(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】浄水ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
B67D 1/07 20060101AFI20220801BHJP
B67D 1/08 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
B67D1/07
B67D1/08 A
(21)【出願番号】P 2018215320
(22)【出願日】2018-11-16
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-065584(JP,A)
【文献】特開平10-043748(JP,A)
【文献】特開2012-016812(JP,A)
【文献】特開平06-312790(JP,A)
【文献】特開2000-085890(JP,A)
【文献】特開2018-115003(JP,A)
【文献】特開2016-197820(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0279689(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105747874(CN,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0013103(KR,U)
【文献】特表2018-531781(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0125183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00- 3/04
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を貯留する原水タンク(2)と、
交換式の浄水フィルタカートリッジ(3)と、
前記原水タンク(2)と前記浄水フィルタカートリッジ(3)の間を連通する原水管(4)と、
前記原水管(4)の途中に設けられ、前記原水タンク(2)の側から前記浄水フィルタカートリッジ(3)の側に原水を移送する電動ポンプ(5)と、
前記浄水フィルタカートリッジ(3)で濾過した浄水を低温に冷却する冷却装置(7)と、
前記冷却装置(7)で冷却された低温の浄水を外部に注出する冷水注出管(9)と、
前記浄水フィルタカートリッジ(3)の有無を検出するカートリッジ検出部(28)と、
前記電動ポンプ(5)の作動を制御するポンプ制御装置(34)と、を有し、
前記ポンプ制御装置(34)は、前記カートリッジ検出部(28)で前記浄水フィルタカートリッジ(3)を検出したときのみ前記電動ポンプ(5)の作動を許容し、前記カートリッジ検出部(28)で前記浄水フィルタカートリッジ(3)を検出しないときは前記電動ポンプ(5)の作動を禁止するポンプ作動禁止制御手段(S
2、S
4)を有
し、
前記浄水フィルタカートリッジ(3)は、
上端が開口し、
下端が閉塞した有底筒状に形成され、
前記浄水フィルタカートリッジ(3)の上端には、原水入口と浄水出口が設けられ、前記浄水フィルタカートリッジ(3)の内部には、原水を濾過して浄水にする浄水フィルタ(23)と、前記原水入口から前記浄水フィルタ(23)に原水を導く原水導入路(24)と、前記浄水フィルタ(23)から前記浄水出口に浄水を導く浄水導出路(25)とが設けられ、
前記浄水フィルタカートリッジ(3)を収容するカートリッジ収容空間(22)には、前記浄水フィルタカートリッジ(3)の前記
上端が着脱可能に接続されるカートリッジヘッド(26)が設けられ、
前記カートリッジヘッド(26)は、前記浄水フィルタカートリッジ(3)が前記カートリッジ収容空間(22)の内壁(27)と平行となるカートリッジ使用位置と、前記浄水フィルタカートリッジ(3)が前記内壁(27)から離れる方向に傾斜したカートリッジ交換位置との間で前記浄水フィルタカートリッジ(3)が揺動するように回動可能に支持され、
