(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】多孔体
(51)【国際特許分類】
C04B 38/00 20060101AFI20220729BHJP
C04B 35/80 20060101ALI20220729BHJP
C04B 38/02 20060101ALI20220729BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20220729BHJP
D04H 1/4209 20120101ALI20220729BHJP
D04H 1/587 20120101ALI20220729BHJP
【FI】
C04B38/00 301C
C04B35/80
C04B38/02 H
C09K3/10 N
C09K3/10 Q
C09K3/10 G
C09K3/10 E
D04H1/4209
D04H1/587
(21)【出願番号】P 2021519514
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(86)【国際出願番号】 JP2020027314
(87)【国際公開番号】W WO2020230907
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2019091499
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 ひかり
(72)【発明者】
【氏名】塚田 慧
(72)【発明者】
【氏名】村山 和貴
(72)【発明者】
【氏名】塚原 啓二
(72)【発明者】
【氏名】添田 一喜
(72)【発明者】
【氏名】藤木 洋成
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-174687(JP,A)
【文献】国際公開第2019/004153(WO,A1)
【文献】特開2008-162852(JP,A)
【文献】特開2018-119244(JP,A)
【文献】特開平01-172280(JP,A)
【文献】特開昭63-242978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 38/00
C04B 35/80
C04B 38/02
C09K 3/10
D04H 1/4209
D04H 1/587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機繊維と、有機バインダーとを含み、
前記無機繊維の平均繊維径が2.0μm以下であり、
前記無機繊維の含有量が90質量%以上であり、
前記有機バインダーの含有量が0.5質量%以上10質量%以下であり、
前記有機バインダーがエラストマーを含み、
かさ密度が30kg/m
3以下である、多孔体。
【請求項2】
カチオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の多孔体。
【請求項3】
前記無機繊維表面の、水溶液中におけるゼータ電位が-2mV~-100mVである、請求項2に記載の多孔体。
【請求項4】
前記有機バインダーの交点における付着率が10%以上である、請求項1~3のいずれかに記載の多孔体。
【請求項5】
前記無機繊維の平均繊維径が1.0μm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の多孔体。
【請求項6】
前記有機バインダーが、シリコーンエラストマー及びアクリルエラストマーからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~5のいずれかに記載の多孔体。
【請求項7】
前記有機バインダーがシリコーンエラストマーを含む、請求項1~5のいずれかに記載の多孔体。
【請求項8】
破断応力が2.5kPa以上である、請求項1~7のいずれかに記載の多孔体。
【請求項9】
見かけ弾性率が1.0kPa以上である、請求項1~8のいずれかに記載の多孔体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機繊維多孔体、並びに該多孔体を含む防音材、断熱材、吸音材及びシール材に関する。
【背景技術】
【0002】
無機繊維多孔体(発泡体)は、発泡ポリウレタンや発泡ポリエチレンに似た弾力性があり、軽量で断熱性及び吸音性にすぐれると共に不燃性であるため、航空機、ロケット、船舶、その他各種産業用機器等の高温部用断熱材に用いることができる。
この種の多孔体の製造に用いる無機繊維としては、石綿繊維が最も適している一方、近年、環境衛生上の理由から石綿繊維の使用が困難になったため、石綿繊維以外の無機繊維を用いた多孔体が開発されている。
例えば、特許文献1には、表面を荷電させた無機繊維を、逆符号の親水基を有する界面活性剤を用いて発泡させて発泡体を得ることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
