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特許7114310タッチパネル装置および操作パネルの固定方法
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  • 特許-タッチパネル装置および操作パネルの固定方法 図1
  • 特許-タッチパネル装置および操作パネルの固定方法 図2
  • 特許-タッチパネル装置および操作パネルの固定方法 図3
  • 特許-タッチパネル装置および操作パネルの固定方法 図4
  • 特許-タッチパネル装置および操作パネルの固定方法 図5
  • 特許-タッチパネル装置および操作パネルの固定方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】タッチパネル装置および操作パネルの固定方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/041 660
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018078598
(22)【出願日】2018-04-16
(65)【公開番号】P2019185610
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 真一
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/092966(WO,A1)
【文献】特許第5373236(JP,B1)
【文献】国際公開第2016/063782(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/086769(WO,A1)
【文献】特開2012-026173(JP,A)
【文献】特開2012-232663(JP,A)
【文献】特開2012-029104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定部材によって固定され、前記複数の固定部材の固定間隔で固有振動数が変化する操作パネルと、
前記操作パネルを振動させる振動素子と
を備え、
前記操作パネルは、
前記操作パネルを振動させる振動周波数にあわせて前記固有振動数が調整された前記固定間隔で固定されること
を特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
前記操作パネルは、
前記操作パネルの断面2次モーメントに基づいて前記固定間隔が決定されること
を特徴とする請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
前記操作パネルは、
前記固定部材がネジである場合に、前記ネジが挿入される挿入孔が前記固定間隔に沿う向きにスリット状に設けられること
を特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記操作パネルは、
主面である操作面と、前記操作面の両側面に設けられたリブと
を備え、
前記操作パネルは、
前記リブに前記挿入孔が設けられること
を特徴とする請求項3に記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
振動素子によって振動し、複数の固定部材の固定間隔で固有振動数が変化する操作パネルの固定方法であって、
前記操作パネルを振動させる振動周波数にあわせて前記固有振動数が調整された前記固定間隔で固定する固定工程
を含むことを特徴とする操作パネルの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置および操作パネルの固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作パネルを振動させることで、操作パネルを介してユーザへ触覚を提示するタッチパネル装置がある。かかるタッチパネル装置では、操作パネルの固有振動数にあわせて操作パネルを振動させる振動周波数を調整している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/114793号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、操作パネルを振動させたい振動周波数と操作パネルの固有振動数とが異なる場合がある。このため、従来技術では、ユーザへ触覚を適切に提示することができない場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、適切な触覚をユーザへ提示することができるタッチパネル装置および操作パネルの固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係るタッチパネル装置は、操作パネルと、振動素子とを備える。前記操作パネルは、複数の固定部材によって固定され、前記複数の固定部材の固定間隔で固有振動数が変化する。前記振動素子は、前記操作パネルに取り付けられ、前記操作パネルを振動させる。また、前記操作パネルは、前記操作パネルを振動させる振動周波数にあわせて前記固有振動数が調整された前記固定間隔で固定される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、適切な触覚をユーザへ提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、タッチパネル装置の全体図である。
図2図2は、固定部材の配置例を示す図である。
図3図3は、図1に示すA-A線に沿った操作パネルの断面模式図である。
図4図4は、操作パネルの側面図である。
図5図5は、操作パネルの固定方法を示すフローチャートである。
図6図6は、変形例に係る操作パネルの固定態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照してタッチパネル装置および操作パネルの固定方法について説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1を用いて実施形態に係るタッチパネル装置の概要について説明する。図1は、タッチパネル装置1の全体図である。なお、図1では、説明を簡単にするために、鉛直方向上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。かかる直交座標系は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。また、以下では、タッチパネル装置1が、車載用のオーディオ機器の操作部である場合について説明する。
