(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
B42F 7/00 20060101AFI20220801BHJP
B42F 13/22 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
B42F7/00 A
B42F13/22
(21)【出願番号】P 2018094587
(22)【出願日】2018-05-16
【審査請求日】2021-04-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1 発行日 :平成30年2月15日 カタログの名称 :カウネットカタログ 2018 第35号 第4頁、第79頁及び第88頁 公開者 :株式会社カウネット 公開内容 :株式会社カウネットが、上記カタログにて、武林宏記が発明したファイルを公開した。 2 ウェブサイトの掲載日: a.平成30年2月13日 b.平成30年2月13日 c.平成30年2月13日 d.平成30年2月13日 e.平成30年2月13日 ウェブサイトのアドレス: a.http://www.kokuyo.co.jp/ http://www.kokuyo.co.jp/com/press/2018/02/2029.html タイトル「「書類が傷みにくいカバー付きリングファイル」を発売」 b.http://www.kaunet.com/ https://www.kaunet.com/rakuraku/spook3/main?LID=0&variation=00015022&SPC=0&SGC=0&STA=0&FPC=0&FGC=0&FTA=0 https://www.kaunet.com/kaunet/goods/42770350/ https://www.kaunet.com/kaunet/goods/42770367/ https://www.kaunet.com/kaunet/goods/42784715/ https://www.kaunet.com/kaunet/goods/42784722/ https://www.kaunet.com/kaunet/goods/42770374/ タイトル「カウネット 書類が傷みにくいカバー付きリングファイル」 c.http://www.mykaunet.com/ https://www.mykaunet.com/kaunet/categoryshop/home/sitemap/KWf_HSfPageManager.jsp https://www.mykaunet.com/kaunet/categoryshop/home/sitemap/KWf_HSfGoodsImageDisp.jsp?GOODS_STK_NO=42770350&IMAGE_TYPE=main
(73)【特許権者】
【識別番号】501067193
【氏名又は名称】株式会社カウネット
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】武林 宏記
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-039475(JP,U)
【文献】実開平07-005769(JP,U)
【文献】特開2004-034622(JP,A)
【文献】特開2001-018566(JP,A)
【文献】再公表特許第96/007549(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に回動し開閉可能な表表紙及び裏表紙と、
閉じたときに互いに向き合う前記表表紙と前記裏表紙との間に紙葉類を綴じ止める綴じ具と、
前記表表紙と前記裏表紙とのうち一方の下縁に沿って設けられ他方に向かって起立し、前記綴じ具に綴じられた紙葉類の下縁が表表紙及び裏表紙の下縁からはみ出すことを抑制するガードと、
前記表表紙と前記裏表紙とのうちの前記一方に支持され、閉じた他方の下縁及び外側縁に跨るように
、一方から他方に向かって起立する前記ガードの当該他方側の端縁に係合して、表表紙と裏表紙とが開くことを抑制するバンドと
を具備するファイル。
【請求項2】
前記ガードが、前記表表紙と前記裏表紙とのうちの前記一方の下縁に沿って拡張する下壁と、当該一方の外側縁に沿って拡張しかつ前記下壁に連接する外側壁とを備え
、それら下壁及び外側壁が略L字形をなすように一体化している請求項1記載のファイル。
【請求項3】
前記ガードの少なくとも一部が、前記バンドか係合したときに上方に傾く請求項1または2記載のファイル。
【請求項4】
前記ガードは、前記表表紙と前記裏表紙とのうちの前記一方から張り出した片部を折り曲げて成形されている請求項1、2または3記載のファイル。
【請求項5】
