(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01B 59/048 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
A01B59/048
(21)【出願番号】P 2019014224
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】越智 知文
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-104707(JP,A)
【文献】特開2004-254551(JP,A)
【文献】特開昭56-105143(JP,A)
【文献】米国特許第03145781(US,A)
【文献】実開昭60-046806(JP,U)
【文献】実開昭59-023908(JP,U)
【文献】実開昭58-150580(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 51/00 - 79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの下部を支持する前フレームと、前記エンジンを覆うボンネットと、車体の前方に配置されるインプルメントを昇降可能に支持するフロントリンク機構と、前記フロントリンク機構を介して前記インプルメントを昇降駆動するアクチュエータと、
車体の左右方向に延びて左右の前輪を支持する前輪支持部材と、前記前フレームから下方に延びて前記前輪支持部材を支持する前ブラケットとを備え、
前記フロントリンク機構は、車体の左右方向に延びる第1支軸と、前記第1支軸を支点にして上下方向に揺動する左右の揺動リンクとを有し、
前記揺動リンクは、前記第1支軸から前記インプルメントに架設され、
前記第1支軸が、前記ボンネットの下方で当該ボンネットの前端よりも車体後側の位置
で、かつ、前記前ブラケットの下端よりも下方の位置に配置されている作業車両。
【請求項2】
エンジンの下部を支持する前フレームと、前記エンジンを覆うボンネットと、車体の前方に配置されるインプルメントを昇降可能に支持するフロントリンク機構と、前記フロントリンク機構を介して前記インプルメントを昇降駆動するアクチュエータと、車体の左右方向に延びて左右の前輪を支持する前輪支持部材と、前記前フレームから下方に延びて前記前輪支持部材を支持する前ブラケット
とを備え、
前記フロントリンク機構は、車体の左右方向に延びる第1支軸と、前記第1支軸を支点にして上下方向に揺動する左右の揺動リンクとを有し、
前記揺動リンクは、前記第1支軸から前記インプルメントに架設され、
前記第1支軸が、前記ボンネットの下方で当該ボンネットの前端よりも車体後側の位置で、かつ、前記前ブラケットの前端よりも車体後
側の位置に配置されてい
る作業車両。
【請求項3】
前記第1支軸が、前記前輪支持部材の下端よりも上方の位置で、かつ、前記前輪支持部材よりも車体前側の位置に配置されている請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記アクチュエータが、車体の前後方向に伸縮する前後向き姿勢で前記ボンネットの下方に配置された油圧シリンダであり、
前記油圧シリンダが、前記前輪よりも車体の左右中央側で、前記前輪の右最大切れ角位置と左最大切れ角位置との間の位置に配置されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項5】
前記ボンネットは、前記前フレームの左右両側端から横外方に張り出す左右の張出部を有し、
前記油圧シリンダは、左右一対で、各シリンダチューブの外径が前記張出部の左右幅よりも短い小径に設定されている
請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記油圧シリンダが、前記前フレームの上下幅内に配置され、
前記フロントリンク機構は、前記ボンネットの下方で前記第1支軸よりも上方の位置において車体の左右方向に延びる第2支軸と、前記第2支軸を支点にして揺動する左右のリフトアームと、前記リフトアームから前記揺動リンクの前後中間部にわたる左右のリフトロッドとを有し、
前記リフトアームは、前記第2支軸から上方に延びて前記油圧シリンダに連結される第1アーム部と、前記第2支軸から車体前側に延びて前記リフトロッドを支持する第2アーム部とを有し、前記第2アーム部における前記第2支軸から前記リフトロッドまでの長さが、前記第1アーム部における前記第2支軸から前記油圧シリンダまでの長さよりも長くなっている
請求項4又は5のいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項7】
エンジンの下部を支持する前フレームと、前記エンジンを覆うボンネットと、車体の前方に配置されるインプルメントを昇降可能に支持するフロントリンク機構と、前記フロントリンク機構を介して前記インプルメントを昇降駆動するアクチュエータと、車体の左右方向に延びて左右の前輪を支持する前輪支持部材と、前記前フレームから下方に延びて前記前輪支持部材を支持する前ブラケットとを備え、
前記フロントリンク機構は、前記ボンネットの下方の位置において車体の左右方向に延びる第2支軸と、前記第2支軸を支点にして揺動する左右のリフトアームとを有し、
前記インプルメントが、前記エンジンからの動力で駆動される駆動式の作業装置であり、
