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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】体外診断分析方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20220729BHJP
【FI】
G01N35/02 G
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021075126
(22)【出願日】2021-04-27
(62)【分割の表示】P 2019226487の分割
【原出願日】2015-06-10
(65)【公開番号】P2021119351
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】14171899.9
(32)【優先日】2014-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ゴットリープ シャッハー
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ジグリスト
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン グゼック
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-068453(JP,A)
【文献】国際公開第2013/174961(WO,A2)
【文献】特表2009-510399(JP,A)
【文献】特開2010-127941(JP,A)
【文献】特開2010-107308(JP,A)
【文献】特開平06-109742(JP,A)
【文献】特開2008-070355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0240898(US,A1)
【文献】特表2014-532882(JP,A)
【文献】特表2008-533989(JP,A)
【文献】特開2007-271411(JP,A)
【文献】特開平04-022870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00 -37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外診断分析のためのシステム(100’)であって、前記システムが、第1および第2の静止容器ホルダ(140、140’)を備える容器処理領域(130’)と、前記第1および第2の静止容器ホルダ(140、140’)に容器(10)を供給するための共通の容器搬入ステーション(150)とを備え、前記容器処理領域(130’)がさらに、2つの可動容器作業ステーション(160、160’)を備え、前記2つの可動容器作業ステーション(160、160’)のそれぞれが、容器グリッパ(161、161’)を備え、それぞれの静止容器ホルダ(140、140’)の異なる容器保持位置間で容器(10)を移送するために、前記第1および第2の静止容器ホルダ(140、140’)に対してそれぞれ並進運動可能であり、前記システム(100’)がさらに、少なくも3つの試薬ピペット装置(175’、176’)を備える試薬ピペットヘッド(170’)と、少なくとも2つの試料ピペット装置(178’)を備える試料ピペットヘッド(173)とを備え、前記第1および第2の静止容器ホルダ(140、140’)のそれぞれが、直線状に配置された容器保持位置(141、141’)のアレイを含み、前記第1および第2の静止容器ホルダ(140、140’)のそれぞれの前記容器保持位置(141、141’)の一部がインキュベーション位置として機能し、前記第1および第2の静止容器ホルダ(140、140’)のそれぞれの前記容器保持位置(141、141’)の一部が検出位置として機能する、システム(100’)。
【請求項2】
前記第1の静止容器ホルダ(140)および前記第2の静止容器ホルダ(140’)が互いに分離し、同一形状を有し、互いの前で長手方向に平行に配置され、前記第2の静止容器ホルダ(140’)が、前記第1の静止容器ホルダ(140)に対して180度回転されている、請求項1記載のシステム(100’)。
【請求項3】
前記第1および第2の静止容器ホルダ(140、140’)が、直線状のブロックとして具現化される、請求項1または2記載のシステム(100’)。
【請求項4】
前記容器搬入ステーション(150)が、容器グリッパ(151)を備え、前記第1の静止容器ホルダ(140)と前記第2の静止容器ホルダ(140’)との間に対称的に配置され、それによって、前記容器グリッパ(151)を180度回転させると、容器(10)は、前記第1の静止容器ホルダ(140)の容器保持位置(141)または前記第2の静止容器ホルダ(140’)の容器保持位置(141’)のいずれかに、同じ容器グリッパ(151)によって配置され得る、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム(100’)。
【請求項5】
第1の可動容器作業ステーション(160)および第2の可動容器作業ステーション(160’)が、互いに同一の構成を有し、前記それぞれの静止容器ホルダ(140、140’)の外側、かつ、中央の容器搬入ステーション(150)とは反対側に、前記それぞれの静止容器ホルダ(140、140’)と平行に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム(100’)。
【請求項6】
第1の可動容器作業ステーション(160)が、前記第1の静止容器ホルダ(140)の容器保持位置(141)間で容器(10)を移送するために、前記第1の静止容器ホルダ(140)に機能的に連結され、第2の可動容器作業ステーション(160’)が、前記第2の静止容器ホルダ(140’)の容器保持位置(141’)間で容器(10)を移送するために、前記第2の静止容器ホルダ(140’)に機能的に連結される、請求項3~5のいずれか1項に記載のシステム(100’)。
【請求項7】
前記容器搬入ステーション(150)は、容器グリッパ(151)のみが垂直に並進運動することができ、前記静止容器ホルダ(140、140’)のいずれかに回転できるように、前記静止容器ホルダ(140、140’)に対して空間的に固定される、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム(100’)。
【請求項8】
前記容器搬入ステーション(150)は、1回に、前記第1の静止容器ホルダ(140)のただ1つの搬入容器保持位置(141)に、および前記第2の静止容器ホルダ(140’)のただ1つの搬入容器保持位置(141’)に、新しい容器(10)を配置するように構成される、請求項7記載のシステム(100’)。
【請求項9】
前記搬入容器保持位置(141、141’)は、それぞれの静止容器ホルダ(140、140’)に配置されたそれぞれの新しい容器(10)の光度ブランク測定を行うことを目的とした検出位置である、請求項8記載のシステム(100’)。
【請求項10】
第1および第2の可動容器作業ステーション(160、160’)は、予定された処理に応じて、前記それぞれの静止容器ホルダ(140、140’)の2つの搬入容器保持位置(141、141’)のそれぞれから任意の他の容器保持位置(141、141’)へ前記容器(10)を移送するように構成される、請求項8または9記載のシステム(100’)。
【請求項11】
前記容器搬入ステーション(150)は、1回に1つの容器(10)を、下方位置の容器分配ユニットから上方位置の前記静止容器ホルダ(140、140’)の前記容器保持位置(141、141’)の1つに搬送するために、ガイドレール(152)に沿って垂直に並進運動可能な、および水平面内で回転可能な容器グリッパ(151)を備える容器リフトとして具現化される、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム(100’)。
【請求項12】
