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特許7114206処理方法、生産方法およびハイドロキシアパタイト充填剤
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  • 特許-処理方法、生産方法およびハイドロキシアパタイト充填剤 図1
  • 特許-処理方法、生産方法およびハイドロキシアパタイト充填剤 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】処理方法、生産方法およびハイドロキシアパタイト充填剤
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/22 20060101AFI20220801BHJP
   B01J 20/281 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
C07K1/22
B01J20/281 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020544676
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(86)【国際出願番号】 JP2020015698
(87)【国際公開番号】W WO2021186750
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2020-08-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2020047003
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501046420
【氏名又は名称】HOYA Technosurgical株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166637
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 圭
(72)【発明者】
【氏名】河東 万智子
(72)【発明者】
【氏名】吉武 朋彦
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】長井 啓子
【審判官】宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-507033(JP,A)
【文献】特表2011-522055(JP,A)
【文献】特表2010-518836(JP,A)
【文献】特表2014-507368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
JSTPlus/JST7580/JMEDPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロキシアパタイト充填剤を処理するための方法であって、
前記ハイドロキシアパタイト充填剤にリン酸塩を含む液体を通液させる工程と、前記ハイドロキシアパタイト充填剤にアルカリを含む液体を通液させる工程とを含む第1ステップと、
前記第1ステップの後に、前記ハイドロキシアパタイト充填剤にアルコール水溶液(但し、塩又はアルカリを実質的に含むものを除く)を少なくとも7日間に亘って接触させて保存する第2ステップとを有することを特徴とする処理方法。
【請求項2】
前記アルコールは、低級アルコールであり、前記アルコール水溶液における含有量が20wt%以上であ、請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記第1ステップ及び前記第2ステップに先立って、カルシウムイオンを含む緩衝液を、前記ハイドロキシアパタイト充填剤に接触させる工程をさらに有する請求項1又は2に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロキシアパタイト充填剤の耐久性を向上させることが可能な処理方法、かかる処理方法が適用された生産方法およびハイドロキシアパタイト充填剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロキシアパタイトの二次粒子を含む粉体のようなハイドロキシアパタイト充填剤は、生体親和性に優れることから、従来から、試料液中に含まれるタンパク質等の帯電物質を吸着・分離する液体クロマトグラフィー用カラム(吸着装置)に使用する吸着剤として広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この液体クロマトグラフィー用カラムでは、カラム本体内に充填された吸着剤、すなわち、ハイドロキシアパタイト充填剤において、試料液中に含まれる帯電物質を、吸着剤に吸着させた後に、吸着剤から離脱させることにより分離させ、この吸着・分離を繰り返して実施することにより、試料液中に含まれる帯電物質すなわち目的物質としての単離物の分離(精製)を複数回に亘って行うことができる。
【0004】
ところで、ハイドロキシアパタイト充填剤で構成される吸着剤を用いた帯電物質(目的物質)の分離を、繰り返して実施すること、さらに、この分離を一時休止して、保存液をカラム本体内に供給することで吸着剤を保存する保存処理を実施することにより、カラム本体内に充填された吸着剤のうち、特に、流出側開口付近に位置する吸着剤において、カラム本体内に試料液を供給する際に、大きな圧力が掛かることとなる。そして、これに起因して、粒子状をなす吸着剤すなわち粉体が、砂状または塊状をなすものとなってしまう。その結果、カラム本体内に試料液を供給するときの圧力が、繰り返して実施する回数を重ねる毎に大きくなり、最終的には、カラム本体内に試料液を供給すなわち流入させることができなくなると言う問題が生じる。すなわち、ハイドロキシアパタイトの二次粒子を含む粉体で構成される吸着剤を用いて、試料液中に含まれる帯電物質(目的物質)の分離を、複数回に亘って繰り返して実施するための耐久性を、ハイドロキシアパタイトの二次粒子を含む粉体に対して、さらに高める余地があった。本発明者は、このような余地を有することを発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2013-534252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ハイドロキシアパタイト充填剤で構成される吸着剤を用いた、試料液中に含まれる帯電物質の分離を、ハイドロキシアパタイト充填剤に優れた耐久性を付与することで、複数回に亘り連続して実施することができる処理方法、かかる処理方法が適用された生産方法およびハイドロキシアパタイト充填剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)~(12)に記載の本発明により達成される。
(1) ハイドロキシアパタイト充填剤に、所定の物質を含む第1の液体を接触させる第1ステップと、
前記ハイドロキシアパタイト充填剤に、アルコールを含む第2の液体を接触させる第2ステップとを有することを特徴とする処理方法。
これにより、ハイドロキシアパタイト充填剤に優れた耐久性を付与することができる。
【0008】
