(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】金属接合方法
(51)【国際特許分類】
B23K 20/02 20060101AFI20220801BHJP
B23K 20/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
B23K20/02
B23K20/00 340
B23K20/00 310A
(21)【出願番号】P 2017243612
(22)【出願日】2017-12-20
【審査請求日】2020-12-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 富山県工業技術センター研究報告書 No.31 2017 平成29年7月28日発行第6-7ページに発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 一般社団法人溶接学会全国大会講演概要 第101集(2017-9) 平成29年8月9日発行第324-325ページに発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000236920
【氏名又は名称】富山県
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】山岸 英樹
(72)【発明者】
【氏名】柿内 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-293813(JP,A)
【文献】特開2006-175502(JP,A)
【文献】特開昭61-289987(JP,A)
【文献】特開2007-15018(JP,A)
【文献】特許第5830727(JP,B2)
【文献】特公昭43-432(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/00 - 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固相状態の金属材料同士を重ね合わせた状態で
機械的加圧装置を用いて所定の衝撃荷重を加えて機械的に加圧し、前記金属材料同士が接した界面で塑性流動を生じさせるとともに界面の面積を増大させ、前記界面の少なくとも一方の金属材料に他方の金属材料の原子が拡散した拡散層を形成させて前記金属
材料同士を一体に接合
する金属接合方法
であって、
前記金属材料は、接合表面の研磨処理を施してない材料同士を用い、前記金属材料の前記塑性流動を容易にする温度であって、前記加圧時にも液相を生じない温度に加熱した状態で、前記加圧を行い、
前記加圧の保持時間は3秒以下であり、
前記加圧により、前記金属材料の各々接する側の表面が、塑性流動により酸化膜が破られ互いの接合面に新生面が現れるとともに前記表面同士の接合面積が増大して前記拡散層を形成し、前記金属
材料同士を一体に接合することを特徴とする金属接合方法。
【請求項2】
前記塑性流動を容易にする温度は、250℃~450℃である請求項1記載の金属接合方法。
【請求項3】
前記加圧の圧力は、100MPa~700MPaである請求項2記載の金属接合方法。
【請求項4】
前記拡散層は、ナノメートルオーダーである請求項1記載の金属接合方法。
【請求項5】
前記金属材料は互いに異種の
金属である請求項2又は3記載の金属接合方法。
【請求項6】
前記金属材料は、鍛造処理を施す鍛造材である請求項4記載の金属接合方法。
【請求項7】
前記加圧の保持時間は1秒以下である請求項3又は4記載の金属接合方法。
【請求項8】
前記金属材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金と、マグネシウム又はマグネシウム合金である請求項5記載の金属接合方法。
【請求項9】
前記金属材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金同士である請求項2又は3記載の金属接合方法。
【請求項10】
前記金属材料は、マグネシウム又はマグネシウム合金同士である請求項2又は3記載の金属接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種又は同種の金属材料同士を固相の状態で接合する金属接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば自動車分野において、車両の軽量化や輸送エネルギーの削減等のために、金属構成部材の複合化が進められている。特に軽量な高機能素材として、アルミニウム合金を主とした軽金属材料の活用、およびこれらを用いて複数の金属を一体化した素材、方法が種々提案されている。
【0003】
従来、金属材料を接合する方法としては、素材を融点以上にする溶融溶接が一般的であるが、接合時に要するエネルギーも大きく、さらには異種金属においては、脆弱な金属間化合物相を生成し、実用強度を有する接合そのものが難しいという問題もあった。例えば、自動車で最も利用されている接合方法の一つに抵抗溶接法がある。これはジュール熱で接合界面を溶融溶接するものである。しかしながら本法では、金属間化合物生成の問題により異材への適用ができないほか、同種材同士の接合であっても、例えば電気抵抗の小さいアルミにおいては、高電流が必要となるから抵抗溶接機の電極が早期に消耗し、適用が困難という問題を抱えている。