無機繊維多孔体の特長に軽量性及び柔軟性が挙げられるが、一方で破損しやすいため、取り扱いには注意が必要であった。そのため、無機繊維多孔体では強度を向上し、施工時における破損を抑制することが要求されている。本発明の課題は、強度に優れる多孔体を提供することである。
【0005】
本発明によれば、以下の多孔体等が提供される。
1.無機繊維と、有機バインダーとを含み、前記無機繊維の含有量が90質量%以上である、多孔体。
2.前記有機バインダーの含有量が0.5質量%以上10質量%以下である、1に記載の多孔体。
3.前記有機バインダーが、エラストマーを含む、1又は2に記載の多孔体。
4.前記有機バインダーが、シリコーンエラストマー及びアクリルエラストマーからなる群より選ばれる1種以上である、1~3のいずれかに記載の多孔体。
5.前記有機バインダーがシリコーンエラストマーを含む、1~4のいずれかに記載の多孔体。
6.界面活性剤を含む、1~5のいずれかに記載の多孔体。
7.かさ密度が30kg/m3以下である、1~6のいずれかに記載の多孔体。
8.破断応力が2.5kPa以上である、1~7のいずれかに記載の多孔体。
9.前記有機バインダーによる結合箇所の単位面積当たりの数が8以上である、1~8のいずれかに記載の多孔体。
10.1~9のいずれかに記載の多孔体を含む、防音材。
11.項1~9のいずれかに記載の多孔体を含む、断熱材。
12.1~9のいずれかに記載の多孔体を含む、吸音材。
13.1~9のいずれかに記載の多孔体を含む、シール材。
【0006】
一実施形態によれば、下記の多孔体が好適である。
無機繊維と、有機バインダーとを含み、
前記無機繊維の平均繊維径が2.0μm以下であり、
前記無機繊維の含有量が90質量%以上であり、
前記有機バインダーの含有量が0.5質量%以上10質量%以下であり、
前記有機バインダーがエラストマーを含み、
かさ密度が30kg/m3以下である、多孔体。
【0007】
本発明によれば、強度に優れる多孔体が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施例1の多孔体内部の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る多孔体について説明する。尚、以下に記載する特性は、特記されていない限り常温(23℃)での特性である。
一実施形態に係る多孔体は、無機繊維と、有機バインダーとを含む多孔体であって、無機繊維の含有量が90質量%以上である。本実施形態では、比較的少量の有機バインダーを配合することにより、無機繊維同士の交点における結合を補強している。これにより、軽量性及び不燃性を損なわずに、無機繊維が構成する多孔(スポンジ)構造の、変形に対する耐性が向上するものと推定している。その結果、本実施形態の多孔体は、強度に優れ、また、施工時における多孔体の破損を防止できるため、多孔体によってもたらされる機能(断熱性等)を好適に発揮することができる。
また、多孔体は、変形状態あるいは圧縮状態から形状を復元する性質に優れる(ひずみが小さい)効果を発揮できる。さらに、多孔体は、変形に伴う亀裂の発生を防止する性質に優れる効果を発揮できる。
一実施形態では、多孔体全体に対する無機繊維の含有量は95質量%超であり、96質量%以上、97質量%以上又は98質量%以上であってもよい。
【0010】
一実施形態では、多孔体の破断応力(平均最大応力)は2.5kPa以上であり、より好ましくは5.0kPa以上であり、高い強度を有する。上限は規定しないが、例えば、50kPa以下であり得、また、20kPa以下であり得る。破断応力はJIS K6251:2010に準拠して測定する。
【0011】
一実施形態では、多孔体を切断した直後の切断面の表面電位は1KV以下であることが好ましく、0.8KV以下であることがより好ましく、0.7KV以下であることがさらに好ましい。切断面の表面電位が低いことは、多孔体が帯電し難く、除電性に優れていることを意味する。表面電位の下限は、例えば、0.1KV以上であり得る。表面電位は実施例に記載の方法で測定する。
【0012】
一実施形態では、有機バインダーの交点における付着率が7%以上である。好ましくは10%以上であり、特に好ましくは15%以上である。付着率が高いほど、強度が高くなる傾向がある。付着率の上限は、例えば、80%、60%又は55%であり得る。付着率は実施例に記載の方法で測定する。
【0013】
一実施形態では、見かけ弾性率(ヤング率)が1.0kPa以上である。見かけ弾性率(ヤング率)は1.2kPa以上が好ましく、特に1.4kPa以上が好ましい。見かけ弾性率の上限は、例えば、10kPa、又は5kPaであり得る。