(2) 前記アルコールは、低級アルコールである上記(1)に記載の処理方法。
これにより、ハイドロキシアパタイト充填剤で構成される吸着剤に、優れた耐久性を確実に付与することができる。
【0009】
(3) 前記第2の液体において、前記アルコールは、その含有量が20wt%以上である上記(1)または(2)に記載の処理方法。
これにより、ハイドロキシアパタイト充填剤で構成される吸着剤に、優れた耐久性を確実に付与することができる。
【0010】
(4) 前記第2の液体は、さらに、カルシウムイオンを含む上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の処理方法。
これにより、ハイドロキシアパタイト充填剤で構成される吸着剤に、優れた耐久性を確実に付与することができる。
【0011】
(5) 前記第2の液体における、前記カルシウムイオンの濃度は1.0mM以上20.0mM以下である上記(4)に記載の処理方法。
これにより、ハイドロキシアパタイト充填剤で構成される吸着剤に、優れた耐久性を確実に付与することができる。
【0012】
(6) ハイドロキシアパタイト充填剤に、所定の物質を含む第1の液体を接触させる第1ステップと、
前記ハイドロキシアパタイト充填剤に、含有量が0.05M以下のNaOHを含む第2の液体を12時間以上接触させる第2ステップとを有することを特徴とする処理方法。
これにより、ハイドロキシアパタイト充填剤に優れた耐久性を付与することができる。
【0013】
(7) 前記第2ステップにおいて、前記ハイドロキシアパタイト充填剤に対する前記第2の液体による接触は、前記ハイドロキシアパタイト充填剤の2倍量以上の前記第2の液体を、前記ハイドロキシアパタイト充填剤を通過させた後に、前記第2の液体中に前記ハイドロキシアパタイト充填剤を静置する工程を含む上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の処理方法。
これにより、吸着剤に対して処理液を安定的に接触させることができる。
【0014】
(8) 前記第1ステップにおいて、前記所定の物質としてリン酸塩を含むリン酸緩衝液を前記第1の液体として、前記ハイドロキシアパタイト充填剤に接触させる注入工程と、
前記所定の物質としてリン酸塩と、リン酸塩とは異なる他の塩とを含むリン酸緩衝液を前記第1の液体として、前記ハイドロキシアパタイト充填剤に接触させる回収工程と、
前記所定の物質としてリン酸塩を含むリン酸緩衝液を前記第1の液体として、前記ハイドロキシアパタイト充填剤に接触させる洗浄工程と、
前記所定の物質としてアルカリを含むアルカリ溶液を前記第1の液体として、前記ハイドロキシアパタイト充填剤に接触させるアルカリ洗浄工程と、
前記所定の物質としてリン酸塩を含むリン酸緩衝液を前記第1の液体として、前記ハイドロキシアパタイト充填剤に接触させるpH平衡工程と、を有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の処理方法。
かかる工程を適用することで、所定の物質を含む第1の液体が接触した、ハイドロキシアパタイト充填剤を用意することができる。
【0015】
(9) さらに、前記洗浄工程に先立って、カルシウムイオンを含む前記第1の液体を、前記ハイドロキシアパタイト充填剤に接触させるCa補填工程を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の処理方法。
かかる工程を適用することで、所定の物質を含む第1の液体が接触した、ハイドロキシアパタイト充填剤を用意することができる。
【0016】
(10) 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の処理方法によって前記ハイドロキシアパタイト充填剤を処理する処理工程と、
目的物質を含む液体組成物を準備する組成物準備工程と、
前記処理工程で処理された前記ハイドロキシアパタイト充填剤を用いて、前記液体組成物から前記目的物質を分離して得る分離工程と、を有することを特徴とする生産方法。
本発明の生産方法を適用することで、目的物質を優れた精度で精製することができる。
【0017】
(11) 目的物質を含む液体組成物から該目的物質を分離する分離工程においてすでに一度以上使用された前記ハイドロキシアパタイト充填剤を準備する充填剤準備工程と、
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の処理方法によって、前記ハイドロキシアパタイト充填剤を処理することにより、耐久性を向上させた前記ハイドロキシアパタイト充填剤を得る再生産工程とを有することを特徴とする生産方法。
本発明の生産方法を適用することで、耐久性を向上させたハイドロキシアパタイト充填剤を得ることができる。
【0018】
(12) 上記(11)に記載の生産方法によって得られるハイドロキシアパタイト充填剤。
これにより、ハイドロキシアパタイト充填剤を、耐久性を向上させたものとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の処理方法によれば、ハイドロキシアパタイト充填剤に優れた耐久性を付与することができる。そのため、ハイドロキシアパタイト充填剤で構成される吸着剤を用いた、試料液中に含まれる帯電物質の分離に適用した際には、この分離を、複数回に亘って安定的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の処理方法および生産方法を適用し得る吸着剤を備える吸着装置の一例を示す縦断面図である。
図2】本発明の処理方法が適用された、ハイドロキシアパタイト充填剤の処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の処理方法、生産方法およびハイドロキシアパタイト充填剤を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0022】
まず、本発明の処理方法について説明するのに先立って、本発明の処理方法および生産方法を適用し得る吸着剤(本発明のハイドロキシアパタイト充填剤)を備える吸着装置の一例について説明する。
【0023】
なお、以下では、吸着装置を用いて分離する帯電物質(単離物)がタンパク質である場合、すなわち、帯電物質を構成する負帯電物質および正帯電物質のうち、負帯電物質が酸性タンパク質であり、正帯電物質が塩基性タンパク質である場合を一例として説明する。
【0024】
<吸着装置>
図1は、本発明の処理方法および生産方法を適用し得る吸着剤を備える吸着装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「流入側」、下側を「流出側」と言う。
【0025】
ここで、流入側とは、目的とするタンパク質すなわち単離物を分離(精製)する際に、例えば、試料液(試料を含む液体)、溶出液であるリン酸系緩衝液等の液体を、吸着装置内に供給する側のことを言い、一方、流出側とは、前記流入側と反対側、すなわち、前記液体が吸着装置内から流出する側のことを言う。
【0026】
タンパク質を試料液から分離(精製)するために用いられる、図1に示す吸着装置1は、カラム2と、粒状の吸着剤(充填剤)3と、2枚のフィルタ部材4、5とを有している。
【0027】
カラム2は、カラム本体21と、このカラム本体21の流入側端部および流出側端部に、それぞれ装着されるキャップ(蓋体)22、23とで構成されている。
