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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
E03C1/042 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018118517
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019218801
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】風岡 大介
(72)【発明者】
【氏名】清藤 義弘
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-128948(JP,A)
【文献】特開2016-205057(JP,A)
【文献】国際公開第2009/044703(WO,A1)
【文献】特開2000-080687(JP,A)
【文献】特開2008-115686(JP,A)
【文献】特開2016-037714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された水を吐水する水栓装置であって、
設置面に固定される水栓本体と、
内部に水を通水する流路を形成するスパウト内流路形成部材と、
吐水口を形成する吐水口形成部材と、
上記水栓本体と一体に形成され且つ上記水栓本体と交差する方向に延びるスパウト部材であって、上記スパウト部材は、上記水栓本体と逆側の先端部に上記スパウト内流路形成部材を挿入する第1開口部を形成すると共に、上記先端部の側の側面の下部に上記吐水口形成部材を取付ける第2開口部を形成し、上記スパウト内流路形成部材を上記第1開口部から上記スパウト部材の内部に挿入することにより上記スパウト内流路形成部材が上記スパウト部材内の流路を形成する上記スパウト部材と、
上記スパウト部材の上記第2開口部から挿入されることにより上記スパウト内流路形成部材と接続されるアダプタ部材であって、上記アダプタ部材は、上記スパウト内流路形成部材から上記第2開口部に向かう流路を形成すると共に、上記吐水口形成部材を上記スパウト部材の上記第2開口部より下方側に突出させた状態で取付けるように形成されている上記アダプタ部材とを備え、さらに、上記アダプタ部材は、アダプタ外観部であって、上記スパウト内流路形成部材の外装側部分に接続される接続部と、上記吐水口形成部材の外側面に形成された吐水口形成部材ねじ部と螺合するように自身の内側面に形成されたアダプタ部材ねじ部とを備える上記アダプタ外観部と、
上記スパウト内流路形成部材内の流路とのシール部分を形成すると共に、上記吐水口形成部材とのシール部分を形成し、上記スパウト内流路形成部材から上記吐水口形成部材まで延びる流路を形成するアダプタ通水部とを備えることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
上記アダプタ部材は、さらに、弾性部材により環状に形成された止め輪を備え、
上記アダプタ部材の上記アダプタ外観部は、上記止め輪が上記アダプタ外観部の内側に位置している状態において、上記止め輪の自然状態の外径より内側まで延びるフランジ部を備え、
上記スパウト内流路形成部材は、上記第2開口部の側の開口部側端部に、上記第2開口部の奥側に向けて外側に傾斜する第1テーパ部であって、上記第1テーパ部は、上記止め輪を上記第2開口部から上記スパウト内流路形成部材に向けて挿入するにしたがって上記止め輪の外径を広げるように形成され、さらに、上記第1テーパ部の終端部の外径は上記止め輪の自然状態の内径よりも大きい、上記第1テーパ部と、
上記第1テーパ部の終端部よりも奥側において、上記第1テーパ部の終端部の外径よりも小さな外径を有する止め輪保持部とを備えている、請求項に記載の水栓装置。
【請求項3】
上記第1テーパ部の基端部の外径は、上記止め輪の自然状態の内径より小さく、上記第1テーパ部の上記終端部は、上記止め輪保持部と隣接して形成されている、請求項に記載の水栓装置。
【請求項4】
上記アダプタ部材の上記アダプタ外観部は、上記止め輪保持部と対向する内側面に、上記第2開口部の奥側に向かうにつれて内側に傾斜している第2テーパ部を備える、請求項に記載の水栓装置。
【請求項5】
上記アダプタ部材の上記アダプタ外観部は、さらに、上記第2テーパ部の終端部から、上記アダプタ外観部の挿入方向に沿って延びる挿入ガイド部を備える、請求項記載の水栓装置。
【請求項6】
上記止め輪は、樹脂製のCリング部材である、請求項乃至の何れか1項に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に係り、特に、供給された水を吐水する水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、供給された水を吐水する水栓装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、水栓本体部と、水栓本体部に着脱可能に取付けられた吐水ヘッドとを備えているものが知られている。
