(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】発電機能付き冷房装置
(51)【国際特許分類】
F25B 41/40 20210101AFI20220801BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20220801BHJP
F25B 27/02 20060101ALI20220801BHJP
F24F 5/00 20060101ALN20220801BHJP
【FI】
F25B41/40 Z
F25B1/00 331Z
F25B27/02 Z
F24F5/00 Z
(21)【出願番号】P 2019026385
(22)【出願日】2019-02-18
【審査請求日】2020-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2018068558
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596066275
【氏名又は名称】山田 満夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(74)【代理人】
【識別番号】100201237
【氏名又は名称】吉井 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 満夫
【審査官】嶋田 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-233638(JP,A)
【文献】特開2006-029714(JP,A)
【文献】特開2015-210070(JP,A)
【文献】特開2009-270785(JP,A)
【文献】特開2004-108683(JP,A)
【文献】特開2004-012127(JP,A)
【文献】特開昭63-025463(JP,A)
【文献】特開2006-329503(JP,A)
【文献】特開2006-329445(JP,A)
【文献】特開平07-293214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/40
F25B 1/00
F25B 27/02
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮部と、冷媒を膨張させる膨張部と、冷媒を蒸発させる蒸発部と、冷媒の圧力を利用して発電する発電部とを有し、前記圧縮部から前記膨張部へ第一冷媒搬送部を介して冷媒は搬送され、前記膨張部から前記蒸発部へ第二冷媒搬送部を介して冷媒は搬送され、前記蒸発部から前記発電部へ第三冷媒搬送部を介して冷媒は搬送され、前記発電部から前記圧縮部へ第四冷媒搬送部を介して冷媒は搬送されるように構成されており、更に、前記第一冷媒搬送部で搬送される冷媒と前記第三冷媒搬送部で搬送される冷媒とで熱交換する第一熱交換部と、前記第二冷媒搬送部で搬送される冷媒と前記第四冷媒搬送部で搬送される冷媒とで熱交換する第二熱交換部とを有することを特徴とする発電機能付き冷房装置。
【請求項2】
請求項1記載の発電機能付き冷房装置において、前記第一熱交換部は断熱材で覆われていることを特徴とする発電機能付き冷房装置。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の発電機能付き冷房装置において、前記発電部は、回転部の回転により発電する構成であり、また、前記冷媒の圧力を利用して駆動する駆動構造部を有し、この駆動構造部の駆動力は回転変換機構を介して前記回転部の回転力に変換されるように構成されていることを特徴とする発電機能付き冷房装置。
【請求項4】
請求項3記載の発電機能付き冷房装置において、前記駆動構造部は、シリンダー部内に前記冷媒が導入・導出されることで摺動部が往復動して駆動力が生じる構成であり、前記シリンダー部には、前記シリンダー部内への前記冷媒の導入・導出を切り替える切り替え弁体を介して前記第三冷媒搬送部及び前記第四冷媒搬送部が連設され、この切り替え弁体は、前記回転部の回転に連動して回転するように構成され、前記切り替え弁体には、前記第三冷媒搬送部と前記シリンダー部内とを連通する冷媒導入経路部と、前記第四冷媒搬送部と前記シリンダー部内とを連通する冷媒導出経路部とが設けられ、前記切り替え弁体の回転に伴い前記冷媒導入経路部及び前記冷媒導出経路部と前記シリンダー部との連通状態が交互に切り替わることで、前記シリンダー部内への冷媒の導入と前記シリンダー部内からの冷媒の導出が切り替わり、前記摺動部の往復動が制御されることを特徴とする発電機能付き冷房装置。