【0004】
このため、自動車車両を中心として異材接合技術の必要性が高まるなか、金属間化合物の生成を抑制するための固相接合法など、これに対応した新たな接合法が必要となっている。しかし、従来の固相接合法では、実生産への適用が極めて困難である。例えば、拡散接合では、接合性に大きな影響を及ぼす酸化膜の除去のため、接合面を十分に研磨した上で、接合中に酸化しないよう不活性ガスなどの雰囲気が必要であるほか、高温で長時間の保持が必要となり量産性に極めて乏しい。また摩擦攪拌接合(Friction stir welding: FSW)や圧延を利用した圧接等では、得られる強度が小さい上、拘束治具の制約および適用形状への制約も非常に強い。例えば、FSWでは基本的に線もしくは点接合に限られ、また圧延では平面接合に限られる。これらの手法では、従来の抵抗溶接等で行われているような、空間上の点接合など、適用形状への高い自由度かつサイクルタイム数秒以下のハイサイクル加工に対応することが困難である。
【0005】
そこで、比較的生産性の高い固相接合技術として、特許文献1,2には、アルミニウム等の金属材料を機械的に接合するかしめ接合方法と材料が開示されている。かしめ接合は、パンチとダイにより材料を塑性変形させて、部材同士を圧接させ変形部の係合により機械的に接合するものである。また、特許文献3に開示されているように、板金を圧接により接合する板金結合方法であって、第1の板金と第2の板金とを重ね合わせて第1の板金側から局所的にピンで押圧して、膨張部により機械的に結合させる板金結合方法も提案されている。
【0006】
また、特許文献4に開示されているように、異種金属を接合した材料として、アルミニウム合金の板材と、ニッケル合金またはチタン合金等の板材と、マグネシウム合金の板材とを積層して、圧延し一体化して成るクラッド材もある。
【0007】
そのほか、本願発明者らは、特許文献5に開示されているように、アルミニウム合金とマグネシウム合金の組合せにおいて、油圧プレス装置を用いて、静的な荷重付加において異材の結合部材とその製造方法を開発した。この結合部材は、インサート材として、マグネシウムとは相互溶解度がほぼないが、マグネシウム合金中のアルミニウム成分との反応性が良い純チタンを用いて、アルミニウム合金とマグネシウム合金を油圧装置により高圧をかけて接合したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-90354号公報
【文献】特開2010-279961号公報
【文献】特開2016-165760号公報
【文献】特開2015-202680号公報
【文献】特許第5830727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1,2,3に記載された接合構造は、いずれも冶金反応による接合方法ではなく、機械的に接合されたものであり、接合強度及び信頼性が低く、界面での剥離が生じやすいものである。また、特許文献4に開示されたクラッド材は固相状態における冶金的な接合であるが、圧延プロセスのため適用形状における自由度が極めて低いほか、その接合強度も低く、例えば自動車車両の生産ラインに用いられる従来の抵抗溶接の代替適用などは不可能である。同様に、特許文献5に開示された結合部材も、油圧プレス装置で部材を静的に加圧し接合するもので、荷重保持時間20秒、1プロセスで数十秒以上と、接合のための処理時間が掛かり、自動車車両の生産ラインに用いるには生産性に問題があった。
【0010】
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、同種及び異種材に限らず金属材料同士を任意の接合形状において、固相状態で高速かつ高強度に接合することができる生産性に優れた金属接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、固相状態の金属材料同士を重ね合わせた状態で所定の衝撃荷重を加えて機械的に加圧し、前記金属材料同士が接した界面で塑性流動を生じさせるとともに界面の面積を増大させ、前記界面の少なくとも一方の金属材料に他方の金属材料の原子が拡散した拡散層を形成させて前記金属材料同士を一体に接合する金属接合方法である。
【0012】
前記金属材料は、前記金属材料の前記塑性流動を容易にする温度であって、前記加圧時にも液相を生じない温度に加熱した状態で、前記加圧を行うことが好ましい。さらに、前記金属材料が互いに異種の金属の場合、前記金属材料同士の間に適切なインサート材を介在させて、前記加圧を行い中間層を介して接合させても良い。
【0013】
