IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナブテスコ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-シール機構を備える装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】シール機構を備える装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/3204 20160101AFI20220801BHJP
   F16C 33/78 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
F16J15/3204 201
F16C33/78 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017209199
(22)【出願日】2017-10-30
(65)【公開番号】P2019082198
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-09-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】栗田 宗治
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-178006(JP,A)
【文献】国際公開第02/038428(WO,A1)
【文献】特開平08-128534(JP,A)
【文献】特開昭58-024656(JP,A)
【文献】実開平05-045333(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3204
F16C 33/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト部材と、該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、該シャフト部材と該ケースとの間をシールするシール機構と、を備える装置であって、
該シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記シャフト部材の径方向において前記ケースと該スリンガとの間で前記スリンガと接するように設けられたシール部材と、を備え、
前記スリンガは、円筒形状を有しており前記シャフト部材の軸方向において前記スリンガの一端から他端まで前記シャフト部材の外周面と平行に延びている外周面を有する筒状部と、該筒状部の前記一端から前記シャフト部材の径方向内側に延びるフランジ部とを備え、
該筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成される、装置。
【請求項2】
前記スリンガは、前記シャフト部材よりも耐摩耗性に優れた材料から形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シール部材は、その先端が前記スリンガの前記筒状部に接するリップを有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記シャフト部材の前記ボルトの中心位置が、前記シャフト部材の外周面から3mm-10mmの範囲における位置に配置される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記筒状部と前記シャフト部材との間に接着剤から形成される接着層を備え、前記シャフト部材の径方向における前記フランジ部の長さは、前記接着層の厚さ以下に形成される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記シャフト部材の径方向における前記フランジ部の長さが、前記接着層の厚さよりも小さい場合、前記シャフト部材と前記フランジ部との間に接着層が形成される、請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内の流体の装置外への流出ないし当該装置内への外部からの流体の流入を回避するためのシール機構を備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転部材と、該回転部材を収容するケースと、該回転部材と該ケースとの間をシールするシール機構とを備える装置が知られている。このような装置に使用されるシール機構は、特に、回転部材が高速で回転する場合や回転部材が長期間稼動される場合、より高度な耐摩耗性が要求される。他方で、装置が腐食性の高い環境下で使用される場合、シール機構にはより高い耐腐食性が求められる。
【0003】
特許文献1は、シール部材とシール部材に取り囲まれたスリンガとを有するシールを開示する。スリンガは、シャフトを取り囲むスリーブと、シャフトを取り囲むハウジングに向けて折り曲げられたフランジと、を含み、当該フランジは、スリンガの剛性を向上させて当該シールの装置への組み込み時にシールの変形を防止する役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-84911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示のシールでは、ハウジングの方向に折り曲げられたフランジと、ハウジングとの接触を回避してフランジを収容するのに十分な空間を確保するため、ハウジングの設計自由度が制限されるという問題がある。
【0006】
