(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】皮膚組織の低温処置のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61F 7/10 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
A61F7/10 300L
A61F7/10 300H
A61F7/10 310Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019028450
(22)【出願日】2019-02-20
(62)【分割の表示】P 2017101620の分割
【原出願日】2012-11-16
【審査請求日】2019-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2011-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ロックス・アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・マンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・エイチエル・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ティン
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】栗山 卓也
【審判官】平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/017477(WO,A2)
【文献】特開2006-130055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚組織の色素沈着の外観を明るくするために、前記皮膚組織の制御された凍結を行うための皮膚処置装置であって、
前記皮膚処置装置の取り扱い及び位置決定を容易にするように構成されたハンドルと、
連続的な皮膚接触下部表面を有する冷却プレートであって、前記下部表面が前記冷却プレートの底面全体にわたって延在し、前記冷却プレートの前記下部表面が前記皮膚組織の表面と連続的に接触するように構成された、冷却プレートと、
前記皮膚組織の色素沈着の外観を明るくするために、前記皮膚組織と前記下部表面との間の連続的な接触の間に、前記皮膚組織の連続的な領域の凍結を局所的に制御できるように前記皮膚組織からの制御された熱除去を提供するために、前記冷却プレートに結合され、前記冷却プレートを-5から-20℃の間の温度まで冷却するように構成され
、前記冷却プレートが前記皮膚組織の局所凍結の開始後、1分未満の持続時間の間、前記皮膚組織への接触するように提供される、ペルチェ素子と、
フィードバック制御を提供するように構成されたセンサと、を含む、皮膚処置装置。
【請求項2】
前記センサと前記ペルチェ素子とに結合された制御構成部をさらに含み、前記制御構成部が、前記皮膚処置装置の前記冷却プレートを所定の温度に維持するように構成された、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項3】
前記センサが、サーミスタ、抵抗温度検出器または熱電対を含む、請求項2に記載の皮膚処置装置。
【請求項4】
前記制御構成部が、前記ペルチェ素子の動作を制御するために、比例、積分及び/または微分フィードバック手順を使用するように構成された、請求項2に記載の皮膚処置装置。
【請求項5】
前記皮膚処置装置の前記冷却プレートが、伝導によって熱を前記連続的な皮膚接触下部表面から前記ペルチェ素子へ移送する、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項6】
前記冷却プレートがアルミニウムプレートを含む、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項7】
前記冷却プレートが、数ミリメートルの大きさの一定の厚さの薄いプレートを含む、請求項6に記載の皮膚処置装置。
【請求項8】
処置の間に、前記ペルチェ素子への出力を変化させるように構成された熱制御構成部をさらに含む、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項9】
前記熱制御構成部が、前記センサからの温度センサ信号に基づいて、前記出力の減少または増加の少なくとも一方を行うように構成された、請求項8に記載の皮膚処置装置。
【請求項10】
前記熱制御構成部が、前記センサからの前記温度センサ信号に基づいて、出力をオフにするように構成された、請求項9に記載の皮膚処置装置。
【請求項11】
前記熱制御構成部が、前記センサからの温度センサ信号に基づいて、出力のデューティサイクルパラメータを切り替えるように構成された、請求項8に記載の皮膚処置装置。
【請求項12】
前記センサと前記ペルチェ素子とに結合された熱制御構成部をさらに含み、前記制御構成部が、前記センサから受け取った温度信号に基づいて、前記ペルチェ素子を制御し、冷却温度、冷却時間または冷却持続時間を含む少なくとも1つのパラメータを改善するように構成された、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項13】
前記センサと前記ペルチェ素子とに結合された熱制御構成部をさらに含み、前記制御構成部が、(i)前記ペルチェ素子を制御し、(ii)前記センサから受け取った信号に基づいて、前記ペルチェ素子の設定点温度または冷却時間を改善するように構成された、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項14】
前記センサが温度センサを含む、請求項13に記載の皮膚処置装置。
【請求項15】
処置時間の経過後、前記組織を温めるように構成された加熱構成部をさらに含む、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項16】
前記冷却プレートの前記下部表面が、20cm未満の幅である、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項17】
