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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】貼付剤貼付用補助具
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
A61F13/02 380
A61F13/02 355
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018032365
(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2019146694
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】鴫石 正和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 滋夫
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-221746(JP,A)
【文献】特許第5460726(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体の一面に設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層に剥離可能に付着され、2つの部分に分けることができる剥離シートと、を備える貼付剤の貼付を補助するための貼付剤貼付用補助具であって、
前記貼付剤が載置され保持される貼付剤載置部を有するベース板と、
前記ベース板の、互いに対向する1対の縁部から前記ベース板の前記貼付剤載置部に向かってそれぞれ延び、先端部に前記2つの部分の被摘み部分を把持する把持部を有する、外方に湾曲可能な1対の把持シートと、
前記把持シートを外側に曲げた状態で一時的に保持する保持手段と、
を備え、
前記把持シートの前記把持部が、前記把持シートの先端部を折り曲げて形成された2つの折曲げ部からなり、前記2つの折曲げ部間で前記被摘み部分を挟んで把持することができるようになっている、貼付剤貼付用補助具。
【請求項2】
前記保持手段として、前記把持部を粘着力により一時的に保持することのできる粘着部が設けられている、請求項1に記載の貼付剤貼付用補助具。
【請求項3】
前記保持手段として、前記把持部を磁力により一時的に保持することのできる磁石が設けられている、請求項1に記載の貼付剤貼付用補助具。
【請求項4】
前記保持手段が、前記ベース板に取り付けられ、面ファスナにより分離可能な帯状体であり、該帯状体が、前記把持シートを前記ベース板側に押さえ付けて一時的に保持することが可能となっている、請求項1に記載の貼付剤貼付用補助具。
【請求項5】
前記貼付剤が、支持体と、前記支持体の一面に設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層に剥離可能に付着され、分断を容易化する弱化部を有する剥離シートと、前記剥離シートに接合されると共に、前記剥離シートの前記弱化部と重なるように配置される弱化部を有する摘み片形成シートであり、該弱化部の左右の部分がそれぞれ摘み片として機能するようになっている、前記摘み片形成シートと、を備えるものであって、前記摘み片が前記被摘み部分として機能する、請求項1~4のいずれか一項に記載の貼付剤貼付用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パップ剤やテープ剤等の貼付剤を所望の部位に貼付する際に使用する貼付剤貼付用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、肩こり、腰痛、筋肉痛、筋肉疲労、関節痛等の改善を目的とした多様な貼付剤が流通している。これらの貼付剤は、通常、支持体と、その支持体の一方の面に設けられた、薬効成分を含有する粘着剤層と、粘着剤層の表面に剥離可能に付着された剥離シートとから構成されている。そして、使用時には、剥離シートを粘着剤層から剥がして粘着剤層を露出させ、貼付部位に貼付するようになっている。
【0003】
しかしながら、貼付剤は、一般に柔軟であり取り扱いにくく、貼付時や剥離シートの剥離時にシワになりやすいという問題がある。
【0004】
そこで、従来においては、例えば下記特許文献1及び2に記載されているような貼付剤が開発されている。特許文献1に記載の貼付剤は、支持体と、薬効成分を含有する粘着剤層と、粘着剤層の表面に付着された剥離シートとから構成されており、剥離シートの中央部には弱化部が形成されている。支持体は伸縮性を有しているため、支持体と剥離シートを左右に引っ張るだけで簡単に剥離シートを2つの部分に分けることが可能となっている。剥離シートを2つの部分に分けた後、その分け目部分を指で摘まむための被摘み部分とすることで、剥離シートの剥離や貼付剤の貼付の容易化を図ることが可能となる。
【0005】
