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特許7114125ラミネート装置及びラミネート製品製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】ラミネート装置及びラミネート製品製造装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 9/12 20060101AFI20220801BHJP
   B05C 9/06 20060101ALI20220801BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20220801BHJP
   B29C 63/02 20060101ALI20220801BHJP
   B29C 65/52 20060101ALI20220801BHJP
   B41F 9/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
B05C9/12
B05C9/06
B05C5/00 101
B29C63/02
B29C65/52
B41F9/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021145526
(22)【出願日】2021-09-07
(62)【分割の表示】P 2017234185の分割
【原出願日】2017-12-06
(65)【公開番号】P2022002841
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000237260
【氏名又は名称】富士機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】森川 亮
(72)【発明者】
【氏名】國竹 高明
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 徹
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-006561(JP,A)
【文献】特表2017-518869(JP,A)
【文献】特開2009-066475(JP,A)
【文献】特開2011-235279(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175621(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00- 5/04
7/00-21/00
B05D 1/00- 7/26
B29C63/00-63/48
65/00-65/82
B41F 5/00-13/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせるよう構成されたラミネート装置であって、
上記二液のうちの一方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布するインクジェット型の第1液滴手段と、
上記二液のうちの他方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布するインクジェット型の第2液滴手段と、
上記第1及び第2ウェブを重ねて挟み込むとともに回転動作によってその間を同方向に移動させながら貼り合わせる第1貼合用ロール及び第2貼合用ロールと、
上記第1液滴手段、上記第2液滴手段、上記第1貼合用ロール及び第2貼合用ロールに接続された制御手段とを備え、
上記第1及び第2液滴手段は、2つずつ配設され、上記第1ウェブの搬送方向に沿って上記第1及び第2液滴手段の一方の2つの間に他方の2つが配設されるか、或いは、上記第1ウェブの搬送方向上流側から順に交互に配設されていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項2】
請求項1に記載のラミネート装置において、
上記制御手段は、上流側の上記第1液滴手段及び上流側の上記第2液滴手段から滴下させる液の各滴下位置が上記第1ウェブの搬送方向に沿って交互に連続する位置となるように、且つ、上流側の上記第1液滴手段から滴下された液の上面に向けて下流側の上記第2液滴手段が液を滴下するようにするとともに上流側の上記第2液滴手段から滴下された液の上面に向けて下流側の上記第1液滴手段が液を滴下するように上記各第1及び第2液滴手段に滴下開始信号を出力することを特徴とするラミネート装置。
【請求項3】
請求項1に記載のラミネート装置において、
上記制御手段は、上記各第1及び第2液滴手段から滴下させる液の各滴下位置が上記第1ウェブの搬送方向に沿ってそれぞれ連続する位置となるように上記各第1及び第2液滴手段に滴下開始信号を出力することを特徴とするラミネート装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のラミネート装置と、
