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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/86 20130101AFI20220801BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20220801BHJP
【FI】
A61F2/86
A61F2/95
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018554240
(86)(22)【出願日】2017-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2017043042
(87)【国際公開番号】W WO2018101400
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2019-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】P 2016233546
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】西原 愛美
(72)【発明者】
【氏名】井手 純一
(72)【発明者】
【氏名】中尾 典彦
【合議体】
【審判長】千壽 哲郎
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-253681(JP,A)
【文献】特開平11-76420(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035757(WO,A1)
【文献】国際公開第00/13737(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82 - 2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管路の狭窄部に留置されるステントであって、
形状記憶合金製の形状記憶線材により形状回復性を有する円筒状に形成され、形状記憶効果により形状回復した状態の外径である形状回復外径よりも小さい外径の縮径状態及び該形状回復外径よりも大きい外径の拡径状態に変形可能なステント本体部と、
前記ステント本体部を軸方向に縮めることにより前記拡径状態に変形させると共に、該ステント本体部を所定の外径で拡径した状態に維持する拡径機構と、を備え、
前記ステント本体部は、前記縮径状態において前記狭窄部の管径よりも小さい外径に変形可能であり、
前記所定の外径は、前記狭窄部の管径以上の大きさであり、
前記形状回復外径は、前記狭窄部の管径よりも小さいステント。
【請求項2】
前記形状回復外径は、前記狭窄部の管径の80%以上90%以下の大きさを有する請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記ステント本体部は、前記形状記憶線材により編み組みされて形成される請求項1又は2に記載のステント。
【請求項4】
前記ステント本体部は、前記形状記憶線材によりコイル状に巻かれて形成され、前記形状回復した状態において隣り合う前記形状記憶線材が所定の間隔に保たれる請求項1~3のいずれかに記載のステント。
【請求項5】
生体管路の狭窄部に留置されるステントであって、
線材により形状回復性を有する円筒状に形成され、形状回復した状態の外径である形状回復外径よりも小さい外径の縮径状態及び該形状回復外径よりも大きい外径の拡径状態に変形可能なステント本体部と、
前記ステント本体部を軸方向に縮めることにより前記拡径状態に変形させると共に、該ステント本体部を所定の外径で拡径した状態に維持する拡径機構と、を備え、
前記ステント本体部は、前記縮径状態において前記狭窄部の管径よりも小さい外径に変形可能であり、
前記所定の外径は、前記狭窄部の管径以上の大きさであり、
前記拡径機構は、
前記ステント本体部の先端部に取り付けられるリング部材と、
前記ステント本体部の基端部に配置され、前記ステント本体部の基端側に突出して前記リング部材を係止可能な係止部と、
前記リング部材に挿通され、一端部が前記係止部に接続され、他端部が前記ステント本体部の基端側に延びる紐状部材と、を備え、
前記ステント本体部が拡径していない状態において、前記紐状部材の前記他端部が前記ステント本体部の基端側に引っ張られることにより、前記リング部材と前記係止部とが近接する方向に移動すると共に該リング部材と該係止部とが係合して前記ステント本体部を拡径した状態に維持するステント。
【請求項6】
生体管路の狭窄部に留置されるステントであって、
線材により形状回復性を有する円筒状に形成され、形状回復した状態の外径である形状回復外径よりも小さい外径の縮径状態及び該形状回復外径よりも大きい外径の拡径状態に変形可能なステント本体部と、