一実施形態では、多孔体の常温における圧縮率80%で圧縮した際の圧縮応力が20kPa以下である。上記圧縮応力は15kPa以下が好ましく、特に14kPa以下が好ましい。上記圧縮応力の下限は、例えば、1kPa、又は5kPaであり得る。
一実施形態では、多孔体の常温で圧縮率80%で圧縮した際の復元率が70%以上、80%以上、又は90%以上である。
以下、本実施形態の多孔体を構成する部材及び製造方法について説明する。
【0014】
(無機繊維)
多孔体に含まれる無機繊維は格別限定されず、例えば、セラミック繊維、生体溶解性繊維(アルカリアースシリケート繊維、ロックウール等)及びガラス繊維から選択される1以上を用いることができる。尚、一実施形態において、多孔体は、石綿繊維を含まない。
【0015】
生体溶解性無機繊維は、例えば、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上の無機繊維である。
生理食塩水溶解率は、例えば、次のようにして測定される。すなわち、先ず、無機繊維を200メッシュ以下に粉砕して調製された試料1g及び生理食塩水150mLを三角フラスコ(容積300mL)に入れ、40℃のインキュベーターに設置する。次に、三角フラスコに、毎分120回転の水平振動を50時間継続して加える。その後、ろ過により得られた濾液に含有されている各元素(主要元素でよい)ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na )、カリウム(K)及びアルミニウム(Al)の濃度(mg/L)をICP発光分析装置により測定する。そして、測定された各元素の濃度と、溶解前の無機繊維における各元素の含有量(質量%)と、に基づいて、生理食塩水溶解率(%)を算出する。すなわち、例えば、測定元素が、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びアルミニウム(Al)である場合には、次の式により、生理食塩水溶解率C(%)を算出する;C(%)=[ろ液量(L)×(a1+a2+a3+a4)×100]/[溶解前の無機繊維の質量(mg)×(b1+b2+b3+b4)/100]。この式において、a1、a2、a3及びa4は、それぞれ測定されたケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの濃度(mg/L)であり、b1、b2、b3及びb4は、それぞれ溶解前の無機繊維におけるケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの含有量(質量%)である。
【0016】
生体溶解性繊維は例えば以下の組成を有する。
SiO2とZrO2とAl2O3とTiO2の合計 50質量%~82質量%
アルカリ金属酸化物とアルカリ土類金属酸化物との合計 18質量%~50質量%
【0017】
また、生体溶解性繊維は例えば以下の組成を有して構成されることも可能である。
SiO2 50~82質量%
CaOとMgOとの合計 10~43質量%
【0018】
無機繊維の平均繊維径は格別限定されないが小さい方が好ましい。繊維径が小さいと、後述する発泡工程において、気泡表面積あたりの付着する繊維本数が多く、気泡の安定性が向上する。その結果、発泡性が良好となり、低いかさ密度の多孔体が得られやすい。また、引張り強度、圧縮復元性特性等の機械的特性が優れる多孔体が得られやすい。
一実施形態において、無機繊維の平均繊維径は、例えば、0.08μm~4.0μm、0.1μm~2.0μm、又は0.2μm~1.0μmであり得る。
本願において、平均繊維径はランダムに選択した繊維100本以上について測定した繊維径の平均を意味する。測定方法は実施例に記載する。
【0019】
多孔体がカチオン性界面活性剤を含む場合、一実施形態において、無機繊維(例えば、ガラス繊維)の表面の、水溶液中におけるゼータ電位が-2mV~-100mVである。これにより、かさ密度がより低いにもかかわらず、強度を有する多孔体が得られやすい。上記ゼータ電位が-5mV~-80mVであることが好ましく、特に-7mV~-60mVであることが好ましい。
無機繊維の、水溶液中における表面のゼータ電位は、アンモニアによりpHを10に調整した水中に繊維を分散させ、水温を20℃程度(室温)、繊維濃度を0.5質量%とした状態で、繊維の汎用ゼータ電位計(例えばModelFPA、AFG Analytik社製)を用いて測定することで得られる。
【0020】
(有機バインダー)
多孔体が有機バインダーとしてエラストマーを含むことによって、強度、変形状態又は圧縮状態から形状を復元する性質、及び変形に伴う亀裂の発生を防止する性質がさらに向上する。
【0021】
一実施形態において、エラストマーはエラストマーポリマーを含む。例えば多孔体は、天然エラストマー、ウレタンエラストマー、スチレンブタジエンエラストマー、アクリルニトリルエラストマー、クロロプレンエラストマー、ブチルエラストマー、クロロスルホン化ポリエチレンエラストマー、エピクロロヒドリンエラストマー、エチレンプロピレンエラストマー、アクリルエラストマー及びシリコーンエラストマーからなる群より選ばれる1種以上を含む。
