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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】システム、電子機器および接続制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/00 20060101AFI20220801BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
G06F3/00 V
G06F3/00 A
G06F13/38 350
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018046916
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019159921
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】398058588
【氏名又は名称】Dynabook株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 弘明
(72)【発明者】
【氏名】瀬沼 功一
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076101(JP,A)
【文献】特表2017-518564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00
G06F 13/38-42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レセプタクルを有する第1機器と、
第2レセプタクルを有する第2機器と、
前記第1機器と前記第2機器とを接続し、一端において前記第1機器の前記第1レセプタクルと接続する第1コネクタと、他端において前記第2機器の前記第2レセプタクルと接続する第2コネクタとを有し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが点対称な形状であり、Normal-Normal状態、Flipped-Normal状態、Normal-Flipped状態、Flipped状態-Flipped状態を含む4つの接続状態が、前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態および前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態に対して適用可能であるケーブルと、
を具備し、
前記第2機器は、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態またはFlipped状態のいずれであるかを判定し、当該判定された結果をステータス情報として前記第1機器へ前記ケーブルを介して送信する第2制御部を具備し、
前記第1機器は、
前記第1レセプタクルの複数の接続ピンに対する複数の信号線の割り当てを切り替えるスイッチと、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態またはFlipped状態のいずれであるかを判定し、当該判定された結果と前記ステータス情報とに基づいて前記4つの接続状態のうちの1つを決定して、前記スイッチを制御する第1制御部と、
を具備するシステム。
【請求項2】
前記第2機器は、前記第2レセプタクルの複数の接続ピンに対して前記複数の信号線が固定的に割り当てられる請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2機器は、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとがNormal状態で接続された場合について定められる前記第2レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の割り当てが固定的に適用され、
前記第1機器の前記スイッチは、前記第1レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の接続パターンに関して、前記ケーブルがNormalの向きである場合に適用される第1パターンと、前記ケーブルがFlippedの向きである場合に適用される第2パターンとのうちの1つを適用し、
前記第1機器の前記第1制御部は、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2機器は、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとがFlipped状態で接続された場合について定められる前記第2レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の割り当てが固定的に適用され、
前記第1機器の前記スイッチは、前記第1レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の接続パターンに関して、前記ケーブルがNormalの向きである場合に適用される第1パターンと、前記ケーブルがFlippedの向きである場合に適用される第2パターンとのうちの1つを適用し、
前記第1機器の前記第1制御部は、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ケーブルは、USB(universal serial bus) Type-C規格に準拠したケーブルである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとはプラグである請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
第1レセプタクルを有し、ケーブルを介して第2レセプタクルを有する外部機器と接続可能な電子機器であって、
前記ケーブルは、一端において前記第1レセプタクルと接続する第1コネクタと、他端において前記第2レセプタクルと接続する第2コネクタとを有し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが点対称な形状であり、Normal-Normal状態、Flipped-Normal状態、Normal-Flipped状態、Flipped状態-Flipped状態を含む4つの接続状態が、前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態および前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態に対して適用可能であり、