前記カートリッジ検出部(28)は、前記浄水フィルタカートリッジ(3)が前記カートリッジ交換位置にあるときは前記浄水フィルタカートリッジ(3)を検出せず、前記浄水フィルタカートリッジ(3)が前記カートリッジ使用位置にあるときは前記浄水フィルタカートリッジ(3)を検出するように配置されてい
る、
浄水ウォーターサーバー。
【請求項2】
前記原水タンク(2)が、着脱可能に設けられている請求項1に記載の浄水ウォーターサーバー。
【請求項3】
前記浄水フィルタカートリッジ(3)を前記カートリッジ交換位置から前記カートリッジ使用位置に移動させたときに前記浄水フィルタカートリッジ(3)を保持して前記浄水フィルタカートリッジ(3)の揺動を規制するカートリッジホルダ(30)を更に有する、請求項
1または2に記載の浄水ウォーターサーバー。
【請求項4】
前記カートリッジ検出部(28)は、スライド可能に支持されたプランジャ(29)をもつプッシュスイッチであり、そのプッシュスイッチは、前記浄水フィルタカートリッジ(3)が前記カートリッジ交換位置から前記カートリッジ使用位置に揺動したときに前記浄水フィルタカートリッジ(3)の外周との接触により前記プランジャ(29)が押し込まれるように前記カートリッジ収容空間(22)の前記内壁(27)に設けられている請求項
1から3のいずれかに記載の浄水ウォーターサーバー。
【請求項5】
前記浄水フィルタカートリッジ(3)で濾過した浄水を貯留し、前記冷却装置(7)が取り付けられた冷水タンク(6)と、
前記冷水タンク(6)内の水位を検知する水位センサ(20)と、を更に有し、
前記ポンプ制御装置(34)は、前記水位センサ(20)の出力信号に基づいて前記冷水タンク(6)内の水位が下限水位を下回ったと判定したときに前記電動ポンプ(5)を作動させる水位制御手段(S
1、S
3、S
4)を有し、
前記ポンプ作動禁止制御手段(S
2、S
4)は、前記水位制御手段(S
1、S
3、S
4)で前記冷水タンク(6)内の水位が下限水位を下回ったと判定されたときにも、前記カートリッジ検出部(28)で前記浄水フィルタカートリッジ(3)を検出しないときは、前記電動ポンプ(5)の作動を禁止するように構成されている、
請求項1から
4のいずれかに記載の浄水ウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交換式の浄水フィルタカートリッジで水道水などの原水を濾過して使用する浄水ウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある。ウォーターサーバーは、一般に、筐体と、その筐体にセットされる交換式の水ボトルと、その水ボトルから水を導入する冷水タンクと、その冷水タンクから筐体の外部に低温の水を注出する冷水注出管とを有し、冷水注出管に設けられた冷水注出バルブを開くことで、いつでもすぐに適温の美味しい飲料水を利用することができ、優れた利便性をもつ(例えば、特許文献1)。
【0003】
ここで、交換式の水ボトルとしては、採水地で汲み上げた地下水を原水とし、加熱殺菌処理などを行なってボトルに充填したもの(いわゆる天然水ボトル)や、水道水などを原水とし、製水工場の浄水フィルタで浄化してボトルに充填したもの(いわゆるRO水ボトル)が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウォーターサーバーの水ボトルは、通常10~12リットル程度の飲料水が収容されており、10kg以上の重量がある。近年、この水ボトルを配送するための配送コストが上昇しており、ウォーターサーバーを利用するユーザーの経済的負担が大きくなる傾向にある。
【0006】
そこで、本願の発明者は、ウォーターサーバーの水ボトルの配送コストの問題を解決するため、交換式の浄水フィルタカートリッジで水道水などの原水を濾過して使用する浄水ウォーターサーバーを採用するという着想を得た。具体的には、家庭の水道水を原水として貯留する原水タンクと、交換式の浄水フィルタカートリッジと、原水タンクと浄水フィルタカートリッジの間を連通する原水管と、原水管の途中に設けた電動ポンプと、浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を低温に冷却する冷却装置と、冷却装置で冷却された低温の浄水を外部に注出する冷水注出管とを有する浄水ウォーターサーバーを採用するという着想を得た。