【0022】
耐熱性の観点から、多孔体は、アクリルニトリルエラストマー(耐熱温度110℃)、クロロプレンエラストマー(耐熱温度110℃)、ブチルエラストマー(耐熱温度120℃)、クロロスルホン化ポリエチレンエラストマー(耐熱温度120℃)、エピクロロヒドリンエラストマー(耐熱温度120℃)、エチレンプロピレンエラストマー(耐熱温度130℃)、アクリルエラストマー(耐熱温度140℃)、シリコーンエラストマー(耐熱温度220℃)及びフッ素エラストマー(耐熱温度250℃)からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。なかでも、シリコーンエラストマー及び/又はアクリルエラストマーが好ましく、さらにシリコーンエラストマーが好ましい。尚、上記耐熱温度はゴム工業便覧第4版に記載の耐熱温度である。
【0023】
一実施形態において、多孔体はフッ素エラストマーを含まない。フッ素エラストマーは高温で分解し、フッ化水素等の有害ガスを発生するおそれがある。
【0024】
一実施形態において、多孔体における有機バインダーの含有量は、0.5質量%以上10質量%以下である。
多孔体における有機バインダーの含有量は、例えば、1質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、2.5質量%以上、3質量%以上、3.5質量%以上、4質量%以上、又は4.5質量%以上であり得る。また、一実施形態において、多孔体における有機バインダーの含有量は、例えば、9.5質量%以下、9質量%以下、8.5質量%以下、8質量%以下、7.5質量%以下、7質量%以下、6.5質量%以下、6質量%以下、5.5質量%以下又は5.0質量%以下であり得る。
【0025】
一実施形態においては、多孔体に有機バインダーを含有させるために、多孔体の製造時に、無機繊維及び有機バインダーを含む組成物(多孔体原料)に対して、有機バインダーを消失させる処理を施さない。有機バインダーを消失させる処理とは、例えば、200℃以上、250℃以上、350℃以上、400℃以上、又は450℃以上のような高温下での熱処理等が挙げられる。そのような熱処理を回避することによって、多孔体に有機バインダーを好適に含有させることができる。
【0026】
(界面活性剤)
一実施形態において、多孔体は、界面活性剤を含む。
界面活性剤は格別限定されず、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が挙げられる。また、必要に応じて非イオン性界面活性剤や両性界面活性剤を含むことができる。
一実施形態では、界面活性剤はカチオン性界面活性剤である。例えば無機繊維にガラス繊維を用いた場合、ガラス繊維は等電点のpHが3以下であり、広範囲においてゼータ電位がマイナスとなるため、静電気的にカチオン性界面活性剤が繊維表面へ吸着し、かさ密度がより低い多孔体が得られやすい。
【0027】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩型、アミン塩型が挙げられる。第4級アンモニウム塩型としては、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルトリメチルブロミド等が挙げられる。具体的には、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0028】
多孔体が界面活性剤を含む場合、多孔体における界面活性剤の含有量は格別限定されず、例えば、2質量%以下、0.001質量%~1.5質量%、0.01質量%~1質量%、又は0.1質量%~0.5質量%であり得る。
多孔体の製造時において、上述した有機バインダーを消失させる処理、具体的には高温下での熱処理を回避することによって、組成物(多孔体原料)に添加された界面活性剤は、多孔体中に保持される。
【0029】
(カップリング剤)
一実施形態において、多孔体は、カップリング剤を含んでもよいし、カップリング剤を含まなくてもよい。カップリング剤として、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤としてメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
多孔体がカップリング剤を含む場合、カップリング剤の含有量は格別限定されず、例えば、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.3質量%以下、0.1質量%以下、又は0.05質量%以下であり得る。
一実施形態において、多孔体は、カップリング剤の含有量が小さいほど、あるいはカップリング剤を含まないことによって、強度、変形状態あるいは圧縮状態から形状を復元する性質、及び変形に伴う亀裂の発生を防止する性質がさらに向上する。