【0028】
カラム本体21は、例えば円筒状の部材で構成されている。カラム本体21を含めカラム2を構成する各部(各部材)の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種樹脂材料、各種金属材料、各種セラミックス材料等が挙げられる。
【0029】
カラム本体21には、その流入側開口および流出側開口を、それぞれ塞ぐようにフィルタ部材4、5を配置した状態で、その流入側端部および流出側端部に、それぞれキャップ22、23が螺合により装着される。
【0030】
このような構成のカラム2では、カラム本体21と各フィルタ部材4、5とにより、吸着剤充填空間20が画成されている。そして、この吸着剤充填空間20の少なくとも一部に(本実施形態では、ほぼ満量で)、吸着剤3が充填されている。
【0031】
吸着剤充填空間20の容積は、試料液の容量に応じて適宜設定され、特に限定されないが、試料液1mLに対して、0.1mL以上100mL以下程度が好ましく、1mL以上50mL以下程度がより好ましい。
【0032】
また、カラム本体21に各キャップ22、23を装着した状態で、これらの間の液密性が確保されるように構成されている。
【0033】
各キャップ22、23のほぼ中央には、それぞれ、流入管24および流出管25が液密に固着(固定)されている。この流入管24およびフィルタ部材4を介して吸着剤3に、前記液体が供給される。また、吸着剤3に供給された液体は、吸着剤3同士の間(間隙)を通過して、フィルタ部材5および流出管25を介して、カラム2外へ流出する。このとき、試料液(試料)に含まれる分離すべきタンパク質(以下、単に「タンパク質」と言うこともある)と、分離すべきタンパク質以外の物質(分離すべきタンパク質以外の夾雑タンパク質(以下、単に「夾雑タンパク質」と言うこともある)が含まれていてもよい)とは、吸着剤3に対する吸着性の差異およびリン酸系緩衝液のような緩衝液等に対する親和性の差異に基づいて分離される。
【0034】
各フィルタ部材4、5は、それぞれ、吸着剤充填空間20から吸着剤3が流出するのを防止する機能を有するものである。これらのフィルタ部材4、5は、それぞれ、例えば、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエーテルポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂からなる不織布、発泡体(連通孔を有するスポンジ状多孔質体)、織布、メッシュ等で構成されている。
【0035】
吸着剤3は、ハイドロキシアパタイト充填剤で構成され、具体的には、例えば、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))の二次粒子を含む粉体で構成されている。かかる吸着剤3には、分離すべきタンパク質が、このタンパク質固有の吸着(担持)力で特異的に吸着し、この吸着力の差に応じて、分離すべきタンパク質以外の他の物質(夾雑タンパク質を含む)と分離・精製される。
【0036】
ここで、タンパク質は、一般的に、その構成アミノ酸として酸性アミノ酸を比較的多く含み負に帯電する酸性タンパク質と、塩基性アミノ酸を比較的多く含み正に帯電する塩基性タンパク質とに分類される。
【0037】
一方、ハイドロキシアパタイトは、その結晶構造中に、正に帯電するCaサイトと、負に帯電するリン酸サイトとを形成している。
【0038】
したがって、タンパク質のうち酸性タンパク質は、ハイドロキシアパタイトが有するCaサイトと、酸性アミノ酸との間でイオン結合を形成し、塩基性タンパク質は、ハイドロキシアパタイトが有するリン酸サイトと、塩基性アミノ酸との間でイオン結合を形成することとなる。また、タンパク質のハイドロキシアパタイトに対する結合の強度は、各タンパク質(酸性タンパク質および塩基性タンパク質)の帯電量に応じて、タンパク質毎に応じて異なる大きさ(吸着力)となっている。
【0039】
このため、ハイドロキシアパタイト充填剤で構成される吸着剤3を用いれば、タンパク質(酸性タンパク質および塩基性タンパク質)と、他の物質(例えば、夾雑タンパク質等)とを、これらの吸着剤3に対する吸着力の差を利用して分離することが可能となる。
【0040】
また、ハイドロキシアパタイトは、リン酸カルシウム系化合物の中でも、特に、生体を構成する成分に近いため、タンパク質を吸着・分離する際に、かかるタンパク質が変質(変性)するのを好適に防止することができる。また、溶出液として、例えば、リン酸系緩衝液の塩濃度を変えて用いることで、タンパク質を、吸着剤3から特異的に取り外すことができるという利点も有する。
【0041】
さらに、ハイドロキシアパタイトは、それが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたものであってもよい。フッ素原子で置換されたハイドロキシアパタイト(以下、「フッ素アパタイト」と言う)は、その結晶構造中にフッ素原子(フッ素イオン)が存在することにより、カルシウム原子(カルシウムイオン)のフッ素アパタイトからの離脱をより確実に防止することができる。
【0042】
なお、以下では、ハイドロキシアパタイトおよびフッ素原子で置換されているフルオロアパタイトを、総称して「アパタイト」と言うこともある。
【0043】
また、吸着剤3は、前述の通り、ハイドロキシアパタイト充填剤で構成されるが、その形態(形状)は、図1に示すように、粒状(顆粒状)のものであるのが好ましいが、その他、例えばペレット状(小塊状)、ブロック状(例えば、隣接する空孔同士が互いに連通する多孔質体、ハニカム形状)等とすることもできる。なお、吸着剤3を粒状とすることにより、その表面積を増大させることができ、タンパク質の分離特性の向上を図ることができる。
【0044】
粒状の吸着剤3の平均粒径は、特に限定されないが、0.5μm以上150μm以下程度であるのが好ましく、10μm以上80μm以下程度であるのがより好ましい。このような平均粒径の吸着剤3を用いることにより、前記フィルタ部材5の目詰まりを確実に防止しつつ、吸着剤3の表面積を十分に確保することができる。
【0045】
なお、吸着剤3すなわちハイドロキシアパタイト充填剤は、その全体がアパタイトの二次粒子で構成されたものであってもよく、担体(基体)の表面をアパタイトの二位粒子で被覆したものであってもよいが、その全体がアパタイトの二次粒子で構成されたものであるのが好ましい。これにより、吸着剤3の強度をさらに向上することができ、多量のタンパク質を分離する際の使用に適したカラム2を得ることができる。
【0046】
また、その全体がアパタイトの二次粒子で構成された吸着剤3は、例えば、湿式合成法や乾式合成法を用いて、アパタイト粒子(一次粒子)を得、かかるアパタイト粒子を含有するスラリーを、乾燥や造粒することにより、乾燥粒子すなわち二次粒子を得、さらに、この乾燥粒子を焼成する等して得ることができる。
【0047】
一方、担体の表面をアパタイトで被覆した吸着剤3は、例えば、樹脂等で構成される担体に、前記乾燥粒子を衝突(ハイブリダイズ)させる方法等により得ることができる。
【0048】
また、本実施形態のように、吸着剤3を吸着剤充填空間20にほぼ満量充填する場合には、吸着剤3は、吸着剤充填空間20の各部において、ほぼ同一の組成をなしているのが好ましい。これにより、吸着装置1は、タンパク質の分離(精製)能が特に優れたものとなる。
