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特許7114094ナノチャネルに基づくカーゴ送達のための相互貫入マイクロ構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】ナノチャネルに基づくカーゴ送達のための相互貫入マイクロ構造体
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20220801BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20220801BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20220801BHJP
   A61N 1/32 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
A61M37/00 514
A61K45/00
A61K48/00
A61K31/7088
A61K38/02
A61K39/00 H
A61K35/12
A61K9/50
A61N1/32
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019534295
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2017067630
(87)【国際公開番号】W WO2018119090
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】62/438,256
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514137997
【氏名又は名称】オハイオ・ステイト・イノベーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セン,チャンダン
(72)【発明者】
【氏名】ギャレゴ-ペレス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】イギータ-カストロ,ナタリア
(72)【発明者】
【氏名】チャン,リンキアン
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-505518(JP,A)
【文献】特表2006-518675(JP,A)
【文献】特表2014-511243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0058506(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61K 45/00
A61K 48/00
A61K 31/7088
A61K 38/02
A61K 39/00
A61K 35/12
A61K 9/50
A61N 1/30- 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ構造体アレイ(100)であって、
上部表面(102)および底部表面(103)を有する、平面状の基板(101)と、
前記平面状の基板の前記上部表面と流体連通している、リザーバ(104)と、
前記平面状の基板の前記底部表面から突出している複数のマイクロ構造体(105)であって、
前記複数のマイクロ構造体の各々が、
各ベース(107)から、前記平面状の基板の前記底部表面からのある高さに位置する遠位先端(108)にかけて先細状になっている各中実の本体部分(106)であって、前記各ベースから前記各遠位先端までの前記各中実の本体部分がマイクロ構造体表面を画定する、中実の本体部分(106)と、
前記平面状の基板の前記上部表面から、前記マイクロ構造体表面内の第1のチャネルまたはスリット開口(110)に延在し、それによって、前記リザーバを前記各第1のチャネルまたはスリット開口に流体接続する、各第1の送達チャネル(109)またはスリットと、
前記平面状の基板の前記上部表面から、前記マイクロ構造体表面内の各第2のチャネルまたはスリット開口(112)に延在し、それによって、前記リザーバを前記各第2のチャネルまたはスリット開口に流体接続する、各第2の送達チャネル(111)またはスリットと、
を備える複数のマイクロ構造体(105)と、
前記リザーバと電気的に接触している第1の電極と、組織の1つ以上の細胞に電気的に接触するように構成されている第2の電極と、
を備え、
前記複数のマイクロ構造体の各々の前記中実の本体部分は、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いてシリコンから形成され、
前記第1の送達チャネルまたはスリットおよび第2の送達チャネルまたはスリットは、1nm~999nmの内径を有しており、
前記各第1のチャネルまたはスリット開口は、前記平面状の基板に対して平行な第1の平面内に位置しており、前記各第2のチャネルまたはスリット開口は、前記平面状の基板に対して平行な第2の平面内に位置しており、前記第1の平面は、前記第2の平面から遠位に離隔されており、
前記第1の平面は、前記平面状の基板の前記底部表面からの前記高さの20%~60%の距離だけ前記第2の平面から遠位に離隔されており、
前記各第1のチャネルまたはスリット開口は、前記各遠位先端に位置している、
マイクロ構造体アレイ。
【請求項2】
前記複数のマイクロ構造体の各々が、前記平面状の基板の前記上部表面から、前記マイクロ構造体表面内の各第3のチャネルまたはスリット開口(114)に延在する各第3の送達チャネル(113)またはスリットであって、それによって、前記リザーバを前記第3のチャネルまたはスリット開口に流体接続する、各第3の送達チャネル(113)またはスリットをさらに備える、請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項3】
前記マイクロ構造体表面の前記高さが、5ミクロン~1000ミクロンである、請求項1または2に記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項4】
前記マイクロ構造体の前記ベースの幅が、5ミクロン~500ミクロンである、請求項1~のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項5】
前記マイクロ構造体の前記ベースが、略円形の形状を有する、請求項1~のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項6】
前記ベースが、略長方形の形状を有する、請求項1~のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項7】
前記複数のマイクロ構造体それぞれの前記各中実の本体部分が、独立して、平行なリッジ、ヘリンボーンパターンに配列されたリッジ、波形パターンに配列されたリッジ、円錐、または角錐を備える、請求項1~のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項8】
前記複数のマイクロ構造体のそれぞれの各遠位先端が、尖端状、丸状、傾斜状、フレア状、先細状、または先丸状から独立して選択される形状を有する、請求項1~のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項9】
前記各第1の送達チャネルまたはスリットおよび前記各第2の送達チャネルまたはスリットが、各々、前記平面状の基板に対して平行な平面において、略円形の断面を有する、請求項1~のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項10】
前記各第1の送達チャネルまたはスリットおよび前記各第2の送達チャネルまたはスリットが、各々、前記平面状の基板に対して平行な平面において、略長方形の断面を有する、請求項1~のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項11】
前記複数のマイクロ構造体の各々が、前記ベースから前記遠位先端に段階的に先細状になる各中実の本体部分を備える、請求項1~10のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項12】
前記複数のマイクロ構造体の各々の前記各中実の本体部分が、円錐台形の形状を有する、請求項1~10のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項13】
前記複数のマイクロ構造体の各々の前記各中実の本体部分が、シリコンから形成される、請求項1~11のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【請求項14】
前記平面状の基板が、複数の送達チャネルをさらに備え、それらの各々が、前記平面状の基板の前記上部表面から、前記平面状の基板の前記底部表面内のチャネル開口に延在し、それによって、前記リザーバを、前記平面状の基板の前記底部表面内の前記チャネル開口に流体接続する、請求項1~12のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月22日に出願された米国仮特許出願第62/438,256号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ナノテクノロジーに関し、より具体的には、ナノチャネルおよびナノチャネルに基づく送達方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生物学的組織にわたってまたはその中に治療薬剤を送達するための一般的な技術は、ナノチャネルアレイの使用である。しかしながら、現在のナノチャネルに基づく送達方法は、組織の最も外側の細胞層にカーゴを直接送達することができるのみであり、この技術の作用範囲を著しく制限している。したがって、組織のより深い細胞層にカーゴを送達することができるナノチャネルに基づく送達方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書において、生物学的組織、特に、皮膚にわたって、またはその中に、カーゴを局所的かつ制御可能に送達するためのデバイスおよび方法が提供される。これらのデバイスは、組織のより深い細胞層へのカーゴの送達を可能にする。これらのデバイスは、ナノチャネルを備えるマイクロ構造体アレイを含む。
【0005】
一部の実施形態において、マイクロ構造体アレイは、上部表面および底部表面を有する、平面状の基板と、平面状の基板の上部表面と流体連通している、リザーバと、平面状の基板の底部表面から突出している複数のマイクロ構造体と、を含む。複数のマイクロ構造体の各々は、ベースから、平面状の基板の底部からのある高さに位置する遠位先端にかけて先細状になっており、それによって、マイクロ構造体表面を画定する、中実の本体部分を備える。複数のマイクロ構造体の各々はまた、平面状の基板の上部表面から、マイクロ構造体表面内の第1のチャネル開口に延在し、それによって、リザーバを第1のチャネル開口に流体接続する、第1の送達チャネルを備える。複数のマイクロ構造体の各々はまた、平面状の基板の上部表面から、マイクロ構造体表面内の第2のチャネル開口に延在し、それによって、リザーバを第2のチャネル開口に流体接続する、第2の送達チャネルを備える。
【0006】
一部の実施形態において、第1のチャネル開口は、平面状の表面に対して平行な第1の平面内に位置しており、第2のチャネル開口は、平面状の基板に対して平行な第2の平面内に位置している。これらの実施形態において、第1の平面は、第2の平面から遠位に離隔されている。これらの実施形態のうちの一部において、第1の平面は、遠位先端と平面状の基板の底部との間の高さの20%~60%の距離だけ第2の平面から遠位に離隔されている。他の実施形態において、第1のチャネル開口は、遠位先端に位置している。
【0007】
一部の実施形態において、複数のマイクロ構造体の各々は、平面状の基板の上部表面から、マイクロ構造体表面内の第3のチャネル開口に延在し、それによって、リザーバを第3のチャネル開口に流体接続する、第3の送達チャネルをさらに備える。これらの実施形態のうちの一部において、第1のチャネル開口は、平面状の基板に対して平行な第1の平面に位置しており、第2のチャネル開口は、平面状の基板に対して平行な第2の平面内に位置しており、第3のチャネル開口は、平面状の基板に対して平行な第3の平面内に位置している。これらの実施形態において、第1の平面は、第2の平面から遠位に離隔されており、第2の平面は、第3の平面から遠位に離隔されている。これらの実施形態のうちの一部において、第1の平面は、遠位先端と平面状の基板の底部との間の高さの20%~60%の距離だけ第2の平面から遠位に離隔されており、第2の平面は、遠位先端と平面状の基板の底部との間の高さの20%~60%の距離だけ第3の平面から遠位に離隔されている。
【0008】
一部の実施形態において、遠位先端と平面状の基板の底部との間の高さは、20ミクロン~1000ミクロンである。