前記電子機器は、
前記第1レセプタクルの複数の接続ピンに対する複数の信号線の割り当てを切り替えるスイッチと、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態またはFlipped状態のいずれであるかを判定し、当該判定された結果と、前記外部機器から送信される前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態またはFlipped状態のいずれであるかを示すステータス情報とに基づいて前記4つの接続状態のうちの1つを決定して、前記スイッチを制御する制御部と、
を具備する電子機器。
【請求項8】
前記外部機器は、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとがNormal状態で接続された場合について定められる前記第2レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の割り当てが固定的に適用され、
前記スイッチは、前記第1レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の接続パターンに関して、前記ケーブルがNormalの向きである場合に適用される第1パターンと、前記ケーブルがFlippedの向きである場合に適用される第2パターンとのうちの1つを適用し、
前記制御部は、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御する、
請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記外部機器は、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとがFlipped状態で接続された場合について定められる前記第2レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の割り当てが固定的に適用され、
前記スイッチは、前記第1レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の接続パターンに関して、前記ケーブルがNormalの向きである場合に適用される第1パターンと、前記ケーブルがFlippedの向きである場合に適用される第2パターンとのうちの1つを適用し、
前記制御部は、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御する、
請求項7に記載の電子機器。
【請求項10】
前記ケーブルは、USB(universal serial bus) Type-C規格に準拠したケーブルである請求項7乃至9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとはプラグである請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
第1レセプタクルを有する第1機器と、第2レセプタクルを有する第2機器とが、一端において前記第1レセプタクルと接続する第1コネクタと、他端において前記第2レセプタクルと接続する第2コネクタとを有し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが点対称な形状であり、Normal-Normal状態、Flipped-Normal状態、Normal-Flipped状態、Flipped状態-Flipped状態を含む4つの接続状態が、前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態および前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態に対して適用可能であるケーブルを介して接続されるシステムにおける接続制御方法であって、
前記第2機器において、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態またはFlipped状態のいずれであるかを判定し、当該判定された結果をステータス情報として前記第1機器へ前記ケーブルを介して送信し、
前記第1機器において、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態またはFlipped状態のいずれであるかを判定し、
前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態またはFlipped状態のいずれであるかを示すステータス情報を前記第2機器から前記ケーブルを介して受信し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態の判定結果と、前記受信された前記ステータス情報とに基づき、前記4つの接続状態のうちの1つを決定し、
前記接続状態の決定に基づき、前記第1レセプタクルの複数の接続ピンと複数の信号線との間に介在するスイッチによって、前記第1レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の割り当てを切り替える、
接続制御方法。
【請求項13】
前記第2機器において、
前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとがNormal状態で接続された場合について定められる前記第2レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の割り当てが固定的に適用され、
前記第1機器の前記スイッチは、前記第1レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の接続パターンに関して、前記ケーブルがNormalの向きである場合に適用される第1パターンと、前記ケーブルがFlippedの向きである場合に適用される第2パターンとのうちの1つを適用し、
前記第1機器において、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御する、
請求項12に記載の接続制御方法。
【請求項14】
前記第2機器において、
前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとがFlipped状態で接続された場合について定められる前記第2レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の割り当てが固定的に適用され、