本発明は、設計自由度の高いシール機構を備える装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る装置では、シャフト部材と、該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、該シャフト部材と該ケースとの間をシールするシール機構と、を備える装置であって、該シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記ケースと該スリンガとの間に設けられたシール部材と、を備え、前記スリンガは、筒状部と、該筒状部からみて前記シャフト部材の径方向内側に位置するフランジ部とを備え、該筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成される。
【0008】
上記構成により、該筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成されることで、スリンガのシャフト部材への取り付けに際し、シャフト部材の外径寸法を変更する必要がないため、シャフト部材の設計自由度を確保することができる。
【0009】
本発明の一実施形態に係る装置では、シャフト部材に、該シャフト部材を締結するボルトが設けられ、該ボルトの中心位置が、前記シャフト部材の外周面から近接する位置に配置される。
【0010】
筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成されるため、スリンガのシャフト部材への取り付けに際し、シャフト部材の外径寸法を変更する必要がないことに加え、上記構成により、シャフト部材を締結するボルトの中心位置がシャフト部材の外周面のより近くに配置されることで、シャフト部材の中心位置からの距離を長くすることができ、これによりシャフト締結力を向上させることができる。
【0011】
本発明の一実施形態に係る装置では、前記シャフト部材の前記ボルトの中心位置が、前記ボルトを前記シャフト部材に螺合したときに前記シャフト部材の外周形状を維持する位置であって、前記シャフト部材の外周面に最も近くなる位置に配置される。
【0012】
筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成されるため、スリンガのシャフト部材への取り付けに際し、シャフト部材の外径寸法を変更する必要がないことに加えて、上記構成により、シャフト部材を締結するボルトの中心位置がシャフト部材の外周面のより近くに配置されることで、シャフト部材の中心位置からの距離を長くすることができ、シャフト部材に締結された部材への伝達トルクを大きくすることができる。
【0013】
また、本発明の一実施形態に係る装置では、前記シャフト部材の前記ボルトの中心位置が、前記シャフト部材の外周面から3mm-10mmの範囲における位置に配置される。
【0014】
筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成されるため、スリンガのシャフト部材への取り付けに際し、シャフト部材の外径寸法を変更する必要がないことに加え、上記構成により、シャフト部材を締結するボルトの中心位置がシャフト部材の外周面から3mm-10mmの範囲に配置されることで、シャフト部材の中心位置からの距離を長くすることができ、これによりシャフト締結力やシャフト部材に締結された部材への伝達トルクの向上に資することができる。
【0015】
本発明の一実施形態に係る装置では、前記筒状部と前記シャフト部材との間に接着層を備え、前記シャフト部材の径方向内側へ延びる前記フランジ部の長さは、前記接着層の厚さ以下に形成される。また、本発明の一実施形態に係る装置では、前記シャフト部材の径方向内側へ延びる前記フランジ部の長さが、前記接着層の厚さよりも小さい場合、前記シャフト部材と前記フランジ部との間に接着層が形成される。
【0016】
上記構成により、フランジ部が筒状部からシャフト部材の径方向内側に位置することで、シール機構の外径寸法を増加させないため、シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースをコンパクトなものとするだけでなく、スリンガが取り付けられる位置におけるシャフト部材の外径を維持しつつ、フランジ部によるスリンガの強度向上を図ることができる。
【0017】
本発明の上記一実施形態に係る装置のシール機構は、小型化が要求される様々な装置に好適に適用可能である。
【発明の効果】
【0018】
装置全体の設計自由度を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】例示的なシール機構の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に本発明の一実施形態におけるシール機構1を備えた装置10の断面図を示す。
【0021】
本発明の一実施形態におけるシール機構1は、シャフト部材4と、シャフト部材の少なくとも一部を収容するケース5との間をシールする。シャフト部材4、ケース5及びシール機構1で構成される装置10は、シール機構1により装置10の内部空間を外部空間からシールする。
【0022】
本発明の一実施形態におけるシール機構1、シャフト部材4及びケース5は、当該装置10の少なくとも一部を形成する。すなわち、当該装置10は、シール機構1、シャフト部材4及びケース5以外の構成部材を備えてもよい。また、当該装置は、減速機であってもよいし、他の装置であってもよい。シャフト部材4は、例えば、減速機が作動することで回転する部材として構成し得るが、これに限られず、任意の回転部材であってよい。当該シール機構1は、特定の装置にのみ設けることを意図するものではなく、任意の回転部材を備える装置に適用可能である。