【0009】
一部の実施形態において、ベースは、略円形の形状を有する。他の実施形態において、ベースは、略長方形の形状を有する。
【0010】
一部の実施形態において、中実の本体部分は、シリコンまたはシリコン系材料、例えば、窒化シリコンから形成される。他の実施形態において、平面状の基板は、シリコンまたはシリコン系材料から形成される。他の実施形態において、中実の本体部分は、陽極酸化アルミニウムから形成される。他の実施形態において、平面状の基板は、陽極酸化アルミニウムから形成される。
【0011】
一部の実施形態において、平面状の基板は、複数の送達チャネルをさらに備え、それらの各々が、平面状の基板の上部表面から平面状の基板の底部表面内のチャネル開口に延在し、それによって、リザーバを、平面状の基板の底部表面内のチャネル開口に流体接続する。
【0012】
また、フレーム内に包囲された1つ以上のマイクロ構造体アレイを備えるデバイスも開示される。一部の実施形態において、フレームは、柔軟性および/または可鍛性である。一部の場合において、これは、湾曲した表面への適用を可能にする。一部の場合において、フレームは、非平面状である。例えば、フレームは、円筒であり得、そのため、マイクロ構造体アレイは、円筒の周囲に円周方向に配設されている。一部の場合において、マイクロ構造体アレイは、円筒の遠位端に配置される。これらの実施形態のうちの一部において、円筒は、内腔を画定し、これは、マイクロ構造体アレイに対するリザーバとして機能することができる。これらの実施形態において、電極もまた、内腔内に配置され得る。
【0013】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
(発明の開示)
(項目1)
マイクロ構造体アレイ(100)であって、
上部表面(102)および底部表面(103)を有する、平面状の基板(101)と、
前記平面状の基板の前記上部表面と流体連通している、リザーバ(104)と、
前記平面状の基板の前記底部表面から突出している複数のマイクロ構造体(105)と、を備え、前記複数のマイクロ構造体の各々が、
ベース(107)から、前記平面状の基板の前記底部表面からのある高さに位置する遠位先端(108)にかけて先細状になっており、それによって、マイクロ構造体表面を画定する、中実の本体部分(106)と、
前記平面状の基板の前記上部表面から、前記マイクロ構造体表面内の第1のチャネル開口(110)に延在し、それによって、前記リザーバを前記第1のチャネル開口に流体接続する、第1の送達チャネル(109)と、
前記平面状の基板の前記上部表面から、前記マイクロ構造体表面内の第2のチャネル開口(112)に延在し、それによって、前記リザーバを前記第2のチャネル開口に流体接続する、第2の送達チャネル(111)と、を備える、マイクロ構造体アレイ。
(項目2)
前記第1のチャネル開口が、前記平面状の基板に対して平行な第1の平面内に位置しており、前記第2のチャネル開口が、前記平面状の基板に対して平行な第2の平面内に位置しており、前記第1の平面が、前記第2の平面から遠位に離隔されている、項目1に記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目3)
前記第1の平面が、前記平面状の基板の前記底部表面からの前記高さの20%~60%の距離だけ前記第2の平面から遠位に離隔されている、項目2に記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目4)
前記第1のチャネル開口が、前記遠位先端に位置している、項目1~3のいずれかに記載のマイクロ構造体。
(項目5)
前記複数のマイクロ構造体の各々が、前記平面状の基板の前記上部表面から、前記マイクロ構造体表面内の第3のチャネル開口(114)に延在し、それによって、前記リザーバを前記第3のチャネル開口に流体接続する、第3の送達チャネル(113)をさらに備える、項目1~4のいずれかに記載のマイクロ構造体。
(項目6)
前記第1のチャネル開口が、前記平面状の基板に対して平行な第1の平面内に位置しており、前記第2のチャネル開口が、前記平面状の基板に対して平行な第2の平面内に位置しており、前記第3のチャネル開口が、前記平面状の基板に対して平行な第3の平面内に位置しており、
前記第1の平面が、前記第2の平面から遠位に離隔されており、前記第2の平面が、前記第3の平面から遠位に離隔されている、項目5に記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目7)
前記第1の平面が、前記平面状の基板の前記底部表面からの前記高さの20%~60%の距離だけ前記第2の平面から遠位に離隔されている、項目6に記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目8)
前記第2の平面が、前記平面状の基板の前記底部表面からの前記高さの20%~60%の距離だけ前記第3の平面から遠位に離隔されている、項目6または7に記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目9)
前記マイクロ構造体表面の前記高さが、5ミクロン~1000ミクロンである、項目1~8のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目10)
前記マイクロ構造体の前記ベースの幅が、5ミクロン~500ミクロンである、項目1~9のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目11)
前記マイクロ構造体の前記ベースが、略円形の形状を有する、項目1~10のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目12)
前記ベースが、略長方形の形状を有する、項目1~10のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目13)
前記複数のマイクロ構造体が、平行なリッジ、ヘリンボーンパターンに配列されたリッジ、波形パターンに配列されたリッジ、円錐、または角錐を備える、項目1~12のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目14)
前記マイクロ構造体の前記遠位先端が、尖端状、丸状、傾斜状、フレア状、先細状、先丸状、またはこれらの組み合わせである、項目1~13のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目15)
前記第1の送達チャネルおよび前記第2の送達チャネルが、各々、前記平面状の基板に対して平行な平面において、略円形の断面を有する、項目1~14のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目16)
前記第1の送達チャネルおよび前記第2の送達チャネルが、各々、前記平面状の基板に対して平行な平面において、略長方形の断面を有する、項目1~14のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目17)
前記第1の送達チャネルおよび前記第2の送達チャネルが、各々、前記平面状の基板に対して平行な平面において、略トロイド形の断面を有し、
前記第2の送達チャネルが、前記第1の送達チャネルの周囲に同軸で配置されている、項目1~14に記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目18)
前記第1の送達チャネルが、前記平面状の基板に対して平行な平面において、略円形の断面を有し、前記第2の送達チャネルが、前記平面状の基板に対して平行な平面において、略トロイド形の断面を有し、
前記第2の送達チャネルが、前記第1の送達チャネルの周囲に同軸で配置されている、項目1~14に記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目19)
前記複数のマイクロ構造体の各々が、前記ベースから前記遠位先端に段階的に先細状になる中実の本体部分を備える、項目1~18のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目20)
前記複数のマイクロ構造体の各々が、円錐台形の形状を有する中実の本体部分を備える、項目1~18のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目21)
前記複数のマイクロ構造体の各々の前記中実の本体部分が、シリコンから形成される、項目1~20のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目22)
前記平面状の基板が、シリコンから形成される、項目1~21のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目23)
前記平面状の基板が、複数の送達チャネルをさらに備え、それらの各々が、前記平面状の基板の前記上部表面から、前記平面状の基板の前記底部表面内のチャネル開口に延在し、それによって、前記リザーバを、前記平面状の基板の前記底部表面内の前記チャネル開口に流体接続する、項目1~22のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目24)
前記リザーバと電気的に接触している第1の電極と、前記平面状の基板の前記底部表面に当接して位置している組織に電気的に接触するように構成されている第2の電極と、をさらに備える、項目1~23のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイ。
(項目25)
組織内の細胞に物質を送達するための方法であって、
項目1~24のいずれかに記載のマイクロ構造体アレイを、前記組織に適用し、前記平面状の基板の前記底部表面が、前記組織に当接して配置され、かつ前記複数のマイクロ構造体が、前記組織の中へ延在するようにすることと、
前記リザーバから、前記複数のマイクロ構造体の各々の前記第1の送達チャネルおよび前記第2の送達チャネルを通って、前記組織内の前記細胞に、物質を送達することと、を含む、方法。
(項目26)
前記物質が、前記組織の複数の細胞レベルに同時に送達される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記物質が、張力、手動、剪断力、拡散、注入、圧力、電気穿孔、浸透、濃度勾配、電磁界、低周波数超音波、またはこれらの組み合わせを介して送達される、項目25~26のいずれかに記載の方法。
(項目28)
前記物質が、電気穿孔を介して送達される、項目27に記載の方法。
(項目29)
マイクロ構造体アレイが、前記リザーバと電気的に接触している第1の電極と、前記組織と電気的に接触している第2の電極と、を備え、
電気穿孔を介する送達が、前記第1の電極および前記第2の電極にわたって電界を適用して、前記組織内の前記細胞を電気穿孔し、前記物質を、前記リザーバから、前記複数のマイクロ構造体の各々の前記第1および第2の送達チャネルを通って、かつ前記組織の前記細胞の中へ駆動する、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記電界が、1V~500Vの電位で適用される、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記電界が、パルス電界を含む、項目29~30のいずれかに記載の方法。
(項目32)
前記パルス電界が、0.1ミリ秒~100ミリ秒の持続時間を有する複数のパルスを含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記パルス電界が、1~500パルスを含む、項目31~32のいずれかに記載の方法。
(項目34)
前記物質の送達が、フィードバックシステムによって制御される、項目25~33のいずれかに記載の方法。
(項目35)
前記物質が、治療薬剤を含む、項目25~34のいずれかに記載の方法。
(項目36)
前記治療薬剤が、核酸である、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記治療薬剤が、ペプチドまたはポリペプチドである、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記治療薬剤が、小分子である、項目35に記載の方法。
(項目39)
前記治療薬剤が、ワクチンである、項目35に記載の方法。
(項目40)
前記治療薬剤が、リプログラムされている細胞から単離された小胞を含む、項目35に記載の方法。
(項目41)
前記小胞が、エキソソームを含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記物質が、診断用薬剤を含む、項目25~34のいずれかに記載の方法。
(項目43)
前記リザーバが、2つ以上の異なる物質を含み、前記方法が、前記2つ以上の物質を、同時に、前記組織内の前記細胞に送達することを含む、項目25~42のいずれかに記載の方法。