前記第1機器の前記スイッチは、前記第1レセプタクルの前記複数の接続ピンに対する前記複数の信号線の接続パターンに関して、前記ケーブルがNormalの向きである場合に適用される第1パターンと、前記ケーブルがFlippedの向きである場合に適用される第2パターンとのうちの1つを適用し、
前記第1機器において、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がNormal状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第1パターンが適用されるように前記スイッチを制御し、
前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態がFlipped状態であって、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がFlipped状態であることを前記ステータス情報が示す場合、前記第2パターンが適用されるように前記スイッチを制御する、
請求項12に記載の接続制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、システム、電子機器および接続制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、たとえばノートPC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォンなどの様々な電子機器が広く普及している。この種の電子機器は、外部機器との間でデータを送受信するためのインタフェース機能を備えることが一般的である。インタフェース規格の1つとして、USB(Universal Serial Bus)規格が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-176543号公報
【文献】特開2002-116853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
USB規格で策定されるUSB Type-Cでは、電子機器のコネクタ(Receptacle)に対して、ケーブルのコネクタ(Plug)を正(Normal)/逆(Flipped)のどちらの向きでも挿入できるようになっている。つまり、Type-Cコネクタは、その接続面(接続ピンの配列)が、シンメトリやリバーシブルなどと称される、点対称(接続面の長手方向の中心点に関して、接続ピンの配列が対称)な形状を有している。
【0005】
2つの電子機器をUSB Type-C規格に準拠したケーブルで接続する場合、当該2つの電子機器それぞれが、自機器のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)に対してケーブルのType-Cコネクタ(Plug)がNormal/Flippedのどちらの向きで挿入されても問題なくデータを送受信できるようにするための機構を備える必要がある。より詳しくは、Type-Cコネクタ(Receptacle)の接続ピンに対する信号線の割り当てを切り替えるスイッチを実装する必要がある。したがって、たとえばドックなどと称される拡張ユニットを、USB Type-C規格に準拠したケーブルによって本体装置と接続できるようにするためには、このようなスイッチを拡張ユニットにも実装する必要があった。つまり、コスト面やレイアウト面でデメリットを生じさせていた。
【0006】
一方、拡張ユニットを、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)を持たず、ケーブルが直接的かつ固定的に接続される構成とすると、前述のようなスイッチを実装することは不要となるが、反面、利便性や安全性を損なうおそれがある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、利便性や安全性を損なうことなく、2つの電子機器の中の一方の電子機器において信号切り替え用のスイッチを不要とすることができるシステム、電子機器および接続制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、システムは、第1機器と第2機器と、ケーブルと、を具備する。前記第1機器は、第1レセプタクルを有する。前記第2機器は、第2レセプタクルを有する。前記ケーブルは、前記第1機器と前記第2機器とを接続し、一端において前記第1機器の前記第1レセプタクルと接続する第1コネクタと、他端において前記第2機器の前記第2レセプタクルと接続する第2コネクタとを有し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが点対称な形状であり、Normal-Normal状態、Flipped-Normal状態、Normal-Flipped状態、Flipped状態-Flipped状態を含む4つの接続状態が、前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態および前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態に対して適用可能である。前記第2機器は、第2制御部を具備する。前記第2制御部は、前記第2レセプタクルと前記第2コネクタとの接続状態がNormal状態またはFlipped状態のいずれであるかを判定し、当該判定された結果をステータス情報として前記第1機器へ前記ケーブルを介して送信する。前記第1機器は、スイッチと、第1制御部、を具備する。前記スイッチは、前記第1レセプタクル複数の接続ピンに対する複数の信号線の割り当てを切り替える。前記第1制御部は、前記第1レセプタクルと前記第1コネクタとの接続状態Normal状態またはFlipped状態のいずれであるかを判定し、当該判定された結果と前記ステータス情報とに基づいて前記4つの接続状態のうちの1つを決定して、前記スイッチを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】実施形態のシステムにおけるUSBType-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す第1図(Normal-Normal)。
図1B】実施形態のシステムにおけるUSBType-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す第2図(Flipped-Normal)。
図1C】実施形態のシステムにおけるUSBType-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す第3図(Normal-Flipped)。
