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特許7114230スプリット電極スリーブを備えるカテーテル、及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】スプリット電極スリーブを備えるカテーテル、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220801BHJP
   A61N 1/06 20060101ALI20220801BHJP
   A61N 1/39 20060101ALI20220801BHJP
   A61M 25/095 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
A61B18/14
A61N1/06
A61N1/39
A61M25/095
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017160047
(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公開番号】P2018029966
(43)【公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-07-06
(31)【優先権主張番号】15/246,434
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517156539
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel) Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, P.O. BOX 275, Yokneam, ISRAEL 2066717
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(72)【発明者】
【氏名】ビシャブ・マナク・シング・アウジラ
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/124391(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/081650(WO,A1)
【文献】特開2002-218771(JP,A)
【文献】特開2002-336266(JP,A)
【文献】特表2016-525006(JP,A)
【文献】特表2012-513294(JP,A)
【文献】特表2012-520159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61N 1/06
A61N 1/39
A61M 25/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い本体と、
前記細長い本体の遠位側にある遠位部と、
前記遠位部に搭載された電極スリーブであって、
非導電性材料から作られ、前記遠位部の周りに周方向に延在するバンドと、
前記バンドに固定され、それぞれが前記バンドの周りの異なる径方向位置を占める、複数の個別分離電極と、を備える電極スリーブと、
前記細長い本体の遠位側にある偏向部と、
前記細長い本体と前記偏向部とを通り、前記遠位部の中に延在する複数のリード線であって、各リード線が、前記遠位部の管材の側壁に形成されたそれぞれ対応する開口部を通過し、かつ、各リード線がその遠位端で、それぞれ対応する個別分離電極に接続されている、リード線を備える、電気生理学的カテーテル。
【請求項2】
各個別分離電極が張出し縁部を有し、各リード線がその遠位端で、それぞれ対応する張出し縁部に取り付けられている、請求項に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記複数の個別分離電極は、約2~8個の範囲である、請求項に記載のカテーテル。
【請求項4】
少なくとも1つの個別分離電極に対して、長手方向に位置揃えされている牽引ワイヤを更に含む、請求項に記載のカテーテル。
【請求項5】
請求項に記載のカテーテルを組み立てる方法であって、
各リード線用に、前記それぞれ対応する開口部を、前記遠位部の前記側壁に形成すること、
前記遠位部の中の各リード線を、それぞれ対応する開口部を通じて、前記遠位部の外側にまで通すこと、
各リード線の遠位端を、前記電極スリーブ上の、それぞれ対応する個別分離電極に接続すること、及び
前記電極スリーブを、前記遠位部上に滑動させること、を含む方法。
【請求項6】
前記各リード線の遠位端を接続することは、各リード線の前記遠位端を、各個別分離電極の張出し縁部に接続することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記張出し縁部が前記開口部に対して径方向に位置揃えされるように、前記電極スリーブを前記遠位部上に位置させることを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記カテーテルが、自身を通って延在する少なくとも1本の牽引ワイヤを含み、かつ、前記方法は、少なくとも1つの個別分離電極が前記牽引ワイヤに対して長手方向に位置揃えされているように、前記電極スリーブを前記遠位部上に位置させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
請求項に記載の電極スリーブを製造する方法であって、
外側成形型と内側成形型とを有する成形型を提供すること、
前記個別分離電極を、前記外側成形型と前記内側成形型との間に配置すること、及び、
前記成形型に熱可塑性材料を充填すること、を含む製造方法。