【請求項5】
請求項4記載の発電機能付き冷房装置において、前記切り替え弁体は、前記第三冷媒搬送部及び前記第四冷媒搬送部を連通する連通管内に配される棒体であり、前記冷媒導入経路部及び前記冷媒導出経路部は、前記棒体に設けられた切欠部であることを特徴とする発電機能付き冷房装置。
【請求項6】
請求項4,5いずれか1項に記載の発電機能付き冷房装置において、前記摺動部の往復動に伴い前記切り替え弁体が回転するように構成されていることを特徴とする発電機能付き冷房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機能付き冷房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、アスファルトやコンクリートで地表が覆われた人工被覆領域が多い都市部において、その周辺の郊外部に比して気温が著しく上昇するヒートアイランド現象が問題となっており、例えば冷房装置(室外機)から排出される排気熱もこのヒートアイランド現象が起きる原因の一つと言われている。
【0003】
そこで、従来においても冷房装置から排出される排気熱の処理技術として、例えば特開2010-271028号(以下、従来例)に開示されるような排気熱の処理技術が提案されている。
【0004】
この従来例は、冷房装置の室外機の排気吹き出し部に水を含浸させるフィルターを取り付け、そのフィルターに室外機から排出される排気を通過させて該排気中の熱を吸収するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来例は、室外機から排出される排気中の熱を十分に吸収できず、装置外への熱の排出を十分に防止できていないのが現状である。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑み、従来にない非常に実用的な発電機能付き冷房装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
冷媒Sを圧縮する圧縮部1と、冷媒Sを膨張させる膨張部3と、冷媒Sを蒸発させる蒸発部5と、冷媒Sの圧力を利用して発電する発電部7とを有し、前記圧縮部1から前記膨張部3へ第一冷媒搬送部2を介して冷媒Sは搬送され、前記膨張部3から前記蒸発部5へ第二冷媒搬送部4を介して冷媒Sは搬送され、前記蒸発部5から前記発電部7へ第三冷媒搬送部6を介して冷媒Sは搬送され、前記発電部7から前記圧縮部1へ第四冷媒搬送部8を介して冷媒Sは搬送されるように構成されており、更に、前記第一冷媒搬送部2で搬送される冷媒Sと前記第三冷媒搬送部6で搬送される冷媒Sとで熱交換する第一熱交換部9と、前記第二冷媒搬送部4で搬送される冷媒Sと前記第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sとで熱交換する第二熱交換部10とを有することを特徴とする発電機能付き冷房装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の発電機能付き冷房装置において、前記第一熱交換部9は断熱材で覆われていることを特徴とする発電機能付き冷房装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の発電機能付き冷房装置において、前記発電部7は、回転部11の回転により発電する構成であり、また、前記冷媒Sの圧力を利用して駆動する駆動構造部12を有し、この駆動構造部12の駆動力は回転変換機構13を介して前記回転部11の回転力に変換されるように構成されていることを特徴とする発電機能付き冷房装置に係るものである。
【0012】
また、請求項3記載の発電機能付き冷房装置において、前記駆動構造部12は、シリンダー部14内に前記冷媒Sが導入・導出されることで摺動部15が往復動して駆動力が生じる構成であり、前記シリンダー部14には、前記シリンダー部14内への前記冷媒Sの導入・導出を切り替える切り替え弁体16を介して前記第三冷媒搬送部6及び前記第四冷媒搬送部8が連設され、この切り替え弁体16は、前記回転部11の回転に連動して回転するように構成され、前記切り替え弁体16には、前記第三冷媒搬送部6と前記シリンダー部14内とを連通する冷媒導入経路部17と、前記第四冷媒搬送部8と前記シリンダー部14内とを連通する冷媒導出経路部18とが設けられ、前記切り替え弁体16の回転に伴い前記冷媒導入経路部17及び前記冷媒導出経路部18と前記シリンダー部14との連通状態が交互に切り替わることで、前記シリンダー部14内への冷媒Sの導入と前記シリンダー部14内からの冷媒Sの導出が切り替わり、前記摺動部15の往復動が制御されることを特徴とする発電機能付き冷房装置に係るものである。
