(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 304B
(21)【出願番号】P 2018075924
(22)【出願日】2018-04-11
【審査請求日】2019-05-15
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
【合議体】
【審判長】長崎 洋一
【審判官】▲吉▼川 康史
【審判官】蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-273566(JP,A)
【文献】特開2015-198776(JP,A)
【文献】特許第6553673(JP,B2)
【文献】特開2004-22569(JP,A)
【文献】特開平11-162265(JP,A)
【文献】特開2001-70596(JP,A)
【文献】特開2004-8624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技が可能な遊技機であって、
複数の信号配線を構成するパターンが形成され、前記複数の信号配線により複数の電気部品が接続された基板を備え、
前記パターンは、
前記複数の信号配線が平行または略平行な第1形状となる平行配線部と、
前記複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、他の信号配線と平行ではない第2形状となる特定配線部と、を含み、
前記複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となり、
前記複数の信号配線は、それぞれの信号配線で伝送される信号を同期して伝送可能であり、
前記基板
には、前記複数の信号配線と異なり、非同期信号であるリセット信号を伝送するためのリセット信号配線を構成する特別パターンが形成され、
前記リセット信号配線は、
蛇行形状を含まないように形成され、
さらに、
遊技媒体が進入可能な第1進入領域および第2進入領域と、
前記第1進入領域に進入した遊技媒体を検出可能な第1検出手段と、
前記第2進入領域に進入した遊技媒体を検出可能な第2検出手段と、
前記第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1識別情報の可変表示を実行可能な第1可変表示手段と、
前記第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第2識別情報の可変表示を実行可能な第2可変表示手段と、
前記第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1特定演出を実行可能であり、前記第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて該第1特定演出と表示態様が共通する第2特定演出を実行可能な特定演出実行手段と、を備え、
前記第1進入領域に進入した遊技媒体が前記第1検出手段に検出されるまでに流下する距離の方が、前記第2進入領域に進入した遊技媒体が前記第2検出手段に検出されるまでに流下する距離よりも長く、
前記第1検出手段により遊技媒体が検出されてから前記第1特定演出を実行するまでの期間よりも、前記第2検出手段により遊技媒体が検出されてから前記第2特定演出を実行するまでの期間の方が長い
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技が可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機において、CPUやROMなどの電気部品を接続する信号線に関する技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術によると、例えば信号の同期が乱れやすくなるなど、適切な基板構成が得られなくなるおそれがある。
【0005】
この発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、適切な基板構成が可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(A)上記目的を達成するため、本願の請求項に係る遊技機は、遊技が可能な遊技機であって、複数の信号配線を構成するパターンが形成され、前記複数の信号配線により複数の電気部品が接続された基板を備え、前記パターンは、前記複数の信号配線が平行または略平行な第1形状となる平行配線部と、前記複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、他の信号配線と平行ではない第2形状となる特定配線部と、を含み、前記複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となり、前記複数の信号配線は、それぞれの信号配線で伝送される信号を同期して伝送可能であり、前記基板
には、前記複数の信号配線と異なり、非同期信号であるリセット信号を伝送するためのリセット信号配線を構成する特別パターンが形成され、前記リセット信号配線は、
蛇行形状を含まないように形成され、さらに、遊技媒体が進入可能な第1進入領域および第2進入領域と、前記第1進入領域に進入した遊技媒体を検出可能な第1検出手段と、前記第2進入領域に進入した遊技媒体を検出可能な第2検出手段と、前記第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1識別情報の可変表示を実行可能な第1可変表示手段と、前記第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第2識別情報の可変表示を実行可能な第2可変表示手段と、前記第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1特定演出を実行可能であり、前記第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて該第1特定演出と表示態様が共通する第2特定演出を実行可能な特定演出実行手段と、を備え、前記第1進入領域に進入した遊技媒体が前記第1検出手段に検出されるまでに流下する距離の方が、前記第2進入領域に進入した遊技媒体が前記第2検出手段に検出されるまでに流下する距離よりも長く、前記第1検出手段により遊技媒体が検出されてから前記第1特定演出を実行するまでの期間よりも、前記第2検出手段により遊技媒体が検出されてから前記第2特定演出を実行するまでの期間の方が長いことを特徴とする。
このような構成によれば、適切な基板構成が可能になる。また、演出効果を高めることができる。
(1)上記目的を達成するため、他の遊技機は、遊技が可能な遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、複数の信号配線を構成するパターンが形成され(例えば
図17を参照)、前記複数の信号配線により複数の電気部品(例えばRAM102とCPU103など)が接続された基板(例えば主基板11など)を備え、前記パターンは、前記複数の信号配線が平行または略平行な第1形状となる平行配線部(例えば領域30AK10Rなど)と、前記複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、他の信号配線と平行ではない第2形状となる特定配線部(例えば領域30AK11Rなど)とを含み、前記複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となり、さらに、遊技媒体(例えば、遊技球)が入賞可能な第1入賞領域(例えば、第1始動入賞口9013、第3始動入賞口9012、第1大入賞口)および第2入賞領域(例えば、第2始動入賞口9014、第2大入賞口)と、第1入賞領域に入賞した遊技媒体を検出可能な第1検出手段(例えば、第1始動口スイッチ9013a、第3始動口スイッチ9012a、第1カウントスイッチ9023A)と、第2入賞領域に入賞した遊技媒体を検出可能な第2検出手段(例えば、第2始動口スイッチ9014a、第2カウントスイッチ9023B)と、第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1特定演出(例えば、第1保留表示の表示、第1大入賞口への遊技球の入賞にもとづく総賞球数表示の更新)を実行可能であり、第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第2特定演出(例えば、第2保留表示の表示、第2大入賞口への遊技球の入賞にもとづく総賞球数表示の更新)を実行可能な特定演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより第1保留表示および第2保留表示を表示する部分、ステップS902909,S902912,S903910,S903913を実行することにより総賞球数表示の更新を行う部分)とを備え、第1入賞領域に入賞した遊技媒体が第1検出手段に検出されるまでに流下する距離と、第2入賞領域に入賞した遊技媒体が第2検出手段に検出されるまでに流下する距離とが異なり(例えば、各始動入賞口へ入賞した遊技球が各始動口スイッチによって検出されるまでに流下する距離は、始動入賞口毎に異なり(
図26参照)、各大入賞口へ入賞した遊技球が各カウントスイッチによって検出されるまでに流下する距離は、大入賞口毎に異なる)、第1検出手段により遊技媒体が検出されてから第1特定演出を実行するまでの期間と、第2検出手段により遊技媒体が検出されてから第2特定演出を実行するまでの期間とが異なる(例えば、第1始動口スイッチ9013aにより遊技球が検出されてから第1保留表示を表示するまでの期間と、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されてから第2保留表示を表示するまでの期間と、第3始動口スイッチ9012aにより遊技球が検出されてから第1保留表示を表示するまでの期間とが異なり(
図49参照)、第1カウントスイッチ9023Aにより遊技球が検出されてから総賞球数表示が更新されるまでの期間と、第2カウントスイッチ9023Bにより遊技球が検出されてから総賞球数表示が更新されるまでの期間とが異なる(
図50参照))ことを特徴とする。
このような構成によれば、適切な基板構成が可能になる。また、演出効果を高めることができる。
【0007】
(2)上記(1)の遊技機において、前記第2形状を含まない信号配線(例えば配線のパターン30AK10Dが構成する信号配線など)は、前記複数の電気部品における接続端子間の距離が、前記第2形状を含む信号配線(例えば配線のパターン30AK11D~30AK13Dが構成する信号配線など)よりも長くてもよい。
このような構成においては、適切な基板構成が可能になる。
【0008】
(3)上記(1)または(2)の遊技機において、前記第2形状となる信号配線に近接する所定領域(例えばスペース領域30AK0SPなど)には、導体が設けられていなくてもよい。
このような構成においては、適切な基板構成が可能になる。
【0009】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの遊技機において、前記基板には、該基板の一面に設けられた信号配線と該基板の他面に設けられた信号配線とを電気的に接続可能なスルーホール(例えばスルーホール30AK1H、30AK2Hなど)が設けられ、前記複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長は、前記スルーホールにより接続された信号配線について、該スルーホールの長さを含めて同一または略同一となってもよい。
このような構成においては、適切な基板構成が可能になる。
【0010】
(5)上記(1)から(4)のいずれかの遊技機において、前記基板は、複数の層(例えば表面層30AK1S、グランド層30AK1L、電源層30AK2L、配線層30AK3L、電源層30AK4L、裏面層30AK2Sなど)を含み、前記複数の層のうち前記第2形状となる信号配線が設けられる層に隣接する導体層(例えばグランド層30AK1Lなど)では、信号の伝送が行われなくてもよい。
このような構成においては、適切な基板構成が可能になる。
【0011】
(6)上記(1)から(5)のいずれかの遊技機において、前記複数の電気部品として、所定の処理を実行可能な処理手段(例えばCPU103など)と、前記処理の実行に関する情報を記憶可能な記憶手段(例えばRAM102など)とが接続されてもよい。
このような構成においては、適切な基板構成が可能になる。
【0012】
(7)あるいは、遊技が可能な遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、複数の信号配線を構成するパターンが形成され(例えば
図17を参照)、前記複数の信号配線により複数の電気部品(例えばRAM102とCPU103など)が接続された基板(例えば主基板11など)を備え、前記パターンは、前記複数の信号配線が平行または略平行な第1形状となる平行配線部(例えば領域30AK10Rなど)と、前記複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、前記第1形状とは異なる第2形状となる特定配線部(例えば領域30AK11Rなど)とを含み、前記複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となってもよい。
このような構成によっても、適切な基板構成が可能になる。
【0013】
(8)あるいは、遊技が可能な遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、複数の信号配線を構成するパターンが形成され(例えば
図17を参照)、前記複数の信号配線により複数の電気部品(例えばRAM102とCPU103など)が接続された基板(例えば主基板11など)を備え、前記パターンは、前記複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、直線形状または略直線形状を含む第1形状となる第1パターン(例えば配線のパターン30AK10Dなど)と、前記複数の信号配線のうち前記第1パターンに含まれない他の信号配線が、前記第1形状とは異なる第2形状となる第2パターン(例えば配線のパターン30AK11D~30AK13Dなど)とを含み、前記第1パターンおよび前記第2パターンは、前記複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となってもよい。
このような構成によっても、適切な基板構成が可能になる。
【0014】
(9)あるいは、遊技が可能な遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、複数の信号配線を構成するパターンが形成され(例えば
図17を参照)、前記複数の信号配線により複数の電気部品(例えばRAM102とCPU103など)が接続された基板(例えば主基板11など)を備え、前記パターンは、前記複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、所定区間(例えば区間30AK0SCなど)を最短または略最短の距離で接続する第1パターン(例えば配線のパターン30AK10D、30AK11Dなど)と、前記複数の信号配線のうち前記第1パターンに含まれない他の信号配線が、前記所定区間を前記第1パターンよりも長い距離で接続する第2パターン(例えば配線のパターン30AK12D、30AK13Dなど)とを含み、前記第1パターンおよび前記第2パターンは、前記複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となってもよい。
このような構成によっても、適切な基板構成が可能になる。
【0015】
(10)上記(8)または(9)の遊技機において、前記第1パターンは、前記複数の電気部品における接続端子間の距離が、前記第2パターンよりも長くてもよい。
このような構成においては、適切な基板構成が可能になる。
【0016】
(11)上記(8)から(10)のいずれかの遊技機において、前記第2パターンに近接する所定領域(例えばスペース領域30AK0SPなど)には、導体が設けられていなくてもよい。
このような構成においては、適切な基板構成が可能になる。
【0017】
(12)上記(8)から(11)のいずれかの遊技機において、前記基板は、複数の層(例えば表面層30AK1S、グランド層30AK1L、電源層30AK2L、配線層30AK3L、電源層30AK4L、裏面層30AK2Sなど)を含み、前記複数の層のうち前記第2パターンに含まれる信号配線が設けられる層に隣接する導体層(例えばグランド層30AK1Lなど)では、信号の伝送が行われなくてもよい。
このような構成においては、適切な基板構成が可能になる。
【0018】
また、後述する発明を実施するための形態には、以下の(13)~(18)に係る発明が含まれる。従来より、遊技機において、特開2012-045233号公報(
図75)に示されているような、遊技媒体である遊技球が入賞口などの入賞領域に入賞すると、入賞したことを示す入賞演出を実行するものがあった。しかしながら、上記した従来の遊技機では、演出効果を高めることができていなかった。この点に鑑み、演出効果を高めることができる遊技機の提供が求められている。
【0019】
(13)上記目的を達成するため、別態様による遊技機は、遊技を実行可能な遊技機であって、遊技媒体(例えば、遊技球)が入賞可能な第1入賞領域(例えば、第1始動入賞口9013、第3始動入賞口9012、第1大入賞口)および第2入賞領域(例えば、第2始動入賞口9014、第2大入賞口)と、第1入賞領域に入賞した遊技媒体を検出可能な第1検出手段(例えば、第1始動口スイッチ9013a、第3始動口スイッチ9012a、第1カウントスイッチ9023A)と、第2入賞領域に入賞した遊技媒体を検出可能な第2検出手段(例えば、第2始動口スイッチ9014a、第2カウントスイッチ9023B)と、第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1特定演出(例えば、第1保留表示の表示、第1大入賞口への遊技球の入賞にもとづく総賞球数表示の更新)を実行可能であり、第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第2特定演出(例えば、第2保留表示の表示、第2大入賞口への遊技球の入賞にもとづく総賞球数表示の更新)を実行可能な特定演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより第1保留表示および第2保留表示を表示する部分、ステップS902909,S902912,S903910,S903913を実行することにより総賞球数表示の更新を行う部分)とを備え、第1入賞領域に入賞した遊技媒体が第1検出手段に検出されるまでに流下する距離と、第2入賞領域に入賞した遊技媒体が第2検出手段に検出されるまでに流下する距離とが異なり(例えば、各始動入賞口へ入賞した遊技球が各始動口スイッチによって検出されるまでに流下する距離は、始動入賞口毎に異なり(
図26参照)、各大入賞口へ入賞した遊技球が各カウントスイッチによって検出されるまでに流下する距離は、大入賞口毎に異なる)、第1検出手段により遊技媒体が検出されてから第1特定演出を実行するまでの期間と、第2検出手段により遊技媒体が検出されてから第2特定演出を実行するまでの期間とが異なる(例えば、第1始動口スイッチ9013aにより遊技球が検出されてから第1保留表示を表示するまでの期間と、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されてから第2保留表示を表示するまでの期間と、第3始動口スイッチ9012aにより遊技球が検出されてから第1保留表示を表示するまでの期間とが異なり(
図49参照)、第1カウントスイッチ9023Aにより遊技球が検出されてから総賞球数表示が更新されるまでの期間と、第2カウントスイッチ9023Bにより遊技球が検出されてから総賞球数表示が更新されるまでの期間とが異なる(
図50参照))ことを特徴とする。そのような構成によれば、演出効果を高めることができる。
【0020】
(14)上記(13)の遊技機において、第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1識別情報(例えば、第1特別図柄)の可変表示を実行可能な第1可変表示手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ90560における、ステップS90301~S90304を実行することにより第1特別図柄を変動させる部分)と、第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第2識別情報(例えば、第2特別図柄)の可変表示を実行可能な第2可変表示手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ90560における、ステップS90301~S90304を実行することにより第2特別図柄を変動させる部分)と、第1識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第1保留記憶手段(例えば、第1保留記憶バッファ)と、第2識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第2保留記憶手段(例えば、第2保留記憶バッファ)と、保留記憶に対応する保留表示を表示可能な保留表示手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより第1保留表示および第2保留表示を表示する部分)と、保留表示の表示に伴う特別演出(例えば、出現演出)を実行可能な特別演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより出現演出を表示する部分)とを備え、第1検出手段により遊技媒体が検出されてから特別演出を開始するまでの期間(例えば、第1始動口スイッチ9013aにより遊技球が検出されてから出現演出が実行されるまでの期間Ta)と、第2検出手段により遊技媒体が検出されてから特別演出を開始するまでの期間(例えば、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されてから出現演出が実行されるまでの期間Tb)とが異なることとしてもよい。そのような構成によれば、演出効果を高めることができる。
【0021】
(15)上記(13)又は(14)の遊技機において、第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1識別情報(例えば、第1特別図柄)の可変表示を実行可能な第1可変表示手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ90560における、ステップS90301~S90304を実行することにより第1特別図柄を変動させる部分)と、第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第2識別情報(例えば、第2特別図柄)の可変表示を実行可能な第2可変表示手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ90560における、ステップS90301~S90304を実行することにより第2特別図柄を変動させる部分)と、第1識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第1保留記憶手段(例えば、第1保留記憶バッファ)と、第2識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第2保留記憶手段(例えば、第2保留記憶バッファ)と、保留記憶に対応する保留表示を表示可能な保留表示手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより第1保留表示および第2保留表示を表示する部分)と、保留表示の表示に伴う特別演出(例えば、出現演出)を実行可能な特別演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより出現演出を表示する部分)とを備え、第1検出手段により遊技媒体が検出されたときの特別演出の実行期間(例えば、第3始動口スイッチ9012aにより遊技球が検出されたときの出現演出Bの実行期間Ty)と、第2検出手段により遊技媒体が検出されたときの特別演出の実行期間(例えば、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されたときの出現演出Aの実行期間Tx)とが異なることとしてもよい。そのような構成によれば、演出効果を高めることができる。
【0022】
(16)上記(13)~(15)のいずれかの遊技機において、遊技者にとって有利な有利状態(例えば、大当り遊技状態)に制御可能な遊技機であって、第1入賞領域(例えば、第1大入賞口)に遊技媒体が入賞容易な第1状態(例えば、開放状態)と、遊技媒体が入賞困難な第2状態(例えば、閉鎖状態)とに制御可能な第1可変入賞手段(例えば、第1特別可変入賞球装置9020a)と、第2入賞領域(例えば、第2大入賞口)に遊技媒体が入賞容易な第1状態(例えば、開放状態)と、遊技媒体が入賞困難な第2状態(例えば、閉鎖状態)とに制御可能な第2可変入賞手段(例えば、第2特別可変入賞球装置9020b)と、有利状態において第1可変入賞手段および第2可変入賞手段を第1状態に制御可能な入賞領域制御手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ90560における、ステップS901414を実行する部分)と、第1検出手段により遊技媒体が検出されたこと、または第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて所定の価値を付与可能な価値付与手段(例えば、払出制御基板9037)とを備え、特定演出実行手段は、付与した価値を報知する特定演出を実行可能である(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ90100は、総賞球数表示の更新を行うことが可能である)こととしてもよい。そのような構成によれば、演出効果を高めることができる。
【0023】
(17)上記(13)~(16)のいずれかの遊技機において、可変表示を実行可能な遊技機であって、可変表示に対応する特定表示(例えば、保留表示、アクティブ表示)を、少なくとも、通常態様(例えば、「白」)と、通常態様よりも期待度の高い第1特定態様(例えば、「赤」)と、演出内容を示唆する第2特定態様(例えば、特殊示唆態様)とを含むいずれかの表示態様にて表示可能な特定表示手段(例えば、変形例1の演出制御用マイクロコンピュータ90100における、「白」や「赤」や特殊示唆態様にて保留表示を表示可能な部分(
図52参照))と、第2特定態様の特定表示により示唆された内容の演出を実行可能な演出実行手段(例えば、変形例1の演出制御用マイクロコンピュータ90100における、特殊示唆態様にて示唆された特殊ゾーン演出を実行可能である部分(
図52(5),(6)参照))とを備え、特定表示手段は、第2特定態様にて特定表示を表示した後、第2特定態様の特定表示により示唆された内容の演出が実行されたときに該特定表示の表示態様を第2特定態様から第1特定態様に変化可能である(例えば、変形例1の演出制御用マイクロコンピュータ90100は、
図52に示すように、特殊ゾーン演出が開始された5秒後に、特殊示唆態様にて表示していた保留表示9053を「赤」に変化可能である)こととしてもよい。そのような構成によれば、特定態様に対する期待感を高めることができる。
【0024】
(18)上記(13)~(17)のいずれかの遊技機において、可変表示を行うことが可能な遊技機であって、可変表示に対応する特定表示を表示可能な特定表示手段(例えば、変形例2の演出制御用マイクロコンピュータ90100における、保留表示やアクティブ表示を表示可能な部分)と、第1態様(例えば、特殊保留)により特定表示を表示した後に、該特定表示の表示態様を変化させる変化演出(例えば、作用演出を伴う保留予告演出)を実行可能な変化演出実行手段(例えば、変形例2の演出制御用マイクロコンピュータ90100における、
図55および
図56に示すいずれかの変化パターンにて保留表示またはアクティブ表示の表示態様を変化させる部分)とを備え、変化演出実行手段は、変化演出として、第1態様により特定表示を表示した後に、該特定表示の表示態様を有利度が高い第2態様(例えば、青色保留や赤色保留)に変化させる演出を実行可能である(例えば、
図55(D),(E)に示す変化パターン33~36および
図56(G)~(I)に示す変化パターン405~414にもとづく保留予告演出を実行可能である)とともに、変化演出として、第1態様により特定表示を表示した後に、該特定表示の表示態様を第2態様に変化させない場合に、該特定表示の表示態様を第3態様(例えば、通常保留)に変化させる演出を実行可能であり(例えば、
図55(C)に示す変化パターン31,32および
図56(F)に示す変化パターン401~404にもとづく保留予告演出を実行可能である)、第3態様により表示される特定表示は、第1態様により表示される特定表示よりも第2態様に変化する割合が低い(例えば、
図55および
図56に示すように、特殊保留から通常保留に変化した後にさらに赤色保留に変化する変化パターンは、始動入賞時に第1保留記憶数が4個でスーパーリーチ大当りの場合にのみ選択可能な変化パターン411,414しかなく、判定値の割り振りが極めて少なく、通常保留のまま変化しない変化パターン31,32,401~404の方が判定値の割り振りが多い。なお、特殊保留から通常保留に変化した後は赤色保留に変化する場合がないものであってもよい。)こととしてもよい。そのような構成によれば、変化演出を実行する場合の演出効果の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図である。
【
図2】パチンコ遊技機に搭載された各種の制御基板などを示す構成図である。
【
図17】配線のパターンが形成された部分の構成例を示す図である。
【
図18】配線のパターンを説明するための領域や区間を示す図である。
【
図20】配線のパターンに対応する設定例を示す図である。
【
図24】配線のパターンについて他の構成例を示す図である。
【
図25】パチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
【
図26】各始動口の内部構成などを示す構成図である。
【
図27】遊技制御基板(主基板)の回路構成例を示すブロック図である。
【
図28】演出制御基板、ランプドライバ基板および音声出力基板の回路構成例を示すブロック図である。
【
図29】主基板におけるCPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【
図30】4msタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【
図31】特別可変入賞球装置の開放パターンを示す説明図である。
【
図32】特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。
【
図33】始動口スイッチ通過処理を示すフローチャートである。
【
図34】保留特定領域および保留バッファの構成例を示す説明図である。
【
図35】大当り遊技における各ラウンドの前に実行される大入賞口開放前処理を示すフローチャートである。
【
図36】大入賞口開放中処理を示すフローチャートである。
【
図37】特別図柄プロセス処理における大当り終了処理を示すフローチャートである。
【
図38】演出制御用CPUが実行する演出制御メイン処理を示すフローチャートである。
【
図39】コマンド受信バッファの構成例を示す説明図である。
【
図40】コマンド解析処理を示すフローチャートである。
【
図41】コマンド解析処理を示すフローチャートである。
【
図42】演出制御プロセス処理を示すフローチャートである。
【
図43】演出制御プロセス処理における保留表示制御処理を示すフローチャートである。
【
図44】演出制御プロセス処理における大当り表示処理を示すフローチャートである。
【
図45】演出制御プロセス処理におけるラウンド中処理を示すフローチャートである。
【
図46】演出制御プロセス処理におけるラウンド後処理を示すフローチャートである。
【
図47】演出制御プロセス処理におけるラウンド後処理を示すフローチャートである。
【
図48】演出制御プロセス処理における大当り終了演出処理を示すフローチャートである。
【
図49】各始動入賞口への始動入賞が発生した場合におけるタイミングチャートである。
【
図50】各大入賞口への入賞が発生した場合におけるタイミングチャート(その1)である。
【
図51】各大入賞口への入賞が発生した場合におけるタイミングチャート(その2)である。
【
図52】変形例1における、特殊示唆態様にて保留表示を表示する場合における表示例を示す説明図である。
【
図53】変形例2における、最終表示態様決定テーブルの具体例を示す説明図である。
【
図54】変形例2における、最終表示態様決定テーブルの具体例を示す説明図である。
【
図55】変形例2における、変化パターン決定テーブルの具体例を示す説明図である。
【
図56】変形例2における、変化パターン決定テーブルの具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、この実施の形態に係るパチンコ遊技機1の正面図である。パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、遊技機用枠3とを備えている。その他、パチンコ遊技機1は、遊技機用枠3を回動可能に支持する外枠などを備えている。遊技盤2は、遊技盤面を構成するゲージ盤である。遊技機用枠3は、遊技盤2を固定する台枠である。遊技盤2には、ガイドレールなどによって囲まれた遊技領域が形成されている。発射装置から発射された遊技球(遊技媒体)は、発射通路を通過して、遊技領域に打ち込まれる。遊技機用枠3には、ガラス窓を有するガラス扉枠が回動可能に設けられている。
【0027】
遊技盤2の所定位置には、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、画像表示装置5、普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25C、通過ゲート41などが設けられている。その他、遊技領域における遊技盤面には、風車や多数の障害釘、一般入賞口、アウト口などが設けられていればよい。遊技領域の周辺部には遊技効果ランプ9が設けられている。遊技機用枠3の左右上部位置にはスピーカ8L、8Rが設けられている。
【0028】
遊技機用枠3の右下部位置には、打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。打球操作ハンドルは、遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作され、その操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力が調整される。遊技領域の下方における遊技機用枠3の所定位置には、遊技球を保持(貯留)する上皿(打球供給皿)と、上皿からの余剰球などを保持(貯留)する下皿が設けられている。下皿を形成する部材にはスティックコントローラ31Aが取り付けられ、上皿を形成する部材にはプッシュボタン31Bが設けられている。
【0029】
第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、画像表示装置5の画面上などでは、特別図柄や飾り図柄の可変表示が行われる。これらの可変表示は、普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)したことによる第1始動入賞の発生に基づいて、あるいは、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)したことによる第2始動入賞の発生に基づいて、実行可能となる。第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)などを用いて構成され、可変表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、識別情報(特別識別情報)である特別図柄(特図)が、変動可能に表示(可変表示)される。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)などを用いて構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の画面上では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる特別図柄(第1特図)の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる特別図柄(第2特図)の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。一例として、画像表示装置5の画面上には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。
【0030】
画像表示装置5の画面上には、保留記憶表示エリア5Hが配置されている。保留記憶表示エリア5Hでは、特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留表示が行われる。保留表示は、可変表示に関する情報の保留記憶に対応して表示可能なものであればよい。保留記憶表示エリア5Hとともに、あるいは、保留記憶表示エリア5Hに代えて、第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとを用いた保留表示が行われてもよい。
【0031】
図2は、各種基板や周辺装置などの構成例を示すブロック図である。パチンコ遊技機1には、例えば
図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、中継基板15、ドライバ基板19、電源基板92なども搭載されている。その他にも、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板、タッチセンサ基板などといった、各種の基板が搭載されてもよい。各種制御基板は、導体パターンが形成されて電気部品が実装されるプリント配線板などの電子回路基板だけではなく、電子回路基板に電気部品が実装(搭載)されて特定の電気的機能を実現するように構成された電子回路実装基板を含む概念である。
【0032】
電源基板92は、外部電源(商用電源)である交流電源からの電力を、主基板11や演出制御基板12などの各種制御基板を含めた電気部品に供給可能となるように構成されている。電源基板92は、例えば交流(AC)を直流(DC)に変換するための整流回路、所定の直流電圧を特定の直流電圧(例えば直流12Vや直流5Vなど)に変換するための電源回路などを、備えている。電源基板92にて生成された電圧は、ドロア中継基板を介して主基板11や演出制御基板12などに供給されてもよい。
【0033】
主基板11には、遊技制御用マイクロコンピュータ100、スイッチ回路110、ソレノイド回路111などが搭載されている。主基板11では、ゲートスイッチ21、始動口スイッチ(第1始動口スイッチ22Aおよび第2始動口スイッチ22B)、カウントスイッチ23といった、各種検出用のスイッチから取り込んだ信号が、スイッチ回路110を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送される。ゲートスイッチ21は、通過ゲート41を通過した遊技球(ゲート通過球)を検出する。ゲートスイッチ21によるゲート通過球の検出に基づいて、普通図柄表示器20による普通図柄の可変表示が実行可能となる。第1始動口スイッチ22Aは、第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球を検出する。第2始動口スイッチ22Bは、第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球を検出する。カウントスイッチ23は、大入賞口を通過(進入)した遊技球を検出する。第1始動入賞口や第2始動入賞口、大入賞口といった、各種の入賞口を通過した遊技球が検出された場合には、それぞれの入賞口に対応して予め個数が定められた賞球としての遊技球が払い出される。
【0034】
主基板11では、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号が、ソレノイド回路111を介して普通電動役物用のソレノイド81や大入賞口扉用のソレノイド82に伝送される。普通電動役物用のソレノイド81は、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を遊技球が通過しにくい状態(または通過しない状態)と通過しやすい状態(または通過する状態)とに変化可能にする。大入賞口扉用のソレノイド82は、特別可変入賞球装置7に形成された大入賞口を遊技球が通過不可能な状態と通過可能な状態とに変化可能にする。主基板11からは、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20などの表示制御を行うための指令信号が伝送される。
【0035】
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105とを備えて構成される。一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100では、例えば乱数回路104やRAM102の所定領域に設けられた遊技用ランダムカウンタなどにより、遊技の進行を制御するために用いられる各種の乱数値を示す数値データが更新可能にカウント(生成)される。遊技の進行を制御するために用いられる乱数は、遊技用乱数ともいう。
【0036】
演出制御基板12は、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号(演出制御コマンド)の受信に基づいて、画像表示装置5、スピーカ8L、8R、遊技効果ランプ9、演出用モータ60および演出用LED61といった演出用の電気部品による演出動作を制御可能とする。演出制御基板12には、演出制御用CPU120やROM121、RAM122、表示制御部123、乱数回路124、I/O125などが搭載されている。
【0037】
演出制御基板12に搭載された演出制御用CPU120は、ROM121から読み出した演出制御用のプログラムや固定データ等を用いて、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理を実行する。演出制御基板12に搭載された表示制御部123は、演出制御用CPU120からの表示制御指令などに基づき、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定する。例えば、表示制御部123は、画像表示装置5の表示画面内に表示させる演出画像の切換タイミングを決定することなどにより、飾り図柄の可変表示や各種の演出表示を実行させるための制御を行う。
【0038】
演出制御基板12には、コントローラセンサユニット35Aと、プッシュセンサ35Bとが接続されている。コントローラセンサユニット35Aは、傾倒方向センサと、トリガセンサとを含んでいる。傾倒方向センサは、スティックコントローラ31Aの操作桿に対する傾倒操作が行われたときに、複数のセンサを用いて操作桿の傾倒方向を検出可能にする。トリガセンサは、スティックコントローラ31Aの操作桿に設けられたトリガボタンに対する押引操作の有無を検出可能にする。すなわち、コントローラセンサユニット35Aにより、スティックコントローラ31Aの操作桿に対する傾倒動作やトリガボタンに対する押引動作といった、スティックコントローラ31Aを用いた遊技者の動作を検出することができる。プッシュセンサ35Bにより、プッシュボタン31Bに対する押下動作といった、プッシュボタン31Bを用いた遊技者の動作を検出することができる。演出制御基板12では、例えば乱数回路124やRAM122の所定領域に設けられた演出用ランダムカウンタなどにより、演出の実行を制御するために用いられる各種の乱数値を示す数値データが更新可能にカウント(生成)される。演出の実行を制御するために用いられる乱数は、演出用乱数ともいう。
【0039】
演出制御基板12は、第1基板12Aと、該第1基板12Aに対し基板対基板接続される第2基板12Bとを有する。第1基板12Aには、演出制御用CPU120や表示制御部123のグラフィックスプロセッサなどが搭載され、第2基板12Bには、ROM121や画像データメモリといった機種に固有なデータなどが記憶された電気部品が搭載されている。表示制御部123のグラフィックスプロセッサは、演出制御用CPU120の機能を統合したマイクロプロセッサであってもよいし、演出制御用CPU120とは別個のチップとして構成されたマイクロプロセッサであってもよい。
【0040】
音声制御基板13は、演出制御基板12とは別個に設けられた音声出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づいて、スピーカ8L、8Rから音声を出力させるための音声信号処理を実行する処理回路などが搭載されている。なお、演出制御基板12に搭載された表示制御部123を構成するグラフィックスコントローラなどが音声信号処理を実行可能であれば、音声制御基板13に帯域フィルタや増幅回路などを搭載すればよい。あるいは、音声制御基板13を省略して、演出制御基板12の基板上に帯域フィルタや増幅回路などを搭載してもよい。ランプ制御基板14は、演出制御基板12とは別個に設けられたランプ出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づいて、遊技効果ランプ9などにおける点灯や消灯を行うランプドライバ回路などが搭載されている。ドライバ基板19は、演出制御基板12とは別個に設けられた電気部品駆動用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づいて、演出用モータ60に含まれる各種モータの回動制御や演出用LED61に含まれる各種LEDの点灯制御などを行うためのドライバ回路などが搭載されている。ドライバ基板19からの出力信号は、演出用モータ60に含まれる各モータと、演出用LED61に含まれる各LEDとに向けて伝送される。
【0041】
パチンコ遊技機1においては、遊技媒体としての遊技球を用いた所定の遊技が行われ、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値が付与可能となる。遊技球を用いた遊技の一例として、パチンコ遊技機1における遊技機用枠3の右下部位置に設けられた打球操作ハンドルが遊技者によって所定操作(例えば回転操作)されたことに基づいて、所定の打球発射装置が備える発射モータなどにより、遊技媒体としての遊技球が遊技領域に向けて発射される。遊技領域を流下した遊技球が、各種の入賞口を通過(進入)した場合に、賞球としての遊技球が払い出される。特別図柄や飾り図柄の可変表示結果が「大当り」となった場合には、大入賞口が開放されて遊技球が通過(進入)しやすい状態となることで、遊技者にとって有利な有利状態としての大当り遊技状態となる。
【0042】