【請求項10】
前記成形型に充填することにより、射出成形を介して前記電極スリーブが形成される、請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記成形型に充填することにより、オーバーモールディングを介して前記電極スリーブが形成される、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気生理学カテーテル、特に、より一層正確で、かつ個々が分離している感知を提供する電極構成を備える心臓電気生理学カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングし、異常な電気的活動が見られる部位をアブレーションするために用いられる。
【0003】
使用にあたり、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿静脈の中に挿入され、次いで対象となる心室の中に案内される。カテーテルが心臓内に配置された後、心臓内の異常な電気的活動の場所が特定される。
【0004】
位置特定の1つの技術は電気生理学的マッピング手順を含み、この手順によって導電性の心臓内組織から生じる電気信号が組織的に監視され、それらの信号のマップが形成される。医師は、そのマップを解析することによって、干渉する電気経路を確認することができる。導電性心組織からの電気信号をマッピングするための従来の方法は、その遠位先端上にマッピング電極が搭載された電気生理学カテーテル(電極カテーテル)を、経皮的に導入することである。カテーテルは、これらの電極を心内膜に接触させて設置するように操作される。心内膜における電気信号を監視することによって、不整脈の原因である異常な導電性組織部位を正確に示すことができる。
【0005】
マッピングのためには、比較的小さいマッピング電極を有することが望ましい。電極が大きくなれば、望ましい近接場信号と望ましくない遠距離場信号との両方を検出してしまいがちであるため、電極が小さくなれば、より正確で個々が分離している電位図を記録するということが判明している。電極の一部位も、組織に接触していない場合には、電極は、心臓の他の領域からの遠距離場電気信号を伝播することが可能な血液にさらされている。遠距離場信号は近接場信号に干渉し、近接場信号を正確に測定するのを困難にする。
【0006】
図1に示すように、従来のカテーテル100は、先端電極117と、1つ以上の環状電極127とを有し得る。1つ以上の環状電極127は、カテーテルがその側方を組織に向けて置かれた場合には、遠距離場信号を検出しがちであるが、それは、図1に示されるように、各環状電極の半分がしばしば、組織Tとは接触しておらず、したがって血液にさらされている状態であり得るからである。
【0007】
電極が小さければ、アブレーション、すなわち、不整脈を引き起こしている組織を破壊するためのRF(高周波)電流の、電極への印加を行う際により安全である。アブレーション中に電極の温度が上昇するにつれて、炭化した部位及び血栓が電極上に形成され得るが、それらは、それらを形成している電極から移動して離れ得る。炭化した部位及び血栓が形成されているのは、電極のインピーダンスをモニタリングすることにより検出し得る。電極が比較的大きい場合には、炭化した部位及び血栓の形成によるインピーダンス上昇は、容易に検知されない場合があり得るが、それは、炭化した部位及び血栓は、電極の全表面エリアのうちの比較的小さなパーセンテージの上にしか形成されないからである。対照的に、電極が比較的小さな電気的に活性化された表面エリアを有する場合には、炭化した部位及び血栓は、その電極の比較的大きなエリアの上に形成されて、インピーダンス測定による検知を容易にし得る。
【0008】
例えば、多数のスパイン部材が多くの環状電極を支持している遠位電極のような、構成がより複雑な遠位電極を備える電気生理学カテーテルの場合には、スパインが、接触するリスクが大きくなり、環状電極をショートさせる可能性がある。環状電極の活性化された表面を減少させることにより、環状電極がショートを起こすリスクを減少させることが可能である。
【0009】
特許文献1には、チューブ部材の先端領域の外周面にリング状電極が固定されている電極カテーテルに関する記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2012/124391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、カテーテルがその側方を組織に向けて置かれた場合にも近接場の活性を正確に測定しうるように、比較的小さい表面エリアを有しながらも組織と接触する部分を最大化する電極構成を有する電極を備えた、電気生理学カテーテルに対する需要が存在する。カテーテルの遠位部の周面上の、より小さな電極の組立及び配線を簡単にする、電気生理学カテーテルの製造方法に対する需要もまた存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、カテーテルがその側方を組織に向けて置かれた場合にも近接場の活性をより正確に測定しうるように、比較的小さい表面エリアを有しながらも組織と接触する部分を最大化する電極構成を有する電極を備えた、電気生理学カテーテルを対象とする。電気生理学カテーテルの構造は、カテーテルの遠位部の周面上の、より小さい電極の組立及び配線を簡単にするものである。
【0013】
一部の実施形態では、電気生理学カテーテルは、細長い本体と、細長い本体の遠位側にある遠位部と、遠位部に搭載された電極スリーブとを備えるものである。電極スリーブは、遠位部の周りに周方向に延在し、非導電性材料から作られるバンドと、バンドに固定され、それぞれがバンドの周りの異なる径方向位置を占める複数の個別分離電極とを有する。
