(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】胃瘻カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61J 15/00 20060101AFI20220801BHJP
A61M 39/02 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
A61J15/00 Z
A61M39/02 112
(21)【出願番号】P 2018154832
(22)【出願日】2018-08-21
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】P 2017232868
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513245473
【氏名又は名称】鈴木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】福田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】有川 清貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 稔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05273529(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0097392(US,A1)
【文献】特開2014-068654(JP,A)
【文献】特開2014-121451(JP,A)
【文献】特開2013-059560(JP,A)
【文献】特表2005-511206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
A61M 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンが設けられたシャフトと、
該シャフトの先端に設けられた可撓性のバンパーと、
弾性を有して、前記バンパーを拡径方向に付勢可能又は前記バンパーの縮径方向の変形を制限可能な線状部材と、を備え、
該線状部材の少なくとも一部は、前記バンパーの内部に
撓んで弾性変形した状態で前記バンパーの内周面に沿うように配設され、
撓んだ弾性変形状態から前記弾性変形状態よりも直線的な状態である自然状態に戻ろうとする弾性復元力により前記バンパーに対して内側から拡径方向に付勢していることを特徴とする胃瘻カテーテル。
【請求項2】
ルーメンが設けられたシャフトと、
該シャフトの先端に設けられた可撓性のバンパーと、
弾性を有して、前記バンパーを拡径方向に付勢可能又は前記バンパーの縮径方向の変形を制限可能な線状部材と、を備え、
前記バンパーには、前記バンパーの内部と外部とを連通する連通孔が形成されており、
前記線状部材の先端部は、前記バンパー内において移動可能に配置されており、前記連通孔を介して前記バンパーの内外に出し入れ可能となっていることを特徴とする胃瘻カテーテル。
【請求項3】
ルーメンが設けられたシャフトと、
該シャフトの先端に設けられた可撓性のバンパーと、
弾性を有して、前記バンパーを拡径方向に付勢可能又は前記バンパーの縮径方向の変形を制限可能な線状部材と、を備え、
前記バンパーの表面には、前記バンパーの径方向に窪んで、前記バンパーの軸線方向に沿って延在する凹部が形成されていることを特徴とする胃瘻カテーテル。
【請求項4】
前記バンパーは、最大径部を有する大径部と、該大径部よりも先端側に設けられた小径部と、を備え、
前記凹部は、前記大径部及び前記小径部のそれぞれにおいて複数形成されており、
前記大径部及び前記小径部それぞれにおける前記凹部は、前記バンパーの周回方向において対応する位置に形成されている請求項3に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項5】
前記バンパーは内層と外層とを備え、前記内層と前記外層との間に空間があり、該空間内に前記線状部材の一部が配設されている請求項1から4のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項6】
ルーメンが設けられたシャフトと、
該シャフトの先端に設けられた可撓性のバンパーと、
弾性を有して、前記バンパーを拡径方向に付勢可能又は前記バンパーの縮径方向の変形を制限可能な線状部材と、を備え、
前記バンパーは内層と外層と、最大径部を有する大径部と、該大径部よりも先端側に設けられた小径部と、を備え、前記内層と前記外層との間に空間があり、該空間内に前記線状部材の一部が配設されており、
前記大径部においては、前記内層と前記外層とが離間しており、
前記小径部においては、前記内層と前記外層とが接触していることを特徴とする胃瘻カテーテル。
【請求項7】
前記シャフトの基端部に、胃瘻カテーテルを所定位置に留めるための固定部が設けられており、
前記固定部又は前記固定部の遠位端よりも近位側には、前記線状部材の基端部を保持する基端保持部が設けられている請求項1から6のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項8】
前記基端保持部は、前記線状部材の前記基端部が前記基端保持部に埋め込まれることによって前記基端部を保持しており、前記固定部に切取り可能に設けられている請求項7に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項9】
前記基端保持部は、前記固定部に着脱可能に取り付けられている請求項7に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項10】
前記固定部は、前記基端保持部を移動可能に支持する支持部と、該支持部に接続され前記支持部から前記基端保持部が離脱する方向上に設けられて前記基端保持部の移動及び前記支持部からの離脱を制限する制限部と、を備え、
前記基端保持部は、
前記制限部が前記支持部から切り離されることで、前記支持部から分離可能に構成されている請求項7に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項11】
ルーメンが設けられたシャフトと、
該シャフトの先端に設けられた可撓性のバンパーと、
弾性を有して、前記バンパーを拡径方向に付勢可能又は前記バンパーの縮径方向の変形を制限可能な線状部材と、を備え、
前記シャフトの基端部に、胃瘻カテーテルを所定位置に留めるための固定部が設けられており、
前記固定部又は前記固定部の遠位端よりも近位側には、前記線状部材の基端部を保持する基端保持部が設けられており、
前記固定部は、前記基端保持部を移動可能に支持する支持部と、該支持部に接続され前記支持部から前記基端保持部が離脱する方向上に設けられて前記基端保持部の移動及び前記支持部からの離脱を制限する制限部と、を備え、
前記基端保持部は、
前記制限部が前記支持部から切り離されることで、前記支持部から分離可能に構成されており、前記固定部の外方に向かうにつれて広がるように形成された逆テーパ部を有し、
前記支持部は、
前記逆テーパ部に沿って延在する対向部を有し、
前記制限部が前記支持部から切り離された後に、前記対向部が前記逆テーパ部に対して当接して、前記基端保持部を前記固定部の外方に押し込み可能なように、変形可能に構成されていることを特徴とする胃瘻カテーテル。
【請求項12】
前記線状部材は、
少なくとも一部が前記バンパー内に配置されて、前記バンパーを径方向外向きに付勢可能又は前記バンパーの縮径方向の変形を制限可能とする第1状態と、
該第1状態にあるときよりも前記バンパーの基端側に配置され又は前記バンパーよりも近位側に引き出されて、前記第1状態にあるときよりも前記バンパーを径方向外向きに低く付勢する若しくは付勢しない、又は前記第1状態にあるときよりも前記バンパーの縮径方向の変形を許容する第2状態と、に可変となるように構成されている請求項1から11のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項13】