前記エンジンから前記作業装置への伝動を可能にする伝動ユニットを備え、
前記伝動ユニットは、前記前ブラケットとの間に前記第2支軸の配置を可能にする前後間隔を置いて前記前フレームの前端部に連結されてい
る作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前方に配置されるインプルメントを昇降可能に支持するフロントリンク機構を備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両においては、例えば、主フレームの前端に連結される連結枠と、連結枠の上部から車体前方に延びる左右のブラケットと、連結枠の左右両端部から車体前方に延びる左右の側板とを有するインプルメント(前作業機)装着用の前連結装置を設け、左右のブラケットにトップリンクを上下揺動自在に連結し、左右の側板に左右のロアリンクを上下揺動自在に連結することにより、車体の前方に配置されるインプルメントを昇降可能に支持するフロントリンク機構(前作業機用3点リンク機構)を備えるように構成されたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の作業車両においては、左右のロアリンクが、前述した連結枠の左右の側板に上下揺動自在に連結されることにより、各ロアリンクの支軸が車体の前端位置に配置されている。そのため、インプルメントの昇降ストロークを長くするために、各ロアリンクの支軸から車体前方への延出長さを長くすると、その延出長さの全てが、フロントリンク機構やインプルメントを含む車体の全長(前後長さ)に加えられることから、車体の全長が長くなって作業車両の移動や輸送が行い難くなる。逆に、作業車両の移動や輸送を行い易くするために、各ロアリンクの支軸から車体前方への延出長さを短くすると、その延出長さが短くなるほどインプルメントの昇降ストロークが短くなって使用可能なインプルメントの種類が制限される。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、フロントリンク機構やインプルメントを含む車体の全長を短くして作業車両の移動や輸送を行い易くしながら、インプルメントの昇降ストロークを長くして使用可能なインプルメントの種類を多くする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、作業車両において、
エンジンの下部を支持する前フレームと、前記エンジンを覆うボンネットと、車体の前方に配置されるインプルメントを昇降可能に支持するフロントリンク機構と、前記フロントリンク機構を介して前記インプルメントを昇降駆動するアクチュエータとを備え、
前記フロントリンク機構は、車体の左右方向に延びる第1支軸と、前記第1支軸を支点にして上下方向に揺動する左右の揺動リンクとを有し、
前記揺動リンクは、前記第1支軸から前記インプルメントに架設され、
前記第1支軸が、前記ボンネットの下方で当該ボンネットの前端よりも車体後側の位置に配置されている点にある。
【0007】
本構成によれば、インプルメントの昇降ストロークを長くするために、各揺動リンクの第1支軸から車体前方への延出長さを長くしても、第1支軸がボンネットの下方でボンネットの前端よりも車体後側の位置に配置されていることから、ボンネットの前端から第1支軸にわたる車体前後方向の距離に応じて、各揺動リンクにおける車体の前端から車体の前方に延出する延出部分の長さが短くなる。その結果、フロントリンク機構やインプルメントを含む車体の全長が短くなり、作業車両の運転や輸送が行い易くなる。
又、インプルメントの昇降ストロークを長くすることで、使用可能なインプルメントの種類が多くなり、その結果、作業車両による作業の多様性を図ることができる。
つまり、各揺動リンクの揺動支点となる第1支軸を、ボンネットの下方でボンネットの前端よりも車体後側の位置に配置することにより、車体にフロントリンク機構やインプルメントを備えることに起因して作業車両の運転や輸送が行い難くなることを抑制しながら、作業車両による作業の多様性を図ることができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、
車体の左右方向に延びて左右の前輪を支持する前輪支持部材と、前記前フレームから下方に延びて前記前輪支持部材を支持する前ブラケットと後ブラケットとを備え、
前記第1支軸が、前記前ブラケットの下端よりも下方で前記前輪支持部材の下端よりも上方の位置で、かつ、前記前ブラケットの前端よりも車体後側で前記前輪支持部材よりも車体前側の位置に配置されている点にある。
【0009】
本構成によれば、第1支軸が前輪支持部材の下端よりも上方の比較的高い位置に配置されることにより、各揺動リンクの上昇揺動によるインプルメントの上昇駆動時には、その上昇に伴うインプルメントの車体側への変位を抑制することができる。
又、第1支軸が前輪支持部材の近くに配置されることにより、各揺動リンクにおける車体の前端から車体後側への入り込み長さを長くすることができる。これにより、フロントリンク機構やインプルメントを含む車体の全長が長くなることを抑制しながらも、各揺動リンクの長さをより長くすることができ、よって、インプルメントが昇降するときの昇降移動量に対する車体前後方向への移動量を小さくすることができる。