前記金属材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金と、マグネシウム又はマグネシウム合金である。又は、前記金属材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金同士でも良く、マグネシウム又はマグネシウム合金同士でも良い。これらの異材接合においては、インサート材として、シート状もしくは粒子状のチタンを介在させると良い。同種材接合においては、インサート材は無くても良い。
【0014】
前記加圧保持時間は3秒以下であり、荷重付加においては瞬間的な衝撃荷重(材料接触時の速度として100mm/s以上)を与えられると良い。
【0015】
また本発明は、固相状態の金属材料同士を重ね合わせた状態で前記金属材料同士を支持するとともに前記金属材料の塑性変形を許容する支持部と、前記支持部に保持された前記金属材料に所定の衝撃荷重を加え、前記金属材料同士が接した界面に塑性流動を生じさせ前記界面の面積を増大させて、前記界面の少なくとも一方の金属材料に他方の金属材料の原子が拡散した拡散層を形成する機械的加圧装置とを備えた金属接合装置を用いるものである。
【0016】
前記機械的加圧装置は、往復動する可動部と、この可動部に力を加えて加圧動作を行う駆動部とを有し、前記駆動部により前記可動部を作動させ、前記可動部の材料接触時の速度が100mm/s以上で、前記金属材料を挟んで前記支持部と前記可動部により前記金属材料に前記加圧動作を行うものである。特に、前記機械的加圧装置は、高速動作が可能な油圧、空圧もしくは電動モーター等の単軸アクチュエータを有するC型フレーム等のロボット(ロボットガン)あるいはサーボモータ等で駆動される機械式プレス装置が好ましい。
【0017】
また本発明は、固相状態の金属材料同士を重ね合わせた状態で前記金属材料同士を支持するとともに前記金属材料の塑性変形を許容する支持部と、前記支持部に保持された前記金属材料に所定の衝撃荷重を加え、前記金属材料同士が接した界面に塑性流動を生じさせ前記界面の面積を増大させて、前記界面の少なくとも一方の金属材料に他方の金属材料の原子が拡散した拡散層を形成する機械的加圧装置とを有した金属接合装置を備え、互いに接合する金属部材を重ねて前記金属接合装置に供給する金属部材供給装置と、前記機械的加圧装置により接合された金属部材を前記金属接合装置から搬出する金属部材搬出装置を備えた金属部材接合システムに用いることができる。
【0018】
前記金属接合装置は、金属製品の製造ラインに配置されるものである。特に、前記金属接合装置は、所定の制御装置により駆動されるロボットに設けられているものである。
【0019】
また、前記金属接合装置は、金属製品の製造ラインに複数台配置され、順次前記金属部材供給装置と前記金属部材搬出装置により、前記金属部材を前記複数の前記金属接合装置に搬入及び搬出可能に設けられたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の金属接合方法によれば、アルミニウム部材やマグネシウム部材、鉄や銅等の合金、その他種々の金属材料を固相状態において、短時間で効率よく高強度に接合することができる。これは、瞬間的な衝撃荷重により塑性流動を生じさせ表面の酸化膜を除去するとともに極短時間の荷重保持時間により極めて薄い拡散層を形成し、脆弱な金属間化合物相の生成をナノメートルオーダーに抑え込むことによる。また、接合対象の金属の形状も問わないものであり、多くの金属製品に適用可能なものである。さらに、異種金属材料同士の接合においては、適切なインサート材の中間層を介在させることにより、より高強度な接合が可能になる。
【0021】
また、本発明によれば、従来の抵抗溶接等のライン設備や汎用プレス機から置き換えることができ、導入が容易であるとともに、特に、自動車車両生産ライン等において最も活用されている抵抗溶接法の代替として、これまで対応が困難であったアルミニウム合金同士あるいは異種金属の組合せの接合にも対応し、生産性の高い高強度接合が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の金属接合方法の実施形態の概念を示す接合処理前の概略正面図(a)と、接合処理後の概略正面図(b)である。
【
図2】本発明の一実施形態に用いる金属接合装置であるACサーボプレス装置の概略斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に用いる金属接合装置であるロボットガンタイプのプレス装置の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態の金属接合装置を複数用いて、複数の接合箇所について並列に接合処理する金属部材接合システムを説明する概念図である。
【
図5】本発明の一実施形態の金属接合装置を複数用いて、複数の接合箇所について順次処理する金属部材接合システムを説明する概念図である。
【
図6】本発明の金属接合方法の一実施例のマグネシウム合金部材とアルミニウム合金部材の接合処理前(a)と、接合処理後(b)を示す写真である。
【
図7】本発明の金属接合方法による実施例のチタンとマグネシウム合金部材の接合界面断面の透過型電子顕微鏡明視野像(a)と、さらにその拡大像(b)である。
【