前記ルーメンは、栄養剤を注入するためのメインルーメンと、前記線状部材の少なくとも一部を収容するサブルーメンと、を含み、
前記サブルーメンの先端開放部は、前記バンパー内に連なっている請求項1から12のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項14】
前記バンパーの内壁の一部は、前記サブルーメンの延長上に位置している請求項13に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項15】
前記サブルーメンの先端部は、前記バンパーの径方向外向きに屈曲して形成されている請求項13又は14に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項16】
前記線状部材を前記サブルーメンと前記バンパーとに亘って配置した状態において、前記線状部材における前記サブルーメン内に配置される部位と、前記バンパー内に配置される部位とは、屈曲して連続して形成されている請求項13から15のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項17】
ルーメンが設けられたシャフトと、
該シャフトの先端に設けられた可撓性のバンパーと、
弾性を有して、前記バンパーを拡径方向に付勢可能又は前記バンパーの縮径方向の変形を制限可能な線状部材と、を備え、
前記ルーメンは、栄養剤を注入するためのメインルーメンと、前記線状部材の少なくとも一部を収容するサブルーメンと、を含み、
前記サブルーメンの先端開放部は、前記バンパー内に連なっており、
該線状部材の少なくとも一部は、自然状態に戻ろうとする弾性復元力により前記バンパーに対して内側から拡径方向に付勢しており、
前記線状部材を前記サブルーメンと前記バンパーとに亘って配置した状態において、前記線状部材における前記サブルーメン内に配置される部位と、前記バンパー内に配置される部位とは、屈曲して連続して形成されており、
前記線状部材を前記サブルーメンと前記バンパーとに亘って配置した状態において、前記線状部材における前記バンパー内に配置される部位の少なくとも一部は、前記バンパーの内周面に沿う方向に延在するように屈曲して形成されている
ことを特徴とする胃瘻カテーテル。
【請求項18】
前記線状部材の少なくとも先端部は、前記線状部材よりも硬度の低いコーティング部によって覆われている、又は鈍頭に形成されている請求項1から17のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項19】
折り畳まれた状態の前記バンパーを保持及び収容するカバーを更に備え、
該カバーは、前記線状部材の少なくとも一部が前記バンパー内に配置された状態で前記バンパーを保持及び収容している請求項1から18のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項20】
前記バンパーの最大径部が、前記シャフトの先端よりも先端側に離間した位置に形成されている請求項1から19のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
【請求項21】
前記シャフトは、他の部位よりも小径に形成された先端部を有し、
前記バンパーは、前記シャフトの前記先端部から延在している請求項1から20のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃瘻カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から胃瘻カテーテルとして、バンパーやバルーンによる胃内留置具によって、胃内に先端部を留置可能な構成を有するものが知られている。
具体的には、特許文献1に開示されているように、ロッドによって縮径されるバンパーを備えるものや、特許文献2に開示されているように、塩水溶液等の流体により拡大・収縮するバルーンを備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-180841号公報
【文献】特表2002-534168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の胃瘻カテーテルにおいては胃内にバンパーを安定的に留置する必要があるため、可撓性の高いバンパーを用いることが困難であった。このため、胃瘻カテーテルの瘻孔に対する挿入、抜去の際には、バンパーから瘻孔の壁面部分に大きな抵抗が加わることがあった。身体への負担の軽減のため、この抵抗がより少ないものが望まれていた。
また、特許文献2のバルーンカテーテルにおいては、バルーン内を満たす流体の入替えが必要であるため管理上の手間がかかっており、更に長期の留置が困難であった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、身体に加わる抵抗を低く抑えつつ、管理上の手間を軽減し、比較的長期の留置が可能な胃瘻カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の胃瘻カテーテルは、ルーメンが設けられたシャフトと、該シャフトの先端に設けられた可撓性のバンパーと、弾性を有して、前記バンパーを拡径方向に付勢可能又は前記バンパーの縮径方向の変形を制限可能な線状部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の胃瘻カテーテルによれば、バンパーを拡径方向に付勢可能又はバンパーの縮径方向の変形を制限可能な線状部材を備えることで、従来の胃瘻カテーテルよりも可撓性を有する材料のバンパーを用いることが可能となる。このため、カテーテルの挿入・抜去の際に身体に加わる抵抗を低く抑えることができる。さらに、バルーンを備える胃瘻カテーテルと異なり流体を用いないため、流体を入れ替える必要がない。このため、バルーンを備えるものと比較して、管理上の手間を軽減し、比較的長期の留置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る胃瘻カテーテルの正面図である。
【
図3】
図1のIII方向矢視図であり、バンパーの底面図である。
【
図4】ワイヤの各部位におけるバンパーの内周面に対する角度を説明する説明図である。
【
図5】バンパーを胃内に留置された胃瘻カテーテルの状態を示す模式的な説明図である。
【
図6】胃瘻カテーテルを、瘻孔を介して胃内に挿入している状態を示す模式的な説明図である。
【
図7】挿入治具によって胃瘻カテーテルからカバーを取り外すことによって、バンパーを拡張させた状態を示す模式的な説明図である。
【
図8】基端保持部を体外固定具から除去した状態の胃瘻カテーテルの状態を示す模式的な説明図である。
【
図9】胃瘻カテーテルを胃内から抜去している状態を示す模式的な説明図である。
【
図10】第1変形例に係る体外固定具を示す正面断面図である。
【
図11】第2変形例に係るバンパーの連通孔を示す底面図である。
【
図12】第3変形例に係るサブルーメンの先端部を示す正面断面図である。
【
図13】第4変形例に係るバンパー、及びバンパーが取り付けられたシャフトを示す斜視図である。
【
図14】バンパーの外層を取り除いてバンパーの内層を示す
図13に対応する斜視図である。
【
図15】
図13のバンパー及びシャフトのXV-XV断面を示す断面図である。
【
図16】第5変形例に係る、基端保持部と基端保持部を支持する支持部とを備える体外固定具を示す斜視図である。
【
図17】(a)は、初期状態における体外固定具を示す平面図、(b)は、制限部を体外固定具から取り除いた状態を示す平面図、(c)は、支持部を両側から押し込んで、基端保持部を体外固定具から押し出した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0010】
<<概要>>
まず、本実施形態に係る胃瘻カテーテル1の概要について
図1及び
図2を主に参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る胃瘻カテーテル1の正面図、
図2は、胃瘻カテーテル1の正面断面図である。
胃瘻カテーテル1は、ルーメンが設けられたシャフト2と、シャフト2の先端に設けられた可撓性のバンパー3と、弾性を有して、バンパー3を拡径方向に付勢可能又はバンパー3の縮径方向の変形を制限可能な線状部材(ワイヤ4)と、を備える。
