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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】化粧品用生分解性コポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/08 20060101AFI20220801BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20220801BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20220801BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20220801BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20220801BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALI20220801BHJP
   A61Q 3/02 20060101ALI20220801BHJP
   C08G 77/445 20060101ALI20220801BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20220801BHJP
【FI】
C08G63/08 ZBP
A61K8/89
A61Q1/08
A61Q1/10
A61Q1/04
A61Q1/06
A61Q3/02
C08G77/445
C08L101/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018557375
(86)(22)【出願日】2017-05-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 IB2017052620
(87)【国際公開番号】W WO2017191603
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-02-05
(31)【優先権主張番号】102016000046513
(32)【優先日】2016-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516200323
【氏名又は名称】インテルコス エッセ.ピ.ア.
【氏名又は名称原語表記】INTERCOS S.p.A
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】ディステファノ、ガエタノ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルセシア、パトリチア
(72)【発明者】
【氏名】クラスコ、クローディア
(72)【発明者】
【氏名】ベティネリ、サラ
(72)【発明者】
【氏名】デプタ、ガブリエレ
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-157422(JP,A)
【文献】特開2011-149021(JP,A)
【文献】特開2007-204672(JP,A)
【文献】特開2014-196259(JP,A)
【文献】特開2015-168626(JP,A)
【文献】特開2000-319129(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0099841(US,A1)
【文献】Marc D. Rodwogin et. al.,Polylactide-Poly(dimethylsiloxane)-Polylactide Triblock Copolymers as Multifunctional Materials for Nanolithographic Applications,ACS NANO,ACS Publications,2010年01月29日,4巻2号,725-732頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/08
A61K 8/89
A61Q 1/08
A61Q 1/10
A61Q 1/04
A61Q 1/06
A61Q 3/02
C08G 77/445
C08L 101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸ブロックを意味するPLAとポリシロキサンシリコーン開始剤ブロックを意味するPDMSとからなるPLA‐PDMS‐PLAブロックの生分解性コポリマーを含み、前記コポリマーが、LまたはDラクチドと、αおよびω末端位置に少なくとも1つのアルコール官能基を有する直鎖または分枝シリコーン開始剤と、触媒との間の反応によって得られ、前記反応が、ラクチドの濃度が10重量%~20重量%の範囲で且つ前記少なくとも1種類のシリコーン開始剤の濃度が80重量%~90重量%の範囲で行われる化粧品であって