この従来の水栓装置においては、吐水ヘッドを水栓本体部から取り外すことにより吐水ヘッド内に内管を配置して内部流路を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-133327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の水栓装置においては、水栓本体部と吐水ヘッド(スパウト)との間に取付用の継ぎ目が形成されることとなる。このような継ぎ目にごみなどの汚れが付着するという問題がある。また、このような継ぎ目は清掃性が悪いという問題もある。
【0005】
そこで、発明者は、水栓本体部と吐水ヘッド(スパウト)との間に取付用の継ぎ目が形成されないような水洗装置を開発すべく鋭意研究を行っている。水栓本体部とスパウトとの間に継ぎ目を形成しないためには、水栓本体部とスパウトとを一体に形成することとなる。水栓本体部とスパウトとを一体に形成する場合、スパウトの内部流路部材をスパウトの先端から挿入することにより内部流路部材をスパウトの内部に配置する必要がある。よって、スパウトの内部流路部材の外径は、スパウトの内径以下である必要がある。従って、吐水口部材をスパウトの先端に後から取付ける場合、スパウトの内部流路部材と、吐水口部材とを水密に接合する部分がスパウトの内径より内部側に位置することとなる。これにより、吐水口部材の吐水口がスパウトの外面と近接している状態で取付けられることとなり、吐水停止後等に水が表面張力により吐水口部材の吐水口からスパウトの外面に沿って流出してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や近年要請された課題を解決するためになされたものであり、スパウト部材がスパウト内流路形成部材を第1開口部からスパウト部材の内部に挿入することにより上記スパウト部材内の流路を形成するように構成されている場合であっても、水が表面張力により吐水口形成部材の吐水口からスパウト部材の外面に沿って流出してしまうことを抑制することができる水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、供給された水を吐水する水栓装置であって、設置面に固定される水栓本体と、内部に水を通水する流路を形成するスパウト内流路形成部材と、吐水口を形成する吐水口形成部材と、上記水栓本体と一体に形成され且つ上記水栓本体と交差する方向に延びるスパウト部材であって、上記スパウト部材は、上記水栓本体と逆側の先端部に上記スパウト内流路形成部材を挿入する第1開口部を形成すると共に、上記先端部の側の側面の下部に上記吐水口形成部材を取付ける第2開口部を形成し、上記スパウト内流路形成部材を上記第1開口部から上記スパウト部材の内部に挿入することにより上記スパウト内流路形成部材が上記スパウト部材内の流路を形成する上記スパウト部材と、上記スパウト部材の上記第2開口部から挿入されることにより上記スパウト内流路形成部材と接続されるアダプタ部材であって、上記アダプタ部材は、上記スパウト内流路形成部材から上記第2開口部に向かう流路を形成すると共に、上記吐水口形成部材を上記スパウト部材の上記第2開口部より下方側に突出させた状態で取付けるように形成されている上記アダプタ部材とを備えることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、水栓本体とスパウト部材との間の継ぎ目を無くすように、水栓本体と一体に形成され且つ水栓本体と交差する方向に延びるスパウト部材において、二重管構造を形成するためには、スパウト内流路形成部材を第1開口部からスパウト部材の内部に挿入することによりスパウト部材内の流路を形成する。
これにより、仮に吐水口形成部材をスパウト内流路形成部材に直接接続する場合には、取付部分がスパウト部材内の第1開口部の大きさよりも半径方向内側に位置し、吐水口形成部材を第2開口部より下方側に突出させた状態で取付けることができず、水が表面張力により吐水口形成部材の吐水口からスパウト部材の第2開口部及びさらに下方側の外面に沿って水栓本体の設置面に流出してしまう恐れがある。
本発明においては、スパウト部材がスパウト内流路形成部材を上記第1開口部から上記スパウト部材の内部に挿入することにより上記スパウト部材内の流路を形成するように構成されている場合であっても、アダプタ部材がスパウト部材の上記第2開口部から挿入されることにより上記スパウト内流路形成部材と接続され、さらに、アダプタ部材は、上記スパウト内流路形成部材から上記第2開口部に向かう流路を形成すると共に、上記吐水口形成部材を上記スパウト部材の上記第2開口部より下方側に突出させた状態で取付けることができる。よって、水が表面張力により吐水口形成部材の吐水口からスパウト部材の第2開口部及びさらに下方側の外面に沿って流出してしまうことを抑制することができる。また、アダプタ部材の長さを変更する又は異なる長さのものに取り換えることにより、吐水口形成部材のスパウト部材の第2開口部より下方側への突出量を自由に設定することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記アダプタ部材は、アダプタ外観部であって、上記スパウト内流路形成部材の外装側部分に接続される接続部と、上記吐水口形成部材の外側面に形成された吐水口形成部材ねじ部と螺合するように自身の内側面に形成されたアダプタ部材ねじ部とを備える上記アダプタ外観部と、上記スパウト内流路形成部材内の流路とのシール部分を形成すると共に、上記吐水口形成部材とのシール部分を形成し、上記スパウト内流路形成部材から上記吐水口形成部材まで延びる流路を形成するアダプタ通水部とを備える。
