(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】充放電装置、及び、充放電方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20220729BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20220729BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J7/35 K
H02J9/06
H02J3/38 130
(21)【出願番号】P 2021135981
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2021-08-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508069512
【氏名又は名称】デルタ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】木戸 享
(72)【発明者】
【氏名】徐 飛冬
(72)【発明者】
【氏名】賈 雷
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-017141(JP,A)
【文献】特開2017-046544(JP,A)
【文献】特開2018-196245(JP,A)
【文献】特開2013-183612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電システム及び商用系統から電力供給を受けることが可能な宅内負荷と、バッテリを搭載した車両との間に接続された充放電装置であって、
前記充放電装置の運転モードを制御する制御部と、
前記発電システム及び前記商用系統の少なくとも一方から供給される電力に基づいて前記バッテリに電力を供給する第1供給部と、
前記バッテリからの電力を前記宅内負荷に供給する第2供給部と、を備え、
前記運転モードは、前記商用系統から前記充放電装置が切り離され、前記発電システム及び前記充放電装置から前記宅内負荷に電力を供給可能な停電運転モードを含み、
前記制御部は、前記停電運転モードにおいて、前記充放電装置を電圧源として動作させ
前記充放電装置の電圧源端子から交流電圧を出力させることにより、前記発電システムが電流源として動作し、
前記制御部は、前記停電運転モードにおいて所定の条件を満たす場合に前記発電システムと前記充放電装置との接続を解除し、前記所定の条件は、前記発電システムの電力が、前記宅内負荷の負荷電力と前記バッテリへ供給される電力とを合算した電力よりも大きいことを含
み、
前記制御部は、前記電圧源端子の出力電圧の周波数を制御することによって、前記発電システムが備えるパワーコンディショナによって系統過周波数が検出される場合に、前記パワーコンディショナと前記充放電装置との接続が解除されることを特徴とする、
充放電装置。
【請求項2】
前記停電運転モードにおいて、前記発電システムは、前記宅内負荷に加えて前記充放電装置に電力を供給可能である、
請求項1に記載の充放電装置。
【請求項3】
前記運転モードは、前記充放電装置が前記商用系統と接続されて運転する系統連系運転モードをさらに含む、
請求項1又は2に記載の充放電装置。
【請求項4】
発電システム及び商用系統から電力供給を受けることが可能な宅内負荷と、バッテリを搭載した車両との間に接続された充放電装置が実行する充放電方法であって、
前記充放電装置の運転モードを制御するステップと、
前記発電システム及び前記商用系統の少なくとも一方から供給される電力に基づいて前記バッテリに電力を供給するステップと、
前記バッテリからの電力を前記宅内負荷に供給するステップと、を含み、
前記運転モードは、前記商用系統から前記充放電装置が切り離され、前記発電システム及び前記充放電装置から前記宅内負荷に電力を供給可能な停電運転モードを含み、
前記制御するステップは、前記停電運転モードにおいて、前記充放電装置を電圧源として動作させることにより、前記発電システムが電流源として動作し、
前記制御するステップは、前記停電運転モードにおいて所定の条件を満たす場合に前記発電システムと前記充放電装置との接続を解除し、前記所定の条件は、前記発電システムの電力が、前記宅内負荷の負荷電力と前記バッテリへ供給される電力とを合算した電力よりも大きいことを含
み、
前記制御するステップは、前記充放電装置の出力電圧の周波数を制御することによって、前記発電システムが備えるパワーコンディショナによって系統過周波数が検出される場合に、前記パワーコンディショナと前記充放電装置との接続が解除されることを特徴とする、