2つの試薬ピペット装置(175’)は、第2タイプの試薬をピペット操作するように構成され、1つの試薬ピペット装置(176’)は、第1タイプの試薬をピペット操作するように構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム(100’)。
【請求項13】
前記2つの試薬ピペット装置(175’)のそれぞれは、試薬吸入と試薬分注との間に、前記第2タイプの試薬を最適温度に加熱するための加熱エレメント(177’)を備える、請求項12記載のシステム(100’)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のシステムを使用する方法であって、APTT検査を行うためなど、ある検査タイプに少なくとも一時的に前記第1の静止容器ホルダ(140)を割り当て、PT検査を行うためなど、異なる検査タイプに前記第2の静止容器ホルダ(140’)を割り当てることを含む、方法。
【請求項15】
1サイクルにおいて、2つのAPTT検査を異なる段階でそれぞれ行う際に、前記第1の静止容器ホルダ(140)において、インキュベーション試薬とタイムトリガ試薬の、2つのそれぞれの容器(10A、10B)への並行した添加が行われ、その後、タイムトリガ試薬のみを必要とするPT検査を行う際に、第2の可動容器作業ステーション(160’)のグリッパ(161’)によって保持される容器内へなど、前記第2の静止容器ホルダ(140’)の容器(10)内へのタイムトリガ試薬の添加が行われる、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬のピペット操作を含む体外診断分析方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
分析検査室において、特に体外診断検査室において、病気、栄養習慣、薬の有効性、臓器機能などを示す患者の生理状態および生化学的状態を判定するために、生体試料に関する多くの分析が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
試料処理量、すなわち1時間あたりで分析される生体試料の数および行うことのできる異なる検査の数は、一般に重要である。各日何千もの試料を処理する検査室にとって、それぞれ個々の試料に関するわずかな遅れは、検査室全体の効率の点でかなりの違いを生む。
【0004】
この要求を満たすために、体外診断の自動システムを開発する際に最適なハードウェア設計および効率的なワークフロー計画が必要である。特に、体外診断分析の自動システムは、多くの予定された処理動作を行うことが必要な場合があり、それはサイクル時間と呼ばれる間隔で繰り返され、処理動作の同等のサイクル時間は、処理量を最大限にするためにできるだけ短くすることが重要である。また、異なる検査が、例えば、異なる反応時間、異なる試薬タイプ、異なる体積、異なる検出時間などの異なる検査条件が要求されることがしばしば起こる。したがって、このシステムは、さまざまな検査要件、および検査オーダーの変化するシーケンスのために、予定されたワークフローに動的に適合でき、予期せぬ事態などによる異常、エラーに迅速に対応できなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
より高い処理量とワークフロー効率の達成を可能にする、体外診断分析方法およびシステムが本明細書において導入されている。これは異なるサイクル時間の異なる試料に相乗的に並行して作動する機能ユニットのプログラム制御によって達成され、また後続のワークフロー動作の時間節約見込みも可能にする。
【0006】
本開示は自動体外診断分析方法および体外診断分析システムに関する。
【0007】
「体外診断システム」は、分析装置、すなわち体外診断用の検査液の分析を目的とした検査室自動機器である。そのような分析装置の例には、化学反応または生体反応の結果を検出するために、および/または化学反応または生体反応の進行を観察するために、検査液に存在する検体の定性的および/または定量的な検出に使用される臨床化学分析器、凝固分析器、免疫化学分析器、血液分析器、尿分析器、核酸分析器がある。分析装置は、試料および/または試薬のピペット操作および/または混合のための機能ユニットを備えることができる。分析装置は、分析を行うために試薬を保持する試薬保持ユニットを備えてもよい。試薬は、例えば、個々の試薬または試薬のグループを含む容器またはカセットの形態で配列され、保管区画またはコンベヤ内の適切な受容部または位置に配置されてもよい。分析装置は、例えば反応容器を供給するための、消耗品供給ユニットを備えてもよい。分析装置は、例えば検査液を含む容器を振とうするための振とう器、あるいはキュベットまたは容器または試薬容器内で液体を混合するための混合パドルを備える、1つまたは2つ以上の混合ユニットをさらに備えることができる。分析装置は、特定の検出システムをさらに備えることができ、例えば臨床化学、免疫化学、凝固、血液学などの所定の種類の分析に最適化された、例えばいくつかの処理ステップを実行する特定のワークフローに従うことができる。
【0008】
分析装置は、ニーズや所望の検査室ワークフローに応じて、異なる構成を有してもよい。複数の装置を連結することによって、および/またはモジュールを追加することによって、追加の構成が得られてもよい。「モジュール」とはワークセルであり、それは一般に分析装置全体よりも小さいサイズおよび軽量で、分析装置の分析機能に対して補助的な機能を持ち、分析装置とともに用いられることによってのみ動作可能である。詳細には、モジュールは、例えば1つまたは2つ以上の分析前および/または分析後ステップを行うことによって、例えば試料の分析の前後に発生し得る試料処理ワークフローの専用のタスクを実行するために、1つまたは2つ以上の分析装置と協働するように構成することができる。その分析前および/または分析後ステップの例は、試料管または試料管を備えた試料ラックをロードおよび/またはアンロードおよび/または搬送および/または保管すること、試薬容器または試薬カセットをロードおよび/またはアンロードおよび/または搬送および/または保管すること、キュベットなどの反応容器をロードおよび/またはアンロードおよび/または搬送および/または保管および/または洗浄すること、ピペットチップまたはチップラックをロードおよび/またはアンロードおよび/または搬送および/または保管すること、バーコードやRFIDタグなどの情報担持ラベルの読み取りおよび/または書き込みをすること、ピペットチップまたは針またはキュベットなどの反応容器、混合パドルを洗浄すること、例えば試薬、溶媒、希釈剤、緩衝剤などの他の液体と試料とを混合すること、キャップ除去、再キャッピング、ピペット操作、分注、遠心分離などを行うことである。そのようなモジュールの例としては、試料管をロード/アンロードするための試料ロードおよび/またはアンロードユニットがある。
【0009】
特定の実施形態によれば、開示された体外診断システムは、少なくとも1つの静止容器ホルダおよび容器グリッパを備える少なくとも1つの可動容器作業ステーションを含む容器処理領域を備える。
【0010】
本明細書における「容器」の用語は、例えば、1つまたは2つ以上の試料と1つまたは2つ以上の試薬とが反応できるようにするために、および/またはその中に含まれる検査液の分析をできるようにするために、液体を受容するように構成された本体および内部空間を備える容器を示すために用いられる。特定の実施形態によれば、容器はキュベット、すなわち少なくとも一部光学的に透明で、その中に含まれる検査液の例えば吸光と散乱などの光伝送における変化の測定のような光度測定を可能にするように形状付けされた容器である。詳細には、キュベットは、化学反応または生体反応の結果を検出するために、または例えば凝固分析、凝集分析、比濁分析における化学反応または生体反応の進行を観察するために、吸光または散乱分析の実行の際に使用されてもよい。一実施形態によれば、キュベット本体は、側壁、閉じた底部、および側壁と閉じた底部によって形成された内部空間に液体を導入できるようにするための上部開口部を備える。一実施形態によれば、キュベットは上部開口部の近くにキュベット本体の、外側に突出する少なくとも1つの縁を備える。この縁は、容器グリッパによってキュベットを把持したり静止キュベットホルダ内にキュベットを保持したりするのに便利であり得る。キュベットはミリリットルまたはマイクロリットル幅の内部容積を有してもよい。
