(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】コーティングされるべき表面上へのコーティング用製品の適用ヘッド及びそのような適用ヘッドを含む適用システム
(51)【国際特許分類】
B05B 1/14 20060101AFI20220801BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20220801BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
B05B1/14 Z
B05B12/00 A
B05C5/00 101
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017234831
(22)【出願日】2017-12-07
【審査請求日】2020-11-06
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516299279
【氏名又は名称】エクセル インダストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100210686
【氏名又は名称】田中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】シリル メダール
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル コルラ
(72)【発明者】
【氏名】エリク プリュ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ シュアン
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-519524(JP,A)
【文献】米国特許第04923743(US,A)
【文献】特開2016-144805(JP,A)
【文献】特開2004-074015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
B05C5/00-21/00
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされるべき表面(S)上へのコーティング用製品の適用ヘッド(6;6’;6”;6”’)であって、コーティング用製品のための少なくとも2つの噴霧ノズル(60)を含み、それぞれが、前記噴霧ノズル(60)の出口穴の直径(D)より小さい直径を有する複数の液滴を同時に作り出すことによって、エアロゾル流(61)の形態でコーティング用製品を噴霧するのに適して
いて、前記噴霧ノズル(60)から分離した1つ又は複数の追加の噴霧ノズル(64)を含み、前記追加の噴霧ノズル(64)が、コーティング用製品の滴下流(65)を生成するのに適していることを特徴とする、適用ヘッド。
【請求項2】
前記エアロゾル流(61)がコーティングされるべき表面(S)で互いに接触するように、前記噴霧ノズル(60)が0.1~2cmに含まれる距離で対になって離間していることを特徴とする、請求項1に記載の適用ヘッド。
【請求項3】
前記噴霧ノズル(60)が、コーティングされるべき表面(S)で、これらのノズルにより生成された前記エアロゾル流(61)間に重複部を得るように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の適用ヘッド。
【請求項4】
2つの隣接した噴霧ノズルにより生成されたエアロゾル流間の重複率が、5%以上であるか、又は50%に実質的に等しいか、又は66%に実質的に等しいことを特徴とする、請求項3に記載の適用ヘッド。
【請求項5】
各噴霧ノズル(60)の前記出口穴の直径(D)が100μm以上であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の適用ヘッド。
【請求項6】
前記追加の噴霧ノズル(64)が、前記適用ヘッドの少なくとも1つの外側エッジ上に位置している、及び/又は、前記噴霧ノズル(60)と隣接していることを特徴とする、請求項
1~5のいずれか1項に記載の適用ヘッド(6’)。
【請求項7】
前記追加の噴霧ノズル(64)が、前記噴霧ノズル(60)の前記出口穴の直径(D)より小さい出口穴の直径(D’)を有することを特徴とする、請求項
1~6のいずれか1項に記載の適用ヘッド(6’)。
【請求項8】
前記追加の噴霧ノズル(64)が、前記噴霧ノズル(60)の供給回路(600)から分離した供給回路(640)により供給されていることを特徴とする、請求項
1~7のいずれか1項に記載の適用ヘッド(6’)。
【請求項9】
前記噴霧ノズル(60)が、列(6L)になって及び/又は行(6R)になって互いに配列されていることを特徴とする、請求項1~
8のいずれか1項に記載の適用ヘッド。
【請求項10】
前記エアロゾル流(61)の少なくとも一部に隣接した案内空気流(631)を噴霧するのに適した空気排出穴(630)を含む、噴霧されたコーティング用製品を案内する空気流のための適用装置を含むことを特徴とする、請求項1~