前記表表紙と前記裏表紙とのうちの前記一方から前記他方に向かって起立する前記ガードの当該他方側の端縁に、前記バンドを係合させることのできる凹部が形成されている請求項1、2、3または4記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類を綴じる綴じ具を備えたファイル(または、バインダー)に関する。
【背景技術】
【0002】
紙の書類やノートの中紙となるルーズリーフ、樹脂製のクリヤーブックのリフィル(いわゆるクリヤーポケットやクリヤーホルダー)等の紙葉類を綴じておくことのできるファイルが周知である(例えば、下記特許文献を参照)。この種のファイルは一般に、表表紙、背表紙及び裏表紙からなる表紙体に、紙葉類を綴じ止めるための綴じ具を取り付けて構成される。
【0003】
ファイルを保管する際には、これを立てた姿勢で、即ち表紙体の表表紙、背表紙及び裏表紙を直立させた姿勢で、書棚等に収納することが普通である。このとき、綴じている紙葉類が自重で垂れ下がり、紙葉類の下縁が表紙の下縁よりも下方にはみ出すことがある。さすれば、ファイルの保管中や出し入れまたは持ち運び時に紙葉類の下縁が棚板その他の物に接触し、紙葉類が折れ曲がったり擦れて傷んだりする可能性が生じる。
【0004】
表紙の寸法を綴じる紙葉類の寸法よりもずっと大きくとれば、紙葉類が自重で垂れ下がったとしても表紙からはみ出すことは避けられる。しかしながら、それはファイルの外寸を肥大化させることに等しく、保管の際に大きな収納スペースを占有することとなる。
【0005】
また、表表紙と裏表紙とは、基本的に自由に相対回動することができる。従って、ファイルの出し入れまたは持ち運び時にこれらが不意に開いてしまうことがあり、綴じた紙葉類の垂れ下がりとも相まって、ファイルの取り回しの妨げとなる懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ファイルに綴じている紙葉類が表紙からはみ出すこと、及び表紙が意図せず開くことを適切に抑制しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、相対的に回動し開閉可能な表表紙及び裏表紙と、閉じたときに互いに向き合う前記表表紙と前記裏表紙との間に紙葉類を綴じ止める綴じ具と、前記表表紙と前記裏表紙とのうち一方の下縁に沿って設けられ他方に向かって起立し、前記綴じ具に綴じられた紙葉類の下縁が表表紙及び裏表紙の下縁からはみ出すことを抑制するガードと、前記表表紙と前記裏表紙とのうちの前記一方に支持され、閉じた他方の下縁及び外側縁に跨るように、一方から他方に向かって起立する前記ガードの当該他方側の端縁に係合して、表表紙と裏表紙とが開くことを抑制するバンドとを具備するファイルを構成した。
【0009】
前記ガードが、前記表表紙と前記裏表紙とのうちの前記一方の下縁に沿って拡張する下壁と、当該一方の外側縁に沿って拡張しかつ前記下壁に連接する外側壁とを備え、それら下壁及び外側壁が略L字形をなすように一体化していれば、ガードに必要十分な強度、剛性を付与できる。
【0010】
前記ガードの少なくとも一部が、前記バンドか係合したときに上方に傾くならば、綴じた紙葉類が垂れ下がること、及び閉じた表紙が意図せず開くことをより一層効果的に抑止できる。
【0011】
前記ガードは、例えば、前記表表紙と前記裏表紙とのうちの前記一方から張り出した片部を折り曲げて成形する。
【0012】
また、前記表表紙と前記裏表紙とのうちの前記一方から前記他方に向かって起立する前記ガードの当該他方側の端縁に、前記バンドを係合させることのできる凹部を形成しておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ファイルに綴じている紙葉類が自重で垂れ下がり表紙からはみ出すこと、及び表紙が意図せず開くことを適切に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態のファイルの表紙を開いた状態の斜視図。
【
図2】同実施形態のファイルの表紙を開いた状態の平面図。
【
図3】同実施形態のファイルの表紙を開いた状態をその表面側から見た斜視図。
【
図4】同実施形態のファイルの表紙を閉じて立てた状態の斜視図。
【
図5】同実施形態のファイルの表紙を閉じて立てた状態の正面図。
【
図6】同実施形態のファイルの表紙を閉じて立てた状態の側面図。
【
図7】同実施形態のファイルの表紙を閉じて立てた状態の底面図。
【
図8】同実施形態のファイルの表紙を閉じて立てた状態の斜視図。
【
図9】同実施形態のファイルの裏表紙の隅角部を拡大して示す斜視図。
【
図10】同実施形態のファイルの裏表紙の隅角部の展開図。
【
図11】同実施形態の二個のファイルを積み重ねた状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし
