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特許7114083ワーク整列搬送装置およびワーク整列搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】ワーク整列搬送装置およびワーク整列搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/30 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
B65G47/30 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019101270
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020193102
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503049427
【氏名又は名称】匠技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】栩野 登久
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特公昭49-020258(JP,B1)
【文献】特開平07-205922(JP,A)
【文献】特開平08-208027(JP,A)
【文献】特開昭54-045076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22-47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略弧状の曲棒状ワークを搬送しながら当該曲棒状ワークを一定の向きにして整列させるワーク整列搬送装置であって、
弧中央部が弧両端部よりも所定のワーク搬送方向上流側または前記ワーク搬送方向下流側に配置された曲棒状ワークを載置して搬送する入側コンベア手段と、
前記入側コンベア手段により搬送された曲棒状ワークの弧両端部を支持し前記曲棒状ワークの弧中央部を垂れ下げて前記ワーク搬送方向に搬送する弧中央部垂下搬送手段と、
前記弧中央部垂下搬送手段により搬送される曲棒状ワークの弧中央部を持ち上げることにより前記曲棒状ワークの弧中央部を前記弧両端部よりもワーク搬送方向上流側またはワーク搬送方向下流側のいずれか一方に配置させる弧中央部配置手段と、を備えて成り、
前記弧中央部垂下搬送手段は、前記ワーク搬送方向の左右に離間した配置で且つそれぞれ左右内向きに下る傾斜配置にされた一対の傾斜コンベアで構成され、前記弧中央部配置手段は、前記一対の傾斜コンベアの間に且つ前記一対の傾斜コンベアの前記ワーク搬送方向下流側端部に配置されるとともに前記ワーク搬送方向下流側に向かって上る傾斜配置にされた上昇コンベアで構成されていることを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項2】
前記上昇コンベアのワーク搬送速度が、前記一対の傾斜コンベアのワーク搬送速度とは異なる速度に設定されていることを特徴とする請求項に記載のワーク整列搬送装置。
【請求項3】
前記一対の傾斜コンベアは、それぞれのワーク搬送方向の下流側端部が略水平に形成されていることを特徴とする請求項または請求項に記載のワーク整列搬送装置。
【請求項4】
略弧状の曲棒状ワークを搬送しながら前記曲棒状ワークを一定の向きにして整列させるワーク整列搬送方法であって、
弧中央部を弧両端部よりもワーク搬送方向上流側またはワーク搬送方向下流側に配置した曲棒状ワークを載置して前記ワーク搬送方向に搬送するステップと、
前記ワーク搬送方向の左右に離間した配置で且つそれぞれ左右内向きに下る傾斜配置にされた一対の傾斜コンベアを用いて、前記搬送された曲棒状ワークの弧両端部を支持するステップと、
前記弧両端部を支持された曲棒状ワークの弧中央部を垂れ下げて前記ワーク搬送方向に搬送するステップと、
前記一対の傾斜コンベアの間に且つ前記一対の傾斜コンベアの前記ワーク搬送方向下流側端部に配置されるとともに前記ワーク搬送方向下流側に向かって上る傾斜配置にされた上昇コンベアを用いて、前記搬送される曲棒状ワークの弧中央部を持ち上げながら前記ワーク搬送方向に搬送するステップと、
前記曲棒状ワークの弧中央部を前記弧両端部よりもワーク搬送方向上流側またはワーク搬送方向下流側のいずれか一方に配置させるステップと、