【0049】
さらに、吸着剤充填空間20の一部(例えば流入管24側の一部)に吸着剤3を充填し、その他の部分には他の吸着剤を充填するようにしてもよい。
【0050】
<分離方法>
次に、このような吸着装置1、すなわち、吸着剤3として、アパタイトの二次粒子を含む粉体で構成されたものを用いてタンパク質を分離する、タンパク質の分離方法について説明する。
【0051】
[S1A] 調製工程(組成物準備工程)
まず、分離(精製)すべきタンパク質(目的物質)と、分離すべきタンパク質以外の物質(混合物)とを含有する試料液(液体組成物)を用意する。
【0052】
タンパク質が遺伝子組み換えタンパク質(モノクローナル抗体等)である場合、試料液としては、タンパク質をコードする遺伝子を含む核酸を導入したヒツジ、ウサギ、ニワトリ等の哺乳動物、カイコ等の昆虫のような動物、チャイニーズハムスター卵巣細胞由来のCHO細胞のような動物細胞、大腸菌のような微生物等からの分泌物や、それらの細胞質成分等が挙げられる。
【0053】
また、タンパク質が天然のタンパク質である場合、試料液としては、例えば、各種動物由来の血液(血漿)、リンパ液、唾液、鼻汁のような体液等が挙げられる。
【0054】
さらに、タンパク質のうち酸性タンパク質としては、特に限定されないが、例えば、BSA、HSA、フィブリノゲン、ペプシノーゲン、α-グロブリン、β-グロブリンおよびγ-グロブリン等が挙げられる。また、塩基性タンパク質としては、特に限定されないが、例えば、リゾチーム、ソーマチン、チトクロムC、リボヌクレアーゼ、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、α-キモトリプシン、ヒストン、プロタミン、ポリリジンおよびモネリン等が挙げられる。
【0055】
なお、これらのタンパク質(酸性タンパク質および塩基性タンパク質)は、そのアミノ酸配列の一部のアミノ酸が他のアミノ酸に置き換えられた改変体であっても良い。
【0056】
また、試料液としては、前記微生物等からの分泌物や、動物由来の体液をそのまま用いてもよいが、これらを水や生理食塩水のような中性緩衝液や、リン酸系緩衝液中で希釈したもの、およびフィルタ等の濾過膜で濾過したものを用いることが好ましい。また、試料液には、複数種のタンパク質が含まれていてもよい。
【0057】
さらに、リン酸系緩衝液としては、後述する分画工程[S4A]で説明するものと、同様のものを用いることができる。
【0058】
また、試料液として、リン酸系緩衝液で希釈したものを用いる場合、試料液中における塩濃度は、0.5mM以上30mM以下程度であるのが好ましく、1mM以上20mM以下程度であるのがより好ましい。
【0059】
[S2A] 置換工程
次に、流入管24からカラム2内に、緩衝液を供給する。これにより、カラム2内をこの緩衝液に置換する。
【0060】
緩衝液としては、リン酸系緩衝液が好ましく用いられる。このリン酸系緩衝液としては、下記工程[S4A]で説明する、溶出液として用いられるものと、同様のものを用いることができる。
【0061】
また、緩衝液としてリン酸系緩衝液を用いる場合、リン酸系緩衝液のリン酸塩濃度は、0.5mM以上500mM以下程度であるのが好ましく、1mM以上200mM以下程度であるのがより好ましい。このような塩濃度のリン酸系緩衝液を緩衝液として用いて、カラム2内をこの緩衝液で置換することにより、吸着剤3を、次回のタンパク質の分離に供するのに、より適したものとすることができる。
【0062】
なお、この置換工程[S2A]は、タンパク質の分離方法で分離するタンパク質の種類等によっては省略することもできる。
【0063】
[S3A] 注入工程
次に、前記工程[S1A]で得られた試料液を、流入管24およびフィルタ部材4を介してカラム本体21内に注入することで、カラム2(吸着装置1)内を通過させて、吸着剤3に接触させる。
【0064】
これにより、吸着剤3に対して吸着能が高いタンパク質や、分離(精製)すべきタンパク質以外の混入物(夾雑タンパク質等)の中でも吸着剤3に対して比較的吸着能の高いもの(タンパク質)は、カラム2内に保持される。そして、吸着剤3に対して吸着能の低い混入物は、フィルタ部材5および流出管25を介してカラム2内から流出する。
【0065】
[S4A] 分画工程(回収工程、分離工程)
次に、流入管24からカラム2内に、タンパク質を溶出させるための溶出液として例えばリン酸系緩衝液を供給する。そして、カラム2内から流出管25を介して流出する流出液を、所定量ずつ分画(採取)する。これにより、吸着剤3に吸着しているタンパク質および混入物は、それぞれが有する吸着剤3に対する吸着力の差に応じて、それぞれ、各分画内に溶解した状態で回収(分離・精製)される。すなわち、吸着剤3を用いて、試料液(液体組成物)から目的物質としてのタンパク質が分離されることにより得られることとなる。
【0066】
すなわち、吸着剤3には、タンパク質および混入物が、それぞれに固有の吸着(担持)力で特異的に吸着しているため、この吸着力の差に応じて、タンパク質と混入物とが分離、精製され、分離(精製)すべきタンパク質が溶解している分画を選択的に回収することで、このタンパク質が精製される。
【0067】
溶出液として用いられる緩衝液は、リン酸系緩衝液が好ましく用いられる。このリン酸系緩衝液としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウムおよびリン酸アンモニウム等のリン酸塩を含む水溶液が挙げられる。また、緩衝液は、リン酸系緩衝液の他、MES(2-モルホリノエタンスルホン酸)緩衝液や硫酸であってもよい。
【0068】
また、リン酸系緩衝液を用いる場合、このリン酸系緩衝液には、さらに、リン酸塩とは異なる他の塩が含まれていてもよい。このような塩としては、例えば、NaCl、KCl、NHCl、MgCl等が挙げられる。
【0069】
さらに、リン酸系緩衝液における他の塩の塩濃度は、0.1M以上1.5M以下であるのが好ましく、0.5M以上1.0M以下であるのがより好ましい。かかる塩濃度で含有する他の塩を含むリン酸系緩衝液を用いることで、目的とする画分における、タンパク質の分離を優れた精度で行うことができる。
【0070】
また、リン酸系緩衝液を用いる場合、そのpHは、特に限定されないが、好ましくは5.5~8.5程度、より好ましくは6.0~8.0程度に設定される。これにより、タンパク質を確実に溶出させることができ、その精製率の向上を図ることができる。
【0071】
このリン酸系緩衝液の温度も、特に限定されないが、4~50℃程度であるのが好ましく、10~35℃程度であるのがより好ましい。これにより、分離するタンパク質の変質(変性)を防止することができる。
【0072】
したがって、かかるpH範囲および温度範囲のリン酸系緩衝液を用いることにより、目的とするタンパク質の回収率の向上を図ることができる。
【0073】
また、リン酸系緩衝液のリン酸塩濃度は、0.5mM以上400mM以下程度であるのが好ましく、1mM以上300mM以下程度であるのがより好ましい。このような塩濃度のリン酸系緩衝液を用いて、タンパク質の分離を行うことにより、リン酸系緩衝液中の金属イオンによるタンパク質への悪影響を防止することができる。
【0074】