(項目44)
前記方法が、あるレベルで、前記組織の中に物質を注入することをさらに含み、そのレベルを超えて、前記複数のマイクロ構造体が前記組織の中に延在する、項目25~43のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用するシリコン系材料からのアレイ状相互貫入ナノチャネルの製造を示す概略図である。最初に、フォトレジストパターニングおよび湿式または乾式エッチングを使用して、円錐形または角錐形の相互貫入マイクロ構造体のアレイ(高さ約20ミクロン~500ミクロン)をシリコン基板上に画定する。続いて、シリコン基板は、その裏面に投影リソグラフィを使用して、ナノウェルのアレイ(直径約300~1000nm)をパターニングされ、その後、シリコン基板/相互貫入マイクロ構造体を通してナノチャネルを穿設するように高異方性深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)を行う。
図2】エッチング技術を使用してシリコン系材料からアレイ状相互貫入ナノチャネルを製造する代替方法を示す概略図である。選択的表面エッチングは、予め作製されたナノチャネル化基板プラットフォーム上に相互貫入マイクロ構造体を画定するために使用される。
図3】ナノチャネルを含むマイクロ構造体アレイの一実施形態を示す高解像度画像である。
図4】伝統的なナノチャネルに基づく送達(例えば、TNT)方法の適用を示す概略図である。
図5】ナノチャネルを含む相互貫入マイクロ構造体アレイを使用する生物学的障壁内への/生物学的障壁にわたるカーゴの送達を示す概略図である。
図6a-n】TNTが、リプログラミング因子の送達の増強およびトランスフェクションの境界を越えた伝播を媒介することを示す。図6aは、剥離した皮膚組織に対するTNTプロセスの概略図を示す。正極は皮内に挿入され、負極はカーゴ溶液と接触される。次に、パルス電界(250V、10msパルス、10パルス)を、電極間に印加して、露出した細胞膜にナノ孔形成し、カーゴを直接サイトゾルに注入する。ナノ孔アレイを示すTNTプラットフォーム表面の走査型電子顕微鏡写真(上)。図6bは、シミュレーション目的のための境界条件を示す概略図を示す。図6cは、TNT(実線)対BEP(破線)を受けている異なる細胞についての穿孔プロファイルのシミュレーションを示す。このプロットは、TNTが集中的な穿孔をもたらすのに対し、BEPは広範な穿孔をもたらすことを示す。図6dは、TNT対BEPについてのABM発現結果を示す。TNTは、優れたABM発現をもたらした(t=24時間)。図6eは、代表的なIVIS蛍光を示し、図6fは、標識DNAおよびABM因子を用いてそれぞれTNT処理した後のマウス皮膚の共焦点顕微鏡画像を示す。GFPは、Ascl1プラスミドにおけるレポータ遺伝子である。図6gは、表皮および真皮における遺伝子発現のレーザキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)およびqRT-PCRの結果(t=24時間)を示し、遺伝子発現が、表皮トランスフェクション境界を越えて伝播したことを示す。図6hは、表皮から真皮へのEV媒介トランスフェクション伝播の概念を例解する概略図を示す。図6iは、ABM mRNA/cDNAの有意なローディングを示す、EVカーゴのqRT-PCR分析を示す。図6jは、EVがトランスフェクションおよびリプログラミングを伝播させるための実行可能なビヒクルであるかどうかを確認するための実験設計を示す。図6kは、TNT処理皮膚から単離されたEVを自発的に内在化したマウス胚性線維芽細胞を示す、共焦点顕微鏡写真を示す。図6lは、TNTに基づくABMの形質導入と比較した、ナイーブマウスへのEV注入の14日後の遺伝子発現分析を示す。免疫染色の結果は、Tujl(4週目)の増加(m)を示し、図6nは、ABM TNT処理後の皮膚におけるニューロフィラメント(8週目)の発現を示す。N=3匹の動物(生物学的複製)。*p<0.05(Holm-Sidak法)、#0.05<p<0.08(片側t検定)。
図7a-k】TNTプラットフォームの製造およびナノチャネルアレイシミュレーションを示す。図7aは、両面研磨シリコンウェハを示す。図7b~dは、ナノチャネルパターニングおよびDRIEを示す。図7eは、エッチングされたナノチャネルの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。図7fは、マイクロリザーバの裏面エッチングを示す。図7gは、SEM顕微鏡写真を示し、図7hおよび7iは、それぞれ異なる条件下でのエッチングプロファイルおよびエッチング速度を示すプロットを示す。図7jおよび7kは、非対称(すなわち、T字型)ナノチャネルアレイ、対、対称(すなわち、十字型)アレイについての場分布(j1、k1)および放熱プロファイル(j、k2~3)を示すシミュレーション結果を示す。バルク電気穿孔(BEP)は、インビボでの非ウイルス遺伝子送達のための現在の最も基準になる判断基準である。しかしながら、BEPにおける遺伝子取り込みは、非常に確率論的なプロセスであり、これは、不均一な電界によって影響されるだけでなく、下流ならびに/またはエンドサイトーシスおよび拡散などのより受動的なプロセスによってもそれぞれ影響される(Geng,T.&Lu,C.Lab Chip13,3803-3821(2013);Boukany,P.E.et al.Nat Nanotechnol6,747-754(2011);Gallego-Perez,D.et al.Nanomedicine(2015))。そのため、インビボでより能動的かつ決定論的な遺伝子送達を容易にする単純なアプローチが明らかに必要とされている。ここでは、クリーンルームに基づく技術を実施して(すなわち、投影リソグラフィ、コンタクトフォトリソグラフィ、および深堀り反応性イオンエッチング-DRIE-)(図7a~i)、より決定論的な様式で、自然にアクセス可能な組織表面(例えば、皮膚)または外科的にアクセス可能な組織表面(例えば、骨格筋)への能動的な非ウイルス遺伝子送達のためのシリコンに基づくTNTデバイスを製造する。TNTプラットフォームは、遺伝子カーゴを組織に形質導入するために保持することができるマイクロスケールのリザーバに相互接続された超並列アレイのクラスタ化ナノチャネルからなった。簡潔に述べると、最初に、投影リソグラフィおよびDRIEを使用して、厚さ約200μmの両面研磨シリコンウェハの表面上に約400~500nmのチャネルのアレイを画定した。シミュレーション研究は、そのような非対称T形状アレイが、より対称的なナノ細孔分布と比較して、電界分布および熱放散に関していくつかの固有の利点を提供することを示唆し、ナノチャネルの非対称クラスタは、同時にピークおよび谷の温度を20~25%低下させながら(図7j2~3、k2~3)、不活性なゾーンがより少ないことを呈する(図7j1、k1、星印)。次いで、これに続いて、コンタクトリソグラフィに基づくパターニングおよびナノチャネルを並置するマイクロリザーバのアレイのDRIE媒介穿設を行った。最後に、プラットフォーム表面を窒化ケイ素の薄い絶縁層で不動態化した。
図8a-h】インビボナノチャネルに基づく電気穿孔対バルク電気穿孔(BEP)のシミュレーション結果を示す。図8aは、実験装置を例解する概略図を示す。図8bおよび8cは、250Vの刺激下でのシミュレーションされた電圧分布を示す。図8d~fは、単一細胞バルク電気穿孔のための膜貫通電位のシミュレーションを示す。図8gは、ナノチャネルから遠く離れた細胞(細胞2および細胞3)と比較した、ナノチャネルと直接接触している細胞(細胞1)の穿孔プロファイルを示す。図8hは、TNT対BEPのプロファイルを示す。
図9a-d】MCAO脳卒中マウス(C57BL/6)モデルにおいて、TNT処理した背面皮膚から単離した自家ABM負荷EVが、神経栄養様特性を呈することを示す。図9aは、実験装置を例解する概略図を示す。MCAO脳卒中が最初に誘発される。次いで、これに続いて、ABM TNT処理、およびEVの頭蓋内注入の前の背部皮膚からのEV単離を行う。図9bおよび9cは、EV注入の7日後にのみ梗塞体積の有意な減少を示すMRIイメージングおよび定量化を示す。図9dは、脳卒中誘導の21日後の免疫蛍光イメージングを示し、脳室下(SVZ)ゾーンから梗塞領域に向かって突出しているDCX+細胞/突起を示している(白色矢印)。対照脳内のDCX+細胞は、主にSVZゾーンの壁を裏打ちしていることが判明した。*p<0.05(Holm-Sidak法)。
図10a-b】表皮および真皮の供給源に由来する皮膚中のiNを示す。図10aからのABM TNT処理皮膚切片の蛍光顕微鏡写真は、K14-Creレポータを示し、図10bは、Tuj1ニューロンマーカーもまた発現するK14またはCol1A1のいずれか起源(緑色/GFP)の皮膚細胞を示すCol1A1-GFPマウスモデルを示す。(図10a.1、図10b.1)GFPトレーサとTuj1の両方について免疫反応性であった細胞要素をLCM/qRT-PCRによってさらに分析した。結果は、そのような二重陽性要素が、有意に高いニューロンマーカー遺伝子発現、および中等度~著しく減少した皮膚細胞マーカー遺伝子発現を有したことを示す。*p<0.05(Holm-Sidak法)。ケラチン14陽性(K14+)細胞が最終的にtdTomato発現からeGFPに切り替わるROSA遺伝子座のcre媒介組換えを受ける、K14-Creレポータマウスモデルを用いる系統追跡実験は、新たに誘導されたニューロンが、部分的にK14+皮膚細胞に由来することを確認した。活性なCol1A1プロモータを有する細胞がeGFPを発現する、Col1A1-eGFPマウスモデルを用いる実験は、Tuj1+への移行期において真皮からの多数のコラーゲン/eGFP+細胞を示した。LCMを使用して、GFP+とTuj1+の両方であったトランスジェニックマウスモデル切片から細胞要素の遺伝子発現プロファイルを捕捉し、さらに特徴付け、これらは、K14起源の細胞であるが、今やニューロンマーカーを発現している細胞、またはニューロン運命に移行する活性コラーゲンプロモータ(例えば、線維芽細胞)を有する細胞に対応する。結果は、そのような要素が、実際に前ニューロンマーカーの発現の増加および起源細胞マーカー(すなわち、K14、Col1A1)の発現の減少を呈することを示した。
図11】例示的なマイクロ構造体の実施形態の断面図の例解である。
図12】例示的なマイクロ構造体の実施形態の断面図の例解である。
図13】例示的なマイクロ構造体の実施形態の断面図の例解である。
図14A-14D】様々なマイクロ構造体アレイの配設および実施形態を示す。図14Aは、円錐形の微小針を有する実施形態を示す。図14Bは、角錐形微小針を有する実施形態を示す。図14Cは、同心円状に配設された円筒を有する実施形態を示す。図14Dは、リッジ(隆起;ridge)を有する実施形態を示す。
図15A-15B】TNTプラットフォーム(図15A)およびDTNプラットフォーム(図15B)を使用する、組織への例示的なリプログラミング因子の送達時に観察された遺伝子発現の相対レベルを比較するプロットである。製剤がDTNプラットフォームを使用して投与された場合、組織において有意に高いレベルの遺伝子発現が観察された。
図16】DTNプラットフォームを使用してマウス皮膚組織を内皮系列にリプログラミングすること(すなわち、CD31+細胞構造、赤色に染色)を示す。対照皮膚と比較して、組織切片の全厚にわたってCD31染色の顕著な増加が観察された。
図17A-17B】例示的なマイクロ構造体の実施形態の断面図の実例である。
図18】様々なマイクロ構造体の形状を示す。
図19】本体部分に長いスリットを有するマイクロ構造体アレイの実施形態の斜視図である。
図20】本体部分に短い/アレイ状のスリットを有するマイクロ構造体アレイの実施形態の斜視図である。
図21図20のマイクロ構造体アレイの実施形態の断面図である。
図22A-22B】本体部分に機械加工することができるか(図22A)、または別の材料で別個に製造し、次いで本体部分と接合することができる(図22B)リザーバを示すマイクロ構造体アレイの実施形態の斜視図である。
図23】断面として見た一実施形態のマイクロ構造体、および電気穿孔を使用して皮膚組織に核酸を送達するためのその使用を例解する。
