(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】車載装置、データ処理方法及びデータ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20220801BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
B60R16/02 650A
G08B21/00 U
(21)【出願番号】P 2019008647
(22)【出願日】2019-01-22
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】篠原 修
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-163322(JP,A)
【文献】特開平11-278166(JP,A)
【文献】特開2007-326382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0076968(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G08B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機器により送信されるデータストリームを受信する前から、該機器に応じた第1パルスを生成する第1パルス生成部と、
受信した前記データストリームに基づいて
、前記第1パルスとは異なる周波数の第2パルスを生成する第2パルス生成部と、
前記第1パルスまたは前記第2パルスに基づいて
、前記データストリームに応じたオーディオデータ及び/又は警告音を出力する出力部と、
前記データストリームを受信する前から、前記出力部に対して前記第1パルスを出力し、前記第1パルス
の立ち上がりと
、受信した前記データストリームに基づいて生成された前記第2パルス
の立ち上がりとが一致して以降は、前記出力部に対して前記第2パルスを出力する切替部と
を有することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記第2パルス生成部は、更に、前記機器より送信されるデータストリームが途絶したか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記第1パルス生成部は、前記第2パルス生成部により、前記機器より送信されるデータストリームが途絶したと判定された場合に、前記第1パルスの生成を再開し、
前記切替部は、前記第2パルス生成部により、前記機器より送信されるデータストリームが途絶したと判定された場合に、前記第1パルスに切り替えて出力することを特徴とする請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
所定の機器により送信されるデータストリームを受信する前から、該機器に応じた第1パルスを生成する第1パルス生成工程と、
受信した前記データストリームに基づいて
、前記第1パルスとは異なる周波数の第2パルスを生成する第2パルス生成工程と、
前記第1パルスまたは前記第2パルスに基づいて出力部が
、前記データストリームに応じたオーディオデータ及び/又は警告音を出力する出力工程と、
前記データストリームを受信する前から、前記出力部に対して前記第1パルスを出力し、前記第1パルス
の立ち上がりと
、受信した前記データストリームに基づいて生成された前記第2パルス
の立ち上がりとが一致して以降は、前記出力部に対して前記第2パルスを出力する切替工程と
を有することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
所定の機器により送信されるデータストリームを受信する前から、該機器に応じた第1パルスを生成する第1パルス生成工程と、
受信した前記データストリームに基づいて出力部が
、前記第1パルスとは異なる周波数の第2パルスを生成する第2パルス生成工程と、
前記第1パルスまたは前記第2パルスに基づいて
、前記データストリームに応じたオーディオデータ及び/又は警告音を出力する出力工程と、
前記データストリームを受信する前から、前記出力部に対して前記第1パルスを出力し、前記第1パルス
の立ち上がりと
、受信した前記データストリームに基づいて生成された前記第2パルス
の立ち上がりとが一致して以降は、前記出力部に対して前記第2パルスを出力する切替工程と
を実行させるためのデータ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、データ処理方法及びデータ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、イーサネット(登録商標)によりネットワーク接続される車載装置として、イーサネットAVB(Audio Video Bridging)リスナとして動作する増幅器が知られている。当該増幅器では、ヘッドユニットからイーサネットAVBストリームを受信し、オーディオデータ再生用のパルスの生成を開始した後に、オーディオデータの出力を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-282441号公報
