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特許7114144電子デバイスの製造方法、及び、デバイスチップの移載方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】電子デバイスの製造方法、及び、デバイスチップの移載方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20220801BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20220801BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20220801BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
H01L33/00 L
H01L33/62
H01L21/60 311T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022517983
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2021046276
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2021144586
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145286
【氏名又は名称】株式会社写真化学
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】北澤 裕之
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-048315(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0048315(US,A1)
【文献】特開2017-175087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/52
H05K 13/04
H05K 1/18
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板に複数のデバイスチップが接続された電子デバイスの製造方法であって、
前記複数のデバイスチップを搬送する搬送基板から移載ドラムに、一つのデバイスチップごと又はデバイスチップ群ごとに、隣り合うデバイスチップ又は隣り合うデバイスチップ群と所定の間隔を空けた状態で配置されるように、前記複数のデバイスチップを受け取らせる受取工程と、
前記移載ドラムから、前記回路基板に配置された異方性導電層上に前記複数のデバイスチップを受け渡す受渡工程と、
前記回路基板に配置された前記異方性導電層のうち、前記デバイスチップごと又は前記デバイスチップ群ごとの前記間隔に対応する部分を除去して、前記回路基板を露出させることにより前記異方性導電層を互いに隙間が空いた複数の異方性導電層に分割する除去工程と、を含む製造方法。
【請求項2】
柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板に複数のデバイスチップが接続された電子デバイスの製造方法であって、
前記複数のデバイスチップを搬送する搬送基板から移載ドラムに、一つのデバイスチップごと又はデバイスチップ群ごとに、隣り合うデバイスチップ又は隣り合うデバイスチップ群と所定の間隔を空けた状態で配置されるように、前記複数のデバイスチップを受け取らせる受取工程と、
前記移載ドラムから、前記デバイスチップごと又は前記デバイスチップ群ごとに、前記回路基板に互いに隙間を空けて配置された複数の異方性導電層のうち当該デバイスチップ又は当該デバイスチップ群に対応する一つを介して前記回路基板に接続されるように、前記複数の異方性導電層上に前記複数のデバイスチップを受け渡す受渡工程と、を含む製造方法。
【請求項3】
柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板に複数のデバイスチップが接続された電子デバイスの製造方法であって、
前記複数のデバイスチップを搬送する搬送基板から移載ドラムに、一つのデバイスチップごと又はデバイスチップ群ごとに、隣り合うデバイスチップ又は隣り合うデバイスチップ群と所定の間隔を空けた状態で配置されるように、前記複数のデバイスチップを受け取らせる受取工程と、
前記移載ドラムに受け取られている前記複数のデバイスチップに含まれる前記デバイスチップごと又は前記デバイスチップ群ごとに、複数の異方性導電層の一つを対応させて接着させることにより、前記複数のデバイスチップに互いに隙間が空いた前記複数の異方性導電層を配置する移載準備工程と、
前記移載ドラムから、前記回路基板上に、前記複数の異方性導電層とともに前記複数のデバイスチップを受け渡す受渡工程と、を含む製造方法。
【請求項4】
電子デバイスの製造方法であって、
第1の成長基板及び少なくとも一つの第2の成長基板を含む複数の成長基板のそれぞれで、所定の配列パターンで定められた複数のチップ位置のそれぞれにデバイスチップを形成する形成工程と、
前記複数の成長基板に対して、前記形成工程により形成された複数のデバイスチップのそれぞれが良品チップであるか又は不良品チップであるかの判定を行って、各良品チップの位置、及び、各不良品チップの位置を特定する特定工程と、
前記第1の成長基板の前記配列パターン内の所定の第1領域には、複数の第1の良品チップが存在する複数の第1の良品チップ位置と少なくとも一つの不良品チップが存在する少なくとも一つの不良品チップ位置とが含まれ、前記少なくとも一つの第2の成長基板には、少なくとも一つの第2の良品チップが存在する少なくとも一つの第2の良品チップ位置が含まれ、前記第1の成長基板に前記少なくとも一つの不良品チップを残しつつ前記第1の成長基板から前記複数の第1の良品チップを第1の搬送基板に移載し、前記少なくとも一つの第2の成長基板から前記少なくとも一つの第2の良品チップを少なくとも一つの第2の搬送基板に移載するチップ移載工程と、
前記第1の搬送基板及び前記少なくとも一つの第2の搬送基板から移載ドラムに前記複数の第1の良品チップ及び前記少なくとも一つの第2の良品チップを受け取らせる受取工程と、
前記移載ドラムから、前記電子デバイスの回路基板に前記複数の第1の良品チップ及び前記少なくとも一つの第2の良品チップを受け渡す受渡工程と、を含む、製造方法。
【請求項5】
前記複数の成長基板のうちから、前記少なくとも一つの第2の成長基板に含まれる成長基板として第3の成長基板を選択する第1の選択工程を更に含み、
前記第3の成長基板の前記配列パターンの前記第1領域には少なくとも一つの第3の良品チップが存在し、
前記少なくとも一つの第3の良品チップは、前記チップ移載工程において前記少なくとも一つの第2の搬送基板に移載される前記少なくとも一つの第2の良品チップに含まれ、
前記第1の成長基板の前記少なくとも一つの不良品チップ位置の少なくとも一部が、前記少なくとの一つの第3の良品チップが存在する少なくとも一つの第3の良品チップ位置に対応する請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記複数の成長基板のうちから、前記少なくとも一つの第2の成長基板に含まれる成長基板として第4の成長基板を選択する第2の選択工程を更に含み、
前記第4の成長基板の前記配列パターンの前記第1領域に含まれない第2領域に少なくとも一つの第4の良品チップが存在し、
前記第4の成長基板の前記少なくとも一つの第4の良品チップは、前記チップ移載工程において前記少なくとも一つの第2の搬送基板に移載される前記少なくとも一つの第2の良品チップに含まれる請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記複数のデバイスチップを前記回路基板に受け渡した後に、前記複数のデバイスチップ及び前記回路基板によって前記複数の異方性導電層を押圧しつつ、当該複数の異方性導電層を硬化させることによって、前記複数のデバイスチップと前記回路基板とを接続する接続工程を有する請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
複数のデバイスチップの移載方法であって、
第1の成長基板及び少なくとも一つの第2の成長基板を含む複数の成長基板のそれぞれで、所定の配列パターンで定められた複数のチップ位置のそれぞれにデバイスチップを形成する形成工程と、
前記複数の成長基板に対して、前記形成工程により形成された前記複数のデバイスチップのそれぞれが良品チップであるか又は不良品チップであるかの判定を行って、各良品チップの位置、及び、各不良品チップの位置を特定する特定工程と、
前記第1の成長基板の前記配列パターン内の所定の第1領域には、複数の第1の良品チップが存在する複数の第1の良品チップ位置と少なくとも一つの不良品チップが存在する少なくとも一つの不良品チップ位置とが含まれ、前記少なくとも一つの第2の成長基板には、少なくとも一つの第2の良品チップが存在する少なくとも一つの第2の良品チップ位置が含まれ、前記第1の成長基板に前記少なくとも一つの不良品チップを残しつつ前記第1の成長基板から前記複数の第1の良品チップを第1の搬送基板に移載し、前記少なくとも一つの第2の成長基板から前記少なくとも一つの第2の良品チップを少なくとも一つの第2の搬送基板に移載するチップ移載工程と、を含む、移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板を備えた電子デバイスの製造方法、及び、デバイスチップの移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子であるLEDチップ(デバイスチップの一例)を用いた表示装置(電子デバイスの一例)は、各画素を構成する赤色、緑色及び青色の三つのLEDチップが表示画面用の回路基板上に所定の配列パターンで接続されており、各LEDチップが画像信号に従い発光することで表示画面全体として画像を表示するように構成されている。
【0003】
このような表示装置の製造工程では、例えば成長基板上に別途製造されたLEDチップを回路基板上の所定位置に移載して、LEDチップの電極と回路基板の電極とを接続することが行われている。
【0004】
LEDチップの移載に関して、特許文献1には、LEDチップを移載元の第1の基板(搬送基板)(9)から移載先の第2の基板(回路基板)(10)へ移載するために、第1の基板(9)と第2の基板(10)との間に、第1のドラム(11)及び第2のドラム(12)がこの順に備えられている。
【0005】
第1の基板(9)、第1のドラム(11)、第2のドラム(12)及び第2の基板(10)の表面には粘着層が設けられており、当該粘着層の粘着によりLEDチップを順次受け取り受け渡すように構成される。そして、第2の基板(10)にデバイスチップ(17)を配置した後に、例えばUV硬化樹脂又は熱硬化性樹脂等をデバイスチップ(17)及び第2の基板(10)上に形成することにより、デバイスチップ(17)が固着されるようになっている。なお、当該背景技術の説明における各構成の名称や括弧書きで記載する各符号は特許文献1によるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6312270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、巻き取り式の携帯電話や、湾曲したディスプレイ等のように、表示装置などの電子デバイスに柔軟性及び/又は伸縮性を持たせたいという要請がある。
【0008】
しかし、例えばGaNの結晶体を用いたLEDチップなどのデバイスチップは、デバイスチップそのものに柔軟性及び/又は伸縮性を持たせることは困難である。また、上記UV硬化樹脂及び熱硬化性樹脂等そのものに柔軟性及び/又は伸縮性を持たせることも困難である。
【0009】