【0014】
より詳細な実施形態では、各個別分離電極が、リード線取り付け用表面を提供するための張出し縁部を有する。
【0015】
より詳細な実施形態では、カテーテルは、約2~8個の範囲の個別分離電極を有し得る。
【0016】
より詳細な実施形態では、カテーテルは、少なくとも1つの個別分離電極に対して、長手方向に位置揃えされている牽引ワイヤを含む。
【0017】
より詳細な実施形態では、各個別分離電極が、湾曲した外表面を有し、複数の個別分離電極の湾曲した外表面が、バンドの周りに円周の輪郭を描くように、複数の個別分離電極が、バンド上に配列されている。
【0018】
他の実施形態では、電気生理学カテーテルは、細長い本体、細長い本体の遠位側にある偏向部、側壁を備える管材を有し、細長い本体の遠位側にある遠位部、遠位部上に搭載された電極スリーブを備えるが、その電極スリーブは、遠位部の周りで周方向に延在する非導電性バンドと、それぞれがバンドの周囲の異なる径方向位置を占める複数の個別分離電極とを有する。カテーテルは、細長い本体と偏向部とを通り、遠位部の中に延在する複数のリード線を含み、各リード線は、遠位部の管材の側壁に形成されたそれぞれ対応する開口部を通過し、かつ、各リード線はその遠位端で、それぞれ対応する個別分離電極に接続されている。
【0019】
本発明はまた、前述のカテーテルを組み立てる方法を含むが、その方法は、各リード線用に、それぞれ対応する開口部を、遠位部の側壁に形成することと、遠位部の中の各リード線を、それぞれ対応する開口部を通じて、遠位部の外側にまで通すことと、各リード線の遠位端を、電極スリーブ上の、それぞれ対応する個別分離電極に接続することと、電極スリーブを、遠位部上に滑動させることとを含む。
【0020】
一部の実施形態では、各リード線の遠位端を接続することは、各リード線の遠位端を、各個別分離電極の張出し縁部に接続することを含む。
【0021】
一部の実施形態では、方法は、張出し縁部が開口部に対して径方向に位置揃えされるように、電極スリーブを遠位部上に位置させることを含む。
【0022】
一部の実施形態では、カテーテルが、自身を通って延在する少なくとも1本の牽引ワイヤを含み、かつ、方法は、少なくとも1つの個別分離電極が牽引ワイヤに対して長手方向に位置揃えされているように、電極スリーブを遠位部に位置させることを含む。
【0023】
本発明はまた、請求項7の電極スリーブを製造する方法を含むが、その製造方法は、外側成形型と内側成形型とを有する成形型を提供すること、個別分離電極を、外側成形型と内側成形型との間に配置すること、及び、成形型に熱可塑性材料を充填することを含む。
【0024】
一部の実施形態では、成形型に充填することにより、射出成形を介して電極スリーブが形成される。
【0025】
一部の実施形態では、成形型に充填することにより、オーバーモールディングを介して電極スリーブが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明のこれらの特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することによってより充分な理解がなされるであろう。選択された構造及び特徴が、残りの構造及び特徴をより見やすくするために、特定の図面では示されていないことを理解されたい。
図1】当該技術分野において既知の、遠位先端電極と環状電極とを有するカテーテルの遠位部の、斜視図である。
図2】1つの実施形態に基づく、本発明のカテーテルの側面図である。
図3図2のカテーテルの遠位部の斜視図である。
図4図1のカテーテルのカテーテル本体の端部断面図である。
図5図1のカテーテルの中間偏向部の端部断面図である。
図6図3の遠位部の側断面図である。
図7】組み立ての最中の、図3の遠位部の斜視図である。
図8】一部の選択された個別分離電極が組織に接触している、図3の遠位部の端部断面図である。
図9】別の実施形態による、遠位部の斜視図である。
図10】1つの実施形態による、電極スリーブの斜視図である。
図11】1つの実施形態による、図10の電極スリーブを製造するための成形型の端部断面図である。
図12】別の実施形態による、電極スリーブの斜視図である。
図13】1つの実施形態による、図12の電極スリーブを製造するための成形型の端部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2及び図3を参照すると、本発明は、個別分離電極が個々に組織と接触するように適合され、かつ血液にさらされるのを最小限に抑えた、スプリット電極スリーブ11を備えるカテーテル10を含むものである。一部の実施形態では、カテーテルは、カテーテル本体12と、中間偏向部14と、遠位端部15と、カテーテル本体12の近位側にある制御ハンドル16とを備える。一部の実施形態では、スプリット電極スリーブ11は、バンド70と、複数の個別分離電極13とを有し、かつスリーブ11は、遠位端又は遠位先端電極17の近位側で、遠位端部15に支持されている。
【0028】
カテーテル本体12は、図2及び図4に示されるように、単一の軸方向又は中心内腔18を有する細長い環状構造を備えている。カテーテル本体12は、可撓性、すなわち屈曲可能であるが、その長さ方向に沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造を有していてもよく、任意の好適な材料で作製することができる。本発明において好ましい構造の1つは、ポリウレタン又はPEBAXで作製された外壁22を備えるものである。外壁22には高強度鋼、ステンレス鋼等の編組メッシュが埋め込まれていることによってカテーテル本体12の捻り剛性が高められているため、制御ハンドル16が回転させられると、カテーテル10の先端部位14がこれに応じて回転する。