【0023】
本発明の一実施形態におけるシャフト部材4は、所定の回転軸周りに回転するよう構成されるが、シャフト部材4は、特定の形状に限定することを意図するものではない。シャフト部材は、例えば、円柱状の部材であってもよいし、円筒状の部材であってもよいし、その他の形状を備えた部材であってもよい。
【0024】
本発明の一実施形態におけるケース5は、シャフト部材4と略同軸に形成されてもよい。本発明の一実施形態におけるシャフ卜部材4、ケース5の少なくとも一方は、当該回転軸周りに回転する。すなわち、シャフト部材4が当該回転軸周りに回転し、ケース5が固定されてもよいし、シャフト部材4が固定され、ケース5が当該回転軸周りに回転するように構成されてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態におけるケース5は、シャフト部材4が部分的に収容される内部空間を形成する。当該ケース5の内部空間には、当該シャフト4と共に、装置の一部に用いられる様々な構成部材が収容されてもよい。一例として、ケース5の内部空間には、シャフ卜部材4に連結され得る歯車部品などが配置されてもよいが、これに限らない。
【0026】
本発明の一実施形態におけるシール機構1は、上述の通り、ケース5の内部空間を、ケース5の外側の外部空間から仕切るよう構成される。当該シール機構1は、シャフ卜部材4とケース5との間に形成される空間(例えば、環状の空間)に設けられ、これによりシール機構1は、当該内部空間を当該外部空間からシールする。
【0027】
本発明の一実施形態におけるシャフ卜部材4は、外周面14を備える。当該シャフト部材4の外周面14には、シール機構1が密着するように載置される。当該外周面14には、接着剤が塗布され、接着層AHLを形成する。
【0028】
本発明の一実施形態におけるケース5は、内周面15を備える。当該ケース5の内周面15には、シール機構1が密着するように接触する。このように、シール機構1は、ケース5の内周面15とシャフト部材4の外周面14との間に挟まれるように形成される。
【0029】
次に、本発明の一実施形態におけるシール機構1は、スリンガ2と、シール部材3と、を含む。スリンガ2は、円筒状の筒状部11と、当該筒状部11からみてシャフト部材4の径方向内側にフランジ部12を備える。スリンガ2は、筒状部11及びフランジ部12以外の構成部材を含んでいてもよいし、筒状部11及びフランジ部12により構成されていてもよい。
【0030】
当該スリンガ2の筒状部11は、少なくとも一部が筒状に形成されていてもよいし、全体として筒状に構成されてもよい。筒状部11の一端若しくは両端は、一部面取りされていてもよい。
【0031】
本発明の一実施形態におけるフランジ部12は、筒状部11の一端若しくは一部からシャフト部材4の径方向内側へ延びる。筒状部11とフランジ部12との間に他の構成部材が介在する場合には、当該フランジ部12は、当該他の構成部材の一端若しくは一部からシャフト部材4の径方向内側へ延びるよう構成される。フランジ部12は、シャフト部材4の外周面14に接触するまで延びていてもよいし、その手前まで延びるよう構成されてもよい。
【0032】
本発明の一実施形態における筒状部11は、内周面21と、当該内周面21とは反対側の外周面20と、を備える。筒状部11の内周面21は、接着層AHLによって、シャフト部材4の外周面14に接着される。このようにして、シャフト部材4の外周面14は、筒状部11により周囲を囲まれる。スリンガ2をシャフト部材4に取り付ける位置を決める治具(図示しない)を別途用いてもよい。この接着層AHLに代えて、シール性を有するゴム部材を筒状部11の内周面21と、シャフト部材4の外周面14と、の間に介在させてもよいし、その他の部材を介在させても構わない。
【0033】
図示の例では、フランジ部12の、シャフト部材4の径方向でみて筒状部11から突出する長さは、接着層AHLの厚さと同一であるか、それによりも小さく構成される。フランジ部12の、シャフト部材4の径方向でみた筒状部11から突出する長さが、接着層AHLの厚さよりも小さい場合、フランジ部の端面22とシャフト部材4の外周面14との間に接着層AHLを形成するように構成してもよい。
【0034】
本発明の一実施形態のシャフト部材4は、筒状部11が設けられる位置における該シャフト部材4の外径と、フランジ部12が設けられる位置における前記シャフト部材4の外径とが同一となるよう形成することができる。なお、ここでいう同一とは、寸法誤差など製造時に不可避な誤差の範囲も含まれるため、必ずしも完全同一を意図するものではなく、実質的に同一である場合も含まれることはいうまでもない。
【0035】
本発明の一実施形態のシャフト部材4には、該シャフト部材4を他の構成部材(特に図示しない)と締結するボルト(特に図示しない)のネジ穴30が設けられ、該ボルトの中心位置100(又はネジ穴30の中心位置100)が、シャフト部材4の外周面14から近接する位置に配置される。
【0036】
該筒状部が設けられる位置における該シャフト部材の外径と、前記フランジ部が設けられる位置における前記シャフト部材の外径とが同一に形成される。すなわち、スリンガのシャフト部材への取り付けに際し、シャフト部材の外径寸法が変更されていない。また、シャフト部材を締結するボルトの中心位置がシャフト部材の外周面のより近くに配置されることで、シャフト部材の中心位置からの距離を長くすることができ、これによりシャフト締結力を向上させることができる。