本開示は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板を備えた電子デバイスの製造方法、及び、デバイスチップの移載方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法の構成は、柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板に複数のデバイスチップが接続された電子デバイスの製造方法であって、前記複数のデバイスチップを搬送する搬送基板から移載ドラムに、一つのデバイスチップごと又はデバイスチップ群ごとに、隣り合うデバイスチップ又は隣り合うデバイスチップ群と所定の間隔を空けた状態で配置されるように、前記複数のデバイスチップを受け取らせる受取工程と、前記移載ドラムから、前記回路基板に配置された異方性導電層上に前記複数のデバイスチップを受け渡す受渡工程と、前記回路基板に配置された前記異方性導電層のうち、前記デバイスチップごと又は前記デバイスチップ群ごとの前記間隔に対応する部分を除去して、前記回路基板を露出させることにより前記異方性導電層を互いに隙間が空いた複数の異方性導電層に分割する除去工程と、を含む。
【0011】
上記構成によれば、受取工程により移載ドラムに受け取られた複数のデバイスチップは、既に回路基板に接続されるべき位置に対応した配置となっている。受渡工程により、移載ドラムから回路基板に複数のデバイスチップを受け渡すにあたって、予め回路基板に異方性導電材料を配置しておき、それから当該異方性導電材料上に複数のデバイスチップを受け渡すことによって、複数のデバイスチップを回路基板の上方の所定の位置に配置させることができる。
【0012】
なお、除去工程において、回路基板に複数のデバイスチップを受け渡す前又は後において、デバイスチップごとやデバイスチップ群ごとの、隣り合うデバイスチップ又は隣り合うデバイスチップ群と間隔を空けた部分の異方性導電材料を除去して回路基板を露出させることにより異方性導電層を互いに隙間が空いた複数の異方性導電層に分割する。異方性導電材料の除去は、薬品等によるエッチング、レーザー照射による焼き飛ばし、カッター又はスクライバーによる切削加工などが例示できる。
【0013】
受取工程において、搬送基板から移載ドラムへと、デバイスチップ群ごとに、隣り合うデバイスチップ群と所定の間隔を空けた状態で受け取らせるにあたって、一度に全てのデバイスチップ群を受け取らせてもよいし、デバイスチップ群を構成する二つ以上のデバイスチップのうち、一部のものから順に受け取らせることを繰り返してもよい。高さが異なる二つ以上のデバイスチップを受け取らせる際には、高さの小さいものから順に受け取らせることが望ましい。
【0014】
例えば、赤色、緑色及び青色の三つのμLEDチップをデバイスチップ群としたときに、まず赤色のμLEDチップを受け渡し、次いで緑色のμLEDチップを受け渡し、最後に青色のμLEDチップを受け渡してもよい。なお、赤色のμLEDチップ、緑色のμLEDチップ、及び青色のμLEDチップの受け渡し順はこれに限定されるものではない。
【0015】
異方性導電層が熱硬化性樹脂を含む場合は、デバイスチップを、異方性導電層を介して回路基板に配置した後に、デバイスチップの電極と回路基板の電極とにより異方性導電層を押圧しながら熱処理すると、異方性導電材料の導電粒子が二つの電極を接続した状態を保ったまま熱硬化性樹脂が固まるため、デバイスチップは回路基板の所定の位置に接続された状態が保たれる。
【0016】
本開示の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法の構成は、柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板に複数のデバイスチップが接続された電子デバイスの製造方法であって、前記複数のデバイスチップを搬送する搬送基板から移載ドラムに、一つのデバイスチップごと又はデバイスチップ群ごとに、隣り合うデバイスチップ又は隣り合うデバイスチップ群と所定の間隔を空けた状態で配置されるように、前記複数のデバイスチップを受け取らせる受取工程と、前記移載ドラムから、前記デバイスチップごと又は前記デバイスチップ群ごとに、前記回路基板に互いに隙間を空けて配置された複数の異方性導電層のうち当該デバイスチップ又は当該デバイスチップ群に対応する一つを介して前記回路基板に接続されるように、前記複数の異方性導電層上に前記複数のデバイスチップを受け渡す受渡工程と、を含む。
【0017】
上記構成によれば、受取工程により移載ドラムに受け取られた複数のデバイスチップは、既に回路基板に接続されるべき位置に対応した配置となっている。受渡工程により、移載ドラムから回路基板に複数のデバイスチップを受け渡すにあたって、予め回路基板に互いに隙間を空けて複数の異方性導電層を配置しておき、それから当該複数の異方性導電層上に複数のデバイスチップを受け渡すことによって、複数のデバイスチップを回路基板の上方の所定の位置に配置させることができる。
【0018】
受取工程において、搬送基板から移載ドラムへと、デバイスチップ群ごとに、隣り合うデバイスチップ群と所定の間隔を空けた状態で受け取らせるにあたって、一度に全てのデバイスチップ群を受け取らせてもよいし、デバイスチップ群を構成する二つ以上のデバイスチップのうち、一部のものから順に受け取らせることを繰り返してもよい。高さが異なる二つ以上のデバイスチップを受け取らせる際には、高さの小さいものから順に受け取らせることが望ましい。
【0019】
例えば、赤色、緑色及び青色の三つのμLEDチップをデバイスチップ群としたときに、まず赤色のμLEDチップを受け渡し、次いで緑色のμLEDチップを受け渡し、最後に青色のμLEDチップを受け渡してもよい。なお、赤色のμLEDチップ、緑色のμLEDチップ、及び青色のμLEDチップの受け渡し順はこれに限定されるものではない。
【0020】
異方性導電層が熱硬化性樹脂を含む場合は、デバイスチップを、異方性導電層を介して回路基板に配置した後に、デバイスチップの電極と回路基板の電極とにより異方性導電層を押圧しながら熱処理すると、異方性導電材料の導電粒子が二つの電極を接続した状態を保ったまま熱硬化性樹脂が固まるため、デバイスチップは回路基板の所定の位置に接続された状態が保たれる。
【0021】
本開示の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法の構成は、柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板に複数のデバイスチップが接続された電子デバイスの製造方法であって、前記複数のデバイスチップを搬送する搬送基板から移載ドラムに、一つのデバイスチップごと又はデバイスチップ群ごとに、隣り合うデバイスチップ又は隣り合うデバイスチップ群と所定の間隔を空けた状態で配置されるように、前記複数のデバイスチップを受け取らせる受取工程と、前記移載ドラムに受け取られている前記複数のデバイスチップに含まれる前記デバイスチップごと又は前記デバイスチップ群ごとに、複数の異方性導電層の一つを対応させて接着させることにより、前記複数のデバイスチップに互いに隙間が空いた前記複数の異方性導電層を配置する移載準備工程と、前記移載ドラムから、前記回路基板上に、前記複数の異方性導電層とともに前記複数のデバイスチップを受け渡す受渡工程と、を含む。
【0022】
上記構成によれば、受取工程により移載ドラムに受け取られた複数のデバイスチップは、既に回路基板に接続されるべき位置に対応した配置となっている。受渡工程により、移載ドラムから回路基板に複数のデバイスチップを受け渡すにあたって、予め、移載ドラムに受け取られている複数のデバイスチップに含まれるデバイスチップごと又はデバイスチップ群ごとに、複数の異方性導電層の一つを対応させて接着させることにより、複数のデバイスチップに互いに隙間が空いた複数の異方性導電層を配置しておき、それから回路基板に複数の異方性導電層とともに複数のデバイスチップを受け渡すことによって、複数のデバイスチップを回路基板の上方の所定の位置に配置させることができる。
【0023】
受取工程において、搬送基板から移載ドラムへと、デバイスチップ群ごとに、隣り合うデバイスチップ群と所定の間隔を空けた状態で受け取らせるにあたって、一度に全てのデバイスチップ群を受け取らせてもよいし、デバイスチップ群を構成する二つ以上のデバイスチップのうち、一部のものから順に受け取らせることを繰り返してもよい。高さが異なる二つ以上のデバイスチップを受け取らせる際には、高さの小さいものから順に受け取らせることが望ましい。
【0024】
例えば、赤色、緑色及び青色の三つのμLEDチップをデバイスチップ群としたときに、まず赤色のμLEDチップを受け渡し、次いで緑色のμLEDチップを受け渡し、最後に青色のμLEDチップを受け渡してもよい。なお、赤色のμLEDチップ、緑色のμLEDチップ、及び青色のμLEDチップの受け渡し順はこれに限定されるものではない。
【0025】
本開示の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法の構成は、電子デバイスの製造方法であって、第1の成長基板及び少なくとも一つの第2の成長基板を含む複数の成長基板のそれぞれで、所定の配列パターンで定められた複数のチップ位置のそれぞれにデバイスチップを形成する形成工程と、前記複数の成長基板に対して、前記形成工程により形成された複数のデバイスチップのそれぞれが良品チップであるか又は不良品チップであるかの判定を行って、各良品チップの位置、及び、各不良品チップの位置を特定する特定工程と、前記第1の成長基板の前記配列パターン内の所定の第1領域には、複数の第1の良品チップが存在する複数の第1の良品チップ位置と少なくとも一つの不良品チップが存在する少なくとも一つの不良品チップ位置とが含まれ、前記少なくとも一つの第2の成長基板には、少なくとも一つの第2の良品チップが存在する少なくとも一つの第2の良品チップ位置が含まれ、前記第1の成長基板に前記少なくとも一つの不良品チップを残しつつ前記第1の成長基板から前記複数の第1の良品チップを第1の搬送基板に移載し、前記少なくとも一つの第2の成長基板から前記少なくとも一つの第2の良品チップを少なくとも一つの第2の搬送基板に移載するチップ移載工程と、前記第1の搬送基板及び前記少なくとも一つの第2の搬送基板から移載ドラムに前記複数の第1の良品チップ及び前記少なくとも一つの第2の良品チップを受け取らせる受取工程と、前記移載ドラムから、前記電子デバイスの回路基板に前記複数の第1の良品チップ及び前記少なくとも一つの第2の良品チップを受け渡す受渡工程と、を含む。
【0026】
ここで、前記複数の成長基板のうちから、前記少なくとも一つの第2の成長基板に含まれる成長基板として第3の成長基板を選択する第1の選択工程を更に含み、前記第3の成長基板の前記配列パターンの前記第1領域には少なくとも一つの第3の良品チップが存在し、前記少なくとも一つの第3の良品チップは、前記チップ移載工程において前記少なくとも一つの第2の搬送基板に移載される前記少なくとも一つの第2の良品チップに含まれ、前記第1の成長基板の前記少なくとも一つの不良品チップ位置の少なくとも一部が、前記少なくとの一つの第3の良品チップが存在する少なくとも一つの第3の良品チップ位置に対応する構成でもよい。
【0027】
また、前記複数の成長基板のうちから、前記少なくとも一つの第2の成長基板に含まれる成長基板として第4の成長基板を選択する第2の選択工程を更に含み、前記第4の成長基板の前記配列パターンの前記第1領域に含まれない第2領域に少なくとも一つの第4の良品チップが存在し、前記第4の成長基板の前記少なくとも一つの第4の良品チップは、前記チップ移載工程において前記少なくとも一つの第2の搬送基板に移載される前記少なくとも一つの第2の良品チップに含まれる構成でもよい。
【0028】
上記構成によれば、形成工程では、第1の成長基板及び少なくとも一つの第2の成長基板を含む複数の成長基板のそれぞれで、所定の配列パターンで定められた複数のチップ位置のそれぞれにデバイスチップを形成する。特定工程では、形成工程により形成された複数のデバイスチップのそれぞれが良品チップであるか又は不良品チップであるかの判定を行って、各良品チップの位置、及び、各不良品チップの位置を特定する。ここで、第1の成長基板の配列パターン内の所定の第1領域には、複数の第1の良品チップが存在する複数の第1の良品チップ位置と少なくとも一つの不良品チップが存在する少なくとも一つの不良品チップ位置とが含まれ、少なくとも一つの第2の成長基板には、少なくとも一つの第2の良品チップが存在する少なくとも一つの第2の良品チップ位置が含まれる。チップ移載工程では、第1の成長基板に少なくとも一つの不良品チップを残しつつ第1の成長基板から複数の第1の良品チップを第1の搬送基板に移載し、少なくとも一つの第2の成長基板から少なくとも一つの第2の良品チップを少なくとも一つの第2の搬送基板に移載する。そして、受取工程では、第1の搬送基板及び少なくとも一つの第2の搬送基板から移載ドラムに複数の第1の良品チップ及び少なくとも一つの第2の良品チップを受け取らせ、受渡工程では、移載ドラムから、電子デバイスの回路基板に複数の第1の良品チップ及び少なくとも一つの第2の良品チップを受け渡す。