前記ステント本体部を軸方向に縮めることにより前記拡径状態に変形させると共に、該ステント本体部を所定の外径で拡径した状態に維持する拡径機構と、を備え、
前記ステント本体部は、前記縮径状態において前記狭窄部の管径よりも小さい外径に変形可能であり、
前記所定の外径は、前記狭窄部の管径以上の大きさであり、
前記拡径機構は、
前記ステント本体部の先端部に取り付けられるリング部材と、
前記ステント本体部の基端部に設けられ、前記ステント本体部の基端側に突出して前記リング部材を係止可能な係止部と、
前記リング部材に挿通され、一端部が前記係止部に前記ステント本体部の基端側の方向に取り外し可能に接続され、他端部が前記ステント本体部の基端側に延びる紐状部材と、を備え、
前記ステント本体部が縮径した状態において、前記紐状部材の前記他端部が前記ステント本体部の基端側に引っ張られることにより、前記リング部材と前記係止部とが近接する方向に移動すると共に該リング部材と前記係止部とが係合して前記ステント本体部が拡径した状態に維持された後、
前記紐状部材の前記他端部が前記ステント本体部の基端側にさらに引っ張られることにより、前記紐状部材の前記一端部が前記係止部から取り外されるステント。
【請求項7】
前記リング部材は、前記ステント本体部の内部に配置される請求項5又は6に記載のステント。
【請求項8】
前記係止部はチューブ状に形成され、前記ステント本体部の基端側の端部に着脱可能に取り付けられており、前記ステント本体部の基端側に向かって引かれることにより前記ステント本体部から取り外し可能である請求項5~7のいずれかに記載のステント。
【請求項9】
前記拡径機構は、前記ステント本体部の周方向に等間隔で複数配置される請求項1~8のいずれかに記載のステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管路の狭窄性疾患の治療に用いられるステントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管や消化管等の生体管路の狭窄性疾患(腫瘍や炎症等)において、狭窄部にステントを留置して狭窄部を拡張する治療が行われている。一時的な留置を目的とした治療では、一定期間のステント留置後、生体管路内からステントの抜去が行われる。また、永久留置を目的とする治療の場合であっても、ステントに生じた不具合により抜去が必要になる場合がある。
【0003】
抜去に適したステントとしては、網目構造を有する金属ステントを樹脂膜で覆ったカバードステントが知られている。
一般的な金属ステントは、形状記憶合金で形成されて自己拡張機能を備えるので狭窄部の内壁を押圧した状態で留置される。そのため、ステントの留置位置からの移動が生じにくいが、狭窄部の組織に食い込みやすく、網目からステント内部に患部の組織が浸潤して成長する場合もある。そのため、ステントを留置して一定期間経過後は、抜去することが困難である。
従って、留置したステントを安全に抜去するためには、ステントの網目構造に組織が浸潤する前にステントを狭窄部から取り除く必要があるが、金属製のステントは半永久的に拡張力を発揮して狭窄部の内面に密に接触するため、抜去が困難であった。
一方、カバードステントは、金属ステントの網目が樹脂膜で覆われるため、ステントの組織への食い込みや、網目からの組織の浸潤が抑制される。よって、ステントを留置して一定期間経過後であっても抜去しやすいという利点を有するが、ステントが留置位置から移動しやすく脱落しやすい(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-327609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、ステント留置後は留置位置からの移動が抑制され、且つ留置してから一定期間経過後に、容易に抜去可能なステントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、生体管路の狭窄部に留置されるステントであって、線材により形状回復性を有する円筒状に形成され、形状回復した状態の外径である形状回復外径よりも小さい外径の縮径状態及び該形状回復外径よりも大きい外径の拡径状態に変形可能なステント本体部と、前記ステント本体部を前記拡径状態に変形させると共に、該ステント本体部を所定の外径で拡径した状態に維持する拡径機構と、を備え、前記ステント本体部は、前記縮径状態において前記狭窄部の管径よりも小さい外径に変形可能であり、前記所定の外径は、前記狭窄部の管径以上大きさであるステントに関する。
【0007】
また、前記形状回復外径は、前記狭窄部の管径よりも小さいことが好ましい。
【0008】
また、前記形状回復外径は、前記狭窄部の管径の80%以上90%以下の大きさを有することが好ましい。
【0009】
また、前記ステント本体部は、形状記憶材料の線材により編み組みされて形成されることが好ましい。
【0010】
