(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0185 20060101AFI20220801BHJP
H01L 27/10 20060101ALI20220801BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220801BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20220801BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20220801BHJP
H01L 27/11521 20170101ALI20220801BHJP
H01L 27/11568 20170101ALI20220801BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20220801BHJP
G11C 16/30 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
H03K19/0185 240
H01L27/10 495
H01L29/78 371
H01L27/11521
H01L27/11568
G11C16/04 150
G11C16/30 100
(21)【出願番号】P 2018027636
(22)【出願日】2018-02-20
【審査請求日】2020-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樫原 洋次
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-513171(JP,A)
【文献】米国特許第06099100(US,A)
【文献】特開2013-164886(JP,A)
【文献】特開平09-172368(JP,A)
【文献】特開平07-074616(JP,A)
【文献】特開2012-170034(JP,A)
【文献】特開平10-294662(JP,A)
【文献】特開2001-196918(JP,A)
【文献】特開2013-211817(JP,A)
【文献】特開2001-102916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/0185
H01L 27/10
H01L 21/336
H01L 27/11521
H01L 27/11568
G11C 16/04
G11C 16/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベルシフタを備えた半導体装置であって、
前記レベルシフタは、
高電源電圧が入力される第1の電源ノードに接続され、第1の導電型の一対のクロスカップルトランジスタを含むラッチ回路と、
基準電圧が入力される第2の電源ノードに接続され、前記レベルシフタの相補の入力信号をゲートに受ける第2の導電型の一対のトランジスタを含む入力回路と、
前記ラッチ回路と前記入力回路との間に接続された耐圧緩和回路とを備え、
前記耐圧緩和回路は、
前記高電源電圧と前記基準電圧との間の電圧である第1の中間電圧をゲートに受ける第1の導電型の第1の耐圧緩和トランジスタと、
前記高電源電圧と前記基準電圧との間の電圧である第2の中間電圧をゲートに受け、前記第1の耐圧緩和トランジスタと直列に接続された第2の導電型の第2の耐圧緩和トランジスタと、
前記第1および第2の耐圧緩和トランジスタと前記ラッチ回路との間で、前記第1および第2の耐圧緩和トランジスタと直列に接続された第1の導電型の第3の耐圧緩和トランジスタとを含み、
前記レベルシフタは、前記第3の耐圧緩和トランジスタと前記ラッチ回路との接続ノードと前記第1の電源ノードとの間に接続された第1の導電型のクランプトランジスタをさらに備え、
前記第2の中間電圧は、前記高電源電圧と前記第1の中間電圧との間の電圧であり、
前記第3の耐圧緩和トランジスタのゲートには、第3の中間電圧が印加され、
前記第3の中間電圧は、前記第1の中間電圧と前記第2の中間電圧との間の電圧であり、
前記半導体装置は、前記第3の中間電圧を生成するための第1の電圧生成回路をさらに備え、
前記第1の電圧生成回路は、
前記第2の中間電圧が与えられる第3の電源ノードと、
前記第3の中間電圧を出力するための出力ノードと、
前記第3の電源ノードに接続された第1の主電極および前記出力ノードに接続された第
2の主電極を有し、前記第2の中間電圧をゲートに受ける第2の導電型の第1のトランジスタと、
前記出力ノードに接続された第1の主電極および前記第2の電源ノードに接続された第2の主電極を有し、前記第1の中間電圧をゲートに受ける第1の導電型の第2のトランジスタとを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第1の電圧生成回路は、前記出力ノードと前記第2の電源ノードとの間で、前記第2のトランジスタと並列に接続された第1のスイッチをさらに含み、
前記第1のスイッチがオン状態になると、前記第3の耐圧緩和トランジスタのゲートに前記第3の中間電圧に代えて前記基準電圧が供給される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記レベルシフタは、さらに、
前記耐圧緩和回路をバイパスして前記ラッチ回路と前記入力回路とを接続するバイパス経路と、
前記バイパス経路に設けられ、導通および非導通を切り替えるための第2のスイッチとをさらに含む、請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の耐圧緩和トランジスタは、前記第1の耐圧緩和トランジスタと前記第3の耐圧緩和トランジスタとの間に接続される、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体装置は、第1の電圧レベルの信号を前記第1の電圧レベルよりも高い第2の電圧レベルの信号に変換する前段レベルシフタをさらに備え、
前記レベルシフタの前記入力信号は、前記前段レベルシフタによって変換された信号である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
レベルシフタを備えた半導体装置であって、
前記レベルシフタは、
高電源電圧が入力される第1の電源ノードに接続され、第1の導電型の一対のクロスカップルトランジスタを含むラッチ回路と、
基準電圧が入力される第2の電源ノードに接続され、前記レベルシフタの相補の入力信号をゲートに受ける第2の導電型の一対のトランジスタを含む入力回路と、
前記ラッチ回路と前記入力回路との間に接続された耐圧緩和回路とを備え、
前記耐圧緩和回路は、
前記高電源電圧と前記基準電圧との間の電圧である第1の中間電圧をゲートに受ける第1の導電型の第1の耐圧緩和トランジスタと、
前記高電源電圧と前記第1の中間電圧との間の電圧である第2の中間電圧をゲートに受け、前記第1の耐圧緩和トランジスタと直列に接続された第2の導電型の第2の耐圧緩和トランジスタと、
前記第1および第2の耐圧緩和トランジスタと前記ラッチ回路との間で、前記第1および第2の耐圧緩和トランジスタと直列に接続された第1の導電型の第3の耐圧緩和トランジスタとを含み、
前記第3の耐圧緩和トランジスタのゲートには、第3の中間電圧が印加され、
前記第3の中間電圧は、前記第1の中間電圧と前記第2の中間電圧との間の電圧であり、
前記半導体装置は、前記第3の中間電圧を生成するための第1の電圧生成回路をさらに備え、
前記第1の電圧生成回路は、
前記第2の中間電圧が与えられる第3の電源ノードと、
前記第3の中間電圧を出力するための出力ノードと、
前記第3の電源ノードに接続された第1の主電極および前記出力ノードに接続された第2の主電極を有し、前記第2の中間電圧をゲートに受ける第2の導電型の第1のトランジスタと、
前記出力ノードに接続された第1の主電極および前記第2の電源ノードに接続された第2の主電極を有し、前記第1の中間電圧をゲートに受ける第1の導電型の第2のトランジスタとを含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関し、たとえば、レベルシフタを備えた半導体装置に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
クロスカップル型のレベルシフタにおいて、各MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタに耐圧以上の電圧が印加されることを防止するために、耐圧緩和用のクランプMOSトランジスタを追加する手法が知られている。
【0003】
たとえば、特開平9-172368号公報(特許文献1)の
図1に開示されたレベルシフタは、中間電位をクランプする耐圧緩和用のクランプ回路と、高電位電源とクランプ電位との間で動作するラッチ回路と、クランプ電位と接地電位との間で動作するラッチ反転回路とを備える。
【0004】
具体的に、ラッチ回路は、各ソースが高電位電源に接続され、ドレインとゲートとがクロスカップルされた第1および第2のPMOS(P-channel MOS)トランジスタを含む。
【0005】
クランプ回路は、上記の第1および第2のPMOSトランジスタとそれぞれ直列に接続された第3および第4のPMOSトランジスタと、第3および第4のPMOSトランジスタとそれぞれ直列に接続された第1および第2のNMOS(N-channel MOS)トランジスタとを含む。これらのトランジスタのゲートには、クランプ電位が印加される。以下、クランプ回路を耐圧緩和回路とも称する。
【0006】
ラッチ反転回路は、第1および第2のNMOSトランジスタと接地電位との間にそれぞれ接続された第3および第4のNMOSトランジスタを含む。第3および第4のNMOSトランジスタのゲートには、相補の入力信号が入力される。以下、ラッチ反転回路を入力回路とも称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
MOSトランジスタに高電圧を印加した場合には、FN(Fowler-Nordheim)劣化などによってゲート酸化膜が損傷するために、閾値電圧が次第に上昇して半導体回路が動作しなくなる場合がある。本願発明者の経験によれば、このような高電圧ストレスに対するMOSトランジスタの耐性は、製造プロセスに大きく依存していると考えられる。
【0009】
たとえば、微細化が進行し低電圧動作するロジック回路と、高電圧が印加されるために微細化が困難な不揮発性メモリ回路とでは製造プロセスが異なる。このため、ロジック回路に不揮発性メモリ回路を混載した半導体集積回路では、不揮発性メモリ回路の高電圧ストレスに対する耐性が十分でないことがしばしば生じる。
【0010】
上記の特許文献1の構成のレベルシフタの場合、第3および第4のPMOSトランジスタのゲートに供給されるクランプ電位を上げれば、ラッチ回路を構成する第1および第2のPMOSトランジスタの耐圧はさらに緩和される。しかしながら、半導体回路の構成にもよるが、耐圧緩和回路を構成するPMOSトランジスタのクランプ電位を上げると、半導体回路全体の動作マージンの低下という副作用を伴うことが多い。
【0011】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態によるレベルシフタは、第1の導電型の一対のクロスカップルトランジスタと、第2の導電型の一対の入力トランジスタとの間に耐圧緩和回路を備える。耐圧緩和回路は、互いに直列接続された第1の導電型の第1のトランジスタおよび第2の導電型の第2のトランジスタと、高電位側で第1および第2のトランジスタに直列接続された第1の導電型の第3のトランジスタとを含む。
【発明の効果】
【0013】
上記の実施形態によれば、半導体回路全体の動作マージンの低下を抑制しつつ、クロスカップルトランジスタに対する耐圧緩和効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1のフラッシュメモリモジュール(FMDL)の構成を表わすブロック図である。
【
図3】データ書込み時にメモリセルに印加される電圧の例を表形式で示す図である。
【
図4】データ消去時にメモリセルに印加される電圧の例を表形式で示す図である。
【
図5】
図2における高電圧スイッチ回路の具体的な構成例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態の半導体装置において用いられるレベルシフタの構成を示す回路図である。
【
図7】
図3(A)および(B)に示すメモリゲートメモリゲートMGに印加される電圧の一例を示すタイミング図である。
【
図8】第2の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタの構成を示す回路図である。
【
図9】第3の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタの構成を示す回路図である。
【
図10】
図9の制御信号ctrl6を発生する回路の一例を示す図である。
【
図11】第4の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタの構成を示す回路図である。
【
図12】第5の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタの構成を示す回路図である。
【
図13】
図12の制御信号ctrl7,ctrl8を発生する回路の一例を示す図である。
【
図14】第6の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタの構成を示す回路図である。
【
図15】第7の実施形態の半導体装置においてレベルシフタの構成を示すブロック図である。
【
図16】
図15のVDD-VCCレベルシフタの構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各実施形態について図面を参照して詳しく説明する。以下では、レベルシフタを備えた半導体装置の一例として、フラッシュメモリモジュールを備えたマイクロコンピュータについて説明するが、半導体装置は以下の例に限定されるものではない。たとえば、フラッシュメモリのみによって半導体装置が構成されていてもよい。レベルシフタを備えた半導体装置であれば本開示の技術を適用可能である。
【0016】
なお、以下の説明において同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0017】
<第1の実施形態>
[マイクロコンピュータ]
図1は、第1の実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。
図1では、半導体装置の例としてマイクロコンピュータもしくはマイクロコントローラユニット(MCU:Micro Controller Unit)31の構成が示されている。
【0018】
図1を参照して、マイクロコンピュータ31は、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)集積回路製造技術などを用いることによって、単結晶シリコンのような1個の半導体チップに形成される。
【0019】
図1に示すように、マイクロコンピュータ31は、中央処理装置(CPU)32と、ランダムアクセスメモリ(RAM)35と、フラッシュメモリモジュール(FMDL)36とを備える。中央処理装置32は、命令制御部と実行部を備えて命令を実行する。ランダムアクセスメモリ35は、中央処理装置32のワーク領域などに利用される。フラッシュメモリモジュール36は、データおよびプログラムなどを格納する不揮発性メモリモジュールとして設けられる。
【0020】
マイクロコンピュータ31は、さらに、ダイレクトメモリアクセスコントローラ(DMAC)33と、バスインタフェース回路(BIF)34と、フラッシュシーケンサ(FSQC)37と、外部入出力ポート(PRT)38,39と、タイマ(TMR)40と、クロックパルスジェネレータ(CPG)41と、高速バス(HBUS)42と、周辺バス(PBUS)43とを備える。
【0021】
バスインタフェース回路34は、高速バス42と周辺バス43とのバスインタフェース制御もしくはバスブリッジ制御を行う。フラッシュシーケンサ37は、フラッシュメモリモジュール(FMDL)36に対するコマンドアクセス制御を行う。クロックパルスジェネレータ41は、マイクロコンピュータ31を制御するための内部クロックCLKを生成する。
【0022】
マイクロコンピュータ31のバス構成は特に制限されないが、