【0030】
一実施形態において、多孔体は、後述の方法で気泡を形成する。そのため、多孔体は、気泡形成を助長するためのフッ素雲母や、アラビアゴムを含まないで構成され得る。尚、異なる実施形態として、多孔体はフッ素雲母やアラビアゴムを含んで構成されることも可能である。
【0031】
一実施形態において、多孔体のかさ密度(常温、圧縮率0%)は格別限定されず、例えば、1~130kg/m3、2~120kg/m3、3~100kg/m3、4~90kg/m3、5~80kg/m3、又は5~50kg/m3であり得る。一実施形態では、30kg/m3以下、25kg/m3以下、23kg/m3以下又は20kg/m3以下のような、特に低密度な多孔体が得られる。
【0032】
(製造方法)
一実施形態の多孔体は、例えば、無機繊維分散液を作製する作製工程と、無機繊維分散液を発泡させる発泡工程と、発泡体(多孔体)を乾燥する脱水工程(分散媒の除去工程)とを含む製造方法により得られる(第一の製造方法)。
【0033】
前記作製工程の一態様は、水中で無機繊維の表面を負又は正に荷電させる荷電ステップと、界面活性剤添加ステップと、有機バインダー添加ステップとを含む。
【0034】
前記荷電ステップでは、アルカリ性又は酸性の処理液を用いてpH調整することにより、無機繊維の表面のゼータ電位を制御することができる。具体的には、無機繊維の表面のゼータ電位をマイナス又はプラスとすることができる。処理液は、水に溶解してpHを変化させることができるものであればよく、例えば、無機化合物の酸又は塩基、有機化合物の酸又は塩基を用いることができる。
【0035】
前記界面活性剤添加ステップでは、無機繊維を含む水に、界面活性剤を添加することができる。先の荷電ステップにおいて無機繊維の表面を負に荷電させたときは、カチオン性界面活性剤を、又は、無機繊維の表面を正に荷電させたときは、アニオン性界面活性剤を添加することが好ましい。すなわち、界面活性剤添加ステップでは、好ましくは、前記荷電した無機繊維に対し、逆符号の親水基を有する界面活性剤を添加し、界面活性剤の親水基側を無機繊維の表面に吸着させて疎水基側を無機繊維の表面と反対側に配置させることで無機繊維(最外面)を疎水化することができる。このように界面活性剤を無機繊維の表面に吸着させて無機繊維表面を疎水化した状態において、後述の発泡工程によって空気を導入して発泡させると、無機繊維表面の疎水基側に泡の形成が助長されて良好に発泡した多孔体を得ることができる。換言すれば、無機繊維表面のゼータ電位を制御することで、無機繊維に界面活性剤を相互作用させて繊維を疎水化させ、無機繊維の周りに泡を係止(付着)し易くして発泡させた多孔体(スポンジ構造)を形成する。一実施形態において、無機繊維の表面のゼータ電位は、0でない値を示すこと、例えば-2mV~-100mV、-5~-80mV、-7mV~-60mV、-10mV~-45mV、+2mV~+100mV、+5~+80mV、7mV~+60mV、又は、+10mV~+45mVとする。繊維の種類により、所定のゼータ電位にするためのpHは異なるため、pHを一義的に特定することはできないが、pHは、例えばpH7.5~13で負に荷電し、pH2~6で正に荷電させ得る。尚、ゼータ電位は、所定のpHに調整した水系の分散媒中に繊維を分散させ、繊維の汎用ゼータ電位計(例えばModelFPA、AFG Analytik社製)を用いて測定することで得られる。
【0036】
前記有機バインダー添加ステップでは、無機繊維を含む水に、有機バインダーを添加することができる。有機バインダーは、例えば樹脂エマルジョン等の形態で添加することができる。そのような樹脂エマルジョンは、ポリマーと、該ポリマーを架橋するための架橋剤を含むことができる。一実施形態において、架橋剤は、例えば後段の脱水工程に伴って、ポリマーを架橋するように作用する。
【0037】
以上に説明した作製工程において、界面活性剤添加ステップは、荷電ステップと同時か、荷電ステップの後に実施することができる。荷電ステップと界面活性剤添加ステップとを同時に実施する場合、処理液、無機繊維及び界面活性剤を一緒に混ぜることができる。荷電ステップの後に界面活性剤添加ステップを実施する場合、無機繊維を、予め処理液で開繊、分散して荷電し、その後、界面活性剤と混ぜることができる。
また、有機バインダー添加ステップは、荷電ステップと同時か、荷電ステップの後に実施することができる。さらに、有機バインダー添加ステップは、界面活性剤添加ステップの前若しくは後、又は界面活性剤添加ステップと同時に実施することができる。
【0038】
