IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 蘇州滬雲腫瘤研究中心股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7114110フェンプロピオネート系化合物、その調製方法および使用
<>
  • 特許-フェンプロピオネート系化合物、その調製方法および使用 図1
  • 特許-フェンプロピオネート系化合物、その調製方法および使用 図2
  • 特許-フェンプロピオネート系化合物、その調製方法および使用 図3
  • 特許-フェンプロピオネート系化合物、その調製方法および使用 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】フェンプロピオネート系化合物、その調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/734 20060101AFI20220801BHJP
   C07C 67/303 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 31/216 20060101ALI20220801BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220801BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220801BHJP
【FI】
C07C69/734 Z CSP
C07C67/303
A61K31/216
A61P9/00
A61K47/54
C07B61/00 300
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020524361
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 CN2018073357
(87)【国際公開番号】W WO2019127746
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】201711481470.4
(32)【優先日】2017-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517332546
【氏名又は名称】蘇州滬雲新薬研発股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU PHARMAVAN CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】FLOOR 5 BUILDING NO. 7, DONGFANG INDUSTRIAL DISTRICT C, NO. 1 HUAYUN ROAD, SUZHOU INDUSTRIAL PARK, SUZHOU, JIANGSU 215000 PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 乾
(72)【発明者】
【氏名】李 雲 森
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 世 平
(72)【発明者】
【氏名】高 原
(72)【発明者】
【氏名】▲ロウ▼ 山 寧
(72)【発明者】
【氏名】▲ユ▼ 雲 会
(72)【発明者】
【氏名】江 伝 亮
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103232347(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104856983(CN,A)
【文献】特表2009-537462(JP,A)
【文献】Drug Metabolism and Disposition,2010年,Vol.38,No.9,p1464-70,doi:10.1124/dmd.110.033381
【文献】Biomedical Research,2011年,Vol.32,No.2,p151-157,doi:10.2220/biomedres.32.151
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式A~Eの化合物のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを有する、ことを特徴とするフェンプロピオネート系化合物。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

または
【化5】
【請求項2】
請求項1に記載のフェンプロピオネート系化合物の調製方法であって、
前記方法は、以下の反応式のように、式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物を、触媒の存在下で水素化還元反応を経て式Iで表されるフェンプロピオネート系化合物を取得し、
【化6】

(ただし、Rは、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルまたは(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルであり、Rは水素であり、R はメトキシ基、またはトリフルオロメトキシ基であり、Rはヒドロキシ基であり、Rは水素、フッ素、ヒドロキシ基、またはメトキシ基であり、Rは水素または臭素である。)
前記式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物と触媒とのモル比は1:(0.05~1.0)であり、
前記触媒は、ラネーニッケル、ホウ化ニッケル、パラジウム炭素、白金炭素、クロム酸第一銅、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、クロロヒドロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、または水素化トリス(トリフェニルホスフィン)イリジウムのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記水素化還元反応の還元剤は水素ガスまたはギ酸アンモニウムであり、
前記還元剤と式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物とのモル比は(15~25):1であり、
前記反応の温度は0~80℃であり、
前記反応の時間は1~30hである、ことを特徴とするフェンプロピオネート系化合物の調製方法。
【請求項3】
前記式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物の調製方法は、以下の反応式のように、式IIで表されるマロン酸モノエステルと式IIIで表されるベンズアルデヒド化合物とを、触媒の作用で反応させて式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物を取得し、
【化7】

(ただし、Rは、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルまたは(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルであり、Rは水素であり、R はメトキシ基、またはトリフルオロメトキシ基であり、Rはヒドロキシ基であり、Rは水素、フッ素、ヒドロキシ基、またはメトキシ基であり、Rは水素または臭素である。)
式IIで表されるマロン酸モノエステルと式IIIで表されるベンズアルデヒド化合物とのモル比は(0.5~1.5):1であり、
前記触媒は、ピリジン、ピペリジン、または酢酸のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記触媒の使用量は、式IIIで表される置換ベンズアルデヒドのモル量の0.1~5倍であり、
前記反応の溶媒は、トルエン、キシレン、ベンゼン、DMF、n-ヘプタン、またはDMSOのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記反応の温度は50~150℃であり、
前記反応の時間は1~10hである、ことを特徴とすることを特徴とする請求項に記載の調製方法。
【請求項4】
前記式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物の調製方法は、以下の反応式のように、式Vで表されるアルコールと式VIで表されるフェニルアクリル酸化合物とを縮合反応させて式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物を取得し、
【化8】

(ただし、Rは、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルまたは(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルであり、Rは水素であり、R はメトキシ基、またはトリフルオロメトキシ基であり、Rはヒドロキシ基であり、Rは水素、フッ素、ヒドロキシ基、またはメトキシ基であり、Rは水素または臭素である。)
前記式Vで表されるアルコールと式VIで表されるフェニルアクリル酸化合物とのモル比は(1~1.5):1であり、
前記反応の溶媒は、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、またはトリクロロメタンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記反応の温度は15~80℃であり、
前記反応の時間は3~30hであり、
前記式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物の調製方法は、以下の反応式のように、式VIIで表される化合物と式IIIで表されるベンズアルデヒド化合物とを、塩基の作用でwittig反応させ、式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物を取得し、
【化9】

(ただし、Rは、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルまたは(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルであり、Rは水素であり、R はメトキシ基、またはトリフルオロメトキシ基であり、Rはヒドロキシ基であり、Rは水素、フッ素、ヒドロキシ基、またはメトキシ基であり、Rは水素または臭素であり、Rは、ジフェニルオキシホスホノ基、ジエトキシホスホノ基、臭素化トリフェニルホスフィノ基、または塩化トリフェニルホスフィンである。)
前記式VIIで表される化合物と式IIIで表されるベンズアルデヒド化合物とのモル比は1:(1~1.5)であり、
前記塩基は、n-ブチルリチウム、カリウム-t-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水素化ナトリウム、または炭酸カリウムのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記wittig反応の温度は-80~60℃であり、
前記wittig反応の時間は1~12hである、ことを特徴とする請求項に記載の調製方法。
【請求項5】
請求項1に記載のフェンプロピオネート系化合物の医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、
前記医薬的に許容される塩は前記フェンプロピオネート系化合物の金属塩であり、
前記金属塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩から選ばれ、
前記溶媒和物は、フェンプロピオネート系化合物の水和物および/またはアルコール和物である、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
請求項1に記載のフェンプロピオネート系化合物の互変異性体もしくは立体化学異性体。
【請求項7】
医薬組成物であって、
請求項1に記載のフェンプロピオネート系化合物を含み、
前記医薬組成物は、医薬的に許容される補助材料を更に含み、