図1の場合には、高速バス(HBUS)42と周辺バス(PBUS)43とが設けられている。高速バス42および周辺バス43の各々は、特に制限されないが、データバス、アドレスバスおよびコントロールバスを有する。高速バス42および周辺バス43という2本のバスを設けることによって、単一の共通バスに全ての回路を接続する場合に比べてバスの負荷を軽くし、高速アクセス動作を保証することができる。
【0023】
高速バス42には、中央処理装置32、ダイレクトメモリアクセスコントローラ33、バスインタフェース回路34、ランダムアクセスメモリ35、およびフラッシュメモリモジュール36が接続される。周辺バス43には、フラッシュシーケンサ37、外部入出力ポート38,39、タイマ40、およびクロックパルスジェネレータ41が接続される。
【0024】
マイクロコンピュータ31は、さらに、発振子が接続されるクロック端子XTALと、外部クロックが供給されるクロック端子EXTALと、スタンバイ状態を指示する外部ハードウェアスタンバイ端子STBと、リセットを指示する外部リセット端子RESとを備える。マイクロコンピュータ31は、さらに、デジタル回路用の電源電圧VDD、アナログ回路用の電源電圧VCC、および接地電圧VSSをそれぞれ受ける端子を備える。
【0025】
図1では、ロジック回路としてのフラッシュシーケンサ37と、アレイ構成のフラッシュメモリモジュール36とは、別CADツールを用いて設計されているため、便宜上別々の回路ブロックとして図示されているが、双方併せて1つのフラッシュメモリ46を構成する。
【0026】
フラッシュメモリモジュール36は、読出し専用の高速アクセスポート(HACSP)45を介して高速バス(HBUS)42に接続される。中央処理装置32またはダイレクトメモリアクセスコントローラ33は、高速バス42から高速アクセスポート45を介してフラッシュメモリモジュール36をリードアクセスすることができる。中央処理装置32またはダイレクトメモリアクセスコントローラ33は、フラッシュメモリモジュール36に対して書込みおよび初期化のアクセスを行うときは、バスインタフェース回路34を介して周辺バス(PBUS)43経由でフラッシュシーケンサ37にコマンドを発行する。このコマンドに応答して、フラッシュシーケンサ37は、周辺バスPBUSから低速アクセスポート(LACSP)44を通じてフラッシュメモリモジュールの初期化や書込み動作の制御を行う。
【0027】
[フラッシュメモリモジュール]
図2は、
図1のフラッシュメモリモジュール(FMDL)の構成を表わすブロック図である。
【0028】
フラッシュメモリモジュール36は、メモリセルアレイ51と、CGドライバ回路52と、MGドライバ回路53と、高電圧デコード回路54と、高電圧スイッチ回路55と、昇圧回路56と、センスアンプ/書込み制御回路57とを備える。
【0029】
メモリセルアレイ51は、行列状に配列された複数のメモリセルMCを備える。
図2では、代表的に1個のメモリセルMCのみ図示している。本開示では
図2~
図4に示すように、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)型のメモリセルMCを例に挙げて説明する。しかしながら、フローティングゲート型など他の構造のメモリセルMCであっても、本開示の技術を適用可能である。MONOS型のメモリセルMCの詳細な構造は
図3で説明する。
【0030】
さらに、メモリセルアレイ51は、メモリセルMCの制御信号線として、複数のメモリセルMCの各行に対応して設けられている、複数のメモリゲート線MGL、複数のコントロールゲート線CGL、および複数のソース線SLと、複数のメモリセルMCの各列に対応して設けられている複数のビット線BLを含む。
図2では、1つのメモリセルMCに接続された制御信号線が代表的に示されている。
【0031】
CGドライバ回路52は、コントロールゲート(CG)信号を発生することによってコントロールゲート線CGLを駆動する複数のドライバ521を備える。
【0032】
MGドライバ回路53は、メモリゲート(MG)信号を発生することによってメモリゲート線MGLを駆動する複数のドライバ531を備える。
【0033】
昇圧回路56は、チャージポンプ回路を内蔵し、種々の大きさの昇圧電圧を生成して高電圧デコード回路54に供給する。具体的に、昇圧回路56は、書き込みMG用正電圧VPPA、書き込み非選択MG用正電圧VPPC、書き込みSL用正電圧VPPB、耐圧緩和用正電圧VPPR、消去MG用負電圧VEEMを発生する。
【0034】
以下、書き込みMG用正電圧VPPAを高電源電圧VPPAと称し、書き込み非選択MG用正電圧VPPCを中間電圧VPPCと称し、耐圧緩和用正電圧VPPRを中間電圧VPPRと称する場合がある。中間電圧VPPCおよび中間電圧VPPRは、高電源電圧VPPAと接地電圧VSSの間の電圧値である。また、以下の実施形態では、中間電圧VPPRは高電源電圧VPPAと中間電圧VPPCとの間の電圧値に設定される。
【0035】
高電圧スイッチ回路55は、昇圧回路56が発生した種々の昇圧電圧を選択することによって、選択ブロック高電位側MG電圧VMGPP、選択ブロック低電位側MG電圧VMGPN、非選択ブロック高電位側MG電圧VMGNP、非選択ブロック低電位側MG電圧VMGNN、選択SL電圧VSLP、非選択SL電圧VSLNを生成する。高電圧スイッチ回路55は生成した電圧を、デコーダ用電源電圧として高電圧デコード回路54に供給する。
【0036】
高電圧デコード回路54は、MGドライバ回路53およびソース線SLに高電圧を供給する。より詳細には、高電圧デコード回路54は、高電圧スイッチ回路55で生成されたデコーダ用電源電圧を使用し、デコード信号をMGドライバ回路53に供給するとともにソース線SLに供給するソース線信号を発生する。
【0037】
センスアンプ/書込み制御回路57は、選択されたメモリセルに記憶された内容のビット線BLを介しての読み出し、選択されたメモリセルにビット線BLを通じての記憶内容書き込みを行う。
【0038】
[メモリセルへの供給電圧]
次に、上記のCGドライバ回路52、MGドライバ回路53、高電圧デコード回路54、およびセンスアンプ/書込み制御回路57から、選択/非選択のブロックの選択/非選択メモリセルに供給される電圧の例について説明する。
図3および
図4などこの明細書中で示す数値例は説明のための一例であって、この数値に限定されるものではない。
【0039】
(データ書込み時にメモリセルに印加される電圧の例)
図3は、データ書込み時にメモリセルに印加される電圧の例を表形式で示す図である。
【0040】
まず、
図3(A)を参照して、MONOS型の不揮発性メモリセルMCの構成について簡単に説明する。メモリセルMCは、コントロールゲート(CG)61、窒化シリコン膜62、メモリゲート(MG)63、ソース64、およびドレイン65を含む。コントロールゲート61は、P型シリコン基板60の表面上に絶縁層(不図示)を介して形成される。窒化シリコン膜62は、酸化シリコン膜(不図示)、窒化シリコン膜62、および酸化シリコン膜(不図示)からなるONO(Oxide-Nitride-Oxide)膜として、コントロールゲート61の側壁に形成される。ONO膜上には、サイドウォール構造のメモリゲート63が形成される。ソース64およびドレイン65は、ゲート61,63の両側にN型不純物を注入することによってそれぞれ形成される。ソース64は対応のソース線SLと接続され、ドレイン65は対応のビット線BLと接続される。
【0041】
次に、データ書込み時にメモリセルMCに印加される電圧について説明する。耐圧緩和が必要になるような高電圧が印加される電極はメモリゲートMGであるので、以下ではメモリゲートMGの印加電圧に着目する。
【0042】
図3(A)に示す選択ブロックの選択メモリセルに関して、選択メモリゲートMGに印加される電圧はVMGPPであり、書込み時にはVMGPPとしてVPPAが選択される。一例として、VPPAは6.4~11[V]程度の電圧となる。
【0043】
図3(B)に示す選択ブロックの非選択メモリセルに関して、非選択メモリゲートMGに印加される電圧はVMGPNであり、書込み時にはVMGPNとしてVPPCが選択される。一例として、VPPCは3.5[V]程度の電圧である。
【0044】
図3(C)に示す非選択ブロックの選択メモリセルに関して、選択メモリゲートMGに印加される電圧はVMGNPであり、書込み時にはVMGNPとしてVPPCが選択される。一例として、VPPCは3.5[V]程度の電圧である。
【0045】
図3(D)に示す非選択ブロックの非選択メモリセルに関して、非選択メモリゲートMGに印加される電圧はVMGNNであり、書込み時にはVMGNNとしてVDDが選択される。一例として、VDDは1.5[V]程度の電圧である。
【0046】
(データ消去時にメモリセルに印加される電圧の例)
図4は、データ消去時にメモリセルに印加される電圧の例を表形式で示す図である。耐圧緩和が必要になるような負の高電圧が印加される電極はメモリゲートMGであるので、以下ではメモリゲートMGの印加電圧に着目する。
【0047】
図4(A)に示す選択ブロックの選択メモリセルに関して、消去時に選択メモリゲートMGに印加される電圧はVMGPNであり、消去時にはVMGPNとしてVEEMが選択される。一例として、VEEMは-3.3~-8[V]程度の電圧となる。
【0048】
図4(B)に示す選択ブロックの非選択メモリセルに関して、消去時に非選択メモリゲートMGに印加される電圧はVMGPPであり、消去時にはVMGPPとしてVDDが選択される。一例として、VDDは1.5[V]程度の電圧である。
【0049】
図4(C)に示す非選択ブロックの選択メモリセルという状態は、消去時の場合には存在しない。したがって、
図4(D)に示すように、消去時には非選択ブロックの全てのメモリゲートMGに共通の電圧であるVMGNPが印加される。消去時にはVMGNPとしてVDDが選択される。一例として、VDDは1.5[V]程度の電圧である。
【0050】
[高電圧スイッチ回路]
図5は、
図2における高電圧スイッチ回路の具体的な構成例を示す図である。
【0051】
図5(A)は電圧VMGPPを発生する回路を示す。電圧VMGPPの出力ノード86には、スイッチ71を通して電圧VPPAが供給され、スイッチ72を通して電圧VDDが供給される。動作モードにより電圧VPPAと電圧VDDとのどちらかが選択される。
【0052】
スイッチ71,72として1段以上のPMOSトランジスタが用いられる。
図5(A)では、スイッチ71,72の各々は簡単のために1段のPMOSトランジスタで示されているが、耐圧のために必要であれば、複数段のPMOSトランジスタを用いてもよいし、耐圧緩和用のMOSトランジスタを挿入してもよい。後述するスイッチ73~78についても同様に、耐圧のために必要であれば、複数段のMOSトランジスタを用いてもよいし、耐圧緩和用のMOSトランジスタを挿入してもよい。
【0053】
スイッチ71,72のオンオフは、VDDレベルの選択信号selpp_aおよびselpp_cによってそれぞれ制御される。選択信号selpp_cに関してレベルシフタは不要であり、VDDレベルの選択信号selpp_cはスイッチ72を構成するPMOSトランジスタのゲートに直接入力される。
【0054】
一方、VDDレベルの選択信号selpp_aは、正電圧レベルシフタ81によってVPPAレベルの信号に変換される。VPPAレベルの選択信号selpp_aは、スイッチ71を構成するPMOSトランジスタのゲートに入力される。正電圧レベルシフタ81の端子upに電圧VPPAが入力される。電圧VPPAは高電圧であるため、正電圧レベルシフタ81には耐圧緩和が必要である。
【0055】
図5(B)は電圧VMGPNを発生する回路を示す。電圧VMGPNの出力ノード87には、スイッチ73を通して電圧VPPCが供給され、スイッチ74を通して電圧VEEMが供給される。動作モードにより電圧VPPCと電圧VEEMとのどちらかが選択される。スイッチ73として1段以上のPMOSトランジスタが用いられ、スイッチ74として1段以上のNMOSトランジスタが用いられる。
【0056】
スイッチ73のオンオフは、VDDレベルの選択信号selpn_cによって制御される。VDDレベルの選択信号selpn_cは、正電圧レベルシフタ83によってVPPCレベルの信号に変換される。VPPCレベルの選択信号selpn_cは、スイッチ73を構成するPMOSトランジスタのゲートに入力される。正電圧レベルシフタ83の端子upに電圧VPPCが入力される。電圧VPPCは高電圧ではないので、正電圧レベルシフタ83には耐圧緩和は不要である。
【0057】
スイッチ74のオンオフは、VDDレベルの選択信号selpn_eによって制御される。VDDレベルの選択信号selpn_eは、負電圧レベルシフタ84によってVEEMレベルの信号に変換される。VEEMレベルの選択信号selpn_eは、スイッチ74を構成するNMOSトランジスタのゲートに入力される。負電圧レベルシフタ84の端子unに電圧VEEMが入力される。
【0058】
図5(C)は電圧VMGNPを発生する回路を示す。電圧VMGNPの出力ノード88には、スイッチ75を通して電圧VPPCが供給され、スイッチ76を通して電圧VDDが供給される。動作モードにより電圧VPPCと電圧VDDとのどちらかが選択される。スイッチ75,76として1段以上のPMOSトランジスタが用いられる。
【0059】
スイッチ75,76のオンオフは、VDDレベルの選択信号selnp_cおよびselpp_dによってそれぞれ制御される。選択信号selpp_dに関してレベルシフタは不要であり、VDDレベルの選択信号selpp_dはスイッチ76を構成するPMOSトランジスタのゲートに直接入力される。
【0060】
一方、VDDレベルの選択信号selnp_cは、正電圧レベルシフタ85によってVPPCレベルの信号に変換される。VPPCレベルの選択信号selnp_cは、スイッチ75を構成するPMOSトランジスタのゲートに入力される。正電圧レベルシフタ85の端子upに電圧VPPCが入力される。電圧VPPCは高電圧ではないので、正電圧レベルシフタ85には耐圧緩和は不要である。
【0061】
図5(D)は電圧VMGNNを発生する回路を示す。電圧VMGNNの出力ノード89には、スイッチ77を通して電圧VDDが供給され、スイッチ78を通して電圧VSSが供給される。動作モードにより電圧VDDと電圧VSSとのどちらかが選択される。スイッチ77として1段以上のPMOSトランジスタが用いられ、スイッチ78として1段以上のNMOSトランジスタが用いられる。
【0062】
スイッチ77,78のオンオフは、VDDレベルの選択信号selnn_dおよびselnn_sによってそれぞれ制御される。いずれの選択信号selnn_d,selnn_sについてもレベルシフタは不要である。選択信号selnn_sはスイッチ77を構成するPMOSトランジスタのゲートに直接入力され、選択信号selnn_sはスイッチ78を構成するNMOSトランジスタのゲートに直接入力される。
【0063】
表1は、
図2の高電圧スイッチ回路による昇圧電圧の選択例をまとめたものである。
【0064】
【0065】
表1に示すように、高電圧スイッチ回路55は出力電圧VMGPPとして、書込み状態ではVPPAを選択し、消去状態ではVDDを選択する。高電圧スイッチ回路55は出力電圧VMGPNとして、書込み状態ではVPPCを選択し、消去状態ではVEEMを選択する。高電圧スイッチ回路55は出力電圧VMGNPとして、書込み状態ではVPPCを選択し、消去状態ではVDDを選択する。高電圧スイッチ回路55は出力電圧VMGNNとして、書込み状態ではVDDを選択し、消去状態ではVSSを選択する。
【0066】
なお、書込み状態および消去状態以外の動作モードであるベリファイモードおよびテストモード等に対応するために、高電圧スイッチ回路55に追加のスイッチを設ける場合がある。
【0067】
図5に示すように、
図2の高電圧スイッチ回路55を構成するためにレベルシフタ81,83~85が必要である。この中で、正電圧レベルシフタ81に関しては耐圧緩和を考慮する必要がある。なぜなら、書込み時にメモリゲートMGに印加される電圧VPPAとして例えば11Vクラスの高電圧が使用されるが、正電圧レベルシフタ81を構成するMOSトランジスタの耐圧は高耐圧のものでも10V程度しか対応していないからである。したがって、耐圧緩和を行うことによって、正電圧レベルシフタ81を構成する各MOSトランジスタに高電源電圧VPPAがそのまま印加されないようにする必要がある。
【0068】
[レベルシフタの構成例]
図6は、第1の実施形態の半導体装置において用いられるレベルシフタの構成を示す回路図である。
図6のレベルシフタ100は、
図5(A)の正電圧レベルシフタ81に適用可能なものである。