【0013】
また、請求項4記載の発電機能付き冷房装置において、前記切り替え弁体16は、前記第三冷媒搬送部6及び前記第四冷媒搬送部8を連通する連通管14a内に配される棒体16’であり、前記冷媒導入経路部17及び前記冷媒導出経路部18は、前記棒体16’に設けられた切欠部であることを特徴とする発電機能付き冷房装置に係るものである。
【0014】
また、請求項4,5いずれか1項に記載の発電機能付き冷房装置において、前記摺動部15の往復動に伴い前記切り替え弁体16が回転するように構成されていることを特徴とする発電機能付き冷房装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、冷房作動時に生じる熱の装置外への排出を可及的に防止することができ、しかも、この熱を利用して効率良く発電が行なわれることになるなど、従来にない非常に実用的な発電機能付き冷房装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
本発明は、装置内を冷媒Sが循環し、この冷媒Sの循環に伴い、冷風の作出と発電が行なわれる。
【0019】
具体的には、圧縮部1にて冷媒Sは圧縮される。
【0020】
続いて、この圧縮部1から導出された冷媒Sは第一冷媒搬送部2を介して膨張部3へ搬送され、この膨張部3にて冷媒Sは膨張される。
【0021】
続いて、この膨張部3から導出された冷媒Sは第二冷媒搬送部4を介して蒸発部5へ搬送され、この蒸発部5にて冷媒Sは蒸発され、この蒸発部5での冷媒Sの蒸発時に冷風の作出が行われる。
【0022】
続いて、蒸発部5から導出された冷媒Sは第三冷媒搬送部6を介して発電部7へ搬送され、この発電部7にて冷媒Sの圧力を利用して発電が行なわれる。
【0023】
続いて、この発電部7から導出された冷媒Sは第四冷媒搬送部8を介して前記圧縮部1へ搬送される。
【0024】
ところで、本発明は、第一冷媒搬送部2で搬送される冷媒Sと第三冷媒搬送部6で搬送される冷媒Sとで熱交換する第一熱交換部9と、第二冷媒搬送部4で搬送される冷媒Sと第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sとで熱交換する第二熱交換部10とを有している。
【0025】
即ち、第一熱交換部9にて、第一冷媒搬送部2で搬送される冷媒Sと第三冷媒搬送部6で搬送される冷媒Sとで熱交換が行われ、圧縮部1の圧縮で生じた熱は第三冷媒搬送部6の冷媒Sに引き受けられ、発電に利用される。つまり、冷媒Sは熱を受け取ることで昇温して高圧となり、この圧力を利用して良好に発電が行なわれる。
【0026】
また、第二熱交換部10にて、第二冷媒搬送部4で搬送される冷媒Sと第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sとで熱交換が行われ、第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sが持つ熱は第二冷媒搬送部4で搬送される冷媒Sで引き受けられ、低温の冷媒Sが圧縮部1へ搬送される。
【0027】
以上から、本発明は、従来例のように装置外に熱を排出するための室外機は不要となり、冷房作動によって生じる熱を、装置内を循環する冷媒Sで受け渡すことで装置外への排出が可及的に防止されることになり、しかも、効率良く発電に利用されることになる。
【実施例】
【0028】
<実施例1>
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0029】
本実施例は、装置内を循環する冷媒Sの熱及び圧を利用して発電及び冷房を行なう発電機能付き冷房装置である。
【0030】
具体的には、冷媒Sを圧縮する圧縮部1と、冷媒Sを膨張させる膨張部3と、冷媒Sを蒸発させる蒸発部5と、冷媒Sの圧力を利用して発電する発電部7とを有し、圧縮部1から膨張部3へ第一冷媒搬送部2を介して圧縮された冷媒Sは搬送され、膨張部3から蒸発部5へ第二冷媒搬送部4を介して冷媒Sは搬送され、蒸発部5から発電部7へ第三冷媒搬送部6を介して冷媒Sは搬送され、発電部7から圧縮部1へ第四冷媒搬送部8を介して冷媒Sは搬送されるように構成されており、更に、第一冷媒搬送部2で搬送される冷媒Sと第三冷媒搬送部6で搬送される冷媒Sとで熱交換する第一熱交換部9と、第二冷媒搬送部4で搬送される冷媒Sと第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sとで熱交換する第二熱交換部10とを有するものである。尚、本実施例では冷媒SとしてR134aを採用している。