有利状態は大当り遊技状態に限定されず、時短状態や確変状態といった特別遊技状態が含まれてもよい。その他、大当り遊技状態にて実行可能なラウンド遊技の上限回数が第2ラウンド数(例えば「7」)よりも多い第1ラウンド数(例えば「15」)となること、時短状態にて実行可能な可変表示の上限回数が第2回数(例えば「50」)よりも多い第1回数(例えば「100」)となること、確変状態における大当り確率が第2確率(例えば1/50)よりも高い第1確率(例えば1/20)となること、通常状態に制御されることなく大当り遊技状態に繰り返し制御される回数である連チャン回数が第2連チャン数(例えば「5」)よりも多い第1連チャン数(例えば「10」)となることの一部または全部といった、遊技者にとってより有利な遊技状況となることが含まれていてもよい。
【0043】
主基板11では、電源基板92からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理の実行が開始される。遊技制御メイン処理において、CPU103は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。初期設定が終了すると、割込み許可とした後、ループ処理に入る。以後、所定時間(例えば2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的に遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。
【0044】
遊技制御用タイマ割込み処理は、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理などを含んでいる。スイッチ処理では、各種スイッチから入力される検出信号の状態を判定する。メイン側エラー処理では、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、必要ならば警告を発生可能とする。情報出力処理では、ホール管理コンピュータに供給される所定のデータを出力する。遊技用乱数更新処理では、遊技用乱数の少なくとも一部をソフトウェアにより更新する。特別図柄プロセス処理では、特別図柄の表示制御や大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。普通図柄プロセス処理では、普通図柄の表示制御や普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動動作設定などを、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。
【0045】
特別図柄プロセス処理では、まず、始動入賞判定処理が実行される。始動入賞判定処理を実行した後には、特図プロセスフラグの値に応じて選択した処理が実行される。このとき選択可能な処理は、特別図柄通常処理、変動パターン設定処理、特別図柄変動処理、特別図柄停止処理、大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理などを含んでいればよい。
【0046】
始動入賞判定処理では、第1始動入賞や第2始動入賞が発生したか否かを判定し、発生した場合には特図保留記憶数を更新するための設定などが行われる。特別図柄通常処理では、特図ゲームの実行を開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」とするか否かの判定が行われる。さらに、特別図柄通常処理では、可変表示結果に対応して、特図ゲームにおける確定特別図柄の設定などが行われる。変動パターン設定処理では、可変表示結果などに基づいて、変動パターンの決定などが行われる。特別図柄変動処理では、特別図柄を変動させるための設定や、変動開始からの経過時間を計測するための設定などが行われる。特別図柄停止処理では、特別図柄の変動を停止させ、可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定などが行われる。
【0047】
大当り開放前処理では、可変表示結果が「大当り」に対応して、大当り遊技状態において大入賞口を開放状態とするための設定などが行われる。大当り開放中処理では、大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すか否かの判定などが行われる。大当り開放後処理では、大入賞口を閉鎖状態に戻した後、ラウンドの実行回数が上限値に達したか否かを判定し、達していなければ次回のラウンドを実行可能とし、達していれば大当り遊技状態を終了させるための設定などが行われる。大当り終了処理では、大当り遊技状態の終了を報知するエンディング演出の実行期間に対応した待ち時間が経過するまで待機した後、確変制御や時短制御を開始するための設定などが行われる。
【0048】
演出制御基板12では、電源基板92からの電力供給が開始されると、演出制御用CPU120が演出制御メイン処理の実行を開始する。演出制御メイン処理では、所定の初期化が行われた後、タイマ割込みが発生する毎に、コマンド解析処理、演出制御プロセス処理、演出用乱数更新処理が実行される。コマンド解析処理では、主基板11から伝送された演出制御コマンドを解析し、解析結果に応じたフラグがセットされる。演出制御プロセス処理では、演出用の電気部品を所定の手順に従って制御するために、各種の処理が選択されて実行される。演出用乱数更新処理では、演出用乱数を生成するためのカウント値などをソフトウェアにより更新する。
【0049】
演出制御プロセス処理では、まず、保留表示更新処理が実行される。保留表示更新処理を実行した後には、演出プロセスフラグの値に応じて選択した処理が実行される。このとき選択可能な処理は、可変表示開始待ち処理、可変表示開始設定処理、可変表示中演出処理、可変表示停止処理、大当り表示処理、大当り中演出処理、エンディング演出処理などを含んでいればよい。
【0050】
保留表示更新処理では、保留記憶表示エリア5Hの表示を、特図保留記憶数に応じて更新するための設定などが行われる。可変表示開始待ち処理では、特別図柄や飾り図柄の可変表示を開始するか否かの判定などが行われる。可変表示開始設定処理では、飾り図柄の可変表示を開始するための設定などが行われる。可変表示中演出処理では、飾り図柄の可変表示に対応して、演出用の電気部品を演出制御パターンに従って制御するための設定などが行われる。可変表示停止処理では、飾り図柄の可変表示を停止して可変表示結果となる確定飾り図柄を導出する制御などが行われる。
【0051】
大当り表示処理では、可変表示結果が「大当り」に対応して、大当りの発生を報知する演出(ファンファーレ演出)を実行するための制御などが行われる。大当り中演出処理では、大当り遊技状態に対応して、演出用の電気部品を演出制御パターンに従って制御するための設定などが行われる。エンディング演出処理では、大当り遊技状態の終了に対応して、エンディング演出の実行を制御するための設定などが行われる。
【0052】
図3は、パチンコ遊技機1が備える遊技機用枠3の背面図である。遊技機用枠3の背面上部には、球タンク150、ターミナル基板154が設けられている。また、補給通路151、払出装置152、賞球通路153も設けられている。遊技盤2の背面には、遊技制御基板用の基板ケース400、演出制御基板用の基板ケース800、カバー体301が設けられている。基板ケース400は、主基板11を収納する。基板ケース800は、演出制御基板12を収納する。カバー体301は、透明な合成樹脂などを用いて構成され、基板ケース800と基板ケース400の上部とを覆っている。遊技制御基板用の基板ケース400の下方位置には、払出制御基板91と、電源基板92とが、前後に重畳するように設けられている。
【0053】
図4~
図7を参照して、演出制御基板用の基板ケース800の構造を説明する。
図4は、基板ケース800を左後部の斜め上方から見た状態を示す分解斜視図である。
図5は、基板ケース800を右前部の斜め上方から見た状態を示す分解斜視図である。
図6は、ベース部材801を示す6面図である。
図7は、カバー部材802を示す6面図である。基板ケース800は、ベース部材801と、カバー部材802とから構成され、演出制御基板12を前後から挟持するように組み付けられる。ベース部材801は演出制御基板12の前面側を覆い、カバー部材802は演出制御基板12の背面側を覆う。
【0054】
ベース部材801は、透明な熱可塑性合成樹脂からなり、縦長略長方形状に形成されるベース板801aと、上下及び左右側辺に背面側に向けて立設される側壁801b~801eとから構成され、背面側に向けて開口する箱状に形成されている。ベース板801aには、ボス803、804、係止バー805、係止フック806、係止孔807、被係止部808、ワンウェイネジ809のネジ穴810、取付孔811、基板支持用リブ812、813、段部814a、814b、リブ815が設けられている。
【0055】
カバー部材802は、透明な熱可塑性合成樹脂からなり、縦長略長方形状に形成されるベース板821aと、上下及び左右側辺に背面側に向けて立設される側壁821b~811eとから構成され、背面側に向けて開口する箱状に形成されている。ベース板821aには、ネジ822が螺入されるネジ穴823、位置決め凸部824、ネジ825が螺入されるネジ穴826、位置決め凸部827、係止フック831、係止片832、係止部833、ワンウェイネジ809の取付孔834aが形成された取付片834、音量調整用スイッチ835aを外部に臨ませるスイッチ用開口835、コネクタ用開口836、837が設けられている。
【0056】
コネクタ用開口836は、ベース板821aの上部右側にて、第1基板12Aに搭載された各種基板側コネクタKCN10を外部に臨ませるために、縦長形状となるように形成されている。各種基板側コネクタKCN10は、レセプタクルKRE1~KRE4を含んでいればよい。レセプタクルKRE1は、主基板配線用のコネクタポートである。レセプタクルKRE2は、電源基板配線用のコネクタポートである。レセプタクルKRE3は、ドライバ基板配線用のコネクタポートである。レセプタクルKRE4は、音声制御基板配線用のコネクタポートである。なお、レセプタクルの配置や接続される配線は、パチンコ遊技機1の仕様に応じて任意に変更されたものであってもよい。
【0057】
主基板配線用のレセプタクルKRE1は、主基板11との間で電気的に接続される信号配線(主基板配線)を着脱自在に接続可能な配線接続装置の構成を有している。電源基板配線用のレセプタクルKRE2は、電源基板92との間で電気的に接続される信号配線(電源基板配線)を着脱自在に接続可能な配線接続装置の構成を有している。ドライバ基板配線用のレセプタクルKRE3は、ドライバ基板19との間で電気的に接続される信号配線(ドライバ基板配線)を着脱自在に接続可能な配線接続装置の構成を有している。音声制御基板配線用のレセプタクルKRE4は、音声制御基板13との間で電気的に接続される信号配線(音声制御基板配線)を着脱自在に接続可能な配線接続装置の構成を有している。
【0058】
図8~
図10は、レセプタクルKRE1の構成例を示している。
図8(A)は、左後部の斜め下方から見た状態を示す斜視図である。
図8(B)は、左後部の斜め上方から見た状態を示す斜視図である。
図9は、カバー部材802の外部にてレセプタクルKRE1の付近を背面側(後部側)から見た状態を示す背面図である。
図10は、レセプタクルKRE1の付近を下方側から見た状態を示す断面図である。レセプタクルKRE1は、差込口OP1が形成されたハウジングと、端子TA01~TA03とを備えている。
【0059】
差込口OP1は、主基板配線に設けられたコネクタプラグを差し込んで装着可能な開口部である。端子TA01~TA03は、例えば銅などの金属を用いて構成され、差込口OP1に主基板配線のコネクタプラグが差し込まれたときに、コネクタプラグに設けられた複数の端子のうちで、対応する位置に配置された端子と接触して電気的に導通する金属部材である。レセプタクルKRE1では、信号端子となる端子TA02の両側を挟む位置で、一対の接地端子となる端子TA01、TA03が演出制御基板12の基板上に表面実装されている。主基板配線では、信号伝送線となる信号ラインの両側を挟む位置で、一対の接地電圧線となる接地ラインが設けられていてもよい。あるいは、主基板配線として同軸ケーブルを用いて、同軸ケーブルの内部導体が端子TA02と電気的に接続され、同軸ケーブルの外部導体が端子TA01、TA03と電気的に接続されるように構成してもよい。
【0060】
レセプタクルKRE1は、端子配置面となる側面PL1にて、端子TA01~TA03が外部に引き出され、演出制御基板12(第1基板12A)の基板上に設けられた接続パッドに接合させることができる。端子を接続パッドに接合させる方式は、はんだなどを用いた金属接合方式であってもよいし、導電性樹脂接合や異方性導電部材接合などの接着接合方式であってもよい。側面PL1の背面側となる側面PL2の側には、固定用金具SS01、SS02が設けられている。
【0061】
基板ケース800のカバー部材802において、コネクタ用開口836のうちで、レセプタクルKRE1に対応して形成された開口領域836aは、他のレセプタクルに対応して形成された開口領域に比べて開口幅が狭くなるように形成されてもよい。レセプタクルKRE1の端子TA01~TA03は、それぞれ開口領域836aにて基板ケース800から露出する露出部と基板ケース800に被覆されて露出しない被覆部とを有するように形成されている。例えば、端子TA01~TA03において、対応する接続パッドに接合する先端部は、基板ケース800のカバー部材802に被覆されて露出しない被覆部に含まれていればよい。
【0062】
基板ケース800のカバー部材802には、部品収容部802aと、開口領域836aにおける内側端面となる内周壁面836bを形成する開口周縁部840とが、勾配部821e1を介して一体形成されていればよい。部品収容部802aは、演出制御基板12の基板上に実装された電気部品の少なくとも一部を収容可能に形成されている。開口領域836aにおいて、内周壁面836bとレセプタクルKRE1との間隔は、部品収容部802aに遠い側の内周壁面836bとレセプタクルKRE1の側面PL2との間隔が開口幅W1であり、部品収容部802aに近い側の内周壁面836bとレセプタクルKRE1の端子配置面となる側面PL1との間隔が開口幅W2である。そして、開口幅W2は、開口幅W1よりも広くなるように、開口領域836aやレセプタクルKRE1の配置が調整されていればよい。レセプタクルKRE1の端子TA01~TA03において、対応する接続パッドに接合されて表面実装された実装位置となる先端部は、開口領域836aにおける内周壁面836bを形成する開口周縁部840により被覆される。カバー部材802における開口周縁部840と演出制御基板12の基板面とにより、レセプタクルKRE1の実装位置に近接して、空間としてのスペースSP1が形成されている。
【0063】
端子TA01は、演出制御基板12の基板上に設けられたダミーパッドDP1に接合される。端子TA03は、演出制御基板12の基板上に設けられたダミーパッドDP2に接合される。また、端子TA01、TA03は、接続パッドGPA1に接合される。接続パッドGPA1は、演出制御基板12に設けられたスルーホールを介して、接地用の配線パターンが形成された配線層LY4に接続されていればよい。
図10に示す演出制御基板12の基板断面は、絶縁層LY1と絶縁層LY3との間に配線層LY2が形成され、レセプタクルKRE1が表面実装される側には、例えばポリイミドなどを用いて、保護層LY0が形成されていればよい。このように、演出制御基板12における配線パターンは、演出制御基板12の基板内にて内層部となる絶縁層LY1と絶縁層LY3との間に設けられた配線層LY2に形成されてもよい。あるいは、演出制御基板12における配線パターンは、演出制御基板12の基板上にて表面形成されてもよい。端子TA02は、信号伝送用の配線パターンと電気的に接続された接続パッドに接合される。
【0064】
レセプタクルKRE1が備える固定用金具SS01は、演出制御基板12の基板上に設けられたダミーパッドDP3に接合される。レセプタクルKRE1が備える固定用金具SS02は、演出制御基板12の基板上に設けられたダミーパッドDP4に接合される。このように、端子TA01~TA03が配置される側面PL1の背面側となる側面PL2の側にて、固定用金具SS01、SS02が、演出制御基板12の基板上に設けられたダミーパッドDP3、DP4に接合されるようにすればよい。
【0065】
主基板11から演出制御基板12に対しては、演出制御コマンドが送信されるところ、そのコマンドを伝送するための主基板配線では、信号伝送線となる信号ラインが1本のみとなる場合がある。これに対応して、演出制御基板12の基板上に表面実装されるレセプタクルKRE1では、信号端子となる端子TA02のみを設ける場合も考えられる。この場合には、レセプタクルKRE1の高さに応じた演出制御基板12の基板表面からの突出量に対して、レセプタクルKRE1の横幅や奥行きに応じた演出制御基板12の基板上における接合面の面積が減少しやすくなるので、レセプタクルKRE1の表面実装による接合強度を十分に確保できなくなるおそれがある。そこで、レセプタクルKRE1では、信号端子となる端子TA02の両側を挟む位置で、一対の接地端子となる端子TA01、TA03が演出制御基板12の基板上に表面実装されるようにする。これにより、レセプタクルKRE1の表面実装による接合強度を十分に確保できる適切な基板構成が可能になる。また、信号端子となる端子TA02の両側が一対の接地端子となる端子TA01、TA03で挟まれているので、ノイズの影響を受けにくい適切な基板構成が可能になる。
【0066】
レセプタクルKRE1において、端子TA01は演出制御基板12の基板上に設けられたダミーパッドDP1に接合され、端子TA03は演出制御基板12の基板上に設けられたダミーパッドDP2に接合される。また、端子TA01~TA03の先端部は、基板ケース800のカバー部材802に被覆されるように配置する。このように、端子TA01、TA03がダミーパッドDP1、DP2に接合されているので、レセプタクルKRE1の表面実装による接合強度を十分に確保できる適切な基板構成が可能になる。端子TA01~TA03の先端部が基板ケース800のカバー部材802に被覆されるので、端子と基板面との接合部分といった、表面実装における重要な部位を保護できる適切な基板構成が可能になる。なお、信号端子となる端子TA02については、ダミーパッドに接合されてもよいし、ダミーパッドには接合されないようにしてもよい。信号端子となる端子TA02をダミーパッドには接合されないようにすることで、導体形状の影響による信号劣化を防止してもよい。
【0067】
レセプタクルKRE1において、端子TA01~TA03が配置される側面PL1の背面側となる側面PL2の側にて、固定用金具SS01は演出制御基板12の基板上に設けられたダミーパッドDP3に接合され、固定用金具SS02は演出制御基板12の基板上に設けられたダミーパッドDP4に接合される。このように、固定用金具SS01、SS02がダミーパッドDP3、DP4に接合されているので、レセプタクルKRE1の表面実装による接合強度を十分に確保できる適切な基板構成が可能になる。なお、固定用金具SS01、SS02などの金属部材を基板上に接合する方法によらず、例えばレセプタクルKRE1のハウジングと同様の合成樹脂などを用いた固定部材を基板上に接着させるといった、任意の固定部材を基板上に接合できるものであればよい。
【0068】
基板ケース800のカバー部材802における部品収容部802aは、演出制御基板12の基板上に実装された電気部品の少なくとも一部を収容可能に形成され、開口領域836aにおける内周壁面836bとレセプタクルKRE1との間隔は、部品収容部802aに近い側の開口幅W2が遠い側の開口幅W1よりも広く形成されている。部品収容部802aに近い側は、レセプタクルKRE1において端子TA01~TA03が外部に引き出される端子配置面となる側面PL1の側となる。これに対し、部品収容部802aに遠い側は、レセプタクルKRE1において端子配置面の背面側となる側面PL2の側となる。したがって、開口領域836aにおける内周壁面836bとレセプタクルKRE1との間隔は、端子配置面となる側面PL1に対応する側の開口幅W2が端子配置面の背面となる側面PL2に対応する側の開口幅W1よりも広く形成されている。このように開口幅が調整されているので、例えばカバー部材802を容易に取り付けたり取り外したり位置合わせができる適切な基板構成が可能になる。また、カバー部材802の取付け時や取外し時にレセプタクルKRE1の端子配置面とカバー部材802とが衝突することによる破損を抑制できる適切な基板構成が可能になる。
【0069】
レセプタクルKRE1の端子TA01~TA03は、それぞれ開口領域836aにて基板ケース800のカバー部材802により被覆されず露出する露出部と基板ケース800のカバー部材802により被覆されて露出しない被覆部とが形成される。このように、各端子TA01~TA03には、露出部とは異なり、被覆されて露出しない被覆部が形成されるので、端子と基板面との接合部分といった、表面実装における重要な部位を保護できる適切な基板構成が可能になる。
【0070】
レセプタクルKRE1の端子TA01~TA03において、演出制御基板12の基板上で対応する接続パッドに接合するように表面実装された実装位置は、開口領域836aにおける内周壁面836bを形成するカバー部材802の開口周縁部840により被覆される。そして、カバー部材802の開口周縁部840と演出制御基板12の基板面とにより、レセプタクルKRE1の実装位置に近接するスペースSP1が形成される。このように、カバー部材802の開口周縁部840と演出制御基板12の基板面とが位置調整可能に配置されるので、レセプタクルKRE1の実装位置を保護できる適切な基板構成が可能になる。
【0071】
図11(A)は、主基板配線に対応する伝送経路を示している。
図11(A)に示すように、主基板配線用のレセプタクルKRE1にて、端子TA02に供給された信号SCDは、入力ドライバ回路130を介して、演出制御用CPU120に入力される。レセプタクルKRE1の端子TA01、TA03は、接地(グランドラインに接続)されている。
【0072】
図11(B)は、電源基板配線に対応する伝送経路を示している。電源基板配線用のレセプタクルKRE2は、端子TA11~TA30を備えている。このうち、レセプタクルKRE2において外側に対応する端子TA11、TA12と端子TA29、TA30とは、いずれも接地(グランドラインに接続)されている。また、端子TA11、TA12、TA29、TA30の他にも、端子TA25、TA26は、接地(グランドラインに接続)されている。レセプタクルKRE2の端子TA13、TA14には、直流34Vの電源電圧VSL2が供給される。レセプタクルKRE2の端子TA15~TA20には、直流12Vの電源電圧VDD2が供給される。レセプタクルKRE2の端子TA21~TA24には、直流5Vの電源電圧VCC2が供給される。レセプタクルKRE2の端子TA27、TA28には、直流12Vの電源電圧VDD3が供給される。
【0073】
電源基板配線用のレセプタクルKRE2に接続された電源基板配線を経由して電源基板92から演出制御基板12に供給された直流34Vの電源電圧VSL2は、そのまま電源電圧VSLとして演出制御基板12から出力され、ドライバ基板配線用のレセプタクルKRE3に接続されたドライバ基板配線を経由して、ドライバ基板19に供給される。例えば、電源基板配線用のレセプタクルKRE2において、電源電圧VSL2の供給を受ける端子TA13、TA14は、電源ラインLSLに接続され、電源ラインLSLがドライバ基板配線用のレセプタクルKRE3における所定端子に接続されている。
図4に示すように、電源基板配線用のレセプタクルKRE2はドライバ基板配線用のレセプタクルKRE3と隣接して設けられ、電源ラインLSLは演出制御基板12における主要な電気回路や電気部品に接近しない演出制御基板12の端部を通過するように配置されていればよい。
【0074】
図12は、電源電圧VSLの伝送経路を示している。電源基板92では、変圧回路501、直流電圧生成回路502などを用いて、外部電源である商用電源から直流34Vの電源電圧VSL2が生成される。例えば変圧回路501では、交流24Vの電源電圧が生成される。直流電圧生成回路502は、整流回路や平滑回路を含み、交流24Vの電源電圧を整流、平滑して直流34Vの電源電圧VSL2を生成する。直流34Vの電源電圧VSL2は、フィードバック制御などによる電圧制御が行われていないので、交流24Vの電源電圧の変動により、直流34Vの電源電圧VSL2も変動する。このように、レセプタクルKRE2の端子TA13、TA14に供給される直流34Vの電源電圧VSL2は、電圧制御が行われていない変動幅(リップル成分)が大きい直流電圧である。これに対し、レセプタクルKRE2の端子TA15~TA20に供給される直流12Vの電源電圧VDD2、レセプタクルKRE2の端子TA21~TA24に供給される直流5Vの電源電圧VCC2、レセプタクルKRE2の端子TA27、TA28に供給される直流12Vの電源電圧VDD3は、いずれも電源基板92において、フィードバック制御による電圧制御が行われ、直流34Vの電源電圧VSLと比較して、変動幅(リップル成分)が少ない直流電圧であればよい。
【0075】
演出制御基板12において、直流34Vの電源電圧VSLに対応する電源ラインLSLにはフィルタ回路などの電圧を安定化する安定化回路が介在しない。その一方で、ドライバ基板19では、直流34Vの電源電圧VSLをフィルタ回路511に入力して、電圧を安定化する。また、演出制御基板12において、直流34Vの電源電圧VSLとは異なる電源電圧に対応する電源ラインにはフィルタ回路などにより電圧を安定化する安定化回路が介在する。
【0076】
例えば電源基板配線用のレセプタクルKRE2において、直流12Vの電源電圧VDD2が供給される端子TA15~TA20は、フィルタ回路131aに接続され、直流5Vの電源電圧VCC2が供給される端子TA21~TA24は、フィルタ回路131bに接続され、直流12Vの電源電圧VDD3が供給される端子TA27、TA28は、フィルタ回路131cに接続されている。フィルタ回路131aの出力部は直流12Vの電源電圧VDSを供給する電源ラインLDSに接続され、フィルタ回路131bの出力部は直流5Vの電源電圧VCCを供給する電源ラインLCCに接続され、フィルタ回路131cの出力部は直流12Vの電源電圧VDCを供給する電源ラインLDCに接続されている。こうして、フィルタ回路131aはレセプタクルKRE2の端子TA15~TA20と直流12Vの電源電圧VDSに対応する電源ラインLDSとの間に介在し、フィルタ回路131bはレセプタクルKRE2の端子TA21~TA24と直流5Vの電源電圧VCCに対応する電源ラインLCCとの間に介在し、フィルタ回路131cはレセプタクルKRE2の端子TA27、TA28と直流12Vの電源電圧VDCに対応する電源ラインLDCとの間に介在する。
【0077】
電源ラインLSLは、直流34Vの電源電圧VSLを供給するために設けられている。電源ラインLDSは、直流12Vの電源電圧VDSを供給するために設けられている。電源ラインLCCは、直流5Vの電源電圧VCCを供給するために設けられている。電源ラインLDCは、直流12Vの電源電圧VDCを供給するために設けられている。したがって、フィルタ回路が介在しない電源ラインLSLは、フィルタ回路が介在する電源ラインLDS、LCC、LDCのいずれと比較しても、高い電源電圧を供給するために設けられている。
【0078】
レセプタクルKRE2では、直流12Vの電源電圧VDD2が供給される6つの端子TA15~TA20、直流5Vの電源電圧VCC2が供給される4つの端子TA21~TA24、直流12Vの電源電圧VDD3が供給される2つの端子TA27、TA28が設けられる一方で、直流34Vの電源電圧VSL2が供給される2つの端子TA13、TA14が設けられる。そのため、レセプタクルKRE2では、電源電圧が供給される端子のうちで、フィルタ回路に接続された端子TA15~TA20、TA21~TA24、TA27、TA28の端子数が、フィルタ回路に接続されていない端子TA13、TA14の端子数よりも多くなる。なお、それぞれの電源電圧に対応した端子数は、電源容量や負荷電流に応じて設定したものであればよい。
【0079】
レセプタクルKRE2では、端子TA15~TA20に直流12Vの電源電圧VDD2が供給され、端子TA21~TA24に直流5Vの電源電圧VCC2が供給され、端子TA27、TA28に直流12Vの電源電圧VDD3が供給される一方で、端子TA13、TA14に直流34Vの電源電圧VSL2が供給される。そして、レセプタクルKRE2の端子TA15~TA20と直流12Vの電源電圧VDSを供給する電源ラインLDSとの間にはフィルタ回路131aが介在し、レセプタクルKRE2の端子TA21~TA24と直流5Vの電源電圧VCCを供給する電源ラインLCCとの間にはフィルタ回路131bが介在し、レセプタクルKRE2の端子TA27、TA28と直流12Vの電源電圧VDCを供給する電源ラインLDCとの間にはフィルタ回路131cが介在する。これに対し、レセプタクルKRE2の端子TA13、TA14と直流34Vの電源電圧VSLを供給する電源ラインLSLとの間にはフィルタ回路が介在しない。このように、フィルタ回路が介在する電源ラインLDS、LCC、LDCは、直流12Vあるいは直流5Vといった複数種類の電源電圧を供給可能であり、フィルタ回路が介在しない電源ラインLSLは、直流34Vという一種類の電源電圧を供給可能である。レセプタクルKRE2では、端子TA13、TA14が端子TA15~TA24などよりも外側に配置されている。あるいは、レセプタクルKRE2では、端子TA15~TA24、TA27、TA28のうちで、例えば端子TA15~TA24のように、端子TA13、TA14よりも内側に配置された端子が含まれている。
【0080】
レセプタクルKRE2では、端子TA11、TA12と、端子TA29、TA30との間に、端子TA13~TA24、TA27、TA28が配置される。端子TA13~TA24、TA27、TA28は、いずれも電源電圧が供給される端子であり、各種の電源電圧に接続される電源電圧端子となる。これに対し、端子TA11、TA12と、端子TA29、TA30とは、いずれも電源電圧が供給されない端子であり、接地電圧に接続される接地端子となる。したがって、レセプタクルKRE2では、接地端子となる端子TA11、TA12と端子TA29、TA30との間に、電源電圧端子となる端子TA13~TA24、TA27、TA28が配置される。
【0081】
レセプタクルKRE2では、端子TA11、TA12と、端子TA25、TA26との間に、端子TA13、TA14と、端子TA15~TA24とが配置され、端子TA25、TA26と、端子TA29、TA30との間に、端子TA27、TA28が配置される。端子TA13、TA14は、直流34Vの電源電圧VSL2が供給される端子であり、電源電圧VSL2に接続される電源電圧端子である。端子TA15~TA20は、直流12Vの電源電圧VDD2が供給される端子であり、電源電圧VDD2に接続される電源電圧端子である。端子TA21~TA24は、直流5Vの電源電圧VCC2が供給される端子であり、電源電圧VCC2に接続される電源電圧端子である。端子TA27、TA28は、直流12Vの電源電圧VDD3が供給される端子であり、電源電圧VDD3に接続される電源電圧端子である。そのため、直流34Vの電源電圧VSL2に接続される電源電圧端子としての端子TA13、TA14と、直流34Vの電源電圧VSL2以外の電源電圧に接続される電源電圧端子としての端子TA15~TA24、TA27、TA28のうちの一部である端子TA15~TA24とが、接地端子となる端子TA11、TA12と端子TA25、TA26との間に配置される。また、直流34Vの電源電圧VSL2以外の電源電圧に接続される電源電圧端子としての端子TA15~TA24、TA27、TA28のうちで、他の一部である端子TA27、TA28が、接地端子となる端子TA25、TA26と端子TA29、TA30との間に配置される。
【0082】
端子TA27、TA28に供給される直流12Vの電源電圧VDD3は、降圧コンバータ回路132により直流1.05Vの電源電圧を生成するために用いられる。直流1.05Vの電源電圧は、例えば表示制御部123のグラフィックスプロセッサといった、特定のマイクロプロセッサに供給される。したがって、レセプタクルKRE2では、電源電圧に接続される端子TA13~TA24、TA27、TA28のうちで、変動幅(リップル成分)が比較的に大きい直流34Vの電源電圧VSL2に接続される端子TA13、TA14は、表示制御部123のグラフィックスプロセッサといった特定のマイクロプロセッサに供給する電源電圧の生成に用いられる直流12Vの電源電圧VDD3に接続されるTA27、TA28から最も離れて配置される。
【0083】
演出制御基板12では、直流34Vの電源電圧VSL2を安定化してから電源電圧VSLとして出力する場合も考えられる。しかしながら、演出制御基板12では直接的な用途のない直流34Vの電源電圧VSL2を安定化する回路素子の設置は、部品点数や基板容積の増大を招き、電力損失や製造コストも増加する。また、特別な回路素子の設置により、演出制御基板12のリユースや共通化が困難になるおそれもある。そこで、電圧制御が行われていない直流34Vの電源電圧VSL2は、そのまま電源電圧VSLとして演出制御基板12から出力され、ドライバ基板19にてフィルタ回路511に入力して電圧を安定化する。これにより、部品点数や基板容積の増大、電力損失や製造コストの増加を防止する適切な基板構成が可能になる。また、演出制御基板12のリユースや共通化が容易に行われる適切な基板構成が可能になる。また、電源ラインLSLは、演出制御基板12における主要な電気回路や電気部品から離れて配置されることにより、変動幅(リップル成分)が大きい直流電圧によるノイズの悪影響を防止する適切な基板構成が可能になる。
【0084】
演出制御基板12において、直流34Vの電源電圧VSLを供給する電源ラインLSLは、直流12Vの電源電圧VDSを供給する電源ラインLDS、直流5Vの電源電圧VCCを供給する電源ラインLCC、直流12Vの電源電圧VDSを供給する電源ラインLDSのいずれと比較しても、高い電源電圧となる直流34Vを供給する。一般的に、高い電源電圧を安定化する安定化回路は、低い電源電圧を安定化する安定化回路よりも、回路素子の容積や電力損失が大きなものになりやすく、回路素子の値段が高価なものになりやすい。そこで、高い電源電圧となる直流34Vの電源電圧VSLを供給する電源ラインLSLにはフィルタ回路が介在しないことにより、基板容積の増大、電力損失や製造コストの増加を防止する適切な基板構成が可能になる。
【0085】
レセプタクルKRE2において、2つの端子TA13、TA14には直流34Vの電源電圧VSLが供給される。これに対し、レセプタクルKRE2において、6つの端子TA15~TA20には直流12Vの電源電圧VDD2が供給され、4つの端子TA21~TA24には直流5Vの電源電圧VCC2が供給され、2つの端子TA27、TA28には直流12Vの電源電圧VDD3が供給される。したがって、演出制御基板12では、レセプタクルKRE2にて電源電圧が供給される端子のうちで、フィルタ回路131a~131cのいずれかに接続される端子TA15~TA24、TA27、TA28の端子数が、フィルタ回路に接続されない端子TA13、TA14の端子数よりも多くなる。このように端子数が設定されているので、例えば演出制御基板12にて電圧を安定化する対象となる電源電圧の用途や電源容量などに応じて、配線設計の自由度を向上させる適切な基板構成が可能になる。
【0086】
レセプタクルKRE2において、電源電圧が供給される端子のうちで、演出制御基板12にてフィルタ回路131a~131cのいずれかに接続される端子TA15~TA24、TA27、TA28は、直流12Vの電源電圧VDD2を供給可能な端子TA15~TA20と、直流5Vの電源電圧VCC2を供給可能な端子TA21~TA24と、直流12Vの電源電圧VDD3を供給可能な端子TA27、TA28とを、含んでいる。これに対し、レセプタクルKRE2において、電源電圧が供給される端子のうちで、演出制御基板12ではフィルタ回路に接続されない端子TA13、TA14は、直流34Vの電源電圧VSL2を供給可能であり、他の種類の電源電圧は供給しない。そのため、フィルタ回路が介在する電源ラインであるか、フィルタ回路が介在しない電源ラインであるかに応じて、供給可能な電源電圧の種類数が異なっている。より具体的には、フィルタ回路が介在する電源ラインは、直流12Vの電源電圧VDD2、直流5Vの電源電圧VCC2、直流12Vの電源電圧VDD2といった、複数種類の電源電圧を供給可能であり、フィルタ回路が介在しない電源ラインは、直流34Vの電源電圧VSLという一種類の電源電圧を供給可能である。このように、電源ラインに対応して供給可能な電源電圧の種類数が異なるので、例えば演出制御基板12にて電圧を安定化する対象となる電源電圧の用途などに応じて、配線設計の自由度を向上させる適切な基板構成が可能になる。
【0087】
また、フィルタ回路が介在しない電源ラインに接続された端子TA13、TA14は、フィルタ回路が介在する電源ラインに接続された端子TA15~TA24などよりも外側に配置されている。このような端子の配置により、例えば演出制御基板12にて電圧を安定化する対象となる電源電圧の用途などに応じて、配線設計の自由度を向上させる適切な基板構成が可能になる。加えて、端子TA13、TA14に供給された直流34Vの電源電圧VSL2を、そのまま電源電圧VSLとしてドライバ基板19に対して出力するための配線長を短縮する適切な基板構成が可能になる。
【0088】
レセプタクルKRE2において、端子TA13~TA24、TA27、TA28は、各種の電源電圧に接続される電源電圧端子となる。これに対し、レセプタクルKRE2において、端子TA11、TA12と、端子TA29、TA30とは、いずれも接地電圧に接続される接地端子となる。そして、端子TA13~TA24、TA27、TA28は、端子TA11、TA12と、端子TA29、TA30との間に配置されている。このような端子の配置により、ノイズの影響を受けにくい適切な基板構成が可能になる。また、電源電圧を遮蔽して、ノイズの発生を防止する適切な基板構成が可能になる。
【0089】
レセプタクルKRE2において、端子TA15~TA24、TA27、TA28は、直流34Vの電源電圧VSL2とは異なる電源電圧に接続される第1電源電圧端子となる。その一方で、レセプタクルKRE2において、端子TA13、TA14は、直流34Vの電源電圧VSL2に接続される第2電源電圧端子となる。また、レセプタクルKRE2において、端子TA11、TA12は接地電圧に接続される第1接地端子となり、端子TA25、TA26は接地電圧に接続される第2接地端子となり、端子TA29、TA30は接地電圧に接続される第3接地端子となる。そして、レセプタクルKRE2では、第2電源電圧端子に含まれる端子TA13、TA14と、第1電源電圧端子に含まれる端子TA15~TA24とが、第1接地端子に含まれる端子TA11、TA12と、第2接地端子に含まれる端子TA25、TA26との間に配置され、第1電源電圧端子に含まれる端子TA27、TA28が、第2接地端子に含まれる端子TA25、TA26と、第3接地端子に含まれる端子TA29、TA30との間に配置される。このような端子の配置により、ノイズの影響を受けにくい適切な基板構成が可能になる。特に、第2接地端子に含まれる端子TA25、TA26を、第2電源電圧端子に含まれる端子TA13、TA14および第1電源電圧端子に含まれる端子TA15~TA24と、第1電源電圧端子に含まれるTA27、TA28との間に配置させることで、さらにノイズの影響を受けにくい適切な基板構成が可能になる。また、電源電圧を効率よく遮蔽して、さらにノイズの発生を防止する適切な基板構成が可能になる。加えて、直流34Vの電源電圧VSL2に接続される端子TA13、TA14は、表示制御部123のグラフィックスプロセッサといった特定のマイクロプロセッサに供給する電源電圧の生成に用いられる直流12Vの電源電圧VDD3に接続されるTA27、TA28から離れて配置されるので、特定のマイクロプロセッサがノイズの影響を受けにくい適切な基板構成が可能になる。
【0090】
演出制御基板12では、レセプタクルKRE2の端子TA15~TA20にて供給された電源電圧VDD2から、分岐点DB1にて電源電圧VDLが分岐される。このような分岐点DB1にて電源電圧VDLが分岐された後に、フィルタ回路131aにより電源電圧VDSを安定化する。電源電圧VDLは、例えば演出用LED61に含まれる特定のLEDといった、特定の電気部品を駆動するために用いられる直流12Vの電源電圧である。電源電圧VDSは、増幅回路521に供給され、音声信号を出力するために用いられる直流12Vの電源電圧である。このように、フィルタ回路131aは、1の電源電圧VDD2を、電源電圧VDLと電源電圧VDSとに分岐した後に、電源電圧VDSを安定化する。演出制御基板12には、増幅回路521が設けられ、スピーカ8L、8Rに供給される音声信号を出力可能としてもよい。
【0091】
図13(A)は、電源電圧VDSを供給するための配線における配線長の関係を示している。演出制御基板12において、電源電圧VDSを増幅回路521に供給するための電源ラインLDSは、分岐点DB1からフィルタ回路131aの入力部までの配線長LL1を有する配線と、フィルタ回路131aの出力部から増幅回路521の入力部までの配線長LL2を有する配線とを、含んでいればよい。そして、配線長LL2は、配線長LL1よりも短くなるように、演出制御基板12における配線や回路の配置が調整されていればよい。このように、フィルタ回路131aから増幅回路521までの配線長LL2は、電源電圧VDSを分岐点DB1にて分岐させてからフィルタ回路131aまでの配線長LL1よりも短くなる。なお、増幅回路521やフィルタ回路131aは、演出制御基板12に設置されるものに限定されず、音声制御基板13に設置されてもよい。
【0092】
図13(B)は、増幅回路521やフィルタ回路131aを音声制御基板13に設置した場合における電源電圧VDSの伝送経路を示している。電源基板92では、変圧回路501、直流電圧生成回路502などを用いて、外部電源である商用電源から直流12Vの電源電圧VDD2が生成される。直流12Vの電源電圧VDD2は、電源基板配線用のレセプタクルKRE2において、端子TA15~TA20に供給される。演出制御基板12では、レセプタクルKRE2の端子TA15~TA20にて供給された電源電圧VDD2から、分岐点DB1にて電源電圧VDLが分岐された後、そのまま電源電圧VDSとして演出制御基板12から出力され、音声基板配線用のレセプタクルKRE4に接続された音声制御基板配線を経由して、音声制御基板13に供給されてもよい。例えば、電源基板配線用のレセプタクルKRE2において、電源電圧VDD2の供給を受ける端子TA15~TA20は、電源ラインLDSに接続され、電源ラインLDSが音声制御基板配線用のレセプタクルKRE4における所定端子に接続されていればよい。演出制御基板12において、直流12Vの電源電圧VDSに対応する電源ラインLDSにはフィルタ回路などの電圧を安定化する安定化回路が介在しなくてもよい。その一方で、音声制御基板13では、直流12Vの電源電圧VDSをフィルタ回路131aに入力して、電圧を安定化する。こうして安定化された電源電圧VDSを増幅回路521に供給すればよい。
【0093】
音声制御基板13には、音声制御用IC522、音声データROM523などが設けられてもよい。音声制御用IC522は、演出制御基板12の演出制御用CPU120などから出力された指令(音番号データなど)に応じて、音声や効果音を生成するための信号処理を実行する。音声データROM523は、音番号データに応じた制御データを記憶している。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば飾り図柄の可変表示期間)における音声や効果音の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。なお、音声制御基板13に設けられる各種の構成を、演出制御基板12に設けられるように構成し、音声制御基板13を備えないものであってもよい。
【0094】
音声制御用IC522などにより生成された音声信号を増幅して、スピーカ8L、8Rなどに出力可能な増幅回路521は、電源電圧に変動が生じると、出力される音声信号に歪みが生じるといった、音質に悪影響が及ぶおそれがある。そこで、直流12Vの電源電圧VDSは、フィルタ回路131aにより安定化した後に、増幅回路521に供給される。演出制御基板12において、1の電源電圧VDD2を、特定の電気部品を駆動するための電源電圧VDLと、増幅回路521に供給するための電源電圧VDSとに分岐した後に、フィルタ回路131aを用いて安定化した電源電圧VDSを増幅回路521に供給する。このように、フィルタ回路131aを用いて安定化した電源電圧VDSを増幅回路521に供給することで、増幅回路521を安定して動作させる適切な基板構成が可能になる。
【0095】
増幅回路521に供給するための電源電圧VDSに対応する電源ラインLDSにおいて、フィルタ回路131aから増幅回路521までの配線長LL2は、分岐点DB1にて電源電圧VDLが分岐されてからフィルタ回路131aに入力するまでの配線長LL1よりも短くなる。このように、フィルタ回路131aを用いて安定化した電源電圧VDSを増幅回路521に供給するまでの配線長を短くすることで、ノイズの影響を受けにくく、増幅回路521を安定して動作させる適切な基板構成が可能になる。
【0096】
演出制御基板12では、レセプタクルKRE2の端子TA21~TA24にて供給された電源電圧VCC2から、電源電圧VCLが分岐される。電源電圧VCLが分岐された後に、フィルタ回路131bにより電源電圧VCCを安定化する。電源電圧VCLは、例えば演出用モータ60に含まれる特定のモータや演出用LED61に含まれる特定のLEDといった、特定の電気部品を駆動するために用いられる直流5Vの電源電圧である。電源電圧VCCは、例えば演出制御用CPU120といった、所定の電気回路を駆動するために用いられる直流5Vの直流電源である。このように、フィルタ回路131bは、1の電源電圧VCC2を、電源電圧VCLと電源電圧VDDとに分岐した後の電源電圧VDDを安定化する。
【0097】
演出制御基板12では、レセプタクルKRE2の端子TA27、TA28にて供給された電源電圧VDD3を、フィルタ回路131cにより安定化した後に、電源電圧VDCを供給可能に分岐させる。電源電圧VDCは、電源断の発生を監視するために用いられる直流12Vの電源電圧である。また、電源電圧VDD3は、フィルタ回路131cにより安定化した後に、降圧コンバータ回路132に入力される。降圧コンバータ回路132は、1入力2出力の直流電圧を変換する回路である。
図11に示す降圧コンバータ回路132は、直流12Vの電源電圧VDD3をフィルタ回路131cにより安定化した電圧が入力されて、直流1.05Vの電源電圧と、直流3.3Vの電源電圧とに変換して出力する。降圧コンバータ回路132の出力部は、直流1.05Vの電源電圧を供給する電源ラインL10と、直流3.3Vの電源電圧を供給する電源ラインL33とに接続されている。直流1.05Vの電源電圧は、例えば表示制御部123に含まれるグラフィックスプロセッサといった、所定の電気回路を駆動するために用いられる。直流3.3Vの電源電圧は、例えばROM121や表示制御部123に含まれる画像データメモリといった、所定の電気回路を駆動するために用いられる。直流3.3Vの電源電圧は、レギュレータ回路133にも入力される。レギュレータ回路133は、例えばLDO(Low Drop-Out)レギュレータなどのシリーズレギュレータといったリニア方式の安定化電源回路であればよく、直流3.3Vの電源電圧が入力されて、直流1.5Vの電源電圧に変換して出力する。レギュレータ回路133の出力部は、直流1.5Vの電源電圧を供給する電源ラインL15に接続されている。直流1.5Vの電源電圧は、例えばRAM122といった、所定の電気回路を駆動するために用いられる。
【0098】
図14は、フィルタ回路131a~131cの構成例を示している。