【0069】
図6を参照して、レベルシフタ100は、高電源電圧VPPAが入力される高電圧ノード103と、接地電圧VSSが入力される接地ノード104と、VDDレベルの相補入力信号inp,innをVPPAレベルの信号に変換するレベルシフタ段101と、レベルシフタ段101の後段に設けられたドライバ段102とを含む。本開示では、接地電圧VSSを基準電圧とも称する。高電圧ノード103を第1の電源ノードとも称し、接地ノード104を第2の電源ノードとも称する。一例として高電源電圧VPPAは、6.4~11[V]程度であり、昇圧回路56に内蔵のチャージポンプ回路によって生成され、フラッシュシーケンサ37から出力された制御信号に従って変化する。
【0070】
レベルシフタ段101は、ラッチ回路110と、相補の入力信号inp,innが入力される入力回路111と、ラッチ回路110と入力回路111との間に接続された耐圧緩和回路112と、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nとを備える。
【0071】
ラッチ回路110は、各ソースが高電圧ノード103に接続された一対のクロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNを含む。PMOSトランジスタMPCCP,MPCCNのゲートとドレインはクロスカップルされている。すなわち、PMOSトランジスタMPCCPのゲートとPMOSトランジスタMPCCNのドレインとが接続され、PMOSトランジスタMPCCPのドレインとPMOSトランジスタMPCCNのゲートとが接続される。
【0072】
入力回路111は、一対の入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNを含む。入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNの各ソースは、接地ノード104に接続される。入力NMOSトランジスタMNINPのゲートには入力信号innが入力され、入力NMOSトランジスタMNINNのゲートには入力信号inpが入力される。
【0073】
耐圧緩和回路112は、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nと、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nと、追加の耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nとを含む。前述の特許文献1と比較すると、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nが追加されている点において差異がある。
【0074】
より詳細には、耐圧緩和用MOSトランジスタMPE3P,MPE1P,MNE1Pは、この並び順でPMOSトランジスタMPCCPのドレインと入力NMOSトランジスタMNINPのドレインとの間に直列に接続されている。同様に、耐圧緩和用MOSトランジスタMPE3N,MPE1N,MNE1Nは、この並び順でPMOSトランジスタMPCCNのドレインと入力NMOSトランジスタMNINNのドレインとの間に直列に接続されている。したがって、耐圧緩和回路112において、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nが最も高電位側に設けられ、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nが最も低電位側に設けられる。耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nと耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nとの間にそれぞれ接続される。
【0075】
以下の説明において、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nとの接続ノードを、それぞれ中間ノードhhp,hhnと称する。耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nとの接続ノードを、それぞれ中間ノードhxp,hxnと称する。耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nと耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nとの接続ノードを、それぞれ中間ノードmmp,mmnと称する。耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nと入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNとの接続ノードを、それぞれ中間ノードllp,llnと称する。
【0076】
耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのゲートには、中間電圧VPPCが入力される。耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nのゲートには、中間電圧VPPRが印加される。中間電圧VPPR,VPPCは、接地電圧VSSと高電源電圧VPPAとの間の電圧値を有する。たとえば、中間電圧VPPRは5.5Vであり、中間電圧VPPCは3.0Vであり、中間電圧VPPRは高電源電圧VPPAとVPPCとの間の電圧値に設定される。
【0077】
耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nの各々について、ゲートとドレインとは相互に接続されている。すなわち、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nの各々はダイオード接続されたトランジスタである。
【0078】
クランプNMOSトランジスタMNF1Pは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3Pのソース(すなわち、中間ノードhhp)と高電圧ノード103との間に接続される。同様に、クランプNMOSトランジスタMNF1Nは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3Nのソース(すなわち、中間ノードhhn)と高電圧ノード103との間に接続される。クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nのゲートには、たとえば、中間電圧VPPRが印加される。クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nは、それぞれ対応するPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNがオフのときに中間ノードhhp,hhnの電圧をクランプするためのものである。
【0079】
ドライバ段102は、ドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNと、ドライバNMOSトランジスタMNDRP,MNDRNと、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE2P,MPE2Nと、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE2P,MNE2Nとを含む。
【0080】
ドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNの各ソースは高電圧ノード103と接続され、各ゲートは中間ノードhhn,hhpとそれぞれ接続される。ドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNの各ドレインから相補の出力信号outp,outnが出力される。
【0081】
ドライバNMOSトランジスタMNDRP,MNDRNの各ソースは接地ノード104と接続される。ドライバNMOSトランジスタMNDRPのゲートには入力信号innが入力され、ドライバNMOSトランジスタMNDRNのゲートには入力信号inpが入力される。
【0082】
耐圧緩和PMOSトランジスタMPE2Pおよび耐圧緩和NMOSトランジスタMNE2Pは、この並び順で、ドライバPMOSトランジスタMPDRPのドレインとドライバNMOSトランジスタMNDRPのドレインとの間に直列に接続される。同様に、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE2Nおよび耐圧緩和NMOSトランジスタMNE2Nは、この並び順で、ドライバPMOSトランジスタMPDRNのドレインとドライバNMOSトランジスタMNDRNのドレインとの間に直列に接続される。
【0083】
耐圧緩和PMOSトランジスタMPE2P,MPE2Nのゲートには中間電圧VPPC(たとえば、3.0V)が印加される。耐圧緩和NMOSトランジスタMNE2P,MNE2Nのゲートには中間電圧VPPR(たとえば、5.5V)が印加される。
【0084】
上記で説明した各MOSトランジスタのバックゲート(すなわち、基板)は、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを除いて、当該トランジスタのソースに接続される。耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのバックゲートは、高電圧ノード103に接続されることによって、高電源電圧VPPAを受ける。
【0085】
[レベルシフタの動作]
次に、特に耐圧緩和の観点から
図6のレベルシフタ100の動作について説明する。なお、以下の数値例は説明のための一例であり、この数値に限定されるわけでない。
【0086】
(レベルシフタの全体動作の概略)
図6を参照して、VDDレベルの相補の入力信号inp,innに応じて、入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNの一方がオン状態になり、他方がオフ状態になる。
【0087】
たとえば、入力信号inpの電圧がVDD(たとえば、1.5V)であり、入力信号innの電圧がVSS(たとえば、0V)であったとする。この場合、入力回路111の入力NMOSトランジスタMNINNがオン状態になり、入力NMOSトランジスタMNINPがオフ状態になる。さらに、ドライバ段102のドライバNMOSトランジスタMNDRNがオン状態になり、ドライバNMOSトランジスタMNDRPがオフ状態になる。
【0088】
入力NMOSトランジスタMNINNがオン状態になると、中間ノードlln,mmnの電圧がVSS(0V)になる。この結果、ラッチ回路110を構成するPMOSトランジスタMPCCPのゲート電圧がローレベルに引かれるので、PMOSトランジスタMPCCPがオン状態になり、中間ノードhhpの電圧がハイレベル、すなわち、高電源電圧VPPA(たとえば、11V)になる。一方、PMOSトランジスタMPCCNはオフ状態になり、中間ノードhhnの電圧はローレベルになる。
【0089】
さらに、中間ノードhhpがハイレベル(VPPA)になり、中間ノードhhnがローレベルになることによって、ドライバ段102を構成するドライバPMOSトランジスタMPDRPがオン状態になり、ドライバPMOSトランジスタMPDRNがオフ状態になる。最終的に出力信号outpはハイレベル(VPPA)になり、出力信号outnはローレベルになる。
【0090】
上記と逆に、入力信号inpの電圧がVSS(たとえば、0V)であり、入力信号innの電圧がVDD(たとえば、1.5V)であったとする。この場合には、ラッチ回路110を構成するPMOSトランジスタMPCCPがオフ状態になることによって、中間ノードhhpの電圧がローレベルになり、PMOSトランジスタMPCCNがオン状態になることによって、中間ノードhhnの電圧はハイレベル(VPPA)になる。したがって、ドライバ段102を構成するドライバPMOSトランジスタMPDRPがオフ状態になり、ドライバPMOSトランジスタMPDRNがオン状態になる。最終的に出力信号outpはローレベルになり、出力信号outnはハイレベル(VPPA)になる。
【0091】
(耐圧緩和回路の機能)
次に、耐圧緩和回路112の機能について説明する。まず、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1N,MNE2P,MNE2Nのゲートに中間電圧VPPR(たとえば、5.5V)が印加される。これによって、入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNのドレインの電圧およびドライバNMOSトランジスタMNDRP,MNDRNのドレイン・ソース間電圧は中間電圧VPPR(5.5V)に制限される。したがって、これらのNMOSトランジスタMNINP,MNINN,MNDRP,MNDRNの耐圧緩和が実現される。
【0092】
また、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1N,MPE2P,MPE2Nのゲートには中間電圧VPPC(たとえば、3.0V)が印加される。これによって、ラッチ回路110を構成するPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNおよびドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNの各々のソース・ドレイン間にかかる電圧は、VPPA-VPPC(たとえば、11V-3V=8V)に制限される。
【0093】
さらに、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3PにクランプNMOSトランジスタMNF1Pを通して適切な大きさ電流を流すことによって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3Pのソースとドレインとの間(すなわち、中間ノードhhpと中間ノードhxpとの間)に閾値電圧Vth(約1V)以上の電位差をつけることできる。同様に、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3NにクランプNMOSトランジスタMNF1Nを通して適切な大きさ電流を流すことによって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3Pのソースとドレインとの間(すなわち、中間ノードhhpと中間ノードhxpとの間)に閾値電圧Vth(約1V)以上の電位差をつけることできる。以上によって、ラッチ回路110を構成するPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNおよびドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNに対する耐圧緩和効果をさらに高めることができる。
【0094】
ここで、ラッチ回路110を構成するPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNのオンオフにかかわらず、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nへ常に電流を供給することが重要である。もし、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nへの電流供給が無いと、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nにリーク電流が存在する場合には、中間ノードhhp,hhnの電位が維持できなくなる(すなわち、中間ノードhxp,hxnの電位まで低下する)。この結果、ラッチ回路110を構成するPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNおよびドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNに対する耐圧緩和が十分に得られなくなる。
【0095】