また、本明細書に添付の図4及び図5は特許文献2に記載の貼付剤を示すものである。この貼付剤100は、特許文献1に記載の貼付剤と同様に、伸縮性を有する支持体110と、粘着剤層120と、剥離シート130とから構成されており、剥離シート130の中央部には弱化部140が形成されている。また、この貼付剤100の剥離シート130の中央部には、摘み片形成シート150が接合されている。摘み片形成シート150にも弱化部145が形成されており、この弱化部145が剥離シート130の弱化部140と重なるよう摘み片形成シート150は配置されている。このような構成においては、図5に示すように支持体110と剥離シート130を左右に引っ張ると、摘み片形成シート150も弱化部145にて2つの部分に分断される。分断後、摘み片形成シート150は2つの摘み片150a,150b、すなわち被摘み部分として、剥離シート130の剥離や貼付剤100の貼付の際に用いることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3192333号公報
【文献】特許第5460726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に開示されている従来の貼付剤は、剥離シートを2つの部分に分けることができ、分け目部分を摘まんで容易に剥離シートを剥離することができる。また、特許文献2に記載の貼付剤の場合は、剥離シートとは別に摘み片が形成されるためこれを摘まんで操作することができる。いずれの貼付剤も、非常に使い勝手のよいものとなっているが、シワを作ることなく、より簡単に且つ確実に貼付を行いたいという要請が依然としてある。そこで、本発明の目的は、かかる要請に応えるべく、特許文献1及び2等の剥離シートを2つの部分に分けることのできる貼付剤に適した貼付剤貼付用補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、支持体と、支持体の一面に設けられた粘着剤層と、粘着剤層に剥離可能に付着され、2つの部分に分けることができる剥離シートとを備える貼付剤の貼付を補助するための貼付剤貼付用補助具において、貼付剤が載置され保持される貼付剤載置部を有するベース板と、ベース板の、互いに対向する1対の縁部からベース板の貼付剤載置部に向かってそれぞれ延び、先端部に剥離シートの前記2つの部分の被摘み部分を把持する把持部を有する、外方に湾曲可能な1対の把持シートと、把持シートを外側に曲げた状態で一時的に保持する保持手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
把持シートの把持部は、把持シートの先端部を折り曲げて形成された2つの折曲げ部からなるものとすることができ、この場合、2つの折曲げ部間で剥離シートの前記2つの部分の被摘み部分を挟んで把持することができる。
【0010】
保持手段としては、把持部を粘着力により一時的に保持することのできる粘着部を設けることが好ましい。
【0011】
また、保持手段として、把持部を磁力により一時的に保持することのできる磁石を設けることも考えられる。例えば、把持シートの各々の縁部からベース板の貼付剤載置部に向かって延びる保持シートを設けておき、この保持シートの先端部に磁石及び/又は磁性体を配設すると共に、該磁石及び/又は磁性体に吸着され得るよう把持シートの把持部に磁石及び/又は磁性体を配設する形態が考えられる。
【0012】
さらに、保持手段としては、ベース板に取り付けられ、面ファスナにより分離可能な帯状体とすることもでき、該帯状体は、把持シートをベース板側に押さえ付けて一時的に保持することができる。
【0013】
なお、適用可能な貼付剤としては、上記特許文献2に記載の貼付剤もある。すなわち支持体と、支持体の一面に設けられた粘着剤層と、粘着剤層に剥離可能に付着され、分断を容易化する弱化部を有する剥離シートと、剥離シートに接合されると共に、剥離シートの弱化部と重なるように配置される弱化部を有する摘み片形成シートであり、該弱化部の左右の部分がそれぞれ摘み片として機能するようになっている、摘み片形成シートとを備える貼付剤にも本発明の貼付剤貼付用補助具は適用可能である。この場合、摘み片を被摘み部分として用いることができ、この摘み片を把持部にて把持することとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による貼付剤貼付用補助具は、貼付剤をベース板で支えた状態で、徐々に剥離シートを剥離しながら、貼付剤を貼付することができるため、身体の所望の部位に確実に且つシワを形成することなく貼付を行うことができる。
【0015】
また、簡単な構造であり、紙やプラスチックから作ることができるため、安価であり、軽量で操作性もよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る貼付剤貼付用補助具を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る貼付剤貼付用補助具の平面図である。