このように構成された本発明においては、アダプタ部材において、アダプタ部材の外観を形成し且つスパウト内流路形成部材と吐水口形成部材とを接続するアダプタ外観部と、スパウト内流路形成部材から吐水口形成部材まで延びる流路を形成するアダプタ通水部とを分けることができる。このため、外観を形成するアダプタ外観部に金属材料を用いた場合に、アダプタ通水部内を通水する水がアダプタ外観部の金属に接触することを抑制することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記アダプタ部材は、さらに、弾性部材により環状に形成された止め輪を備え、上記アダプタ部材の上記アダプタ外観部は、上記止め輪が上記アダプタ外観部の内側に位置している状態において、上記止め輪の自然状態の外径より内側まで延びるフランジ部を備え、上記スパウト内流路形成部材は、上記第2開口部の側の開口部側端部に、上記第2開口部の奥側に向けて外側に傾斜する第1テーパ部であって、上記第1テーパ部は、上記止め輪を上記第2開口部から上記スパウト内流路形成部材に向けて挿入するにしたがって上記止め輪の外径を広げるように形成され、さらに、上記第1テーパ部の終端部の外径は上記止め輪の自然状態の内径よりも大きい、上記第1テーパ部と、上記第1テーパ部の終端部よりも奥側において、上記第1テーパ部の終端部の外径よりも小さな外径を有する止め輪保持部とを備えている。
このように構成された本発明においては、第1テーパ部は、上記止め輪を上記第2開口部側から上記第2開口部の奥側に向けて挿入するにしたがって上記止め輪の外径を広げることができ、止め輪は第1テーパ部の終端部よりも奥側において上記第1テーパ部の終端部の外径よりも小さな外径を有する止め輪保持部に保持されることができる。よって、止め輪を第1テーパ部から止め輪保持部まで挿入することによりアダプタ部材とスパウト内流路形成部材とを接続することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記第1テーパ部の基端部の外径は、上記止め輪の自然状態の内径より小さく、上記第1テーパ部の上記終端部は、上記止め輪保持部と隣接して形成されている。
このように構成された本発明においては、第1テーパ部の上記終端部は、上記止め輪保持部と隣接して形成されている。これにより、止め輪が十分に止め輪保持部に保持されていない状態においては、止め輪が自身の弾性力により第1テーパ部の終端部から基端部に向けて抜けるように移動することができる。よって、止め輪が十分に止め輪保持部に保持されていない状態のまま、止め輪が第1テーパ部の終端部近傍に留まってしまうことを抑制することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記アダプタ部材の上記アダプタ外観部は、上記止め輪保持部と対向する内側面に、上記第2開口部の奥側に向かうにつれて内側に傾斜している第2テーパ部を備える。
このように構成された本発明においては、第2テーパ部は第2開口部の奥側に向かうにつれて内側に傾斜しているので、アダプタ部材に第2開口部の手前側に抜ける力がかかる場合に、第2テーパ部によって止め輪に半径方向内側の止め輪保持部に向かう力がかかる。よって、止め輪は、止め輪保持部によりより強く保持され、止め輪が止め輪保持部から脱落することを抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記アダプタ部材の上記アダプタ外観部は、さらに、上記第2テーパ部の終端部から、上記アダプタ外観部の挿入方向に沿って延びる挿入ガイド部を備える。
このように構成された本発明においては、挿入ガイド部がアダプタ外観部の挿入方向に沿って延び、アダプタ外観部の挿入をガイドできるので、アダプタ部材の挿入(組立)の作業性を向上させることができる。また、アダプタ外観部が挿入ガイド部を備えることにより、アダプタ部材の挿入時に、止め輪及びアダプタ外観部の中心軸の位置合わせが比較的容易となり、挿入の作業性を向上させることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記止め輪は、樹脂製のCリング部材である。
このように構成された本発明においては、止め輪が、樹脂製のCリング部材であるので、アダプタ部材がスパウト内流路形成部材から抜ける抜け止めの効果を奏すると共に、止め輪を第2開口部側からスパウト内流路形成部材に向けて挿入する作業を比較的簡単に行うことができる。よって、抜け止めの効果と挿入する作業の作業性の向上とをバランスよく実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水栓装置によれば、スパウト部材がスパウト内流路形成部材を第1開口部からスパウト部材の内部に挿入することによりスパウト部材内の流路を形成するように構成されている場合であっても、水が表面張力により吐水口形成部材の吐水口からスパウト部材の外面に沿って流出してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による水栓装置を側方から見た側面図である。