前記医薬的に許容される補助材料は、賦形剤、希釈剤、担体、調味剤、粘着剤、または充填剤のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記医薬組成物の剤形は、経口投与製剤、非経口投与製剤、または外用製剤である、医薬組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のフェンプロピオネート系化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の、脳卒中疾患を治療する医薬の調製における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学医薬の技術分野に属し、フェンプロピオネート(phenpropionate)系化合物、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
脳卒中は、脳部血管が急に破裂したり、血管閉塞による血行障害に起因して脳組織が損傷したりする疾患である。虚血性脳卒中とは、神経細胞、グリア細胞および血管を含む局所脳組織が血液供給の不足により壊死することを指す。
【0003】
『中国心臓血管疾患報告2013』により、中国の脳血管疾患の羅患率は上昇傾向を呈していることが示されている。2010年の全世界疾患負担研究報告によれば、脳卒中は、障害調整生存年(DALYs)に影響を与える第3位の原因である。それと同時に、脳卒中は、60歳以上の人に死をもたらす第2位の原因であり、致死率が最も高い神経系疾患の1つである。中国では、脳卒中は既に主な死亡原因となっている。脳卒中は、高羅患率、高再発率、高障害率、高死亡率という特徴を有する。
【0004】
中国では、毎年脳卒中で死亡する人は150万人であり、全国において脳卒中を新たに発症する人は約200万人で、平均12秒ごとに一人が脳卒中を発症し、21秒ごとに一人が脳卒中で死亡している。中国の脳卒中死亡率は欧米国の4~5倍以上で、日本の3.5倍であり、ひいてはインド、タイ等の発展途上国よりも高い。
【0005】
脳卒中の患者の4分の3には軽重度の異なる障害が残り、4分の1には重度の障害が残り、約3/4に肢機能障害、約2/3に認知機能障害(半数が認知症)、および約1/2にうつ病が表れる。その医療費は社会および家庭に大きな負担をもたらし、その障害は更に本人および家庭に精神的および生活上の大きな苦痛と深刻な不便をもたらす。
【0006】
虚血性脳卒中は、文字どおり、脳組織が虚血になった後の酸素供給中断による疾患である。脳組織の酸素供給が中断されると、神経細胞には、直ちに、エネルギー欠乏、解糖による乳酸堆積、細胞内外のイオン定常状態の破壊、神経伝達物質の異常放出、一酸化窒素と興奮性アミノ酸の毒性作用、および再潅流後の酸素ラジカル、炎症因子による脳細胞への更なる損傷が現れる。これらの病理、生化学的変化は、次第に現れ、連鎖波及反応をもたらす。
【0007】
急性虚血性脳卒中に対する治療は、虚血により損傷した脳組織への血液供給をできるだけ早く改善して回復させるというプロセスと、代謝毒物の更なる損傷から脳組織を保護するというプロセスを重視している。ここで、最も根本的な治療措置は、血栓を早期に溶解させて閉塞した血管を再疎通させ、不可逆損傷が出る前に、酸素欠損脳組織に血液をタイムリーに供給して、ニューロンを損傷する一連の化学信号因子の連鎖反応を抑制し、脳組織の耐性を増加させ、半影部脳組織の機能を救済することである。
【0008】
しかし、脳卒中疾患の治療においては、時間窓の問題を考慮する必要があり、特に、虚血性脳卒中、すなわち脳卒中を発症した後、ある治療方法を用いて脳損傷の程度を軽減し、機能回復を促進して長期予後を改善することは、1つの限られた時間内で行わないと有効にならない。虚血性脳血管疾患の治療時間ウインドウは、1~3時間であることが最も好ましく、原則として6時間を超えてはならない。無作為化対照試験により、虚血性脳卒中の患者が発症してから3h内に静脈に組換え組織型プラスミノーゲンアクチベーター(recombinant tissue-type plasminogen activator、rt-PA)を使用することは非常に有効な治療方法であることが示されており、この治療方法の臨床学的有益性には、救済可能な半影帯の存在が必要となる。しかし、5%未満の患者しかこの時間内に治療され得ない。時間ウインドウの制限により、rt-PA血栓溶解治療を受けることができる患者は少ない。それと同時に、一定の頭蓋内出血のリスクがあり、これもある程度該医薬の臨床応用を制限している。
【0009】
脳毛細血管壁およびグリア細胞で形成された血漿と脳細胞との間、および脈絡叢で形成された血漿と脳脊髄液との間に、血液脳関門が存在し、これらの関門は、いくつかの物質が血液から脳組織に入ることを阻止することができる。薬剤は、脳卒中疾患を治療する過程においても、血液脳関門を通過して有効濃度に達せば作用を果たすことができるが、大部分の薬剤分子は血液脳関門を通過して脳部に到達することができないため、多くの脳部疾患を治療する薬剤は、インビトロ試験で良好な薬剤-標的結合活性を発現することができるが、動物試験では理想的な薬効効果を発現することができない。
【0010】
そのため、血液脳関門を通過して脳部に入りやすく、良好な抗炎症、抗血小板等の作用を果たすとともに、長い治療時間ウインドウを有し、安全で効果的である脳卒中治療薬を見出すことは、依然として臨床上早急に解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術の不足に対し、本発明の目的は、フェンプロピオネート系化合物、その医薬的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、互変異性体もしくは立体化学異性体、その調製方法および使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を採用する。
一態様において、本発明は、式Iで表される構造を有するフェンプロピオネート系化合物を提供する。
【0013】
【化1】
【0014】
(ただし、Rは、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルまたは(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルであり、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、置換もしくは無置換の直鎖アルキル基、置換もしくは無置換の分岐鎖アルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のアルキルアミノ基であり、ただし、R、R、R、RおよびRのすべては同時に水素である場合を除く。)
好ましくは、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、臭素、ニトロ基、アミノ基、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、またはジエチルアミノ基のうちのいずれか1種であり、ただし、R、R、R、RおよびRのすべては同時に水素である場合を除く。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において、Rは水素、メチル基、またはフッ素である。
本発明の好ましい実施形態において、Rはヒドロキシ基、メトキシ基、またはトリフルオロメトキシ基である。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、Rはヒドロキシ基またはメトキシ基である。
本発明の好ましい実施形態において、Rは水素、フッ素、ヒドロキシ基、メトキシ基、メチル基、またはアミノ基である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において、Rは水素または臭素である。
好ましくは、前記フェンプロピオネート系化合物は、下記式A~Eの化合物のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを有する。
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
または
【0023】
【化6】
【0024】
本発明の第2の目的は、上述したフェンプロピオネート系化合物の調製方法を提供することであり、前記方法は、
以下の反応式のように、式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物を、触媒の存在下で水素化還元させて式Iで表されるフェンプロピオネート系化合物を取得し、
【0025】
【化7】
【0026】
(ただし、Rは、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルまたは(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルであり、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、置換もしくは無置換の直鎖アルキル基、置換もしくは無置換の分岐鎖アルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のアルキルアミノ基であり、ただし、R、R、R、RおよびRのすべては同時に水素である場合を除く。)
好ましくは、前記式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物と触媒とのモル比は1:(0.05~1.0)であり、例えば、1:0.05、1:0.08、1:0.1、1:0.3、1:0.5、1:0.8、または1:1である。
【0027】
好ましくは、前記触媒は、ラネーニッケル、ホウ化ニッケル、パラジウム炭素、白金炭素、クロム酸第一銅、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、クロロヒドロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、または水素化トリス(トリフェニルホスフィン)イリジウムのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0028】
好ましくは、前記水素化還元反応の還元剤は水素ガスまたはギ酸アンモニウムである。
好ましくは、前記還元剤と式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物とのモル比は(15~25):1であり、例えば、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、または25:1である。
【0029】
好ましくは、前記反応の温度は0~80℃であり、例えば、0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、50℃、60℃、70℃、または80℃である。
【0030】
好ましくは、前記反応の時間は1~30hであり、例えば、1h、5h、8h、10h、13h、15h、18h、20h、22h、25h、28h、または30hである。
【0031】
本発明において、式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物は、様々な調製方法で得ることができ、例えば、そのうちの1種の調製方法は、以下の反応式のように、式IIで表されるマロン酸モノエステルと式IIIで表されるベンズアルデヒド化合物とを、触媒の作用で反応させて式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物を取得することであってもよい。
【0032】
【化8】
【0033】
(ただし、Rは、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルまたは(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルであり、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、置換もしくは無置換の直鎖アルキル基、置換もしくは無置換の分岐鎖アルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のアルキルアミノ基であり、ただし、R、R、R、RおよびRのすべては同時に水素である場合を除く。)