図14(A)は、電源電圧VDSに対応するフィルタ回路131aの構成例を示している。
図14(B)は、電源電圧VCCに対応するフィルタ回路131bの構成例を示している。
図14(C)は、電源電圧VDCに対応するフィルタ回路131cの構成例を示している。
【0099】
図14(A)に示すフィルタ回路131aは、三端子コンデンサ85a、バイパスコンデンサC10、C11、電解コンデンサC1を用いて構成されていればよい。バイパスコンデンサC10、C11は、電解コンデンサC1と比較して、高周波のノイズを防止するノイズ対策用の電気部品であり、デカップリングコンデンサともいう。電解コンデンサC1は、バイパスコンデンサC10、C11と比較して、低周波のノイズを防止するノイズ対策用の電気部品である。三端子コンデンサ85aの入力端子(IN)は、フィルタ回路131aの入力部となり、直流12Vの電源電圧VDD2が供給される。三端子コンデンサ85aの出力端子(OUT)は、フィルタ回路131aの出力部となり、電圧が安定化された直流12Vの電源電圧VDSを供給する。三端子コンデンサ85aの接地端子(GND)は、接地(グランドラインに接続)されている。三端子コンデンサ85aの出力端子と接地端子との間には、0.1μFのバイパスコンデンサC10、47μFのバイパスコンデンサC11、1000μFの電解コンデンサC1が、接続されている。
【0100】
図14(B)に示すフィルタ回路131bは、三端子コンデンサ85b、バイパスコンデンサC12、C13、電解コンデンサC2を用いて構成されていればよい。バイパスコンデンサC12、C13は、電解コンデンサC2と比較して、高周波のノイズを防止するノイズ対策用の電気部品である。電解コンデンサC2は、バイパスコンデンサC12、C13と比較して、低周波のノイズを防止するノイズ対策用の電気部品である。三端子コンデンサ85bの入力端子(IN)は、フィルタ回路131bの入力部となり、直流5Vの電源電圧VCC2が供給される。三端子コンデンサ85bの出力端子(OUT)は、フィルタ回路131bの出力部となり、電圧が安定化された直流5Vの電源電圧VCCを供給する。三端子コンデンサ85bの接地端子(GND)は、接地(グランドラインに接続)されている。三端子コンデンサ85bの出力端子と接地端子との間には、0.1μFのバイパスコンデンサC12、47μFのバイパスコンデンサC13、1000μFの電解コンデンサC2が、接続されている。
【0101】
図14(C)に示すフィルタ回路131cは、三端子コンデンサ85c、バイパスコンデンサC14、電解コンデンサC3を用いて構成されていればよい。バイパスコンデンサC14は、電解コンデンサC3と比較して、高周波のノイズを防止するノイズ対策用の電気部品である。電解コンデンサC3は、バイパスコンデンサC14と比較して、低周波のノイズを防止するノイズ対策用の電気部品である。三端子コンデンサ85cの入力端子(IN)は、フィルタ回路131cの入力部となり、直流12Vの電源電圧VDD3が供給される。三端子コンデンサ85cの出力端子(OUT)は、フィルタ回路131cの出力部となり、電圧が安定化された直流12Vの電源電圧VDCを供給する。三端子コンデンサ85cの接地端子(GND)は、接地(グランドラインに接続)されている。三端子コンデンサ85cの出力端子と接地端子との間には、0.1μFのバイパスコンデンサC14、1000μFの電解コンデンサC3が、接続されている。
【0102】
フィルタ回路131a~131cは、各電源経路の電圧を安定化する安定化回路として機能する。例えばフィルタ回路131aは、電源ラインLDSにより供給される直流12Vの電源電圧VDSを安定化する。フィルタ回路131bは、電源ラインLCCにより供給される直流5Vの電源電圧VCCを安定化する。フィルタ回路131cは、電源ラインLDCにより供給される直流12Vの電源電圧を安定化する。演出制御基板12には、フィルタ回路131a~131cの他にも、各種電源電圧におけるノイズの発生を防止するノイズ防止回路が設けられてもよい。
【0103】
図15は、演出制御基板12に設けられるノイズ防止回路の構成例を示している。
図15(A)は、電源電圧VDLというLED用DC12V(直流12V)に対応するノイズ防止回路135aの構成例を示している。
図15(B)は、電源電圧VCLというLED/モータ用DC5V(直流5V)に対応するノイズ防止回路135bの構成例を示している。
図15(C)は、電源電圧VCCというIC用DC5V(直流5V)や直流3.3Vの電源電圧というIC用DC3.3V(直流3.3V)に対応するノイズ防止回路135cの構成例を示している。
【0104】
図15(A)に示すノイズ防止回路135aは、直列接続されたコンデンサC20および抵抗R20と、直列接続されたコンデンサC21および抵抗R21と、直列接続されたコンデンサC22および抵抗R22とを用いて構成されていればよい。これらの構成は、いずれも電源電圧VDLを供給する電源ラインLDLと接地電圧を提供する接地端子(グランドライン)とに接続されていればよい。コンデンサC20、C21、C22は、いずれも0.1μFのバイパスコンデンサであればよい。抵抗R20、R21、R22は、いずれも22Ωの抵抗値を有するものであればよい。
【0105】
図15(B)に示すノイズ防止回路135bは、直列接続されたコンデンサC23および抵抗R23と、直列接続されたコンデンサC24および抵抗R24とを用いて構成されていればよい。これらの構成は、いずれも電源電圧VCLを供給する電源ラインLCLと接地電圧を提供する接地端子(グランドライン)とに接続されていればよい。コンデンサC23、C24は、いずれも0.1μFのバイパスコンデンサであればよい。抵抗R23、R24は、いずれも22Ωの抵抗値を有するものであればよい。
【0106】
図15(C)に示すノイズ防止回路135cは、コンデンサC25~C28を用いて構成されていればよい。コンデンサC25は、電源電圧VCCを供給する電源ラインLCCと接地電圧を提供する接地端子(グランドライン)とに接続されていればよい。コンデンサC26、C27、C28は、いずれも直流3.3Vの電源電圧を供給する電源ラインL33と接地電圧を提供する接地端子(グランドライン)とに接続されていればよい。コンデンサC25~C28は、いずれも0.1μFのバイパスコンデンサであればよい。
【0107】
図15(A)に示すノイズ防止回路135aでは、コンデンサC20、C21、C22に加え、抵抗R20、R21、R22が用いられている。
図15(B)に示すノイズ防止回路135bでは、コンデンサC23、C24に加え、抵抗R23、R24が用いられている。その一方で、
図15(C)に示すノイズ防止回路135cでは、コンデンサC25~C28が用いられ、抵抗は用いられていない。このように、ノイズ防止回路135a、135bでは、ノイズ防止回路135cとは異なる回路素子として、抵抗R20、R21、R22や、抵抗R23、R24が、用いられている。
【0108】
図15(A)に示すノイズ防止回路135aにより安定化される電源電圧VDLは、例えば演出用LED61に含まれる特定のLEDといった、特定の電気部品を駆動するために用いられる。電源ラインLDLは、例えば演出用LED61に含まれる特定のLEDといった、特定の電気部品を駆動するための電源電圧VDLを供給する。
図15(B)に示すノイズ防止回路135bにより安定化される電源電圧VCLは、例えば演出用モータ60に含まれる特定のモータや演出用LED61に含まれる特定のLEDといった、特定の電気部品を駆動するために用いられる。電源ラインLCLは、例えば演出用モータ60に含まれる特定のモータや演出用LED61に含まれる特定のLEDといった、特定の電気部品を駆動するための電源電圧VCLを供給する。
図15(C)に示すノイズ防止回路135cにより安定化される電源電圧VCCと直流3.3Vの電源電圧は、例えば演出制御用CPU120やROM121あるいは表示制御部123に含まれる画像データメモリといった、特定の制御回路を含む電気回路を駆動するために用いられる。電源ラインLCCは、例えば演出制御用CPU120といった、特定の制御回路を含む電気回路を駆動するための電源電圧VCCを供給する。電源ラインL33は、例えばROM121あるいは表示制御部123の画像データメモリといった、特定の制御回路を含む電気回路を駆動するための直流3.3Vの電源電圧を供給する。このように、モータやLEDなど特定の電気部品を駆動するための電源電圧に対応するノイズ防止回路135a、135bでは、CPUやROMなど特定の電気回路を駆動するための電源電圧に対応するノイズ防止回路135cとは異なる回路素子として、抵抗R20、R21、R22や、抵抗R23、R24が、用いられている。
【0109】
演出用モータ60に含まれる特定のモータや演出用LED61に含まれる特定のLEDのような電流駆動型の回路素子を用いた負荷回路では、負荷回路の過渡現象により過大な突入電流が発生して、電気部品が破損してしまうおそれがある。そこで、ノイズ防止回路135aでは、コンデンサC20に抵抗R20を直列接続し、コンデンサC21に抵抗R21を直列接続し、コンデンサC22に抵抗R22を直列接続する。また、ノイズ防止回路135bでは、コンデンサC23に抵抗R23を直列接続し、コンデンサC24に抵抗R24を直列接続する。なお、電源電圧VDLが安定しているときには、コンデンサC20、C21、C22が充電状態となり、抵抗R20、R21、R22は非導通状態となるので、電力損失の発生を防止できる。電源電圧VCLが安定しているときには、コンデンサC23、C24が充電状態となり、抵抗R23、R24は非導通状態となるので、電力損失の発生を防止できる。その一方で、演出制御用CPU120やROM121あるいは表示制御部123の画像データメモリなどの半導体集積回路では、例えばCMOS回路といった、電圧駆動型の回路素子が用いられ、入力インピーダンスが比較的に大きくなる。そのため、回路の過渡現象による突入電流は発生しにくい。そのため、ノイズ防止回路135cでは、コンデンサC25~C28を用いる一方で、抵抗を用いる必要はない。こうして、電源電圧を供給する対象となる回路や電気部品の特性に応じて異なる回路素子を用いたノイズ防止回路を構成することにより、基板容積の増大や製造コストの増加を防止しつつ、ノイズの発生を防止する適切な基板構成が可能になる。
【0110】
図16は、電源電圧VDCを用いる電源監視回路140を示している。演出制御基板12では、電源電圧VDCが電源断の発生を監視するために用いられる。電源監視回路140は、例えば停電監視リセットモジュールICを用いて構成され、電源断信号を出力可能な電源監視手段を実現する回路である。例えば電源監視回路140は、電源電圧VDCが所定値(例えば10V)を超えると、オフ状態(ハイレベル)の電源断信号を出力する。その一方で、電源電圧VDCが所定値以下になった期間が、予め定められた待機時間以上継続したときに、オン状態(ローレベル)の電源断信号を出力する。電源監視回路140から出力された電源断信号は、演出制御用CPU120へと伝送される。
【0111】
電源断信号を出力するための監視対象となる電源電圧VDCは、直流1.05Vの電源電圧や直流3.3Vの電源電圧、直流1.5Vの電源電圧を生成するために用いられる。直流1.05Vの電源電圧は、例えば表示制御部123に含まれるグラフィックスプロセッサといった、所定の電気回路を駆動するために用いられる。直流3.3Vの電源電圧は、例えばROM121や表示制御部123に含まれる画像データメモリといった、所定の電気回路を駆動するために用いられる。直流1.5Vの電源電圧は、例えばRAM122といった、所定の電気回路を駆動するために用いられる。こうした電気回路に供給される電源電圧の生成に用いられる電源電圧VDCを監視対象とすることにより、電気回路の動作状態が不安定となる以前に、電源断信号を出力する(オン状態にする)ことができるので、各種電気回路における誤動作を防止できる。
【0112】
演出制御基板12では、レセプタクルKRE2の端子TA27、TA28にて供給された電源電圧VDD3を、フィルタ回路131cにより安定化した後に、降圧コンバータ回路132に入力する。降圧コンバータ回路132は、入力電圧を用いて、直流1.05Vの電源電圧と、直流1.05Vよりも高い直流3.3Vの電源電圧とを生成する。直流3.3Vの電源電圧は、レギュレータ回路133に入力される。レギュレータ回路133は、入力電圧を用いて、直流1.5Vの電源電圧を生成する。直流1.5Vの電源電圧は、直流1.05Vよりも高いが直流3.3Vよりも低い電源電圧となる。このように、降圧コンバータ回路132およびレギュレータ回路133を用いて、直流1.05Vの電源電圧と、直流1.05Vよりも高い直流1.5Vの電源電圧と、直流1.5Vよりも高い直流3.3Vの電源電圧とを生成することができ、降圧コンバータ回路132は、直流1.05Vの電源電圧と、直流3.3Vの電源電圧とを出力する一方で、レギュレータ回路133は、直流1.5Vの電源電圧を出力する。
【0113】
電源電圧VDD3を、フィルタ回路131cにより安定化した後に、分岐させた直流12Vの電源電圧VDCは、電源断の発生を監視する電源監視回路140に供給される。したがって、降圧コンバータ回路132の入力電圧は、直流12Vの電源電圧VDCと共通であり、降圧コンバータ回路132の入力電圧が電源監視回路140の監視対象になる。なお、電源電圧VDCを分岐させた後において、降圧コンバータ回路132の入力側に、所定容量(例えば47μF)のバイパスコンデンサが接続されてもよい。
【0114】
降圧コンバータ回路132およびレギュレータ回路133を用いて生成される電源電圧のうち、電圧値が最も小さい低電圧となる直流1.05Vの電源電圧は、例えば表示制御部123のグラフィックスプロセッサといった、特定のマイクロプロセッサに供給される。なお、直流1.05Vの電源電圧は、表示制御部123のグラフィックスプロセッサに供給されるものに限定されず、例えば演出制御用CPU120その他に任意のマイクロプロセッサに供給されてもよい。
【0115】
降圧コンバータ回路132およびレギュレータ回路133を用いて生成される電源電圧のうち、電圧値が最も大きく高電圧となる直流3.3Vの電源電圧は、例えばROM121や表示制御部123の画像データメモリなどに供給される。ROM121は、直流1.5Vの電源電圧により駆動する電気部品よりも先に起動可能であればよい。
【0116】
降圧コンバータ回路132およびレギュレータ回路133を用いて生成される電源電圧のうち、直流1.05Vよりも高く直流3.3Vよりは低い直流1.5Vの電源電圧は、例えばRAM122に供給される。RAM122は、例えばDDR(Double Data Rate)方式で記憶や読出が可能な一時記憶メモリであり、SIMM(Single In-line Memory Module)やDIMM(Dual In-line Memory Module)といった、メモリモジュールとして機能する基板を構成する。このようなRAM122を構成する基板は、演出制御基板12に着脱自在に接続可能な別基板として構成されてもよい。この場合、直流1.5Vの電源電圧は、演出制御基板12とは異なる基板に供給されることになる。
【0117】
降圧コンバータ回路132およびレギュレータ回路133に代えて、1入力3出力の降圧コンバータ回路を用いた場合には、特別な専用回路が必要になり、製造コストが増加するおそれがある。また、単一の回路における発熱量が増大して、電気回路が破損してしまうおそれがある。そこで、降圧コンバータ回路132では、フィルタ回路131cにより安定化した電源電圧VDD3(電源電圧VDCでも同様)が入力されて、直流1.05Vの電源電圧と、直流3.3Vの電源電圧とを出力する。レギュレータ回路133では、直流3.3Vの電源電圧が入力されて、直流1.5Vの電源電圧を出力する。これにより、製造コストの増加を防止するとともに、電気回路での発熱を分散する適切な基板構成が可能になる。
【0118】
降圧コンバータ回路132に供給される電圧と同一または略同一の電源電圧VDCは、電源監視回路140に供給され、電源断の発生が監視される。こうして、降圧コンバータ回路132およびレギュレータ回路133による各種電源電圧の生成に用いられる電源電圧VDCを、電源監視回路140の監視対象とするので、例えば表示制御部123のグラフィックスプロセッサといった、パチンコ遊技機1における演出を実行するために重要な電気回路の動作状態が不安定となる以前に、電源断の発生を検出する適切な基板構成が可能になる。
【0119】
降圧コンバータ回路132から出力された直流1.05Vの電源電圧は、例えば表示制御部123のグラフィックスプロセッサといった、特定のマイクロプロセッサに供給される。降圧コンバータ回路132から直流1.05Vの電源電圧を出力させることで、電源断が発生した場合に、レギュレータ回路133から出力させた構成よりも長時間が経過するまで直流1.05Vの電源電圧を維持することができる。これにより、電源断が発生した場合に、例えば表示制御部123のグラフィックスプロセッサといった、パチンコ遊技機1における演出を実行するために重要な電気回路の動作を可能な限り継続させる適切な基板構成が可能になる。
【0120】
降圧コンバータ回路132から出力された直流3.3Vの電源電圧は、例えばROM121に供給され、レギュレータ回路133から出力される直流1.5Vの電源電圧により駆動するRAM122などの電気部品よりも先に起動可能となる。これにより、電源投入された場合に、例えば演出制御用CPU120によりROM121の記憶データを即座に読出できる適切な基板構成が可能になる。
【0121】
レギュレータ回路133から出力された直流1.5Vの電源電圧は、例えばRAM122といった、演出制御基板12とは異なる基板として構成されたものに供給されてもよい。このように、演出制御基板12とは異なる基板に供給される直流1.5Vの電源電圧を、降圧コンバータ回路132とは異なるレギュレータ回路133から出力させることで、製造コストの増加を防止するとともに、電気回路での発熱を分散する適切な基板構成が可能になる。
【0122】
(特徴部30AKに関する説明)
図17は、本実施形態の特徴部30AKに関し、主基板11における一方の基板面(表面)にて、CPU103とRAM102とを接続する配線のパターンが形成された部分の構成例を示している。主基板11では、例えばRAM102とCPU103といった、複数の電気部品を複数の信号配線により接続するために、複数の信号配線を構成する配線のパターンが形成されている。CPU103は、パチンコ遊技機1における遊技の制御に関して、所定の処理を実行可能に構成された電気部品であり、RAM102はCPU103による処理の実行に関する情報を記憶可能に構成された電気部品である。
【0123】
複数の信号配線を構成する配線のパターンに対し、それらの周囲あるいは信号配線間における領域にて、1または複数のグランド導体が配置されている。グランド導体は、基準グランドや特性インピーダンス調整用グランドとして機能し、グランド電圧に維持される。
図17に示す構成例では、複数のグランド導体として、複数の信号配線の周囲における領域にグランド導体30AK10Gおよびグランド導体30AK11Gが配置され、複数の信号配線間における領域にグランド導体30AK20Gが配置されている。このように、複数の信号配線を構成する配線のパターンが設けられていない空白領域となる空域部分には、1または複数のグランド導体が設けられていてもよい。これにより、複数の信号配線から放射される電磁波ノイズや信号配線間での電磁波ノイズによる電磁妨害を、防止あるいは抑制できる。
【0124】
なお、複数の信号配線の周囲および信号配線間における双方の領域に複数のグランド導体が配置されるものに限定されず、複数の信号配線の周囲または信号配線間における一方の領域にのみグランド導体が配置されるものであってもよい。あるいは、このようなグランド導体が配置されないものであってもよい。
【0125】
図18は、
図17に示した複数の信号配線を構成する配線のパターンについて、より詳細に説明するための領域や区間を示している。
図18に示す領域30AK01Rは、複数の信号配線がCPU103に接続される側の端部における領域である。
図18に示す領域30AK10Rは、複数の信号配線がいずれも直線形状または略直線形状で互いに平行または略平行な第1形状となる領域であり、
図18に示す領域30AK11Rと領域30AK12Rは、少なくとも一部の信号配線が直線形状および略直線形状とは異なる形状で他の信号配線と平行および略平行ではない第2形状となる領域である。
図18に示す区間30AK0SCでは、複数の信号配線のうち一部の信号配線が最短または略最短の距離で接続する短距離パターンと短距離パターンに含まれない信号配線が短距離パターンよりも長い距離で接続する長距離パターンとが配置されている。
【0126】
図19は、
図18に示された領域30AK01Rの拡大図である。
図19に示す領域30AK01Rにおいて、複数の信号配線を構成する配線のパターンは、パターン30AK10D~30AK13Dと、パターン30AK10CKと、パターン30AK10CSと、パターン30AK10RSと、パターン30AK10A~30AK14Aとを含んでいる。
【0127】
図20は、
図19に示された配線のパターンに対応して、信号種類、信号同期の有無、蛇行形状の有無についての設定例を示している。
図20に示す信号種類は、各配線のパターンが構成する信号配線で伝送される電気信号の内容(用途)を示している。
図20に示す信号同期は、他の信号配線で伝送される電気信号に対する同期の有無を示している。
図20に示す蛇行形状は、RAM102とCPU103との間を接続する各配線のパターンについて、直線形状および略直線形状とは異なる蛇行形状となる部分が設けられているか否かを示している。蛇行形状は、ミアンダ形状やジグザグ形状、あるいは折返し形状とも称され、所定区間における信号配線の延設方向に対し、信号配線が繰り返し折り曲げられることにより、例えば延設方向に直交あるいは略直交する方向に折返し往復する形状であればよい。
【0128】
図20に示す設定例において、配線のパターン30AK10D~30AK13Dは、いずれもデータ信号を伝送するための信号配線を構成する。各信号配線で伝送されるデータ信号は、例えばクロック信号および他の信号配線で伝送されるデータ信号といった、他の信号配線で伝送される信号と同期して伝送される。配線のパターン30AK10CKは、クロック信号を伝送するための信号配線を構成する。クロック信号は、例えばデータ信号やアドレス信号、チップセレクト信号といった、他の信号配線で伝送される信号と同期して伝送される。配線のパターン30AK10CSは、チップセレクト信号を伝送するための信号配線を構成する。チップセレクト信号は、例えばクロック信号といった、他の信号配線で伝送される信号と同期して伝送される。配線のパターン30AK10RSは、リセット信号を伝送するための信号配線を構成する。リセット信号は、他の信号配線で伝送される信号とは同期しない非同期で伝送される。配線のパターン30AK10A~30AK14Aは、いずれもアドレス信号を伝送するための信号配線を構成する。各信号配線で伝送されるアドレス信号は、例えばクロック信号および他の信号配線で伝送されるアドレス信号といった、他の信号配線で伝送される信号と同期して伝送される。
【0129】
他の信号配線で伝送される信号と同期して伝送されるデータ信号、クロック信号、チップセレクト信号、アドレス信号のうちデータ信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10D~30AK13Dには、蛇行形状がない配線のパターン30AK10Dが含まれている。配線のパターン30AK10Dが構成する信号配線で伝送されるデータ信号とは異なるデータ信号、クロック信号、チップセレクト信号、アドレス信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターンは、少なくとも一部分が直線形状および略直線形状とは異なる形状としての蛇行形状となっている。
【0130】
配線のパターン30AK10Dが構成するデータ信号を伝送するための信号配線は、他のデータ信号、クロック信号、チップセレクト信号、アドレス信号を伝送するための信号配線に比べて、RAM102とCPU103における接続端子間の距離が長くなっている。そこで、配線のパターン30AK10Dが構成する信号配線で伝送されるデータ信号とは異なるデータ信号、クロック信号、チップセレクト信号、アドレス信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターンは、少なくとも一部分が蛇行形状となることにより、各信号配線の配線長が同一または略同一となる。その一方で、配線のパターン30AK10Dには蛇行形状を設ける必要がない。
【0131】
このように、同期信号を伝送するための信号配線のうち複数の電気部品における接続端子間の距離が他の接続端子間の距離と比べて長くなる信号配線は、例えば蛇行形状となる配線部分といった、直線形状および略直線形状とは異なる形状となる配線部分を含まないように、配線のパターンが形成されていればよい。逆にいうと、直線形状または略直線形状などの形状となる一方で蛇行形状のような直線形状および略直線形状とは異なる形状を含まない配線のパターンが構成する信号配線は、蛇行形状のような直線形状および略直線形状とは異なる形状を含む配線のパターンが構成する信号配線と比較して、複数の電気部品における接続端子間の距離が長い。あるいは、同期信号を伝送するための信号配線のうち複数の電気部品における接続端子間の距離が他の接続端子間の距離と比べて長くなる信号配線は、例えば蛇行形状となる配線部分といった、他の信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状となる配線部分を含まないように、配線のパターンが形成されていればよい。逆にいうと、他の信号配線と平行または略平行な形状となる一方で蛇行形状のような平行および略平行な形状とは異なる形状を含まない配線のパターンが構成する信号配線は、蛇行形状のような他の信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状を含む配線のパターンが構成する信号配線と比較して、複数の電気部品における接続端子間の距離が長い。これにより、各信号配線の配線長を同一または略同一とし、複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差(スキュー)が発生することを、防止あるいは抑制できる。複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差を減少させることにより、複数の信号配線で伝送される信号の信頼性を向上させることができる。
【0132】
配線のパターン30AK10RSには、蛇行形状が設けられていない。配線のパターン30AK10RSは、非同期信号であるリセット信号を伝送するための信号配線を構成する。リセット信号などの非同期信号を伝送する場合には、他の信号配線で伝送される信号との遅延時間差を考慮する必要がない。そこで、リセット信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10RSのように、非同期信号が伝送される信号配線を構成する配線のパターンには蛇行形状を設けない。配線のパターンに蛇行形状を設けないようにすれば、配線のパターンを配置する基板面積の増大が抑制されて、基板の小型化を図ることができる。
【0133】
蛇行形状を設けない配線のパターンとして、グランド電圧に維持されるダミー配線を構成する配線のパターンが配置されてもよい。例えば配線のパターン30AK10RSが構成する信号配線では、リセット信号が伝送されることに代えて、グランド電圧に維持されてもよい。配線のパターン30AK10RSは、データ信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10D~30AK13D、クロック信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10CK、チップセレクト信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10CSで構成される一群のパターンと、アドレス信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10A~30AK14Aで構成される一群のパターンとの間に配置されている。配線のパターン30AK10RSのような他の信号配線間に配置される信号配線をグランド電圧に維持されるダミー配線とすることにより、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害の防止あるいは抑制が図られる。蛇行形状を設けない配線のパターンとしては、グランド電圧に維持されるダミー配線に代えて、あるいはグランド電圧に維持されるダミー配線とともに、電源電圧に維持される配線のパターンが配置されてもよい。例えば配線のパターン30AK10RSが構成する信号配線では、リセット信号が伝送されることに代えて、電源電圧に維持されてもよい。なお、電源電圧に維持される配線のパターンは、他の信号配線を構成する配線のパターンと近接して配置すると、それぞれの信号配線どうしの電磁結合などにより、電磁波ノイズが発生するおそれがある。そこで、電源電圧に維持される配線のパターンを配置する場合には、グランド電圧に維持される配線のパターンを配置する場合と比較して、信号配線からの距離が長くなるように、各配線のパターンが形成されてもよい。これにより、信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害の防止あるいは抑制が図られる。
【0134】
図21は、
図18に示された領域30AK10Rの拡大図である。領域30AK10Rには、配線のパターン30AK10CK、30AK10CS、30AK10RS、30AK10A~14Aが形成されている。これらの配線のパターンは、領域30AK10Rにおいて、複数の信号配線がいずれも直線形状または略直線形状で互いに平行または略平行な形状となるように形成されている。このように、領域30AK10Rでは、複数の信号配線を構成する配線のパターンがいずれも直線形状または略直線形状となるように形成され、複数の信号配線が互いに平行または略平行な形状となるように配線のパターンが形成されている。
【0135】
図22は、
図18に示された領域30AK11Rの拡大図である。領域30AK11Rには、領域30AK10Rと同じく、配線のパターン30AK10CK、30AK10CS、30AK10RS、30AK10A~14Aが形成されている。これらの配線のパターンは、領域30AK11Rにおいて、少なくとも1の信号配線が直線形状または略直線形状となるように形成されている一方で、他の信号配線が直線形状および略直線形状とは異なる形状となるように形成されている。
図22に示す領域30AK11Rにおいて、例えばクロック信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10CK、チップセレクト信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10CSは、複数の折り曲げ部を含むものの、いずれも直線形状または略直線形状となるように形成されている。また、
図22に示す領域30AK11Rにおいて、リセット信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10RSは、折り曲げ部を含まない直線形状または略直線形状となるように形成されている。これに対し、
図22に示す領域30AK11Rにおいて、アドレス信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10A~30AK14Aは、複数の折り曲げ部により蛇行形状が形成され、直線形状および略直線形状とは異なる形状となるように形成されている。
【0136】
蛇行形状が形成される部分では、例えば複数の折り曲げ部を介することにより、信号配線が本来の延設方向に対して直交する方向へと屈曲されていればよい。各折り曲げ部では、信号配線が直角よりも大きい角度(鈍角)をなすように折り曲げられることにより、信号配線の延設方向が変更された配線のパターンが形成されていればよい。この場合に、各折り曲げ部における折り曲げ量は、直角よりも小さい角度となるように、信号配線が折り曲げられる。蛇行形状が形成される部分では、第1延設方向と、この第1延設方向に対して直交または略直交する第2延設方向とに、信号配線を延設可能とし、第1延設方向の信号配線を構成する配線のパターンと、第2延設方向の信号配線を構成する配線のパターンとの間には、複数の折り曲げ部が設けられていればよい。このように、信号配線の折り曲げ量が所定角度よりも小さい角度となる複数の折り曲げ部を介して信号配線の延設方向が変更される。折り曲げ量を小さくすることにより、折り曲げ部における配線のパターン幅が大きく変化してしまうことを抑制し、伝送路の特性インピーダンスが急変することを防止して、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害の防止あるいは抑制が図られる。
【0137】
各信号配線では、折り曲げ部の位置が他の信号配線における折り曲げ部の位置から所定長より長い距離となるように、複数の折り曲げ部が配置されていればよい。所定長は、例えば2mm~5mmの範囲に含まれる一定長といった、基板設計上の観点から予め定められた長さであればよい。信号配線の折り曲げ部では、特性インピーダンスの変化などにより、電磁波ノイズが発生しやすくなる。複数の信号配線に含まれる1の信号配線を構成する配線のパターンが形成する折り曲げ部は、複数の信号配線に含まれる他の信号配線を構成する配線のパターンが形成する折り曲げ部と接近して配置されると、各信号配線で伝送される信号が電磁波ノイズの影響を受けやすくなるおそれがある。そこで、複数の信号配線に含まれる1の信号配線を構成する配線のパターンが形成する折り曲げ部と、複数の信号配線に含まれる他の信号配線を構成する配線のパターンが形成する折り曲げ部とが、所定長より長い距離となるように間隔をあけて配置することにより、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害の防止あるいは抑制が図られる。
【0138】
また、領域30AK11Rでは、少なくとも1の信号配線が平行および略平行とは異なる形状となるように形成されている。
図22に示す領域30AK11Rにおいて、例えばクロック信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10CKと、チップセレクト信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10CSは、いずれも複数の折り曲げ部を介しながら、全体として互いの信号配線が平行または略平行な形状となるように形成されている。これに対し、
図22に示す領域30AK11Rにおいて、アドレス信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10A~30AK14Aは、複数の折り曲げ部により蛇行形状が形成されているので、全体として互いの信号配線が平行または略平行とは異なる形状となるように形成されている。
【0139】
図22に示す領域30AK11Rでは、複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、平行および略平行な形状とは異なる蛇行形状などの形状となっている。この領域30AK11Rにおいて、信号配線を構成する配線のパターンに近接するスペース領域30AK0SPには、少なくとも信号配線と同一の基板上で導体が設けられていない。スペース領域30AK0SPは、例えばアドレス信号を伝送するための信号配線を構成する配線のパターン30AK10A~30AK14Aのうち領域30AK11Rにて蛇行形状が設けられた配線のパターン30AK10A~30AK13Aに近接している。スペース領域30AK0SPには導体が設けられていないことにより、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害の防止あるいは抑制が図られる。蛇行形状となる配線のパターンに近接する領域に導体が設けられている場合には、信号配線から電磁波が放射される可能性があり、信号配線と導体との電磁結合などにより、電磁波ノイズが発生するおそれがある。そこで、例えばスペース領域30AK0SPのように、蛇行形状が設けられた配線のパターンに近接する領域には導体が設けられないことで、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害の防止あるいは抑制が図られる。
【0140】
図23は、多層配線基板として形成された主基板11の構成例を示す断面図である。
図23に示す主基板11は、合成樹脂を重ねて形成された多層構造を有し、各層の表面または内層には様々な配線のパターンを形成可能とされている。このような多層構造を有する主基板11に形成された配線のパターンを介して、例えばRAM102とCPU103といった、複数の電子部品が電気的に接続される。
図23に示す主基板11の多層構造は、表面層30AK1Sと、グランド層30AK1Lと、電源層30AK2Lと、配線層30AK3Lと、電源層30AK4Lと、裏面層30AK2Sとを含んでいる。
【0141】
主基板11における一方の基板面となる表面には、表面層30AK1Sが設けられ、信号配線を構成する配線のパターン30AK10Pおよびパターン30AK11Pが形成されている。主基板11における他方の基板面となる裏面には、裏面層30AK2Sが設けられ、信号配線を構成する配線のパターン30AK20Pが形成されている。主基板11の表面層30AK1Sに形成された配線のパターン30AK10Pは、主基板11の表面層30AK1Sおよび裏面層30AK2Sを貫通するスルーホール30AK1Hを介して、裏面層30AK2Sに形成された配線のパターン30AK20Pと電気的に接続されている。主基板11の表面層30AK1Sに形成された配線のパターン30AK11Pは、主基板11の表面層30AK1Sおよび裏面層30AK2Sを貫通するスルーホール30AK2Hを介して、裏面層30AK2Sに形成された配線のパターン30AK20Pと電気的に接続されている。このように、主基板11には、一方の基板面となる表面に設けられた表面層30AK1Sにおいて信号配線を構成する配線のパターン30AK10Pおよびパターン30AK11Pと、他方の基板面となる裏面に設けられた裏面層30AK2Sにおいて信号配線を構成する配線のパターン30AK20Pとを、電気的に接続可能なスルーホール30AK1Hおよびスルーホール30AK2Hが設けられている。
【0142】
図23に示すRAM102とCPU103を接続する複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長は、表面層30AK1Sに形成された配線のパターン30AK10Pおよびパターン30AK11Pと、裏面層30AK2Sに形成された配線のパターン30AK20Pとが構成する信号配線の配線長だけでなく、スルーホール30AK1Hおよびスルーホール30AK2Hの長さを含めて、同一または略同一となる。
図23に示す多層構造を有する主基板11において、スルーホール30AK1Hおよびスルーホール30AK2Hの長さを含めて、各信号配線の配線長を同一または略同一とし、複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差が発生することを、防止あるいは抑制できる。主基板11のような多層配線基板において複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差を減少させることにより、複数の信号配線で伝送される信号の信頼性を向上させることができる。
【0143】
図23に示す多層構造を有する主基板11において、表面層30AK1Sに隣接する導体層として、グランド層30AK1Lが設けられている。グランド層30AK1Lには、1または複数のグランド導体が配置され、グランド導体はグランド電圧に維持される。表面層30AK1Sにおいて信号配線を構成する配線のパターン30AK10Pおよびパターン30AK11Pは、少なくともいずれか一方のパターンにおいて、蛇行形状といった、直線形状および略直線形状とは異なる形状で複数の信号配線が平行および略平行な形状とは異なる形状となる領域を含むように形成されていればよい。このような表面層30AK1Sに隣接する導体層としてのグランド層30AK1Lでは、信号の伝送が行われない。配線のパターン30AK10Pおよびパターン30AK11Pが形成された表面層30AK1Sに隣接する導体層で信号の伝送が行われないので、配線のパターン30AK10Pおよびパターン30AK11Pが構成する複数の信号配線で伝送される信号が電磁波ノイズの影響を受けにくくなり、他の信号配線に電磁波ノイズの影響が及ぶことも、防止あるいは抑制できる。
【0144】
図23に示す多層構造を有する主基板11の裏面層30AK2Sにおいて信号配線を構成する配線のパターン30AK20Pが、蛇行形状といった、直線形状および略直線形状とは異なる形状で複数の信号配線が平行および略平行な形状とは異なる形状となる領域を含むように形成されてもよい。このような裏面層30AK2Sに隣接する導体層としての電源層30AK4Lでは、信号の伝送が行われない。電源層30AK4Lには、1または複数の電源導体が配置され、電源導体は電源電圧に維持される。配線のパターン30AK20Pが形成された裏面層30AK2Sに隣接する導体層で信号の伝送が行われないので、配線のパターン30AK20Pが構成する複数の信号配線で伝送される信号が電磁波ノイズの影響を受けにくくなり、他の信号配線に電磁波ノイズの影響が及ぶことも、防止あるいは抑制できる。主基板11のような多層配線基板において複数の信号配線が設けられる層に隣接する導体層では信号の伝送が行われないないことにより、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害の防止あるいは抑制が図られる。
【0145】
図23に示す多層構造を有する主基板11の配線層30AK3Lにおいて信号配線を構成する配線のパターンが、蛇行形状といった、直線形状および略直線形状とは異なる形状で複数の信号配線が平行および略平行な形状とは異なる形状となる領域を含むように形成されてもよい。このような配線層30AK3Lに隣接する導体層としての電源層30AK2Lや電源層30AK4Lでは、信号の伝送が行われない。主基板11のような多層配線基板において複数の信号配線が設けられる配線層30AK3Lに隣接する導体層では信号の伝送が行われないことにより、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害の防止あるいは抑制が図られる。ただし、多層配線基板に設けられた内層の導体層である配線層30AK3Lにおいて信号配線を構成する配線のパターンが蛇行形状などの形状となる領域を含むように形成された場合には、信号配線の断線などによる障害が発生した場合に、配線層30AK3Lにおける信号配線の状態を基板の外部から確認することが困難になるおそれがある。これに対し、主基板11の表面層30AK1Sや裏面層30AK2Sといった、主基板11が備える一方の基板面や他方の基板面において信号配線を構成する配線のパターンが蛇行形状などの形状となる領域を含むように形成された場合には、信号配線の断線などによる障害が発生した場合に、表面層30AK1Sや裏面層30AK2Sにおける信号配線の状態を基板の外部から確認しやすい適切な基板構成が可能になる。
【0146】
主基板11の表面層30AK1Sおよび裏面層30AK2Sを貫通するスルーホールは、
図23に示すスルーホール30AK1Hおよびスルーホール30AK2Hに限定されず、より多くのスルーホールが設けられ、複数の信号配線における各信号配線の配線長を同一または略同一にするために用いられてもよい。複数の信号配線を構成する配線のパターンのうちには、スルーホール30AK1Hおよびスルーホール30AK2Hのようなスルーホールを介することなく、例えば主基板11の表面層30AK1Sのみに信号配線が配置されるように形成されたパターンが含まれてもよい。配線のパターン30AK10Dが構成するデータ信号を伝送するための信号配線といった、複数の電気部品における接続端子間の距離が他の接続端子間の距離と比べて長くなる信号配線は、スルーホール30AK1Hおよびスルーホール30AK2Hのようなスルーホールを介することなく、主基板11の表面層30AK1Sのみに信号配線が配置されてもよい。逆にいうと、表面層30AK1Sなど1の導体層にてスルーホールを介することなく形成された配線のパターンが構成する信号配線は、表面層30AK1Sおよび裏面層30AK2Sなど複数の導体層にてスルーホールを介して電気的に接続可能となるように形成された配線のパターンが構成する信号配線と比較して、複数の電気部品における接続端子間の距離が長い。
【0147】
複数の信号配線が隣接して設けられる場合には、
図22に示したスペース領域30AK0SPのように、小さな空白領域が形成される。この空白領域にスルーホールを設け、例えばグランド層30AK1Lといった他の導体層と電気的に接続されるように、銅などの導電材料が埋設されたスルーホール電極を有する構成とすることも考えられる。空白領域にスルーホール電極のような導体が設けられる構成では、例えば空白領域における電界分布を安定させるために、多数のスルーホール電極が配置される場合もある。この場合には、主基板11の表面層30AK1Sのみでなく、裏面層30AK2Sにも、例えばバンプといった、スルーホール電極に対応する構造物が配置され、基板上における配線パターンの設計が制約されるという不都合が生じるおそれがある。また、多層配線基板に設けられた内層の導体層であるグランド層30AK1Lや電源層30AK2L、30AK4Lなどでは、スルーホール電極が設けられる場合に、そのスルーホール電極の周囲では導体層のパターンを除去することになり、グランド層30AK1Lや電源層30AK2L、30AK4Lなど内層の導体層におけるパターンが分断され、導体層におけるパターンの設計が困難になるという不都合が生じるおそれがある。さらに、スルーホール電極に代えて、例えばダミーパッドのような導体が空白領域に設けられ、他の導体層とは接続されないような構成では、この導体が外部からの電磁波ノイズによる影響を受けたり、この導体が複数の信号配線に電磁波ノイズの影響を及ぼしたりして、電磁妨害などの悪影響を与える不都合が生じるおそれがある。これに対し、信号配線を構成する配線のパターンに近接するスペース領域30AK0SPには、導体が設けられないことにより、これらの不都合が生じることを、防止あるいは抑制できる。
【0148】
その他、
図22に示したスペース領域30AK0SPのように、複数の信号配線が隣接して設けられる場合に形成される空白領域には、例えば基板固定用のネジ穴といった、基板の構成材料とは異なる材料が用いられる構造物が設けられないようにしてもよい。基板固定用のネジ穴が設けられた場合には、ネジ止めにより基板を固定した場合に、ネジの構成材料が外部からの電磁波ノイズによる影響を受け、他の信号配線にも電磁妨害などの悪影響を与える不都合が生じるおそれがある。また、基板に含まれる絶縁層とは誘電率が異なる合成樹脂や誘電材料を用いた構造物、あるいは基板に含まれる導体層とは電気伝導率が異なる合成樹脂や金属材料を用いた構造物が、複数の信号配線に近接した空白領域に設けられた場合には、これらの構造物が外部からの電磁波ノイズによる影響を受けたり、これらの構造物が複数の信号配線に電磁波ノイズの影響を及ぼしたりして、電磁妨害などの悪影響を与える不都合が生じるおそれがある。これに対し、信号配線を構成する配線のパターンに近接するスペース領域30AK0SPなどの空白領域には、基板の構成材料とは異なる材料を用いた構造物が設けられないことにより、これらの不都合が生じることを、防止あるいは抑制できる。
【0149】