前記冷却プレートの前記下部表面が、5cm未満の幅である、請求項16に記載の皮膚処置装置。
【請求項18】
前記下部表面が、直線状の縁及び、平坦、凸面または凹面の表面を有する、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項19】
前記冷却プレートが、前記ペルチェ素子の底面全体を覆い、底面全体と熱的に連通する、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項20】
前記冷却プレートの前記下部表面が、前記皮膚組織よりも少なくとも10倍大きな熱拡散率を有する材料を含む、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項21】
前記皮膚組織の局所的に制御された凍結が、前記皮膚への損傷を避け、または最小化する、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項22】
前記皮膚組織の前記局所的に制御された凍結が、少なくとも基底層まで前記皮膚組織を凍結する、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項23】
前記皮膚組織の前記局所的に制御された凍結が、少なくとも真皮と表皮との接合部まで前記皮膚組織を凍結する、請求項22に記載の皮膚処置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年11月16日に出願された米国仮特許出願第61/560,632号に関連するとともに優先権を主張し、その開示の全体が本明細書に参照によって完全に組み込まれている。
【0002】
本開示は皮膚の外観を改善するための美容の方法及び装置に関する。より具体的には、本開示は色素沈着に影響を与えるため、例えば皮膚の外観を明るくするために皮膚組織を冷却し及び/または凍結するように適合されたそのような方法及び装置の例示的な実施形態に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚組織のような生体組織の制御された凍結は、様々な効果を可能とする。従来のクライオプローブのような特定の組織凍結手順及びデバイスは、皮膚の強い凍結を引き起こしたり、細胞の損傷を発生させたりする可能性がある。適度な凍結は、皮膚の色素沈着の拡大に影響を与えるような特定の効果を発生させる可能性があることが分かっている。
【0004】
皮膚の外観を明るくすることができ、またはそうでなければ皮膚の色素沈着に制御可能に影響を与えることができる美容製品の需要がある。例えば、美容上の理由で外観全般を変化させるために皮膚の色全体または皮膚の一部の領域の色を明るくすることが望ましいことがありうる。また、皮膚内の色素の局所的な量が過剰であることによる、大きなそばかす、「カフェオレ」斑点、肝斑または目の下のくまのような皮膚の特定の色素過剰領域を明るくすることも、美容上の理由で望ましいことがありうる。色素過剰は、UVへの露出、老化、ストレス、外傷、炎症などのような様々な因子から引き起こされる可能性がある。そのような因子は、メラニン細胞による皮膚内のメラニンの過剰生成またはメラニン形成につながる可能性があり、このことは色素過剰領域の形成につながる可能性がある。そのような色素が過剰な領域は、典型的には表皮内に局在する。しかしながら、これらはまた真皮内に沈着された過剰なメラニンに起因する可能性もある。染みを明るくし、そのような過剰色素沈着の効果を低減させると主張する多くの局所製剤が市販されている。しかしながら、これらの美容製剤は効果に疑問が持たれうる。
【0005】
皮膚組織の色素沈着減少は、低温手術手法において発生しうるような、組織の一時的な冷却または凍結に対する副作用として観察されてきた。皮膚の冷却または凍結に続く色素の減少は、メラノソーム産生の減少、メラニン細胞の破壊または表皮層の下部領域内におけるケラチン生成細胞内へのメラノソームの移動の抑制に起因する可能性がある。その結果として色素沈着減少は、長時間持続しまたは永続的でありうる。これらの凍結手法のいくつかは皮膚組織の色素過剰沈着の領域を発生させる可能性も観察されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、制御された皮膚またはその他の組織の凍結を提供することが可能な例示的な方法及び装置並びに本明細書において上述した欠点や問題点の少なくともいくつかに対処し及び/または解決することが可能な皮膚組織を段階的に明るくすることを提供する必要がありうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において説明される実施形態は、美容的な方法及び装置に関連する。本明細書に記載された特徴及び実施形態の様々な組み合わせは、その全てが詳細に記載されているとは限らないが、相乗効果を発生させることがありうる。さらに、方法に関する本開示の全ての実施形態が、記載された通りの段階の順序で実行されうるが、このことは本方法の段階の唯一かつ本質的な順序である必要はないことに注意すべきである。本方法の段階の異なる順序及び組み合わせの全てが合わせて説明される。
【0008】
本開示の例示的な実施形態は、皮膚組織の制御された冷却及び凍結のための非侵襲的な方法及び装置に関連し、これは、低温技術を用いることにより、皮膚の領域の色素沈着全体を低減することができる。本開示の1つの例示的な実施形態において、皮膚の外観を明るくするために皮膚の大きな連続的な領域を冷却し、または凍結するための装置が提供可能である。
【0009】