つまり、作業車両の運転や輸送が行い難くなる不都合を招くことなく、インプルメントの昇降駆動時にインプルメントが車体に接触する虞を回避し易くすることができる。又、インプルメントの昇降ストロークを更に長くすることができ、その結果、使用可能なインプルメントの種類をより多くすることができ、作業車両による作業の多様性を更に図ることができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、
前記アクチュエータが、車体の前後方向に伸縮する前後向き姿勢で前記ボンネットの下方に配置された油圧シリンダである点にある。
【0011】
本構成によれば、油圧シリンダを、ボンネットの下方に入り込んだ揺動リンクの揺動支点側に近い位置に配置することができ、これにより、油圧シリンダの伸縮動作を揺動リンクの揺動支点側に伝え易くなる。そして、油圧シリンダの伸縮動作を揺動リンクの揺動支点側に伝えることにより、油圧シリンダの伸縮ストロークに対して各揺動リンクの遊端部に連結されるインプルメントの昇降ストロークを長くすることができる。
その結果、油圧シリンダとして、ボンネットの下方に配置し易い伸縮ストロークの短い小型のものを採用しても、使用可能なインプルメントの種類を多くすることができ、作業車両による作業の多様性を図ることができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、
前記油圧シリンダが、前記前輪よりも車体の左右中央側で、前記前輪の右最大切れ角位置と左最大切れ角位置との間の位置に配置されている点にある。
【0013】
本構成によれば、左右の前輪のトレッド(輪距)を広くすることなく、油圧シリンダを、前輪との干渉が回避された状態で、ボンネットの下方に入り込んだ揺動リンクの揺動支点側に近い前フレームと前輪との間の位置に配置することができる。
その結果、左右の前輪のトレッドを広くすることによる作業車両の大型化を招くことなく、使用可能なインプルメントの種類を多くすることができ、作業車両による作業の多様性を図ることができる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、
前記ボンネットは、前記前フレームの左右両側端から横外方に張り出す左右の張出部を有し、
前記油圧シリンダは、左右一対で、各シリンダチューブの外径が前記張出部の左右幅よりも短い小径に設定されている点にある。
【0015】
本構成によれば、ボンネットの下方における各張出部の左右幅内の空間を各油圧シリンダの配置スペースに有効利用することができる。
そして、油圧シリンダが左右一対であることにより、各油圧シリンダが、各張出部の左右幅内に配置される小径で出力の小さいものであったとしても、重量の大きいインプルメントを速やかに昇降駆動させることができる。
つまり、油圧シリンダとして、ボンネットの下方に配置し易い小径のものを採用しながら、作業車両による作業の多様性を図ることができる。
【0016】
本発明の第6特徴構成は、
前記油圧シリンダが、前記前フレームの上下幅内に配置され、
前記フロントリンク機構は、前記ボンネットの下方で前記第1支軸よりも上方の位置において車体の左右方向に延びる第2支軸と、前記第2支軸を支点にして揺動する左右のリフトアームと、前記リフトアームから前記揺動リンクの前後中間部にわたる左右のリフトロッドとを有し、
前記リフトアームは、前記第2支軸から上方に延びて前記油圧シリンダに連結される第1アーム部と、前記第2支軸から車体前側に延びて前記リフトロッドを支持する第2アーム部とを有し、前記第2アーム部における前記第2支軸から前記リフトロッドまでの長さが、前記第1アーム部における前記第2支軸から前記油圧シリンダまでの長さよりも長くなっている点にある。
【0017】
本構成によれば、前フレームの横側方などに存在する前フレームの上下幅内の空間を利用して、油圧シリンダをボンネットの下方に配置することができる。
そして、インプルメントの昇降駆動時には、油圧シリンダの車体前後方向での伸縮動作が、各リフトアームのアーム比に応じて増幅されながら各第2アーム部の上下揺動に変換される。又、各第2アーム部の上下揺動が、左右の揺動リンクに対する各リフトロッドの連結位置に応じて増幅されながら各揺動リンクの上下揺動に変換される。その結果、油圧シリンダとして伸縮ストロークの短い小型のものを採用しても、インプルメントの昇降ストロークを長くすることができる。
つまり、油圧シリンダとして、ボンネットの下方に更に配置し易い伸縮ストロークのより短い小型のものを採用しながらも、使用可能なインプルメントの種類を多くすることができ、作業車両による作業の多様性を図ることができる。
【0018】
本発明の第7特徴構成は、
前記インプルメントが、前記エンジンからの動力で駆動される駆動式の作業装置であり、
前記エンジンから前記作業装置への伝動を可能にする伝動ユニットを備え、
前記伝動ユニットは、前記前ブラケットとの間に前記第2支軸の配置を可能にする前後間隔を置いて前記前フレームの前端部に連結されている点にある。
【0019】
本構成によれば、インプルメントがエンジンからの動力で駆動されるスノーブロアやフロントモアなどの駆動式の作業装置である場合には、フロントリンク機構の構成に支障を来たすことなく、エンジンからの動力で作業装置を駆動させることができる。
つまり、インプルメントの昇降ストロークを短くすることなく、インプルメントとして駆動式の作業装置を使用することができ、結果、作業車両による作業の多様性を更に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】インプルメントの一例であるスノーブロアがフロントリンク機構などを介して連結されたトラクタの側面図
