1及び第6のパワースイッチデバイスS6に送信された駆動信号は、第1のパワースイッチデバイスS1及び第6のパワースイッチデバイスS6がオンになるように駆動される。電池パックP1が放電され、電池パックP1の放電回路が形成される。電流方向は、電池パックP1→ヒューズモジュールP5→メイン正極スイッチK1→第1のパワースイッチデバイスS1→第1の固定子インダクタンスL1→第3の固定子インダクタンスL3→第6のパワースイッチデバイスS6→メイン負極スイッチK2→電流センサP6→電池パックP1である。
【0093】
モータコントローラP20から第1のパワースイッチデバイスS1及び第6のパワースイッチデバイスS6に送信された駆動信号は、第1のパワースイッチデバイスS1及び第6のパワースイッチデバイスS6がオフになるように駆動される。第1の固定子インダクタンスL1と第3の固定子インダクタンスL3が放電され、電池パックP1が充電され、電池パックP1の充電回路が形成される。電流方向は、第1の固定子インダクタンスL1→第1のパワースイッチデバイスS1のダイオードVD1→メイン正極スイッチK1→ヒューズモジュールP5→電池パックP1→電流センサP6→メイン負極スイッチK2→第6のパワースイッチデバイスS6のダイオードVD6→第3の固定子インダクタンスL3である。
【0094】
第3の態様では、モータコントローラP20から第1のパワースイッチデバイスS1、第4のパワースイッチデバイスS4及び第6のパワースイッチデバイスS6に送信された駆動信号は、第1のパワースイッチデバイスS1、第4のパワースイッチデバイスS4及び第6のパワースイッチデバイスS6がオンになるように駆動される。電池パックP1が放電され、電池パックP1の放電回路が形成される。電流方向は、電池パックP1→ヒューズモジュールP5→メイン正極スイッチK1→第1のパワースイッチデバイスS1→第1の固定子インダクタンスL1→第2の固定子インダクタンスL2及び第3の固定子インダクタンスL3→第4のパワースイッチデバイスS4及び第6の電力スイッチデバイスS6→メイン負極スイッチK2→電流センサP6→電池パックP1である。即ち、第2の固定子インダクタンスL2と第3の固定子インダクタンスL3とが並列に接続された後、第1の固定子インダクタンスL1と直列に接続される。
【0095】
モータコントローラP20から第1のパワースイッチデバイスS1、第4のパワースイッチデバイスS4、及び第6のパワースイッチデバイスS6に送信された駆動信号は、第1のパワースイッチデバイスS1、第4のパワースイッチデバイスS4及び第6のパワースイッチデバイスS6がオフになるように駆動される。第1の固定子インダクタンスL1、第2の固定子インダクタンスL2及び第3の固定子インダクタンスL3が放電され、電池パックP1が充電され、電池パックP1の充電回路が形成される。電流方向は、第1の固定子インダクタンスL1→第1のパワースイッチデバイスS1のダイオードVD1→メイン正極スイッチK1→ヒューズモジュールP5→電池パックP1→電流センサP6→メイン負極スイッチK2→第4のパワースイッチデバイスS4のダイオードVD4及び第6のパワースイッチデバイスS6のダイオードVD6→第2の固定子インダクタンスL2及び第3の固定子インダクタンスL3である。
【0096】
第4の態様では、モータコントローラP20から第3のパワースイッチデバイスS3及び第2のパワースイッチデバイスS2に送信された駆動信号は、第3のパワースイッチデバイスS3及び第2のパワースイッチデバイスS2がオンになるように駆動される。電池パックP1が放電され、電池パックP1の放電回路が形成される。電流方向は、電池パックP1→ヒューズモジュールP5→メイン正極スイッチK1→第3のパワースイッチデバイスS3→第2の固定子インダクタンスL2→第1の固定子インダクタンスL1→第2のパワースイッチデバイスS2→メイン負極スイッチK2→電流センサP6→電池パックP1である。
【0097】
モータコントローラP20から第3のパワースイッチデバイスS3及び第2のパワースイッチデバイスS2に送信された駆動信号は、第3のパワースイッチデバイスS3及び第2のパワースイッチデバイスS2がオフになるように駆動される。第2の固定子インダクタンスL2と第1の固定子インダクタンスL1は放電され、電池パックP1が充電され、電池パックP1の充電回路が形成される。電流方向は、第2の固定子インダクタンスL2→第3のパワースイッチデバイスS3のダイオードVD3→メイン正極スイッチK1→ヒューズモジュールP5→電池パックP1→電流センサP6→メイン負極スイッチK2→第2のパワースイッチデバイスS2のダイオードVD2→第1の固定子インダクタンスL1である。