また、前記ステント本体部は、形状記憶材料の線材によりコイル状に巻かれて形成され、前記形状記憶状態において隣り合う前記形状記憶線材同士が所定の間隔に保たれることが好ましい。
【0011】
また、前記拡径機構は、前記ステント本体部の先端部に取り付けられるリング部材と、前記ステント本体部の基端部に配置され、前記ステント本体部の基端側に突出して前記リング部材を係止可能な係止部と、前記リング部材に挿通され、一端部が前記係止部に接続され、他端部が前記ステント本体部の基端側に延びる紐状部材と、を備え、前記ステント本体部が縮径した状態において、前記紐状部材の前記他端部が前記ステント本体部の基端側に引っ張られることにより、前記リング部材と前記係止部とが近接する方向に移動すると共に該リング部材と該係止部とが係合して前記ステント本体部を拡径した状態に維持することが好ましい。
【0012】
また、前記拡径機構は、前記ステント本体部の先端部に取り付けられるリング部材と、前記ステント本体部の基端部に設けられ、前記ステント本体部の基端側に突出して前記リング部材を係止可能な係止部と、前記リング部材に挿通され、一端部が前記係止部に前記ステント本体部の基端側の方向に取り外し可能に接続され、他端部が前記ステント本体部の基端側に延びる紐状部材と、を備え、前記ステント本体部が縮径した状態において、前記紐状部材の前記他端部が前記ステント本体部の基端側に引っ張られることにより、前記リング部材と前記係止部とが近接する方向に移動すると共に該リング部材と前記係止部とが係合して前記ステント本体部が拡径した状態に維持された後、前記紐状部材の前記他端部が前記ステント本体部の基端側にさらに引っ張られることにより、前記紐状部材の前記一端部が前記係止部から取り外されることが好ましい。
【0013】
また、前記リング部材は、前記ステント本体部の内部に配置されることが好ましい。
【0014】
また、前記係止部はチューブ状に形成され、前記ステント本体部の基端側の端部に着脱可能に取り付けられており、前記ステント本体部の基端側に向かって引かれることにより前記ステント本体部から取り外し可能であることが好ましい。
【0015】
また、前記拡径機構は、前記ステント本体部の周方向に等間隔で複数配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ステント本体部が形状回復外径よりも拡径した状態で狭窄部に留置されるので、抜去の際には、拡径機構を解除することによりステント本体部を縮径させられるので、狭窄部からステントを容易に抜去できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るステントの拡径前の状態を示す図である。
図2】第1実施形態に係るステントの拡径後の状態を示す図である。
図3】第1実施形態に係るステントを狭窄部に留置する方法について説明するための模式図である。
図4】第1実施形態に係るステントを狭窄部から抜去する方法について説明するための模式図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るステントの拡径前の状態を示す図である。
図6】第2実施形態に係るステントの拡径後の状態を示す図である。
図7】第2実施形態に係るステントを狭窄部に留置する方法について説明するための模式図である。
図8】第1実施形態に係るステントを狭窄部から抜去する方法について説明するための模式図である。
図9】本発明の変形例に係るステントの説明図である。
図10】第1実施形態の変形例に係るステントを示す側面図であり、紐状部材を引く前のステント本体部が縮径した状態を示す図である。
図11図10に示す状態から紐状部材を引き、係止部にリング部材を係止させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のステントの好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明では一例として消化管に用いられるステントについて説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1図4を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るステント1Aについて詳細に説明する。
図1(a)及び図1(b)は、それぞれ、第1実施形態に係るステント1Aの拡径前の状態における斜視図及び側面図であり、図2(a)及び図2(b)は、それぞれ、ステント1Aの拡径後の状態における斜視図及び側面図である。図1及び図2に示すように、ステント1Aは、ステント本体部10Aと、複数の拡径機構20と、を備える。
【0020】
ステント本体部10Aは、線材により形状回復性を有する円筒状に形成される。ここで、形状回復性を有するとは、所定の外径を有する状態(以下、形状回復外径dという)から外力を加えて変形させても、外力が解除されれば形状回復外径dに戻る性質を有することをいう。