充放電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電装置、及び、充放電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅用の電力供給システムとして、複数の電源の連携により効率的な電力供給を図るシステムが普及しつつある。複数の電源は、商用系統の他に、太陽電池、燃料電池、蓄電池等の分散電源を含む。
【0003】
特許文献1には、制御部と、商用系統の電力供給と太陽光発電システムの電力供給を受ける共用入力部と、蓄電池に電力供給する出力部とを備える充放電装置が記載されている。制御部は、単独運転防止機能の有効/無効を切り替える機能を有する。制御部は、充放電装置の運転モードとして、商用系統と接続されて運転する系統連系モードと、商用系統の停電時に商用系統から解列されて、単独運転防止機能を無効に切り替えて、共用入力部を介して太陽光発電システムから蓄電池に電力供給して充電する停電運転モードと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の従来の電力システムでは、停電中において、パワーコンディショナの出力電圧に波形歪み、又は、ノイズが発生するような場合には、充放電装置を起動する際に充放電装置の単独運転防止機能を無効化する必要がある。
【0006】
そこで、本発明のいくつかの態様はかかる事情に鑑みてなされたものであり、停電中において単独運転防止機能を無効化することなく充放電装置の運転を可能にすることができる充放電技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る充放電装置は、発電システム及び商用系統から電力供給を受けることが可能な宅内負荷と、バッテリを搭載した車両との間に接続された充放電装置であって、充放電装置の運転モードを制御する制御部と、発電システム及び商用系統の少なくとも一方から供給される電力に基づいてバッテリに電力を供給する第1供給部と、バッテリからの電力を宅内負荷に供給する第2供給部と、を備え、運転モードは、商用系統から充放電装置が切り離され、発電システム及び充放電装置から宅内負荷に電力を供給可能な停電運転モードを含み、制御部は、停電運転モードにおいて、充放電装置を電圧源として動作させ電圧源端子から交流電圧を出力させることにより、発電システムが電流源として動作することを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る充放電方法は、発電システム及び商用系統から電力供給を受けることが可能な宅内負荷と、バッテリを搭載した車両との間に接続された充放電装置が実行する充放電方法であって、充放電装置の運転モードを制御するステップと、発電システム及び商用系統の少なくとも一方から供給される電力に基づいてバッテリに電力を供給するステップと、バッテリからの電力を宅内負荷に供給するステップと、を含み、運転モードは、商用系統から充放電装置が切り離され、発電システム及び充放電装置から宅内負荷に電力を供給可能な停電運転モードを含み、制御するステップは、停電運転モードにおいて、充放電装置を電圧源として動作させることにより、発電システムが電流源として動作することを特徴とする。
【0009】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、停電中において単独運転防止機能を無効化することなく充放電装置の運転を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る電力システムの一例を示す概略構成図である。
【
図2】一実施形態に係る電力システムの動作の一例を示す概念図である。
【
図3】
図2に示すステータス(1)に対応する電力システムの概略構成図である。
【
図4】
図2に示すステータス(2)に対応する電力システムの概略構成図である。
【
図5】
図2に示すステータス(3)に対応する電力システムの概略構成図である。
【
図6】
図2に示すステータス(4)に対応する電力システムの概略構成図である。
【
図7】
図2に示すステータス(5-1)に対応する電力システムの概略構成図である。
【
図8】
図2に示すステータス(5-2)に対応する電力システムの概略構成図である。
【
図9】
図2に示すステータス(6)に対応する電力システムの概略構成図である。
【
図10】一実施形態に係る電力システムの他の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。さらに、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
<システム構成>
図1は、一実施形態に係る電力システム1の一例を示す概略構成図である。電力システム1は、例えば、太陽光発電システム27(発電システム)と、商用系統30と、例えば電気自動車(EV)等である車両50に搭載された蓄電池等のバッテリ51と、を備える。
【0014】