【0098】
第5の態様では、モータ制御装置P20から第3のパワースイッチデバイスS3及び第6のパワースイッチデバイスS6に送信された駆動信号は、第3のパワースイッチデバイスS3及び第6のパワースイッチデバイスS6がオンになるように駆動される。電池パックP1が放電され、電池パックP1の放電回路が形成される。電流方向は、電池パックP1→ヒューズモジュールP5→メイン正極スイッチK1→第3のパワースイッチデバイスS3→第2の固定子インダクタンスL2→第3の固定子インダクタンスL3→第6のパワースイッチデバイスS6→メイン負極スイッチK2→電流センサP6→電池パックP1である。
【0099】
モータコントローラP20から第3のパワースイッチデバイスS3及び第6のパワースイッチデバイスS6に送信された駆動信号は、第3のパワースイッチデバイスS3及び第6のパワースイッチデバイスS6がオフになるように駆動される。第2の固定子インダクタンスL2と第3の固定子インダクタンスL3が放電され、電池パックP1が充電され、電池パックP1の充電回路が形成される。電流方向は、第2の固定子インダクタンスL2→第3のパワースイッチデバイスS3のダイオードVD3→メイン正極スイッチK1→ヒューズモジュールP5→電池パックP1→電流センサP6→メイン負極スイッチK2→第6のパワースイッチデバイスS6のダイオードVD6→第3の固定子インダクタンスL3である。
【0100】
第6の態様では、モータコントローラP20から第3のパワースイッチデバイスS3、第2のパワースイッチデバイスS2及び第6のパワースイッチデバイスS6に送信された駆動信号は、第3のパワースイッチデバイスS3、第2のパワースイッチデバイスS2及び第6のパワースイッチデバイスS6がオンになるように駆動される。電池パックP1が放電され、電池パックP1の放電回路が形成される。電流方向は、電池パックP1→ヒューズモジュールP5→メイン正極スイッチK1→第3のパワースイッチデバイスS3→第2の固定子インダクタンスL2→第1の固定子インダクタンスL1及び第3の固定子インダクタンスL3→第2のパワースイッチデバイスS2及び第6のパワースイッチデバイスデバイスS6→メイン負極スイッチK2→電流センサP6→電池パックP1である。即ち、第1の固定子インダクタンスL1と第3の固定子インダクタンスL3とが並列に接続された後、第2の固定子インダクタンスL2と直列に接続される。
【0101】
モータコントローラP20から第3のパワースイッチデバイスS3、第2のパワースイッチデバイスS2、及び第6のパワースイッチデバイスS6に送信された駆動信号は、第3のパワースイッチデバイスS3、第2のパワースイッチデバイスS2及び第6のパワースイッチデバイスS6がオフになるように駆動される。第2の固定子インダクタンスL2、第1の固定子インダクタンスL1及び第3の固定子インダクタンスL3が放電され、電池パックP1が充電され、電池パックP1の充電回路が形成される。電流方向は、第2の固定子インダクタンスL2→第3のパワースイッチデバイスS3のダイオードVD3→メイン正極スイッチK1→ヒューズモジュールP5→電池パックP1→電流センサP6→メイン負極スイッチK2→第2のパワースイッチデバイスS2のダイオードVD2及び第6のパワースイッチデバイスS6のダイオードVD6→第1の固定子インダクタンスL1及び第3の固定子インダクタンスL3である。
【0102】
第7の態様では、モータコントローラP20から第5のパワースイッチデバイスS5及び第2のパワースイッチデバイスS2に送信された駆動信号は、第5のパワースイッチデバイスS5及び第2のパワースイッチデバイスS2がオンになるように駆動される。電池パックP1が放電され、電池パックP1の放電回路が形成される。電流方向は、電池パックP1→ヒューズモジュールP5→メイン正極スイッチK1→第5のパワースイッチデバイスS5→第3の固定子インダクタンスL3→第1の固定子インダクタンスL1→第2のパワースイッチデバイスS2→メイン負極スイッチK2→電流センサP6→電池パックP1である。
【0103】
