(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】画素駆動回路及びその駆動方法、アレイ基板、表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20220801BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220801BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220801BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 670J
G09G3/20 624B
G09G3/20 642A
H05B33/14 A
H01L27/32
(21)【出願番号】P 2017557185
(86)(22)【出願日】2017-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2017085883
(87)【国際公開番号】W WO2018010495
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-03-25
(31)【優先権主張番号】201610551788.4
(32)【優先日】2016-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512282165
【氏名又は名称】合肥▲シン▼晟光▲電▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI XINSHENG OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Xinzhan Industrial Park,Hefei,Anhui,230012,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲楊▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 金良
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0243976(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0154914(US,A1)
【文献】国際公開第2007/138729(WO,A1)
【文献】特開2011-145622(JP,A)
【文献】特開2010-060868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0111563(US,A1)
【文献】国際公開第2015/136588(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/033496(WO,A1)
【文献】特開2016-048300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09G 3/20
H01L 51/50
H01L 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素駆動回路であって、
基準制御信号と基準信号とを受信し、前記基準制御信号の制御によって前記基準信号を出力するように配置されるドリフト抑制ユニットと、
ゲート制御信号、データ信号及び電源電圧信号を受信し、前記ゲート制御信号と電源電圧信号との制御によって前記データ信号を出力するように配置されるデータ書き込みユニットと、
駆動スイッチング素子を備える駆動ユニットであって、前記駆動スイッチング素子の制御端子が、前記データ書き込みユニットに接続され、前記データ書き込みユニットが出力する前記データ信号を受信し、さらに前記ドリフト抑制ユニットに接続され、
前記ドリフト抑制ユニットが出力する前記基準信号を受信し、前記駆動スイッチング素子の前記制御端子が前記データ信号と前記基準信号とを交互に受信して前記駆動スイッチング素子の閾値電圧ドリフトを抑制し、前記駆動スイッチング素子の出力端子が出力ノードに接続され、
前記駆動スイッチング素子の入力端子が前記電源電圧信号を受信し、
前記駆動ユニットが駆動信号を生成して
前記出力ノードに出力するように配置される
、駆動ユニットと、
発光素子を備える動作ユニットであって、前記発光素子の陽極が、前記出力ノードに接続され、
前記駆動ユニットが出力する前記駆動信号を受信し、前記発光素子の陰極が、電源の負極に接続され
、前記発光素子を介して動作電流を形成し、前記発光素子が前記駆動信号の駆動によって発光するように配置される
、動作ユニットと、を備え、
前記データ書き込みユニットは、第2スイッチング素子と第3スイッチング素子を備え、
前記第2スイッチング素子の制御端子が電源電圧信号を受信し、前記第2スイッチング素子の入力端子が前記第3スイッチング素子の出力端子に接続され、前記第2スイッチング素子の出力端子が前記駆動ユニットに接続され、
前記第3スイッチング素子の制御端子が前記ゲート制御信号を受信し、前記第3スイッチング素子の入力端子が前記データ信号を受信する
ことを特徴とする画素駆動回路。
【請求項2】
前記ドリフト抑制ユニットは、
制御端子が前記基準制御信号を受信し、入力端子が前記基準信号を受信し、出力端子が前記駆動ユニットに接続される第1スイッチング素子を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項3】
第1端子が前記駆動スイッチング素子の制御端子に接続され、第2端子が前記駆動スイッチング素子の出力端子に接続される第1コンデンサと、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項4】
前記動作ユニットは、さらに、
第1端子が前記発光素子の陽極に接続され、第2端子が前記発光素子の陰極に接続される第2コンデンサを備える
ことを特徴とする請求項
1に記載の画素駆動回路。
【請求項5】
前記画素駆動回路は、さらに、
電源制御信号と前記電源電圧信号とを受信するように配置され、前記駆動ユニットに接続される電源ユニットを備える
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の画素駆動回路。
【請求項6】
前記電源ユニットは、
制御端子が前記電源制御信号を受信し、入力端子が前記電源電圧信号を受信し、出力端子が前記駆動ユニットに接続される第4スイッチング素子を備える
ことを特徴とする請求項
5に記載の画素駆動回路。
【請求項7】
画素駆動回路の駆動方法であって、
前記画素駆動回路は、ドリフト抑制ユニット、データ書き込みユニット、駆動ユニット及び動作ユニットを備え、前記駆動ユニットと前記動作ユニットとの共通端子が出力ノードであり、