図18に示す区間30AK0SCでは、データ信号を伝送するための複数の信号配線を形成する配線のパターン30AK10D~30AK13Dのうち1のパターン30AK13Dが、蛇行形状といった、直線形状および略直線形状とは異なる形状で他の信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状となる信号配線の部分を含むように形成されている。これに対し、少なくともパターン30AK10Dおよびパターン30AK11Dは、区間30AK0SCにて、蛇行形状を含むことなく、直線形状または略直線形状で互いの信号配線が平行または略平行な形状となるように形成されている。したがって、パターン30AK10Dおよびパターン30AK11Dは、信号配線が区間30AK0SCを最短または略最短で接続するパターンとなる。これに対し、パターン30AK12Dおよびパターン30AK13Dは、信号配線が区間30AK0SCをパターン30AK10Dおよびパターン30AK11Dよりも長い距離で接続するパターンとなる。
【0150】
区間30AK0SCにて、パターン30AK13Dが構成する信号配線が蛇行形状などの直線形状および略直線形状とは異なる形状となっている部分では、他のパターン30AK10D~パターン30AK12Dが構成する信号配線は直線形状または略直線形状となるように形成されている。このように、複数の信号配線を構成する配線のパターンのうち1の配線のパターンにより構成される信号配線が蛇行形状などの直線形状および略直線形状とは異なる形状となっている部分では、他の配線のパターンにより構成される信号配線が直線形状または略直線形状となるように形成されてもよい。1の配線のパターンにより構成される信号配線が蛇行形状などの直線形状および略直線形状とは異なる形状となる部分は、他の配線のパターンにより構成される信号配線が直線形状または略直線形状となる部分と重複しないように形成されてもよい。蛇行形状などの直線形状および略直線形状とは異なる形状となる部分が、複数の信号配線について重複しないように配線のパターンが形成されることにより、配線のパターンを配置する基板面積の増大が抑制されて、基板の小型化を図ることができる。
【0151】
図24は、複数の信号配線が蛇行形状となる部分が重複しない配線のパターンについて、他の形成例を示している。
図24に示す領域30AK20Rでも、複数の信号配線を構成する配線のパターンのうち1の配線パターンにより構成される信号配線が蛇行形状となっている部分では、他の配線のパターンにより構成される信号配線が直線形状または略直線形状となるように形成されている。そして、第1配線のパターンにより構成される第1信号配線が蛇行形状となる部分である第1蛇行部が終了すると、第1配線のパターンとは異なる第2配線のパターンにより構成される第2信号配線が蛇行形状となる部分である第2蛇行部が開始されるように、複数の信号配線を構成する配線のパターンが形成されている。第1蛇行部では、第1信号配線以外の信号配線を構成する配線のパターンとして、第2信号配線を構成する第2配線のパターンを含めた配線のパターンは、各パターンにより構成される信号配線が平行または略平行な形状となるように形成されていればよい。第2蛇行部では、第2信号配線以外の信号配線を構成する配線のパターンとして、第1信号配線を構成する第1配線のパターンを含めた配線のパターンは、各パターンにより構成される信号配線が平行または略平行な形状となるように形成されていればよい。第1蛇行部が終了してから第2蛇行部が開始されるので、第1蛇行部は第2蛇行部と重複しないように配置されている。これにより、多数の信号配線について蛇行形状などの直線形状および略直線形状とは異なる形状となる部分を設けた場合でも、配線のパターンを配置する基板面積の増大が可及的に抑制されて、基板の小型化を図ることができる。
【0152】
複数の信号配線が蛇行形状となる部分が重複しない配線のパターンは、各信号配線の配線長が同一または略同一となるように形成される。こうした複数の信号配線を構成する配線のパターンのうち第1配線のパターンにより構成される第1信号配線は、第2配線のパターンにより構成される第2信号配線が直線形状または略直線形状となる第2直線部に対応して蛇行形状となる第1蛇行部を含む。また、複数の信号配線を構成する配線パターンのうち第2配線のパターンにより構成される第2信号配線は、第1配線のパターンにより構成される第1信号配線が直線形状または略直線形状となる第1直線部に対応して蛇行形状となる第2蛇行部を含む。このように第1蛇行部や第2蛇行部などが含まれることにより、配線のパターンを配置する基板面積の増大が抑制されて、基板の小型化を図ることができる。
【0153】
あるいは、第1配線のパターンにより構成される第1信号配線が蛇行形状となる第1蛇行部は、第2配線のパターンにより構成される第2信号配線が蛇行形状となる第2蛇行部と異なる方向に信号配線を蛇行させてもよい。このように信号配線を蛇行させることにより、配線のパターンを配置する基板面積の増大が抑制されて、基板の小型化を図ることができる。
【0154】
あるいは、複数の信号配線が蛇行形状となる配線のパターンは、信号配線の配線幅が狭い第1配線のパターンと、信号配線の配線幅が広い第2配線のパターンとを含んでいてもよい。このように配線のパターンが形成されることにより、例えば複数の信号配線で伝送される信号の種類などに応じて、適切な伝送路特性を有する信号配線が構成され、複数の信号配線で伝送される信号の信頼性を向上させることができる。
【0155】
あるいは、複数の信号配線のうち一部または全部の信号配線が、例えば蛇行形状といった、直線形状および略直線形状とは異なる形状であるとともに、互いに平行または略平行な形状となるように、配線のパターンが形成される平行蛇行部を設けてもよい。平行蛇行部を設けることにより、配線のパターンを配置する基板面積の増大が抑制されて、基板の小型化を図ることができる。
【0156】
あるいは、複数の信号配線のうち一部または全部の信号配線が、例えば蛇行形状といった、直線形状および略直線形状とは異なる形状となる非直線部にて、1の信号配線と他の信号配線とに接続された電気部品が実装されるように、配線のパターンが形成されてもよい。このように電気部品を実装することにより、配線のパターンや電気部品などを配置する基板面積の増大が抑制されて、基板の小型化を図ることができる。
【0157】
あるいは、複数の信号配線のうち一部または全部の信号配線が、例えば蛇行形状といった、直線形状および略直線形状とは異なる形状となる非直線部を含む場合に、非直線部とは異なる形状となる部分にて各信号配線が電気部品と接続されるように、配線のパターンが形成されてもよい。このように電気部品と接続されることにより、配線のパターンや電気部品などを配置する基板面積の増大が抑制されて、基板の小型化を図ることができる。
【0158】
複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が直線形状および略直線形状とは異なる形状となるように形成された配線のパターン、あるいは少なくとも1の信号配線が他の信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状となるように形成された配線のパターンは、各信号配線の配線長が同一または略同一となるように形成される。こうした複数の信号配線を構成する配線のパターンのうち第1配線のパターンにより構成される第1信号配線は、第2配線のパターンにより構成される第2信号配線が直線形状および略直線形状とは異なる形状となる部分に対応して、あるいは第2信号配線が第1信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状となる部分に対応して、直線形状または略直線形状となればよい。そして、第2信号配線が直線形状および略直線形状とは異なる形状となる部分、あるいは第2信号配線が第1信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状となる部分には、テストポイントとなる特定導体部を設けてもよい。テストポイントは、信号配線や電気部品による電気的な接続状態を検査するためのプローブを当接可能に構成された特定導体部であればよい。このようにテストポイントを設けることにより、配線のパターンを適切に配置するとともに、各種の構造物を適切に配置して、基板面積の増大が抑制され、基板の小型化を図ることができる。
【0159】
あるいは、テストポイントなどの特定導体部は、はんだ、または銅箔といった、金属材料を用いて形成され、信号配線の配線幅よりも大きい形状を有していればよい。このようにテストポイントなどが形成されることにより、配線のパターンを適切に配置するとともに、各種の構造物を適切に配置して、基板面積の増大が抑制され、基板の小型化を図ることができる。
【0160】
あるいは、テストポイントなどの特定導体部は、多層配線基板に設けられたスルーホールにより、多層配線基板に含まれる複数の層のうち複数の信号配線およびテストポイントが設けられる層とは異なる導体層と、電気的に接続されてもよい。このようにテストポイントなどが形成されることにより、配線のパターンを適切に配置するとともに、各種の構造物を適切に配置して、基板面積の増大が抑制され、基板の小型化を図ることができる。
【0161】
例えば表面側の基板面といった、一方の基板面にて、複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が直線形状および略直線形状とは異なる形状に形成された配線のパターン、あるいは少なくとも1の信号配線が他の信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状となるように形成された配線のパターンは、各信号配線の配線長が同一または略同一となるように形成される。こうした複数の信号配線を構成する配線のパターンのうち第1配線のパターンにより構成される第1信号配線は、第2配線のパターンにより構成される第2信号配線が直線形状および略直線形状とは異なる形状となる部分に対応して、あるいは第2信号配線が第1信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状となる部分に対応して、直線形状または略直線形状となればよい。そして、例えば裏面側の基板面といった、配線のパターンが形成された一方の基板面とは異なる他方の基板面に、テストポイントとなる特定導体部を設けてもよい。このようにテストポイントを設けることにより、配線のパターンを適切に配置するとともに、各種の構造物を適切に配置して、基板面積の増大が抑制され、基板の小型化を図ることができる。
【0162】
(変形および応用に関する説明)
この発明は上記の実施の形態に限定されず、様々な変形および応用が可能である。例えばパチンコ遊技機1は、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。例えば上記実施の形態で示した特徴のうちで、適切な基板構成を可能にする少なくとも1の特徴を備えたものであればよい。
【0163】
上記実施の形態では、複数の電気部品を電気的に接続する複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、直線形状および略直線形状とは異なる形状であって、他の信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状として、蛇行形状、ミアンダ形状、ジグザグ形状、折返し形状と称される形状となる部分を含むものとして説明した。これに対し、直線形状および略直線形状とは異なる形状や、他の信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状は、湾曲形状あるいは渦巻き形状といった、蛇行形状とは異なり信号配線の配線長を延長可能あるいは調整可能な任意の形状であればよい。複数の電気部品を電気的に接続する複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線について、その配線長を延長可能な形状となる部分を含むことにより、複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長を同一または略同一とし、複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差を防止あるいは抑制できればよい。
【0164】
複数の信号配線により電気的に接続される複数の電気部品は、主基板11に搭載されたRAM102およびCPU103に限定されず、パチンコ遊技機1などの遊技機が備える任意の電気部品であればよい。例えば複数の電気部品として、演出制御基板12に搭載された演出制御用CPU120およびRAM122が、複数の信号配線により電気的に接続され、複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、直線形状および略直線形状とは異なる形状であって、他の信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状となるように、配線のパターンが形成されてもよい。この場合に、演出制御用CPU120は、パチンコ遊技機1における演出の制御に関して、所定の処理を実行可能に構成された電気部品であり、RAM122は演出制御用CPU120による処理の実行に関する情報を記憶可能に構成された電気部品である。あるいは、上記実施の形態におけるRAM102に代えてROM101といった、CPU103による処理の実行に関する情報を記憶可能な電気部品であってもよい。あるいは、演出制御用CPU120に代えて表示制御部123が備えるグラフィックスプロセッサといった、演出制御用CPU120とは異なる演出に関する処理を実行可能な電気部品であってもよい。さらに、RAM122に代えてROM121といった、演出制御用CPU120による処理の実行に関する情報を記憶可能な電気部品であってもよい。また、RAM122に代えて画像データメモリといった、演出制御用CPU120あるいは表示制御部123のグラフィックスプロセッサによる処理の実行に関する情報を記憶可能な電気部品であってもよい。
【0165】
演出制御基板12は、上記実施の形態における主基板11と同様に、多層配線基板として構成されてもよい。上記実施の形態における複数の信号配線は、例えば演出制御基板12に搭載された演出制御用CPU120および表示制御部123が備えるグラフィックスプロセッサといった、複数の処理装置が電気的に接続されるように、配線のパターンが形成されたものであってもよい。あるいは、複数の信号配線は、表示制御部123が備えるグラフィックスプロセッサと、映像信号用の入出力ポートといった、複数の電気部品が電気的に接続されるように、配線のパターンが形成されたものであってもよい。このような複数の電気部品が接続される複数の信号配線には、例えばフィルタ回路やバッファ回路といった、複数の電気部品とは異なる任意の電気回路が介在するように、配線のパターンが形成されたものであってもよい。複数の信号配線では、例えば画像表示装置5におけるR(赤)、G(緑)、B(青)の表示色について、それぞれのレベル(RGB値)を示すデジタル映像信号が、パラレル信号方式で伝送されてもよい。あるいは、複数の信号配線では、遊技の制御や演出の制御に関する信号が、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signal)方式といったパラレル信号方式で伝送されてもよい。これらのパラレル信号方式では、複数の信号配線において同期した信号伝送が要求されることがある。そこで、上記実施の形態のように、蛇行形状などの形状となる部分が設けられるように配線のパターンを形成することにより、複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となり、複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差を減少させることができる。
【0166】
なお、パラレル信号方式で伝送される信号に限定されず、例えば画像表示装置5に供給される映像信号や、スピーカ8L、8R、遊技効果ランプ9、演出用モータ60および演出用LED61といった演出用の電気部品に供給される制御信号が、シリアル信号方式で伝送される場合に、クロック信号を伝送するための信号配線と、データ信号を伝送するための信号配線とが、上記実施の形態における複数の信号配線に含まれてもよい。さらに、映像信号や制御信号がシリアル信号方式で伝送される場合に、差動信号伝送方式により信号を伝送するための信号配線が、上記実施の形態における複数の信号配線に含まれてもよい。
【0167】
例えば配線のパターン30AK10Dが構成する信号配線のように、複数の電気部品における接続端子間の距離が他の信号配線よりも長い信号配線についても、直線形状および略直線形状とは異なる形状であり、他の信号配線と平行および略平行な形状とは異なる形状となる部分が含まれるように、配線のパターンが形成されてもよい。複数の電気部品における接続端子間の距離が他の信号配線よりも短い信号配線であっても、基板上における配線パターンの設計によっては、配線長が他の信号配線よりも長くなることがある。このような場合に、複数の信号配線のうち蛇行形状などの形状となる部分が含まれる信号配線と、そのような部分が含まれない信号配線との選択は、基板上における配線パターンの設計に応じて任意に変更されてもよい。
【0168】
レセプタクルKRE1は、演出制御基板12の基板上にて表面実装されるものに限定されず、例えば主基板11の基板上といった、任意の基板上にて表面実装されるものであればよい。各種の電源電圧は、演出制御基板12に供給されるものに限定されず、例えば主基板11あるいは払出制御基板といった、任意の制御基板に供給されるものであってもよい。各種の電気回路や電気部品も、演出制御基板12に配置されるものに限定されず、例えば主基板11あるいは払出制御基板といった、任意の制御基板に配置されるものであってもよい。
【0169】
この発明は、パチンコ遊技機1に限らずスロットマシンなどにも適用できる。スロットマシンは、例えば複数種類の識別情報となる図柄の可変表示といった所定の遊技を行い、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値を付与可能となる任意の遊技機であり、より具体的に、1ゲームに対して所定の賭数(メダル枚数またはクレジット数)を設定することによりゲームが開始可能になるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報(図柄)を可変表示する可変表示装置(例えば複数のリールなど)の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、その表示結果に応じて入賞(例えばチェリー入賞、スイカ入賞、ベル入賞、リプレイ入賞、BB入賞、RB入賞など)が発生可能とされた遊技機である。このようなスロットマシンにおいて、遊技制御を行うための遊技制御用マイクロコンピュータを含めたハードウェア資源と、所定の処理を行うソフトウェアとが協働することにより、上記実施の形態で示されたパチンコ遊技機1が有する特徴の全部または一部を備えるように構成されていればよい。
【0170】
その他にも、遊技機の装置構成や各種の動作などは、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変更および修正が可能である。加えて、この発明の遊技機は、入賞の発生に基づいて所定数の遊技媒体を景品として払い出す払出式遊技機に限定されるものではなく、遊技媒体を封入し入賞の発生に基づいて得点を付与する封入式遊技機にも適用することができる。スロットマシンは、遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数が設定されるものに限定されず、遊技用価値として遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、遊技用価値としてクレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであってもよい。
【0171】
(課題解決手段および効果に関する説明)
以上説明したように、本願に係るパチンコ遊技機1などの遊技機では、レセプタクルKRE1のような配線接続装置において、信号端子となる端子TA02の両側を挟む位置で、一対の接地端子となる端子TA01、TA03が演出制御基板12の基板上に表面実装されることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0172】
端子TA01、TA03がダミーパッドDP1、DP2に接合され、端子TA01~TA03の先端部が基板ケース800のカバー部材802に被覆されることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0173】
レセプタクルKRE1には、ダミーパッドDP3、DP4に接合される固定用金具SS01、SS02が側面PL2の側に設けられることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0174】
開口領域836aにおける内周壁面836bとレセプタクルKRE1との間隔は、部品収容部802aに近い側の開口幅W2が遠い側の開口幅W1よりも広く形成されることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0175】
レセプタクルKRE1の端子TA01~TA03は、それぞれ開口領域836aにて基板ケース800のカバー部材802により被覆されず露出する露出部と基板ケース800のカバー部材802により被覆されて露出しない被覆部とが形成されることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0176】
レセプタクルKRE1の端子TA01~TA03が表面実装された実装位置は開口周縁部840により被覆され、開口周縁部840と演出制御基板12の基板面とが実装位置に近接するスペースSP1を形成することにより、適切な基板構成が可能になる。
【0177】
あるいは、演出制御基板12では直流34Vの電源電圧VSL2がそのまま電源電圧VSLとして出力され、ドライバ基板19にてフィルタ回路511に入力して電圧を安定化することにより、適切な基板構成が可能になる。
【0178】
直流34Vの電源電圧VSLを供給する電源ラインLSLにはフィルタ回路が介在しないことにより、適切な基板構成が可能になる。
【0179】
レセプタクルKRE2において、フィルタ回路131a~131cのいずれかに接続される端子TA15~TA24、TA27、TA28の端子数が、フィルタ回路に接続されない端子TA13、TA14の端子数よりも多くなることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0180】
フィルタ回路131a~131cのいずれかに接続される端子TA15~TA24、TA27、TA28は複数種類の電源電圧を供給可能であり、演出制御基板12ではフィルタ回路に接続されない端子TA13、TA14は一種類の電源電圧を供給可能であり、端子TA13、TA14は端子TA15~TA24などよりも外側に配置されていることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0181】
電源電圧端子である端子TA13~TA24、TA27、TA28は、接地端子である端子TA11、TA12と、接地端子である端子TA29、TA30との間に配置されていることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0182】
レセプタクルKRE2では、第2電源電圧端子に含まれる端子TA13、TA14と、第1電源電圧端子に含まれる端子TA15~TA24とが、第1接地端子に含まれる端子TA11、TA12と、第2接地端子に含まれる端子TA25、TA26との間に配置され、第1電源電圧端子に含まれる端子TA27、TA28が、第2接地端子に含まれる端子TA25、TA26と、第3接地端子に含まれる端子TA29、TA30との間に配置されることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0183】
あるいは、演出制御基板12において、1の電源電圧VDD2を、特定の電気部品を駆動するための電源電圧VDLと、増幅回路521に供給するための電源電圧VDSとに分岐した後に、フィルタ回路131aを用いて安定化した電源電圧VDSを増幅回路521に供給することにより、適切な基板構成が可能になる。
【0184】
フィルタ回路131aから増幅回路521までの配線長LL2を、分岐点DB1にて電源電圧VDLが分岐されてからフィルタ回路131aに入力するまでの配線長LL1よりも短くすることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0185】
あるいは、ノイズ防止回路135a、135bでは、ノイズ防止回路135cとは異なる回路素子である抵抗を用いることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0186】
ノイズ防止回路135a、135bはモータやLEDなど特定の電気部品を駆動するための電源電圧に対応して設けられ、ノイズ防止回路135cはCPUやROMなど特定の電気回路を駆動するための電源電圧に対応して設けられることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0187】
あるいは、降圧コンバータ回路132では、フィルタ回路131cにより安定化した電源電圧VDD3が入力されて、直流1.05Vの電源電圧と、直流3.3Vの電源電圧とを出力し、レギュレータ回路133では、直流3.3Vの電源電圧が入力されて、直流1.5Vの電源電圧を出力することにより、適切な基板構成が可能になる。
【0188】
降圧コンバータ回路132に供給される電圧と同一または略同一の電源電圧VDCは、電源監視回路140に供給されることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0189】
降圧コンバータ回路132から出力された直流1.05Vの電源電圧は、例えば表示制御部123のグラフィックスプロセッサといった、特定のマイクロプロセッサに供給されることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0190】
降圧コンバータ回路132から出力された直流3.3Vの電源電圧は、例えばROM121に供給され、レギュレータ回路133から出力される直流1.5Vの電源電圧により駆動するRAM122などの電気部品よりも先に起動可能となることにより、適切な基板構成が可能である。
【0191】
レギュレータ回路133から出力された直流1.5Vの電源電圧は、例えばRAM122といった、演出制御基板12とは異なる基板として構成されたものに供給されることにより、適切な基板構成が可能になる。
【0192】
(特徴部30AKの課題解決手段および効果に関する説明)
例えばパチンコ遊技機1など、遊技が可能な遊技機であって、例えば
図17に示すように、複数の信号配線を構成するパターンが形成され、複数の信号配線によりRAM102やCPU103などの複数の電気部品が接続された主基板11などの基板を備え、パターンは、例えば領域30AK10Rなど、複数の信号配線が平行または略平行な第1形状となる平行配線部と、例えば領域30AK11Rなど、複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、他の信号配線と平行ではない第2形状となる特定配線部とを含み、複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となる。これにより、複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差を減少させる適切な基板構成が可能になる。
【0193】
例えば配線のパターン30AK10Dが構成する信号配線など、第2形状を含まない信号配線は、複数の電気部品における接続端子間の距離が、例えば配線のパターン30AK11D~30AK13Dが構成する信号配線など、第2形状を含む信号配線よりも長くてもよい。これにより、配線のパターンを配置する基板面積の増大が抑制されて、基板を小型化するために適切な基板構成が可能になる。
【0194】
例えばスペース領域30AK0SPなど、第2形状となる信号配線に近接する所定領域には、導体が設けられていなくてもよい。これにより、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害が防止あるいは抑制される適切な基板構成が可能になる。
【0195】
基板には、例えばスルーホール30AK1H、30AK2Hなど、基板の一面に設けられた信号配線と基板の他面に設けられた信号配線とを電気的に接続可能なスルーホールが設けられ、複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長は、スルーホールにより接続された信号配線について、スルーホールの長さを含めて同一または略同一となってもよい。これにより、複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差を減少させる適切な基板構成が可能になる。
【0196】
基板は、例えば表面層30AK1S、グランド層30AK1L、電源層30AK2L、配線層30AK3L、電源層30AK4L、裏面層30AK2Sなど、複数の層を含み、複数の層のうち第2形状となる信号配線が設けられる層に隣接するグランド層30AK1Lなどの導体層では、信号の伝送が行われなくてもよい。これにより、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害が防止あるいは抑制される適切な基板構成が可能になる。
【0197】
複数の電気部品として、例えばCPU103など、所定の処理を実行可能な処理手段と、例えばRAM102など、処理の実行に関する情報を記憶可能な記憶手段とが接続されてもよい。これにより、複数の電気部品として処理手段や記憶手段に接続された複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差を減少させる適切な基板構成が可能になる。
【0198】
あるいは、例えばパチンコ遊技機1など、遊技が可能な遊技機であって、例えば
図17に示すように、複数の信号配線を構成するパターンが形成され、複数の信号配線によりRAM102やCPU103などの複数の電気部品が接続された主基板11などの基板を備え、パターンは、例えば領域30AK10Rなど、複数の信号配線が平行または略平行な第1形状となる平行配線部と、例えば領域30AK11Rなど、複数の信号配線が第1形状とは異なる第2形状となる特定配線部とを含み、複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となってもよい。これにより、複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差を減少させる適切な基板構成が可能になる。
【0199】
あるいは、例えばパチンコ遊技機1など、遊技が可能な遊技機であって、例えば
図17に示すように、複数の信号配線を構成するパターンが形成され、複数の信号配線によりRAM102やCPU103などの複数の電気部品が接続された主基板11などの基板を備え、パターンは、例えば配線のパターン30AK10Dなど、複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、直線形状または略直線形状を含む第1形状となる第1パターンと、例えば配線のパターン30AK11D~30AK13Dなど、複数の信号配線のうち第1パターンに含まれない他の信号配線が、第1形状とは異なる第2形状となる第2パターンとを含み、第1パターンおよび第2パターンは、複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となってもよい。これにより、複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差を減少させる適切な基板構成が可能になる。
【0200】
あるいは、例えばパチンコ遊技機1など、遊技が可能な遊技機であって、例えば
図17に示すように、複数の信号配線を構成するパターンが形成され、複数の信号配線によりRAM102やCPU103などの複数の電気部品が接続された主基板11などの基板を備え、パターンは、複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、区間30AK0SCなどの所定区間を最短または略最短の距離で接続する配線のパターン30AK10D、30AK11Dなどの第1パターンと、複数の信号配線のうち第1パターンに含まれない他の信号配線が、所定区間を第1パターンよりも長い距離で接続する配線のパターン30AK12D、30AK13Dなどの第2パターンとを含み、第1パターンおよび第2パターンは、複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となってもよい。これにより、複数の信号配線で伝送される信号の遅延時間差を減少させる適切な基板構成が可能になる。
【0201】
第1パターンは、複数の電気部品における接続端子間の距離が、第2パターンよりも長くてもよい。これにより、配線のパターンを配置する基板面積の増大が抑制されて、基板を小型化するために適切な基板構成が可能になる。
【0202】
例えばスペース領域30AK0SPなど、第2パターンに近接する所定領域には、導体が設けられていなくてもよい。これにより、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害が防止あるいは抑制される適切な基板構成が可能になる。
【0203】
基板は、例えば表面層30AK1S、グランド層30AK1L、電源層30AK2L、配線層30AK3L、電源層30AK4L、裏面層30AK2Sなど、複数の層を含み、複数の層のうち第2パターンに含まれる信号配線が設けられる層に隣接するグランド層30AK1Lなどの導体層では、信号の伝送が行われなくてもよい。これにより、複数の信号配線での電磁波ノイズによる電磁妨害が防止あるいは抑制される適切な基板構成が可能になる。
【0204】
本発明は、以上に説明したものに限られるものではない。また、その具体的な構成は、上述の実施形態や後述の他の形態例に加えて、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があってもこの発明に含まれる。
【0205】
また、上述した実施の形態及び各変形例に示した構成、後述の形態例及び各変形例に示した構成のうち、全部又は一部の構成を任意に組み合わせることとしてもよい。
【0206】
なお、今回開示された上述の実施形態及び後述の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上述の説明及び後述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等な意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0207】
本発明の遊技機としては、他にも、遊技が可能な遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、複数の信号配線を構成するパターンが形成され(例えば
図17を参照)、前記複数の信号配線により複数の電気部品(例えばRAM102とCPU103など)が接続された基板(例えば主基板11など)を備え、前記パターンは、前記複数の信号配線が平行または略平行な第1形状となる平行配線部(例えば領域30AK10Rなど)と、前記複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、他の信号配線と平行ではない第2形状となる特定配線部(例えば領域30AK11Rなど)とを含み、前記複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となり、さらに、遊技媒体(例えば、遊技球)が入賞可能な第1入賞領域(例えば、第1始動入賞口9013、第3始動入賞口9012、第1大入賞口)および第2入賞領域(例えば、第2始動入賞口9014、第2大入賞口)と、第1入賞領域に入賞した遊技媒体を検出可能な第1検出手段(例えば、第1始動口スイッチ9013a、第3始動口スイッチ9012a、第1カウントスイッチ9023A)と、第2入賞領域に入賞した遊技媒体を検出可能な第2検出手段(例えば、第2始動口スイッチ9014a、第2カウントスイッチ9023B)と、第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1特定演出(例えば、第1保留表示の表示、第1大入賞口への遊技球の入賞にもとづく総賞球数表示の更新)を実行可能であり、第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第2特定演出(例えば、第2保留表示の表示、第2大入賞口への遊技球の入賞にもとづく総賞球数表示の更新)を実行可能な特定演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより第1保留表示および第2保留表示を表示する部分、ステップS902909,S902912,S903910,S903913を実行することにより総賞球数表示の更新を行う部分)とを備え、第1入賞領域に入賞した遊技媒体が第1検出手段に検出されるまでに流下する距離と、第2入賞領域に入賞した遊技媒体が第2検出手段に検出されるまでに流下する距離とが異なり(例えば、各始動入賞口へ入賞した遊技球が各始動口スイッチによって検出されるまでに流下する距離は、始動入賞口毎に異なり(
図26参照)、各大入賞口へ入賞した遊技球が各カウントスイッチによって検出されるまでに流下する距離は、大入賞口毎に異なる)、第1検出手段により遊技媒体が検出されてから第1特定演出を実行するまでの期間と、第2検出手段により遊技媒体が検出されてから第2特定演出を実行するまでの期間とが異なる(例えば、第1始動口スイッチ9013aにより遊技球が検出されてから第1保留表示を表示するまでの期間と、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されてから第2保留表示を表示するまでの期間と、第3始動口スイッチ9012aにより遊技球が検出されてから第1保留表示を表示するまでの期間とが異なり(
図49参照)、第1カウントスイッチ9023Aにより遊技球が検出されてから総賞球数表示が更新されるまでの期間と、第2カウントスイッチ9023Bにより遊技球が検出されてから総賞球数表示が更新されるまでの期間とが異なる(
図50参照))遊技機が挙げられる。
【0208】
このような構成によれば、適切な基板構成が可能になる。また、演出効果を高めることができる。
【0209】
なお、複数の信号配線を構成するパターンが、複数の信号配線が平行または略平行な第1形状となる平行配線部と、複数の信号配線のうち少なくとも1の信号配線が、他の信号配線と平行ではない第2形状となる特定配線部とを含み、複数の信号配線に含まれる各信号配線の配線長が、同一または略同一となるように構成される基板は、遊技機に搭載される複数の基板(例えば、主基板11、9031、演出制御基板12、9080、音声制御基板13、9070、ランプ制御基板14)のうちの一部の基板(例えば、主基板11、9031のみ)としてもよいし、遊技機に搭載される複数の基板のすべての基板としてもよい。
【0210】
さらに、適切な基板構成が可能になり、また、演出効果を高めることができる遊技機の形態の一例として、遊技を実行可能な遊技機であって、遊技媒体(例えば、遊技球)が入賞可能な第1入賞領域(例えば、第1始動入賞口9013、第3始動入賞口9012、第1大入賞口)および第2入賞領域(例えば、第2始動入賞口9014、第2大入賞口)と、第1入賞領域に入賞した遊技媒体を検出可能な第1検出手段(例えば、第1始動口スイッチ9013a、第3始動口スイッチ9012a、第1カウントスイッチ9023A)と、第2入賞領域に入賞した遊技媒体を検出可能な第2検出手段(例えば、第2始動口スイッチ9014a、第2カウントスイッチ9023B)と、第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1特定演出(例えば、第1保留表示の表示、第1大入賞口への遊技球の入賞にもとづく総賞球数表示の更新)を実行可能であり、第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第2特定演出(例えば、第2保留表示の表示、第2大入賞口への遊技球の入賞にもとづく総賞球数表示の更新)を実行可能な特定演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより第1保留表示および第2保留表示を表示する部分、ステップS902909,S902912,S903910,S903913を実行することにより総賞球数表示の更新を行う部分)とを備え、第1入賞領域に入賞した遊技媒体が第1検出手段に検出されるまでに流下する距離と、第2入賞領域に入賞した遊技媒体が第2検出手段に検出されるまでに流下する距離とが異なり(例えば、各始動入賞口へ入賞した遊技球が各始動口スイッチによって検出されるまでに流下する距離は、始動入賞口毎に異なり(
図26参照)、各大入賞口へ入賞した遊技球が各カウントスイッチによって検出されるまでに流下する距離は、大入賞口毎に異なる)、第1検出手段により遊技媒体が検出されてから第1特定演出を実行するまでの期間と、第2検出手段により遊技媒体が検出されてから第2特定演出を実行するまでの期間とが異なる(例えば、第1始動口スイッチ9013aにより遊技球が検出されてから第1保留表示を表示するまでの期間と、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されてから第2保留表示を表示するまでの期間と、第3始動口スイッチ9012aにより遊技球が検出されてから第1保留表示を表示するまでの期間とが異なり(
図49参照)、第1カウントスイッチ9023Aにより遊技球が検出されてから総賞球数表示が更新されるまでの期間と、第2カウントスイッチ9023Bにより遊技球が検出されてから総賞球数表示が更新されるまでの期間とが異なる(
図50参照))遊技機が挙げられる。以下に、この遊技機の形態例の一例を他の形態例として説明する。
【0211】
(他の形態例)
以下、他の形態例を、図面を参照して説明する。
図25はパチンコ遊技機901を正面からみた正面図である。
【0212】
パチンコ遊技機901は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機901は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠902を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示せず)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤906を除く)とを含む構造体である。
【0213】
ガラス扉枠902の下部表面には打球供給皿(上皿)903がある。打球供給皿903の下部には、打球供給皿903に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿904や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)905が設けられている。また、ガラス扉枠902の背面には、遊技盤906が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤906は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤906の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域907が形成されている。
【0214】
余剰球受皿(下皿)904を形成する部材には、例えば下皿本体の上面における手前側の所定位置(例えば下皿の中央部分)などに、スティック形状(棒形状)に構成され、遊技者が把持して複数方向(前後左右)に傾倒操作が可能なスティックコントローラ90122が取り付けられている。なお、スティックコントローラ90122には、遊技者がスティックコントローラ90122の操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作が可能なトリガボタン90121(
図28を参照)が設けられ、スティックコントローラ90122の操作桿の内部には、トリガボタン90121に対する押引操作などによる所定の指示操作を検知するトリガセンサ90125(
図28を参照)が内蔵されている。また、スティックコントローラ90122の下部における下皿の本体内部などには、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット90123(
図28を参照)が設けられている。また、スティックコントローラ90122には、スティックコントローラ90122を振動動作させるためのバイブレータ用モータ90126(
図28を参照)が内蔵されている。
【0215】
打球供給皿(上皿)903を形成する部材には、例えば上皿本体の上面における手前側の所定位置(例えばスティックコントローラ90122の上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン90120が設けられている。プッシュボタン90120は、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン90120の設置位置における上皿の本体内部などには、プッシュボタン90120に対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサ90124(
図28を参照)が設けられていればよい。
図25に示す構成例では、プッシュボタン90120とスティックコントローラ90122の取付位置が、上皿及び下皿の中央部分において上下の位置関係にある。これに対して、上下の位置関係を保ったまま、プッシュボタン90120及びスティックコントローラ90122の取付位置を、上皿及び下皿において左右のいずれかに寄せた位置としてもよい。あるいは、プッシュボタン90120とスティックコントローラ90122の取付位置が上下の位置関係にはなく、例えば左右の位置関係にあるものとしてもよい。
【0216】
遊技領域907の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置909が設けられている。演出表示装置909の表示画面には、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄の可変表示を行う演出図柄表示領域がある。よって、演出表示装置909は、演出図柄の可変表示を行う可変表示装置に相当する。演出図柄表示領域には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の演出図柄を可変表示する図柄表示エリアがある。図柄表示エリアには「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアがあるが、図柄表示エリアの位置は、演出表示装置909の表示画面において固定的でなくてもよいし、図柄表示エリアの3つ領域が離れてもよい。演出表示装置909は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出制御用マイクロコンピュータが、第1特別図柄表示器908aで第1特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置909で演出表示を実行させ、第2特別図柄表示器908bで第2特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置909で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