図24A-24D】一実施形態のマイクロ構造体の製造を例解する。図24Aは、ナノチャネルのアレイを作製するためにリソグラフィおよび深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)を介してパターニングされたシリコンウェハである(図24B)。これらのチャネルは、直径が約100~900nmの間の範囲のサイズであり、直径の約1倍~25倍の範囲であるエッジ間のピッチを有することがあり得る。図24Cは、ナノチャネルへの流体アクセスを得るためにDRIEによってエッチングされている(したがって、ナノチャネルの厚さ方向アレイを形成する)ウェハの裏面を例解する。図2Dは、リソグラフィパターニングおよび異方性エッチングを介して3Dにエッチングされているナノチャネルの2Dアレイを例解する。ナノチャネルのそのような3Dアレイは、複数の組織レベル/層で同時および段階的なカーゴ送達を可能にする。図24Dの3D押出は、その中に/それにわたって収容される必要があるナノチャネルの数(およびその間の間隙)に依存して、約1~数百ミクロンの間のサイズ(底部で)の範囲であり得る。一部の場合において、3D押出当たりのナノチャネルの最小数は、2であり、これらは、異なるレベルの組織でのカーゴの送達を可能にすることができるように異なる高さであり得る。ナノチャネルおよび/または3D押出の両方は、デバイスの活性領域を最大にするように、六方最密充填(HCP)アレイに配設することができる。一旦3D押出が画定されると、窒化ケイ素または二酸化ケイ素であり得る絶縁層で表面を被覆することができる。耐久性を改善するために適用することができる追加のコーティングとしては(適合性シード層を伴って)、とりわけ、炭化ケイ素、窒化チタン、窒化アルミニウムチタン、および窒化ジルコニウムが挙げられる。
図25A-25D】別の製造アプローチを例解する。図25Aは、(図25B)表面マイクロマシニング(例えば、リソグラフィアプローチ、または例えばマイクロミリングを通して)を施されて、このようなナノチャネルアレイの3D押出を作製する(図25Cおよび図25D)、既に画定されたナノチャネルを有する基板を例解する。この場合、ベース基板は、DRIE処理シリコン、または陽極酸化アルミナ、またはタックエッチングされた高分子膜(例えば、PET)で作製することができる。
図26A-26E】大きい/湾曲した組織表面に適用するための実施形態を例解する。図26Aは、処理されたDTNデバイスがより小さなモジュールにダイシングされ得ることを示す。このようなモジュールは、大きい/湾曲した組織表面への適用を可能にするために柔軟なポリマーフレーム内に入れることができる。図26Bの画像は、ヒトの腕に装着されている3×3モジュールのアレイを示す。図26Bの大規模DTNは、大型/前臨床動物モデルおよび臨床モデルに介入するために使用することができる。この場合、ブタの虚血性皮膚弁はEFFでDTNされ、これは新しい血管系の形成を誘導し(図26D)、これによって、この領域への灌流を増加させることにより(右)、皮膚弁を壊死(左)から救うことができる(図26E)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本出願を通して使用される用語は、当業者にとって通常のかつ典型的な意味で解釈されるべきである。しかしながら、出願人は、以下の用語が下記に定義されるような特定の定義を与えられることを所望する。
【0016】
本明細書および特許請求の範囲で使用されているように、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の言及を含む。例えば、「細胞」という用語は、それらの混合物を含む複数の細胞を含む。
【0017】
「約」および「およそ」という用語は、当業者によって理解されるように「に近い」であると定義される。非限定的な一実施形態において、この用語は、10%以内であると定義される。別の非限定的な実施形態において、この用語は、5%以内であると定義される。さらに別の非限定的な実施形態において、この用語は、1%以内であると定義される。
【0018】
本明細書で使用されるとき、「含む(comprising)」という用語は、組成物および方法が列挙された要素を含むが、他の要素を除外しないことを意味することを意図する。「から本質的になる」は、組成物および方法を定義するために使用される場合、その組み合わせにとって本質的に重要な他の要素を排除することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義されるような要素から本質的になる組成物は、単離および精製の方法からの微量汚染物質、ならびにリン酸緩衝化生理食塩水、保存料などの薬学的に許容される担体を除外しない。「からなる」は、他の成分の微量元素より多くのもの、および本発明の組成物を投与するための実質的な方法工程を除外することを意味するものとする。これらの移行部の用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0019】
「有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすために十分な量である。有効量は、1以上の投与、適用、または投与量で投与することができる。
【0020】
「担体」または「薬学的に許容される担体」という用語は、一般に安全でかつ無毒である医薬組成物または治療用組成物を調製する際に有用である担体または賦形剤を意味し、獣医学的および/またはヒトの薬学的使用または治療的使用のために許容される担体を含む。本明細書で使用されるように、「担体」または「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝化生理食塩水、水、エマルジョン(油/水エマルジョンもしくは水/油エマルジョンなど)、および/または様々な種類の湿潤剤を包含し、これらを含み得る。本明細書中で使用されるように、「担体」という用語は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、脂質、安定剤、または医薬製剤に使用するための当該分野で周知であり、以下にさらに記載されるような他の材料を包含する。
【0021】
本明細書では、範囲は、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現することができる。このような範囲が表現されるとき、別の実施形態は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により値が近似値として表現される場合、その特定の値は別の実施形態を形成することが理解される。さらに、各範囲の終点は、他の終点に関係する場合と、他の終点とは無関係の場合の両方で、有意義であることが理解される。本明細書に開示される多数の値が存在すること、および各値がまた、その値自体に加えて「約」その特定の値としても本明細書に開示されることもまた理解される。例えば、「10」という値が開示されている場合、「約10」もまた開示されている。
【0022】
「治療有効量」または「治療有効用量」という用語は、グルコース結合構造に結合したグルコース修飾インスリンなどの組成物の量を指し、これは、全般的な期間にわたって研究者、獣医師、医師、または他の臨床医によって探求されている、組織、システム、動物、またはヒトの生物学的応答または医学的応答を誘発する。一部の例において、所望の生物学的応答または医学的応答は、数日、数週間、または数年の期間にわたる被験体への組成物の複数回投与量の投与後に達成される。
【0023】
「被験体」または「レシピエント」という用語は、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むが、これらに限定されない、哺乳動物などの動物を含むことが本明細書で定義される。一部の実施形態において、被験体は、ヒトである。
【0024】
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」、「治療」という用語およびその文法的変形は、障害または状態の1つ以上の付随する症状の強度を部分的にまたは完全に遅延、緩和、軽減、または低減すること、および/あるいは、障害または状態の1つ以上の原因を緩和、軽減、または妨げることを含む。本発明に従う治療は、予防的に(preventively)、予防的に(prophylactically)、緩和的に(pallatively)、または治療的に適用されてもよい。
【0025】
詳細な説明
本明細書に開示されるマイクロ構造体アレイおよびそれを使用する方法は、生物学的障壁内へのまたは生物学的障壁にわたる物質の輸送において有用である。本明細書に開示されるマイクロ構造体アレイは、マイクロ構造体が異なるレベルの細胞に到達することができる複数のチャネルを含むため、組織内の異なる細胞層に同時に(または順次に)物質を送達する能力を有する。これは、角度の付いたマイクロ構造体上の複数のチャネルが、マイクロ構造体内の異なる高さのチャネルを可能にするためである。マイクロ構造体が組織を貫通する場合、チャネルは、細胞の異なる層内に配置され、したがって、組織内の異なるレベルで物質を送達することができる。マイクロ構造体アレイは、皮膚(もしくはその一部)に、血液脳関門を越えて、粘膜組織(例えば、口腔、鼻、眼、膣、尿道、胃腸、呼吸器)に、血管に、リンパ管に、または細胞膜に(例えば、1つもしくは複数の細胞の内部への材料の導入のために)、使用することができる。生物学的障壁は、ヒトまたは他の種類の動物、ならびに植物、昆虫、または細菌、酵母、真菌、および胚を含む他の生物におけるものであり得る。マイクロ構造体アレイは、カテーテルまたは腹腔鏡の補助を伴って、組織の内部に適用することができる。内部組織への薬物送達などの特定の用途のために、デバイスを外科的に移植することができる。
【0026】
図1を参照すると、マイクロ構造体アレイ(100)は、上部表面(102)および底部表面(103)を有する、平面状の基板(101)と、上記平面状の基板の上記上部表面と流体連通している、リザーバ(104)と、上記平面状の基板の上記底部表面から突出している複数のマイクロ構造体(105)と、を備えることができ、上記複数のマイクロ構造体の各々が、ベース(107)から、上記平面状の基板の上記底部表面からのある高さに位置する遠位先端(108)にかけて先細状になっており、それによって、マイクロ構造体表面を画定する、中実の本体部分(106)と、上記平面状の基板の上記上部表面から、上記マイクロ構造体表面内の第1のチャネル開口(110)に延在し、それによって、上記リザーバを上記第1のチャネル開口に流体接続する、第1の送達チャネル(109)と、上記平面状の基板の上記上部表面から、上記マイクロ構造体表面内の第2のチャネル開口(112)に延在し、それによって、上記リザーバを上記第2のチャネル開口に流体接続する、第2の送達チャネル(111)と、を備えることができる。
【0027】
各送達チャネルは、同じ規模または異なる規模であり得る。一部の実施形態において、送達チャネルは、例えば、約1nm~約999nmの内径を有するナノチャネルである。一部の実施形態において、送達チャネルは、例えば、約1μm~約999μmの内径を有するナノチャネルである。チャネルのサイズは、送達される薬剤のサイズおよび/または所定の用途に必要とされる流動力学に基づいて選択することができる。
【0028】
平面状の基板(101)は、複数の送達チャネル(例えば、109、111)を備えることができ、それらの各々は、平面状の基板の上面から、平面状の基板の底部表面(103)内のチャネル開口(例えば、110、112)に延在し、それによって、平面状の基板の底部表面内のチャネル開口にリザーバ(104)を流体接続する。
【0029】
図1~2において見ることができるように、マイクロ構造体アレイ(100)は、第1のチャネル開口(110)が平面状の基板(101)に対して平行な第1の平面内に配置され、第2のチャネル開口(112)が平面状の基板(101)に対して平行な第2の平面内に配置されるように構成することができ、第1の平面は、第2の平面から遠位に離隔している。第3のチャネル(113)に接続された第3のチャネル開口(114)もまた、存在することができる。各チャネルの平面およびそれに関連する開口は、互いに規則的な間隔で、または異なる間隔で離隔させることができる。例えば、各チャネル/チャネル開口は、他のものから等しく離隔させることができる。例えば、第1のチャネル開口および第2のチャネル開口は、マイクロ構造体の高さの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の距離で遠位に離隔し得る。一例において、第1の平面は、第2の平面から、20%~60%の距離だけ遠位に離隔させることができる。この距離は、第3の、第4の、第5の、およびそれ以上のチャネル開口にも同様に適用することができる。
【0030】
マイクロ構造体(105)は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、またはそれ以上のチャネルを含むことができる。これらのチャネルは、リザーバとチャネル開口との間の導管として作用することができる。したがって、チャネルは、リザーバと流体連通することができ、その結果、リザーバ内に配置された材料は、チャネルを通って移動し、チャネル開口に送達することができる。第1のチャネル開口(110)は、遠位先端に隣接する追加のチャネル開口と共に、遠位先端に位置することができる。例えば、同じマイクロ構造体上に3つのチャネル開口が存在することができ、1つが遠位先端にあり、さらに2つのチャネル開口(112および114)が遠位先端のいずれかの側にある。図1および図2に示すように、マイクロ構造体(105)内の複数のチャネルは、互いに対して平行に延びることができ、かつマイクロ構造体の垂直面に対して平行に延びることができる。
【0031】