形状回復性を有するステント本体部10Aは、形状記憶性を有する形状記憶線材11により円筒状に形成することができ、また、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等の高剛性樹脂の繊維を円筒状に編み組みして形成することができる。
【0021】
本実施形態では、ステント本体部10Aは、形状記憶性を有する形状記憶線材11により円筒状に形成される。より詳しくは、ステント本体部10Aは、複数本の形状記憶線材11が網目状に編み組みされて構成される。ステント本体部10Aの外周には、形状記憶線材11によって形成され且つ規則正しく配列される菱形の空孔が多数配置される。
【0022】
形状記憶線材11としては、Ni-Ti系合金、Cu-Al-Ni系合金、Cu-Zn-Al系合金等の形状記憶合金製の線材が用いられる。本実施形態においては、形状記憶線材11として、Ni-Ti系合金が用いられる。
形状記憶線材11の直径は、0.05mm~1mmであることが好ましい。形状記憶線材11の直径が0.05mm未満であると、ステント1Aの強度が低下する傾向にあり、1mmを超えると、後段で詳述する内視鏡の内部に挿入するデリバリーシステムを構成する細管状の部材にステント1Aを収納し難くなる傾向にある。
【0023】
本実施形態のステント本体部10Aは、編み組みされて円筒状に形成された後、少なくとも体温程度の温度において所定の外径(以下、形状回復外径dとする)に保たれるように形状記憶処理が施される。よって、ステント本体部10Aは、体温程度の温度において、外力を加えて変形させても、外力が解除されれば図1に示す形状回復外径dに戻る。
また、ステント本体部10Aは、網目状に編み組みされて形成されるので、軸方向に引き伸ばすことにより縮径して変形可能であり、また、軸方向に縮めることにより拡径して変形可能である。ここで、ステント本体部10Aを形状回復外径dよりも小さい外径(以下、縮径外径d’とする)に縮径した状態を縮径状態(図3(a)参照)とし、形状回復外径dよりも大きい外径(以下、拡径外径d’’とする)に拡径した状態を拡径状態(図2参照)とする。
【0024】
本実施形態において形状回復外径dは、狭窄部Nの管径D’よりも小さく設定するものとした。具体的には、形状回復外径dを狭窄部Nの管径D’の99%以下の大きさに設定することが好ましく、80%以上90%以下の大きさに設定することがより好ましい。形状回復外径dをこの範囲の大きさにとすることで、ステント1Aを狭窄部Nに運搬しやすくできる。
【0025】
また、拡径外径d’’は、狭窄部Nの管径D’の100%以上の大きさであることが好ましく、狭窄部Nの管径D’の100%以上120%以下でることがより好ましい。拡径外径d’’をこの範囲の大きさとすることで、ステント1Aを狭窄部Nに好適に留置できる。
【0026】
拡径機構20は、ステント本体部10Aに設けられ、ステント本体部10Aを拡径していない状態から拡径状態に変形させると共にステント本体部10Aを所定の外径で拡径した状態に維持することが可能である。この拡径機構20は、図1及び図2に示すように、リング部材21と、係止部22と、紐状部材23と、を含んで構成される。
【0027】
リング部材21は、ステント本体部10Aの一端側の端部に接続され且つ環状に形成される。ここで、ステント1Aは、リング部材21が取り付けられる側を先端側にして体内に挿入されるので、リング部材21が取り付けられる側をステント本体部10Aの先端側(ステント1Aの先端側)とし、一端側とは反対側をステント本体部10Aの基端側(ステント1Aの基端側)とする。
【0028】
リング部材21はポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維、又はステント本体部10Aを構成する金属材料と同様の金属材料により構成される。本実施形態では、リング部材21としてポリエチレンを用いた。リング部材21は、合成樹脂繊維の両端部がステント本体部10Aを構成する形状記憶線材11に結び付けられることでリング状に形成される。リング部材21のステント本体部10Aへの取り付け位置は、ステント本体部10Aを好適に拡径させる観点から、ステント本体部10Aの先端に近い位置であることが好ましい。本実施形態では、リング部材21は、ステント本体部10Aの先端部に取り付けられたが、リング部材21は、先端部から少し内部側にずれた位置に取り付けられてもよい。また、リング部材21の大きさは、係止部22を乗り越えられる大きさであればよい。また、リング部材21の軸方向の長さにより、拡径機構20により拡径状態が維持された後のステント1Aの大きさが決定される。
【0029】
係止部22は、ステント本体部10Aの基端側の端部に接続され、ステント本体部10Aの基端側に突出した細長いループ状に形成される。