【0007】
この浄水ウォーターサーバーは、家庭の水道水を、浄水フィルタカートリッジで濾過して使用するので、水ボトルの配送コストがかからず、ユーザーの経済的負担を抑えることが可能である。
【0008】
ここで、家庭の水道水を、浄水フィルタカートリッジで濾過して使用する方法として、水道の蛇口に一般的な浄水器を直結するという方法が考えられるが、一般的な水道直結型の浄水器は、水道のある場所(台所や給湯室)かその近傍に設置することが前提となるため、設置場所の選定に大きな制約を受ける。また、浄水を低温に冷却する冷却機能が無いため、利便性に劣る。
【0009】
これに対し、上記構成の浄水ウォーターサーバーは、原水としての水道水をいったん原水タンクに貯留し、その原水タンクから浄水フィルタカートリッジに電動ポンプで原水を送り込むので、水道のある場所(台所や給湯室)に限らず、水道から遠い場所(居間や待合室など)にも設置することができる。しかも、浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を、いつでも低温に冷却した状態で利用することができるという利点がある。
【0010】
ところで、上記の浄水ウォーターサーバーは、浄水フィルタカートリッジを一定の期間にわたって使用したときや、浄水フィルタカートリッジの総濾過水量が一定量に達したときに、浄水ウォーターサーバーの浄水機能を維持するために、浄水フィルタカートリッジを新品のものに交換する必要がある。
【0011】
ここで、ユーザーが浄水フィルタカートリッジの交換作業をするに際し、浄水フィルタカートリッジを取り外した後、新品の浄水フィルタカートリッジを取り付ける前に浄水ウォーターサーバーの操作等をすると、浄水フィルタカートリッジが取り付けられていない状態のまま電動ポンプが作動するおそれがある。また、ユーザーが新品の浄水ウォーターサーバーを設置するに際し、浄水フィルタカートリッジを取り付ける作業を失念した場合にも、浄水フィルタカートリッジが取り付けられていない状態のまま電動ポンプが作動するおそれがある。そして、浄水フィルタカートリッジが取り付けられていない状態のまま電動ポンプが作動すると、電動ポンプから送り出される原水が原水管から漏れ出して、浄水ウォーターサーバーの設置面(ユーザーの家の床材等)が水浸しになるおそれがある。
【0012】
この発明が解決しようとする課題は、水道から遠い場所でも、浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を低温に冷却した状態で利用することができ、また、浄水フィルタカートリッジが取り付けられていない状態で電動ポンプが作動して原水が漏れ出すのを防止することが可能な浄水ウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明では、以下の構成の浄水ウォーターサーバーを提供する。
原水を貯留する原水タンクと、
交換式の浄水フィルタカートリッジと、
前記原水タンクと前記浄水フィルタカートリッジの間を連通する原水管と、
前記原水管の途中に設けられ、前記原水タンクの側から前記浄水フィルタカートリッジの側に原水を移送する電動ポンプと、
前記浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を低温に冷却する冷却装置と、
前記冷却装置で冷却された低温の浄水を外部に注出する冷水注出管と、
前記浄水フィルタカートリッジの有無を検出するカートリッジ検出部と、
前記電動ポンプの作動を制御するポンプ制御装置と、を有し、
前記ポンプ制御装置は、前記カートリッジ検出部で前記浄水フィルタカートリッジを検出したときのみ前記電動ポンプの作動を許容し、前記カートリッジ検出部で前記浄水フィルタカートリッジを検出しないときは前記電動ポンプの作動を禁止するポンプ作動禁止制御手段を有する、
浄水ウォーターサーバー。
【0014】