【文献】特開2013-90187号公報
【文献】特開2017-163322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記増幅器の場合、起動時にイーサネットのリンクアップ、gPTP(generalized Precision Time Protocol)による時刻同期、イーサネットAVBストリームの開始タイム及び終了タイムの定義情報の取得等の各種処理を行う。このため、オーディオデータ再生用のパルスの生成を開始し、オーディオデータの出力を行うまでには、一定程度の時間を要する。
【0005】
この結果、例えば、上記増幅器が、オーディオデータに加えて警告音の出力を行うよう構成されていた場合には、起動時に警告音を出力する必要が生じても、直ちに警告音を出力することができないという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、車載装置の起動時において、警告音の出力を開始するまでの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、車載装置は、
所定の機器により送信されるデータストリームを受信する前から、該機器に応じた第1パルスを生成する第1パルス生成部と、
受信した前記データストリームに基づいて、前記第1パルスとは異なる周波数の第2パルスを生成する第2パルス生成部と、
前記第1パルスまたは前記第2パルスに基づいて、前記データストリームに応じたオーディオデータ及び/又は警告音を出力する出力部と、
前記データストリームを受信する前から、前記出力部に対して前記第1パルスを出力し、前記第1パルスの立ち上がりと、受信した前記データストリームに基づいて生成された前記第2パルスの立ち上がりとが一致して以降は、前記出力部に対して前記第2パルスを出力する切替部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
車載装置の起動時において、警告音の出力を開始するまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1の実施形態に係る車載装置の一構成例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る車載装置のパルスの流れを示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る車載装置によるオーディオデータ処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態に係る車載装置の一構成例及びパルスの流れを示す図である。
【
図6】第2の実施形態に係る車載装置によるオーディオデータ処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
[第1の実施形態]
<車載装置の構成>
はじめに、第1の実施形態に係る車載装置(増幅器)の構成について説明する。なお、ここでは、車載装置(増幅器)の構成の違いを明確にするために、まず、(1)比較例の車載装置(増幅器)の構成について説明し、続いて、(2)第1の実施形態に係る車載装置(増幅器)の構成について説明する。
【0012】
(1)比較例の車載装置(増幅器)の構成
図1は、比較例の車載装置の構成を示す図である。このうち、
図1(a)に示す車載システム100は、起動時に、イーサネットAVBストリーム(データストリームの一例)を受信し、オーディオデータ再生用のパルスの生成を開始した後に、オーディオデータの出力を行うよう構成された増幅器120を有する。はじめに、
図1(a)に示す車載システム100について説明する。
【0013】
図1(a)に示すように、車載システム100は、ヘッドユニット110と、増幅器120と、スピーカ130とを有する。
【0014】
ヘッドユニット110は、イーサネットAVBトーカとして動作し、オーディオデータを含むイーサネットAVBストリームを送信する所定の機器である。
【0015】
増幅器120は、イーサネットAVBリスナ121、イーサネットAVBパルス生成部122、PLL(Pulse Locked Loop)部123、オーディオI/F(Interface)部124、合成部125、警告音信号出力部126を有する。
【0016】
イーサネットAVBリスナ121は、イーサネットのリンクアップ処理、gPTPによる時刻同期処理を行い、ヘッドユニット110より、イーサネットAVBストリームを受信する。また、イーサネットAVBリスナ121は、イーサネットAVBストリームの開始タイム及び終了タイムの定義情報の取得処理等を行う。更に、イーサネットAVBリスナ121は、イーサネットAVBパルス生成部122に、パルスの生成開始を指示するとともに、オーディオI/F部124に、イーサネットAVBストリームに含まれるオーディオデータを通知する。