【0011】
「静止容器ホルダ」は、例えば凹部、キャビティ、フレーム、台座などの形態の1つまたは2つ以上の静止容器保持位置を備える保持装置である。「静止」の用語は、システムの残りの部分に対して動かせないことを意味する。静止容器ホルダは、例えば容器処理領域における固定されたユニットまたはブロックとして具体化されてもよい。このユニットまたはブロックは、保持機能に加えて1つまたは2つ以上の他の機能を有してもよい。静止容器ホルダは、例えば検査液と試薬との反応が完了するのにまたは反応条件下で完了の許容レベルに達するのに十分長い、かつその時間は1サイクル時間を超えるある一定の時間、ある一定の温度で1つまたは2つ以上の容器を保持するインキュベーションステーションとして機能してもよい。静止容器ホルダはまた、あるいは代替的に、例えば容器内の検査液の光度測定の検出を可能にする検出ステーションとして機能してもよい。詳細には、特定の実施形態によれば、静止容器ホルダは、同じブロックまたは異なるブロックに例えば1つのサブユニットはインキュベーション用で、1つのサブユニットは検出用といった、機能的サブユニットに分けられる場合、インキュベーション位置として機能する少なくとも1つの容器保持位置および/または検出位置として機能する少なくとも1つの容器保持位置を備える。特定の実施形態によれば、少なくとも1つの静止容器ホルダは、複数の直線状に配列された容器保持位置を備える。
【0012】
「可動容器作業ステーション」は、静止容器ホルダに動作可能なように連結された機能ユニットであり、静止容器ホルダに対して移動することができる。特定の実施形態によれば、少なくとも1つの容器作業ステーションは、少なくとも1つの静止容器ホルダの異なる容器保持位置間で容器を移送するために、少なくとも1つの静止容器ホルダに対して並進運動可能(translatable)である。詳細には、可動容器作業ステーションは、例えば1回に1つの容器といった容器を把持するためのグリッパを備え、それによって、容器保持位置に容器を配置し、容器保持位置から容器を取り出し、容器保持位置間で容器を移動させることが可能になる。詳細には、グリッパは、少なくとも垂直方向に並進運動可能であり、容器を把持または解放するために開閉できる掴み部を備える、可動容器作業ステーションの可動エレメントとして具体化され得る。
【0013】
特定の実施形態によれば、可動容器作業ステーションは、静止容器ホルダの異なる容器保持位置間で容器を移送する間の少なくとも一部に、グリッパによって保持された容器を振とうするために振とう機構を備える。一実施形態によれば、振とう機構は、モータによって駆動される偏心回転機構であり、グリッパを偏心して撹拌およびその結果グリッパによって保持された容器を偏心して撹拌するためにグリッパに連結され、その中に含まれる液体を混合する。
【0014】
特定の実施形態によれば、容器処理領域は、1回に、少なくとも1つの容器を少なくとも1つの静止容器ホルダに供給するための容器搬入ステーションをさらに備える。詳細には、「容器搬入ステーション」は、新しい容器を少なくとも1つの静止容器ホルダに供給するために、例えば、1回に、少なくとも1つの新しい容器を少なくとも1つの静止容器ホルダの少なくとも1つの容器保持位置に配置するために、少なくとも1つの静止容器ホルダに動作可能なように連結される機能ユニットである。一実施形態によれば、容器搬入ステーションは少なくとも2つの静止容器ホルダに共通している。容器搬入ステーションは、個々の容器をバルク補給品から容器搬入ステーションへ供給するために容器分配ユニットに動作可能なように連結されていてもよい。特に容器搬入ステーションは、並進運動可能および/または回転可能な容器グリッパを有する作業ステーションとして具体化されてもよい。
【0015】
体外診断システムは、容器処理領域の上方の空間で移動可能な、少なくとも2つのピペット装置を備える少なくとも1つのピペットヘッドを備える。
【0016】
「ピペット装置」は、検査液および/または試薬をピペット操作するためのシステムの機能ユニットであり、この目的のために吸引ノズルとしても機能し得る少なくとも1つの分注ノズルを備える。このノズルは、例えば中空の鋼製針などの再使用可能な洗浄可能な針として、あるいは例えば異なる検査液または試薬をピペット操作する前に、例えば定期的に付け替えるように構成された使い捨てのピペットチップなどのピペットチップとして具体化されてもよい。少なくとも2つのピペット装置が、ピペットヘッドに取り付けられる。特定の実施形態によれば、ピペットヘッドは、例えばガイドレールを用いて、ヘッド並進機構によって平面上で1つまたは2つの移動方向に移動させることができ、および例えばスピンドルドライブを用いて平面に対して直交方向に移動する第3の方向に移動させられてもよい。一実施形態によれば、ピペットヘッドは、ヘッド並進機構によって水平面内で1つまたは2つの移動方向に移動させることができ、ピペット装置は平面に対して直交方向に移動する垂直方向に個別に移動可能である。「取り付けられる」の用語は、本明細書では、特定の位置を言及しないで、結合される、連結されるなどを意図するために広く使用される。
【0017】
体外診断システムは、制御装置をさらに備える。「制御装置」は、動作計画に従って動作を行うための命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するプログラマブル論理制御装置である。詳細には、制御装置は、いくつかの予定された処理動作を実行するために、少なくとも1つの容器作業ステーション、少なくとも1つのピペットヘッドおよび少なくとも2つのピペット装置を制御するようにプログラムされる。予定された処理動作は、第1の試薬タイプを第1のサイクル時間の間に、第2の試薬タイプを第2のサイクル時間の間に、それぞれ第1の検査液に添加することを含み、それぞれ、第1の試薬タイプの第1の検査液への添加が、第1のサイクル時間の間に、第2の検査液への第2の試薬タイプの並行した添加を含み、第2の試薬タイプの第1の検査液への添加が、第2のサイクル時間の間に、第3の検査液への第1の試薬タイプの並行した添加を含む。
【0018】
しかしながら、動作計画は、検査液の吸引、検査液の分注、第1および第2タイプの試薬の吸引、吸引/分注ノズルの洗浄および/または使い捨てチップの付け替え、ピペットヘッドの吸引、分注、端部または洗浄位置への移動などの他の動作をさらに含んでもよい。動作計画は、ピペット装置のピペット操作および移動に関連する動作以外の動作もさらに含んでもよい。例えば、動作計画は、以下の1つまたは2つ以上を含んでもよい。検査液容器の移動、検査液容器の開閉、検査液容器のキャップの穿刺、容器の移動、検査液の混合、詳細には反応結果の検出である。詳細には、制御装置は、いくつかのサイクル時間のうちの所定のサイクル時間内にステップのシーケンスを実行するためにスケジューラを備えてもよい。制御装置は、分析タイプ、緊急性などに応じて体外診断検査の順序をさらに判定してもよい。制御装置は、異常な発生状況または新しく発生した検査オーダーまたは事象に応じて動作計画をさらに動的に変更してもよい。
【0019】
「検査液」の用語は、本明細書では、試料、あるいは1つまたは2つ以上の試料および1つまたは2つ以上の試薬の混合物または溶液のいずれか、検査すなわち体外診断分析の対象物を示すために使用される。本明細書で使用される「試料」の用語は、例えば、その中に存在すると疑われる対象の1つまたは2つ以上の検体を検出するために、あるいは例えばpH、色、濁度、粘度、凝固時間などの試料の物理的パラメーターを測定するために、ピペット操作または体外診断分析を受けるのに適した液体材料のことを言う。体外診断検査の例には、臨床化学分析、免疫測定、凝固分析、血液分析、核酸検査などがある。いくつかの実施形態において、開示されたシステムは、凝固体外診断検査に特に適している。
【0020】