9のいずれか1項に記載の適用ヘッド(6”’)。
【請求項11】
前記適用ヘッド(6)が、前記噴霧ノズル(60)の少なくとも一部により発せられたエアロゾル流を横方向に縮小するための取り外し可能又は格納可能なマスク(610)を含むことを特徴とする、請求項1~
10のいずれか1項に記載の適用ヘッド(6”’)。
【請求項12】
前記噴霧ノズル(60)により発せられた前記エアロゾル流(61)に電場を印加するのに適した少なくとも1つの電極(620)を含み、コーティングされるべき表面が前記システムの電気接地部(621)に接続されていることを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1項に記載の適用ヘッド(6)。
【請求項13】
前記マスク(610)が、導電性材料で作られており、かつ、このマスクを電気的に分極するための電気分極回路に接続されるのに適しており、コーティング用製品が事前に反対の極性で電気的に分極されていることを特徴とする、請求項
11に記載の適用ヘッド。
【請求項14】
関節アーム(4)と、前記関節アーム(4)上に固定されたコーティング用製品の適用ヘッド(6)とを備えた複数軸の産業ロボット(2)を含む、コーティングされるべき表面(S)上へのコーティング用製品の適用システム(1)であって、前記適用ヘッド(6)が、請求項1~
13のいずれか1項に記載のものであることを特徴とする、適用システム。
【請求項15】
前記システム(1)が、200mm未満である、好ましくは5~50mmに含まれる、またより好ましくは10~30mmに含まれる、前記適用ヘッド(6)とコーティングされるべき表面(S)の間の距離(H)に適していることを特徴とする、請求項
14に記載の適用システム。
【請求項16】
前記適用ヘッド(6)が、磁気固定装置(40)を使用して、前記関節アーム(4)に取り外し可能に固定されていることを特徴とする、請求項
14又は
15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングされるべき表面上へのコーティング用製品の適用ヘッドに関する。本発明はまた、そのような適用ヘッドを含む、コーティングされるべき表面上へのコーティング用製品の適用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工業塗装の分野において、適用システムは、コーティングされるべき表面上、例えば、機械部品上に、塗料のようなコーティング用製品を堆積することについて公知である。
【0003】
例えば、回転ボウル噴霧器又は空気式ガンを使用して、広いエアロゾル流、又はエアロゾルの形態の液滴流で噴霧される塗料を噴霧することが公知である。これらの技術により、例えば自動車産業において、工業製造ラインでの製造リズム(production rhythms)に適合するように、大きい表面積及び高い適用速度で表面をコーティングすることが可能となる。
【0004】
しかしながら、これらの公知の技術は、塗料の良好な適用精度が望まれる幾つかの用途については完全に満足のいくものではない。特に、コーティングされるべき表面の正確な位置に塗料が適用されることが必要である。
【0005】
特に、これらの技術では、塗料の液滴が堆積される位置上で良好な制御を有することができない。コーティングされるべき表面の標的領域上へのコーティング用製品の適用は、この標的領域の外側に「オーバースプレー」と称される望ましくない漏出を伴う。標的領域上に堆積された塗料の量と、噴霧された塗料の量との間の比として規定される、これらの技術を使用して得られた転送速度又は堆積歩留りは80%以下であると推定される。これは、塗料の最大20%が、塗料を堆積したい領域の外側に堆積されていることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より具体的には、本発明は、大きい表面積にわたってコーティング用製品を噴霧しつつ、現存する技術より高い適用精度、高い適用品質及び高い堆積歩留りで製品を適用することができる、コーティングされるべき表面上へのコーティング用製品の適用ヘッドを提案することで、これらの欠点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、コーティングされるべき表面上へのコーティング用製品の適用ヘッドに関し、この適用ヘッドは、コーティング用製品のための少なくとも2つの噴霧ノズルを含み、それぞれが、噴霧ノズルの出口穴の直径よりも小さい直径を有する複数の液滴を同時に作り出すことで、エアロゾル流の形態でコーティング用製品を噴霧することに適している。
【0008】
したがって、本発明のおかげで、コーティング用製品のエアロゾル流をそれぞれ作り出す複数の噴霧ノズルを組み合わせることで、適用ヘッドが、コーティングされるべき表面上に十分に広い帯のコーティング用製品を堆積することができる。さらに、単一の大きいエアロゾル流ではなく複数の小さいエアロゾル流を作り出すことによって、コーティング用製品が偶然に堆積される標的領域の外側の表面がまた低減される。エアロゾル流が組み合わさっていくように、その流れのそれぞれからの制御不能の液滴は隣接流からの液滴と組み合わさる。したがって、適用の歩留りは大きく増加する。
