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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】運搬用台車の走行補助装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20220801BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
B62B3/00 G
B62B5/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018205950
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020069938
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-06-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 西部電機株式会社が、国際物流総合展2018 第13回にて、▲崎▼村悠登及び古賀直幸が発明した運搬用台車の走行補助装置を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼村 悠登
(72)【発明者】
【氏名】古賀 直幸
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07500448(US,B1)
【文献】特表2005-528300(JP,A)
【文献】特開2001-080519(JP,A)
【文献】特開2014-189073(JP,A)
【文献】特開2008-114623(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02392502(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/00
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力により走行自在に構成した走行補助機構部と、
走行補助機構部に下部を枢支し一体に構成した連結フレーム機構部と、
連結フレーム機構部に昇降自在に装着した係合フレーム機構部とよりなり
合フレーム機構部の前面部には、下部フック部と上部フック部をそれぞれ突設し
係合フレーム機構部は、連結フレーム機構部の前部に垂設したガイドロットに沿って昇降自在とし、
係合フレーム機構部と連結フレーム機構部との間には、手動による昇降力補助のためのマグネットとガススプリングとを介設したことを特徴とする運搬用台車の走行補助装置。
【請求項2】
係合フレーム機構部の左右側方にはハンドルを突設し、係合フレーム機構部の手動による昇降操作及び走行補助機構部による走行時の係合フレーム機構部の安定把持操作に使用することを特徴とする請求項1に記載の運搬用台車の走行補助装置。
【請求項3】
走行補助機構部の前面には、係合フレーム機構部の上部フック部に向かって前進付勢されたフレーム挟持体を突設し、上部フック部とフレーム挟持体との間に運搬用台車のかごフレームを係合挟持するように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運搬用台車の走行補助装置。
【請求項4】
係合フレーム機構部の前面部に突設した下部フック部と上部フック部とは係合フレーム機構部を運搬用台車のかごフレームに面当接した状態においては係合フレーム機構部は上昇して上下部フック部はかごフレームと係合していない状態に構成すると共に、係合フレーム機構部を降下操作することにより上下部フック部はかごフレームと係合するように構成したことを特徴とする請求項1~のいずれか1項にい記載の運搬用台車の走行補助装置。
【請求項5】
連結フレーム機構部の下端は走行補助機構部と下端部で枢支連結し、走行補助機構部は枢支連結部を中心に連結フレーム機構部の後方において一定角度で傾倒自在に構成し、運搬用台車への連結前の単独走行時には走行補助機構部を一定角度の傾倒姿勢として前方の動力輪と後方の補助キャスターとを接地状態とし走行安定性を向上するように構成すると共に、運搬用台車との連結走行補助時には走行補助機構部を係合フレーム機構部と共に垂直姿勢として前方の動力輪のみを接地状態とし運搬用台車に対する操行操作性を向上すべく構成したことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の運搬用台車の走行補助装置。
【請求項6】
連結フレーム機構部と走行補助機構部との間には連結フック機構を介在して走行補助機構部に設けた操作ハンドルで連結フック機構の着脱操作を可能にしたことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の運搬用台車の走行補助装置。
【請求項7】
走行補助機構部には操作盤面を設けると共に、操作盤面の前部には略U字状の操行ハンドルを突設し、かつ、操作盤面の上方と横側方と下方にわたって操作盤面を囲繞する状態で略方形状の軸体からなる走行操作ハンドルを設け、走行操作ハンドルの下方軸体は走行操作ハンドルの前後方向操作に伴い走行調整を可能に構成し、
しかも、操行ハンドルと走行操作ハンドルとは作業者の手掌で同時に把持して走行操作調整を可能にしたことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の運搬用台車の走行補助装置。