【0017】
イーサネットAVBパルス生成部122は、第2パルス生成部の一例であり、イーサネットAVBリスナ121からの指示を受け付けると、イーサネットAVBストリームに基づいて、イーサネットAVBパルス(第2パルス)の生成を開始する。
【0018】
PLL部123は、イーサネットAVBパルス生成部122において生成が開始されたイーサネットAVBパルスに同期して、オーディオデータ及び警告音が出力されるように、オーディオI/F部124及び警告音信号出力部126を制御する。
【0019】
オーディオI/F部124は、イーサネットAVBリスナ121より通知されたオーディオデータを、イーサネットAVBパルスに基づいて出力する。
【0020】
警告音信号出力部126は出力部の一例であり、外部機器からの指令があった場合に、警告音を、イーサネットAVBパルスに基づいて出力する。
【0021】
合成部125は、オーディオI/F部124より出力されたオーディオデータと、警告音信号出力部126より出力された警告音とを合成し、スピーカ130に出力する。これにより、スピーカ130からは、オーディオデータ及び警告音が出力される。
【0022】
このように、車載システム100の場合、増幅器120の警告音信号出力部126は、イーサネットAVBパルスに基づいて、警告音を出力するよう構成されている。このため、増幅器120の起動時に、イーサネットAVBパルスの生成が開始されるまでの間は、外部機器からの指令があった場合でも直ちに警告音を出力することができない。
【0023】
一方、
図1(b)に示す車載システム100'は、警告音信号出力部126が、イーサネットAVBパルスに基づいて警告音を出力する代わりに、ローカルパルスに基づいて警告音を出力するよう構成された増幅器140を有する。
【0024】
図1(b)に示す車載システム100'の場合、車載システム100とは異なり、増幅器140が、ASRC(Asynchronous Sample Rate Converter)141、ローカルパルス生成部142、PLL部143を有する。
【0025】
ローカルパルス生成部142は、警告音を出力するためのローカルパルス(第1パルス)を生成する。
【0026】
PLL部143は、ローカルパルス生成部142において生成されたローカルパルスに同期して警告音が出力されるように、警告音信号出力部126を制御する。
【0027】
ASRC141は、イーサネットAVBパルスに基づいてオーディオI/F部124より出力されるオーディオデータを、ローカルパルスに基づいて警告音信号出力部126より出力される警告音と同期させるための処理を行う。
【0028】
このように、
図1(b)に示す車載システム100'の場合、増幅器140の警告音信号出力部126が、ローカルパルスに基づいて警告音を出力するよう構成されている。このため、
図1(a)に示す車載システム100のように、増幅器120の起動時に、イーサネットAVBパルスの生成が開始されるまでの間は、警告音を出力することができない、といった事態を回避することができる。
【0029】
一方で、
図1(b)に示す車載システム100'の場合、増幅器140に新たにASRC141を配する必要があり、コスト増加が不可避となる。また、
図1(b)に示す車載システム100'の場合、バイナリデータを出力することができないといった問題もある。
【0030】
(2)第1の実施形態に係る車載装置(増幅器)の構成
図2は、第1の実施形態に係る車載装置の構成を示す図である。
図1に示す車載システム100、100'との相違点は、
図2に示す車載システム200の場合、増幅器220が、ローカルパルス生成部221及び切替部222を有する点である。
【0031】
ローカルパルス生成部221は、第1パルス生成部の一例であり、ヘッドユニット110に応じたローカルパルスを生成する。ローカルパルス生成部221は、増幅器220の起動時にローカルパルスを生成する。
【0032】
切替部222は、増幅器220の起動時は、ローカルパルス生成部221により生成されたローカルパルスを、PLL部123に出力する。また、切替部222は、ローカルパルス生成部221により生成されたローカルパルスと、イーサネットAVBパルス生成部122により生成されたイーサネットAVBパルスとが一致したタイミングで、PLL部123への出力を切り替える。具体的には、切替部222は、PLL部123への出力をローカルパルスからイーサネットAVBパルスに切り替え、イーサネットAVBパルスをPLL部123に出力する。
【0033】
これにより、切替部222による切り替え後は、イーサネットAVBパルスに基づいて、オーディオデータ及び警告音が出力される。
【0034】