係止部22は、リング部材21と同様の合成樹脂繊維又は金属材料により構成される。本実施形態では、係止部22として、ポリウレタンを用いた。係止部22のステント本体部10Aへの取り付け位置は、ステント本体部10Aを好適に拡径させる観点から、ステント本体部10Aの基端部に近い位置であることが好ましい。本実施形態では、係止部22は、ステント本体部10Aの基端部に取り付けられたが、係止部22は、基端部から少し内部側にずれた位置に取り付けられてもよい。
【0030】
紐状部材23は、リング部材21に挿通され、一端部が係止部22に結び付けられて接続され、他端部はステント本体部10Aの基端側に延びる。より詳細には、一端部が係止部22に接続された紐状部材23は、係止部22からステント本体部10Aの内部を通って先端側に延びてリング部材21に挿通された後、折り返され、他端部がステント本体部10Aの基端側に延びて配置される。
【0031】
以上説明した拡径機構20によれば、ステント本体部10Aが拡径していない状態において、紐状部材23をステント本体部10Aの基端側に引っ張ることにより、リング部材21と係止部22とが近接する方向に移動すると共にリング部材21と係止部22とが係合してステント本体部10Aを拡径した状態に維持する。
【0032】
さらに具体的に説明すると、図1に示す状態から紐状部材23の他端部がステント本体部10Aの基端側に引っ張られることにより、リング部材21が基端側に引っ張られてリング部材21と係止部22とが近接する方向に移動する。
紐状部材23の一端部は係止部22に接続されているので、折り返しがなくなるまで紐状部材23が基端側に引っ張られると、リング部材21は係止部22を乗り越えるようにして、係止部22に係止される(図2参照)。このようにしてリング部材21と係止部22とが係合して所定の拡径外径d’’でステント本体部10Aの拡径状態が維持される。
【0033】
次に、ステント1Aを生体管路の狭窄部に留置する方法につき、図3(a)~図3(d)を参照しながら説明する。尚、図3(a)~図3(d)においては、デリバリーシステムを省略して説明する。
【0034】
まず、ステント1Aが内視鏡を用いて狭窄部Nまでどのようにして運ばれるか説明する。ステント1Aは、不図示の細管状の部材等で構成されるデリバリーシステムに縮径状態で収納される。そして、内視鏡の先端部を予め狭窄部Nに近接させておく。ステント1Aを収納したデリバリーシステムは、内視鏡の鉗子口に挿入され、内視鏡の先端部まで運ばれる。
【0035】
図3(a)は、ステント1Aが縮径外径d’まで縮径された状態で、先端部を狭窄部Nに近接させた状態を示す。
【0036】
図3(b)に示すように、ステント1Aは不図示のデリバリーシステムから排出されて、外径が形状回復外径dに復元された状態で狭窄部Nに囲まれた位置に配置される。尚、図示していないが、ステント1Aの基端側はデリバリーシステムにより支持された状態を保っている。
【0037】
続いて、図3(c)に示すように、紐状部材23がステント本体部10Aの基端側に向かって引かれることでステント本体部10Aの先端側から拡径外径d’’に拡径していく。このとき、図示しないデリバリーシステムによりステント本体部10Aが先端側に向かって押されると共に、紐状部材23が基端側に向かって引かれる。ここで、拡径外径d’’を狭窄部Nの管径以上に設定することで、ステント1Aは、狭窄部Nの内壁を押圧して、また内壁により支持される。よって、ステント1Aの留置位置からの移動が抑制される。尚、拡径外径d’’は、生体管路に穿孔を生じさせないために、生体管路の管径D以下の大きさとすることが好ましい。
【0038】
最後に、図3(d)に示すように、紐状部材23が直線的になるまで引っ張られてリング部材21と係止部22とが係合し、拡径外径d’’で拡径状態が維持される。拡径動作完了後は、紐状部材23をはさみにより切断して体外に取り出す。このようにして、ステント1Aは、生体管路の狭窄部Nに留置される。紐状部材23をはさみにより切断する位置は、特に制限はないが、ステント本体部10Aの基端側で、係止部22に近い位置が、アクセスしやすいため好ましい。
【0039】
次に、ステント1Aを生体管路の狭窄部から抜去する方法につき、図4(a)及び(b)を参照しながら説明する。
【0040】
図4(a)は、ステント1Aの留置により狭窄部Nが押し広げられて、狭窄部Nの管径がステント本体部10Aの拡径外径d’’と略同じ大きさの管径D’’となった状態を示す。
この場合、まず、拡径機構20を解除するため、はさみ等を用いて、リング部材21を切断する。すると、リング部材21の切断により拡径機構20が解除されて、図4(b)に示すように、ステント本体部10Aの外径は、形状回復外径dに復元される。押し広げられた狭窄部Nの管径D’’よりも形状回復外径dの方が小さいので、狭窄部Nの組織がステント1Aにより引き摺られることを抑制できる。
よって、例えば内視鏡下やX線透視下でステント本体部10Aの基端側の端部をフックで引っ掛ける、又は鉗子で把持することにより、ステント1Aを狭窄部Nから容易に抜去して、体外に取り出すことができる。
【0041】
以上説明した第1実施形態に係るステント1Aによれば、以下のような効果が奏される。