【0009】
有利であるが任意選択の本発明の態様によれば、そのような適用ヘッドは、単独で又は任意の技術的に許容される組み合わせで考えられる以下の特徴のうち1つ又は複数を組み込むことができる。
【0010】
エアロゾル流がコーティングされるべき表面で互いに接触するように、噴霧ノズルが0.1~2cmに含まれる距離で対になって離間している。
【0011】
噴霧ノズルが、コーティングされるべき表面で、これらのノズルによって作り出されたエアロゾル流間に重複部を得るように配置され、好ましくは、2つの隣接した噴霧ノズルにより生成されたエアロゾル流間の重複率が5%以上であるか、又は50%に実質的に等しいか、又は66%に実質的に等しい。
【0012】
各噴霧ノズルの出口穴の直径が100μm以上である。
【0013】
作り出されたエアロゾル流が、コーティングされるべき表面上で、20mm超の幅を有する複合エアロゾル流を形成するために少なくとも部分的に対になって重複するように、噴霧ノズルが配置されている。
【0014】
適用ヘッドが、噴霧ノズルから分離された1つ又は複数の追加の噴霧ノズルを含み、追加の噴霧ノズルが、コーティング用製品の滴下流を生成するのに適している。
【0015】
追加の噴霧ノズルが、適用ヘッドの少なくとも1つの外側エッジに位置する、及び/又は噴霧ノズルに隣接している。
【0016】
追加の噴霧ノズルが、噴霧ノズルの出口穴の直径より小さい出口穴の直径を有する。
【0017】
追加の噴霧ノズルが、噴霧ノズルにより噴霧されるコーティング用製品から分離した追加のコーティング用製品を噴霧するように、噴霧ノズルの供給回路から分離した第2の供給回路により供給されている。
【0018】
噴霧ノズルが列になって及び/又は行になって互いに配列されている。
【0019】
適用ヘッドが、エアロゾル流の少なくとも一部に隣接した案内空気流を噴霧するのに適した空気排出穴を含む、噴霧されたコーティング用製品を案内する空気流のための適用装置を含む。
【0020】
適用ヘッドが、噴霧ノズルの少なくとも一部により発せられたエアロゾル流を横方向に縮小するための取り外し可能又は格納可能なマスクを含む。
【0021】
適用ヘッドが、噴霧ノズルにより発せられたエアロゾル流に電場を印加するのに適した少なくとも1つの電極を含み、コーティングされるべき表面が、システムの電気接地部に接続されている。
【0022】
マスクが、導電性材料で作られており、かつ、このマスクを電気的に分極するための電気分極回路に接続されるのに適しており、コーティング用製品が事前に反対の極性で電気的に分極されている。
【0023】
別の態様によれば、本発明は、コーティングされるべき表面上へのコーティング用製品の適用システムであって、関節アームと、関節アーム上に固定されたコーティング用製品の適用ヘッドとを備えた複数軸の産業ロボットを含み、適用ヘッドが本発明に記載のものである、適用システムに関する。
【0024】
最後に、有利であるが任意選択の本発明の態様によれば、そのようなシステムは、単独で又は任意の技術的に許容される組み合わせで考えられる以下の特徴のうち1つ又は複数を組み込むことができる。
【0025】
システムが、200mm未満である、好ましくは5~50mmに含まれる、さらにより好ましくは10~30mmに含まれる適用ヘッドとコーティングされるべき表面との間の距離に適している。
【0026】
適用ヘッドが、磁気固定装置を使用して、関節アームに取り外し可能に固定されている。
【0027】
単に非限定的な例として提供され、添付の図面に関してなされる、そのような適用ヘッド及び適用システムの1つの実施形態の以下の説明に照らして、本発明はより良好に理解され、本発明の他の利点がより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る適用ヘッドを含む、コーティングされるべき表面上へのコーティング用製品の適用システムの概略図である。
【
図2】適用ヘッドの移動方向に垂直に配向された断面に従った、
図1の適用ヘッドの簡略図である。
【
図3】製品の噴霧ノズルの位置取りを示す適用ヘッドの下面の概略図である。
【
図4】噴霧ノズルの1つが閉状態である、
図2の適用ヘッドの概略図である。
【
図5】噴霧ノズル及び追加の噴霧ノズルの配置を示した、本発明に係る適用ヘッドの別の実施形態の下面の概略図である。
【
図6】
図5の適用ヘッドの、断面における概略図である。
【
図7】案内マスクを含む、本発明に係る適用ヘッドの別の実施形態の、側面図における概略図である。
【
図8】コーティング用製品の空気案内装置を含む、本発明に係る適用ヘッドの別の実施形態の、断面における概略図である。
【
図9】システムがコーティング用製品の静電案内システムを含む、本発明に係る適用ヘッドの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、例えば液体形態のコーティング用製品の適用システム1を示す。システム1は、電気制御ユニット20と、関節アーム4と、アーム4の一方の端部に固定されたコーティング用製品のための適用ヘッド6とを備えた複数軸ロボット2を含む。