前記駆動ユニットが駆動スイッチング素子を備え、前記駆動スイッチング素子の出力端子が前記出力ノードに接続され、前記データ書き込みユニットは、第2スイッチング素子と第3スイッチング素子とを備え、前記第2スイッチング素子の制御端子が電源電圧信号を受信し、前記第2スイッチング素子の入力端子が前記第3スイッチング素子の出力端子に接続され、前記第2スイッチング素子の出力端子が前記駆動ユニットに接続され、前記第3スイッチング素子の制御端子がゲート制御信号を受信し、前記第3スイッチング素子の入力端子がデータ信号を受信し、
前記駆動方法は、複数の駆動周期を含み、
各前記駆動周期は、
前記ドリフト抑制ユニットに基準制御信号と基準信号とが入力され、前記ドリフト抑制ユニットが前記基準制御信号の制御によって、電位が0未満の前記基準信号を前記駆動
スイッチング素子の制御端子に出力するドリフト抑制期間と、
前記ドリフト抑制ユニットに基準制御信号と基準信号とが入力され、前記ドリフト抑制ユニットが前記基準制御信号の制御によって、前記基準信号を前記駆動
スイッチング素子の前記制御端子に出力し、前記駆動
スイッチング素子を動作状態にし、前記駆動
スイッチング素子の入力端子に低電位の電源電圧信号を入力し、前記出力ノードの電位をリセット電位にリセットするリセット期間と、
前記データ書き込みユニットにゲート制御信号、データ信号及び高電位の電源電圧信号が入力され、前記データ書き込みユニットが前記ゲート制御信号と高電位の電源電圧信号との制御によって、前記データ信号を前記駆動
スイッチング素子の前記制御端子に出力し、前記駆動
スイッチング素子の前記入力端子に高電位の電源電圧信号を入力し、前記出力ノードの電位を前記リセット電位から第1電位にプルアップする補償期間と、
前記データ書き込みユニットにゲート制御信号、データ信号及び高電位の電源電圧信号が入力され、前記データ書き込みユニットが前記ゲート制御信号と高電位の電源電圧信号との制御によって、前記データ信号を前記駆動
スイッチング素子の前記制御端子に出力し、前記駆動
スイッチング素子が浮遊状態にある前記電源電圧信号によって、前記出力ノードの電位を前記第1電位から第2電位にプルアップするデータ書き込み期間と、
前記駆動
スイッチング素子の前記入力端子に高電位の電源電圧信号が入力され、前記駆動
スイッチング素子が前記高電位の電源電圧信号の作用によって駆動信号を生成し、前記駆動信号によって前記動作ユニットを駆動する動作期間と、を含む
ことを特徴とする画素駆動回路の駆動方法。
【請求項8】
前記画素駆動回路は、さらに、前記駆動
スイッチング素子の前記入力端子に接続され、電源制御信号と前記電源電圧信号とを受信する電源ユニットを備え、
前記ドリフト抑制期間と前記リセット期間とに、前記電源ユニットに電源制御信号と低電位の電源電圧信号とが入力され、前記電源ユニットが前記電源制御信号の制御によって低電位の電源電圧信号を前記駆動
スイッチング素子の前記入力端子に出力し、
前記補償期間と前記動作期間とに、前記電源ユニットが前記電源制御信号の制御によって高電位の電源電圧信号を前記駆動
スイッチング素子の前記入力端子に出力し、
前記データ書き込み期間に、前記電源ユニットが前記電源制御信号の制御によって前記駆動
スイッチング素子が受信した前記電源電圧信号を浮遊状態にする
ことを特徴とする請求項
7に記載の画素駆動回路の駆動方法。
【請求項9】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の画素駆動回路を備える
ことを特徴とするアレイ基板。
【請求項10】
請求項
9に記載のアレイ基板を備える
ことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
画素駆動回路であって、ドリフト抑制ユニット、データ書き込みユニット、駆動ユニット、動作ユニット、第1ノード及び第2ノードを備え
、
前記ドリフト抑制ユニットの制御端子が基準制御信号を受信し、前記ドリフト抑制ユニットの第1端子が基準信号を受信し、前記ドリフト抑制ユニットの第2端子が前記基準制御信号の制御によって前記第1ノードに前記基準信号を出力するように前記第1ノードに接続され、
前記データ書き込みユニットの第1制御端子がゲート制御信号を受信し、前記データ書き込みユニットの第2制御端子
が電源電圧信号を受信し、前記データ書き込みユニットの第1端子がデータ信号を受信し、前記データ書き込みユニットの第2端子が前記ゲート制御信号と前記電源電圧信号の制御によって前記第1ノードに前記データ信号を出力するように前記第1ノードに接続され、
前記駆動ユニットの制御端子が、前記第1ノードに接続され、前記データ書き込みユニットが出力する前記データ信号と前記ドリフト抑制ユニットが出力する前記基準信号とを交互に受信して前記駆動ユニットの閾値電圧ドリフトを抑制し、前記駆動ユニットの第1端子が前記電源電圧信号を受信し、前記駆動ユニットの第2端子が前記第2ノードに駆動信号を出力するように前記第2ノードに接続され、
前記動作ユニットの第1端子が
前記駆動ユニットが出力する前記駆動信号を受信するように前記第2ノードに接続され、前記動作ユニットの第2端子が電源の負極に接続され、
前記動作ユニットを介して動作電流を形成し、前記動作ユニットが前記駆動信号の制御によって動作し、
前記データ書き込みユニットは、第2スイッチング素子と第3スイッチング素子とを備え、
前記第2スイッチング素子の制御端子が前記電源電圧信号を受信し、前記第2スイッチング素子の入力端子が前記第3スイッチング素子の出力端に接続され、前記第2スイッチング素子の出力端子が前記第1ノードに接続され、
前記第3スイッチング素子の制御端子が前記ゲート制御信号を受信し、前記第3スイッチング素子の入力端子が前記データ信号を受信する
ことを特徴とする画素駆動回路。
【請求項12】
制御端子が電源制御信号を受信し、第1端子が前記電源電圧信号を受信し、第2端子が前記駆動ユニットの第1端子に接続される電源ユニットをさらに備える
ことを特徴とする請求項
11に記載の画素駆動回路。
【請求項13】
前記ドリフト抑制ユニットは、
制御端子が前記基準制御信号を受信し、入力端子が前記基準信号を受信し、出力端子が前記第1ノードに接続される第1スイッチング素子を備える
ことを特徴とする請求項
11または12に記載の画素駆動回路。
【請求項14】
前記駆動ユニットは、
制御端子が前記第1ノードに接続され、入力端子が前記電源電圧信号を受信し、出力端子が前記第2ノードに接続される駆動スイッチング素子と、
第1端子が前記第1ノードに接続され、第2端子が前記第2ノードに接続される第1コンデンサと、を備える
ことを特徴とする請求項
11または12に記載の画素駆動回路。
【請求項15】
前記動作ユニットは、
陽極が前記第2ノードに接続され、陰極が前記電源の負極に接続され、駆動信号の駆動によって発光する発光素子を備える