前記シリコーン開始剤は、ビス‐ヒドロキシエトキシプロピルジメチコンであり、1800Da超の分子量を有し、前記生分解性コポリマーが、室温で流体の堅さを有しており、分子量が2500Da~3500Da、25℃におけるブルックフィールド粘度が250Cp~20000Cp、25℃における密度が1.03g/cm 3 ~1.06g/cm 3 であることを特徴とする化粧品。
【請求項2】
ポリ乳酸ブロックを意味するPLAとポリシロキサンシリコーン開始剤ブロックを意味するPDMSとからなるPLA‐PDMS‐PLAブロックの生分解性コポリマーを含み、前記コポリマーが、LまたはDラクチドと、αおよびω末端位置に少なくとも1つのアルコール官能基を有する直鎖または分枝シリコーン開始剤と、触媒との間の反応によって得られ、前記反応が、ラクチドの濃度が40重量%~60重量%の範囲で且つ前記少なくとも1種類のシリコーン開始剤の濃度が60重量%~40重量%の範囲で行われる化粧品であって、
前記シリコーン開始剤は、ビス‐ヒドロキシエトキシプロピルジメチコンであり、1800Da超の分子量を有し、前記生分解性コポリマーが、室温でペーストの堅さを有しており、分子量が3500Da~6500Da、25℃におけるブルックフィールド粘度が130000Cp~190000Cpである化粧品。
【請求項3】
前記触媒が、乳酸亜鉛、2‐エチルヘキサン酸亜鉛(II)ステアリン酸亜鉛オクタン酸スズ(2‐エチルヘキサン酸スズ(II))スズアルコキシド4‐(ジメチルアミノ)ピリジンN‐複素環式カルベン、1,3‐ビス‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)イミダゾール‐2‐イリデンN‐複素環カルベン、2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐メチルフェノールの1,3‐ビス‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロリドNa塩からなる群から選択されることを特徴とする請求項に記載の化粧品。
【請求項4】
ポリ乳酸ブロックを意味するPLAと1800Da超の分子量を有するビス‐ヒドロキシ末端ジメチコンからなるポリシロキサンシリコーン開始剤ブロックを意味するPDMSとからなり、下記(a)および(b)の少なくとも1つの生分解性PLA‐PDMS‐PLAブロックコポリマーを含む化粧品用組成物であって、
(a)コポリマーが、室温で流体の堅さを有しており、分子量が2500Da~3500Da、25℃におけるブルックフィールド粘度(ν)が250Cp~20000Cp、25℃における密度が1.03g/cm 3 ~1.06g/cm 3 であり、ラクチドの濃度が10重量%~20重量%の範囲で且つ前記シリコーン開始剤の濃度が80重量%~90重量%の範囲で行われた反応で得られ、
(b)コポリマーが、室温でペーストの堅さを有しており、分子量が3500Da~6500Da、25℃におけるブルックフィールド粘度(ν)が130000Cp~190000Cpであり、ラクチドの濃度が40重量%~60重量%の範囲で且つ前記少なくとも1種類のシリコーン開始剤の濃度が60重量%~40重量%の範囲で行われた反応で得られることを特徴とする化粧品用組成物。
【請求項5】
前記ラクチドがL‐ラクチドであることを特徴とする請求項に記載の化粧品用組成物
【請求項6】
前記ラクチドがD‐ラクチドであることを特徴とする請求項に記載の化粧品用組成物
【請求項7】
前記ビス‐ヒドロキシ末端ジメチコンが、ヒドロキシエトキシプロピルジメチコンであることを特徴とする請求項に記載の化粧品用組成物
【請求項8】
前記触媒が、乳酸亜鉛、2‐エチルヘキサン酸亜鉛(II)、ステアリン酸亜鉛、オクタン酸スズ(2‐エチルヘキサン酸スズ(II))、スズアルコキシド、4‐(ジメチルアミノ)ピリジンN‐複素環式カルベン、1,3‐ビス‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)イミダゾール‐2‐イリデンN‐複素環カルベン、2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐メチルフェノールの1,3‐ビス‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロリドNa塩からなる群から選択されることを特徴とする請求項に記載の化粧品。
【請求項9】
前記触媒が、乳酸亜鉛、2‐エチルヘキサン酸亜鉛(II)、ステアリン酸亜鉛、オクタン酸スズ(2‐エチルヘキサン酸スズ(II))、スズアルコキシド、4‐(ジメチルアミノ)ピリジンN‐複素環式カルベン、1,3‐ビス‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)イミダゾール‐2‐イリデンN‐複素環カルベン、2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐メチルフェノールの1,3‐ビス‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロリドNa塩からなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品用生分解性コポリマーの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