図1D】実施形態のシステムにおけるUSBType-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す第4図(Flipped-Flipped)。
図2A】第1比較例におけるUSB Type-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す第1図(Normal-Normal)。
図2B】第1比較例におけるUSB Type-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す第2図(Flipped-Normal)。
図2C】第1比較例におけるUSB Type-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す第3図(Normal-Flipped)。
図2D】第1比較例におけるUSB Type-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す第4図(Flipped-Flipped)。
図3A】第2比較例におけるUSB Type-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す第1図(Normal)。
図3B】第2比較例におけるUSB Type-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す第2図(Flipped)。
図4】実施形態のシステム、第1比較例、第2比較例のそれぞれにおけるスイッチの切り替えパターンを一覧として示す図。
図5】実施形態のシステムのUSBドック側における接続ピンに対する信号線の割り当てを変更した場合のスイッチの切り替えパターンを示す図。
図6】実施形態のシステムのホストシステム(接続制御回路)の一動作手順を示すフローチャート。
図7】実施形態のシステムのUSBドック(接続制御回路)の一動作手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1A乃至図1D図1A図1B図1Cおよび図1D)は、本実施形態のシステムにおけるUSB Type-C規格に準拠したケーブルによる接続に関する構成の一例を示す図である。
【0012】
本実施形態のシステムは、ホストシステム(第1機器)1とUSBドック(第2機器)2とで構成されるシステムである。ホストシステム1とUSBドック2とは、USB Type-C DisplayPort ALT Mode仕様を適用する電子機器であり、USB Type-C規格に準拠したケーブル3で接続される。USB Type-C DisplayPort ALT Mode仕様は、USB Type-Cで定義される信号線の一部(RX2、TX2)をDisplayPort規格のデータ送受信に転用する仕様である。図1Aに示されるように、ホストシステム1は、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)(第2コネクタ)11を有し、また、USBドック2も、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)21を有する。ケーブル3の両端には、USB Type-Cコネクタ(Plug)(第1コネクタ)31が設けられる。ケーブル3の一端に設けられるUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、ホストシステム1のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11へ挿入され、ケーブル3の他端に設けられるUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、USBドック2のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)21へ挿入される。ケーブル3の一端に設けられるUSB Type-Cコネクタ(Plug)31は、ホストシステム1のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に対して、Normal(第1状態)/Flipped(第2状態)のどちらの向きでも挿入され得るし、また、ケーブル3の他端に設けられるUSB Type-Cコネクタ(Plug)31も、USBドック2のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)21に対して、Normal/Flippedのどちらの向きでも挿入され得る。Normal/Flippedでは、接続ピンの配列が、USB Type-Cコネクタ(Plug)31の長手方向(図1A乃至図1DにおけるUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の上下方向)の中心点に関して点対称である。図1Aは、ケーブル3がNormal(ホストシステム1側)-Normal(USBドック2側)で接続されている状態を示し、図1Bは、ケーブル3がFlipped(ホストシステム1側)-Normal(USBドック2側)で接続されている状態を示し、図1Cは、ケーブル3がNormal(ホストシステム1側)-Flipped(USBドック2側)で接続されている状態を示し、図1Dは、ケーブル3がFlipped(ホストシステム1側)-Flipped(USBドック2側)で接続されている状態を示している。
【0013】
ホストシステム1は、前述のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11のほか、接続制御回路12、スイッチ13、EC(Embedded Controller)14、GPU(Graphics Processing Unit)15およびUSBコントローラ16を有している。
【0014】
接続制御回路12は、少なくともCC(Connection Configuration)ロジックとUSB PD(Power Delivery)エンジンとを備える電子回路である。CCロジックは、ケーブル3によるホストシステム1とUSBドック2との接続時に通信路を確立するための制御を行う。CCロジックは、CC1ピンとCC2ピンとを監視することにより、ホストシステム1とUSBドック2とがケーブル3経由で接続されたことを検知することができ、また、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、ホストシステム1のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に対して、Normal/Flippedのどちらの向きで挿入されているのかを検知することができる。さらに、CCロジックは、接続先のCCロジック(USBドック2の後述する接続制御回路22内のCCロジック)との間でCC信号線を使った通信を実行することができる。USB PDエンジンは、ケーブル3経由で電力を授受するための制御を行う。電力を供給する側はSource、電力を受ける側はSinkと称される。ここでは、ホストシステム1とUSBドック2とがケーブル3経由で接続された場合、ホストシステム1がSource、USBドック2がSinkとなるように設定されているものとする。