【0217】
また、演出表示装置909において、最終停止図柄(例えば左右中図柄のうち中図柄)となる図柄以外の図柄が、所定時間継続して、大当り図柄(例えば左中右の図柄が同じ図柄で揃った図柄の組み合わせ)と一致している状態で停止、揺動、拡大縮小もしくは変形している状態、または、複数の図柄が同一図柄で同期して変動したり、表示図柄の位置が入れ替わっていたりして、最終結果が表示される前で大当り発生の可能性が継続している状態(以下、これらの状態をリーチ状態という。)において行われる演出をリーチ演出という。また、リーチ状態やその様子をリーチ態様という。さらに、リーチ演出を含む可変表示をリーチ可変表示という。そして、演出表示装置909に変動表示される図柄の表示結果が大当り図柄でない場合には「はずれ」となり、変動表示状態は終了する。遊技者は、大当りをいかにして発生させるかを楽しみつつ遊技を行う。
【0218】
なお、この実施の形態では、演出表示装置909における液晶表示の演出として演出図柄の変動表示を行う場合を示しているが、演出表示装置909で行われる演出は、この実施の形態で示したものにかぎらず、例えば、所定のストーリー性をもつ演出を実行して、大当り判定や変動パターンの決定結果にもとづいてストーリーの結果を表示するような演出を実行するようにしてもよい。例えば、プロレスやサッカーの試合や敵味方のキャラクタが戦うバトル演出を行うとともに、大当りであれば試合やバトルに勝利する演出を行い、はずれであれば試合やバトルに敗北する演出を行うようにしてもよい。また、例えば、勝敗などの結果を表示するのではなく、物語などの所定のストーリーを順に展開させていくような演出を実行するようにしてもよい。
【0219】
演出表示装置909の表示画面の右上方部には、演出図柄と後述する特別図柄および普通図柄とに次ぐ第4図柄を表示する第4図柄表示領域909c,909dが設けられている。この実施の形態では、後述する第1特別図柄の変動表示に同期して第1特別図柄用の第4図柄の変動表示が行われる第1特別図柄用の第4図柄表示領域909cと、第2特別図柄の変動表示に同期して第2特別図柄用の第4図柄の変動表示が行われる第2特別図柄用の第4図柄表示領域909dとが設けられている。
【0220】
この実施の形態では、特別図柄の変動表示に同期して演出図柄の変動表示が実行されるのであるが(ただし、正確には、演出図柄の変動表示は、演出制御用マイクロコンピュータ90100側で変動パターンコマンドにもとづいて認識した変動時間を計測することによって行われる。)、演出表示装置909を用いた演出を行う場合、例えば、演出図柄の変動表示を含む演出内容が画面上から一瞬消えるような演出が行われたり、可動物が画面上の全部または一部を遮蔽するような演出が行われるなど、演出態様が多様化してきている。そのため、演出表示装置9上の表示画面を見ていても、現在変動表示中の状態であるのか否か認識しにくい場合も生じている。そこで、この実施の形態では、演出表示装置909の表示画面の一部でさらに第4図柄の変動表示を行うことによって、第4図柄の状態を確認することにより現在変動表示中の状態であるのか否かを確実に認識可能としている。なお、第4図柄は、常に一定の動作で変動表示され、画面上から消えたり遮蔽物で遮蔽されることはないため、常に視認することができる。
【0221】
なお、第1特別図柄用の第4図柄と第2特別図柄用の第4図柄とを、第4図柄と総称することがあり、第1特別図柄用の第4図柄表示領域909cと第2特別図柄用の第4図柄表示領域909dを、第4図柄表示領域と総称することがある。
【0222】
第4図柄の変動(可変表示)は、第4図柄表示領域909c,909dを所定の表示色(例えば、青色)で一定の時間間隔で点灯と消灯とを繰り返す状態を継続することによって実現される。第1特別図柄表示器908aにおける第1特別図柄の可変表示と、第1特別図柄用の第4図柄表示領域909cにおける第1特別図柄用の第4図柄の可変表示とは同期している。第2特別図柄表示器908bにおける第2特別図柄の可変表示と、第2特別図柄用の第4図柄表示領域909dにおける第2特別図柄用の第4図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点が同じであって、可変表示の期間が同じであることをいう。また、第1特別図柄表示器908aにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、第1特別図柄用の第4図柄表示領域909cにおいて大当りを想起させる表示色(はずれとは異なる表示色。例えば、はずれのときには青色で表示されるのに対して、大当りのときには赤色で表示される。なお、大当りの種類(16R確変大当りおよび8R確変大当りのいずれであるかに応じて表示色を異ならせてもよい。)で点灯されたままになる。第2特別図柄表示器908bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、第2特別図柄用の第4図柄表示領域909dにおいて大当りを想起させる表示色(はずれとは異なる表示色。例えば、はずれのときには青色で表示されるのに対して、大当りのときには赤色で表示される。なお、大当りの種類(16R確変大当りおよび8R確変大当りのいずれであるかに応じて表示色を異ならせてもよい。)で点灯されたままになる。なお、第4図柄表示領域909c,909dの消灯時の表示色は、消灯したときに背景画像と同化して見えなくなることを防止するために、背景画像とは異なる表示色(例えば、黒色)であることが望ましい。
【0223】
なお、この実施の形態では、第4図柄表示領域を演出表示装置909の表示画面の一部に設ける場合を示しているが、演出表示装置909とは別に、ランプやLEDなどの発光体を用いて第4図柄表示領域を実現するようにしてもよい。この場合、例えば、第4図柄の変動(可変表示)を、2つのLEDが交互に点灯する状態を継続することによって実現されるようにしてもよく、2つのLEDのうちのいずれのLEDが停止表示されたかによって大当り図柄が停止表示されたか否かを表すようにしてもよい。
【0224】
また、この実施の形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とにそれぞれ対応させて別々の第4図柄表示領域909c,909dを備える場合を示しているが、第1特別図柄と第2特別図柄とに対して共通の第4図柄表示領域を演出表示装置909の表示画面の一部に設けるようにしてもよい。また、第1特別図柄と第2特別図柄とに対して共通の第4図柄表示領域をランプやLEDなどの発光体を用いて実現するようにしてもよい。この場合、第1特別図柄の変動表示に同期して第4図柄の変動表示を実行するときと、第2特別図柄の変動表示に同期して第4図柄の変動表示を実行するときとで、例えば、一定の時間間隔で異なる表示色の表示を点灯および消灯を繰り返すような表示を行うことによって、第4図柄の変動表示を区別して実行するようにしてもよい。また、第1特別図柄の変動表示に同期して第4図柄の変動表示を実行するときと、第2特別図柄の変動表示に同期して第4図柄の変動表示を実行するときとで、例えば、異なる時間間隔で点灯および消灯を繰り返すような表示を行うことによって、第4図柄の変動表示を区別して実行するようにしてもよい。また、例えば、第1特別図柄の変動表示に対応して停止図柄を導出表示するときと、第2特別図柄の変動表示に対応して停止図柄を導出表示するときとで、同じ大当り図柄であっても異なる態様の停止図柄を停止表示するようにしてもよい。
【0225】
遊技盤906における右側方には、識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示部)908aが設けられている。この実施の形態では、第1特別図柄表示器908aは、0~9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器908aは、0~9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。遊技盤906における右側方には、識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示部)908bが設けられている。第2特別図柄表示器908bは、0~9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器908bは、0~9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
【0226】
小型の表示器は、例えば方形状に形成されている。また、この実施の形態では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0~9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。
【0227】
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器908aと第2特別図柄表示器908bとを特別図柄表示器(可変表示部)と総称することがある。
【0228】
なお、この実施の形態では、2つの特別図柄表示器908a,908bを備える場合を示しているが、遊技機は、特別図柄表示器を1つのみ備えるものであってもよい。
【0229】
第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口9013、第2始動入賞口9014または第3始動入賞口9012を通過(入賞を含む)したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、遊技球が通過するとは、入賞口やゲートなどのあらかじめ入賞領域として定められている領域を遊技球が通過したことであり、入賞口に遊技球が入った(入賞した)ことを含む概念である。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
【0230】
遊技盤906の盤面上に形成された遊技領域907には、演出表示装置909の天辺よりも左側の左遊技領域(第1遊技領域)と、右側の右遊技領域(第2遊技領域)とがある。第1遊技領域である左遊技領域と、第2遊技領域である右遊技領域は、例えば遊技領域907の内部における演出表示装置909の端面や釘の配列PLなどにより区分けされていればよい。打球発射装置から発射されて遊技領域907に打ち込まれた遊技球は、第1遊技領域である左遊技領域へと誘導された場合に、例えば釘の配列PLに沿って誘導されることにより、第2遊技領域である右遊技領域へと誘導不可能または誘導困難となる。
【0231】
左遊技領域(具体的には、演出表示装置909の下方)には、第1始動入賞口9013を有する入賞装置および第3始動入賞口9012を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口9013に入賞した遊技球は、遊技盤906の背面に導かれ、第1始動口スイッチ9013a(
図27参照)によって検出される。第3始動入賞口9012に入賞した遊技球は、遊技盤906の背面に導かれ、第3始動口スイッチ9012a(
図27参照)によって検出される。
【0232】
また、右遊技領域(具体的には、演出表示装置909の右方)には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口9014を有する普通可変入賞球装置が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)9014に入賞した遊技球は、遊技盤906の背面に導かれ、第2始動口スイッチ9014a(
図27参照)によって検出される。普通可変入賞球装置は、ソレノイド9016(
図27参照)によって開状態とされる。普通可変入賞球装置が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口9014に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。普通可変入賞球装置が開状態になっている状態では、第1始動入賞口9013や第3始動入賞口9012よりも、第2始動入賞口9014に遊技球が入賞しやすい。また、普通可変入賞球装置が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口9014に入賞しない。従って、普通可変入賞球装置が閉状態になっている状態では、第2始動入賞口9014よりも、第1始動入賞口9013や第3始動入賞口9012に遊技球が入賞しやすい。なお、普通可変入賞球装置が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
【0233】
以下、第1始動入賞口9013と第2始動入賞口9014と第3始動入賞口9012とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
【0234】
各始動入賞口へ入賞した遊技球が各始動口スイッチによって検出されるまでに流下する距離は、始動入賞口毎に異なるよう構成されている。これは、遊技盤906の裏面の構造上、スイッチを設けることのできる位置の自由度が低いことから、入賞口から該入賞口に入賞した遊技球を検出するスイッチまでの距離を均等に構成することが困難であるためである。
【0235】
図26は、各始動口の内部構成などを示す構成図である。
図26に示すように、第1始動入賞口9013に入賞してから第1始動口スイッチ9013aによって検出されるまでに遊技球が流下する距離(
図26(A)参照)と、第2始動入賞口9014に入賞してから第2始動口スイッチ9014aによって検出されるまでに遊技球が流下する距離(
図26(B)参照)と、第3始動入賞口9012に入賞してから第3始動口スイッチ9012aによって検出されるまでに遊技球が流下する距離(
図26(C)参照)とが異なるよう構成されている。これにより、遊技球が第1始動入賞口9013に入賞してからT1経過後に第1始動口スイッチ9013aによって検出され、遊技球が第2始動入賞口9014に入賞してからT2経過後に第2始動口スイッチ9014aによって検出され、遊技球が第3始動入賞口9012に入賞してからT3経過後に第3始動口スイッチ9012aによって検出されるようになっている。それぞれの時間の長さはT1>T2>T3である。
【0236】
なお、図示は省略するが、後述する第1大入賞口および第2大入賞口についても同様に、各大入賞口へ入賞した遊技球が各カウントスイッチによって検出されるまでに流下する距離は、大入賞口毎に異なるよう構成されている。具体的には、第1大入賞口へ入賞した遊技球が第1カウントスイッチ9023Aによって検出されるまでに流下する距離の方が、第2大入賞口へ入賞した遊技球が第2カウントスイッチ9023Bによって検出されるまでに流下する距離よりも長くなるよう構成されている。これにより、遊技球が第1大入賞口に入賞してからt1経過後に第1カウントスイッチ9023Aによって検出され、遊技球が第2大入賞口に入賞してからt2経過後に第2カウントスイッチ9023Bによって検出されるようになっている。それぞれの時間の長さはt1>t2である。
【0237】
なお、この実施の形態では、
図25に示すように、第2始動入賞口9014に対してのみ開閉動作を行う普通可変入賞球装置が設けられているが、第1始動入賞口9013、第2始動入賞口9014および第3始動入賞口9012のいずれについても開閉動作を行う普通可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
【0238】
第1特別図柄表示器908aの側方には、第1始動入賞口9013または第3始動入賞口9012に入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器からなる第1特別図柄保留記憶表示器9018aが設けられている。第1特別図柄保留記憶表示器9018aは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器908aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
【0239】
第2特別図柄表示器908bの側方には、第2始動入賞口9014に入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する4つの表示器からなる第2特別図柄保留記憶表示器9018bが設けられている。第2特別図柄保留記憶表示器9018bは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器908bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
【0240】
また、演出表示装置909の表示画面の下部には、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する合算保留記憶表示部9018cが設けられている。この実施の形態では、合計数を表示する合算保留記憶表示部9018cが設けられていることによって、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。なお、この実施の形態では、合算保留記憶表示部9018cにおいて、第1保留記憶と第2保留記憶とが第1始動入賞口9013、第2始動入賞口9014および第3始動入賞口9012への入賞順に並べて表示されるとともに、第1保留記憶であるか第2保留記憶であるかを認識可能な態様で表示される(例えば、第1保留記憶は赤色で表示され、第2保留記憶は青色で表示される)。
【0241】
また、いずれの始動入賞口への始動入賞にもとづく保留記憶であるかを認識可能な態様により第1保留記憶が表示される(例えば、第1始動入賞口9013への始動入賞にもとづく第1保留記憶である場合には縦縞、第3始動入賞口9012への始動入賞にもとづく第1保留記憶である場合には横縞の模様が付されて表示される)こととしてもよい。
【0242】
演出表示装置909は、第1特別図柄表示器908aによる第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器908bによる第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。第1特別図柄表示器908aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置909における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器908bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置909における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第1特別図柄表示器908aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器908bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置909において大当りを想起させるような演出図柄の組み合わせが停止表示される。
【0243】
第2始動入賞口9014を有する普通可変入賞球装置の下方には、2つの特別可変入賞球装置(第1特別可変入賞球装置9020a、第2特別可変入賞球装置9020b)が設けられている。第1大入賞口を形成する第1特別可変入賞球装置9020aは、
図27に示す第1大入賞口扉用のソレノイド9021aによって開閉駆動される第1大入賞口扉を備え、その第1大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する第1大入賞口を形成する。一例として、第1特別可変入賞球装置9020aでは、第1大入賞口扉用のソレノイド9021aがオフ状態であるときに第1大入賞口扉が第1大入賞口を閉鎖状態にする。その一方で、第1特別可変入賞球装置9020aでは、第1大入賞口扉用のソレノイド9021aがオン状態であるときに第1大入賞口扉が第1大入賞口を開放状態にする。第1特別可変入賞球装置9020aに形成された第1大入賞口に進入した遊技球は、例えば
図27に示す第1カウントスイッチ9023Aによって検出される。
【0244】
第2大入賞口を形成する第2特別可変入賞球装置9020bは、
図27に示す第2大入賞口扉用のソレノイド9021bによって開閉駆動される第2大入賞口扉9071を備え、その第2大入賞口扉9071によって第1状態である開放状態と閉鎖状態とに変化する第2大入賞口を形成する。一例として、第2特別可変入賞球装置9020bでは、第2大入賞口扉用のソレノイド9021bがオフ状態であるときに第2大入賞口扉9071が第2大入賞口を閉鎖状態にする。その一方で、第2特別可変入賞球装置9020bでは、第2大入賞口扉用のソレノイド9021bがオン状態であるときに第2大入賞口扉9071が第2大入賞口を開放状態にする。第2特別可変入賞球装置9020bに形成された第2大入賞口に進入した遊技球は、例えば
図27に示す第2カウントスイッチ9023Bによって検出される。
【0245】
第1特別可変入賞球装置9020aが形成する第1大入賞口や第2特別可変入賞球装置9020bが形成する第2大入賞口を遊技球が通過(進入)することにより、多数の遊技球が賞球として払い出される。具体的に、第1大入賞口を遊技球が通過した場合には15球の賞球が払い出され、第2大入賞口を遊技球が通過した場合には10球の賞球が払い出される。すなわち、第2特別可変入賞球装置9020aは、第1大入賞口扉により第1大入賞口を開放状態とすることにより、遊技者にとって有利な第1状態となる。第2特別可変入賞球装置9020bは、第2大入賞口扉9071により第2大入賞口を開放状態とすることにより、遊技者にとって有利な第1状態となる。一方、第1特別可変入賞球装置9020aは、第1大入賞口扉により第1大入賞口を閉鎖状態とすることにより、遊技者にとって不利な第2状態となる。第2特別可変入賞球装置9020bは、第2大入賞口扉9071により第2大入賞口を閉鎖状態とすることにより、遊技者にとって不利な第2状態となる。なお、遊技球が第1大入賞口や第2大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が第1大入賞口や第2大入賞口を通過(進入)しにくい一部開放状態を設けてもよい。
【0246】
遊技盤906の左側方には、普通図柄表示器9010が設けられている。普通図柄表示器9010は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示する。
【0247】
遊技球がゲート9032を通過しゲートスイッチ9032aで検出されると、普通図柄表示器9010の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器9010における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、普通可変入賞球装置が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、普通可変入賞球装置の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口9014に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。普通図柄表示器9010の近傍には、ゲート9032を通過した入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器9041が設けられている。ゲート9032への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ9032aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器9041は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器9010の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。さらに、通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である高確率状態(通常状態と比較して、特別図柄の変動表示結果として大当りと判定される確率が高められた状態。)では、普通図柄表示器9010における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、普通可変入賞球装置の開放時間と開放回数が高められる。
【0248】
遊技盤906の遊技領域907の下部には、入賞しなかった打球が取り込まれるアウト口9026がある。また、遊技領域907の外側の左右上部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する2つのスピーカ9027が設けられている。遊技領域907の外周には、前面枠に設けられた枠LED9028が設けられている。
【0249】
遊技機には、遊技者が打球操作ハンドル905を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域907に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域907を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域907に入り、その後、遊技領域907を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口9013に入り第1始動口スイッチ9013aで検出されると、または遊技球が第3始動入賞口9012に入り第3始動口スイッチ9012aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器908aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置909において演出図柄の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口9013への入賞および第3始動入賞口9012への入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
【0250】
遊技球が第2始動入賞口9014に入り第2始動口スイッチ9014aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器908bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置909において演出図柄の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口9014への入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
【0251】
この実施の形態では、16R確変大当りまたは8R確変大当りとなった場合には、遊技状態を高確率状態に移行するとともに、遊技球が始動入賞しやすくなる(すなわち、特別図柄表示器908a,908bや演出表示装置909における可変表示の実行条件が成立しやすくなる)ように制御された遊技状態である高ベース状態に移行する。高ベース状態である場合には、例えば、高ベース状態でない場合と比較して、普通可変入賞球装置が開状態となる頻度が高められたり、普通可変入賞球装置が開状態となる時間が延長されたりして、始動入賞しやすくなる。
【0252】
なお、普通可変入賞球装置が開状態となる時間を延長する(開放延長状態ともいう)のでなく、普通図柄表示器9010における停止図柄が当り図柄になる確率が高められる普通図柄確変状態に移行することによって、高ベース状態に移行してもよい。普通図柄表示器9010における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)となると、普通可変入賞球装置が所定回数、所定時間だけ開状態になる。この場合、普通図柄確変状態に移行制御することによって、普通図柄表示器9010における停止図柄が当り図柄になる確率が高められ、普通可変入賞球装置が開状態となる頻度が高まる。従って、普通図柄確変状態に移行すれば、普通可変入賞球装置の開放時間と開放回数が高められ、始動入賞しやすい状態(高ベース状態)となる。すなわち、普通可変入賞球装置の開放時間と開放回数は、普通図柄の停止図柄が当り図柄であった場合等に高められ、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(始動入賞しやすい状態)に変化する。なお、開放回数が高められることは、閉状態から開状態になることも含む概念である。
【0253】
また、普通図柄表示器9010における普通図柄の変動時間(可変表示期間)が短縮される普通図柄時短状態に移行することによって、高ベース状態に移行してもよい。普通図柄時短状態では、普通図柄の変動時間が短縮されるので、普通図柄の変動が開始される頻度が高くなり、結果として普通図柄が当りとなる頻度が高くなる。従って、普通図柄が当たりとなる頻度が高くなることによって、普通可変入賞球装置が開状態となる頻度が高くなり、始動入賞しやすい状態(高ベース状態)となる。
【0254】
また、特別図柄や演出図柄の変動時間(可変表示期間)が短縮される時短状態に移行することによって、特別図柄や演出図柄の変動時間が短縮されるので、特別図柄や演出図柄の変動が開始される頻度が高くなり(換言すれば、保留記憶の消化が速くなる。)、無効な始動入賞が生じてしまう事態を低減することができる。従って、有効な始動入賞が発生しやすくなり、結果として、大当り遊技が行われる可能性が高まる。
【0255】
さらに、上記に示した全ての状態(開放延長状態、普通図柄確変状態、普通図柄時短状態および特別図柄時短状態)に移行させることによって、始動入賞しやすくなる(高ベース状態に移行する)ようにしてもよい。また、上記に示した各状態(開放延長状態、普通図柄確変状態、普通図柄時短状態および特別図柄時短状態)のうちのいずれか複数の状態に移行させることによって、始動入賞しやすくなる(高ベース状態に移行する)ようにしてもよい。また、上記に示した各状態(開放延長状態、普通図柄確変状態、普通図柄時短状態および特別図柄時短状態)のうちのいずれか1つの状態にのみ移行させることによって、始動入賞しやすくなる(高ベース状態に移行する)ようにしてもよい。
【0256】
図27は、主基板(遊技制御基板)9031における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、
図27は、払出制御基板9037および演出制御基板9080等も示されている。主基板9031には、プログラムに従ってパチンコ遊技機901を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)90560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ90560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM9054、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM9055、プログラムに従って制御動作を行うCPU9056およびI/Oポート部9057を含む。この実施の形態では、ROM9054およびRAM9055は遊技制御用マイクロコンピュータ90560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ90560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU9056のほかRAM9055が内蔵されていればよく、ROM9054は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部9057は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ90560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路90503が内蔵されている。
【0257】
また、RAM9055は、その一部または全部が電源基板(図示せず)において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM9055の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグなど)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施の形態では、RAM9055の全部が、電源バックアップされているとする。
【0258】
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ90560においてCPU9056がROM9054に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ90560(またはCPU9056)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU9056がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板9031以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
【0259】
乱数回路90503は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路90503は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0260】
乱数回路90503は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
【0261】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ90560は、乱数回路90503が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM9054等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ90560のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ90560の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行なって得られた数値データを、乱数回路90503が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路90503が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
【0262】
また、ゲートスイッチ9032a、第1始動口スイッチ9013a、第2始動口スイッチ9014a、第3始動口スイッチ9012a、第1カウントスイッチ9023A、第2カウントスイッチ9023Bからの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ90560に与える入力ドライバ回路9058も主基板9031に搭載されている。また、普通可変入賞球装置を開閉するソレノイド9016、第1大入賞口を形成する第1特別可変入賞球装置9020aを開閉するソレノイド9021a、および第2大入賞口を形成する第2特別可変入賞球装置9020bを開閉するソレノイド9021bを遊技制御用マイクロコンピュータ90560からの指令に従って駆動する出力回路9059も主基板9031に搭載されている。
【0263】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ90560は、特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器908a、第2特別図柄表示器908b、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器9010、第1特別図柄保留記憶表示器9018a、第2特別図柄保留記憶表示器9018bおよび普通図柄保留記憶表示器9041の表示制御を行う。
【0264】
なお、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路(図示せず)も主基板9031に搭載されている。
【0265】
この実施の形態では、演出制御基板9080に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板9077を介して遊技制御用マイクロコンピュータ90560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置909の表示制御を行う。
【0266】
また、演出制御基板9080に搭載されている演出制御手段が、ランプドライバ基板9035を介して、遊技盤に設けられている装飾LED(図示せず)、予告用LED(図示せず)、および枠側に設けられている枠LED9028の表示制御を行うとともに、音声出力基板9070を介してスピーカ9027からの音出力の制御を行う。
【0267】
図28は、中継基板9077、演出制御基板9080、ランプドライバ基板9035および音声出力基板9070の回路構成例を示すブロック図である。なお、
図28に示す例では、ランプドライバ基板9035および音声出力基板9070には、マイクロコンピュータは搭載されていないが、マイクロコンピュータを搭載してもよい。また、ランプドライバ基板9035および音声出力基板9070を設けずに、演出制御に関して演出制御基板9080のみを設けてもよい。
【0268】
演出制御基板9080は、演出制御用CPU90101、および演出図柄プロセスフラグ等の演出に関する情報を記憶するRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ90100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ90100におけるRAMは電源バックアップされていない。演出制御基板9080において、演出制御用CPU90101は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板9077を介して入力される主基板9031からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ90102および入力ポート90103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU90101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)90109に演出表示装置909の表示制御を行わせる。
【0269】
この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ90100と共動して演出表示装置909の表示制御を行うVDP90109が演出制御基板9080に搭載されている。VDP90109は、演出制御用マイクロコンピュータ90100とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP90109は、VRAM内の画像データをフレームメモリを介して演出表示装置909に出力する。
【0270】
演出制御用CPU90101は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP90109に出力する。CGROMは、演出表示装置909に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(演出図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP90109は、演出制御用CPU90101の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP90109は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
【0271】
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板9080において、まず、入力ドライバ90102に入力する。入力ドライバ90102は、中継基板9077から入力された信号を演出制御基板9080の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板9080の内部から中継基板9077への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
【0272】
中継基板9077には、主基板9031から入力された信号を演出制御基板9080に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板9080から中継基板9077への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路9074が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。
図28には、ダイオードが例示されている。また、単方向性回路は、各信号毎に設けられる。さらに、単方向性回路である出力ポート90571を介して主基板9031から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板9077から主基板9031の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板9077からの信号は主基板9031の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ90560側)に入り込まない。なお、出力ポート90571は、
図27に示されたI/Oポート部9057の一部である。また、出力ポート90571の外側(中継基板9077側)に、さらに、単方向性回路である信号ドライバ回路が設けられていてもよい。
【0273】
また、演出制御用CPU90101は、スティックコントローラ90122のトリガボタン90121に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、トリガセンサ90125から、入力ポート90107を介して入力する。また、演出制御用CPU90101は、プッシュボタン90120に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、プッシュセンサ90124から、入力ポート90107を介して入力する。また、演出制御用CPU90101は、スティックコントローラ90122の操作桿に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、傾倒方向センサユニット90123から、入力ポート90107を介して入力する。また、演出制御用CPU90101は、出力ポート90105を介してバイブレータ用モータ90126に駆動信号を出力することにより、スティックコントローラ90122を振動動作させる。
【0274】
さらに、演出制御用CPU90101は、出力ポート90105を介してランプドライバ基板9035に対してLEDやランプを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPU90101は、出力ポート90104を介して音声出力基板9070に対して音番号データを出力する。
【0275】
ランプドライバ基板9035において、LEDやランプを駆動する信号は、入力ドライバ90351を介してLED/ランプドライバ90352に入力される。LED/ランプドライバ90352は、LEDやランプを駆動する信号にもとづいて枠LED9028などの枠側に設けられている発光体に電流を供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LEDなどに電流を供給する。
【0276】
音声出力基板9070において、音番号データは、入力ドライバ90702を介して音声合成用IC90703に入力される。音声合成用IC90703は、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路90705に出力する。増幅回路90705は、音声合成用IC90703の出力レベルを、ボリューム90706で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ9027に出力する。音声データROM90704には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
【0277】
次に、遊技機の動作について説明する。
図29は、主基板9031における遊技制御用マイクロコンピュータ90560が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ90560(具体的には、CPU9056)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS901以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU9056は、まず、必要な初期設定を行う。
【0278】
初期設定処理において、CPU9056は、まず、割込禁止に設定する(ステップS901)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS902)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS903)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS904)、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS905)。なお、割込モード2は、CPU9056が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。
【0279】
次いで、CPU9056は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号(クリア信号)の状態を確認する(ステップS906)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU9056は、通常の初期化処理(ステップS9010~S9015)を実行する。
【0280】
クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS907)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU9056は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
【0281】
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら、CPU9056は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS908)。この実施の形態では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS908では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