【
図2】フロントリンク機構や油圧シリンダなどを備えたトラクタの一部縦断正面図
【
図3】フロントリンク機構の構成や油圧シリンダの配置などを示すトラクタにおける前部の縦断側面図
【
図4】フロントリンク機構の構成やインプルメントに対する伝動構造などを示すトラクタにおける前部の縦断側面図
【
図5】フロントリンク機構の構成や油圧シリンダの配置などを示すトラクタの一部縦断拡大正面図
【
図6】フロントリンク機構の構成や油圧シリンダの配置などを示すトラクタにおける前下部の平面図
【
図7】フロントリンク機構の構成を示すトラクタにおける前下部の横断平面図
【
図8】正回転動力取り出し用に構成された伝動ユニットの概略縦断正面図
【
図9】逆回転動力取り出し用に構成された伝動ユニットの概略縦断正面図
【
図10】インプルメントの一例であるバランスウェイトがフロントリンク機構などを介して連結されたトラクタにおける前部の側面図
【
図11】インプルメントの一例であるフロントブレードがフロントリンク機構などを介して連結されたトラクタにおける前部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、作業車両の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本発明は、トラクタ以外の例えば乗用草刈機や乗用田植機などの作業車両に適用することができる。
【0022】
図1~2に示すように、本実施形態において例示されるトラクタ1には、操舵可能で駆動可能な左右の前輪2、駆動可能な左右の後輪3、トラクタ1の前部に搭載された水冷式のエンジン4、エンジン4の下部を支持する前フレーム5、エンジン4などを覆うボンネット6、エンジン4からの動力を変速する変速ユニット7、及び、搭乗式の運転部8を形成するキャビン9、などが備えられている。
【0023】
図2~6に示すように、左右の前輪2は、車体の左右方向に延びる前車軸ケース(前輪支持部材の一例)10の左右両端部に、左右の前輪ギアケース11を介して支持されている。左右の前輪ギアケース11は、前車軸ケース10の左右両端部に、左右の前輪2の操舵方向に回動可能に支持されている。前車軸ケース10は、前フレーム5から下方に延びる前ブラケット12と後ブラケット13とを介して前フレーム5にローリング可能に支持されている。左右の後輪3は、変速ユニット7の後部から左右に延びる後車軸ケース(図示せず)に支持されている。
【0024】
図3~4に示すように、エンジン4は、前フレーム5の後部側に防振支持されている。エンジン4には、エンジン4からの動力で駆動される冷却ファン14が備えられている。冷却ファン14は、ボンネット6で覆われたエンジン4やラジエータ15などに冷却風を供給する。
【0025】
図1に示すように、前フレーム5は、後フレームを兼ねる変速ユニット7の変速ケース16に中間フレーム17を介して連結されている。
図2~7に示すように、前フレーム5は、左右方向に所定間隔をあけて平行に並ぶ左右のサイドプレート18、左右のサイドプレート18にわたる連結プレート(図示せず)、及び、前車軸ケース10を支持する鋳造製の支持部材20、などを有している。支持部材20は、左右のサイドプレート18にわたる平面視略矩形状に形成されている。支持部材20は、左右のサイドプレート18の前部において、左右のサイドプレート18の間に配置されて左右のサイドプレート18を連結している。支持部材20には、その前端部から下方に垂下する左右の前側連結部20Aと、支持部材20の後端部から下方に垂下する左右の後側連結部20Bとが一体形成されている。左右の前側連結部20Aには、前述した前ブラケット12が連結されている。左右の後側連結部20Bには、前述した後ブラケット13が連結されている。前フレーム5における前部側の上端には、ラジエータ15などを支持する支持プレート21が取り付けられている。支持プレート21は、前フレーム5の左右両側端から横外方に張り出す左右の張出部21Aを有している。左右の張出部21Aは、左右の最大切れ角に操舵された左右の前輪2との干渉を回避するために、前フレーム5の左右両側端から横外方への張り出し量(張出部21Aの左右幅)が制限されている。
【0026】
図2、
図5~6に示すように、ボンネット6は、支持プレート21と同様に、前フレーム5の左右両側端から横外方に張り出す左右の張出部6Aを有している。左右の張出部6Aは、それらの前側下部が左右の前輪2と対向している。各張出部6Aの前側下部は、左右の最大切れ角に操舵された左右の前輪2との干渉を回避するために、支持プレート21の張出部21Aと同様に、前フレーム5の左右両側端から横外方への張り出し量が制限されている。これにより、ボンネット6は、左右の張出部6Aにおける下端の張り出し量(左右幅W)が、支持プレート21における左右の張出部21Aの張り出し量(左右幅)と同じに設定されている。
【0027】