【0015】
スイッチ13は、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)11の接続ピンに対する信号線の割り当てを切り替えるためのスイッチである。より詳しくは、(a)USB Type-Cコネクタ(Plug)31がNormalの向きである場合について定められるUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11の接続ピンに対する信号線の割り当て、(b)USB Type-Cコネクタ(Plug)31がFlippedの向きである場合について定められるUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11の接続ピンに対する信号線の割り当て、のいずれかを選択的に適用する。スイッチ13は、USB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きを検知することのできるCCロジックを備える接続制御回路12によって制御される。
【0016】
EC14は、図1A乃至図1Dに示されないPSC(Power Supply Controller)と協働してホストシステム1内の各コンポーネントに対する電力供給/遮断を制御する。また、EC14は、図1A乃至図1Dに示されないI2Cバスを介してUSB PDエンジンを搭載する接続制御回路12と通信を行い、ケーブル3経由によるUSBドック2に対する電力供給/遮断を制御する。
【0017】
GPU15は、USBドック2のDP(DisplayPort)コネクタ25に接続されるディスプレイ装置に表示させる画像を描画し、その画像信号をDisplayPort規格に準拠した手順で所定のポート(Lane0、Lane1が対応づけられるポート)から出力する。GPU15から出力された画像信号は、スイッチ13を経ることで、USB Type-Cで定義されるRX2信号線、TX2信号線によってUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11へ導かれ、ケーブル3経由でUSBドック2へ転送される。
【0018】
USBコントローラ16は、USBドック2のUSBコネクタ24に接続されるUSBデバイスとの間の通信を実行する。このUSBコントローラ16とUSBデバイスとの間の通信についても、ホストシステム1内においては、スイッチ13が介在する。より詳しくは、スイッチ13を経ることで、USB Type-Cで定義されるTx1信号線、Rx1信号線が使用されるように制御される。
【0019】
USBドック2は、前述のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)21のほか、接続制御回路22、USB r3.1ハブ23、複数のUSBコネクタ24およびDP(DisplayPort)コネクタ25を有している。
【0020】
USBドック2の接続制御回路22も、ホストシステム1の接続制御回路12と同様、少なくともCCロジックとUSB PDエンジンとを備える電子回路である。つまり、接続制御回路22は、CCロジックによって、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、USBドック2のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)21に対して、Normal/Flippedのどちらの向きで挿入されているのかを検知することができる。また、接続制御回路22は、CCロジックによって、ホストシステム1の接続制御回路12との間で通信を実行することができる。
【0021】
USB r3.1ハブ23は、1つの信号線(Tx1、Rx1)を複数のUSBコネクタ24に接続される複数のUSBデバイスで共用するための制御を行う。USBコネクタ24は、USBデバイスを接続するためのコネクタ(Receptacle)である。このUSBコネクタ24は、一定の向きでコネクタ(Plug)が挿入される、USB Type-C以外の規格に準拠した形状を有している。DPコネクタ25は、ディスプレイ装置を接続するためのコネクタである。なお、USBドック2には、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)21を有しているにも関わらず、ホストシステム1のスイッチ13に相当するスイッチが設けられていない点を、ここで留意点として挙げておく。
【0022】
ここで、本実施形態のシステムの理解を助けるために、まず、図2A乃至図2D図2A図2B図2Cおよび図2D)を参照して、第1比較例について説明する。なお、図2A乃至図2Dで示される構成要素のうち、本実施形態のシステムと同一の構成要素に対しては、便宜的に、同一の符号を用いている。
【0023】
図2Aに示されるように、第1比較例においては、本実施形態のシステムのUSBドック2と比較して、USBドック2Aが、ホストシステム1Aのスイッチ13に相当するスイッチ26をさらに有している。図2Aは、ケーブル3がNormal(ホストシステム1A側)-Normal(USBドッグ2A側)で接続されている状態を示し、図2Bは、ケーブル3がFlipped(ホストシステム1A側)-Normal(USBドッグ2A側)で接続されている状態を示し、図2Cは、ケーブル3がNormal(ホストシステム1A側)-Flipped(USBドッグ2A側)で接続されている状態を示し、図2Dは、ケーブル3がFlipped(ホストシステム1A側)-Flipped(USBドッグ2A側)で接続されている状態を示している。
【0024】
また、第1比較例における接続制御回路12Aは、本実施形態のシステムの接続制御回路12とは異なる規則でスイッチ13を制御する。本実施形態のシステムの接続制御回路12がスイッチ13を制御する規則については後述する。
【0025】