【0029】
仮定の話として、上述した特定工程及びチップ移載工程を行わなかった場合、デバイスチップが移載ドラムから回路基板に受け渡された後に行われる検査で、幾つかのデバイスチップが不良品チップであると判明する可能性がある。その場合、回路基板からその不良品チップのみを取り外し、別のデバイスチップをその位置に設置し、回路基板に設けられている電気回路と接続する工程などが追加で必要になる。このような追加の修理工程は、デバイスチップのサイズが小さくなるほど困難になる。また、そのような修理工程を行った場合、回路基板に設けられている電気回路への悪影響が生じ得るという問題や、デバイスチップを取り外す際に生じる残渣が回路基板に残り得るという問題がある。
【0030】
ところが本構成では、上述した特定工程及びチップ移載工程を行っているため、移載ドラムが受取工程で各搬送基板から受け取るデバイスチップは良品チップになる。そして、受渡工程で、移載ドラムから回路基板に複数のデバイスチップ、即ち、良品チップが受け渡される。その結果、回路基板に受け渡されたデバイスチップが不良品チップである可能性、即ち、上述した追加の修理工程が必要になる可能性は非常に低くなる。
【0031】
また、受取工程により移載ドラムに受け取られた複数のデバイスチップは、既に回路基板に接続されるべき位置に対応した配置となっている。受渡工程により、移載ドラムから回路基板に複数のデバイスチップを受け渡すにあたって、予め回路基板に異方性導電材料を配置しておき、それから当該異方性導電材料上に複数のデバイスチップを受け渡すことによって、複数のデバイスチップを回路基板の上方の所定の位置に配置させることができる。
【0032】
受取工程において、複数の搬送基板から移載ドラムへと、高さが異なる2種類以上のデバイスチップを受け取らせる際には、高さの小さいものから順に受け取らせることが望ましい。
【0033】
本開示に係る電子デバイスの製造方法の更なる構成は、前記複数のデバイスチップを前記回路基板に受け渡した後に、前記複数のデバイスチップ及び前記回路基板によって前記複数の異方性導電層を押圧しつつ、当該複数の異方性導電層を硬化させることによって、前記複数のデバイスチップと前記回路基板とを接続する接続工程を有する。
【0034】
異方性導電層が熱硬化性樹脂を含む場合は、接続工程においては、異方性導電層を、電気的な接続をしたい二つの電極間、すなわちデバイスチップの電極と回路基板の電極との間に介在させた状態で、当該二つの電極により当該異方性導電層を押圧しながら熱処理することによって、異方性導電材料に含まれる導電粒子が二つの電極を接続した状態を保ったまま熱硬化性樹脂が固まる。これにより、二つの電極と接触する導電粒子により、当該二つの電極間は導通する。一方、電極と接触しない導電粒子は熱硬化性樹脂に囲まれているため導通しない。熱処理により、異方性導電層は硬化するため、デバイスチップの端子と当該回路基板の端子との接続状態を維持することができ、また、各端子を保護することができる。
【0035】
なお、本開示は、デバイスチップとしてLEDチップ(μLEDチップ含む)のような発光素子を回路基板に移載する例に限定されず、例えば受光素子、圧電素子、加速度センサー、NEMSやMEMS等を用いたマイクロデバイスチップ、電荷蓄積方式又はMRAM、FeRaM、PCM等の他の方式による記憶素子、スイッチング素子、マイコン等の演算処理デバイスチップなどの各種電子デバイスチップを、回路基板の上方に整列して移載する場合にも使用できる。
【0036】
また、本開示における電子デバイスとは、製品(最終製品)の一部もしくは全部である場合もあり得、最終製品を製造するため製品の製造工程で使用される中間製品(中間物)もしくは副生成物の一部もしくは全部である場合もあり得る。
【0037】
本開示の一実施形態に係るデバイスチップの移載方法の構成は、複数のデバイスチップの移載方法であって、第1の成長基板及び少なくとも一つの第2の成長基板を含む複数の成長基板のそれぞれで、所定の配列パターンで定められた複数のチップ位置のそれぞれにデバイスチップを形成する形成工程と、前記複数の成長基板に対して、前記形成工程により形成された前記複数のデバイスチップのそれぞれが良品チップであるか又は不良品チップであるかの判定を行って、各良品チップの位置、及び、各不良品チップの位置を特定する特定工程と、記第1の成長基板の前記配列パターン内の所定の第1領域には、複数の第1の良品チップが存在する複数の第1の良品チップ位置と少なくとも一つの不良品チップが存在する少なくとも一つの不良品チップ位置とが含まれ、前記少なくとも一つの第2の成長基板には、少なくとも一つの第2の良品チップが存在する少なくとも一つの第2の良品チップ位置が含まれ、前記第1の成長基板に前記少なくとも一つの不良品チップを残しつつ前記第1の成長基板から前記複数の第1の良品チップを第1の搬送基板に移載し、前記少なくとも一つの第2の成長基板から前記少なくとも一つの第2の良品チップを少なくとも一つの第2の搬送基板に移載するチップ移載工程と、を含む。
【0038】
上記構成によれば、形成工程では、第1の成長基板及び少なくとも一つの第2の成長基板を含む複数の成長基板のそれぞれで、所定の配列パターンで定められた複数のチップ位置のそれぞれにデバイスチップを形成する。特定工程では、形成工程により形成された複数のデバイスチップのそれぞれが良品チップであるか又は不良品チップであるかの判定を行って、各良品チップの位置、及び、各不良品チップの位置を特定する。ここで、第1の成長基板の配列パターン内の所定の第1領域には、複数の第1の良品チップが存在する複数の第1の良品チップ位置と少なくとも一つの不良品チップが存在する少なくとも一つの不良品チップ位置とが含まれ、少なくとも一つの第2の成長基板には、少なくとも一つの第2の良品チップが存在する少なくとも一つの第2の良品チップ位置が含まれる。チップ移載工程では、第1の成長基板に少なくとも一つの不良品チップを残しつつ第1の成長基板から複数の第1の良品チップを第1の搬送基板に移載し、少なくとも一つの第2の成長基板から少なくとも一つの第2の良品チップを少なくとも一つの第2の搬送基板に移載する。
【0039】
仮定の話として、上述した特定工程及びチップ移載工程を行わなかった場合、搬送基板には不良品チップも移載される。そして、例えば移載ドラムは搬送基板から不良品チップも受け取る。その結果、デバイスチップが移載ドラムから回路基板に受け渡された後に行われる検査で、幾つかのデバイスチップが不良品チップであると判明する可能性がある。その場合、回路基板からその不良品チップのみを取り外し、別のデバイスチップをその位置に設置し、回路基板に設けられている電気回路と接続する工程などが追加で必要になる。このような追加の修理工程は、デバイスチップのサイズが小さくなるほど困難になる。また、そのような修理工程を行った場合、回路基板に設けられている電気回路への悪影響が生じ得るという問題や、デバイスチップを取り外す際に生じる残渣が回路基板に残り得るという問題がある。
【0040】
ところが本構成では、上述した特定工程及びチップ移載工程を行っているため、搬送基板には不良品チップは移載されない。その結果、移載ドラムが搬送基板から受け取るデバイスチップは良品チップになる。そして、移載ドラムから回路基板に良品チップが受け渡される。その結果、回路基板に受け渡されたデバイスチップが不良品チップである可能性、即ち、上述した追加の修理工程が必要になる可能性は非常に低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】移載ドラムによって搬送基板から複数のデバイスチップを受け取る前の様子の説明図である。
図2】移載ドラムによって搬送基板から複数のデバイスチップを受け取る様子の説明図である。
図3】移載ドラムによって回路基板に複数のデバイスチップを受け渡す前の様子の説明図である。
図4】移載ドラムに対して紫外線を照射する様子の説明図である。
図5】移載ドラムによって回路基板に複数のデバイスチップを受け渡した後の様子の説明図である。
図6】異方性導電層によりデバイスチップを回路基板に固定する様子の説明図である。
図7】複数のデバイスチップの配列パターンの説明図である。
図8】複数のデバイスチップの他の配列パターンの説明図である。
図9】移載ドラムによって回路基板に複数のデバイスチップを受け渡す様子の説明図である。
図10】移載ドラムによって回路基板に複数のデバイスチップを受け渡す様子の説明図である。
図11】移載ドラムによって回路基板に複数のデバイスチップを受け渡した後の様子の説明図である。
図12】成長基板から搬送基板に複数のデバイスチップを移載する様子の説明図である。
図13】成長基板上に定められたチップ位置を説明する図である。
図14】成長基板に形成されたデバイスチップを説明する図である。
図15】成長基板に形成されたデバイスチップを説明する図である。
図16】成長基板から搬送基板に複数のデバイスチップを移載する様子の説明図である。
図17】成長基板から搬送基板に複数のデバイスチップを移載する様子の説明図である。
図18】移載ドラムによって搬送基板から複数のデバイスチップを受け取る様子の説明図である。
図19】移載ドラムによって搬送基板から複数のデバイスチップを受け取る様子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板に複数のデバイスチップが接続された電子デバイス、前記電子デバイスの製造方法、及び、デバイスチップの移載方法について説明する。
【0043】
図1から図5には、電子デバイスの製造装置が示されている。制御回路30は、プログラム及びデータが記録されたメモリとプロセッサとを備え、製造装置を制御する。装置ベース1上には、例えば複数の平行なレールにより構成される走行ガイド2が設けられている。さらに、走行ガイド2上には、第一搬送テーブル3(図1図2参照)及び第二搬送テーブル4(図3図4図5参照)が搭載されている。第一搬送テーブル3及び第二搬送テーブル4は、それぞれ電気モータを備えた第一走行装置5、第二走行装置6を備えている。制御回路30は、第一走行装置5及び第二走行装置6を制御して、走行ガイド2に沿って第一搬送テーブル3及び第二搬送テーブル4を移動させる。
【0044】
第一搬送テーブル3は、第一走行装置5上に第一アライメント装置7を有している。第一アライメント装置7(図1図2参照)は、電気モータを備えた横行装置(図示しない)を有しており、第一走行装置5の移動とともに移動する。
【0045】
当該横行装置は、制御回路30の制御により、複数のデバイスチップの一例である複数のLEDチップ11の移載元である第一基板9を走行ガイド2の長手方向(図1から図5における左右方向)と垂直方向(図1から図5における手前奥行方向)に移動することができる。前記横行装置は、第一基板9を、載置し把持することができる第一基板支持台(図示しない)を有している。第一基板9が本開示に係る搬送基板の一例である。
【0046】
前記第一基板支持台は、第一搬送テーブル3の走行ガイド2に沿った移動や、前記横行装置による移動により、当該第一基板支持台上の第一基板9の位置がずれることを防止する。前記第一基板支持台は、機械的に第一基板9の側面又は上面を押圧し把持してもよいし、又は、裏面から吸引することで第一基板9を把持してもよい。第一基板9を固定する方法はこれらに限定されず、前記第一基板支持台は、第一基板9の位置を固定することができる他の構成を有していてもよい。第一基板9の形状、性状により把持方法を選択することができる。
【0047】
第一基板9は、第一粘着層9aを有し、第一粘着層9a上に複数のLEDチップ11を粘着させる態様により複数のLEDチップ11の配列を保ったまま搬送が可能となっている。
【0048】