この浄水ウォーターサーバーは、原水をいったん原水タンクに貯留し、その原水タンクの原水を、電動ポンプを用いて浄水フィルタカートリッジに送り込むので、水道に直結する必要がなく、水道から遠い場所でも利用することができ、しかも、浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を、冷却装置で低温に冷却した状態で利用することができるため、優れた利便性をもつ。また、カートリッジ検出部が浄水フィルタカートリッジを検出したときのみ電動ポンプの作動が許容され、カートリッジ検出部が浄水フィルタカートリッジを検出しないときは電動ポンプの作動が禁止されるので、浄水フィルタカートリッジが取り付けられていないときに電動ポンプが作動して原水が漏れ出すのを防止することができ、浄水ウォーターサーバーの設置面(ユーザーの家の床材等)が水に濡れるのを防止することができる。
【0015】
前記原水タンクは、着脱可能に設けると好ましい。
【0016】
このようにすると、原水タンクを取り外して、水道のある場所まで持ち運ぶことができるので、原水タンクの給水作業がしやすくなり、利便性を一層高めることができる。
【0017】
この浄水ウォーターサーバーは、次の構成を加えると好ましい。
前記浄水フィルタカートリッジは、一端が開口し、他端が閉塞した有底筒状に形成され、
前記浄水フィルタカートリッジを収容するカートリッジ収容空間には、前記浄水フィルタカートリッジの前記一端が着脱可能に接続されるカートリッジヘッドが設けられ、
前記カートリッジヘッドは、前記浄水フィルタカートリッジが前記カートリッジ収容空間の内壁と平行となるカートリッジ使用位置と、前記浄水フィルタカートリッジが前記内壁から離れる方向に傾斜したカートリッジ交換位置との間で前記浄水フィルタカートリッジが揺動するように回動可能に支持され、
前記カートリッジ検出部は、前記浄水フィルタカートリッジが前記カートリッジ交換位置にあるときは前記浄水フィルタカートリッジを検出せず、前記浄水フィルタカートリッジが前記カートリッジ使用位置にあるときは前記浄水フィルタカートリッジを検出するように配置されている。
【0018】
このようにすると、浄水フィルタカートリッジがカートリッジヘッドに取り付けられた状態においても、浄水フィルタカートリッジをカートリッジ使用位置からカートリッジ交換位置に揺動させると、電動ポンプの作動が禁止され、その浄水フィルタカートリッジをカートリッジ交換位置からカートリッジ使用位置に揺動させない限り、電動ポンプが作動しない。そのため、電動ポンプが作動した状態のままで浄水フィルタカートリッジを取り外したり、浄水フィルタカートリッジを取り付ける作業の途中で電動ポンプが作動を開始したりするのを防止することが可能となる。
【0019】
この場合、前記浄水フィルタカートリッジを前記カートリッジ交換位置から前記カートリッジ使用位置に移動させたときに前記浄水フィルタカートリッジを保持して前記浄水フィルタカートリッジの揺動を規制するカートリッジホルダを更に設けると好ましい。
【0020】
このようにすると、浄水フィルタカートリッジをカートリッジ交換位置からカートリッジ使用位置に揺動させたときに、浄水フィルタカートリッジがカートリッジホルダで保持され、浄水フィルタカートリッジが位置決めされるので、カートリッジ検出部による浄水フィルタカートリッジの検出精度を安定させることができる。
【0021】
前記カートリッジ検出部として、スライド可能に支持されたプランジャをもつプッシュスイッチを採用し、そのプッシュスイッチを、前記浄水フィルタカートリッジが前記カートリッジ交換位置から前記カートリッジ使用位置に揺動したときに前記浄水フィルタカートリッジの外周との接触により前記プランジャが押し込まれるように前記カートリッジ収容空間の前記内壁に設けることができる。
【0022】
このようにすると、低コストのカートリッジ検出部で浄水フィルタカートリッジを確実に検出することが可能となる。
【0023】
上記の浄水ウォーターサーバーは、次の構成を加えることができる。
前記浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を貯留し、前記冷却装置が取り付けられた冷水タンクと、
前記冷水タンク内の水位を検知する水位センサと、を更に有し、