【0030】
システム1は、ヘッド6を使用して、コーティングされるべき表面S上にコーティング用製品を適用することを目的とする。この例においては、表面Sは、支持体10上に設置された機械部品8の外面である。例えば、支持体10はコンベヤベルトである。
【0031】
この説明において、部品8は自動車部品、例えば、金属車両のボディ部材である。コーティング用製品は、部品8に適用されることが意図された液状工業的塗料、例えばベース層である。
【0032】
代替的に、コーティング用製品は異なることがある。例として、それは、ワニス、接着剤又はパテであることができる。同様に、システム1は、自動車産業以外の用途のために使用することができ、例えば、航空産業用に、又はプラスチック部品をコーティングするために使用することができる。
【0033】
システム1は、特に、アーム4を使用し、事前に規定した軌道に従って、表面Sに対して適用ヘッド6を移動するように構成される。例えば、アーム4は図示されていないモータを備え、それは、移動プログラムに基づいて制御ユニット20により制御される。
【0034】
有利には、適用ヘッド6は、制御ユニット20により制御可能な磁気固定装置40を使用して取り外し可能に固定される。例えば、アーム4は、制御ユニット20により制御可能な電磁石を備えている。適用ヘッド6は、アーム4により支持された電磁石と協働することが意図された永久磁石を備えている。
【0035】
したがって、適用ヘッド6は、コーティング用製品の適用操作中に、ロボット2により選択的にかつ自動的に交換することができる。例えば、部品8の形状、したがって表面Sの寸法に基づいて、異なるサイズの適用ヘッドをロボット2により連続的に使用し、より広い又はより狭い幅にコーティング用製品を適用する。
【0036】
この目的を達成するために、システム1は任意選択で、適用ヘッドを保管するための倉庫12と、適用ヘッド6のための洗浄ボックス14を含む。ボックス14により、適用ヘッドが使用された後に含有するコーティング用製品を取り除くために、例えば洗浄溶液を使用して、適用ヘッドを洗浄することが可能となる。
【0037】
システム1は、適切な圧力で適用ヘッド6に向けてコーティング用製品を運ぶのに適した、コーティング用製品を供給するための装置をさらに含む。この供給装置は、本明細書では、一方がコーティング用製品リザーバに接続され、他方が適用ヘッド6に供給するための開口602に接続された供給管41により概略的に図示されている。
【0038】
1つの変形形態によれば、コーティング用製品は、システム1に別々に供給される第1成分と第2成分とを混合することから得ることができる。この場合において、システム1は、供給システムに流体的に接続されたミキサ42を含む。
図1において、ミキサ42は、供給管41より上流に接続されて図示されている。代替的に、このミキサ42は、適用ヘッド6中に組み込むことができ、以下で説明する適用ヘッド6の供給回路600内に組み込むことができる。
【0039】
適用ヘッド6は、表面S上に、システム1の供給装置から出たコーティング用製品を噴霧するのに適している。
図2に示したように、適用ヘッド6は、コーティング用製品の少なくとも2つの噴霧ノズル60を含む。各ノズル60は、エアロゾル流61の形態でコーティング用製品を噴霧するのに適している。
【0040】
本明細書の意味の範囲内で、エアロゾル流とは、空気中に浮遊し、かつ、流れの形態で本質的に噴霧されるコーティング用製品の液滴一式である。この例において、エアロゾル流61を形成する液滴は、1つの軸又は伝搬方向に沿って本質的に配向された速度で噴霧される。例えば、伝搬軸は、ノズル60の出口の表面に垂直、本明細書では鉛直方向に配置される。代替的に、この伝搬軸は、この表面に対してゼロでない角度で配置される。ヘッド6は、伝搬軸がコーティングされるべき表面Sに垂直であるように配向される。
【0041】
エアロゾル流61の液滴の少なくとも一部は、ノズル60によって同時に作り出される。したがって、エアロゾル流61は、特に、滴下タイプの、例えば、コーティング用製品の滴(drop)が1つずつ連続して作り出される、「連続インクジェット」タイプ又は「滴オンデマンド」タイプの噴霧ノズルによって作り出されるコーティング用製品の流れとは相違する。
【0042】
例えば、適用ヘッド6は、ハウジングと、ハウジング内に収容された供給回路600とを含む。回路600は、供給管41に接続されることが意図された供給入口602と、噴霧ノズル60に向けて入口602からのコーティング用製品の循環を可能にする複数の流路603とを含む。ノズル60は、本明細書では、ヘッド6の下面に配置され、ハウジングの外側に現れる。
【0043】
例えば、噴霧ノズル60は、出口穴と噴霧部材とを含む。この噴霧部材は、小型空気式ガン、又は回転ボウル、又は振動させるために作られた振動ニードル、又は例えばテイラーコーン型の電気ネブライザーである。