さらに、第1比較例における接続制御回路22Aは、ホストシステム1の接続制御回路12と同様、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、USBドック2AのUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)21に対して、Normal/Flippedのどちらの向きで挿入されているのかに基づき、スイッチ26を制御する。
【0026】
つまり、第1比較例においては、ホストシステム1とUSBドック2Aとが、各々、USB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きに応じて、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)11またはUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)21の接続ピンに対する信号線の割り当てを切り替える。
【0027】
より詳しくは、図2Aに示されるように、ケーブル3がNormal-Normalで接続された場合、ホストシステム1Aにおいては、接続制御回路12Aが、「Tx(信号線)=TX1(接続ピン)」、「Rx=RX1」、「Lane0=RX2」、「Lane1=TX2」といった割り当てが適用されるようにスイッチ13を制御し(以下、パターン1と称する)、一方、USBドック2Aにおいては、接続制御回路22Aが、「Tx=TX1」、「Rx=RX1」、「Lane0=TX2」、「Lane1=RX2」といった割り当てが適用されるようにスイッチ26を制御する(以下、パターン1´と称する)。
【0028】
また、図2Bに示されるように、ケーブル3がFlipped-Normalで接続された場合、ホストシステム1Aにおいては、接続制御回路12Aが、「Tx=TX2」、「Rx=RX2」、「Lane0=RX1」、「Lane1=TX1」といった割り当てが適用されるようにスイッチ13を制御する(以下、パターン2と称する)。USBドック2Aにおいては、図2Aに示されるNormal-Normalの場合と同様、パターン1´が適用される。
【0029】
図2Cに示されるように、ケーブル3がNormal-Flippedで接続された場合、ホストシステム1Aにおいては、図2Aに示されるNormal-Normalの場合と同様、パターン1が適用される。USBドック2Aにおいては、接続制御回路22Aが、「Tx=TX2」、「Rx=RX2」、「Lane0=TX1」、「Lane1=RX1」といった割り当てが適用されるようにスイッチ26を制御する(以下、パターン2´と称する)。
【0030】
図2Dに示されるように、ケーブル3がFlipped-Flippedで接続された場合、ホストシステム1Aにおいては、図2Bに示されるFlipped-Normalの場合と同様、パターン2が適用される。USBドック2Aにおいては、図2Cに示されるNormal-Flippedの場合と同様、パターン2´が適用される。
【0031】
換言すれば、第1比較例の場合、ホストシステム1Aにおいては、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に対してケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31がNormalの向きで挿入されたならば、パターン1を適用し、Flippedの向きで挿入されたならば、パターン2を適用する。また、USBドック2Aにおいては、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)21に対してケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31がNormalの向きで挿入されたならば、パターン1´を適用し、Flippedの向きで挿入されたならば、パターン2´を適用する。
【0032】
第1比較例においては、ホストシステム1AとUSBドック2Aとが、各々、Type-Cコネクタ(Receptacle)(11、21)の接続ピンに対する信号線の割り当てを切り替えるスイッチ(13、26)を実装する。つまりUSBドック2Aにもスイッチ26を実装する必要があるため、コスト面やレイアウト面でデメリットを生じさせている。
【0033】
次に、図3Aおよび図3Bを参照して、第2比較例について説明する。なお、図3Aおよび図3Bで示される構成要素のうち、本実施形態のシステムと同一の構成要素に対しては、便宜的に、同一の符号を用いている。
【0034】
図3Aに示されるように、第2比較例においては、本実施形態のシステムのUSBドック2と比較して、USBドック2Bが、USB Type-Cコネクタ(Plug)31を有していない。換言すれば、本実施形態のシステムのUSBドック2からUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が削除されている。そして、ケーブル3Bの一端が、USBドック2Bへ直接的かつ固定的に接続されている。つまり、この第2比較例の場合、USBドック2Bにおいては、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31がNormal/Flippedのどちらの向きで挿入されているのかを考慮する必要がない。したがって、第1比較例において図2A乃至図2Dで示したスイッチ26を搭載する必要がない。なお、ここでは、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31がNormalの向きで挿入されているかのように、ケーブル3Bの一端がUSBドック2Bへ直接的かつ固定的に接続されているものと想定する。
【0035】
第2比較例における接続制御回路12Bも、本実施形態のシステムの接続制御回路12とは異なる規則でスイッチ13を制御する。なお、本実施形態のシステムの接続制御回路12がスイッチ13を制御する規則については後述する。
【0036】
図3Aは、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、ホストシステム1BのUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に対して、Normalの向きで挿入されている状態を示し、図3Bは、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、ホストシステム1BのUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に対して、Flippedの向きで挿入されている状態を示している。
【0037】