具体的には、リン酸塩濃度が1mM以上400mM以下程度で、かつ、他の塩の塩濃度が0.1M以上1.5M以下程度であるリン酸系緩衝液が好ましく用いられる。また、リン酸系緩衝液のリン酸塩濃度は、タンパク質の分離操作の際に、連続的または段階的に変化させるのが好ましい。これにより、タンパク質の分離操作の効率化を図ることができる。
【0075】
さらに、リン酸系緩衝液の流速は、0.1mL/分以上10mL/分以下程度であるのが好ましく、0.2mL/分以上5mL/分以下程度であるのがより好ましい。このような流速で、タンパク質の分離を行うことにより、分離操作に長時間を要することなく、目的とするタンパク質を確実に分離すること、すなわち、高純度なタンパク質を得ることができる。
【0076】
以上のような操作により、所定の画分に、タンパク質が回収され、これにより、分離すべきタンパク質(単離物)が、所定の画分において精製される。
【0077】
また、前述のような、吸着装置1を用いたタンパク質の分離を繰り返して実施する際には、以下に示す工程[S5A]~[S7A]を実施して、吸着剤3を洗浄・平衡化することで、吸着装置1は、再度、前記工程[S1A]~[S4A]による、タンパク質の分離に供される。以下、吸着剤3を洗浄・平衡化する工程[S5A]~[S7A]について説明する。
【0078】
[S5A] 洗浄工程
次に、流入管24からカラム2内に、吸着剤3に残存(吸着)しているタンパク質や、夾雑タンパク質等を溶出させることで、吸着剤3を洗浄する洗浄液(第1洗浄液)として例えば緩衝液を供給する。
【0079】
すなわち、吸着剤3には、前記工程[S4A]で溶出することなく、吸着しているタンパク質や、夾雑タンパク質等が残存している。そのため、本工程[S5A]において、洗浄液を供給することで、これらを洗浄液中に溶出させることで、吸着剤3を洗浄する。
【0080】
洗浄液として用いられる緩衝液は、リン酸系緩衝液が好ましく用いられる。このリン酸系緩衝液としては、前記工程[S4A]で説明した、溶出液として用いられるものと、同様のものを用いることができる。
【0081】
また、洗浄液としてリン酸系緩衝液を用いる場合、リン酸系緩衝液のリン酸塩濃度は、200mM以上700mM以下程度であるのが好ましく、300mM以上500mM以下程度であるのがより好ましい。このような塩濃度のリン酸系緩衝液を洗浄液として用いることにより、吸着剤3に残存物として吸着している、タンパク質や、夾雑タンパク質等を洗浄液中に確実に溶出させることができる。
【0082】
[S6A] アルカリ洗浄工程
次に、流入管24からカラム2内に、前記工程[S5A]を施すことによっても、溶出することなく、吸着剤3に残存しているタンパク質や、夾雑タンパク質等を溶出させることで、吸着剤3をさらに洗浄する洗浄液(第2洗浄液)として例えばアルカリ溶液を供給する。
【0083】
すなわち、前記工程[S5A]における緩衝液による洗浄によっても、溶出することなく、吸着剤3に残存(吸着)しているタンパク質や、夾雑タンパク質等を、本工程[S6A]において、洗浄液(第2洗浄液)を供給することで、これらを洗浄液中に溶出させることで、吸着剤3を洗浄する。
【0084】
洗浄液として用いられるアルカリ溶液としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、アンモニアのようなアルカリを含む水溶液等が挙げられる。
【0085】
また、アルカリ溶液のアルカリ濃度は、0.1M以上1.5M以下程度であるのが好ましく、0.5M以上1.0M以下程度であるのがより好ましい。このようなアルカリ濃度のアルカリ溶液を洗浄液として用いることにより、吸着剤3に残存物として吸着している、タンパク質や、夾雑タンパク質等を洗浄液中により確実に溶出させることができる。
【0086】
[S7A] pH平衡工程
次に、流入管24からカラム2内に、洗浄がなされた吸着剤3のpHを平衡化する平衡液として例えば緩衝液を供給する。
【0087】
すなわち、吸着剤3は、前記工程[S6A]におけるアルカリ溶液による洗浄によって、pHがアルカリ性を示すことから、本工程[S7A]において、平衡液を供給することで、吸着剤3のpHの平衡化を図り、吸着剤3のpHが中性近傍を示すものとする。
【0088】
平衡液として用いられる緩衝液は、リン酸系緩衝液が好ましく用いられる。このリン酸系緩衝液としては、前記工程[S4A]で説明した、溶出液として用いられるものと、同様のものを用いることができる。
【0089】
また、平衡液としてリン酸系緩衝液を用いる場合、リン酸系緩衝液のリン酸塩濃度は、200mM以上700mM以下程度であるのが好ましく、300mM以上500mM以下程度であるのがより好ましい。このような塩濃度のリン酸系緩衝液を平衡液として用いることにより、吸着剤3のpHの平衡化を図り、吸着剤3のpHを、確実に中性近傍を示すものとし得る。
【0090】
以上のような工程[S5A]~[S7A]を実施することで、吸着剤3の洗浄・平衡化がなされ、吸着装置1を、再度、タンパク質の分離に供することができる。
【0091】
なお、後述する処理方法を適用する場合、吸着剤3を洗浄・平衡化する前記工程[S5A]~[S7A]のうち、前記工程[S6A]および前記工程[S7A]、または前記工程[S7A]について省略することもできる。
【0092】
また、前記工程[S5A]に先立って、流入管24からカラム2内に、吸着剤3が備えるカルシウムサイトにカルシウムを補填するために、カルシウム溶液を供給するCa補填工程を施すようにしてもよい。以下、このCa補填工程[S8A]について説明する。
【0093】
[S8A] Ca補填工程
前記工程[S5A]に先立って、流入管24からカラム2内に、吸着剤3が備えるカルシウムサイトにカルシウムを補填するために、カルシウム溶液として例えばカルシウム含有緩衝液を供給する。
【0094】
すなわち、吸着剤3では、前記工程[S1A]~[S4A]によるタンパク質の精製を経ることで、吸着剤3すなわちアパタイトの二次粒子が備えるカルシウムサイトの一部からカルシウムが離脱していることがある。そのため、本工程[S8A]において、カルシウム含有緩衝液を供給して、カルシウム含有緩衝液に含まれるカルシウムを、カルシウムが離脱したカルシウムサイトに接触させることで補填する。
【0095】
カルシウム含有緩衝液として用いられる緩衝液は、特に限定されないが、前記工程[S4A]で説明した、溶出液として用いられるものと、同様のものを用いることができるが、中でも、MESが好ましく用いられる。
【0096】
さらに、カルシウム含有緩衝液に含まれるカルシウムは、前記緩衝液中に、カルシムの塩基およびカルシウムの塩のうちの一方、または双方の何れかを添加することで得られたものであることが好ましい。カルシウムの塩基および塩としては、例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウムや、これらの水和物等がそれぞれ挙げられる。
【0097】
カルシウム含有緩衝液におけるカルシウムの含有量は、1mM以上100mM以下程度であるのが好ましく、5mM以上70mM以下程度であるのがより好ましい。
【0098】
以上のようなカルシウム含有緩衝液を用いることにより、カルシウム含有緩衝液に含まれるカルシウムを、カルシウムが離脱したカルシウムサイトに確実に補填することができる。
【0099】
<処理方法>