【0029】
カテーテル本体12の外径は、好ましくは約8フレンチ以下、より好ましくは約7フレンチであるが、このことは必ずしも必須ではない。同様に、外壁22の厚さは、中心内腔18が、例えば1つ以上の牽引ワイヤ、電極リード線、灌流管材、及び任意の他のワイヤ及び/又はケーブルを含むコンポーネントを収容できるように十分に薄くなっているが、このことは必ずしも必須ではない。外壁22の内表面は、補強管20で裏打ちされるが、この補強管20は、例えばポリイミド又はナイロンなどの任意の適切な材料から作製可能である。補強管20は、編組みされた外壁22とともに、捻じれ安定性を改善する一方で、同時に、カテーテルの壁の厚さを最小化して、中心内腔18の直径を最大化するものである。補強管20の外径は、外壁22の内径と大体同じであるか、又はわずかに小さいものである。ポリイミド製管材は、非常に薄い壁を有し得る一方で、依然として非常に良好な剛性を提供するため、本発明の補強管20に好ましい。これにより、強度及び剛性を犠牲にすることなく中心内腔18の直径が最大化される。当業者に理解されるように、カテーテル本体の構造は、所望に応じて変更され得る。例えば、補強管は省略可能である。
【0030】
中間偏向部は、管材19のより短い部位を含み、図3及び図5に示すように、例えば、軸から外れた内腔31、32、33、及び34のような、複数の内腔を有している。いくつかの実施形態では、管材19は、カテーテル本体12よりも可撓性が高い、好適な非毒性材料で作製される。管材19に適した材料は、編組ポリウレタン、すなわち編組みされた高強度鋼、ステンレス鋼等のメッシュが埋め込まれたポリウレタンである。偏向部14の外径は、カテーテル本体12の外径と同様である。内腔のサイズは必ずしも重要ではなく、特定の用途に応じて変更できる。
【0031】
様々なコンポーネントは、カテーテル10を通って延在する。一部の実施形態では、図4に示すように、コンポーネントは、先端電極17用リード線40Tと、スリーブ11の個別分離電極13用リード線40Dとを含む。コンポーネントはまた、偏向部14を偏向させるための1本以上の牽引ワイヤ42A及び42Bと、遠位端部15に収容された電磁式位置センサ46(図6を参照)用のケーブル44とを含む。カテーテル10がアブレーション用に適合されている一部の実施形態では、コンポーネントはまた、流体を遠位部15及びその1つ以上の電極に通すための灌流管材48も含み得る。これらのコンポーネントは、図4に示すように、カテーテル本体12の中心内腔18を通っている。
【0032】
図5に示すように、偏向部14では、異なるコンポーネントが、管材19の異なる内腔を通っている。一部の実施形態では、リード線40T及び40D、並びにセンサケーブル44が、第1内腔31を通り、第1牽引ワイヤ42Aが、第2内腔32を通り、灌流管材48が、第3内腔33を通り、第2牽引ワイヤ42Bが、第4内腔34を通っている。第2及び第4内腔32及び34は互いに、直径方向に正反対の位置にあり、中間偏向部14が双方向に偏向できるようにしている。
【0033】
偏向部14の遠位側には、遠位端部15があり、遠位端部15は、図3に示すように、ドーム型の遠位先端を有する円筒状の構成を有する先端電極17を含んでいる。一部の実施形態では、図3及び図6に示すように、遠位端部15は管材21の短い一部位を含むが、同部位は中央内腔23を有しており、同内腔23は、ケーブル44の遠位端にある位置センサ46を収容している。
【0034】
管材21の遠位端に搭載された先端電極17は、管材19の外径に概ね等しい直径を有する。先端電極17は、例えば、プラチナ、金、ステンレス鋼のような任意の好適な材料から作られ得るが、一部の実施形態では、好ましくはプラチナとイリジウムの合金(プラチナ90%、イリジウム10%)から作られる。図6に示すように、先端電極17は概ね中実のものである。先端電極17の近位側の面には、複数の止まり穴、例えば、止まり穴61、62、63A、及び63Bがある。止まり穴61は、電極リード線40Tの遠位端を受容するが、同遠位端は、止まり穴61内に固定されて、先端電極17に電気的に接続される。止まり穴62は、熱電対ワイヤ対80/81の遠位端を受容するが、同遠位端は止まり穴62内に固定されて、先端電極17の温度を感知する。止まり穴63Aは、牽引ワイヤ42Aの遠位端を受容し、止まり穴63Bは、牽引ワイヤ42Bの遠位端を受容し、同止まり穴63A及び63Bは、これらの牽引ワイヤを先端電極17に固定する。図示されている実施形態では、各牽引ワイヤは金属製の管材により固定されているが、同金属製の管材は、牽引ワイヤの遠位端にかしめられ、それぞれ対応する止まり穴内に半田付けされている。牽引ワイヤを先端電極17内に固定することにより、可撓性のあるプラスチック製管材21上の先端電極17に対して追加的な支持を提供するので、先端電極17が管材21から分離してしまう可能性を減らすことができる。あるいは、牽引ワイヤは、例えば、当該技術分野では既知のTバーを用いて、管材19の側壁に取り付けることが可能である。このようなデザインは、米国特許第9,101,733号に記載されている。なおこの文献の開示内容全体は本明細書において参照により取り入れられている。
【0035】
各牽引ワイヤ42A及び42Bは、その近位端が制御ハンドル16内に固定されている。いくつかの実施形態では、牽引ワイヤは任意の好適な金属(例えばステンレス鋼又はニチノール)で形成され、好ましくはテフロンRTM等によってコーティングされている。コーティングによって牽引ワイヤに潤滑性が付与される。
【0036】