上記の事態を防止するために、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nが設けられている。クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nのゲートに中間電圧VPPR(たとえば、5.5V)を印加することによって、中間ノードhhp,hhnの電圧がVPPR-Vthnまで低下すると、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nから電流が供給される。ここで、Vthnは、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nの閾値電圧であり約1Vである。したがって、中間ノードhhp,hhnの電圧は、5.5-1=4.5[V]前後でクランプされる。
【0096】
実際には、中間ノードhhp,hhnの電圧は、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nとのサイズ比に依存する。具体的に、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nのサイズ(すなわち、ゲート幅)を小さくすると、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nに供給する電流が減少するために、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのソース・ドレイン間電圧はVthpに近付く。この結果、中間ノードhhp、hhnの電圧の下限値は4Vに近くなる。逆に、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nのサイズを大きくすると、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nに供給する電流が増加するために、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのソース・ドレイン間電圧が大きくなる。この結果、中間ノードhhp、hhnの電圧は、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nのゲート電圧で決まる最大電圧である、4.5Vに近くなる。
【0097】
以上の結果、中間ノードhxp,hxnの下限電圧が中間電圧VPPC(3.0V)であるのに対し、中間ノードhhp,hhnの下限電圧は、4~4.5Vとなる。したがって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nによる追加の耐圧緩和効果は1~1.5Vになる。
【0098】
[第1の実施形態の効果]
以上のとおり、第1の実施形態によれば、レベルシフタ100を構成するラッチ回路110と入力回路111とを接続する電流経路上に、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nおよび耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nに加えて、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nが設けられる。これにより、耐圧緩和が必要なクロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNおよびドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNの各々のゲート・ソース間にかかる最大電圧を緩和することができる。
【0099】
具体的数値例を用いて説明すると、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを設けない場合には、高電圧ノード103と中間ノードhhp,hhnとの電位差は最大で、VPPA(11V)-VPPC(3V)=8Vであった。一方、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを設けることによって、高電圧ノード103と中間ノードhhp,hhnとの最大の電位差は、VPPA(11V)-VPPC(3V)-(1~1.5V)=6.5~7Vにまで低下する。したがって、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNおよびドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNの各々のゲート・ソース間にかかる最大電圧を8Vから6.5~7Vに緩和することができる。
【0100】
高いソース・ゲート間電圧をオン状態のMOSトランジスタに長時間かけると、FN劣化によって当該MOSトランジスタの閾値電圧Vthが劣化(すなわち、増加)する。具体的に、ラッチ回路110を構成するクロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNの閾値電圧Vthが増加すると、ラッチ回路110の反転マージンが大きく劣化することになる。ドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNの閾値電圧Vthが増加すると、ドライバ段102のドライブ能力が大きく劣化することになる。第1の実施形態の構成によれば、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを設けることによって、上述のようなFN劣化によるレベルシフタの特性劣化を防止することができる。
【0101】
さらに、中間ノードhhp,hhnの電位をクランプするためのクランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nを設けることによって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nに供給する電流を調整することができる。この結果、中間ノードhhp,hhnの下限電圧を調整することができる。さらには、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのリーク電流のために、中間ノードhhp,hhnの電圧が下がりすぎることを防止することができ、その結果、耐圧緩和が無効になることを回避できる。
【0102】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、データ書込み時に書込みパルスを印加するフェーズでは、電圧VPPAをたとえば11V程度の高電圧に設定し、書込みアドレスを選択するフェーズでは、電圧VPPAを11Vよりも低い電圧に設定するような制御を行う場合について説明する。ラッチ回路110を構成するPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNのゲート・ソース間に高電圧を印加したままでラッチ回路を反転させると、PMOSトランジスタMPCCP,MPCCNを破損させる虞があるからである。
【0103】
第1の実施形態で説明したように、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを追加することによって、より高い値の電圧VPPAをレベルシフタに印加することが可能になった。しかしながら、上記のようにラッチ回路110を反転させるために、電圧VPPAをより低い値に低下させた場合には、追加の耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを設けたために、ラッチ回路110を反転させることが困難になる場合がある。結果として、レベルシフタは、入力信号inp,innに応じた正しい出力信号outp,outnを出力することが困難になる。
【0104】
そこで、第2の実施形態では、上記の問題点に対処可能なレベルシフタについて説明する。具体的には、レベルシフタ段101に耐圧緩和回路112をバイパスするバイパス経路が設けられる。
【0105】
[メモリゲートMG用電圧の制御]
以下では、まず、
図7を参照して本実施形態におけるメモリゲートMG用電圧の制御について説明する。
【0106】
図7は、
図3(A)および(B)に示すメモリゲートメモリゲートMGに印加される電圧の一例を示すタイミング図である。
【0107】
図7の上のグラフは書込み時に選択ブロックの選択メモリゲートMGに印加される電圧VMGPPの時間変化を示し、
図7の下のグラフは書込み時に選択ブロックの非選択メモリゲートMGに印加される電圧VMGPNの時間変化を示す。
図5で説明したように、選択メモリゲートMGの印加電圧は高電源電圧VPPAであり、非選択メモリゲートに印加される電圧は中間電圧VPPCである。高電源電圧VPPAおよび中間電圧VPPCの値は、それらを生成するチャージポンプを制御することによって変化させる。
【0108】
図7を参照して、時刻t1以前がアドレスを選択して切り替えるフェーズである。このフェーズでは、選択メモリゲートMGに印加される電圧VMGPP(VPPA)は5V程度の低い電圧であり、非選択メモリゲートMGに印加される電圧VMGPN(VPPC)は0Vである。
【0109】
書込み動作を開始すると、時刻t1から時刻t2の間で選択メモリゲートMGの電圧VMGPPは11V程度の高電圧に昇圧される。また、電圧VMGPNは耐圧緩和のために3V程度の電圧に昇圧される。
【0110】
時刻t2から時刻t3の間で電圧VMGPP,VMGPNが所定の電圧値で安定すると、書込みパルスが印加される。書込み完了後の時刻t3から時刻t4の間で、電圧VMGPPは5V程度まで降圧され、電圧VMGPNは0Vまで降圧される。時刻t4以降は、再びアドレス切替えフェーズとなる。
【0111】
ここで、アドレス切替えフェーズでは、アドレスに応じてラッチ回路110を反転させる場合があるが、高電源電圧VPPAは5V程度の比較的低い電圧であるので、耐圧緩和は不要である。そこで、次の
図8で示すようにバイパス経路105,106に電流が流れるようにスイッチを制御することによって、耐圧緩和回路112を使用しないようにする。
【0112】
一方、電源立ち上げ(時刻t1から時刻t2)、書込みパルス印加(時刻t2から時刻t3)、および電源立ち下げ(時刻t3から時刻t4)の各フェーズでは、ラッチ回路110の内部状態を変化させる必要はないが、耐圧緩和は必要である。この場合、バイパス経路105,106ではなく耐圧緩和回路112に電流が流れるようにスイッチが制御される。
【0113】
[レベルシフタの構成]
図8は、第2の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタの構成を示す回路図である。
【0114】
図8を参照して、レベルシフタ100Aは、レベルシフタ段101Aとドライバ段102Aとを含む。
【0115】
レベルシフタ段101Aは、
図6のレベルシフタ段101を基本構成として、さらに、耐圧緩和回路112をバイパスするためのバイパス経路105,106を含む。バイパス経路105は、耐圧緩和回路112をバイパスして中間ノードhhpと中間ノードllpとを接続する。バイパス経路106は、耐圧緩和回路112をバイパスして中間ノードhhnと中間ノードllnとを接続する。
【0116】
レベルシフタ段101Aは、さらに、バイパス経路105上に設けられた電流経路切替え用のNMOSトランジスタMNC1P,MNC2Pと、バイパス経路106上に設けられた電流経路切替え用のNMOSトランジスタMNC1N,MNC2Nとを含む点で
図6のレベルシフタ段101と異なる。以下の説明において、NMOSトランジスタMNC1PとNMOSトランジスタMNC2Pとの間のノードを中間ノードnmpと称し、NMOSトランジスタMNC1NとNMOSトランジスタMNC2Nとの間のノードを中間ノードnmnと称する。
【0117】
上記のNMOSトランジスタMNC1P,MNC1Nのゲートには制御信号ctrl3が入力され、NMOSトランジスタMNC2P,MNC2Nのゲートには制御信号ctrl1が入力される。制御信号ctrl1,ctrl3は、耐圧緩和の有無を切り替えるためのものである。また、NMOSトランジスタMNC1P,MNC1Nのバックゲートは、それぞれのソースに接続される。NMOSトランジスタMNC2P,MNC2Nのバックゲートは接地ノード104に接続される。
【0118】
レベルシフタ段101Aは、さらに、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nのゲートの入力が制御信号ctrl4に変更され、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのゲートの入力が制御信号ctrl2に変更されている点で、
図6のレベルシフタ段101と異なる。制御信号ctrl2,ctrl4は、耐圧緩和の有無に応じてゲート電圧を切り替えるためのものである。さらに、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nのバックゲートは、NMOSトランジスタMNC1P,MNC1Nのソースにそれぞれ接続されるように変更されている。
【0119】
レベルシフタ段101Aは、さらに、クランプNMOSトランジスタMNF4P,MNF4N,MNF3P,MNF3N,MNF2P,MNF2Nを含む点で、
図6のレベルシフタ段101と異なる。これらのNMOSトランジスタは使用していない電流経路における中間ノードの電位をフローティングにせずに固定するためのものである。
【0120】
具体的に、クランプNMOSトランジスタMNF4Pは中間ノードhxpとバイパス経路105との間に接続される。クランプNMOSトランジスタMNF4Nは中間ノードhxnとバイパス経路106との間に接続される。クランプNMOSトランジスタMNF4P,MNF4Nのゲートには、固定のバイアス電圧bias1が与えられる。バイアス電圧bias1として中間電圧VPPR(たとえば、5.5V)が用いられる。クランプNMOSトランジスタMNF4P,MNF4Nのバックゲートは、それぞれのソースに接続される。
【0121】
クランプNMOSトランジスタMNF3P,MNF3N,MNF2P,MNF2Nの各々はダイオード接続されている。クランプNMOSトランジスタMNF3P,MNF3N,MNF2P,MNF2Nのソースは、中間ノードllp,lln,nmp,nmnにそれぞれ接続される。クランプNMOSトランジスタMNF3P,MNF3N,MNF2P,MNF2Nのドレインにはバイアス電圧bias1が与えられる。クランプNMOSトランジスタMNF3P,MNF3N,MNF2P,MNF2Nのバックゲートは、接地ノード104に接続される。
【0122】
ドライバ段102Aは、素子数を削減するために、レベルシフタ段101Aの耐圧緩和電圧を利用する構成となっている。具体的に、ドライバ段102Aは、ドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNと、ドライバNMOSトランジスタMNDRP,MNDRNとを含む。
図6のドライバ段102と異なり、ドライバ段102Aは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE2P,MPE2Nおよび耐圧緩和NMOSトランジスタMNE2P,MNE2Nを有していない。
【0123】
ドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNの接続は、
図6の場合と同じであるので説明を繰り返さない。ドライバNMOSトランジスタMNDRP,MNDRNのドレインは、ドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNのドレインにそれぞれ接続される。ドライバNMOSトランジスタMNDRP,MNDRNのゲートは、中間ノードhxn,hxpにそれぞれ接続される。ドライバNMOSトランジスタMNDRP,MNDRNのソースは、中間ノードhxp,hxnにそれぞれ接続される。ドライバNMOSトランジスタMNDRP,MNDRNのバックゲートは、それぞれ中間ノードnmp,nmnに接続される。
【0124】
[レベルシフタの動作]
次に、
図8に示す第2の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタ100Aの動作について説明する。
【0125】
(各制御信号の設定値)
表2は、耐圧緩和の有無に応じた制御信号ctrl1~ctrl4の設定値を示す。
【0126】
【0127】
ここで、バイアス電圧bias1はVPPR(たとえば、5.5V)、バイアス電圧bias2はVPPC(たとえば、3.0V)を想定している。いずれも固定された電圧値である。
【0128】