このように、第1の実施形態に係る車載装置(増幅器220)によれば、起動時に、警告音信号出力部126がイーサネットAVBパルスの代わりに、ローカルパルスに基づいて警告音を出力する。このため、
図1(a)に示す車載システム100のように、増幅器220の起動時に、イーサネットAVBパルスの生成が開始されるまでの間は、警告音を出力することができないといった事態を回避することができる。つまり、増幅器220の起動時において、警告音の出力を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0035】
また、第1の実施形態に係る車載装置(増幅器220)によれば、イーサネットAVBパルスの生成が開始され、ローカルパルスと一致して以降は、イーサネットAVBパルスに基づいて、オーディオデータ及び警告音が出力される。このため、
図1(b)に示す車載システム100'のように、増幅器にASRC141を配する必要がなく、コスト増加を回避することができる。また、第1の実施形態に係る車載装置(増幅器220)によれば、バイナリデータの出力も行うことができる。
【0036】
<切替部の機能>
次に、切替部222の機能について更に詳細に説明する。
図3は、第1の実施形態に係る車載装置のパルスの流れを示す図である。
図3において、太点線矢印Iは、増幅器220の起動時のパルスの流れを示している。増幅器220が起動することで、ローカルパルス生成部221では、ローカルパルスの生成を開始するため、切替部222では、ローカルパルス生成部221において生成されたローカルパルスを、PLL部123に出力する。
【0037】
このため、この時点で、イーサネットAVBパルス生成部122がイーサネットAVBパルスの生成を開始していなかったとしても、警告音信号出力部126では、外部機器からの指令を受け付けた場合、ローカルパルスに基づいて警告音を出力することができる。
【0038】
一方、
図3において、太点線矢印IIは、ヘッドユニット110からイーサネットAVBストリームが送信され、イーサネットAVBパルス生成部122が、イーサネットAVBパルスの生成を開始して以降のパルスの流れを示している。
【0039】
イーサネットAVBパルスとローカルパルスとが一致することで、切替部222では、PLL部123に出力するパルスを切り替え、イーサネットAVBパルス生成部122において生成されたイーサネットAVBパルスを、PLL部123に出力する。
【0040】
これにより、オーディオI/F部124は、イーサネットAVBパルスに基づいて、オーディオデータを出力する。また、警告音信号出力部126は、外部機器から指令を受け付けると、イーサネットAVBパルスに基づいて、警告音を出力する。
【0041】
<オーディオデータ処理の流れ>
次に、第1の実施形態に係る車載装置(増幅器220)のオーディオデータ処理の流れについて説明する。
図4は、第1の実施形態に係る車載装置のオーディオデータ処理の流れを示すフローチャートである。増幅器220が起動することで、
図4に示すオーディオデータ処理が開始される。
【0042】
ステップS401において、ローカルパルス生成部221は、ローカルパルスの生成を開始する。
【0043】
ステップS402において、警告音信号出力部126は、外部機器から指令を受け付けたか否かを判定する。ステップS402において指令を受け付けていないと判定した場合には(ステップS402においてNoの場合には)、ステップS404に進む。
【0044】
一方、ステップS402において指令を受け付けたと判定した場合には(ステップS402においてYesの場合には)、ステップS403に進む。ステップS403において、警告音信号出力部126は、ローカルパルスに基づいて、警告音を出力する。
【0045】
ステップS404において、イーサネットAVBリスナ121は、ヘッドユニット110より、イーサネットAVBストリームを受信したか否かを判定する。ステップS404において、イーサネットAVBストリームを受信していないと判定した場合には(ステップS404においてNoの場合には)、ステップS402に戻る。なお、この時点では、イーサネットのリンクアップ処理、gPTPによる時刻同期処理は完了しているものとする。
【0046】
一方、ステップS404において、イーサネットAVBストリームを受信したと判定した場合には(ステップS404においてYesの場合には)、イーサネットAVBストリームの開始タイム及び終了タイムの定義情報の取得処理等を行う。その後、ステップS405に進む。
【0047】
ステップS405において、イーサネットAVBパルス生成部122は、イーサネットAVBパルスの生成を開始する。
【0048】
ステップS406において、切替部222は、ローカルパルス生成部221により生成されたローカルパルスと、イーサネットAVBパルス生成部122により生成されたイーサネットAVBパルスとが一致したか否かを判定する。
【0049】