図4に示すように、圧縮コイル52が、各牽引ワイヤ42を包囲する関係で、カテーテル本体12内に配置されている。圧縮コイル52は、カテーテル本体12の近位端から、偏向部14の近位端付近まで延在している。圧縮コイル52は、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作られる。各圧縮コイル52は、それ自体に密に巻回されており、可撓性すなわち屈曲性を提供するが、圧縮に対しては抵抗するようになっている。圧縮コイル52の内径は好ましくは、牽引ワイヤ42の直径よりもわずかに大きくなっている。牽引ワイヤ50上にテフロン(登録商標)コーティングを施すことにより、圧縮コイル52内を牽引ワイヤが自由に摺動することが可能になっている。必要に応じて、特にリード線40T及び40Dが保護シースによって囲まれていない場合には、圧縮コイル52の外表面を、例えば、ポリイミド製管材から作られる、可撓性があり、非導電導性のシース(不図示)により被覆して、圧縮コイル52と、カテーテル本体12内にある他のいずれかのワイヤとの接触を防ぐことができる。
【0037】
牽引ワイヤ42Aは、管材19の第2内腔32を通って延在し、牽引ワイヤ42Bは、管材19の第4内腔34を通って延在している。これらの内腔内部では、各牽引ワイヤが、それぞれ対応するプラスチック製、好ましくはテフロン(登録商標)コート付きシース66(図5参照)を通って延在しているが、これにより、偏向部14が偏向する際に、牽引ワイヤが、管材19の壁に食い込まないようにしている。
【0038】
牽引ワイヤ42をカテーテル本体12に対して相対的に、長手方向に動かすことで先端部位14を偏向させることができるが、そのような動きは、制御ハンドル16を好適に操作することで実現される。本発明とともに用いる好適な制御ハンドルデザインは米国特許第8,287,532号に記載されており、この文献の開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。必要に応じて、カテーテルは一方向偏向(すなわち、1本の牽引ワイヤのみを有する)とすることができる。
【0039】
中間部14を選択した方向に偏向させることにより、先端電極17及び電極スリーブ11を支持する遠位端部15を「操舵する」助けとなる。図3に示すように、スリーブ11は、複数の個別分離又は「スプリット」電極13(例えば、13A及び13B)を支持する周方向基材又はバンド70を含むが、スリーブ11上の各電極は、隙間Gにより隣の電極と意図的に分離されている。各隣接し合う電極ペアどうしの間の隙間Gは、必要に応じて、あるいは何が適切であるかに応じて、どれも同じであっても、異なるものであってもよい。バンド70は、任意の非導電性材料から作られ得る。一部の実施形態では、基材材料は、PEEK、PTFE、又はポリイミドであり得る。個別分離電極13は、任意の好適な導電性材料から作られ得る。一部の実施形態では、その材料は、プラチナとイリジウム合金、パラジウム、又はMP35N(登録商標)であり得る。
【0040】
図3及び図6を参照すると、バンド70は、カテーテルの長手軸線に沿って、概ね均一な長さLBを有するが、その長さLBは、約0.5mm~5.0mmの範囲、好ましくは、約0.6mm~2.0mmの範囲であり、かつより好ましくは、約0.8mmの長さである。バンド70の径方向の厚さTBは、約0.01mm~0.15mmの範囲、好ましくは約0.02mm~0.1mmの範囲であり、かつより好ましくは、約0.05mmである。バンドの内径は、管材21の外径よりもわずかに大きくなっており、それによりバンドを、例えば、遠位端から管材21上に滑らせて装着し、先端電極17の近位側の所定の位置まで、近位側に向けて前進させることができる。
【0041】
スリーブ11の各個別分離電極13は、概ね均一な厚さTDを有し、かつ各々が、湾曲した外表面を有する小型の「タイル」に似ており、各個別分離電極13の外表面は、他の個別分離電極の外表面とともに、バンド70の外表面の周りに環状又は円周状の輪郭を描いている。したがって、スリーブは、遠位部15の管材21の形状に対応する非侵襲性の径方向プロファイルを有することとなり、とりわけ、遠位部が組織に向けて置かれた場合には、個別分離電極を組織に接触させるのに特に都合よく適合させることになる。各個別分離電極13は長手方向に、長さLDを有するが、その長さLDは、バンド70の長さLBよりも大きく、それにより各個別分離電極13が、バンド70の遠位側縁部の遠位側にあるか、又はバンド70の近位側縁部の近位側にある、少なくとも1つの張出し縁部71を有するようになっている。図3及び図6に図示された実施形態では、各個別分離電極13は、バンド70に対して遠位側の、張出し縁部71を有している。縁部71は、バンド70の外表面に向かって内側に向いている内表面72を提供するが、その内表面72上には、それぞれ対応するリード線40Dの遠位端が、例えば、抵抗溶接により、導電的に取り付けられ得る。個別分離電極13の各リード線40Dは、管材21の側壁に形成されたそれぞれ対応する開口部73を通過し、中央内腔23と管材21の外側との間を延在するようになっている。開口部73は、リード線のサイズ及び形状に密に沿うようなサイズ及び形状になっており、それにより、開口部73はリード線の周囲を、好適なシール材を用いて容易に密封し得るようになっている。
【0042】
カテーテルの長手軸線に沿った、各個別分離電極の寸法又は長さLDは、約0.5mm~6.0mmの範囲、好ましくは約1.0mm~3.0mmの範囲であり、かつより好ましくは、約1.0mmの長さである。各個別分離電極の径方向の厚さTDは、約0.02mm~0.125mmの範囲、好ましくは約0.02mm~0.1mmの範囲であり、より好ましくは約0.05mmの厚さである。
【0043】