【0282】
チェック結果が正常であれば、CPU9056は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(ステップS9041~S9043の処理)を行う。具体的には、ROM9054に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS9041)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM9055内の領域)に設定する(ステップS9042)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS9041およびS9042の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、高確率フラグ、高ベースフラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。
【0283】
また、CPU9056は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを送信する(ステップS9043)。また、CPU9056は、バックアップRAMに保存されている表示結果(16R確変大当り、8R確変大当りまたははずれ)を指定した表示結果指定コマンドを演出制御基板9080に対して送信する(ステップS9044)。そして、ステップS9014に移行する。なお、ステップS9044において、CPU9056は、例えば、後述する特別図柄ポインタの値もバックアップRAMに保存している場合には、第1図柄変動指定コマンドや第2図柄変動指定コマンドも送信するようにしてもよい。この場合、演出制御用マイクロコンピュータ90100は、第1図柄変動指定コマンドや第2図柄変動指定コマンドを受信したことにもとづいて、第4図柄の変動表示を再開するようにしてもよい。
【0284】
なお、この実施の形態では、バックアップRAM領域には、後述する変動時間タイマの値も保存される。従って、停電復旧した場合には、ステップS9044で表示結果指定コマンドが送信された後、保存していた変動時間タイマの値の計測を再開して特別図柄の変動表示が再開されるとともに、保存していた変動時間タイマの値がタイムアウトしたときに、さらに後述する図柄確定指定コマンドが送信される。また、この実施の形態では、バックアップRAM領域には、後述する特別図柄プロセスフラグの値も保存される。従って、停電復旧した場合には、保存されている特別図柄プロセスフラグの値に応じたプロセスから特別図柄プロセス処理が再開される。
【0285】
なお、停電復旧時に必ず表示結果指定コマンドを送信するのではなく、CPU9056は、まず、バックアップRAM領域に保存している変動時間タイマの値が0であるか否かを確認するようにしてもよい。そして、変動時間タイマの値が0でなければ、変動中に停電した場合であると判断して、表示結果指定コマンドを送信するようにし、変動時間タイマが0であれば、停電時に変動中の状態ではなかったと判断して、表示結果指定コマンドを送信しないようにしてもよい。
【0286】
また、CPU9056は、まず、バックアップRAM領域に保存している特別図柄プロセスフラグの値が3であるか否かを確認するようにしてもよい。そして、特別図柄プロセスフラグの値が3であれば、変動中に停電した場合であると判断して、表示結果指定コマンドを送信するようにし、特別図柄プロセスフラグが3でなければ、停電時に変動中ではなかったと判断して、表示結果指定コマンドを送信しないようにしてもよい。
【0287】
なお、この実施の形態では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否か確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、遊技状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
【0288】
初期化処理では、CPU9056は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS9010)。なお、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM9055の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM9054に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS9011)、初期化時設定テーブルの内容を順次作業領域に設定する(ステップS9012)。
【0289】
ステップS9011およびS9012の処理によって、例えば、普通図柄当り判定用乱数カウンタ、特別図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
【0290】
また、CPU9056は、サブ基板(主基板9031以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ90560が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)をサブ基板に送信する(ステップS9013)。例えば、演出制御用マイクロコンピュータ90100は、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置909において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。
【0291】
また、CPU9056は、乱数回路90503を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS9014)。CPU9056は、例えば、乱数回路設定プログラムに従って処理を実行することによって、乱数回路90503にランダムR´の値を更新させるための設定を行う。
【0292】
そして、ステップS9015において、CPU9056は、所定時間(例えば4ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ90560に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行なう。すなわち、初期値として例えば4msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、4ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
【0293】
初期化処理の実行(ステップS9010~S9015)が完了すると、CPU9056は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS9017)および初期値用乱数更新処理(ステップS9018)を繰り返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS9016)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS9019)。この実施の形態では、表示用乱数とは、大当りとしない場合の特別図柄の停止図柄を決定するための乱数や大当りとしない場合にリーチとするか否かを決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。この実施の形態では、初期値用乱数とは、普通図柄に関して当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ90560が、遊技機に設けられている演出表示装置、普通可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、普通図柄当り判定用乱数のカウント値が1周(普通図柄当り判定用乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
【0294】
なお、この実施の形態では、リーチ演出は、演出表示装置909において可変表示される演出図柄を用いて実行される。また、特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、リーチ演出は常に実行される。特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ90560は、乱数を用いた変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選を行うことによって、リーチ演出を実行するか否か決定する。ただし、実際にリーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータ90100である。
【0295】
タイマ割込が発生すると、CPU9056は、
図30に示すステップS9020~S9034のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS9020)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU9056は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路9058を介して、ゲートスイッチ9032a、第1始動口スイッチ9013a、第2始動口スイッチ9014a、第3始動口スイッチ9012a、第1カウントスイッチ9023A、および第2カウントスイッチ9023Bの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS9021)。
【0296】
次に、CPU9056は、第1特別図柄表示器908a、第2特別図柄表示器908b、普通図柄表示器9010、第1特別図柄保留記憶表示器9018a、第2特別図柄保留記憶表示器9018b、普通図柄保留記憶表示器9041の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS9022)。第1特別図柄表示器908a、第2特別図柄表示器908bおよび普通図柄表示器9010については、ステップS9032,S9033で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
【0297】
また、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS9023)。CPU9056は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:ステップS9024,S9025)。
【0298】
さらに、CPU9056は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS9026)。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器908a、第2特別図柄表示器908bおよび大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU9056は、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
【0299】
次いで、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS9027)。普通図柄プロセス処理では、CPU9056は、普通図柄表示器9010の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU9056は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
【0300】
また、CPU9056は、演出制御用マイクロコンピュータ90100に演出制御コマンドを送出する処理を行う(演出制御コマンド制御処理:ステップS9028)。
【0301】
さらに、CPU9056は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS9029)。
【0302】
また、CPU9056は、第1始動口スイッチ9013a、第2始動口スイッチ9014a、第3始動口スイッチ9012a、第1カウントスイッチ9023Aおよび第2カウントスイッチ9023Bの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS9030)。具体的には、第1始動口スイッチ9013a、第2始動口スイッチ9014a、第3始動口スイッチ9012a、第1カウントスイッチ9023Aおよび第2カウントスイッチ9023Bのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板9037に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置9097を駆動する。
【0303】
この実施の形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU9056は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS9031:出力処理)。
【0304】
また、CPU9056は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS9032)。
【0305】
さらに、CPU9056は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS9033)。CPU9056は、例えば、普通図柄の変動に関する開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、普通図柄の変動速度が0.2秒ごとに表示状態(「○」および「×」)を切り替えるような速度であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値(例えば、「○」を示す1と「×」を示す0)を切り替える。また、CPU9056は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS9022において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器9010における普通図柄の演出表示を実行する。
【0306】
その後、割込許可状態に設定し(ステップS9034)、処理を終了する。
【0307】
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は4ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS9021~S9033(ステップS9029を除く。)の処理に相当する。また、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
【0308】
第1特別図柄表示器908aまたは第2特別図柄表示器908bおよび演出表示装置909にはずれ図柄が停止表示される場合には、演出図柄の可変表示が開始されてから、演出図柄の可変表示状態がリーチ状態にならずに、リーチにならない所定の演出図柄の組み合わせが停止表示されることがある。このような演出図柄の可変表示態様を、可変表示結果がはずれ図柄になる場合における「非リーチ」(「通常はずれ」ともいう)の可変表示態様という。
【0309】
第1特別図柄表示器908aまたは第2特別図柄表示器908bおよび演出表示装置909にはずれ図柄が停止表示される場合には、演出図柄の可変表示が開始されてから、演出図柄の可変表示状態がリーチ状態となった後にリーチ演出が実行され、最終的に大当り図柄とはならない所定の演出図柄の組み合わせが停止表示されることがある。このような演出図柄の可変表示結果を、可変表示結果が「はずれ」となる場合における「リーチ」(「リーチはずれ」ともいう)の可変表示態様という。
【0310】
この実施の形態では、第1特別図柄表示器908aまたは第2特別図柄表示器908bに大当り図柄が停止表示される場合には、演出図柄の可変表示状態がリーチ状態になった後にリーチ演出が実行され、最終的に演出表示装置909における「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア909L、909C、909Rに、演出図柄が揃って停止表示される。
【0311】
次に、大当り種別ごとの大当りにおける特別可変入賞球装置(第1特別可変入賞球装置9020aおよび第2特別可変入賞球装置9020b)の開放パターンを説明する。
図31は、特別可変入賞球装置の開放パターンを示す説明図である。この実施の形態では、大当り種別として16R確変大当りと8R確変大当りとが設けられている。
【0312】
まず、
図31(1)を用いて、16R確変大当りにおける特別可変入賞球装置(第1特別可変入賞球装置9020aおよび第2特別可変入賞球装置9020b)の開放パターンを説明する。この実施の形態では、16R確変大当りにもとづく大当り遊技状態に制御される場合、奇数ラウンド(1,3,5,7,9,11,13,15ラウンド)において、1ラウンドあたり第1特別可変入賞球装置9020aが27秒間開放状態に制御された後、特別可変入賞球装置が1.0秒間閉鎖状態に制御される(ただし、特別可変入賞球装置が閉鎖状態とされる1.0秒間はインターバル期間である)。そして、偶数ラウンド(2,4,6,8,10,12,14ラウンド)において、1ラウンドあたり第2特別可変入賞球装置9020bが27秒間開放状態に制御された後、特別可変入賞球装置が1.0秒間閉鎖状態に制御される(ただし、特別可変入賞球装置が閉鎖状態とされる1.0秒間はインターバル期間である)。
【0313】
次に、
図31(2)を用いて、8R確変大当りにおける特別可変入賞球装置(第1特別可変入賞球装置9020aおよび第2特別可変入賞球装置9020b)の開放パターンを説明する。この実施の形態では、8R確変大当りにもとづく大当り遊技状態に制御される場合、奇数ラウンドにおいて、1ラウンドあたり第1特別可変入賞球装置9020aが27秒間開放状態に制御された後、特別可変入賞球装置が1.0秒間閉鎖状態に制御される(ただし、特別可変入賞球装置が閉鎖状態とされる1.0秒間はインターバル期間である)。そして、偶数ラウンドにおいて、1ラウンドあたり第2特別可変入賞球装置9020bが1.0秒間開放状態に制御された後、特別可変入賞球装置が1.0秒間閉鎖状態に制御される(ただし、特別可変入賞球装置が閉鎖状態とされる1.0秒間はインターバル期間である)。
【0314】
なお、ラウンド遊技における大入賞口の開放時間が規定時間(例えば、27秒)に達する前であっても、実行中のラウンドにおける大入賞口への遊技球の入賞数が規定個数(例えば、10個)に達した場合にも、該ラウンドが終了する(開放状態に制御されていた大入賞口が閉鎖状態に制御される)よう構成されているものである(
図36参照)。
【0315】
なお、16R確変大当りおよび8R確変大当りにもとづく大当り遊技状態に制御された後は、50回の変動に亘り、通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態(通常状態と比較して、特別図柄の変動表示結果として大当りと判定される確率が高められた状態)に移行制御される。
【0316】
図32は、主基板9031に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ90560(具体的には、CPU9056)が実行する特別図柄プロセス処理(ステップS9026)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように、特別図柄プロセス処理では第1特別図柄表示器908aまたは第2特別図柄表示器908bおよび大入賞口を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理において、CPU9056は、第1始動入賞口9013に遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ9013aがオンしていたら、または、第3始動入賞口9012に遊技球が入賞したことを検出するための第3始動口スイッチ9012aがオンしていたら、すなわち、第1始動入賞口9013または第3始動入賞口9012への始動入賞が発生していたら、第1始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS90311,S90312,S90315,S90316)。または、第2始動入賞口9014に遊技球が入賞したことを検出するための第2始動口スイッチ9014aがオンしていたら、すなわち第2始動入賞口9014への始動入賞が発生していたら、第2始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS90313,S90314)。そして、ステップS90300~S90307のうちのいずれかの処理を行う。第1始動入賞口スイッチ9013a、第2始動口スイッチ9014aまたは第3始動口スイッチ9012aがオンしていなければ、内部状態に応じて、ステップS90300~S90307のうちのいずれかの処理を行う。
【0317】
ステップS90300~S90307の処理は、以下のような処理である。
【0318】
特別図柄通常処理(ステップS90300):特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される。遊技制御用マイクロコンピュータ90560は、特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、保留記憶バッファに記憶される数値データの記憶数(合算保留記憶数)を確認する。保留記憶バッファに記憶される数値データの記憶数は合算保留記憶数カウンタのカウント値により確認できる。また、合算保留記憶数カウンタのカウント値が0でなければ、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示の表示結果を大当りとするか否かを決定する。大当りとする場合には大当りフラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS90301に応じた値(この例では1)に更新する。なお、大当りフラグは、大当り遊技が終了するときにリセットされる。
【0319】
変動パターン設定処理(ステップS90301):特別図柄プロセスフラグの値が1であるときに実行される。また、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:可変表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の可変表示の変動時間とすることに決定する。また、決定した変動パターンに応じた変動パターンコマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信する制御を行い、特別図柄の変動時間を計測する変動時間タイマをスタートさせる。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS90302に対応した値(この例では2)に更新する。
【0320】
表示結果指定コマンド送信処理(ステップS90302):特別図柄プロセスフラグの値が2であるときに実行される。演出制御用マイクロコンピュータ90100に、表示結果指定コマンドを送信する制御を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS90303に対応した値(この例では3)に更新する。
【0321】
特別図柄変動中処理(ステップS90303):特別図柄プロセスフラグの値が3であるときに実行される。変動パターン設定処理で選択された変動パターンの変動時間が経過(ステップS90301でセットされる変動時間タイマがタイムアウトすなわち変動時間タイマの値が0になる)すると、演出制御用マイクロコンピュータ90100に、図柄確定指定コマンドを送信する制御を行い、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS90304に対応した値(この例では4)に更新する。なお、演出制御用マイクロコンピュータ90100は、遊技制御用マイクロコンピュータ90560が送信する図柄確定指定コマンドを受信すると演出表示装置909において第4図柄が停止されるように制御する。
【0322】
特別図柄停止処理(ステップS90304):特別図柄プロセスフラグの値が4であるときに実行される。大当りフラグがセットされている場合に、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS90305に対応した値(この例では5)に更新する。大当りフラグがセットされていない場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS90300に対応した値(この例では0)に更新する。なお、この実施の形態では、特別図柄プロセスフラグの値が4となったことにもとづいて、特別図柄表示制御処理において特別図柄の停止図柄を停止表示するための特別図柄表示制御データが特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定され、ステップS9022の表示制御処理において出力バッファの設定内容に応じて実際に特別図柄の停止図柄が停止表示される。
【0323】
大入賞口開放前処理(ステップS90305):特別図柄プロセスフラグの値が5であるときに実行される。大入賞口開放前処理では、大入賞口を開放する制御を行う。具体的には、カウンタ(例えば、大入賞口に入った遊技球数をカウントするカウンタ)などを初期化するとともに、ソレノイド9021a,9021bを駆動して大入賞口を開放状態にする。また、大入賞口開放中指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信する制御を行うとともに、タイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS90306に対応した値(この例では6)に更新する。なお、大入賞口開放前処理はラウンド毎に実行されるが、第1ラウンドを開始する場合には、大入賞口開放前処理は大当り遊技を開始する処理でもある。また、大入賞口開放中指定コマンドはラウンドごとにそのラウンドを指定する値がEXTデータに設定されて送信されるので、ラウンドごとに異なる大入賞口開放中指定コマンドが送信される。例えば、大当り遊技中の第1ラウンドを実行する際には、ラウンド1を指定する大入賞口開放中指定コマンド(A101(H))が送信され、大当り遊技中の第10ラウンドを実行する際には、ラウンド10を指定する大入賞口開放中指定コマンド(A10A(H))が送信される。
【0324】
大入賞口開放中処理(ステップS90306):特別図柄プロセスフラグの値が6であるときに実行される。大入賞口開放中処理では、大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口の閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS90305に対応した値(この例では5)に更新する。また、大当り中開放後指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信する制御を行うとともに、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS90307に対応した値(この例では7)に更新する。
【0325】
大当り終了処理(ステップS90307):特別図柄プロセスフラグの値が7であるときに実行される。大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータ90100に行わせるための制御を行う。また、遊技状態を示すフラグ(例えば、高確率フラグや高ベースフラグ)をセットする処理を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS90300に対応した値(この例では0)に更新する。
【0326】
図33は、ステップS90312の第1始動口スイッチ通過処理および第2始動口スイッチ通過処理を示すフローチャートである。第1始動口スイッチ通過処理において、CPU9056は、まず、第1保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第1保留記憶数をカウントするための第1保留記憶数カウンタの値が4であるか否か)を確認する(ステップS901212)。第1保留記憶数が上限値に達していれば、そのまま処理を終了する。
【0327】
第1保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU9056は、第1保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS901213)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS901214)。また、CPU9056は、第1始動入賞口9013、第2始動入賞口9014および第3始動入賞口9012への入賞順を記憶するための保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、合算保留記憶数カウンタの値に対応した領域に、「第1」を示すデータをセットする(ステップS901215)。
【0328】
この実施の形態では、第1始動口スイッチ9013aがオン状態となった場合(すなわち、第1始動入賞口9013に遊技球が始動入賞した場合)または第3始動口スイッチ9012aがオン状態となった場合(すなわち、第3始動入賞口9012に遊技球が始動入賞した場合)には「第1」を示すデータをセットし、第2始動口スイッチ9014aがオン状態となった場合(すなわち、第2始動入賞口9014に遊技球が始動入賞した場合)には「第2」を示すデータをセットする。例えば、CPU9056は、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、第1始動口スイッチ9013aまたは第3始動口スイッチ9012aがオン状態となった場合には「第1」を示すデータとして01(H)をセットし、第2始動口スイッチ9014aがオン状態となった場合には「第2」を示すデータとして02(H)をセットする。なお、この場合、対応する保留記憶がない場合には、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)には、00(H)がセットされている。
【0329】
図34(A)は、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)の構成例を示す説明図である。
図34(A)に示すように、保留特定領域には、合算保留記憶数カウンタの値の最大値(この例では8)に対応した領域が確保されている。なお、
図34(A)には、合算保留記憶数カウンタの値が5である場合の例が示されている。
図34(A)に示すように、保留特定領域には、合算保留記憶数カウンタの値の最大値(この例では8)に対応した領域が確保されており、第1始動入賞口9013、第2始動入賞口9014または第3始動入賞口9012への入賞にもとづき入賞順に「第1」または「第2」であることを示すデータがセットされる。従って、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)には、第1始動入賞口9013、第2始動入賞口9014および第3始動入賞口9012への入賞順が記憶される。なお、保留特定領域は、RAM9055に形成されている。
【0330】
次いで、CPU9056は、乱数回路90503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファ(
図34(B)参照)における保存領域に格納する処理を実行する(ステップS901216)。なお、ステップS901216の処理では、ハードウェア乱数であるランダムR´(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1´)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2´)および変動パターン判定用乱数(ランダム3´)が抽出され、保存領域に格納される。なお、変動パターン判定用乱数(ランダム3´)を始動口スイッチ通過処理(始動入賞時)において抽出して保存領域にあらかじめ格納しておくのではなく、第1特別図柄の変動開始時に抽出するようにしてもよい。例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ90560は、後述する変動パターン設定処理において、変動パターン判定用乱数(ランダム3´)を生成するための変動パターン判定用乱数カウンタから値を直接抽出するようにしてもよい。
【0331】
図34(B)は、保留記憶に対応する乱数等を保存する領域(保留バッファ)の構成例を示す説明図である。
図34(B)に示すように、第1保留記憶バッファには、第1保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。また、第2保留記憶バッファには、第2保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。この実施の形態では、第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファには、ハードウェア乱数であるランダムR´(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1´)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2´)および変動パターン判定用乱数(ランダム3´)が記憶される。なお、第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファは、RAM9055に形成されている。
【0332】
次いで、CPU9056は、第1始動口スイッチ9013aがオン状態となった場合(すなわち、第1始動入賞口9013に遊技球が始動入賞した場合)には第1始動入賞口9013に遊技球が始動入賞したことを示す第1始動入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信する制御を行う(ステップS901218)。また第3始動口スイッチ9012aがオン状態となった場合(すなわち、第3始動入賞口9012に遊技球が始動入賞した場合)には第3始動入賞口9012に遊技球が始動入賞したことを示す第3始動入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信する制御を行う(ステップS901219)。
【0333】
第2始動口スイッチ通過処理において、CPU9056は、まず、第2保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第2保留記憶数をカウントするための第2保留記憶数カウンタの値が4であるか否か)を確認する(ステップS901223)。第2保留記憶数が上限値に達していれば、そのまま処理を終了する。
【0334】
第2保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU9056は、第2保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS901224)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS901225)。また、CPU9056は、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、合算保留記憶数カウンタの値に対応した領域に、「第2」を示すデータをセットする(ステップS901226)。
【0335】
次いで、CPU9056は、乱数回路90503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファ(
図34(B)参照)における保存領域に格納する処理を実行する(ステップS901227)。なお、ステップS901227の処理では、ハードウェア乱数であるランダムR´(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1´)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2´)および変動パターン判定用乱数(ランダム3´)が抽出され、保存領域に格納される。なお、変動パターン判定用乱数(ランダム3´)を始動口スイッチ通過処理(始動入賞時)において抽出して保存領域にあらかじめ格納しておくのではなく、第2特別図柄の変動開始時に抽出するようにしてもよい。例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ90560は、後述する変動パターン設定処理において、変動パターン判定用乱数(ランダム3´)を生成するための変動パターン判定用乱数カウンタから値を直接抽出するようにしてもよい。
【0336】
次いで、CPU9056は、第2始動入賞口9014に遊技球が始動入賞したことを示す第2始動入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信する制御を行う(ステップS901231)。
【0337】
図35は、大当り遊技における各ラウンドの前に実行される大入賞口開放前処理(ステップS90305)を示すフローチャートである。大入賞口開放前処理において、CPU9056は、特別図柄停止処理または大入賞口開放前処理においてセットされた時間計測タイマの値を-1する(ステップS901401)。時間計測タイマには、未だ1ラウンドを開始していない場合には1ラウンドを開始するまでの期間(オープニング期間)に対応する値がセットされ、既に1ラウンドを行った場合には大入賞口を閉鎖している期間(インターバル期間である0.1秒)に対応する値がセットされている。
【0338】
そして、CPU9056は、第1カウントスイッチ9023Aがオンである場合に、第1大入賞口に対する遊技球の入賞が発生したことを示す第1大入賞口入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信し(ステップS901403のY,S901404)、第2カウントスイッチ9023Bがオンである場合に、第2大入賞口に対する遊技球の入賞が発生したことを示す第2大入賞口入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信する(ステップS901403AのY,S901404A)。いずれかの大入賞口入賞指定コマンドを受信した演出制御用マイクロコンピュータ90100は、所定の演出を実行するものである。
【0339】
なお、この大入賞口開放前処理はいずれの大入賞口も閉鎖状態に制御されているときに実行される処理であるが、開放状態が終了する直前の大入賞口に入賞した遊技球は該大入賞口が閉鎖状態に制御されてから検出されることがあるため、ステップS901403~S901404Aを行うことにより、そういった遊技球を検出した場合にも大入賞口入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信する構成となっている。なお、各大入賞口への遊技球の入賞は、開放状態に制御されている間のみ有効とする(閉鎖状態に検出された場合には無効とする)こととしてもよい。
【0340】
時間計測タイマがタイムアウト(時間計測タイマの値が0)したら(ステップS901411)、CPU9056は、演出制御用マイクロコンピュータ90100に大入賞口開放中指定コマンドを送信し(ステップS901412)、第1大入賞口に入賞した遊技球数を示す第1入賞個数カウンタ、および第2大入賞口に入賞した遊技球数を示す第2入賞個数カウンタを初期化する(ステップS901413)。すなわち、第1入賞個数カウンタおよび第2入賞個数カウンタの値を0にする。
【0341】
ステップS901413の後、CPU9056は、開放対象の大入賞口を開放状態に制御する(ステップS901414)。具体的には、奇数ラウンドであればソレノイド9021aを駆動して第1大入賞口を開放状態に制御する。また、偶数ラウンドであればソレノイド9021bを駆動して第2大入賞口を開放状態に制御する。そして、大入賞口の開放時間を計測するための開放時間タイマに開放時間(27秒)セットする(ステップS901415)。
【0342】
そして、CPU9056は、特別図柄プロセスフラグの値を、大入賞口開放中処理(ステップS90306)に対応した値に更新する(ステップS901416)。
【0343】
図36は、大入賞口開放中処理(ステップS90306)を示すフローチャートである。大入賞口開放中処理において、まず、CPU9056は、第1カウントスイッチ9023Aがオンしているか否か、すなわち、第1大入賞口への遊技球の入賞が検知されたか否かを判定し(ステップS901452)、オンしていなければステップS901452Aへ移行する。第1カウントスイッチ9023Aがオンしていれば、第1入賞個数カウンタの値を+1し(ステップS901453)、演出制御用マイクロコンピュータ90100に第1大入賞口入賞指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS901454)。
【0344】
また、CPU9056は、ステップS901452Aにおいて、第2カウントスイッチ9023Bがオンしているか否か、すなわち、第2大入賞口への遊技球の入賞が検知されたか否かを判定し(ステップS901452A)、オンしていなければステップS901462へ移行する。第2カウントスイッチ9023Bがオンしていれば、第2入賞個数カウンタの値を+1し(ステップS901453A)、演出制御用マイクロコンピュータ90100に第2大入賞口入賞指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS901454A)。
【0345】
なお、この実施の形態では、ステップS901452~S901454Aを行うことにより、第1大入賞口および第2大入賞口のうち、現在開放している大入賞口への遊技球の入賞に対応する処理と、現在閉鎖している大入賞口への遊技球の入賞に対応する処理との両方を実行可能な構成となっている。現在閉鎖している大入賞口への遊技球の入賞を検出する場合とは、所定ラウンドにおける開放状態が終了する直前の大入賞口へ遊技球が入賞し、該遊技球がインターバル期間中には検出されずに、該所定ラウンドの次のラウンドが開始されてから検出された場合である。例えば、1ラウンドの閉鎖直前の第1大入賞口に入賞した遊技球が、2ラウンドが開始されてから第1カウントスイッチ9023Aにより検出された場合である。現在閉鎖している大入賞口への遊技球の入賞を検出した場合には、該当する入賞個数カウンタを加算する処理を省略するものでもよい。
【0346】
次に、CPU9056は、ラウンド数に応じた入賞個数カウンタの値が10になったか否かを判定する(ステップS901462)。具体的に、奇数ラウンドであれば第1入賞個数カウンタの値が10になったか否かを判定し、偶数ラウンドであれば第2入賞個数カウンタの値が10になったか否かを判定する。
【0347】
ラウンド数に応じた入賞個数カウンタの値が10未満であれば、CPU9056は、開放時間タイマを1減算し(ステップS901463)、開放時間タイマがタイムアウトしたか否かを確認する(ステップS901464)。開放時間タイマがタイムアウトしていなければ、そのまま処理を終了する。開放時間タイマがタイムアウトしていれば、ステップS901465に移行する。
【0348】
ステップS901465において、CPU9056は、第1大入賞口または第2大入賞口を閉鎖状態に制御し(ステップS901465)、ステップS901466へ移行する。具体的には、大入賞口開放前処理のステップS901414で第1大入賞口が開放された場合には、ソレノイド9021aの駆動を停止して第1大入賞口を閉鎖状態に制御する。また、大入賞口開放前処理のステップS901414で第2大入賞口が開放された場合には、ソレノイド9021bの駆動を停止して第2大入賞口を閉鎖状態に制御する。
【0349】
ステップS901466に移行すると、CPU9056は、ラウンドを終了させるための処理を行う。具体的には、CPU9056は、まず、現在のラウンド数を示すラウンド数カウンタの値をEXTデータにセットして、演出制御用マイクロコンピュータ90100に大入賞口開放後指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS901466)。
【0350】
なお、ラウンド数カウンタは、特別図柄停止処理において大当り種別に応じた値がセットされるものである。具体的に、16R確変大当りであれが「16」、8R確変大当りであれば「8」がセットされる。
【0351】
そして、CPU9056は、ラウンド数カウンタの値を1減算し(ステップS901467)、ラウンド数カウンタの値が0となっているか否かを確認する(ステップS901468)。ラウンド数カウンタの値が0となっていれば(すなわち、最終ラウンドを終了していれば)、ステップS901471に移行する。
【0352】
ラウンド数カウンタの値が0となっていなければ(すなわち、残りのラウンドがあれば)、CPU9056は、時間計測タイマにラウンド開始前時間(新たなラウンドが開始されることを例えば演出表示装置909において報知する時間(インターバル演出を行う期間に相当))に相当する値(本例では、1.0秒)を設定する(ステップS901469)。
【0353】
そして、CPU9056は、特別図柄プロセスフラグの値を、大入賞口開放前処理(ステップS90305)に対応した値に更新する(ステップS901470)。
【0354】
最終ラウンドを終了していれば(ステップS901468のY)、CPU9056は、時間計測タイマに大当り終了表示を開始するまでのエンディング待機時間に相当する値を設定し(ステップS901471)、特別図柄プロセスフラグの値を、大当り終了処理(ステップS90307)に対応した値に更新する(ステップS901472)。
【0355】
図37は、特別図柄プロセス処理における大当り終了処理(ステップS90307)を示すフローチャートである。大当り終了処理において、CPU9056は、大当り終了表示タイマが設定されているか否か確認し(ステップS90160)、大当り終了表示タイマが設定されている場合には、ステップS90168に移行する。大当り終了表示タイマが設定されていない場合には、CPU9056は、時間計測タイマを1減算し(ステップS90161)、第1カウントスイッチ9023Aがオンであれば第1大入賞口入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信し(ステップS90162のY,S90163)、第2カウントスイッチ9023Bがオンであれば第2大入賞口入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信する(ステップS90162AのY,S90163A)。
【0356】