表2に示すように、レベルシフタ100Aの出力信号outp,outnの電圧レベルも、耐圧緩和の有りおよび無しで切り替わる構成となっている。ハイ(H:high)側の電圧レベルは耐圧緩和の有無によらずVPPAである。ただし、高電源電圧VPPAの大きさは、耐圧緩和有の場合(たとえば、11V)と耐圧緩和無しの場合(たとえば、5V)とで異なる。一方、ロー(L:Low)側の電圧レベルは、耐圧緩和有りの場合には中間電圧VPPC(たとえば、3.0V)であり、耐圧緩和無しの場合には接地電圧VSS(たとえば、0V)である。
【0129】
上記のように、ハイ側の電圧レベルを高電源電圧VPPAとすることによって、
図5(A)におけるPMOSスイッチ71を確実にオフ状態に切り替えることができる。また、ロー側の電圧レベルを耐圧緩和無しの場合に接地電圧VSSにすることによって、
図5(A)におけるPMOSスイッチ71を確実にオン状態に切り替えることができる。このように、PMOSスイッチ71の能力を確保するために、出力信号outp,outnの信号レベルを耐圧緩和の有無に応じて切替えている。
【0130】
次に、耐圧緩和有りの場合と耐圧緩和無しの場合とで、制御信号ctrl1~ctrl4をどのように設定するかについて説明する。制御信号ctrl1~ctrl4は、たとえば、
図1のフラッシュシーケンサ37などの制御回路から出力される。
【0131】
(耐圧緩和有りの場合のレベルシフタの動作)
耐圧緩和有りの場合に、制御回路は、制御信号ctrl4をVPPR(たとえば、5.5V)に設定し、制御信号ctrl2をVPPC(たとえば、3.0V)に設定する。したがって、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nのゲートの入力電圧(VPPR)および耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのゲートの入力電圧(中間電圧VPPC)は、第1の実施形態の
図6の場合と同じである。
【0132】
さらに、制御回路は、耐圧緩和有りの場合に、制御信号ctrl1を接地電圧VSSに設定する。したがって、NMOSトランジスタMNC2P,MNC2Nはオフ状態になるので、バイパス経路105,106を介した電流経路が遮断される。よって、第1の実施形態と同様の耐圧緩和効果が得られる。
【0133】
さらに、耐圧緩和有りの場合において、バイパス経路105,106の中間ノードnmp,nmnは、それぞれクランプNMOSトランジスタMNF4P,MNF4Nによって、VPPRレベルまで充電される。中間ノードnmp,nmnの電圧がVPPR以上に上昇した場合には、クランプNMOSトランジスタMNF2P,MNF2NによってVPPRレベルまで電荷が引き抜かれる。したがって、中間ノードnmp,nmnの電圧はVPPRレベルに固定される。また、耐圧緩和有りの場合には、制御回路は、制御信号ctrl3をVPPC(たとえば、3.0V)に設定する。このように、NMOSトランジスタMNC1P,MNC1N,MNC2P,MNC2Nにおいて耐圧違反が起こらないように各電圧が設定されている。
【0134】
耐圧緩和有りの場合の中間ノードhxp,hxnの電圧の最低値は、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのゲートに与えられる制御信号ctrl2の電圧値であるVPPCである。ドライバ段102Aは、これらの中間ノードhxp,hxnの電圧を負側電源電圧として取り込んでいるので、出力信号outp,outnの下限もVPPCになる。
【0135】
(耐圧緩和無しの場合のレベルシフタの動作)
一方、耐圧緩和無しの場合には、制御回路は、制御信号ctrl2を接地電圧VSSに設定することにより、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nの機能を解除する。
【0136】
さらに、制御回路は、制御信号ctrl1を中間電圧VPPRに設定することによってNMOSトランジスタMNC2P,MNC2Nを確実にオン状態にする。また、制御回路は、制御信号ctrl3を中間電圧VPPRし、制御信号ctrl3を中間電圧VPPRに設定することによってNMOSトランジスタMNC1P,MNC1Nを確実にオン状態にする。これらの制御信号ctrl1,ctrl3の設定によって、バイパス経路105,106が有効になる。耐圧緩和回路112を介した電流経路は積極的に切断されないが、高電源電圧VPPAが低下すると実質的に機能しなくなる。
【0137】
上記の状態では、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP、バイパス経路105、および入力NMOSトランジスタMNINPを介する電流経路と、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCN、バイパス経路106、および入力NMOSトランジスタMNINNを介する電流経路とによってレベルシフタ段101Aが動作する。NMOSトランジスタMNC1P,MNC1N,MNC2P,MNC2Nは単なるスイッチとして機能している。したがって、レベルシフタ段101Aは、耐圧緩和を有していないシンプルなクロスカップル型レベルシフタと同等である。
【0138】
ここで、使用されていない耐圧緩和回路112の中間ノードの電圧は、クランプMOSトランジスタによって制限される。中間ノードがフローティングになると、レベルシフタ段101Aの動作の障害となり得るからである。
【0139】
具体的に、中間ノードllp,llnの電圧は、それぞれクランプNMOSトランジスタMNF3P,MNF3Nによってバイアス電圧bias1(すなわち、VPPR)以下に制限される。中間ノードmmp,mmnは、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nを介して中間ノードllp,llnと直結される。
【0140】
また、中間ノードhxp,hxnは、それぞれクランプNMOSトランジスタMNF4P,MNF4Nを介して中間ノードnmp,nmnに接続される。これにより、中間ノードhxp,hxpの電圧の下限は接地電圧VSSとなる。中間ノードhxp,hxnはドライバ段102Aの負側電源電圧を与えるので、出力信号outp,outnの下限も接地電圧VSSになる。
【0141】
また、耐圧緩和無しの場合には、実質的にクランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nはオフ状態になる。なぜなら、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nのゲートに供給される制御信号ctrl4は接地電圧VSSに設定され、接地電圧VSSは中間ノードhhp,hhnの最低電圧であるからである。したがって、耐圧緩和有りの場合にPMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nに供給されていた電流は、耐圧緩和無しのときには不要であるのでカットすることができる。
【0142】
[第2の実施形態の効果]
第2の実施形態によれば、耐圧緩和回路112をバイパスするバイパス経路105,106がラッチ回路110と入力回路111との間に設けられる。バイパス経路105,106は、スイッチ用のNMOSトランジスタMNC1P,MNC1N,MNC2P,MNC2Nによって導通または非導通に切り替え可能である。
【0143】
これによって、選択メモリセルに書込みパルスを印加するフェーズでは、高電源電圧VPPAを高い値に設定するとともに、バイパス経路105,106を遮断することによって耐圧緩和有りの状態でレベルシフタ100Aを動作させることができる。一方、書込みアドレスを選択するフェーズでは、高電源電圧VPPAを低い値に設定するとともに、バイパス経路105,106を導通状態にすることによって耐圧緩和無しの状態でレベルシフタ100Aを動作させることができる。
【0144】
上記のバイパス経路105,106の導通および遮断の切り替えは、表2で説明したように、制御信号ctrl1~ctrl4の設定電圧によって行うことができる。具体的に前述の
図7において、アドレス切替フェーズ(時刻t1以前、時刻t1以降)では、耐圧緩和無しの状態でレベルシフタ100Aを動作させる。その後、制御回路は、電源立上げ時の適当なタイミング(たとえば、電源立上げ時の最初の時刻t1において)で耐圧緩和無しの状態から耐圧緩和有りの状態に制御信号ctrl1~ctrl4の設定を切替える。さらに、制御回路は、電源立下げ時の適当なタイミング(たとえば、電源立上げ時の最後の時刻t4)に、耐圧緩和有りの状態から耐圧緩和無しの状態に制御信号ctrl1~ctrl4の設定を切り替える。これによって、選択メモリセルに書込みパルスを印加するフェーズ(時刻t2~t4)では、耐圧緩和有りの状態でレベルシフタ100Aを動作させることができる。
【0145】
また、ドライバ段102Aを構成するドライバNMOSトランジスタMNDRP,MNDRNのソースは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのソース(すなわち、中間ノードhxp,hxn)にそれぞれ接続されている。したがって、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNおよびドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNの耐圧緩和のために、中間ノードhhp,hhnの電位を上昇させたとしても、出力信号outp,outnのローレベルの電圧は変わらない。結果として、レベルシフタ100Aの出力信号outp,outnの入力を受ける回路の動作マージンを減らすことはない。
【0146】
これに対して、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nが設けられていない従来のレベルシフタの場合には、耐圧緩和のために、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのゲート電位を上げると、中間ノードhxp,hxnの電位が上昇することになるので、出力信号outp,outnのローレベルの電圧が上昇する。この結果、レベルシフタ100Aの出力信号outp,outnの入力を受ける回路の動作マージンが減少する結果となって望ましくない。
【0147】
このように、第2の実施形態の場合には、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを設けることによって、半導体回路全体での動作マージンの低下を抑えることができる。
【0148】
<第3の実施形態>
第1、第2の実施形態では追加の耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nとしてダイオード接続のPMOSトランジスタを用いていた。ここで、耐圧緩和電圧(クランプ電圧とも称する)は耐圧緩和PMOSトランジスタのゲート電位に依存する。第1、第2の実施形態の場合には、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nはダイオード接続されているので、ゲート電位とドレイン電位とは等しい。したがって、ゲート電位を変えるにはドレイン電位を変える必要があり、ドレイン電位を変えるには耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nに流す電流を変える必要がある。上記の理由から、第1、第2の実施形態の場合には、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nに常に電流を流す必要があり、DC消費電流が大きいという問題がある。
【0149】
また、第1、第2の実施形態において、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNに対する耐圧緩和効果を大きくするためには、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのドレイン電位を上げる必要がある。このためには、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nに流す電流を減らせればよい。しかしながら、高電源電圧VPPAが低くなった場合にはレベルシフタ自体の安定性が悪くなるため、逆に耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのドレイン電位を下げることが必要な場合もあり得る。その場合、より多くのDC電流を消費することとなるため、耐圧緩和電圧の調整幅が制限される。
【0150】
第3の実施形態では、上記の問題点を解決するために、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのゲートの接続が変更される。以下、図面を参照して詳しく説明する。
【0151】
[レベルシフタの構成]
図9は、第3の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタの構成を示す回路図である。
【0152】
図9のレベルシフタ100Bは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのゲートの接続が、
図8に示すレベルシフタ100Aと異なる。具体的に、
図8のレベルシフタ100Aでは耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nの各々がダイオード接続されていたのに対し、
図9のレベルシフタ100Bでは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nの各ゲートには、外部の制御回路(たとえば、
図1のフラッシュシーケンサ37)から、制御信号ctrl6が入力される。
【0153】
上記のレベルシフタ100Bの構成によれば、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNに対する耐圧緩和効果は、制御信号ctrl6の電圧レベルで調整することができる。制御信号ctrl6は、外部の制御回路から与えられるので、定常的に耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nに電流を流す必要がない。したがって、第3の実施形態は、第2の実施形態に比べてDC電流消費を削減することができる。
【0154】
また、上記の理由から基本的には、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nに電流を流すために設けられていたクランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nは必要でない。しかしながら、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nにリーク電流があると、中間ノードhhp,hhnと中間ノードhxp,hxnとの電位差が小さくなり、耐圧緩和効果が低下する。そこで、
図9のクランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nは、上記のリーク電流による中間ノードhhp,hhnの電圧低下を補償するために設けられている。したがって、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nを介して耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nにそれぞれ注入される電流は、第1、第2の実施形態の場合に比べるとはるかに小さくてよい。
【0155】
図9のその他の点は
図8と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、上述した耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのゲートの接続の変更は、第1の実施形態の
図6の場合にも適用することができる。
【0156】
[制御信号ctrl6の具体的な電圧値とその生成回路]
制御信号ctrl6の具体的な電圧値について説明する。
【0157】
耐圧緩和時において、中間ノードhxp,hxnの電圧の下限値は制御信号ctrl2の電圧値(VPPC、たとえば3.0V)であり、中間ノードhhp,hhnの電圧の下限値は制御信号ctrl6の電圧値である。したがって、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNに対する耐圧緩和の効果を強めるには、ctrl6>VPPCである必要がある。
【0158】