生分解性材料の使用は、とりわけ石油化学プラスチック材料を大量に使用することで生じる環境汚染問題の解決に寄与する最も効果的なアプローチの1つである。
【0003】
化粧品に使用される原料は、石油化学由来、合成由来、動物由来、または植物由来であり得る。石油化学原料の中には、帯水層を汚染する理由から、2020年までに一部の州(例えば、米国の立法に関する先駆けの州であるカリフォルニア)で禁止されるものまである。これらの非生分解性材料は、下水処理場から漏れ出し、水生種に対する脅威を伴って環境へ放出される。
【0004】
こうした種類の化粧品原料に代わる最も明白で環境に優しい代替物は、植物由来の出発原料(バイオマス発酵)を多用途の合成化学と組み合わせたバイオポリマーであることは間違いない。このため、化学合成に応じて変化する植物由来の原料に対するイノベーションの試みに取り組み、場合によっては「グリーンケミストリー」の原則を適用することが戦略的である。
【0005】
これに関して、完全な生分解性、良好な熱加工性、再生可能性、良好な機械的性能等ゆえに現在までに最も有望なバイオポリマーであるポリ乳酸(以下「PLA」)の研究および改変に、ますます注目が集まっている。
【0006】
このポリマーは過去25年間にわたって広範に研究されており、科学的知見および技術的知見によって、現在までに最初の工業的応用の出現を可能にした。実際、PLAは既に様々な分野、特に生物医学分野で幅広い用途を見出している。具体的には、その生体適合性および生分解性から、PLAは、薬物、プラーク、および骨固定用の釘、並びに身体と接触して炎症反応や感染の減少を示す外科用縫合糸の制御放出用医療用具の製造において有効であることが分かっている。もう1つの大きな先端研究領域は、包装である。事実、包装は環境への影響が大きく、それゆえ堆肥化可能且つ生分解可能な材料を使用して、その影響を軽減することは当然である。
【0007】
PLAはこれまで、デコレーション用化粧品における質感を目的とした粉末の形態および洗浄用製品におけるスクラブとしてでしか化粧品用途を見出していない。PLA化粧品粉末は、ハネウェル・インターナショナル社からAsensa(登録商標)の商品名で、そして大東化成工業社からEcobeadsの商品名で市販されている。
【0008】
現在までに、高分子量を有するPLAの合成を目的とした産業レベルの最も有効な重合方法は、乳酸(ラクチド)の環状二量体から開始する開環重合(以下、「ROP」)を想定している。
【0009】
ROPを介したPLA含有バイオポリマーの合成は文献において有名であり、多くの科学的証拠により、そのPLA含有バイオポリマーまたはコポリマーを得るための様々なプロセスが記載および分析されている。ROPによる乳酸塩の重合は、有機金属触媒(例えばエチルヘキサン酸スズ(II))の存在下、アルコール共開始剤を用いて、高温で効率的に起こることも当該技術分野において知られている。
【0010】
例えば、非特許文献1は、PLAおよびポリジメチルシロキサンコポリマー(以下「PDMS」)の合成を記載している。このコポリマーは、ポリ(ジメチルシロキサン)ビス(2‐アミノプロピルエーテル)とPLAとの間の、クロロホルム溶液中およびオクタン酸第一スズの存在下でのエステル交換反応によって得られる。
【0011】
非特許文献2は、アルコール共開始剤で開始されるROPによるポリエステルおよびポリジメチルシロキサンコポリマーの合成を記載している。
【0012】
非特許文献3は、マクロ開始剤としてビス(ヒドロキシアルキル)末端PDMSを用いて、L‐ラクチドをROPさせることによるポリ(L‐ラクチド‐b‐ジメチルシロキサン‐b‐L‐ラクチド)のコポリマーの冷結晶化を記載している。
【0013】
非特許文献4は、ポリラクチドとPDMSのコポリマーの合成を記載している。これらのコポリマーは、ラクチドとα,ω‐ビス(3‐ヒドロキシプロピル)PDMSとの反応によって製造される。
【0014】
非特許文献5は、マクロ開始剤としてのPDMSおよび触媒の存在下でラクチドをROPさせる方法を記載している。
【0015】
特許文献1は、シリコーンの存在下でラクチドをROPすることにより得られる、化粧品用途に適したポリエステル化合物を記載している。
【0016】
特許文献2は、化粧品の主成分としてのPLAの使用を記載している。
【0017】
特許文献3は、植物から抽出された無定形生分解性PLAを記載している。
【0018】
上記の反応は、アルコール開始剤または共開始剤の存在下でも高温で行われ、この反応は、化粧品への広範な使用を許容しない化学的及特性および物理的特性を有する高分子量コポリマーを得ることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】Hazerら著、Journal of Polymers and the Environment、2012)