【0042】
(1)ステント1Aを、円筒状に形成され形状回復外径dよりも縮径した縮径状態及び拡径した拡径状態に変形可能なステント本体部10Aと、ステント本体部10Aを拡径状態に変形させると共に、所定の拡径外径d’’で拡径した状態に維持する拡径機構20と、を備えるものとし、ステント本体部10Aは、縮径状態において狭窄部Nの管径D’よりも小さい外径d’に変形可能であり、拡径外径d’’は、狭窄部の管径D’以上の大きさに設定されるものとした。
これにより、ステント本体部10Aは、狭窄部Nの管径D’よりも小さい外径d’に縮径して変形できるので、狭窄部の管径D’が小さい場合であっても、ステント1Aを留置することができる。
また、ステント本体部10Aが形状回復外径dよりも拡径し且つ狭窄部の管径D’以上の外径で拡径した状態で狭窄部Nに留置されるので、ステント1Aの留置位置からの移動が抑制される。さらに、ステント抜去の際には、拡径機構20の解除によりステント本体部10Aが拡径状態から形状回復外径dに戻るので、ステント本体部10Aの外径がステント留置で押し広げられた狭窄部の管径D’’よりも小さくなり、狭窄部Nからステント1Aを容易に抜去できる。
また、ステント本体部10Aが軸方向に縮小して拡径された状態となることで、形状記憶線材11間の隙間が小さくなる。よって、ステント1Aを狭窄部Nに留置した状態において、ステント1Aが狭窄部Nの組織へ食い込むことや、形状記憶線材11間の隙間から狭窄部Nの組織がステント1A内に侵入することを抑制することができ、ステント留置から一定期間経過後であっても抜去が容易となる。
【0043】
(2)ステント本体部10Aを、形状記憶材料の形状記憶線材11により編み組みされて形成されるものとした。これにより、ステント本体部10Aを軸方向に引き伸ばすことで縮径状態に変形でき、また、軸方向に圧縮することで拡径状態に変形することができる。
【0044】
(3)拡径機構20を、リング部材21と、リング部材21と係合する係止部22と、リング部材21に挿通され一端部が係止部22に接続され他端部がステント本体部10Aの基端側に延びる紐状部材23と、を備えるものとし、ステント本体部10Aが拡径していない状態において、紐状部材23の他端部をステント本体部10Aの基端側に引っ張ることにより、リング部材21と係止部22とを係合させてステント本体部10Aを拡径した状態に維持するものとした。これにより、紐状部材23をステント本体部10Aの基端側に引っ張るという簡単な動作だけで、リング部材21と係止部22とを係合させ、拡径状態を維持することができる。
【0045】
(4)リング部材21を、ステント本体部10Aの内部に配置するものとした。これにより、ステント1Aを狭窄部Nから抜去する際に、リング部材21をはさみ等で切断しやすいので拡径機構20の解除を容易に行うことができる。
【0046】
(5)形状回復外径dを狭窄部Nの管径D’の99%以下、より好ましくは80%以上90%以下の大きさとした。これにより、狭窄部Nの管径D’に対して十分な大きさの拡径外径d’’とすることができるので、ステント留置後の留置位置からの移動を抑制できる。また、ステント抜去の際に、容易に抜去が可能である。
【0047】
<第2実施形態>
図5図8を参照しながら、本発明の第2実施形態に係るステント1Bについて詳細に説明する。第2実施形態に係るステント1Bは、ステント本体部の構成、拡径機構の配置数の点で第1実施形態に係るステント1Aと異なる。同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0048】
図5(a)及び図5(b)は、それぞれ、第2実施形態に係るステント1Bの拡径前の状態における斜視図及び側面図であり、図6(a)及び図6(b)は、それぞれ、ステント1Bの拡径後の状態における斜視図及び側面図である。図5及び図6に示すように、ステント1Bは、ステント本体部10Bと、複数の拡径機構20と、を備える。
【0049】
ステント本体部10Bは、1本の形状記憶線材11によりコイル状に巻かれて円筒状に形成される。
形状記憶線材11は、第1実施形態と同様の素材が適用可能であり、本実施形態においては、形状記憶線材11としてNi-Ti系合金を用いた。
形状記憶線材11の直径は0.05mm~2.4mmのものを用いることが好ましい。形状記憶線材11の直径が0.05mm未満であると、ステント1Bの強度が低下する傾向にあり、2.4mmを超えると、内視鏡の内部に挿入するデリバリーシステムを構成する細管状の部材にステント1Bを収納し難くなる傾向にある。
【0050】
ステント本体部10Bは、円筒状に形成された後、少なくとも体温程度の温度において、隣り合う形状記憶線材11同士が所定の間隔に保たれ、所定の外径(以下、形状回復外径dとする)に保たれるように形状記憶処理が施される。よって、ステント本体部10Bは、体温程度の温度において、外力を加えて変形させても、外力が解除されれば形状回復外径dに戻る。