ここで、この吸着装置1を用いたタンパク質の分離方法では、前記工程[S1A]~[S8A]を繰り返して実施することで、タンパク質の分離が繰り返して実施される。
【0100】
しかしながら、吸着装置1を用いたタンパク質の分離を繰り返して実施すると、前述したとおり、カラム本体21内に充填された吸着剤3のうち、特に、流出側開口付近に位置する吸着剤3において、カラム本体21内に試料液等の液体を供給する際に、大きな圧力が掛かることとなる。そして、これに起因して、粒子状をなす吸着剤3すなわち粉体が、砂状をなすものとなってしまう。その結果、カラム本体21内に前記液体を供給するときの圧力が、繰り返して実施する回数を重ねる毎に大きくなり、最終的には、カラム本体21内に前記液体を供給すなわち流入させることができなくなると言う問題があった。
【0101】
本発明の処理方法は、以上のような、タンパク質の分離を繰り返して実施された吸着剤3すなわちアパタイトの二次粒子を含む粉体を用意し、その後、この吸着剤3に対して、アルコールを含む処理液を接触させるか、もしくはNaOHを含む処理液を12時間以上接触させる。このような処理液による接触を、吸着剤3に対して施すことで、この後に、吸着装置1を用いたタンパク質の分離を再度実施し、カラム本体21内に試料液等の液体を供給したときに、流出側開口付近に位置する吸着剤3において、大きな圧力が掛かったとしても、粒子状をなす吸着剤3すなわち粉体が、砂状をなすものとなるのを的確に抑制または防止することができる。したがって、カラム本体21内に前記液体を供給するときの圧力が、繰り返して実施する毎に大きくなること、ひいては、カラム本体21内に前記液体を供給すなわち流入させることができなくなるのを、的確に抑制または防止することができる。
【0102】
なお、本発明の処理方法を適用して、前記処理液を、カラム本体21内に供給する際にも、カラム本体21内に充填された吸着剤3、特に、流出側開口付近に位置する吸着剤3に圧力が掛かることとなるが、処理液として、アルコールを含む処理液、もしくはNaOHを含む処理液を用いることで、粒子状をなす吸着剤3すなわち粉体が、砂状をなすものとなるのを的確に抑制または防止することができる。
【0103】
図2は、本発明の処理方法が適用された、ハイドロキシアパタイト充填剤の処理方法を示すフローチャートである。
【0104】
本発明の処理方法は、タンパク質の分離を繰り返して実施するために用いられる、吸着剤3すなわちアパタイトの二次粒子を含む粉体に適用される方法であり、タンパク質の分離が実施された吸着剤3すなわちアパタイトの二次粒子を含む粉体(以下、この粉体を「実施済粉体」と言うこともある。)を用意する工程[S1B]と、吸着剤3すなわちアパタイトの二次粒子を含む粉体(実施済粉体)に、アルコールもしくはNaOHを含む処理液を接触させる工程[S2B]とを有する。
【0105】
以下、これらの工程について、順次説明する。
[S1B] 用意工程
まず、タンパク質の分離が実施された吸着剤3すなわち実施済粉体を用意する。
【0106】
本実施形態では、前述した吸着装置1を用いたタンパク質の分離方法、すなわち、前記工程[S1A]~[S8A]を適用することで、実施済粉体が用意される。
【0107】
換言すれば、前述したタンパク質の分離方法、すなわち、前記工程[S1A]~[S8A]により、ハイドロキシアパタイト充填剤に、所定の物質を含む第1の液体を接触させる第1ステップが構成される。
【0108】
または、前述したタンパク質の分離方法、すなわち、前記工程[S1A]~[S8A]により、目的物質を含む液体組成物からこの目的物質を分離する分離工程において、すでに一度以上使用されたハイドロキシアパタイト充填剤を準備する充填剤準備工程が構成される。
【0109】
また、第1ステップを構成する、前記工程[S1A]~[S8A]における、前記工程[S3A]すなわち注入工程では、所定の物質としてリン酸塩を含むリン酸緩衝液が第1の液体として実施済粉体に接触され、また、前記工程[S4A]すなわち分画工程(回収工程)では、所定の物質としてリン酸塩とリン酸塩とは異なる他の塩とを含むリン酸緩衝液が第1の液体として実施済粉体に接触され、前記工程[S5A]すなわち洗浄工程では、所定の物質としてリン酸塩を含むリン酸緩衝液が第1の液体として実施済粉体に接触され、前記工程[S6A]すなわちアルカリ洗浄工程では、所定の物質としてアルカリを含むアルカリ溶液が第1の液体として実施済粉体に接触され、前記工程[S7A]すなわちpH平衡工程では、所定の物質としてリン酸塩を含むリン酸緩衝液が第1の液体として実施済粉体に接触され、さらに、前記工程[S8A]すなわちCa補填工程では、所定の物質としてカルシウムイオンを含むカルシウム含有緩衝液が第1の液体として実施済粉体に接触される。
【0110】
[S2B] 処理工程
次に、吸着剤3すなわち実施済粉体に、アルコールもしくはNaOHを含む処理液を接触させる。
【0111】
この処理工程では、前記の通り処理液として、アルコールを含むものを用いる場合と、NaOHを含むものを用いる場合とがある。
【0112】
そこで、以下では、処理液として、アルコールを含むものを用いる場合と、NaOHを含むものを用いる場合とについて、それぞれ、個別に説明する。
【0113】
[S2B-1] アルコールを含む処理液を用いる場合
処理液として、アルコールを含むものを用いる場合、吸着剤3すなわち実施済粉体に、アルコールを含む処理液(第2の液体)を接触させる(第2ステップ)。
【0114】
このように、実施済粉体に対して、アルコールを含む処理液を接触させることで、この後に、吸着装置1を用いたタンパク質の分離、すなわち、前記工程[S1A]~[S8A]を、再度、実施し、カラム本体21内に試料液等の液体を供給したときに、流出側開口付近に位置する吸着剤3において、大きな圧力が掛かったとしても、粒子状をなす吸着剤3すなわち粉体が、砂状をなすものとなるのを的確に抑制または防止することができる。したがって、カラム本体21内に前記液体を供給するときの圧力が、繰り返して実施する毎に大きくなること、ひいては、カラム本体21内に前記液体を供給すなわち流入させることができなくなるのを、的確に抑制または防止することができる。換言すれば、実施済粉体に優れた耐久性を付与することができる。そのため、実施済粉体で構成される吸着剤3を用いた、試料液中に含まれるタンパク質の分離を、複数回に亘って安定的に実施することができる。
【0115】
処理液中に含まれるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールおよびヘキサノール等の低級アルコールが好ましく用いられ、これらの低級アルコールのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができるが、中でも、特に、エタノールが好ましい。
【0116】
また、処理液は、本実施形態では、アルコールを含む水溶液で構成されるが、この処理液中におけるアルコールの含有量は、20wt%以上であることが好ましく、20wt%以上35wt%以下程度であることがより好ましい。
【0117】
さらに、処理液は、アルコールの他に、カルシウムイオンを含むことが好ましい。なお、カルシウムイオンを含む処理液は、例えば、アルコールを含む水溶液に、カルシウムの塩基および塩のうちの少なくとも1種を添加することにより得ることができる。
【0118】