【0044】
参照「D」は、各噴霧ノズル60の出口穴の直径を示し、「d」は、エアロゾル流61に属するコーティング用製品の液滴の直径を示す。
【0045】
噴霧ノズル60の出口穴の直径Dは、本明細書では、100μm以上であり、かつ、600μm以下である。
【0046】
コーティング用製品の液滴の直径dは、噴霧ノズル60の出口穴の直径Dより小さい。例えば、液滴の直径は1μm以上であり、80μm以下であり、好ましくは30~50μmに含まれる。
【0047】
好ましくは、エアロゾル流61の1つの液滴の直径は、本明細書では、この液滴がエアロゾル流で移動し、球形状を有する場合に測定される。
【0048】
この例において、ノズル60は互いに同一であり、したがって同一の直径Dを有する。
【0049】
ヘッド6は、コーティングされるべき表面から距離Hに設置されるのに適している。距離Hは200mm以下であり、好ましくは5~50mmに含まれ、さらにより好ましくは10~30mmに含まれる。
【0050】
例えば、制御ユニット20は、例えば事前に規定した制御プログラムから、及び/又は図示されていない位置センサにより提供されたヘッド6の位置データに基づいて、その移動の間に表面Sから距離Hでヘッド6を保持するようにプログラムされる。
【0051】
参照「l」は、各エアロゾル流61の堆積表面の最大直径を示す。ノズル60は、本明細書では、エアロゾル流61が10cm2以下、好ましくは5cm2以下の表面S上の堆積表面積を有するように構成される。
【0052】
ノズル60は、各ノズル60により形成された各々のエアロゾル流61が結合するように、すなわち、表面Sで不連続なく複合エアロゾル流を形成するように対になって隣接して設置される。エアロゾル流61は、互いに接触していると考えられる。例えば、ノズル60の各々の幾何学的中心は0.1~2cmに含まれる距離で対になって離間している。
【0053】
このように、ヘッド6は、表面S上に、コーティング用製品の連続した均一帯Bを適用することを可能とする。
【0054】
図示した例において、エアロゾル流61は対になってゼロでない重複部を有する。本明細書では、参照l-Rは、2つの隣接したエアロゾル流61間の重複距離を示し、この重複距離は、本明細書では、例として、表面Sに平行であり、かつ、関連するエアロゾル流61の各々の堆積表面の幾何学的中心に接続する線に沿って、隣接した個々のエアロゾル流61のエッジ間で測定される。重複率は、例えば、距離l-Rとlの間の比として規定される。例えば、重複率は、5%以上である。代替的に、重複率は、50%に実質的に等しい、又は約66%に実質的に等しい、又は約75%に実質的に等しい。本明細書では、「実質的に等しい」とは10%以内で等しいことを言い表す。
【0055】
公知の方法において、帯Bを形成するためにエアロゾル流61の各々により個々に堆積された塗料の層は、上で説明した直径lと等しい幅を持つ台形部分を有する。この幅は、この台形の向かい合う傾斜辺の間で、台形部分とこの層の中間高さで測定される。
【0056】
5%に等しい重複率は、例えば、2つのエアロゾル流61で作り出された台形部分を持つ層がそれらの傾斜辺の中間高さで交差するようにヘッド6を配置することで得られる。これにより、少ない不規則性を代償にして、単一の堆積操作で所望の厚さを有する帯Bを得ることを可能となる。
【0057】
例えば、50%の重複率は、2つのエアロゾル流61間の距離l-Rがこれらのエアロゾル流61のそれぞれの幅lの半分に等しいようにヘッド6を配置することで得られる。
【0058】
しかしながら、代替的に、重複距離l-Rは、ゼロになるように、すなわち重複率がゼロであるように選択することができる。
【0059】
したがって、ノズル60により形成されたエアロゾル流61は、個々の流れ61の幅より大きい幅Lを有する、いわゆる複合エアロゾル流を共に形成する。特に、重複部は、上で説明したように、ヘッド6上のノズル60の配置及び空間、並びに距離Hの選択に起因する。本明細書では、幅Lは、ヘッド6の移動方向に垂直な幾何学的平面に沿って測定される。幅Lは、表面Sで20mm以上、好ましくは50mm以上である。
【0060】
このように、ヘッド6は、1つのノズルのみを含む公知のシステムの欠点に直面することなく、単一のエアロゾル流61の堆積表面より大きい表面上にコーティング用製品を堆積することができる。
【0061】
好ましくは、
図3で示されるように、ノズル60は、1つ又は複数の列及び/又は1つ又は複数の行に沿って、ヘッド6の下面に配列される。列及び行は好ましくは直線的である。本明細書では、行は、ヘッド6の移動方向と平行であり、列は行と垂直である。
【0062】
ノズル60は、本明細書では例示として、互いに平行な4つの直線状の列に沿って、及び、互いに平行で列に垂直な5つの行に沿って分布している。列は「6L」で示され、行は「6R」で示される。
【0063】
複数の行6Rにノズル60を位置付けることにより、より広い幅Lを持つ帯Bを得ることが可能となる。複数の列にノズル60を位置付けることにより、堆積した帯Bの厚さを増加することが可能となる。