【請求項8】
走行補助機構部の車輪の側方には姿勢安定プレートを配設し、走行補助機構部を地面や床面上に垂直姿勢に載置した状態において姿勢安定プレートが動力輪の接地状態と相俟って走行補助機構部に対するスタビライーザー機能を果たすように構成したことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の運搬用台車の走行補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、運搬用台車の走行補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や大型店舗、物流センター等においては組み付け材料や商品等の搬送に運搬用台車が使用される。
【0003】
運搬用の台車は荷物置き板台の下方にキャスターを取付け、荷物置き板台の三方側縁には所定高さの略格子状のフレームを立設しており、従って作業者はフレームを把持しながら押し引きして台車を所定位置まで搬送し所定位置で積載荷物の積み下ろし作業を行う。
【0004】
しかし、最近の人手不足の状況ではこのような数百キログラムに及ぶ荷物を運搬用台車で搬送する作業は敬遠される傾向にあり、特に女性作業員に取っては重労働で危険な作業となり更に敬遠されて益々人手不足を助長する原因となっていた。
【0005】
かかる重労働の荷物搬送作業における作業現場において、作業改善のアイデアとして運搬用台車に連結し動力により運搬用台車走行の補助をすることができる走行補助装置が開発されてきた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-217746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この走行補助装置は、走行補助装置の前端部を運搬用台車の格子状フレームに係合して電動モーターで走行補助するように構成されている。
【0008】
しかし、かかる走行補助装置は安全性の面や操作性の面で多々課題を有しており、特に台車との連結、分離作業をワンタッチで簡単に行うことができず、他方、操作性は良好に構成されているものの安全性が充分に確保されておらず走行運搬作業中に思わぬ転倒事故を生起する危険があった。
【0009】
この発明では、動力を用いて駆動する走行補助装置の連結機構を改良して運搬用台車のフレーム形状や寸法の違いがあってもいかなる運搬用台車にも確実にワンタッチで連結することができると共に、走行路面や走行形態が変化しても連結機構が簡単に解除されないで安全走行性の確保を充分に行える運搬用台車の走行補助装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、動力により走行自在に構成した走行補助機構部と、走行補助機構部に下部を枢支し一体に構成した連結フレーム機構部と、連結フレーム機構部に昇降自在に装着した係合フレーム機構部とよりなり、係合フレーム機構部の前面部には、下部フック部と上部フック部をそれぞれ突設し、係合フレーム機構部は、連結フレーム機構部の前部に垂設したガイドロットに沿って昇降自在とし、係合フレーム機構部と連結フレーム機構部との間には、手動による昇降力補助のためのマグネットとガススプリングとを介設したことを特徴とする運搬用台車の走行補助装置を提供せんとするものである。
【0012】
また、係合フレーム機構部の左右側方にはハンドルを突設し、係合フレーム機構部の手動による昇降操作及び走行補助機構部による走行時の係合フレーム機構部の安定把持操作に使用することを特徴とする。
【0013】
また、走行補助機構部の前面には、係合フレーム機構部の上部フック部に向かって前進付勢されたフレーム挟持体を突設し、上部フック部とフレーム挟持体との間に運搬用台車のかごフレームを係合挟持するように構成したことを特徴とする。
【0014】
また、係合フレーム機構部の前面部に突設した下部フック部と上部フック部とは係合フレーム機構部を運搬用台車のかごフレームに面当接した状態においては係合フレーム機構部は上昇して上下部フック部はかごフレームと係合していない状態に構成すると共に、係合フレーム機構部を降下操作することにより上下部フック部はかごフレームと係合するように構成したことを特徴とする。
【0015】
また、連結フレーム機構部の下端は走行補助機構部と下端部で枢支連結して走行補助機構部は連結フレーム機構部の前部において一定角度で傾倒自在に構成し、運搬用台車の走行補助時には走行補助機構部を一定角度に傾倒して動力走行応力を係合フレーム機構部を介して運搬用台車の下部に集中させて円滑な走行を行うことができるように構成したことを特徴とする。
【0016】
また、連結フレーム機構部と走行補助機構部との間には連結フック機構を介在して走行補助機構部に設けた操作ハンドルで連結フック機構の着脱操作を可能にしたことを特徴とする。
【0017】
また、走行補助機構部には操作盤面を設けると共に、操作盤面の前部には略U字状の操行ハンドルを突設し、かつ、操作盤面の上方と横側方と下方にわたって操作盤面を囲繞する状態で略方形状の軸体からなる走行操作ハンドルを設け、走行操作ハンドルの下方軸体は走行操作ハンドルの前後方向操作に伴い走行調整を可能に構成し、しかも、操行ハンドルと走行操作ハンドルとは作業者の手掌で同時に把持して走行操作調整を可能にしたことを特徴とする。
【0018】