を備えて成ることを特徴とするワーク整列搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインナーソーセージなどに代表される曲棒状ワークを搬送しながら当該曲棒状ワークを一定の向きに整列させるワーク整列搬送装置およびワーク整列搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にウインナーソーセージは、原料を腸詰めし所定間隔で結節して成る単位ソーセージ部がつながった連鎖状の詰め物を調製し、この詰め物をボイルしたのちに結節部で切断することにより個々に得られたものである。因みに、腸ケーシングが天然素材であること、連鎖状の詰め物が竿部材に巻き掛けられた状態でボイル処理や放冷処理が施されることなどから、切断された個々のウインナーソーセージは、ほとんどが弧状に曲がった棒状になっている。一方で、このようなウインナーソーセージを搬送する装置としては、例えば下記の特許文献1に記載されているものが知られている。前記文献記載の搬送装置は、切断された個々のウインナーソーセージをシュート部から放出する際に良品を選別したうえで、コンベア上に載置して整列搬送するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭53-119565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記文献記載の搬送装置を見ると、シュート部から放出されてコンベア上に載置されて整列されるのは、真っすぐな直線棒状のウインナーソーセージのみである。そのために、ウインナーソーセージが略弧状に曲がったものがコンベア上に載置されて整列される場合、曲りの向きが同じ方向に揃っているのか、あるいは曲りの向きがマチマチなのかは不明である。しかしながら、少なくともこの搬送装置の構造によっては、略弧状に曲がったウインナーソーセージを一向きの曲り姿勢にして整列させることは想像できない。また、この搬送装置は比較的機械構造が複雑であると想到されるので、メンテナンスなどの手間と費用がかかりやすく、安価に提供されにくいという問題も残る。このような問題は、曲がったウインナーソーセージのみならず、略弧状に形成された金属棒材その他の曲棒状ワーク全般にわたって生じるものである。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、略弧状に形成された複数の曲棒状ワークを搬送しながら、それらの全てを一つの向きに整えて整列させることのできるワーク整列搬送装置およびワーク整列搬送方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るワーク整列搬送装置は、略弧状の曲棒状ワークを搬送しながら当該曲棒状ワークを一定の向きにして整列させるワーク整列搬送装置であって、弧中央部が弧両端部よりも所定のワーク搬送方向上流側またはワーク搬送方向下流側に配置された曲棒状ワークを載置して搬送する入側コンベア手段と、入側コンベア手段により搬送された曲棒状ワークの弧両端部を支持し曲棒状ワークの弧中央部を垂れ下げてワーク搬送方向に搬送する弧中央部垂下搬送手段と、弧中央部垂下搬送手段により搬送される曲棒状ワークの弧中央部を持ち上げることにより曲棒状ワークの弧中央部を弧両端部よりもワーク搬送方向上流側またはワーク搬送方向下流側のいずれか一方に配置させる弧中央部配置手段と、を備えて成り、弧中央部垂下搬送手段は、ワーク搬送方向の左右に離間した配置で且つそれぞれ左右内向きに下る傾斜配置にされた一対の傾斜コンベアで構成され、弧中央部配置手段は、一対の傾斜コンベアの間に且つ一対の傾斜コンベアのワーク搬送方向下流側端部に配置されるとともにワーク搬送方向下流側に向かって上る傾斜配置にされた上昇コンベアで構成されていることを特徴とする構成にしてある
【0007】
そして、前記構成において、上昇コンベアのワーク搬送速度が、一対の傾斜コンベアのワーク搬送速度とは異なる速度に設定されていることを特徴とするものである。
【0008】