試料は例えば、血液、唾液、接眼レンズ液、脳脊髄液、汗、尿、ミルク、腹水、粘液、滑液、腹腔液、羊水、組織、細胞などを含む生理液のような生物学的ソースから得ることができる。試料は使用前に血液から血漿を調製、粘液、溶菌等の希釈のような前処理が施されうる。処理方法は濾過、遠心分離、蒸留、濃縮、妨害成分の不活化、試薬の添加を含む。試料はソースから得られたものを直接使用してもよいし、または例えば別の溶液で希釈した後または例えば1つまたは2つ以上の体外診断検査を行うために試薬と混合した後などの試料の形質を変える前処理の後、使用してもよい。したがって、本明細書で使用される「試料」の用語は原試料に対してのみ使用されるのではなく、すでに処理された(ピペット操作された、希釈された、試薬と混合された、濃縮された、精製された、増幅された、等)試料にも関する。一実施形態によれば、試料はクエン酸塩で処理された血液試料である。
【0021】
「試薬」の用語は、試料の処理に必要な液体または物質を示すのに一般に使用される。試薬は任意の液体であってよく、例えば反応を起こすため、または検出を可能にするため、例えば試料や他の試薬と混合が可能な溶媒または化学溶液であってもよい。試薬は、例えば水を含む希釈液であってもよく、有機溶媒を含んでもよく、洗浄剤を含んでもよく、緩衝剤であってもよい。用語のより厳密な意味における試薬は、反応物を含む溶液であってもよく、一般的に、例えば試料の中に含まれる1つまたは2つ以上の検体に化学結合させる、または試料の中に含まれる1つまたは2つ以上の検体を化学的に形質転換することができる化合物または試剤であってもよい。反応物の例としては、酵素、酵素基質、複合染料、タンパク質結合分子、核酸結合分子、抗体、キレート剤、プロモーター、阻害剤、エピトープ、抗原等である。
【0022】
「第1の試薬タイプ」または「第1タイプの試薬」は、第1の反応が起こる試料処理ワークフローの初期段階で必要とされる試薬であり、検査が完了するために第2の試薬タイプまたは第2タイプの試薬を通常必要とする。一実施形態によれば、第1の試薬タイプは、例えば反応が完了するために、または反応が完了の許容レベルに達するために、ある一定の時間およびある一定の温度などの特定の条件下で、試料と接触させる試薬などのインキュベーション試薬である。1つの検査が、例えば反応の異なる時間に順次加えられる第1タイプの1つまたは2つ以上の試薬を必要としてもよい。第1タイプの試薬の例としては、凝固因子および他の凝固パラメーター、例えば活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)などの判定のための試薬がある。
【0023】
「第2の試薬タイプ」または「第2タイプの試薬」は、検査が完了するために第1タイプの1つまたは2つ以上の試薬とすでに反応した検査液による試料処理ワークフローの後期段階に必要とされる試薬であり、あるいは検査が完了するために第1タイプの試薬の添加を必要としないでそれ自体で十分な試薬である。したがって、第2の試薬タイプは、第1の試薬タイプの反応を持続させたり、第1の試薬タイプの反応を止めたり、あるいは第1の試薬タイプと試料との反応の検出を可能にする機能を有することができる。第2の試薬タイプは、検出の前または間に使用される、唯一の試薬または最後の試薬であってもよい。一実施形態によれば、第2の試薬タイプは、タイムトリガ試薬であり、また開始試薬とも呼ばれ、すなわち、第2の試薬タイプが検査液に添加された時からの時間測定をトリガする試薬である。タイムトリガ試薬の一例は、例えば塩化ナトリウムまたは塩化カルシウム溶液などの塩類溶液の凝固トリガ試薬である。
【0024】
「サイクル時間」は、通常一定の長さを有する反復的時間ウインドウであり、その時間内に、「ジョブ」または「作業パッケージ」とも呼ばれる一定数の処理動作が、「サイクル」と呼ばれる制御されたシーケンスで繰り返し実行される。しかしながら、これはあるサイクルで実行される全ての処理動作が別のサイクルで繰り返されることを必ずしも意味しない。詳細には、全てのサイクルで繰り返し発生する処理動作があってもよく、2つまたは3つ以上のサイクルごとに発生する処理動作があってもよい。また新しい処理動作が、新しく加えられた検査オーダーおよび/または新しく発生した状況によって、あるサイクルに導入されてもよく、それによってサイクルは動的に適合され得る。また、例えば、ピペット装置の詰まり時、ピペット操作または液位のエラー検出時、容器操作のエラー時などの異常な状況に応じて、異常なサイクルまたはサイクル中に変更があってもよい。一般に、1サイクル時間で行われる全ての処理動作のうちのいくつかの処理動作のみが、1つの検査の実施に割り当てられる。これは、通常異なる段階で、すなわち1サイクル時間内に異なる処理動作が異なる検査にそれぞれ割り当てられるのだが、1サイクルで通常少なくとも2つの検査が同時に行われることを意味する。したがって、検査を行うための異なる処理動作が、異なるサイクル時間で、例えば検査液がインキュベーションされる時間間隔などの、サイクル時間間のあり得る時間間隔を有して行われる場合、検査は通常、複数の、例えば2つまたは3つ以上のサイクル時間をかけて完了される。
【0025】
「第1のサイクル時間」と言う場合、任意のサイクル時間を意味し、「第2のサイクル時間」と言う場合、第1のサイクル時間の後の任意のサイクル時間を意味し、その場合、「後」は、第1のサイクル時間の後の次のサイクル時間または次の2つまたは3つ以上のサイクル時間を意味する。
【0026】
「検査液へ添加すること」または「検査液への添加」の用語は、検査液の存在時に必ずしも限定されない。詳細には、検査液および試薬または複数の試薬が添加の結果、一体となるのであれば、第1の試薬タイプの添加は、検査液の添加の前または後に行われてもよい。
【0027】
「並行して添加すること」または「並行した添加」の用語は、第1の試薬タイプおよび第2の試薬タイプが2つのそれぞれの検査液に同時に添加されることを意味する。しかしながら、「同時に」とは、開始と終了が必ずしも同時であることを意味しない。というのは例えば異なる体積が添加されるなどのさまざまな要因によって異なる場合があるからである。したがってこの用語は、少なくとも一部他方に重複しているか、他方に含まれるものを含む。
【0028】
「分注」の用語は、より具体的には、ピペット操作のことを指し、通常、分注される液体の吸入操作が先行する。並行した分注とは、必ずしも並行した吸入を意味しない。
【0029】
特定の実施形態によれば、制御装置は、第1の試薬タイプを静止容器ホルダによって保持される容器に添加するため、および第2の試薬タイプを可動容器作業ステーションのグリッパによって保持される容器に添加するために、少なくとも2つのピペット装置および少なくとも1つの容器作業ステーションを制御するようにプログラムされる。
【0030】
特定の実施形態によれば、第1の試薬タイプおよび第2の試薬タイプの並行した添加の間、グリッパは、容器を静止容器ホルダによって保持される容器とは異なる高さに保持するように制御される。
【0031】
特定の実施形態によれば、制御装置は、第2の試薬タイプをグリッパによって保持される容器に分注するために、グリッパを分注位置に移動させるために容器作業ステーションを制御するようにさらにプログラムされ、分注位置は、同じサイクル時間内に第1の試薬タイプを必要とする静止容器ホルダによって保持される容器の位置に基づいて、および同じピペットヘッド上にある各ピペット装置間の距離に基づいて、定められる。
【0032】
少なくとも1つの静止容器ホルダが少なくとも1つの検出位置を含む場合の特定の実施形態によれば、第2の試薬タイプの添加後、制御装置は、グリッパによって保持される容器を少なくとも1つの検出位置に移送するために容器作業ステーションを制御するようにさらにプログラムされる。
【0033】
容器作業ステーションが振とう機構を備える場合の特定の実施形態によれば、制御装置は、容器を静止容器ホルダの異なる位置間で移送する間の少なくとも一部に、グリッパによって保持される容器を振とうするために振とう機構を制御するようにさらにプログラムされる。
【0034】