走行補助機構部の車輪の側方には姿勢安定プレートを配設し、該安定プレートは走行補助機構部を地面や床面に垂直に立設した状態でスタビライザー機能を果たすように構成しことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、動力により走行自在に構成した走行補助機構部と、走行補助機構部に下部を枢支し一体に構成した連結フレーム機構部と、連結フレーム機構部に昇降自在に装着した係合フレーム機構部とよりなり、しかも、係合フレーム機構部の前面部には下部フック部と上部フック部をそれぞれ突設したため、走行補助機構部から連結フレーム機構部を傾倒すると共に連結フレーム機構部から係合フレーム機構部を上下伸縮して、上下部フックをかごフレームに係合するように係合フレーム機構部の姿勢変位を自在に行うことができ、運搬用台車のフレーム形状や寸法の違いがあってもいかなる運搬用台車にも確実にワンタッチで連結することができると共に、走行路面や走行形態が変化しても連結機構が簡単に解除されないで安全走行性の確保を充分に行える効果がある。
【0020】
すなわち、走行補助機構部を基準に係合フレーム機構部や連結フレーム機構部を上下前後に姿勢変位自在に構成していることから、補助装置の台車への連結作業の際に、重量物である走行補助機構部ごと持ち上げることなく、係合フレーム機構部のみを運搬用台車のかごフレームに簡単に係合でき、走行補助機構部を不用意に転倒させて作業者を負傷させたり走行補助装置自体を損傷させたりする事故を未然に防止できる効果がある。
【0021】
また、請求項の発明によれば、係合フレーム機構部は連結フレーム機構部の前部に垂設したガイドロットに沿って昇降自在とし、係合フレーム機構部と連結フレーム機構部との間には手動による昇降力補助のためのマグネットとガススプリングとを介設したため、マグネットにより係合フレーム機構部を運搬用台車のフレームと連結するために連結フレーム機構部に沿い一旦持ち上げ固定する際の吸着固定機能を果たし、ガススプリングにより係合フレーム機構部を運搬用台車のフレームと連結するために手動で一旦持ち上げる係合フレーム機構部の持ち上げ操作を可及的に軽く行えるような上昇付勢力を付与することができる効果がある。
【0022】
請求項の発明によれば、係合フレーム機構部の左右側方にはハンドルを突設したため、作業者が同ハンドルを把持して係合フレーム機構部の手動による昇降操作及び走行補助機構部による走行時の係合フレーム機構部の安定把持操作を行うことができ、簡単且つ安全に運搬用台車への連結作業を行うことができる効果がある。
【0023】
請求項の発明によれば、走行補助機構部の前面には、掛合フレーム機構部の上部フック部に向かって前進付勢されたフレーム挟持体を突設し、上部フック部とフレーム挟持体との間に運搬用台車のかごフレームを係合挟持するように構成したため、走行補助作動時において運搬用台車の走行路面や走行形態が変化してもかごフレームから連結機構が不用意に解除されず、安全走行性の確保を充分に行える効果がある。
【0024】
請求項の発明によれば、係合フレーム機構部の前面部に突設した下部フック部と上部フック部とは係合フレーム機構部を運搬用台車のかごフレームに面当接した状態においては係合フレーム機構部は上昇して上下部フック部はかごフレームと係合していない状態に構成すると共に、係合フレーム機構部を降下操作することにより上下部フック部はかごフレームと係合するように構成したため、運搬用台車への走行補助装置の連結、分離作業をワンタッチで簡単に行うことができる効果がある。
【0025】
請求項の発明によれば、連結フレーム機構部の下端は走行補助機構部と下端部で枢支連結し、走行補助機構部は枢支連結部を中心に連結フレーム機構部の後方において一定角度で傾倒自在に構成し、運搬用台車への連結前の単独走行時には走行補助機構部を一定角度の傾倒姿勢として前方の動力輪と後方の補助キャスターとを接地状態とするように構成すると共に、運搬用台車との連結走行補助時には走行補助機構部を係合フレーム機構部と共に垂直姿勢として前方の動力輪のみを接地状態とするように構成したため、単独走行時においては補助キャスターと動力輪とを支点に装置の重心を安定させて走行補助装置の走行安定性を向上することができ、また、連結走行補助時においては運搬用台車と動力輪とを支点に装置の重心を安定させて走行方向の転換などの操行操作性を向上することができる効果がある。
【0026】
請求項の発明によれば、連結フレーム機構部と走行補助機構部との間には連結フック機構を介在して走行補助機構部に設けた操作ハンドルで連結フック機構の着脱操作を可能にしたため、走行補助機構部と連結フレーム機構部とを連結フック機構を介して係合連結して、走行補助機構部と係合フレーム機構部における単独走行時の傾倒姿勢や連結走行補助時の垂直姿勢を安定させて走行安定性や操行操作性をより向上することができ、また、操作ハンドルを操作することにより走行補助機構部と連結フレーム機構部との係合連結状態を容易に解除して装置と台車との連結作業時や分離作業時の作業効率性を向上することができる効果がある。
【0027】
請求項の発明によれば、走行補助機構部には操作盤面を設けると共に、操作盤面の前部には略U字状の操行ハンドルを突設し、かつ、操作盤面の上方と横側方と下方にわたって操作盤面を囲繞する状態で略方形状の軸体からなる走行操作ハンドルを設け、走行操作ハンドルの下方軸体は走行操作ハンドルの前後方向操作に伴い走行調整を可能に構成し、しかも、操行ハンドルと走行操作ハンドルとは作業者の手掌で同時に把持して走行操作調整を可能にしたため、単独走行時においては操行ハンドルを支点に、連結補助走行時においては連結した運搬用台車を支点に走行操作ハンドルを前後方向操作することができ、装置操作性を向上することができる。