カルシウムの塩基および塩としては、例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウムや、これらの水和物等がそれぞれ挙げられる。
【0119】
処理液におけるカルシウムイオンの濃度は、1.0mM以上20.0mM以下程度であるのが好ましく、5.0mM以上15.0mM以下程度であるのがより好ましい。
【0120】
以上のような処理液を用いることにより、タンパク質の分離が実施されたハイドロキシアパタイト充填剤に、タンパク質の分離を複数回に亘り連続して実施し得る、優れた耐久性を確実に付与することができる。
【0121】
さらに、処理液中に吸着剤3を静置する時間、すなわち吸着剤3に接触させる時間は、24時間以上であるのが好ましく、48時間以上であるのがさらに好ましい。また、300日以下程度であることが好ましい。
【0122】
吸着剤3を前記処理液に接触させる時間を、前記範囲内に設定することにより、タンパク質の分離が実施された吸着剤3すなわちハイドロキシアパタイト充填剤に、タンパク質の分離を複数回に亘り連続して実施し得る、優れた耐久性を確実に付与することができる。
【0123】
[S2B-2] NaOHを含む処理液を用いる場合
処理液として、NaOHを含むものを用いる場合、吸着剤3すなわち実施済粉体に、含有量が0.05M以下のNaOHを含む処理液(第2の液体)を12時間以上接触させる(第2ステップ)。
【0124】
このように、実施済粉体に対して、含有量が0.05M以下のNaOHを含む処理液を12時間以上接触させることによっても、この後に、吸着装置1を用いたタンパク質の分離、すなわち、前記工程[S1A]~[S8A]を再度実施し、カラム本体21内に試料液等の液体を供給したときに、流出側開口付近に位置する吸着剤3において、大きな圧力が掛かったとしても、粒子状をなす吸着剤3すなわち粉体が、砂状をなすものとなるのを的確に抑制または防止することができる。したがって、カラム本体21内に前記液体を供給するときの圧力が、繰り返して実施する毎に大きくなること、ひいては、カラム本体21内に前記液体を供給すなわち流入させることができなくなるのを、的確に抑制または防止することができる。換言すれば、実施済粉体に優れた耐久性を付与することができる。そのため、実施済粉体で構成される吸着剤3を用いた、試料液中に含まれるタンパク質の分離を、複数回に亘って安定的に実施することができる。
【0125】
また、処理液は、本実施形態では、NaOHを含む水溶液で構成されるが、この処理液中におけるNaOHの含有量は、0.05M以下であればよいが、特に、0.0M以上0.01M以下程度であることが好ましい。
【0126】
このように、NaOHの含有量が低濃度に設定された処理液を用いることにより、タンパク質の分離が実施されたハイドロキシアパタイト充填剤に、タンパク質の分離を複数回に亘り連続して実施し得る、優れた耐久性を確実に付与することができる。
【0127】
さらに、処理液中に吸着剤3を静置する時間、すなわち吸着剤3に接触させる時間は、12時間以上であればよいが、48時間以上30日以下程度であることが好ましく、5日以上10日以下程度であることがより好ましい。
【0128】
吸着剤3を前記処理液に接触させる時間を、前記範囲内に設定することにより、タンパク質の分離が実施された吸着剤3すなわちハイドロキシアパタイト充填剤に、タンパク質の分離を複数回に亘り連続して実施し得る、優れた耐久性を確実に付与することができる。
【0129】
なお、前記工程[S2B-1]と、前記工程[S2B-2]とは、組み合わせて実施することも可能であり、前記工程[S2B-1]の後に、前記工程[S2B-2]を実施するようにすることもできる。
【0130】
アルコールもしくはNaOHを含む処理液を、吸着剤3に接触させる方法、すなわち、前記工程[S2B-1]または[S2B-2]を実施する方法としては、特に限定されないが、例えば、カラム本体21内に充填された吸着剤3すなわち実施済粉体の2倍量以上の処理液を、吸着剤3を通過させた後に、この処理液中に吸着剤3を静置する工程を含むことが好ましい。これにより、吸着剤3に対して処理液を安定的に接触させることができる。
【0131】
より具体的には、カラム2のカラム本体21内において、充填されている吸着剤3に対して、流入管24からカラム本体21内に、吸着剤3の2倍量以上の処理液を供給する。そして、流出管25から、前記工程[6A]を施すことでカラム本体21内に残存している平衡液が流出し、カラム2内の全体が、平衡液から処理液に置換された時点で、流入管24からの処理液の供給を停止する。このようにカラム2内への処理液の供給が停止されることで、処理液中に吸着剤3が静置される。
【0132】
なお、前記処理液を、カラム本体21内に供給する際にも、カラム本体21内に充填された吸着剤3、特に、流出側開口付近に位置する吸着剤3に圧力が掛かることとなるが、処理液として、前記工程[S2B-1]または[S2B-2]のように、アルコールを含む処理液、もしくはNaOHを含む処理液を用いることで、粒子状をなす吸着剤3すなわち粉体が、砂状をなすものとなるのを的確に抑制または防止することができる。
【0133】
なお、本明細書中において、処理液中における吸着剤3の静置とは、吸着剤3を処理液中に浸漬した状態で、流入管24からの処理液の供給、および流出管25からの処理液の排出が停止されている状態のことを言い、例えば、超音波による振動や、シェーカーを用いた揺動が付与されていてもよい。
【0134】
なお、上記では、本工程[S2B]において、処理液中に吸着剤3を静置する場合について説明したが、本工程[S2B]では、処理液に吸着剤3が接触していればよく、流入管24からカラム2内に対する処理液の供給を継続して、吸着剤3に処理液が通液された状態を維持することによっても、吸着剤3を処理することができる。ただし、処理液中に吸着剤3を静置する方法を選択することで、無駄となる処理液の減少を図ることができる。また、吸着剤3に処理液を通液する方法を選択した場合、処理液の流速は、好ましくは0.1mL/分以上10mL/分以下程度に設定され、より好ましくは0.2mL/分以上5mL/分以下程度に設定される。
【0135】
以上のような本工程[S2B]、すなわち、ハイドロキシアパタイト充填剤としての吸着剤3を、アルコールもしくはNaOHを含む処理液で処理することにより、耐久性を向上させたハイドロキシアパタイト充填剤(吸着剤3)を得る再生産工程が構成される。
【0136】
以上のような操作により、タンパク質の分離が実施されたハイドロキシアパタイト充填剤すなわち吸着剤3に、優れた耐久性を付与することができることから、この吸着剤3を備える吸着装置1を、上述した分離方法に供することができる。
【0137】
なお、以上の説明では、タンパク質を帯電物質の一例としたが、帯電物質のうち負帯電物質としては、酸性タンパク質の他、酸性アミノ酸、DNA、RNA、および負電荷リポソーム等が挙げられ、正帯電物質としては、塩基性タンパク質の他、塩基性アミノ酸、正電荷コレステロールおよび正電荷リポソーム等が挙げられる。
【0138】
以上、本発明の処理方法、生産方法およびハイドロキシアパタイト充填剤について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0139】
例えば、本発明の処理方法および生産方法では、任意の目的で、1以上の工程を追加することができる。
【実施例