図示は省略するが、変速ユニット7は、エンジン4からの動力を走行用に変速する走行伝動系と作業用に変速する作業伝動系とを有している。走行伝動系には、エンジン4からの動力を変速する油圧-機械式の無段変速装置(HMT)、無段変速装置による変速後の動力を前進用と後進用とに切り換える前後進切換装置、及び、前後進切り換え後の動力を前輪駆動用に変速する前輪伝動系と後輪駆動用に変速する後輪伝動系、などが含まれている。前輪伝動系には、前輪駆動用の動力を変速する前輪用変速装置、及び、変速ユニット7からの前輪駆動用の動力の取り出しを可能にする出力軸、などが含まれている。そして、出力軸から取り出された前輪駆動用の動力が、前車軸ケース10に内蔵された前輪用差動装置などを含む前輪駆動系を介して左右の前輪2に伝えられる。後輪伝動系には、変速ケース16の後部に内蔵された後輪用差動装置、及び、左右の後車軸ケースに内蔵された左右の減速装置、などが含まれている。そして、左右の減速装置による減速後の動力が後輪駆動用として左右の後輪3に伝えられる。作業伝動系には、エンジン4からの動力を断続する作業用クラッチ、作業クラッチを経由した動力を作業用に変速する作業用変速装置、及び、変速ユニット7からの作業用の動力の取り出しを可能にするリアPTO軸(図示せず)、などが含まれている。
【0028】
図1に示すように、運転部8には、前輪操舵用のステアリングホイール22や運転者用の座席23などが備えられている。ステアリングホイール22は、
図2~6に示す全油圧式のパワーステアリング機構24や左右の前輪ギアケース11などを介して左右の前輪2に連係されている。パワーステアリング機構24は、前車軸ケース10に支持された前輪操舵用の油圧シリンダ25や、油圧シリンダ25から左右の前輪ギアケース11にわたる左右のタイロッド26などを有している。油圧シリンダ25は、前フレーム5と前車軸ケース10と前ブラケット12との間に形成された空間に配置されている。
【0029】
図1に示すように、トラクタ1の後部には、リアマウント式のインプルメント(図示せず)の連結を可能にするリアリンク機構27が備えられている。リアリンク機構27は、単一のトップリンク28と左右のロアリンク29とを有する3点リンク式に構成されている。トップリンク28及び左右のロアリンク29は、変速ケース16の後端部に上下揺動可能に連結されている。変速ケース16の後端部には、前述したリアPTO軸が備えられている。これにより、このトラクタ1の後部には、リアマウント式のインプルメントを昇降可能に連結することができる。そして、インプルメントが外部動力で駆動される駆動式である場合には、リアPTO軸から取り出した作業用の動力によってインプルメントを駆動させることができる。
【0030】
なお、リアマウント式のインプルメントには、ロータリ耕耘装置、プラウ、ディスクハロー、カルチベータ、サブソイラ、播種装置、散布装置、オフセットモア、などがある。
【0031】
図1~7に示すように、トラクタ1の前部には、フロントマウント式のインプルメント100の連結を可能にする連結ユニット30が備えられている。これにより、このトラクタ1は、例えば
図1に示すように、その前部にフロントマウント式のインプルメント100の一例であるスノーブロア110が連結ユニット30を介して連結された場合には、スノーブロア110によって除雪作業を行う除雪機として使用することができる。
【0032】
図1に示すように、スノーブロア110には、連結ユニット30に着脱可能に連結されるヒッチ111、エンジン4からの動力が入力される入力軸112、前方の積雪を破砕しながら後方に掻き込むオーガ113、掻き込まれた雪を上方に跳ね飛ばすブロワ114、及び、跳ね飛ばされた雪を案内して設定方向に放出するシュータ115、などが備えられている。
【0033】
図1~7に示すように、連結ユニット30は、前フレーム5の前部側に連結される支持フレーム31、トラクタ1の前方に配置されるスノーブロア110を昇降可能に支持するフロントリンク機構32、フロントリンク機構32を介してスノーブロア110を昇降駆動する左右一対の油圧シリンダ(アクチュエータの一例)33、及び、エンジン4からスノーブロア110への伝動を可能にする伝動ユニット34、などが備えられている。
【0034】
図3~7に示すように、支持フレーム31は、前フレーム5の前端部に連結される平面視矩形状の支持枠35と、前フレーム5と支持枠35とに連結される左右の支持プレート36とを有している。支持枠35は、その後端部が前フレーム5の前端部に連結されている。支持枠35は、その前端の左右中央部から前方に延出する左右の支持ブラケット35Aを有している。左右の支持プレート36は、それらの前部側が支持枠35における左右の側端部に連結され、それらの後部側が前フレーム5における左右の側端部に連結されている。左右の支持プレート36は、それらの前部側が下方に延出し、それらの下端部に軸支用の第1ボス部36Aが備えられ、それらの上下中間部に軸支用の第2ボス部36Bが備えられている。左右の支持プレート36は、それらの後部から横外方に突出する支軸部36Cを有している。
【0035】
図1~7に示すように、フロントリンク機構32は、単一のトップリンク37と左右のロアリンク(揺動リンクの一例)38とを有する3点リンク式に構成されている。フロントリンク機構32は、車体の左右方向に延びる第1支軸39と第2支軸40、第2支軸40を支点にして揺動する左右のリフトアーム41、リフトアーム41からロアリンク38の前後中間部にわたる左右のリフトロッド42、及び、左右のロアリンク38の振れを規制する左右のスタビライザ43(
図7参照)、などを有している。
【0036】