前記ポンプ制御装置は、前記水位センサの出力信号に基づいて前記冷水タンク内の水位が下限水位を下回ったと判定したときに前記電動ポンプを作動させる水位制御手段を有し、
前記ポンプ作動禁止制御手段は、前記水位制御手段で前記冷水タンク内の水位が下限水位を下回ったと判定されたときにも、前記カートリッジ検出部で前記浄水フィルタカートリッジを検出しないときは、前記電動ポンプの作動を禁止するように構成されている。
【0024】
このようにすると、浄水フィルタカートリッジの交換作業中に冷水タンク内の水位が低下して下限水位を下回ったときや、冷水タンク内の水位が下限水位を下回った状態で浄水フィルタカートリッジの交換作業を行なうときに、電動ポンプの作動が禁止されるので、電動ポンプの作動による原水の漏れ出しを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明の浄水ウォーターサーバーは、原水をいったん原水タンクに貯留し、その原水タンクの原水を、電動ポンプを用いて浄水フィルタカートリッジに送り込むので、水道に直結する必要がなく、水道から遠い場所でも利用することができ、しかも、浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を、冷却装置で低温に冷却した状態で利用することができるため、優れた利便性をもつ。また、カートリッジ検出部が浄水フィルタカートリッジを検出したときのみ電動ポンプの作動が許容され、カートリッジ検出部が浄水フィルタカートリッジを検出しないときは電動ポンプの作動が禁止されるので、浄水フィルタカートリッジが取り付けられていないときに電動ポンプが作動して原水が漏れ出すのを防止することができ、浄水ウォーターサーバーの設置面(ユーザーの家の床材等)が水に濡れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この発明の実施形態の浄水ウォーターサーバーを模式的に示す断面図
【
図4】
図1の浄水フィルタカートリッジをカートリッジ交換位置に揺動させた状態を示すカートリッジヘッド近傍の図
【
図5】
図4の浄水フィルタカートリッジをカートリッジヘッドから取り外した状態を示すカートリッジヘッド近傍の図
【
図6】
図1の電動ポンプの制御システムの構成を示すブロック図
【
図7】
図6に示すポンプ制御装置による制御例を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に、この発明の実施形態の浄水ウォーターサーバーを示す。この浄水ウォーターサーバーは、筐体1と、原水を貯留する原水タンク2と、交換式の浄水フィルタカートリッジ3と、原水タンク2と浄水フィルタカートリッジ3の間を連通する原水管4と、原水管4の途中に設けられた電動ポンプ5と、浄水フィルタカートリッジ3で濾過した浄水を貯留する冷水タンク6と、冷水タンク6内の浄水を冷却する冷却装置7と、浄水フィルタカートリッジ3と冷水タンク6の間を連通する浄水管8と、冷却装置7で冷却された冷水タンク6内の低温の浄水を筐体1の外部に注出する冷水注出管9とを有する。
【0028】
原水タンク2は、筐体1に着脱可能に取り付けられている。筐体1は、上下方向に延びる筒壁10と、筒壁10の上端に設けられた天板11と、筒壁10の下端に設けられた底板12とを有する。筐体1の天板11には、原水タンク2を収容するタンク収容凹部13が設けられている。タンク収容凹部13の内面には、原水管4の上流側の端部の原水導入口14が設けられている。
【0029】
原水タンク2は、原水を収容するタンク本体15と、タンク本体15に形成された給水用の開口を開閉する蓋体16とからなる。タンク本体15と蓋体16は、いずれも樹脂で形成されている。タンク本体15は、原水タンク2をタンク収容凹部13に取り付けたときに原水導入口14に対応する位置にタンク開閉弁17を有する。タンク開閉弁17は、原水タンク2をタンク収容凹部13から取り外した状態では、原水タンク2の内部と外部の連通を遮断し、原水タンク2をタンク収容凹部13に取り付けた状態では、原水タンク2の内部を原水導入口14に連通させる開閉弁である。
【0030】