【文献】Lee WKら著、Composite Interfaces、2006
【文献】Nagarajan S.ら著、Macromolecules、2015
【文献】Hans R. Kricheldorfら著、Macromolecules、2005
【文献】Paul Bohm著、Dissertation Zur Erlangung des Grades “Doktor der Naturwissenschaften”、2012
【文献】欧州特許出願公開第0399827号
【文献】欧州特許出願公開第1400233号
【文献】米国特許出願公開第2010/099841号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、化粧品分野において広範に使用することが可能な化粧品用生分解性コポリマーを得ることである。
【0021】
別の目的は、出発試薬のモルの割合を変えることによってのみ流動性を変化させることのできる生分解性コポリマーを得ることである。
【0022】
更なる目的は、環境への影響が少なく、前例の無い質感を有する化粧品用生分解性コポリマーを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明によれば、上述のような目的は、請求項1に記載の化粧品用生分解性コポリマーにより達成される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の目的は、「B」と呼ばれる中心ポリシロキサンブロック(PDMS)と、「A」と呼ばれる2つの対称PLAブロックとからなる生分解性ブロックコポリマー「A‐B‐A」、即ちPLA‐PDMS‐PLAの調製方法およびその化粧品における使用である。出願人の研究は、これらの材料の特性が、PLA/PDMS比の変化と2つの構成ブロックAおよびBの分子量の変化とに伴い、連続的かつ予測可能に変化することを実際に示している。
【0025】
化学合成によって、流動性材料からペースト、プラスチック材料、硬質固体材料に至るまで、様々な堅さを持つ一連の相溶性化学化合物にアクセスすることが可能である。このような豊富な挙動は、環境への影響が少なく、前例のない質感を有する新たな化粧品の調合に好適に使用することができる。
【0026】
ROPによる乳酸塩の重合は、有機金属触媒(例えばエチルヘキサン酸スズ(II))の存在下、アルコール共開始剤を用いて、高温で効率的に起こることが当該技術分野において知られている。
【0027】
本発明では、低分子量アルコールの代わりに、αおよびω末端位置にアルコール官能基を有する直鎖または分枝シリコーンマクロ開始剤を使用して連鎖反応を開始し、PLA末端ブロックを中心ポリシロキサンブロックに対称的に付加する。
【0028】
重合したラクチドの量に応じて、最終分子量は2500Da~50kDa超の範囲に及ぶことができ、したがって顕著に異なる特徴を有する材料が得られる。
【0029】
本発明のこれらおよび他の特徴は、以下の詳細な説明および実施例から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、得られたPLA‐PDMSコポリマーを、仮名「Diplathicone」と命名する。
【0031】
以下の表1は、シリコーン部分とPLA部分との間の比率を変化させることによって得られる特徴を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
上述のような材料は科学文献や特許文献に記載されているが、それらの使用は化粧品において記載や保護がないという事実を考慮すると、機会はより一層興味深いものとなる。
【0034】
これに関して、CTFA(米国化粧品工業会)の辞典には、乳酸のビルディングブロックに基づいて、以下の材料のみが報告されていることに留意されたい。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
PDMSは高い酸素透過性および水蒸気透過性を有し且つ生体適合性であり、ラクチドとの反応によって形成されるブロックコポリマーを高度に生体適合性にし、したがって化粧品を含む多くの分野において非常に重要である。
【0040】
上記のように得られた化粧品原料の流動性を、化学組成を変えずに、シリコーン成分と出発ラクチドとの間のモル比のみを変えることによって調節することができると、あらゆる種類の化粧品に使用できる幅広い種別の化粧品原料を得ることが可能になる。例としては、フェイス用製品(コンシーラー、ファンデーション、着色クリームなど)、リップ用製品(リップスティック、リップバームなど)、アイデコレーション用製品(コンパクトパウダー、リキッドなど)、ヘア用製品、ネイルのケア用およびデコレーション用製品の、すべての物理的形態(固体、液体、ジェル、またはペースト)が挙げられる。
【0041】