第一基板9は、例えばシリコンウェハ、化合物半導体ウェハ、ガラス基板、サファイア等の金属酸化物などを利用して製造された平板により構成されている。当該基板の形状は、直径が例えば4インチから8インチなどの円形であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0049】
第一粘着層9aは、紫外線変性材により構成されている。当該紫外線変性材は、下記の移載ドラム21の移載粘着層21aを構成する紫外線変性材と同じものを用いることができる。ただし、当該紫外線変性材は、紫外線の照射後のものが用いられる。第一粘着層9aは、紫外線変性材に限らず、他の樹脂であってもよい。第一基板9自体が、粘着性を有し、第一粘着層9aを兼ねてもよい。
【0050】
図3から図5に示すように、第二搬送テーブル4は、第二走行装置6上に第二アライメント装置8を有している。第二アライメント装置8は、複数のLEDチップ11の移載先である第二基板10を、載置し把持することができる第二基板支持台(図示しない)を有している。
【0051】
第二基板10は、複数のLEDチップ11が接続される表示画面用の回路基板であり、本開示に係る回路基板の一例である。本実施形態においては、第二基板10は柔軟性を有する基板であり、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性を有する樹脂により構成されている。
【0052】
第一アライメント装置7は、第一基板9の基準位置と移載ドラム21の基準位置を検知し、第一基板9と移載ドラム21とのアライメントを実行することができる。第二アライメント装置8は、移載ドラム21の基準位置と第二基板10の基準位置を検知し、第二基板10と移載ドラム21とのアライメントを実行することができる。なお、第一アライメント装置7及び第二アライメント装置8はそれぞれ同等のアライメント精度を有している。
【0053】
前記第二基板支持台は、第二搬送テーブル4の走行ガイド2の長手方向の移動により、当該第二基板支持台上の第二基板10の位置がずれることを防止する。
【0054】
前記第二基板支持台は、機械的に第二基板10の側面又は上面を押圧し把持してもよいし、又は、裏面から吸引することで第二基板10を把持してもよい。第二基板10を固定する方法はこれらに限定されず、前記第二基板支持台は、第二基板10の位置を固定することができる他の構成を有していてもよい。第二基板10の形状、性状により把持方法を選択することができる。
【0055】
複数のLEDチップ11はそれぞれ同一構成であり、図6に示すように、複数の異方性導電層10aにより第二基板10に接続される。第二基板10に形成されている回路パターンの電極13は、LEDチップ11の電極12の幅や長さに対して1~4μm大きい幅や長さを有している。異方性導電層10aの幅をLEDチップ11における電極12が形成されている領域の幅より若干大きく構成しておくことで、LEDチップ11が第二基板10に対して多少ずれて移載されたとしても、LEDチップ11の電極12と第二基板10の電極13とを導通させることができる。
【0056】
本実施形態においては、異方性導電層10aは、熱硬化性樹脂10bを含む異方性導電材料をフィルム状に形成した異方性導電膜(ACF)から構成されている。図6に示すように、当該異方性導電層10aを、LEDチップ11の電極12と第二基板10の電極13との間に介在させた状態で、当該二つの電極12、13により当該異方性導電層10aを押圧しながら熱処理することによって、異方性導電材料に含まれる導電粒子10cが二つの電極12、13を接続した状態を保ったまま熱硬化性樹脂10bが固まる。
【0057】
二つの電極12、13と接触する導電粒子10cにより、LEDチップ11の電極12と第二基板10の電極13とが導通するのに対して、二つの電極12、13と接触しない導電粒子10cは熱硬化性樹脂10bに囲まれているため二つの電極12、13とは導通しない。
【0058】
異方性導電層10aの寸法は、第二基板10に配置されるLEDチップ11の位置及びその配置精度や、隣り合うLEDチップ11どうしの隙間又はLEDチップ11群どうしの隙間の大きさに応じて決定される。
【0059】
具体的には、例えば、異方性導電層10aの厚みは異方性導電材料に含まれる導電粒子10cを押しつぶすように二つの電極12、13を近づけたときに、当該二つの電極12、13により押しつぶされて変形する当該導電粒子10cの高さに対して2~4μm高い厚みとする。
【0060】
本実施形態においては、導電粒子10cの直径は3.2μmであり、これを1.6μm程度まで圧縮するため、異方性導電層10aの厚みとしては、約3~8μm程度であることが望ましい。なお、導電粒子10cの直径は1.6μm以下など、他の大きさであってもよい。
【0061】
この程度の厚みであると、異方性導電層10aは、押圧した状態で熱硬化性樹脂10bを硬化させた際に、LEDチップ11又はLEDチップ11群からのはみ出し量が0~2μm以下となるため望ましい。異方性導電層10aが厚すぎると、LEDチップ11の投影面からのはみ出し量が多くなりすぎてしまい、隣り合うLEDチップ11又はLEDチップ11群どうしの隙間が狭くなってしまうこととなる。
【0062】
また、例えば、異方性導電層10aのはみ出し量が1~3μmであるとすると、異方性導電層10aがLEDチップ11の幅と同じ幅を有しているときには、隣り合う異方性導電材料はそれぞれ1~3μmずつはみ出すこととなる。このようにはみ出しても隣り合う二つの異方性導電層10aどうしが接触しないようにするためには、隣り合う二つのLEDチップ11の隙間又は隣り合う二つのLEDチップ11群の隙間が6~8μm程度も必要となる。
【0063】
隣り合う二つのデバイスチップどうしの隙間が8μm程度の場合は、例えば、異方性導電層10aは押圧によるはみ出しを考慮して6μm程度の幅を有していてもよい。
【0064】
次に移載機構20について説明する。移載機構20は、図1に示すように、第一搬送テーブル3及び第二搬送テーブル4より上方に設けられている。
【0065】
移載機構20は、円柱形状の移載ドラム21を有している。移載ドラム21は、水平かつ走行ガイド2の長手方向と垂直な回転軸22を有し、回転軸22の周りに回転するよう電気モータを備えた回転装置(図示せず)を有している。回転軸22の両端には、移載ドラム21を移動させるため、それぞれ電気モータを備えた昇降装置(図示せず)が設けられている。つまり、昇降装置は、移載ドラム21を上昇移動及び降下移動させることができる。制御回路30は、両端の昇降装置を、それぞれ鉛直方向に独立に駆動することで回転軸22の傾きを制御し、第一基板9及び第二基板10の表面と回転軸22とが平行になるように調整する。
【0066】
前記昇降装置は、制御回路30の制御により、移載ドラム21の移載粘着層21aが第一基板9上の複数のLEDチップ11に接する位置まで移載ドラム21を降下させることができる。また、移載ドラム21の移載粘着層21aに粘着させられた複数のLEDチップ11が第二基板10に受け渡しされる位置まで移載ドラム21を降下させることができる。なお、前記昇降装置は、移載ドラム21を昇降させる構成に限らず、第一基板9及び第二基板10をそれぞれ昇降できる構成であってもよい。
【0067】
移載ドラム21の回転軸22の一端を基準とし、鉛直方向に延びる支持軸を備え、支持軸を回転中心として水平方向に回転軸22の他端を旋回可能とする機構を、移載ドラム21に備えることにより、走行ガイド2の長手方向と回転軸22との交差角(傾き)を調整することができる。この調整は、手動であってもよいし、当該機構が電動モータを備え、制御回路30が当該電動モータを制御することによって行われるものであってもよい。
【0068】
移載ドラム21は、第一搬送テーブル3及び第二搬送テーブル4の表面に対し平行となる基準位置からの昇降動作を行い、移載ドラム21の回転中心軸と、第一搬送テーブル3及び第二搬送テーブル4の走行軸は基準調整により直交精度を確保されている。
【0069】
制御回路30は、前記回転装置を制御して移載ドラム21を回転軸22周りで回転させる。当該回転装置は、回転軸22に直結したダイレクトドライブモータ及び一定以上の高い分解精度を有する回転位置を検出するエンコーダを備える。制御回路30は、当該ダイレクトドライブモータ及びエンコーダを用いて移載ドラム21を回転駆動し、また回転角の検出を行う。
【0070】
第一搬送テーブル3は、制御回路30の制御により、第一基板9を載せたまま第一走行装置5によって走行ガイド2上を第一基板支持台の表面の水平レベルを維持しながら移動する。その際、移載ドラム21は回転軸22の位置が固定されたまま回転装置により第一走行装置5の移動と同期して回転する。その際、制御回路30が回転装置による回転速度を調節することによって第一基板9上の複数のLEDチップ11のピッチと同じピッチ又は異なるピッチで複数のLEDチップ11を移載ドラム21に受け取らせることができる。或いは、制御回路30は、第一搬送テーブル3の位置を固定したまま、移載ドラム21の回転軸22の位置を走行ガイド2の長手方向に移動させつつ移載ドラム21を回転させることにより、第一基板9から移載ドラム21に複数のLEDチップ11を移動させてもよい。
【0071】
第二搬送テーブル4は、制御回路30の制御により、第二基板10を載せたまま第二走行装置6によって走行ガイド2上を第二基板支持台の表面の水平レベルを維持しながら移動する。その際、移載ドラム21は回転軸22の位置が固定されたまま回転装置により第二走行装置6の移動と同期して回転する。その際、制御回路30が回転装置による回転速度を調節することによって移載ドラム21上の複数のLEDチップ11のピッチと同じピッチ又は異なるピッチで複数のLEDチップ11を第二基板10に受け渡すことができる。或いは、制御回路30は、第二搬送テーブル4の位置を固定したまま、移載ドラム21の回転軸22の位置を走行ガイド2の長手方向に移動させつつ移載ドラム21を回転させることにより、移載ドラム21から第二基板10に複数のLEDチップ11を移動させてもよい。
【0072】
移載ドラム21の直径としては、例えば、100~500mmが加工精度の観点で好適に使用し得るが、この範囲に限るものではない。第一基板9や第二基板10の構成及び製造する電子デバイスの種類やデバイスチップの種類に応じて適切に構成される。
【0073】
移載ドラム21の表面には、移載粘着層21aが着脱自在な態様で設けられている。移載粘着層21aは、6μm程度の厚みのLEDチップ11が圧接されることによる変形や圧痕が発生しないような厚み(5~40μm)と硬度(50~80度)を有している。ただし、当該厚み及び当該硬度は、これに限定されるものではなく、製造する電子デバイスの種類やデバイスチップの種類に応じて適切に構成される。
【0074】
移載粘着層21aは、例えば、紫外線変性材により構成されている。当該紫外線変性材は、ポリオレフィンからなる基板に粘着剤が均一の厚みで塗布され一体化させたものである。当該紫外線変性材は、紫外線を照射することにより、紫外線変性材を構成するアクリル系粘着剤が重合して硬度が高まり、移載粘着層21aの移載粘着力が異方性導電層10aの第二粘着力より弱くなる。移載粘着層21aは、紫外線変性材以外の材料で構成されていてもよい。
【0075】
紫外線変性材は、使用環境的に酸素阻害を受ける場合があるが、第二基板10が、上述のようにポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド等の樹脂により構成されていることによって耐酸素阻害性能が向上する。
【0076】
移載粘着層21aの粘着力は、当該移載粘着層21aを構成する紫外線変性材の粘着剤の材料の配合を変えることで、制御することが可能である。粘着剤の材料としては、特に限定されないが、例えば、公知の粘着剤として、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤などから選択される少なくとも1種以上の組み合わせを選択することが可能である。
【0077】
また、前記粘着剤の材料には、必要に応じて、粘度、及び、剥離度の調整剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他無機粉末等からなる充填剤、顔料、染料などの着色剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤などから選択される1以上の添加物を含有させることも適宜可能である。