図11に示す本実施形態のファイル1は、既知のファイルと同様、表表紙21、背表紙22及び裏表紙23を並べ連ねた表紙体2に、紙葉類4を綴じ止めるための綴じ具3を取り付けて構成される。
【0016】
表紙体2は、ポリプロピレン等の硬質樹脂を素材とする薄板体である。表表紙21と背表紙22との間、及び背表紙22と裏表紙23との間には、それぞれヒンジ24が介在する。ヒンジ24は、例えば、表紙高さ方向に延伸する、当該部位を表紙体2の他の部位と比較して薄肉化するような凹溝である。表表紙21は、ヒンジ24を中心として、背表紙22及び裏表紙23に対して表紙高さ方向に伸びる軸回りに回動することができる。また、裏表紙23は、ヒンジ24を中心として、背表紙22及び表表紙21に対して表紙高さ方向に伸びる軸回りに回動することができる。ひいては、表表紙21と裏表紙23とが互いに相対的に回動し、表紙体2を開閉することが可能となっている。
【0017】
綴じ具3は、複数本の綴じ桿31を備え、その綴じ桿31を予め紙葉類4に穿たれた紙葉類4を貫通する綴じ孔41に挿通することで、複数枚の紙葉類4を係留するもの、特に環状をなす綴じ桿31が開閉動作するリング綴じ具である。綴じ具3は、表紙体2の例えば背表紙22の裏面、換言すれば綴じられる紙葉類4に面する内面に固定する。
【0018】
なお、綴じ具3の具体的構造は一意に限定されず、複数枚の紙葉類4を綴じることのできるものでさえあれば、既知の種々の態様のものを採用することが許される。綴じ具3の態様によっては、これが裏表紙23の内側方即ち背表紙22に近い側の端部に配置されることもあり得る。
【0019】
しかして、本実施形態のファイル1では、裏表紙23の下方かつ外側方即ち背表紙22及び綴じ具3から遠い側の隅角部に、ガード25及びバンド26を設けている。
【0020】
ガード25は、紙葉類4を綴じたファイル1を立てた姿勢、即ち表紙体2の表表紙21、背表紙22及び裏表紙23が直立する姿勢としたときに、自重で垂れ下がる紙葉類4の下縁が表紙21、23の下縁からはみ出したり、紙葉類4の外側縁が表紙21、23の外側縁からはみ出したりすることを抑える働きをする。ガード25は、裏表紙23の下縁に沿って表紙幅方向に拡張する下壁251と、裏表紙23の外側縁に沿って表紙高さ方向に拡張する外側壁252とを有しており、これら下壁251及び外側壁252が裏表紙23に対して垂直または略垂直に、表表紙21に向かって起立している。ガード25の下壁251と外側壁252とは、裏表紙23の下方かつ外側方の角において相互に交わるように連接する。
【0021】
ガード25は、表紙体2そして裏表紙23に一体に成形してある。具体的には、
図10に示すように、裏表紙23の下縁よりも下方に張り出す片部251と、裏表紙23の外側縁よりも外側方に張り出す片部252とを、それぞれ裏表紙23に連続させて切り抜く。その上で、下壁251となる前者の片部を裏表紙23に対し上方に屈曲させるとともに、外側壁252となる後者の片部を裏表紙23に対し背表紙22側に向かう内側方に屈曲させることで、裏表紙23から起立したガード25を形作る。
【0022】
図10に示しているように、下壁251となる片部の外側端部254は、裏表紙23の外側縁よりも外側方に延出している。この外側端部254は、下壁251を外側壁252に接続するための接合代となる。即ち、両片部251、252を屈曲させ、下壁251となる片部の外側端部254を外側壁252となる片部の内面または外面に重ね合わせ、当該外側端部254を片部252に接着または溶着等して接合し、以て下壁251と外側壁252とを連接する。なお、外側壁252となる片部の下端部を裏表紙23の下縁よりも下方に延出させて、その下端部を下壁251となる片部に接着または溶着等する接合代としてもよい。相互に連接した下壁251及び外側壁252は、裏表紙23の裏面、換言すれば綴じられる紙葉類4に面する内面が向く法線方向から見て、略L字形をなす一体のガード25となる。
【0023】
図7及び
図8に示すように、裏表紙23から表表紙21に向かって起立するガード25(の下壁251及び外側壁252)の同起立方向に沿った寸法Dは、背表紙22の背幅Tよりも小さく、背幅Tの半分強である。
【0024】
裏表紙23から起立するガード25の下壁251及び外側壁252における、表表紙21に向かう側の端縁には、その一部を切り欠くことで凹部253を形成している。凹部253は、バンド26を掛け止める係合部として機能する。
【0025】
バンド26は、表表紙21と裏表紙23とを向き合わせるように閉じた表紙体2をその閉じた状態に維持するために使用される、例えばゴム紐のような伸縮性を有した長尺な紐状体または帯状体である。
【0026】
バンド26の一方の端部は、裏表紙23の下縁付近に、より詳しくはガード25の下壁251の内側端よりも多少内側方に偏倚した箇所に取り付ける。並びに、バンド26の他方の端部は、裏表紙23の外側縁付近に、より詳しくはガード25の外側壁252の上端よりも多少上方に偏倚した箇所に取り付ける。本実施形態では、