図8】本発明の金属接合方法による実施例の引張試験後の破面(破壊界面は、チタンとマグネシウム合金部材の間であり、そのチタン側破断面)の走査型電子顕微鏡反射電子像(a)と、さらにその拡大像(b)である。
【
図9】本発明の金属接合方法による実施例の素材予熱温度が引張強さに及ぼす影響を示すグラフである。
【
図10】本発明の金属接合方法による実施例のチタンインサート材の厚さが引張強さに及ぼす影響を示すグラフである。
【
図11】本発明の金属接合方法による実施例の荷重保持時間(下死点保持時間)が引張強さに及ぼす影響を示すグラフである。
【
図12】本発明の金属接合方法による実施例の接合界面の研磨処理が引張強さに及ぼす影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。この実施形態の金属接合部材10は、
図1、
図6に示す実施例のように、マグネシウム合金からなるマグネシウム合金部材12と、アルミニウム合金からなるアルミニウム合金部材14を、後述する製造方法により接合したものである。マグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14の間には、チタンのシート材から成るインサート材16の中間層16aが介在している。
【0024】
マグネシウム合金部材12は、マグネシウムを主成分とする合金である。マグネシウム合金は、添加元素としては、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、リチウム等がある。これらの添加金属の配合を調整することにより、マグネシウム合金の特性を変えることができる。特に、添加金属は、アルミニウムや亜鉛であると、汎用性があり好ましい。
【0025】
アルミニウム合金部材14は、アルミニウムを主成分とする合金である。アルミニウム合金の添加元素としては、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケル等がある。これらの添加金属の配合を調整することにより、アルミニウム合金の特性を変えることができる。アルミニウム合金としては、例えばAl-Cu系合金(ジュラルミン)、Al-Mn系合金、Al-Si系合金、Al-Mg系合金、Al-Mg-Si系合金、Al-Zn-Mg系合金、Al-Zn-Mg-Cu系合金等がある。
【0026】
インサート材16は、接合界面での脆弱な金属間化合物相の過剰な生成を抑制し、マグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14の固相接合強度を高めるもので、この母材の組合せの場合は、シート状あるいは粒子状のチタンが好ましい。なお、ニッケル、又は銅でも良いが、接合強度は、チタンが最も高い。シート状の場合、インサート材16の接合処理前の厚みは、10μm~3mmの範囲であれば良い。特に0.3mm~1mmの範囲とすると、入手性も良くコスト的にも安価な上、接合面の加圧力が均等で、接合時のインサート材16の破れもない。インサート材16の厚みが10μm未満であると、加圧時にインサート材16が破れ、接合が不十分となる場合があり、接合強度にバラツキが生じる場合もある。一方、インサート材16の厚みが3mmを超えると、余分な質量が大きくなり、コスト高になる欠点もある。
【0027】
金属接合部材10は、後述する実施例の
図7(a),(b)に示す透過型電子顕微鏡明視野像の通り、マグネシウム合金部材12とインサート材16によるチタンの中間層16aとの界面には、マグネシウム合金とチタンからなる第1拡散層17が形成されている。なお、このチタンとマグネシウム合金部材の接合界面は、後述する実施例の引張試験における破壊界面となる。また、アルミニウム合金部材14とインサート材16による中間層16aとの界面には、同様に、アルミニウム合金とチタンからなる図示しない第2拡散層が形成される。
【0028】
金属接合部材10は、マグネシウム合金部材12とチタンのインサート材16の中間層16aの界面において、成形時の塑性流動による第1拡散層17が形成され、金属原子同士の接合により冶金的にも一体的に接合し、かつ機械的なアンカー効果を有し結合している。同様に、アルミニウム合金部材14とチタンのインサート材16の中間層16aの界面においても、成形時の塑性流動による図示しない第2拡散層が形成され、金属原子同士の接合により冶金的に一体的に接合し、かつアンカー効果を有し結合している。
【0029】
次に、金属接合部材10の製造方法について説明する。金属接合部材10は、マグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14を、チタンのインサート材16を介して積層し、所定の加熱を施して衝撃的な荷重により加圧する。これにより、マグネシウム合金部材12と、インサート材16による中間層16aと、アルミニウム合金部材14が一体となって接合する。
【0030】