ことを特徴とする請求項
11または12に記載の画素駆動回路。
【請求項16】
前記動作ユニットは、さらに、
第1端子が前記発光素子の陽極に接続され、第2端子が前記発光素子の陰極に接続される第2コンデンサを備える
ことを特徴とする請求項
15に記載の画素駆動回路。
【請求項17】
前記電源ユニットは、
制御端子が前記電源制御信号を受信し、入力端子が前記電源電圧信号を受信し、出力端子が前記駆動ユニットに接続される第4スイッチング素子を備える
ことを特徴とする請求項
12に記載の画素駆動回路。
【請求項18】
請求項12に記載の画素駆動回路の駆動方法であって、複数の駆動周期を含み、
各前記駆動周期は、
前記ドリフト抑制ユニットに前記基準制御信号と前記基準信号とが入力され、前記ドリフト抑制ユニットが前記基準制御信号の制御によって、電位が0未満の前記基準信号を前記駆動ユニットに出力するドリフト抑制期間と、
前記ドリフト抑制ユニットに前記基準制御信号と前記基準信号とが入力され、前記ドリフト抑制ユニットが前記基準制御信号の制御によって、前記基準信号を前記駆動ユニットに出力し、前記駆動ユニットを動作状態にし、前記駆動ユニットに低電位の前記電源電圧信号を入力し、出力ノードの電位をリセット電位にリセットするリセット期間と、
前記データ書き込みユニットに前記ゲート制御信号、前記データ信号及び高電位の前記電源電圧信号が入力され、前記データ書き込みユニットが前記ゲート制御信号と高電位の前記電源電圧信号との制御によって、前記データ信号を前記駆動ユニットに出力し、前記駆動ユニットに高電位の前記電源電圧信号を入力し、前記出力ノードの電位を前記リセット電位から第1電位にプルアップする補償期間と、
前記データ書き込みユニットに前記ゲート制御信号、前記データ信号及び高電位の前記電源電圧信号が入力され、前記データ書き込みユニットが前記ゲート制御信号と高電位の前記電源電圧信号との制御によって、前記データ信号を前記駆動ユニットに出力し、前記駆動ユニットが浮遊状態にある前記電源電圧信号によって、前記出力ノードの電位を前記第1電位から第2電位にプルアップするデータ書き込み期間と、
前記駆動ユニットに高電位の電源電圧信号が入力され、前記駆動ユニットが前記高電位の電源電圧信号の作用によって駆動信号を生成し、前記駆動信号によって前記動作ユニットを駆動する動作期間と、を含む
ことを特徴とする請求項
11に記載の画素駆動回路の駆動方法。
【請求項19】
前記画素駆動回路は、さらに、前記駆動ユニットに接続され、電源制御信号と前記電源電圧信号とを受信する電源ユニットを備え、
前記方法は、さらに、前記ドリフト抑制期間と前記リセット期間とに、前記電源制御信号の制御によって低電位の前記電源電圧信号を前記駆動ユニットに出力し、前記補償期間と前記動作期間とに、前記電源制御信号の制御によって高電位の前記電源電圧信号を前記駆動ユニットに出力し、前記データ書き込み期間に、前記電源制御信号の制御によって前記駆動ユニットが受信した前記電源電圧信号を浮遊状態にすることを含む
ことを特徴とする請求項
18に記載の画素駆動回路の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は画素駆動回路及びその駆動方法、アレイ基板、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、以下、OLEDと略称)表示装置は、自己発光が可能で、応答速度が速く、コントラストが高く、視野角が広い等多くの利点を有し、現在、広く注目されている表示装置である。
【0003】
OLED表示装置は行列状に配列された複数の画素を含み、各画素のグレースケール表示の駆動及び制御は画素内部の画素駆動回路に依存する。従来の画素駆動回路において、一般的に、駆動スイッチング素子が画素における対応するOLEDを駆動することによって、OLED表示装置の画面表示を実現する。該駆動スイッチング素子は動作過程で、そのゲートが長時間に高バイアスで動作し、この長時間の高バイアス作用によって駆動スイッチング素子の物理的特性が不安定になり、駆動スイッチング素子に閾値電圧ドリフトの現象が発生しやすくなってしまい、正常走査信号の出力に影響を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施例は画素駆動回路を提供し、基準制御信号と基準信号とを受信し、前記基準制御信号の制御によって前記基準信号を出力するように配置されるドリフト抑制ユニットと、
ゲート制御信号、データ信号及び電源電圧信号を受信し、前記ゲート制御信号と電源電圧信号との制御によって前記データ信号を出力するように配置されるデータ書き込みユニットと、
前記ドリフト抑制ユニットに接続され、且つ前記データ書き込みユニットに接続され、さらに出力ノードに接続され、電源電圧信号を受信し、駆動信号を生成して前記出力ノードに出力するように配置される補償ユニットと、
前記駆動信号の駆動によって動作するように配置され、前記出力ノードに接続され、且つ電源の負極に接続される動作ユニットと、を備える。
【0005】
本発明の別の実施例は画素駆動回路の駆動方法を提供し、前記画素駆動回路は、ドリフト抑制ユニット、データ書き込みユニット、補償ユニット及び動作ユニットを備え、前記補償ユニットと前記動作ユニットとの共通端子が出力ノードであり、
前記駆動方法は、複数の駆動周期を含み、
各前記駆動周期は、
前記ドリフト抑制ユニットに基準制御信号と基準信号とが入力され、前記ドリフト抑制ユニットが前記基準制御信号の制御によって、電位が0未満の前記基準信号を前記補償ユニットに出力するドリフト抑制期間と、
前記ドリフト抑制ユニットに基準制御信号と基準信号とが入力され、前記ドリフト抑制ユニットが前記基準制御信号の制御によって、前記基準信号を前記補償ユニットに出力し、前記補償ユニットを動作状態にし、前記補償ユニットに低電位の電源電圧信号を入力し、前記出力ノードの電位をリセット電位にリセットするリセット期間と、
前記データ書き込みユニットにゲート制御信号、データ信号及び高電位の電源電圧信号が入力され、前記データ書き込みユニットが前記ゲート制御信号と高電位の電源電圧信号との制御によって、前記データ信号を前記補償ユニットに出力し、前記補償ユニットに高電位の電源電圧信号を入力し、前記出力ノードの電位を前記リセット電位から第1電位にプルアップする補償期間と、
前記データ書き込みユニットにゲート制御信号、データ信号及び高電位の電源電圧信号が入力され、前記データ書き込みユニットが前記ゲート制御信号と高電位の電源電圧信号との制御によって、前記データ信号を前記補償ユニットに出力し、前記補償ユニットが浮遊状態にある前記電源電圧信号によって、前記出力ノードの電位を前記第1電位から第2電位にプルアップするデータ書き込み期間と、
前記補償ユニットに高電位の電源電圧信号が入力され、前記補償ユニットが前記高電位の電源電圧信号の作用によって駆動信号を生成し、前記駆動信号によって前記動作ユニットを駆動する動作期間と、を含む。