図9に示すように、裏表紙23における上記の二箇所に、裏表紙23を貫通する取付孔231を穿つ。それとともに、バンド26の両端にそれぞれ、バンド26の伸長方向に対して交差または直交する方向に拡張する金属または硬質樹脂製の抜止具261を固着しておく。抜止具261自体は剛性が高く変形困難なものであるが、バンド26は撓み変形容易であることから、バンド26の変形を通じて抜止具261とバンド26の端部とが交差する角度を変化させ、棒状の抜止具261とバンド26の端部とを略一直線状にすることができる。その上で、それら抜止具261及びバンド26の端部を、裏表紙23の表面側、即ち紙葉類4に面する裏面(内面)とは反対の面である外面側から取付孔231に挿通することで、バンド26を裏表紙23に取り付ける。抜止具261は、裏表紙23の裏面における取付孔231の周囲の部位に当接し、バンド26が裏表紙23から脱離することを阻む抜け止めとなる。そして、これにより、バンド26の両端が裏表紙23に支持されることとなる。
【0027】
ファイル1の表紙体2を開閉する際等、バンド26を使用しないときには、
図3に示すように、バンド26が裏表紙23の表面側に露出し、裏表紙23の下縁付近と外側縁付近との間で斜めに伸びた状態となる。但し、このときのバンド26は張力を受けておらず、引っ張り変形していない。そのバンド26の全長は、当該バンド26の両端が取り付けられる箇所にある二つの取付孔231の直線距離よりも少し長く、バンド26は弛んでいる。
【0028】
翻って、表紙体2を閉じた状態に維持するべくバンド26を使用するときには、裏表紙23の表面側に露出しているバンド26の中間部を引っ張り、表表紙21の表面(外面)側、即ち綴じられる紙葉類4に面しかつ裏表紙23の裏面と向き合う裏面(内面)とは反対の側に回り込ませ、このバンド26の中間部で表表紙21の表面をその上から押さえ込むようにしながら、バンド26をガード25の下壁251及び外側壁252に引っ掛けて係合させる。結果、
図4ないし
図7または
図8に示すように、バンド26が表表紙21の表面側において表表紙21の下縁と外側縁との間で斜めに伸長した状態となり、このバンド26により表表紙21が裏表紙23から離反するように表紙体2が開くことが抑制される。
【0029】
裏表紙23の表面に顕在する一方の取付孔231から、表表紙21の表面側に回り込み、その後再び裏表紙23の表面側に帰還して、同裏表紙23の表面に顕在する他方の取付孔231へと至る道程は、バンド26の全長よりも長い。従って、ガード25に係合せしめたバンド26は、張力が作用して弾性変形し元の長さよりも引っ張られて伸び、表表紙21及び裏表紙23を開かないように結束するものとなる。また、このとき、表表紙21の下方かつ外側方の隅角部における下縁がガード25の下壁251の内面即ち上向面に当接または極近接し、同表表紙21の隅角部における外側縁がガード25の外側壁252の内面即ち内側面に当接または極近接する。
【0030】
バンド26を使用して表紙体2を閉じた状態に維持する際には、
図8に示すように、バンド26をガード25の下壁251の内側端及び外側壁252の上端に掛けてもよいし、
図4ないし
図7に示すように、バンド26をガード25の下壁251の端縁及び外側壁252の端縁に形成した凹部253に掛けてもよい。綴じ具3に綴じている紙葉類4の嵩または枚数が少ないときには前者のように、紙葉類4の嵩または枚数が多いときには後者のように使用することが考えられる。裏表紙23の下縁に沿って拡張するガード25の下壁251の左右幅は、裏表紙23の隅角部の領域、即ち裏表紙23の下方かつ外側方の角から一定の範囲に限定され、表表紙21及び裏表紙23の表紙幅よりも短小である。裏表紙23の外側縁に沿って拡張するガード25の外側壁252の上下幅もやはり、裏表紙23の隅角部の領域、即ち裏表紙23の下方かつ外側方の角から一定の範囲に限定されており、表表紙21及び裏表紙23の表紙高さよりも短小である。このことは、前者の場合において、ファイル1の表紙体2を閉じた後表表紙21及びガード25にバンド26を掛ける、逆に表紙体2を開くために表表紙21及びガード25に掛けていたバンド26を外す操作を簡便ならしめる。
【0031】
また、後者の場合、バンド26が、ガード25の下壁251の外面即ち下向面から、下壁251及び外側壁252の端縁上の各凹部253を経由して、ガード25の外側壁252の外面即ち外側面へと至るように架け渡される。このバンド26は弾性力を発揮して、下壁251及び外側壁252を互いに相寄る方向に押圧する。故に、