電力システム1において、太陽光発電システム27と、商用系統30と、バッテリ51とは、電力供給源である。電力システム1は、太陽光発電システム27の発電電力、商用系統30の系統電力、及び、充放電装置10を介したバッテリ51の放電による電力を、住宅40に供給可能である。
【0015】
住宅40は、例示的に、宅内負荷41と、非常用負荷42と、を備える。住宅40の宅内負荷41と、非常用負荷42とは、切替スイッチSW2においてポイントP5とP6が接続される(「メンテナンス」運転)場合、商用系統30から、例えば100V又は200Vの交流電力の供給を受けることが可能である。なお、
図1では、宅内負荷41と、非常用負荷42とを異なる負荷として例示しているが、非常用負荷42は、宅内負荷41に含まれてよい。
【0016】
一般的に、特定負荷システムでは停電時、スイッチSW2を「自立」に切り替えて太陽光発電エネルギーの電圧源端子23から非常用負荷42に供給する。しかしながら、本実施形態における電力システム1では、スイッチSW2を切り替えずに「メンテナンス」のままで太陽光発電エネルギーの電流源端子22から宅内負荷41および非常用負荷42に供給可能である。
【0017】
図1及び
図3~
図9に示す電力システム1は、特定負荷システムであるが、後述する
図10に示す電力システム1は、全量負荷システムである。宅内負荷41は、例えば、洗濯機、空気調節装置(エアコンディショナ)等を含む。また、非常用負荷42は、停電時においても、電源を必要とする負荷をいう。非常用負荷42は、例えば、冷蔵庫、パーソナルコンピュータ又は携帯電話等の充電器、居間等における天井灯等を含む。
【0018】
太陽光発電システム27は、例示的に、パワーコンディショナ20と、太陽光パネル25とを備える。太陽光パネル25は、太陽光を受けて発電して直流電力を出力する。パワーコンディショナ20は、例示的に、太陽光パネル25による発電電力を交流に電力変換して出力する電力変換ユニット21と、電力変換ユニット21からの電力を電流源として出力する電流源端子22、及び、停電時に電圧源として出力する電圧源端子23と、開閉スイッチrl3と、を備える。
【0019】
電流源端子22は、例えば系統連系運転時もしくは復電時、電力変換ユニット21でDC/AC変換した電力を電流源として出力する。電圧源端子23は、例えば停電時、電力変換ユニット21でDC/AC変換した電力を電圧源として出力する。
【0020】
開閉スイッチrl3は、太陽光発電システム27と、例えば、充放電装置10、及び、商用系統30との接続の維持又は解列(切り離し)を制御可能である。
【0021】
電力システム1は切替スイッチSW1をさらに備える。切替スイッチSW1は、「系統連系運転」側(もしくは「復電運転」側)、又は、「停電運転」側に切り替えることが可能である。切替スイッチSW1において、ポイントP1とP2が接続される、つまり、「系統連系運転」(もしくは「復電運転」)の場合、商用系統30からの電力が宅内負荷41に供給される。さらに、バッテリ51からの電力が双方向電力変換ユニット11によりDC/AC変換され、充放電端子12(第2供給部)を経由して宅内負荷41に供給される。また、商用系統30あるいは太陽光発電システム27からの電力が充放電端子12から入力され双方向電力変換ユニット11によりAC/DC変換されてバッテリ51に供給される。
【0022】
切替スイッチSW1において、ポイントP1とP3が接続される、つまり、「停電運転」の場合、充放電装置10を介したバッテリ51の放電による電力が、宅内負荷41に供給される。また、「停電運転」の場合、太陽光発電システム27からの電力が充放電装置10に供給されてもよい。
【0023】
なお、切替スイッチSW1は、停電時等において、ユーザにより切替操作されてもよいし、自動で切替操作されてもよい。
【0024】
「発電システム」の例として、上記では、太陽光発電システム27を挙げたがこれに限られない。電力システム1では、光エネルギー以外の他のエネルギーに基づく発電システムが採用されてもよい。
【0025】
充放電装置10は、宅内負荷41と、バッテリ51を搭載した車両50と、の間に接続される。例えば、充放電装置10は、車両50に搭載されたバッテリ51の充放電を制御する。車両50は、例示的に、バッテリ51と、走行モータ等の負荷52とを備える。バッテリ51は、例えばリチウムイオン二次電池である。充放電装置10は、太陽光発電システム27と商用系統30からの電力をバッテリ51に供給可能である。
【0026】
充放電装置10は、例示的に、双方向電力変換ユニット11と、充放電端子12と、電圧源端子13と、制御部15と、充放電部16と、開閉スイッチrl1と、開閉スイッチrl2と、を備える。
【0027】
双方向電力変換ユニット11は、例えば双方向インバータ及び双方向コンバータ等を備える。双方向電力変換ユニット11は、例えば、入力する交流電力を直流に変換するとともに所定の電流に調整してバッテリ51に供給する。双方向電力変換ユニット11は、バッテリ51から直流電力を入力し交流に変換して宅内負荷41に出力可能である。