図2】本発明の一実施形態による水栓装置の分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による水栓装置を一部分解した状態で示す中央断面図である。
図4】本発明の一実施形態による水栓装置を一部分解した状態で示す正面図である。
図5】本発明の一実施形態による水栓装置のスパウト部材の先端部におけるスパウト内流路形成部材及びアダプタ部材を示す部分拡大断面図である。
図6】本発明の一実施形態による水栓装置においてスパウト内流路形成部材にアダプタ部材のアダプタ外観部と止め輪を取付ける前の状態を示す部分拡大断面図である。
図7】本発明の一実施形態による水栓装置においてスパウト内流路形成部材にアダプタ部材のアダプタ外観部と止め輪を取付ける途中の状態を示す部分拡大断面図である。
図8】本発明の一実施形態による水栓装置においてスパウト内流路形成部材にアダプタ部材のアダプタ外観部と止め輪を取付ける途中の状態を示す部分拡大断面図である。
図9】本発明の一実施形態による水栓装置においてスパウト内流路形成部材にアダプタ部材のアダプタ外観部と止め輪を取付ける途中の状態を示す部分拡大断面図である。
図10】本発明の一実施形態による水栓装置においてスパウト内流路形成部材にアダプタ部材のアダプタ外観部と止め輪を取付けた状態を示す部分拡大断面図である。
図11】本発明の一実施形態による水栓装置においてスパウト内流路形成部材にアダプタ部材のアダプタ外観部、止め輪及びアダプタ通水部を取付けた状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態による水栓装置について説明する。
まず、図1は、本発明の一実施形態による水栓装置を側方から見た側面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態による水栓装置1は、給湯源(図示せず)から供給される湯と給水源(図示せず)から供給される水とを混合して吐止水する、いわゆる、「シングルレバー式」と呼ばれる水栓装置であり、台所のシンク又は洗面台のシンクの外側にあるカウンター等の設置面F1上に設置されている。
すなわち、このシングルレバー式の水栓装置1においては、いわゆる、「シングルレバー」と呼ばれる単一の操作ハンドル2が手動で回動操作されることにより、流量と温度が調整された水である湯水がスパウト部材4の先端側に設けられた吐水口6から吐止水されるようになっている。本実施形態において使用する用語「水」は、湯と水が混合された湯水のみならず、給水源(図示せず)から供給される水、給湯源(図示せず)から供給される湯も含む意味で使用されている。本実施形態においては、「水」は、温度の異なる「湯水」を含む。
【0017】
つぎに、図1図4により、本発明の一実施形態による水栓装置の内部構造について具体的に説明する。
図2は、本発明の一実施形態による水栓装置の分解斜視図であり、図3は、本発明の一実施形態による水栓装置を一部分解した状態で示す中央断面図であり、図4は、本発明の一実施形態による水栓装置を一部分解した状態で示す正面図である。図3は、水栓機能ユニット12の内部構造を省略して示している。さらに、図3及び図4は、操作ハンドル2を省略して示している。
まず、図1に示すように、本実施形態の水栓装置1は、水栓装置1が設置される設置面F1に固定される水栓本体8を備えている。水栓本体8は、筒状の外殻部材10と、外殻部材10の内部に設けられた水栓機能ユニット12とを備えている。
【0018】
外殻部材10は、水栓装置1が設置される設置面F1に固定されている。外殻部材10は、設置面F1から上方に立ち上がるように形成される。外殻部材10は、金属材料で形成されていてもよいし、樹脂材料で形成されていてもよい。
【0019】
水栓機能ユニット12には、給湯器等の給湯源(図示せず)から湯を供給する湯供給管14と、水道等の給水源(図示せず)から水を供給する水供給管16とが下方から接続されている。湯供給管14及び水供給管16のそれぞれは、水栓機能ユニット12より上流側の一次側通水路を形成している。水栓機能ユニット12は、シングルレバー式の水栓装置1の一般的な水栓機能ユニットであるので、その詳細な構造については説明を省略する。水栓機能ユニット12は、湯供給管14から供給される湯と水供給管16から供給される水とを混合させる又は混合させないような機能、及び水を吐水口6から吐水させる、止水させる、又は流量を調整する機能を備えている。
【0020】
水栓機能ユニット12は、操作ハンドル2と接続され、操作ハンドル2の操作に応じて機械的に動作される。
図1に示すように、より具体的には、例えば、水栓機能ユニット12は、操作ハンドル2が矢印「閉」の方向の最下方の止水操作位置に設定されている場合には、吐水口6から吐出される水を止水させる機能を有する。
また、水栓機能ユニット12は、操作ハンドル2が止水操作位置から矢印「開」の方向の上方の操作位置に回動操作された場合には、吐水口6から吐出される水を吐水状態に設定する機能を有する。