より具体的には、反応は、αおよびω末端位置に少なくとも1つのアルコール官能基を有する少なくとも1種類の直鎖および分枝シリコーン開始剤、例えばカルビノールビス‐ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン:Baysilone OF OH 702 E(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社),Dow Corning 5562 Carbinol Fluid(ダウコーニング社),Emulsil S‐362(イノスペック・パフォーマンス・ケミカルズ社),カルビノールビス‐ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン:DMS‐C15,DMS‐C16,DMS‐C21,DMS‐C23,DBE‐C25,DBL‐C31,DBP‐C22(ゲレスト社),モノカルビノール末端ポリジメチルシロキサン:MCR‐C12,MCR‐C13,MCR‐C18,MCR‐C22(ゲレスト社),モノジカルビノール末端ポリジメチルシロキサン:MCR‐C61,MCR‐C62(ゲレスト社),直鎖および分枝ヒドロキシ官能性プレポリマー:Silmer OH A0,Silmer OH C50,Silmer OH J10,Silmer OH Di‐10,Silmer OH Di‐50,Fluorosil OH C7‐F (シルテック社)を含む群から選択される化粧品用ビス‐ヒドロキシ末端ジメチコンを、ラクチド、L‐ラクチド,D‐ラクチドまたはLD‐ラクチド、例えばL‐ラクチド(例えばPuralact(コルビオン社))と反応させることによって行われる。
【0042】
好ましくは、前記シリコーン開始剤は、カルビノールビス‐ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン:Baysilone OF OH 702 E(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)またはDow Corning 5562 Carbinol Fluid(ダウコーニング社)である。
【0043】
好ましくは、前記シリコーン開始剤はヒドロキシエトキシプロピルジメチコンであり、より一層好ましくはビス‐ヒドロキシエトキシプロピルジメチコンである。
【0044】
前記シリコーン開始剤は、1800Da超、好ましくは2000Da超、より一層好ましくは2000Da~12000Daの分子量を有する。
【0045】
開環重合は、乳酸亜鉛、2‐エチルヘキサン酸亜鉛(II)、ステアリン酸亜鉛といった亜鉛化合物、オクタン酸スズ(2‐エチルヘキサン酸スズ(II))またはスズアルコキシドといったスズ化合物、若しくは4‐(ジメチルアミノ)ピリジンN‐複素環式カルベン、1,3‐ビス‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)イミダゾール‐2‐イリデンN‐複素環カルベン、2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐メチルフェノールの1,3‐ビス‐(2,4,6‐トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロリドNa塩、2‐エチルヘキサン酸スズ(II)から選択することができる触媒を必要とする。
【0046】
ラクチド、好ましくはL‐ラクチドおよびシリコーン開始剤は、異なる重量パーセントにて加えられる。ラクチドは、10重量%~95重量%の濃度を有するであろう。シリコーン開始剤は、5重量%~90重量%の濃度を有するであろう。触媒は、0.005重量%~0.02重量%の濃度を有するであろう。
【0047】
ラクチドとシリコーン開始剤との間の反応終了時に、分子量や粘度、密度といった異なる化学的特性および物理的特性を有する生分解性コポリマーを得ることができる。これらのコポリマーは、室温で透明流体の堅さか、乳白色の流体の堅さ、またはペーストの堅さ、あるいは固体の堅さをもとることができる。
【0048】
生分解性コポリマーは、2000Da~30kDa、好ましくは2500Da~25kDa、より一層好ましくは3000Da~20kDaの分子量を有する。
【0049】
更に、前記コポリマーは、250cP~190000cPのブルックフィールド粘度νを有し、25℃での密度は1g/cm3 ~1.50g/cm3 であり、1.10g/cm3 ~1.20g/cm3 であることが好ましく、1.03g/cm3 ~1.06g/cm3 であることがより一層好ましい。
【0050】
第1の実施形態では、触媒の存在下で、ラクチドおよびシリコーン開始剤は、10重量%~20重量%のラクチド濃度および80重量%~90重量%のシリコーン開始剤濃度で反応させる。
【0051】
前記反応から得られるコポリマーは、室温で流体の堅さを有し、分子量Mwは1500Da~4500Da、好ましくは2000Da~4000Da、より一層好ましくは2500Da~3500Daであり、ブルックフィールド粘度νは250Cp~20000Cp、好ましくは300Cp~17500Cp、より一層好ましくは350Cp~15000Cpであり、そして25℃での密度は1g/cm3 ~1.50g/cm3 、好ましくは1.10g/cm3 ~1.20g/cm3 、より一層好ましくは1.03g/cm3 ~1.06g/cm3 である。