【0028】
充放電端子12は、例えば復電時、放電処理として、バッテリ51からの電力をDC/AC変換して電流源として出力する。また、充放電端子12は、例えば復電時、商用系統30及び太陽光発電システム27の少なくとも一方からの電力に基づいて、AC/DC変換してバッテリ51を充電する。
【0029】
電圧源端子13は、例えば停電時、バッテリ51からの電力をDC/AC変換して電圧源として出力する。
【0030】
開閉スイッチrl1,rl2は、充放電装置10と、例えば、太陽光発電システム27、及び、商用系統30との接続の維持又は解列(切り離し)を制御可能である。
【0031】
制御部15は、充放電装置10の運転モードを制御する。運転モードは、少なくとも(1)充放電装置10が商用系統30と接続されて運転する系統連系運転モードと、(2)商用系統30から充放電装置10が切り離され、太陽光発電システム27及び充放電装置10から宅内負荷41に電力を供給可能な停電運転モードと、を含む。制御部15は、停電運転モードにおいて、充放電装置10を電圧源として動作させ電圧源端子13から交流電圧を出力させる。それにより、太陽光発電システム27は電流源として動作することになる。
【0032】
充放電部16(第1供給部)は、バッテリ51に電力を供給する。例えば、充放電部16は、太陽光発電システム27及び商用系統30の少なくとも一方から供給される電力に基づいてバッテリ51に電力を供給する。充放電装置10と車両50とは、例えば、インターフェイスとしてのケーブル付コネクタを用いて接続される。ケーブル付コネクタによって、双方向電力変換ユニット11と車両50のバッテリ51とが接続されるとともに、充放電装置10の制御部15と車両50とが通信可能に接続される。例えば制御部15は、ケーブル付コネクタに含まれる通信線を介して車両50から、バッテリ51の充電率等の情報を受信することが可能である。また、充放電部16は、バッテリ51に蓄積された電力であって、宅内負荷41に充放電端子12を介して供給される電力をバッテリ51から取得することができる。
【0033】
充放電装置10の制御部15は、双方向電力変換ユニット11を制御して車両50のバッテリ51の電力を、双方向電力変換ユニット11を介して住宅40の宅内負荷41に供給してバッテリ51の放電電力で宅内負荷41を駆動可能である。
【0034】
制御部15は、双方向電力変換ユニット11を制御して太陽光発電システム27及び商用系統30の少なくとも一方からの電力により車両50のバッテリ51を充電可能である。すなわち、制御部15により双方向電力変換ユニット11が制御され、双方向電力変換ユニット11により太陽光発電システム27及び商用系統30の少なくとも一方からの入力電力を電力変換してバッテリ51に出力することができる。
【0035】
なお、充放電装置10は、例えば単独運転防止機能を有しており、停電を検出すると、規定時間以内に開閉スイッチrl1を開いて、商用系統30から解列される。
【0036】
<電力システム1の動作>
図2から
図9を参照して、電力システム1の動作の一例を説明する。
図2は、一実施形態に係る電力システムの動作の一例を示す概念図である。
図3は、
図2に示すステータス(1)「系統連系運転中」に対応する電力システムの概略構成図である。
図4は、
図2に示すステータス(2)「停電発生」に対応する電力システムの概略構成図である。
図5は、
図2に示すステータス(3)「停電発生直後」に対応する電力システムの概略構成図である。
図6は、
図2に示すステータス(4)「切替SW1が「停電運転」に切り替わる」に対応する電力システムの概略構成図である。
図7は、
図2に示すステータス(5-1)「パワーコンディショナ20が電流源として動作」に対応する電力システムの概略構成図である。
図8は、
図2に示すステータス(5-2)「パワーコンディショナ20が解列される」に対応する電力システムの概略構成図である。
図9は、
図2に示すステータス(6)「復電」に対応する電力システムの概略構成図である。
【0037】
図2に示すように、電力システム1のステータス(1)~(6)の変化と、電力システム1の各構成、すなわち、開閉スイッチrl1~rl3、切替スイッチSW1,SW2、充放電装置10、及び、パワーコンディショナ20の動作とは、相関する。
【0038】
<<ステータス(1):系統連系運転中>>
図2及び