更に、前記した各構成において、一対の傾斜コンベアは、それぞれのワーク搬送方向の下流側端部が略水平に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係るワーク整列搬送方法は、略弧状の曲棒状ワークを搬送しながら曲棒状ワークを一定の向きにして整列させる方法であって、弧中央部を弧両端部よりもワーク搬送方向上流側またはワーク搬送方向下流側に配置した曲棒状ワークを載置してワーク搬送方向に搬送するステップと、ワーク搬送方向の左右に離間した配置で且つそれぞれ左右内向きに下る傾斜配置にされた一対の傾斜コンベアを用いて、搬送された曲棒状ワークの弧両端部を支持するステップと、弧両端部を支持された曲棒状ワークの弧中央部を垂れ下げてワーク搬送方向に搬送するステップと、一対の傾斜コンベアの間に且つ一対の傾斜コンベアのワーク搬送方向下流側端部に配置されるとともにワーク搬送方向下流側に向かって上る傾斜配置にされた上昇コンベアを用いて、搬送される曲棒状ワークの弧中央部を持ち上げながらワーク搬送方向に搬送するステップと、曲棒状ワークの弧中央部を弧両端部よりもワーク搬送方向上流側またはワーク搬送方向下流側のいずれか一方に配置させるステップと、を備えて成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るワーク整列搬送装置およびワーク整列搬送方法によれば、入側コンベア手段が、弧中央部が弧両端部よりもワーク搬送方向上流側またはワーク搬送方向下流側に配置された曲棒状ワークを載置して搬送し、弧中央部垂下搬送手段が、入側コンベア手段により搬送された曲棒状ワークの弧両端部を支持し曲棒状ワークの弧中央部を垂れ下げてワーク搬送方向に搬送し、弧中央部配置手段が、弧中央部垂下搬送手段により搬送される曲棒状ワークの弧中央部を持ち上げながら搬送することにより曲棒状ワークの弧中央部を弧両端部よりもワーク搬送方向上流側またはワーク搬送方向下流側のいずれか一方に配置させるので、曲棒状ワークの弧両端部を支持しつつ、いったん吊り下げて略垂直向きになった弧中央部を持ち上げながら搬送して略水平姿勢にすることができる。このような作用により、簡素な構造で簡単かつ確実に、複数の曲棒状ワークを順次搬送しながら全てを一定向きの姿勢にして整列させることができる。
【0011】
また、弧中央部垂下搬送手段がワーク搬送方向の左右に離間した一対の傾斜コンベアで構成され、弧中央部配置手段が一対の傾斜コンベアの間に配置された上昇コンベアで構成されているので、曲棒状ワークの弧両端部を支持し弧中央部を垂れ下げて搬送する構造、および垂れ下がった弧中央部を持ち上げて曲棒状ワークを一定の向きに向ける構造として、簡素な構成で且つ安価なものを提供することができる。
【0012】
そして、上昇コンベアのワーク搬送速度が一対の傾斜コンベアのワーク搬送速度とは異なる速度に設定されているものでは、上昇コンベアのワーク搬送速度を傾斜コンベアのワーク搬送速度よりも遅くすると、複数の曲棒状ワークの全てを、弧中央部が弧両端部よりもワーク搬送方向上流側に配置した姿勢にして整列させることができる。逆に、上昇コンベアのワーク搬送速度を傾斜コンベアのワーク搬送速度よりも速くすると、複数の曲棒状ワークの全てを、弧中央部が弧両端部よりもワーク搬送方向下流側に配置した姿勢にして整列させることができる。
【0013】
更に、一対の傾斜コンベアにおけるそれぞれのワーク搬送方向下流側端部が略水平に形成されているものでは、傾斜コンベアは入側が左右内向きに傾斜していて出側が水平にされているので、傾斜コンベアの途中部分に捻り部分が存在する。この捻り部分を曲棒状ワークの弧両端部が搬送されるときに、弧両端部の高さが下がっていく。その結果、垂下していた弧中央部を、前記のように下がっていく弧両端部の高さまで持ち上げる時間は短くなる。また、弧中央部配置手段により水平姿勢にされた曲棒状ワークは、後続の例えば出側コンベアなどの水平ローラに円滑に引き渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係るワーク整列搬送装置の概略構成を示す概略斜視図である。
図2】前記ワーク整列搬送装置を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図3】前記ワーク整列搬送装置を用いて複数の曲棒状ワークを搬送して整列させる作用手順を示すフローチャートの図である。
図4】前記ワーク整列搬送装置が複数の曲棒状ワークを搬送し一向きに整列させる状態を示す図2(a)におけるA-A線矢視図である。
図5】前記ワーク整列搬送装置の傾斜コンベアによる曲棒状ワークの搬送状態を示す図であって、(a)は図4におけるB-B線矢視図、(b)は図4におけるC-C線矢視図である。
図6】本発明の実施形態2に係るワーク整列搬送装置の概略構成を示す概略斜視図である。
図7】前記実施形態2に係るワーク整列搬送装置を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図8】前記実施形態2に係るワーク整列搬送装置が複数の曲棒状ワークを搬送し一向きとは逆の向きに整列させる状態を示す図7(a)におけるD-D線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
実施形態1.