【0078】
いずれにせよ、移載粘着層21aは、紫外線の照射前においては、移載粘着層21aの移載粘着力は第一粘着層9aの第一粘着力よりも強く、紫外線の照射後においては、移載粘着層21aの移載粘着力は異方性導電層10aの第二粘着力よりも弱くなる関係を満たすように変性するように構成されている。
【0079】
紫外線変性材の移載粘着力は、例えば、ガラスに対する粘着力の変化値が、紫外線の照射前においては0.9~12.0N/25mm程度であり、紫外線の照射後においては0.5N/25mm以下程度(例えば、0.1N/25mm程度)のものが用いられる。紫外線の照射により移載粘着力は大きく弱くなるため、複数のLEDチップ11を第二基板10へ受け渡す際の抵抗となりにくくなっている。
【0080】
当該紫外線変性材は、複数のLEDチップ11を移載する前においては紫外線の照射前のものが用いられる。そして、複数のLEDチップ11を移載した後においては新たなものと取り換えられてもよい。
【0081】
移載機構20は、複数のLEDチップ11を粘着させた状態の移載粘着層21aに対して、紫外線を照射する照射機構23を有している。
【0082】
照射機構23は、紫外線の照射量、すなわち照射される紫外線の強度及び時間が、移載粘着層21aの構成に応じて適切に制御される。
【0083】
(電子デバイスの製造方法)
以上のように構成された移載機構20によって、本開示に係る電子デバイスの製造方法が好適に実現される。
【0084】
デバイスチップの形成装置により、例えばサファイアから構成される成長基板15上に複数のLEDチップ11が形成される。その際、LEDチップ11は、成長基板15上において、発光面から電極12までこの順に形成される。
【0085】
このように形成された複数のLEDチップ11は、第一基板9に、例えばレーザーリフトオフにより移載される。したがって、複数のLEDチップ11は、第一基板9においては電極12が第一基板9側を向くこととなる。
【0086】
成長基板15から第一基板9への複数のLEDチップ11の移載方法は、以下のとおりである。
【0087】
すなわち、成長基板15に複数のデバイスチップの一例である複数のLEDチップ11を形成する形成工程と、前記形成工程により形成された前記複数のLEDチップ11の良否判定を行う判定工程と、前記判定工程において、少なくとも、良と判定されたLEDチップ11、又は、不良と判定されたLEDチップ11の、前記成長基板15における位置を特定する特定工程と、前記特定工程において、良と特定された位置にあるLEDチップ11のみ、又は、不良と特定された位置にあるLEDチップ11以外のLEDチップ11を、搬送基板である第一基板9に移載する移載工程と、前記移載工程においてLEDチップ11が移載された第一基板9に対して、前記特定工程において、良と判定された位置にあるLEDチップ11以外のLEDチップ11に替えて、又は、不良と判定された位置にあるLEDチップ11に替えて、別の成長基板15に形成されたLEDチップ11のうち良と判定された位置にあるLEDチップ11、又は、不良と特定された位置にあるLEDチップ11以外のLEDチップ11を移載する、追加移載工程とを有し、前記搬送基板に、良と判定されたLEDチップ11のみ、又は、不良と判定されたLEDチップ11以外のLEDチップ11のみを移載する、移載方法である。
【0088】
言い換えると、この移載方法は、複数の成長基板15のそれぞれに複数のLEDチップ11を形成する形成工程と、成長基板15に対して、形成工程により形成された複数のLEDチップ11の良否判定を行う判定工程と、判定工程の判定結果に基づいて、成長基板15での、少なくとも、良と判定されたLEDチップ11の位置、又は、不良と判定されたLEDチップ11の位置を特定する特定工程と、一つの成長基板15で特定工程において良と特定された位置にあるLEDチップ11のみ、又は、当該一つの成長基板15で特定工程において不良と特定された位置にあるLEDチップ11以外のLEDチップ11を、搬送基板である第一基板9に移載する移載工程と、移載工程においてLEDチップ11が移載された第一基板9に対して、当該一つの成長基板15で特定工程において良と判定された位置にあるLEDチップ11以外のLEDチップ11に替えて、又は、当該一つの成長基板15で特定工程において不良と判定された位置にあるLEDチップ11に替えて、別の成長基板15で特定工程において良と特定された位置にあるLEDチップ11のうち良と判定された位置にあるLEDチップ11の少なくとも一つ、又は、別の成長基板15で特定工程において不良と特定された位置にあるLEDチップ11以外のLEDチップ11の少なくとも一つを移載する追加移載工程と、を含む。
【0089】
上述の構成によると、複数のLEDチップ11を形成する際の何らかの原因等により、不良と判定されたLEDチップ11に関しては、成長基板15から第一基板9に移載させない。これにより、後の工程において、当該不良と判定されたLEDチップ11を除去する工程が不要となる。
【0090】
すなわち、形成工程により成長基板15に複数のLEDチップ11を形成し、判定工程においては、成長基板15に形成された各LEDチップ11に対して通電し、正常に発光するか否かを例えば受光装置等を用いて判定する。或いは、判定工程において、受光装置等を用いずに、成長基板15に形成された各LEDチップ11に対して通電し、その際の電流及び電圧などの電気的特性が正常であるか否かに基づいて各LEDチップ11の良否を判定してもよい。
【0091】
特定工程においては、判定工程により正常に駆動、すなわち発光したLEDチップ11、又は、正常に発光しなかったLEDチップ11の位置を特定する。補足すると、成長基板15上には、例えば所定の配列パターンで並んだ複数のチップ位置が規定されている。そして、成長基板15の上の複数のチップ位置のそれぞれにLEDチップ11が形成される。特定工程では、上記配列パターンの複数のチップ位置のそれぞれについて、その位置に形成されたLEDチップ11が、正常に動作しているという結果に基づいて良と判定された良品チップであるか、又は、正常に動作しないという結果に基づいて不良と判定された不良品チップであるかを特定する。このようにして、複数の成長基板15のそれぞれについて、上記配列パターンの複数のチップ位置での良品チップ及び不良品チップの位置が特定された二次元マップを作成して記憶する。
【0092】
移載工程においては、第一基板9に対して良と判定されたLEDチップ11のみを移載する。ある成長基板15の全てのLEDチップ11が良と判定されたものであれば、当該LEDチップ11を第一基板9に、所定の配列となる位置に移載する。
【0093】
一方、ある成長基板15のうち一部のLEDチップ11に不良と判定されたものがあれば、第一基板9に対して当該LEDチップ11は移載せず、追加移載工程において、当該不良と判定されたLEDチップ11が移載されるべき位置に、また異なる成長基板15において良と判定されているLEDチップ11を移載する。以上のようにして、第一基板9には良と判定されたLEDチップ11のみが移載されることとなる。
【0094】
図12に示す例のように、ある成長基板15に形成された15個のLEDチップ11(11a~11o)のうち、LEDチップ11d、11i、11l、11nの4個が不良品であるとする。この場合には、当該4個のLEDチップ11以外のLEDチップ11のみを第一基板9に移載する。そうすると、LEDチップ11d、11i、11l、11nが移載されるべき場所にはLEDチップ11が移載されないため、別の成長基板15´において良品であるLEDチップ11d´、11i´、11l´、11n´を準備し、これを先の第一基板9に移載する。これにより第一基板9には良品のみのLEDチップ11が移載されることとなる。
【0095】
なお、成長基板15から第一基板9への複数のLEDチップ11の移載は、レーザーリフトオフが望ましく例示できる。
【0096】
以上のようにして複数のLEDチップ11が配置された第一基板9を第一搬送テーブル3の第一基板支持台に載置し、図1に示すように、第一アライメント装置7により第一基板9と移載ドラム21とのアライメントを行った後に、移載ドラム21を第一基板9上に位置させる。
【0097】
その後、図2に示すように、移載ドラム21を降下し、第一基板9の第一粘着層9aに粘着された複数のLEDチップ11と移載粘着層21aとを接触させる。
【0098】
制御回路30は、第一基板9の第一粘着層9a上の複数のLEDチップ11と、移載粘着層21aとが接触した状態で、第一搬送テーブル3又は回転軸22を走行ガイド2の長手方向に移動させながら移載ドラム21を回転させる。これにより、複数のLEDチップ11は移載ドラム21の移載粘着層21aの移載粘着力によって、第一基板9の第一粘着層9aから剥離され、移載ドラム21の移載粘着層21aに粘着されることが連続的に行われる。このようにして、移載ドラム21は第一基板9から複数のLEDチップ11を受け取る(受取工程)。
【0099】
なお、降下した時点で移載粘着層21aと複数のLEDチップ11とが必ずしも接触する必要はなく、降下時点では両者は接触せず、その後、移載ドラム21を回転させながら第一基板9又は回転軸22を走行ガイド2の長手方向に移動させることによって移載粘着層21aと複数のLEDチップ11とが接触してもよい。
【0100】
移載ドラム21の回転方向は、第一基板9又は回転軸22の移動方向との関係により定まる。当該受取工程においては、第一基板9と移載ドラム21とは、複数のLEDチップ11が受け渡される箇所において相対速度が一致するとともに、配置精度が±2.0μm以下、隙間精度が±3.0μm以下となる条件下で制御がされる。
【0101】
したがって、LEDチップ11の受け渡しが行われる部分においては、LEDチップ11から移載粘着層21aへの圧力や、移載粘着層21aへの不等沈降を原因としてLEDチップ11が傾いたり位置がずれたりしてしまう虞がない。
【0102】
上述した実施形態においては、第二基板10に移載される複数のLEDチップ11が同一構成のLEDチップである場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第二基板10に複数のLEDチップ11として複数の赤色のLEDチップ、複数の緑色のLEDチップ、及び複数の青色のLEDチップが移載されるような場合には、受取工程において、移載ドラム21は、複数の赤色のLEDチップ11Rが配置された第一基板9から当該複数の赤色のLEDチップ11R(11)を受け取り、複数の緑色のLEDチップ11G(11)が配置された第一基板9から当該複数の緑色のLEDチップ11Gを受け取り、複数の青色のLEDチップ11Bが配置された第一基板9から当該複数の青色のLEDチップ11Bを受け取り、受渡工程において、第二基板10へ当該複数の赤色のLEDチップ11R、当該複数の緑色のLEDチップ11G、及び当該複数の青色のLEDチップ11Bを一度に受け渡すことが考えられる。
【0103】
その際、図7に示すように、LEDチップ11R、11G、11BをLEDチップ11群として配列することもあれば、図8に示すように、LEDチップ11R、11G、11Bが繰り返すように複数のLEDチップ11を帯状に並べたLEDチップ11群として配列することも可能である。図7の例であれば、隣り合うLEDチップ11群どうしの隙間は格子状となり、異方性導電層10aの隙間も格子状となる。また、図8の例であれば、隣り合うLEDチップ11群どうしの隙間は帯状となり、異方性導電層10aの隙間も帯状となる。
【0104】
上述のように第一基板9と移載ドラム21とは、隙間精度が±3.0μm以下に制御されていることから、第一基板9に配置された複数のLEDチップ11は、それぞれの高さの差が2μm以下である。
【0105】
図3に示すように、移載ドラム21に受け取られた複数のLEDチップ11の配列に合わせて、すなわちLEDチップ11ごと、又は、LEDチップ11群ごとに合わせて異方性導電層10aを配列し、異方性導電層10aをLEDチップ11の電極12と接触させることにより、異方性導電層10aをLEDチップ11ごと、又は、LEDチップ11群ごとに貼り付ける。
【0106】