【0028】
請求項の発明によれば、走行補助機構部の車輪の側方には姿勢安定プレートを配設し、走行補助機構部を地面や床面上に垂直姿勢に載置した状態において姿勢安定プレートが動力輪の接地状態と相俟って走行補助機構部に対するスタビライーザー機能を果たすように構成したため、走行路面の変化や走行方向の転換時の不用意な転倒事故を未然に防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る走行補助装置の傾斜姿勢の走行補助機構部から連結フレーム機構部及び係合フレーム機構部を起立姿勢とした状態を示す外観斜視図である。
図2】本発明に係る走行補助装置の傾斜姿勢の走行補助機構部と共に連結フレーム機構部及び係合フレーム機構部を傾斜姿勢とした状態を示す外観斜視図である。
図3】本発明に係る走行補助装置を3つの機構部ごとに分けた分解斜視図である。
図4】本発明に係る走行補助装置の構成を示す正面図である。
図5】本発明に係る走行補助装置の構成を示す右側面図である。
図6】本発明に係る走行補助装置の構成を示す左側面図である。
図7】本発明に係る走行補助装置の構成を示す背面図である。
図8】本発明に係る走行補助装置の構成を示す平面図である。
図9】本発明に係る走行補助機構部の内部構造を示す後方側斜視図である。
図10】本発明に係る走行補助装置の単独走行状態を示す外観斜視図である。
図11】本発明に係る走行補助装置の単独走行状態を示す側面図である。
図12】本発明に係る走行補助装置と運搬用台車との連結係合手順を示す模式的側面図である。
図13】本発明に係る走行補助装置と運搬用台車との連結係合手順を示す模式的側面図である。
図14】本発明に係る走行補助装置と運搬用台車との連結係合手順を示す模式的側面図である。
図15】本発明に係る走行補助装置と運搬用台車との連結状態を示す模式的外観斜視図である。
図16】本発明に係る走行補助装置と運搬用台車との連結状態を示す模式的部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の要旨は、動力により走行自在に構成した走行補助機構部と、走行補助機構部に下部を枢支し一体に構成した連結フレーム機構部と、連結フレーム機構部に昇降自在に装着した係合フレーム機構部とよりなり、しかも、係合フレーム機構部の前面部には下部フック部と上部フック部をそれぞれ突設したことを特徴とする運搬用台車の走行補助装置に関する。
【0031】
また、係合フレーム機構部は連結フレーム機構部の前部に垂設したガイドロットに沿って昇降自在とし、係合フレーム機構部と連結フレーム機構部との間には手動による昇降力補助のためのマグネットとガススプリングとを介設したことに特徴を有する。
【0032】
また、係合フレーム機構部の左右側方にはハンドルを突設し、係合フレーム機構部の手動による昇降操作及び走行補助機構部による走行時の係合フレーム機構部の安定把持操作に使用することに特徴を有する。
【0033】
また、走行補助機構部の前面には、係合フレーム機構部の上部フック部に向かって前進付勢されたフレーム挟持体を突設し、上部フック部とフレーム挟持体との間に運搬用台車のかごフレームを係合挟持するように構成したことに特徴を有する。
【0034】
また、係合フレーム機構部の前面部に突設した下部フック部と上部フック部とは係合フレーム機構部を運搬用台車のかごフレームに面当接した状態においては係合フレーム機構部は上昇して上下部フック部はかごフレームと係合していない状態に構成すると共に、係合フレーム機構部を降下操作することにより上下部フック部はかごフレームと係合するように構成したことに特徴を有する。
【0035】
また、連結フレーム機構部の下端は走行補助機構部と下端部で枢支連結し、走行補助機構部は枢支連結部を中心に連結フレーム機構部の後方において一定角度で傾倒自在に構成し、運搬用台車への連結前の単独走行時には走行補助機構部を一定角度の傾倒姿勢として前方の動力輪と後方の補助キャスターとを接地状態とし走行安定性を向上するように構成すると共に、運搬用台車との連結走行補助時には走行補助機構部を係合フレーム機構部と共に垂直姿勢として前方の動力輪のみを接地状態とし運搬用台車に対する操行操作性を向上すべく構成したことを特徴とする。
【0036】
また、連結フレーム機構部と走行補助機構部との間には連結フック機構を介在して走行補助機構部に設けた操作ハンドルで連結フック機構の着脱操作を可能にしたことに特徴を有する。
【0037】
また、走行補助機構部には操作盤面を設けると共に、操作盤面の前部には略U字状の操行ハンドルを突設し、かつ、操作盤面の上方と横側方と下方にわたって操作盤面を囲繞する状態で略方形状の軸体からなる走行操作ハンドルを設け、走行操作ハンドルの下方軸体は走行操作ハンドルの前後方向操作に伴い走行調整を可能に構成し、しかも、操行ハンドルと走行操作ハンドルとは作業者の手掌で同時に把持して走行操作調整を可能にしたことに特徴を有する。
【0038】
また、走行補助機構部の車輪の側方には姿勢安定プレートを配設し、走行補助機構部を地面や床面上に垂直姿勢に載置した状態において姿勢安定プレートが動力輪の接地状態と相俟って走行補助機構部に対するスタビライーザー機能を果たすように構成したことに特徴を有する。
【0039】