【0064】
代替的に、ノズル60の空間的な位置取りが可能である。例えば、ノズル60は、ヘッド6の下面に互い違いの行、又は、例えばうねりを有する非直線的な列若しくは行で位置取りする。同様に、ノズル60の数は異なるように選択することができる。
【0065】
有利には、ノズル60が、エアロゾル流61の所望の重複部を得るのに十分に共に近い同一の行又は同一の列のノズル60をもたらすことができない大きな容積を有する場合、これらのノズル60は、それぞれ、同一の行又は列に沿って互い違いの行で配置される。
【0066】
したがって、本発明のおかげで、コーティング用製品のエアロゾル流61をそれぞれ作り出す複数の噴霧ノズル60を組み合わせることで、適用ヘッド6は、十分な精度で表面S上にコーティング用製品の十分広い帯を堆積することができる。表面Sから小さい距離で複数の小さいエアロゾル流61を作り出すことで、表面S上への個々の滴の堆積が、表面Sから離れて生成された単一の大きいエアロゾル流、すなわち表面上で100mm超の衝突幅を有するエアロゾル流より、容易に制御される。したがって、不要な堆積又は「オーバースプレー」が低減され、適用歩留りが増加する。大きい表面にコーティング用製品を堆積することができることで、早いペースを有し、かつ、コーティング用製品に使う時間を過剰にしてはいけない工業的方法で適用ヘッド6が使用可能になる。
【0067】
有利には、ノズル60は、開状態と閉状態の間で、選択的にかつ可逆的にそれぞれ切り替え可能である。開状態において、ノズル60は、本明細書では供給回路600によってコーティング用製品が供給された場合、エアロゾル流61の形成を可能とする。閉状態において、ノズル60は、供給回路600によりコーティング用製品が供給される場合でさえ、エアロゾル流61の形成を防止する。
【0068】
その目的を達成するために、例えば、各ノズル60は、閉状態と開状態の間で切り替え可能な制御可能弁601をさらに含む。代替的に、弁601は供給回路600に属する。
【0069】
各弁601は、電気制御回路63により運ばれる制御信号63-Sに基づいて、開状態と閉状態の間で切り替えることができる。この例において、回路63は、ヘッド6の内部に挿入され、図示されていないデータリンクを通じて制御ユニット20から制御することができる。代替的に、回路63は、異なるように配置することができる。例えば、回路63は、例えば制御ユニット20に組み込まれて、ヘッド6の外側に配置される。
【0070】
例えば、この制御は、回路63又は制御ユニット20に事前に記録された実行可能な指示を使用して行われる。
【0071】
回路63は、独立して、ヘッド6のノズル60の弁601を制御するのに適している。したがって、回路63は、ノズル60が列及び/又は行に配置された場合に、同一列又は同一行のノズル60を同一の開状態または閉状態にするように併せて命令することができる。
【0072】
またより有利には、回路63は、事前に規定された循環頻度で、循環的に、ノズル60の少なくとも一部の開閉を命令するようにプログラムされる。この事前に規定された頻度は、表面Sに対するヘッド6の移動のパラメータの関数としてさらに計算される。
【0073】
特に、ヘッド6が表面Sに対して移動し、表面Sの上の曲線パスに従う場合、ヘッド6の近位端、すなわち、軌道の曲線中心に対し最も近くに位置した端部は、曲線中心から最も遠くに、反対に位置するヘッド6の遠位端より遅い速度で移動する。そのような場合において、帯Bの幅全体Lにわたるコーティング用製品の堆積の良好な均一性を保証するように、ヘッド6により噴霧されたコーティング用製品の量を調節しなければならない。特に、その遠位端上よりその近位端上に少ないコーティング用製品を堆積するように、特に、帯Bの厚さが遠位端側より近位端側で大きくなることを防止するように、ヘッド6を制御しなければならない。
【0074】
したがって、ヘッド6の近位端上に位置したノズル60が、遠位端に位置したノズル60より少ないコーティング用製品を堆積するように、循環頻度で連続して開いて、次いで閉じ、遠位端は本明細書では開いたままである。本明細書では、循環頻度は、軌道の曲線半径の関数である。
【0075】
例えば、移動パラメータは、ヘッド6の移動設定点プログラムの関数として、及び/又は移動センサにより測定されたデータの関数として、制御ユニット20により回路63に提供される。例えば、移動パラメータとしては、表面Sに対する各ノズル60の移動速度が挙げられる。
【0076】
図4では、本明細書では参照60.1である噴霧ノズル60の1つがその閉状態で示されている。したがって、このノズル60.1はエアロゾル流61を作り出さない。参照L’は、この場合においては、ヘッド6により形成された複合エアロゾル流の幅を示す。幅L’は幅Lより小さい。その結果として、ヘッド6は、帯Bより狭い製品の帯B’を堆積する。
【0077】
図5及び6は、適用ヘッド6の第2実施形態を示す。第1実施形態と同様であるこの実施形態に係る適用ヘッドの部材は、同一の参照が付され、上の説明をそれらに適用することができるため詳細は説明しない。
【0078】