なお、この大入賞口開放前処理はいずれの大入賞口も閉鎖状態に制御されているときに実行される処理であるが、開放状態が終了する直前の大入賞口に入賞した遊技球は該大入賞口が閉鎖状態に制御されてから検出されることがあるため、ステップS90162~S90163Aを行うことにより、そういった遊技球を検出した場合にも大入賞口入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信する構成となっている。なお、各大入賞口への遊技球の入賞は、開放状態に制御されている間のみ有効とする(閉鎖状態に検出された場合には無効とする)こととしてもよい。
【0357】
そして、CPU9056は、時間計測タイマがタイムアウトしたか否かを判定し(ステップS90164)、タイムアウトした場合、大当りフラグをリセットし(ステップS90165)、大当り終了指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS90166)。そして、大当り終了表示タイマに、演出表示装置909において大当り終了表示が行われている時間(大当り終了表示時間)に対応する表示時間に相当する値を設定し(ステップS90167)、処理を終了する。
【0358】
ステップS90168では、大当り終了表示タイマの値を1減算する(ステップS90168)。そして、CPU9056は、大当り終了表示タイマの値が0になっているか否か、すなわち大当り終了表示時間が経過したか否か確認する(ステップS90169)。経過していなければ処理を終了する。
【0359】
大当り終了表示時間を経過していれば(ステップS90169のY)、CPU9056は、確変状態であることを示す確変フラグをセットするとともに(ステップS90173)、残余確変回数を示す確変回数カウンタの値に「50」をセットする(ステップS90174)。確変回数カウンタは変動が行われる毎に1ずつ減算され、「0」になったことにもとづいて通常状態に制御されるものである。
【0360】
そして、CPU9056は、特別図柄プロセスフラグの値を特別図柄通常処理(ステップS90300)に対応した値に更新する(ステップS90176)。
【0361】
次に、演出制御手段の動作を説明する。
図38は、演出制御基板9080に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ90100(具体的には、演出制御用CPU90101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。演出制御用CPU90101は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、4ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS90701)。その後、演出制御用CPU90101は、タイマ割込フラグの監視(ステップS90702)を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU90101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU90101は、そのフラグをクリアし(ステップS90703)、以下の演出制御処理を実行する。
【0362】
演出制御処理において、演出制御用CPU90101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行う(コマンド解析処理:ステップS90704)。
【0363】
次いで、演出制御用CPU90101は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS90705)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置909の表示制御を実行する。
【0364】
次いで、演出制御用CPU90101は、第4図柄プロセス処理を行う(ステップS90706)。第4図柄プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(第4図柄プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置909の第4図柄表示領域909c,909dにおいて第4図柄の表示制御を実行する。
【0365】
次いで、大当り図柄決定用乱数などの乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS90707)。その後、ステップS90702に移行する。
【0366】
図39は、主基板9031の遊技制御用マイクロコンピュータ90560から受信した演出制御コマンドを格納するためのコマンド受信バッファの一構成例を示す説明図である。この例では、2バイト構成の演出制御コマンドを6個格納可能なリングバッファ形式のコマンド受信バッファが用いられる。従って、コマンド受信バッファは、受信コマンドバッファ1~12の12バイトの領域で構成される。そして、受信したコマンドをどの領域に格納するのかを示すコマンド受信個数カウンタが用いられる。コマンド受信個数カウンタは、0~11の値をとる。なお、必ずしもリングバッファ形式でなくてもよい。
【0367】
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ90560から送信された演出制御コマンドは、演出制御INT信号にもとづく割込処理で受信され、RAMに形成されているバッファ領域に保存されている。コマンド解析処理では、バッファ領域に保存されている演出制御コマンドがどのコマンドであるのか解析する。なお、演出制御INT信号にもとづく割込処理は、4msごとに実行されるタイマ割込処理に優先して実行される。
【0368】
図40および
図41は、コマンド解析処理(ステップS90704)の具体例を示すフローチャートである。主基板9031から受信された演出制御コマンドは受信コマンドバッファに格納されるが、コマンド解析処理では、演出制御用CPU90101は、コマンド受信バッファに格納されているコマンドの内容を確認する。
【0369】
コマンド解析処理において、演出制御用CPU90101は、まず、コマンド受信バッファに受信コマンドが格納されているか否か確認する(ステップS90611)。格納されているか否かは、コマンド受信個数カウンタの値と読出ポインタとを比較することによって判定される。両者が一致している場合が、受信コマンドが格納されていない場合である。コマンド受信バッファに受信コマンドが格納されている場合には、演出制御用CPU90101は、コマンド受信バッファから受信コマンドを読み出す(ステップS90612)。なお、読み出したら読出ポインタの値を+2しておく(ステップS90613)。+2するのは2バイト(1コマンド)ずつ読み出すからである。
【0370】
受信した演出制御コマンドが変動パターンコマンドであれば(ステップS90614)、演出制御用CPU90101は、受信した変動パターンコマンドを、RAMに形成されている変動パターンコマンド格納領域に格納する(ステップS90615)。そして、変動パターンコマンド受信フラグをセットする(ステップS90616)。変動パターンコマンドは、変動パターン設定処理(ステップS90301)にて遊技制御用マイクロコンピュータ90560が送信するコマンドであり、変動パターンを示す演出制御コマンドである。
【0371】
受信した演出制御コマンドが表示結果指定コマンドであれば(ステップS90617)、演出制御用CPU90101は、受信した表示結果指定コマンド(表示結果1指定コマンド~表示結果3指定コマンド)を、RAMに形成されている表示結果指定コマンド格納領域に格納する(ステップS90618)。表示結果指定コマンドは、表示結果指定コマンド送信処理(ステップS90302)にて遊技制御用マイクロコンピュータ90560が送信するコマンドであり、大当りとするか否か、および大当り種別を示す演出制御コマンドである。
【0372】
受信した演出制御コマンドが図柄確定指定コマンドであれば(ステップS90619)、演出制御用CPU90101は、確定コマンド受信フラグをセットする(ステップS90620)。図柄確定指定コマンドは、特別図柄変動中処理(ステップS90303)にて遊技制御用マイクロコンピュータ90560が送信するコマンドであり、第4図柄の可変表示(変動)を終了して表示結果(停止図柄)を導出表示することを示す演出制御コマンドである。
【0373】
受信した演出制御コマンドが大当り開始指定コマンド(コマンドA001(H)またはコマンドA002(H))であれば(ステップS90621)、演出制御用CPU90101は、大当り開始指定コマンド受信フラグをセットする(ステップS90622)。大当り開始指定コマンドは、特別図柄停止処理(ステップS90304)にて遊技制御用マイクロコンピュータ90560が送信するコマンドであり、大当りが開始することを示す演出制御コマンドである。具体的には、大当りの種別が16R確変大当りである場合には大当り開始1指定コマンドを送信する。大当りの種別が8R確変大当りである場合には大当り開始2指定コマンドが送信される。
【0374】
受信した演出制御コマンドが第1始動入賞指定コマンドであれば(ステップS90651)、演出制御用CPU90101は、第1始動入賞指定コマンドを受信したことを示す第1始動入賞フラグをセットする(ステップS90656A)。
【0375】
受信した演出制御コマンドが第2始動入賞指定コマンドであれば(ステップS90657)、演出制御用CPU90101は、第2始動入賞指定コマンドを受信したことを示す第2始動入賞フラグをセットする(ステップS90668A)。
【0376】
受信した演出制御コマンドが第3始動入賞指定コマンドであれば(ステップS90652)、演出制御用CPU90101は、第3始動入賞指定コマンドを受信したことを示す第3始動入賞フラグをセットする(ステップS90653)。
【0377】
受信した演出制御コマンドが第1大入賞口入賞指定コマンドであれば(ステップS90664)、演出制御用CPU90101は、第1大入賞口入賞指定コマンドを受信したことを示す第1大入賞口入賞フラグをセットする(ステップS90665)。
【0378】
受信した演出制御コマンドが第2大入賞口入賞指定コマンドであれば(ステップS90664A)、演出制御用CPU90101は、第2大入賞口入賞指定コマンドを受信したことを示す第2大入賞口入賞フラグをセットする(ステップS90665A)。
【0379】
受信した演出制御コマンドが合算保留記憶数を1減算することを指定する合算保留記憶数減算指定コマンドであれば(ステップS90661)、演出制御用CPU90101は、合算保留記憶表示部9018cにおける1つ目の保留表示を消去し、残りの保留表示を1つずつシフトして、合算保留記憶表示部9018cにおける合算保留記憶数表示を更新する(ステップS90662)。例えば、合算保留記憶表示部9018cの1つ目~5つ目の保留表示が点灯表示されていた場合に、合算保留記憶数減算指定コマンドを受信した場合には、1つ目の保留表示を消去するとともに、2つ目に表示されていた保留表示を1つ目の表示領域にシフトし、3つ目に表示されていた保留表示を2つ目の表示領域にシフトし、4つ目に表示されていた保留表示を3つ目の表示領域にシフトし、5つ目に表示されていた保留表示を4つ目の表示領域にシフトする。なお、合算保留記憶数減算指定コマンドは、特別図柄の変動が開始されることにもとづいて遊技制御用マイクロコンピュータ90560から送信されるコマンドである。
【0380】
受信した演出制御コマンドがその他のコマンドであれば、演出制御用CPU90101は、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする(ステップS90684)。そして、ステップS90611に移行する。
【0381】
図42は、
図38に示されたメイン処理における演出制御プロセス処理(ステップS90705)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、演出制御用CPU90101は、保留表示に関する保留表示制御処理を行う(ステップS90900)。その後、演出制御プロセスフラグの値に応じてステップS90800~S90807のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理を実行する。なお、演出制御プロセス処理では、演出表示装置909の表示状態が制御され、演出図柄の可変表示が実現されるが、第1特別図柄の変動に同期した演出図柄の可変表示に関する制御も、第2特別図柄の変動に同期した演出図柄の可変表示に関する制御も、一つの演出制御プロセス処理において実行される。なお、第1特別図柄の変動に同期した演出図柄の可変表示と、第2特別図柄の変動に同期した演出図柄の可変表示とを、別の演出制御プロセス処理により実行するように構成してもよい。また、この場合、いずれの演出制御プロセス処理により演出図柄の変動表示が実行されているかによって、いずれの特別図柄の変動表示が実行されているかを判断するようにしてもよい。
【0382】
変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS90800):遊技制御用マイクロコンピュータ90560から変動パターンコマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理でセットされる変動パターンコマンド受信フラグがセットされているか否か確認する。変動パターンコマンドを受信していれば、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動開始処理(ステップS90801)に対応した値に変更する。
【0383】
演出図柄変動開始処理(ステップS90801):演出図柄の変動が開始されるように制御する。そして、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動中処理(ステップS90802)に対応した値に更新する。
【0384】
演出図柄変動中処理(ステップS90802):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等を制御するとともに、変動時間の終了を監視する。そして、変動時間が終了したら、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動停止処理(ステップS90803)に対応した値に更新する。
【0385】
演出図柄変動停止処理(ステップS90803):演出図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(ステップS90804)または変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS90800)に対応した値に更新する。
【0386】
大当り表示処理(ステップS90804):変動時間の終了後、演出表示装置909に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS90805)に対応した値に更新する。
【0387】
ラウンド中処理(ステップS90805):ラウンド中の表示制御を行う。そして、ラウンド終了条件が成立したら、最終ラウンドが終了していなければ、演出制御プロセスフラグの値をラウンド後処理(ステップS90806)に対応した値に更新する。最終ラウンドが終了していれば、演出制御プロセスフラグの値を大当り終了処理(ステップS90807)に対応した値に更新する。
【0388】
ラウンド後処理(ステップS90806):ラウンド間の表示制御を行う。そして、ラウンド開始条件が成立したら、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS90805)に対応した値に更新する。
【0389】
大当り終了演出処理(ステップS90807):演出表示装置909において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS90800)に対応した値に更新する。
【0390】
図43は、演出制御プロセス処理における保留表示制御処理(ステップS90800)を示すフローチャートである。保留表示制御処理において、演出制御用CPU90101は、新たに遊技球が入賞した始動入賞口に対応する保留表示を表示するための制御を行う。この実施の形態では、保留表示が表示される場合には出現演出が実行される。「出現演出」とは、保留表示の表示に伴って実行される演出である。この実施の形態では、保留表示が濃淡が薄く視認しにくい状態から徐々に濃度が濃くなり視認しやすい状態に変化するような態様の出現演出が実行される。
【0391】
この実施の形態では、出現演出を開始してから保留表示の濃度が最大となるまでの所要時間が異なる2種類の出現演出A,Bが設けられている。出現演出Aの所要時間Txと出現演出Bの所要時間Tyとの関係はTx<Tyとなっている。また、新たに遊技球が入賞した始動入賞口毎に出現演出の種類が設定されているものである。具体的に、第1始動入賞口9013または第2始動入賞口9014への始動入賞が発生した場合には出現演出Aが実行され、第3始動入賞口9012への始動入賞が発生した場合には出現演出Bが実行される。
【0392】
また、この実施の形態では、新たに遊技球が入賞した始動入賞口毎に、始動入賞を検出してから出現演出を開始するまでの待機期間が異なるよう構成されている。具体的に、第1始動入賞口9013への始動入賞が発生した場合、該始動入賞が検出されてから待機時間Ta経過後に出現演出を開始する。第2始動入賞口9014または第3始動入賞口9012への始動入賞が発生した場合、該始動入賞が検出されてから待機時間Tb経過後に出現演出を開始する。第1始動入賞口9013への始動入賞が検出されてから出現演出を開始するまでの待機時間Taと、第2始動入賞口9014または第3始動入賞口9012への始動入賞が検出されてから出現演出を開始するまでの待機時間Tbとの関係はTa<Tbとなっている。
【0393】
すなわち、第1始動入賞口9013への始動入賞が発生した場合は該始動入賞が検出されてから待機時間Ta経過後に出現演出A開始し、第2始動入賞口9014への始動入賞が発生した場合は該始動入賞が検出されてから待機時間Tb経過後に出現演出Aを開始し、第3始動入賞口9012への始動入賞が発生した場合は該始動入賞が検出されてから待機時間Tb経過後に出現演出Bを開始する構成となっている(後述する
図49参照)。
【0394】
具体的な制御として、演出制御用CPU90101は、まず、第1始動入賞フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS902001)、セットされている場合に第1始動入賞フラグをリセットし(ステップS902002)、Ta経過時に出現演出Aを伴う第1保留表示の表示を開始する(ステップS902003)。具体的には、ステップS902003を実行する時点でタイマにTaに相当する値をセットし、該タイマがタイムアウトするまで待機し、該タイマがタイムアウトした時点から出現演出Aを実行し、該出現演出Aが終了した際に第1保留表示を表示する制御を行う。なお、該タイマがタイムアウトする前に新たに第1始動入賞口9013への始動入賞が発生した場合には、該タイマとは異なる新たなタイマを用いることとすれば、第1始動入賞口9013への始動入賞が連続して発生した場合にもそれぞれの始動入賞に対する第1保留表示の表示制御を行うことができる。
【0395】
また、演出制御用CPU90101は、第2始動入賞フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS902004)、セットされている場合に第2始動入賞フラグをリセットし(ステップS902005)、Tb経過時に出現演出Aを伴う第2保留表示の表示を開始する(ステップS902006)。具体的には、ステップS902006を実行する時点でタイマにTbに相当する値をセットし、該タイマがタイムアウトするまで待機し、該タイマがタイムアウトした時点から出現演出Aを実行し、該出現演出Aが終了した際に第2保留表示を表示する制御を行う。なお、該タイマがタイムアウトする前に新たに第2始動入賞口9014への始動入賞が発生した場合には、該タイマとは異なる新たなタイマを用いることとすれば、第2始動入賞口9014への始動入賞が連続して発生した場合にもそれぞれの始動入賞に対する第2保留表示の表示制御を行うことができる。
【0396】
また、演出制御用CPU90101は、第3始動入賞フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS902007)、セットされている場合に第3始動入賞フラグをリセットし(ステップS902008)、Tb経過時に出現演出Bを伴う第1保留表示の表示を開始する(ステップS902009)。具体的には、ステップS902009を実行する時点でタイマにTbに相当する値をセットし、該タイマがタイムアウトするまで待機し、該タイマがタイムアウトした時点から出現演出Bを実行し、該出現演出Bが終了した際に第1保留表示を表示する制御を行う。なお、該タイマがタイムアウトする前に新たに第3始動入賞口9012への始動入賞が発生した場合には、該タイマとは異なる新たなタイマを用いることとすれば、第3始動入賞口9012への始動入賞が連続して発生した場合にもそれぞれの始動入賞に対する第1保留表示の表示制御を行うことができる。
【0397】
図44は、演出制御プロセス処理における大当り表示処理(ステップS90804)を示すフローチャートである。大当り表示処理において、演出制御用CPU90101は、まず、大入賞口開放中表示コマンドを受信したことを示す大入賞口開放中フラグがセットされているか否か(すなわち、ラウンド1開始時の大入賞口開放中表示コマンドを受信したか否か)を確認する(ステップS901901)。大入賞口開放中フラグがセットされていないときは(ステップS901901のN)、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマの値を1減算し(ステップS901902)、プロセスデータnの内容に従って演出装置(演出表示装置909、スピーカ9027、枠LED9028等)の制御を実行する(ステップS901903)。例えば、演出表示装置909において大当り図柄を表示するとともに、大当りが発生したことを示す文字やキャラクタなどを表示する演出が実行される。
【0398】
次いで、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマがタイムアウトしていないかどうかを確認し(ステップS901904)、プロセスタイマがタイムアウトしていれば、プロセスデータの切替を行う(ステップS901905)。すなわち、プロセステーブルにおける次に設定されているプロセスデータ(表示制御実行データ、ランプ制御実行データおよび音番号データ)に切り替える。そして、次のプロセスデータにおけるプロセスタイマ設定値をプロセスタイマに設定してプロセスタイマをスタートさせる(ステップS901906)。
【0399】
大入賞口開放中フラグがセットされているときは(ステップS901901のY)、すなわち、ラウンド1の開始タイミングとなっていれば、演出制御用CPU90101は、実行中の大当り遊技において払い出した賞球数を示す総賞球数Kに「0」とセットし(ステップS901900A)、総賞球数Kを演出表示装置909に表示する総賞球数表示を開始する(ステップS901900B)。例えば、ここでは総賞球数Kが0なので、総賞球数表示として「0ポイント」が表示される。大入賞口に遊技球が入賞する毎に、この総賞球数Kが加算されるとともに加算後の総賞球数Kに応じた総賞球数表示に更新されるようになっている。その際、第1大入賞口に遊技球が入賞した場合には15球の遊技球が払い出されることから総賞球数Kに15が加算され、第2大入賞口に遊技球が入賞した場合には10球の遊技球が払い出されることから総賞球数Kに10が加算される。
【0400】
また、大入賞口への遊技球の入賞が検出されてから総賞球数Kの加算および総賞球数表示の更新が行われるまでの期間は、遊技球の入賞が検出された大入賞口毎に異なる構成となっている。具体的に、第1大入賞口への遊技球の入賞が検出された場合には該検出からtα経過後に総賞球数Kの加算および総賞球数表示の更新が行われ、第2大入賞口への遊技球の入賞が検出された場合には該検出からtβ経過後に総賞球数Kの加算および総賞球数表示の更新が行われるようになっている。なお、それぞれの時間の長さはtα<tβである。
【0401】
ステップS901900Bの後、大入賞口開放中フラグをリセットし(ステップS901907)、演出制御用CPU90101は、ラウンド中演出に応じたプロセステーブルを選択する(ステップ90S1908)。
【0402】
そして、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマをスタートさせ(ステップS901909)、プロセスデータ1の内容に従って演出装置(演出表示装置909、スピーカ9027、枠LED9028等)の制御を実行する(ステップS901910)。その後、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS90805)に対応した値に設定する(ステップS901912)。
【0403】
図45は、演出制御プロセス処理におけるラウンド中処理(ステップS90805)を示すフローチャートである。ラウンド中処理において、演出制御用CPU90101は、まず、大入賞口開放後指定コマンドを受信したことを示す大入賞口開放後フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS902901)。
【0404】
大入賞口開放後フラグがセットされていないときは(ステップS902901のN)、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマの値を1減算し(ステップS902902)、プロセスデータnの内容に従って演出装置(演出表示装置909、スピーカ9027、枠LED9028等)の制御を実行する(ステップS902903)。例えば、演出表示装置909において大当り表示図柄を表示するとともに、ラウンド数を示す文字やその他のキャラクタなどを表示する演出が実行される。
【0405】
次いで、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマがタイムアウトしていないかどうかを確認し(ステップS902904)、プロセスタイマがタイムアウトしていれば、プロセスデータの切替を行う(ステップS902905)。すなわち、プロセステーブルにおける次に設定されているプロセスデータ(表示制御実行データ、ランプ制御実行データおよび音番号データ)に切り替える。そして、次のプロセスデータにおけるプロセスタイマ設定値をプロセスタイマに設定してプロセスタイマをスタートさせる(ステップS902906)。
【0406】
また、演出制御用CPU90101は、第1大入賞口入賞フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS902907)、セットされていれば第1大入賞口入賞フラグをリセットし(ステップS902908)、tα経過時に総賞球数Kに15を加算し、総賞球数表示を更新する処理を行う(ステップS902909)。具体的には、ステップS902909を実行する時点でタイマにtαに相当する値をセットし、該タイマがタイムアウトするまで待機し、該タイマがタイムアウトした時点で総賞球数Kに15を加算し、総賞球数表示を更新する制御を行う。なお、該タイマがタイムアウトする前に新たに第1大入賞口への入賞が発生した場合には、該タイマとは異なる新たなタイマを用いることとすれば、第1大入賞口への入賞が連続して発生した場合にもそれぞれの入賞に対する総賞球数表示の更新制御を行うことができる。例えば、これまで表示していた総賞球数表示が「1030ポイント」であれば「1045ポイント」に更新される。
【0407】
また、演出制御用CPU90101は、第2大入賞口入賞フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS902910)、セットされていれば第2大入賞口入賞フラグをリセットし(ステップS902911)、tβ経過時に総賞球数Kに10を加算し、総賞球数表示を更新する処理を行う(ステップS902912)。具体的には、ステップS902912を実行する時点でタイマにtβに相当する値をセットし、該タイマがタイムアウトするまで待機し、該タイマがタイムアウトした時点で総賞球数Kに10を加算し、総賞球数表示を更新する制御を行う。なお、該タイマがタイムアウトする前に新たに第2大入賞口への入賞が発生した場合には、該タイマとは異なる新たなタイマを用いることとすれば、第2大入賞口への入賞が連続して発生した場合にもそれぞれの入賞に対する総賞球数表示の更新制御を行うことができる。例えば、これまで表示していた総賞球数表示が「1045ポイント」であれば、「1055ポイント」に更新される。
【0408】
なお、第1大入賞口または第2大入賞口へ遊技球が入賞した場合には、総賞球数Kの加算および総賞球数表示の更新については所定時間(tαまたはtβ)待機してから実行されるものであるが、賞球(第1大入賞口への入賞であれば15球、第2大入賞口への入賞であれば10球)の払い出しについては、第1カウントスイッチ9023Aまたは第2カウントスイッチ9023Bにより遊技球が検出されたことにもとづいて直ちに行われるものである。
【0409】
ステップS902901において大入賞口開放後フラグがセットされているときは(ステップS902901のY)、演出制御用CPU90101は、大入賞口開放後フラグをリセットする(ステップS902920)。そして、演出制御用CPU90101は、大当り種別に応じたインターバル演出に応じたプロセステーブルを選択する(ステップS902921)。
【0410】
そして、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマをスタートさせ(ステップS902922)、プロセスデータ1の内容に従って演出装置(演出表示装置909、スピーカ9027、枠LED9028等)の制御を実行し(ステップS902923)、演出制御プロセスフラグの値をラウンド後処理(ステップS90806)に対応した値に設定する(ステップS902925)。
【0411】
図46および
図47は、演出制御プロセス処理におけるラウンド後処理(ステップS90806)を示すフローチャートである。ラウンド後処理において、演出制御用CPU90101は、まず、大当りが終了したことを示す大当り終了指定コマンド受信フラグ(具体的には、大当り終了1指定コマンド受信フラグまたは大当り終了2指定コマンド受信フラグ)がセットされているか否かを確認する(ステップS903901)。なお、大当り終了1指定コマンド受信フラグは大当り終了1指定コマンドを受信した際に、大当り終了2指定コマンド受信フラグは大当り終了2指定コマンドを受信した際に、ステップS90684においてそれぞれセットされるフラグである。
【0412】
大当り終了指定コマンド受信フラグがセットされていないときは(ステップS903901のN)、演出制御用CPU90101は、大入賞口開放中指定コマンドを受信したことを示す大入賞口開放中フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS903902)。大入賞口開放中フラグがセットされていないときは(ステップS903902のN)、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマの値を1減算し(ステップS903903)、プロセスデータnの内容に従って演出装置(演出表示装置909、スピーカ9027、枠LED9028等)の制御を実行する(ステップS903904)。例えば、演出表示装置909において大当り表示図柄を表示するとともに、所定のキャラクタなどを表示する演出が実行される。
【0413】
次いで、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマがタイムアウトしていないかどうかを確認し(ステップS903905)、プロセスタイマがタイムアウトしていれば、プロセスデータの切替を行う(ステップS903906)。すなわち、プロセステーブルにおける次に設定されているプロセスデータ(表示制御実行データ、ランプ制御実行データおよび音番号データ)に切り替える。そして、次のプロセスデータにおけるプロセスタイマ設定値をプロセスタイマに設定してプロセスタイマをスタートさせる(ステップS903907)。
【0414】
そして、演出制御用CPU90101は、第1大入賞口入賞フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS903908)、セットされていれば第1大入賞口入賞フラグをリセットし(ステップS903909)、tα経過時に総賞球数Kに15を加算し、総賞球数表示を更新する処理を行う(ステップS903910)。具体的には、ステップS903910を実行する時点でタイマにtαに相当する値をセットし、該タイマがタイムアウトするまで待機し、該タイマがタイムアウトした時点で総賞球数Kに15を加算し、総賞球数表示を更新する制御を行う。なお、該タイマがタイムアウトする前に新たに第1大入賞口への入賞が発生した場合には、該タイマとは異なる新たなタイマを用いることとすれば、第1大入賞口への入賞が連続して発生した場合にもそれぞれの入賞に対する総賞球数表示の更新制御を行うことができる。
【0415】
なお、第1大入賞口への入賞が連続して発生した場合の総賞球数表示の更新制御を、単一のタイマを用いて行うこととしてもよい。例えば、tαに相当する値がセットされたタイマがタイムアウトするより前に新たに第1大入賞口への入賞が発生した場合に、該タイマにtαに相当する値をセットし直すことを繰り返し、該タイマがタイムアウトしたときに第1大入賞口への入賞が発生した回数に応じた値(例えば、2回であれば30、3回であれば45)を総賞球数Kに加算し、総賞球数表示を更新する制御を行うこととしてもよい。このように、複数回の第1大入賞口への遊技球の入賞を一括して総賞球数表示に反映させることとしてもよい。
【0416】
また、演出制御用CPU90101は、第2大入賞口入賞フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS903911)、セットされていれば第2大入賞口入賞フラグをリセットし(ステップS903912)、tβ経過時に総賞球数Kに10を加算し、総賞球数表示を更新する処理を行う(ステップS903913)。具体的には、ステップS903913を実行する時点でタイマにtβに相当する値をセットし、該タイマがタイムアウトするまで待機し、該タイマがタイムアウトした時点で総賞球数Kに10を加算し、総賞球数表示を更新する制御を行う。なお、該タイマがタイムアウトする前に新たに第2大入賞口への入賞が発生した場合には、該タイマとは異なる新たなタイマを用いることとすれば、第2大入賞口への入賞が連続して発生した場合にもそれぞれの入賞に対する総賞球数表示の更新制御を行うことができる。
【0417】
なお、第2大入賞口への入賞が連続して発生した場合の総賞球数表示の更新制御を、単一のタイマを用いて行うこととしてもよい。例えば、tβに相当する値がセットされたタイマがタイムアウトするより前に新たに第2大入賞口への入賞が発生した場合に、該タイマにtβに相当する値をセットし直すことを繰り返し、該タイマがタイムアウトしたときに第2大入賞口への入賞が発生した回数に応じた値(例えば、2回であれば20、3回であれば30)を総賞球数Kに加算し、総賞球数表示を更新する制御を行うこととしてもよい。このように、複数回の第2大入賞口への遊技球の入賞を一括して総賞球数表示に反映させることとしてもよい。
【0418】
この実施の形態では、ステップS903908~S903913を行うことにより、インターバル中(すなわち、大入賞口が閉鎖されているとき)に大入賞口への遊技球の入賞を検出した場合にも、該検出に対応する総賞球数Kの加算と総賞球数表示の更新を行うこととしている。インターバル中(すなわち、大入賞口が閉鎖されているとき)に大入賞口への遊技球の入賞を検出する場合とは、開放が終了する直前の大入賞口へ入賞した遊技球がインターバル中に検出された場合である。
【0419】
なお、インターバル中(すなわち、大入賞口が閉鎖されているとき)に大入賞口への遊技球の入賞を検出する場合には、該検出に対応する総賞球数Kの加算と総賞球数表示の更新とを行わないものであってもよい。
【0420】
大入賞口開放中フラグがセットされているときは(ステップS903902のY)、演出制御用CPU90101は、演出制御用CPU90101は、大入賞口開放中フラグをリセットする(ステップS903938)。次いで、演出制御用CPU90101は、ラウンド中演出に応じたプロセスデータを選択する(ステップS903939)。そして、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマをスタートさせる(ステップS903940)。そして、演出制御用CPU90101は、プロセスデータ1の内容(表示制御実行データ1、ランプ制御実行データ1、音番号データ1)に従って演出装置(演出用部品としての演出表示装置909、演出用部品としての各種ランプおよび演出用部品としてのスピーカ9027)の制御を実行する(ステップS903941)。そして、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS90805)に対応した値に設定する(ステップS903944)。
【0421】
また、ステップS903901において大当り終了指定コマンド受信フラグがセットされたときは(ステップS903901のY)、演出制御用CPU90101は、総賞球数表示を終了し(ステップS903951)、大当り終了指定コマンド受信フラグをリセットする(ステップS903952)。そして、演出制御用CPU90101は、エンディング演出に応じたプロセステーブルを選択する(ステップS903953)。また、演出制御用CPU90101は、演出期間計測タイマをスタートさせるとともに(ステップS903954)、プロセスタイマをスタートさせる(ステップS903955)。そして、演出制御用CPU90101は、プロセスデータ1の内容(表示制御実行データ1、ランプ制御実行データ1、音番号データ1)に従って演出装置(演出用部品としての演出表示装置909、演出用部品としての各種ランプおよび演出用部品としてのスピーカ9027)の制御を実行する(ステップS903956)。そして、演出制御用CPU90101は、演出制御プロセスフラグの値を大当り終了演出処理(ステップS90807)に対応した値に設定する(ステップS903957)。
【0422】
図48は、演出制御プロセス処理における大当り終了演出処理(ステップS90807)を示すフローチャートである。大当り終了演出処理において、演出制御用CPU90101は、まず、演出期間計測タイマの値を1減算する(ステップS90971)。次いで、演出制御用CPU90101は、演出期間計測タイマがタイムアウトしたか否かを確認する(ステップS90972)。
【0423】
演出期間計測タイマがタイムアウトしていないときは(ステップS90972のN)、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマの値を1減算し(ステップS90973)、プロセスデータnの内容に従って演出装置(演出表示装置909、スピーカ9027等)を制御する処理を実行する(ステップS90974)。例えば、大当りが終了することを表示したり、所定のキャラクタを表示させたりする演出を実行する。
【0424】
そして、演出制御用CPU90101は、プロセスタイマがタイムアウトしていないかどうかを確認し(ステップS90975)、プロセスタイマがタイムアウトしていれば、プロセスデータの切替を行う(ステップS90976)。そして、次のプロセスデータにおけるプロセスタイマ設定値をプロセスタイマに設定してプロセスタイマをスタートさせる(ステップS90977)。
【0425】
演出期間計測タイマがタイムアウトしていれば(ステップS90972のY)、演出制御用CPU90101は、所定のフラグをリセットする(ステップS90978)。例えば、演出制御用CPU90101は、第1図柄変動指定コマンド受信フラグや第2図柄変動指定コマンド受信フラグなどのコマンド受信フラグをリセットする。
【0426】
そして、演出制御用CPU90101は、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS90800)に応じた値に更新する(ステップS90980)。
【0427】
なお、エンディング演出を実行している間(ステップS90971~S90977を実行している間)にも、ステップS902907~S902912と同様の処理を行うことにより、最終ラウンドが終了してから(大当り遊技状態における大入賞口の最後の開放が終了してから)いずれかのカウントスイッチが遊技球を検出した場合にも総賞球数表示を更新可能であることとしてもよい。
【0428】
図49は、各始動入賞口への始動入賞が発生した場合におけるタイミングチャートである。
図49(A)には第1始動入賞口9013への始動入賞が発生した場合におけるタイミングチャートを、
図49(B)には第2始動入賞口9014への始動入賞が発生した場合におけるタイミングチャートを、
図49(C)には第3始動入賞口9012への始動入賞が発生した場合におけるタイミングチャートを、それぞれ示している。
【0429】
例えば、第1始動入賞口9013への始動入賞が発生した場合、(1)入賞してからT1経過後に第1始動口スイッチ9013aがオンとなり、(2)そのTa経過後に出現演出Aの実行が開始され、(3)更にTx経過後に出現演出Aが終了して第1保留表示が表示される。
【0430】
例えば、第2始動入賞口9014への始動入賞が発生した場合、(1)入賞してからT2経過後に第2始動口スイッチ9014aがオンとなり、(2)そのTb経過後に出現演出Aの実行が開始され、(3)更にTx経過後に出現演出Aが終了して第2保留表示が表示される。
【0431】
例えば、第3始動入賞口9012への始動入賞が発生した場合、(1)入賞してからT3経過後に第3始動口スイッチ9012aがオンとなり、(2)そのTb経過後に出現演出Bの実行が開始され、(3)更にTy経過後に出現演出Bが終了して第1保留表示が表示される。
【0432】
図50は、各大入賞口への入賞が発生した場合におけるタイミングチャート(その1)である。
図50(A)には第1大入賞口への入賞が発生した場合におけるタイミングチャートを、
図50(B)には第2大入賞口への入賞が発生した場合におけるタイミングチャートを、それぞれ示している。
【0433】
例えば、第1大入賞口への入賞が発生した場合、(1)入賞してからt1経過後に第1カウントスイッチ9023Aがオンとなり、(2)そのtα経過後に総賞球数表示が更新される。
【0434】
また、例えば、第2大入賞口への入賞が発生した場合、(1)入賞してからt2経過後に第2カウントスイッチ9023Bがオンとなり、(2)そのtβ経過後に総賞球数表示が更新される。
【0435】
図51は、各大入賞口への入賞が発生した場合におけるタイミングチャート(その2)である。
図51に示すタイミングチャートでは、第1大入賞口へ遊技球が入賞した直後に第2大入賞口へ遊技球が入賞した場合について示している。
【0436】
例えば、タイミングAにて第1大入賞口へ遊技球が入賞するとともに該第1大入賞口が閉鎖し、タイミングAの0.1秒後のタイミングBにて第2大入賞口が開放されるとともに該第2大入賞口へ遊技球が入賞した場合、タイミングBからt2経過時のタイミングCにて第2カウントスイッチ9023Bがオンになるとともに、タイミングAからt1経過時のタイミングDにて第1カウントスイッチ9023Aがオンになる。このとき、t1およびt2の差が0.1秒以上である場合、第1大入賞口へ遊技球が入賞してから第2大入賞口へ遊技球が入賞したにもかかわらず、第2大入賞口へ入賞した遊技球の方が第1大入賞口へ入賞した遊技球よりも先に検出されることとなる。そこで、第1大入賞口へ遊技球が入賞したことにもとづく総賞球数表示の更新処理までの待機時間tαより、第2大入賞口へ遊技球が入賞したことにもとづく総賞球数表示の更新処理までの待機時間tβの方が長い構成とすることにより、第1大入賞口へ遊技球が入賞したことにもとづく総賞球数表示の更新処理を実行するタイミングEの方が第2大入賞口へ遊技球が入賞したことにもとづく総賞球数表示の更新処理を実行するタイミングFよりも先となるため、遊技球が入賞した順にて総賞球数表示の更新処理を行うことができる。
【0437】
以上に説明したように、この実施の形態によれば、遊技を実行可能な遊技機であって、遊技媒体(本例では、遊技球)が入賞可能な第1入賞領域(本例では、第1始動入賞口9013、第3始動入賞口9012、第1大入賞口)および第2入賞領域(本例では、第2始動入賞口9014、第2大入賞口)と、第1入賞領域に入賞した遊技媒体を検出可能な第1検出手段(本例では、第1始動口スイッチ9013a、第3始動口スイッチ9012a、第1カウントスイッチ9023A)と、第2入賞領域に入賞した遊技媒体を検出可能な第2検出手段(本例では、第2始動口スイッチ9014a、第2カウントスイッチ9023B)と、第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1特定演出(本例では、第1保留表示の表示、第1大入賞口への遊技球の入賞にもとづく総賞球数表示の更新)を実行可能であり、第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第2特定演出(本例では、第2保留表示の表示、第2大入賞口への遊技球の入賞にもとづく総賞球数表示の更新)を実行可能な特定演出実行手段(本例では、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより第1保留表示および第2保留表示を表示する部分、ステップS902909,S902912,S903910,S903913を実行することにより総賞球数表示の更新を行う部分)とを備え、第1入賞領域に入賞した遊技媒体が第1検出手段に検出されるまでに流下する距離と、第2入賞領域に入賞した遊技媒体が第2検出手段に検出されるまでに流下する距離とが異なり(本例では、各始動入賞口へ入賞した遊技球が各始動口スイッチによって検出されるまでに流下する距離は、始動入賞口毎に異なり(
図26参照)、各大入賞口へ入賞した遊技球が各カウントスイッチによって検出されるまでに流下する距離は、大入賞口毎に異なる)、第1検出手段により遊技媒体が検出されてから第1特定演出を実行するまでの期間と、第2検出手段により遊技媒体が検出されてから第2特定演出を実行するまでの期間とが異なる(本例では、第1始動口スイッチ9013aにより遊技球が検出されてから第1保留表示を表示するまでの期間と、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されてから第2保留表示を表示するまでの期間と、第3始動口スイッチ9012aにより遊技球が検出されてから第1保留表示を表示するまでの期間とが異なり(
図49参照)、第1カウントスイッチ9023Aにより遊技球が検出されてから総賞球数表示が更新されるまでの期間と、第2カウントスイッチ9023Bにより遊技球が検出されてから総賞球数表示が更新されるまでの期間とが異なる(
図50参照))こととした。これにより、入賞領域の入口から検出手段までの距離に応じたタイミングで特定演出を実行することができ、演出効果を高めることができる。
【0438】
具体的に、この実施の形態では、入賞した遊技媒体が検出手段に検出されるまでに流下する距離が短い入賞領域(遊技媒体が入賞してから検出手段に検出されるまでの時間が短い入賞領域)である程、遊技媒体が検出手段に検出されてから特定演出を実行するまでの時間が長い構成とした(
図49および
図50参照)。これにより、入賞の発生順と該入賞に応じた特定演出の実行順とが一致しない事態(例えば、先の入賞に対応する特定演出よりも、後の入賞に対応する特定演出の方が先に実行されることにより、遊技者の混乱を招くこと)を防止することができる。