以下、この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は走行補助装置の傾斜姿勢の走行補助機構部から連結フレーム機構部と係合フレーム機構部とを起立姿勢とした状態を示す外観斜視図、図2は走行補助装置の傾斜姿勢の走行補助機構部と共に連結フレーム機構部と係合フレーム機構部とを傾斜姿勢とした状態を示す外観斜視図、図3は走行補助装置を3つの機構部に分けた分解斜視図、図4は走行補助装置の構成を示す正面図、図5及び図6は走行補助装置の構成を示す左右側面図、図7は走行補助装置の構成を示す背面図、図8は走行補助装置の構成を示す平面図、図9は走行補助装置の走行補助機構部の内部構造を示す後方側斜視図、図10及び図11は走行補助装置の単独走行状態を示す外観斜視図及び側面図、図12乃至図14は走行補助装置の係合フレーム機構部と運搬用台車のかごフレームとの連結係合手順を示す模式的側面図、図15及び図16は走行補助装置と運搬用台車との連結状態を示す模式的外観斜視図及び部分拡大図である。
【0040】
本発明の運搬用台車の走行補助装置Aは、図1図3に示すように、概括的には動力により走行自在に構成した走行補助機構部10と、走行補助機構部10に下部を枢支し一体に構成した連結フレーム機構部20と、連結フレーム機構部20に昇降自在に装着した係合フレーム機構部30との三機構部より構成されている。
【0041】
そして、係合フレーム機構部30の前面部には、図1図6に示すように下部フック部31と上部フック部32をそれぞれ突設し、かかる上下部フック部31、32により図14乃至図16に示すように運搬用台車Tの後部と連結して後方から動力により走行補助する。
【0042】
以下、本発明に係る走行補助装置Aを構成する三機構部である走行補助機構部10、連結フレーム機構部20、及び係合フレーム機構部30についてそれぞれの構造と作用を説明し、次いで上下部フック部31、32を介して行う運搬用台車Tへの走行補助作動に言及する。
【0043】
〔1.走行補助機構部〕
走行補助機構部10は、図1乃至図3、及び図9に示すように、略方形状の走行ケース11の内部に電動モーター12とバッテリー13を収納すると共に、電動モーター12の出力軸は減速機などの連動機構を介して走行ケース11下方に設けた動力輪14、14’と連動連結している。
【0044】
左右の動力輪14、14’は、図4及び図7に示すように互いの間隔幅を走行ケース11の横幅よりも狭くなるように走行ケース11下部の電動モーター12に連動連設している。
【0045】
走行ケース11の上面には、図8及び図9に示すように操作盤面15を形成し、各種の操作ボタンやインジケータ等の走行操作に必要な操作機器15aを配設している。
【0046】
また、操作盤面15の前部の走行ケース11には、図1乃至図3図4及び図7に示すように略逆U字状の操行ハンドル16を突設し、かつ、操作盤面15の上方と横側方と下方にわたって操作盤面15を囲繞する状態で略方形状の軸体からなる走行操作ハンドル17を設けている。
【0047】
走行操作ハンドル17の下方軸体17aは、走行操作ハンドル17の前後方向への変位操作に伴い走行速度の調整を可能に構成している。
【0048】
具体的には、下方軸体17aは、図9に示すように長手方向の中央部で制御部17bに連動枢支している。制御部17bは、ケース11内の中央部に配設しており、操作盤面15に設けた操作機器15aと、動力輪14、14’を駆動させる電動モーター12と、電動モーター12や15aに給電するバッテリー13と連結している。
【0049】
このような構成により、走行操作ハンドル17の前後方向の変位を下方軸体17aの回転方向と回転距離として検知した制御部17bが、同走行操作ハンドル17の前後方向の変位に応じた信号を電動モーター12やバッテリー13へ送信し、同信号を受信した電動モーター12やバッテリー13が動力輪14、14’の走行速度や駆動/停止を可能としている。なお、本実施例の制御部17bとしての検知機構はロードセルを採用している。
【0050】
また、操行ハンドル16と走行操作ハンドル17との間隔は、図10及び図11に示すように作業者の手掌Hで同時に把持可能な間隔として走行操作ハンドル17の前後方向への変位操作を容易とすると共に、走行速度の操作調整を可能にしている。
【0051】
また、走行補助機構部10の走行ケース11の両側板下縁部には、図5及び図6に示すように動力輪14の左右側方を被覆するように略方形状の姿勢安定プレート18を垂設し、該プレート18の後端上縁部は後方に伸延して先端に補助キャスター19を垂設している。
【0052】
左右の補助キャスター19、19’は、図4及び図7に示すように互いの間隔を走行ケース11の横幅よりも広くなるように、動力輪14、14’を介して床面に対し走行補助機構部10を垂直起立姿勢とした際に、床面Sから離反するように姿勢安定プレート18に設けている。
【0053】
すなわち、補助キャスター19、19’は、図10及び図11に示すように動力輪14、14’とともに重量物である走行補助機構部10の重心が最も安定した位置で床面Sに接地して走行補助装置Aを後方傾斜姿勢にし、走行補助装置Aの単独走行時の傾倒姿勢を安定するように設けている。
【0054】
姿勢安定プレート18の下縁部は、走行補助機構部10を垂直姿勢とした場合に下縁部が水平となって地面や床面上に可及的に近接した状態となるように構成されており、走行補助機構部10を垂直姿勢とした状態、すなわち、運搬用台車Tに連結して補助走行状態において姿勢安定プレート18が略接地状態となって走行補助機構部10に対するスタビライーザー機能を果たすように構成している。
【0055】
〔2.連結フレーム機構部〕
連結フレーム機構部20は、走行補助機構部10の下部に枢支し一体連結状態に構成されている。
【0056】