図3Aに示されるように、第2比較例におけるホストシステム1Bの接続制御回路12Bは、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に対してケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31がNormalの向きで挿入されたならば、第1比較例において図2Aおよび図2Cで示したパターン1が適用されるように、スイッチ13を制御する。第2比較例においては、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31は、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に挿入するためのものが1つのみ設けられるので、USBドック2Bにおける信号線の割り当てを、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に挿入されるUSB Type-Cコネクタ(Plug)31を対象として表すこととする。すなわち、「Tx=RX1」、「Rx=TX1」、「Lane0=RX2」、「Lane1=TX2」と表し、以下、これをパターン3と称する。
【0038】
図3Bに示されるように、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に対してケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31がFlippedの向きで挿入されたならば、第2比較例におけるホストシステム1Bの接続制御回路12Bは、第1比較例において図2Bおよび図2Dで示したパターン2が適用されるように、スイッチ13を制御する。言うまでも無いが、USBドック2Bにおいては、パターン3が適用される。
【0039】
第2比較例においては、第1比較例と比較して、USBドック2BからUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)21を削除することができ、また、スイッチ26を削除することができる。したがって、コスト面やレイアウト面でメリットが生じる。しかし、USBドック2Bからケーブル3が伸びている形態は、収納や持ち運びが不便になるといった利便性を低下させるおそれがあり、また、たとえばケーブル3が何かに引っ掛かった際にもケーブル3がUSBドック2Bから外れることがないので、安全性を低下させるおそれがある。
【0040】
以上の第1比較例および第2比較例を踏まえて、図1Aに戻って、本実施形態のシステムの説明を続ける。
【0041】
前述したように、ホストシステム1の接続制御回路12は、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、ホストシステム1のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に対して、Normal/Flippedのどちらの向きで挿入されているのかを検知することができる。また、USBドック2の接続制御回路22も、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、USBドック2のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)21に対して、Normal/Flippedのどちらの向きで挿入されているのかを検知することができる。そして、ホストシステム1の接続制御回路12とUSBドック2の接続制御回路22とは通信することができる。
【0042】
そこで、本実施形態のシステムにおいては、USBドック2の接続制御回路22は、検知したUSBドック2側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きを、ステータス情報としてホストシステム1の接続制御回路12へ送信する。ホストシステム1の接続制御回路12は、検知したホストシステム1側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きと、USBドック2の接続制御回路22からステータス情報として受信したUSBドック2側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きとの双方に基づき、スイッチ13を制御する。なお、図1A乃至図1Dに示されるように、ここでは、第1比較例において図2Aおよび図2Bに示したパターン1´がUSBドック2側において固定的に適用されるものと想定する。
【0043】
図1Aに示されるように、ケーブル3がNormal-Normalで接続された場合、ホストシステム1の接続制御回路12は、第1比較例において図2Aで示したように信号線が割り当てられるように、つまり、パターン1が適用されるように、スイッチ13を制御する。
【0044】
図1Bに示されるように、ケーブル3がFlipped-Normalで接続された場合、ホストシステム1の接続制御回路12は、第1比較例において図2Bで示したように信号線が割り当てられるように、つまり、パターン2が適用されるように、スイッチ13を制御する。
【0045】
図1Cに示されるように、ケーブル3がNormal-Flippedで接続された場合、ホストシステム1の接続制御回路12は、ホストシステム1側がNormalであるが、第1比較例において図2Bで示したように信号線が割り当てられるように、つまり、パターン2が適用されるように、スイッチ13を制御する。
【0046】
図1Dに示されるように、ケーブル3がFlipped-Flippedで接続された場合、ホストシステム1の接続制御回路12は、ホストシステム1側がFlippedであるが、第1比較例において図2Aで示したように信号線が割り当てられるように、つまり、パターン1が適用されるように、スイッチ13を制御する。
【0047】
換言すれば、ホストシステム1の接続制御回路12は、ホストシステム1側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きとUSBドック2側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きとが一致している場合、USB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きがNormalである場合について定められるパターン1が適用され、また、ホストシステム1側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きとUSBドック2側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きとが一致していない場合、USB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きがFlipped である場合について定められるパターン2が適用されるように、スイッチ13を制御する。