好ましくは、式IIで表されるマロン酸モノエステルと式IIIで表されるベンズアルデヒド化合物とのモル比は(0.5~1.5):1であり、例えば、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、または1.5:1である。
【0034】
好ましくは、前記触媒は、ピリジン、ピペリジン、または酢酸のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0035】
好ましくは、前記触媒の使用量は、式IIIで表される置換ベンズアルデヒドのモル量の0.1~5倍であり、例えば、0.1倍、0.5倍、0.8倍、1倍、2倍、3倍、4倍、または5倍である。
【0036】
好ましくは、前記反応の溶媒は、トルエン、キシレン、ベンゼン、DMF、n-ヘプタン、またはDMSOのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0037】
好ましくは、前記反応の温度は50~150℃であり、例えば、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、または150℃である。
【0038】
好ましくは、前記反応の時間は1~10hであり、例えば、1h、1.5h、2h、2.5h、3h、4h、5h、6h、7h、8h、9h、または10hである。
【0039】
本発明において、式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物の別の調製方法は、以下の反応式のように、式Vで表されるアルコールと式VIで表されるフェニルアクリル酸化合物とを縮合反応させて式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物を取得することである。
【0040】
【化9】
【0041】
(ただし、Rは、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルまたは(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルであり、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、置換もしくは無置換の直鎖アルキル基、置換もしくは無置換の分岐鎖アルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のアルキルアミノ基であり、ただし、R、R、R、RおよびRのすべては同時に水素である場合を除く。)
好ましくは、前記式Vで表されるアルコールと式VIで表されるフェニルアクリル酸化合物とのモル比は(1~1.5):1であり、例えば、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、または1.5:1である。
【0042】
好ましくは、前記反応の溶媒は、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、またはトリクロロメタンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0043】
好ましくは、前記反応の温度は15~80℃であり、例えば、15℃、25℃、35℃、45℃、55℃、65℃、75℃、または80℃である。
【0044】
好ましくは、前記反応の時間は3~30hであり、例えば、3h、5h、8h、10h、12h、15h、18h、20h、22h、24h、26h、28h、または30hである。
【0045】
本発明において、式VIで表されるフェニルアクリル酸化合物には、アクリル酸のカルボキシル基以外の、式Vで表されるアルコールまたは式VIで表されるフェニルアクリル酸化合物におけるカルボキシル基と反応可能な他の基が存在する場合、式Vで表されるアルコールと反応する前に、本分野における既知の方法により、式VIで表されるフェニルアクリル酸化合物に対して選択的な官能基保護を行い、式Vで表されるアルコールと反応した後、既知の脱保護反応により保護基を除去してもよい。例えば、式VIで表されるフェニルアクリル酸化合物においてベンゼン環にヒドロキシ基が含まれる場合、ベンジル基を用いて保護した後、式Vで表されるアルコールと反応してから生成物に対して脱ベンジル保護を行い、ターゲット生成物を取得してもよい。
【0046】
本発明において、式IVで表されるフェンプロピオネート系化合物の別の調製方法は、以下の反応式のように、式VIIで表される化合物と式IIIで表されるベンズアルデヒド化合物とを、塩基の作用でwittig反応させ、式IVで表されるフェニルアクリレート系化合物を取得する方法である。
【0047】
【化10】
【0048】
(ただし、Rは、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルまたは(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルであり、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、置換もしくは無置換の直鎖アルキル基、置換もしくは無置換の分岐鎖アルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のアルキルアミノ基であり、ただし、R、R、R、RおよびRのすべては同時に水素である場合を除き、Rは、ジフェニルオキシホスホノ基、ジエトキシホスホノ基、臭素化トリフェニルホスフィノ基、塩化トリフェニルホスフィンである。)
好ましくは、前記式VIIで表される化合物と式IIIで表されるベンズアルデヒド化合物とのモル比は1:(1~1.5)であり、例えば、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、または1:1.5である。
【0049】
好ましくは、前記塩基は、n-ブチルリチウム、カリウム-t-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水素化ナトリウム、または炭酸カリウムのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0050】
好ましくは、前記wittig反応の温度は-80~60℃であり、例えば、-80℃、-60℃、-40℃、-20℃、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、または60℃である。
【0051】
好ましくは、前記wittig反応の時間は1~12hであり、例えば、1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h、8h、9h、10h、11h、12hである。
【0052】
本発明において、前記式VIIで表される化合物は、本分野における既知の方法により調製することができ、例えば、以下の反応式のように、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールまたは(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールとハロアセチルハライドとを、塩基の存在下で反応させてハロアセチルを取得し、ハロアセチルと有機リン試薬とを反応させてwittigリン試薬、すなわち、式VIIで表される化合物を生成する。
【0053】
【化11】
【0054】
本発明の第5の目的は、上述したフェンプロピオネート系化合物の医薬的に許容される塩を提供することである。
【0055】
本発明において、前記医薬的に許容される塩は前記フェンプロピオネート系化合物の金属塩である。
【0056】
好ましくは、前記金属塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩から選ばれる。
【0057】
好ましくは、前記金属塩は、ナトリウム塩またはカリウム塩から選ばれる。
本発明の第6の目的は、上述したフェンプロピオネート系化合物の溶媒和物を提供することである。
【0058】
好ましくは、前記溶媒和物は、フェンプロピオネート系化合物の水和物および/またはアルコール和物である。本発明において、前記フェンプロピオネート系化合物の溶媒和物とフェンプロピオネート系化合物とは作用効果で相当する。
【0059】
本発明の第7の目的は、上述したフェンプロピオネート系化合物のプロドラッグを提供することである。
【0060】
本発明において、前記プロドラッグとは、薬剤が化学構造修飾を経て得られた、インビトロで活性がないかまたは活性が小さく、インビボで酵素または非酵素的変換を経て活性薬剤を放出して薬効を発揮する化合物を指す。
【0061】
本発明において、前記フェンプロピオネート系化合物のプロドラッグは、インビトロで活性がないかまたは活性が小さく、インビボ代謝変化を経た後に活性を有するフェンプロピオネート系化合物を放出し、その作用を発揮する。
【0062】
本発明の第8の目的は、上述したフェンプロピオネート系化合物の互変異性体もしくは立体化学異性体を提供することである。
【0063】
本発明において、前記互変異性体とは、化学構造における二重結合のシス-トランス異性を指し、立体化学異性体とは、R1基における各キラル中心の異性を指す。
【0064】
本発明の第9の目的は、上述したフェンプロピオネート系化合物を含む医薬組成物を提供することである。
【0065】
好ましくは、前記医薬組成物は、医薬的に許容される補助材料を更に含み、
好ましくは、前記医薬的に許容される補助材料は、賦形剤、希釈剤、担体、調味剤、粘着剤、または充填剤のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0066】
好ましくは、前記医薬組成物の剤形は、経口投与製剤、非経口投与製剤、または外用製剤である。
【0067】
例えば、本発明において、前記医薬組成物は、固体、半固体、液体、または気体製剤として調製することができ、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、粒剤、ペースト剤、乳剤、懸濁剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル化剤、微小球およびエアロゾル等である。
【0068】
本願の化合物、またはその医薬的に許容される塩、またはその医薬組成物を投与する典型的な経路は、経口、直腸、局所、吸入、非経口、舌下、膣内、鼻内、眼内、腹膜内、筋肉内、皮下、静脈内投与を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0069】
本発明の第10の目的は、上述したフェンプロピオネート系化合物、その医薬的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、互変異性体もしくは立体化学異性体、または医薬組成物の、脳卒中疾患を治療する医薬の調製における使用を提供することである。
【0070】
本発明のフェンプロピオネート系化合物、その医薬的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、互変異性体もしくは立体化学異性体、または医薬組成物は、治療時間ウインドウが長く、抗血栓、抗炎症および脳卒中を治療する医薬に適用でき、且つ、明らかな副作用が見られない。
【発明の効果】
【0071】
従来技術と比べ、本発明は以下の有益な効果を有する。
本発明のフェンプロピオネート系化合物、その医薬的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、互変異性体もしくは立体化学異性体、または医薬組成物は、良好な抗炎症、抗血小板等の作用を有するとともに、長い治療時間ウインドウを有し、明らかな副作用が見られず、安全で効果的であり、抗血栓、抗炎症および脳卒中の治療薬として使用でき、本発明の化合物は、より容易に、より速く脳部に分布して治療作用を発揮することができ、脳卒中のような応急手当を必要とする病症に対して更に臨床的意義を有し、広い応用の見通しを有している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】本発明の化合物Aの核磁気共鳴スペクトルである。