図3図1及び図2の本発明による貼付剤貼付用補助具の使用方法を示す概略図である。なお、補助具の右半分は省略して示している。
図4】本発明による貼付剤貼付用補助具に適用可能な貼付剤を示す斜視図である。
図5図4の貼付剤の使用方法を示す概略図である。
図6】本発明の別の実施形態に係る貼付剤貼付用補助具を示す斜視図である。
図7】本発明による貼付剤貼付用補助具に適用可能な様々な貼付剤を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明による貼付剤貼付用補助具の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、図中、同一又は相当部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0018】
図1図3は、本発明の一実施形態による貼付剤貼付用補助具10を示している。この補助具10は、特許文献1並びに本明細書に添付した図4及び図5に示された貼付剤のような、摘み片150a,150bを有するタイプの貼付剤100に用いられるものである。
【0019】
図1に示すように、貼付剤貼付用補助具10は、貼付剤100が載置され保持される貼付剤載置部を有する、好ましくは矩形形状であるベース板12を備えている。貼付剤載置部は、図2において一点鎖線14で囲まれる領域であり、貼付剤100を載置するに十分な大きさとなっており、貼付剤100と同様な矩形形状となっている。また、貼付剤載置部14は、ベース板12の互いに対向する1対の端縁(短辺に沿う縁)から等距離に且つ互いに対向する1対の側縁(長辺に沿う縁)から等距離に設けられている。
【0020】
ベース板12は、貼付剤100を平坦状に保持する機能と、貼付剤100を使用者の身体の所望部位に押し付けるための押圧板としての機能とを併せ持つため、ある程度の剛性が必要となる。その一方で、ベース板12は、使用者の身体に押し付けた際にその部位の輪郭にフィットすることができるよう、ある程度の柔軟性ないしは弾性を有することも必要となる。このため、ベース板12は、湾曲可能な厚紙やプラスチックシート等から作製されることが好ましい。
【0021】
ベース板12の左右の各端縁部からは、把持シート16がベース板12の貼付剤載置部14に向かう方向(内方)に延びており、その先端部はベース板12の中心線Aまで達している。各把持シート16は、その先端部に設けられた把持部18で貼付剤100における対応の摘み片150a,150bを把持し、ベース板12の中心線Aから摘み片150a,150b及びそれと一体の剥離シート130を外方へと引っ張るためのものである。摘み片150a,150bを把持して引っ張る際、把持シート16に戻り力が生じないよう(生じたとしても小さな戻り力のみが生じるよう)、把持シート16はベース板12よりも柔軟性があることが必要であり、薄手の紙やプラスチックシート等から作製されることが好適である。
【0022】
なお、図1図3では、把持シート16はベース板12とは別個の部材として示しており、把持シート16はベース板12の端縁部に接着剤や熱融着により接合されることとしているが、同じ板状体の中で柔軟性等の特性を変化させることが可能であれば、1枚の板状体を折り曲げて、ベース板12の端部に把持シート16を連設する形態とすることもできる。
【0023】
図示実施形態においては、各把持シート16の把持部18は、把持シート16の先端部を外側に折り曲げて形成された第1の折曲げ部18aと、第1の折曲げ部18aの先端部を内側に折り曲げて形成された第2の折曲げ部18bとから構成されており、第1の折曲げ部18aと第2の折曲げ部18bとの間に摘み片150a,150bを挟んで把持することができるようになっている。
【0024】
把持は第1及び第2の折曲げ部18a,18bを指で摘まむことで行うことになるが、その状態を維持するために或いは保持力を増すために、摘み片150a,150bと接しこれを粘着する粘着部19を把持部18に設けることも有効である。粘着部19は、第2の折曲げ部18bの、第1の折曲げ部18aに対向する面、及び/又は、第1の折曲げ部18aの、第2の折曲げ部18bに対向する面に設けることが好ましく、前記面の適当な箇所に粘着剤を塗布したり或いは粘着テープを貼り付けたりすることで形成することができる。
【0025】
なお、上述したように把持シート16を折り曲げることで把持部18を形成することも可能であるが、把持シート16の先端部にクリップ状の別個の器具を配設することとしてもよい。
【0026】
貼付剤貼付用補助具10は、さらに、把持シート16の把持部18によって把持された摘み片150a,150b及びそれと一体の剥離シート130を把持部18と共に一時的に保持する保持手段を備えている。
【0027】
図示実施形態においては、保持手段は、各把持シート16の各端縁部に接合され、そこから該把持シート16の先端部に向かって延びる保持シート20と、保持シート20の先端部を外側に折り曲げて形成された保持折曲げ部22とを備えている。各保持折曲げ部22は、貼付剤載置部14の同側の端縁の近傍に位置している。この保持折曲げ部22の表面には粘着部24が設けられている。粘着部24は、粘着剤を塗布したもの又は粘着テープを貼り付けたもの等が考えられ、この粘着部24に把持シート16の把持部18を当接させることで、把持部18を粘着力によって一時的に保持することが可能となる。