また、水栓機能ユニット12は、操作ハンドル2が、吐水状態において、より上方(図1に示す矢印「開」の方向)に回動操作される程、水の流量を大きく設定し、操作ハンドル2が、より下方(図1に示す矢印「閉」の方向)に回動操作される程、水の流量を小さく設定する機能を有する。
【0021】
さらに、図2に示すように、水栓機能ユニット12は、操作ハンドル2が水栓装置1の鉛直方向に延びる中心軸線(回転中心軸線A1)を中心に水側(図1に示す矢印「C」側)に回動操作された場合には、吐水口6から吐出される水の温度を低温側に設定する機能を有する。
さらに、水栓機能ユニット12は、操作ハンドル2が回転中心軸線A1を中心に湯側(図1に示す矢印「H」側)に回動操作された場合には、吐水口6から吐出される水の温度を高温側に設定する機能を有する。
【0022】
次に、図2及び図3に示すように、水栓装置1は、水栓本体8と一体に形成され且つ水栓本体8と交差する方向に延びるスパウト部材4と、水栓機能ユニット12より下流側の二次側通水路18を形成するスパウト内流路形成部材20と、吐水口6を形成する吐水口形成部材22と、スパウト内流路形成部材20と接続されるアダプタ部材24とを備えている。
【0023】
図3に示すように、スパウト部材4は、水栓本体8の外殻部材10と一体に形成されているので、スパウト部材4と外殻部材10との間に部材の継ぎ目が現れないようになっている。よって、スパウト部材4は、水栓本体8との一体的な美観を生じることができる。スパウト部材4は、水栓本体8から横方向の斜め上方に向けて延びる。
【0024】
スパウト部材4は、水栓本体8側と逆側の先端部にスパウト内流路形成部材20を挿入する第1開口部4aを形成すると共に、先端部側の側面の下部に吐水口形成部材22を取付ける第2開口部4bを形成している。スパウト内流路形成部材20を第1開口部4aからスパウト部材4の内部に挿入することによりスパウト内流路形成部材20がスパウト部材4内の流路を形成している。
以下、本発明の一実施形態における説明において、後述するスパウト部材4の第2開口部4bの中心方向側を内側とし、第2開口部4bの半径方向外側を外側とし、第2開口部4bに対してスパウト部材4の内部側を奥側とし、第2開口部4bに対してスパウト部材4の外部側を手前側として説明している。
【0025】
図4に示すように、第1開口部4aはスパウト部材4の先端部の正面側に設けられている。第1開口部4aは円形の開口を形成している。第1開口部4aはスパウト内流路形成部材20の取付用の開口である。スパウト部材4は、基端部から先端部まで第1開口部4aの内径D1とほぼ同じ内径D1の内部空間を形成している。第1開口部4aの内径D1は、スパウト内流路形成部材20の最大の外径部分においての外径D2よりも大きい。スパウト部材4は、さらに、第1開口部4aを閉じる蓋部26を備えている。
【0026】
図3に示すように、スパウト内流路形成部材20は、スパウト部材4の内側に配置され、自身の内部に水を通水する流路である二次側通水路18を形成する。スパウト内流路形成部材20は、水栓機能ユニット12に接続され、二次側通水路18は水栓機能ユニット12内の流路に接続されている。スパウト内流路形成部材20は、スパウト部材4の基端部から先端部までの二次側通水路18を形成するように縦長に形成される。スパウト内流路形成部材20は、直線状且つ細長い円筒状に形成されている。二次側通水路18は、スパウト部材4の先端部において第2開口部4b側に向かう流路を形成している。
なお、図4に示すように、スパウト内流路形成部材20は第1開口部4aからスパウト部材4の内部に挿入される部材であるため、スパウト内流路形成部材20の外径D2は、スパウト内流路形成部材20の全体にわたって第1開口部4aの内径D1よりも小さい。スパウト内流路形成部材20は、第1開口部4aから挿入するように直線状且つ棒状に形成されており、第2開口部4bから挿入することが比較的困難又はできないように形成されている。
【0027】
吐水口形成部材22は、比較的薄い円盤状に形成されている。吐水口形成部材22の外周面には、吐水口形成部材ねじ部22a(図5参照)が形成されている。吐水口形成部材22は、泡沫キャップを形成している。吐水口形成部材22は、下端面に複数の吐水口6を形成する。吐水口形成部材22は、自身の上部の流入部22bから流入した水を下部の吐水口6に通水する流路を形成している。
【0028】
次に、図2図5により、本発明の一実施形態による水栓装置のアダプタ部材及びアダプタ部材を取付るスパウト内流路形成部材の構造について具体的に説明する。
図5は、本発明の一実施形態による水栓装置のスパウト部材の先端部におけるスパウト内流路形成部材及びアダプタ部材を示す部分拡大断面図である。
アダプタ部材24は、スパウト部材4の第2開口部4bから挿入されることによりスパウト内流路形成部材20と接続される。アダプタ部材24は、スパウト内流路形成部材20から第2開口部4b側に向かう流路を形成する。さらに、アダプタ部材24は、吐水口形成部材22をスパウト部材4の第2開口部4bの外面の下面4cより下方側に突出させた状態で取付けるように形成されている。
【0029】
アダプタ部材24は、外側の外観部分を形成するアダプタ外観部28と、内側の流路を形成するアダプタ通水部30と、弾性部材により環状に形成された止め輪42とを備える。