図17Aおよび図17Bに見ることができるように、マイクロ構造体(105)の中実の本体部分(106)の高さは、マイクロ構造体の遠位先端(108)から、平面状の基板(101)の底部表面(103)に位置するマイクロ構造体のベース(107)までで測定することができる。マイクロ構造体表面の高さは、5ミクロン、10ミクロン、15ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、300ミクロン、400ミクロン、500ミクロン、600ミクロン、700ミクロン、800ミクロン、900ミクロン、または1000ミクロンの長さ、またはそれより高く、それより低く、またはそれらの間の任意の量であり得る。一例において、マイクロ構造体の高さは100ミクロン~500ミクロンであり得る。図17Aに見ることができるように、マイクロ構造体(105)の高さは平面状の基板(101)の平面に対して垂直に延びることができる平面bにおいて測定される。
【0032】
マイクロ構造体のベース(107)は、三角形、正方形、菱形、長方形、楕円形、または円形などの任意の形状を有することができる。特定の実施形態において、ベースは円形形状を有する。ベースが円形である場合、マイクロ構造体(105)のベース(107)の幅は、それが平面状の基板(101)と表面接触するマイクロ構造体のベースの直径として測定することができる。図17Bに見られるように、マイクロ構造体(105)のベース(107)の平面aは平面状の基板(101)と平行に延びることができる。ベースの幅は、5ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、300ミクロン、400ミクロン、または500ミクロンの長さ、またはそれより長く、それより短く、またはそれらの間の任意の量であり得る。ベースの幅はまた、例えば、マイクロ構造体のベースの幅が、高さの10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、または200%、またはそれより長く、それより短く、またはそれらの間の任意の量であり得るように、マイクロ構造体の高さに関連しても測定できる。
【0033】
マイクロ構造体の遠位先端(108)は、任意の形状を有することができ、図14A図14Dに見ることができるように、尖端状、丸状、傾斜状、フレア状、先細状、先丸状、またはこれらの組み合わせであり得る。一実施形態において、マイクロ構造体は尖先状である。
【0034】
マイクロ構造体は、規則的な間隔で、またはランダムに、のいずれかで互いに離隔することができる。規則的に離隔している場合、マイクロ構造体は、中心線bから測定したとき、互いに、5ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、300ミクロン、400ミクロン、500ミクロン、または1000ミクロンまたはそれ以上離れることができる。マイクロ構造体の中実の本体部分(106)は、リッジ、ヘリンボーンパターン、波形パターン、円錐、または角錐などの任意の形状を含むことができる。円錐および角錐の例は、図14A図14B、および図18に見ることができる。
【0035】
一部の場合において、マイクロ構造体は規則正しい形状またはパターンを欠いている。例えば、開示されたマイクロ構造体は、組織/生体システムを貫通することができる鋭い先端を有するランダムに分布したマイクロ構造体/粗さを導入するためにシリコン表面の調整した/ブランクのエッチングによって作製することができる。
【0036】
送達チャネル(109、111)は、例えば、円筒、直方体(立方体)、または長方形プリズムなどの様々な形状を有することができる。送達チャネル(110、112)の開口は、円形、長方形、楕円形、または正方形であり得、上述のように、各マイクロ構造体(105)は複数のチャネルを有することができ、これらはすべて同じ幾何学的形状を有することができ、または同じかもしくは異なるマイクロ構造体内で互いに異なる形状を有することができる。送達チャネルは、略同心円状のチャネルを形成する略円形形状を有することができる。
【0037】
リザーバ(104)は、マイクロ構造体チャネル(109、111)を通って被験体に送達される任意の物質を含むことができる。逆に、物質は、マイクロ構造体チャネルを通って引き出されてリザーバ内に沈着する可能性がある。リザーバ(104)は、マイクロチャネルを通ってマイクロ構造体開口(110、112)と流体連通することができ、マイクロチャネルはマイクロ構造体を通って延びることができる。それゆえに、リザーバは、経皮投与用の任意の物質を含むことができる。一実施形態において、リザーバ(104)は、平面状の基板の上部表面(102)に取り付けられ、上記上部表面(102)は、平面状の基板(101)の底部表面(104)と対向しており、ここで、マイクロ構造体は、上記底部表面から突出している。
【0038】
図22Aおよび図22Bに示すように、リザーバは、平面状の基板(101)と一体化することができる(図22A)か、または、例えば、別の材料で別個に製造してから平面状の基板(101)と接合することができる(図22B)。リザーバは、各々が複数のマイクロ構造体チャネルを供給するようにサイズ決定されるか、または各々が単一のマイクロ構造体を供給するように配列され得る。例えば、一部の実施形態において、マイクロ構造体アレイ(100)は、平面状の基板(101)に機械加工されるか、または平面状の基板(101)と接合されるかのいずれかである単一の大きなリザーバを備える。
【0039】
リザーバは、送達される物質を放出するための放出機構を備えることができ、それによって、物質がマイクロ構造体の少なくとも1つのチャネルの中へおよびそれを通って輸送されることを可能にする。放出機構は、機械的な力または剪断力を利用してもよく、これは、手動、熱、化学反応、電場、磁場、圧力場、超音波エネルギー、張力、拡散注入、浸透、濃度勾配、真空、圧力、またはそれらの組み合わせによってであり得る。一実施形態において、リザーバ(104)は、多孔質材料を含むことができ、投与される物質は、多孔質材料の孔に貯蔵される。別の実施形態において、リザーバは密封されている。この実施形態の一変形例において、マイクロ構造体アレイは、平面状の基板の第1の表面から延びる少なくとも1つの穿孔バーブ(棘)をさらに備え、穿孔バーブを使用して密封されたリザーバを穿孔することができる。
【0040】
リザーバは、例えば、生物学的障壁にわたって輸送される物質の体積または量を生理学的シグナルに基づいて変えることができるように、フィードバック要素を備えることができる。フィードバック要素は、シグナルが検出されたときにリザーバがレシピエントに物質を送達することができるが、シグナルが検出されないときには物質が送達されないように、「オンおよびオフ」スイッチを備えることができる。逆に、シグナルの検出は、反対の効果を有することができ、この場合は、リザーバは、シグナルが検出されない限り、レシピエントへの物質の送達をデフォルトとし、リザーバは、レシピエントへの送達のために物質を放出しない。例として、フィードバック成分は、被験体における病原体の存在を検出することができ、物質が検出されるとき、フィードバック要素は、リザーバからの抗体の放出を可能にすることができる。
【0041】
別の例において、フィードバック要素は、pHまたは温度などの生理学的シグナルの変化を検出することができる。pHまたは温度が特定の量だけ変化するか、または特定の数値(例えば、6.5未満のpH、もしくは、例えば、99.1を超える温度)に達するとき、フィードバック要素が、物質の放出、または放出された物質の量の変化を可能にし、その後レシピエントに投与されるように、フィードバック要素は、「カットオフ値」を含むことができる。
【0042】
フィードバック要素はまた、検出されたシグナルの量に基づいて放出された物質の量または体積を調整することができ、その結果、検出されるシグナル量が多いほど、放出される物質の量をより多くすることができ、または、逆に、検出されるシグナル量が多いほど、放出される物質の量をより少なくすることができる。
【0043】
検出される生理学的シグナルは、一態様において、マイクロ構造体アレイが投与されている被験体に存在する任意の物質であり得る。例えば、生理学的シグナルは、生物学的物質または薬物であり得る。物質は、レシピエントに生まれつき存在し得るか、または非内因性もしくは外来性の物質であり得るかのいずれかである。別の態様において、被験体における生理学的応答は、pHおよび温度を含む生理学的環境因子を含むことができる。生理学的シグナルの例には、グルコース、コレステロール、ビリルビン、クレアチン、代謝酵素、ヘモグロビン、ヘパリン、凝固因子、尿酸、癌胎児性抗原または他の腫瘍抗原、生殖ホルモン、酸素、pH、温度、アルコール、タバコ代謝物、および違法薬物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】
レシピエントに送達されるリザーバ中の物質は、治療用、予防用、診断用、またはセラノスティクス用物質であり得る。一度に1種より多くの物質を送達することができ、または異なる物質を順次送達することもできる。例えば、異なる物質を、異なるチャネルを通して同時に送達することができる。2種、3種、4種、5種、6種、またはそれ以上の物質を、異なるチャネルを通して同時に送達することができる。チャネル開口は細胞の異なる層に達することができるので、本明細書に開示されるマイクロ構造体アレイを利用して、組織内の異なる細胞層に異なる物質を同時に投与することができる。具体的には、第1の物質を第1のチャネルを介して第1の細胞層に送達することができ、第2の物質を第2のチャネルを介して第2の細胞層に送達することができる。
【0045】
送達される物質は、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸分子、脂質、有機分子、生物学的に活性な無機分子、およびこれらの組み合わせからなる群より選択することができる。例えば、本発明の微小針デバイスおよび方法を用いる送達のために広範囲の薬物を製剤化してもよい。本明細書で使用されるように、「薬物」または「薬物製剤」という用語は、任意の予防薬剤、治療薬剤、診断薬剤もしくはセラノスティクス薬剤、または、医薬賦形剤、および入れ墨、化粧品などのための物質を含む生物学的組織への導入に好適であり得る他の物質を指すために広く使用されている。薬物は、生物学的活性を有する物質であり得る。薬物製剤は、溶液、ゲル、固体粒子(例えば、マイクロ粒子、ナノ粒子)、またはこれらの組み合わせなどの様々な形態を含むことができる。薬物は、小分子、巨大分子(すなわち、高分子)、またはこれらの組み合わせを含み得る。非限定的ではない代表的な実施形態において、薬物は、アミノ酸、ワクチン、抗ウイルス剤、遺伝子送達ベクター、インターロイキン阻害剤、免疫調節剤、神経保護因子、抗新生物剤、化学療法剤、多糖類、抗凝固剤、抗生物質、鎮痛剤、麻酔剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症剤、およびウイルスの中から選択することができる。薬物は、天然に存在するもの、合成されたもの、または組み換えにより生成されたものであり得る好適なタンパク質、ペプチド、およびこれらのフラグメントから選択され得る。一実施形態において、薬物製剤は、インスリンを含む。
【0046】
薬物製剤は、当該技術分野で公知であるpH調整剤、粘度調整剤、希釈剤などを含む1種以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。
【0047】
本明細書に開示されるリザーバは、それ自体放出のための物質、または生物学的障壁リザーバにわたって輸送される物質を生成するための手段を含むことができる。物質を生成するための手段の一例は、細胞である。細胞は、ヒト細胞などの哺乳動物細胞であり得るか、またはレシピエントへの投与のための物質を生成することが可能な任意の他の供給源由来の細胞であり得る。例えば、細胞は、膵臓β細胞または幹細胞分化したヒト膵臓細胞であり得る。
【0048】
物質、または物質を生成するための手段は、例えば、半透性のリザーバに配置することができる。これにより、レシピエントとの流体の交換を可能にすることができ、その結果、フィードバック要素がレシピエントと流体連通することができ、それによってレシピエントの生理学的信号の変化を検出することができる。例えば、リザーバは、細胞を含むことができ、ここで、細胞は、レシピエントからの生理学的シグナルの変化に感応性である。レシピエントにおけるこのような生理学的変化は、フィードバック要素に関して上述したように、細胞を刺激して、物質を放出することができるか、または物質の放出を停止することができる。一例において、リザーバは、アルギン酸ミクロゲルを含むことができる。
【0049】
本明細書に開示されるマイクロ構造体アレイ100は、カーゴをリザーバからチャネルを通って移行させるための刺激(放出機構)をさらに含むことができる。一部の場合において、この刺激は、形成電界(例えば、電気穿孔)を含み、そこでは、穿孔電界が印加されて脂質膜を破壊/変形させ、細胞内カーゴ送達を可能にする。一部の実施形態において、系にわたって穿孔電界を印加することは、細胞膜の変形および/または破壊をもたらし、これは、細胞内空間へのカーゴ移行を可能にする。電界強度は、標的組織/系に依存して調整することができる。例えば、図23は、電気穿孔を使用して核酸を皮膚組織に送達するための開示されたマイクロ構造体アレイ100の使用を例解する。