【0006】
本発明の別の実施例は画素駆動回路を提供し、ドリフト抑制ユニット、データ書き込みユニット、補償ユニット、動作ユニット、第1ノード及び第2ノードを備え、前記補償ユニットの制御端子が前記第1ノードに接続され、前記補償ユニットの第1端子が電源電圧信号を受信し、前記補償ユニットの第2端子が前記第2ノードに接続され、前記ドリフト抑制ユニットの制御端子が基準制御信号を受信し、前記ドリフト抑制ユニットの第1端子が基準信号を受信し、前記ドリフト抑制ユニットの第2端子が前記第1ノードに接続され、前記データ書き込みユニットの第1制御端子がゲート制御信号を受信し、前記データ書き込みユニットの第2制御端子が前記電源電圧信号を受信し、前記データ書き込みユニットの第1端子がデータ信号を受信し、前記データ書き込みユニットの第2端子が前記第1ノードに接続され、前記動作ユニットの第1端子が前記第2ノードに接続され、前記動作ユニットの第2端子が電源の負極に接続される
【0007】
本発明の別の実施例は、前記画素駆動回路を備えるアレイ基板を提供する。
【0008】
本発明の別の実施例は、前記アレイ基板を備える表示装置を提供する。
【0009】
本発明の実施例の技術案を明瞭に説明するために、以下では実施例の図面を簡単に説明するが、勿論、以下で説明される図面は本発明の一部の実施例に過ぎず、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の実施例に係る画素駆動回路の構造を示す模式図である。
【
図1B】本発明の実施例の一例に係る画素駆動回路の構造を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施例に係る画素駆動回路の制御タイミングを示す図である。
【
図3】本発明の実施例に係る表示装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下では本発明の実施例の図面をもって、本発明の実施例の技術案を明瞭且つ完全に説明する。勿論、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。説明される本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに想到し得る他の実施例はすべて、本発明の保護範囲に属する。
【0012】
特に断らない限り、ここで使用される技術用語又は科学技術用語は、当業者が理解できる一般的な意味を有する。本開示に記載の「第1」、「第2」及び類似する用語は、順序、数量又は重要性を示すものではなく、異なる構成要素を区別するためのものにすぎない。同様に、「備える」又は「含む」等の類似する用語は、該用語の前に記載された要素又は部材が、該用語の後に挙げられる要素又は部材及びそれらと同等のものをカバーすることを指し、他の要素又は部材を排除しない。「接続」又は「連結」等の類似する用語は、物理的又は機械的な接続に限定されるのではなく、直接的又は間接的な接続にかかわらず、電気的な接続も含む。「上」、「下」、「左」、「右」等は、相対的な位置関係を指すだけであり、説明された対象の絶対的な位置が変化した後、該相対的な位置関係も対応して変化する可能性がある。
【0013】
本発明の実施例に係る画素駆動回路及びその駆動方法、アレイ基板、表示装置を更に説明するために、以下では、明細書の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1A及び
図2に示すように、本発明の実施例に係る画素駆動回路の1つの駆動周期は、ドリフト抑制期間p1、リセット期間p2、補償期間p3、データ書き込み期間p4及び動作期間p5を含む。該画素駆動回路は、ドリフト抑制ユニット(又はドリフト抑制サブ回路)1、データ書き込みユニット(又はデータ書き込みサブ回路)2、補償ユニット(又は補償サブ回路)3及び動作ユニット(又は動作サブ回路)4を備える。例えば、補償ユニット3は駆動スイッチング素子Tdを備える(
図1Bを参照)。
【0015】
ドリフト抑制ユニット1は基準制御信号G1と基準信号VSTRESSとを受信し、ドリフト抑制ユニット1はドリフト抑制期間p1とリセット期間p2とに、基準制御信号G1の制御によって基準信号VSTRESSを補償ユニット3の制御端子に出力することに用いられる。また、ドリフト抑制期間p1に、例えば基準信号VSTRESSの電位が0未満であり、補償期間p3、データ書き込み期間p4及び動作期間p5に、ドリフト抑制ユニット1は信号を出力しない。
【0016】
データ書き込みユニット2はゲート制御信号G3、データ信号Data及び電源電圧信号VDDを受信する。データ信号Dataの電位がデータ電位である。データ書き込みユニット2は補償期間p3とデータ書き込み期間p4とに、ゲート制御信号G3と電源電圧信号VDDとの制御によってデータ信号Dataを補償ユニット3の制御端子に出力することに用いられる。ドリフト抑制期間p1、リセット期間p2及び動作期間p5に、データ書き込みユニット2は信号を出力しない。
【0017】
補償ユニット3は、ドリフト抑制ユニット1に接続されると共に、データ書き込みユニット2に接続される。さらに、補償ユニット3は、出力ノードposに接続され、電源電圧信号VDDを受信する。補償ユニット3はリセット期間p2に、基準信号VSTRESSと低電位の電源電圧信号VDDとによって、出力ノードposの電位をリセット電位にリセットする。補償期間p3に、補償ユニット3はデータ信号Dataと高電位の電源電圧信号VDDとによって、出力ノードposの電位をリセット電位から第1電位にプルアップする。データ書き込み期間p4に、補償ユニット3はデータ信号Dataと浮遊状態にある電源電圧信号VDDとによって、出力ノードposの電位を第1電位から第2電位にプルアップする。動作期間p5に、補償ユニット3は高電位の電源電圧信号VDDの作用によって、駆動信号を生成して出力ノードposに出力する。ドリフト抑制期間p1に補償ユニット3は信号を出力しない。
【0018】
動作ユニット4は、出力ノードposに接続され、さらに電源の負極ELVSSに接続される。動作ユニット4は、動作期間p5に、駆動信号の駆動によって動作する。
【0019】
図1と
図2に示すように、上記画素駆動回路の1つの駆動周期の動作過程は以下のとおりである。
【0020】
ドリフト抑制期間p1に、ドリフト抑制ユニット1は、基準制御信号G1と基準信号VSTRESSとを受信し、基準制御信号G1の制御によって、電位が0未満の基準信号VSTRESSを補償ユニット3に出力する。
【0021】
リセット期間p2に、ドリフト抑制ユニット1は、基準制御信号G1と基準信号VSTRESSとを受信し、基準制御信号G1の制御によって、補償ユニット3を動作状態にさせるように基準信号VSTRESSを補償ユニット3に出力する。それと同時に、補償ユニット3は低電位の電源電圧信号VDDを受信し、出力ノードposの電位をリセット電位にリセットすることを実現する。