尚、前記作製工程の他の態様としては、界面活性剤を用いることなく、両親媒性物質、疎水性の官能基を有するシランカップリング剤、疎水性の官能基を有するチタンカップリング剤等による表面処理によって少なくとも表面を疎水化した無機繊維を分散液(分散媒)に入れて作製することも可能である。尚、この工程のカップリング剤は多孔体を形成するために疎水化の状態にするためのものである。後のカップリング剤付与工程で用いるカップリング剤は多孔体の形態が水に濡れることにより崩壊することを防止するためのものである。
【0039】
分散液における界面活性剤の量は無機繊維より適宜調整できるが、例えば、ガラス繊維100質量部に対し、界面活性剤を0.01~1質量部としてよい。前記界面活性剤は、好ましくは0.1~0.8質量部、より好ましくは0.2~0.7質量部とすることができる。
【0040】
前記発泡工程では、無機繊維が分散された分散液に気泡供給装置から空気(気泡)を供給して発泡させる。尚、気泡供給装置を用いることなく、撹拌によって無機繊維分散液に空気(気泡)を供給して発泡させてもよい。かかる気泡供給装置や撹拌によって、気泡倍率、気泡量、気泡径を調整できる。その結果、得られる多孔体の密度を制御できる。
【0041】
前記脱水工程では、発泡体(多孔体)を所定時間、常温又は常温外の所定温度下で分散液に含まれていた分散媒を乾燥(自然乾燥を含む)することによって脱水する。有機バインダーを好適に保持する観点で、乾燥温度は、例えば200℃以下、150℃以下、100℃以下、又は90℃以下であり得る。
【0042】
一実施形態において、多孔体の製造方法は、上述した乾燥後の多孔体にカップリング剤を付与するカップリング剤付与工程をさらに含むことができる。前記カップリング剤付与工程では、多孔体と、カップリング剤と水蒸気を反応させて付与する。具体的には、カップリング剤を加熱して発生した蒸気を多孔体に付着させて、水蒸気と反応させる。水蒸気で処理することにより、カップリング剤が加水分解、脱水縮合されて、多孔体に付着する。例えば、閉鎖容器(外から容器内に気体は混入しないが、内部の加熱による圧力の上昇が可能な程度の密閉容器)内で多孔体とカップリング剤蒸気を接触させる。接触後、閉鎖容器に水を入れて水蒸気を発生させてカップリング剤と反応させる。尚、カップリング剤を多く付与させるときは、前記の処理に代えて又は前記の処理に加えて、多孔体にカップリング剤を直接含浸させて加熱してもよい。その後水蒸気と接触させる。また、さらにカップリング剤を多く付与させるときは、前記の処理に加えて、事前にカップリング剤と水を混合して調整した加水分解液を直接含浸させて、加熱してもよい。
有機バインダーによる効果を顕著に発揮する観点で、カップリング剤付与工程は省略することも好ましいことである。
【0043】
第一の製造方法の他に、多孔体は、例えば、無機繊維分散液を作製する作製工程(有機バインダー添加ステップを除く)と、無機繊維分散液を発泡させる発泡工程と、発泡体(多孔体)を乾燥する脱水工程(分散媒の除去工程)と、乾燥後の発泡体(多孔体)を焼成する工程と、焼成物に有機バインダーを添加する工程と、を含む製造方法により得られる(第二の製造方法)。
第二の製造方法の焼成工程の前の工程は、有機バインダー添加ステップを実施しない他は、第一の製造方法の脱水工程までと同様である。
焼成工程では、乾燥後の発泡体を高温度(例えば450℃)で焼成し、界面活性剤を除去する。尚、焼成工程は、前記脱水工程と同時に実施することが可能である。
有機バインダー添加工程では、焼成して得られた焼成物に、有機バインダーを塗布、噴霧等の方法により、有機バインダーを添加する。
有機バインダーの乾燥工程では、必要に応じて加熱等を行って、塗布した有機バインダー含有物に含まれる分散媒である水や有機溶媒を乾燥除去する。架橋性の有機バインダーを用いている場合には、例えば上記乾燥工程や別途設けることができる熱処理等の架橋工程によって、該有機バインダーを架橋することができる。
【0044】
一実施形態の多孔体は、無機繊維、界面活性剤及び有機バインダー、又は無機繊維及び有機バインダーから本質的になってもよく、これらのみからなってもよい。ここで本質的になるとは95質量%以上、98質量%以上又は99質量%以上がこれらからなることをいう。
【0045】
(用途)
多孔体の用途は格別限定されず、例えば、防音材、断熱材、吸音材又はシール材、として好適に用いることができる。かかる防音材、断熱材、吸音材又はシール材は、以上に説明した多孔体を含む。これにより、防音材、断熱材、吸音材又はシール材は、強度に優れ、施工時における多孔体の破損を防止でき、多孔体によってもたらされる機能を好適に発揮することができる。
防音材としては、例えば、輸送機器分野として、鉄道車両用防音材、自動車用防音材、航空機用防音材、船舶用防音材、建築分野として、住宅等の壁・天井用防音材、ダクト用防音材、高速道路や鉄道車両の防音壁用防音材、ガス給湯器用防音材等が挙げられる。
断熱材としては、例えば、輸送機器分野として、鉄道車両用断熱材、自動車用断熱材、航空機用断熱材、船舶用断熱材、建築分野として、住宅等の壁・天井用断熱材及び目地材、一般産業分野として、工業炉用断熱材、配管用断熱材、ダクト用断熱材等が挙げられる。