【0140】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.吸着装置の製造
吸着剤(充填剤)すなわちハイドロキシアパタイト充填剤としてハイドロキシアパタイト(BIO-RAD社製、CHT 40μm Type I)を、ステンレスカラム(内径4.0mm×長さ100mm,フィルタ2.0μm)の充填空間にほぼ満量となるように充填して、吸着装置を製造した。
【0141】
2.吸着装置が備える吸着剤に対する、第1の液体および第2の液体の接触
比較例10
<1A> まず、吸着装置を、クロマト装置に装着した。その後、400mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5、温度25℃)を、通液速度0.5mL/min、通液量10CVで吸着装置に通液することで、吸着装置を400mMリン酸ナトリウム緩衝液で置換した。
【0142】
<2A> 次に、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5、温度25℃)を、通液速度0.5mL/min、通液量15CVで吸着装置に通液することで、吸着装置を平衡化した。
【0143】
<3A> 次に、10mMリン酸ナトリウムと1.0M塩化ナトリウムとを含むリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5、温度25℃)を、通液速度0.5mL/min、通液量10CVで吸着装置に通液することで、吸着装置が備える吸着剤に吸着したタンパク質を分離する工程を想定した。
【0144】
<4A> 次に、400mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5、温度25℃)を、通液速度0.5mL/min、通液量10CVで吸着装置に通液することで、吸着装置を洗浄した。
【0145】
<5A> 次に、1.0M水酸化ナトリウム水溶液(温度25℃)を、通液速度0.5mL/min、通液量10CVで吸着装置に通液することで、吸着装置をアルカリ洗浄した。
【0146】
<6A> 次に、20wt%エタノール水溶液(温度25℃)を、通液速度0.5mL/min、通液量10CVで吸着装置に通液することで、吸着装置に充填された吸着剤を20wt%エタノール水溶液(第2の液体)中に浸漬させた。そして、この状態で、充填剤を48時間保存することで、20wt%エタノール水溶液(第2の液体)を吸着剤に接触させた。
【0147】
この比較例10では、前記工程<1A>~前記工程<5A>により、吸着装置が備える吸着剤に、所定の物質を含む第1の液体を接触させる第1ステップが構成され、前記工程<6A>により、吸着装置が備える吸着剤に、アルコールを含む第2の液体を接触させる第2ステップが構成される。
【0148】
比較例14、比較例1~比較例4)
前記工程<6A>における第2の液体として、20wt%エタノール水溶液に代えて、表1に示すものを用いたこと以外は、前記比較例10と同様にして、吸着装置が備える吸着剤に対して、第1の液体および第2の液体を接触させた。
【0149】
(実施例3、4、比較例5~比較例9、比較例11~13
前記工程<6A>における第2の液体として、20wt%エタノール水溶液に代えて、表1に示すものを用い、さらに、前記工程<6A>において、第2の液体に浸漬した状態で、充填剤を保存する時間を、7日間に変更したこと以外は、前記比較例10と同様にして、吸着装置が備える吸着剤に対して、第1の液体および第2の液体を接触させた。
【0150】
(実施例8)
前記工程<4A>に先立って、下記工程<7A>を追加したこと以外は、前記実施例3と同様にして、吸着装置が備える吸着剤に対して、第1の液体および第2の液体を接触させた。
【0151】
<7A> 次に、5mMリン酸ナトリウムと0.5M塩化ナトリウムとを含むリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5、温度25℃)を、通液速度0.5mL/min、通液量5CVで吸着装置に通液し、次いで、10mM塩化カルシウムと50mM・MESとを含むMES緩衝液(pH6.5、温度25℃)を、通液速度0.5mL/min、通液量5CVで吸着装置に通液し、次いで、5mMリン酸ナトリウムと0.5M塩化ナトリウムとを含むリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5、温度25℃)を、通液速度0.5mL/min、通液量5CVで吸着装置に通液することで、吸着装置が備える吸着剤にカルシムを補填した。
【0152】
(参考例1)
吸着剤に対して第2の液体を接触させる前記工程<6A>を省略したこと以外は、前記比較例10と同様にして、吸着装置が備える吸着剤に対して、第1の液体を単独で接触させた。
【0153】
(参考例2)
吸着剤に対して第2の液体を接触させる前記工程<6A>を省略したこと以外は、前記実施例8と同様にして、吸着装置が備える吸着剤に対して、第1の液体を単独で接触させた。
【0154】
3.評価
各実施例および各比較例、各参考例における、吸着装置が備える吸着剤に対する第1の液体および第2の液体の接触、すなわち、前記工程<1A>~前記工程<7A>を、吸着装置における内圧が上昇し、カラムの耐圧を超えた時点で終了として、各実施例および各比較例、各参考例について、それぞれ、繰り返して実施した。
【0155】
各実施例および各比較例、各参考例において、前記工程<1A>~前記工程<7A>が繰り返して実施された回数を、表1に示す。
【0156】
なお、実施例3および参考例1については、この回数の測定を、合計3回実施したことから、測定された回数の平均一値を、表1に示す。
【0157】
【表1】
【0158】
表1から明らかなように、比較例11~13のように、第2の液体(保存液)として、含有量が0.05M以下のNaOHを含むものを用いることにより、参考例1に示すように、第2の液体(保存液)による処理すなわち保存を省略した場合との比較では、繰り返し回数が増加する傾向を示すとは言えないものの、比較例1~比較例8に示すように、含有量が0.05M超のNaOHを含むものを用いた場合と比較して、第2の液体(保存液)に保存する(接触させる)時間を考慮すると、繰り返し回数が増加する傾向を示していることから、吸着剤、すなわち、ハイドロキシアパタイト充填剤の耐久性が向上する結果を示した。
【0159】
また、実施例~実施例4、実施例8のように、第2の液体(保存液)として、アルコール(エタノール)を含むものを用いて処理すなわち保存することにより、比較例1~比較例8に示すように、含有量が0.05M超のNaOHを含むものを用いた場合、また、比較例11~13に示すように、含有量が0.05M以下のNaOHを含むものを用いた場合、さらには、予想外にも、参考例1、2に示すように、第2の液体(保存液)による処理すなわち保存を省略した場合と比較して、第2の液体(保存液)に保存する(接触させる)時間を考慮すると、繰り返し回数がより増加する傾向を示していることから、吸着剤、すなわち、ハイドロキシアパタイト充填剤の耐久性を、より向上させ得る結果が得られた。
【符号の説明】
【0160】
1 吸着装置
2 カラム
3 吸着剤
4 フィルタ部材
5 フィルタ部材
20 吸着剤充填空間
21 カラム本体
22 キャップ
23 キャップ
24 流入管
25 流出管
図1
図2