以下、この実施形態の製造方法における各条件等について詳しく説明する。マグネシウム合金部材12とインサート材16及びアルミニウム合金部材14の、各々接する側の面の表面は、塑性流動による接合面積の増大により、酸化膜等が破られ、新生面にて互いに容易且つ良好に拡散層を形成するので、後述する実施例の通り、研磨処理を施してない材料でも良好に接合する。なお、各素材表面の平均算術粗さ(Ra, JIS B 0601)を、0.2μm以下に研磨しておても良い。これにより、さらに高強度に接合させることができる。
【0031】
接合加工時の各材料の予熱温度は、チタンをインサート材としてアルミニウム合金とマグネシウム合金を接合する場合、予熱温度が250℃~450℃であり、好ましくは300℃~400℃が良い。予熱温度が250℃以下であると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、塑性流動が小さくなる結果、接合が不十分となる場合がある。また、予熱温度が450℃以上であると、加工発熱もあるため部分的な液相化が生じる場合があり、バリやクラックが生じやすくなり、外観上にも問題が生じる場合がある。
【0032】
この場合の加圧力は、100MPa~700MPaであり、200MPa~300MPaが好ましく、必要な接合強度が得られればより低い圧力で良い。圧力が100MPa未満であると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、接合が不十分となる場合があり、圧力が700MPaを超えると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、塑性流動が大きくなり過ぎ、インサート材が破れ、マグネシウム合金とアルミニウム合金の直接反応による脆弱な金属間化合物相が生成し、さらにこの金属間化合物相においてクラックやカーケンダルボイド等の欠陥の生成により強度が低下する場合がある。
【0033】
加圧方法は、所望の圧力を得ることができる汎用プレス機や単軸アクチュエータ等の加圧装置であれば良く、種類は問わない。本実施例における下死点までの成形時間は約0.4秒であり、後述するように、プレス機による可動部のコンタクト時のスライドの速度は、100mm/s以上が好ましい。また、加圧時間は、後述する実施例の通り極短くて良く、プレス機械等による加圧時間は5秒以下で十分あり、その下死点での荷重保持時間は1秒以下で良く、接合に必要な衝撃荷重を加えることができれば良い。また、圧力制御が行えない機械式プレスでの加工の場合、適切な荷重がかかるようにスライド調整することで、下死点保持時間は0秒としても良い。
【0034】
加熱加圧する方法も特に限定されず、例えば、予め電気炉等で加熱して熱間鍛造と同様に接合加工しても良く、あるいは加圧加工時にレーザ光、フレイム、通電、又は電磁誘導等により接合箇所を局所的に所定温度に加熱する方法でも良い。加熱環境は、大気圧下で行う方が生産性やコストの面で好ましいが、不活性ガス雰囲気で行っても良い。これにより、酸化皮膜の形成を抑制できる。なお、加熱により組織が焼きなまされるため、接合界面の強度よりもアルミニウム合金母材の方が、強度が小さくなる場合がある。このため、継手全体の強度を高めるため、アルミニウム合金の種類によっては、接合後、更に溶体化処理と時効処理とを行っても良い。
【0035】
この実施形態による金属接合部材10は、マグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14がチタンの中間層16aを介して接合し、接合部分の界面には中間層16aの両側に、第1拡散層17及び図示しない第2拡散層が形成され、塑性流動によるアンカー効果とともに冶金的に一体的に高強度に接合している。この金属接合部材10により、軽量で耐食性及び機械的強度が高い複合金属製品を形成することができる。あるいは軽量なアルミニウム合金やマグネシウム合金の表面を、より耐食性や耐摩耗性に優れるチタンで被膜する表面改質加工技術としても利用できる。このように成形とともに接合や表面改質が可能になる。これにより、自動車のシャーシや骨格、その他各種の構造部分、足回りなどの鍛造部品等に適用可能であり、さらには車両分野以外の電気製品や住宅設備その他各種の金属構造物や金属構成部材、金属製品に適用可能なものである。
【0036】
さらに、この実施形態による金属接合部材10の製造方法によれば、マグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14をチタンのインサート材16を介して、プレス機械や単軸アクチュエータ等で衝撃的な加圧を行うだけで、高強度に接合することができ、製造が容易であり、従来の抵抗溶接のような高い生産性で、かつ異材にも対応できる。特に、プレス装置や加熱装置も選ばず、製造する金属製品に合わせて適宜のプレス装置やその他の加圧装置、加熱装置を利用することができる。
【0037】
次に、この発明の金属接合方法を実施するための装置について、以下に説明する。この実施形態の金属接合装置は、機械的加圧装置であるACサーボプレス装置等の機械式プレス装置が好ましく、生産性も良い。以下、