図2】化合物Aの薬効実験における2.0mg/kgで投与する脳スライスの図である。
図3】化合物Aの薬効実験における4.0mg/kgで投与する脳スライスの図である。
図4】化合物Aの薬効実験における8.0mg/kgで投与する脳スライスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
ここで、図2~4における数字番号は実験動物の数字番号を表し、脳スライスは上から下へ6層のスライスに分けられている。
【0074】
以下、具体的な実施形態により、本発明の技術案について更に説明する。当業者であれば、前記実施例は本発明を理解するためのものに過ぎず、本発明を具体的に限定するものではないことが明らかであるはずである。
【0075】
実施例1 式A化合物の合成
(1)窒素保護の下で、マロン酸モノ(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールエステル(11.5g、47.9mmol)、3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(7.3g、42.9mmol)をトルエン(100ml)に入れ、ピリジン(7.6g、95.8mmol)、ピペリジン(0.4g、4.7mmol)を加え、120℃まで昇温して5h反応させ、反応が終了した後、反応液を放冷し、1Nの塩酸溶液、飽和NaHCO溶液、飽和NaCl溶液をそれぞれ用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、乾燥まで濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末固体を10.2g得て、収率が68.5%であった。EI-MS M/Z 349.2[M],347.3[M]。
【0076】
H-NMR(CDCl,500MHz)0.78(3H,s,H-12),0.86,0.87(各3H,s,H-13,14),0.89(1H,d,H-8α),1.14(1H,m,H-10β),1.17~1.21(1H,t,H-11α),1.65(1H,t,H-9),1.70~1.76(1H,m,H-10α),1.86(1H,m,H-11β),2.29~2.33(1H,m,H-8β),2.60(2H,t,H-5),2.88(2H,t,H-6),3.88(3H,s,H-2),4.85~4.89(1H,dd,H-7),5.33(1H,s,H-3),6.53(1H,s,H-1),6.58~6.61(1H,d,H-4)。核磁気共鳴スペクトルは図1を参照する。
【0077】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.9mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.95g得て、収率が94.4%であった。EI-MS M/Z 351.1[M],349.3[M]。
【0078】
実施例2 式A化合物の合成
(1)窒素保護の下で、マロン酸モノ(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールエステル(5.3g、22.1mmol)、3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(3.0g、17.6mmol)をトルエン(50ml)に入れ、ピペリジン(0.38g、4.4mmol)、酢酸(0.26g、4.4mmol)を加え、120℃まで昇温して5h反応させ、反応が終了した後、反応液を放冷し、1Nの塩酸溶液、飽和NaHCO溶液、飽和NaCl溶液をそれぞれ用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、乾燥まで濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末固体を4.3g得て、収率が70.5%であった。
【0079】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.9mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(2.7g、43.5mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.92g得て、収率が91.4%であった。EI-MS M/Z 351.1[M],349.3[M]。
【0080】
実施例3 式B化合物の合成
(1)窒素保護の下で、マロン酸モノ(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールエステル(11.5g、47.9mmol)、3,4-ジヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(7.2g、42.9mmol)をトルエン(100ml)に入れ、ピリジン(7.6g、95.8mmol)、ピペリジン(0.4g、4.7mmol)を加え、120℃まで昇温して5h反応させ、反応が終了した後、反応液を放冷し、1Nの塩酸溶液、飽和NaHCO溶液、飽和NaCl溶液をそれぞれ用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、乾燥まで濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3,4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末固体を8.3g得て、収率が55.8%であった。EI-MS M/Z 347.2[M],345.2[M]。
【0081】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3,4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.9mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.95g得て、収率が94.5%であった。EI-MS M/Z 349.2[M],347.2[M]。
【0082】
実施例4 式B化合物の合成
(1)窒素保護の下で、マロン酸モノ(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールエステル(5.3g、22.1mmol)、3,4-ジヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(2.9g、17.6mmol)をトルエン(50ml)に入れ、ピペリジン(0.38g、4.4mmol)、酢酸(0.26g、4.4mmol)を加え、120℃まで昇温して5h反応させ、反応が終了した後、反応液を放冷し、1Nの塩酸溶液、飽和NaHCO溶液、飽和NaCl溶液をそれぞれ用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、乾燥まで濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3,4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末固体を3.6g得て、収率が59.1%であった。
【0083】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3,4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.9mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(4.6g、72.5mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.97g得て、収率が96.5%であった。EI-MS M/Z 349.2[M],347.2[M]。
【0084】
実施例5 式C化合物の合成
(1)窒素保護の下で、マロン酸モノ(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールエステル(11.5g、47.9mmol)、4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒド(7.8g、42.9mmol)をトルエン(100ml)に入れ、ピリジン(7.6g、95.8mmol)、ピペリジン(0.4g、4.7mmol)を加え、120℃まで昇温して5h反応させ、反応が終了した後、反応液を放冷し、1Nの塩酸溶液、飽和NaHCO溶液、飽和NaCl溶液をそれぞれ用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、乾燥まで濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)アクリレートの白色粉末固体を8.9g得て、収率が57.6%であった。EI-MS M/Z 361.2[M],359.2[M]。
【0085】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.8mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.94g得て、収率が93.5%であった。EI-MS M/Z 363.5[M],361.7[M]。
【0086】
実施例6 式C化合物の合成
(1)窒素保護の下で、マロン酸モノ(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールエステル(5.3g、22.1mmol)、4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒド(3.2g、17.6mmol)をトルエン(50ml)に入れ、ピペリジン(0.38g、4.4mmol)、酢酸(0.26g、4.4mmol)を加え、120℃まで昇温して5h反応させ、反応が終了した後、反応液を放冷し、1Nの塩酸溶液、飽和NaHCO溶液、飽和NaCl溶液をそれぞれ用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、乾燥まで濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)アクリレートの白色粉末固体を3.6g得て、収率が57.1%であった。
【0087】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.8mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(4.4g、70mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.95g得て、収率が94.5%であった。EI-MS M/Z 363.5[M],361.7[M]。
【0088】
実施例7 式D化合物の合成
(1)窒素保護の下で、マロン酸モノ(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールエステル(11.5g、47.9mmol)、2-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(9.9g、42.9mmol)をトルエン(100ml)に入れ、ピリジン(7.6g、95.8mmol)、ピペリジン(0.4g、4.7mmol)を加え、120℃まで昇温して5h反応させ、反応が終了した後、反応液を放冷し、1Nの塩酸溶液、飽和NaHCO溶液、飽和NaCl溶液をそれぞれ用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、乾燥まで濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(2-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末固体を13.6g得て、収率が77.4%であった。EI-MS M/Z 409.1[M],407.1[M]。