ここで、「バンパー3を拡径方向に付勢可能」とは、ワイヤ4が弾性変形して、バンパー3の径方向に接触することにより、バンパー3の拡径方向に復元力を加えることが可能であることをいう。
また、「バンパー3の縮径方向の変形を制限可能」とは、バンパー3が胃壁の縁面に当接する等して縮径しようとしたときに、ワイヤ4がバンパー3に当接することにより、バンパー3の縮径方向の変形を制限可能であることをいう。つまり、ワイヤ4は、バンパー3に対して拡径方向に常に付勢しているものに限定されず、バンパー3に外力が加わったときに初めて拡径方向に付勢するものであってもよい。
また、本実施形態においては、バンパー3に対して内側から拡径方向にワイヤ4の復元力が加わる構成であるが、例えば、バンパー3の外側に配置された図示せぬ線状部材から拡径方向の復元力が加わるような構成であってもよい。
【0011】
胃瘻カテーテル1は、バンパー3を拡径方向に付勢可能又はバンパー3の縮径方向の変形を制限可能なワイヤ4を備えることで、これを備えない構成の胃瘻カテーテル1よりも可撓性を有する材料をバンパー3に採用することが可能となる。
このため、胃瘻カテーテル1の挿入・抜去の際に身体に加わる抵抗を低く抑えることができる。さらに、バンパー3とワイヤ4を備える胃瘻カテーテル1は、バルーンを備える胃瘻カテーテルと異なり流体を用いないため、流体を入れ替える必要がない。このため、バルーンを用いる場合と比較して、管理上の手間を軽減し、比較的長期の留置が可能となる。
【0012】
<<胃瘻カテーテルの構造について>>
次に、胃瘻カテーテル1の構造の詳細について、
図1及び
図2に加え、
図3から
図5を主に参照して説明する。
図3は、
図1のIII方向矢視図であり、バンパー3の底面図、
図4は、ワイヤ4の各部位におけるバンパー3の内周面に対する角度を説明する説明図である。
図5は、バンパー3を胃内52に留置された胃瘻カテーテル1の状態を示す模式的な説明図である。
【0013】
胃瘻カテーテル1は、シャフト2と、シャフト2の基端部に設けられた固定部(体外固定具5)と、先端側に設けられたバンパー3と、体外固定具5、シャフト2及びバンパー3のそれぞれの内部に亘って配設されるワイヤ4と、から主に構成されている。
本実施形態に係る胃瘻カテーテル1は、ワイヤ4以外が、シリコーンゴム又はウレタンゴムにより一体成形されている。しかし、このような構成に限定されず、別部品が接合されて構成されるものであってもよい。特に、別部品を接合する構成であっても同種の材料であると品質面で好ましい。
【0014】
体外固定具5及びシャフト2には、ルーメンが設けられている。ルーメンは、栄養剤を注入するためのメインルーメン8と、ワイヤ4の少なくとも一部(基端側)を収容するサブルーメン9と、を含む。
メインルーメン8は、バンパー3の中空空間と、後述するバンパー3に形成された連通孔3aと連通して、胃瘻カテーテル1において基端部から先端部まで貫通する流路を構成することで、体外から胃内52に栄養剤を注入可能とするものである。メインルーメン8は、本実施形態においては断面D字状に形成されており、シャフト2及び体外固定具5中央側においてシャフト2の軸心方向に沿って直線的に延在している。
なお、中空のバンパー3には、メインルーメン8を延長した先に円孔である連通孔3aが形成されている。連通孔3aは、バンパー3の底面視において、メインルーメン8とサブルーメン9を露出させて、これらを内側に含むように大径に形成されている。
【0015】
胃瘻カテーテル1を介して胃内52(
図5参照)に供給される栄養剤は、体外固定具5及びシャフト2のメインルーメン8を通り、バンパー3の連通孔3aを通って胃内52に供給されることとなる。なお、メインルーメン8内には、胃内52から体外への胃液等の内容物の逆流を防止するための逆止弁が設けられているが、これを省略して
図2等を図示している。
【0016】
サブルーメン9は、メインルーメン8よりも外周側に形成されており、シャフト2を通る部位においてメインルーメン8が断面D字状に形成されていることで他の部位よりも肉厚に形成された部位を通って形成されている。サブルーメン9は、断面円形状に形成されており、シャフト2及び体外固定具5に沿ってL字状に屈曲して形成されている。具体的には、サブルーメン9は、シャフト2内においてその軸心方向に沿って直線的に延在し、体外固定具5に至る部位で直角に屈曲して、体外固定具5の延在方向に沿って直線的に延在している。ワイヤ4の一部がサブルーメン9内に収容されていることで、メインルーメン8側を通る栄養剤の注入を阻害することがない。また、ワイヤ4をサブルーメン9内において保護することができる。
【0017】
サブルーメン9における、ある程度の長さを有する遠位端部である先端開放部9bは、近位側から遠位側に直線的に延在してバンパー3内に連なっている。ここで、サブルーメン9の先端開放部9bがバンパー3内に連なっているとは、バンパー3内の空間に連続する空間にサブルーメン9の先端開放部9bが設けられていることを意味する。このようにサブルーメン9が形成されており、サブルーメン9内にワイヤ4の基端側が配設されることで、バンパー3内にワイヤ4の先端側を案内することができる。
【0018】
体外固定具5は、腹壁50に当接することにより胃瘻カテーテル1を瘻孔53内に埋もれることがないように、体外に固定(所定位置に移動を制限)するためのものである。体外固定具5は、瘻孔53に通されるシャフト2の軸心方向に垂直な少なくとも一方向においてシャフト2よりも大きく形成されている。本実施形態における体外固定具5は、シャフト2の軸心に対して垂直に直線的に延在する小片状のものである。瘻孔53は、
図5に示すように、腹壁50と胃壁51に亘ってこれらを貫通して形成されている。
本実施形態に係る体外固定具5は、シャフト2及びバンパー3と一体的に形成されている。体外固定具5には、シャフト2の径方向中央部分であって、軸心方向に形成されたメインルーメン8の近位側の開口である開口8aが形成されている。また、体外固定具5の側面からストラップ7が一体的に延在しており、ストラップ7の先端部に開口8aを封止可能なキャップ6が形成されている。
【0019】
体外固定具5には、後述するワイヤ4の基端部4aを保持する基端保持部5cが設けられている。
基端保持部5cは、ワイヤ4の基端部4aが埋め込まれることによって基端部4aを保持しており、ワイヤ4を胃瘻カテーテル1における他の部位から抜き出すことを容易にするため、体外固定具5に切取り可能に設けられている。なお、ワイヤ4の基端部4aを保持する基端保持部5cの構成としては、基端部4aを埋め込むことによって保持されるものに限定されない。例えば、ワイヤ4の基端に止め具等を設けるようにし、体外固定具5の一部が当該止め具に係止する構成にしたり、体外固定具5の一部によってワイヤ4の基端部4aを挟持する構成にして、ワイヤ4を保持するようにしてもよい。
【0020】
特に本実施形態に係る体外固定具5の側面には、切取り部分の目安となる線状のマーカー5bが付されている。このマーカー5bは、基端保持部5cを確実に切取り可能な位置である、サブルーメン9の基端部9aに交差する仮想平面(本実施形態においては鉛直面)内に含まれる位置に付されている。ここで基端部9aとは、基端面を意味するものではなく、基端におけるある程度の長さを持った部位を意味するものとする。
なお、マーカー5bが付される位置は、体外固定具5の上面(近位側の端面)であってもよい。また、マーカー5bは、塗料によって形成されるものであっても、単に溝状の切れ込みであってもよい。また、ワイヤ4及びサブルーメン9の位置を視認可能であれば、マーカー5bは必ずしも必須の構成ではない。
このように、基端保持部5cが設けられていることで、ワイヤ4の先端部がバンパー3内に位置する所定の位置に、ワイヤ4を留めることができる。
【0021】
例えば、本実施形態に係る胃瘻カテーテル1は、体外に配設される部位が所謂ボタン型であるが、チューブ型であってもよい。チューブ型である場合等、体外に配置される部位が他にあるならば、体外固定具5に基端保持部5cが設けられるものに限定されず、体外固定具5の遠位端5aよりも近位側において、ワイヤ4の基端部4aを保持する部位があればよい。