また、形状記憶された状態のステント本体部10Bの形状は、隙間の小さい密に巻かれたコイル状ではなく、隣り合う形状記憶線材11同士が所定の間隔を有する状態で巻かれたコイル状である。よって、形状記憶された形状から軸方向に伸び縮みさせることが可能であり、それに応じて縮径及び拡径して変形可能である。
【0051】
拡径機構20は、ステント本体部10Bの周方向に等間隔で2つ配置され、ステント本体部10Bを拡径していない状態から拡径状態に変形させると共にステント本体部10Bを所定の外径で拡径した状態に維持することが可能である。この拡径機構20は、第1実施形態で説明したものと同様であるので、拡径機構20が備える各構成の説明は省略する。
【0052】
次に、ステント1Bを生体管路の狭窄部Nに留置する方法につき、図7(a)~図7(c)を参照しながら説明する。尚、図7(a)~図7(c)においては、デリバリーシステムを省略して説明する。
【0053】
ステント1Bを狭窄部Nに留置する場合、まず、図7(a)及び図7(b)に示すように、ステント1Bは、狭窄部Nに配置された後、拡径機構20により拡径外径d’’に拡径されながら、不図示のデリバリーシステムから排出される。
【0054】
そして、図7(c)に示すように、ステント1Bがデリバリーシステムから排出された状態で拡径機構20の動作が完了する。このようにして、ステント1Bは、生体管路の狭窄部Nに留置される。デリバリーシステムからのステント1Bの排出と、拡径機構20を用いた拡径動作を同時に行うことにより、ステント留置にかかる作業を簡易化することができる。
【0055】
次に、ステント1Bを生体管路の狭窄部から抜去する方法につき、図8(a)~図8(c)を参照しながら説明する。
図8(a)は、ステント1Bの留置により狭窄部Nが押し広げられて、狭窄部Nの管径がステント本体部10Aの拡径外径d’’と略同じ大きさの管径D’’となった状態を示す。
この場合、まず、拡径機構20を解除するため、はさみ等を用いて係止部22の根元部を切断する。係止部22をはさみ等で切断する位置は、係止部22と係合するリング部材21よりも、係止部22の根元に近い側であれば、どこでもよく、係止部22の根元であることがより好ましい。
【0056】
係止部22の根元の切断により、リング部材21と係止部22との係合が外れて拡径機構20が解除され、図8(b)に示すようにステント本体部10Bの外径は、形状回復外径dに復元される。このとき、狭窄部Nに対してステント1Bによる押圧がなくなることにより、狭窄部Nの管径が押し広げられた管径D’’から元の管径D’に戻ったとしても、ステント本体部10Bの形状回復外径dは、押し広げられる前の狭窄部Nの管径D’よりも小さいので、狭窄部Nの組織がステント1Bにより引き摺られることを抑制できる。
また、ステント本体部10Bは、コイル状に巻かれて形成されるので、ステント本体部10Bを構成する形状記憶線材11の一端部を鉗子で把持して引っ張ることにより、形状記憶線材11が直線的に引き伸ばされるので、ステント1Bを狭窄部Nから容易に抜去することができる。
【0057】
以上説明した第2実施形態に係るステント1Bによれば、上述した効果(1)、(3)、(4)及び(5)に加えて、以下のような効果が奏される。
【0058】
(6)形状回復外径dを、ステント留置前の狭窄部Nの管径D’よりも小さいものとした。これにより、ステント抜去の際に、狭窄部Nの管径が押し広げられた管径D’’から元の管径D’に戻ったとしても、容易にステント1Bを狭窄部Nから抜去することができる。
【0059】
(7)ステント本体部10Bを、形状記憶線材11によりコイル状に巻かれて形成され、形状記憶状態において隣り合う形状記憶線材11同士が所定の間隔に保たれるものとした。これにより、ステント本体部10Bを軸方向に引き伸ばすことで縮径状態に変形でき且つ軸方向に圧縮することで拡径状態に変形することができる。また、ステント抜去の際に、拡径機構20を解除した後は、コイル状の巻かれた形状記憶線材11を引っ張ることにより直線的に伸ばすことができるので、ステント1Bを狭窄部Nから容易に抜去することができる。
【0060】
(8)拡径機構20を、ステント本体部10Bの周方向に等間隔で複数配置するものとした。これにより、紐状部材23を用いてステント本体部10Bを拡径させる場合に、ステント本体部10Bを均等に拡径させられる。また、複数の拡径機構20を備えるので安定して拡径状態を維持できる。
【0061】
<変形例>
図9を参照しながら、本発明の変形例について詳細に説明する。変形例に係るステント1Cは、拡径機構を構成する係止部の構成が第1及び第2実施形態と異なる。その他の構成については前述の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
図9に示すように、ステント1Cは、ステント本体部10Aと拡径機構20Cと、を備える。本変形例において、一例として第1実施形態と同じステント本体部10Aを用いたが、第2実施形態と同じステント本体部10Bを用いてもよい。