図3に示すように、電力システム1は、切替スイッチSW1においてポイントP1とP2とが接続され、「系統連系運転」で動作し、切替スイッチSW2においてポイントP5とP6とが接続され、「メンテナンス」運転で動作する。開閉スイッチrl1,rl3は閉じられ、開閉スイッチrl2は開けられている。これにより、「系統連系運転」中には、商用系統30からの電力が宅内負荷41に供給されるとともに、当該電力によって車両50のバッテリ51が充電される。さらに、車両50のバッテリ51からの放電電力が宅内負荷41に供給されることにより商用系統30からの電力が減少しピークシフトを行うことができる。また、太陽光発電システム27からの電力は、宅内負荷41に供給されるとともに、当該電力によって車両50のバッテリ51が充電されてもよい。
【0039】
<<ステータス(2):停電発生>>
図2及び
図4に示すように、パワーコンディショナ20において停電が検出されると、単独運転防止機能がはたらき開閉スイッチrl3が開き、また、充放電装置10において停電が検出されると、単独運転防止機能がはたらき開閉スイッチrl1が開く。電力システム1では、「系統連系運転」が停止される。つまり、パワーコンディショナ20及び充放電装置10からの電力の出力は、停止される。
【0040】
<<ステータス(3):停電発生直後>>
図2及び
図5に示すように、充放電装置10において開閉スイッチrl2が閉じられる。電力システム1においては、パワーコンディショナ20及び充放電装置10は停電用の電力供給源となるようにそれぞれ電圧源として動作する。
【0041】
<<ステータス(4):SW1が「停電運転」に切り替わる>>
図2及び
図6に示すように、電力システム1は、切替スイッチSW1においてポイントP1とP3とが接続され、「停電運転」での動作を開始する。後述する
図7に示すように、この停電運転モードでは、充放電装置10は商用系統30から切り離され宅内負荷41に電力を供給するとともに、太陽光発電システム27に対して電圧源として印加される。
【0042】
<<ステータス(5-1):パワーコンディショナ20が電流源として動作>>
図2及び
図7に示すように、充放電装置10の制御部15は、停電運転モードにおいて、充放電装置10を電圧源として動作させることにより、太陽光発電システム27が電流源として動作する。パワーコンディショナ20は、商用系統30が復電したものと解釈して再び電流源として動作し、開閉スイッチrl3を閉じる。これにより、パワーコンディショナ20(電流源)及び充放電装置10(電圧源)からの電力は、宅内負荷41に供給される。
【0043】
ここで、従来の電力供給システムにおいては、停電中において、パワーコンディショナは、電圧源として動作する。したがって、従来の電力供給システムにおいては、停電中において、パワーコンディショナの出力電圧に波形歪み、又は、ノイズが発生するような場合には、充放電装置を起動する際に充放電装置の単独運転防止機能を無効化する必要がある。
【0044】
これに対して、本実施形態における電力システム1では、停電運転モードにおいて、充放電装置10を電圧源として動作させることにより、太陽光発電システム27が電流源として動作する。よって、電力システム1は、停電中においても、単独運転防止機能を無効化することなく充放電装置10を運転可能である。
【0045】
また、従来のように、停電運転モードにおいて、太陽光発電システム27が電圧源として自立運転モードで宅内負荷に電力を供給する場合、太陽光発電システム27からは、例えば最大出力電力1.5kWまでしか使用できない。
【0046】
これに対して、本実施形態における電力システム1では、停電運転モードにおいても、太陽光発電システム27を電流源として動作させることによって、例えば最大出力電力が6.0kWまで増加可能である。なお、この際、電力システム1では、充放電装置10は電圧源として動作する。
【0047】
なお、太陽光発電システム27からの電力が宅内負荷41に加えて充放電装置10を介してバッテリ51に供給(充電)されてもよい。
【0048】
<<ステータス(5-2):パワーコンディショナ20が解列される>>
制御部15は、停電運転モードにおいて所定の条件を満たす場合に太陽光発電システム27が充放電装置10との接続を解除するようにAC側出力電圧(電圧源端子13)の周波数を制御する。所定の条件は、例えば、停電中において、太陽光発電システム27の電力が、負荷電力とバッテリ51への充電電力とを合算した電力よりも大きい場合を含む。なお、所定の条件は、上記した太陽光発電システム27の電力に関する条件以外の条件を含んでもよい。所定の条件は、固定でもよいし、適宜変更可能であってもよい。
【0049】
上記所定の条件を満たす場合、
図2及び
図8に示すように、制御部15は、パワーコンディショナ20において開閉スイッチrl3を開く。具体的には、制御部15は、充放電装置10のAC側出力電圧の周波数を高くすることによって、パワーコンディショナ20がOFR(系統過周波数)を検出して開閉スイッチrl3を開き、パワーコンディショナ20が自発的に切り離されるように制御する。これにより、制御部15は、充放電装置10のAC側出力電圧が上昇することを抑制でき、宅内負荷41に電力を供給し続けることが可能となる。その後、所定の条件が解除されると、充放電装置10はそのAC側出力電圧の周波数を元に戻す。その結果、電力システム1は、ステータス(5-1)に戻る。