なお、複数のLEDチップ11を、隣り合うものどうしの隙間をもたせて配置するときは、異方性導電層10aは、各LEDチップ11ごとに対応するように配置されてもよい。また、複数のLEDチップ11群を、隣り合うものどうしの隙間をもたせて配置するときは、異方性導電層10aは、各LEDチップ11群ごとに対応するように配置されてもよい。
【0107】
一種類(例えば、赤色、緑色、又は青色の単色)の複数のLEDチップ11を狭い間隔(例えば、LEDチップ11の最大幅よりも小さい間隔)で配置する場合、又は、赤色、緑色、及び青色の三つのLEDチップ11をLEDチップ11群として配置する場合には、複数のLEDチップ11が一枚の異方性導電層10aにより第二基板10に配置、接続される。一方、一種類の複数のLEDチップ11を広い間隔(例えば、LEDチップ11の最大幅よりも大きい間隔)で配置する場合は、一つのLEDチップ11が一枚の異方性導電層10aにより第二基板10に配置、接続される。
【0108】
当該受取工程は、紫外線の照射前の移載粘着層21aの移載粘着力が、第一粘着層9aの第一粘着力よりも強いことにより可能となる。なお、第一粘着層9aの第一粘着力は、紫外線の照射後の紫外線変性材の粘着力である。
【0109】
図4に示すように、移載ドラム21が複数のLEDチップ11を受け取った後に、照射機構23によって、複数のLEDチップ11を粘着させた状態の移載粘着層21aに対して紫外線を照射する(照射工程)。
【0110】
これにより、移載粘着層21aを構成する紫外線変性材が重合して硬度が高まり、移載粘着力が弱くなる。なお、移載粘着層21aは、使用のたびに新たなものを移載ドラム21の表面に貼り付けてもよい。
【0111】
移載ドラム21を第二基板10へ向けて降下させ、移載粘着層21aに粘着された複数のLEDチップ11に貼り付けられた複数の異方性導電層10aと第二基板10とを接触させる。
【0112】
なお、降下した時点で複数のLEDチップ11に貼り付けられた複数の異方性導電層10aと第二基板10とが必ずしも接触する必要はなく、降下時点では両者は接触せず、その後、移載ドラム21を回転させながら第二基板10又は回転軸22を移動させることによって複数のLEDチップ11に貼り付けられた複数の異方性導電層10aと第二基板10とが接触してもよい。移載ドラム21の回転方向は、第二基板10の移動方向との関係により定まる。
【0113】
図5に示すように、複数のLEDチップ11に貼り付けられた複数の異方性導電層10aと第二基板10とが接触した状態で、第二搬送テーブル4又は回転軸22を移動させながら移載ドラム21を回転させることにより、複数のLEDチップ11は複数の異方性導電層10aの粘着力によって、移載ドラム21の移載粘着層21aから剥離され、第二基板10に粘着されることが連続的に行われる。このようにして、移載ドラム21は第二基板10へ複数のLEDチップ11を受け渡す(受渡工程)。
【0114】
その後、異方性導電層10aが熱硬化性樹脂10bを含む場合は、図6に示すように、LEDチップ11と第二基板10とを押圧、加熱する(接続工程)。このとき、異方性導電層10aの寸法等の貼り付け条件に応じて、第二基板10を、異方性導電層10aを構成する熱硬化性樹脂10bが熱硬化温度に達するまで昇温することによって、第二基板10と異方性導電層10aとの線膨張係数の差によって、LEDチップ11が配置されるべき位置からずれる影響が低減される。
【0115】
なお、第二基板10の保護を目的に弾性樹脂(例えば、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂等)によってLEDチップ11の周囲をコーティング又はモールディングしてもよい。これによりLEDチップ11を第二基板10に対してより確実に固定することができる。また、弾性樹脂に、着色又は乱反射防止機能を持たせることによって、LEDチップ11からの発光が周囲に漏れることがないため、コントラストがより明瞭となる。
【0116】
以上のように、移載ドラム21により第一基板9から第二基板10へと複数のLEDチップ11を移載し、配置、接続させることができる。
【0117】
なお、第一基板9と第二基板10とは、寸法や形状が同じであってもよいし、異なっていてもよい。移載機構20は、例えば、移載ドラム21の幅に亘り、LEDチップ11を受け取っていない領域において第一基板9から複数のLEDチップ11を受け取ることを繰り返した後に、照射機構23により紫外線を照射し、その後、複数のLEDチップ11を第二基板10へ受け渡すことによって、第一基板9に対して第二基板10の幅が大きいような場合であっても複数のLEDチップ11を移載し、配置、接続することができる。
【0118】
上述の実施形態においては、複数の異方性導電層10aの貼り付けを、移載ドラム21に受け取られている複数のLEDチップ11に対して行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0119】
例えば、図9に示すように、複数のLEDチップ11が受け渡される前の第二基板10に互いに隙間を空けて複数の異方性導電層10aを配置し、移載ドラム21から、LEDチップ11ごと又はLEDチップ11群ごとに、複数の異方性導電層10aのうち当該LEDチップ11又は当該LEDチップ11群に対応する一つを介して第二基板10に接続されるように、当該複数の異方性導電層10a上に複数のLEDチップ11を受け渡す受渡工程を実行するようにしてもよい。
【0120】
また、図10に示すように、複数のLEDチップ11が受け渡される前の第二基板10に異方性導電層10aを全面的に配置し、図11に示すように、第二基板10の異方性導電層10a上に複数のLEDチップ11を移載し、それから除去工程として異方性導電層10aのうち、LEDチップ11ごと又はLEDチップ11群ごとの前記間隔に対応する部分を除去して第二基板10を露出させることにより第二基板10に全面的に配置された異方性導電層10aを互いに隙間が空いた複数の異方性導電層10aに分割することで、図5に示すように、LEDチップ11ごと又はLEDチップ11群ごとの隙間が設けられるようにしてもよい。なお、除去工程は、移載ドラム21から、第二基板10に複数のLEDチップ11を受け渡す受渡工程の前であってもよいし、後であってもよい。
【0121】
上述の実施形態においては、第二基板10は、柔軟性を有していたが、第二基板10は柔軟性に替えて又は加えて、伸縮性を有してもよい。伸縮性を有する回路基板は、例えばシリコン系、アクリル系の樹脂から構成することができる。また、上述の実施形態においては、第二基板10が平板として説明したが、これに限定されるものではない。第二基板10は、例えばロール状であってもよい。
【0122】
上述の実施形態においては、デバイスチップがLEDチップ11である場合について説明したが、これに限定されるものではない。デバイスチップはLEDチップ11以外の発光素子であってもよい。また、デバイスチップは受光素子、圧電素子、加速度センサー、NEMSやMEMS等を用いたマイクロデバイスチップ、電荷蓄積方式又はMRAM、FeRaM、PCM等の他の方式による記憶素子、スイッチング素子、マイコン等の演算処理デバイスチップなどが例示されるが、これらに限定されるものでもない。
【0123】
上述の実施形態においては、第二基板10は、複数のデバイスチップである複数のLEDチップ11が配置される表示画面用の回路基板であったが、第二基板10は、表示画面用の基板に限定されるものではなく、複数のデバイスチップを載置する対象物であり、製造する電子デバイスの種類やデバイスチップの種類に応じて適切に構成される。上述の実施形態においては、異方性導電層10aが熱硬化性樹脂10bを含んでいたが、熱硬化性樹脂10bに代えて、紫外線硬化樹脂を用いてもよいし、他の材料を用いてもよい。
【0124】
上記実施形態において、複数のデバイスチップの移載方法及び電子デバイスの製造方法について説明したが、以下に説明するような別の移載方法及び別の製造方法を用いてもよい。複数のデバイスチップの別の移載方法は、後述する、形成工程と、特定工程と、チップ移載工程と、を含む。電子デバイスの別の製造方法は、後述する、形成工程と、特定工程と、チップ移載工程と、受取工程と、受渡工程と、を含む。なお、以下の記載では、上述した移載方法及び製造方法と同様の内容についての記載は省略する。
【0125】
図13は、成長基板15に定められたチップ位置16を説明する図である。図示するように、成長基板15には、所定の配列パターンで定められた複数のチップ位置16がある。図中では、チップ位置16を二点鎖線の四角で記載している。そして、複数のチップ位置16のそれぞれにLEDチップ11などのデバイスチップが形成される。また、成長基板15のチップ位置16の配列パターンには所定の第1領域35が定められている。成長基板15において、第1領域35の外側は第2領域36となる。つまり、成長基板15で所定の配列パターンで定められたチップ位置16には、第1領域35に含まれるチップ位置16と、第2領域36に含まれるチップ位置16とが含まれる。図13に示した例では、成長基板15は円形であり、第1領域35は矩形である。
【0126】
そして、電子デバイスの製造装置では、形成工程において、複数の成長基板15のそれぞれで、所定の配列パターンで定められた複数のチップ位置16のそれぞれにLEDチップ11などのデバイスチップを形成する。複数の成長基板15は、後述する第1の成長基板15A及び少なくとも一つの第2の成長基板15Bを含む。
【0127】
次に、電子デバイスの製造装置では、特定工程において、複数の成長基板15に対して、形成工程により形成された複数のLEDチップ11のそれぞれが良品チップであるか又は不良品チップであるかの判定を行って、各良品チップの位置、及び、各不良品チップの位置を特定する。各LEDチップ11の良否の判定手法は、上記実施形態と同様である。
【0128】
図14及び図15は、成長基板15に形成されたデバイスチップを説明する図である。図14及び図15に示す例では、第1の成長基板15A(15)及び第2の成長基板15B(15)の各チップ位置16に形成されたLEDチップ11のそれぞれが良品チップ17であるか又は不良品チップ18であるかの判定が行われることで、第1の成長基板15A及び第2の成長基板15Bでの、良と判定されたLEDチップ11である良品チップ17の位置、及び、不良と判定されたLEDチップ11である不良品チップ18の位置が特定されている。図中では、良品チップ17を白色の四角で記載し、不良品チップ18を黒色の四角で記載している。電子デバイスの製造装置は、特定工程で特定した、複数の成長基板15のそれぞれでの、良品チップ17の位置及び不良品チップ18の位置を記憶する。以下の説明では、良品チップ17が存在するチップ位置16を良品チップ位置16aと記載し、不良品チップ18が存在するチップ位置16を不良品チップ位置16bと記載する場合もある。
【0129】
第1の成長基板15Aの配列パターン内の所定の第1領域35には、複数の良品チップ17(以下「複数の第1の良品チップ17」と呼ぶ場合がある)が存在する複数のチップ位置16(以下「複数の第1の良品チップ位置16a」と呼ぶ場合がある)と少なくとも一つの不良品チップ18(以下「少なくとも一つの第1の不良品チップ18」と呼ぶ場合がある)が存在する少なくとも一つのチップ位置16(以下「少なくとも一つの不良品チップ位置16b」と呼ぶ場合がある)とが含まれる。少なくとも一つの第2の成長基板15Bの少なくとも一つのチップ位置16(以下「少なくとも一つの第2の良品チップ位置16a」と呼ぶ場合がある)には、少なくとも一つの良品チップ17(以下「少なくとも一つの第2の良品チップ17」と呼ぶ場合がある)が存在する。第1の成長基板15Aは、各LEDチップ11が良品チップ17であるか又は不良品チップ18であるかの判定が行われた複数の成長基板15から選択されたものであってもよいし、或いは、複数の成長基板15から所定の順番で取り出されたものであってもよい。少なくとも一つの第2の成長基板15Bも、各LEDチップ11が良品チップ17であるか又は不良品チップ18であるかの判定が行われた複数の成長基板15から選択されたものであってもよいし、或いは、複数の成長基板15から所定の順番で取り出されたものであってもよい。
【0130】