上記第1ウェブ又は上記第2ウェブの上流側に配設され、上記第1ウェブ又は上記第2ウェブに印刷を施すインクジェット型、或いは、グラビア型の印刷装置と、
上記第1ウェブ又は上記第2ウェブに施された印刷を乾燥させる乾燥装置とを備えていることを特徴とするラミネート製品製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて2つのウェブを貼り合わせるよう構成されたラミネート装置及びラミネート製品製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に開示されているラミネート装置は、二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせるよう構成されたものであり、主剤を貯留する第1タンクと、硬化剤を貯留する第2タンクと、主剤及び硬化剤を混合して混合剤を得るミキサーとを備えている。該ミキサーの側方には、回転軸心が水平方向に延びるアプリケーションロール及びドクターロールが水平方向に近接した状態で並設されていて、このアプリケーションロールとドクターロールとの間に跨る液溜部に混合剤がミキサーから供給されるようになっている。ドクターロールの上方には、外周面が互いに接するメタリングロール及びコートロールが並設され、アプリケーションロールとドクターロールとが回転することにより、メタリングロールとコートロールとが連動して回転して液溜部に溜まる混合剤がドクターロール及びメタリングロールの各外周面を介してコートロールの外周面に付着するようになっている。コートロールの上方には、当該コートロールとの間に第1ウェブを挟み込むバッキングロールが配設され、コートロール及びバッキングロールの回転動作によって第1ウェブを連続搬送させながらコートロールの外周面に付着した混合剤を第1ウェブの貼合面に転写させるようになっている。そして、連続搬送される第1ウェブに対して第2ウェブを同方向に移動させながら重ね合わせて互いに貼り合わせるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-129872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き二液硬化型無溶剤系接着剤を用いたラミネート装置は、長時間稼働させずに放置すると、二液を混合するミキサーや、或いは、液溜部に混合剤を供給する配管等において混合剤が強固に付着してしまい、その後の清掃が煩雑になってしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献1では、ミキサーにおいて二液を混合させて混合剤を得た後、第1ウェブと第2ウェブとを貼り合わせるまでの間において、混合剤が複数の機構やロールを介して移動するよう構成されているので、その移動の間に混合剤が完全に硬化してしまわぬようにポットライフが長い接着剤を使用する必要がある。したがって、第1ウェブと第2ウェブとを貼り合わせた後の互いのズレ発生防止に留意したり、或いは、エイジング時間を十分に取る必要があるなど、貼り合わせ直後のラミネート製品が取り扱いにくいという問題もある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置を使用した後の清掃が容易であり、しかも、ポットライフの短い接着剤を使用することができるラミネート装置、ラミネート製品製造装置及びラミネート製品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、ウェブに対する液の塗布にインクジェット型の液滴手段を使用するようにしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせるよう構成されたラミネート装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明では、上記二液のうちの一方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布するインクジェット型の第1液滴手段と、上記二液のうちの他方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布するインクジェット型の第2液滴手段と、上記第1及び第2ウェブを重ねて挟み込むとともに回転動作によってその間を同方向に移動させながら貼り合わせる第1貼合用ロール及び第2貼合用ロールと、上記第1液滴手段、上記第2液滴手段、上記第1貼合用ロール及び第2貼合用ロールに接続された制御手段とを備え、上記第1及び第2液滴手段は、2つずつ配設され、上記第1ウェブの搬送方向に沿って上記第1及び第2液滴手段の一方の2つの間に他方の2つが配設されるか、或いは、上記第1ウェブの搬送方向上流側から順に交互に配設されていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、上記制御手段は、上流側の上記第1液滴手段及び上流側の上記第2液滴手段から滴下させる液の各滴下位置が上記第1ウェブの搬送方向に沿って交互に連続する位置となるように、且つ、上流側の上記第1液滴手段から滴下された液の上面に向けて下流側の上記第2液滴手段が液を滴下するようにするとともに上流側の上記第2液滴手段から滴下された液の上面に向けて下流側の上記第1液滴手段が液を滴下するように上記各第1及び第2液滴手段に滴下開始信号を出力することを特徴とする。