モータコントローラP20から第5のパワースイッチデバイスS5及び第2のパワースイッチデバイスS2に送信された駆動信号は、第5のパワースイッチデバイスS5及び第2のパワースイッチデバイスS2がオフになるように駆動される。第3の固定子インダクタンスL3及び第1の固定子インダクタンスL1が放電され、電池パックP1が充電され、電池パックP1の充電回路が形成される。電流方向は、第3の固定子インダクタンスL3→第5のパワースイッチデバイスS5のダイオードVD5→メイン正極スイッチK1→ヒューズモジュールP5→電池パックP1→電流センサP6→メイン負極スイッチK2→第2のパワースイッチデバイスS2のダイオードVD2→第1の固定子インダクタンスL1である。
【0104】
第8の態様では、モータコントローラP20から第5のパワースイッチデバイスS5及び第4のパワースイッチデバイスS4に送信された駆動信号は、第5のパワースイッチデバイスS5及び第4のパワースイッチデバイスS4がオンになるように駆動される。電池パックP1が放電され、電池パックP1の放電回路が形成される。電流方向は、電池パックP1→ヒューズモジュールP5→メイン正極スイッチK1→第5のパワースイッチデバイスS5→第3の固定子インダクタンスL3→第2の固定子インダクタンスL2→第4のパワースイッチデバイスS4→メイン負極スイッチK2→電流センサP6→電池パックP1である。
【0105】
モータコントローラP20から第5のパワースイッチデバイスS5及び第4のパワースイッチデバイスS4に送信された駆動信号は、第5のパワースイッチデバイスS5及び第4のパワースイッチデバイスS4がオフになるように駆動される。第3の固定子インダクタンスL3及び第2の固定子インダクタンスL2が放電され、電池パックP1が充電され、電池パックP1の充電回路が形成される。電流方向は、第3の固定子インダクタンスL3→第5のパワースイッチデバイスS5のダイオードVD5→メイン正極スイッチK1→ヒューズモジュールP5→電池パックP1→電流センサP6→メイン負極スイッチK2→第4のパワースイッチデバイスS4のダイオードVD4→第2の固定子インダクタンスL2である。
【0106】
第9の態様では、モータコントローラP20から第5のパワースイッチデバイスS5、第2のパワースイッチデバイスS2及び第4のパワースイッチデバイスS4に送信された駆動信号は、第5のパワースイッチデバイスS5、第2のパワースイッチデバイスS2及び第4のパワースイッチデバイスS4がオンになるように駆動される。電池パックP1が放電され、電池パックP1の放電回路が形成される。電流方向は、電池パックP1→ヒューズモジュールP5→メイン正極スイッチK1→第5のパワースイッチデバイスS5→第3の固定子インダクタンスL3→第1の固定子インダクタンスL1及び第2の固定子インダクタンスL2→第2のパワースイッチデバイスS2及び第4のパワースイッチデバイスS4→メイン負極スイッチK2→電流センサP6→電池パックP1である。即ち、第1の固定子インダクタンスL1と第2の固定子インダクタンスL2とが並列に接続された後、第3の固定子インダクタンスL3と直列に接続される。
【0107】
モータコントローラP20から第5のパワースイッチデバイスS5、第2のパワースイッチデバイスS2及び第4のパワースイッチデバイスS4に送信された駆動信号は、第5のパワースイッチデバイスS5、第2のパワースイッチデバイスS2及び第4のパワースイッチデバイスS4がオフになるように駆動される。第3の固定子インダクタンスL3、第1の固定子インダクタンスL1及び第2の固定子インダクタンスL2が放電され、電池パックP1が充電され、電池パックP1の充電回路が形成される。電流方向は、第3の固定子インダクタンスL3→第5のパワースイッチデバイスS5のダイオードVD5→メイン正極スイッチK1→ヒューズモジュールP5→電池パックP1→電流センサP6→メイン負極スイッチK2→第2のパワースイッチデバイスS2のダイオードVD2及び第4のパワースイッチデバイスS4のダイオードVD4→第1の固定子インダクタンスL1及び第2の固定子インダクタンスL2である。
【0108】
なお、上記9つの態様では、非対象上部ブリッジアームスイッチモジュールと非対象下部ブリッジアームスイッチモジュールは共にオフ状態となっている。
【0109】
なお、ステップS501及びステップS502の他に関連する説明は、上述した実施形態の説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0110】