【0050】
<<ステータス(6):復電>>
図2及び
図9に示すように、充放電装置10において商用系統30が復電すると、開閉スイッチrl2が開けられ、所定の時間後に開閉スイッチrl1が閉じられる。一方、太陽光発電システム27では開閉スイッチrl2が開いたことにより再び停電発生を認識しパワーコンディショナ20は開閉スイッチrl3を開くと共に規定時間後に電圧源として動作し電圧源端子23に交流電圧を出力する。
【0051】
その後、
図2に示すように、電力システム1は、切替スイッチSW1においてポイントP1とP2とが接続されると、商用系統30が太陽光発電システム27に供給されるのでパワーコンディショナ20は再び復電を認識し電圧源端子23からの交流電圧出力を停止すると共に、規定時間後に開閉スイッチrl3を閉じる(この時、電力変換ユニット21は電流源として動作し電流源端子22から太陽光パネル25で発生した電力を出力する)。その後、
図3に示す「ステータス(1):系統連系運転中」に戻り動作を継続してもよい。すなわち、「系統連系運転」中には、電力システム1において、商用系統30からの電力が宅内負荷41に供給されるとともに、当該電力によって車両50のバッテリ51が充電される。さらに、車両50のバッテリ51からの放電電力が宅内負荷41に供給されることにより商用系統30からの電力が減少しピークシフトを行うことができる。また、太陽光発電システム27からの電力は、宅内負荷41に供給されるとともに、当該電力によって車両50のバッテリ51が充電されてもよい。
【0052】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。また、本発明は、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の開示を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素は削除してもよい。さらに、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0053】
図10は、一実施形態に係る電力システムの他の一例を示す概略構成図である。
図10に示す電力システム1は、全量負荷システムである。全量負荷システムは、
図1及び
図3~
図9に示す特定負荷システムとは、例えば、宅内負荷41に加えて非常用負荷42が、切替スイッチSW2においてポイントP4とP6が接続される(「停電」運転)場合に、太陽光発電システム27から、交流電力の供給を受けることが可能である点で異なる。このように、本実施形態における電力システム1は、特定負荷システム又は全量負荷システムとして採用可能である。
【0054】
また、上記したとおり、本実施形態に係る電力システム1は、家庭又はオフィスビルへの給電(V2H:Vehicle to Home、又は、V2B:Vehicle to Building)が可能であり、かつ、商用系統への逆潮流が可能ではない電力システムとして採用可能であるが、これに限られない。本実施形態に係る電力システム1は、例えば、商用系統への逆潮流(V2G:Vehicle to Grid)が可能な電力システムとして採用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…電力システム、10…充放電装置、11…双方向電力変換ユニット、12…充放電端子、13,23…電圧源端子、15…制御部、16…充放電部、20…パワーコンディショナ、21…電力変換ユニット、22…電流源端子、25…太陽光パネル、27…太陽光発電システム、30…商用系統、40…住宅、41…宅内負荷、42…非常用負荷、50…車両、51…バッテリ、52…負荷
【要約】 (修正有)
【課題】停電中に単独運転防止機能を無効化することなく充放電装置の運転を可能にする充放電装置及び方法を提供する。
【解決手段】電力システム1において、太陽光発電システム及び商用系統から電力供給を受けることが可能な宅内負荷41と、バッテリ51を搭載した車両50との間に接続された充放電装置10は、充放電装置の運転モードを制御する制御部15と、太陽光発電システム27及び商用系統30の少なくとも一方から供給される電力に基づいてバッテリに電力を供給する充放電部と、バッテリからの電力を宅内負荷に供給する充放電端子と、を備える。運転モードは、商用系統から充放電装置が切り離され、太陽光発電システム及び充放電装置から宅内負荷に電力を供給可能な停電運転モードを含む。制御部は、停電運転モードにおいて、充放電装置を電圧源として動作させ電圧源端子から交流電圧を出力させることで、太陽光発電システムが電流源として動作する。
【選択図】
図1