【0022】
補償期間p3に、データ書き込みユニット2は、ゲート制御信号G3、データ信号Data及び高電位の電源電圧信号VDDを受信し、ゲート制御信号G3と高電位の電源電圧信号VDDとの制御によって、データ信号Dataを補償ユニット3に出力する。それと同時に、補償ユニット3は高電位の電源電圧信号VDDを受信し、出力ノードposの電位をリセット電位から第1電位にプルアップすることを実現する。
【0023】
データ書き込み期間p4に、データ書き込みユニット2は、ゲート制御信号G3、データ信号Data及び高電位の電源電圧信号VDDを受信し、ゲート制御信号G3と高電位の電源電圧信号VDDとの制御によって、データ信号Dataを補償ユニット3に出力する。それと同時に、補償ユニット3は浮遊状態にある電源電圧信号VDDによって、出力ノードposの電位を第1電位から第2電位にプルアップする。
【0024】
動作期間p5に、補償ユニット3は、高電位の電源電圧信号VDDを受信し、高電位の電源電圧信号VDDの作用によって駆動信号を生成し、駆動信号によって動作ユニット4を駆動する。
【0025】
上記画素駆動回路の構造及び画素駆動回路の1つの駆動周期での動作過程から分かるように、本発明の実施例に係る画素駆動回路において、ドリフト抑制期間p1に、ドリフト抑制ユニット1は基準制御信号G1の制御によって電位が0未満の基準信号VSTRESSを補償ユニット3に出力し、補償ユニット3における駆動スイッチング素子Tdのゲート電位を負電位に変更することができる。駆動スイッチング素子Tdのゲート電位が負電位である場合、駆動スイッチング素子Tdの閾値電圧Vthが負方向へドリフトし、その時、そのドリフト程度が閾値電圧Vthの正方向へのドリフト程度よりはるかに小さい。このように、各駆動周期内に、駆動スイッチング素子のゲート電位が負電位と正電位(高電位)との間に交互に切り替えられ、補償ユニット3における駆動スイッチング素子Tdのゲートが長時間に高バイアスで動作することに起因する閾値電圧Vthのドリフト問題を回避でき、走査信号の正常な出力を確保することができる。
【0026】
駆動スイッチング素子Tdは各種の適切な駆動トランジスタであってもよく、該駆動トランジスタはアモルファスシリコントランジスタ、多結晶シリコントランジスタ、酸化物半導体トランジスタ等であってもよい。なお、酸化物半導体で製造される駆動スイッチング素子Tdに対して、そのゲートが単一のバイアスによる影響を受けやすい。このような酸化物駆動スイッチング素子Tdを利用して動作ユニット4を駆動する場合、本発明の実施例に係る画素駆動回路によって、同様に、酸化物駆動スイッチング素子のゲートが長時間に高バイアスで動作することに起因する閾値電圧Vthのドリフト問題を回避することができ、走査信号の正常な出力を確保することができる。
【0027】
なお、本発明の実施例に係る画素駆動回路において、補償ユニット3が利用する電源電圧信号VDDの電位は、高電位、低電位及び浮遊という3つの状態を有する。補償ユニット3が浮遊状態の電源電圧信号VDDを利用することは、補償ユニット3が電位の電源電圧信号VDDを一切受信しないことを指す。
【0028】
また、ドリフト抑制ユニット1、データ書き込みユニット2及び補償ユニット3の共通端子は入力ノードN_1であり、補償ユニット3と動作ユニット4との共通端子は出力ノードposである。
【0029】
以下、
図1Bに示される具体的な回路構造を例として本発明の実施例に係る画素駆動回路を説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施例に係る画素駆動回路のドリフト抑制ユニット1は第1スイッチング素子T1を備える。該第1スイッチング素子T1の制御端子が基準制御信号G1を受信し、第1スイッチング素子T1の入力端子が基準信号VSTRESSを受信し、第1スイッチング素子T1の出力端子が補償ユニット3に接続される。
【0031】
データ書き込みユニット2は第2スイッチング素子T2と第3スイッチング素子T3とを備える。第2スイッチング素子T2の制御端子が電源電圧信号VDDを受信し、第2スイッチング素子T2の入力端子が第3スイッチング素子T3の出力端子に接続され、第2スイッチング素子T2の出力端子が補償ユニット3に接続され、第3スイッチング素子T3の制御端子がゲート制御信号G3を受信し、第3スイッチング素子T3の入力端子がデータ信号Dataを受信する。
【0032】
補償ユニット3は駆動スイッチング素子Tdを備え。該駆動スイッチング素子Tdの制御端子がドリフト抑制ユニット1に接続されると共に、データ書き込みユニット2に接続される。該駆動スイッチング素子Tdの入力端子が電源電圧信号VDDを受信し、該駆動スイッチング素子Tdの出力端子が出力ノードposに接続される。第1コンデンサC1は、第1端子が駆動スイッチング素子Tdの制御端子に接続され、第2端子が駆動スイッチング素子Tdの出力端子に接続される。
【0033】
動作ユニット4は発光素子Dを備える。該発光素子Dの陽極が出力ノードposに接続され、その陰極が電源の負極ELVSSに接続され、発光素子Dが駆動信号の駆動によって発光することができる。該発光素子Dは、例えば発光ダイオードであり、例えば有機発光ダイオードである。
【0034】
別の例では、動作ユニット4は第2コンデンサC2を備えてもよい。発光素子Dの両端の電圧を保持するように、該第2コンデンサC2の第1端子が発光素子Dの陽極に接続され、該第2コンデンサC2の第2端子が発光素子Dの陰極に接続される。
【0035】
上記実施例に係る具体的な画素駆動回路の動作過程は1つの駆動周期内に、順次に以下に示す5つの期間を含む。
【0036】
ドリフト抑制期間p1では、電位が0未満の基準信号VSTRESSを補償ユニット3に出力し、補償ユニット3における駆動スイッチング素子Tdのゲートを負圧状態にする。この期間内に、基準制御信号G1が高電位にあり、第1スイッチング素子T1を導通するように制御する。それにより、入力ノードN_1の電位VN_1が基準信号VSTRESSの電位(すなわち負電位)に等しくなるように、電位が0未満の基準信号VSTRESSが第1スイッチング素子T1の出力端子から出力する。すなわち、補償ユニット3における駆動スイッチング素子Tdのゲート電位を負電位になる。電源電圧信号VDDが低電位VDD_Lにあり、それにより第2スイッチング素子T2を遮断するように制御し、データ書き込みユニット2が信号を出力しなくなる。
【0037】