ステップS406において、一致していないと判定した場合には(ステップS406においてNoの場合には)、ステップS407に進む。ステップS407において、オーディオI/F部124は、ローカルパルスに基づいて、オーディオデータを出力する。
【0050】
ステップS408において、警告音信号出力部126は、外部機器から指令を受け付けたか否かを判定する。ステップS408において指令を受け付けていないと判定した場合には(ステップS408においてNoの場合には)、ステップS406に戻る。
【0051】
一方、ステップS408において指令を受け付けたと判定した場合には(ステップS408においてYesの場合には)、ステップS409に進む。ステップS409において、警告音信号出力部126は、ローカルパルスに基づいて、警告音を出力する。
【0052】
一方、ステップS406において、一致したと判定した場合には(ステップS406においてYesの場合には)、ステップS410に進む。ステップS410において、切替部222は、PLL部123に出力するパルスを、ローカルパルスからイーサネットAVBパルスに切り替える。これにより、オーディオI/F部124では、イーサネットAVBパルスに基づき、オーディオデータを出力する。なお、切替部222により、イーサネットAVBパルスに切り替えられると、ローカルパルス生成部221では、ローカルパルスの生成を停止する。
【0053】
ステップS411において、警告音信号出力部126は、外部機器から指令を受け付けたか否かを判定する。ステップS411において指令を受け付けていないと判定した場合には(ステップS411においてNoの場合には)、ステップS413に進む。
【0054】
一方、ステップS411において指令を受け付けたと判定した場合には(ステップS411においてYesの場合には)、ステップS412に進む。ステップS412において、警告音信号出力部126は、イーサネットAVBパルスに基づいて、警告音を出力する。
【0055】
ステップS413において、イーサネットAVBリスナ121は、オーディオデータ処理を継続するか否かを判定する。ステップS413において、オーディオデータ処理を継続すると判定した場合には(ステップS413においてYesの場合には)、ステップS410に戻る。
【0056】
一方、ステップS413において、オーディオデータ処理を継続しないと判定した場合には(ステップS413においてNoの場合には)、オーディオデータ処理を終了する。
【0057】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る車載装置(増幅器220)は、
・起動時に、ヘッドユニットにより送信されるイーサネットAVBストリームを受信する前から、ヘッドユニットに応じたローカルパルスを生成するローカルパルス生成部を有する。
・受信したイーサネットAVBストリームに基づいて、イーサネットAVBパルスを生成するイーサネットAVBパルス生成部を有する。
・ローカルパルスまたはイーサネットAVBパルスに基づいて警告音を出力する警告音信号出力部を有する。
・イーサネットAVBストリームを受信する前から、警告音信号出力部に対して、ローカルパルスを出力し、ローカルパルスとイーサネットAVBパルスとが一致して以降は、イーサネットAVBパルスを出力する切替部を有する。
【0058】
これにより、第1の実施形態に係る車載装置によれば、起動時にローカルパルスに基づいて警告音を出力することが可能となり、イーサネットAVBパルスの生成が開始されるまでの間は、警告音を出力することができない、といった事態を回避することができる。つまり、車載装置の起動時において、警告音の出力を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0059】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、切替部による切り替えが行われて以降は、イーサネットAVBパルスに基づいて、オーディオデータ及び警告音の出力が行われるものとして説明した。しかしながら、切り替えが行われて以降に、例えば、ヘッドユニット110からのイーサネットAVBストリームの送信が途絶することも考えられる。
【0060】
このような場合、イーサネットAVBパルス生成部によるイーサネットAVBパルスの生成が停止するため、この間に、外部機器から指令を受け付けたとしても、警告音信号出力部126では、警告音を出力することができない。
【0061】
そこで、第2の実施形態では、イーサネットAVBストリームの送信が途絶した場合には、ローカルパルス生成部522によるローカルパルスの生成を再開し、警告音信号出力部では、ローカルパルスに基づいて警告音を出力する。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0062】
<第2の実施形態に係る車載装置(増幅器)の構成>
はじめに、第2の実施形態に係る車載装置(増幅器)の構成について説明する。
図5は、第2の実施形態に係る車載装置の一構成例及びパルスの流れを示す図である。