シール材としては、例えば、ガス給湯器用シール材、及び、各種産業用排気ガス用シール材、エレベータの防火・防煙用シール材等が挙げられる。
【実施例】
【0046】
以下、具体的な実施例を示すが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0047】
実施例1~10
マイクロガラス繊維(ユニフラックス社製、C-04-F、平均繊維径0.25μm(カタログ値0.53μm))を、pH10のアンモニア水に濃度0.5質量%となるように分散させて繊維表面のゼータ電位を-55mVに調整して処理した。
次に、上記の試料に、有機バインダーとしてシリコーンエマルジョン(商品名;POLON-MF-56、信越化学工業株式会社製)又はアクリルエマルジョン(商品名;Nipol LX874、日本ゼオン株式会社製)と、カチオン性界面活性剤(セチルトリメチルアンモニウムクロリド(商品名;コータミン60W、花王株式会社製))とを添加した。有機バインダーは表1に示す配合量で添加した。界面活性剤は繊維100質量部に対して0.77~0.91質量部の割合で添加した。尚、表1に示す有機バインダーの配合量は、固形物換算値である。
次に、試料を撹拌混合した。このとき空気を取り込み、試料を発泡させた。
得られた湿潤多孔体(発泡体)を80℃のオーブン内で8時間乾燥し、多孔体を得た。尚、乾燥に伴い、シリコーンエマルジョン由来成分(固形分)は架橋されてシリコーンエラストマーになり、アクリルエマルジョン由来成分(固形分)は架橋されてアクリルエラストマーになった。
【0048】
尚、無機繊維の平均繊維径は下記方法により求めた。
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM-7600)を用いて、1視野あたりの繊維数が5~30本程度となる倍率で撮影した。尚、倍率は、例えば、平均繊維径0.2μm程度であれば5000倍、平均繊維径1.0μm程度であれば3000倍、平均繊維径2.0μmであれば1000倍のように適宜設定する。
得られた画像を画像解析ソフトImageJにて、画像中のスケールバーを基準長さとして、繊維の端部間の距離を計測した。
100本以上の繊維について繊維径を計測し、得られた計測値の算術平均値を平均繊維径とした。
【0049】
実施例11
ガラス繊維(ユニフラックス社製、C-18-R、平均繊維径0.89μm(カタログ値1.8μm)、以下、ガラス繊維Aという。)を使用した他は、実施例4と同様にして多孔体を製造した。
【0050】
実施例及び後述する比較例において得られた多孔体について、以下の評価をした。
【0051】
(1)かさ密度
多孔体の質量を、寸法計測装置(例えばノギス)を用いて計測された多孔体の見掛け体積(例えば縦、横及び高さの寸法の積)で除算して算出した。
【0052】
(2)破断応力及びひずみ量
多孔体からダンベル形状のサンプルを切断し、JIS K6251:2010に準拠して、破断応力及び破断ひずみを測定した。少なくとも3回の測定を行い、破断応力及び破断ひずみについて、それぞれ平均値、最大値、最小値及び標準偏差を求め、平均最大応力の値を破断応力と、平均最大ひずみの値を破断ひずみとした。
【0053】
(3)巻きつけ試験
多孔体から厚さ10mmのサンプルを切断した。管径(外径)200mmの円筒面上にサンプルを置き、サンプルを円筒面に沿うように変形させた。変形後のサンプルの外観を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
[評価基準]
〇:亀裂等の外観変化なし(例として
図1(A))
△:表面にわずかに亀裂が発生しているが実用上、問題ない
×:表面に顕著に亀裂が発生(例として
図1(B))
【0054】
(4)見かけ弾性率
上記(2)で測定した破断応力(最大応力)と破断応力を示した際の破断ひずみとの比に基づき見かけ弾性率を算出した。
【0055】
(5)圧縮特性
(a)復元率
上記のかさ密度と同じようにサンプルの寸法を計測した。このサンプルの厚さを100%として圧縮率を設定(80%)して、材料試験機(オートグラフ、島津製作所)を用いて所定厚さまで圧縮(2mm/min)した。試験終了後のサンプルの厚さを計測し、以下の式から復元率を算出した。
復元率(%)=圧縮試験後の厚さ÷試験前の厚さ×100
(b)圧縮応力
以下の式に示すように、試験時のサンプル圧縮時の荷重値を上記サンプル寸法計測により求めた面積(縦寸法と横寸法)で除算して算出した。圧縮時の荷重は、上記のかさ密度と同じようにサンプルの寸法を計測し、このサンプルの厚さを100%として圧縮率を設定(80%)して、材料試験機(オートグラフ、島津製作所)を用いて所定厚さまで圧縮(2mm/min)した際の加重値とした。
圧縮応力Pa(N/m2)=測定荷重(N)÷サンプル面積(m2)
【0056】
(6)結合状態の評価