図2を基に、ACサーボプレス装置を用いた金属接合装置20について説明する。金属接合装置20は、金属材料の塑性変形を許容する構造の支持部であるボルスタ22及び図示しない支持用治具を有し、支持部に設置されて保持された接合対象金属材料に所定の衝撃荷重を加え、金属材料同士が接した界面に塑性流動を生じさせ界面の面積を増大させて、界面の少なくとも一方の金属材料に他方の金属材料の原子が拡散した拡散層を形成する機械的加圧装置であるACサーボプレス装置24を備える。さらに、機械的加圧装置であるACサーボプレス装置24は、往復動する可動部であるスライド26と図示しない加圧治具と、この可動部に力を加えて加圧動作を行う図示しないACサーボモータ等の駆動部とを有し、駆動部により可動部を作動させ、接合する金属材料を挟んで支持部と可動部により、金属材料に加圧動作を行い、前記金属材料同士を接合する。
【0038】
図2に示すACサーボプレス装置24は、本体フレーム21の中央部に、スライド26が上下動自在に設けられ、スライド26に対向する下方には、本体フレーム21に固定されたベッド28が位置し、ベッド28上にボルスタ22が設置されている。本体フレーム21の前側には、コントロールパネル30が設けられ、本体フレーム21の側面に、コントロールパネル30に接続された制御装置32が設けられている。
【0039】
ACサーボプレス装置24は、図示しないACサーボモータによりスライド26が上下に駆動され、スライド26の下端部に、接合する金属材料を加圧して塑性流動を生じさせる加圧治具が取り付けられる。ACサーボモータによるスライド26の駆動機構は公知の機械的機構により構成され、スライド26の降下速度は、100mm/s以上が好ましく、所望の衝撃力でプレスする。そして、支持部であるボルスタ22及び図示しない支持用治具と、可動部であるスライド26及び図示しない加圧治具は、接合する金属材料の塑性変形を許容するように構成され、支持用治具と加圧用治具により金属材料を挟持し、機械的加圧装置であるACサーボプレス装置24により、金属材料を挟持した状態で塑性変形を生じさせ、互いに接合する。
【0040】
この実施形態の金属接合装置20によれば、アルミニウム部材やマグネシウム部材等、種々の金属材料を、溶接や機械的連結と比較して、極めて効率よく安価に、且つ高強度に固相接合することができる。従来の抵抗溶接と同等なサイクルタイムで、かつ抵抗溶接では困難であった各種の異材接合や電気抵抗の小さいアルミ同士等の接合にも適用できる。しかも、接合部分の形状も問わないものであり、多くの金属製品に適用可能なものである。さらに、表面改質の用途にも適用できる。
【0041】
次に、この発明の金属接合方法を実施するための他のタイプの金属接合装置について、
図3を基にして説明する。この実施形態の金属接合装置30は、機械的加圧装置であるロボットガンタイプのプレス装置32により金属接合を行うものである。プレス装置32は、金属材料の塑性変形を許容する構造の支持部である固定ピン34と、固定ピン34が一端部に固定された支持用フレーム36を備える。支持用フレーム36はC字形状に形成され、その他端部には、固定ピン34と対向してプレス動作を行う可動ピン38を有している。可動ピン38は、往復動可能に設けられ、この可動ピン38に加圧力を与えて加圧動作を行う駆動部40が、支持用フレーム36の上方に設けられている。駆動部40は、モータや油圧、空圧で可動ピン38を往復動させる。駆動部40は、可動ピン38を突出方向に作動させ、接合する金属材料を挟んで支持部である固定ピン36と対向させ、接合対象金属材料に所定の衝撃荷重を加え、金属材料同士が接した界面に塑性流動を生じさせる。
【0042】
図3に示すロボットガンタイプのプレス装置32は、固定ピン34と可動ピン38が設けられた支持用フレーム36が回動軸42を介して、多関節ロボット50のアーム44に取り付けられている。多関節ロボット50は、アーム44とアーム46を有し、アーム44,46は、回動軸48で連結され、アーム48の基端部は、回動軸52を介してロボット本体駆動部54に取り付けられている。アーム46はロボット本体駆動部54により、揺動可能に設けられている。さらに、多関節ロボット50の回動軸42には、駆動モータ56が設けられ、回動軸48には駆動モータ58が設けられ、各々支持用フレーム36、アーム44を揺動可能に形成されている。
【0043】
この実施形態の金属接合装置30によれば、従来の抵抗溶接法と同様のガンタイプのスポット溶接ロボット等の代わりに用いることができ、より簡単に金属材料同士の接合を行うことができる。また、金属材料同士の接合界面の面積を増大させつつ、界面の少なくとも一方の金属材料に他方の金属材料の原子が拡散した拡散層を形成し、金属材料同士を接合するので、従来の溶接と同様の接合強度でコストを抑えて施工することができる。さらに、アルミニウム部材やマグネシウム部材等の種々の金属材料接合を、容易に行うことができるものである。
【0044】
次に、この発明の金属接合方法を実施した金属部材接合システムについて、
図4、