【0011】
第3の発明では、第1の発明において、上記制御手段は、上記各第1及び第2液滴手段から滴下させる液の各滴下位置が上記第1ウェブの搬送方向に沿ってそれぞれ連続する位置となるように上記各第1及び第2液滴手段に滴下開始信号を出力することを特徴とする。
【0012】
第4の発明では、ラミネート製品製造装置が、請求項1から3のいずれか1つに記載のラミネート装置と、上記第1ウェブ又は上記第2ウェブの上流側に配設され、上記第1ウェブ又は上記第2ウェブに印刷を施すインクジェット型、或いは、グラビア型の印刷装置と、上記第1ウェブ又は上記第2ウェブに施された印刷を乾燥させる乾燥装置とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、特許文献1の如き二液を混合させるミキサーや混合剤を液溜部にまで案内する配管等が装置に必要なくなるので、これらミキサー等に混合剤が強固に付着してしまい、その後の清掃が煩雑になってしまうといったことを防ぐことができ、装置を使用した後の清掃が容易になる。また、第1ウェブ及び第2ウェブを貼り合わせる位置と二液を混合させる位置との間に特許文献1の如き複数の機構やロールを配設する必要が無くなるので、ポットライフの短い接着剤を使用することができるようになり、貼り合わせ直後のラミネート製品の取り扱いが簡単になる。
【0014】
また、第1及び第2液滴手段が第1ウェブの搬送経路周りにまとまった配置になるので、第2ウェブの搬送経路周りのスペースを有効利用可能な装置にすることができる。
【0015】
第2の発明では、二液が搬送方向に沿って交互に隣り合う層が2つ形成されるとともに、2つの層の重なり合う部分においても異なる液が隣り合うようになる。したがって、二液の混合が多くの領域でなされるようになり、所望する接着強度を確実に得ることができる。
【0016】
第3の発明では、一方の液が搬送方向に連なってなる層と他方の液が搬送方向に連なってなる層とが第1ウェブ側から順に交互に重なって4層になる。したがって、第5の発明と同様に異なる液の互いに接触する領域の面積が広くなり、所望する接着強度を確実に得ることができる。
【0017】
第4の発明では、第1及び第2液滴手段がインクジェット型の滴下構造をなしているので、段取り替えが行い易く、従来の如きノンソルラミネート方式の接着を適用したラミネート製品製造装置に比べて小ロット生産に適した構造のラミネート製品製造装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1に係るラミネート装置が組み込まれたラミネート製品製造装置の概略構成図である。
図2図1におけるII部の拡大断面図である。
図3】本発明の実施形態2における図1相当図である。
図4図3におけるIV部の拡大断面図である。
図5】本発明の実施形態3における図1相当図である。
図6図5におけるVI部の拡大断面図である。
図7】本発明の実施形態4における図1相当図である。
図8図7におけるVIII部の拡大断面図である。
図9】本発明の実施形態5における図1相当図である。
図10】本発明の実施形態6における図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0020】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1のラミネート製品製造装置1示す。該ラミネート製品製造装置1は、主剤L1及び硬化剤L2の二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤Lを用いて長尺状のプラスチック材からなる2つの可撓性第1及び第2ウェブ10,11を連続搬送させながら互いに貼り合わせてラミネート製品X1を製造するものである。
【0021】
ラミネート製品製造装置1は、第1ウェブ10を水平方向に向けて連続的に繰り出す第1操出ロール2と、第2ウェブ11を下方に向けて連続的に繰り出す第2操出ロール3とを備え、第1操出ロール2から繰り出された第1ウェブ10と第2操出ロール3から繰り出された第2ウェブ11とが交わる部分には、第1ウェブ10及び第2ウェブ11を貼り合わせるラミネート装置4が配設されている。
【0022】