ここに、図1は本発明の実施形態1に係るワーク整列搬送装置の概略構成を示す概略斜視図、図2は前記ワーク整列搬送装置を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
各図において、本実施形態に係るワーク整列搬送装置40は、略弧状の複数の曲棒状ワークW,W,W,・・・を矢印D方向に搬送しながらそれぞれを一定の向き(例えば一向きW1)の姿勢にして整列させる装置である。このワーク整列搬送装置40は、後で個々に説明するが、入側コンベア手段41と、弧中央部垂下搬送手段42と、弧中央部配置手段43と、出側コンベア手段43と、から構成されている。
【0016】
上記の入側コンベア手段41は、水平軸心回りに回転する駆動ローラ46Aおよび従動ローラ46Bと、駆動ローラ46Aと従動ローラ46Bに掛け回された無端ベルト状のコンベア47と、動力伝達機構48を介して駆動ローラ46Aに連結されたモータM1とから構成されている。一方、上記の出側コンベア手段44も、水平軸心回りに回転する駆動ローラ53Aおよび従動ローラ53Bと、駆動ローラ53Aと従動ローラ53Bに掛け回された無端ベルト状のコンベア54と、動力伝達機構48を介して駆動ローラ53Aに連結されたモータM4と、から構成されている。
【0017】
上記の弧中央部垂下搬送手段42は、入側コンベア手段41と出側コンベア手段44との間に介設されている。この弧中央部垂下搬送手段42は、ワーク搬送方向の左右に離間した配置でワーク搬送方向に延びる一対の傾斜コンベア45A,45Bで構成されている。これらの傾斜コンベア45A,45Bは、それぞれ左右内向きに下る傾斜配置にされている、傾斜コンベア45Aは、水平方向から角度θぶん内向きに傾斜した軸心回りに回転する駆動ローラ49AAおよび従動ローラ49ABと、駆動ローラ49AAと従動ローラ49ABに掛け回された無端ベルト状のコンベア50Aと、動力伝達機構48を介して駆動ローラ49AAに連結されたモータM2とから構成されている。一方、傾斜コンベア45Bも、水平方向から角度θぶん内向きに傾斜した軸心回りに回転する駆動ローラ49BAおよび従動ローラ49BBと、駆動ローラ49BAと従動ローラ49BBに掛け回された無端ベルト状のコンベア50Bと、動力伝達機構48を介して駆動ローラ49BAに連結されたモータM2とから構成されている。コンベア50Aとコンベア50Bは、同じ速度のワーク搬送速度V1に設定されている。
【0018】
上記の弧中央部配置手段43は、水平軸心回りに回転する駆動ローラ51Aおよび従動ローラ51Bと、駆動ローラ51Aと従動ローラ51Bに掛け回された無端ベルト状のコンベア52と、動力伝達機構48を介して駆動ローラ51Aに連結されたモータM3とから構成されている。上昇コンベア52は、駆動ローラ51Aおよび従動ローラ51Bの上下配置関係により、ワーク搬送方向下流側に向かって上る傾斜配置にされている。このような弧中央部配置手段43は、一対の傾斜コンベア45A,45Bの間に配備されており、傾斜コンベア45A,45Bのワーク搬送方向下流側端部の位置に配置されている。この実施形態の場合、上昇コンベア52のワーク搬送速度V2は、一対の傾斜コンベア45A,45Bのワーク搬送速度V1よりも遅い速度に設定されている。また、各コンベア47,50A,50B,52,54は、図1図2(c)、図4のように側方から視て、反時計回り方向(矢印R方向)に周回走行している。
【0019】
上記したコンベア47,50A,50B,52,54は、例えばポリウレタン製の無端周回平ベルトで構成されている。但し、コンベアおよびローラの構造および材質は前記の例示に限られない。また、各々の駆動ローラ46A,49AA,49AB,51A,53Aおよび従動ローラ46B,49BA,49BB,51B,53Bは、側方に配置された左右の軸受側板(要部を見やすくするために図示省略)に回動自在に軸支されている。また、これらのローラは例えばポリアセタール製である。