【0028】
保持シート20は、把持シート16と同様に、摘み片150a,150bを把持して引っ張ることになるため、保持シート20に戻り力が生じないよう(生じたとしても小さな戻り力のみが生じるよう)柔軟性があることが必要であり、把持シート16と同種の薄手の紙やプラスチックシート等から作製されることが好適である。
【0029】
なお、図示実施形態では、保持シート20は把持シート16に接合されていることとしているが、1枚のシート材を折り曲げて、把持シート16の端縁に保持シート20を連設する形態としてもよい。
【0030】
次に、上述したような構成の貼付剤貼付用補助具10の作用及び使用方法について説明する。
【0031】
まず、図3の(a)に示すように、摘み片150a,150bが上に向くようにして貼付剤100をベース板12の貼付剤載置部14に載置し、左右の把持シート16で貼付剤100を覆う。その結果、貼付剤100はベース板12と把持シート16との間で挟持されることとなる。したがって、貼付剤載置部14に貼付剤100を仮止めするための粘着テープや粘着剤、或いは、ベース板12を斜めにした際に滑り落ちるのを防止するための滑り止め等は、設けてもよいが、設けなくとも貼付剤100は貼付剤載置部14上で十分に保持される。
【0032】
次いで、左右の把持シート16の把持部18、すなわち第1の折曲げ部18aと第2の折曲げ部18bを持って、貼付剤100の対応の摘み片150a,150bをそれらの折曲げ部18a,18b間に挟み把持する。そして、この把持状態を維持したまま、把持部18を摘み片150a,150bと共に左右に引っ張り、弱化部140,145から剥離シート130と摘み片形成シート150を分断する。この際、図3の(b)に示すように指の力によって把持を行うこととなるが、粘着部19を設けた場合には、その粘着力を補助として摘み片150a,150bの把持をより確実にすることができる。なお、第1と第2の折曲げ部18a,18b間で摘み片150a,150bが滑らないように適当な滑り止め手段、例えば第1と第2の折曲げ部18a,18bの対向面にラバーや粘着剤、粘着テープを設ける、エンボス加工を施す、表面がざらざらしたいわゆるザラ紙を用いる等の手段を付与した場合には、把持をさらに確実にすることができる。
【0033】
もちろん、図5に示すように、予め貼付剤100の左右を外方に引っ張り、弱化部140,145から剥離シート130と摘み片形成シート150を分断した後、その貼付剤100をベース板12の貼付剤載置部14に載置して左右の把持シート16を貼付剤100に被せてもよい(図3の(a))。このように予め剥離シート130と摘み片形成シート150を分断しておいた場合には、把持部18で摘み片150a,150bを把持した後、分断のために強い力で把持部18を引っ張る必要はない。
【0034】
摘み片150a,150bを把持部18で把持したならば、そのまま把持部18を外方に移動させていく。その結果、把持シート16は外方に湾曲しつつ、同時に剥離シート130が貼付剤100の粘着剤層120から剥がれていく。この際も、貼付剤100は、把持シート16の一部によりベース板12上で挟持されているため、貼付剤は動かず、シワが生じることもない。
【0035】
把持部18が対応の保持シート20の保持折曲げ部22に達したならば、把持部18を保持折曲げ部22に当接させる(図3の(c))。これにより、保持折曲げ部22上の粘着部24が把持部18の第1の折曲げ部18aと接し、粘着部24の粘着力により把持部18が一時的に保持され、貼付剤100の剥離シート130の一部が開いた状態で維持されることとなる。この状態では、貼付剤100の粘着剤層120の一部が、左右の把持シート16の間で外部に露出することになる。また、把持シート16の一部が貼付剤100の端部を押さえた形となっているため、指を把持部18から離し、貼付剤貼付用補助具10を動かしても貼付剤100が貼付剤載置部14から移動することはない。
【0036】
この後、使用者は、図3の(d)に示すような態様で、身体28の背中、腰等の所望の部位に貼付剤100の粘着剤層120の露出部が当接するよう貼付剤貼付用補助具10を移動させる。そして、第1及び第2の折曲げ部と一時保持折曲げ部とを指で摘まみ、これらをやや身体28の方向(図3の(d)の矢印)側に引きつつ左右に引っ張ると、第1及び第2の折曲げ部18a,18b間に摘み片150a,150bが把持されているので、剥離シート130が剥がれながら、貼付剤100が所望の部位に貼り付けられていく。この間、貼付剤100はベース板12上にてシワのない状態を維持しているので、貼付された後もシワなく綺麗なものとなる。もちろん、ベース板12上で貼付剤100の剥離シート130を全て剥離した後に、把持シート16を操って身体の所望の部位に貼付剤100を貼り付けることもできるが、徐々に粘着剤層120を露出させながら貼り付けていくという図示実施形態の貼付剤貼付用補助具10の本来の使用方法によった方が、シワのない確実な貼付が可能となる。さらに、ベース板12は身体に押し付けられることになるため、貼付剤100の粘着剤層120はしっかりと身体に貼り付いたものとなる。