第1操出ロール2とラミネート装置4との間には、印刷装置5及び乾燥装置6が第1ウェブ10の搬送方向に沿って上流側から順に配設されている。
【0023】
印刷装置5は、所謂インクジェット型と呼ばれるものであり、アンダーコートを滴下するアンダーコート液滴下ユニット5A、ブラック系色の液を滴下する第1色滴下ユニット5B、マゼンタ色の液を滴下する第2色滴下ユニット5C、シアン色の液を滴下する第3色滴下ユニット5D、及び、イエロー色の液を滴下する第4色滴下ユニット5Eを備えている。
【0024】
アンダーコート液滴下ユニット5A及び第1~第4色滴下ユニット5B~5Eは、第1ウェブ10の搬送方向に沿って上流側から順に並設されていて、各滴下ユニット5A~5Eから滴下される液によって連続搬送される第1ウェブ10の貼合面10aに印刷が施されるようになっている。
【0025】
乾燥装置6は、第1ウェブ10の幅方向全長に亘って延びるボックス状のノズル6aを備え、該ノズル6aから空気を第1ウェブ10の貼合面10aに向かって吐出させることにより、第1ウェブ10に施した印刷を乾燥させるようになっている。
【0026】
ラミネート装置4は、主剤L1を第1ウェブ10の貼合面10aに搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布するインクジェット型の第1液滴ユニット4a(第1液滴手段)と、硬化剤L2を第2ウェブ11の貼合面11aに搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布するインクジェット型の第2液滴ユニット4b(第2液滴手段)とを備え、第1液滴ユニット4aと第2液滴ユニット4bとは、第1ウェブ10の搬送方向に沿って上流側から順に配設されている。
【0027】
尚、ここで言う第1液滴ユニット4a及び第2液滴ユニット4bがインクジェット型であるとは、主剤L1や硬化剤L2を滴下させる機構がインクジェットプリンタに適用されているコンティニュアス型やオンデマンド型といった液滴機構と同様であることを示している。
【0028】
また、ラミネート装置4は、第2液滴ユニット4bの下流側において上下に並んで配置された第1貼合用ロール4c及び第2貼合用ロール4dを備え、該第1貼合用ロール4c及び第2貼合用ロール4dは、主剤L1及び硬化剤L2が塗布された第1ウェブ10とガイドロールG1に巻き掛けられて案内される第2ウェブ11とを重ねて挟み込むとともに回転動作によってその間を同方向に移動させながら貼り合わせてラミネート製品X1にするようになっている。
【0029】
ラミネート装置4の下流側には、当該ラミネート装置4において製造されたラミネート製品X1を巻き取る巻取ロール7が配設されている。
【0030】
第1操出ロール2、第2操出ロール3、ラミネート装置4、印刷装置5、乾燥装置6及び巻取ロール7には、制御盤8(制御手段)が接続され、該制御盤8は、第1操出ロール2、第2操出ロール3、ラミネート装置4、印刷装置5、乾燥装置6及び巻取ロール7に作動信号を出力するようになっている。
【0031】
制御盤8は、図2に示すように、第1液滴ユニット4aから滴下させる主剤L1の各滴下位置が第1ウェブ10の搬送方向に沿って連続する位置となるように、且つ、第2液滴ユニット4bから滴下させる硬化剤L2の各滴下位置が第1ウェブ10の搬送方向に沿って連続する位置となるように、第1及び第2液滴ユニット4a,4bに滴下開始信号を出力するようになっている。
【0032】
次に、ラミネート製品製造装置1におけるラミネート製品X1の製造について詳述する。
【0033】
まず、初めに、第1操出ロール2から繰り出された第1ウェブ10は、図1に示すように、印刷装置5の下方を水平方向に直線状に移動する。このとき、連続搬送される第1ウェブ10に対して印刷装置5のアンダーコート液滴下ユニット5A及び第1~第4色滴下ユニット5B~5Eから各液が滴下され、第1ウェブ10の貼合面10aに印刷が施される。
【0034】
次に、印刷が施された第1ウェブ10は、乾燥装置6のノズル6aの下方を水平方向に直線状に移動する。このとき、ノズル6aから空気が吐出されていて、これにより、第1ウェブ10に施された印刷が乾燥する。
【0035】
次いで、第1ウェブ10は、第1液滴ユニット4a及び第2液滴ユニット4bの下方を水平方向に直線状に移動する。このとき、図2に示すように、第1液滴ユニット4aから主剤L1が第1ウェブ10の搬送方向に沿って連続する位置となるように滴下するとともに、第2液滴ユニット4bから硬化剤L2が第1ウェブ10の搬送方向に沿って連続する位置となるように滴下する。そして、硬化剤L2によって形成される層Y2が主剤L1によって形成される層Y1に重なった状態になった後、第1ウェブ10は、ラミネート装置4に向かって移動する。
【0036】