電動ポンプ5は、電動モータ18と、電動モータ18で駆動されるポンプ部分19とで構成されている。ポンプ部分19は、例えば、ギヤポンプやダイヤフラムポンプを採用することができる。電動ポンプ5は、原水タンク2の側から原水を吸い込み、その原水を浄水フィルタカートリッジ3の側に吐出することで、原水管4内の原水を、原水タンク2の側から浄水フィルタカートリッジ3の側に移送する。
【0031】
冷水タンク6には、空気と、浄水フィルタカートリッジ3で濾過された浄水とが、上下二層に収容されている。冷水タンク6には、冷水タンク6内の浄水を冷却する冷却装置7が取り付けられている。冷却装置7によって、冷水タンク6内の浄水は、低温(5℃程度)に保たれている。冷却装置7は、冷水タンク6の外周に取り付けてもよく、冷水タンク6の内部に取り付けてもよい。冷水タンク6の上面には、浄水管8の下流側の端部が接続され、浄水フィルタカートリッジ3で濾過された浄水が冷水タンク6に流れ込むようになっている。冷水タンク6には、冷水タンク6内の水位を検知する水位センサ20が取り付けられている。
【0032】
冷水タンク6の底面には、冷水注出管9が接続されている。冷水注出管9には、筐体1の外部から操作可能な冷水注出バルブ21が設けられ、この冷水注出バルブ21を開くことによって冷水タンク6から低温の浄水をカップ等に注出できるようになっている。冷水注出バルブ21は、ユーザーの手動操作により開閉する手動開閉弁を採用してもよく、ユーザーの外部操作による通電と遮断の切り替えにより開閉する電磁開閉弁を採用してもよい。
【0033】
浄水フィルタカートリッジ3は、筐体1の前面に開放するカートリッジ収容空間22に収容されている。カートリッジ収容空間22は、図示しないカバー扉で開閉可能とされている。浄水フィルタカートリッジ3は、上端が開口し、下端が閉塞した有底筒状に形成されている。浄水フィルタカートリッジ3の上端には、図示しない原水入口と浄水出口が設けられている。
【0034】
図2に示すように、浄水フィルタカートリッジ3の内部には、原水を濾過して浄水にする浄水フィルタ23と、原水入口から浄水フィルタ23に原水を導く原水導入路24と、浄水フィルタ23から浄水出口に浄水を導く浄水導出路25とが設けられている。浄水フィルタ23としては、活性炭フィルタや中空糸膜フィルタやその両者を組み合わせたもの等を採用することができる。
【0035】
図1に示すように、カートリッジ収容空間22には、浄水フィルタカートリッジ3の上端が接続されるカートリッジヘッド26が設けられている。カートリッジヘッド26は、水平の軸線まわりに回動可能に支持され、そのカートリッジヘッド26の回動に伴って、浄水フィルタカートリッジ3は、カートリッジ収容空間22の上下方向に延びる内壁27と平行となるカートリッジ使用位置(
図1参照)と、浄水フィルタカートリッジ3が内壁27から離れる方向に傾斜したカートリッジ交換位置(
図4参照)との間で揺動可能となっている。
【0036】
図5に示すように、浄水フィルタカートリッジ3の上端は、カートリッジヘッド26に着脱可能とされている。具体的には、浄水フィルタカートリッジ3を浄水フィルタカートリッジ3の筒軸まわりに回転させ、浄水フィルタカートリッジ3の上端をカートリッジヘッド26から引き抜く操作により、浄水フィルタカートリッジ3の上端をカートリッジヘッド26から取り外すことが可能となっている。また、浄水フィルタカートリッジ3の上端をカートリッジヘッド26に挿入し、浄水フィルタカートリッジ3を浄水フィルタカートリッジ3の筒軸まわりに回転させる操作により、浄水フィルタカートリッジ3の上端をカートリッジヘッド26に取り付けることが可能となっている。
【0037】
図1、
図2に示すように、カートリッジ収容空間22の内壁27には、浄水フィルタカートリッジ3の有無を検出するカートリッジ検出部28が設けられている。カートリッジ検出部28は、内壁27から突出する突出位置(
図4参照)と、内壁27に押し込まれた押し込み位置(
図1参照)との間でスライド可能に支持されたプランジャ29をもつプッシュスイッチである。プッシュスイッチは、浄水フィルタカートリッジ3がカートリッジ交換位置(