上記構成に係る基端保持部5cのように、基端保持部5cが切取られなければ、ワイヤ4が体外固定具5等から外れないようにすることで、患者が不意にワイヤ4を外してしまうことを防ぐことができる。
【0022】
バンパー3は、シャフト2と一体的に形成されており、中空の円盤状に形成されている。なお、本実施形態におけるバンパー3の形状は、自然状態、及びワイヤ4の先端側を収容した状態において、外観上は同一(略同一を含む)の円盤状となっている。しかし、バンパー3は、このような形状に限定されず、ワイヤ4の先端側を収容したときのみ、径方向外向きに膨張するような可撓性を有するものであってもよい。
【0023】
また、バンパー3は、所定の可撓性を有するように、シャフト2の厚さ(厳密には、サブルーメン9が形成されていない部位における、メインルーメン8の壁面とシャフト2の外面との距離)よりも薄く形成されている。このように、バンパー3がシャフト2よりも肉薄であることで、バンパー3を拡縮しやすくできる。
上記のように、バンパー3の遠位側であって、メインルーメン8の延長上には、連通孔3aがバンパー3の内部と外部とを連通して形成されている。
【0024】
バンパー3内において、超弾性合金のワイヤ4の先端側がとぐろを巻くように配設されることで、バンパー3は径方向外向きに付勢され、その円盤状の形状(径方向に若干縮径した形状も含む。)が胃内52において維持されることとなる。なお、ワイヤ4は、バンパー3を径方向外向きに常に付勢するものに限定されず、バンパー3に外力が加わり縮径方向に変形してワイヤ4に当接したときに径方向外向きに付勢して、その変形を制限する構成であってもよい。
さらには、バンパー3は、自然状態において円盤状に形成されるものに限定されず、ワイヤ4の先端側が配置されることによって初めて円盤状に形成されるものであってもよい。
【0025】
線状部材(ワイヤ4)は、少なくとも先端側の一部がバンパー3内に配置されて、バンパー3を径方向外向きに付勢可能又はバンパー3の縮径方向の変形を制限可能とする第1状態と、第1状態にあるときよりもバンパー3を径方向外向きに低く付勢する若しくは付勢しない、又は第1状態にあるときよりもバンパー3の縮径方向の変形を許容する第2状態と、に可変となるように構成されている。第2状態は、ワイヤ4が第1状態にあるときよりもバンパー3の基端側に配置され、又はバンパー3よりも近位側に引き出された状態である。
具体的には、ワイヤ4がバンパー3から完全に引き出される(バンパー3よりも近位側に引き出される)ことによって、ワイヤ4は当然バンパー3に対して全く付勢しなくなる。一方で、ワイヤ4がバンパー3から部分的に引き出されると、バンパー3を引き出す前よりもバンパー3は、低い力で付勢されるか、制限されていたバンパー3の縮径方向の変形を許容することになる。これらの双方に係るバンパー3の状態を「第2状態」という。
このように、バンパー3に対するワイヤ4の位置によって、ワイヤ4がバンパー3の変形を制限している状態を可変にすることができる。
なお、「径方向の外向き」とは、径方向外向きの成分を有する向きの意味であり、径方向内向き(換言すると、バンパー3の中心方向の向き)を除くすべての向きを意味し、以下においても同じである。
【0026】
ワイヤ4の基端部4aは、上述のように、基端保持部5cに埋設されている。ワイヤ4の少なくとも先端部4bは、バンパー3内で他の部材によって支持されることなく移動可能に配置されており、連通孔3aを介してバンパー3の内外(より詳細には、バンパー3内部と、バンパー3の遠位側の外部)に出し入れ可能となっている。
このような構成によれば、ワイヤ4の先端部4bをバンパー3内にとぐろを巻くように配設された胃瘻カテーテル1を容易に製造することが可能となる。具体的には、製造者は、まず、サブルーメン9を通るワイヤ4の先端部4bを連通孔3aからバンパー3の外部に一旦出す。その後に、バンパー3から出たワイヤ4の先端部4bにおける先端よりも基端側をバンパー3内に漸次とぐろを巻くように収容するようにして、先端に至るまでワイヤ4をバンパー3内に配設する。このようにすれば、先端側がとぐろを巻くように収容されたワイヤ4を有する胃瘻カテーテル1を容易に製造することができる。
【0027】
上記のワイヤ4が、第1状態から、バンパー3から引き出される方向に近位側に配置されて第2状態となることで、バンパー3への付勢力を弱める又はバンパー3の縮径方向の変形を許容することができる。このようにワイヤ4を第2状態にすることで、胃瘻カテーテル1の抜去の際に身体に加わる抵抗を低く抑えることができる。
また、本実施形態においては、後述のように、ワイヤ4の先端側をバンパー3内に収容させた状態で、カプセルカバー10でバンパー3を畳んだ状態で、胃瘻カテーテル1を挿入する。例えば、カプセルカバー10を用いずに、胃瘻カテーテル1を挿入する際には、ワイヤ4をバンパー3から引き出して、バンパー3を第2状態にした後に、胃瘻カテーテル1を挿入するようにしてもよい。この場合にも身体に加わる抵抗を低く抑えることができる。
なお、とぐろを巻いたワイヤ4の先端側は、バンパー3の内面を常に不勢するような曲率で形成されているものに限定されない。つまり、とぐろを巻いたワイヤ4の先端側は、シャフト2の外径よりも大きな曲率半径を有して、胃内52にある瘻孔53の縁にバンパー3が係止可能な程度にバンパー3の変形を抑制できればよく、バンパー3の内面から離間して配設されていてもよい。
【0028】
上記実施形態においては、ワイヤ4を完全に胃瘻カテーテル1から引き抜く構成を説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、ワイヤ4の一部のみをバンパー3から引き出すようにして、バンパー3内にあるワイヤ4の部位の量を減らすようにしてもよい。このようにしてもワイヤ4の量が減る分だけバンパー3の径方向外向きへの付勢力が弱まる又は縮径方向の変形を制限する力が弱まることで、胃瘻カテーテル1を胃内52に対して挿入・抜去する際の抵抗を抑制することができる。これらの構成によれば、バンパー3に対して作用するワイヤ4の荷重を簡便に調整することができる点で好適である。
しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、バンパー3に対するワイヤ4の荷重を調整可能であれば、ワイヤ4を胃瘻カテーテル1の近位側に引き出す構成に限定されない。例えば、ワイヤ4を引っ掛ける棒をメインルーメン8から挿入し、ワイヤ4をバンパー3内で巻き取って縮径させることにより、バンパー3に対する径方向外向きの荷重を弱めるようにしてもよい。
【0029】
また、ワイヤ4の少なくとも先端部4bは、ワイヤ4よりも硬度の低いコーティング部4cによって覆われている、又は放電加工により鈍頭(略球状)に形状づけされている。
ワイヤ4の少なくとも先端部4bがコーティング部4cによって覆われている、又は放電加工により鈍頭(略球状)に形状づけされている。このように構成されていることで、ワイヤ4の先端部4bをバンパー3に収容する際に、先端部4bがバンパー3を損傷させることを抑制することができる。
【0030】
ワイヤ4をサブルーメン9とバンパー3とに亘って配置した状態において、ワイヤ4におけるサブルーメン9内に配置される第1部位4xと、バンパー3内に配置される第2部位4yとは、
図2に示すように、屈曲点4jで屈曲して連続して形成されている。換言すると、ワイヤ4は、バンパー3内において、バンパー3の径方向の外向きに屈曲点4jで屈曲している。
このように、ワイヤ4が屈曲していることで、サブルーメン9を挿通した先で、バンパー3を拡径方向にスムーズに付勢、又はバンパー3の縮径方向の変形を均一に制限しやすくなる。このため、バンパー3に対する拡径方向の付勢された状態、及びバンパー3の縮径方向への変形が制限されている状態を好適に維持することができ、バンパー3ひいては胃瘻カテーテル1が瘻孔53から不意に抜脱することを防ぐことができる。
【0031】
さらに、ワイヤ4をサブルーメン9とバンパー3とに亘って配置した状態において、ワイヤ4におけるバンパー3内に配置される部位の少なくとも一部は、バンパー3の内周面に沿う方向に延在するように、屈曲点4kで屈曲して形成されている。
ここで、