一方、クランプNMOSトランジスタMNF1P,MNF1Nによるクランプ効果により、中間ノードhhp,hhnの電圧は制御信号ctrl4の電圧値(VPPR、たとえば、5.5V)より高くすることができない。したがって、ctrl6<VPPRである必要がある。
【0159】
したがって、耐圧緩和時の制御信号ctrl6の電圧値は、中間電圧VPPRと中間電圧VPPCとの間の値である。この関係を満たすように制御信号ctrl6を発生する回路の一例を次に示す。
【0160】
図10は、
図9の制御信号ctrl6を発生する回路の一例を示す図である。
図10を参照して、制御信号発生回路120は、バイアス電圧bias1(中間電圧VPPR)およびバイアス電圧bias2(中間電圧VPPC)の入力を受け、これらの信号に基づいて制御信号ctrl6を生成して出力する。具体的に、制御信号発生回路120は、PMOSトランジスタMPSW,MPEMIと、NMOSトランジスタMNEMI,MNCL,MNFXとを含む。以下、上記のトランジスタの接続について説明する。
【0161】
PMOSトランジスタMPSW、NMOSトランジスタMNEMI、PMOSトランジスタMPEMI、およびNMOSトランジスタMNCLは、この並び順でバイアス電圧bias1が入力される電源ノード121と接地ノード104との間に直列に接続される。PMOSトランジスタMPSWのゲートには制御信号ctrl1が入力される。PMOSトランジスタMPEMIのゲートには制御信号ctrl2が入力される。NMOSトランジスタMNEMI,MNCLのゲートにはバイアス電圧bias1が印加される。PMOSトランジスタMPSW,MPEMIの各バックゲートは電源ノード121に接続される。NMOSトランジスタMNEMI,MNCLのバックゲートはそれぞれのソースに接続される。NMOSトランジスタMNFXは、NMOSトランジスタMNEMIとPMOSトランジスタMPEMIとの接続ノード123と、接地ノード104との間に接続される。NMOSトランジスタMNFXのゲートには、制御信号ctrl6が入力される。NMOSトランジスタMNFXのバックゲートは自身のソースに接続される。上記の接続ノード123から制御信号ctrl6が出力される。
【0162】
上記構成の制御信号発生回路120において、NMOSトランジスタMNCLは、PMOSトランジスタMPEMIが接地電圧VSSに直接接続されるのを防ぐクランプMOSトランジスタとして用いられる。
【0163】
PMOSトランジスタMPSWは、制御信号ctrl6の有効および無効を切り替えるスイッチとして用いられる。耐圧緩和有りのときには、制御信号ctrl1が接地電圧VSSに設定されるので、PMOSトランジスタMPSWはオン状態となる。耐圧緩和無しのときには、制御信号ctrl1がバイアス電圧bias1に設定されるので、PMOSトランジスタMPSWはオフ状態となる。
【0164】
NMOSトランジスタMNFXは、制御信号ctrl6の未使用時(すなわち、耐圧緩和有りかつ耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを有効にする場合)に、接続ノード123を接地電圧VSSに固定するためのプルダウンNMOSトランジスタとして用いられる。したがって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを有効にする場合には、制御回路は、制御信号ctrl5を接地電圧VSSに設定することによって、NMOSトランジスタMNFXをオフしている。
【0165】
制御信号ctrl6の使用時、すなわち、NMOSトランジスタMNFXがオフのときには、制御信号ctrl6の電圧は、実質的にNMOSトランジスタMNEMIとPMOSトランジスタMPEMIとのサイズ比で決まる。
【0166】
具体的には、NMOSトランジスタMNEMIにより制御信号ctrl6はbias1(VPPR)-Vthn以下の電圧値に制限される。Vthnは、NMOSトランジスタMNEMIの閾値電圧である。さらに、PMOSトランジスタMPEMIにより制御信号ctrl6はctrl2(VPPC)以上の電圧値に制限される。よって、制御信号ctrl6の電圧値はVPPC<ctrl6<VPPR-Vthnの範囲となる。NMOSトランジスタMNEMIおよびPMOSトランジスタMPEMIのサイズを調整することにより電流を増やすと、制御信号ctrl6の電圧値は上記の範囲の下限(すなわち、VPPC)に近づき、逆に電流を絞ると上限(すなわち、VPPR-Vthn)に近づく。このようにして、制御信号ctrl6の電圧値を変化させて耐圧緩和効果を調整することができる。
【0167】
なお、耐圧緩和無しのときには、制御回路は、制御信号ctrl1をVPPRに設定することによってPMOSトランジスタMPSWを切断するとともに、制御信号ctrl5をVPPCに設定することによって制御信号ctrl6を接地電圧VSSに固定する。
【0168】
[制御信号ctrl1~ctrl6の設定値と効果のまとめ]
表3は、各動作モードでの制御信号ctrl1~ctrl6の設定値をまとめたものである。
【0169】
【0170】
動作モードには、耐圧緩和無しと、耐圧緩和(弱)と、耐圧緩和(強)とがある。耐圧緩和(強)と耐圧緩和(弱)とはいずれも耐圧緩和が有効な状態である。具体的に、耐圧緩和(強)は制御信号ctrl6が有効な場合(すなわち、VPPC<ctrl6<VPPR-Vthnの範囲内の場合)であり、
図9の耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nが耐圧緩和効果を有している状態である。耐圧緩和(弱)は制御信号ctrl6が無効な(すなわち、接地電圧VSSに等しい)場合であり、
図9の耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nが無い場合と同じ状態になる。
【0171】
制御信号ctrl6の有効および無効の切り替えは、制御信号ctrl5によって行うことができる。他の制御信号ctrl1~ctrl4については、耐圧緩和(弱)と耐圧緩和(強)とで違いはない。したがって、制御信号ctrl1~ctrl4の設定値は、表2の場合と同じである。
【0172】
上述の通り、制御回路は、高電源電圧VPPAが比較的高いときには、制御信号ctrl5を接地電圧VSSに設定することによって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを有効にする。これによって、より高い耐圧緩和効果を得ることができる。一方、制御回路は、高電源電圧VPPAが比較的低いときには、制御信号ctrl5をバイアス電圧bias2(VPPC)に設定することによって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nを無効にする。これによって、レベルシフタ100Bの動作安定性を高めることができる。
【0173】
<第4の実施形態>
第3の実施形態の場合には、レベルシフタ100Bを構成するPMOSトランジスタのうち、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCN、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3N、およびドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNの6素子は、従来回路と比べて十分な耐圧緩和効果が得られる。一方で、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nの2素子のみは従来回路と同等の耐圧緩和しか得られない。
【0174】
より具体的に言えば、前者の6個のPMOSトランジスタについては、ゲート・ソース間の最大印可電圧はVPPA-bias3である(bias3は、制御信号ctrl6の電圧値である)。一方、後者の耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nについては、ゲート・ソース間の最大印加電圧は、VPPA-bisa2である(bias2=VPPC)。ここで、bias2<bias3の関係があるので、後者の耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nについては、ゲート・ソース間にはより高い印加電圧がかかる。
【0175】
したがって、より高い耐圧緩和特性を得るには、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nに対する耐圧緩和効果が十分でないことが問題になる。第4の実施形態では、上記の問題点を解消したレベルシフタ100Cについて説明する。
【0176】
[レベルシフタの構成]
図11は、第4の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタの構成を示す回路図である。
図11のレベルシフタ100Cは、レベルシフタ段101Cとドライバ段102Aとを備える。ドライバ段102Aの構成は、
図8および
図9の場合と同様であるので説明を繰り返さない。レベルシフタ段101Cの構成は、
図9のレベルシフタ段101Bの一部に変更を加えたものである。
【0177】
レベルシフタ段101Cの耐圧緩和回路112は、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nの配置が、第3の実施形態の場合(すなわち、
図9の耐圧緩和回路112)と異なる。具体的には、
図11の場合、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1Pは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3Pと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1Pとの間に配置され、これらの耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE1Pと直列に接続される。同様に、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1Nは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3Nと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1Nとの間に配置され、これらの耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3N,MPE1Nと直列に接続される。
【0178】
耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nのゲートにはバイアス電圧bias1(VPPR)が与えられる。耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nのバックゲートはそれぞれのソースと接続される。これらの接続は
図9の場合と同じである。
【0179】
なお、
図11に関する説明において、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nと耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nとの接続ノードを、それぞれ中間ノードhxp,hxnと称する。耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nとの接続ノードを、それぞれ中間ノードhyp,hynと称する。耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nと入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNとの接続ノードを、中間ノードllp,llnと称する。
【0180】
また、
図11において、クランプNMOSトランジスタMNF4Pのドレインは中間ノードhxpに代えて中間ノードhypに接続される。クランプNMOSトランジスタMNF4Nのドレインは中間ノードhxnに代えて中間ノードhynに接続される。
【0181】
図11のその他の構成は
図9の場合と同様であるので説明を繰り返さない。
[レベルシフタの動作]
図11のレベルシフタ100Cの構成によれば、
図9のレベルシフタ100Bにおいて耐圧緩和の点で問題があった耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nの高電位側に、それぞれ耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nを配置した構成となっている。耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nのゲートにはバイアス電圧bias1(VPPR)が印加される。
【0182】
前述の
図9の場合には、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのソース(すなわち、中間ノードhxp,hxn)の最大電圧が高電源電圧VPPAであった。たとえば、PMOSトランジスタMPCCPがオン状態の場合には、中間ノードhhpおよび中間ノードhxpの電位は高電圧ノード103の電位(VPPA)に等しくなる。これに対して
図11の場合には、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのソース(すなわち、中間ノードhyp,hyn)の最大電圧は、バイアス電圧bias1(VPPR)となり、高電源電圧VPPAから大幅に低減される。すなわち、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nへの最大印加電圧はVPPAからVPPRに低下する。
【0183】
また、耐圧緩和回路112が有効な場合(すなわち、耐圧緩和有りの場合)の中間ノードhyp,hynの最小電圧は制御信号ctrl2の電圧値であるbias2(VPPC)である。ここで、一例としてVPPR=5.5V、VPPC=3.0Vとすれば、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nのゲート・ソース間電圧Vgsは、VPPR-VPPC(=約2.5V)となる。したがって、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nは、確実にオン状態に制御できるので、耐圧緩和回路112に必要な電流を流す場合の妨げにならない。
【0184】
[第4の実施形態の効果]
図11に示したレベルシフタ100Cの耐圧緩和回路112の構成を採用することによって、レベルシフタ100Cの電流パス上の全てのPMOSトランジスタに対して耐圧緩和の効果がもたらされる。この結果、FNストレスを受けた場合のPMOSトランジスタの閾値電圧の劣化を抑制することができ、よりFN劣化に耐性のあるレベルシフタを提供することができる。
【0185】
<第5の実施形態>
第1~第4の実施形態では、
図5で説明した高電圧スイッチ回路で使用されるレベルシフタを想定していた。このため、耐圧緩和有りの状態(すなわち、高電源電圧VPPAが高電圧に設定されている場合)では、レベルシフタを反転させる必要はなかった。
【0186】
ところが、高電源電圧VPPAを発生させる電源回路に設けられた制御回路では、高電源電圧VPPAが比較的高くかつ耐圧緩和が有効な状態で、レベルシフタを反転させる必要が生じる。第5の実施形態では、耐圧緩和が有効な状態のままで反転が可能なレベルシフタの構成例を説明する。
【0187】
[レベルシフタの構成]
図12は、第5の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタの構成を示す回路図である。
図12のレベルシフタ100Dは、
図9のレベルシフタ100Bを変形したものである。
【0188】
具体的に、
図12のレベルシフタ100Dは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのゲートへの入力信号が、制御信号ctrl6から制御信号ctrl7に変更されている点が
図9のレベルシフタ100Bと異なる。耐圧緩和が有効なときに制御信号ctrl6の電圧値は固定値であったのに対し、制御信号ctrl7の電圧値は高電源電圧VPPAに応じて変化する(すなわち、高電源電圧VPPAが大きくなるほど制御信号ctrl7が大きくなる)点に特徴がある。
【0189】
さらに、