【0052】
第2の実施形態では、触媒の存在下で、ラクチドおよびシリコーン開始剤は、40重量%~60重量%のラクチド濃度および40重量%~70重量%、好ましくは50重量%~60重量%のシリコーン開始剤濃度で反応させる。前記反応から得られるコポリマーは、室温でペーストの堅さを有し、分子量Mwは3500Da~6500Da、好ましくは4000Da~6000Da、より一層好ましくは4500Da~5500Daであり、そしてブルックフィールド粘度νは130000Cp~190000Cp、好ましくは140000Cp~180000Cp、より一層好ましくは150000Cp~170000Cpである。得られる生成物は、PLAが150℃~180℃の融点/結晶化点を有する範囲における示差走査熱量測定といった標準的な技術で検出可能な融点/結晶化点を持たない。
【0053】
第3の実施形態では、触媒の存在下で、ラクチドおよびシリコーン開始剤は、75重量%~95重量%のラクチド濃度および5重量%~25重量%のシリコーン開始剤濃度で反応させる。前記反応から得られるコポリマーは、室温で固体の堅さを有し、分子量Mwは4000Da~22000Da、好ましくは5000Da~21000Da、より一層好ましくは6000Da~20000Daであり、そしてガラス転移温度Tgは20℃~60℃、好ましくは25℃~50℃、より一層好ましくは28℃~48℃である。更に、前記固体は、130℃~190℃、好ましくは140℃~180℃、より一層好ましくは150℃~170℃の溶融温度を有する。得られる生成物は、PLAが150℃~180℃の融点/結晶化点を有する範囲における示差走査熱量測定といった標準的な技術で検出可能な融点/結晶化点を持たない。
【0054】
以下の実施例は、いかなる限定をすることなく本発明を明確にするためのものである。
【実施例
【0055】
実施例1(DIPLATHICONE LVの合成)
2Lの5首ガラスジャケット反応器(機械的攪拌、下方管、温度計、窒素注入口および試薬追加用の首)に、200gのL‐ラクチド、800gのジメチコンビス‐ヒドロキシ末端(ビス‐ヒドロキシエトキシプロピルジメチコン,DC 5562 Carbinol Fluid)および0.05gの2‐エチルヘキサン酸スズ(II)を添加する。乾燥窒素を1時間流した後、内部温度を140℃にして反応させ、赤外分光法による制御を介してラクチドを完全に枯渇させる。反応終了時に、内部温度を30℃にし、GPCによる分子量Mw=3000Da、25℃でブルックフィールド粘度ν=350cP、および密度d=1.03g/cm3を有する透明な流体を排出する。
【0056】
実施例2(DIPLATHICONE MVの合成)
2Lの5首ガラスジャケット反応器(機械的攪拌、下方管、温度計、窒素注入口および試薬追加用の首)に、400gのL‐ラクチド、600gのジメチコンビス‐ヒドロキシ末端(ビス‐ヒドロキシエトキシプロピルジメチコン,DC 5562 Carbinol Fluid)および0.1gの2‐エチルヘキサン酸スズ(II)を添加する。乾燥窒素を1時間流した後、内部温度を140℃にして反応させ、赤外分光法による制御を介してラクチドを完全に枯渇させる。反応終了時に、内部温度を30℃にし、GPCによる分子量Mw=3500Da、25℃でブルックフィールド粘度ν=15000cP、および密度d=1.06g/cm3を有する乳白色の流体を排出する。
【0057】
実施例3(DIPLATHICONE HVの合成)
2Lの5首ガラスジャケット反応器(機械的攪拌、下方管、温度計、窒素注入口および試薬追加用の首)に、500gのL‐ラクチド、500gのジメチコンビス‐ヒドロキシ末端(ビス‐ヒドロキシエトキシプロピルジメチコン,DC 5562 Carbinol Fluid)および0.15gの2‐エチルヘキサン酸スズ(II)を添加する。乾燥窒素を1時間流した後、内部温度を160℃にして反応させ、赤外分光法による制御を介してラクチドを完全に枯渇させる。反応終了時に、温度を80℃に下げ、室温で半透明な粘性ペーストの堅さをとる乳白色の流体を排出する。当該物質は、GPCによる分子量Mw=4500Daおよび50℃でブルックフィールド粘度ν=150000cPを有する。
【0058】
実施例4(DIPLATHICONE V‐HVの合成)
2Lの5首ガラスジャケット反応器(機械的攪拌、下方管、温度計、窒素注入口および試薬追加用の首)に、750gのL‐ラクチド、250gのジメチコンビス‐ヒドロキシ末端(ビス‐ヒドロキシエトキシプロピルジメチコン,DC 5562 Carbinol Fluid)および0.2gの2‐エチルヘキサン酸スズ(II)を添加する。乾燥窒素を1時間流した後、内部温度を160℃にして反応させ、赤外分光法による制御を介してラクチドを完全に枯渇させる。反応終了時に、温度を130℃に下げ、室温で淡黄色のガラス質で透明な固体の堅さをとる粘性流体を排出する。当該物質は、GPCによる分子量Mw=6000Daおよび28℃~30℃のガラス転移温度Tgを有する。