個別分離電極13はそれぞれが同様のサイズ及び形状を有するように図示されているが、それらは互いに異なるサイズ及び/又は形状を有するようにすることも可能であるということは理解されるであろう。しかも、各個別分離電極の形状は、図示されているような矩形である必要はなく、円形、楕円形、多角形等を含む、任意の好適な形状であり得る。
【0044】
一部の実施形態では、個別分離電極13が、概ねカテーテル10の偏向方向に位置揃えされるように、スリーブ11が遠位端部15上において、カテーテルの長手方向軸線の周りで周方向に向けられている。例えば、図3及び図7に図示されているように、スリーブ11は、2つの個別分離電極13A及び13Bを有するが、それらは、その周方向の位置が、カテーテルの、2つの変更方向(それぞれ矢印A及びBで示す)に位置揃えされている。偏向方向は主として、それぞれ対応する牽引ワイヤ及びそれらのワイヤのそれぞれに対応する内腔の配置によって変化する。図7に図示されている実施形態では、2つの偏向方向A及びBは、直径方向に正反対になっているが、それは、牽引ワイヤ42A及び42B、及びそれらにそれぞれ対応する内腔32及び34(図5を参照)が、直径方向に正反対の位置にあることによって決まっているものである。したがって、ユーザーが、選択した牽引ワイヤを作動させることにより、カテーテルを選択した方向に偏向させることによって、1つ以上の選択された個別分離電極13が、組織に接触するように位置決めされ得る。図示されている実施形態では、方向Aにカテーテルを偏向させるために牽引ワイヤ42Aを選択的に作動させることにより、個別分離電極13Aが組織に接触するように偏向させられている。したがって、少なくとも1つの個別分離電極が、長手方向に位置揃えされるか、又は管材21に対してそれぞれに対応する牽引ワイヤと同じ側にくるような径方向に、スリーブ11が向けられている場合には、その牽引ワイヤを介した選択的な偏向によって、その少なくとも1つの個別分離電極に加えて別の個別分離電極をも組織に接触させるように配置させることが可能である。カテーテルとその遠位部15との組み立ての間、スリーブが上のように意図的に又は目的を持って方向付けられていることにより、カテーテルに対して、1つ以上の個別分離電極を組織と接触させることの予測性を改善させ、また接触させるように1つ以上の個別分離電極を配置するような制御を改善させることが可能となっている。図8では、遠位部15は牽引ワイヤ42Bを介して偏向させられて、個別分離電極13Bを組織に接触させる一方で、個別分離電極13Aは組織と接触させないように、選択的に配置するようになっている。
【0045】
図9は、各々が、遠位部15’の周面の周りで円周の約4分の1に及んでいる4つの個別分離電極13A、13B、13C、13Dを支持するバンド70を備える遠位部15’を有する、本発明の別の実施形態を図示している。遠位部15’は、1つ以上の個別分離電極を組織と接触させ、残りの1つ以上の個別分離電極を組織と接触さないように偏向させられ得るか、又はそうでなければ位置決めされ得る。
【0046】
組立方法:
図6及び図7を参照すると、本発明の一部の実施形態において、カテーテルの遠位部15の組立方法は、電極スリーブ11に、バンド70と1つ以上の個別分離電極、例えば13A及び13Bとを提供すること、管材21に、少なくとも1つの内腔23を提供すること、1つ以上の開口部73を、管材21の側壁に形成し、内腔23と管材21の外側との連通を可能にすること、開口部73を通ってリード線40Dを通して、内腔23と管材21と外側との間に延在させること、リード線40Dの遠位端を、それぞれ対応する個別分離電極13A及び13Dに固定すること、及び、遠位部を、スリーブ11を通って挿入し、スリーブを遠位部に滑動させることによって、スリーブ11を管材21上に装着すること、を含むものである。
【0047】
より詳細な実施形態では、組立方法は、電極スリーブ11にバンド70と、それぞれが張出し縁部71を有する、1つ以上の個別分離電極13と、を提供すること、及びリード線40Dの遠位端を張出し縁部71に固定すること、を含むものである。更に詳細な実施形態では、組立方法は、リード線40Dの遠位端を、張出し縁部71の内表面72に固定することを含むものである。
【0048】
リード線40Dの遠位端を個別分離電極に接続する場合、図7に示すようにスリーブ11の中央開口部を通ってリード線が通され、リード線の遠位端を、各個別分離電極の張出し縁部71の内表面72にいつでも付着させることが可能になっている。
【0049】
個別分離電極に付着させたリード線40Dを慎重に、遠位部15及びカテーテルの中に近位側に引き込み、スリーブ11が適切に遠位部15上に装着された後には、開口部73の外側に延びる余分な部分がほとんどないようにしている。
【0050】
他のより詳細な実施形態では、組立方法は、図7に示すように、リード線40Dの遠位端を張出し縁部71に、それぞれ対応する開口部73に対して径方向に位置揃えされた場所で固定することを含むものである。
【0051】
他のより詳細な実施形態では、スリーブ11を管材21上に装着することは、1つ以上の個別分離電極13を、カテーテルの1つ以上の偏向方向(矢印AびBを参照)に対して、長手方向に位置揃えすることを含むものである。より詳細な実施形態では、スリーブ11を管材21上に装着することは、図7に示すように、1つ以上の個別分離電極を、カテーテルの牽引ワイヤに対して、長手方向に位置揃えすることを含むものである。
【0052】
張出し縁部71の内表面72は露出しており、かつ、電極スリーブ13のバンド70に対する、リード線の導電的な溶接にとって、最適な場所と溶接面とを提供している。医療グレードの接着剤、例えばポリウレタンが、スリーブ13を管材21上に固定するために塗布される。