【0063】
拡径機構20Cは、リング部材21と、係止部22Cと、紐状部材と、を備える。
係止部22Cは、チューブ状に形成されており、ステント本体部10Aの基端側の端部に着脱可能に取り付けられる。よって、ステント本体部10Aの基端側に向かって係止部22Cを引っ張ることによりステント本体部10Aから取り外し可能である。
係止部22Cは、把持しやすい形状であればよく、係止部22Cの表面に凹凸等があってもよい。また、係止部22Cの材料は、変形しやすい材質であることが好ましい。
【0064】
以上説明した変形例に係るステント1Cによれば、以下のような効果が奏される。
【0065】
(9)拡径機構20Cが備える係止部22Cを、チューブ状に形成してステント本体部10Aの基端側の端部に着脱可能に取り付け、ステント本体部10Aの基端側に向かって係止部22Cを引っ張ることによりステント本体部10Aから取り外し可能であるものとした。これにより、ステント抜去のため拡径機構20Cを解除する際、はさみ等を用いなくても係止部22Cを鉗子で把持して引っ張るだけで、リング部材21と係止部22Cとの係合を外すことができる。よって、拡径機構20Cを解除するための作業を簡易化することができる。
【0066】
以上、本発明のステントの好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本発明では一例として消化管に用いられるステントについて説明したが、血管、気管、尿管、尿道に用いられるステントにも適用可能である。
【0067】
また、上述の各実施形態及び変形例においては、ステント本体部は一定の外径を有するストレートタイプのものを例として説明したが、これに限らない。狭窄部の前後でアンカー効果を持たせるため、拡径機構により拡径した状態で、ステント本体部の一端部又は両端部の径が中央部の径よりも大きいものであってもよい。この場合、形状記憶状態では、ステント本体部の端部及び中央部ともに一定の外径を有するように構成すればよい。
【0068】
また、上述の各実施形態及び変形例においては、ステント本体部は、形状記憶合金からなる形状記憶線材により形成されたが、これに限らない。即ち、ステント本体部は、高剛性樹脂の繊維が円筒状に編み組みして形成されてもよい。この場合、ステント本体部は、高剛性樹脂の繊維の剛性及び弾性により、形状回復性を具備する。
【0069】
また、上述の各実施形態及び変形例においては、ステントを抜去する方法について、内視鏡下やX線透視下で鉗子等を用いて体外に取り出す一例を示したがこれに限らない。拡径機構を解除させて留置部位からステントを脱落させて、その後自然に体外に排泄させてもよい。
【0070】
また、上述の各実施形態及び変形例においては、拡径機構のリング部材や係止部をはさみで切断する方法について示したが、これに限らない。例えば、はさみやナイフを用いて物理的に切断する方法の他に、熱的に、また、高いpH液又は低いpH液により化学的に切断する方法を用いてもよい。
【0071】
また、第1実施形態では、一つの拡径機構を有するステント1Aについて説明したが、これに限らない。即ち、第1実施形態のステントを、ステント本体部の周方向に等間隔に配置された複数の拡径機構を含んで構成してもよい。
【0072】
また、第1実施形態では、拡径機構20を、ステント本体部10Aが拡径していない状態において、紐状部材23の他端部をステント本体部10Aの基端側に引っ張ることにより、リング部材21と係止部22とを係合させてステント本体部10Aを拡径した状態に維持させたが、これに限らない。即ち、図10及び図11に示すように、紐状部材23を、一端部を係止部22にステント本体部10Aの基端側の方向に取り外し可能に接続し、他端部をステント本体部10Aの基端側に延びるように構成してもよい。そして、拡径機構20を、ステント本体部10Aが縮径した状態において紐状部材23の他端部がステント本体部10Aの基端側に引っ張られることによりリング部材21と係止部22とが係合してステント本体部10Aが拡径した状態に維持された後、紐状部材23の他端部がステント本体部10Aの基端側にさらに引っ張られることにより、紐状部材23の一端部が係止部22から取り外されるように構成してもよい。これにより、紐状部材23をステント本体部10Aの基端側に引っ張るだけで、紐状部材23を係止部22から容易に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0073】
1A、1B、1C ステント
10A、10B ステント本体部
11 形状記憶線材
20、20C 拡径機構
21 リング部材
22、22C 係止部
23 紐状部材
D 生体管路の管径
D’ 狭窄部の管径
D’’ 押し広げられた狭窄部の管径
d 形状回復外径
d’ 縮径外径
d’’ 拡径外径
N 狭窄部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11