図12のレベルシフタ100Dの耐圧緩和回路112は、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nとそれぞれ並列に接続された耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nをさらに含む点で、
図9のレベルシフタ100Bの耐圧緩和回路112と異なる。上記の耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nのゲートには制御信号ctrl8が入力される。耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nのバックゲートはそれぞれのソースと接続される。
【0190】
耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのゲートに入力される制御信号ctrl2の電圧値は、耐圧緩和が有効なときにバイアス電圧bias2(VPPC)にの値に固定される。これに対して、新たに追加された耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nのゲートに入力される制御信号ctrl8の電圧値は、高電源電圧VPPAに応じて変化する(すなわち、高電源電圧VPPAが大きくなるほど制御信号ctrl8が大きくなる)点に特徴がある。これによって、高電源電圧VPPAが低下したときに耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nの耐圧緩和効果を弱めることができる。
【0191】
後述する
図13に示す例では、上記の制御信号ctrl7,ctrl8の各々は、高電源電圧VPPAに比例して変化する。たとえば、制御信号ctrl7,ctrl8の各々は、高電源電圧VPPAを分圧することによって生成される。さらに、この例では、制御信号ctrl8の電圧値は、制御信号ctrl7の電圧値と接地電圧VSSとの間の値である。
【0192】
図12のレベルシフタ100Dは、さらに、NMOSトランジスタMNP1P,MNP1Nを含む点が
図9のレベルシフタ100Bと異なる。具体的に、NMOSトランジスタMNP1Pのドレインは中間ノードhxpに接続され、そのゲートは中間ノードhxnに接続され、そのソースおよびバックゲートには制御信号ctrl2が入力される。NMOSトランジスタMNP1Nのドレインは中間ノードhxnに接続され、そのゲートは中間ノードhxpに接続され、そのソースおよびバックゲートには制御信号ctrl2が入力される。
【0193】
上記構成のNMOSトランジスタMNP1P,MNP1Nは、中間ノードhxp,hxnの下限電圧を中間電圧VPPCにプルダウンすることができる。これによって、高電源電圧VPPAの設定値によらずに、出力信号outp,outnの下限電圧を中間電圧VPPCに維持することができる。
【0194】
なお、NMOSトランジスタMNP1P,MNP1Nが無ければ出力信号outp,outの下限電圧はVPPCより最大1V程度高くなる。それでも実使用上問題ない場合はNMOSトランジスタMNP1P,MNP1Nを省略することが可能である。
【0195】
図12のその他の構成は
図9の場合と同様であるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0196】
[制御信号発生回路]
図13は、
図12の制御信号ctrl7,ctrl8を発生する回路の一例を示す図である。
【0197】
図13を参照して、制御信号発生回路130は、高電源電圧VPPAを分圧する分圧回路として構成される。分圧回路の高電位側電源ノード131には高電源電圧VPPAが与えられ、低電位側電源ノード132には接地電圧VSSが与えられる。高電位側電源ノード131と低電位側電源ノード132との間の分圧ノード133から制御信号ctrl6が出力され、分圧ノード133と低電位側電源ノード132との間の分圧ノード134から制御信号ctrl8が出力される。
【0198】
具体的に
図13に示す例では、制御信号発生回路130は、各々がダイオード接続されかつ互いに直列接続された8個のPMOSトランジスタMPR1~MPR8と、PMOSトランジスタMPR1のドレインと低電位側電源ノード132との間に接続されたNMOSトランジスタMNRとを含む。NMOSトランジスタMNRは、スイッチとして用いられる。PMOSトランジスタMPR8のソースは高電位側電源ノード131に接続される。NMOSトランジスタMNRのゲートには制御信号ctrl2が入力される。各MOSトランジスタにおいて、バックゲートとソースとが互いに接続される。
【0199】
PMOSトランジスタMPR4とPMOSトランジスタMPR5との接続ノードは、分圧ノード133として制御信号ctrl7を出力する。PMOSトランジスタMPR3とPMOSトランジスタMPR4との接続ノードは、分圧ノード134として制御信号ctrl8を出力する。
【0200】
次に上記構成の制御信号発生回路130の動作を説明する。耐圧緩和が有効なとき、制御信号ctrl2の電圧値はバイアス電圧bias2(VPPC)に設定されるので、NMOSトランジスタMNRはオン状態になる。このとき、制御信号ctrl7の電圧値は(1/2)×VPPAとなり、制御信号ctrl8の電圧値は(3/8)×VPPAとなる。
【0201】
一方、耐圧緩和が無効なときは、制御信号ctrl2の電圧値は接地電圧VSSに設定されるので、NMOSトランジスタMNRはオフ状態になる。この場合、制御信号ctrl7,ctrl8はいずれも高電源電圧VPPAに固定される。
【0202】
[レベルシフタの反転を阻害する要因]
図12のレベルシフタ100Dの動作を説明する前に、まず、
図12に対応する
図9のレベルシフタ100Bにおいて、耐圧緩和が有効なままでレベルシフタを反転させることが困難な理由を説明する。
【0203】
図9を参照して、入力信号inp,innの論理レベルが反転した場合、入力回路111を構成する入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNのオン/オフの状態が変化する。このとき、入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNを流れる電流によって中間ノードhhp,hhnの電荷が引き抜かれ、結果として、ラッチ回路110を構成するクロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNのオンオフの状態が変化する。すなわち、レベルシフタ100Bが反転する。
【0204】
よって、反転特性を良くするには、ラッチ回路110と入力回路111とを接続する電流パスの電流を増やすことが重要である。ところが、
図9に示すような耐圧緩和型のレベルシフタでは、耐圧緩和回路112(特に、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1N,MPE3P,MPE3N)が上記の電流パスの電流を増やすことを阻害する要因となっている。
【0205】
具体的に問題となるのは、ラッチ回路110を反転させる際には、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNがオン耐圧を超えないように、高電源電圧VPPAをある程度低下させなければならないことである。一方で、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1N,MPE3P,MPE3Nのゲート電圧(ctrl2,制御信号ctrl6)は、高電源電圧VPPAが上限値のときに十分な耐圧緩和効果が得られるようにある程度高い電圧値に設定されている。したがって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1N,MPE3P,MPE3Nのゲート電圧の設定値を変えずに高電源電圧VPPAを低下させると、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNのゲート・ソース間電圧が十分に取れなくなる。結果として、ラッチ回路110を反転させることができなくなる。
【0206】
上記の問題点を回避するために、
図12に示すレベルシフタ100Dでは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのゲート電圧(ctrl7)および耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nのゲート電圧(ctrl8)は、高電源電圧VPPAに比例して変化する。すなわち、高電源電圧VPPAが低下すると、制御信号ctrl7,ctrl8の電圧値も低下する。
【0207】
[レベルシフタの動作]
表4は、耐圧緩和の有無に応じた制御信号ctrl1~ctrl4,ctrl7,ctrl8の設定値をまとめたものである。
【0208】
【0209】
以下、表4に基づいて
図12のレベルシフタ100Dの動作を説明する。なお、表4および以下の説明中の数値例は一例であり、この数値に限定されるわけではない。
【0210】
また、以下の説明では、表4に示すように(1)耐圧緩和が有りの場合と(2)耐圧緩和が無しの場合とに分けて説明する。さらに、(1)耐圧緩和が有りの場合には、制御信号ctrl7,ctrl8は高電源電圧VPPAの値に比例して変化するので、高電源電圧VPPAの値の応じて3つの場合に分けて説明する。具体的に、(1.1)高電源電圧VPPAが11V程度の場合、(1.2)高電源電圧VPPAを8V前後まで低下させた場合、(1.3)高電源電圧VPPAが6V以下の場合の3つである。
【0211】
以下で詳しく説明するように、(1.1)の場合にはMOSトランジスタにかかる電圧がオン耐圧を超えているので、レベルシフタを反転することができない。一方、(1.2)および(1.3)の場合にはレベルシフタの反転が可能である。ただし、(1.2)の場合には耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nが主な電流パスになっているのに対し、(1.3)の場合には耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nが主な電流パスになっている。
【0212】
(1.1)耐圧緩和が有りの場合で、高電源電圧VPPAが11V程度の場合について説明する。
【0213】
この場合、制御信号ctrl7の電圧値は5.5V程度となる(11V×1/2)。したがって、
図9のレベルシフタ100Bにおける制御信号ctrl6の電圧値よりも高い電圧が、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのゲートに供給されている。よって、
図9の場合と比較してクロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNに対する耐圧緩和効果はより高い状態となっているが、代わりにレベルシフタ100Dの反転マージンは悪くなっている。
【0214】
一方、レベルシフタ100Dを構成する各MOSトランジスタにかかる電圧のうち最大のものは、VPPA(11V)-VPPC(3V)=8V程度となる。この電圧値は、MOSトランジスタのオン耐圧(7V前後)を超えている。したがって、レベルシフタ100Dの反転マージンの大小にかかわらず、オン耐圧の観点からレベルシフタ100Dを反転させることはできない。
【0215】
(1.2)耐圧緩和が有りの場合で、高電源電圧VPPAを8V前後まで低下させた場合について説明する。
【0216】
この場合、レベルシフタ100Dを構成する各MOSトランジスタにかかる電圧のうち最大のものは、VPPA(8V)-VPPC(3V)=5V程度となる。この電圧値は、MOSトランジスタのオン耐圧(7V前後)より小さいので、オン耐圧の観点からはレベルシフタ100Dを反転させることは可能である。
【0217】
一方、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nのゲートに供給される制御信号ctrl7の電圧値は、4V前後となる(8V×1/2)。したがって、
図9のレベルシフタ100Bの場合と比較して、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCNに対する耐圧緩和効果は薄れるが、耐圧緩和回路112を流れる電流を増やすことができるため、レベルシフタ100Bを反転させることが可能になる。
【0218】
(1.3)耐圧緩和が有りの場合で、高電源電圧VPPAが6V以下の場合について説明する。
【0219】
この場合、制御信号ctrl7の電圧値は3V以下(6V×1/2)となるので、ゲート電圧が固定値(ctrl2)である耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのほうが耐圧緩和回路112に電流を流す上で障害となっている。この問題を回避するために、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nとそれぞれ並列に耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nが設けられている。耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nのゲートに供給される制御信号ctrl8の電圧値は2.25V以下(6V×3/8)となるので、この耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nには電流を流すことが可能である。したがって、レベルシフタ100Bを反転させることが可能になる。
【0220】
(2)耐圧緩和無しの場合について説明する。この場合、制御回路は、制御信号ctrl7の電圧値をVPPAに設定することによって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nをオフ状態にする。さらに、制御回路は、制御信号ctrl8をVPPAに設定することによって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nをオフ状態にする。制御信号ctrl1~ctrl4の設定値は、表2で説明した第2の実施形態の場合および表3で説明した第3の実施形態の場合と同じである。したがって、耐圧緩和無しの場合のレベルシフタ100Dの動作は、第2および第3の実施形態の場合と同様である。
【0221】
[NMOSトランジスタMNP1P,MNP1Nの効果について]
以下、
図12を参照して、NMOSトランジスタMNP1P,MNP1Nの効果について補足する。
【0222】
仮にNMOSトランジスタMNP1P,MNP1Nがなければ、中間ノードhxp,hxnの電荷が引き抜かれる経路は、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nを介した第1の経路と、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nを介した第2の経路とのいずれかである。第1の経路の場合、中間ノードhxp,hxnの下限電圧は、ctrl2+Vthpとなる(VthpはPMOSトランジスタの閾値電圧)。第2の経路の場合、中間ノードhxp,hxnの下限電圧は、ctrl8+Vthpとなる。したがって、最終的な中間ノードhxp,hxnの下限電圧は、制御信号ctrl2およびctrl8のうち小さいほうの電圧値にVthpを加算した値になる。高電源電圧VPPAが8V以上の値に設定されている場合には、中間ノードhxp,hxnの下限電圧は、ctrl2+Vthp=VPPC+Vthp=VPPC+1V程度になる。
【0223】
一方、NMOSトランジスタMNP1P,MNP1Nを設けることによって、中間ノードhxp,hxnの電荷はこのNMOSトランジスタMNP1P,MNP1Nを介して引き抜くことができる。したがって、中間ノードhxp,hxnの下限電圧をVPPCに維持することができる。出力信号outp,outnの下限電圧は中間ノードhxp,hxnの電圧によって決まるので、結果として、出力信号outp,outnの下限電圧をVPPCに維持することができる。
【0224】
[第5の実施形態の効果]
第5の実施形態によれば、高電源電圧VPPAに比例する制御信号ctrl7,ctrl8を使用することによって、比較的広い高電源電圧VPPAの設定範囲内で、十分な耐圧緩和効果を維持しつつ、レベルシフタの反転動作を可能にすることができる。
【0225】
<第6の実施形態>