【0089】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(2-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.4mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.91g得て、収率が90.5%であった。EI-MS M/Z 411.1[M],409.3[M]。
【0090】
実施例8 式D化合物の合成
(1)窒素保護の下で、マロン酸モノ(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールエステル(5.3g、22.1mmol)、2-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(4.1g、17.6mmol)をトルエン(50ml)に入れ、ピペリジン(0.38g、4.4mmol)、酢酸(0.26g、4.4mmol)を加え、120℃まで昇温して5h反応させ、反応が終了した後、反応液を放冷し、1Nの塩酸溶液、飽和NaHCO溶液、飽和NaCl溶液をそれぞれ用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、乾燥まで濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(2-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末固体を5.9g得て、収率が81.9%であった。
【0091】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(2-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.4mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.8g、60mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.94g得て、収率が93.5%であった。EI-MS M/Z 411.1[M],409.3[M]。
【0092】
実施例9 式E化合物の合成
(1)窒素保護の下で、マロン酸モノ(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールエステル(11.5g、47.9mmol)、4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメトキシベンズアルデヒド(8.8g、42.9mmol)をトルエン(100ml)に入れ、ピリジン(7.6g、95.8mmol)、ピペリジン(0.4g、4.7mmol)を加え、120℃まで昇温して5h反応させ、反応が終了した後、反応液を放冷し、1Nの塩酸溶液、飽和NaHCO溶液、飽和NaCl溶液をそれぞれ用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、乾燥まで濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメトキシフェニル)アクリレートの白色粉末固体を10.5g得て、収率が64.0%であった。EI-MS M/Z 385.1[M],383.1[M]。
【0093】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.6mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.96g得て、収率が95.5%であった。EI-MS M/Z 387.2[M],385.3[M]。
【0094】
実施例10 式E化合物の合成
(1)窒素保護の下で、マロン酸モノ(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールエステル(5.3g、22.1mmol)、4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメトキシベンズアルデヒド(3.6g、17.6mmol)をトルエン(50ml)に入れ、ピペリジン(0.38g、4.4mmol)、酢酸(0.26g、4.4mmol)を加え、120℃まで昇温して5h反応させ、反応が終了した後、反応液を放冷し、1Nの塩酸溶液、飽和NaHCO溶液、飽和NaCl溶液をそれぞれ用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、乾燥まで濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメトキシフェニル)アクリレートの白色粉末固体を4.7g得て、収率が69.5%であった。
【0095】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.6mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(2.5g、39mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.93g得て、収率が92.5%であった。EI-MS M/Z 387.2[M],385.3[M]。
【0096】
実施例11 式A化合物の合成
(1)(E)-3-フルオロ-4-ベンジルオキシ-5-メトキシフェニルアクリル酸(7.8g、0.026mol)をジクロロメタン(50ml)に投入し、氷塩浴で0℃まで降温した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(5.43g、0.026mol)および4-ジメチルアミノピリジン(0.96g、0.008mol)を加え、乾燥管を追加し、1h反応させ、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(4.1g、0.026mol)をジクロロメタン(25ml)に溶解し、反応液に滴下し、滴下が終了した後、氷塩浴を撤去し、自然昇温して一晩反応させ、反応が終了した後、固体を濾過し、濾過ケーキを適量のジクロロメタンで洗浄し、濾液を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ベンジルオキシ-3-フルオロ-5-メトキシフェニル)アクリレート(9.8g)を得た。
【0097】
(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ベンジルオキシ-3-フルオロ-5-メトキシフェニル)アクリレート(9.2g、0.021mol)をテトラヒドロフラン(90ml)に投入し、均一に撹拌し、ギ酸アンモニウム(6.8g、0.105mol)を加え、また、パラジウム炭素(1.8g、0.147mol)を加え、3h反応させた。反応が終了した後、セライトでパラジウム炭素を濾過し、且つ適量のテトラヒドロフランで洗浄し、濾液を蒸発させた。残留物を石油エーテルまたはイソプロパノールで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末を6.1g得て、収率が83.4%であった。
【0098】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.9mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(2.7g、43.5mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.92g得て、収率が91.4%であった。EI-MS M/Z 351.1[M],349.3[M]。
【0099】
実施例12 式B化合物の合成
(1)(E)-3,4-ジベンジルオキシ-5-メトキシフェニルアクリル酸(10.2g、0.026mol)をジクロロメタン(50ml)に投入し、氷塩浴で0℃まで降温した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(5.43g、0.026mol)および4-ジメチルアミノピリジン(0.96g、0.008mol)を加え、乾燥管を追加し、1h反応させ、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(4.1g、0.026mol)をジクロロメタン(25ml)に溶解し、反応液に滴下し、滴下が終了した後、氷塩浴を撤去し、自然昇温して一晩反応させ、反応が終了した後、固体を濾過し、濾過ケーキを適量のジクロロメタンで洗浄し、濾液を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3,4-ジベンジルオキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(11.8g)を得た。
【0100】
(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3,4-ジベンジルオキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(11.1g、0.021mol)をテトラヒドロフラン(90ml)に投入し、均一に撹拌し、ギ酸アンモニウム(13.7g、0.21mol)を加え、また、パラジウム炭素(3.6g、0.29mol)を加え、3h反応させた。反応が終了した後、セライトでパラジウム炭素を濾過し、且つ適量のテトラヒドロフランで洗浄し、濾液を蒸発させた。残留物を石油エーテルまたはイソプロパノールで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3,4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末を5.8g得て、収率が79.4%であった。
【0101】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3,4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.9mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(2.7g、43.5mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.93g得て、収率が92.5%であった。EI-MS M/Z 349.2[M],347.2[M]。
【0102】
実施例13 式C化合物の合成
(1)(E)-4-ベンジルオキシ-3,5-ジメトキシフェニルアクリル酸(8.2g、0.026mol)をジクロロメタン(50ml)に投入し、氷塩浴で0℃まで降温した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(5.43g、0.026mol)および4-ジメチルアミノピリジン(0.96g、0.008mol)を加え、乾燥管を追加し、1h反応させ、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(4.1g、0.026mol)をジクロロメタン(25ml)に溶解し、反応液に滴下し、滴下が終了した後、氷塩浴を撤去し、自然昇温して一晩反応させ、反応が終了した後、固体を濾過し、濾過ケーキを適量のジクロロメタンで洗浄し、濾液を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ベンジルオキシ-3,5-ジメトキシフェニル)アクリレート(10.3g)を得た。
【0103】
(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ベンジルオキシ-3,5-ジメトキシフェニル)アクリレート(9.5g、0.021mol)をテトラヒドロフラン(90ml)に投入し、均一に撹拌し、ギ酸アンモニウム(6.8g、0.105mol)を加え、また、パラジウム炭素(1.8g、0.147mol)を加え、3h反応させた。反応が終了した後、セライトでパラジウム炭素を濾過し、且つ適量のテトラヒドロフランで洗浄し、濾液を蒸発させた。残留物を石油エーテルまたはイソプロパノールで再結晶し、白色粉末を6.2g得て、収率が81.6%であった。