リセット期間p2では、出力ノードposの電位Vposをリセット電位にリセットし、一つ前の駆動周期の情報を削除する。この期間内に、基準制御信号G1が高電位にあり、第1スイッチング素子T1を導通するように制御する。それにより、入力ノードN_1の電位VN_1が基準信号VSTRESSの電位に等しく、駆動スイッチング素子Tdを導通状態にするように、基準信号VSTRESS(この段階に基準信号VSTRESSの電位が駆動スイッチング素子Tdの閾値電圧Vth以上である)が第1スイッチング素子T1の出力端子から出力する。この時、電源電圧信号VDDを低電位VDD_Lにすると、出力ノードposの電位Vposがリセット電位(すなわち電源電圧信号VDDの低電位VDD_L)に変更される。駆動スイッチング素子Tdのゲートソース電圧Vgs=VN_1-Vpos>Vthになり、スイッチング素子Tdが導通し続けるように駆動し、出力ノードposの電位VposがVDD_L(すなわちリセット電位)に保持する。また、この期間の電源電圧信号VDDが低電位VDD_Lにあり、第2スイッチング素子T2を遮断するように制御することができ、データ書き込みユニット2が信号を出力しなくなる。なお、この期間内に駆動スイッチング素子Tdが導通を保持するが、Vpos=VDD_Lであるため、発光素子Dをオンにして発光させることができない。
【0038】
補償期間p3では、出力ノードposの電位Vposをリセット電位から第1電位にプルアップし、出力ノードposの電位Vposを補償する。この期間内に、基準制御信号G1が低電位にあり、第1スイッチング素子T1を遮断するように制御することによって、第1スイッチング素子T1が基準信号VSTRESSの出力を停止する。それと同時に、電源電圧信号VDDを高電位VDD_Hにし、即ち、第2スイッチング素子T2を導通するように制御することができる。また、第3スイッチング素子T3がゲート制御信号G3の作用によって、周期的に導通・遮断される。ゲート制御信号G3が第3スイッチング素子T3を導通するように制御する時、低電位データ信号Data_L(データ信号Dataの低電位Data_Lが駆動スイッチング素子Tdの閾値電圧Vth以上である)が第3スイッチング素子T3の出力端子から第2スイッチング素子T2の入力端子に出力され、さらに第2スイッチング素子T2の出力端子を介して入力ノードN_1と第1コンデンサC1と(第1コンデンサC1内に格納される)に出力される。ゲート制御信号G3が第3スイッチング素子T3を遮断するように制御する時、第1コンデンサC1に格納された低電位データ信号Data_Lが入力ノードN_1の電位VN_1を維持し続けることができ、駆動スイッチング素子Tdがこの段階で常に導通状態にあることを確保することができる。この段階で電源電圧信号VDDが高電位VDD_Hにあり、且つ駆動スイッチング素子Tdが導通するため、出力ノードposの電位Vposがリセット電位から上昇し、駆動スイッチング素子Tdのゲートソース電圧Vgsが(Data_L-VDD_L)から徐々に降下し、Vgs=Vthになるまで、駆動スイッチング素子Tdが遮断する。この時、出力ノードposの電位Vpos=Data_L-Vthであり、(Data_L-Vth)は第1電位である。なお、この段階内に、Vgs>Vthである場合、駆動スイッチング素子Tdが導通するが、出力ノードposの電位Vposがそれほど高くなく、発光素子Dをオンにして発光させるように駆動できない。Vgs=Vthになると、駆動スイッチング素子Tdが遮断し、高電位VDD_Hにある電源電圧信号VDDが出力ノードposに伝送できず、従って、依然として発光素子Dが発光できない。
【0039】
データ書き込み期間p4では、出力ノードposの電位Vposを第1電位から第2電位にプルアップして、駆動スイッチング素子Tdの閾値電圧Vthによる発光素子Dへの影響を排除する。この期間内に、基準制御信号G1が依然として低電位にあり、すなわち第1スイッチング素子T1が依然として遮断し、第1スイッチング素子T1が基準信号VSTRESSを出力せず。電源電圧信号VDDが依然として高電位VDD_Hにあり、第2スイッチング素子T2が導通し続け、ゲート制御信号G3が高電位にあって第3スイッチング素子T3を導通する。それにより、第3スイッチング素子T3が高電位データ信号Data_Hを第2スイッチング素子T2の入力端子に出力するように制御し、さらに第2スイッチング素子T2によって高電位データ信号Data_Hを入力ノードN_1と第1コンデンサC1とに出力する。このように、入力ノードN_1の電位VN_1がデータ信号Dataの高電位Data_Hであり、入力ノードN_1の電位VN_1の変化量が高電位データ信号Data_Hと低電位データ信号Data_Lとの差(Data_H-Data_L)である。続いて、ゲート制御信号G3を低電位にし、第3スイッチング素子T3を遮断し、第1コンデンサC1に格納された高電位データ信号Data_Hによって駆動スイッチング素子Tdの導通を維持し続ける。この期間に、駆動スイッチング素子Tdの入力端子が電位の電源電圧信号VDDを一切受信しないように制御し、すなわち、駆動スイッチング素子Tdが浮遊状態の電源電圧信号VDDを受信し、第1コンデンサC1にブートストラップ効果を発生させ、出力ノードposの電位Vposを(Data_L-Vth)から第2電位にブートストラップする。入力ノードN_1の電位VN_1の変化量が(Data_H-Data_L)であるため、出力ノードposの変化量がα(Data_H-Data_L)になり、ただしα=C1/(C1+C2)である。それにより、第2電位が、Vpos=Data_L-Vth+α(Data_H-Data_L)になる。なお、この期間内に、駆動トランジスタが電源電圧信号VDDを受信しないため、発光素子Dが発光しない。
【0040】
動作期間p5では、駆動スイッチング素子Tdが導通し、高電位VDD_Hにある電源電圧信号VDDを受信することによって、発光素子Dをオンにして発光させるように駆動することができる。この期間内に、基準制御信号G1が低電位にあり、第1スイッチング素子T1を遮断するように制御する。ゲート制御信号G3が低電位にあり、第3スイッチング素子T3を遮断するように制御する。それにより、入力ノードN_1の電位VN_1がData_Hに保持し、駆動スイッチング素子Tdが導通し、出力ノードposの電位Vposが[Data_L-Vth+α(Data_H-Data_L)]に保持して変更せず。したがって、駆動スイッチング素子Tdのゲートソース電圧Vgsが一定であり、すなわち、
[式1]
Vgs=VN_1-Vpos=Data_H-[Data_L-Vth+α(Data_H-Data_L)]
[式2]
Vgs=(1-α)(Data_H-Data_L)+Vth
である。
[式3]
発光素子Dの動作電流の演算式:
ID=K(Vgs-Vth)2
Kは定数であり、上式(2)を式(3)に代入して、式(4)が得られる。
[式4]
ID=K[(1-α)(Data_H-Data_L)+Vth-Vth]2
ID=K[(1-α)(Data_H-Data_L)]2
【0041】