【0053】
インサート成形で電極スリーブを製造する方法:
本発明はまた、図10に示すように、バンド70を(基材としての)個別分離電極13上にインサート成形して、スリーブ11を形成することを含む、スリーブを製造する方法をも対象としている。一部の実施形態では、その方法は、図11に示すような成形型90を用いるが、同成形型90は、中空の円筒状外側成形型部材91と、(中実又は中空の)円筒状内側成形型部材92とを含み、同部材91と同部材92との間には、バンド70を形成するのに好適なインサート成形材料が充填される空間が存在している。インサート成形用に好適な材料としては、例えばPEEK、PTFE、又はポリイミドのような熱可塑性プラスチックが挙げられる。個別分離電極13の裏側84は、インサート成形材料が成形型90に添加されるのに先立って、接着剤によってコーティングされていてもよく、あるいは裏側84は、刻み目をつけたり、織目構造をつけたり、又は、凸部又は凹部98でわずかに改変されたりして(図6に最もよく示されている)、インサート成形材料への付着を容易にしてもよい。
【0054】
内側成形型部材92の外表面は、滑らかな、又は円形の断面を有しており、バンド70が滑らかな内表面を有するようになっている。外側成形型部材91の内表面は、図11の実施形態に示されるように、隣接する個別分離電極13どうしの間に延在する、隆起した表面98を有しており、そのため、個別分離電極13の外表面は、図10の実施形態に示されるように、バンド70の外表面に対して相対的に隆起している。
【0055】
バンド70上の各個別分離電極13の形状及びサイズをカスタマイズしたり、又は仕上げたりするために、レーザ切断を用いてもよい。それが適切である場合、又はそれが望まれる場合には、個別分離電極は、任意のスプリット電極構成になるように後でレーザ切断される、バンド上の環として形成され得るということが理解されよう。
【0056】
オーバーモールディングで電極スリーブを製造する方法:
本発明の一部の実施形態では、図12に示すように、スリーブ11’の製造方法は、(基材としての)個別分離電極13をバンド70上にオーバーモールディングして、スリーブ11’を形成することを含む。一部の実施形態では、個別分離電極13はバンド上に、金属射出成形(MIM)法、別名、粉末射出成形(PIM)によって形成される。MIMは典型的には、それ以外の金属形成プロセスによって製造した場合に、広範囲にわたる仕上げのマシン加工が必要となるような、小さい、複雑な部品を製造するために用いられる。MIMは、高温合金製の部品に対して、反復可能なプロセスである。MIM部品は、ほぼ完全に稠密なものであり、それにより秀でた機械的特性を有し、例えば熱処理及びマシン加工のような二次的な加工を容易に実施可能なものとしている。MIM/PIMは、バインダとして作用する、主要なパラフィン材料及び二次的な熱可塑性ポリマーと典型的には混合される、非常に微細な金属粉末を用いて供給原材料を形成することを伴うものである。金属粉末を形成するために好適な金属には、例えば、プラチナ、イリジウム、パラジウム、及びMP35N、又はそれらを組み合わせたものが挙げられる。典型的には15~20μm未満の粉末粒子を用いることにより、MIMは、95~100%の理論上の稠密度を実現することが可能であり、それにより、小さく、複雑な部品を高レベル生産運転で生産することにより、精密公差とコスト削減とが可能になっている。供給原材料は次に、好適なモールド成形用設備の中に供給され、加熱され、鋳型の空洞部に注入されることにより、モールド成形される。モールド成形により生産された「グリーン(未加工)の部品」は、「脱バインダ」加工を施され、バインダが取り除かれ、例えば、熱処理又は溶剤処理により抽出される。脱バインダ加工が完了すると、部品は「ブラウン部品」と言及されている。ブラウン部品は次に、制御された大気状態の炉における焼結プロセスにかけられて(固体拡散)、その部品は融点近くまで加熱され、また残留するバインダは取り除かれ、その部品にその最終的な幾何学的形状を与える。
【0057】
MIM個別分離電極13をバンド70上にオーバーモールディングして、スリーブ11’を形成することを含む、スリーブの製造方法では、図12で示すような成形型100を用いるが、同成形型100は、中空の円筒状外側成形型部材94と、(中実又は中空の)内側円筒状成形型部材99とを含み、部材94と部材99との間には、既に説明したように、個別分離電極13(例えば、13A及び13B)を形成するために好適な材料が充填される空間が存在している。MIM個別分離電極が固定される、バンド70の外側表面の部位には、電極とバンドの間の接着力又は付着性を改善するために、織目構造をつけてもよい。
【0058】
図13の実施形態に示されるように、内側成形型部材99の外表面は、滑らかな又は円形の断面を有しており、バンド70が滑らかな内表面を有するようになっている。外側成形型部材94の内表面は、滑らかな又は円形の断面を有しており、そのため、図12に示すように、オーバーモルディングで成形されたバンド70は、隣接する個別分離電極13(例えば、13A及び13B)どうしの間に延在し、また、隣接する個別分離電極13と同一平面にある、隆起した表面97を有して形成されている。
【0059】
特に、スリーブが射出成形又はオーバーモールディングのどちらで形成される場合でも、それぞれに対応する成形型は、(図10に示すように)スリーブバンド70の外表面に対して相対的に隆起した個別分離電極をスリーブに提供するか、又は(図12に示すように)バンド70の外表面と同一平面上にある個別分離電極をスリーブに提供するために、必要に応じて、また何が適切であるかに応じて形成され得る。
【0060】