【0011】
図1に示すように、タッチパネル装置1は、操作パネル10と、振動素子20とを備える。また、図1には、タッチパネル装置1が、音量調節ダイアル41および再生位置調整ダイアル42を備える場合について示している。
【0012】
音量調節ダイアル41は、オーディオ機器の音量を調整するダイアルであり、音量を調整するためのユーザ操作を受け付ける。再生位置調整ダイアル42は、オーディ機器で再生中のコンテンツの再生位置を調整するダイアルであり、再生位置を調整するためのユーザ操作を受け付ける。
【0013】
操作パネル10は、主面である操作面11を有し、操作面11の裏面に図示しない感圧センサが設けられ、ユーザの接触操作を受け付ける。また、操作パネル10には、振動素子20が取り付けられており、振動素子20が振動することで操作パネル10が振動する。
【0014】
振動素子20は、例えば、圧電素子であり、図示しない制御部から出力された電圧信号に応じて振動する。図1に示す例では、タッチパネル装置1が、操作パネル10の対向する端部にそれぞれ1つずつ計2つの振動素子20を備える場合について示しているが、振動素子20は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0015】
例えば、振動素子20は、ユーザが操作パネル10に対して接触操作を行った場合に、操作パネル10を振動させる。かかる場合に、振動素子20は、所定の周波数および振動量で操作パネル10を振動させることで、操作パネル10を介して所定の触覚を与えることができる。
【0016】
このように、実施形態に係るタッチパネル装置1は、操作パネル10でユーザによる接触操作を受け付けたことを触覚によってユーザへフィードバックを行う。
【0017】
ところで、タッチパネル装置1は、所定の触覚を効果的にユーザに提示するためには、操作パネル10の固有振動数、すなわち、操作パネル10の共振周波数で操作パネル10を振動させることが好ましい。
【0018】
このため、従来技術では、操作パネルの固有振動数にあわせて振動パネルを振動させる振動周波数を調整していた。しかしながら、従来技術では、かかる振動周波数が、操作パネルの固有振動数に依存するため、所望する振動周波数で操作パネルを振動させることができなかった。
【0019】
そこで、実施形態に係るタッチパネル装置1は、操作パネル10の振動周波数にあわせて操作パネル10の固有振動数を調整することとした。つまり、実施形態に係るタッチパネル装置1では、操作パネル10を振動させる面積を調整することで、操作パネル10の固有振動数を調整することとした。
【0020】
具体的には、実施形態に係るタッチパネル装置1では、操作パネル10を固定する複数の固定部材の固定間隔を調整することで、操作パネル10の固有振動数を所望の振動周波数にあわせこむこととした。
【0021】
図2は、固定部材の配置例を示す図である。図2に示すように、操作パネル10は、操作面11に加え、リブ12をさらに備える。リブ12は、操作面11を挟んで両側に設けられ、図示しない制御回路等を収容する本体部を側面から覆う。
【0022】
操作パネル10は、リブ12に固定部材であるネジ30が振動素子20を挟んだ両側を貫通することで固定される。
【0023】
ここで、上述の固有振動数は、固定部材であるネジ30の固定間隔Lや、操作面11とネジ30との距離Hによって調整することができる。このため、実施形態に係るタッチパネル装置1は、ネジ30の固定間隔Lや距離Hを操作パネル10の振動周波数にあわせて決定する。
【0024】
固定間隔Lおよび距離Hは、操作パネル10の断面2次モーメントにより決定することが可能である。なお、断面2次モーメントとは、操作パネル10のたわみやすさの指標である。図3は、図1に示すA-A線に沿った断面模式図であり、操作パネル10の断面2次モーメントを説明する図である。
【0025】
なお、図3では、説明を簡単にするために、ネジ30より下方側のリブ12の記載を省略し、操作パネル10が振動する部分のみの断面を示す。
【0026】
図3に示すように、操作面11においてリブ12の外周面間の長さをB、かかるリブ12の内周面間の長さをb、リブ12の厚みをaとそれぞれ定義すると、操作パネル10の断面2次モーメントIは、下記式(1)となる。
【数1】
【0027】
式(1)に示すeおよびeは、それぞれ下記式(2)、(3)によって求まる。
【数2】
【数3】
【0028】
式(2)においてHは、操作面11からネジ30までの長さであり、tは、操作面11の厚みである。
【0029】
そして、断面2次モーメントIを用いて下記式(4)により、操作パネル10の固有振動数fが求まる。
【数4】
【0030】
なお、式(4)において、λは係数であり、Lは上述した固定間隔である。また、Eはヤング率であり、ρは密度である。また、Aは、操作パネル10の断面積であり、下記式(5)により求まる。
【数5】
【0031】
ここで、図3に示す断面形状や、操作パネル10の素材は、意匠性を考慮して操作パネル10の設計段階で任意に変更することができる。そして、固有振動数fの値を操作パネル10を振動させる振動周波数とし、固定間隔Lを逆算して求める。
【0032】
実施形態に係るタッチパネル装置1は、固有振動数fが所望の振動周波数を満たす範囲で固定間隔Lを決定する。したがって、操作パネル10を所望の振動周波数で振動させた場合に、所望の触覚をユーザに適切に提示することが可能となる。
【0033】
言い換えれば、所望する触覚を操作パネル10から適切にユーザへ提示することが可能となる。
【0034】
ところで、例えば、タッチパネル装置1を異なる機器に接続する場合、かかる機器ごとに所望の振動周波数が異なる場合や、使用用途によって振動周波数の変更を要求される場合が想定される。かかる場合に、振動周波数毎に操作パネル10を製造すると、製造コストの増大を招くおそれがある。