【0031】
圧縮部1は、
図1に図示したように後述する第四冷媒搬送部8から導入された冷媒Sを圧縮して導出するコンプレッサーである。
【0032】
具体的には、圧縮部1では、第四冷媒搬送部8から導入された低温(約10℃)・低圧(0.1Mps)の冷媒S(気体)が圧縮されて、高温(約40℃~50℃)・高圧(1.1Mps)の冷媒S(気体)が導出される。
【0033】
この圧縮部1から導出された冷媒Sは、高断熱構造を有する管状の第一冷媒搬送部2を介して膨張部3へ搬送される。この第一冷媒搬送部2で搬送される冷媒Sは、後述する第一熱交換部9にて熱交換され、中温(約20℃)・高圧(1.1Mps)の冷媒S(気体)として膨張部3へ搬送される。尚、この第一冷媒搬送部2における第一熱交換部9に位置する部位は、熱交換を行なう為、熱伝導性の良い構造となっている。
【0034】
膨張部3は、
図1に図示したように第一冷媒搬送部2から導入された冷媒Sを膨張して導出する膨張構造体(電子膨張弁)である。
【0035】
具体的には、膨張部3では、第一冷媒搬送部2から導入された中温(約20℃)・高圧(1.1Mps)の冷媒S(気体)が膨張されて、低温(約0℃~4℃)・低圧(0.4Mps)の冷媒S(液体)が導出される。
【0036】
この膨張部3から導出された冷媒Sは、高断熱構造を有する管状の第二冷媒搬送部4を介して蒸発部5へ搬送される。この第二冷媒搬送部4で搬送される冷媒Sは、後述する第二熱交換部10にて熱交換され、中低温(約5℃~7℃)・低圧(0.4Mps)の冷媒S(液体)として蒸発部5へ搬送される。尚、この第二冷媒搬送部4における第二熱交換部10に位置する部位は、熱交換を行なう為、熱伝導性の良い構造となっている。
【0037】
蒸発部5は、
図1に図示したように第二冷媒搬送部4から導入された冷媒Sを蒸発して導出する蒸発構造体である。
【0038】
具体的には、蒸発部5は、
図2に図示したように第二冷媒搬送部4の端部と第三冷媒搬送部6の端部間に架設される多数の細管部5aからなる細管部群を有し、この細管部群(細管部5a)に風を送る送風部19(ファン)が設けられている。
【0039】
この送風部19からの送風は、細管部群(細管部5aの周面)を通過することで冷風となり(これが冷房機能である。)、この際、各細管部5aの中では液体の冷媒Sが気化され気体となる。
【0040】
この蒸発部5では、第二冷媒搬送部4から導入された中低温(約5℃~7℃)・低圧(0.4Mps)の冷媒S(液体)が蒸発されて、中温(約13℃~20℃)・低圧(0.4Mps)の冷媒S(気体)が導出される。
【0041】
この蒸発部5から導出された冷媒Sは、高断熱構造を有する管状の第三冷媒搬送部6を介して発電部7へ搬送される。この第三冷媒搬送部6で搬送される冷媒Sは、第一熱交換部9にて熱交換され、高温(約30℃~40℃)・中高圧(約0.4Mps~0.5Mps)の体積膨張した冷媒S(気体)として発電部7へ搬送される。尚、負荷圧力に耐える気化温度を維持すればそれ以上温度を加熱する必要はない。
【0042】
発電部7は、
図1に図示したように第三冷媒搬送部6から導入された冷媒Sの圧力を利用して発電する発電構造体である。
【0043】
具体的には、発電部7は、
図3,4に図示したように回転部11の回転により発電する構成であり、また、冷媒Sの圧力を利用して駆動する駆動構造部12を有し、この駆動構造部12の駆動力は回転変換機構13(クランク機構)を介して回転部11の回転力に変換されるように構成されている。
【0044】
駆動構造部12は、シリンダー部14内に冷媒Sが導入・導出されることで摺動部15(ピストン)が往復動して駆動力が生じる構成であり、この摺動部15の下端部(ピストンロッド15)が回転変換機構13を介して回転部11に連設され、摺動部15の往復運動が回転部11の回転運動に変換される。
【0045】
また、シリンダー部14には、該シリンダー部14内への冷媒Sの導入・導出を切り替える切り替え弁体16を介して第三冷媒搬送部6及び第四冷媒搬送部8が連設されている。
【0046】