【0439】
また、例えば、遊技者は遊技を行う際、始動入賞口に遊技球が入賞することを視認してから演出表示装置909に目を移し、保留表示が増加したことを確かめようとすることが一般的である。また、保留表示の表示態様を変化可能な遊技機の遊技中であれば、始動入賞口に遊技球が入賞することを視認してから演出表示装置909に目を移し、始動入賞が発生したとき(保留表示の表示を開始するとき)の保留表示の表示態様の変化の有無を確認することが一般的である。しかしながら、始動入賞口の入口を遊技球が通過してから該始動入賞口へ入賞した遊技球をスイッチが検出するまでの時間が短い場合には、始動入賞を視認してから演出表示装置909に目を移し終わる前に保留表示の増加表示や保留表示の表示態様の変化が完了してしまうことがあり、そういった場合には始動入賞が発生したにもかかわらず保留表示が表示されていないといった誤解や、保留表示の表示態様が変化したにもかかわらず変化がなかったといった誤解を遊技者に与える虞がある。そこで、上述したように、遊技球が入賞してからスイッチに検出されるまでの時間が短い始動入賞口である程、遊技球がスイッチに検出されてから保留表示を実行するまでの時間が長い構成とすることにより、遊技者に誤解を与えることを防止することができる。
【0440】
なお、ここで「入賞する」とは、遊技球を検出可能なスイッチが設けられた通路(以下、「特定通路」ということがある)内に遊技球が入り、将来的に該遊技球がスイッチに検出される可能性が極めて高い状態となることである。具体的には、特定経路の入口に遊技球の一部が入ったこと(例えば、
図26に示す点線を遊技球の半分が越えたこと)を以て入賞したこととしてもよいし、特定経路の入口に遊技球の全部が入ったこと(例えば、
図26に示す点線を遊技球の全部が越えたこと)を以て入賞したこととしてもよいし、特定経路の入口から入った遊技球が遊技盤906の裏面まで流下したこと(例えば、
図26における遊技盤906の右側(遊技者にとって奥側)に遊技球の一部または全部が達したこと)を以て入賞したこととしてもよい。また、入賞時の賞球の有無はいずれであってもよい。
【0441】
また、「第1入賞領域に入賞した遊技媒体が第1検出手段に検出されるまでに流下する距離」とは、第1入賞領域の入口から第1検出手段に検出される位置までの遊技媒体の経路の距離のことである。
【0442】
また、この実施の形態では「第1特定演出」や「第2特定演出」として保留表示を表示すること(出現演出を含まないこと)としたが、出現演出を「第1特定演出」や「第2特定演出」としてもよい。
【0443】
第1入賞領域および第2入賞領域としては、始動入賞口や大入賞口の他、ゲート9032、入賞を検出した場合に賞球を払い出すものの可変表示は実行されない入賞領域(いわゆる一般入賞口)、入賞を検出した場合に確変状態に制御する特定領域(例えば大入賞口の内部に設けられたV入賞口)であってもよい。
【0444】
また、この実施の形態では第1入賞領域および第2入賞領域の入賞領域種別(始動入賞口、大入賞口、ゲート9032、一般入賞口、V入賞口など)が同じである構成(第1入賞領域および第2入賞領域の両方が始動入賞口、両方が大入賞口)について説明したが、それぞれ異なる入賞領域種別のものであってもよい。例えば、一方が始動入賞口であり他方が大入賞口であってもよい(その場合、例えば第1特定演出として保留表示を実行し、第2特定演出として総賞球数表示を実行することとしてもよい)し、一方がゲート9032、他方が一般入賞口などとしてもよい。
【0445】
なお、この実施の形態では、入賞領域に入賞した遊技球が検出手段に検出されるまでに流下する距離に応じて、該検出手段により遊技球が検出されてから特定演出を実行するまでの期間が異なることとしたが、遊技球が入賞領域に入賞してから検出手段に検出されるまでの所要時間に応じて、該検出手段により遊技球が検出されてから特定演出を実行するまでの期間が異なることとしてもよい。その場合、遊技球の流下速度についても考慮することとしてもよい。例えば、入賞領域に入賞した遊技球が検出手段に検出されるまでに流下する距離が長い場合であっても、遊技球の流下速度が速くなりやすい位置に設けられた入賞領域であれば、遊技球が入賞領域に入賞してから検出手段に検出されるまでの所要時間は短くなるため、入賞領域へ入賞した遊技球を検出手段が検出してから特定演出を実行するまでの待機時間を長く設定することとしてもよい。
【0446】
また、この実施の形態において、第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第1識別情報(本例では、第1特別図柄)の可変表示を実行可能な第1可変表示手段(本例では、遊技制御用マイクロコンピュータ90560における、ステップS90301~S90304を実行することにより第1特別図柄を変動させる部分)と、第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて第2識別情報(本例では、第2特別図柄)の可変表示を実行可能な第2可変表示手段(本例では、遊技制御用マイクロコンピュータ90560における、ステップS90301~S90304を実行することにより第2特別図柄を変動させる部分)と、第1識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第1保留記憶手段(本例では、第1保留記憶バッファ)と、第2識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第2保留記憶手段(本例では、第2保留記憶バッファ)と、保留記憶に対応する保留表示を表示可能な保留表示手段(本例では、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより第1保留表示および第2保留表示を表示する部分)と、保留表示の表示に伴う特別演出(本例では、出現演出)を実行可能な特別演出実行手段(本例では、演出制御用マイクロコンピュータ90100における、ステップS90800を実行することにより出現演出を表示する部分)とを備えることとした。
【0447】
また、この実施の形態において、第1検出手段により遊技媒体が検出されてから特別演出を開始するまでの期間(本例では、第1始動口スイッチ9013aにより遊技球が検出されてから出現演出が実行されるまでの期間Ta)と、第2検出手段により遊技媒体が検出されてから特別演出を開始するまでの期間(本例では、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されてから出現演出が実行されるまでの期間Tb)とが異なることとした。これにより、演出効果を高めることができる。
【0448】
具体的に、この実施の形態では、入賞した遊技球が始動入賞スイッチに検出されるまでに流下する距離が短い始動入賞口(遊技球が入賞してから始動入賞スイッチに検出されるまでの時間が短い始動入賞口)である程、遊技球が始動入賞スイッチに検出されてから出現演出を実行するまでの時間が長い構成とした(
図49参照)。これにより、入賞した遊技球が始動入賞スイッチに検出されるまでに流下する距離が短い始動入賞口である程、遊技球が始動入賞スイッチに検出されてから保留表示を表示するまでの時間が長い構成を実現することができ、始動入賞が発生したにもかかわらず保留表示が表示されていないといった誤解を遊技者に与えることを防止することができ、演出効果を高めることができる。
【0449】
なお、この実施の形態では、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されてから出現演出が実行されるまでの期間と第3始動口スイッチ9012aにより遊技球が検出されてから出現演出が実行されるまでの期間とが同じ(いずれもTb)であることとしたが、これに限るものではない。例えば、始動入賞口の入口から該始動入賞口に入賞した遊技球が始動口スイッチに検出されるまでに該遊技球が流下する距離にもとづいて異なることとしてもよい。例えば、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されてから出現演出が実行されるまでの期間をTb1とし、第3始動口スイッチ9012aにより遊技球が検出されてから出現演出が実行されるまでの期間をTb2とし、Ta<Tb1<Tb2としてもよい。
【0450】
また、この実施の形態において、第1検出手段により遊技媒体が検出されたときの特別演出の実行期間(本例では、第3始動口スイッチ9012aにより遊技球が検出されたときの出現演出Bの実行期間Ty)と、第2検出手段により遊技媒体が検出されたときの特別演出の実行期間(本例では、第2始動口スイッチ9014aにより遊技球が検出されたときの出現演出Aの実行期間Tx)とが異なることとした。これにより、演出効果を高めることができる。
【0451】
具体的に、この実施の形態では、入賞した遊技球が始動入賞スイッチに検出されるまでに流下する距離が短い始動入賞口(遊技球が入賞してから始動入賞スイッチに検出されるまでの時間が短い始動入賞口)である程、遊技球が始動入賞スイッチに検出されたときの出現演出の実行期間が長い構成とした(
図49参照)。これにより、入賞した遊技球が始動入賞スイッチに検出されるまでに流下する距離が短い始動入賞口である程、遊技球が始動入賞スイッチに検出されてから保留表示を表示するまでの時間が長い構成を実現することができ、始動入賞が発生したにもかかわらず保留表示が表示されていないといった誤解を遊技者に与えることを防止することができ、演出効果を高めることができる。
【0452】
また、この実施の形態において、遊技者にとって有利な有利状態(本例では、大当り遊技状態)に制御可能な遊技機であって、第1入賞領域(本例では、第1大入賞口)に遊技媒体が入賞容易な第1状態(本例では、開放状態)と、遊技媒体が入賞困難な第2状態(本例では、閉鎖状態)とに制御可能な第1可変入賞手段(本例では、第1特別可変入賞球装置9020a)と、第2入賞領域(本例では、第2大入賞口)に遊技媒体が入賞容易な第1状態(本例では、開放状態)と、遊技媒体が入賞困難な第2状態(本例では、閉鎖状態)とに制御可能な第2可変入賞手段(本例では、第2特別可変入賞球装置9020b)と、有利状態において第1可変入賞手段および第2可変入賞手段を第1状態に制御可能な入賞領域制御手段(本例では、遊技制御用マイクロコンピュータ90560における、ステップS901414を実行する部分)と、第1検出手段により遊技媒体が検出されたこと、または第2検出手段により遊技媒体が検出されたことにもとづいて所定の価値を付与可能な価値付与手段(本例では、払出制御基板9037)とを備え、特定演出実行手段は、付与した価値を報知する特定演出を実行可能である(本例では、演出制御用マイクロコンピュータ90100は、総賞球数表示の更新を行うことが可能である)こととした。これにより、演出効果を高めることができる。
【0453】
なお、この実施の形態では、付与した価値を報知する特定演出として総賞球数表示を行うこととしたが、第1検出手段により遊技媒体が1回検出されたこと、または第2検出手段により遊技媒体が1回検出されたことにもとづいて付与した価値を報知する特定演出を実行することとしてもよい。例えば、第1大入賞口に遊技球が入賞したことにもとづいて「+15ポイント」と表示し、第2大入賞口に遊技球が入賞したことにもとづいて「+10ポイント」と表示することとしてもよい。
【0454】
また、この実施の形態では、実行中の大当り遊技において払い出した賞球数を総賞球数表示として表示することとしたが、これに限るものではなく、例えば、連荘が継続している間(つまり確変状態が継続している間)において払い出した賞球数を総賞球数表示として表示することとしてもよい。
【0455】
なお、この実施の形態では、いずれの始動入賞口も遊技領域907に設けられていることとしたがこれに限るものではなく、例えば、ステージが設けられた遊技機であれば、該ステージの上に第3始動入賞口9012が設けられていることとしてもよい。
【0456】
また、この実施の形態では、検出手段により遊技球の通過を検出してから出現演出を実行するまでの待機期間Ta、Tbを異ならせるとともに、出現演出の実行期間Tx、Tyを異ならせることにより、検出手段により遊技球が検出されてから該検出にもとづいて特定演出を実行する(保留表示を表示する(出現演出を除く))までの期間を調整することとしたが、これに限るものではなく、待機期間Ta、Tbを異ならせることと、実行期間Tx、Tyを異ならせることのうちいずれか一方のみを用いることにより、検出手段により遊技球が検出されてから該検出にもとづいて特定演出を実行するまでの期間を調整することとしてもよい。
【0457】
また、この実施の形態では、出現演出として保留表示の濃度を濃くする演出を用いて説明したが、保留表示の表示過程を示す演出であればこれに限るものではない。具体的には、画像が段階的に切り替わる演出(例えば、にわとりの画像を保留表示とし、まず卵画像を表示してから該卵画像がひよこ画像に切り替わり、該ひよこ画像がにわとり画像に切り替わる演出)であってもよい。
【0458】
また、この実施の形態では、「特定演出」として保留表示や総賞球数表示を行うことを用いて説明したが、これに限るものではない。例えば、演出表示装置909に所定の画像(例えば、キャラクタ画像)を表示する演出や、LED等の発光部材を発光させる演出や、音声をスピーカ9027から出力する演出や、所定の役物を動作させる演出や、演出部材(例えば、プッシュボタン90120やスティックコントローラ90122)を振動させる演出を「特定演出」として実行するものであってもよい。
【0459】
また、この実施の形態では、「第1特定演出」および「第2特定演出」として同じ種類の演出を実行することとしたが、これに限るものではない。例えば、第1始動入賞口を「第1入賞領域」、第2始動入賞口を「第2入賞領域」とした場合、一方の特定演出として保留表示を表示し、他方の特定演出として保留記憶が増加したことを示す特定の音声を出力することとしてもよい。また例えば、大入賞口を「第1入賞領域」とし、大入賞口の内部に設けられたV入賞口を「第2入賞領域」とした場合、第1特定演出としてオーバー入賞音(上限数を超えて遊技球が大入賞口へ入賞したこと(いわゆるオーバー入賞)を報知するための音声)を出力し、第2特定演出としてV入賞口へ遊技球が入賞したことを示すV入賞表示を表示することとしてもよい。
【0460】
また、可変表示を実行可能な遊技機であって、可変表示に対応する特定表示を、少なくとも、通常態様と、通常態様よりも期待度の高い第1特定態様と、演出内容を示唆する第2特定態様とを含むいずれかの表示態様にて表示可能な特定表示手段と、第2特定態様の特定表示により示唆された内容の演出を実行可能な演出実行手段とを備え、特定表示手段は、第2特定態様にて特定表示を表示した後、第2特定態様の特定表示により示唆された内容の演出が実行されたときに該特定表示の表示態様を第2特定態様から第1特定態様に変化可能であることとしてもよい。具体的には、以下の変形例1を用いて説明する。なお、上述した実施の形態と同じ箇所については、説明を省略する。
【0461】
変形例1において、演出制御用マイクロコンピュータ90100は、先読み予告演出を実行可能である。先読み予告演出とは、未だ開始されていない変動を予告対象とする演出である。具体的に、変形例1では、保留表示の表示態様を変化させる保留表示変化を実行することにより、該保留表示に対応する変動において大当りとなることに対する信頼度や、該保留表示に対応する変動における演出内容を示唆可能な構成となっている。
【0462】
具体的には、始動入賞時に抽出されたランダムR´(大当り判定用乱数)、大当り種別判定用乱数(ランダム1´)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2´)および変動パターン判定用乱数(ランダム3´)にもとづいて、該始動入賞に対応する変動にて大当りとなるか否か、およびいずれの変動パターンを用いた変動を行うかが、該変動が開始されるよりも前の時点(例えば、始動入賞時)にて判定され、該判定結果にもとづいて先読み演出を実行可能に構成されている。以下、始動入賞時にて大当りとなるか否か、およびいずれの変動パターンを用いた変動を行うかが判定された場合における判定結果を「入賞時判定結果」ということがある。入賞時判定結果は、遊技制御用マイクロコンピュータ90560から送信されるコマンドにもとづいて遊技制御用マイクロコンピュータ90100が特定可能となる。
【0463】
変形例1において、保留記憶表示部9018cにおいて表示される保留表示の表示態様として、大当りとなることに対する信頼度を示す通常表示態様と、所定の演出の実行を示唆する演出示唆表示態様とが設けられている。通常表示態様には、白色で表示される「白」および赤色で表示される「赤」が含まれており、大当りとなることに対する信頼度は、金>赤>白となっている。演出示唆表示態様には、「特殊?」という文字を表示することにより特殊ゾーン演出の予告対象であることを示唆する特殊示唆態様が含まれる。特殊示唆態様は、特殊ゾーン演出の予告対象であるか否かにかかわらず選択され得る表示態様である。
【0464】
なお、特殊ゾーン演出とは、1回の変動または複数回の連続した変動にて、通常の背景とは異なる特殊背景を表示する演出である。また、特殊ゾーン演出は、実行回数が多いほど大当りに対する信頼度が高い構成となっている。以下、特殊ゾーン演出の実行を開始することを「特殊ゾーンに突入する」ということがある。
【0465】
特殊ゾーンに突入する直前には、突入成功演出が実行される。突入成功演出は、特殊ゾーンに突入することを示唆した後に、特殊ゾーンに突入することが確定した旨を示す演出(例えば、「特殊ゾーンチャンス!」と表示した後に「成功!」と表示する演出)である。
【0466】
図52は、変形例1における、特殊示唆態様にて保留表示を表示する場合における表示例を示す説明図である。まず、(1)アクティブ表示9051と2個の保留表示9052,9053とが表示されている変動中に、(2)新たな保留記憶が発生して該保留記憶に対応する保留表示9054が特殊示唆態様(「特殊?」)にて表示される。このとき、該保留記憶を予告対象とする特殊ゾーン演出を実行することが決定される。また、このとき、「白」から「赤」に変化する保留変化パターンが決定され、変化タイミングとして1個目(予告対象の変動に対する保留表示が1個目の保留表示であるタイミング)が決定されたこととする。
【0467】
そして、(3)はずれ目で変動が終了し、(4)次の変動が開始される。このとき、新たな変動に対応するアクティブ表示9051が表示されるとともに、保留表示がシフトする。そして、突入予告演出が実行される(画像Pが表示される)。それから3秒が経過すると、(5)突入成功演出であったことが報知され(画像Pが切替表示され)、特殊ゾーンに突入する(画像Qが表示される)。それから5秒後のタイミングで、(6)特殊示唆態様にて表示していた保留表示9053の表示態様が「赤」に変化する。これは、仮に特殊ゾーンに突入してからも継続して特殊示唆態様の保留表示9053を表示し続けた場合には、更に特殊ゾーンに関連する何かがあるのではないかといった誤解を遊技者に与え、混乱させてしまう虞があることから、役割(特殊ゾーンに突入することの示唆)を終えた保留表示の表示態様を変化させるものである。
【0468】
以上に説明したように、この変形例1において、可変表示を実行可能な遊技機であって、可変表示に対応する特定表示(本例では、保留表示、アクティブ表示)を、少なくとも、通常態様(本例では、「白」)と、通常態様よりも期待度の高い第1特定態様(本例では、「赤」)と、演出内容を示唆する第2特定態様(本例では、特殊示唆態様)とを含むいずれかの表示態様にて表示可能な特定表示手段(本例では、変形例1の演出制御用マイクロコンピュータ90100における、「白」や「赤」や特殊示唆態様にて保留表示を表示可能な部分(
図52参照))と、第2特定態様の特定表示により示唆された内容の演出を実行可能な演出実行手段(本例では、変形例1の演出制御用マイクロコンピュータ90100における、特殊示唆態様にて示唆された特殊ゾーン演出を実行可能である部分(
図52(5),(6)参照))とを備え、特定表示手段は、第2特定態様にて特定表示を表示した後、第2特定態様の特定表示により示唆された内容の演出が実行されたときに該特定表示の表示態様を第2特定態様から第1特定態様に変化可能である(本例では、変形例1の演出制御用マイクロコンピュータ90100は、
図52に示すように、特殊ゾーン演出が開始された5秒後に、特殊示唆態様にて表示していた保留表示9053を「赤」に変化可能である)こととした。これにより、特定態様に対する期待感を高めることができる。
【0469】
また、上述した実施の形態において変形例1に示した遊技機を適用し、始動入賞口に入賞した遊技球がスイッチに検出されるまでに流下するまでの距離と、表示する保留表示の表示態様(通常態様、第1特定態様、第2特定態様)とにもとづいて、遊技球がスイッチに検出されてから保留表示を実行するまでの時間が異なることとしてもよい。
【0470】
例えば、
図26に示したように、第1始動入賞口9013に入賞した遊技球が第1始動口スイッチ9013aに検出されるまでに流下するまでの距離が、第2始動入賞口9014に入賞した遊技球が第2始動口スイッチ9014aに検出されるまでに流下するまでの距離より長い場合について説明する。このとき、遊技球が第1始動口スイッチ9013aに検出されてから通常態様の第1保留表示を実行するまでの時間をT10、遊技球が第1始動口スイッチ9013aに検出されてから第1特定態様の第1保留表示を実行するまでの時間をT11、遊技球が第1始動口スイッチ9013aに検出されてから第2特定態様の第1保留表示を実行するまでの時間をT12、遊技球が第2始動口スイッチ9014aに検出されてから通常態様の第2保留表示を実行するまでの時間をT20、遊技球が第2始動口スイッチ9014aに検出されてから第1特定態様の第2保留表示を実行するまでの時間をT21、遊技球が第2始動口スイッチ9014aに検出されてから第2特定態様の第2保留表示を実行するまでの時間をT22とした場合、T10<T11<T12<T20<T21<T22としてもよいし、またはT10<T20<T11<T21<T12<T22としてもよい。
【0471】
また、可変表示を行うことが可能な遊技機であって、可変表示に対応する特定表示を表示可能な特定表示手段と、第1態様により特定表示を表示した後に、該特定表示の表示態様を変化させる変化演出を実行可能な変化演出実行手段とを備え、変化演出実行手段は、変化演出として、第1態様により特定表示を表示した後に、該特定表示の表示態様を有利度が高い第2態様に変化させる演出を実行可能であるとともに、変化演出として、第1態様により特定表示を表示した後に、該特定表示の表示態様を第2態様に変化させない場合に、該特定表示の表示態様を第3態様に変化させる演出を実行可能であり、第3態様により表示される特定表示は、第1態様により表示される特定表示よりも第2態様に変化する割合が低いこととしてもよい。具体的には、以下の変形例2を用いて説明する。なお、上述した実施の形態と同じ箇所については、説明を省略する。
【0472】
変形例2では、始動入賞が発生したときに先読み予告演出の一種である保留予告演出の実行を決定すると、保留表示を通常態様(本例では、白色の丸形表示)とは異なる特別表示態様(本例では、青色や赤色の丸形表示)に最終的に変化させる保留予告演出を実行する。なお、この変形例2では、保留予告演出を実行する場合、保留表示が通常態様から特別表示態様に直接変化するのではなく、保留表示が特殊表示態様(本例では、三角形表示や矩形表示)に一旦変化し、その後の保留シフトのタイミングで作用演出が実行されて予告対象の保留表示がいずれかの特別表示態様に変化する演出が実行される場合がある。以下、通常態様により表示された保留表示を「通常保留」ともいい、特殊表示態様により表示された保留表示を「特殊保留」ともいう。また、特別表示態様のうちの青色の表示色により表示された保留表示を「青色保留」ともいい、赤色の表示色により表示された保留表示を「赤色保留」ともいう。
【0473】
例えば、変形例2では、演出制御用CPU90101は、始動入賞が発生したときに、
図53および
図54に示す最終表示態様決定テーブルを用いて最終表示態様を決定する。そして、後述する「通常保留(特殊保留経由なし)」以外の表示態様が最終表示態様として決定された場合、演出制御用CPU90101は、最新の入賞時判定結果、第1保留記憶数および最終表示態様にもとづいて、予告対象の保留表示の変化パターンを決定する。具体的には、
図55および
図56に示す変化パターン決定テーブルを用いて変化パターンを決定する。
【0474】
図53および
図54は、変形例2における、最終表示態様決定テーブルの具体例を示す説明図である。
図53および
図54に示すように、この変形例2では、最終表示態様決定テーブルにおいて、保留表示の最終表示態様として、通常保留(特殊保留経由なし)、通常保留(特殊保留経由あり)、青色保留、および赤色保留に対して、それぞれ判定値が割り振られている。なお、このうち、「通常保留(特殊保留経由あり)」とは、始動入賞の後の保留シフトのタイミングにおいて特殊保留に一旦変化した後、さらにその後の保留シフトのタイミングで最終的に通常保留に戻るものであり、最終表示態様自体は通常保留であるが保留予告演出は実行されるものである。一方、「通常保留(特殊保留経由なし)」とは、全く特殊保留にも変化することなく、その保留が消化されて保留表示が消去されるまで通常保留のまま変化しないものであり、保留予告演出自体を実行しないものに相当する。
【0475】
なお、第1保留記憶数が2である場合には、始動入賞の後の保留シフトのタイミングで保留表示を変化させる機会は1回しかないのであるから、保留表示を特殊保留に一旦変化させる余地がない。そのため、
図53(A)~(C)に示す第1保留記憶数「2」用の最終表示態様決定テーブルには、通常保留(特殊保留経由なし)、青色保留、および赤色保留に対してのみ、それぞれ判定値が割り振られ、通常保留(特殊保留経由あり)に対する判定値の割り振りはない。
【0476】
また、
図53および
図54に示すように、この変形例2では、入賞時判定結果が非リーチはずれ、スーパーリーチはずれまたはスーパーリーチ大当りである場合に、保留予告演出を実行可能に構成されており、入賞時判定結果がそれ以外である場合には、演出制御用CPU90101は、そのまま保留表示の最終表示態様を「通常保留(特殊保留経由なし)」に決定し、保留予告演出を実行しないことに決定する。
【0477】
演出制御用CPU90101は、第1保留記憶数保存領域に格納されている第1保留記憶数が「2」である場合には、入賞時判定結果が非リーチはずれを示すものであれば、
図53(A)に示す保留2個且つ非リーチはずれ用の最終表示態様決定テーブルを選択し、入賞時判定結果がスーパーリーチはずれを示すものであれば、
図53(B)に示す保留2個且つスーパーリーチはずれ用の最終表示態様決定テーブルを選択し、入賞時判定結果がスーパーリーチ大当りを示すものであれば、
図53(C)に示す保留2個且つスーパーリーチ大当り用の最終表示態様決定テーブルを選択する。また、演出制御用CPU90101は、第1保留記憶数保存領域に格納されている第1保留記憶数が「3」または「4」である場合には、入賞時判定結果が非リーチはずれを示すものであれば、
図54(D)に示す保留3~4個且つ非リーチはずれ用の最終表示態様決定テーブルを選択し、入賞時判定結果がスーパーリーチはずれを示すものであれば、
図54(E)に示す保留3~4個且つスーパーリーチはずれ用の最終表示態様決定テーブルを選択し、入賞時判定結果がスーパーリーチ大当りを示すものであれば、
図54(F)に示す保留3~4個且つスーパーリーチ大当り用の最終表示態様決定テーブルを選択する。そして、演出制御用CPU90101は、選択した最終表示態様決定テーブルを用いて、乱数にもとづく抽選処理を行い、最新の保留表示の最終表示態様を決定する。
【0478】
図53および
図54に示すように、この変形例2では、スーパーリーチはずれやスーパーリーチ大当りとなる場合には、非リーチはずれとなる場合と比較して、最終的に通常保留よりも青色保留や赤色保留に変化する割合が高くなっている。従って、この変形例2では、保留表示が最終的に青色保留や赤色保留に変化する場合には、最終的に通常保留となる場合と比較して、スーパーリーチに対する期待度(リーチ信頼度)が高くなっている。
【0479】
また、
図53および
図54に示すように、この変形例2では、スーパーリーチ大当りとなる場合には、非リーチはずれやスーパーリーチはずれとなる場合と比較して、最終的に通常保留よりも青色保留や赤色保留に変化する割合が高くなっている。また、
図53および
図54に示すように、この変形例2では、スーパーリーチ大当りとなる場合には、非リーチはずれやスーパーリーチはずれとなる場合と比較して、最終的に青色保留よりも赤色保留に変化する割合がさらに高くなっている。従って、この変形例2では、予告対象の保留表示が最終的に赤色保留に変化した場合が最も大当りに対する期待度(大当り信頼度)が高く、最終的に青色保留に変化した場合が次に大当りに対する期待度(大当り信頼度)が高く、最終的に通常保留であった場合が最も大当りに対する期待度(大当り信頼度)が低くなっている。
【0480】
図55および
図56は、変形例2における、変化パターン決定テーブルの具体例を示す説明図である。なお、
図55および
図56において、特殊△とは三角形表示の特殊保留を示しており、特殊□とは矩形表示の特殊保留を示している。
【0481】
演出制御用CPU90101は、第1保留記憶数保存領域に格納されている第1保留記憶数が「2」である場合には、決定した最終表示態様が青色保留であれば、
図55(A)に示す保留2個且つ青色保留用の変化パターン決定テーブルを選択し、決定した最終表示態様が赤色保留であれば、
図55(B)に示す保留2個且つ赤色保留用の変化パターン決定テーブルを選択する。
【0482】
また、演出制御用CPU90101は、第1保留記憶数保存領域に格納されている第1保留記憶数が「3」である場合には、決定した最終表示態様が通常保留(特殊保留経由あり)であれば、
図55(C)に示す保留3個且つ通常保留用の変化パターン決定テーブルを選択し、決定した最終表示態様が青色保留であれば、
図55(D)に示す保留3個且つ青色保留用の変化パターン決定テーブルを選択し、決定した最終表示態様が赤色保留であれば、
図55(E)に示す保留3個且つ赤色保留用の変化パターン決定テーブルを選択する。
【0483】
また、演出制御用CPU90101は、第1保留記憶数保存領域に格納されている第1保留記憶数が「4」である場合には、決定した最終表示態様が通常保留(特殊保留経由あり)であれば、
図56(F)に示す保留4個且つ通常保留用の変化パターン決定テーブルを選択し、決定した最終表示態様が青色保留であれば、
図56(G)に示す保留4個且つ青色保留用の変化パターン決定テーブルを選択する。また、決定した最終表示態様が赤色保留であれば、さらに、入賞時判定結果が非リーチはずれまたはスーパーリーチはずれを示すものであれば、
図56(H)に示す保留4個且つ非リーチはずれ/スーパーリーチはずれ且つ赤色保留用の変化パターン決定テーブルを選択し、入賞時判定結果がスーパーリーチ大当りを示すものであれば、
図56(I)に示す保留4個且つスーパーリーチ大当り且つ赤色保留用の変化パターン決定テーブルを選択する。
【0484】
図56に示すように、この変形例2では、第1保留記憶数が「4」である場合には、始動入賞時には予告対象の保留表示を通常保留で表示し、1回目の保留シフトのタイミングで特殊保留に変化させ、3回目以降の保留シフトのタイミングで通常保留や青色保留、赤色保留に変化可能に構成されている。従って、この変形例2では、保留記憶表示部9018cにおいて予告対象の保留表示が4つ目の位置に表示されているとき(始動入賞後の状態)と3つ目の位置に表示されているとき(1回目の保留シフト後の状態)には、予告対象の保留表示が特殊保留から通常保留や青色保留、赤色保留に変化することはない。また、
図55(C)~(E)に示すように、この変形例2では、第1保留記憶数が「3」である場合にも、始動入賞時には予告対象の保留表示を通常保留で表示するので、保留記憶表示部9018cにおいて予告対象の保留表示が3つ目の位置に表示されているとき(始動入賞後の状態)には、予告対象の保留表示が特殊保留から通常保留や青色保留、赤色保留に変化することはない。従って、この変形例2では、予告対象の保留表示が4つ目および3つ目の位置に表示されている期間においては、予告対象の保留表示が特殊保留から通常保留に変化しにくくなっている。そのため、予告対象の保留表示が早い段階で特殊保留から通常保留に変化して遊技者が落胆することを防止し、保留予告演出を実行する場合の演出効果の低下を防止できるものとなっている。
【0485】
また、この変形例2では、特殊保留が表示された後の保留シフトのタイミングで作用演出が実行可能となり、作用演出が実行されても予告対象の保留表示が特殊保留のまま変化しなかったり、通常保留や青色保留、赤色保留に変化したりする場合がある。例えば、
図56(F)に示す変化パターン401,403では、1つ目の保留シフトのタイミングで特殊保留が表示された後、2回目の保留シフトのタイミングで作用演出が実行されて特殊保留から通常保留に変化可能である。また、例えば、
図56(F)に示す変化パターン402,404では、1つ目の保留シフトのタイミングで特殊保留が表示された後、2回目の保留シフトのタイミングでは作用演出が実行されるものの特殊保留のまま変化せず、3回目の保留シフトのタイミングで作用演出が実行されて特殊保留から通常保留に変化可能である。そのように、この変形例2では、1回の作用演出で特殊保留から通常保留に戻ってしまう場合だけでなく、複数の作用演出が実行されて特殊保留から通常保留に戻る場合もあるので、保留予告演出を実行する場合の演出効果を向上できるものとなっている。
【0486】
また、
図55(C)~(E)および
図56(F)~(I)に示すように、この変形例2では、特殊保留として三角形表示の特殊保留と矩形表示の特殊保留との2種類があるのであるが、矩形表示の特殊保留が表示された場合には、三角形表示の特殊保留が表示された場合と比較して、最終表示態様として赤色保留が表示される割合が高くなっている。また、逆に、三角形表示の特殊保留が表示された場合には、矩形表示の特殊保留が表示された場合と比較して、最終表示態様として通常保留に戻る割合が高くなっている。
【0487】
また、
図56(H),(I)に示すように、この変形例2では、特殊保留から通常保留に戻っても最終的に赤色保留が表示される(すなわち、一旦通常保留に戻ったと落胆させてから赤色保留が復活して表示されたように見せる)変化パターン(変化パターン411,414)が設けられており、スーパーリーチ大当りとなる場合にのみ、この復活パターンの変化パターン411,414を決定可能に判定値が割り振られている。従って、この変形例2では、特殊保留から一旦通常保留に戻った後に最終的に赤色保留となった場合には、大当りが確定することになり、単に特殊保留から赤色保留となった場合よりも、大当りに対する期待度(信頼度)が高くなっている。
【0488】
また、演出制御用CPU90101は、保留記憶の中に作用演出(保留表示に作用するような態様により実行され、保留表示の表示態様が変化することを示唆する演出)の実行可能タイミングとなっているものがある場合に、作用演出を実行するようになっている。なお、作用演出の実行可能タイミングとなっているか否かは、例えば、保留予告演出設定情報格納領域格納されている変化パターンを確認し、今回の変動開始(保留シフト)のタイミングで特殊△→特殊△や、特殊△→通常保留、特殊△→青色保留、特殊△→赤色保留、特殊□→特殊□、特殊□→通常保留、特殊□→青色保留、特殊□→赤色保留となっているものがあるか否かを確認することにより判定できる。
【0489】
以上に説明したように、この変形例2によれば、可変表示を行うことが可能な遊技機であって、可変表示に対応する特定表示を表示可能な特定表示手段(本例では、変形例2の演出制御用マイクロコンピュータ90100における、保留表示やアクティブ表示を表示可能な部分)と、第1態様(本例では、特殊保留)により特定表示を表示した後に、該特定表示の表示態様を変化させる変化演出(本例では、作用演出を伴う保留予告演出)を実行可能な変化演出実行手段(本例では、変形例2の演出制御用マイクロコンピュータ90100における、
図55および
図56に示すいずれかの変化パターンにて保留表示またはアクティブ表示の表示態様を変化させる部分)とを備え、変化演出実行手段は、変化演出として、第1態様により特定表示を表示した後に、該特定表示の表示態様を有利度が高い第2態様(本例では、青色保留や赤色保留)に変化させる演出を実行可能である(本例では、
図55(D),(E)に示す変化パターン33~36および
図56(G)~(I)に示す変化パターン405~414にもとづく保留予告演出を実行可能である)とともに、変化演出として、第1態様により特定表示を表示した後に、該特定表示の表示態様を第2態様に変化させない場合に、該特定表示の表示態様を第3態様(本例では、通常保留)に変化させる演出を実行可能であり(本例では、
図55(C)に示す変化パターン31,32および
図56(F)に示す変化パターン401~404にもとづく保留予告演出を実行可能である)、第3態様により表示される特定表示は、第1態様により表示される特定表示よりも第2態様に変化する割合が低い(本例では、
図55および
図56に示すように、特殊保留から通常保留に変化した後にさらに赤色保留に変化する変化パターンは、始動入賞時に第1保留記憶数が4個でスーパーリーチ大当りの場合にのみ選択可能な変化パターン411,414しかなく、判定値の割り振りが極めて少なく、通常保留のまま変化しない変化パターン31,32,401~404の方が判定値の割り振りが多い。なお、特殊保留から通常保留に変化した後は赤色保留に変化する場合がないものであってもよい。)こととした。これにより、変化演出を実行する場合の演出効果の低下を防止することができる。
【0490】
なお、この変形例2では、第1態様として特殊保留を表示するとともに、第3態様として通常保留を表示し、特殊保留から通常保留に変化させる場合を示したが、そのような態様にかぎられない。例えば、通常保留を第1態様の位置づけで表示するようにし、第3態様として保留表示の表示態様の変化済みであることを示す済保留(例えば、「済」の文字表示を含む丸形表示)を表示するように構成してもよい。
【0491】
また、上述した実施の形態において変形例2に示した遊技機を適用し、始動入賞口に入賞した遊技球がスイッチに検出されるまでに流下するまでの距離と、表示する保留表示の表示態様(第1態様、第2態様、第3態様(済保留を含む))とにもとづいて、遊技球がスイッチに検出されてから保留表示を実行するまでの時間が異なることとしてもよい。
【0492】
例えば、
図26に示したように、第1始動入賞口9013に入賞した遊技球が第1始動口スイッチ9013aに検出されるまでに流下するまでの距離が、第2始動入賞口9014に入賞した遊技球が第2始動口スイッチ9014aに検出されるまでに流下するまでの距離より長い場合について説明する。このとき、遊技球が第1始動口スイッチ9013aに検出されてから第1態様の第1保留表示を実行するまでの時間をt10、遊技球が第1始動口スイッチ9013aに検出されてから第2態様の第1保留表示を実行するまでの時間をt11、遊技球が第1始動口スイッチ9013aに検出されてから第3態様の第1保留表示を実行するまでの時間をt12、遊技球が第2始動口スイッチ9014aに検出されてから第1態様の第2保留表示を実行するまでの時間をt20、遊技球が第2始動口スイッチ9014aに検出されてから第2態様の第2保留表示を実行するまでの時間をt21、遊技球が第2始動口スイッチ9014aに検出されてから第3態様の第2保留表示を実行するまでの時間をt22とした場合、t10<t11<t12<t20<t21<t22としてもよいし、またはt10<t20<t11<t21<t12<t22としてもよい。
【0493】
なお、上述した実施の形態および変形例について、特別図柄や演出図柄の可変表示結果にもとづいて大当り遊技状態に移行する遊技機(いわゆる第一種の遊技機)について説明したが、遊技領域に設けられた可変入賞球装置(いわゆる役物)内の特定入賞口(V入賞口)に遊技球が入賞(V入賞)したことにもとづいて大当り遊技状態に移行する遊技機(いわゆる第二種の遊技機)や、第一種と第二種とを組み合わせた遊技機において、複数の期間に応じた特定演出を実行することとしてもよい。
【0494】
なお、上記の実施の形態においては、変動時間およびリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータ90100に通知するために、変動を開始するときに1つの変動パターンコマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータ90100に通知するようにしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、遊技制御用マイクロコンピュータ90560は、1つ目のコマンドでは擬似連の有無、滑り演出の有無など、リーチとなる以前(リーチとならない場合には所謂第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無など、リーチとなった以降(リーチとならない場合には所謂第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信するようにしてもよい。この場合、演出制御用マイクロコンピュータ90100は2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間にもとづいて変動表示における演出制御を行うようにすればよい。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ90560の方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御用マイクロコンピュータ90100の方で選択を行うようにしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信する様にしてもよく、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信するようにしてもよい。なお、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知するようにすることで、変動パターンコマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
【0495】
また、上記の実施の形態では、演出装置を制御する回路が搭載された基板として、演出制御基板9080、音声出力基板9070およびランプドライバ基板9035が設けられているが、演出装置を制御する回路を1つの基板に搭載してもよい。さらに、演出表示装置909等を制御する回路が搭載された第1の演出制御基板(表示制御基板)と、その他の演出装置(ランプ、LED、スピーカ9027など)を制御する回路が搭載された第2の演出制御基板との2つの基板を設けるようにしてもよい。
【0496】
なお、上記の実施の形態において、「割合が異なる」とは、A:B=70%:30%やA:B=30%:70%のような関係で割合が異なるものだけにかぎらず、A:B=100%:0%のような関係で割合が異なるもの(すなわち、一方が100%の割り振りで他方が0%の割り振りとなるようなもの)も含む概念である。
【0497】
また、上記の実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ90560は、演出制御用マイクロコンピュータ90100に対して直接コマンドを送信していたが、遊技制御用マイクロコンピュータ90560が他の基板(例えば、
図28に示す音声出力基板9070やランプドライバ基板9035など、または音声出力基板9070に搭載されている回路による機能とランプドライバ基板9035に搭載されている回路による機能とを備えた音/ランプ基板)に演出制御コマンドを送信し、他の基板を経由して演出制御基板9080における演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信されるようにしてもよい。その場合、他の基板においてコマンドが単に通過するようにしてもよいし、音声出力基板9070、ランプドライバ基板9035、音/ランプ基板にマイクロコンピュータ等の制御手段を搭載し、制御手段がコマンドを受信したことに応じて音声制御やランプ制御に関わる制御を実行し、さらに、受信したコマンドを、そのまま、または例えば簡略化したコマンドに変更して、演出表示装置909を制御する演出制御用マイクロコンピュータ90100に送信するようにしてもよい。その場合でも、演出制御用マイクロコンピュータ90100は、上記の実施の形態における遊技制御用マイクロコンピュータ90560から直接受信した演出制御コマンドに応じて表示制御を行うのと同様に、音声出力基板9070、ランプドライバ基板9035または音/ランプ基板から受信したコマンドに応じて表示制御を行うことができる。
【0498】
また、上記の実施の形態では、遊技機としてパチンコ機を例にしたが、この発明を、メダルが投入されて所定の賭け数が設定され、遊技者による操作レバーの操作に応じて複数種類の図柄を回転させ、遊技者によるストップボタンの操作に応じて図柄を停止させたときに停止図柄の組合せが特定の図柄の組み合わせになると、所定数のメダルが遊技者に払い出されるスロット機に適用することも可能である。
【0499】
また、上記の実施の形態では、遊技機として遊技媒体を使用するものを例にしたがこの発明による遊技機は、所定数の景品としての遊技媒体を払い出す遊技機に限定されず、遊技球等の遊技媒体を封入し景品の付与条件が成立した場合に得点を付与する封入式の遊技機に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0500】
この発明は、遊技者が所定の遊技を行うことが可能なパチンコ遊技機等の遊技機に好適に適用される。
【符号の説明】
【0501】
1 … パチンコ遊技機
11 … 主基板
12 … 演出制御基板
13 … 音声制御基板
19 … ドライバ基板
120 … 演出制御用CPU
121 … ROM
122 … RAM
123 … 表示制御部
131a~131c、511 … フィルタ回路
132 … 降圧コンバータ回路
133 … レギュレータ回路
140 … 電源監視回路
521 … 増幅回路
800 … 基板ケース
802 … カバー部材
KRE1~KRE4 … レセプタクル
30AK10G、30AK11G、30AK20G … グランド導体
30AK01R、30AK10R、30AK11R、30AK12R、
30AK20R … 領域
30AK0SC … 区間
30AK10D~30AK13D、30AK10CK、30AK10CS、
30AK10RS、30AK10A~30AK14A、30AK10P、
30AK11P、30AK20P … 配線のパターン
30AK1S … 表面層
30AK2S … 裏面層
30AK1L … グランド層
30AK2L、30AK4L … 電源層
30AK3L … 配線層
30AK1H、30AK2H … スルーホール
901 … パチンコ遊技機
908a … 第1特別図柄表示器
908b … 第2特別図柄表示器
909 … 演出表示装置
9012 … 第3始動入賞口
9012a … 第3始動口スイッチ
9013 … 第1始動入賞口
9013a … 第1始動口スイッチ
9014 … 第2始動入賞口
9014a … 第2始動口スイッチ
9020a … 第1特別可変入賞球装置
9020b … 第2特別可変入賞球装置
9031 … 遊技制御基板(主基板)
9056 … CPU
90560 … 遊技制御用マイクロコンピュータ
9080 … 演出制御基板
90100 … 演出制御用マイクロコンピュータ
90101 … 演出制御用CPU
90109 … VDP