【0104】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.8mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.2g、42mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.91g得て、収率が90.5%であった。EI-MS M/Z 363.5[M],361.7[M]。
【0105】
実施例14 式D化合物の合成
(1)(E)-2-ブロモ-4-ベンジルオキシ-5-メトキシフェニルアクリル酸(9.4g、0.026mol)をジクロロメタン(50ml)に投入し、氷塩浴で0℃まで降温した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(5.43g、0.026mol)および4-ジメチルアミノピリジン(0.96g、0.008mol)を加え、乾燥管を追加し、1h反応させ、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(4.1g、0.026mol)をジクロロメタン(25ml)に溶解し、反応液に滴下し、滴下が終了した後、氷塩浴を撤去し、自然昇温して一晩反応させ、反応が終了した後、固体を濾過し、濾過ケーキを適量のジクロロメタンで洗浄し、濾液を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ベンジルオキシ-2-ブロモ-5-メトキシフェニル)アクリレート(11.1g)を得た。
【0106】
(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ベンジルオキシ-2-ブロモ-5-メトキシフェニル)アクリレート(10.5g、0.021mol)をテトラヒドロフラン(90ml)に投入し、均一に撹拌し、ギ酸アンモニウム(6.8g、0.105mol)を加え、また、パラジウム炭素(1.8g、0.147mol)を加え、3h反応させた。反応が終了した後、セライトでパラジウム炭素を濾過し、且つ適量のテトラヒドロフランで洗浄し、濾液を蒸発させた。残留物を石油エーテルまたはイソプロパノールで再結晶し、白色粉末を7.3g得て、収率が84.9%であった。
【0107】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(2-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.4mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(2.7g、43.2mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.94g得て、収率が93.5%であった。EI-MS M/Z 411.1[M],409.3[M]。
【0108】
実施例15 式E化合物の合成
(1)(E)-4-ベンジルオキシ-3-トリフルオロメトキシフェニルアクリル酸(8.8g、0.026mol)をジクロロメタン(50ml)に投入し、氷塩浴で0℃まで降温した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(5.43g、0.026mol)および4-ジメチルアミノピリジン(0.96g、0.008mol)を加え、乾燥管を追加し、1h反応させ、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(4.1g、0.026mol)をジクロロメタン(25ml)に溶解し、反応液に滴下し、滴下が終了した後、氷塩浴を撤去し、自然昇温して一晩反応させ、反応が終了した後、固体を濾過し、濾過ケーキを適量のジクロロメタンで洗浄し、濾液を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ベンジルオキシ-3-トリフルオロメトキシフェニル)アクリレート(9.8g)を得た。
【0109】
(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ベンジルオキシ-3-トリフルオロメトキシフェニル)アクリレート(10.0g、0.021mol)をテトラヒドロフラン(90ml)に投入し、均一に撹拌し、ギ酸アンモニウム(6.8g、0.105mol)を加え、また、パラジウム炭素(1.8g、0.147mol)を加え、3h反応させた。反応が終了した後、セライトでパラジウム炭素を濾過し、且つ適量のテトラヒドロフランで洗浄し、濾液を蒸発させた。残留物を石油エーテルまたはイソプロパノールで再結晶し、白色粉末を6.5g得て、収率が80.2%であった。
【0110】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.6mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.96g得て、収率が95.5%であった。EI-MS M/Z 387.2[M],385.3[M]。
【0111】
実施例16 式A化合物の合成
(1)(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(18.5g、0.12mol)、4-ジメチルアミノピリジン(17.6g、0.144mol)をジクロロメタン(185ml)に溶解し、氷浴で0℃まで降温し、クロロアセチルクロリド(16.2g、0.132mol)のジクロロメタン溶液(160ml)をゆっくりと滴下し、1h滴下し、滴下が終了した後、0℃で3h反応させ続け、反応が終了した後、反応液を氷水(250g)に注ぎ、0.5h撹拌し、水層を分液除去し、1Nの塩酸溶液(70ml)、水(70ml)、飽和食塩水(70ml)をそれぞれ用いて有機層を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル-クロロアセテート(25.3g)を得た。
【0112】
(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル-クロロアセテート(21.5g、0.093mol)、トリフェニルホスフィン(48.9g、0.186mol)、トルエン(215ml)を反応フラスコに入れ、還流するまで昇温し、12h反応させ、減圧下で蒸発させ、残留物をジクロロメタン/石油エーテルで再結晶し、(2-オキソ-2-(((1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)オキシ)エチルトリフェニルホスフィン塩酸塩(34.2g)を得た。
【0113】
窒素保護の下で、(2-オキソ-2-(((1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)オキシ)エチルトリフェニルホスフィン塩酸塩(34.2g、0.069mol)を無水テトラヒドロフラン(342ml)に入れ、-78℃まで冷却し、n-ブチルリチウム(11.0g、0.173mol)を滴下し、滴下が終了した後、0.5h反応させ、3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(12.9g、0.076mol)のテトラヒドロフラン(70ml)溶液を滴下し、滴下が終了した後、-78℃に保持して3h反応させた。反応が終了した後、室温まで自然昇温し、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200ml)を滴下し、酢酸エチル(150ml×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物を石油エーテルまたはイソプロパノールで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末を15.2g得て、収率が63.3%であった。
【0114】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.9mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.92g得て、収率が91.4%であった。EI-MS M/Z 351.1[M],349.3[M]。
【0115】
実施例17 式B化合物の合成
(1)窒素保護の下で、(2-オキソ-2-(((1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)オキシ)エチルトリフェニルホスフィン塩酸塩(34.2g、0.069mol)を無水テトラヒドロフラン(342ml)に入れ、-78℃まで冷却し、n-ブチルリチウム(15.4g、0.242mol)を滴下し、滴下が終了した後、0.5h反応させ、3,4-ジヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(12.8g、0.076mol)のテトラヒドロフラン(70ml)溶液を滴下し、滴下が終了した後、-78℃に保持して3h反応させた。反応が終了した後、室温まで自然昇温し、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200ml)を滴下し、酢酸エチル(150ml×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物を石油エーテルまたはイソプロパノールで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3,4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末を14.8g得て、収率が61.9%であった。
【0116】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(3,4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.9mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.93g得て、収率が92.5%であった。EI-MS M/Z 349.2[M],347.2[M]。
【0117】
実施例18 式C化合物の合成
(1)窒素保護の下で、(2-オキソ-2-(((1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)オキシ)エチルトリフェニルホスフィン塩酸塩(34.2g、0.069mol)を無水テトラヒドロフラン(342ml)に入れ、-78℃まで冷却し、n-ブチルリチウム(11.0g、0.173mol)を滴下し、滴下が終了した後、0.5h反応させ、4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒド(13.8g、0.076mol)のテトラヒドロフラン(70ml)溶液を滴下し、滴下が終了した後、-78℃に保持して3h反応させた。反応が終了した後、室温まで自然昇温し、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200ml)を滴下し、酢酸エチル(150ml×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物を石油エーテルまたはイソプロパノールで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)アクリレートの白色粉末を16.2g得て、収率が65.1%であった。
【0118】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.8mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.95g得て、収率が94.5%であった。EI-MS M/Z 363.5[M],361.7[M]。
【0119】
実施例19 式D化合物の合成