特に、適用ヘッド6’は、追加の噴霧ノズルとも称される1つ又は複数の第2噴霧ノズル64をさらに含む点で、ヘッド6と相違する。ノズル64はノズル60とは分離している。
【0079】
追加のノズル64は、滴下タイプのコーティング用製品の単一流65を作り出すようにそれぞれが構成される。したがって、ノズル64は、エアロゾル流61と同様のエアロゾル流の形成することができない。例えば、ノズル64は、それぞれ、D’で示される直径を持つ出口穴と、圧電素子又は妨害弁を含む滴下噴射システムとを含む。
【0080】
直径D’は、流れ65のコーティング用製品の液滴が最も小さい直径を有し、固体粒子を含有することがあるコーティング用製品の流れを可能とするように、ノズル60の直径Dより小さいことが好ましい。滴下の様式で作り出された滴は、エアロゾル流61の滴の直径dより大きい直径d’を有し、エアロゾル流61はノズル60の直径Dより小さい。例えば、直径d’は直径D’と実質的に等しい。例えば、直径D’は0.8D以下である。
【0081】
流れ65は、表面S上にコーティング用製品の帯Cの堆積をもたらす。帯Cは、帯Bの幅Lより小さい幅を有する。帯Cは、帯Bとの不連続を有することなく帯Bと隣接する。
【0082】
その目的を達成するために、ノズル64は、帯Cが帯Bと隣接するように、ノズル60と隣接した適用ヘッド6’の少なくとも1つのエッジ上に設置される。
【0083】
この例において、ノズル64は、ノズル60が設置されたこの下面の中心領域の両側の、ヘッド6の下面の向かい合う端部のエッジ上に位置して、行になって設置される。したがって、ノズル64はノズル60を囲む。代替的に、ノズル64は、異なるように、例えばヘッド6の最後の列に配置することができる。ノズル64はまた、ヘッド6の1つのエッジ上のみに設置することができる。
【0084】
この例において、追加の噴霧ノズル64は、供給システム600から分離した供給回路640により供給される。このように、噴霧ノズル64は、噴霧ノズル60により噴霧されるコーティング用製品から分離した追加のコーティング用製品を噴霧するのに適している。
【0085】
このような構成は、コーティング用製品が固体粒子の懸濁している液体である場合に特に有利である。これは、例えば、液体塗料中に懸濁した金属粒子又は金属片を含む、金属塗料の場合である。これはまた、マイカ、ガラス、又は視覚的外観に特定の効果を与えるか又はコーティング用製品の層の幾つかの機械的若しくは物理的特性を向上する、例えばよりスクラッチ耐性を高めることが意図された他の粒子が満たされた塗料の場合である。
【0086】
噴霧ノズル64が噴霧ノズル60の直径Dより小さい直径D’を有する場合、金属片がノズル64を妨害するリスクが存在するため、ノズル64は、金属化塗料を直接供給しないことが好ましい。この場合において、金属片を含まない関連塗料は、供給回路640に提供され、断片を含む金属化塗料は、供給回路600に提供される。適用された後に同一の陰部(shade)を得るために、断片を含まない厳密に同一の塗料で得られた陰部とわずかに異なる陰部を持つ塗料を使用することがまた可能となる。
【0087】
しかしながら、代替的に、同一のコーティング用製品がノズル60及びノズル64に供給される。これは、金属的効果を有する粒子を含まない塗料に対して特に興味深い。この場合では、供給回路64に、例えば供給管41によって供給回路600を併せて供給することができる。しかしながら、2つの分離した供給回路は、ノズル60及びノズル64が同時に動作するのに必要な異なる操作条件(製造流量、製造圧力)を埋め合わせることが好ましい。
【0088】
したがって、ノズル64は、特に、より鋭い外側エッジを有するように、表面S上への製品の堆積の質を改善することを可能とする。代替的に、ノズル64は、それらの形状、位置取り又は角度配向のために、様々であることができる。
【0089】
図7は、本発明の第3実施形態を示す。第1実施形態と同様であるこの実施形態に係る適用ヘッド6”の部材は、同一の参照が付され、上の説明をそれらに適用することができるため、詳細は説明しない。
【0090】
ヘッド6”は、それが、ノズル60の1つにより発せられた、本明細書では61’で示されるエアロゾル噴霧の1つを少なくとも部分的に縮小するように、ヘッド6”のエッジ上に位置した取り外し可能な又は格納可能なマスクをさらに含む点で、ヘッド6と相違する。マスク610は、本明細書では、エアロゾル噴霧の伝搬方向と平行な並進移動により格納される。この移動は、例えば、制御ユニット20により命令される、図示されていないモータにより確実にされる。
【0091】
このように、堆積した塗料の帯B’は、マスキングがなされなかった場合より、鋭く良好に区切られた境界を有する。
【0092】
有利には、マスク610は、導電性材料で作られ、このマスク610を電気的に分極するための電気分極回路に接続するのに適している。これにより、ノズル60により発せられたエアロゾル流の液滴に案内電場を付与することが可能となり、コーティング用製品が事前に反対の極性で電気的に分極される。したがって、案内電場により、