第3の実施形態の場合と同様に、第5の実施形態の場合においても、レベルシフタ100Dを構成するPMOSトランジスタのうち、クロスカップルPMOSトランジスタMPCCP,MPCCN、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3N、およびドライバPMOSトランジスタMPDRP,MPDRNの6素子は、従来回路と比べて十分な耐圧緩和効果が得られる。一方で、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nの2素子のみは従来回路と同等の耐圧緩和しか得られない。
【0226】
第5の実施形態において新たに追加した耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nについては、ゲート・ソース間の最大印可電圧はVPPA-ctrl8=VPPA-(3/8)×VPPA=(5/8)×VPPAとなる。したがって、高電源電圧VPPAが11Vに設定されているときには、最大印加電圧は6.857Vとなり、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nを除く他のPMOSトランジスタと同等の耐圧緩和効果が得られる。
【0227】
以上の検討から、より高い耐圧緩和特性を得るには、第3の実施形態の場合と同様に、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nに対する耐圧緩和効果が十分でないことが問題になる。第6の実施形態では、上記の問題点を解消したレベルシフタ100Eについて説明する。具体的には、第4の実施形態で説明した対策と同様の対策が、
図12のレベルシフタ100Dに対して施される。
【0228】
[レベルシフタの構成]
図14は、第6の実施形態の半導体装置におけるレベルシフタの構成を示す回路図である。
図14のレベルシフタ100Eは、レベルシフタ段101Eとドライバ段102Aとを備える。ドライバ段102Aの構成は、
図8、
図9、
図11および
図12の場合と同様であるので説明を繰り返さない。レベルシフタ段101Eの構成は、
図12のレベルシフタ段101Dの一部に変更を加えたものである。
【0229】
まず、レベルシフタ段101Eの耐圧緩和回路112は、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nの配置が、第5の実施形態の場合(すなわち、
図12の耐圧緩和回路112)と異なる。具体的に
図14の場合には、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1Pは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3Pと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1Pとの間に配置され、これらの耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE1Pと直列に接続される。同様に、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1Nは、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3Nと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1Nとの間に配置され、これらの耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3N,MPE1Nと直列に接続される。
【0230】
耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nのゲートにはバイアス電圧bias1(VPPR)が与えられる。耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nのバックゲートは、中間ノードllp,llnにそれぞれ接続される。耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのバックゲートは、中間ノードhxp,hxnとそれぞれ接続される。
【0231】
なお、
図14に関する説明において、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE3P,MPE3Nと耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nとの接続ノードを、それぞれ中間ノードhxp,hxnと称する。耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1P,MNE1Nと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nとの接続ノードを、それぞれ中間ノードhyp,hynと称する。耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nと入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNとの接続ノードを、中間ノードllp,llnと称する。
【0232】
レベルシフタ段101Eの耐圧緩和回路112は、さらに、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nのドレイン側にそれぞれ接続された耐圧緩和NMOSトランジスタMNE3P,MNE3Nを含む点で、
図12の耐圧緩和回路112と異なる。すなわち、
図14において、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4Pと耐圧緩和NMOSトランジスタMNE3Pとの直列接続体は、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1Pと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1Pとの直列接続体と並列に接続される。同様に、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4Nと耐圧緩和NMOSトランジスタMNE3Nとの直列接続体は、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE1Nと耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1Nとの直列接続体と並列に接続される。
【0233】
新しく追加された耐圧緩和NMOSトランジスタMNE3P,MNE3Nの各々において、ゲートにはバイアス電圧bias1が印加され、バックゲートはソースと接続される。なお、
図14に関する説明において、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4NとNMOSトランジスタMNE3P,MNE3Nとの接続ノードを、それぞれ中間ノードhzp,hznと称する。
【0234】
図14のレベルシフタ段101Eは、さらに、中間ノードhyp,hynとバイアス電圧bias1との間にそれぞれ接続されたクランプNMOSトランジスタMNC3P,MNC3Nを含む。クランプNMOSトランジスタMNC3P,MNC3Nの各々において、ドレインとゲートが相互に接続され、ソースにはバイアス電圧bias1が印加される。クランプNMOSトランジスタMNC3P,MNC3Nのバックゲートは、中間ノードllp,llnにそれぞれ接続される。クランプNMOSトランジスタMNC3P,MNC3Nは、中間ノードhyp,hynの高電圧を引き抜くために設けられている。
【0235】
さらに、
図14において、NMOSトランジスタMNP1Pのゲートの接続先が中間ノードhxnから中間ノードhynに変更され、NMOSトランジスタMNP1Nのゲートの接続先が中間ノードhxpから中間ノードhypに変更されている。
【0236】
図14のその他の構成は
図12の場合と同様であるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0237】
[レベルシフタの動作]
図12のレベルシフタ100Dの場合には、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのソース(すなわち、中間ノードhxp,hxn)の最大電圧はVPPAであった。これに対して、
図14のレベルシフタ100Eの場合には、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nのソース(すなわち、中間ノードhyp,hyn)の最大電圧はVPPRとなる。したがって、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE1P,MPE1Nへの最大印加電圧はVPPAからVPPRに大幅に低減できる。この効果は、第4の実施形態の場合と同様である。
【0238】
ここで、耐圧緩和PMOSトランジスタMPE4P,MPE4Nのドレイン(すなわち、中間ノードhzp,hzn)の最大電圧はVPPAである。この電圧が中間ノードhyp,hynに回り込まないようにするために、耐圧緩和NMOSトランジスタMNE3P,MNE3Nが設けることにより、中間ノードhzpと中間ノードhypとが分離され、中間ノードhznと中間ノードhynとが分離されている。
【0239】
また、一時的に中間ノードhyp,hynにVPPRよりも高い電圧がかかった場合には、中間ノードhyp,hynの電圧がVPPR(bias1)に等しくなるまで、クランプNMOSトランジスタMNC3P,MNC3Nをそれぞれ通して中間ノードhyp,hynの電荷が放電される。
【0240】
[第6の実施形態の効果]
図14に示したレベルシフタ100Eの耐圧緩和回路112の構成を採用することによって、レベルシフタ100Eの電流パス上の全てのPMOSトランジスタに対して耐圧緩和の効果を及ぼすことができる。この結果、FNストレスを受けた場合のPMOSトランジスタの閾値電圧の劣化を抑制することができ、よりFN劣化に耐性のあるレベルシフタを提供することができる。
【0241】
<第7の実施形態>
第1~第6の実施形態ではレベルシフタ100A~100Eの入力信号inp,innとして、
図5の選択信号selpp_aなど、VDDレベルの制御信号を前提としていた。ここで、VDDは、たとえば、1.5V程度の低電圧である。したがって、レベルシフタ100A~100Eのラッチ回路110を反転させるためには、入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNのサイズを大きくすることによって十分な電流を流す必要があった。そこで、第7の実施形態では、より大きな反転マージンを確保できるレベルシフタの構成について説明する。
【0242】
[レベルシフタの構成]
図15は、第7の実施形態の半導体装置においてレベルシフタの構成を示すブロック図である。
【0243】
図15のレベルシフタ200は、VDDレベルの差動入力信号inp_vdd,inn_vddをVCCレベルの信号に変換するVDD-VCCレベルシフタ201と、VCCレベルの差動入力信号inp_vcc,inn_vccをVPPAレベルの信号に変換するVCC-VPPAレベルシフタ202とを含む。レベルシフタ202の前段に設けられたレベルシフタ201から出力された差動信号が、入力信号inp_vcc,inn_vccとしてレベルシフタ202に入力される。
【0244】
ここで、VCCは、たとえば、3V程度の電圧である。デジタル回路とアナログ回路とが混載された半導体集積回路では、たとえば、VDDはデジタル回路の電源電圧として外部から供給され、VCCはアナログ回路の電源電圧として外部から供給される。
【0245】
上記のVCC-VPPAレベルシフタ202として第1~第6の実施形態で説明したレベルシフタ100,100A~100Eをそのまま使用することができる。VDD-VCCレベルシフタ201として、耐圧緩和回路を含まない単純な構成のクロスカップル型レベルシフタを用いることができる。
【0246】
図16は、
図15のVDD-VCCレベルシフタの構成の一例を示す回路図である。
図16を参照して、VDD-VCCレベルシフタ140は、電源電圧VCCが入力される電源ノード141と、接地電圧VSSが入力される接地ノード142と、ラッチ回路147と、差動入力信号inp,innが入力される入力回路148とを含む。
【0247】
ラッチ回路110は、各ソースが141に接続された一対のクロスカップルPMOSトランジスタ143,144を含む。PMOSトランジスタ143,144のゲートとドレインはクロスカップルされている。すなわち、PMOSトランジスタ143のゲートとPMOSトランジスタ144のドレインとが接続され、PMOSトランジスタ143のドレインとPMOSトランジスタ144のゲートとが接続される。
【0248】
入力回路148は、一対の入力NMOSトランジスタ145,146を含む。入力NMOSトランジスタ145,146の各ソースは、接地ノード142に接続される。入力NMOSトランジスタ145のゲートには入力信号inpが入力され、入力NMOSトランジスタ146のゲートには入力信号innが入力される。
【0249】
入力NMOSトランジスタ146のドレインとPMOSトランジスタ144のドレインとは相互に接続され、出力信号outpを出力する出力ノードとして機能する。同様に、入力NMOSトランジスタ145のドレインとPMOSトランジスタ143のドレインとは相互に接続され、出力信号outnを出力する出力ノードとして機能する。
【0250】
[第7の実施形態の効果]
上記の構成のレベルシフタ200によれば、前段のレベルシフタ201によってVDDレベルの入力信号をVCCレベルの信号に変換する。後段のレベルシフタ202には、このVCCレベルの信号が入力される。したがって、後段のレベルシフタ202は、入力NMOSトランジスタMNINP,MNINNのサイズを大きくすることなく、十分な反転マージンを得ることができる。
【0251】
<変形例>
上記の第1~第6の実施形態で説明したレベルシフタ100,100A~100Eにおいて、MOSトランジスタのP型をN型に変更しかつN型をP型に変更するとともに、高電源電圧VPPA、中間電圧VPPR、中間電圧VPPCなどを正の値から負の値に変更した場合でも、上記と同様の作用効果を奏する。
【0252】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0253】
31 マイクロコンピュータ、36 フラッシュメモリモジュール、37 フラッシュシーケンサ、46 フラッシュメモリ、51 メモリセルアレイ、52 CGドライバ回路、53 MGドライバ回路、54 高電圧デコード回路、55 高電圧スイッチ回路、56 昇圧回路、57 書込み制御回路、81,83,85 正電圧レベルシフタ、84 負電圧レベルシフタ、100,100A~100E,140,200,201,202 レベルシフタ、101,101A~101E レベルシフタ段、102,102A ドライバ段、103 高電圧ノード、104,142 接地ノード、105,106 バイパス経路、110,147 ラッチ回路、111,148 入力回路、112 耐圧緩和回路、120,130 制御信号発生回路、121,141 電源ノード、123 接続ノード、131 高電位側電源ノード、132 低電位側電源ノード、133,134 分圧ノード、100,100A~100E,200 レベルシフタ、201 VDD-VCCレベルシフタ、202 VCC-VPPAレベルシフタ、MNC3P,MNC3N,MNF1P,MNF1N,MNF2P,MNF2N,MNF3P,MNF3N,MNF4P,MNF4N クランプNMOSトランジスタ、MNDRN,MNDRP ドライバNMOSトランジスタ、MNE1P,MNE1N,MNE2P,MNE2N,MNE3P,MNE3N 耐圧緩和NMOSトランジスタ、MPDRN,MPDRP ドライバPMOSトランジスタ、MPE1P,MPE1N,MPE2P,MPE2N,MPE3P,MPE3N,MPE4P,MPE4N 耐圧緩和PMOSトランジスタ、MPCCP,MPCCN クロスカップルPMOSトランジスタ、MNINP,MNINN 入力NMOSトランジスタ、VPPA 高電源電圧(書き込みMG用正電圧)、VPPC,VPPR 中間電圧、VSS 接地電圧、bias1,bias2 バイアス電圧、ctrl1~ctrl8 制御信号、hhn,hhp,hxn,hxp,hyn,hyp,hzn,hzp,lln,llp,mmn,mmp,nmn,nmp 中間ノード、inn,inp 相補入力信号、outn,outp 出力信号。