すなわち、連結フレーム機構部20は、図5及び図6に示すように下端に設けた側断面略L字状の基部フレーム21と、基部フレーム21の左右に立設した左右ガイドロット22、22’と、左右ガイドロット22、22’の上端部に架設し上部に係合ロッド41を横架した側断面略L字状の上部フレーム23とより構成している。
【0057】
しかも、図5及び図6に示すように基部フレーム21の略L字状の立上部21aと走行補助機構部10のケース11前面下端部に張設された連結板10aとは枢支機構24aとしてのヒンジを介して回転自在に連結して枢支連結部24を構成しており、かかる枢支機構24aによって運搬用台車Tへの連結前の単独走行時に走行補助機構部10を一定角度の傾倒姿勢とすることができる。
【0058】
なお、走行補助機構部10の前面下端の連結板10a上方位置には、下方開放略L字状の規制部10bが基部フレーム21の立上部21aの前方位置でL字状の垂下部分を位置付けて突設している。
【0059】
このような構成により枢支機構24aを介して走行補助機構部10から連結フレーム機構部20及び係合フレーム機構部30を傾動した場合に、傾動してきた基部フレーム21の立上部21aの前面の一部が規制部10bのL字状の垂下部分の裏面に突き当り係合して走行補助機構部10からの連結フレーム機構部20及び係合フレーム機構部30の一定角度の傾倒姿勢を維持することができる。
【0060】
このように連結フレーム機構部20の下端は走行補助機構部10と下端部で枢支連結し、図1に示すように走行補助機構部10は枢支連結部24を中心に連結フレーム機構部20の後方において一定角度で傾倒自在となり、図10及び図11に示すように運搬用台車Tへの連結前の単独走行時には走行補助機構部10を一定角度の傾倒姿勢として前方の動力輪14と後方の補助キャスター19とを接地状態とし走行安定性を向上するように構成すると共に、運搬用台車Tとの連結走行補助時には走行補助機構部10を係合フレーム機構部30と共に垂直姿勢として前方の動力輪14のみを接地状態とし運搬用台車Tに対する操行操作性を向上すべく構成している。
【0061】
また、図4乃至図6に示すように連結フレーム機構部20の上部フレーム23の後部には係合ロッド41を架設し、走行補助機構部10のケース11前面には係合ロッド41に対応する位置に連結フック機構40を突設し、走行補助機構部10と連結フレーム機構部20とは連結フック機構40を介して係合連結するように構成している。なお、本実施例の連結フック機構40は、ラチェット機構を採用している。
【0062】
しかも、連結フック機構40は、図1乃至図4に示すように走行補助機構部10の操作盤面15に設けた操作ハンドル42で連結フック機構40と係合ロッド41との係合離脱操作を可能にしている。
【0063】
具体的には、操作ハンドル42と連結フック機構40とは、ケース11内でバネにより上方付勢された連結ロッドを介して連結しており、操作ハンドル42を下方押圧操作することにより連結ロッドを介して連結フック機構40と係合ロッド41との離脱を行うと共に、バネ付勢により連結ロッドが上方復帰することにより連結フック機構40と係合ロッド41との係合を行うように構成している。
【0064】
〔3.係合フレーム機構部〕
係合フレーム機構部30は、連結フレーム機構部20に昇降自在に装着しており、図3及び図4に示すように走行補助機構部10のケース11の幅員と略同一間隔で配設した左右フレーム33、33’とその間に架設した3本の上中下架設フレーム34、35、36と上架設フレーム34上端に形成した略三角状の当接フレーム37から構成されている。
【0065】
また、左右フレーム33、33’の下端位置には、図1乃至図4に示すように運搬用台車Tのかごフレームとしての横フレームFと係合するための左右下部フック部31、31’を突設している。
【0066】
係合フレーム機構部30の前面部に突設した下部フック部31と上部フック部32は、図12に示すように係合フレーム機構部30を運搬用台車TのかごフレームFに当接する場合は係合フレーム機構部30を上昇して上下部フック部31、32はかごフレームFと係合していない状態に構成すると共に、図13乃至図16に示すように係合フレーム機構部30を降下操作すると上下部フック部31、32はかごフレームFと係合するように構成している。
【0067】
左右フレーム33、33’の下半部位置には、図1乃至図6に示すように連結フレーム機構部20に設けた左右ガイドロット22、22’に遊嵌するガイドブッシュ38、38’を設けており、係合フレーム機構部30は左右ガイドロット22、22’に遊嵌したガイドブッシュ38、38’を介して左右ガイドロット22、22’に沿って昇降ガイドされる。
【0068】
具体的には、ガイドブッシュ38、38’は、中架設フレーム35及び下架設フレーム36の両端近傍の左右フレーム33、33’内側の左右上下で、連結フレーム機構部20の左右ガイドロット22、22’に遊嵌状態で4つ設けている。
【0069】
また、中架設フレーム35には、図1及び図3に示すように後方に向けてブラケット板35aを突設しており、ブラケット板35aの上面には連結フレーム機構部20の上部フレーム23の吸磁性の下面に対応する位置にマグネット50を2つ設けている。
【0070】
このマグネット50は係合フレーム機構部30を運搬用台車TのフレームFと連結するために連結フレーム機構部20に沿い一旦持ち上げ固定する際の吸着固定機能を果たす。
【0071】
また、図1図2図5、及び図6に示すように連結フレーム機構部20の上部フレーム23上面と係合フレーム機構部30の上架設フレーム34後縁に突設したブラケット板34aとの間には、ガススプリング51を介設している。