本発明の実施形態では、電池加熱システムにおける電池管理モジュールは、電池パックの状態パラメータが予め設定された加熱条件を満たすか否かを判定し、満たしていると判断すると、モータコントローラに制御信号を送信し、モータコントローラが対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールに駆動信号を出力するように制御して、上記対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び上記対象下部ブリッジアームスイッチモジュールの周期的なオン/オフを制御する。電池パック、メイン正極スイッチ、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール、モータ、対象下部ブリッジアームスイッチモジュール、メイン負極スイッチにより形成される回路に交流電流を発生させ、つまり、電池パックは充電と放電を交互に行う。電池パックは内部抵抗を有しており、電池パックが充電と放電を交互に行う過程で、電池パックの内部抵抗に交流電流が流れて発熱し、即ち電池パックが内部から発熱するため、電池パックの加熱効率が向上する。本実施形態における熱は、電池パックに交流電流が流れることにより生成されるため、電池パックの内部の発熱が均一になる。また、インバータ及びモータの構成を変更していないため、追加の構成変更費用も発生しない。
【0111】
図6は、本発明の他の実施形態に係る電池加熱システムの制御方法を示すフローチャートである。
図6は、
図6に示す電池加熱システムの制御方法が、ステップS503~ステップS514を更に含む点で、
図5と異なっている。
【0112】
ステップS503では、車両用コントローラは、車両状態を検出し、モータが非作動状態にあると判定し、モータコントローラに加熱指令を送信する。
【0113】
電池加熱システムは、車両の各構成部材の状態を検出して車両状態を得ることができる車両用コントローラを含む更にことができる。モータが非作動状態にあると、車両は静置状態、即ち非走行状態にある。車両が非走行状態にある場合、電池加熱システムは加熱モードに入ることができる。車両用コントローラは、モータコントローラに加熱指令を送信して、電池加熱システムが加熱モードに入ることをモータコントローラに通知する。
【0114】
なお、ステップS503の前に、電池管理モジュールは、電池パックの状態パラメータを取得し、電池パックの状態パラメータが予め設定された加熱条件を満たしていれば、車両用コントローラはステップS503を実行する。
【0115】
ステップS504では、モータコントローラは、加熱指令を受信し、車両用コントローラに通信要求を送信する。
【0116】
モータコントローラは加熱指令を受信し、電池管理モジュールと通信を確立する必要があると、モータコントローラは車両用コントローラにモータコントローラと電池管理モジュールとの間の通信権限の開放を要求するように車両用コントローラに通信要求を送信する。
【0117】
ステップS505では、車両用コントローラは、通信要求を受信し、モータコントローラと電池管理モジュールとの間の通信権限を開放する。
【0118】
例えば、車両用コントローラは、モータコントローラと電池管理モジュールに通信パラメータを配置して、モータコントローラと電池管理モジュールとの間の通信権限を開放することができる。
【0119】
ステップS506では、モータコントローラは、電池管理モジュールとハンドシェイク通信を行い、通信接続を確立する。
【0120】
モータコントローラと電池管理モジュールとの間の通信権限が開放された後、モータコントローラは電池管理モジュールと通信接続を確立することができる。具体的には、モータコントローラから電池管理モジュールに対しハンドシェイク通信を開始し、又は電池管理モジュールからモータコントローラに対しハンドシェイク通信を開始し、モータコントローラと電池管理モジュールとの間の通信接続を確立する。
【0121】
ステップS507では、電池管理モジュールは、メイン負極スイッチとメイン正極スイッチが順次にオンになるように駆動する。
【0122】
電池加熱システムが加熱モードに入ると、電池管理モジュールは、メイン負極スイッチが先にオンになり、メイン正極スイッチが後にオンになるように駆動する。ステップS507の後、電池管理モジュールは、メイン負極スイッチ及びメイン正極スイッチのオン/オフ状態を車両用コントローラに更に報知することができる。車両用コントローラは、メイン負極スイッチとメイン正極スイッチが共にオンになっている判定すると、モータコントローラに通知し、モータコントローラは、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールに駆動信号を出力する。
【0123】