【0020】
引き続き、上記のように構成されたワーク整列搬送装置40の作用を図3のフローチャート、図4および図5の構成図を主に用い、図1,2を併用しながら説明する。尚、図1,2中に描かれた複数の曲棒状ワークW,W,W,・・・はそれぞれ別個体の曲棒状ワークWを表わしており、図4中に描かれた曲棒状ワークW,W,Wはひとつの曲棒状ワークWの経時的姿勢変化を示している。
そして、前記した作用の手順は、ワーク載置ステップS11と、孤両端部支持ステップS12と、弧中央部垂下搬送ステップS13と、弧中央部持ち上げ搬送ステップS14と、ワーク整列配置ステップS15と、ワーク移送ステップS16とから構成されている。
【0021】
先ず、ワーク載置ステップS11では、曲棒状ワークWがその弧中央部WAを弧両端部WB,WBよりもワーク搬送方向(矢印D方向)の上流側またはワーク搬送方向下流側に配置した姿勢で入側コンベア手段41のコンベア47上に載置され、ワーク搬送方向に搬送される。この場合、曲棒状ワークWは、曲棒状ワークWの弧中央部WAが弧両端部WB,WBよりもワーク搬送方向(矢印D方向)の上流側に配置された一向きW1に寝かせたものと、曲棒状ワークWの弧中央部WAが弧両端部WB,WBよりもワーク搬送方向の下流側に配置されていて一向きW1とは反対の逆向きW2に寝かせたものとがある(図1図2(a)および図2(c)参照)。
【0022】
次の孤両端部支持ステップS12では、入側コンベア手段41により搬送された曲棒状ワークW(図4および図5(a)中のW(1))が、弧中央部垂下搬送手段42の左右の傾斜コンベア45A,45Bに受け渡される。このとき、曲棒状ワークWの弧両端部WB,WBが傾斜コンベア45A,45B上に載って支持される。そして、傾斜コンベア45A,45B間には隙間があるので、支持された弧両端部WB,WBを揺動支点として、前記した支持動作の直後に曲棒状ワークが回動し、弧中央部WAが略垂直姿勢に垂れ下がり(図4および図5(a)中のW(2))、そのままワーク搬送方向に搬送される(弧中央部垂下搬送ステップS13)。
【0023】
続く弧中央部持ち上げ搬送ステップS14では、弧中央部垂下搬送手段42により支持されて搬送される曲棒状ワークWの弧中央部WAが、弧中央部配置手段43のコンベア52上に接触し(図4および図5(b)中のW(3))、ワーク搬送に伴なってコンベア52により持ち上げられていく。但し、弧中央部垂下搬送手段42の搬送速度V1は弧中央部配置手段43の搬送速度V2よりも速く設定されているので、コンベア50に接した弧中央部WAは弧両端部WB,WBよりも遅れながら、図4中に示す反時計回りの矢印G方向に回動していく。
【0024】
このようにして、複数の曲棒状ワークW,W,W,・・・は、それぞれの弧中央部WAが弧両端部WB,WBよりもワーク搬送方向上流側に配置された姿勢にされる(ワーク整列配置ステップS15)。前記のような姿勢にされた複数の曲棒状ワークW,W,W,・・・は、順次出側コンベア手段44のコンベア54に移送され(ワーク移送ステップS16)、コンベア54上に載せられて下流側機器に向けて搬送されるのである(図4および図5(b)中のW(4))。
【0025】