【0072】
かかるガススプリング51の機能により、係合フレーム機構部30を運搬用台車TのフレームFと連結するために手動で一旦持ち上げる係合フレーム機構部30の持ち上げ操作を可及的に軽く行えるような上昇付勢力を付与することができる。
【0073】
また、図1乃至図4に示すように係合フレーム機構部30の上端に形成した略三角状の当接フレーム37は、左右の三角傾斜フレーム37a、37a’とその上端に一定間隔を保持して立ち上げた左右調整フレーム37b、37b’から形成されており、図5及び図6に示すように左右調整フレーム37b、37b’には多数の横溝37cを上下段に穿設しており、この横溝37cに当接ブラケット32aを上下位置調整自在に係合可能にして下方開放L字状の上部フック部32を構成している。
【0074】
しかも、当接ブラケット32aは当接面を下方に垂設して走行補助機構部10の前面に突設したフレーム挟持体60と相対する位置に配設しており、運搬用台車Tと連結する際に運搬用台車Tの後部フレームFを当接ブラケット32aとフレーム挟持体60との間に挟持固定するものである。
【0075】
フレーム挟持体60は、図1図8図14乃至図16に示すように走行補助機構部10のケース前面に高さ位置調節用のブラケット61を介して取付けられ、先端に当接板62を設けた進退ロッド63とその周囲に装着したコイルスプリング64とよりなり、コイルスプリング64は常に進退ロッド63を前進方向に付勢して運搬用台車Tと連結する際に当接板62と当接ブラケット32aとの間で運搬用台車Tの後部フレームFを挟持固定するものである。
【0076】
なお、フレーム挟持体60は、かごフレームFと係合フレーム機構部30の上部フック部32の当接ブラケット32aの上下位置に対応する高さとなるように高さ位置調節ブラケット61により走行補助機構部10のケース11前面の上部に取り付けられる。
【0077】
また、係合フレーム機構部30の左右側方上部には左右ハンドル39、39’を外側方に突設し、係合フレーム機構部30の手動による昇降操作及び走行補助機構部10による走行時の係合フレーム機構部30の安定把持操作に使用する。
【0078】
〔4.運搬用台車の走行補助作動〕
上述のように構成した走行補助装置Aは、以下のようにして上下部フック部31、32を介して運搬用台車Tの走行補助作動を行う。
【0079】
走行補助装置Aは、図2図10及び図11に示すように運搬用台車Tへの連結前には、走行補助機構部10は連結フレーム機構部20、及び係合フレーム機構部30と共に一定角度の後方への傾倒姿勢とし、前方の動力輪14と後方の補助キャスター19とは床面Sに接地状態にして安定した走行操作のしやすい状態の単独走行可能な姿勢とする。
【0080】
かかる安定走行可能状態の走行補助装置Aを連結対象の運搬用台車TのかごフレームFの後側方近傍に位置づけて、図12に示すように傾倒姿勢の走行補助機構部10から連結フレーム機構部20及び係合フレーム機構部30を枢支連結部24を介して垂直姿勢とする。
【0081】
具体的には、走行補助機構部10の操作盤面15の操作ハンドル42を押し下げ操作して走行補助機構部10と係合フレーム機構部30との間に介在している連結フック機構40の解除を行い、係合フレーム機構部30を連結フレーム機構部20と共に下端の枢支連結部24を介して傾倒姿勢の走行補助機構部10から垂直姿勢とするように立ち起こす。このようにして係合フレーム機構部30の前面と運搬用台車TのかごフレームF後面とを面対向した状態とする。
【0082】
このように連結フレーム機構部20と係合フレーム機構部30との垂直姿勢状態を保持したまま、図12に示すように傾斜姿勢の走行補助装置Aを前進させて係合フレーム機構部30を運搬用台車TのかごフレームFに面当接させる。
【0083】
かかる係合フレーム機構部30とかごフレームFとの面当接状態においては、図1に示すように係合フレーム機構部30は連結フレーム機構部20のブラケット板35aに設けたマグネット50に吸着固定されて上昇位置にあり、従って係合フレーム機構部30の上下部フック部31、32はかごフレームFに係合していない状態にある。
【0084】
次いで、係合フレーム機構部30の左右側方に設けたハンドル39、39’により係合フレーム機構部30を連結フレーム機構部20の前部に垂設したガイドロットに沿って降下操作すると、図13に示すように係合フレーム機構部30の前面部に突設した上下部フック部31、32がかごフレームF、すなわち荷物置き板台の三方側縁に立設した略格子状フレームにおいて所定間隔を隔てて複数立設した縦フレームを上下で複数横架した横フレーム部のフレーム上方から降りてきてかごフレームFと係合する。
【0085】
次いで、運搬用台車TのかごフレームFに係合した垂直姿勢の係合フレーム機構部30に対して、図14に示すように傾倒姿勢の走行補助機構部10を枢支連結部24を中心に立ち上げ、従って走行補助機構部10は前面が係合フレーム機構部30の後面に当接した垂直姿勢となる。
【0086】
このように、走行補助機構部10が係合フレーム機構部30に連結フック機構を介して係合固定される際に、図15及び図16に示すように走行補助機構部10の前面に突設したフレーム挟持体60は係合フレーム機構部30の上部フック部32(当接ブラケット32a)との間で運搬用台車の後部フレームFを挟持固定する。
【0087】