【0059】
実施例5(DIPLATHICONE粉末の合成)
2Lの5首ガラスジャケット反応器(機械的攪拌、下方管、温度計、窒素注入口および試薬追加用の首)に、950gのL‐ラクチド、50gのジメチコンビス‐ヒドロキシ末端(ビス‐ヒドロキシエトキシプロピルジメチコン,DC 5562 Carbinol Fluid)および0.2gの2‐エチルヘキサン酸スズ(II)を添加する。乾燥窒素を1時間流した後、内部温度を160℃にして反応させ、赤外分光法による制御を介してラクチドを完全に枯渇させる。反応終了時に、温度を130℃に下げ、室温で半結晶質の白色固体の堅さを有する粘性流体を排出する。当該物質は、GPCによる分子量Mw=20000Da、45℃~48℃のガラス転移温度Tg、および溶融温度Tm=160℃を有する。
【0060】
実施例6
2Lの5首ガラスジャケット反応器(機械的攪拌、下方管、温度計、窒素注入口および試薬追加用の首)に、200gのD‐ラクチド、800gのジメチコンビス‐ヒドロキシ末端(Baysilone OF OH 702 E,モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)および0.05gの2‐エチルヘキサン酸亜鉛(II)を添加する。乾燥窒素を1時間流した後、内部温度を140℃にして反応させ、赤外分光法による制御を介してラクチドを完全に枯渇させる。反応終了時に、内部温度を30℃にし、GPCによる分子量Mw=3000Da、ブルックフィールド粘度ν=12000cP、および25℃で密度d=1.05g/cm3を有する透明な流体を排出する。
【0061】
実施例7
2Lの5首ガラスジャケット反応器(機械的攪拌、下方管、温度計、窒素注入口および試薬追加用の首)に、300gのDL‐ラクチド(メソラクチド)、700gの多官能性シリコーンカルビノール(Silmer OH C50,シルテック社)および0.1gの乳酸亜鉛(II)を添加する。乾燥窒素を1時間流した後、内部温度を140℃にして反応させ、赤外分光法による制御を介してラクチドを完全に枯渇させる。反応終了時に、内部温度を30℃にし、GPCによる分子量Mw=2500Da、ブルックフィールド粘度ν=6000cP、および25℃で密度d=1.03g/cm3を有する透明な流体を排出する。
【0062】
実施例8
2Lの5首ガラスジャケット反応器(機械的攪拌、下方管、温度計、窒素注入口および試薬追加用の首)に、500gのL‐ラクチド、500gの単官能性シリコーンカルビノール(MCR‐C18,ゲレスト社)および0.30gのステアリン酸亜鉛(II)を添加する。乾燥窒素を1時間流した後、内部温度を160℃にして反応させ、赤外分光法による制御を介してラクチドを完全に枯渇させる。反応終了時に、温度を80℃に下げ、室温で白色の粘性ペーストの堅さをとる半透明な流体を排出する。当該物質は、GPCによる分子量Mw=5500Daおよび50℃でブルックフィールド粘度ν=170000cPを有する。
【0063】
上記のように調製されたDiplathiconediplathiconeは、その構成成分の2つの典型的な特性の独特の組み合わせにより特徴付けられる。具体的には、ジメチコンのように、表面張力が小さいことから(表3参照)その拡散が容易である一方、ポリエステルといったより極性の高い系において典型的な粘着性を示す。
【0064】
Diplathiconediplathiconeの第1の応用は、粉末化粧品における単一結合相の応用である。diplathicone LVが存在するコンパクトパウダーは、良好な流動性および絹のような質感を有する(実施例9および10)。10名のボランティアのパネルによって試験されたコンパクトパウダーアイシャドーの特定の場合(実施例10)においては、長い持続性と組み合わさり、興味深いと同時にクリーミーな質感が得られる。更に、結合剤の凝集特性を評価するために実施される落下試験において、試験片は合格水準をはるかに上回る高い値を示す。
【0065】
第2の応用では、異なる分子量および粘度を有するDiplathiconediplathiconeの混合物により、優れた広がり性を有するリップバーム(実施例14)を調合することが可能となり、それによって高い光沢および良好な被覆性を有する均一な膜を唇に塗布することができる。
【0066】
Diplathiconediplathiconeは、化粧品調合物中において、オイルとしてだけでなく機能性成分としても使用することができる。そのブロック構造ゆえに、Diplathiconediplathiconeは、無水製品中のエステルおよびシリコーンの相溶化剤として作用することができる。実際、第3の応用(実施例15)では、シリコーンおよびエステルの含有量が高いリップスティックの化粧品調合物に、Diplathiconediplathiconeを加えることができる。
【0067】