アダプタ外観部28は、円筒状に形成される。アダプタ外観部28は、金属材料で形成されている。アダプタ外観部28は、第2開口部4bの内側においてスパウト部材4の奥側部分(スパウト部材4の内部側部分)から手前側部分(スパウト部材4の外部側部分)まで延びている。アダプタ外観部28、アダプタ通水部30、止め輪42及び吐水口形成部材22は、同一の中心軸線A2を中心として取り付けられる。
【0030】
アダプタ外観部28は、スパウト内流路形成部材20の下部の外装側部分20aに接続される接続部32と、吐水口形成部材22の外側面に形成された吐水口形成部材ねじ部22aと螺合するように自身の内側面に形成されたアダプタ部材ねじ部34とを備えている。接続部32は、外装側部分20aと止め輪42との間でアダプタ外観部28を外装側部分20aに対して接続した状態とする。
【0031】
アダプタ外観部28は、吐水口形成部材22をスパウト内流路形成部材20の外縁よりも外側の位置に支持する。アダプタ外観部28は、第1開口部4aの内径D1よりもスパウト部材4の内部側(奥側)に形成されなければならない開口部側端部20bに対し、吐水口形成部材22をスパウト部材4の外部側(手前側)に配置する。アダプタ外観部28は、吐水口形成部材22の下端の吐水口6をスパウト部材4の下面4cより下方側に所定高さHまで突出させるように形成されている。アダプタ外観部28及びアダプタ通水部30の長さを変更する又は異なる長さのものに取り換えることにより、所定高さHで示される突出量を自由に設定することができる。
【0032】
アダプタ外観部28は、止め輪42がアダプタ外観部28の内側において中心軸線A2上に位置している状態において、止め輪42の自然状態の外径D3より内側まで延びるフランジ部44(図6参照)を備えている。止め輪42の自然状態の外径D3は、フランジ部44の内径D4よりも大きい。よって、アダプタ外観部28を奥側に向けて挿入する際に、アダプタ外観部28のフランジ部44が止め輪42を押し込むことができる。
【0033】
アダプタ外観部28は、止め輪保持部48の外側且つ止め輪保持部48と対向する内側面に、第2開口部4bの奥側に向かうにつれて内側に傾斜している第2テーパ部50を備える。第2テーパ部50は、止め輪42の第3テーパ部42bと平行に形成されている。第2テーパ部50と第3テーパ部42bとが接することにより、アダプタ外観部28の第2テーパ部50に手前側に抜ける力がかかる場合に、第2テーパ部50から止め輪42の第3テーパ部42bに内側向きの力がかかる。よって、止め輪42が止め輪保持部48に向かってより強く押し付けられ、止め輪42が止め輪保持部48から手前側に抜けにくくすることができる。
【0034】
アダプタ外観部28は、さらに、第2テーパ部50の終端部50aから、アダプタ外観部28の挿入方向に沿って延びる挿入ガイド部52を備えている。挿入ガイド部52は、直線部分を形成している。挿入ガイド部52は、中心軸線A2に沿って延びる外装側部分20aの直線部分20cとほぼ平行に形成される。挿入ガイド部52は直線部分20cと接しながら挿入を直線的にガイドすることができ且つ挿入方向をぶれにくくすることができる。
【0035】
アダプタ通水部30は、アダプタ通水部30とスパウト内流路形成部材20との間に設けられた第1シール部材36によりスパウト内流路形成部材20内の流路とのシール部分を形成すると共に、アダプタ通水部30と吐水口形成部材22との間に設けられた第2シール部材38により吐水口形成部材22とのシール部分を形成している。よって、アダプタ通水部30は、スパウト内流路形成部材20から吐水口形成部材22まで延びる流路であるアダプタ流路40を形成する。アダプタ流路40は、二次側通水路18から開口部側端部20bよりも第2開口部4b側に向かって、吐水口形成部材22まで延伸する流路を形成している。アダプタ流路40は、二次側通水路18を第2開口部4bの近傍領域において第2開口部4b側に拡張する流路である。
【0036】
止め輪42は、内側の内周面において円弧状に形成された円弧部分42aと、円弧部分42aの外側の外周面において奥側に向かうにつれて内側に傾斜している第3テーパ部42bとを備えている。止め輪42は、自然状態において内径D7を有している。止め輪42は、樹脂製のCリング部材である。止め輪42には、切欠部分42c(図2参照)が形成され、止め輪42が弾性を有するように形成されている。
【0037】
図5に示すように、スパウト内流路形成部材20は、第2開口部4b側の開口部側端部20bにおいて、第2開口部4b側から奥側に向けて外側に傾斜する第1テーパ部46と、第1テーパ部46の終端部46aよりも奥側において、第1テーパ部46の終端部46aの外径D5よりも小さな外径D6を有する止め輪保持部48とを備えている。第1テーパ部46は、円筒状に形成され、且つ奥側に向かって徐々に拡径するように形成されている。第1テーパ部46は、止め輪42を第2開口部4b側から奥側に向けて挿入するにしたがって止め輪42の内径を広げるように形成されている。第1テーパ部46の終端部46aの外径D5は止め輪42の自然状態の内径D7(図6参照)よりも大きい。さらに、第1テーパ部46の基端部46bの外径D8は、止め輪42の自然状態の内径D7より小さい。第1テーパ部46の終端部46aは、止め輪保持部48と奥側方向に隣接して形成されている
【0038】
