(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】ゴルフ練習具
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
A63B69/36 521A
(21)【出願番号】P 2018006885
(22)【出願日】2018-01-19
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】522130162
【氏名又は名称】秋葉 由大
(73)【特許権者】
【識別番号】518021263
【氏名又は名称】鈴木 千夏
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将吾
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 千夏
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-024353(JP,A)
【文献】特開2003-129593(JP,A)
【文献】特開2005-120614(JP,A)
【文献】実開平07-037249(JP,U)
【文献】実開昭54-075875(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0308423(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01323454(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤーが打撃したゴルフボールの飛翔を一定の範囲内に制限するゴルフ練習具であって、
衝撃吸収ボードを、前記ゴルフボールの打撃方向を囲むように複数配置するとともに、
前記衝撃吸収ボードの下側の隅を、スタンドで起立保持して連結し、
前記衝撃吸収ボードの上側の隅を、キャップで保持して連結し、
前記衝撃吸収ボードを、ゴルフボールが当たったときの衝撃を吸収する衝撃吸収材を、起立板の表面に積層して貼り付けた構造としたことを特徴とするゴルフ練習具。
【請求項2】
プレーヤーが右利きの場合は、プレーヤーの左側における衝撃吸収ボードの設置枚数を少なくし、プレーヤーが左利きの場合は、プレーヤーの右側における衝撃吸収ボードの設置枚数を少なくしたことを特徴とする請求項1記載のゴルフ練習具。
【請求項3】
前記スタンドが、前記衝撃吸収ボードを着脱自在に挟み込む一対の挟持片を備えており、
前記キャップが、前記衝撃吸収ボードを着脱自在に挟み込む開口を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のゴルフ練習具。
【請求項4】
前記衝撃吸収ボードによって囲まれた領域内に
、床面を傷つけないためのマットを敷設したことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のゴルフ練習具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレーヤーが打撃したゴルフボールの飛翔を一定の範囲内に制限するゴルフ練習具に関し、例えば室内におけるアプローチやストロークなどの練習に好適なゴルフ練習具の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフ練習具としては、例えば、下記特許文献1記載の「室内用ゴルフ練習装置」がある。これは、打撃をした際に、ゴルフボ-ルが天井,壁,窓などに当る危険性を防ぐことを目的としたもので、打球受けネット本体,ボ-ル収納受け皿,打球遮断ネットカーテン,打球台を順に配置するとともに、前記打球受けネット本体を金属製支持枠とネットにより構成したもので、ボールの補足・消音がネットによって行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した背景技術では、装置全体が大変大掛かりで、設置に手間がかかる。ゴルフの練習といっても様々であり、簡単に設置して、簡単に片づけることができるものがあると好都合である。