図5に示しているように、ガード25の下壁251(特に、凹部253の周辺部位)が上方Uに傾くような変形が起こり、さらにガード25の外側壁252(特に、凹部253の周辺部位)が内側方Iに傾くような変形が起こる。これにより、ガード25の下壁251及び外側壁252の内面が表表紙21の隅角部の下縁及び外側縁にそれぞれ接触してこれを押さえるようになり、表表紙21が裏表紙23から離反するように表紙体2が開くことが確実に抑止され、表表紙21と裏表紙23との間に綴じられた紙葉類4の垂れ下がりによるはみ出しも抑制される。
【0032】
本実施形態のファイル1の流通過程等にあって、複数個のファイル1を梱包し運搬する際には、
図11に示すように、ガード25を利用して二個のファイル1を組み合わせて纏めることができる。即ち、各ファイル1の表紙体2を閉じ、かつバンド26をガード25に掛けずに裏表紙23の表面側に配した状態で、一方のファイル1の表表紙21と他方のファイル1の表表紙21とを重ね合わせる。このとき、一方のファイル1の表表紙21の下方かつ内側方の隅角部、並びに背表紙22の下縁部が、他方のファイル1のガード25の下壁251及び外側壁252の内面に当接または極近接する。同時に、他方のファイル1の表表紙21の下方かつ内側方の隅角部、並びに背表紙22の下縁部が、一方のファイル1のガード25の下壁251及び外側壁252の内面に当接または極近接する。そして、一方のファイル1に対して他方のファイル1が位置決めされる。
【0033】
本実施形態では、相対的に回動し開閉可能な表表紙21及び裏表紙23と、閉じたときに互いに向き合う前記表表紙21と前記裏表紙23との間に紙葉類4を綴じ止める綴じ具3と、前記表表紙21と前記裏表紙23とのうち一方である裏表紙23の下縁に沿って設けられ他方である表表紙21に向かって起立し、前記綴じ具3に綴じられた紙葉類4の下縁が表表紙21及び裏表紙23の下縁からはみ出すことを抑制するガード25と、前記裏表紙23に支持され、閉じた表表紙21の下縁及び外側縁に跨るように当該表表紙21に掛けられた状態で前記ガード25に係合して表表紙21と裏表紙23とが開くことを抑制するバンド26とを具備するファイル1を構成した。
【0034】
本実施形態によれば、ファイル1の表紙21、23の寸法を徒に拡大せずとも、綴じている紙葉類4が自重で垂れ下がり表紙21、23からはみ出すことを適切に抑制し、また表紙21、23が不意に開くことを適切に抑制することができる。
【0035】
前記ガード25が、前記裏表紙23の下縁に沿って拡張する下壁251と、当該裏表紙23の外側縁に沿って拡張しかつ前記下壁251に連接する外側壁252とを備えており、略L字形をなしているため、ガード25に必要十分な強度、剛性を付与できる。
【0036】
前記ガード25の少なくとも一部が、前記バンド26か係合したときに上方Uに傾くことから、綴じた紙葉類4が垂れ下がること、及び閉じた表紙21、23が意図せず開くことをより一層効果的に抑止できる。
【0037】
前記ガード25を、前記裏表紙23から張り出した片部251、252を折り曲げることで裏表紙23に一体的に成形しており、構造が簡易となる。
【0038】
加えて、前記裏表紙23から前記表表紙21に向かって起立する前記ガード25の当該表表紙21側の端縁に、前記バンド26を係合させることのできる凹部253を形成している。バンド26を使用するときに、バンド26をこの凹部253に掛けることで、バンド26が不意に外れてしまうことを効果的に防止できる。その上、
図6及び
図7に示すように、バンド26が凹部253の内に収まり、バンド26がガード25の端縁から大きく突出しないため、複数個のファイル1を立てて並べる際において、あるファイル1のバンド26が他のファイル1の表紙体2(の裏表紙23)の表面と干渉することが回避され、バンド26がファイル1の出し入れの邪魔にならずに済む。
【0039】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、ガード25が下壁251と外側壁252とを両備していたが、外側壁252を除き下壁251のみを有したガード25を設けることとしてもよい。
【0040】
また、ガード25及びバンド26を裏表紙23に設ける代わりに表表紙21に設けてもよいことは言うまでもない。その場合、ガード25は、表表紙21から裏表紙23に向かって起立する。そして、バンド26は、表表紙21に支持され、閉じた裏表紙23の下縁及び外側縁に跨るように裏表紙23に掛けられた状態でガード25に係合して、表表紙21と裏表紙23とが開くことを抑制する。
【0041】
その他、各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、紙葉類を綴じるためのファイルに適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…ファイル
21…表表紙
23…裏表紙
25…ガード
251…下壁(片部)
252…外側壁(片部)
253…凹部
26…バンド
3…綴じ具
4…紙葉類