止め輪保持部48は、スパウト内流路形成部材20の外装側部分20aに形成されている。外装側部分20aは内部通水路とは反対の外装の表面を形成する。止め輪保持部48は、外装の表面から内側にくぼむ環状の凹み部分を形成している。
止め輪保持部48は、止め輪42の円弧部分42aが止め輪保持部48に係合している状態で、止め輪42を外れにくく保持することができる。
【0039】
次に、図2図5乃至図11を用いて、本発明の一実施形態による水栓装置1の製造方法について説明する。図6乃至図10においては、スパウト部材4を省略して示している。
図2に示すように、水栓装置1の製造方法においては、先ず、水栓本体8、スパウト内流路形成部材20、吐水口形成部材22、スパウト部材4及びアダプタ部材24をそれぞれ準備する工程が実行される。スパウト部材4は、水栓本体8の外殻部材10と一体に形成されているので、これらは一体としてともに準備される。水栓本体8に外殻部材10の内部に水栓機能ユニット12を設ける工程が実行される。また、水栓本体8の水栓機能ユニット12に操作ハンドル2、湯供給管14及び水供給管16等が取付けられる工程も実行される。
【0040】
次に、図2において矢印Bにより示すように、スパウト内流路形成部材20をスパウト部材4の第1開口部4aからスパウト部材4の内部に挿入することによりスパウト内流路形成部材20がスパウト部材4内の二次側通水路18を形成する工程が実行される。スパウト内流路形成部材20をスパウト部材4内に挿入した後、蓋部26が第1開口部4aに取付けられ、第1開口部4aが閉止される。
【0041】
次に、図6に示すように、アダプタ部材24のアダプタ外観部28と止め輪42とをスパウト内流路形成部材20に取付けるため、止め輪42をアダプタ外観部28の内側に配置する工程が実行される。このとき、止め輪42は、自然状態となっており、フランジ部44と接している。
【0042】
図7に示すように、止め輪42及びアダプタ外観部28がスパウト内流路形成部材20に向かって挿入される工程が実行される。アダプタ外観部28と止め輪42とは中心軸線A2に沿ってスパウト内流路形成部材20に向かって挿入される。止め輪42は第1テーパ部46と接することにより、奥側に進むにつれて徐々に止め輪42の外径が広げられる。止め輪42はフランジ部44により奥側に向けて押されている。
挿入ガイド部52は第1テーパ部46及び外装側部分20aの直線部分20cに沿って、アダプタ外観部28及び止め輪42の挿入方向を中心軸線A2の向きにガイドする。
【0043】
図8に示すように、止め輪42がさらに奥側に向けて挿入されると、止め輪42の円弧部分42aが第1テーパ部46の終端部46aに到達する。止め輪42はフランジ部44により奥側に向けて押し進められる。
図9に示すように、止め輪42の円弧部分42aが第1テーパ部46の終端部46aを乗り越えると止め輪42の円弧部分42aが止め輪保持部48と嵌合して比較的安定的な保持状態を形成する。
【0044】
図10に示すように、止め輪42が止め輪保持部48と嵌合した状態で、アダプタ外観部28の第2テーパ部50は、止め輪42の第3テーパ部42bによって支持される。よって、アダプタ外観部28は、止め輪42及びスパウト内流路形成部材20から外れにくく且つスパウト内流路形成部材20に接続された状態となる。
【0045】
次に、図11に示すように、アダプタ通水部30がスパウト内流路形成部材20に向かって挿入される工程が実行される。このとき、第1シール部材36もアダプタ通水部30と共に挿入される。第1シール部材36によりアダプタ通水部30とスパウト内流路形成部材20とが水密に接続される。
【0046】
次に、図11に示すように、アダプタ通水部30がスパウト内流路形成部材20に接続された後、吐水口形成部材22がスパウト内流路形成部材20に向かって取付けられる工程が実行される。このとき第2シール部材38も吐水口形成部材22と共に挿入される。第2シール部材38によりアダプタ通水部30と吐水口形成部材22とが水密に接続される。吐水口形成部材22の吐水口形成部材ねじ部22aは、アダプタ部材ねじ部34と螺合され、吐水口形成部材22はアダプタ外観部28に固定される。よって、図5に示すように、吐水口形成部材22をスパウト部材4の下面4cより下方側に突出させた状態で取付けることができる。
【0047】
上述した本発明の一実施形態による水栓装置1によれば、水栓本体8とスパウト部材4との間の継ぎ目を無くすように、水栓本体8と一体に形成され且つ水栓本体8と交差する方向に延びるスパウト部材4において、二重管構造を形成するためには、スパウト内流路形成部材20を第1開口部4aからスパウト部材4の内部に挿入することによりスパウト部材4内の流路を形成する。
これにより、仮に吐水口形成部材22をスパウト内流路形成部材20に直接接続する場合には、取付部分がスパウト部材4内の第1開口部4aの大きさよりも半径方向内側に位置し、吐水口形成部材22を第2開口部4bより下方側に突出させた状態で取付けることができず、吐水停止後等に水が表面張力により吐水口形成部材22の吐水口6からスパウト部材4の第2開口部4b及びさらに下方側の外面に沿って水栓本体8の設置面F1に流出してしまう恐れがある。