【0035】
このため、実施形態に係るタッチパネル装置1では、操作パネル10のリブ12にスリット状の挿入孔14を有する。図4は、操作パネル10の側面図である。なお、図4では、操作パネル10を簡略化して示し、図1に示した音量調節ダイアル41、再生位置調整ダイアル42の記載を省略する。
【0036】
図4に示す挿入孔14は、リブ12を厚み方向に貫通した貫通孔であり、ネジ30が挿入する。また、挿入孔14は、上記の固定間隔Lに沿う向きにスリット状に設けられる。
【0037】
より詳細には、例えば、挿入孔14は、円形状である複数の貫通孔13の一部が互いに重なって形成される。貫通孔13を形成する位置は、上述の振動周波数によって決定される。すなわち、各貫通孔13は、操作パネル10を固定する際に、固定間隔Lを規定するガイドとして機能する。
【0038】
このように、操作パネル10に、複数の振動周波数に対応するようにスリット状の挿入孔14を予め形成しておくことで、操作パネル10の汎用性を向上させることができるとともに、複数の振動周波数にあわせて容易に固定間隔Lを調整することが可能となる。
【0039】
また、リブ12は、タッチパネル装置1を車両に取り付ける際に、カバー等で覆われる部分である。すなわち、実施形態に係るタッチパネル装置1では、取り付け後に隠れる部分で操作パネル10を固定することで、意匠性を向上させることが可能となる。
【0040】
ところで、図4に示す例では、リブ12に2つの挿入孔14を形成する場合について示したが、これに限定されるものではない。すなわち、2つの挿入孔14のうち、一方を1つの貫通孔13で形成することにしてもよい。
【0041】
また、図4に示す例では、挿入孔14が、隣り合う貫通孔13の一部が互いに重なった形状である場合について示したが、貫通孔13は、互いに重なっていなくてもよい。すなわち、貫通孔13をそれぞれ独立に設けることにしてもよい。
【0042】
また、ここでは、挿入孔14が図中水平方向に形成される場合について説明したが、挿入孔14は、図中垂直方向に形成されることとしてもよい。かかる場合に、図3に示した「H」を変更することで、固有振動数fを調整することが可能となる。
【0043】
次に、図5を用いて実施形態に係る操作パネル10の固定方法について説明する。図5は、操作パネル10の固定方法を示すフローチャートである。
【0044】
図5に示すように、まず、振動周波数に基づき、固定間隔Lを決定する(ステップS101)。続いて、決定した固定間距離で操作パネル10を固定する(ステップS102)。これにより、操作パネル10を所望の振動周波数で振動させることが可能となる。
【0045】
上述したように、実施形態に係るタッチパネル装置1は、操作パネル10と、振動素子20とを備える。操作パネル10は、複数のネジ30(固定部材の一例)によって固定され、複数のネジ30の固定間隔Lで固有振動数fが変化する。振動素子20は、操作パネル10に取り付けられ、操作パネル10を振動させる。
【0046】
また、操作パネル10は、操作パネル10を振動させる振動周波数にあわせて固有振動数fが調整された固定間隔Lで固定される。したがって、実施形態に係るタッチパネル装置1によれば、ユーザへ触覚を適切に提示することができる。
【0047】
ところで、上述した実施形態では、固定部材がネジ30である場合について説明したが、これに限定されるものではない。続いて、図6を用いて固定部材の変形例について説明する。図6は、変形例に係る操作パネル10の固定態様を示す図である。
【0048】
図6に示す変形例に係る固定部材は、例えば、両面テープ等の接着部材30bである。接着部材30bは、リブ12の内周面(操作パネル10の内側)に張り付けられ、操作パネル10を固定する。
【0049】
このとき、接着部材30bによる操作パネル10の固定位置(図2に示した固定間隔Lおよび操作面11と接着部材との距離H)は、上記の断面2次モーメントに加え、接着部材30bの弾性力に基づいて決定される。
【0050】
かかる場合であっても、操作パネル10の固有振動数fを振動周波数にあわせることができるので、ユーザへ触覚を適切に提示することが可能となる。
【0051】
なお、接着部材30bは、両面テープに限られず、樹脂であってもよく、固定することができるものであれば、その他の接着部材を適用することが可能である。また、上述したネジ30および接着部材30bは、いずれも操作パネル10をリブ12で固定する場合について説明したが、操作面11で操作パネル10を固定することにしてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、操作パネル10がリブ12を有する場合について説明したが、操作パネル10は、平板状であってもよい。また、上述した実施形態では、タッチパネル装置1が、車載用のオーディオ機器の操作部である場合について説明したが、オーディオ機器に限られず、種々の電子機器の操作部として活用することも可能である。
【0053】
また、上述した実施形態では、断面2次モーメントに基づき、固定間隔Lを決定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、実験やシミュレーションを用いて固定間隔Lを決定することにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、タッチパネル装置1が、操作パネル10を振動させてユーザへ触覚を与える場合について説明したが、操作パネル10を振動させて音を発生するようにしてもよい。かかる場合に、音を発生させる周波数にあわせて操作パネル10の固有振動数fを調整する。
【0055】
また、上述した実施形態では、固定間隔Lを調整して固有振動数fを調整する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、リブ12の形状を調整して固有振動数fを調整することにしてもよい。
【0056】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 タッチパネル装置
10 操作パネル
12 リブ
13 貫通孔
14 挿入孔
20 振動素子
30 ネジ(固定部材の一例)
30b 接着部材(固定部材の一例)
L 固定間隔
f 固有振動数
図1
図2
図3
図4
図5
図6