図5に示す車載システム500の
図2との相違点は、増幅器520に含まれるイーサネットAVBパルス生成部521の機能、ローカルパルス生成部522の機能、切替部523の機能である。
【0063】
イーサネットAVBパルス生成部521は、
図1を用いて説明したイーサネットAVBパルス生成部122の機能に加えて、ヘッドユニット110からのイーサネットAVBストリームの送信が途絶したか否かを監視する機能を有する。
【0064】
また、イーサネットAVBパルス生成部521は、途絶したと判定した場合に、ローカルパルス生成部522、切替部523に通知する機能を有する。
【0065】
ローカルパルス生成部522は、
図2を用いて説明したローカルパルス生成部221の機能に加えて、イーサネットAVBパルス生成部521からの通知に基づき、イーサネットAVBパルスと同期したタイミングでローカルパルスの生成を再開する機能を有する。
【0066】
切替部523は、
図2を用いて説明した切替部222の機能に加えて、イーサネットAVBパルス生成部521からの通知に基づいて、PLL部123への出力を、ローカルパルスに切り替える機能を有する。これにより、警告音信号出力部126では、外部機器から指令を受け付けた場合、ローカルパルス生成部522により生成が再開されたローカルパルスに基づいて、警告音を出力する(太点線矢印III参照)。
【0067】
<オーディオデータ処理の流れ>
次に、第2の実施形態に係る車載装置(増幅器520)のオーディオデータ処理の流れについて説明する。
図6は、第2の実施形態に係る車載装置のオーディオデータ処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示すオーディオデータ処理との相違点は、ステップS601~S602である。
【0068】
ステップS601において、イーサネットAVBパルス生成部521は、ヘッドユニット110からのイーサネットAVBストリームの送信が途絶したか否かを判定する。ステップS601において、途絶していないと判定した場合には(ステップS601においてNoの場合には)、ステップS413に進む。
【0069】
一方、ステップS601において、途絶したと判定した場合には(ステップS601においてYesの場合には)、ステップS602に進む。
【0070】
ステップS602において、ローカルパルス生成部522は、イーサネットAVBパルスと同期したタイミングで、ローカルパルスの生成を再開し、ステップS402に戻る。
【0071】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係る車載装置(増幅器520)は、
・切替部による切り替えが行われて以降に、イーサネットAVBストリームの送信が途絶したか否かを監視する。
・途絶したと判定した場合に、ローカルパルス生成部によるローカルパルスの生成を再開し、警告音信号出力部では、ローカルパルスに基づいて、警告音を出力する。
【0072】
これにより、第2の実施形態に係る車載装置によれば、イーサネットAVBストリームの送信が途絶した場合であっても、警告音を出力することができる。
【0073】
[その他の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、増幅器220、520の機能をハードウェアにより構成するものとして説明したが、増幅器220、520の機能の一部をソフトウェアにより構成してもよい。具体的には、コンピュータに、データ処理プログラムを実行させることにより、増幅器220、520の機能の一部を実現するように構成してもよい。なお、ここでいうコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により形成されるものとする。
【0074】
また、上記第1及び第2の実施形態では、車載システム200、500において増幅器220、520を個別の車載装置として示したが、増幅器220、520は、他の車載装置の一部として設けられてもよい。
【0075】
また、上記第1及び第2の実施形態では、イーサネットAVBプロトコルの場合について記載したが、他のプロトコルにも適用可能であることはいうまでもない。
【0076】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0077】
100 :車載システム
100' :車載システム
110 :ヘッドユニット
120 :増幅器
121 :イーサネットAVBリスナ
122 :イーサネットAVBパルス生成部
123 :PLL部
124 :オーディオI/F部
125 :合成部
126 :警告音信号出力部
130 :スピーカ
140 :増幅器
200 :車載システム
220 :増幅器
221 :ローカルパルス生成部
222 :切替部
500 :車載システム
520 :増幅器
521 :イーサネットAVBパルス生成部
522 :ローカルパルス生成部
523 :切替部