図4に示すように、ワイヤ4の任意の一部の延長線とバンパー3の内周面の法線との角度を入射角αとして、屈曲点4jからバンパー3の内周面に向う延長線についての入射角α1、屈曲点4kからバンパー3の内周面に向う延長線についての入射角α2とする。この場合に、バンパー3の内周面に沿う方向に延在するように屈曲するとは、入射角α1よりも入射角α2が大きくなるように屈曲することをいう。
ワイヤ4が、バンパー3の内周面に沿う方向に屈曲して形成されていることで、ワイヤ4をバンパー3の内周面に沿わせることができ、バンパー3の周方向の各位置においてバンパー3を拡径方向に付勢する荷重、又はバンパー3の変形を制限する荷重を均等に付与しやすくなる。
【0032】
<<胃瘻カテーテルの取り付け方法について>>
次に、胃瘻カテーテル1の取り付け方法について
図5に加え、
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は、胃瘻カテーテル1を、瘻孔53を介して胃内52に挿入している状態を示す模式的な説明図、
図7は、挿入治具11によって胃瘻カテーテル1からカプセルカバー10を取り外すことによって、バンパー3を拡張させた状態を示す模式的な説明図である。
【0033】
胃瘻カテーテル1は、ワイヤ4の先端側がバンパー3内に配置されて折り畳まれた状態のバンパー3を保持及び収容するカバー(カプセルカバー10)を備える。ここで、このカプセルカバー10は、シャフト2に直接又は間接的に取り付け可能であって、バンパー3が折り畳まれた状態を維持してバンパー3を収容すればよい。つまり、この「収容する」とは、バンパー3をすべて収容するもの、バンパー3の少なくとも一部を収容するものを含む。
カプセルカバー10は、瘻孔53を介して胃内52にバンパー3を配設する際に、バンパー3が折り畳まれた状態を保持しつつ瘻孔53の壁面に加わる抵抗を抑制し、バンパー3の体内への挿入を容易とするためのものである。
【0034】
カプセルカバー10は、セルロース系若しくはゼラチン系の材料から形成された食品用に用いられるハードカプセルカバー、又はポリ乳酸等の体内で分解される材料であり、一方側に底部を有して他方側が開放端である鈍頭のキャップ状に形成されている。なお、カプセルカバー10の形状は特に限定されるものではなく、半球状等であってもよい。
【0035】
術者は、カプセルカバー10を体内で取り外すことで、ワイヤ4の拡径方向の付勢によりバンパー3を拡径することができる。胃瘻カテーテル1の瘻孔53への取り付け、及びカプセルカバー10の取り外しには、挿入治具11が用いられる。
挿入治具11は、本体筒11aと、本体筒11aに取り付けられた一対の爪11bと、操作部11cと、本体筒11aに対して往復動可能なピストン11dと、ピストン11dに接続され軸方向に突出/退入する押出棒11eと、を備える。
【0036】
胃瘻カテーテル1を瘻孔53に挿入する際に、術者は、バンパー3を折り畳み、折り畳まれた状態のバンパー3をカプセルカバー10で覆うことで、バンパー3が折り畳まれた状態を保持する。
さらに術者は、挿入治具11を把持して、一対の爪11bでシャフト2を挟むようにして胃瘻カテーテル1の体外固定具5の下面(遠位側の面)を支持させて、
図6に示すように保持する。
次に、術者は、カプセルカバー10で覆われたバンパー3をカプセルカバー10ごと瘻孔53に通し、バンパー3が胃内52に至る位置(爪11bが腹壁50の表面に当接する位置)まで挿入治具11で胃瘻カテーテル1を押し込む。
【0037】
その後、術者は、
図7に示すように、操作部11cを遠位側に押し込むように操作して、ピストン11dを本体筒11a内に押し込み、押出棒11eを突出させる。このとき、押出棒11eは、バンパー3の連通孔3aを通ってカプセルカバー10のみを押し出すこととなり、
図7に示すように、カプセルカバー10は、バンパー3から抜け落ちることとなる。
カプセルカバー10からの保持から解除されたバンパー3は、ワイヤ4の付勢力によって瘻孔53の孔径よりも大きく拡径して、胃内52に留置されることとなる。
胃内52に抜け落ちたカプセルカバー10は、上記のように食用あるいは体内で分解される材料であるため、胃内容物とともに排泄されるか溶解することで身体への影響もない。
【0038】
<<胃瘻カテーテルの取り外し方法について>>
術者は、胃瘻カテーテル1を使用する際の衛生状態を好適に維持するため、所定期間ごとに胃瘻カテーテル1を交換する必要がある。この胃瘻カテーテル1の交換の際に必要となる既設の胃瘻カテーテル1の取り外し方法について、
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は、基端保持部5cを体外固定具5から除去した状態の胃瘻カテーテル1の状態を示す模式的な説明図である。
図9は、胃瘻カテーテル1を胃内52から抜去している状態を示す模式的な説明図である。
【0039】
術者は、まず、体外固定具5の基端保持部5cを、マーカー5bに沿って切り込みが入るように、体外固定具5の他の部位から鋏等によって除去する。このとき術者は、ワイヤ4を切断しないように、基端保持部5cを体外固定具5の他の部位から切り離す。マーカー5bは、上記のように、サブルーメン9の基端部9aに交差する仮想平面内に含まれる位置に付されているため、マーカー5bに沿って、基端保持部5cを切り離すことで、体外固定具5におけるワイヤ4の基端部4aの埋設部分がなくなることとなる。
そして、術者は、基端部4aを把持して、バンパー3、シャフト2及び体外固定具5からワイヤ4を引き抜く。
最後に、術者は、体外固定具5を把持して、胃瘻カテーテル1を瘻孔53から体外に引き出す。このとき、
図9に示すように、バンパー3は、ワイヤ4が引き抜かれていることにより、第2状態となっており、瘻孔53の壁面に触れたときに縮径することで、身体への抵抗が低く抑制されることとなる。
【0040】
[第1変形例]
上記実施形態においては、ワイヤ4の基端部4aを保持する基端保持部5cは、
図2に示すように、体外固定具5と一体的に形成されて、ワイヤ4を埋設することによって保持し、切取られることによってワイヤ4の保持を解除する構成であった。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。
次に、第1変形例に係る体外固定具15について、
図10を参照して説明する。
図10は、第1変形例に係る体外固定具15を示す正面断面図である。
【0041】
ワイヤ4の基端部4aを保持する基端保持部15aは、固定部(体外固定具15)と別体であり、固定部(体外固定具15)に着脱可能に取り付けられている。
具体的には、基端保持部15aは、サブルーメン9の基端部9aの延長上に配置されており、小径の首部と大径の頭部とを有して下方(遠位方)に突出する係止突出部15bを下部に有する。体外固定具15における係止突出部15bに対向する部位には、凹溝15cが係止突出部15bに相対的な形状で形成されている。
係止突出部15bは、凹溝15cを形成する開口が弾性変形させるように拡げられることによって凹溝15cに収容され、係止することとなる。
【0042】
このような構成によれば、基端保持部15aを体外固定具15に取り付けることで、ワイヤ4の先端部がバンパー3内に配置されている状態を維持することができる。また、係止突出部15bによる凹溝15cへの係止を解除して、基端保持部15aを体外固定具5から取り外すことで、基端保持部5cごとワイヤ4をシャフト2、バンパー3及び体外固定具15から抜去することができる。
【0043】
係止突出部15bは、凹溝15cよりも硬質の樹脂ゴムからなるものであってもよい。このような構成によれば、相対的に軟質の凹溝15cに係止突出部15bを嵌め込みやすくなる。なお、基端保持部15a側に凹溝、体外固定具15側に係止突出部が設けられている構成であってもよい。
なお、患者が基端保持部15aを誤って体外固定具15から外すことを防止するように、基端保持部15aと体外固定具5とを挟持する図示せぬクリップ等を更に備えるようにしてもよい。
【0044】
[第2変形例]
上記実施形態においては、
図3に示すように、連通孔3aが、メインルーメン8及びサブルーメン9を露出するように大径にバンパー3に形成されているものとして説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。