少なくとも一つの第2の成長基板15Bは、以下に説明する第3の成長基板を含んでもよい。例えば、電子デバイスの製造装置は、複数の成長基板15のうちから、少なくとも一つの第2の成長基板15Bに含まれる成長基板として第3の成長基板を選択する第1の選択工程を更に含み、その第3の成長基板の配列パターンの第1領域35には少なくとも一つの第3の良品チップ17が存在し、少なくとも一つの第3の良品チップ17は、チップ移載工程において少なくとも一つの第2の搬送基板9Bに移載される少なくとも一つの第2の良品チップ17に含まれ、第1の成長基板15Aの少なくとも一つの不良品チップ位置16bの少なくとも一部が、少なくとの一つの第3の良品チップ17が存在する少なくとも一つの第3の良品チップ位置16aに対応するようにしてもよい。
【0131】
言い換えると、一つの成長基板15の第1領域35での少なくとも一つの不良品チップ18の少なくとも一つのチップ位置16(不良品チップ位置16b)が、別の一つの成長基板15の第1領域35での少なくとも一つの良品チップ17の少なくとも一つのチップ位置16(良品チップ位置16a)に対応するように、当該一つの成長基板15及び当該別の一つの成長基板15を第1の成長基板15A及び第2の成長基板15Bとしての第3の成長基板として選択する。ここで、第3の成長基板の第1領域35の中の、第1の成長基板15Aの第1領域35に存在する一部の不良品チップ位置16bに対応する位置に、良品チップ17が存在しない場合は、当該一部の不良品チップ位置16bに対応する位置に良品チップ17が存在する更に別の一つ以上の成長基板15が第2の成長基板15Bとして選択されてもよい。このようにして第1の成長基板15A及び少なくとも一つの第2の成長基板15Bの組み合わせが選択される。なお、良品チップ17が、配列パターン内の所定の第1領域35に含まれる複数のチップ位置16の全てに存在する成長基板15がある場合はその成長基板15のみが選択される。
【0132】
例えば、図14に示す成長基板15Aの第1領域35での不良品チップ18の位置である不良品チップ位置16bは、図15に示す別の成長基板15Bの第1領域35での良品チップ17の位置である良品チップ位置16aに対応している。その結果、図14に示す成長基板15Aと図15に示す成長基板15Bとが第1の成長基板15A及び第2の成長基板15Bとしての第3の成長基板として選択される。
【0133】
次に、電子デバイスの製造装置は、チップ移載工程において、第1の成長基板15Aの第1領域35に存在する複数の良品チップ17を搬送基板である一つの第一基板9(以下「第1の搬送基板9A」と呼ぶ場合がある)9に移載し、少なくとも一つの第2の成長基板15Bに存在する少なくとも一つの良品チップ17を別の少なくとも一つの第一基板9(以下「第2の搬送基板9B」と呼ぶ場合がある)9に移載する。このチップ移載工程では、第1の成長基板15Aに少なくとも一つの不良品チップ18を残しつつ、その第1の成長基板15Aから複数の第1の良品チップ17を第1の搬送基板9Aに移載し、少なくとも一つの第2の成長基板15Bから少なくとも一つの第2の良品チップ17を別の少なくとも一つの第2の搬送基板9Bに移載する。ここで、移載の順番は特に限定されない。第1の成長基板15Aから第1の搬送基板9Aへの複数の良品チップ17の移載が先であってもよいし、少なくとも一つの第2の成長基板15Bから少なくとも一つの第2の搬送基板9Bへの少なくとも一つの良品チップ17の移載が先であってもよい。
【0134】
望ましくは、電子デバイスの製造装置は、チップ移載工程において、第1の成長基板15Aの第1領域35に存在する複数の良品チップ17を第1の搬送基板9Aに移載し、少なくとも一つの第2の成長基板15Bの第1領域35に存在し、且つ、第1の搬送基板9Aの第1領域35での少なくとも一つの不良品チップ18の位置にそれぞれ対応する位置に存在する良品チップ17を少なくとも一つの第2の搬送基板9Bに移載する。ここで、用意される第一基板9の数を、選択された第1の成長基板15A及び少なくとも一つの第2の成長基板15Bの数と同じにして、第1の搬送基板9Aには第1の成長基板15Aのみから第1の複数の良品チップ17が移載されることが望ましい。このように、電子デバイスの製造装置は、複数の良品チップ17を第一基板9に移載するが、不良品チップ18を第一基板9に移載しない。
【0135】
図16及び図17は、成長基板15から搬送基板としての第一基板9に複数のデバイスチップを移載する様子の説明図である。図16に示す例では、第1の成長基板15Aの第1領域35に存在する良品チップ17の全てが第1の搬送基板9Aに移載されている。図17に示す例では、第2の成長基板15Bに存在する良品チップ17の幾つかが第2の搬送基板9Bに移載されている。第1の搬送基板9A及び第2の搬送基板9Bの上にも、成長基板15と同様の所定の配列パターンで並んだ複数のチップ位置16が規定されている。また、第1の搬送基板9A及び第2の搬送基板9Bの形状は、上記第1領域35と同じ形状にされている。
【0136】
第1の成長基板15Aの第1領域35での少なくとも一つの不良品チップ位置16bに、少なくとも一つの第2の成長基板15Bの少なくとも一つの第2の良品チップ位置16aを仮想的に重ねた場合、第1領域35に含まれる複数のチップ位置16が複数の第1の良品チップ位置16aと少なくとも一つの第2の良品チップ位置16aとで満たされる。特に、図16及び17の例では、チップ移載工程で第1の搬送基板9Aに複数の第1の良品チップ17が移載された配列パターンの第1領域35での複数の第1のチップ位置16と、チップ移載工程で少なくとも一つの第2の搬送基板9Bに少なくとも一つの第2の良品チップ17が移載された配列パターンの第1領域35での少なくとも一つの第2のチップ位置16とによって、第1領域35に含まれる全てのチップ位置16が満たされる。つまり、第1の搬送基板9Aでは、第1領域35に含まれる幾つかのチップ位置16は良品チップ17が移載されていないために空いているが、それらの空いたチップ位置16は少なくとも一つの第2の搬送基板9Bに移載された少なくとも一つの第2の良品チップ17のチップ位置16と対応している。このようにして、デバイスチップの移載方法の各工程が実行される。
【0137】
次に、電子デバイスの製造装置は、受取工程において、チップ移載工程で良品チップ17が移載された第1の搬送基板9A及び少なくとも一つの第2の搬送基板9Bから移載ドラム21に、良品チップ17である複数のLEDチップ11を、隣り合うLEDチップ11と所定の間隔を空けた状態で配置されるように受け取らせる。換言すれば、移載ドラム21は、順次、良品チップ17の供給元となる第一基板9を切り替えながら、良品チップ17を受け取る動作を繰り返す。これにより、移載ドラム21上に、第二基板10に受け渡すために必要な良品チップ17の配列パターンが形成される。或いは、移載ドラム21は、一つの第一基板9から良品チップ17を受け取る度に当該良品チップ17を第二基板10に受け渡してもよい。すなわち、移載ドラム21は、一つの第一基板9から良品チップ17を受け取った後、次の第一基板9から良品チップ17を受け取る前に良品チップ17を第二基板10に受け渡してもよい。
【0138】
図18及び図19は、移載ドラム21によって搬送基板としての第一基板9から複数のデバイスチップを受け取る様子の説明図である。移載ドラム21によるデバイスチップの受け取りの順番は特に限定されない。例えば、図18に示すように、先ず、複数の第1の良品チップ17が移載された第1の搬送基板9Aから移載ドラム21に、複数の第1の良品チップ17を受け取らせる。その後、図19に示すように、少なくとも一つの第2の良品チップ17が移載された少なくとも一つの第2の搬送基板9Bから移載ドラム21に、少なくとも一つの第2の良品チップ17を受け取らせる。これに代えて、先ず、少なくとも一つの第2の搬送基板9Bから移載ドラム21に、少なくとも一つの第2の良品チップ17を受け取らせ、その後、第1の搬送基板9Aから移載ドラム21に、複数の第1の良品チップ17を受け取らせてもよい。
【0139】
第1の搬送基板9Aにおける複数のチップ移載位置と移載ドラム21の複数のチップ受取位置とがそれぞれ対応する。移載ドラム21の複数のチップ受取位置のうち、第1の搬送基板9AからLEDチップ11を受け取らない少なくとも一つのチップ受取位置で、少なくとも一つの第2の搬送基板9Bから少なくとも一つの良品チップ17を受け取らせる。
【0140】
次に、図示は省略するが、電子デバイスの製造装置は、移載ドラム21から、電子デバイスの回路基板としての第二基板10に配置された異方性導電層10a上に、複数の第1の良品チップ17及び少なくとも一つの第2の良品チップ17を受け渡す受渡工程を行う。
【0141】
このような電子デバイスの製造方法の各工程を実行することで得られる電子デバイスは、上述したのと同様に、柔軟性及び/又は伸縮性を有する第二基板10と、その第二基板10上に互いに隙間を開けて配置された複数の異方性導電層10aと、複数の異方性導電層10a上に所定の配列パターンで配置された複数のLEDチップ11であって、一つのLEDチップ11ごと又はLEDチップ11の群ごとに、隣り合うLEDチップ11又は隣り合うLEDチップ11の群と所定の間隔が空いており、LEDチップ11ごと又はLEDチップ11の群ごとに、複数の異方性導電層10aのうちそのLEDチップ11又はそのLEDチップ11の群に対応する一つを介して第二基板10に接続されている複数のLEDチップ11とを備える。
【0142】
なお、少なくとも一つの第2の成長基板15Bは、以下に説明する第4の成長基板を含んでもよい。例えば、電子デバイスの製造装置は、複数の成長基板15のうちから、少なくとも一つの第2の成長基板15Bに含まれる成長基板として第4の成長基板を選択する第2の選択工程を更に含み、その第4の成長基板の配列パターンの第1領域35に含まれない第2領域36に少なくとも一つの第4の良品チップ17が存在し、第4の成長基板の少なくとも一つの第4の良品チップ17は、チップ移載工程において少なくとも一つの第2の搬送基板9Bに移載される少なくとも一つの第2の良品チップ17に含まれるようにしてもよい。
【0143】
具体的に説明すると、第2の成長基板15Bとしての第4の成長基板の配列パターンの第1領域35に含まれない第2領域36には、少なくとも一つの良品チップ17(以下「少なくとも一つの第4の良品チップ17」と呼ぶ場合がある)が存在する。少なくとも一つの第4の良品チップ17は、チップ移載工程において少なくとも一つの第2の搬送基板9Bに移載される少なくとも一つの第2の良品チップ17に含まれる。この場合、第2の成長基板15Bとしての第4の成長基板と第2の搬送基板9Bとの位置合わせが行われる。詳細には、チップ移載工程において、第4の成長基板に存在する少なくとも一つの第4の良品チップ17の少なくとも一つのチップ位置16(以下「少なくとも一つの第4の良品チップ位置16a」と呼ぶ場合がある)が、第1の成長基板15Aの第1領域35での少なくとも一つの不良品チップ位置16bに対応するように、第4の成長基板と第2の搬送基板9Bとの位置合わせをして、第4の良品チップ17を第2の搬送基板9Bに移載する。これにより、第1の成長基板15Aの第1領域35での少なくとも一つの不良品チップ位置16bに、少なくとも一つの第2の成長基板15Bの少なくとも一つの第2の良品チップ位置16aを仮想的に重ねた場合、第1領域35に含まれる複数のチップ位置16が複数の第1の良品チップ位置16aと少なくとも一つの第2の良品チップ位置16aとで満たされる。
【0144】
少なくとも一つの第2の成長基板15Bは、第4の成長基板のみを含んでもよい。あるいは、少なくとも一つの第2の成長基板15Bは、第3の成長基板及び第4の成長基板を含んでもよい。すなわち、第1の成長基板15Aの第1領域35での少なくとも一つの不良品チップ位置16bに、第3の成長基板の少なくとも一つの第3の良品チップ位置16aと、上記位置合わせがされた第4の成長基板の少なくとも一つの第4の良品チップ位置16aを仮想的に重ねた場合、第1領域35に含まれる複数のチップ位置16が複数の第1の良品チップ位置16aと少なくとも一つの第3の良品チップ位置16aと少なくとも一つの第4の良品チップ位置16aとで満たされる。
【0145】
前述した実施の形態では、移載ドラム21を用いたが、これに代え、フラットな粘着面を有するスタンパを用いてデバイスチップの受取り及び受渡しを行ってもよい。
【0146】