図4参照)からカートリッジ使用位置(
図1参照)に揺動したときに浄水フィルタカートリッジ3の外周との接触によりプランジャ29が押し込まれるように内壁27に設けられている。プランジャ29は、浄水フィルタカートリッジ3がカートリッジ使用位置(
図1参照)からカートリッジ交換位置(
図4参照)に揺動したときに突出位置に復帰するように図示しないスプリングで付勢されている。
【0038】
カートリッジ検出部28は、浄水フィルタカートリッジ3がカートリッジ交換位置(
図4参照)にあるときは浄水フィルタカートリッジ3を検出せず、浄水フィルタカートリッジ3がカートリッジ使用位置(
図1参照)にあるときに、浄水フィルタカートリッジ3を検出するように配置されている。
【0039】
図1、
図3に示すように、カートリッジ収容空間22の内壁27には、カートリッジホルダ30が設けられている。
図3に示すように、カートリッジホルダ30は、この実施形態では、円筒の一部を切り欠いた形状の弾性変形可能なC形部31と、C形部31の両端から径方向外方に延び出すガイド片部32と、C形部31を内壁27に固定する取り付け部33とを有し、C形部31に浄水フィルタカートリッジ3を受け入れるようになっている。カートリッジホルダ30は、浄水フィルタカートリッジ3をカートリッジ交換位置(
図4参照)からカートリッジ使用位置(
図1参照)に移動させたときに浄水フィルタカートリッジ3の外周を弾性的に保持して、浄水フィルタカートリッジ3の揺動を規制する。
【0040】
電動ポンプ5の作動は、
図6に示すポンプ制御装置34によって制御される。ポンプ制御装置34には、水位センサ20から、冷水タンク6内の水位を示す信号が入力され、カートリッジ検出部28から、浄水フィルタカートリッジ3の有無を示す信号が入力される。ポンプ制御装置34からは、電動ポンプ5を駆動するための制御信号が出力される。
【0041】
ポンプ制御装置34の制御例を説明する。
【0042】
図7に示すように、水位センサ20の出力信号に基づいて冷水タンク6内の水位が下限水位を下回ったと判定したときに(ステップS
1)、電動ポンプ5を作動させるが(ステップS
3)、カートリッジ検出部28が浄水フィルタカートリッジ3を検出しないときは(ステップS
2)、冷水タンク6内の水位が下限水位を下回ったと判定されたときであっても(ステップS
1)、電動ポンプ5の作動を禁止する(ステップS
4)。
【0043】
ここで、ポンプ制御装置34は、冷水タンク6内の水位が下限水位を下回ったと判定したときに電動ポンプ5を作動させる水位制御を行ない(ステップS1、S3、S4)、同時に、カートリッジ検出部28で浄水フィルタカートリッジ3を検出したときのみ電動ポンプ5の作動を許容し(ステップS2、S3)、カートリッジ検出部28で浄水フィルタカートリッジ3を検出しないときは電動ポンプ5の作動を禁止するポンプ作動禁止制御を行なっている(ステップS2、S4)。
【0044】
この浄水ウォーターサーバーは、原水をいったん原水タンク2に貯留し、その原水タンク2の原水を、電動ポンプ5を用いて浄水フィルタカートリッジ3に送り込むので、水道に直結する必要がなく、水道から遠い場所(例えば、居間や待合室など)でも利用することができ、しかも、浄水フィルタカートリッジ3で濾過した浄水を、冷却装置7で低温に冷却した状態で利用することができるため、優れた利便性をもつ。
【0045】
ところで、浄水フィルタカートリッジ3を一定の期間にわたって使用したときや、浄水フィルタカートリッジ3の総濾過水量が一定量に達したときに、浄水ウォーターサーバーの浄水機能を維持するために、浄水フィルタカートリッジ3を新品のものに交換する必要がある。ここで、ユーザーが浄水フィルタカートリッジ3の交換作業をするに際し、浄水フィルタカートリッジ3を取り外した後、新品の浄水フィルタカートリッジ3を取り付ける前に浄水ウォーターサーバーの操作等をすると、浄水フィルタカートリッジ3が取り付けられていない状態のまま電動ポンプ5が作動するおそれがある。また、ユーザーが新品の浄水ウォーターサーバーを設置するに際し、浄水フィルタカートリッジ3を取り付ける作業を失念した場合にも、浄水フィルタカートリッジ3が取り付けられていない状態のまま電動ポンプ5が作動するおそれがある。そして、浄水フィルタカートリッジ3が取り付けられていない状態のまま電動ポンプ5が作動すると、電動ポンプ5から送り出される原水が原水管4から漏れ出して、浄水ウォーターサーバーの設置面(ユーザーの家の床材等)が水浸しになるおそれがあるという問題がある。