一実施形態によれば、本システムは、静止容器ホルダおよび少なくとも2つの試薬ピペット装置および少なくとも1つの試料ピペット装置を備える試料/試薬ピペットヘッドを備える。
【0035】
一実施形態によれば、本システムは、少なくとも2つの静止容器ホルダ、少なくとも3つの試薬ピペット装置を備える試薬ピペットヘッドおよび少なくとも2つの試料ピペット装置を備える試料ピペットヘッドを備える。
【0036】
さらなる体外診断分析システムがまた本明細書に開示され、制御装置は、いくつかの予定された処理動作を実行するために、少なくとも1つの容器作業ステーション、少なくとも1つのピペットヘッドおよび少なくとも2つのピペット装置を制御するようにプログラムされる。予定された処理動作は、少なくとも2つの試薬を少なくとも2つのそれぞれの容器、すなわち静止容器ホルダによって保持されている少なくとも1つの容器および可動容器作業ステーションのグリッパによって保持されている少なくとも1つの容器に並行して添加することを含む。特定の実施形態によれば、制御装置は、インキュベーション試薬を静止容器ホルダによって保持される容器に添加するために、およびタイムトリガ試薬を可動容器作業ステーションのグリッパによって保持される容器に添加するために、少なくとも2つのピペット装置を制御するようにプログラムされる。特定の実施形態によれば、制御装置は、グリッパによる容器を、静止容器ホルダによって保持される容器とは異なる高さに保持するために可動容器作業ステーションを制御するようにさらにプログラムされる。特定の実施形態によれば、少なくとも2つのピペット装置が単一のピペットヘッドに取り付けられ、制御装置は、タイムトリガ試薬をグリッパによって保持される容器に分注するために、容器を分注位置に移動させるために可動容器作業ステーションを制御するようにさらにプログラムされる。分注位置は、同じサイクル時間内にインキュベーション試薬を必要とする静止容器ホルダによって保持される容器の位置に基づいて、および単一のピペットヘッド上にある各ピペット装置間の距離に基づいて、定められる。特定の実施形態によれば、この方法は、グリッパによって保持される容器を検出位置に向かって移動させる間、容器を振とうすることをさらに含む。
【0037】
さらなる体外診断分析システムがまた本明細書に開示され、制御装置は、いくつかの予定された処理動作を実行するために、少なくとも1つの容器作業ステーション、少なくとも1つのピペットヘッドおよび少なくとも2つのピペット装置を制御するようにプログラムされる。予定された処理動作は、タイムトリガ試薬およびインキュベーション試薬を少なくとも2つのそれぞれの容器の少なくとも2つの検査液に並行して添加することを含む。特定の実施形態によれば、制御装置は、インキュベーション試薬を静止容器ホルダによって保持される容器に添加するために、およびタイムトリガ試薬を容器作業ステーションのグリッパによって保持される容器に添加するために、少なくとも2つのピペット装置を制御するようにプログラムされる。特定の実施形態によれば、制御装置は、グリッパによる容器を、静止容器ホルダによって保持される容器とは異なる高さに保持するために容器作業ステーションを制御するようにさらにプログラムされる。特定の実施形態によれば、少なくとも2つのピペット装置が単一のピペットヘッドに取り付けられ、制御装置は、反応トリガ試薬をグリッパによって保持される容器に分注するために、容器を分注位置に移動させるために容器作業ステーションを制御するようにさらにプログラムされる。分注位置は、同じサイクル時間内にインキュベーション試薬を必要とする静止容器ホルダによって保持される容器の位置に基づいて、および単一のピペットヘッド上にある各ピペット装置間の距離に基づいて、定められる。特定の実施形態によれば、この方法は、グリッパによって保持される容器を検出位置に向かって移動させる間、容器を振とうすることをさらに含む。
【0038】
さらなる体外診断分析システムがまた本明細書に開示され、このシステムは、2つの静止容器ホルダおよび容器を静止容器ホルダに供給するための共通の容器搬入ステーションを備える容器処理領域を備え、容器処理領域は、2つの可動容器作業ステーションをさらに備え、そのそれぞれが容器グリッパを備え、各静止容器ホルダの異なる容器保持位置間で容器を移送するために各静止容器ホルダに対して並進運動可能であり、このシステムは、少なくとも3つの試薬ピペット装置を備える試薬ピペットヘッドおよび少なくとも2つの試料ピペット装置を備える試料ピペットヘッドをさらに備える。このシステムを用いると、単一の静止容器ホルダおよび1つの試料/試薬ピペットヘッドを有するシステムと比較して、機能ユニットの数を2倍にすることなく、全体の試料処理量(1時間当たりの検査数)をほぼ2倍にすることが可能になる。特にこの構成は、タイムトリガ試薬のみを必要とするプロトロンビン時間(PT)検査、および第1段階でインキュベーション試薬を、第2段階でタイムトリガ試薬を必要とする活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)検査のような2つの最も頻繁にオーダーされる凝固検査の高処理量検査に対して主に最適化される。検査を検査オーダーシーケンスにおいて交互に行うと、より高い処理量を達成することができる。2つの静止容器ホルダは、それぞれ異なる検査に有利に割り当てられてもよい。
【0039】
自動体外診断分析方法がまた本明細書に開示され、この方法は、第1の試薬タイプを第1のサイクル時間の間に、第2の試薬タイプを第2のサイクル時間の間に、それぞれ第1の検査液に添加することを含む。詳細には、それぞれ、第1の試薬タイプの第1の検査液への添加が、第1のサイクル時間の間に、第2の検査液への第2の試薬タイプの並行した添加を含み、第2の試薬タイプの第1の検査液への添加が、第2のサイクル時間の間に、第3の検査液への第1の試薬タイプの並行した添加を含む。
【0040】
特定の実施形態によれば、第1の試薬タイプおよび第2の試薬タイプの並行した添加は、単一のピペットヘッドを用いて行われ、単一のピペットヘッドは少なくとも2つのピペット装置を備える。一実施形態によれば、少なくとも2つのピペット装置は、独立して垂直方向に駆動させることができる。
【0041】
特定の実施形態によれば、第1の試薬タイプの添加は、第1の試薬タイプを静止容器ホルダによって保持されている容器に分注することを含み、第2の試薬タイプの添加は、第2の試薬タイプを可動容器作業ステーションのグリッパによって保持されている容器に分注することを含む。
【0042】
一実施形態によれば、第1の試薬タイプはインキュベーション試薬であり、第2の試薬タイプはタイムトリガ試薬である。
【0043】
特定の実施形態によれば、この方法は、第2の試薬タイプおよび第1の試薬タイプのそれぞれの並行した添加の間、グリッパによる容器および静止容器ホルダによる容器をそれぞれ異なる高さに保持することを含む。
【0044】
特定の実施形態によれば、この方法は、第2の試薬タイプをグリッパによって保持される容器に分注するために、グリッパを分注位置に移動させることを含み、分注位置は、同じサイクル時間内に第1の試薬タイプを必要とする静止容器ホルダによって保持される容器の位置に基づいて、および単一のピペットヘッド上の各ピペット装置間の距離に基づいて、定められる。
【0045】
特定の実施形態によれば、この方法は、グリッパによって保持される容器を検出位置に向かって移動させる間、容器を振とうすることを含む。
【0046】
さらなる自動体外診断分析方法をここに説明する。この方法は、少なくとも2つのピペット装置を用いて、少なくとも2つの試薬を、少なくとも2つのそれぞれの容器に、すなわち静止容器ホルダによって保持されている少なくとも1つの容器および容器作業ステーションのグリッパによって保持されている少なくとも1つの容器に、並行して分注することを含む。特定の実施形態によれば、静止容器ホルダによって保持される容器に分注される試薬はインキュベーション試薬であり、容器作業ステーションのグリッパによって保持される容器に分注される試薬はタイムトリガ試薬である。特定の実施形態によれば、この方法は、並行した分注の間、グリッパによる容器および静止容器ホルダによる容器をそれぞれ異なる高さに保持することをさらに含む。特定の実施形態によれば、少なくとも2つのピペット装置が単一のピペットヘッドに取り付けられ、この方法は、試薬をグリッパによって保持される容器に分注するために、グリッパを分注位置に移動させることを含み、分注位置は、同じサイクル時間内に試薬を必要とする静止容器ホルダによって保持される容器の位置に基づいて、および単一のピペットヘッド上の各ピペット装置間の距離に基づいて、定められる。特定の実施形態によれば、この方法は、グリッパによって保持される容器を検出位置に向かって移動させる間、容器を振とうすることをさらに含む。