上記の説明は、現時点における本発明の好ましい実施形態を参照して示したものである。本発明が関連する分野及び技術の当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を大きく逸脱することなく、記載される構成に改変及び変更を実施し得る点は認識されるであろう。一実施形態に開示される任意の特徴又は構成は、必要に応じて又は適宜、他の任意の実施形態の他の特徴の代わりに又はそれに加えて援用することができる。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺どおりではない。したがって、上記の説明文は、添付図面に記載及び例示される正確な構成のみに関連したものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するものとされる特許請求の範囲と一致し、かつこれを支持するものとして読まれるべきである。
【0061】
〔実施の態様〕
(1) 細長い本体、
前記細長い本体の遠位側にある遠位部、及び、
前記遠位部に搭載された電極スリーブであって、
非導電性材料から作られ、前記遠位部の周りに周方向に延在するバンドと、
前記バンドに固定され、それぞれが前記バンドの周りの異なる径方向位置を占める、複数の個別分離電極と、を備える電極スリーブを備える、電気生理学的カテーテル。
(2) 各個別分離電極が、リード線取り付け用表面を提供するための張出し縁部を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記複数の個別分離電極が、約2~8個の範囲である、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 少なくとも1つの個別分離電極に対して、長手方向に位置揃えされている牽引ワイヤを更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記カテーテルを偏向させるために、前記牽引ワイヤを作動させるように構成されている制御ハンドルを更に備える、実施態様4に記載のカテーテル。
【0062】
(6) 各個別分離電極が、湾曲した外表面を有し、かつ、前記複数の個別分離電極の湾曲した外表面が前記バンドの周りに円周の輪郭を描くように、前記複数の個別分離電極が前記バンド上に配列されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 細長い本体、
前記細長い本体の遠位側にある偏向部、
側壁を備える管材を有し、前記細長い本体の遠位側にある遠位部、
前記遠位部に搭載され、非導電性バンドと複数の個別分離電極とを備える電極スリーブであって、前記バンドが前記遠位部の周りに周方向に延在し、各個別分離電極が前記バンドの周りの異なる径方向位置を占めている、電極スリーブ、及び、
前記細長い本体と前記偏向部とを通り、前記遠位部の中に延在する複数のリード線であって、各リード線が、前記遠位部の前記管材の前記側壁に形成されたそれぞれ対応する開口部を通過し、かつ、各リード線がその遠位端で、それぞれ対応する個別分離電極に接続されている、リード線を備える、電気生理学的カテーテル。
(8) 各個別分離電極が張出し縁部を有し、各リード線がその遠位端で、それぞれ対応する張出し縁部に取り付けられている、実施態様7に記載のカテーテル。
(9) 前記複数の個別分離電極は、約2~8個の範囲である、実施態様7に記載のカテーテル。
(10) 少なくとも1つの個別分離電極に対して、長手方向に位置揃えされている牽引ワイヤを更に含む、実施態様7に記載のカテーテル。
【0063】
(11) 前記カテーテルを偏向させるために前記牽引ワイヤを作動させるように構成されている制御ハンドルを更に備える、実施態様10に記載のカテーテル。
(12) 実施態様7に記載のカテーテルを組み立てる方法であって、
各リード線用に、前記それぞれ対応する開口部を、前記遠位部の前記側壁に形成すること、
前記遠位部の中の各リード線を、それぞれ対応する開口部を通じて、前記遠位部の外側にまで通すこと、
各リード線の遠位端を、前記電極スリーブ上の、それぞれ対応する個別分離電極に接続すること、及び
前記電極スリーブを、前記遠位部上に滑動させること、を含む方法。
(13) 前記各リード線の遠位端を接続することは、各リード線の前記遠位端を、各個別分離電極の張出し縁部に接続することを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記張出し縁部が前記開口部に対して径方向に位置揃えされるように、前記電極スリーブを前記遠位部上に位置させることを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記カテーテルが、自身を通って延在する少なくとも1本の牽引ワイヤを含み、かつ、前記方法は、少なくとも1つの個別分離電極が前記牽引ワイヤに対して長手方向に位置揃えされているように、前記電極スリーブを前記遠位部上に位置させることを含む、実施態様13に記載の方法。
【0064】
(16) 実施態様7に記載の電極スリーブを製造する方法であって、
外側成形型と内側成形型とを有する成形型を提供すること、
前記個別分離電極を、前記外側成形型と前記内側成形型との間に配置すること、及び、
前記成形型に熱可塑性材料を充填すること、を含む製造方法。
(17) 前記成形型に充填することにより、射出成形を介して前記電極スリーブが形成される、実施態様16に記載の製造方法。
(18) 前記成形型に充填することにより、オーバーモールディングを介して前記電極スリーブが形成される、実施態様16に記載の製造方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13