上式(4)から分かるように、発光素子Dの動作電流は駆動スイッチング素子Tdの閾値電圧Vthとは関係がなく、すなわち、閾値電圧Vthのドリフトによる駆動スイッチング素子Tdの発光素子Dの動作電流のずれをよく補償することができる。また、上式(4)から分かるように、発光素子Dの動作電流はVddとも関係がなく、すなわち、電源線の電圧降下(IR Drop)による変化を補償できる。したがって、本開示の実施例は、発光素子Dの発光輝度の一定を確保するだけでなく、画素駆動回路の動作の安定性を確保することができる。
【0042】
また、動作期間p5では、入力ノードN_1が浮遊の状態にあり、したがって、入力ノードN_1の電位VN_1が駆動スイッチング素子Tdの入力端子電位の上昇に伴って高くなり、駆動スイッチング素子Tdをオンにしやすく、駆動スイッチング素子Tdの閾値電圧Vthに対してよい補償作用を奏する。
【0043】
なお、本実施例は上記具体的な回路構造のみを例として、提供された画素駆動回路を説明し、本発明の他の実施例では、画素駆動回路のドリフト抑制ユニット1、データ書き込みユニット2、補償ユニット3及び動作ユニット4はそれぞれ他の構造で実現してもよく、ここで詳しく説明しない。
【0044】
上記実施例に係る補償ユニット3が利用する高電位の電源電圧信号VDDと低電位の電源電圧信号VDDとは、例えばアレイ基板の外部駆動チップ(図示せず)により提供される。
【0045】
上記例示的な画素駆動回路に基づき、
図1Aを示すように、本発明の実施例は補償ユニット3に接続される電源ユニット5をさらに備えてもよく、該電源ユニット5は電源制御信号G4と電源電圧信号VDDとを受信する。電源ユニット5は、ドリフト抑制期間p1とリセット期間p2に、電源制御信号G4の制御によって低電位の電源電圧信号VDDを補償ユニット3に出力し、補償期間p3と動作期間p5に、電源制御信号G4の制御によって高電位の電源電圧信号VDDを補償ユニット3に出力し、データ書き込み期間p4に、電源制御信号G4の制御によって補償ユニット3が受信した電源電圧信号VDDを浮遊状態にする。
【0046】
上記電源ユニット5の構造は様々であり、
図1Bの例では同様に電源ユニット5の具体的な構造が示され、その動作過程を詳細に説明する。勿論、与えられるこの構造に限らない。
【0047】
電源ユニット5は第4スイッチング素子T4を備え、第4スイッチング素子T4の制御端子が電源制御信号G4を受信し、第4スイッチング素子T4の入力端子が電源電圧信号VDDを受信し、第4スイッチング素子T4の出力端子が補償ユニット3に接続される。例えば、第4スイッチング素子T4が高電位に導通し、低電位に遮断することを例とし、ドリフト抑制期間p1とリセット期間p2とに、電源制御信号G4が高電位であり、第4スイッチング素子T4が導通し、電源電圧信号VDDが低電位VDD_Lであり、それにより、第4スイッチング素子T4の出力端子が低電位の電源電圧信号VDDを出力する。補償期間p3と動作期間p5とに、電源制御信号G4が依然として高電位であり、第4スイッチング素子T4は導通を保持し、電源電圧信号VDDが高電位VDD_Hであり、それにより第4スイッチング素子T4の出力端子が高電位の電源電圧信号VDDを出力する。データ書き込み期間p4に、電源制御信号G4が低電位であり、第4スイッチング素子T4が遮断し、それにより第4スイッチング素子T4の出力端子の電位が浮遊状態であり、すなわち駆動スイッチング素子Tdが電位の電源電圧信号VDDを一切利用しない。勿論、第4スイッチング素子T4は、高電位に遮断、低電位に導通のスイッチング素子を利用してもよい。この場合では、第4スイッチング素子T4の電源制御信号G4のタイミングと上記電源制御信号G4のタイミングとが逆になり、すなわち、データ書き込み期間p4のみに高電位であり、他の期間に低電位である。
【0048】
上記技術案において、電源電圧信号VDDを補償ユニット3に入力するように制御する電源ユニット5を追加することによって、電源電圧信号VDDの変化状態を高電位及び低電位のみにすることができ、すなわち、データ書き込みユニット2及び補償ユニット3に対する電源電圧信号VDDの作用をよく調和させる。
【0049】
上記説明では、本開示はN型トランジスタを例として説明したが、当業者であれば、本開示の実施例がP型トランジスタによって実現してもよいことがわかる。異なるタイプのトランジスタに対して、トランジスタの制御端子の制御電圧のレベルを調整する必要がある。例えば、N型トランジスタは、制御信号が高レベルである場合、オン状態にあり、制御信号が低レベルである場合、遮断状態にある。例えば、P型トランジスタは、制御電圧が低レベルである場合、オン状態にあり、制御信号が高レベルである場合、遮断状態にある。
【0050】
上記実施例に係る画素駆動回路の動作過程をより明確に説明するために、以下、具体例を例示する。
【0051】
[実施例1]
酸化物で製造されたスイッチング素子を画素駆動回路における駆動スイッチング素子Tdにし、すなわち駆動スイッチング素子Tdの閾値電圧が0Vである。
【0052】
ドリフト抑制期間p1では、入力ノードN_1の電位VN_1を負電位にすることを実現するように、基準信号VSTRESSの電位を-16Vにする。
【0053】
リセット期間p2では、駆動スイッチング素子Tdの導通を実現するように、基準信号VSTRESSの電位を0Vに上昇させる。同時に、電源制御信号G4の電位を25Vにして、第4スイッチング素子T4を導通し、電源電圧信号VDDの低電位VDD_Lを-4Vにして、出力ノードposの電位Vposを-4Vにリセットする。
【0054】
補償期間p3では、出力ノードposの電位Vposを-4Vから4Vにプルアップすることを実現するように、電源電圧信号VDDの高電位VDD_Hを20Vにし、データ信号Dataの低電位Data_Lを0Vにする。
【0055】
データ書き込み期間p4では、電源電圧信号VDDの高電位VDD_Hが依然として20Vに保持し、電源制御信号G4の電位を-5Vにし、第4スイッチング素子T4を遮断し、ゲート制御信号G3を25Vにし、第3スイッチング素子T3を導通し、データ信号Dataの実際の高電位Data_Hに基づいて、Data_Hを駆動スイッチング素子Tdのゲートに書き込むことを実現し、且つ出力ノードposの電位Vposを第2電位にプルアップすることを実現する。
【0056】
動作期間p5では、電源電圧信号VDDの高電位VDD_Hが依然として20Vに保持し、同時に、電源制御信号G4の電位を25Vにし、第4スイッチング素子T4を導通し、駆動スイッチング素子Tdが導通し、20VのVDD_Hを受信し、それにより、発光素子Dをオンにして発光させるように駆動することを実現する。
【0057】