ステップS508では、電池管理モジュールは、電池パックの状態パラメータを取得し、状態パラメータがパラメータ安全範囲を超えた場合、モータコントローラに停止信号を送信し、モータコントローラの駆動信号の出力を停止するように制御する。
【0124】
状態パラメータは、温度及び/又は電圧を含むことができる。状態パラメータが温度を含む場合、パラメータ安全範囲は温度安全範囲を含む。電池パックの温度がパラメータ安全範囲を超えて、例えば電池パックに過熱現象が発生すると、電池管理モジュールは、モータコントローラに停止信号を送信し、モータコントローラは、スイッチモジュールへの駆動信号の出力を停止する。状態パラメータが電圧を含む場合、パラメータ安全範囲は電圧安全範囲を含む。電池パックの電圧が電圧安全範囲を超えて、例えば電池パックに電圧不足現象が発生すると、電池管理モジュールは、モータコントローラに停止信号を送信し、モータコントローラは、スイッチモジュールへの駆動信号の出力を停止する。状態パラメータが温度及び電圧を含む場合、電池パックの温度がパラメータ安全範囲を超える或いは電池パックの電圧が電圧安全範囲を超えると、電池管理モジュールは、モータコントローラに停止信号を送信し、モータコントローラは、スイッチモジュールへの駆動信号の出力を停止する。パラメータ安全範囲は、作業シーンや作業ニーズに応じて設定することができるが、ここでは限定されない。
【0125】
電池管理モジュールは、リアルタイムで電池パックの状態パラメータを取得し、リアルタイムで状態パラメータの検出を行う。電池パックの異常が発生された場合、電池加熱システムの安全を保証するために、電池加熱システムは加熱モードを終了する。
【0126】
電池パックに異常が発生されると、電池加熱システムの安全性を更に保証するために、電池管理モジュールは、メイン正極スイッチ及びメイン負極スイッチがオフになるように制御し、電池加熱システムにおける回路を完全にオフにすることができる。
【0127】
ステップS509では、モータコントローラは、スイッチモジュールの温度を取得し、スイッチモジュールの温度がスイッチ温度安全閾値を超えると、駆動信号の出力を停止する。
【0128】
具体的には、温度センサをスイッチモジュールに設けて、スイッチモジュールの温度を取得することができる。スイッチモジュールの温度(スイッチモジュールはパワースイッチデバイスを含み、スイッチモジュールの温度はパワースイッチデバイスの温度を含む)がスイッチ温度安全閾値を超えると、スイッチモジュールの温度が異常であることを示し、加熱モードを終了する必要がある。よって、モータ制御装置は駆動信号の出力を停止する。
【0129】
ステップS510では、電池管理モジュールは、取得した状態パラメータに基づいて、駆動信号の所望の周波数と所望のデューティ比を算出し、駆動信号の所望の周波数と所望のデューティ比をモータコントローラに送信する。
【0130】
電池加熱システムは、電流センサを更に含む。状態パラメータは、電流、即ち電流センサによって取得された電流を更に含む。
【0131】
いくつかの例では、比例積分微分(proportion-integral-derivative、PID)アルゴリズム又は他のフィードバック調節アルゴリズムを利用し、温度、充電状態、電流などのリアルタイムで取得した状態パラメータに基づいて、駆動信号の所望の周波数と所望のデューティ比を算出する。電池管理モジュールは、状態パラメータを周期的に取得し、駆動信号の所望の周波数と所望のデューティ比を周期的に算出することができる。電池管理モジュールは、駆動信号の所望の周波数と所望のデューティ比をリアルタイムでモータコントローラに送信してもよいし、駆動信号の所望の周波数と所望のデューティ比を周期的にモータコントローラに送信してもよいが、ここでは限定されない。
【0132】
ステップS511では、モータコントローラは、出力された駆動信号の周波数及びデューティ比を所望の周波数及び所望のデューティ比に調整し、対象上部ブリッジアームスイッチモジュール及び対象下部ブリッジアームスイッチモジュールのオン期間及びオフ期間を制御する。
【0133】
駆動信号の周波数とデューティ比が変化すると、電池加熱システムにおける温度、充電状態、電流などが変化する。駆動信号によるインバータにおける各スイッチモジュールの駆動により発生される交流電流の大きさは、駆動信号の周波数やデューティ比に依存する。交流電流の大きさが大きいほど、電池パックから発生する熱が多くなる。モータコントローラは、出力される駆動信号の周波数を所望の周波数に調整し、出力される駆動信号のデューティ比を所望のデューティ比に調整して、電池加熱システムにおける温度、充電状態、電流等を調整することができ、電池加熱システムの加熱速度を安定させる。駆動信号の周波数やデューティ比の調整は、周期的に行ってもよいし、リアルタイムに行ってもよいが、ここでは限定されない。