(1)窒素保護の下で、(2-オキソ-2-(((1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)オキシ)エチルトリフェニルホスフィン塩酸塩(34.2g、0.069mol)を無水テトラヒドロフラン(342ml)に入れ、-78℃まで冷却し、n-ブチルリチウム(11.0g、0.173mol)を滴下し、滴下が終了した後、0.5h反応させ、2-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(17.6g、0.076mol)のテトラヒドロフラン(70ml)溶液を滴下し、滴下が終了した後、-78℃に保持して3h反応させた。反応が終了した後、室温まで自然昇温し、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200ml)を滴下し、酢酸エチル(150ml×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物を石油エーテルまたはイソプロパノールで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(2-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレートの白色粉末を17.6g得て、収率が62.4%であった。
【0120】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(2-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.4mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.93g得て、収率が92.5%であった。EI-MS M/Z 411.1[M],409.3[M]。
【0121】
実施例20 式E化合物の合成
(1)窒素保護の下で、(2-オキソ-2-(((1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)オキシ)エチルトリフェニルホスフィン塩酸塩(34.2g、0.069mol)を無水テトラヒドロフラン(342ml)に入れ、-78℃まで冷却し、n-ブチルリチウム(11.0g、0.173mol)を滴下し、滴下が終了した後、0.5h反応させ、3-トリフルオロメトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(15.7g、0.076mol)のテトラヒドロフラン(70ml)溶液を滴下し、滴下が終了した後、-78℃に保持して3h反応させた。反応が終了した後、室温まで自然昇温し、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200ml)を滴下し、酢酸エチル(150ml×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物を石油エーテルまたはイソプロパノールで再結晶し、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメトキシフェニル)アクリレートの白色粉末を16.3g得て、収率が61.5%であった。
【0122】
(2)室温で、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメトキシフェニル)アクリレート(1.0g、2.6mmol)をメタノール(20ml)に入れ、10%のパラジウム炭素(0.1g)を加え、また、ギ酸アンモニウム(3.6g、57.1mmol)を加え、室温で3h撹拌反応させ、反応を終了させた。濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、残留物をそれぞれ20mlの酢酸エチル、水で分液抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで4h乾燥し、濾過し、濾液を乾燥まで濃縮し、白色粉末を0.96g得て、収率が95.5%であった。EI-MS M/Z 387.2[M],385.3[M]。
【0123】
実施例21
本実施例において、フェンプロピオネート系化合物の薬効メカニズムを研究し、アスピリン(4.0mg/kgで投与)、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステル(4.0mg/kgで投与)および丹参素デキストラルボルネオールエステル(Danshensu borneol ester、DBZ)(4.0mg/kgで投与)を陽性対照薬とし、ここで、アスピリン、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステル(中国専利出願番号:201510243181.5)および丹参素デキストラルボルネオールエステル系化合物の構造は以下のとおりである。
【0124】
【化12】
【0125】
【化13】
【0126】
【化14】
【0127】
試験方法:急性脳虚血再灌流ラットの炎症因子および血液粘稠度への影響:70匹の雄SDラットに対して縫合法(suture-occluded method)でMACO手術を行い、手術後、生きているラットをランダムにグループ分けした(実験は7グループに分けられ、各グループ成功した動物数を6~8匹に確保した)。MCAOから2時間後に、血液再灌流を回復させ、再灌流を回復してから更に2時間を経た後、対応する被験薬剤を静脈注射し、投与が終了してから4時間後に、採血して屠殺して脳組織を取り出し、脳組織および一部の血液を遠心し、血清を取って炎症因子を検出し、血液粘度テスタで一部の血液の血液粘稠度を検出した。検出指標は、脳梗塞面積、炎症因子IL-1βおよびTNF-α、血液粘稠度である。
【0128】
表1は、ラットの急性脳虚血の脳梗塞面積に対するフェンプロピオネート系化合物(4mg/kg)の影響結果(n=5)を示す。
【0129】
【表1】
【0130】
表1の結果からわかるように、一部のフェンプロピオネート系化合物は、SDラット局所虚血再灌流モデルで陽性対照薬であるフェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルよりも優れた実験結果を表し、良好な脳梗塞面積を低減する薬効効果を有する。
【0131】
表2は、ラットの血液黏滞度に対するフェンプロピオネート系化合物(4mg/kg)の影響結果(n=5)を示す。
【0132】
【表2】
【0133】
表2の結果からわかるように、一部のフェンプロピオネート系化合物は、陽性対照薬であるアスピリン、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルに相当するラットの血液粘稠度を低減する作用を表し、脳卒中患者の脳血流を増加させ、脳血液レオロジーを改善する作用を有する可能性があることを意味する。
【0134】
表3は、ラットの虚血脳組織の炎症因子に対するフェンプロピオネート系化合物(4mg/kg)の影響結果(n=5)を示す。
【0135】
【表3】
【0136】
表3の結果からわかるように、一部のフェンプロピオネート系化合物は、陽性対照薬であるアスピリン、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルに相当する、ひいてはより優れた抗炎症作用を表し、脳卒中患者の炎症反応を改善する作用を有することを意味する。
【0137】
家兎の血小板の最大凝集率への影響:3匹の家兎を麻酔した後、心臓から採血し、家兎1匹あたり14部の血漿(血漿を1部ごとに1ml)を取り、7部はADPで血小板凝集を誘導し、7部は血小板活性化因子で誘導し、誘導終了後に、血漿内に溶媒、陽性対照薬であるアスピリンおよび5株の検体をそれぞれ入れ、血小板凝集計で血小板最大凝集率を検出した。該実験を3回繰り返し、平均数を取った。検出指標は、血小板最大凝集率であった。
【0138】
表4は、家兎血小板凝集率に対するフェンプロピオネート系化合物(4mg/kg)の影響結果(n=3)を示す。
【0139】
【表4】
【0140】
表4の結果からわかるように、一部のフェンプロピオネート系化合物は、陽性対照薬であるアスピリン、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルに相当する血小板凝集を抑制する作用を表し、脳卒中患者が塞栓を発生し続けることを抑制する作用を有する可能性があることを意味する。
【0141】
以上の実験結果をまとめると、フェンプロピオネート系化合物は良好な抗脳卒中作用を有することを意味する。
[実施例22]
【0142】
本実施例において、フェンプロピオネート系化合物の使用量効果関係を研究し、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステル(4.0mg/kgで投与)および丹参素デキストラルボルネオールエステル(4.0mg/kgで投与)を陽性対照薬とし、ここで、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステル(中国専利出願番号:201510243181.5)および丹参素デキストラルボルネオールエステル系化合物の構造は以下のとおりである。
【0143】
【化15】
【0144】
【化16】
【0145】
試験方法:内頚動脈縫合法を用いて中大脳動脈閉塞(Middle cerebral artery、MCAO)脳虚血再灌流モデルを製造した。動物を10%のトリクロロアセトアルデヒド水和物(3.6ml/kg)で麻酔した後、仰臥位で手術台に固定し、皮膚を消毒し、頚部の真ん中を切開し、右総頚動脈と、外頚動脈と、内頚動脈とを分離し、迷走神経を軽く剥離し、結紮して外頚動脈をせん断した。総頸動脈の近心端を挟み、外頚動脈の結紮糸の遠位端から切り込みを入れ、先端が研磨および潤滑処理を経た外径0.285mmのナイロン糸を挿入し、総頸動脈を経て分岐して内頚動脈に入れ、その後、わずかな抵抗がある箇所まで徐々に挿入し(分岐箇所から約20mm)、中大脳動脈の全ての血液供給を遮断し、脳虚血になってから2h後に、ナイロン糸を軽く抜き出し、血液供給を回復させ再灌流を行い、頸部皮膚を縫合し、消毒してケージに戻して飼育した。モデル構築手術の過程において、麻酔、手術等により異常な状況が発生した動物は除去され、モデル構築が成功した動物をランダムにグループ分けした。異なる試験用量に応じてスキームを設定し、脳虚血再潅流から2時間後に医薬治療を投与した。手術後に毎日死亡状況を記録し、48時間後に指標を評価した。試験の全過程において、一般的な状況観察を行い、主に、死亡、昏睡、呼吸、大小便性状、毛色、精神状態、嘔吐および嘔吐物、出血、痙攣、チック等の内容を含み、不慮の要因による異常となった動物を除去した。最後に、ブラインドを設ける人によりブラインドを外した。
【0146】
評価指標:(1)神経欠損症状の評価:改良されたBederson 5点満点法を用いて神経欠損症状の評価を行う。シングルブラインド法で脳損傷後のラットの神経欠損症状を評価し、すなわち、試験設計者が動物をグループごとにマークし、神経欠損症状を採点する試験者は、動物のグループ分け状況を知らず、採点が終了した後、採点者は各種のマークの採点結果を設計者に渡し、設計者によりブラインドを外し、各試験グループの各動物の採点を取得する。採点標準は表5に示すとおりである。(2)脳梗塞面積の測定:文献報告の方法で行う。動物を10%の抱水クロラールで麻酔し、頭を切断して脳を取り出し、嗅球、小脳および低位脳幹を除去し、生理食塩水で脳表面の血痕を洗い流し、表面の残留水分を吸い取り、-80℃で7min置き、取り出した直後に、視線交差平面に対して鉛直下向きに冠状断面を切り、且つ後向きに2mmおきに1枚スライスし、脳のスライスを0.9%の生理食塩水で配合したTTC(20g/L)染色液に入れ、37℃で90minインキュベートする。正常な脳組織は濃赤色に染色され、虚血脳組織は青白色を呈し、生理食塩水で洗い流した後、脳スライスを速やかに前から後ろへ順に配列し、表面の残留水分を吸い取って乾燥させ、撮像する。画像分析ソフトウェアを用いて写真を統計し、右側虚血面積(白色領域)および右側総面積を絞り込み、以下のような式で脳梗塞面積の百分率を計算する。
【0147】
【数1】
【0148】
【表5】
【0149】
統計的分析:量的資料は平均値±標準誤差として表現される。脳梗塞面積、神経欠損症状の採点は一元配置分散分析を用い、Scheffe’s検出で2つのグループ間の差の有意性を測定し、死亡率はANOVA検定を用い、差P<0.05を差が有意であると定義する。
【0150】