図5を基にして、以下に説明する。この実施形態の金属部材接合システム60は、マグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14及びチタンのインサート材16から成る固相状態の金属材料同士を重ね合わせ、上述の金属接合装置20,30等を用いて接合するもので、その前工程として、金属接合装置20,30に対して互いに接合するマグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14及びチタンのインサート材16を供給する金属部材供給装置62を備えている。金属部材供給装置62は、搬送用のコンベアや自動機、供給用ロボット等適宜選択可能である。さらに、金属接合装置20,30の機械的加圧装置であるACサーボプレス装置24やロボットガンタイプのプレス装置32により接合された金属接合部材を、搬出する金属部材搬出装置64を備えたものである。金属部材搬出装置64も、搬出用のコンベアや自動機、搬出用ロボット等適宜選択可能である。
【0045】
この金属部材接合システム60は、アルミニウムやマグネシウムの金属製品の製造ラインに、機械的加圧装置であるACサーボプレス装置24等の機械式プレス装置や、所定の制御装置により駆動されるロボットガンタイプのプレス装置32でも良い。例えば、従来の抵抗溶接用ロボットの溶接部分を、この金属接合装置に置き換えても良い。機械的加圧装置20,30の側方には、予熱装置66が設けられている。予熱装置66は、例えばレーザ光や電磁誘導、またはフレイム等により加熱するものであれば良い。
【0046】
さらに、この金属接合装置は、金属製品の製造ラインに複数台配置され、順次金属部材供給装置と金属部材搬出装置により、金属部材を複数の金属接合装置に搬入及び搬出可能に設けられたものでも良い。例えば、
図5に示すように、予熱装置66、金属部材供給装置62、金属接合装置20,30、金属部材搬出装置64が直列に設けられ、順次所定の加工等の処理を行うものでも良い。
【0047】
この実施形態の金属部材接合システムによれば、これまでの各種金属材料の溶接等による接合に置き換えることができ、例えば、従来の抵抗溶接と同等なサイクルタイムで、かつ抵抗溶接では困難であった各種の異材接合や電気抵抗の小さいアルミ同士等の接合にも適用できる。各種の製品の製造工程において、金属部材の接合工程を簡易な装置で、省エネルギーで行うことができるようになり、省スペースで大幅なコストダウンも図ることができる。
【0048】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。金属接合部材10は、マグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14を、チタンのインサート材16による中間層16aを介して、加熱下で接合加工したが、チタン以外のニッケルや銅を介して接合しても良く、接合する金属や用途によっては、インサート材16を介さずに接合加工しても良い。さらに、インサート材は、シート状以外に、粒子状のチタンを用いても良い。
【0049】
また、この実施形態の金属接合装置は、アルミニウムやアルミニウム合金同士を、上記と同様の工程及び装置で接合するものでも良い。この場合、インサート材は不要である。例えば、アルミニウム合金であっても組成及び機械的性質が異なる、圧延材、押出材、鋳造材及び鍛造材など、種々の異なる部材からなる自動車車両のスペースフレーム構造等の各部材の接合に適用できる。
【0050】
さらに、この実施形態の金属接合装置は、その他の材料として、鉄と他の金属を、上記と同様の工程及び装置で接合するものでも良い。例えば、自動車車両のスペースフレーム等における構造用鋼材とアルミニウム合金押出材等との接合に適用できる。
【0051】
また、金属接合装置及び金属部材接合システムの構成は、上記金属製都合方法を実施可能な構成であれば、適宜の装置を用いることができ、装置の駆動方法も問わないものである。
【実施例】
【0052】
以下、本発明の実施例について測定結果を示す図面とともに説明する。ここでは、
図6(a)に示す形状のマグネシウムと微量のアルミニウム等を含むマグネシウム合金部材12と、アルミニウムと微量の銅等を含むアルミニウム合金部材14を、純チタンのインサート材16を挟んで上記の製造方法により接合加工した。これにより、
図6(b)に示す形状に塑性変形し、接合界面でマグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14が中間層16aを介して一体に接合した。
図6に示すマグネシウム合金部材12及びアルミニウム合金部材14のこの実施例における寸法は、プレス前の
図6(a)の状態で、いずれも直径が50mmで高さが50mmの円柱状の部材を用いた。インサート材16は、直径が50mmで厚みが1mmの純チタンのシート材である。以下の実施例において、接合加工処理後の寸法は
図6(b)に示す形状に塑性変形し、直径が82mm、金属接合部材10全体としての高さが38mmである。
【0053】
この実施例の接合加工条件は、予熱温度380℃において実施した。また、加圧は、機械式プレス装置であるACサーボプレス装置を用いて衝撃的に行い(変形開始から下死点まで約0.4秒で成形)、下死点での保持圧力は200MPaまたその保持時間は1秒間として実施した。この場合のサイクルタイム(上死点→下死点→上死点)は約2.8秒である。