得られる化粧品は、ワックスとオイルとの間に、または異なるオイルとの間に非相溶性が存在する場合に通常起こる現象である非混和または滲出といった非相溶性現象を有さない。更に、diplathicone MVが存在するスティックリップ製品(実施例15)は、diplathiconeが存在しない製品よりも優れた輝きを示す。最後に、リップスティック調合物中のdiplathicone MV(実施例16)の濃度が増加すると、持続性およびその付着性という美容性能が大幅に改善され、高い塗布容易性が保たれる。
【0068】
同様に、Diplathiconediplathiconeは、以下の第4の応用(実施例11,12および13)のようにワックス相を効果的に分散させることができる。実施例では、Diplathiconediplathiconeを使用して、溶融ワックスを安定化させ錯体化する。実施例13では、diplathiconeと固化ワックスとの組み合わせにより、ブラシで取ることができ且つ塗布が容易な半固体化合物が生成される。適切に着色すると、このような材料は、アイデコレーション用無水アイライナーとして使用することができる。
【0069】
第5の応用は、シリコーンを高い割合で導入することが現時点では不可能な調合物にシリコーン特性を付与するための機能性成分としてのDiplathiconediplathiconeの使用である。顕著な例は、ニトロセルロースと、当該技術分野において既知且つそのような製品に使用されている他の成分との既知の非相溶性ゆえに、消泡剤としてシリコーンが1%未満の量で添加されたネイルポリッシュ(実施例17)である。シリコーンブロックの末端にポリエステルブロックが存在すると、ニトロセルロースとのDiplathiconediplathicone相溶性が得られ、それによって高い光学品質(明るく透明)を有する硬質膜を形成する。
【0070】
この応用におけるDiplathicone HVは、ポリッシュの調合に使用される従来の樹脂と完全に置き換わることができる。シリコーンブロックを膜の表面に偏析させることにより、滑りがよくなめらかな表面感触が得られ、革新的な質感を創り出し、光沢と持続性を向上させる。
【0071】
【表6】
【0072】
実施例9
フェイス用コンパクト化粧品粉末の調製
以下の組成を有する化粧品粉末は、特別なミル中でA相をB相と5分間混合することにより調製した。次にC相を添加し、5分間再度混合する。このようにして得られた生成物をふるいにかけて圧縮する。
【0073】
【表7】
【0074】
実施例10
コンパクトアイシャドーの調製
以下の生成物は、溶媒イソドデカン中に粉末を分散させるプロセスによって得られた。C相をイソドデカン中で45℃にて溶解し、次いでB相を完全に溶解するまで添加し、最後にA相を添加した。このようにして得られた混合物をタービンで処理することにより均質化した。得られた分散液を80℃のオーブンに12時間入れ、溶媒を蒸発させた。溶媒の蒸発後に得られた粉末をふるいにかけて圧縮した。
【0075】
【表8】
【0076】
実施例11
クリームアイシャドーの調製
アイシャドーは、95℃でA相を溶解することによって調製し、完全溶解後、B相を機械攪拌しながら添加し、ジャーに移した。
【0077】
【表9】
【0078】
実施例12
キャストアイシャドーの調製
キャストアイシャドーは、A相を95℃で溶解することによって得られ、次いで粉末相を機械撹拌しながら添加した。このようにして得られた生成物をジャーに直接移した。
【0079】
【表10】
【0080】
実施例13
無水アイライナーの調製
本アイライナーを実施例12と同様に調製した。
【0081】
【表11】
【0082】
実施例14
リップバームの調製
60℃で30分間A相を混合することによって液体リップバームを得た。B相を室温で約30分間積層し、更に30分間完全に分散するまで機械的撹拌下でA相に添加した。次いで生成物を、スポンジアプリケーター付きボトルに包装した。
【0083】
【表12】
【0084】
実施例15
シリコーンリップスティックの調製
リップスティックは、A相を95℃で融解し、顔料を油相で積層することによって得た。その後、B相をA相と組み合わせ、2つの相を機械撹拌により混合した。混合物が均質になると、予め加熱しておいた特別なシリコーンのノーズコーンに移した。後で口紅を抽出するために、試料を冷却プレート上に置いた。
【0085】
【表13】
【0086】
実施例16
リップスティックの調製
本リップスティックを実施例15と同様に調製した。
【0087】
【表14】
【0088】
実施例17
ネイル用透明ポリッシュベースの調製
3つの相を室温で混合することにより、ネイル用透明ポリッシュベースを調製した。このベースは、顔料(例えばRed7ラッカー)を添加することによって容易に着色できる。
【0089】
【表15】
【0090】
本発明の利点として、本発明の生分解性コポリマーは、環境への影響が非常に低く、化粧品対して幅広い汎用性を有している。
【0091】
本発明の別の利点は、ラクチドとシリコーン開始剤とのモル割合を変化させることによって、異なる流動性並びに異なる化学的性質および物理的性質を有するコポリマーを得ることができるという事実である。