上記したように、この実施形態1のワーク整列搬送装置40によれば、弧中央部垂下搬送手段42が、入側コンベア手段41により搬送された曲棒状ワークWの弧両端部WB,WBを支持するとともに弧中央部WAを垂れ下げて搬送し、弧中央部配置手段43が、曲棒状ワークWの弧中央部WAを持ち上げることにより弧中央部WAを弧両端部WB,WBよりもワーク搬送方向上流側に配置させること、すなわち曲棒状ワークWを一向きW1の水平姿勢にすることができる。この場合、上昇コンベア52の搬送速度V2が傾斜コンベア52の搬送速度V1よりも遅く設定されているので、複数の曲棒状ワークW,W,W,・・・の全てを、確実に、弧中央部WAが弧両端部WB,WBよりもワーク搬送方向上流側に配置された一向きW1の姿勢にして整列させることができる。特に、弧中央部配置手段として上昇コンベア52を使用しているので、曲棒状ワークWの姿勢変更(矢印G方向)を安定して円滑に行うことができる。
【0026】
また、曲棒状ワークWの弧両端部WB,WBを支持し弧中央部WAを垂れ下げて搬送する弧中央部垂下搬送手段42の傾斜コンベア45A,45Bの構造、および、垂れ下がった弧中央部WAを持ち上げて曲棒状ワークWを一向きW1に向ける弧中央部配置手段43の上昇コンベア52の構造は、いずれも簡素な構成かつ安価なもので済む。
【0027】
実施形態2.
上記の実施形態1では、弧中央部垂下搬送手段42として、ワーク搬送方向上流側端部から下流側端部までの全体が同じ傾斜角度θで左右内向きに傾斜した一対の傾斜コンベア45A,45Bから成るものを例示したが、本発明はそれに限られない。実施形態1の弧中央部垂下搬送手段42に替えて、図6図7および図8に示すような弧中央部垂下搬送手段42aを備えたワーク整列搬送装置40aも、本発明に含まれる。このワーク整列搬送装置40aが実施形態1に係るワーク整列搬送装置40の構成と異なるところは、左右一対の傾斜コンベア45Aa,45Baで構成された弧中央部垂下搬送手段42aを備えていることと、実施形態1とは逆に弧中央部配置手段43の上昇コンベア52の搬送速度V2が傾斜コンベア45Aa,45Baの搬送速度V1よりも速い速度に設定されていることである。他の残りの構成は実施形態1と同じである。
【0028】
前記した弧中央部垂下搬送手段42aの傾斜コンベア45Aa,45Baは、実施形態1と同じくそれぞれの軸心が左右内向きに下るように水平から傾けて配置された駆動ローラ49AA,49BAと、それぞれの軸心が水平向きとなるように配置された従動ローラ49ABa,49BBaと、これらのローラ間に掛け回されたコンベア50Aa,50Baと、駆動ローラ49AA,49BAに動力伝達機構48を介して連結されたモータM2,M2と、から構成されている。すなわち、それぞれのコンベア50Aa,50Baにおけるワーク搬送方向の下流側端部50c、50cは水平の姿勢となるように形成されている。その結果、コンベア50A,50Bはそれぞれの途中で捻られた形態になっている。
【0029】
前記した40aでは、図8に示すように、入側コンベア手段41上の曲棒状ワークW(1)の弧両端部WB,WBが弧中央部垂下搬送手段42a上に乗り移って弧中央部WAが垂れ下がり(W(2))、弧中央部WAが弧中央部配置手段43の上昇コンベア52に接触する(W(3))。このとき、上昇コンベア52の搬送速度V2は弧中央部WAが弧中央部配置手段42aの搬送速度V1よりも速いので、弧中央部WAが弧両端部WB,WBよりも前進するよう側面視で矢印Gtのように曲棒状ワークWが回動する。同時に、コンベア50Aa,50Baの捻り部分を弧両端部WB,WBが搬送されながらそれらの支持高さが下がっていくことも合わさって、弧中央部WAを垂直位置から水平位置まで変位させる動作を短時間で迅速に行なえるのである。
【0030】