【0047】
さらなる自動体外診断分析方法をここに説明する。この方法は、少なくとも2つのピペット装置を備える単一のピペットヘッドを用いて、タイムトリガ試薬およびインキュベーション試薬を、それぞれ少なくとも2つの検査液に並行して添加することを含む。特定の実施形態によれば、この方法は、インキュベーション試薬を静止容器ホルダによって保持される容器に添加すること、タイムトリガ試薬を容器作業ステーションのグリッパによって保持される容器に添加することを含む。特定の実施形態によれば、この方法は、並行分注の間、グリッパによる容器および静止容器ホルダによる容器をそれぞれ異なる高さに保持することをさらに含む。特定の実施形態によれば、この方法は、タイムトリガ試薬をグリッパによって保持される容器に分注するために、グリッパを分注位置に移動させることを含み、分注位置は、同じサイクル時間内にインキュベーション試薬を必要とする静止容器ホルダによって保持される容器の位置に基づいて、および単一のピペットヘッド上の各ピペット装置間の距離に基づいて、定められる。特定の実施形態によれば、この方法は、グリッパによって保持される容器を検出位置に向かって移動させる間、容器を振とうすることをさらに含む。
【0048】
さらなる他の目的、特徴、利点が、以下の例示的な実施形態および添付の図面の記載から明らかになり、それらはその基本原理をより詳しく説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】体外診断システムの部分的な上面図である。
図2図1のシステムの変形例を示す。
図3A図2の実施形態による容器処理領域の部分的な上面図である。
図3B】容器グリッパの位置を除いて、図3Aと同じ部分的な上面図である。
図4図2のシステムのいくつかのユニットをより詳細に示す。
図5図1のシステムのいくつかのユニットをより詳細に示す。
図6図6Aは、図2のシステムの動作方法を示し、これは図1のシステムにも当てはまる。図6Bは、図6Aの詳細の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、体外診断分析システム100、特に凝固分析装置の一例を示している。このシステム100は、異なる凝固検査を行うために、第1タイプおよび第2タイプの試薬を保持するための試薬保持ユニット110を備えている。試薬ユニット110は、閉じた調節された保管区画として具体化され、ピペットノズルが区画に入り試薬のアリコートを取り出すためのアクセスホール111を備えている。システム100は、試料管を含む試料管ラック121をロード/アンロードを行うための試料ロード/アンロードユニット120をさらに備えている。このシステムは、中央容器処理領域130をさらに備える(図5と関連してより詳細に示され説明される)。容器処理領域130は、1つの直線状の静止容器ホルダ140を備え、静止容器ホルダ140は複数の容器保持位置141を備えている。容器処理領域130は、1回に1つの容器を静止容器ホルダ140に供給するための容器搬入ステーション150をさらに備えている。容器処理領域130は、静止容器ホルダ140に対して直線的に並進運動可能な可動容器作業ステーション160をさらに備え、静止容器ホルダ140の容器保持位置141間で容器を移送するために、静止容器ホルダ140と機能的に連結される。
【0051】
システム100は、3つのピペット装置を備えるピペットヘッド170をさらに備えている(図5に示す)。詳細には、ピペットヘッド170は、水平アーム171に並進運動可能に取り付けられ、このアーム171は直交ガイドレール172に並進運動可能に連結されている。したがって、ピペットヘッド170は試薬ユニット110の上方、容器処理領域130の上方、および試料ロード/アンロードユニット120の上方の空間で移動可能である。さらに、ピペット装置は、ホール111を通って試薬ユニット110内の試薬容器、試料ロード/アンロードユニット120内の試料管および容器処理領域130内の容器にアクセスできるように垂直方向にそれぞれ独立して並進動作可能である。詳細には、同じピペットヘッド170を用いて、検査液が試料ロード/アンロードユニット120内の試料管から吸引され、試薬が試薬ユニット110内の試薬容器から吸引され、検査液および試薬の両方が、容器処理領域130内の容器に分注され得る。
【0052】
システム100は、可動容器作業ステーション160、ピペットヘッド170、およびピペット装置の動作を含む、いくつかの予定された処理動作の実行を制御するようにプログラムされた制御装置180をさらに備えている(図5および6Aとの関連でより詳細に説明される)。
【0053】
図2は、図1のシステム100の変形例である別のシステム100’を示している。システム100’とシステム100との間の1つの相違点は、システム100’は容器処理領域130’を備え、システム100の容器処理領域130と比較して、第2の直線状の静止容器ホルダ140’、および第2の静止容器ホルダ140’に対して直線的に並進運動可能で、第2の静止容器ホルダ140’の容器保持位置141’間で容器を移送するために静止容器ホルダ140’に機能的に連結された第2の可動容器作業ステーション160’をさらに備えている。システム100’とシステム100との間の別の相違点は、システム100’が、2つのそれぞれの水平アーム171、174に並進運動可能に取り付けられた2つのピペットヘッド170’、173を備えていることである。図5により明示されるように、第1のピペットヘッド170’は、試薬ユニット110から試薬を吸引し、容器処理領域130’内の容器に試薬を分注するように構成される3つの試薬ピペット装置を備えている。第2のピペットヘッド173は、試料ロード/アンロードユニット120内の試料管から検査液を吸引し、検査液を容器処理領域130’内の容器に分注するように構成される2つの試料ピペット装置を備えている。アーム171、174は、同じ直交ガイドレール172に並進運動可能に連結されている。2つの静止容器ホルダ140、140’は、互いに平行に配置され、図1のものと同一の容器搬入ステーション150は、容器を両方の静止容器ホルダ140、140’に供給するために2つの静止容器ホルダ間に対称的に配置されている。システム100’とシステム100との間の別の相違点は、システム100’が、試料ラック121を試料ロード/アンロードユニット120へと、試料ロード/アンロードユニット120から、ロード/アンロードを行うために試料ロード/アンロードユニット120にモジュールとして機能的に連結される試料ラックトレイユニット122をさらに備えていることである。
【0054】
システム100’は、可動容器作業ステーション160、160’、ピペットヘッド170’、173、およびピペット装置の動作を含む、いくつかの予定された処理動作の実行を制御するようにプログラムされた制御装置180’をさらに備えている(図4および6A-6Bとの関連でより詳細に説明される)。
【0055】
図3Aおよび3Bは、図2の実施形態による容器処理領域130’(ピペット装置はない)の部分的な上面図である。詳細には、図3Aおよび3Bは、2つの静止容器ホルダ140、140’、および、互いに対して、そして容器搬入ステーション150に対してそれぞれ可動である2つの容器作業ステーション160、160’の配置を上側から示している。第1の静止容器ホルダ140および第2の静止容器ホルダ140’は同一で、互いの前で長手方向に平行に配置される。しかしながら、それらの方向は逆であり、第2の静止容器ホルダ140’は第1の静止容器ホルダ140に対して180度回転させた状態のものである。第1および第2の静止容器ホルダ140、140’は、直線状のブロックとして具体化され、それぞれが直線状に配置された容器保持位置141、141’のアレイをそれぞれ含み、一部がインキュベーション位置として機能し、一部が検出位置として機能する(図6Aに関連してより詳細に説明される)。