一方、第2操出ロール3から繰り出された第2ウェブ11は、図1に示すように、下方に移動するとともにガイドロールG1に案内されながらラミネート装置4に向かって移動する。
【0037】
しかる後、第1ウェブ10及び第2ウェブ11は、第1貼合用ロール4c及び第2貼合用ロール4dの間に重ねて挟み込まれるとともに、第1貼合用ロール4c及び第2貼合用ロール4dの回転動作によってその間を同方向に移動しながら貼り合わされてラミネート製品X1になる。
【0038】
その後、ラミネート製品X1は、水平方向に直線状に移動した後、巻取ロール7に巻き取られる。
【0039】
以上より、本発明の実施形態1によると、第1ウェブ10に対する主剤L1及び硬化剤L2の塗布をインクジェット型の塗布ユニットで塗布しているので、特許文献1の如き二液を混合させるミキサーや混合剤を液溜部にまで案内する配管等がラミネート装置4に必要なくなり、これらミキサー等に混合剤が強固に付着してしまってその後の清掃が煩雑になってしまうといったことを防ぐことができ、ラミネート装置4を使用した後の清掃が容易になる。また、第1ウェブ10及び第2ウェブ11を貼り合わせる位置と二液を混合させる位置との間に特許文献1の如き複数の機構やロールを配設する必要が無くなるので、ポットライフの短い接着剤Lを使用することができるようになり、貼り合わせ直後のラミネート製品X1の取り扱いが簡単になる。
【0040】
また、第1液滴ユニット4a及び第2液滴ユニット4bは、第1ウェブ10の貼合面10aに主剤L1及び硬化剤L2を滴下するように並設され、第1ウェブ10の搬送経路周りにまとまった配置になっているので、第2ウェブ11の搬送経路周りのスペースを有効利用可能なラミネート装置4にすることができる。
【0041】
さらに、第1液滴ユニット4a及び第2液滴ユニット4bがインクジェット型の滴下構造をなしているので、段取り替えが行い易く、従来の如きノンソルラミネート方式の接着を適用したラミネート製品製造装置に比べて小ロット生産に適した構造のラミネート製品製造装置1にすることができる。
【0042】
尚、本発明の実施形態1では、第1ウェブ10の搬送方向において第1液滴ユニット4aが上流側に、第2液滴ユニット4bが下流側に配設されているが、これに限らず、第2液滴ユニット4bが上流側に、第1液滴ユニット4aが下流側に配設される構成であってもよい。
【0043】
《発明の実施形態2》
図3は、本発明の実施形態2に係るラミネート製品製造装置1を示す。この実施形態2では、印刷装置5及び乾燥装置6の構造と第1及び第2液滴ユニット4a,4bにおける各液の滴下のタイミングとが実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0044】
実施形態2の印刷装置5は、所謂グラビア型と呼ばれるものであり、第1操出ロール2から水平方向に繰り出された第1ウェブ10が複数のガイドロールG2によって正面視で略U字状に搬送される搬送経路Uに配設されている。
【0045】
実施形態2の印刷装置5は、搬送経路Uの下方に配設され、貯留部5bにインキが貯留するインキパン5aと、該インキパン5aの上方に配置されたグラビアロール5cと、該グラビアロール5cの一側方に配設され、外周面がグラビアロール5cの外周面に接するファニッシャロール5dと、グラビアロール5cの他側方に配設され、先端が当該グラビアロール5cの外周面に圧接するドクターブレード5eとを備えている。
【0046】
ファニッシャロール5dの下部は、インキパン5aの貯留部5bに浸されていて、グラビアロール5c及びファニッシャロール5dが互いに反対方向に回転すると、グラビアロール5cの外周面にファニッシャロール5dを介してインキが供給されるようになっている。
【0047】
そして、グラビアロール5cの上方には、当該グラビアロール5cとの間に第1ウェブ10を挟み込む圧胴5fが配設され、第1ウェブ10をグラビアロール5c及び圧胴5fの回転動作によってグラビアロール5cと圧胴5fとの間を移動させながらグラビアロール5cの外周面に付着するインキを第1ウェブ10における貼合面10aの反対側の面に転写して印刷を施すようになっている。
【0048】
乾燥装置6は、第1ウェブ10を浮かせた状態で蛇行させながら搬送して印刷を乾燥させるフローティングドライヤであり、搬送経路Uにおける第1ウェブ10が上向きに搬送される部分に配設されている。
【0049】
実施形態2の制御盤8は、図4に示すように、第1液滴ユニット4aから滴下させる主剤L1の各滴下位置が第1ウェブ10の搬送方向に沿って間隔D1を明けた位置となるように、且つ、第2液滴ユニット4bから滴下させる硬化剤L2の各滴下位置が第1ウェブ10の搬送方向に沿って連続する位置となるように、第1及び第2液滴ユニット4a,4bに滴下開始信号を出力するようになっている。
【0050】