【0134】
ステップS512では、電池管理モジュールは、電池パックの温度が予想温度閾値に達したと判定し、停止信号をモータコントローラに送信する。
【0135】
予想温度閾値は電池が正常に作動できる温度閾値であり、電池パックの温度が予想温度閾値に達すると、電池を加熱し続ける必要がなく、電池加熱システムは、加熱モードを終了することができる。電池管理モジュールは、モータコントローラに停止信号を送信して、モータコントローラがスイッチモジュールへの駆動信号の出力を停止するように制御することができる。
【0136】
ステップS513では、モータコントローラは、停止信号を受信し、駆動信号の出力を停止する。
【0137】
いくつかの例では、電池管理モジュールは、電池パックの温度が予想温度閾値に達したと判定すると、更に、メイン正極スイッチ及びメイン負極スイッチがオフになるように制御し、電池加熱システムの回路を遮断することができる。
【0138】
いくつかの例では、モータコントローラが駆動信号の出力を停止し、電池加熱システム回路が遮断された後、電池管理モジュールとモータコントローラとの間の通信接続を遮断することができ、具体的には、電池管理モジュール又はモータコントローラにより通信切断を行うことができるが、これに限定されない。
【0139】
モータコントローラ及び電池管理モジュールは、電池加熱システムが加熱モードを終了、及び電池管理モジュールとモータコントローラとの間の通信接続が切断された情報を車両用コントローラに更に報知することができる。
【0140】
いくつかの例では、駆動信号の周波数の範囲は、100Hz~100000Hzである。駆動信号のデューティ比の範囲は5%~50%である。
【0141】
いくつかの例では、各スイッチモジュールの安全性を保証するために、駆動信号のデッドタイムを設定することもできる。具体的には、同一のブリッジアームにおける上部ブリッジアームのスイッチモジュールの駆動信号のレベルが変化する時刻と、同一のブリッジアームにおける下部ブリッジアームのスイッチモジュールの駆動信号のレベルが変化する時刻との間にデッドタイムが設定される。デッドタイムは、スイッチモジュールのオンディレイ、オン期間、オフディレイ、及びオフ期間に関連している。
【0142】
デッドタイムに関する説明は、上述の実施形態における説明内容を参照することができるが、ここでは説明を省略する。
【0143】
なお、本明細書において、各実施形態は、段階的に記載されており、各実施形態は、互いに同一または類似の部分を参照して記載されていればよく、他の実施形態との相違点を中心に記載されていることは言うまでもない。制御方法の実施形態については、電池加熱システムの実施形態の説明を参照されたい。本発明は、上述の文章に記載され且つ図に示した特定のステップ及び構造に限定されるものではない。当業者は、本発明の精神を理解した上で、様な変更、修正、及び追加、またはステップ間の順序の変更を行うことができる。また、簡略化のため、既知の方法技術の詳細な説明は省略する。
【0144】
当業者は、上記の実施形態はすべて例示的なものであり、限定されるものではないことを理解すべきである。異なる実施形態で現れた異なる技術的特徴を組み合わせて、有益な効果を得ることができる。当業者は、図面、明細書、及び特許請求の範囲を検討した上で、開示された実施形態の他の変形例を理解し、実施することができることを理解すべきである。特許請求の範囲において、「含む」という用語は、他の装置又はステップを排除するものではない。不定冠詞「一つ」は複数を排除しない。用語「第1」、「第2」は、任意の特定の順序を示すためのものではなく、名称を示すために使用される。特許請求の範囲におけるいかなる符号も、保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。特許請求の範囲に記載された複数の部分の機能は、単一のハードウェアまたはソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。いくつかの技術的特徴が異なる従属請求項に記載されていることは、有益な効果を得るためにこれらの技術的特徴を組み合わせることができないことを意味していない。