走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、多孔体の内部においてバインダーが繊維間の結合に寄与している状態を評価した。具体的に、多孔体の内部から1mm角の試料を4点採取し、各試料について、任意に9.0μm×12.0μmの範囲で2~3箇所SEM観察し、合計10箇所観察した。10箇所(視野)において、繊維が交差している箇所(交点)の全数Aに対し、バインダーが付着している交点Bの比率(B×100/A)を付着率とした。尚、一例として、実施例1の多孔体内部の走査型電子顕微鏡写真を
図2に示す。バインダーが付着している交点を〇で示す。
【0057】
(7)除電性
多孔体の切断前後における表面電位を評価することにより、除電性を評価した。具体的に、100mm角で厚さ10mmの試料を、厚さが1mmと9mmとなるように、食品用のスライサー(solida4、ritter社製)を用いて、約10mm/minの速度にて面方向に切断した。切断前と、切断直後の2つの切断面の表面電位を静電電位測定器(シシド静電気株式会社製、STATIRON DZ4 音叉式)で測定した。測定距離は30mmとした。2つの切断面の表面電位のうち、絶対値の大きい方の値を切断後の表面電位とした。
以上の結果を表1及び2に示す。
【0058】
【0059】
【0060】
表中、「質量%」の残分は界面活性剤である。
*1:「+」はカチオン性界面活性剤を使用したことを意味し、「-」はアニオン性界面活性剤を使用したことを意味する。
【0061】
比較例1、2
実施例1と同じマイクロガラス繊維(平均繊維径0.25μm)を、pH10のアンモニア水に濃度0.5質量%となるように分散させて繊維表面のゼータ電位を-55mvに調整して処理した。
次に、上記の試料に、カチオン性界面活性剤(セチルトリメチルアンモニウムクロリド(商品名;コータミン60W、花王株式会社製))を添加した。界面活性剤は繊維100質量部に対して0.91質量部の割合で添加した。
次に、試料を撹拌混合した。このとき空気を取り込み、試料を発泡させた。
得られた湿潤多孔体を乾燥させ、電気炉を用いて450℃にて1時間処理し、多孔体に付着している界面活性剤を除去した。次に、カップリング剤を付与した。カップリング剤はメチルトリエトキシシラン(商品名;KBE-13、信越化学工業株式会社製)を用いた。メチルトリエトキシシランと水を混合し、2時間撹拌し、加水分解反応を完了させた。発泡体100質量部に対して、この加水分解液中の固形物の質量が、1質量部又は5質量部となるように直接塗布した。塗布後の湿潤多孔体を105℃にて12時間乾燥処理し、多孔体を得た。
得られた多孔体におけるカップリング剤の含有量は、カップリング剤による処理前後の多孔体の重量変化から算出した。
【0062】
比較例3
ガラス繊維A(平均繊維径0.89μm)を使用した他は、比較例2と同様にして多孔体を製造した。
【0063】
比較例4
界面活性剤として、アニオン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ソフト型、東京化成工業株式会社製)を使用し、繊維100質量部に対して0.91質量部の割合で添加した他は、実施例4と同様にして多孔体の製造を試みた。その結果、かさ密度は76kg/m3であり、超低密度な多孔体は得られなかった。
【0064】
比較例5
界面活性剤として、比較例4と同じアニオン性界面活性剤を使用し、ガラス繊維A(平均繊維径0.89μm)を使用した他は、実施例4と同様にして多孔体を製造した。その結果、かさ密度は34.8kg/m3であり、超低密度な多孔体は得られなかった。
【0065】
比較例6
界面活性剤として、比較例4と同じアニオン性界面活性剤を使用し、ガラス繊維(ユニフラックス社製、C-50-R、平均繊維径2.1μm(カタログ値4.1μm)、以下、ガラス繊維Bという。)を使用した他は、実施例4と同様にして多孔体を製造した。その結果、かさ密度が低い多孔体は得られたものの、破断応力等が低くなった。
【0066】
比較例7
ガラス繊維B(平均繊維径2.1μm)を使用した他は、実施例4と同様にして多孔体を製造した。その結果、かさ密度が低い多孔体は得られたものの、破断応力等が低くなった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の多孔体は、例えば防音材、断熱材、吸音材、シール材として使用できる。
【0068】
上記に本発明の実施形態及び/又は実施例を幾つか詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施形態及び/又は実施例に多くの変更を加えることが容易である。従って、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
この明細書に記載の文献、及び本願のパリ条約による優先権の基礎となる出願の内容を全て援用する。