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7114015水流傾斜板の展張方法及び該水流傾斜板が展張された沈降分離装置
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  • -水流傾斜板の展張方法及び該水流傾斜板が展張された沈降分離装置 図1
  • -水流傾斜板の展張方法及び該水流傾斜板が展張された沈降分離装置 図2
  • -水流傾斜板の展張方法及び該水流傾斜板が展張された沈降分離装置 図3(A)
  • -水流傾斜板の展張方法及び該水流傾斜板が展張された沈降分離装置 図3(B)
  • -水流傾斜板の展張方法及び該水流傾斜板が展張された沈降分離装置 図4
  • -水流傾斜板の展張方法及び該水流傾斜板が展張された沈降分離装置 図5
  • -水流傾斜板の展張方法及び該水流傾斜板が展張された沈降分離装置 図6
  • -水流傾斜板の展張方法及び該水流傾斜板が展張された沈降分離装置 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】水流傾斜板の展張方法及び該水流傾斜板が展張された沈降分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/02 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
B01D21/02 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018072087
(22)【出願日】2018-04-04
(65)【公開番号】P2019181331
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038949(JP,A)
【文献】特開2015-167911(JP,A)
【文献】特開2013-085998(JP,A)
【文献】特開2012-117241(JP,A)
【文献】特開昭58-223474(JP,A)
【文献】米国特許第05049278(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/52- 1/56
B01D 21/00-21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈降分離槽内に、水流傾斜板を連接して所望の形態に多重展張するに際し、隣接する連接された水流傾斜板との間に、U字形の嵌合具を設けた間隔保持ネット材を隣接する水流傾斜板列のフロート部に前記嵌合具を嵌着して設けて、展張することを特徴とする水流傾斜板の展張方法。
【請求項2】
沈降分離槽内に、水流傾斜板を連設して所望の形態に多重展張し、かつ隣接する連接された水流傾斜板との間に、U字形の嵌合具を設けた間隔保持ネット材を隣接する水流傾斜板列のフロート部に前記嵌合具を嵌着してなることを特徴とする沈降分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈降分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
沈降分離装置は、汚濁水を水平に流し、固形分を重力によって沈降させ分離させる装置であり、濃厚スラリーを得ることを目的とする濃縮装置(シックナー)と、清澄な液を得ることを目的とする清澄装置(クラリファイヤー)とがある。装置としては、部分的構造は少し異なるが、類似したものが用いられる。
【0003】
原理的には、装置内に汚濁水を流すと、液は出口方向に水平に流れ、固形分は液の流れに乗って出口方向に流れながら、重力によって下方に沈降し、固形分離が行われる。
【0004】
これらの沈降分離装置にさらに効率を高めるために水流傾斜板(「パトレシア」日本ソリッド株式会社製商品名)を設けることが種々提案されている。
水流傾斜板は、沈降分離装置内に種々の形態で展張される。例えば図1に示すように多角型形に展張したり、また図2に示すように異なる形態として展張されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水流傾斜板を所期の目的の形態に展張することは長年の経験と知識が必要であった。一般的には一部に弛み部が生じ変形した状態になることが多々発生していた。また図2に示すように複数の異なる形態に展張する場合、連接した水流傾斜板の形態を保持することが極めて困難であり、その解決方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、沈降分離装置内に水流傾斜板を連接して所望の形態に多重展張するに際し、隣接する連接された水流傾斜板との間に間隔保持ネット材を設けてなる、沈降分離装置内に水流傾斜板を展張する方法およびその沈降分離装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水流傾斜板を弛み部を生じることなく所望の形態に緊張状態を保持して展張することができると共に、間隔保持ネット材を設けることによって、スカムが発生した場合にあっても、該間隔保持ネット材によってスカムの発生を抑制することが出来ると共に、スカムの固形粒子を肥大化させて沈降させることができるので、従来のようにスカムを除去するためのスキマーも必要がない。また間隔保持ネット材を設けることによって、風による沈降分離装置の表層部の温度低下の防止、波立ちの防止、沈降分離装置内の短絡流の防止ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】水流傾斜板を展張した状態を示す従来の沈降分離装置の平面図。
図2】水流傾斜板を展張した状態を示した他の態様を示す沈降分離装置の平面図。
図3(A)】水流傾斜板の正面図。
図3(B)】水流傾斜板の側面図
図4】間隔保持ネット材の一態様を示す斜視図。
図5】隣接する連接された水流傾斜板に間隔保持ネット材を設けた平面図。
図6図5の一部を示した斜視図。
図7図2に示した沈降分離装置の連接された水流傾斜板の隣接する水流傾斜板との間に間隔保持ネット材を展張した状態を示す部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明を図面を参照しながら説明する。
本発明に使用する水流傾斜板1は図3に示すように略円筒形のフロート2の下部に垂下膜3を設け、フロート2の両端部に係止具4を設けてなるものである。また垂下膜3の下縁部5には必要により重錘を設けることもできる。
【0010】
水流傾斜板1を用いて図1に示したように沈降分離装置内に六角形状に多重展張する場合、弛めた状態で六角形を構成し、これに例えば図4に示すようにネット体6の両端部に逆U字形の嵌合具7を設けた間隔保持ネット材8を隣接する水流傾斜板列のフロート2部に嵌合具7を嵌着すると図5および図6のような状態になる。このようにして多重に張った水流傾斜板列と隣接する水流傾斜板列との間隔部に前記した要領で間隔保持ネット材8を設けた後、放射状に張った水流傾斜板列を緊張状態を保つように固定することによって整列された六角形を保持する水流傾斜板による沈降分離装置とすることができる。
【0011】
また間隔保持ネット材8は、図5に示すようにフロート2の頂部から張ることの外、フロート2の中間部あるいはフロート2の下部から張ることもできる。
間隔保持ネット材8のネットの目の大きさは5~100mm、好ましくは10~50mmにすることによってスカムの発生を抑制することができる。
【0012】
また図2に示すような水流傾斜板列の組合せにすると、通常それぞれの列の形態を保持することは極めて困難であるが、図7のように隣接する水流傾斜板との間に形成される空間と略同型の間隔保持ネット材8を隣接する水流傾斜板との間に設け、縦列の水流傾斜板列を展張することによって、容易に横列の水流傾斜板列を保形し、保持することができる。
【符号の説明】
【0013】
1・・・水流傾斜板
2・・・フロート
3・・・垂下膜
4・・・係止具
5・・・下縁部
6・・・ネット体
7・・・嵌合部
8・・・間隔保持ネット材
図1
図2
図3(A)】
図3(B)】
図4
図5
図6
図7