次に、第2変形例に係るバンパー13について、
図11を参照して説明する。
図11は、第2変形例に係るバンパー13の連通孔13aを示す底面図である。
【0045】
第2変形例に係るバンパー13の内壁の一部は、サブルーメン9の延長上に位置している。具体的には、本例における連通孔13aは、底面視において、メインルーメン8を縁取って露出させつつ、サブルーメン9を露出させないように断面D字状に形成されている。
このような構成によれば、ワイヤ4をサブルーメン9に挿通させてバンパー13内に、その先端部4bを配置する際に、先端部4bがバンパー13の内壁の一部に当接する。このため、ワイヤ4の先端側は、バンパー13の径方向に自然に配設されることとなる。
特に、ワイヤ4の先端側がバンパー13内に配設されていない第2状態にして、身体に加わる抵抗を抑制しながらバンパー13を瘻孔53に通して胃内52に配置できる。
その後に、
図10に示す基端保持部15aに基端部4aを埋設されたワイヤ4の先端側を、サブルーメン9を介してバンパー13内においてとぐろを巻くように送り込んで、バンパー13を拡径方向に付勢可能な状態、又はバンパー13の縮径方向の変形を制限可能な状態に容易にすることができる。このため、挿入治具11によってカプセルカバー10を外すことによってバンパー3を拡径する方法ではなく、ワイヤ4をサブルーメン9に挿し込むという簡単な方法でバンパー13を第1状態にすることができる。
【0046】
なお、上記実施形態及び本例におけるメインルーメン8は、断面D字状に形成されているものとして説明したが、シャフト2において、サブルーメン9を形成する厚さを確保できるのであれば、断面円形状や矩形状であってもよく、このような形状に限定されない。これに伴い、連通孔13aの形状もサブルーメン9の延長上にバンパー13の内壁の一部が位置することができれば、断面円形状や矩形状であってもよく、このような形状に限定されない。
【0047】
[第3変形例]
上記実施形態においては、
図2に示すように、サブルーメン9の先端開放部9bが近位側から遠位側に直線的に延在してバンパー3内に連なっているものとして説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。
次に、第3変形例に係るサブルーメン29について、
図12を参照して説明する。
図12は、第3変形例に係るサブルーメン29の先端開放部29bを示す正面断面図である。
【0048】
第3変形例に係るシャフト22を通るサブルーメン29の先端部(先端開放部29b)は、バンパー3の径方向外向きに屈曲して形成されている。具体的には、先端開放部29bはバンパー3内まで延在しており、先端開放部29bを画定する壁部がバンパー3内においてバンパー3の径方向外向きに屈曲して延在している。
このような構成によれば、ワイヤ4をサブルーメン29に挿通させてバンパー3内に、その先端部4bを配置する際に、先端部4bがバンパー3の径方向外向きにサブルーメン29の先端開放部29bによって案内される。このため、ワイヤ4の先端側は、バンパー3の径方向外向きに自然に配設されることとなる。
特に、第2変形例同様に、ワイヤ4の先端側がバンパー3内に配設されていない第2状態にして、身体に加わる抵抗を抑制しながらバンパー3を瘻孔53に通して胃内52に配置できる。
その後に、
図10に示す基端保持部15aに基端部4aを埋設されたワイヤ4の先端側を、サブルーメン29を介してバンパー3内においてとぐろを巻くように送り込んで、第1状態(つまり、バンパー3を拡径方向に付勢可能な状態、又は縮径方向の変形を抑制可能な状態。)に容易にすることができる。このため、挿入治具11によってカプセルカバー10を外すことによってバンパー3を拡径する方法ではなく、ワイヤ4をサブルーメン9に挿し込むという簡単な方法でバンパー3を第1状態にすることができる。
【0049】
[第4変形例]
上記実施形態に係るバンパー3、13については、中空の円盤状に形成されているものとして説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。
次に、第4変形例に係るバンパー33及びバンパー33が取り付けられるシャフト32について、
図13~
図15を主に参照して説明する。
図13は、第4変形例に係るバンパー33、及びバンパー33が取り付けられたシャフト32を示す斜視図、
図14は、バンパー33の外層35を取り除いてバンパー33の内層34を示す
図13に対応する斜視図である。
図15は、
図13のバンパー33及びシャフト32のXV-XV断面を示す断面図である。
【0050】
本実施形態に係るバンパー33は、バンパー33の軸線方向から見て、星型状に形成されており、シャフト32の先端部に接続されている。
シャフト32は、シャフト本体32aと、他の部位(シャフト本体32a)よりも小径に形成された先端部(
図15に示す第1先端部32b及び第2先端部32c)を有する。詳細について後述するバンパー33は、シャフト32の先端部から延在している。
第1先端部32bは、シャフト本体32aから先端側に連続して形成されており、シャフト本体32aよりも小径に形成されている。第2先端部32cは、第1先端部32bから先端側に連続して形成されており、第1先端部32bよりも小径に形成されている。
後述するバンパー33の内層34の接続筒部34aが、シャフト32の先端部(第2先端部32c)に接続されて、内層34が延在している。また、後述するバンパー33の外層35の接続筒部35aが、シャフト32の先端部(第1先端部32b)に接続されて、外層35が延在している。
【0051】
上記構成によれば、シャフト32の先端部(第1先端部32b)がシャフト本体32aと同じ径で形成されているものよりも、シャフト32の第1先端部32bに接続されるバンパー33の拡径方向の最大変形量を大きくすることができる。つまり、後述するように、バンパー33内に一部が設けられたワイヤ4(
図15参照)により、軸心方向に対する変形後のバンパー33(の傾斜部35c)の傾斜を大きくすることができる。このため、変形後のバンパー33と胃壁51(
図5参照)の内面との接触面積を大きくすることができ、胃内52にバンパー33を留置しやすくなる。
【0052】
バンパー33は、
図15に示すように、内層34と外層35とを備え、内層34と外層35との間に空間33sがあり、空間33s内に線状部材(ワイヤ4)の先端側の一部が配設されている。
また、シャフト32には、
図15に示すように、後述するワイヤ4が通される一本のサブルーメン32dが軸心方向に平行に延在して設けられている。サブルーメン32dは、第1先端部32bの先端面を貫通して、シャフト32の先端部に取り付けられたバンパー33の内層34と外層35との間の空間33sに連通している。
このような構成によれば、内層34と外層35との間に、ワイヤ4の一部を収容する空間33sを形成することができる。また、空間33sが形成されて剛性が低められていることで、ワイヤ4がバンパー33から引き抜かれた場合には、バンパー33をスムーズに折り畳み状態に変形させることができる。
【0053】
バンパー33の外層35の表面には、バンパー33の径方向に窪んで、バンパー33の軸線方向に沿って延在する凹部35fがバンパー33の周回方向に複数形成されている。
このように、バンパー33(の外層35)の表面に凹部35fが形成されていることで、バンパー33をスムーズに折り畳み状態に変形させることができる。詳細には、バンパー33が折り畳まれるときに、瘻孔53(
図5参照)の壁から加わる荷重がバンパー33における凹部35fではない部分に局所的に加わり、凹部35fにおいて折り畳みの起点が生じる。そして、凹部35fが折り畳みのスペースとなることで、バンパー33をスムーズに折り畳み状態に変形させることができる。
【0054】
バンパー33の外層35は、基端側から先端側にかけて、シャフト32に接続される接続筒部35aと、最大径部35eを有する大径部35bと、大径部35bよりも先端側に設けられた小径部35gと、を備える。
バンパー33の内層34は、基端側から先端側にかけて、シャフト32に接続される接続筒部34aと、接続筒部34aの先端から先端部34dの基端まで拡径方向に傾斜して延在する傾斜部34bと、傾斜部34bよりも先端側に設けられた先端部34dと、を備える。