上記間隔D1は、第2液滴ユニット4bから滴下される液の搬送方向における幅寸法以上の値となっている。したがって、第1液滴ユニット4aから滴下した主剤L1の上流側の面La、上面Lb及び下流側の面Lcに第2液滴ユニット4bから滴下した各硬化剤L2が接するようになり、二液の混合が多くの領域でなされるようになるので、二液の接する領域が少なくて混合が不十分になってしまい、所望する接着強度が得られないといったことを防ぐことができる。
【0051】
尚、実施形態2におけるラミネート製品製造装置1におけるラミネート製品X1の製造方法は、印刷装置5の種類と制御盤8による第1及び第2液滴ユニット4a,4bの制御とが実施形態1と異なるだけで、その他は、実施形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
以上より、本発明の実施形態2によると、印刷装置5がグラビア型であっても実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0053】
《発明の実施形態3》
図5は、本発明の実施形態3に係るラミネート製品製造装置1を示す。この実施形態3では、ラミネート装置4の構造と第1及び第2液滴ユニット4a,4bにおける各液の滴下のタイミングとが実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0054】
実施形態3のラミネート装置4は、第1液滴ユニット4aが第1ウェブ10の搬送方向に沿って一対並設され、第2液滴ユニット4bが両第1液滴ユニット4aの間において第1ウェブ10の搬送方向に沿って一対並設されている。
【0055】
つまり、第1ウェブ10の搬送方向の上流側から、上流側の第1液滴ユニット4a、上流側の第2液滴ユニット4b、下流側の第2液滴ユニット4b及び下流側の第1液滴ユニット4aが順に並んでいる。
【0056】
実施形態3の制御盤8は、図6に示すように、上流側の第1液滴ユニット4a及び上流側の第2液滴ユニット4bから滴下させる主剤L1及び硬化剤L2の各滴下位置が第1ウェブ10の搬送方向に沿って交互に連続する位置となるように上流側の第1液滴ユニット4a及び上流側の第2液滴ユニット4bに滴下開始信号を出力するようになっている。
【0057】
また、実施形態3の制御盤8は、上流側の第1液滴ユニット4aから滴下された主剤L1の上面に向けて下流側の第2液滴ユニット4bが硬化剤L2を滴下するようにするとともに、上流側の第2液滴ユニット4bから滴下された硬化剤L2の上面に向けて下流側の第1液滴ユニット4aが主剤L1を滴下するように下流側の第1液滴ユニット4a及び下流側の第2液滴ユニット4bに滴下開始信号を出力するようになっている。
【0058】
尚、実施形態3におけるラミネート製品製造装置1におけるラミネート製品X1の製造方法は、第1及び第2液滴ユニット4a,4bの数と制御盤8による各第1及び第2液滴ユニット4a,4bの制御とが実施形態1と異なるだけで、その他は、実施形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0059】
以上より、本発明の実施形態3によると、二液が搬送方向に沿って交互に隣り合う層Y3,Y4が重なり合うように形成されるとともに、2つの層Y3,Y4の重なり合う部分においても異なる液が隣り合うようになる。したがって、二液の混合が多くの領域でなされるようになり、所望する接着強度を確実に得ることができる。
【0060】
《発明の実施形態4》
図7は、本発明の実施形態4に係るラミネート製品製造装置1を示す。この実施形態4では、ラミネート装置4の構造が実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0061】
実施形態4のラミネート装置4は、第1液滴ユニット4a及び第2液滴ユニット4bが2つずつ配設されている。そして、第1液滴ユニット4a及び第2液滴ユニット4bは、第1ウェブ10の搬送方向上流側から順に交互に並んでいる。
【0062】
つまり、第1ウェブ10の搬送方向の上流側から、上流側の第1液滴ユニット4a、上流側の第2液滴ユニット4b、下流側の第1液滴ユニット4a及び下流側の第2液滴ユニット4bが順に並んでいる。
【0063】
実施形態4の制御盤8は、図8に示すように、各第1液滴ユニット4a及び各第2液滴ユニット4bから滴下させる主剤L1及び硬化剤L2の各滴下位置が第1ウェブ10の搬送方向に沿ってそれぞれ連続する位置となるように各第1液滴ユニット4a及び各第2液滴ユニット4bに滴下開始信号を出力するようになっている。
【0064】
尚、実施形態4におけるラミネート製品製造装置1におけるラミネート製品X1の製造方法は、第1及び第2液滴ユニット4a,4bの数が実施形態1と異なるだけで、その他は、実施形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0065】