【0048】
このように、本実施形態のシステムでは、ホストシステム1の接続制御回路12が、ホストシステム1側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きを検知するとともに、USBドック2の接続制御回路22から、USBドック2側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きを取得して、ホストシステム1側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きと、USBドック2側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きとの双方に基づき、スイッチ13を制御することで、USB Type-Cコネクタ(Receptacle)21を備えるUSBドック2において、第1比較例では必要であったスイッチ26を不要とすることができる。
【0049】
つまり、本実施形態のシステムは、利便性や安全性を損なうことなく、2つの電子機器の中の一方の電子機器において信号切り替え用のスイッチを不要とすることができる。
【0050】
図4に、本実施形態のシステム(A)、第1比較例(B)、第2比較例(C)のそれぞれにおけるスイッチ(13,26)の切り替えパターンを一覧として改めて示す。
【0051】
なお、前述の説明では、第1比較例において図2Aおよび図2Bに示したパターン1´がUSBドック2側において固定的に適用されることと想定した。これに限らず、第1比較例において図2Cおよび図2Dに示したパターン2´がUSBドック2側において固定的に適用されるようにしてもよい。図5に、この場合における、本実施形態のシステムのスイッチ13の切り替えパターンを示す。
【0052】
つまり、ケーブル3がNormal-Normalで接続された場合、ホストシステム1の接続制御回路12は、ホストシステム1側がNormalであるが、第1比較例において図2Dで示したように信号線が割り当てられるように、つまり、パターン2が適用されるように、スイッチ13を制御する。
【0053】
また、ケーブル3がFlipped-Normalで接続された場合、ホストシステム1の接続制御回路12は、ホストシステム1側がFlippedであるが、第1比較例において図2Cで示したように信号線が割り当てられるように、つまり、パターン1が適用されるように、スイッチ13を制御する。
【0054】
ケーブル3がNormal-Flippedで接続された場合、ホストシステム1の接続制御回路12は、第1比較例において図2Cで示したように信号線が割り当てられるように、つまり、パターン1が適用されるように、スイッチ13を制御する。
【0055】
ケーブル3がFlipped-Flippedで接続された場合、ホストシステム1の接続制御回路12は、第1比較例において図2Dで示したように信号線が割り当てられるように、つまり、パターン2が適用されるように、スイッチ13を制御する。
【0056】
図6は、本実施形態のシステムのホストシステム1(接続制御回路12)の一動作手順を示すフローチャートである。
【0057】
ホストシステム1の接続制御回路12は、ホストシステム1のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)11に対して、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、Normal/Flippedのいずれの向きで挿入されているかを検知する(ステップA1)。
【0058】
また、ホストシステム1の接続制御回路12は、USBドック2の接続制御回路22から、USBドック2のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)21に対して、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、Normal/Flippedのいずれの向きで挿入されているかを受信する(ステップA2)。なお、ステップA1とステップA2とは、並行して実行してもよいし、順番を入れ替えて実行してもよい。
【0059】
そして、ホストシステム1の接続制御回路12は、検知したホストシステム1側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きと、USBドック2の接続制御回路22から受信したUSBドック2側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きとの双方に基づき、スイッチ13を制御する(ステップA3)。
【0060】
図7は、本実施形態のシステムのUSBドック2(接続制御回路22)の一動作手順を示すフローチャートである。
【0061】
USBドック2の接続制御回路22は、USBドック2のUSB Type-Cコネクタ(Receptacle)21に対して、ケーブル3のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31が、Normal/Flippedのいずれの向きで挿入されているかを検知する(ステップB1)。
【0062】
そして、USBドック2の接続制御回路22は、検知したUSBドック2側のUSB Type-Cコネクタ(Plug)31の向きを、ホストシステム1の接続制御回路12へ送信する(ステップB2)。
【0063】
以上のように、本実施形態のシステムにおいては、利便性や安全性を損なうことなく、2つの電子機器の中の一方の電子機器において信号切り替え用のスイッチを不要とすることが実現される。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1…ホストシステム、2…USBドック、3…ケーブル、11…ホストシステム側USB Type-Cコネクタ(Receptacle)、12…ホストシステム側接続制御回路、13…スイッチ、14…EC、15…GPU、16…USBコントローラ、21…USBドック側USB Type-Cコネクタ(Receptacle)、22…ホストシステム側接続制御回路、23…USB r3.1ハブ、24…USBコネクタ、25…DPコネクタ、31…ケーブル側USBType-Cコネクタ(Plug)。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7