この切り替え弁体16は、第三冷媒搬送部6及び後述する第四冷媒搬送部8を連通する連通管14a内に配される断面円形の丸棒体16’であり、その一端部は作動連結機構20を介して回転部11に連設され、この回転部11の回転(摺動部15の往復動)に連動して切り替え弁体16は回転(90度の回転角度で繰り返し正逆方向に反転)するように構成されている。
【0047】
作動連結機構20は、切り替え弁体16の一端部に巻き付き連結される連結部材20aと、この連結部材20aの他端部に連結される擺動部材20bとを有し、この擺動部材20bは回転部11に設けられた作用部11a(偏芯カム部)の回転に伴い上下方向に擺動するように設けられ、この擺動部材20bが上下方向に擺動することで連結部材20aは上下方向に移動して切り替え弁体16が回転するように構成されている。符号20cは擺動部材20bを下方に付勢する付勢部材である。
【0048】
また、切り替え弁体16には、第三冷媒搬送部6とシリンダー部14内とを連通する冷媒導入経路部17と、第四冷媒搬送部8とシリンダー部14内とを連通する冷媒導出経路部18とが設けられ、この冷媒導入経路部17は、棒体16’の周面に垂直方向(棒体16’の軸心と直交する方向)に形成された凹条から成る切欠部17であり、冷媒導出経路部18は、棒体16’の周面に水平方向(棒体16’の軸心方向)に設けられた凹条から成る切欠部18である。
【0049】
また、本実施例では、この切り替え弁体16の回転に伴い冷媒導入経路部17及び冷媒導出経路部18とシリンダー部14との連通状態が交互に切り替わることで、シリンダー部14内への冷媒Sの導入とシリンダー部14内からの冷媒Sの導出が切り替わり、摺動部15の往復動が制御される。
【0050】
具体的には、第三冷媒搬送部6とシリンダー部14の内空間とが冷媒導入経路部17を介して連通状態となることで、第三冷媒搬送部6から冷媒Sが冷媒導入経路部17を介してシリンダー部14内へ導入される際、切り替え弁体16は一方向へ回転するとともに、摺動部15は下方へ移動して回転変換機構13(クランク機構)を介して回転部11は回転し、更に、回転部11が回転することで摺動部15が上方へ移動するとともに、切り替え弁体16は他方向へ反転する(この際、付勢部材20cの付勢力が回転部11の回転の助力となる)と、シリンダー部14の内空間と第四冷媒搬送部8とが冷媒導出経路部18を介して連通状態となることで、シリンダー部14内の冷媒Sは冷媒導出経路部18を介して第四冷媒搬送部8へ導出されることになり(
図3~6参照)、この摺動部15の往復動と切り替え弁体16の正逆反転を繰り返して回転部11が回転することで発電が行なわれる。
【0051】
また、発電部7では、第三冷媒搬送部6から導入された高温(約30℃~40℃)・中高圧(約0.4Mps~0.5Mps)の冷媒S(気体)が減圧されて、高温(約30℃~40℃)・低圧(約0.1Mps)の冷媒S(気体)が導出される。
【0052】
この発電部7から導出された冷媒Sは、高断熱構造を有する管状の第四冷媒搬送部8を介して圧縮部1へ搬送される。この第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sは、第二熱交換部10にて熱交換され、低温(約10℃)・低圧(約0.1Mps)の冷媒S(気体)として圧縮部1へ搬送される。
【0053】
第一熱交換部9は、
図1に図示したように第三冷媒搬送部6の途中位置に設けられ該第三冷媒搬送部6で搬送される冷媒Sが通過するケース部9aを有し、このケース部9a内に第一冷媒搬送部2の一部が配設されている。
【0054】
従って、第一冷媒搬送部2で搬送される冷媒Sと第三冷媒搬送部6で搬送される冷媒Sとで熱交換が行われる。
【0055】
また、このケース部9aの周囲は断熱材9bで覆われている。
【0056】
従って、圧縮部1から導出される冷媒Sの熱は確実に熱交換に用いられ、装置外への熱の排出が可及的に防止される。
【0057】
尚、本実施例では、圧縮部1(コンプレッサー)及び膨張部3(膨張弁)と送風部19(ファン)の回転数を変化させることで第一熱交換部9の最高温度が制御される。
【0058】
第二熱交換部10は、
図1に図示したよう第四冷媒搬送部8の途中位置に設けられ該第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sが通過するケース部10aを有し、このケース部10a内に第二冷媒搬送部4の一部が配設されている。
【0059】
従って、第二冷媒搬送部4で搬送される冷媒Sと第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sとで熱交換が行われる。
【0060】