図3~4に示すように、トップリンク37は、左右の支持ブラケット35Aに上下揺動可能にピン連結され、トップリンク37の遊端部がスノーブロア110におけるヒッチ111の上部にピン連結されている。左右の支持ブラケット35Aには、トップリンク37の上下方向での位置変更を可能にする3つの連結孔35Bが、上下方向に所定間隔をあけて形成されている。左右のロアリンク38は、第1支軸39を支点にして上下方向に揺動する。左右のロアリンク38は、それらの遊端部がスノーブロア110におけるヒッチ111の下部にピン連結されている。これにより、左右のロアリンク38は、第1支軸39からスノーブロア110に架設されている。
【0037】
図3~7に示すように、第1支軸39は、左右の支持プレート36の第1ボス部36Aにわたるとともに、その左右の両端部が左右の第1ボス部36Aから横外方に突出している。そして、第1支軸39の左右の両端部が、左右のロアリンク38を上下揺動可能に支持する支持部として機能する。第1支軸39は、ボンネット6の下方でボンネット6の前端よりも車体後側の位置に配置されている。詳しくは、第1支軸39は、前ブラケット12の下端よりも下方で前車軸ケース10の下端よりも上方の位置で、かつ、前ブラケット12の前端よりも車体後側で前車軸ケース10よりも車体前側の位置に配置されている。
【0038】
図2~6に示すように、第2支軸40は、左右の支持プレート36の第2ボス部36Bにわたるとともに、その左右の両端部が左右の第2ボス部36Bから横外方に突出している。そして、第2支軸40の左右の両端部が、左右のリフトアーム41を揺動可能に支持する支持部として機能する。第2支軸40は、ボンネット6の下方における第1支軸39よりも上方で、かつ、第1支軸39よりも車体前側の位置に配置されている。
【0039】
図2~3、
図5~6に示すように、左右のリフトアーム41は、第2支軸40の左右の両端部に支持されることにより、左右の支持プレート36の外側面に隣接している。左右のリフトアーム41は、第2支軸40から上方に延びて油圧シリンダ33に連結される第1アーム部41Aと、第2支軸40から車体前側に延びてリフトロッド42を支持する第2アーム部41Bとを有している。左右のリフトアーム41は、第2アーム部41Bにおける第2支軸40からリフトロッド42までの長さが、第1アーム部41Aにおける第2支軸40から油圧シリンダ33までの長さよりも長くなっている。
【0040】
左右の油圧シリンダ33は、車体の前後方向に伸縮する前後向き姿勢でボンネット6の下方に配置されている。左右の油圧シリンダ33は、それらのシリンダチューブ33Aの後端部が、左右の支持プレート36の後部に備えられた支軸部36Cに支持されている。左右の油圧シリンダ33は、それらのピストンロッド33Bの前端部が、左右のリフトアーム41における第1アーム部41Aの遊端部にピン連結されている。左右の油圧シリンダ33は、前フレーム5の上下幅内に配置され、かつ、左右の前輪2よりも車体の左右中央側で、左右の前輪の右最大切れ角位置と左最大切れ角位置との間の位置に配置されている。左右の油圧シリンダ33は、それらのシリンダチューブ33Aの外径が前述したボンネット6の左右の張出部6Aにおける下端の左右幅Wよりも短い小径に設定されている。
【0041】
図4~6、
図8~9に示すように、伝動ユニット34は、前述した前ブラケット12との間に第2支軸40の配置を可能にする前後間隔を置いて前フレーム5の前端部に連結されている。伝動ユニット34は、その上部が前述した支持枠35の内部に位置し、その上部の後端部が支持枠35の後端部を介して前フレーム5の前端部に連結されている。伝動ユニット34には、支持枠35の後端部にボルト連結される伝動ケース44、エンジン4からの動力が入力される入力軸45、入力軸45からの動力を断続する油圧式の作業クラッチ46、作業クラッチ46を経由した動力を減速するギア式の減速機構47、及び、減速機構47による減速後の動力の取り出しを可能にするフロントPTO軸48、などが備えられている。
【0042】
図8~9に示すように、伝動ユニット34は、減速機構47が正回転動力取り出し用と逆回転動力取り出し用とに変更可能に構成され、この変更により、正回転動力取り出し仕様と逆回転動力取り出し仕様とに仕様変更可能に構成されている。
具体的には、減速機構47は、正回転動力取り出し用においては、
図8に示すように、作業クラッチ46を介して入力軸45と一体回転する従動軸49、従動軸49とフロントPTO軸48との間に配置される第1中継軸50、従動軸49と一体回転する第1減速ギア51、第1減速ギア51と噛み合い連動する第2減速ギア52、第2減速ギア52と第1中継軸50を介して一体回転する第3減速ギア53、及び、第3減速ギア53と噛み合い連動し、かつ、フロントPTO軸48と一体回転する第4減速ギア54、などが備えられている。これにより、減速機構47は、正回転動力取り出し用においては、エンジン4からの動力を、所定の減速比で減速した後に、正回転動力としてフロントPTO軸48に伝えることができる。
減速機構47は、逆回転動力取り出し用においては、
図9に示すように、正回転動力取り出し用の構成部品に加えて、第1中継軸50の横側方に平行に配置される第2中継軸55、及び、等速伝動用の第1等速ギア56と第2等速ギア57、などが備えられている。そして、正回転動力取り出し用の伝動構成に代えて、第2減速ギア52が第1中継軸50を介して第1等速ギア56と一体回転し、第1等速ギア56が第2等速ギア57と噛み合い連動する。又、第2等速ギア57が、第2中継軸55を介して第3減速ギア53と一体回転する。これにより、減速機構47は、逆回転動力取り出し用においては、エンジン4からの動力を、正回転動力取り出し用の場合と同じ所定の減速比で減速した後に、逆回転動力としてフロントPTO軸48に伝えることができる。