【0056】
容器搬入ステーション150は、容器グリッパ151を備え、第1の静止容器ホルダ140と第2の静止容器ホルダ140’との間に対称的に配置され、それによって容器グリッパ151を180度回転させると、容器10は、第1の静止容器ホルダ140の容器保持位置141または第2の静止容器ホルダ140’の容器保持位置141’のいずれかに、同じ容器グリッパ151によって配置され得る。第1の可動容器作業ステーション160および第2の可動容器作業ステーション160’は互いに同一で、それぞれの静止容器ホルダ140、140’の外側、かつ、中央容器搬入ステーション150とは反対側に、それぞれの静止容器ホルダ140、140’と平行に配置されている。詳細には、第1の可動容器作業ステーション160は、ガイドレール162に沿って第1の静止容器ホルダ140に対して並進運動可能であり、第2の可動容器作業ステーション160’は、第1の可動作業ステーション160とは独立して、ガイドレール162’に沿って第2の静止容器ホルダ140’に対して並進運動可能である。したがって、第1の可動作業ステーション160は、第1の静止容器ホルダ140の容器保持位置141間で容器を移送するために、第1の静止容器ホルダ140に機能的に連結され、第2の可動容器作業ステーションは、第2の静止容器ホルダ140’の容器保持位置141’間で容器を移送するために、第2の静止容器ホルダ140’に機能的に連結されている。
【0057】
容器搬入ステーション150は、静止容器ホルダ140、140’に対して、空間的に固定され、容器グリッパ151のみが垂直に並進運動することができ、静止容器ホルダ140、140’のどちらへも回転する。したがって、容器搬入ステーション150は、1回に、第1の静止容器ホルダ140のただ1つの搬入容器保持位置141(図3B)に、および第2の静止容器ホルダ140’のただ1つの搬入容器保持位置141’(図3A)に、新しい容器10を配置することができる。これらの2つの搬入容器保持位置141、141’は、それぞれの静止容器ホルダ140、140’に配置されたそれぞれの新しい容器10の光度ブランク測定を行うことを目的とした検出位置である。2つのそれぞれの可動容器作業ステーション160、160’は、予定された処理に応じて、容器10を、2つの搬入容器保持位置141、141’から任意の他の容器保持位置141、141’へ移送することができる。
【0058】
図4は、容器処理領域130’の上方に2つのピペットヘッド170’、173をさらに有する、図3Bの容器処理領域130’の斜視図である。容器搬入ステーション150は、ガイドレール152に沿って垂直に並進運動可能な、および水平面内で回転可能な容器グリッパ151を備える容器リフトとして具体化される。詳細には、容器グリッパ151は、個々の容器10をガイドレール152に関して下方位置でグリッパ151に供給するための容器分配ユニット(図示せず)に動作可能なように連結することができる。したがって、容器グリッパ151は、1回に、1つの容器10を、下方位置の容器分配ユニットから上方位置の静止容器ホルダ140、140’の容器保持位置141、141’の1つに運ぶことができる。
【0059】
可動容器作業ステーション160、160’は、それぞれのガイドレール162、162’に沿って、それぞれの静止容器ホルダ140、140’と平行に並進運動可能である。また可動容器作業ステーション160、160’はそれぞれ、垂直方向に並進運動可能な容器グリッパ161、161’を備えている。したがって、可動容器作業ステーション160、160’は、任意の容器保持位置141、141’に対応して容器グリッパ161、161’を移動させるためにそれぞれの静止容器ホルダ140、140’に沿って独立して移動することができ、垂直方向に容器グリッパ161、161’を並進運動させることによって、グリッパは、任意の容器保持位置141、141’から容器10を把持して取り出すことができたり、それぞれの静止容器ホルダ140、140’の任意の使われていない容器保持位置141、141’に容器10を配置することができる。よって容器10は、可動容器作業ステーション160、160’によって、例えばインキュベーション位置と検出位置との間などの、同じ静止容器ホルダ140、140’の異なる容器保持位置141、141’間で、それぞれ容易に移送することができる。
【0060】
第1のピペットヘッド170’は、3つの試薬ピペット装置を備える試薬ピペットヘッドであり、詳細には、2つの試薬ピペット装置175’は第2タイプの試薬をピペット操作するように構成され、1つの試薬ピペット装置176’は第1タイプの試薬をピペット操作するように構成される。詳細には、試薬ピペット装置175’のそれぞれは、試薬吸入と試薬分注との間に、第2タイプの試薬を最適温度に加熱するための加熱エレメント177’を備えている。第2のピペットヘッド173は、例えば閉止部材を貫通することによって試料管の閉止部材を通した吸入を含む、試料管から試料をピペット操作するように構成された2つの試料ピペット装置178’を備える試料ピペットヘッドである。
【0061】
図4の実施形態は、図5の実施形態と比較して、機能ユニットの数を2倍にすることなく、少なくともいくつかの検査の2倍の試料処理量を達成することを可能にする。詳細には、少なくとも1つの試薬針を省くことができ、1つの共通の容器搬入ステーション150を使用することができる。
【0062】
図5は、ただ1つの静止容器ホルダ140、ただ1つの可動容器作業ステーション160、ただ1つのピペットヘッド170を備えている、図1のシステム100の容器処理領域の斜視図である。詳細には、静止容器ホルダ140、可動容器作業ステーション160、容器搬入ステーション150およびそれらの機能的な関係は、図4と同じである。ピペットヘッド170は、第1の試薬ピペット装置175、第2の試薬ピペット装置176、および試料ピペット装置178を備える試料/試薬ピペットヘッドである。詳細には、第1の試薬ピペット装置175は、第1タイプの試薬をピペット操作するように構成され、第2の試薬ピペット装置176は、第2タイプの試薬をピペット操作するように構成される。詳細には、第2の試薬ピペット装置176は、試薬吸入と試薬分注との間で、第2タイプの試薬を最適温度に加熱するための加熱エレメント177を備えている。試料ピペット装置178は、例えば閉止部材を貫通することによって、試料管の閉止部材を通した吸入を含む、試料管から検査液をピペット操作するように構成される。
【0063】
図6Aおよび6B(図6Aの詳細の拡大図)は、制御装置180’によって制御される、動作中の図4の実施形態の一部のさらなる詳細を示している。詳細には、それぞれの可動容器作業ステーション160を有するただ1つの静止容器ホルダ140およびただ1つのピペットヘッド170’が明確にするために示されている。詳細には、第1の試薬タイプおよび第2の試薬タイプの並行した添加処理が示されている。これは、異なるピペットヘッドが使用されることを除いては、図5の実施形態の場合も同様である。
【0064】
静止容器ホルダ140は、複数の容器10を保持するための複数の容器保持位置141を備えている。詳細には、静止容器ホルダ140は、容器10の形状と相補的な形状のアルミニウムブロック内のキャビティとして具体化された複数のインキュベーション位置141A(この例では20個)を備えるインキュベーションサブユニット140Aを備える。詳細には、インキュベーションサブユニット140Aは、例えば容器10を最適な反応温度に維持するためのインキュベーション位置141Aに入れられた容器10の温度を調節するための温度調節ユニット(図示せず)を備えている。
【0065】