本実施形態においては、スパウト部材4がスパウト内流路形成部材20を第1開口部4aからスパウト部材4の内部に挿入することによりスパウト部材4内の流路を形成するように構成されている場合であっても、アダプタ部材24がスパウト部材4の第2開口部4bから挿入されることによりスパウト内流路形成部材20と接続され、さらに、アダプタ部材24は、スパウト内流路形成部材20から第2開口部4bに向かう流路を形成すると共に、吐水口形成部材22をスパウト部材4の第2開口部4bより下方側に突出させた状態で取付けることができる。よって、吐水停止後等に水が表面張力により吐水口形成部材22の吐水口6からスパウト部材4の第2開口部4b及びさらに下方側の外面に沿って流出してしまうことを抑制することができる。また、アダプタ部材24の長さを変更する又は異なる長さのものに取り換えることにより、吐水口形成部材22のスパウト部材4の第2開口部4bより下方側への突出量を自由に設定することができる。
【0048】
また、本発明の一実施形態による水栓装置1によれば、アダプタ部材24において、アダプタ部材24の外観を形成し且つスパウト内流路形成部材20と吐水口形成部材22とを接続するアダプタ外観部28と、スパウト内流路形成部材20から吐水口形成部材22まで延びる流路を形成するアダプタ通水部30とを分けることができる。このため、外観を形成するアダプタ外観部28に金属材料を用いた場合に、アダプタ通水部30内を通水する水がアダプタ外観部28の金属に接触することを抑制することができる。
【0049】
さらに、本発明の一実施形態による水栓装置1によれば、第1テーパ部46は、止め輪42を第2開口部4b側から第2開口部4bの奥側に向けて挿入するにしたがって止め輪42の外径を広げることができ、止め輪42は第1テーパ部46の終端部46aよりも奥側において第1テーパ部46の終端部46aの外径よりも小さな外径を有する止め輪保持部48に保持されることができる。よって、止め輪42を第1テーパ部46から止め輪保持部48まで挿入することによりアダプタ部材24とスパウト内流路形成部材20とを接続することができる。
【0050】
さらに、本発明の一実施形態による水栓装置1によれば、第1テーパ部46の終端部46aは、止め輪保持部48と隣接して形成されている。これにより、止め輪42が十分に止め輪保持部48に保持されていない状態においては、止め輪42が自身の弾性力により第1テーパ部46の終端部46aから基端部46bに向けて抜けるように移動することができる。よって、止め輪42が十分に止め輪保持部48に保持されていない状態のまま、止め輪42が第1テーパ部46の終端部46a近傍に留まってしまうことを抑制することができる。
【0051】
さらに、本発明の一実施形態による水栓装置1によれば、第2テーパ部50は第2開口部4bの奥側に向かうにつれて内側に傾斜しているので、アダプタ部材24に第2開口部4bの手前側に抜ける力がかかる場合に、第2テーパ部50によって止め輪42に半径方向内側の止め輪保持部48に向かう力がかかる。よって、止め輪42は、止め輪保持部48により強く保持され、止め輪42が止め輪保持部48から脱落することを抑制することができる。
【0052】
さらに、本発明の一実施形態による水栓装置1によれば、挿入ガイド部52がアダプタ外観部28の挿入方向に沿って延び、アダプタ外観部28の挿入をガイドできるので、アダプタ部材24の挿入(組立)の作業性を向上させることができる。また、アダプタ外観部28が挿入ガイド部52を備えることにより、アダプタ部材24の挿入時に、止め輪42及びアダプタ外観部28の中心軸の位置合わせが比較的容易となり、挿入の作業性を向上させることができる。
【0053】
さらに、本発明の一実施形態による水栓装置1によれば、止め輪42が、樹脂製のCリング部材であるので、アダプタ部材24がスパウト内流路形成部材20から抜ける抜け止めの効果を奏すると共に、止め輪42を第2開口部4b側からスパウト内流路形成部材20に向けて挿入する作業を比較的簡単に行うことができる。よって、抜け止めの効果と挿入する作業の作業性の向上とをバランスよく実現することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 :水栓装置
2 :操作ハンドル
4 :スパウト部材
4a :第1開口部
4b :第2開口部
4c :下面
6 :吐水口
8 :水栓本体
10 :外殻部材
12 :水栓機能ユニット
14 :湯供給管
16 :水供給管
18 :二次側通水路
20 :スパウト内流路形成部材
20a :外装側部分
20b :開口部側端部
20c :直線部分
22 :吐水口形成部材
22a :吐水口形成部材ねじ部
24 :アダプタ部材
26 :蓋部
28 :アダプタ外観部
30 :アダプタ通水部
32 :接続部
34 :アダプタ部材ねじ部
36 :第1シール部材
38 :第2シール部材
40 :アダプタ流路
42 :止め輪
42a :円弧部分
42b :第3テーパ部
44 :フランジ部
46 :第1テーパ部
46a :終端部
46b :基端部
48 :止め輪保持部
50 :第2テーパ部
50a :終端部
52 :挿入ガイド部
A1 :回転中心軸線
A2 :中心軸線
F1 :設置面
H :所定高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11