【0046】
この問題に関し、この浄水ウォーターサーバーは、カートリッジ検出部28が浄水フィルタカートリッジ3を検出したときのみ電動ポンプ5の作動が許容され、カートリッジ検出部28が浄水フィルタカートリッジ3を検出しないときは電動ポンプ5の作動が禁止されるので、浄水フィルタカートリッジ3が取り付けられていないときに電動ポンプ5が作動して原水が漏れ出すのを防止することができ、浄水ウォーターサーバーの設置面(ユーザーの家の床材等)が水に濡れるのを防止することができる。
【0047】
原水タンク2への給水は、原水タンク2をタンク収容凹部13に取り付けたままの状態で、原水タンク2の蓋体16を開き、その状態でやかん等の容器から原水タンク2に水道水を注ぎ入れて行なうことも可能であるが、この浄水ウォーターサーバーは、原水タンク2が着脱可能に設けられているので、原水タンク2を取り外して、水道のある場所まで持ち運ぶことができる。そのため、原水タンク2の給水作業がしやすく、利便性に優れる。
【0048】
また、この浄水ウォーターサーバーは、浄水フィルタカートリッジ3がカートリッジヘッド26に取り付けられた状態においても、浄水フィルタカートリッジ3をカートリッジ使用位置(
図1参照)からカートリッジ交換位置(
図4参照)に揺動させると、電動ポンプ5の作動が禁止され、その浄水フィルタカートリッジ3をカートリッジ交換位置(
図4参照)からカートリッジ使用位置(
図1参照)に揺動させない限り、電動ポンプ5が作動しない。そのため、電動ポンプ5が作動した状態のままで浄水フィルタカートリッジ3を取り外したり、浄水フィルタカートリッジ3を取り付ける作業の途中で電動ポンプ5が作動を開始したりするのを防止することが可能である。
【0049】
また、この浄水ウォーターサーバーは、浄水フィルタカートリッジ3をカートリッジ交換位置(
図4参照)からカートリッジ使用位置(
図1参照)に揺動させたときに、浄水フィルタカートリッジ3がカートリッジホルダ30で保持され、浄水フィルタカートリッジ3が位置決めされるので、カートリッジ検出部28による浄水フィルタカートリッジ3の検出精度が安定したものとなっている。
【0050】
また、この浄水ウォーターサーバーは、低コストのカートリッジ検出部28で浄水フィルタカートリッジ3を確実に検出することが可能となっている。すなわち、カートリッジ検出部28として、例えば、浄水フィルタカートリッジ3の外周に向けて投光し、その反射光に基づいて浄水フィルタカートリッジ3の有無を検出する光電センサを採用してもよく、浄水フィルタカートリッジ3が近接したときの静電容量の変化に基づいて浄水フィルタカートリッジ3の有無を検出する静電容量型近接センサを採用してもよいが、上記実施形態では、カートリッジ検出部28として、スライド可能に支持されたプランジャ29をもつプッシュスイッチを採用しているので、低コストのカートリッジ検出部28で浄水フィルタカートリッジ3を確実に検出することが可能となっている。
【0051】
また、この浄水ウォーターサーバーは、浄水フィルタカートリッジ3の交換作業中に冷水タンク6内の水位が低下して下限水位を下回ったときや、冷水タンク6内の水位が下限水位を下回った状態で浄水フィルタカートリッジ3の交換作業を行なうときに、電動ポンプ5の作動が禁止されるので、電動ポンプ5の作動による原水の漏れ出しを確実に防止することができる。
【0052】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
2 原水タンク
3 浄水フィルタカートリッジ
4 原水管
5 電動ポンプ
6 冷水タンク
7 冷却装置
9 冷水注出管
20 水位センサ
22 カートリッジ収容空間
26 カートリッジヘッド
27 内壁
28 カートリッジ検出部
29 プランジャ
30 カートリッジホルダ
34 ポンプ制御装置