SDラット局所虚血再灌モデルに対する化合物Aの影響は表6を参照し、表6の結果からわかるように、2.0mg/kgグループ、4.0mg/kgグループ、8.0mg/kgグループ、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルグループおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルグループは、モデルグループと比べ、梗塞面積および神経欠損症状に対して著しい改善作用を有する。4.0mg/kgで投与する場合、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルグループおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルグループよりもやや優れている。実験ラットの脳スライスの図は図2~4を参照する。
【0151】
【表6】
【0152】
SDラット局所虚血再灌モデルに対する化合物Cの影響は表7を参照し、表7の結果からわかるように、2.0mg/kgグループ、4.0mg/kgグループ、8.0mg/kgグループ、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルグループおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルグループは、モデルグループと比べ、梗塞面積および神経欠損症状に対して著しい改善作用を有する。4.0mg/kgで投与する場合、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルグループおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルグループよりもやや優れている。
【0153】
【表7】
【0154】
上記実験結果をまとめると、化合物Aおよび化合物Cは良好な虚血性脳卒中を治療する作用を有することが示されている。
[実施例23]
【0155】
本実施例において、化合物Aおよび化合物Cの急性毒性を考察し、方法は以下のとおりである。
【0156】
実験方法:30匹のSDラットを採用し、雌雄半分ずつにし、グループ分けする時、平均体重は雌160~200gで、雄180~220gであり、個体体重は平均体重±20%の範囲内とした。試験前に、動物をまず環境に少なくとも5日間適応させる必要があり、健康(雌で妊娠していない)のラットを被験動物として選択した。環境適応期間の主な検査内容は、注文時に要求する品質指標と一致するか否か、一般的な状態検査、体重が試験に要求される体重範囲に達するか否かであった。不合格の異常動物は本試験には取り込まなかった。ラットの尾静脈に単回投与し、低、中、高用量で注射し、ブランク製剤予備実験により、用量調整はそれぞれ5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgであり、対照グループを別に設け、等体積の溶媒を静脈注射した。
【0157】
観察方法:(1)一般的な状態観察:動物を観察し、ラットの外観徴候、投与部位(出血、発赤腫脹、うっ血、硬変、化膿、潰瘍の有無)、毛、一般的な挙動活動、精神状態、腺体分泌、皮膚と粘膜の色、呼吸状態、糞便性状、生殖器、死亡等の状況、および他の毒性症状を含んでもよいが、これらに限定されない。毎回投与してから約0~2時間後、4~6時間後に、1回ずつ観察し、毒性症状があれば観察回数を増加してもよい。(2)概ねの解剖学的観察:試験の8日目に、各グループの生きているラットを解剖して観察し、投与部位および概ねの解剖学的観察により見出された試料に関する可能性のある異常臓器組織を撮像して記録した。(3)瀕死動物の取り扱い:ラット状態および観察時間を記録し、体重を測定した。(4)死亡動物の取り扱い:ラットの死亡時間または死亡発見時間を記録し、体重を測定した後、速やかに解剖して概ね観察し、その死因を推測した。
【0158】
実験結果:SDラットに化合物Aおよび化合物Cを単回静脈注射した後、明らかな毒副作用は現れず、明らかな体重減少および食事量減少の傾向も見られなかった。これは化合物Aおよび化合物Cの耐量が20mg/kgであることを意味する。
[実施例24]
【0159】
本実施例において、化合物Aの薬効時間ウインドウを測定し、方法は以下のとおりである。
【0160】
試験方法:内頚動脈縫合法を用いて中大脳動脈閉塞(Middle cerebral artery、MCAO)脳虚血再灌流モデルを製造した。動物を10%のトリクロロアセトアルデヒド水和物(3.6ml/kg)で麻酔した後、仰臥位で手術台に固定し、皮膚を消毒し、頚部の真ん中を切開し、右総頚動脈と、外頚動脈と、内頚動脈とを分離し、迷走神経を軽く剥離し、結紮して外頚動脈をせん断した。総頸動脈の近心端を挟み、外頚動脈の結紮糸の遠位端から切り込みを切り、先端が研磨および潤滑処理を経た外径0.285mmのナイロン糸を挿入し、総頸動脈を経て分岐して内頚動脈に入り、その後、わずかな抵抗がある箇所まで徐々に挿入し(分岐箇所から約20mm)、中大脳動脈の全ての血液供給を遮断し、脳虚血になってから2h後に、ナイロン糸を軽く抜き出し、血液供給を回復して再灌流を行い、頸部皮膚を縫合し、消毒してケージに戻して飼育した。モデル構築手術の過程において、麻酔、手術等により異常な状況が発生した動物は除去され、モデル構築が成功した動物をランダムにグループ分けした。試験用量に応じてスキームを設定し、脳虚血再潅流から3時間後、4時間後、5時間後に医薬治療を投与した。手術後に毎日死亡状況を記録し、48時間後に指標を評価した。試験の全過程において、一般的な状況観察を行い、主に、死亡、昏睡、呼吸、大小便性状、毛色、精神状態、嘔吐および嘔吐物、出血、痙攣、チック等の内容を含み、不慮の要因による異常が出た動物を除去した。最後に、ブラインドを設ける人によりブラインドを外した。
【0161】
評価指標:(1)神経欠損症状の評価:改良されたBederson 5点満点法を用いて神経欠損症状の評価を行う。シングルブラインド法で脳損傷後のラットの神経欠損症状を評価し、すなわち、試験設計者が動物をグループごとにマークし、神経欠損症状を採点する試験者は、動物のグループ分け状況を知らず、採点が終了した後、採点者は各種のマークの採点結果を設計者に渡し、設計者によりブラインドを外し、各試験グループの各動物の採点を取得し、採点標準は実施例22における表5に示すとおりである。(2)脳梗塞面積の測定:文献報告の方法で行う。動物を10%の抱水クロラールで麻酔し、頭を切断して脳を取り出し、嗅球、小脳および低位脳幹を除去し、生理食塩水で脳表面の血痕を洗い流し、表面の残留水分を吸い取り、-80℃で7min置き、取り出した直後に、視線交差平面に対して鉛直下向きに冠状断面を切り、且つ後向きに2mmおきに1枚にスライスし、脳スライスを0.9%の生理食塩水で配合したTTC(20g/L)染色液に入れ、37℃で90minインキュベートした。正常な脳組織は濃赤色に染色され、虚血脳組織は青白色を呈し、生理食塩水で洗い流した後、脳スライスを速やかに前から後ろへ順に配列し、表面の残留水分を吸い取って乾燥させ、撮像する。画像分析ソフトウェアを用いて写真を統計し、右側虚血面積(白色領域)および右側総面積を絞り込み、以下のような式で脳梗塞面積の百分率を計算する。
【0162】
【数2】
【0163】
統計的分析:量的資料は平均値±標準誤差として表現される。脳梗塞面積、神経欠損症状の採点は一元配置分散分析を用い、Scheffe’s検出で2つのグループ間の差の有意性を測定し、死亡率はANOVA検定を用い、差P<0.05を差が有意であると定義する。
【0164】
実験結果:
SDラット局所虚血再灌モデルに対する化合物Aの投与時間ウインドウ測定結果は表8を参照し、表8の結果から分かるように、虚血再潅流後に化合物Aを投与して治療する場合、一定の治療時間ウインドウが存在し、再潅流してから3時間後、4時間後に投与すると、著しい保護作用を有し、5時間後に投与すると、一定の保護作用を有するが、統計学的差がない。そのため、該モデルにおける被験薬剤化合物Aの治療時間ウインドウは虚血後の6時間以内である。
【0165】
【表8】
[実施例25]
【0166】
本実施例において、化合物A~E、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルの脳分布状況を測定し、ここで、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステル(中国専利出願番号:201510243181.5)および丹参素デキストラルボルネオールエステル系化合物の構造は以下のとおりである。
【0167】
【化17】
【0168】
【化18】
【0169】
脳分布試験の方法:体重200±20gのラットを42匹取った。7グループにランダムに分け、グループごとに6匹で雌雄半分ずつにし、絶食させたが自由に摂水でき、12時間後に、化合物を4mg/kgで静脈注射し、3つのグループはそれぞれ投与してから10min後、60min後、180min後に股動脈から放血して屠殺して血液検体を採取した。脳を取り出し、0.2gを秤量し、それぞれ1mLの純水を入れてホモジナイズした。血液検体および脳ホモジネートサンプルを-20℃に置いて保存した。
【0170】
試験結果:
化合物A~E、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステル系化合物の脳分布状況:ラットに化合物A~E、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルを4mg/kgで静脈注射した後、血漿、脳内化合物A~E、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルの濃度データは表9に示すとおりである。
【0171】
【表9-1】
【0172】
【表9-2】
【0173】
表9から分かるように、化合物A~Eは静脈投与された後、速やかに脳部に分布でき、10min時に脳/血濃度比が1.6~3.4:1に達し、1~3h時に脳内には高い薬剤濃度が依然として保持され、作用を発揮し続けることができ、化合物A~Eは非常に良好な脳標的作用を有することを意味する。化合物フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルは、静脈投与後にも血液脳関門を通過して脳部に到達することができるが、脳部に入った量が少なく、10min時に脳/血濃度比が0.52:1および0.47:1であり、1h時に脳/血濃度比が上昇し、これは化合物フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルは良好な脳標的作用を有しないが、脳内に入った化合物の代謝が遅く、3h時に脳内にも高い薬剤濃度が依然として保持され、作用を発揮し続けることができることを意味する。
【0174】
フェンプロピオネート系化合物A~E、フェルラ酸デキストラルボルネオールエステルおよび丹参素デキストラルボルネオールエステルを4mg/kgで静脈注射した後の脳/血液濃度の状況で比較し、フェンプロピオネート系化合物は、より容易に、より速く脳部に分布して治療作用を発揮し、脳卒中のような救急を必要とする病症に対して更に臨床的意義を有することが示される。
【0175】
本発明の上記実施例をまとめると、本発明のフェンプロピオネート系化合物の合成プロセスが短く、原料が経済的で入手しやすく、無毒無害であり、且つ合成プロセス過程を制御しやすく、有害副生成物の発生がなく、エコで経済的なプロセスであり、脳卒中疾患を治療する薬剤として広く使用でき、広い応用の見通しを有していることがわかる。
【0176】
本発明のフェンプロピオネート系化合物は、治療時間ウインドウが長く、抗血栓、抗炎症および脳卒中の治療薬として用いることができ、且つ、明らかな副作用が見られない。
【0177】
本発明は上記実施例により本発明のフェンプロピオネート系化合物、その調製方法および使用を説明するが、本発明は上記実施例に限定するものではなく、すなわち、本発明が上記実施例に依存しなければ実施できないことを意味するものではないことを、出願人より声明する。当業者であれば、本発明に対するいかなる改良、本発明に使用される原料に対する等価的な置換および補助成分の追加、具体的な形態の選択等は、全て本発明の保護範囲および開示範囲内に含まれることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4