【0037】
最後に貼付剤貼付用補助具10を身体から離せば、貼付剤100は使用者の皮膚にそのまま残ることになる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0039】
例えば、貼付剤貼付用補助具10全体或いは各部分の形状等は図示実施形態に限定されない。
【0040】
把持シート16の把持部18については、把持部18での把持力を増すために、上述したように粘着部19を設けることが好適であるが、この粘着部19と共に、或いは、粘着部19に代えて、磁石を用いることも考えられる。例えば、第1の折曲げ部18aと第2の折曲げ部18bの対向面にそれぞれ磁石と、これに吸着する磁石ないしは磁性体を設けて、これをもって把持の補助力とすることも可能である。
【0041】
上記実施形態では、把持シート16を一時的に保持する保持手段は、保持シート20の保持折曲げ部22に形成された粘着部24からなるものとしているが、粘着部は、保持折曲げ部22ではなく、保持折曲げ部22に接する把持部18の面に設けてもよい。また、保持シート20を設けずに、粘着部を把持シート16の端縁部の近傍に設けることも考えられる。
【0042】
保持手段としては、粘着部24に代えて、磁石を用いることも考えられる。例えば、保持折曲げ部22の表面又は内部には磁石を配置し、これに対応するように、把持シート16の第2の折曲げ部18bの表面若しくは内部、又は第1の折曲げ部18aの表面若しくは内部に磁石を設け、これらの磁石が互いに吸着するよう構成してもよい。なお、これらの磁石のうち一方が、磁石ではなく、単なる磁性体であっても、一時的な保持は可能である。さらに、保持シート20を設けずに、磁石を把持シート16の端縁部の近傍に配置し、その磁石に把持シート16の把持部18の磁石を吸着させるだけとしたものでもよい。
【0043】
また、面ファスナの1対のファスナ部分をそれぞれ把持部18と保持折曲げ部22とに配置することで、把持部の一時的な保持を行う保持手段とすることもできる。この場合も、保持シート20ではなく、面ファスナの一方のファスナ部分を把持シート16の端縁部の近傍に配置し、そこに把持部18の他方のファスナ部分を取外し可能に掛合させることが可能である。
【0044】
さらに、図6に示すように、保持手段として、面ファスナ30を先端部に設けた分離可能な帯状体32をベース板12に設け、この帯状体32で把持シート16を一時的に押さえるようなものとしてもよい。この場合も、保持シート20は不要となる。
【0045】
また、貼付剤100についても、摘み片150a,150bを有していれば本発明による貼付剤貼付用補助具10を適用することが可能であり、例えば図7に示すような様々な摘み片を有する貼付剤100にも適用可能である。
【0046】
さらに、摘み片150a,150bが形成されないタイプの貼付剤、例えば上記特許文献1に記載の貼付剤のような、摘み片形成シートを有しない剥離シートのみの貼付剤にも本発明の貼付剤貼付用補助具10を適用することが可能である。この場合、支持体と剥離シートを左右に引っ張って、剥離シートを2つの部分に分けた後、2つの部分の分け目付近の部分を、指で摘まむための被摘み部分として用い、把持部18でこの被摘み部分を把持することになる。
【0047】
その他にも、特開2000-219622号公報に記載されているような貼付剤にも本発明の貼付剤貼付用補助具10を適用することができる。この貼付剤は、剥離シートが2つの部分に分けられており、一方の剥離シート部分が他方の剥離シート部分の縁部上を覆うという形態となっている。この覆い被さった部分が被摘み部分として把持部18により把持され得る。また、覆い被された剥離シート部分の縁部は折り返され、これも把持部18により把持され得る。したがって、上記の使用方法と実質的に同様な方法で、貼付剤を貼付することができる。なお、覆い被された剥離シート部分の縁部が折り返されていない貼付剤も存在するが、そのような貼付剤にも本発明の貼付剤貼付用補助具10が適用可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0048】
10…貼付剤貼付用補助具、12…ベース板、14…貼付剤載置部、16…把持シート、18…把持部、18a…第1の折曲げ部、18b…第2の折曲げ部、19…粘着部、20…保持シート、22…保持折曲げ部、24…粘着部、28…身体、30…面ファスナ、32…帯状体、100…貼付剤、110…支持体、120…粘着剤層、130…剥離シート、140,145…弱化部、150…摘み片形成シート、150a,150b…摘み片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7