上記実施形態では、チップ移載工程において、用意される搬送基板(第一基板)9の数を成長基板15の数と同じにして、第1の搬送基板9Aには第1の成長基板15Aのみから良品チップ17が移載される場合を説明した。但し、チップ移載工程において、第1の搬送基板9Aに複数の成長基板15から良品チップ17を移載してもよい。
【0147】
以下、本開示の電子デバイスの概要について説明する。
本開示の一実施形態に係る電子デバイスの構成は、(A)柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板と、(B)当該回路基板上に互いに隙間を開けて配置された複数の異方性導電層と、(C)前記複数の異方性導電層上に所定の配列パターンで配置された複数のデバイスチップであって、一つのデバイスチップごと又はデバイスチップ群ごとに、隣り合うデバイスチップ又は隣り合うデバイスチップ群と所定の間隔が空いており、前記デバイスチップごと又は前記デバイスチップ群ごとに、前記複数の異方性導電層のうち当該デバイスチップ又は当該デバイスチップ群に対応する一つを介して前記回路基板に接続されている複数のデバイスチップと、を備えている。
【0148】
上述の構成によると、回路基板が柔軟性及び/又は伸縮性を有し、複数の異方性導電層が互いに隙間を空けて配置され、複数のデバイスチップが、デバイスチップごと又はデバイスチップ群ごとに、対応する異方性導電層を介して当該回路基板に接続される。そのため、デバイスチップそのものや、異方性導電層そのものに柔軟性及び/又は伸縮性がなかったとしても、複数の異方性導電層の間の隙間部分に存在する当該回路基板自体の柔軟性及び/又は伸縮性により、電子デバイスは柔軟性及び/又は伸縮性を有することができる。
【0149】
柔軟性を有する回路基板は、例えば、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性を有する樹脂から構成される基材上に銅などの導電材料で構成された配線が配置された構造を有する。回路基板は、それぞれのデバイスチップに対応する複数のTFT回路を含んでいてもよい。伸縮性を有する回路基板は、例えばシリコン系、アクリル系の樹脂から構成される。
【0150】
なお、柔軟性とは、二次元的又は三次元的に撓ませることができることをいう。二次元的な撓みとは、平面状である回路基板又は電子デバイスを、当該平面における、ある一軸と交差する方向には湾曲できるが、前記一軸に沿った方向には実質的に湾曲できないようなことをいう。湾曲の程度としては、半周未満又は一周未満に曲がることや、一周以上巻き回せることも含む。
【0151】
三次元的な撓みとは、平面状である回路基板又は電子デバイスを、当該平面における、ある一軸と交差する方向のみならず、前記一軸と沿った方向にも湾曲できることをいう。当該湾曲はある一軸と交差する方向のみならず、前記一軸と沿った方向にも同時にできることも含み、したがって捩じることも含む。
【0152】
なお、伸縮性とは、平面状である回路基板又は電子デバイスを、当該平面における、ある一方向又は複数方向に伸縮することができることをいう。例えば、回路基板に、当該回路基板に垂直な方向から見て、複数の異方性導電層をストライプ状に並べ、複数のデバイスチップを、帯状のデバイスチップ群ごとに対応する異方性導電層を介して回路基板に接続するような場合には、隣り合う帯どうしの間において、回路基板及び電子デバイスは湾曲又は伸縮が可能となる。
【0153】
複数のデバイスチップが接続された電子デバイスとして、複数のLEDチップ、特に、複数のμLEDチップが配置された表示デバイスを例にすると、隣り合うμLEDチップどうしの隙間が30μm以下ともなり得る。隣り合うμLEDチップどうしの間隔は2μm以上であってもよいし、5μm以上であってもよいし、20μm以下であってもよいし、10μm以下であってもよい。隣り合うμLEDチップどうしの間隔は必要とする電子デバイスの解像度に応じて設定することができる。異方性導電層は、μLEDチップごとに設けられてもよいし、μLEDチップ群ごとに設けられていてもよい。一つのμLEDチップ群は、二つ以上のμLEDチップから構成されていてもよいし、赤色、緑色及び青色の三つのμLEDチップから構成されていてもよいし、赤色、緑色及び青色の三つのμLEDチップの組を帯状に並べたものであってもよい。隣り合う異方性導電層どうしの隙間は、複数のμLEDチップと回路基板との圧着処理の結果、各μLEDチップの直下から押し出された異方性導電材料が隣接するμLEDチップの直下から押し出された異方性導電材料と接合しない間隔とすることで、隣り合う異方性導電層どうしの隙間には、異方性導電層を構成する樹脂材料等が存在しない。よって、樹脂材料等が硬化した後も樹脂材料等が存在しない領域において、電子デバイスは柔軟性及び/又は伸縮性を有する。μLEDチップのように非常に小さいデバイスチップを高密度にレイアウトする場合のように、隣り合うデバイスチップやデバイスチップ群の隙間が狭い場合であっても、電子デバイスに柔軟性及び/又は伸縮性を持たせることができる。
【0154】
なお、異方性導電層は、例えば熱硬化性樹脂又は紫外線(UV)硬化樹脂の中に複数の導電粒子を均一に分散させた異方性導電材料から構成され、所定の方向には導通するが、これと交差する方向には導通しない性質を有している。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ、フェノール、メラミン、ジアリルフタレート等である。紫外線硬化樹脂は、例えばアクリルなどのような不飽和二重結合のラジカル重合を用いるものであってもよいし、エポキシなどのカチオン重合を用いるものであってもよい。導電粒子は、例えば、直径1~5μm程度の樹脂核に金属コートがされた球体等である。なお、異方性導電層は、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化樹脂を含むものに限定されない。
【0155】
本開示においては、異方性導電材料は、例えばフィルム状若しくはシート状又はペースト状若しくはゲル状の異方性導電層の形態により、デバイスチップと回路基板との電気的な接続をしながら、デバイスチップを回路基板に固定するための接着剤として用いられる。
【0156】
異方性導電材料は、当該異方性導電材料から構成される異方性導電層とデバイスチップの電極との融和性や、異方性導電層をデバイスチップに貼り付ける前の保持材からの剥離性を考慮した構成であることが望ましい。
【0157】
上記保持材の材質としては、引張強度及び低熱膨張性能を有する材料(例えば低熱膨張ガラス基板、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱性の高い高強度エンジニアリングプラスチック等)により構成し、必要に応じて表面に異方性導電層との剥離性能を有する材料が塗布されていてもよい。
【0158】
異方性導電層が熱硬化性樹脂を含む場合は、当該異方性導電層を、電気的な接続をしたい二つの電極間、すなわちデバイスチップの電極と回路基板の電極との間に介在させた状態で、当該二つの電極により当該異方性導電層を押圧しながら熱処理することによって、異方性導電材料に含まれる導電粒子が二つの電極を接続した状態を保ったまま熱硬化性樹脂が固まる。これにより、二つの電極と接触する導電粒子により、当該二つの電極間は導通する。一方、電極と接触しない導電粒子は熱硬化性樹脂に囲まれているため導通しない。熱処理により、異方性導電層は硬化するため、デバイスチップの端子と当該回路基板の端子との接続状態を維持することができ、また、各端子を保護することができる。
【0159】
また、複数の異方性導電層が互いに隙間をもって設けられていることから、複数の異方性導電層の熱処理時に、当該複数の異方性導電層と当該回路基板との線膨張係数の相違に起因する、複数の異方性導電層により当該回路基板に固定される複数のデバイスチップどうし位置ズレや、当該回路基板の残留応力の低減が可能となり、電子デバイスの変形を抑制することもできる。
【0160】
また、例えば、デバイスチップがLEDチップであるような場合に、異方性導電材料に含まれる熱硬化性樹脂を有色とすることにより、LEDチップから周囲への光漏れを抑制することができる。なお、LEDチップには、寸法が1mm程度以下のMini-LEDチップや、100μm以下のμLEDチップなども含まれる。
【0161】
本開示に係る電子デバイスの更なる構成は、前記隙間は前記回路基板に垂直な方向から見て帯状又格子状に設けられる。
【0162】
上述の構成によると、電子デバイスは、回路基板に垂直な方向から見て、帯状の隙間部分、又は格子状の隙間部分において柔軟性及び/又は伸縮性を有することとなる。
【0163】
なお、隙間は、すべてが同じ幅であってもよいし、一部又は全部が異なる幅であってもよい。格子とは、正方格子、矩形格子、六角格子、斜方格子、平行体格子が例示できる。
【0164】
本開示に係る電子デバイスの更なる構成は、前記複数の異方性導電層は、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化樹脂の中に複数の導電粒子を分散させた異方性導電材料から構成されている。
【0165】
上述のように、異方性導電層は、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化樹脂の中に複数の導電粒子を均一に分散させた異方性導電材料から構成され、所定の方向には導通するが、これと交差する方向には導通しない性質を有している。熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ、フェノール、メラミン、ジアリルフタレート等である。導電粒子は、例えば直径1~5μm程度の樹脂核に金属コートがされた球体等である。
【0166】
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本開示の実施形態はこれに限定されず、本開示の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本開示は、柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板と、当該回路基板上に配置された異方性導電層と、前記異方性導電層上に所定の配列パターンで配置された複数のデバイスチップと、を備えた電子デバイスの製造方法、及び、デバイスチップの移載方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0168】
1 :装置ベース
2 :走行ガイド
3 :第一搬送テーブル
4 :第二搬送テーブル
5 :第一走行装置
6 :第二走行装置
7 :第一アライメント装置
8 :第二アライメント装置
9 :第一基板(搬送基板)
9A :第1の搬送基板
9B :第2の搬送基板
9a :第一粘着層
10 :第二基板(回路基板)
10a :異方性導電層
10b :熱硬化性樹脂
10c :導電粒子
11 :LEDチップ(デバイスチップ)
11B :LEDチップ
11G :LEDチップ
11R :LEDチップ
11d :LEDチップ
11d´ :LEDチップ
11i :LEDチップ
11i´ :LEDチップ
11l :LEDチップ
11l´ :LEDチップ
11n :LEDチップ
11n´ :LEDチップ
12 :電極
13 :電極
15 :成長基板
15´ :成長基板
16 :チップ位置
16a :良品チップ位置
16b :不良品チップ位置
17 :良品チップ
18 :不良品チップ
20 :移載機構
21 :移載ドラム
21a :移載粘着層
22 :回転軸
23 :照射機構
30 :制御回路
35 :第1領域
36 :第2領域
【要約】
電子デバイスは、柔軟性及び/又は伸縮性を有する回路基板としての第二基板10と、当該第二基板10上に互いに隙間を開けて配置された複数の異方性導電層10aと、複数の異方性導電層10a上に所定の配列パターンで配置された複数のデバイスチップとしての複数のLEDチップ11とを有する。複数のLEDチップ11は、一つのLEDチップ11ごと又はLEDチップ11群ごとに、隣り合うLEDチップ11又はLEDチップ11群と所定の間隔が空いており、対応する異方性導電層10aを介して第二基板10に接続されている。
図1
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