【0055】
接続筒部35aは、シャフト32の第1先端部32bに接続されるものであり、接続筒部35aの内径は、第1先端部32bの外径と略等しく形成されている。
大径部35bは、最大径部35eを含むシャフト32の軸心方向に平行な方向において、先端に向かうに連れて拡径するように傾斜する傾斜部35cと、最大径部35eと、先端に向かうに連れて縮径するように傾斜する傾斜部35dと、を有する。
図15に示すように、最大径部35eを含むバンパー33の軸方向に垂直な平面空間内で、ワイヤ4の先端部4bが収容されている。上記のように、最大径部35eを挟む両側に、傾斜部35cと傾斜部35dとが形成されていることにより、空間33s内に挿入されたワイヤ4の先端部4bは、径方向に弾性復元する際に、最大径部35eを含む上記の平面空間内に好適にガイドされることになる。
【0056】
バンパー33の外層35の最大径部35eは、シャフト32の先端よりも先端側に離間した位置に形成されている。
このように、最大径部35eがシャフト32の先端よりも先端側に離間した位置に形成されていることで、最大径部35eを収縮させたときにシャフト32上にバンパー33が覆い重なることを抑制して、バンパー33の折り畳み形状をコンパクトにすることができる。
【0057】
外層35の大径部35bには凹部35fが、小径部35gには凹部35hが、それぞれにおいて周回方向に複数形成されている。大径部35b及び小径部35gそれぞれにおける凹部35f、35hは、バンパー33の周回方向において対応する位置に形成されている。
大径部35bと小径部35gに複数形成された凹部35f、35hが周回方向において対応する位置に形成されていることで、大径部35bと小径部35gの折り畳みの起点となる部位が、大径部35bと小径部35gとに亘って直線的となる。このため、バンパー33の外層35は、折り畳み状態にスムーズに変形できることになる。
「周回方向において対応する位置」とは、具体的には、バンパー33をその軸線方向から見て、バンパー33の軸線を中心として、同じ角度にあることをいう。
【0058】
同様に、内層34の傾斜部34bには凹部34cが、先端部34dには凹部34eが、それぞれにおいて周回方向に複数形成されている。傾斜部34b及び先端部34dそれぞれにおける凹部34c、34eは、バンパー33の周回方向において対応する位置に形成されている。
傾斜部34bと先端部34dに複数形成された凹部34c、34eが周回方向において対応する位置に形成されていることで、傾斜部34bと先端部34dの折り畳みの起点となる部位が、傾斜部34bと先端部34dとに亘って直線的となる。このため、バンパー33の内層34は、折り畳み状態にスムーズに変形できることになる。
【0059】
さらに、本実施形態において、外層35の凹部35fと内層34の凹部34c、及び外層35の凹部35hと内層34の凹部34eのそれぞれは、バンパー33の径方向において重なる位置に設けられている。換言すると、凹部35fと凹部34c、及び凹部35hと凹部34eのそれぞれの最も窪んだ部位同士を結んでバンパー33の径方向に延びる直線が、バンパー33の軸線と交差する位置関係にある。
このような構成によれば、内層34と外層35とが互いに干渉することを抑制して、バンパー33をスムーズに折り畳み状態に変形させることができる。
【0060】
大径部35bにおいては、内層34と外層35とが離間しており、小径部35gにおいては、内層34(厳密には、先端部34d)と外層35とが接触している。
上記構成によれば、大径部35bにおいて内層34と外層35とが離間していることで、剛性が低められた収縮しやすい構成である。また、小径部35gにおいて内層34と外層35が接触していることで、剛性が高められて形状保持性に優れる構成とすることができる。
【0061】
[第5変形例]
図8に示す実施形態においては、胃瘻カテーテル1のバンパー3を胃内から体外に取り除く場合にワイヤ4をバンパー3から取り除くときには、基端保持部5cを体外固定具5から切取るものとして説明した。また、
図10に示す実施形態においては、係止突出部15bによる凹溝15cへの係止を解除して、基端保持部15aを体外固定具5から取り外すものとして説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。
【0062】
次に、第5変形例に係る体外固定具45について、
図16及び
図17を主に参照して説明する。
図16は、第5変形例に係る、基端保持部48と基端保持部48を支持する支持部46とを備える体外固定具45を示す斜視図である。
図17(a)は、初期状態における体外固定具45を示す平面図、
図17(b)は、制限片47を体外固定具45から取り除いた状態を示す平面図、
図17(c)は、支持部46を両側から押し込んで、基端保持部48を体外固定具45から押し出した状態を示す平面図である。なお、
図16及び
図17においては、
図1に示すキャップ6及びストラップ7の図示を省略している。
【0063】
第5変形例に係る固定部(体外固定具45)は、基端保持部48を移動可能に支持する支持部46と、基端保持部48の移動及び支持部46からの離脱を制限する制限部(制限部47)と、を備える。
本実施形態に係る基端保持部48は、平面視において台形状の厚みを有する板片であり、内部にワイヤ4の基端部が埋設されている。基端保持部48は、固定部(体外固定具45)の外方に向かうにつれて広がるように形成された逆テーパ部48aを有する。
【0064】
支持部46は、基端保持部48を下方から支持する底壁46cと、底壁46cの両側に設けられて立設している接続壁46bと、を有する。底壁46c及び接続壁46bは、支持部46の他の部位よりも体外固定具45の延在方向外側に突出している。
支持部46には、基端保持部48の少なくとも一部を露出させる平面視台形状の開口46dが近位側に形成されている。このように開口46dが形成されていることで、術者は、後述するように支持部46を両側から摘む以外に、指で基端保持部48を触れて基端保持部48を体外固定具45から分離させることも可能となっている。
【0065】
制限片47は、支持部46の接続壁46b及び底壁46cに接続され、支持部46から基端保持部48が離脱する方向上であって、基端保持部48に対してその厚さ方向に重なる大きさ及び位置に設けられている。
基端保持部48は、
図17(b)に示すように、制限片47が支持部46から切り離されることで、支持部46から分離可能に構成されている。
【0066】
体外固定具45が支持部46と制限片47とを有していることで、基端保持部48の全体が体外固定具45に接続されているものと比較して、制限片47を支持部46から切り離すことのみで、支持部46から基端保持部48を容易に分離することが可能となる。
基端保持部48が分離可能な構成として、本実施形態においては、基端保持部48を制限片47に投影した経路上に、支持部46が設けられておらず、
図17に示す通し孔46eが形成されている。このような構成により、支持部46によって、基端保持部48の制限片47に向かう方向の移動が制限されず、制限片47のみによって、その移動が制限されることになる。
【0067】
支持部46は、体外固定具45に取り付けられた状態の基端保持部48の逆テーパ部48aに沿って延在する対向部46aを有する。支持部46は、制限片47が支持部46から切り離された後に、対向部46aが逆テーパ部48aに対して当接して、基端保持部48を固定部(体外固定具45)の外方に押し込み可能なように、変形可能に構成されている。
【0068】
このような構成によれば、術者は、
図17(c)に示すように、支持部46を両側から基端保持部48を挟み込む方向(太矢印向き)に摘んで、支持部46の対向部46aを変形させる。そうすると、対向部46aから逆テーパ部48aに加わる荷重の体外固定具45の延在方向外側に向かう(細矢印向きの)分力が生じることにより、基端保持部48が支持部46から体外固定具45の外方に容易に取り外されることになる。
「体外固定具45の外方」とは、体外固定具45の延在方向のうちシャフト2(
図16参照)から離れる向きに限定されず、体外固定具45の延在方向に交差する方向であって、体外固定具45の厚みの中心から外方に向かう向きであってもよい。上記の「変形可能」とは、弾性変形・塑性変形を含む概念である。