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、ゴルフボールの衝撃を良好に吸収するとともに、簡単に組み立てたり、片づけたりすることができ、室内や屋内でも十分な練習を行うことができるゴルフ練習具を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プレーヤーが打撃したゴルフボールの飛翔を一定の範囲内に制限するゴルフ練習具であって、衝撃吸収ボードを、前記ゴルフボールの打撃方向を囲むように複数配置するとともに、前記衝撃吸収ボードの下側の隅を、スタンドで起立保持して連結し、前記衝撃吸収ボードの上側の隅を、キャップで保持して連結し、前記衝撃吸収ボードを、ゴルフボールが当たったときの衝撃を吸収する衝撃吸収材を、起立板の表面に積層して貼り付けた構造としたことを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つによれば、プレーヤーが右利きの場合は、プレーヤーの左側における衝撃吸収ボードの設置枚数を少なくし、プレーヤーが左利きの場合は、プレーヤーの右側における衝撃吸収ボードの設置枚数を少なくしたことを特徴とする。他の形態によれば、前記スタンドが、前記衝撃吸収ボードを着脱自在に挟み込む一対の挟持片を備えており、前記キャップが、前記衝撃吸収ボードを着脱自在に挟み込む開口を備えていることを特徴とする。更に他の形態によれば、前記衝撃吸収ボードによって囲まれた領域内に、床面を傷つけないためのマットを敷設したことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ゴルフボールが当たったときの衝撃を吸収する衝撃吸収材を、起立板の表面に積層して貼り付けた構造の衝撃吸収ボードを、スタンド及びキャップによって、ゴルフボールの打撃方向を囲むように複数配置して連結する構造としたので、強い衝撃吸収力を有する材料を使用することができ、ゴルフボールの衝撃を良好に吸収するとともに、簡単に組み立てたり、片づけたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のゴルフ練習具の一実施例を示す斜視図である。
【
図2】前記実施例のゴルフ練習具による練習の様子を示す図である。
【
図3】本発明のゴルフ練習具の他の実施例の主要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1には、本発明のゴルフ練習具の一実施例が示されている。同図において、ゴルフ練習具100は、衝撃吸収ボード110を、プレーヤーを中心として略コ字状に配置した構成となっており、衝撃吸収ボード110は、その下側の両隅(両端)がスタンド120,130によって保持されており、上側の両隅はキャップ140,150によって保持されて、衝撃吸収ボード110が連結されている。
【0012】
これらのうち、衝撃吸収ボード110は、起立板112の表面に衝撃吸収材114を積層し、例えば接着剤を使用して貼り付けた構造となっている。衝撃吸収材114としては、ウレタンなど、各種の公知のものを使用するが、衝撃吸収の程度が高いと、衝撃吸収材114のみでは自立できない。そこで、本実施例では、起立板112に衝撃吸収材114を設ける構造としている。このように、起立板112を使用することで、強い衝撃吸収力を有する材料を使用することができる。
【0013】
衝撃吸収ボード110の幅や高さは、必要応じて適宜設定してよいが、例えば、幅500mm~1000mm,高さ200mm~500mm程度とする。幅や高さをあまり大きくすると、かさばって運ぶのに手数がかかるようになる。また、幅や高さをあまり小さくすると、部品点数が増えて組み立てに時間を要したり、ゴルフボールが外に飛び出してしまうといった不都合がある。組み立てた状態での奥行き(
図3における横方向の長さ)は、2000mm~5000mm,横幅(
図3における縦方向の長さ)は、500mm~2000mm程度とする。
【0014】
次に、スタンド120は、ベース122上に一対の挟持片124が適宜間隔で立設された構造となっており、これらに前記衝撃吸収ボード110を着脱自在に挟み込むようになっている。衝撃吸収ボード110が直列に隣接している部位では、隣接する衝撃吸収ボード110の下側の隅をそれぞれ挟持片124で挟み込んで保持するようにする。スタンド130は、コーナー部位に使用するもので、ベース132上に略L字状の一対の挟持片134が適宜の間隔で立設された構造となっている。コーナー部位においては、衝撃吸収ボード110が交わることから、それらの下側の隅をそれぞれL字状の挟持片134で挟み込んで保持するようにする。
【0015】
次に、キャップ140は、U字管のような形状となっており、衝撃吸収ボード110が隣接している部位において、開口142に前記衝撃吸収ボード110挿入し、着脱自在に挟み込んで保持するようになっている。衝撃吸収ボード110が隣接している部位では、隣接する衝撃吸収ボード110の下側は、スタンド120で連結固定されているが、上側をキャップ140で連結固定するようにしている。キャップ150は、コーナー部位において隣接する衝撃吸収ボード110を固定するためのもので、全体が略L字状に屈曲しており、開口152も略L字状となっている。