【0043】
図4、
図6に示すように、伝動ユニット34の入力軸45は、伝動ケース44の上部から後向きに突出している。入力軸45には、エンジン4からの動力が伝動軸58などを介して伝えられている。伝動軸58は、前述した支持部材20に形成された凹部20Cに入り込んでいる。
図1、
図4~5に示すように、フロントPTO軸48は、伝動ケース44の下部から前向きに突出している。フロントPTO軸48は、伸縮可能な外部伝動軸59などを介してスノーブロア110の入力軸112に伝動可能に連結されている。
【0044】
以上の構成により、このトラクタ1においては、フロントリンク機構32の第1支軸39が、ボンネット6の前端よりも車体後側に位置する前車軸ケース10の近くに配置されていることから、スノーブロア110などのインプルメント100の昇降ストロークを長くするために、各ロアリンク38の第1支軸39から車体前方への延出長さを長くしても、各ロアリンク38における車体の前端から車体後側への入り込み長さが長くなり、これに応じて、各ロアリンク38における車体の前端から車体の前方に延出する延出部分の長さが短くなる。その結果、フロントリンク機構32やインプルメント100を含む車体の全長が短くなり、インプルメント100が連結されたトラクタ1の運転や輸送が行い易くなる。
又、インプルメント100の昇降ストロークが長くなることで、使用可能なインプルメント100の種類が多くなり、これにより、トラクタ1による作業の多様性を図ることができる。ちなみに、このトラクタ1において使用可能なフロントマウント式のインプルメント100には、前述した
図1に示すスノーブロア110以外に、
図10に示すバランスウェイト120や
図11に示すフロントブレード130、図示しないフロントモア、フロントバケット、フロントスイーパ、フロントカルチベータ、などがある。
そして、各ロアリンク38の長さが長くなることにより、インプルメント100が昇降するときの昇降移動量に対する車体前後方向への移動量を小さくすることができる。又、第1支軸39が前車軸ケース10の下端よりも上方の比較的高い位置に配置されることにより、各ロアリンク38の上昇揺動によるインプルメント100の上昇駆動時には、その上昇に伴うインプルメント100の車体側への変位を抑制することができる。その結果、使用可能なインプルメント100の種類を多くしながらも、インプルメント100の昇降駆動時にインプルメント100が車体に接触する虞を回避し易くなる。
【0045】
又、このトラクタ1においては、第1支軸39が左右の支持プレート36の下端部に備えられた第1ボス部36Aにわたることにより、第1支軸39が左右の支持プレート36の下端部を連結する連結部材を兼ねている。更に、第2支軸40が左右の支持プレート36の上下中間部に備えられた第2ボス部36Bにわたることにより、第2支軸40が左右の支持プレート36の上下中間部を連結する連結部材を兼ねている。その結果、左右の支持プレート36を連結する専用の部材を設けることなく、左右の支持プレート36の強度を高めることができる。
【0046】
更に、このトラクタ1においては、左右一対の油圧シリンダ33が、車体の前後方向に伸縮する前後向き姿勢でボンネット6の下方に配置されていることにより、各油圧シリンダ33の位置が、ボンネット6の下方に入り込んだ各ロアリンク38の揺動支点側に近くなり、これにより、各油圧シリンダ33の伸縮動作を各ロアリンク38の揺動支点側に伝え易くなる。
そして、左右一対の油圧シリンダ33が配置されるボンネット6の下方の位置が、左右の前輪2よりも車体の左右中央側で、前輪2の右最大切れ角位置と左最大切れ角位置との間の位置であることから、左右の前輪2のトレッドを広くすることなく、左右の油圧シリンダ33が操舵可能な左右の前輪2と干渉する虞を回避することができる。
又、各油圧シリンダ33におけるシリンダチューブ33Aの外径が前述したボンネット6の左右の張出部6Aにおける下端の左右幅Wよりも短い小径に設定されていることから、ボンネット6の下方における左右の張出部6Aの左右幅W内で、かつ、前フレーム5の上下幅内の空間を各油圧シリンダ33の配置スペースに有効利用することができる。
しかも、油圧シリンダ33が左右一対であることにより、各油圧シリンダ33が、各張出部6Aの左右幅W内に配置可能な小径で出力の小さいものであったとしても、重量の大きいインプルメント100を速やかに昇降駆動させることができる。
【0047】
その上、このトラクタ1においては、インプルメント100の昇降駆動時には、各油圧シリンダ33の車体前後方向での伸縮動作が、各リフトアーム41のアーム比に応じて増幅されながら各第2アーム部41Bの上下揺動に変換される。又、各第2アーム部41Bの上下揺動が、左右のロアリンク38に対する各リフトロッド42の連結位置に応じて増幅されながら各ロアリンク38の上下揺動に変換される。その結果、各油圧シリンダ33として伸縮ストロークの短い小型のものを採用しても、インプルメント100の昇降ストロークを長くすることができる。つまり、左右の油圧シリンダ33として、ボンネット6の下方に配置し易い伸縮ストロークの短い小型のものを採用しながらも、使用可能なインプルメント100の種類を多くすることができ、トラクタ1による作業の多様性を図ることができる。
【0048】