【0050】
他の実施形態において、刺激は、機械的力、剪断力、熱、化学反応、磁場、圧力場、超音波エネルギー、張力、拡散注入、浸透、濃度勾配、真空、圧力、またはこれらの組み合わせを含む。一部の実施形態において、カーゴは、タンパク質、核酸、または粒子を含む。しかしながら、一部の実施形態において、電気刺激は、送達されているカーゴである。パルス電界は、例えば、再生医療において多くの用途を有する。開示されたマイクロ構造体アレイ100は、組織の厚さにわたって異なるレベルでパルス電界を送達するために使用することができる。
【0051】
微小針および電気穿孔装置は、米国特許第6,334,856号、同第6,331,266号、同第6,312,612号、同第6,241,701号、同第6,233,482号、同第6,181,964、同第6,090,790号、同第6,014,584号、同第5,928,207号、同第5,869,326号、同第5,855,801号、同第5,823,993号、同第5,702,359号、同第5,697,901号、同第5,591,139号、同第5,389,069号、同第5,273,525号、および同第7,127,284号に記載されており、これらはこの教示のために参照により組み込まれる。
【0052】
マイクロ構造体アレイは、第2の電極と電気的に接触する第1の電極を備えることができ、ここで、マイクロ構造体アレイが使用されている間、第1の電極は、リザーバと接触し、第2の電極は、組織の1つ以上の細胞と接触する。遺伝子、他の核酸、タンパク質または他の大分子、小分子薬物などであり得る物質の取り込みを増強するために、開口の反対側の離隔された電極間に電界を確立することができる。電圧、周波数、および他の電界パラメータは、主に電極間の距離に基づいて選択される。
【0053】
電極を備えるマイクロ構造体アレイは、マイクロ構造体によって穿孔された細胞および組織と接触するように、マイクロ構造体の遠位先端(108)に形成された第1の電極構造を備えることができる。第2の電極構造は、リザーバに配置することができる。電極構造は、導電性パッドに接続されている同心円バンドとして形成することができる。各バンドおよびバンド状セグメントは、電気穿孔電源に一緒に配線することができ、電気穿孔電源に別個に配線することができ、かつ様々な幾何学的および時限的なパターンおよび配設で通電することができる。さらに、異なるバンドおよびバンドセグメントは、第1の電極構造に関して異なる電位(電圧)で維持することができる。物質は、遠位先端(108)のチャネル開口(110、112)を通って送達することができ、その結果、物質は、ある領域において組織を通って外向きに浸透する。この領域は、第1の電極構造と第2の電極構造との間に発生している電界と一致することができる。電界は、細胞透過性を増強し、それによって細胞への所望の標的物質の送達を増強する。
【0054】
電気穿孔電源は、従来の電源であり得る。このような電源の必要条件および仕様は、文献に詳しく記載されている。例えば、Neumann et al.,Electroporation and Electrofusion in Cell Biology,Plenum Press,New York,N.Y.,1989;Chang et al.,Guide to Electroporation and Electrofusion,Academic Press,San Diego,Calif.,1992;Jaroszeski et al.,Eletrochemotherapy,Electrogenetherapy,and Transdermal Drug Delivery:Electrically Mediated Delivery of Molecules to Cells,Humana Press,Totowa,N.J.,2000;and Lynch and Davey,Electrical Manipulation of Cells,Chapman&Hall,New York,N.Y.,1996を参照のこと。これらの刊行物の各々の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
電気穿孔が可能なマイクロ構造体アレイは、電気穿孔電流を所望の電圧および周波数で電極構造に送達するように適合される交流電源、典型的には0.1V~30kVの範囲の電圧で電気穿孔電流を電極に送達するように選択される交流電源を含むことができる。一部の場合において、電圧は、約300V~500V未満である。特定の電圧は、少なくとも部分的に、第1の電極構造と第2の電極構造との間の間隔に依存する。周波数は、典型的には10Hz~107Hz、通常は104Hz~106Hzの範囲内にある。電流は、1ミリ秒、2ミリ秒、3ミリ秒、4ミリ秒、5ミリ秒、6ミリ秒、7ミリ秒、8ミリ秒、9ミリ秒、10ミリ秒、11ミリ秒、12ミリ秒、13ミリ秒、14ミリ秒、15ミリ秒、16ミリ秒、17ミリ秒、18ミリ秒、19ミリ秒、20ミリ秒もしくはそれ以上、またはこれらの間の任意の長さ毎、などのパルス間隔で印加することができる。1ミリ秒、2ミリ秒、3ミリ秒、4ミリ秒、5ミリ秒、6ミリ秒、7ミリ秒、8ミリ秒、9ミリ秒、10ミリ秒、11ミリ秒、12ミリ秒、13ミリ秒、14ミリ秒、15ミリ秒、16ミリ秒、17ミリ秒、18ミリ秒、19ミリ秒、20ミリ秒またはそれ以上のパルスは、所定の間隔で印加することができ、所望の結果が達成されるまで間隔を繰り返すことができる。
【0056】
組織の複数の細胞レベルに1つ以上の物質を送達するための方法もまた、本明細書中で開示され、この方法は、マイクロ構造体アレイ(100)を準備することであって、このマイクロ構造体アレイ(100)が、上部表面(102)および底部表面(103)を有する、平面状の基板(101)と、上記平面状の基板の上記上部表面と流体連通しており、送達される物質を含んでいるリザーバ(104)と、上記平面状の基板の上記底部表面から突出している複数のマイクロ構造体(105)と、を備え、上記複数のマイクロ構造体の各々が、ベース(107)から、上記平面状の基板の上記底部表面からのある高さに位置する遠位先端(108)にかけて先細状になっており、それによって、マイクロ構造体表面を画定する、中実の本体部分(106)と、上記平面状の基板の上記上部表面から、上記マイクロ構造体表面内の第1のチャネル開口(110)に延在し、それによって、上記リザーバを上記第1のチャネル開口に流体接続する、第1の送達チャネル(109)と、上記平面状の基板の上記上部表面から、上記マイクロ構造体表面内の第2のチャネル開口(112)に延在し、それによって、上記リザーバを上記第2のチャネル開口に流体接続する、第2の送達チャネル(111)と、を備える、マイクロ構造体アレイ(100)を準備することと、送達チャネルを通してリザーバ内の1つ以上の物質を組織の複数の細胞レベルに送達することと、を含む。
【0057】
細胞の1つの層から細胞の別の層まで細胞外小胞を送達するための方法もまた、本明細書に開示され、この方法は、マイクロ構造体アレイを準備することであって、このマイクロ構造体アレイが、上部表面および底部表面を有する、平面状の基板と、上記平面状の基板の上記上部表面と流体連通しており、送達される物質を含んでいるリザーバと、上記平面状の基板の上記底部表面から突出している複数のマイクロ構造体と、を備え、上記複数のマイクロ構造体の各々が、ベースから、上記平面状の基板の上記底部表面からのある高さに位置する遠位先端にかけて先細状になっており、それによって、マイクロ構造体表面を画定する、中実の本体部分と、上記平面状の基板の上記上部表面から、上記マイクロ構造体表面内の第1のチャネル開口に延在し、それによって、上記リザーバを上記第1のチャネル開口に流体接続する、第1のチャネルと、上記平面状の基板の上記上部表面から、上記マイクロ構造体表面内の第2のチャネル開口に延在し、それによって、上記リザーバを上記第2のチャネル開口に流体接続する、第2の送達チャネルと、を備える、マイクロ構造体アレイを準備することと、第1のチャネルを通して細胞の第1の層から細胞外小胞を単離することと、第2のチャネルを介して細胞外小胞を細胞の第2の層に送達すること、とを含む。一例において、細胞の第1の層は、細胞の第2の層よりも外側表面に近くてもよい。
【0058】
平面状の基板およびリザーバを含む、本明細書に開示されるマイクロ構造体アレイの中実の本体部分は、シリコンを含む様々な材料から形成することができる。マイクロ構造体アレイ(100)を作製するための方法もまた、本明細書に開示される。これは、略平面状の基板(101)を形成する工程と、上記平面状の基板が位置する平面からある角度で突出する複数のマイクロ構造体(105)を形成する工程であって、上記マイクロ構造体は、基板に一体的に接続されたベース(107)と、上記ベースに接続された遠位先端(108)と、それらの間の本体部分(106)とを有し、少なくとも1つのマイクロ構造体が、実質的にベース部分から本体部分の少なくとも一部を通って延びる少なくとも1つのチャネル(109)を有し、上記チャネルは本体部分の少なくとも一部に沿って開口し、リザーバ(104)と流体連通している、複数のマイクロ構造体(105)を形成する工程と、を含むことができる。様々な実施形態において、マイクロ構造体を形成する工程は、エンボス加工、射出成形、キャスティング、光化学エッチング、電気化学機械加工、放電加工、精密スタンピング、高速コンピュータ数値制御ミリング、スイスねじ機械加工、ソフトリソグラフィ、指向性化学アシストイオンエッチング、またはこれらの組み合わせを含む。
【0059】
投与を必要とする被験体に物質を投与するための方法もまた本明細書に開示され、この方法は、被験体の皮膚に上述のアレイ(100)のマイクロ構造体(105)を挿入する工程と、マイクロ構造体の少なくとも1つのチャネルを通して、および皮膚の角質層を通して、リザーバ(104)から物質を輸送させる工程、とを含む。
【0060】
本発明の多数の実施形態を説明してきた。それにもかかわらず、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な改変を加えることができることが理解される。したがって、他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【実施例
【0061】
実施例1:リプログラミング因子の直接細胞質ゾル送達のための組織ナノトランスフェクションデバイスの使用
ナノチャネル化デバイスを通してリプログラミング因子を局所的かつ制御可能に組織に送達するためのデバイスが本明細書に開示される(図6)。このような組織ナノトランスフェクション(TNT)アプローチは、例えば、配列されたナノチャネルを通して非常に強くかつ集中した電場を印加することによってリプログラミング因子の直接細胞質ゾル送達を可能にし(Gallego-Perez et al.Nanomedicine 2015;Boukany et al.Nat Nanotechnol2011,6(11):747-754)、これは、並置組織細胞膜を良性にナノポーラス化し、かつリプログラミング因子を細胞内に電気泳動的に駆動する(図6a~d)。TNTシステムの製造プロセスの概略図およびシミュレーション結果は、図1および図2に見出すことができる。遺伝子送達が本質的に非常に確率論的であり、有害な副作用(例えば、炎症反応、細胞死)を引き起こす可能性がある、現在のインビボトランスフェクション技術(例えば、ウイルス、従来の組織バルク電気穿孔またはBEP)とは対照的に(Sen CK et al.Am J Pathol 2015,185(10):2629-2640)、ナノチャネルに基づく送達は、単一細胞レベルで、より十分な、良性の、瞬間的な、および用量制御されたリプログラミング因子送達を可能にし、したがって、これをインビボ遺伝子トランスフェクションおよびリプログラミングのためのより安全かつより決定的なアプローチにする。
【0062】