かかる走行補助機構部10の垂直姿勢状態では、図14に示すように走行補助装置Aは、後方の補助キャスター19が床面とが離反して非接地状態となり、従って、前方の動力輪14のみを接地状態として連結走行補助時における運搬用台車に対する操行操作性を向上している。
【0088】
このようにして走行補助装置Aと運搬用台車Tとの連結作業を完了する。
【0089】
そして、作業者は、走行補助装置Aと連結した運搬用台車Tに対して走行補助機構部10の走行操作ハンドル17を把持して操作盤面15の操作を行い動力輪14の前後進駆動を行うことにより走行補助装置Aを進退操作し、運搬用台車Tを所望とする搬送位置まで走行補助する。
【0090】
ここで、このような連結走行補助時において、走行路面や走行形態の変化に伴い係合フレーム機構部30の上下部フック部31、32とかごフレームFとの係合位置が進行方向について前後左右上下方向にズレて走行補助装置Aと運搬用台車Tとの係合連結状態が不用意に解除される可能性があるため、図1乃至図4図15及び図16で示したフレーム挟持体60やガススプリング51等の部材を介して連結部分の各種衝撃を緩和する衝撃緩衝手段が援用されている。
【0091】
すなわち、運搬用台車Tの後部フレームFを係合フレーム機構部30の上部フック部32との間で挟持する走行補助機構部10前面のフレーム挟持体60や、連結フレーム機構部20と係合フレーム機構部30との間に介設したガススプリング51等が連結部において前後左右上下方向に応じたショックアブソーバー機能を果たして、走行補助装置Aと運搬用台車Tとの係合部分における偏奇荷重を逃がし、連結機能を確実に維持することを可能としている。
【0092】
具体的には、運搬用台車Tと走行補助装置Aとの係合連結状態において、走行補助機構部10前面のフレーム挟持体60が前後方向へのズレに対し、連結フレーム機構部20と係合フレーム機構部30との間のガススプリング51が上下方向へのズレに対し、また、フレーム挟持体60とガススプリング51とが左右方向へのズレに対し、それぞれ運搬用台車Tに走行補助装置Aを追従させるように走行補助機構部10や係合フレーム機構部30を正規の姿勢に変位させる。
【0093】
このように走行補助装置Aは走行路面や走行形態が変化してもガススプリング51やフレーム挟持体60といった衝撃緩衝手段を介して運搬用台車Tとの連結機構の連結が簡単に緩和したり解除したりされないで安全した補助走行性の確保を充分に行える。
【0094】
そして、所定の運搬が終了して運搬用台車Tと走行補助装置Aとの連結状態を解除する両者の分離作業をするにあたっては、上述の連結作業手順を逆に行う。
【0095】
すなわち、操作盤面15の操作ハンドル42にて走行補助機構部10と係合フレーム機構部30との連結フック機構40の解除を行い、係合フレーム機構部30に対して走行補助機構部10を後方側に傾動して傾倒姿勢とすると共に、上部フック部32とフレーム挟持体60との挟持固定を解除して運搬用台車TのかごフレームFとの連結を解除する。
【0096】
次いで、ハンドル39を介して係合フレーム機構部30を連結フレーム機構部20のガイドロッド22、22’に沿って上昇操作し、かごフレームFと係合フレーム機構部30の上下部フック部31、32との係合を解除する。なお、かかる係合解除をする際にはガススプリング51やマグネット50の上昇付勢機能を利用して可及的に少ない上昇操作力により上昇操作を補助することができる。
【0097】
以上、説明してきたように、本発明によれば、走行補助機構部を基準に係合フレーム機構部や連結フレーム機構部を上下前後に姿勢変位自在に構成していることから、補助装置の台車への連結作業の際に、重量物である走行補助機構部ごと持ち上げることなく、係合フレーム機構部のみを運搬用台車のかごフレームに簡単に係合でき、走行補助機構部を不用意に転倒させて作業者を負傷させたり走行補助装置自体を損傷させたりする事故を未然に防止できる効果がある。
【0098】
すなわち、走行補助機構部から連結フレーム機構部を傾倒すると共に連結フレーム機構部から係合フレーム機構部を上下伸縮して、上下部フックをかごフレームに係合するように係合フレーム機構部の姿勢変位を自在に行うことができ、運搬用台車のフレーム形状や寸法の違いがあってもいかなる運搬用台車にも確実にワンタッチで連結することができると共に、走行路面や走行形態が変化しても連結機構が簡単に解除されないで安全走行性の確保を充分に行える効果がある。
【符号の説明】
【0099】
A 走行補助装置
T 運搬用台車
F かごフレーム
10 走行補助機構部
10a 連結板
11 走行ケース
12 電動モーター
13 バッテリー
14 動力輪
15 操作盤面
15a 操作機器
16 操行ハンドル
17 走行操作ハンドル
17a 下方軸体
18 姿勢安定プレート
19 補助キャスター
20 連結フレーム機構部
21 基部フレーム
22、22’ 左右ガイドロット
23 上部フレーム
24 枢支連結部
24a 枢支機構
30 係合フレーム機構部
31 下部フック部
32 上部フック部
32a 当接ブラケット
33、33’ 左右フレーム
34 上架設フレーム
35 中架設フレーム
36 下架設フレーム
37 当接フレーム
37a、37a’ 三角傾斜フレーム
37b、37b’ 左右調整フレーム
37c 横溝
38 ガイドブッシュ
39 ハンドル
40 連結フック機構
41 係合ロッド
42 操作ハンドル
50 マグネット
51 ガススプリング
60 フレーム挟持体
61 ブラケット
62 当接板
63 進退ロッド
64 コイルスプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16