以上より、本発明の実施形態4によると、主剤L1が搬送方向に連なってなる層Y5,Y7と硬化剤L2が搬送方向に連なってなる層Y6,Y8とが第1ウェブ10側から順に交互に重なって4層になる。したがって、実施形態3と同様に異なる液の互いに接触する領域の面積が広くなり、所望する接着強度を確実に得ることができる。
【0066】
《発明の実施形態5》
図9は、本発明の実施形態5に係るラミネート製品製造装置1を示す。この実施形態5では、第2操出ロール3から繰り出される第2ウェブ11の操出方向とラミネート装置4の一部構造とが実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0067】
実施形態5の第2ウェブ11は、第1ウェブ10が第1操出ロール2から繰り出される方向の反対側の水平方向に第2操出ロール3から繰り出されるようになっている。
【0068】
実施形態5におけるラミネート装置4の第2液滴ユニット4bは、第2操出ロール3から繰り出される第2ウェブ11の上方に配置され、硬化剤L2を第2ウェブ11の貼合面11aに搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布するよう構成されている。
【0069】
尚、実施形態5におけるラミネート製品製造装置1におけるラミネート製品X1の製造方法は、第2液滴ユニット4bが硬化剤L2を第2ウェブ11の貼合面11aに塗布する点が実施形態1と異なるだけで、その他は、実施形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0070】
以上より、本発明の実施形態5によると、第1貼合用ロール4cと第2貼合用ロール4dとで第1ウェブ10及び第2ウェブ11を重ね合わせる際に主剤L1と硬化剤L2とが混合するようになるので、ポットライフの短い接着剤Lを使用することができる。
【0071】
《発明の実施形態6》
図10は、本発明の実施形態6に係るラミネート製品製造装置1を示す。この実施形態6では、第2操出ロール3から繰り出される第2ウェブ11の操出方向とラミネート装置4の一部構造とが実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0072】
実施形態6の第2ウェブ11は、第1ウェブ10が第1操出ロール2から繰り出される方向の反対側の水平方向に第2操出ロール3から繰り出されるようになっている。
【0073】
実施形態6におけるラミネート装置4の第1及び第2液滴ユニット4a,4bは、第2操出ロール3から繰り出される第2ウェブ11の上方において上流側から順に配置されている。
【0074】
そして、第1液滴ユニット4aは、主剤L1を第2ウェブ11の貼合面11aに搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布する一方、第2液滴ユニット4bは、硬化剤L2を第2ウェブ11の貼合面11aに搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布するよう構成されている。
【0075】
尚、実施形態6におけるラミネート製品製造装置1におけるラミネート製品X1の製造方法は、第1及び第2液滴ユニット4a,4bが主剤L1及び硬化剤L2の両方を第2ウェブ11の貼合面11aに塗布する点が実施形態1と異なるだけで、その他は、実施形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
以上より、本発明の実施形態6によると、第1及び第2液滴ユニット4a,4bから第2ウェブ11に対して主剤L1及び硬化剤L2の両方を滴下するような構成にしても実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0077】
尚、本発明の実施形態1~6では、第1液滴ユニット4aから主剤L1を滴下させる一方、第2液滴ユニット4bから硬化剤L2を滴下させているが、第1液滴ユニット4aから硬化剤L2を滴下させる一方、第2液滴ユニット4bから主剤L1を滴下させるようにしてもよい。
【0078】
また、本発明の実施形態1~6では、印刷装置5及び乾燥装置6を第1ウェブ10の上流側に配設しているが、第2ウェブ11の上流側に配設してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて2つのウェブを貼り合わせるよう構成されたラミネート装置及びラミネート製品製造装置に適している。
【符号の説明】
【0080】
1 ラミネート製品製造装置
4 ラミネート装置
4a 第1液滴ユニット(第1液滴手段)
4b 第2液滴ユニット(第2液滴手段)
4c 第1貼合用ロール
4d 第2貼合用ロール
5 印刷装置
6 乾燥装置
8 制御盤(制御手段)
L1 主剤
L2 硬化剤
X1 ラミネート製品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10