本発明の実施例はさらに画素駆動回路の駆動方法を提供し、上記実施例に係る画素駆動回路を駆動することに用いられ、上記画素駆動回路は、ドリフト抑制ユニット1、データ書き込みユニット2、補償ユニット3及び動作ユニット4を備える。補償ユニット3と動作ユニット4との共通端子が出力ノードposであり、駆動方法は複数の駆動周期を含み、各駆動周期は、ドリフト抑制期間p1、リセット期間p2、補償期間p3、データ書き込み期間p4、及び動作期間p5を含む。
【0058】
ドリフト抑制期間p1では、ドリフト抑制ユニット1に基準制御信号G1と基準信号VSTRESSとが入力され、ドリフト抑制ユニット1が基準制御信号G1の制御によって、電位が0未満の基準信号VSTRESSを補償ユニット3に出力する。
【0059】
リセット期間p2では、ドリフト抑制ユニット1に基準制御信号G1と基準信号VSTRESSとが入力され、ドリフト抑制ユニット1が基準制御信号G1の制御によって、基準信号VSTRESSを補償ユニット3に出力し、補償ユニット3を動作状態にし、補償ユニット3に低電位の電源電圧信号VDDを入力し、出力ノードposの電位をリセット電位にリセットする。
【0060】
補償期間p3では、データ書き込みユニット2にゲート制御信号G3、データ信号Data及び高電位の電源電圧信号VDDが入力され、データ書き込みユニット2がゲート制御信号G3と高電位の電源電圧信号VDDとの制御によって、データ信号Dataを補償ユニット3に出力し、補償ユニット3に高電位の電源電圧信号VDDを入力し、出力ノードposの電位をリセット電位から第1電位にプルアップする。
【0061】
データ書き込み期間p4では、データ書き込みユニット2にゲート制御信号G3、データ信号Data及び高電位の電源電圧信号VDDが入力され、データ書き込みユニット2がゲート制御信号G3と高電位の電源電圧信号VDDとの制御によって、データ信号Dataを補償ユニット3に出力し、補償ユニット3が浮遊状態にある電源電圧信号VDDによって、出力ノードposの電位を第1電位から第2電位にプルアップする。
【0062】
動作期間p5では、補償ユニット3に高電位の電源電圧信号VDDが入力され、補償ユニット3が高電位の電源電圧信号VDDの作用によって駆動信号を生成し、駆動信号によって動作ユニット4を駆動する。
【0063】
本発明の実施例に係る画素駆動回路の駆動方法において、ドリフト抑制期間p1に、ドリフト抑制ユニット1は基準制御信号G1の制御によって電位が0未満の基準信号VSTRESSを補償ユニット3に出力して、補償ユニット3における駆動スイッチング素子Tdのゲート電位を負電位にすることができる。それにより、各駆動周期内に、駆動スイッチング素子Tdのゲート電位が負電位と正電位(高電位)との間に切り替えられ、補償ユニット3における駆動スイッチング素子Tdのゲートが長時間に高バイアスで動作することに起因する閾値電圧Vthのドリフト問題を回避し、走査信号の正常な出力を確保することができる。
【0064】
上記実施例に係る画素駆動回路は補償ユニット3に接続される電源ユニット5をさらに備えてもよく、電源ユニット5は電源制御信号G4と電源電圧信号VDDとを受信する。ドリフト抑制期間p1とリセット期間p2に、電源ユニット5に電源制御信号G4と低電位の電源電圧信号VDDとが入力され、電源ユニット5は電源制御信号G4の制御によって低電位の電源電圧信号VDDを補償ユニット3に出力する。補償期間p3と動作期間p5とに、電源ユニット5は電源制御信号G4の制御によって高電位の電源電圧信号VDDを補償ユニット3に出力する。データ書き込み期間p4に、電源ユニット5は電源制御信号G4の制御によって補償ユニット3が受信する電源電圧信号VDDを浮遊状態にする。
【0065】
上記画素駆動回路に電源ユニット5を導入する場合、対応する駆動方法によって生じる有益な効果は上記構造の実施例で説明されており、ここで説明しない。
【0066】
本実施例はさらに、上記の各技術案に係る画素駆動回路を1つ又は複数備えるアレイ基板を提供する。上記の各技術案に係る画素駆動回路は、補償ユニット3における駆動スイッチング素子Tdのゲートが長時間に高バイアスで動作することに起因する閾値電圧Vthのドリフト問題を回避し、走査信号の正常な出力を確保するため、本実施例に係るアレイ基板もそれらの利点を有する。
【0067】
本実施例はさらに、上記アレイ基板を備える表示装置を提供する。該表示装置は、補償ユニット3における駆動スイッチング素子Tdのゲートが長時間に高バイアスで動作することに起因する閾値電圧Vthのドリフト問題を回避し、走査信号の正常な出力を確保することができる。
【0068】
図3は本開示の一実施例に係る表示装置を示す概要的なブロック図である。該表示パネルはアレイ基板8を備え、該アレイ基板8は複数の画素ユニット81で構成されたアレイを備え、各画素ユニット81は上記いずれかの実施例に記載の画素回路を備える。該表示装置はさらにデータ駆動回路6及びゲート駆動回路7を備えてもよく、それぞれデータ信号及びゲート制御信号等を提供する。該表示装置は電源電圧信号(Vdd)等を提供するチップ等を備えてもよい。データ駆動回路6はデータ線61を介して画素ユニット81に電気的に接続され、ゲート駆動回路7はゲート線71を介して画素ユニット81に電気的に接続される。各サブ画素ユニットにおける発光素子がOLEDである場合は、該表示装置はAMOLEDである。
【0069】
なお、本実施例に係る表示装置は、電子ペーパー、OLED(Organic Light-Emitting Diode、有機発光ダイオード)パネル、携帯電話、タブレットPC、テレビ、ディスプレイ、ノートパソコン、デジタルフォトフレーム、ナビゲータ等の表示機能を有する任意の製品又は部材であってもよい。
【0070】
以上は本発明の例示的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲を制限するためのものではなく、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲に決定される。
【0071】
本願は2016年7月13日に出願した中国特許申請第201610551788.4号の優先権を主張し、ここで、上記中国特許申請の全内容を援用して本願の一部として組み込む。
【符号の説明】
【0072】
1 ドリフト抑制ユニット
2 データ書き込みユニット
3 補償ユニット
4 動作ユニット
5 電源ユニット
p1 ドリフト抑制期間
p2 リセット期間
p3 補償期間
p4 データ書き込み期間
p5 動作期間
T1 第1スイッチング素子
T2 第2スイッチング素子
T3 第3スイッチング素子
T4 第4スイッチング素子
Td 駆動スイッチング素子
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ
D 発光素子
G1 基準制御信号
G3 ゲート制御信号
G4 電源制御信号
Data データ信号
VDD 電源電圧信号
ELVSS 電源の負極
N_1 入力ノード
pos 出力ノード
VSTRESS 基準信号