【0016】
以上のように、
a,衝撃吸収ボード110が直列に連続する部位では、下側の隅がスタンド120で保持されており、上側の隅がキャップ140で保持されている。
b,衝撃吸収ボード110が交わるコーナー部位では、下側の隅がスタンド130で保持されており、上側の隅がキャップ150で保持されている。
c,端に位置する衝撃吸収ボード110の露出する端部の下側の隅も、スタンド120で保持されている。
【0017】
図2には、以上のようなゴルフ練習具100を組み立てて練習する様子が示されている。衝撃吸収ボード110の設置枚数は必要に応じて増減してよいが、図示のようなプレーヤーが右利きの場合は、左側の設置枚数を少なくするとよい。左利きの場合は、逆に、右側の設置枚数を少なくする(
図3(A)参照)。もちろん、左右同数とすることを妨げるものではない。図示のように、複数の衝撃吸収ボード110を、スタンド120,130及びキャップ140,150によって連結することで、全体が一体となった構造物となり、十分な安定性が確保できる。
【0018】
衝撃吸収ボード110で囲まれた打撃領域内には、必要に応じて建物の床面を傷つけないためのマット500を敷くようにする。プレーヤーは、マット500上にゴルフボール502を置き、クラブ504を使用して打撃練習を行う。このとき、クラブ504で撃ったゴルフボール502は、正面の衝撃吸収ボード110の衝撃吸収材114に当たって落下する。ゴルフボール502の打撃方向がずれた場合は、側面の衝撃吸収ボード110に当たって反射し、その後落下するか、場合によっては正面の衝撃吸収ボード110の方向に飛んで落下する。
【0019】
このように、本実施例によれば、
a,ゴルフボール502の打撃方向を囲むように複数の衝撃吸収ボード110を配置し、スタンド120,130及びキャップ140,150によって着脱自在に連結する構造としたので、簡単に組み立てたり、片づけたりすることができる。
b,衝撃吸収ボード110を、起立板112の表面に衝撃吸収材114を設けた構造としたので、衝撃吸収効果の高い材料を使用して、ゴルフボールの衝撃を良好に吸収することができ、室内・屋内でも十分な練習を行うことができる。
【実施例2】
【0020】
次に、
図3を参照しながら、本発明の他の実施例を説明する。同図(A)のゴルフ練習具102は、左利きの場合の設置例である。この例では、正面側に2枚の衝撃吸収ボード110が設けられている。同図(B)のゴルフ練習具104は、コーナー部分を斜めにしたもので、衝撃吸収ボード110よりも長さが小さい衝撃吸収ボード210を、略135度の角度で接合した例である。スタンド(図示せず)及びキャップ250は、いずれも135度の角度で衝撃吸収ボード210を保持して連結するように設定されている。同図(C)のゴルフ練習具106は、円弧状の衝撃吸収ボード310を接合した例である。
【0021】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)本発明は、いわゆるアプローチやストロークの練習に好適であるが、
図3に示すように、カップ510をマット500に設けて、パターの練習を行うようにしてもよい。
(2)前記実施例で示した衝撃吸収ボードは長方形であるが、正方形その他の形状とすることを妨げるものではない。ゴルフボールの打撃方向を囲む形状も同様であり、上述した例の他、楕円状,三角形状など、各種の形状としてよい。
(3)スタンドやキャップも、衝撃吸収ボードの保持や連結を良好に行うことができれば、各種の形状・構造としてよい。
(4)本発明は、室内・屋内におけるゴルフ練習に好適であるが、室外での使用を妨げるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、ゴルフボールが当たったときの衝撃を吸収する衝撃吸収材を、起立板の表面に積層して貼り付けた構造の衝撃吸収ボードを、スタンド及びキャップによって、ゴルフボールの打撃方向を囲むように複数配置して連結する構造としたので、強い衝撃吸収力を有する材料を使用することができ、ゴルフボールの衝撃を良好に吸収するとともに、簡単に組み立てたり、片づけたりすることができ、特に室内や屋内におけるゴルフ練習に好適である。
【符号の説明】
【0023】
100,102,104,106:ゴルフ練習具
110:衝撃吸収ボード
112:起立板
114:衝撃吸収材
120,130:スタンド
122,132:ベース
124,134:挟持片
140,150:キャップ
142,152:開口
210,310:衝撃吸収ボード
250:キャップ
500:マット
502:ゴルフボール
504:クラブ
510:カップ