【0054】
作成した金属接合部材10は、
図7(a),(b)に示すように、マグネシウム合金部材12と純チタンのインサート材16の界面では、塑性流動により酸化膜が除去、新生面において金属材料の原子が良好に拡散した第1拡散層17が形成され、純チタンの中間層16aを介して高強度に接合している。このときの第1拡散層17の厚さt1は、約5nmの極薄い金属反応層として形成されている。同様に、アルミニウム合金部材14と純チタンのインサート材16の界面では、塑性流動により酸化膜が除去、新生面において金属材料の原子が拡散した図示しない第2拡散層が形成され、純チタンの中間層16aを介して高強度に接合している。このときの図示しない第2拡散層の厚さも同様に、ナノメートルオーダーの薄い金属反応層として形成される。
【0055】
この実施例の金属接合部材10は、引張試験により破断する部位が、マグネシウム合金部材12と純チタンの中間層16aの界面部分である。
図8(a)にその純チタン側の破面の走査型電子顕微鏡組成像を示す。接合界面では第1拡散層17の白く見える純チタンの中間層16a中に、黒く見えるマグネシウム合金部材12のマグネシウムが介在し、両材が高強度に接合していることが分かる。さらに拡大した
図8(b)の走査型電子顕微鏡組成像に示すように、第1拡散層17の白く見える純チタンの中間層16a中に、延性的破壊の証拠であるディンプルが形成されているのが分かり、良材が高強度に接合していることが分かる。
【0056】
この実施例の金属接合部材10の引張強さに及ぼす予熱温度条件の影響について試験した結果を
図9に示す。マグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14の柱状部材について、純チタンのインサート材16(厚さ1mm)を介して、予熱温度を250℃、320℃、380℃及び420℃の4種類において接合加工した。加圧は、高速に動作する機械式プレス装置であるACサーボプレス機を用いて行い、200MPaの圧力制御において、下死点保持時間を1秒とし実施した。これより、接合材料の予熱温度は、マグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14を接合する場合は、300℃以上必要であることが分かった。特に、外観品質も考慮すると、バリやクラックが生じない380℃程度の温度で加工することが望ましいことが分かった。
【0057】
次に、この実施例の金属接合部材10の加工(加圧)前のインサート材16の厚さが引張強さに及ぼす影響について試験した結果を
図10に示す。試験結果から、インサート材16を用いない場合(0mm)は、マグネシウム合金部材12とアルミニウム合金部材14の接合ができなかったが、0.3mm、0.5mm及び1.0mmを用いた場合は、いずれも金属接合部材10には十分な引張強さがあることが分かった。このときの破断面は、インサート材16の何れの厚さでも、マグネシウム合金部材12と純チタンの中間層16aの界面部分であった。従って、インサート材16は、1.0mm以下、特にコスト面等からも生産性の高い0.3mmでも良好な接合強度が得られることが分かった。
【0058】
次に、この実施例の金属接合部材10の、下死点での加圧保持時間が引張強さに及ぼす影響について試験した結果を
図11に示す。試験結果から、下死点での加圧保持時間を長くすれば引張強さは増加する傾向を示すものの、0.1秒でも十分な引張強さが得られることが分かった。本接合加工は、サーボプレス装置等の機械式プレスあるいは単軸アクチュエータ等により、従来の抵抗溶接相当の十分短いサイクルタイムで効率よく行うことが可能であることが分かった。
【0059】
次に、この実施例の金属接合部材10の接合面の前処理について試験した結果を
図12に示す。引張強さに及ぼす接合前の接合面研磨処理の影響である。この試験結果から、接合部材界面の引張強さは、接合面を研磨しておいた方が向上する傾向を示すものの、マグネシウム合金部材12と純チタンのインサート材16及びアルミニウム合金部材14が何れも未研磨であっても、研磨前処理したものに対しそれほど大きな強度低下無く、ほぼ同等の引張強さを示すことが分かった。これは、衝撃的な荷重による接合界面での塑性流動により、界面の面積が増大し、界面の酸化膜等が破れて新生面が生じ、母材とインサート材が良好に拡散、また下死点での保持時間が極短時間であることから、強度の高い極薄い反応相を生成したためと考えられる。従って、拡散反応でありながら当該接合加工のための研磨前処理は各母材及びインサート材とも基本的に不要であり、自動車分野など低コストで高速な加工が求められる生産ラインへの適用性がより高まる。特に当該分野では、従来の抵抗溶接に替わり、今後より必要となる異材接合にも対応した高速固相接合法として利用することができると考えられる。
【符号の説明】
【0060】
10 金属接合部材
12 マグネシウム合金部材
14 アルミニウム合金部材
16 インサート材
16a 中間層
17 第1拡散層
18 第2拡散層
20 金属接合装置
21 本体フレーム
22 ボルスタ
24 サーボプレス装置
26 スライド
28 ベッド