C57BL/6マウスに対するFAM標識DNAを用いた実験は、TNTが迅速(<1秒)かつ非侵襲的/局所的な様式でカーゴを皮膚に送達できることを立証した(図6e)。次に、リプログラミング因子のTNTに基づく局所送達は、Ascl1/Brn2/Myt1l(ABM)の過剰発現がインビトロで線維芽細胞を誘導ニューロン(iN)に直接リプログラミングすることが知られているロバストモデルを使用する皮膚リプログラミングの成功をもたらすことができる(Vierbuchen et al.Nature2010,463(7284):1035-1041)。これらの知見は、TNTがリプログラミング因子の局所送達のために使用できるだけでなく(図6f)、協調的反応を調整することもできることを示し、これは、おそらく標的遺伝子mRNA/cDNAに富む細胞外小胞(EV)のディスパッチを介して(図6h、i)、初期のトランスフェクション境界(すなわち、表皮)を越えた刺激伝播(すなわち、表皮から真皮へ)をリプログラミングすることをもたらす(図6g~i)(Valadi et al.Nat Cell Biol2007,9(6):654-659)。TNT処理された皮膚から単離されたABMを担持したEVにナイーブ細胞を曝露することで(図6j~l)、これらのEVが遠隔細胞によって自発的に内在化できることが確立された(図6k)。さらに、遺伝子発現分析は、皮内ABM EV注入が、対照皮膚と比較したTuj1発現の約25倍の増加によって証明されるように、ニューロン誘導と一致する皮膚の変化を誘発したことを示した(図6l)。比較すると、ABM-TNTはTuj1発現の約94倍の増加をもたらし、これは、EV媒介増殖と組み合わせた、直接的なリプログラミング因子の注入の正味の効果を反映する。皮膚由来のABM負荷EVの神経栄養効果は、中大脳動脈閉塞(MCAO)脳卒中マウスモデルにおいてさらに確認された(図9)(Khanna et al.J Cereb Blood Flow Metab2013,33(8):1197-1206)。
【0063】
首尾よい皮膚細胞のリプログラミングは免疫蛍光法によって検証され、これは、時間経過とともにTuj1およびニューロフィラメントの発現の増加を示した(図6m、n)。K14-Creレポータマウスモデルを用いた系統追跡実験により、新たに誘導されたニューロンは部分的にK14+皮膚細胞に由来することが確認された(図10)。毛包もまた一貫して顕著なTujl免疫反応性を示し、これは、濾胞細胞がリプログラミングプロセスにおいて潜在的に役割を果たす可能性があることを示唆する(Hunt et al.Stem Cells 2008,26(1):163-172;Higgins et al.J Invest Dermatol2012,132(6):1725-1727)。活性CollAlプロモータを有する細胞(例えば、真皮線維芽細胞)がeGFPを発現するCollAl-eGFPマウスモデル(図10)を用いたさらなる実験は、Tujl+への移行期において真皮中に多数のコラーゲン/eGFP+細胞を示し、したがって、皮膚内のリプログラミングされた細胞の一部について線維芽細胞起源もまた示唆されている。
【0064】
したがって、TNTを使用すると、リ再プログラミング因子を、迅速に、非常に効果的に、かつ非侵襲的に皮膚に送達することができることが本発明において実証された。このようなTNT送達は、それぞれ確立されたおよび新しく開発されたiNおよびiECのリプログラミングモデルで実証されるように、状況に応じた皮膚組織リプログラミングをもたらす。TNT誘発性皮膚由来iECは、血管ネットワークを迅速に形成し、これは親循環系と首尾よく吻合し、かつ損傷誘発性虚血の2つのマウスモデルにおいて組織肢灌流を回復した。ほんの数秒間で終わる局所的な一回限りの治療を通して強力に有利な生物学的応答を誘発および伝播する、実施することが簡単なこのTNTアプローチは、多種多様な用途のための新規の介入細胞に基づく治療の開発に用途を見出すことができる。
【0065】
方法
TNTプラットフォーム製造
TNTデバイスは、薄い(約200μm)両面研磨(100)シリコンウェハから製造した(図7)。簡潔に述べると、最初に、厚さ約l.5μmのAZ5214Eフォトレジスト層を、約3000rpmでシリコンウェハ上にスピンコートした。続いて、GCA 6100Cステッパーを使用して、フォトレジスト上にナノスケールの開口をパターニングした。100mmウェハ当たり最大16ダイのナノスケール開口アレイをパターニングした。次に、このような開口をエッチングマスクとして使用して、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)(Oxford Plasma Lab100システム)を使用してシリコン表面上に約10μmの深さのナノチャネルを穿設した。最適化されたエッチング条件は、SF6ガス:13秒/100sccmガス流/7000W ICP出力/40W RF出力/30mT APC圧力、C4F8ガス条件:7秒/100sccmガス流/700W ICP出力/10W RF出力/30mT APC圧力を含んだ。次いで、マイクロスケールのリザーバを、接触フォトリソグラフィおよびDRIEを介してウェハの裏側にパターニングした。最後に、厚さ約50nmの窒化ケイ素の絶縁層/保護層をTNTプラットフォーム表面に堆積させた。
【0066】
畜産
C57BL/6マウスはHarlan Laboratoryから入手した。Jackson laboratoriesから入手したB6.129(Cg)-Gt(ROSA)26Sortm4(ACTB-tdTomato,-EGFP)Luo/JマウスをK14creと交配させて、K14cre/Gt(ROSA)26Sortm4(ACTB-tdTomato-EGFP)Luo/Jマウスを作製した。研究の時点ではすべてのマウスはオスであり、8~12週齢であった。ROSAmT/mGマウスの遺伝子型決定PCRは、プライマーoIMR7318-CTC TGC TGC CTC CTG GCT TCT(配列番号1)、oIMR7319-CGA GGC GGA TCA CAA GCA ATA(配列番号2)およびoIMR7320-TCA ATG GGC GGG GGT CGT T(配列番号3)を使用して実施し、一方、K-14Cre導入遺伝子は、プライマーoIMR1084-GCG GTC TGG CAG TAA AAA CTA TC(配列番号4)、oIMR1085-GTG AAA CAG CAT TGC TGT CAC TT(配列番号5)を使用して確認した。動物にタグを付け、コンピュータに基づくアルゴリズムを使用してランダムにグループ分けした。
【0067】
哺乳動物細胞培養およびリインビボリプログラミング
一次ヒト成人皮膚線維芽細胞(ATCC PCS-201-012)を購入し、これはマイコプラズマを含まず、これをATCCから直接認証した。さらなる細胞株認証は行わなかった。これらの細胞を、線維芽細胞増殖キット-無血清(ATCC PCS 201-040)およびペニシリン/ストレプトマイシンを補充した線維芽細胞基礎培地中で増殖させた。E12.5-E14マウス胚性線維芽細胞(MEF)を、10%ウシ胎児血清を補充したDMEM/Fl2中で培養した。非ウイルス細胞トランスフェクションおよびリプログラミング実験を、3Dナノチャネル電気穿孔(NEP)を介して行った。簡潔に述べると、最初に、3D NEPデバイス上で完全に密集するまで、細胞を一晩増殖させた。続いて、パルス電場を用いて、Fli1:Etv2:Foxc2の1:1:1混合物からなる細胞に、プラスミドのカクテル(0.05μg/μl)を送達した。次いで、細胞をプラスミド送達の24時間後に収集し、EGM-2MV SingleQuotキット(CC-4147,Lonza)を補充したEBM-2基礎培地(CC-3156,Lonza)に配置し、さらなる実験/測定のためにさらに処理した。
【0068】
インビボリプログラミング
最初に治療する部位は、TNTの24-48時間前に除毛処理(naired)した。次いで、皮膚を剥離して、死んだ/ケラチン細胞層を除去し、表皮中の有核細胞を露出させた。剥離した皮膚表面上に、TNTデバイスを直接配置した。ABMまたはEFFプラスミドカクテルを、0.05-0.1μg/μlの濃度でリザーバにロードした。金被覆電極(すなわち、陰極)をプラスミド溶液に浸漬し、一方、24G針対向電極(すなわち陽極)を皮内に挿入し、TNTプラットフォーム表面に並置した。次いで、パルス状電気刺激(すなわち、振幅250Vの10パルスおよび1パルス当たり10msの持続時間)を電極間に印加して、露出した細胞膜をナノ穿孔し、ナノチャネルを通して細胞内にプラスミドカーゴを駆動した。ABMプラスミドを2:1:1のモル比で混合した。
【0069】
MCAO脳卒中手術および分析
一過性局所脳虚血はマウスにおいて中大脳動脈閉塞(MCAO)によって誘発され、これまでに記載された管腔内フィラメント挿入技術を使用することによって達成された(Khanna et al.J Cereb Blood Flow Metab2013,33(8):1197-1206)。浮腫を補正した後、MRI画像を使用して、対側半球のパーセンテージとして梗塞サイズを決定した。
【0070】
後肢虚血手術
片側後肢虚血は、閉塞およびそれに続く大腿動脈の切除を介して誘発し、その後切除を行った(Limbourg et al.Nat Protoc2009,4(12):1737-1746)。簡潔に述べると、8~10週齢のマウスを1~3%イソフルランで麻酔し、加熱したパッド上の実体顕微鏡(Zeiss OPMI)下に仰向けに置いた。大腿動脈を露出させ、約1cmの切開を通して大腿静脈から分離した。近位端および遠位端の閉塞を7-0絹縫合糸で誘導し、次いで、動脈の完全な処置を続けた。最後に、単回用量のブプレノルフィンを皮下投与して痛みを抑制した。レーザースペックルイメージング(MoorLDI-Mark2)を手術の2時間後に行い、血流閉塞の成功を確認した。
【0071】
細胞外小胞(EV)の単離
EVは、OCTブロックに集められ、後で使用するために凍結保存された直径12mmの皮膚生検から単離された。簡潔に述べると、ブロックを解凍し、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄してOCTを除去した。メスで脂肪組織を除去した後、皮膚組織を約1mmの小片に刻み、PBS中でマイクログラインダーを用いてホモジナイズした。3000gでの遠心分離後、Exoquickキット(System Biosciences)を1:5の比(Exoquick:上清)で使用して、上清からEVを4℃で12時間単離した。EVを1500gで30分間の遠心分離を介して沈殿させた。次いで、製造業者によって提供された推奨に従って、mirvanaキット(Life technologies)を使用して、全RNAをペレットから抽出した。
【0072】
DNAプラスミドの調製
ABMプラスミドおよびEFFプラスミドは、プラスミドDNA精製キット(Qiagen Maxi-prep、カタログ番号12161、およびClontech Nucleobondカタログ番号740410)を使用して調製した。DNA濃度は、Nanodrop2000c分光光度計(Thermoscientific)から得た。プラスミドDNA構築物およびそれらの元の供給源のリストは表1に見出すことができる。
【0073】
【0074】
LCMは、PALM Technologies(Bernreid,Germany)製のレーザー顕微解剖システムを使用して実施した。形態学および/または免疫染色に基づいて同定された組織切片の特定の領域を切断し、20倍の接眼レンズの下で捕捉した。試料を25μlの細胞直接溶解抽出緩衝液(Invitrogen)に放出した。約1,000,000μm<2399>2</2399>の組織領域を各キャップに捕捉し、次いで、溶解物をさらなる処理のために-80℃で保存した。LCM試料のqRT-PCRは製造業者の指示に従って細胞直接溶解緩衝液から実施した。プライマーのリストは表2に見出すことができる。
【0075】
【0076】
免疫組織化学および共焦点顕微鏡
組織免疫染色は、特異的抗体および標準的手順を用いて実行した。簡潔に述べると、OCT包埋組織を10μm厚で凍結切片化し、冷アセトンで固定し、10%正常ヤギ血清でブロッキングし、特異的抗体とともにインキュベートした。蛍光標識でタグ化した適切な二次抗体(Alexa488タグ化a-モルモット、1:200、Alexa488タグ化a-ウサギ、1:200、Alexa568タグ化a-ウサギ、1:200)とのその後のインキュベーションによってシグナルを可視化し、DAPIで対比染色した。画像は、レーザー走査型共焦点顕微鏡(Olympus FV1000filter/spectral)によって捕捉された。
【0077】
IVISイメージング
動物は、IVIS Lumina II光学イメージングシステムを使用してFAM-DNAトランスフェクションの24時間後に麻酔状態でイメージングされた。発光画像を伴うオーバーレイ画像を、Living Imageソフトウェアを使用して作成した。
【0078】
脳卒中脳の磁気共鳴イメージング(MRI)
磁気共鳴血管造影法を用いて、マウスにおける本発明者らのMCAOモデルを検証し、効果的なMCAOのために閉塞サイズおよび内頸動脈挿入距離を最適化した。T2強調MRIは、9.4T MRI(Bruker Corporation,Bruker BioSpin Corporation,Billerica,MA,USA)を使用してMCA再灌流の48時間後に麻酔したマウスに対して実施した。MR画像は、以下のパラメータを使用して、緩和増強を伴う迅速取得(RARE)シーケンスを用いて取得した:視野(FOV)30×30mm、取得マトリックス256×256、TR3,500ms、TE46.92ms、スライスギャップ1.0mm、レアファクタ8、平均数3。mmあたり8.5ピクセルの解像度。生のMR画像を標準のDICOMフォーマットに変換し処理した。Osirix v3.4を使用した画像の適切なソフトウェアコントラスト強調の後、各冠状脳スライスにおける梗塞領域を描写するために、デジタル面積測定が覆面観察者(masked observer)によって行われた。梗塞体積を決定するために前述したように、脳スライスからの梗塞領域を合計し、スライス厚さを乗じ、浮腫誘発腫脹について補正して、梗塞体積を決定した(Khanna S,et al.J Cereb Blood Flow Metab2013,33(8):1197-1206)。