本実施例は上述のように構成したから、装置内を冷媒Sが循環し、この冷媒Sの循環に伴い、冷風の作出と発電が行なわれる。
【0061】
具体的には、圧縮部1にて冷媒Sは圧縮される。
【0062】
続いて、この圧縮部1から導出された冷媒Sは第一冷媒搬送部2を介して膨張部3へ搬送され、この膨張部3にて冷媒Sは膨張される。
【0063】
続いて、この膨張部3から導出された冷媒Sは第二冷媒搬送部4を介して蒸発部5へ搬送され、この蒸発部5にて冷媒Sは蒸発され、この蒸発部5での冷媒Sの蒸発時に冷風の作出が行われる。
【0064】
続いて、蒸発部5から導出された冷媒Sは第三冷媒搬送部6を介して発電部7へ搬送され、この発電部7にて冷媒Sの圧力を利用して発電が行なわれる。
【0065】
続いて、この発電部7から導出された冷媒Sは第四冷媒搬送部8を介して前記圧縮部1へ搬送される。
【0066】
また、本実施例は、第一冷媒搬送部2で搬送される冷媒Sと第三冷媒搬送部6で搬送される冷媒Sとで熱交換する第一熱交換部9と、第二冷媒搬送部4で搬送される冷媒Sと第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sとで熱交換する第二熱交換部10とを有している。
【0067】
即ち、第一熱交換部9にて、第一冷媒搬送部2で搬送される冷媒Sと第三冷媒搬送部6で搬送される冷媒Sとで熱交換が行われ、圧縮部1で圧縮で生じた熱は第三冷媒搬送部6の冷媒Sに引き受けられ、発電に利用される。つまり、冷媒Sは熱を受け取ることで昇温して高圧となり、この圧力を利用して良好に発電が行なわれる。
【0068】
また、第二熱交換部10にて、第二冷媒搬送部4で搬送される冷媒Sと第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sとで熱交換が行われ、第四冷媒搬送部8で搬送される冷媒Sが持つ熱は第二冷媒搬送部4で搬送される冷媒Sで引き受けられ、低温の冷媒Sが圧縮部1へ搬送される(圧縮部1へは低温の冷媒Sが供給されるのが望ましい。)。
【0069】
つまり、本実施例は、従来例のように装置外に熱を排出するための室外機は不要となり、冷房作動によって生じる熱を、装置内を循環する冷媒Sで受け渡すことで装置外への排出が可及的に防止されることになり、しかも、効率良く発電に利用されることになる。
【0070】
また、本実施例は、第一熱交換部9は断熱材で覆われているから、より一層熱の排出が防止されることになる。
【0071】
また、本実施例は、発電部7は、回転部11の回転により発電する構成であり、また、冷媒Sの圧力を利用して駆動する駆動構造部12を有し、この駆動構造部12の駆動力は回転変換機構13を介して回転部11の回転力に変換されるように構成されているから、確実に発電部7で冷媒Sの圧力を利用して発電することができる。
【0072】
また、本実施例は、駆動構造部12は、シリンダー部14内に冷媒Sが導入・導出されることで摺動部15が往復動して駆動力が生じる構成であり、シリンダー部14には、該シリンダー部14内への冷媒Sの導入・導出を切り替える切り替え弁体16を介して第三冷媒搬送部6及び第四冷媒搬送部8が連設され、この切り替え弁体16は、回転部11の回転に連動して回転し、この切り替え弁体16には、第三冷媒搬送部6とシリンダー部14内とを連通する冷媒導入経路部17と、シリンダー部14内と第四冷媒搬送部8とを連通する冷媒導出経路部18とが設けられ、切り替え弁体16の回転に伴いシリンダー部14に対する冷媒導入経路部17及び冷媒導出経路部18の連通状態が交互に切り替わることで、シリンダー部14内への冷媒Sの導入と導出が切り替わるように構成されているから、簡易構造でありながら確実にシリンダー部14内の摺動部15を往復移動させることができ、冷媒Sの圧力を利用して良好に発電することができる。
【0073】
<実施例2>
本発明の具体的な実施例2について図面に基づいて説明する。
【0074】
本実施例は、別タイプの発電部7(第三冷媒搬送部6から導入された冷媒Sの圧力を利用して発電する発電構造体)を設けている。
【0075】
具体的には、発電部7は、
図7,8に図示したようにボックス状の密閉基体21内に設けられる発電装置22が回転部11の回転により発電する構成であり、また、冷媒Sの圧力を利用して駆動する駆動構造部12を有し、この駆動構造部12の駆動力は回転変換機構13(クランク機構)を介して回転部11の回転力に変換されるように構成されている。
【0076】