図9の実施形態に関して以下で説明されることと同様に、塗料の帯B”のエッジの鮮明さを増加することが可能となる。
【0093】
代替的に、マスク610の1つのコピーを、ヘッド6”の外側エッジのそれぞれに設置することができる。
【0094】
図8は、本発明の第4実施形態を示す。第1実施形態と同様であるこの実施形態に係る適用ヘッド6”’の部材は、同一の参照が付され、上の説明をそれらに適用することができるため、詳細は説明しない。
【0095】
適用ヘッド6”’は、噴霧されたコーティング用製品を案内する空気流のための適用装置をさらに含む。この装置は、特に、例えば、システム1によりその端部に専用の管を通じて供給される、圧縮空気供給回路632に接続された空気排出穴630を含む。穴630は、噴霧ノズル60を出て、伝搬方向に沿って配向されたエアロゾル流61の少なくとも一部に隣接する案内空気流631を噴霧するのに適している。したがって、この案内空気流は、コーティング用製品の液滴が交わることができないバリアを構成する。したがって、表面Sの標的領域の外側への液滴の堆積が制限される。こうして堆積された製品の帯Bはまた、より鋭いエッジを有する。穴630は、本明細書では、ヘッド6”’の下面の外側エッジ上に設置される。
【0096】
図示されていない別の実施形態によれば、穴630は、異なるように設置することができ、例えば、複数の独立流を形成するための各ノズル60に設置することができる。空気流631は、エアロゾル流61の伝搬方向に対して収束するか又は発散するように配向することができる。
【0097】
そのような装置は、有利には、適用ヘッド6、6’又は6”と共に使用することができる。
【0098】
図9は、本発明の第5実施形態を示す。第1実施形態と同様であるこの実施形態に係る部材は、同一の参照が付され、上の説明をそれらに適用することができるため、詳細は説明しない。
【0099】
このシステムは、特に、噴霧ノズル60により発せられたエアロゾル流61に電場を印加するのに適した電極620をさらに含む点で、システム1と相違する。したがって、エアロゾル流61の液滴は、ゼロでない電荷量で電気的に帯電される。同様に、表面Sは、電気接地部621に電気的に接続される。このように、液滴の少なくとも一部が、静電力の作用の下で、コーティングされるべき表面Sに向けて引き寄せられる。このように、表面Sの標的領域の外側への液滴の堆積が制限される。こうして堆積された製品の帯Bはまた、より鋭いエッジを有する。
【0100】
例示として、電場は、電極620と、コーティングされるべき表面Sとの間の噴霧軸に生成される。この電場Eは、表面Sに向けてのそれらの移動の間に荷電液滴を加速させる。強度F=qE、qは電気素量である、を持つ静電力は、地球の重力と空気の摩擦力に重ね合わせられる。電気力は、その電気力線に正接しており、それにより、表面Sに向けて発散する。電場の非存在下で、表面Sの標的領域の外側に達した直線的軌道上のいくらかの液滴は、表面Sに向けて屈折し、標的により引き寄せられる。
【0101】
さらに、電場Eのおかげで、液滴は加速され、それにより、ノズル60と表面Sの間の距離を増加させることができ、アクセスしにくい領域に達することができる。これは、堆積歩留りを増加させ、堆積を均一にする。
【0102】
別の利点は、ノズル60により噴霧された液滴のサイズの微細化であり、それにより、表面S上に適用された後のコーティングの最終的な外観を改善する。滴下技術を制限するパラメータの1つは、ノズルの出口穴のサイズであり、それは小さく、自動車塗装の場合のように、インク以外の多くのコーティング用製品の特性に適合しない。液滴に印加された、ノズル60と表面Sの間の軸方向の電場Eは、それらをより細かく霧化することに寄与する。霧化エネルギーと電場との組み合わせは、塗料膜の表面からの滴の抽出力を増加させる。高電圧は、より大きい直径を持つノズル穴60を使用することと同等の微細な霧化を可能とする。最後に、増加した霧化の力により、ヘッド6が自動車塗装ラインのような工業的製造状況で使用される場合に、製造リズムを改善することが可能となる。
【0103】
静電的案内の使用はまた、互いに反発する液滴の位置の均一性及び均等性を改善する。それらは、滴下技術とは異なり、より拡散して堆積される。これは、マーブリング及び筋のような不要な視覚的アーティファクトを低減する。
【0104】
図示されていない代替形態によれば、適用ヘッド6は、ノズルにより噴霧される前に、コーティング用製品を電気的に分極するための装置を含む。同様に、表面Sは電気接地部621に電気的に接続される。このように、エアロゾル流61の液滴は、電極620を使用する必要なく、電気的に分極される。
【0105】
この電気分極のおかげで、液滴の少なくとも一部が、静電力の作用の下、コーティングされるべき表面Sに向けて引き寄せられ、それにより、表面Sの標的領域の外側への液滴の堆積を制限することが可能となる。こうして堆積された製品の帯Bはまた、より鋭いエッジを有する。
【0106】
実施形態及び代替形態、並びに上で考慮された実施形態は、新規の実施形態を作り出すために組み合わせることができる。