【0069】
なお、基端保持部48の形状は、平面視において逆テーパ部48aを含む台形状に形成されているものに限定されず、例えば、直線的な逆テーパ部48aの代わりに一対の円弧状に形成されているものであってもよい。つまり、基端保持部48の形状は、体外固定具45の外方(基端保持部48の取り出し方向)に向かうにつれて拡大した形状であればよい。
【0070】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)ルーメンが設けられたシャフトと、
該シャフトの先端に設けられた可撓性のバンパーと、
弾性を有して、前記バンパーを拡径方向に付勢可能又は前記バンパーの縮径方向の変形を制限可能な線状部材と、を備えることを特徴とする胃瘻カテーテル。
(2)前記線状部材は、
少なくとも一部が前記バンパー内に配置されて、前記バンパーを径方向外向きに付勢可能又は前記バンパーの縮径方向の変形を制限可能とする第1状態と、
該第1状態にあるときよりも前記バンパーの基端側に配置され又は前記バンパーよりも近位側に引き出されて、前記第1状態にあるときよりも前記バンパーを径方向外向きに低く付勢する若しくは付勢しない、又は前記第1状態にあるときよりも前記バンパーの縮径方向の変形を許容する第2状態と、に可変となるように構成されている(1)に記載の胃瘻カテーテル。
(3)前記シャフトの基端部に、胃瘻カテーテルを所定位置に留めるための固定部が設けられており、
前記固定部又は前記固定部の遠位端よりも近位側には、前記線状部材の基端部を保持する基端保持部が設けられている(1)又は(2)に記載の胃瘻カテーテル。
(4)前記基端保持部は、前記線状部材の前記基端部が前記基端保持部に埋め込まれることによって前記基端部を保持しており、前記固定部に切取り可能に設けられている(3)に記載の胃瘻カテーテル。
(5)前記基端保持部は、前記固定部に着脱可能に取り付けられている(3)に記載の胃瘻カテーテル。
(6)前記ルーメンは、栄養剤を注入するためのメインルーメンと、前記線状部材の少なくとも一部を収容するサブルーメンと、を含み、
前記サブルーメンの先端開放部は、前記バンパー内に連なっている(1)から(5)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
(7)前記バンパーの内壁の一部は、前記サブルーメンの延長上に位置している(6)に記載の胃瘻カテーテル。
(8)前記サブルーメンの先端部は、前記バンパーの径方向外向きに屈曲して形成されている(6)又は(7)に記載の胃瘻カテーテル。
(9)前記線状部材を前記サブルーメンと前記バンパーとに亘って配置した状態において、前記線状部材における前記サブルーメン内に配置される部位と、前記バンパー内に配置される部位とは、屈曲して連続して形成されている(6)から(8)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
(10)前記線状部材を前記サブルーメンと前記バンパーとに亘って配置した状態において、前記線状部材における前記バンパー内に配置される部位の少なくとも一部は、前記バンパーの内周面に沿う方向に延在するように屈曲して形成されている(9)に記載の胃瘻カテーテル。
(11)前記バンパーには、前記バンパーの内部と外部とを連通する連通孔が形成されており、
前記線状部材の先端部は、前記バンパー内において移動可能に配置されており、前記連通孔を介して前記バンパーの内外に出し入れ可能となっている(1)から(10)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
(12)前記線状部材の少なくとも先端部は、前記線状部材よりも硬度の低いコーティング部によって覆われている、又は鈍頭に形成されている(1)から(11)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
(13)折り畳まれた状態の前記バンパーを保持及び収容するカバーを更に備え、
該カバーは、前記線状部材の少なくとも一部が前記バンパー内に配置された状態で前記バンパーを保持及び収容している(1)から(12)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
(14)前記バンパーの最大径部が、前記シャフトの先端よりも先端側に離間した位置に形成されている(1)から(13)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
(15)前記バンパーの表面には、前記バンパーの径方向に窪んで、前記バンパーの軸線方向に沿って延在する凹部が形成されている(1)から(14)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
(16)前記バンパーは、最大径部を有する大径部と、該大径部よりも先端側に設けられた小径部と、を備え、
前記凹部は、前記大径部及び前記小径部のそれぞれにおいて複数形成されており、
前記大径部及び前記小径部それぞれにおける前記凹部は、前記バンパーの周回方向において対応する位置に形成されている(15)に記載の胃瘻カテーテル。
(17)前記バンパーは内層と外層とを備え、前記内層と前記外層との間に空間があり、該空間内に前記線状部材の一部が配設されている(1)から(16)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテル。
(18)前記バンパーは、最大径部を有する大径部と、該大径部よりも先端側に設けられた小径部と、を備え、
前記大径部においては、前記内層と前記外層とが離間しており、
前記小径部においては、前記内層と前記外層とが接触している(17)に記載の胃瘻カテーテル。
(19)前記シャフトは、他の部位よりも小径に形成された先端部を有し、
前記バンパーは、前記シャフトの前記先端部から延在している(1)又は(2)に記載の胃瘻カテーテル。
(20)前記固定部は、前記基端保持部を移動可能に支持する支持部と、該支持部に接続され前記支持部から前記基端保持部が離脱する方向上に設けられて前記基端保持部の移動及び前記支持部からの離脱を制限する制限部と、を備え、
前記基端保持部は、
前記制限部が前記支持部から切り離されることで、前記支持部から分離可能に構成されている(3)に記載の胃瘻カテーテル。
(21)前記基端保持部は、前記固定部の外方に向かうにつれて広がるように形成された逆テーパ部を有し、
前記支持部は、
前記逆テーパ部に沿って延在する対向部を有し、
前記制限部が前記支持部から切り離された後に、前記対向部が前記逆テーパ部に対して当接して、前記基端保持部を前記固定部の外方に押し込み可能なように、変形可能に構成されている(20)に記載の胃瘻カテーテル。
【符号の説明】
【0071】
1 胃瘻カテーテル
2 シャフト
3 バンパー
3a 連通孔
4 ワイヤ(線状部材)
4a 基端部
4b 先端部
4c コーティング部
4j、4k 屈曲点
4x 第1部位
4y 第2部位
5 体外固定具(固定部)
5a 遠位端
5b マーカー
5c 基端保持部
6 キャップ
7 ストラップ
8 メインルーメン(ルーメン)
8a 開口
9 サブルーメン(ルーメン)
9a 基端部
9b 先端開放部
10 カプセルカバー
11 挿入治具
11a 本体筒
11b 爪
11c 操作部
11d ピストン
11e 押出棒
13 バンパー
13a 連通孔
15 体外固定具(固定部)
15a 基端保持部
15b 係止突出部
15c 凹溝
22 シャフト
29 サブルーメン(ルーメン)
29b 先端開放部
32 シャフト
32a シャフト本体
32b 第1先端部(先端部)
32c 第2先端部(先端部)
32d サブルーメン
33 バンパー
33s 空間
34 内層
34a 接続筒部
34b 傾斜部
34c 凹部
34d 先端部
34e 凹部
35 外層
35a 接続筒部
35b 大径部
35c、35d 傾斜部
35e 最大径部
35f 凹部
35g 小径部
35h 凹部
45 体外固定具(固定部)
46 支持部
46a 対向部
46b 接続壁
46c 底壁
46d 開口
46e 通し孔
47 制限片(制限部)
48 基端保持部
48a 逆テーパ部
50 腹壁
51 胃壁
52 胃内
53 瘻孔
α、α1、α2 入射角