【0037】
本発明の一実施形態におけるシャフト部材4のボルトの中心位置は、当該ボルトを当該シャフト部材4に螺合したときに当該シャフト部材4の外周形状を維持する位置であって、シャフト部材4の外周面に最も近くなる位置に配置される。これにより、シャフト部材に締結された部材への伝達トルクを大きくすることができる。
【0038】
本発明の一実施形態におけるシャフト部材4のボルトの中心位置は、シャフト部材4の外周面14から3mm-10mmの範囲における位置に配置される。これにより、シャフト部材の中心位置からの距離を長くすることができ、シャフト締結力やシャフト部材に締結された部材への伝達トルクの向上に資することができる。
【0039】
このようにして、本発明の一実施形態におけるシャフト部材4は、スリンガ2を載置するために特殊な設計とする必要がなく、シャフト部材4の設計自由度を確保することができる。また、ケース5の上述のスリンガの構造により、フランジがケースに干渉することなく、ケースの設計自由度を確保することができる。さらに、フランジの外周部にシールを配置することにより、シール機構の出力軸方向長さを短くできる。このように、シール機構1の寸法をコンパクトなものとすることを可能とする。これにより、シール構築された装置1の構成部品の設計自由度を確保できる。また、シャフト部材4とケース5との間の空間は、様々な部品の配置のためにも有効に利用され得る。
【0040】
次に、本発明の一実施形態におけるシール部材3は、ケース5の内周面15に当接される外周面23を有するリング状の部材である。シール部材3は、シャフト部材4の回転軸周りを取り囲むように形成される。シール部材3は、主リング部24と、環状のメインリップ25と、環状のダストリップ26と、スプリングリング27と、を含む。
【0041】
なお、図1に示す例では、シール部材3に隣接して、別のシール部材6がさらにシャフト部材4の回転軸周りを取り囲むように、かつシャフト部材4の回転軸方向でみて外側(外部空間側)に配置しているが、追加のシール部材を別途配置してもよいし、別のシール部材6や追加のシール部材いずれも配置しないよう構成しても構わない。別のシール部材6は、シール部材3と対照的に構成されているため、詳細な説明は省略する。
【0042】
本発明の一実施形態におけるシール部材3の主リング部24は、第1部分241と、第2部分242と、を含む。当該第1部分241は、シャフト部材4の回転軸に略一致する中心軸を有する円筒状の部位として形成される。当該第1部分241の外周面の一部若しくは全体は、ケース5の内周面15に当接される。一方、第2部分242は、第1部分241の端部から屈曲し、シャフト部材4の径方向内側に向けて突出するリング状の部位として形成される。当該第2部分242は、筒状部11の外周面20に対向する内周端243を含む。ダストリップ26及びメインリップ25は、内周端243に接続される。
【0043】
本発明の一実施形態におけるダストリップ26は、主リング部24の内周端243から外部空間及びシャフト部材4の径方向内側に向けて斜めに突出する。ダストリップ26は、外部空間で浮遊する塵挨といった異物が内部空間に侵入することを防ぐために用いられる。
【0044】
当該ダストリップ26の先端は、筒状部11の外周面20に当接する。シャフ卜部材4及びケース5のうち少なくとも一方が回転している問、ダストリップ26の先端は、スリンガ2の筒状部11と擦れることとなるが、スリンガ2は、シャフト部材4よりも耐摩耗性に優れた材料から形成されるので、ダストリップ26が筒状部11へ摺接される状態が継続する場合にあっても、スリンガ2はほとんど摩耗しない。
【0045】
本発明の一実施形態におけるメインリップ25は、圧接リング251と、連結リング252と、を含む。圧接リング251は、ダストリップ26と内部空間との聞で、筒状部11の外周面20に当接する。連結リング252は、圧接リング251を、主リング部24の内周端243に連結させる。
【0046】
本発明の一実施形態におけるスプリングリング27は、圧接リング251に取り付けられる。圧接リング251を取り囲むスプリングリング27は、シャフト部材4の回転軸に向かう力を、圧接リング251のほぼ全周に亘って、圧接リング251に加える。このようにして、圧接リング251は、筒状部11の外周面20に密着され、圧接リング251と筒状部11の外周面20との間の境界にシール機能を形成する。内部空間に収容された液体(例えば、潤滑油など)は、圧接リング251と筒状部11の外周面20との聞の境界に形成されたシール機能により、外部空間への漏出が回避される。
【0047】
シャフ卜部材4及びケース5のうち少なくとも一方が回転している問、圧接リング251は、スリンガ2の筒状部11と擦れることとなるが、上述の通り、スリンガ2は、シャフト部材4よりも耐摩耗性に優れた材料から形成されるので、メインリップ25の圧接リング251が筒状部11へ摺接される状態が継続する場合にあっても、スリンガ2はほとんど摩耗しない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上述の実施形態の原理は、様々な機械設備に好適に利用される。
【符号の説明】
【0049】
1 シール機構
2 スリンガ
3 シール部材
4 シャフト部材
5 ケース
10 装置
14 外周面
15 内周面
20 筒状部の外周面
21 筒状部の内周面
22 フランジ部の端面
23 シール部材の外周面
24 主リング部
25 メインリップ
26 ダストリップ
27 スプリングリング
30 ネジ穴
100 中心軸
AHL 接着層
図1