静止容器ホルダ140は、複数の検出位置141B(この例では13個)を備える検出サブユニット140Bをさらに備える。詳細には、検出サブユニット140Bは、測光ユニット142を備え、測光ユニット142は、検出位置141Bの片側に光源143を備え、光検出器(図示せず)が、検出位置141Bの他方側の検出サブユニット140B内に配置される。詳細には、各検出位置141Bには、光源143からの光を検出位置141Bに配置された容器10に導くための光ファイバ144および検出位置141B内の容器10を通る光を検出する、検出位置の反対側に配置された光検出器がある。したがって、各検出位置141Bは、光ファイバ144と光検出器との間の光路に配置される。したがって、容器10は、光路に配置することができる2つの平行で透明な壁を備えるキュベットとして好都合に具体化され得る。異なる波長の光は異なる光ファイバ144によって導かれてもよく、および/または異なる波長の光は代替的に同じ光ファイバ144で導かれてもよい。詳細には、光源143は、全ての光ファイバ144に共通であってもよく、例えば広域スペクトル光源またはそれぞれの波長または波長域を有する複数の発光エレメントなどの多波長光源を備える。
【0066】
検出位置141B’の1つは、それぞれの新しい容器10のブランク測定を行うためのブランク測定位置である。さらに、ブランク測定位置141B’は、1回に1つの新しい容器10が容器搬入ステーション150の容器グリッパ151によって配置される搬入容器保持位置である。
【0067】
静止容器ホルダ140は、インキュベーションサブユニット140Aと検出サブユニット140Bとの間に配置された静止容器ホルダ140を通る穴として具体化された廃棄物ポート145をさらに備え、穴145は、使用済みの容器10を容器グリッパ161によって廃棄するために静止容器ホルダの下に配置された容器ごみ箱(図示せず)に通じる。
【0068】
全ての実施形態に関して、例示的な処理の一部を説明する。詳細には、以下の処理は、1サイクル時間に行われ得る処理動作のいくつかを表す。1つまたは2つの静止容器ホルダ140、140’のどちらを有する実施形態が使用されているかによって、容器搬入ステーション150は、静止容器ホルダ140の搬入容器保持位置141B’および/または第2の静止容器ホルダ140’の対応する搬入容器保持位置141’に、1回に1つの新しい容器10を配置する。その後、それぞれの静止容器ホルダ140、140’内のそれぞれの新しい容器10の光度ブランク測定がまず行われる。容器10の光度ブランク測定が行われた後、それぞれの可動容器作業ステーション160、160’が、それぞれの静止容器ホルダ140、140’の使用されていないインキュベーション位置141A、141’に容器10を移送する。
【0069】
図2、4、6A、6Bに関して、試料ピペットヘッド173は、試料ロード/アンロードユニット120に移動し、2つのそれぞれのピペット装置178’を用いて、2つの試料管から2つの検査液あるいは同じ試料管から2つのアリコートを吸引する。次に、試料ピペットヘッド173は、第1の静止容器ホルダ140に移動し、インキュベーション位置141A内の容器10に検査液を分注し、また第2の静止容器ホルダ140’に移動し、第2の静止容器ホルダ140’のインキュベーション位置141’内の別の容器10に他方の検査液を分注し、あるいは第1の静止容器ホルダ140の別のインキュベーション位置141A内の別の容器10に他方の検査液を分注する。試薬ピペットヘッド170’は、試薬ユニット110に移動し、試薬ピペット装置176’および175’を用いて、それぞれ第1タイプの1つの試薬および第2タイプの2つの試薬を吸引する。
【0070】
第1の可動容器作業ステーション160のグリッパ161は、インキュベーション位置141Aから容器10Bを把持する。その後、第1の可動容器作業ステーション160は、グリッパ161によって保持された容器10Bに第2の試薬タイプを分注するために分注位置に移動する。図6Aおよび6Bに示される分注位置は、同じサイクル時間内に第1の試薬タイプを必要とする静止容器ホルダ140のインキュベーション位置141Aに保持される容器10Aの位置に基づいて、および試薬ピペットヘッド170’上の各試薬ピペット装置175’、176’間の距離に基づいて、定められる。
【0071】
詳細には、試薬ピペットヘッド170’は、第1の静止容器ホルダ140に対して移動し、第1タイプの試薬を含む試薬ピペット装置176’が、第1タイプの試薬を必要とする容器10Aの上方に配置され、第2タイプの試薬を含む試薬ピペット装置175’が、容器グリッパ161によって保持された第2タイプの試薬を必要とする容器10Bの上方に配置される。次に、試薬ピペット装置176’、175’は、第1の試薬タイプおよび第2の試薬タイプのそれぞれの並行した添加のために、各容器10A、10Bの異なる高さに下げられる。次に、試薬ピペット装置175’、176’は上げられ、グリッパ161によって保持される容器10Bは、可動容器作業ステーション160を直線的に並進運動させることによって、検出のために検出サブユニット140Bの使用されていない検出位置141Bに運ばれる。可動容器作業ステーション160を分注位置と検出位置141Bとの間で移動させる間、グリッパは、その中に含まれる検査液と第2タイプの試薬を混合させるために容器10Bを振とうする。同じピペットヘッドを用いてインキュベーション試薬とタイムトリガ試薬とを並行して添加することによって、および可動容器作業ステーションの相乗的な協働によって、機能的リソースの使用が最適化され、大幅な時間節約、空間節約、およびコスト削減によってワークフローの効率化を高めることができる。グリッパ161によって容器10Bを保持しグリッパによって保持された容器10B内のタイムトリガ試薬をピペット操作することによって、タイムトリガ試薬の添加から検出開始までの時間を最小限に抑えることができる。搬送中に容器10Bを振とうすることによって、混合時間もまた最小限に抑えることができ、その結果、タイムトリガ試薬の添加から検出開始までの時間を最小限に抑えることに役立つ。
【0072】
第1タイプの試薬および第2タイプの試薬の第1の静止容器ホルダ140の2つの容器10A、10Bへの並行した添加の後、試薬ピペットヘッド170’は第2の静止容器ホルダ140’に移動し、第2の静止容器ホルダ140’の容器グリッパ161’によって保持された容器10に第2タイプの第2の試薬を分注する。
【0073】
第1タイプの試薬を受容した容器10、10Aは、後続のサイクル時間で第2タイプの試薬を受容する前に、1つまたは2つ以上のサイクル時間の間、インキュベーションにとどまる。
【0074】
ある実施形態において、第1の静止容器ホルダ140は、例えばAPTT検査を行うためなどの、ある検査タイプに少なくとも一時的に割り当てられ、第2の静止容器ホルダ140’は、例えばPT検査を行うためなどの、異なる検査タイプに割り当てられる。したがって、1サイクルにおいて、2つのAPTT検査を異なる段階でそれぞれ行う際に、第1の静止容器ホルダ140において、インキュベーション試薬とタイムトリガ試薬の2つのそれぞれの容器10A、10Bへの並行した添加が行われ、その後、タイムトリガ試薬のみを必要とするPT検査を行う際に、第2の可動容器作業ステーション160’のグリッパ161’によって保持される容器などの、第2の静止容器ホルダ140’の容器10にタイムトリガ試薬を添加する。同じ手順が、後続のサイクルで、異なる検査液および容器10のそれぞれに対して繰り返されてもよい。このようにしてシステム100’は、凝固分析において、2つの最も頻繁に使用される検査の高処理量分析を行うようにプログラムされ得る。
【0075】
図1および5の実施形態に関して、処理は類似しており、相違点は、1つの試料ピペット装置178と、同じ試料/試薬ピペットヘッド170上にそれぞれ第1タイプおよび第2タイプの試薬用の2つの試薬ピペット装置175、176と、1つだけの静止容器ホルダ140があることである。
【0076】
上述の説明に照らすと、明らかに開示された実施形態の修正および変更が可能である。したがって、本発明は、添付の請求項の範囲内で、上記の例で具体的に考案されている方法以外の他の方法で実施されてもよいことが理解される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6