上記したように、この実施形態2のワーク整列搬送装置40aによれば、コンベア50Aa,50Baのねじれの存在により、曲棒状ワークWの弧両端部WB,WBはその高さが搬送に伴って徐々に下がっていくため、曲棒状ワークWはその大小に拘わらずそれぞれの適所で弧中央部配置手段43のコンベア52に接触できる。従って、曲棒状ワークWの大きさや反りの不揃いに左右されることなく、確実に整列を行うことができる。また、一対の傾斜コンベア45Aa,45Baにおけるそれぞれのワーク搬送方向の下流側端部50c,50cが水平に形成されているので、その位置での弧両端部WB,WBの高さを出側コンベア手段44のコンベア54の高さに合わせられるため、弧中央部配置手段43により水平姿勢にされた曲棒状ワークWを、出側コンベア手段44のコンベア54上に円滑に引き渡すことができる。そして、上昇コンベア52の搬送速度V2は傾斜コンベア45Aa,45Baの搬送速度V1よりも速く設定されているので、複数の曲棒状ワークW,W,W,・・・の全てを、弧中央部WAが弧両端部WB,WBよりもワーク搬送方向下流側に配置された、実施形態1とは逆向きW2の姿勢にして整列させることができる。因みに、上昇コンベア52の搬送速度V2と弧中央部垂下搬送手段42,42aの搬送速度V1とを同じ速度にした場合も、本発明に含まれる。その場合、複数の曲棒状ワークW,W,W,・・・の全ては、一向きW1の姿勢に揃えられて整列させられる。
【0031】
尚、上記の実施形態1,2では、弧中央部配置手段として、上昇コンベア52を用いた弧中央部配置手段43を例示したが、本発明はそれらに限られない。前記の弧中央部配置手段43に替えて、実施形態1の傾斜コンベア45A,45B間または実施形態2の傾斜コンベア45Aa,45Ba間に、静止物たる障害物を固定配備しても構わない。そのような障害物であっても、弧中央部WAに当たって弧中央部WAを持ち上げることにより、曲棒状ワークWを一定向きの姿勢にして整列させることができる。その場合、障害物として合成樹脂など摩擦係数の低い部材を使用すると、支障なく円滑に弧中央部WAを持ち上げて曲棒状ワークWを水平姿勢にすることができる。
【0032】
また、上記の実施形態1,2では、コンベアとしてポリウレタンゴム製の周回平ベルトを例示したが、本発明はそれに限定されない。例えば、ローラ間に掛け回される輪ゴム状のゴムベルトをローラ軸心方向に多数並べたような構成のものでもよいし、樹脂製または金属製の帯状チェーン、ナイロン製やカーボンファイバー製の織布または編布なども適用可能である。
そして、上記では、略弧状の曲棒状ワークとして、ウインナーソーセージを用いた例を示したが、それ以外には、例えば弧状に曲がった食材、金属製または合成樹脂製の曲棒材や曲線材などが挙げられる。
【0033】
ところで、本発明に係る、入側コンベア手段、弧中央部垂下搬送手段および弧中央部配置手段は、上記の実施形態1,2で例示した具体的な構成に限定されないことは言うまでもない。すなわち、これらの手段の各機能を実現できる具体的構成であれば、実施形態1,2以外の具体構成であっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
40,40a ワーク整列搬送装置
41 入側コンベア手段
42,42a 弧中央部垂下搬送手段
43 弧中央部配置手段
45A,45B 傾斜コンベア
45Aa,45Ba 傾斜コンベア
50A,50B,50Aa,50Ba コンベア
50c 下流側端部
52 上昇コンベア
D 矢印
S11 ワーク載置ステップ
S12 孤両端部支持ステップ
S13 弧中央部垂下搬送ステップ
S14 弧中央部持ち上げ搬送ステップ
S15 ワーク整列配置ステップ
V1 搬送速度
V2 搬送速度
W 曲棒状ワーク
W1 一向き
W2 逆向き
WA 弧中央部
WB 弧両端部
θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8