駆動構造部12は、シリンダー部14内に冷媒Sが導入・導出されることで摺動部15(ピストン)が往復動して駆動力が生じる構成であり、この摺動部15の下端部(ピストンロッド15)が回転変換機構13を介して回転部11に連設され、摺動部15の往復運動が回転部11の回転運動に変換される。
【0077】
また、シリンダー部14には、該シリンダー部14内への冷媒Sの導入・導出を切り替える切り替え弁体16を介して第三冷媒搬送部6及び第四冷媒搬送部8が連設されている。
【0078】
この切り替え弁体16は、第三冷媒搬送部6及び第四冷媒搬送部8を連通する連通管14a内に嵌挿される断面円形の丸棒体16’であり、その基端部(
図7,8中右端)は作動連結機構20を介して回転部11に連設され、この回転部11の回転(摺動部15の往復動)に連動して切り替え弁体16は回転(90度の回転角度で繰り返し正逆方向に反転)するように構成されている。
【0079】
作動連結機構20は、切り替え弁体16の一端部に連結される第一歯車部材20dと、この第一歯車部材20dに歯合される第二歯車部材20eとを有し、この第二擺動部材20eは回転部11に設けられた作用部11a(偏芯カム部)の回転に伴い回転するように設けられ、この第二歯車部材20eが回転することで第一歯車部材20dは回転して切り替え弁体16が回転するように構成されている。
【0080】
また、切り替え弁体16は、先端部(
図7,8中左端)にテーパー部16aが設けられており、この切り替え弁体16を嵌挿させた際、テーパー部16aが形状合致する合致孔14a’が連結管14a内に設けられている。
【0081】
また、切り替え弁体16には、第三冷媒搬送部6とシリンダー部14内とを連通する冷媒導入経路部17と、第四冷媒搬送部8とシリンダー部14内とを連通する冷媒導出経路部18とが設けられている。尚、本実施例では、密閉基体21の内空間は第四冷媒搬送部8の一部として構成され、冷媒導出経路部18を介して切り替え弁体16を通過した冷媒Sは、第四冷媒搬送部8(密閉基体21の内空間)へと導出される。
【0082】
この冷媒導入経路部17は、
図9に図示したように一端が棒体16’の先端面に、他端がテーパー部16aのテーパー周面に開口するL字状の貫通孔17であり、また、冷媒導出経路部18は、
図9に図示したように棒体16’の周面に水平方向(棒体16’の軸心方向)に設けられた凹条から成る切欠部18である。
【0083】
また、本実施例では、この切り替え弁体16の回転に伴い冷媒導入経路部17及び冷媒導出経路部18とシリンダー部14との連通状態が交互に切り替わることで、シリンダー部14内への冷媒Sの導入とシリンダー部14内からの冷媒Sの導出が切り替わり、摺動部15の往復動が制御される。
【0084】
具体的には、第三冷媒搬送部6とシリンダー部14の内空間とが冷媒導入経路部17を介して連通状態となることで、第三冷媒搬送部6から冷媒Sが冷媒導入経路部17を介してシリンダー部14内へ導入される際、切り替え弁体16は一方向へ回転するとともに、摺動部15は下方へ移動して回転変換機構13(クランク機構)を介して回転部11は回転し、更に、回転部11が回転することで摺動部15が上方へ移動するとともに、切り替え弁体16は他方向へ反転すると、シリンダー部14の内空間と第四冷媒搬送部8とが冷媒導出経路部18を介して連通状態となることで、シリンダー部14内の冷媒Sは冷媒導出経路部18を介して第四冷媒搬送部8へ導出されることになり(
図7,8参照)、この摺動部15の往復動と切り替え弁体16の正逆反転を繰り返して回転部11が回転することで発電が行なわれる。
【0085】
また、第三冷媒搬送部6から冷媒Sが冷媒導入経路部17を介してシリンダー部14内へ導入される際、切り替え弁体16は冷媒Sの導入圧による基端側への押し込み力を受け、この押し込み力によりテーパー部16aと合致孔14a’は密着することで冷媒Sの漏れ(シリンダー部14外への漏れ)が可及的に防止されている。
【0086】
符号23は密閉基体21内に配される作動液(油)である。
【0087】
その余は実施例1と同様である。
【0088】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0089】
S 冷媒
1 圧縮部
2 第一冷媒搬送部
3 膨張部
4 第二冷媒搬送部
5 蒸発部
6 第三冷媒搬送部
7 発電部
8 第四冷媒搬送部
9 第一熱交換部
10 第二熱交換部
11 回転部
12 駆動構造部
13 回転変換機構
14 シリンダー部
14a 連通管
15 摺動部
16 切り替え弁体
16’ 棒体
17 冷媒導入経路部
18 冷媒導出経路部