そして、このトラクタ1においては、伝動ユニット34が、前車軸ケース10を支持する前ブラケット12との間に第2支軸40の配置を可能にする前後間隔を置いて前フレーム5の前端部に連結されていることから、インプルメント100がエンジン4からの動力で駆動されるスノーブロア110やフロントモアなどの駆動式の作業装置であっても、フロントリンク機構32の構成に支障を来たすことなく、エンジン4からの動力で作業装置を駆動させることができる。
【0049】
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
なお、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0050】
(1)作業車両1の構成は種々の変更が可能である。
例えば、作業車両1は、左右の後輪3に代えて左右のクローラを備えるセミクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、左右の前輪2及び左右の後輪3に代えて左右のクローラを備えるフルクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、エンジン4と電動モータとを備えるハイブリッド仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、左右の前輪2が駆動されない二輪駆動式に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、自動運転システムを備えて自動走行可能に構成されていてもよい。
【0051】
(2)フロントリンク機構32の構成は種々の変更が可能である。
例えば、フロントリンク機構32は、トップリンク37を備えずに、左右の揺動リンク38が備えられた2点リンク式に構成されていてもよい。
例えば、フロントリンク機構32は、単一のアクチュエータ33によって左右の揺動リンク38が揺動駆動される構成であってもよい。
例えば、フロントリンク機構32は、左右の揺動リンク38と一体揺動する操作アームを有して、操作アームがアクチュエータ33によって直に揺動駆動される構成であってもよい。
【0052】
(3)フロントリンク機構32における第1支軸39の位置は、ボンネット6の下方でボンネット6の前端よりも車体後側の位置であれば種々の変更が可能である。
例えば、第1支軸39は、ボンネット6の下方におけるボンネット6の前端よりも車体後側で、かつ、前フレーム5の前端よりも車体前側の位置に配置されていてもよい。
例えば、第1支軸39は、ボンネット6の下方における前フレーム5の前端よりも車体後側の位置に配置されていてもよい。
例えば、第1支軸39は、ボンネット6の下方における伝動ユニット34と前車軸ケース10を支持する前ブラケット12との間の位置に配置されていてもよい。
例えば、第1支軸39は、前フレーム5と前車軸ケース(前輪支持部材)10と前ブラケット12との間に形成された空間に配置されていてもよい。
例えば、第1支軸39は、前車軸ケース(前輪支持部材)10と同等の高さ位置に配置されていてもよい。
【0053】
(4)フロントリンク機構32における第2支軸40の位置は、ボンネット6の下方でボンネット6の前端よりも車体後側の位置であれば種々の変更が可能である。
例えば、第2支軸40は、ボンネット6の下方における第1支軸39よりも車体後側の位置に配置されていてもよい。
例えば、第2支軸40は、前フレーム5と前車軸ケース(前輪支持部材)10と前ブラケット12との間に形成された空間に配置されていてもよい。
【0054】
(5)アクチュエータ33の構成及び配置は種々の変更が可能である。
例えば、アクチュエータ33は、電動モータと電動モータによって伸縮駆動されるシリンダ部とを有する電動シリンダであってもよい。
例えば、アクチュエータ33は、シリンダチューブ33Aの外径が前述したボンネット6の張出部6Aの左右幅Wよりも長い大径に設定された油圧シリンダ33であってもよい。
例えば、アクチュエータ33は単一のものであってもよい。
例えば、アクチュエータ33は、前フレーム5における左右のサイドプレート18の間に配置されていてもよい。
例えば、アクチュエータ33は、ボンネット6の下方におけるボンネット6と前車軸ケース(前輪支持部材)10との間の位置に、前下がり姿勢で配置されていてもよい。
例えば、アクチュエータ33は、ボンネット6の内部に配置されていてもよい。
【0055】
(6)前フレーム5は、インプルメント100がエンジン4からの動力を必要としないフロントブレード130などの非駆動式の作業装置である場合には、伝動ユニット34の代わりに、前フレーム5の前端部を形成する鋳物製のウェイトベースが連結されて、ウェイトベースの前端位置がボンネット6の前端位置と車体前後方向で一致又は略一致するように構成されていてもよい。
【0056】
(7)伝動ユニット34は、ベルト伝動式に構成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
3 前輪
4 エンジン
5 前フレーム
6 ボンネット
6A 張出部
10 前車軸ケース(前輪支持部材)
12 前ブラケット
13 後ブラケット
32 フロントリンク機構
33 油圧シリンダ(アクチュエータ)
33A シリンダチューブ
34 伝動ユニット
38 揺動リンク(ロアリンク)
39 第1支軸
40 第2支軸
41 リフトアーム
41A 第1アーム部
41B 第2アーム部
42 リフトロッド
100 インプルメント