【0079】
筋肉エネルギーの分析
筋肉エネルギーは、RF送信用の体積コイルおよび受信用の3lPコイルを使用して9.4Teslaスキャナー(Bruker BioSpec)でNMR分光測定を評価した(Fiedler et al.MAGMA2015,28(5):493-501.)。カスタムメイドの1H/31Pトランシーバコイルアレイでインビボイメージングを実施した。シングルパルスシーケンスを使用してデータを取得した。生データをノイズ低減のためにウィンドウ処理し、スペクトルドメインにフーリエ変換した。
【0080】
血管の超音波ベースのイメージングおよび特徴付け
血管形成を超音波イメージングを介して並行してモニターした。簡潔に述べると、Vevo2100システム(Visual Sonics,Toronto,ON,Canada)を使用して、MS250リニアアレイプローブを用いてBモードで超音波画像を得た(Gnyawali et al.J Vis Exp2010(41)。収縮期下および拡張期下での血流特性をモニタリングおよび定量化するために、ドップラーカラーフローイメージングを実施した。
【0081】
統計分析
サンプルをコード化し、データ分析を盲検様式で実施した。動物実験については、データは3匹の動物の平均±SDとして報告されている(すなわち、生物学的複製)。どの動物も、分析から除外しなかった。同様に、インビトロリプログラミングデータは、少なくとも3回の実験の平均±SDとして報告されている。再現性を確認するために実験を少なくとも2回繰り返した。グループ間の比較は、分散分析(ANOVA)によって行った。統計的差異は、SigmaPlotバージョン13.0を用いて、必要に応じてパラメトリック/ノンパラメトリック検定によって決定した。
【0082】
TNTに基づくアプローチを使用して開示された結果は、本明細書に開示されたマイクロ構造体アレイを含む、ナノチャネルに基づく送達を使用して達成することができるものを示している。
【0083】
実施例2:
特定の実施形態において、フォトリソグラフィおよび湿式エッチングまたは乾式エッチングなどのクリーンルーム法を使用して、アレイ相互貫入ナノチャネルを、シリコン系材料から製造することができる。最初に、フォトリソグラフィおよび湿式または乾式エッチングを使用して、円錐形または角錐形の相互貫入マイクロ構造体(高さ約20~500ミクロン)のアレイをシリコン表面上に画定する。続いて、投影リソグラフィを使用して、シリコン基板の裏面にナノウェルのアレイ(直径約300nm~1000nm)をパターニングする。次に、シリコン基板および相互貫入マイクロ構造体を通してナノチャネルを穿設するための高異方性の深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を行う。
【0084】
以下は、シリコン上でのナノチャネル微小針アレイの製造のための例示的な方法である。
【0085】
(1)3Dナノチャネルアレイの製造
1.4インチシリコンウェハ:500μm、DSP、最高級品を選択する。
【0086】
2.湿式エッチング(KOH、45%、80℃)によりウェハを250μm厚まで薄くする。
【0087】
3.ステッパー(NTW)を使用して、AZ-5214ナノサークルアレイ(直径400nm、間隔:25μm)をパターニングする。
【0088】
4.AZ-5214パターンによってマスクされたシリコンウェハをDRIEエッチングする。
システム:Dreese LabにおけるOxford Plasma Lab100
レシピ名Lingqian_Bosch
SF6プロトコル:100sccm/13s/ICP700W/RF30W/チャンバ圧力30mT(ダブルチェック)
C4F8プロトコル:100sccm/7s/ICP700W/RF10W/チャンバ圧力30mT(ダブルチェック)
エッチング手順:40サイクル実行、5分間停止、さらに5サイクル実行、5分間停止およびフォトレジストがまだ残っているか否かを確認する。もし「はい」である場合、さらに5サイクルを実行する。再度確認する。通常、PRは55~60サイクルで全体的に消失する。(40+5+5+5+5の代わりに、60サイクルを直接実行しないよう留意のこと。さもなくば、PRは60サイクル後に燃えてしまう)
【0089】
5.TMPを使用してシリコンウェハ/AZ5214を完全に洗浄し、Piranha溶液中で5分間ウェハを洗浄する(120℃)。Bay1(NTW)においてOlympus Microscopeを使用して、ナノチャンネルアレイが見えるか否かを確認する。
【0090】
6.シリコンウェハの反対側でのパターンマイクロチャネルアレイ(直径50μm;中心間距離:70μm)のための標準的なフォトリソグラフィ手順。フォトレジスト:SPR220-7;厚さ:10μm。パターニング手順において:マイクロチャネルのアレイが、ナノチャネルアレイとほぼ同じ方向を向いていることを確認のこと。
【0091】
7.厚さ250μmの別のシリコンウェハを調製する。
【0092】
8.ナノチャネルの側面にポンプオイル(Bay4、NTWにおいてETC04のために使用)を十分に塗布する。要点:液滴ではなく、シリコンウェハの表面全体にオイルを塗布する。さもなくば、油がない領域はDRIE手順においてSPR220PRを損ねる。
【0093】
9.油と接している、厚さ250μmのシリコンウェハをナノチャネル面に慎重にかつ完全に接着する。このやり方は、DRIE手順においてシリコンウェハをヘリウム力に対して十分に剛性に保ちながら、長時間のDRIEシステムにおいて熱を低減するためのものである。
【0094】
10.SPR220-7でマスクされたシリコンウェハをDRIEエッチングする。
システム:Dreese LabにおけるOxford Plasma Lab100
レシピ名:Lingqian_Bosch
SF6プロトコル:100sccm/13s/ICP700W/RF30W/チャンバ圧力30mT(ダブルチェック)
C4F8プロトコル:100sccm/7s/ICP700W/RF10W/チャンバ圧力30mT(ダブルチェック)
エッチング手順:250サイクル実行、5分間停止、さらに20サイクル実行、5分間停止およびフォトレジストがまだ残っているか否かを確認する。もし「はい」である場合、さらに10サイクルを実行する。再度確認する。経験上、マイクロチャネルは、約280サイクル後にナノチャネルを接続する。しかしながら、Oxford Plasmaシステムは、常にドリフトしているため、正確なサイクルを固定することは不可能である。したがって、270サイクル後、SEMを使用して、すべてのマイクロチャネルがナノチャネルに接続したか否かを評価するために、いずれかの停止時間内にマイクロチャネルの断面を確認するべきである(この部分は、大部分、時間がかかり、利用可能性に依存して約3~5日を要する)
【0095】
11.サンプルをゆっくりとかつ慎重に取り出す。
【0096】
12.Piranha溶液中でウェハを5分間(120℃)洗浄する。Bay1(NTW)におけるOlympus Microscopeを使用して、ナノチャネルアレイおよびマイクロチャネルアレイを確認する。
【0097】
13.ナノチャネルの設計に依存して、シリコンウェハを小片に切断した。
【0098】
(2)DRIEを使用する微小針の製造
1.1cm×1cmの寸法を有する1つのシリコンサンプルをピックアップし、piranha溶液でサンプルを徹底的に洗浄する。
【0099】
2.ナノチャネル側:SPR220-7フォトレジスト、厚さ10μmでマイクロサークルアレイをパターニングする。マイクロサイクルパターン:直径15μm、これは火山形状針の寸法を最終的に決定した。間隔:中心-中心25μm。理想的な条件:フォトリソグラフィにおいてマイクロサークルをナノチャネルアレイに一直線に合わせると、中空針の割合が増加する可能性がある。
【0100】
3.少量のサンプルを新鮮な4インチウェハにオイルで固定する(オイルで全面コーティング)。
【0101】
4.DRIE手順:Oxford Plasma Lab100
レシピ:Lingqian_Isotropic Etch(ダブルチェック)
プロトコル:SF6:40sccm/ICP出力:600W/RF出力5W~10W(これは火山型の形状を決定する)。エッチング時間:2分間停止、および残っているPRが存在するか否かを確認、もし「はい」である場合、さらに1分間およびPRが残っているか否かを確認、もし「はい」である場合、さらに1分間。もし消失した場合、顕微鏡またはSEMを確認する。針が示されていない場合、マスクなしで1分間エッチングを続ける。
【0102】
5.上記の最適化されたプロトコル下で、微小針は約2+1+1分間で製造される。
【0103】
実施例3:
1つの特定の実施形態において、アレイ相互貫入ナノチャネルは、シリコンに基づくことができるか、または選択的表面エッチングを介して陽極酸化アルミナから作製することができるかのいずれかである、予め作製されたナノチャネル化基板プラットフォームから製造することができる。選択的表面エッチングを使用して相互貫入マイクロ構造体を画定する。
【0104】
実施例4:
好ましい実施形態において、カーゴを複数のレベルで生物学的組織に送達する方法は、相互貫入ナノチャネルアレイを使用して実施する。相互貫入ナノチャネルアレイは、剥離した皮膚組織と接触して配置される。正極を皮内に挿入し、一方、負極をカーゴ溶液と接触させる。次に、パルス電界(250V、10msパルス、10パルス)を、電極間に印加して、露出した細胞膜にナノ孔形成し、カーゴを直接サイトゾルに注入する。
【0105】
カーゴ溶液は、Etv2、Foxc2およびFl1をコードする3つのプラスミドの混合物を含んでいた。小さな組織生検を、送達の24時間後に収集し、qRT-PCRによって分析した。送達後7日目に追加の生検材料を収集し、免疫組織化学を介して内皮マーカーについて分析した。DTNに基づく送達は、優れた導入遺伝子発現、および組織厚全体にわたる広範囲に分布したリプログラミング応答をもたらす。
【0106】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、開示された発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で引用した刊行物およびそれらに引用されている材料は、参照により具体的に組み込まれる。
【0107】
当業者であれば、本明細書に記載された発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識し、または日常的な実験を超えないものを使用してそのような等価物を確かめることができる。そのような等価物は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0108】
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図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G-I】
図6J
図6K
図6L
図6M
図6N
図7A-E】
図7F
図7G
図7H
図7I
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図7K
図8A
図8B-C】
図8D-F】
図8G
図8H
図9A
図9B
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図10A
図10B
図11
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図13
図14A
図14B
図14C
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図15A
図15B
図16
図17A
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図18
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図22B
図23
図24A-B】
図24C
図24D
図25A-D】
図26A
図26B
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図26E
図27A
図27B
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図27G
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【配列表】
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