本開示の例示的な実施形態によれば、本装置は、好適には大きな熱拡散率、例えば皮膚組織よりも少なくとも10倍大きな熱拡散率を有する材料から少なくとも部分的に形成される冷却プレートを含むことができる。例えば、冷却プレートは少なくとも部分的に真鍮、金、銀、銅、アルミニウムまたは類似の材料、ダイヤモンドまたはダイヤモンドライクカーボン、凍結材料またはダイヤモンドのような高い熱拡散率を有するその他の材料などの金属または合金から形成可能である。プレートの底面は、皮膚の領域の表面に、約3cmよりも大きな直径もしくは幅で、または約5cmよりも大きな直径または幅で接触するように構成可能であり、それによって皮膚の大きな面積の均一な処置が容易になる。底部または皮膚と接触する表面に沿ったプレートの幅は、例えば、約20cm未満、15cm未満、10cm未満、8cm未満または5cm未満とすることができる。そのような寸法は、合理的な時間で皮膚の大きな面積を処置するのに十分大きいものであることができる一方で、正確な温度及びプロセス制御を容易にでき、及び/または皮膚の表面の形状により良好に追従できるほど十分小さいものであることができる。装置に対して絶縁性のハンドルまたはカバーが、装置の取り扱いまたは位置決定を容易にするために提供されることができる。例示的な装置は、プレートが0℃未満の温度まで冷却されるように、冷凍機内に配置され、次いでプレートの底面が処置をする皮膚の領域に接触するように位置決めされることが可能である。
【0010】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、冷却構成部が、装置内に提供されることができる。冷却構成部は、例えば、冷却プレートに熱的に接触したリザーバーを含むことができる。特定の例示的な実施形態において、1つ以上のそのようなリザーバーが冷却プレート内に形成されることができる。塩溶液、水とアルコールの混合物、水とグリコールの混合物またはその類似のもののような冷却材またはその他の熱吸収媒質が、プレートを冷却するためにリザーバー内に提供されることができる。任意選択的に、冷却された冷却材は、リザーバー及び/またはリザーバー内に形成された1つ以上のダクトを通して循環することができ、プレートの連続的な冷却を提供する。冷却構成部は、冷却プレートが皮膚と接触している間、冷却プレートの特定の温度を制御し及び/または維持するように構成されることができる。
【0011】
本開示の他の例示的な実施形態において、ペルチェデバイスまたはその他の冷却装置または冷却源が、プレートと熱的に接触して冷却するように提供可能である。特定の実施形態において、冷却プレートは省略されてもよく、冷却装置の底面は皮膚の表面上に直接配置するように構成することが可能である。
【0012】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、美容の方法は皮膚の組織に色素沈着の減少を引き起こすように提供されることができる。1つの例示的な実施形態において、皮膚の領域を冷却及び/または凍結して局所的な色素沈着減少効果を引き起こすことを含む、皮膚の外観を明るくするための方法が提供されることができる。さらに、明るくすることは皮膚の特定の領域を2回以上処置することによって達成することができる。
【0013】
本開示のまたさらなる例示的な実施形態において、美容の方法は皮膚組織の領域を、例えば少なくとも基底層の深さまで、例えば少なくともおよそ真皮・上皮接合部の深さまで凍結することを含むことができ、これによって色素沈着減少の効果を提供できる。この凍結は、皮膚表面を冷却体、例えば冷却プレートまたは冷却システムもしくは冷却装置の一部に接触することによって好適には達成することができ、冷却体は約-5℃またはそれよりも低い温度、例えば約-7℃から-10℃の間で提供される。特定の実施形態において、約-15℃から-20℃程度の低温を用いることができる。冷却時間または処置時間は、局所組織の凍結が始まってから、冷却体が皮膚表面に接触される持続時間に相当することができるが、冷却体の温度が約-7℃から-10℃である場合に、約2分より短くすることができ、または好適には約1分よりも短くすることができ、例えば約30秒から1分の間とすることができる。冷却体がより低い温度で提供される場合には、より短い冷却時間を用いることが可能であり、例えば、冷却体の温度が約-15℃から-20℃の間であるときには約30秒よりも短く、または約15秒よりも短いものであってさえもよい。そのような温度及び時間は、皮膚の複数の領域を順に容易に冷却できるほど十分速い一方で、皮膚組織に色素沈着減少反応を引き起こさせることができる。最小寸法、最大寸法、冷却時間及び温度に関する上述の特徴は、本開示の開示内容から逸脱することなく当業者が任意に組み合わせることが可能である。
【0014】
例えば、1つ以上の温度センサ及び/もしくは光学センサ、またはその他の種類のセンサが、冷却プレートまたは冷却装置が皮膚表面に接触して配置されている間、冷却プレートまたは冷却装置の温度を制御し、接触した/冷却した組織の局所温度を検出し、及び/または皮膚組織の局所的な凍結を検出するために提供可能である。処置時間は、冷却の初期化に関連して、例えば、局所組織の凍結が始まった後に冷却物体と皮膚表面との間の接触時間の持続時間として、決定することができる。温度は接触センサ、非接触センサまたはその両方を用いて測定することが可能である。特定の処置時間が経過した後に凍結組織を温めるために加熱構成部が任意に提供可能である。フィードバック信号が生成され、冷却装置に送信されて、望ましくないまたは過剰な冷却を防止する。換言すれば、処置を受ける人に危険やリスクを生じさせないために安全な処置手順を確実に行うために、フィードバック制御が提供可能である。
【0015】
本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、そのような凍結の開始時における組織凍結の検出のための方法及び装置が提供される。そのような凍結検出は、温度制御及び/またはフィードバック、光学検出及び/または電気的な測定及び/または皮膚組織の機械的インピーダンスを含むことができ、以下により詳細に説明される。
【0016】
この例示的な方法は、色素除去された領域を形成することによって、処置される皮膚の領域を漸次明るくすることを提供することができる。さらに、領域を明るくするために複数の処置を用いることができる。本明細書で説明された例示的な方法及び装置はまた、凍結した組織の小さな領域内の反応を刺激することによって、皮膚の全体的な外観を改善しうる。
【0017】
本明細書で説明された美容の方法は試験をされたものであり、美容院またはその他の設定において利用可能である安全で通常の手順であることに、さらに注意すべきである。例示的な方法は、非侵襲的な方法とすることができる。さらに、例示的な方法は、非侵襲的であるため安全なものとすることができ、実質的に健康へのリスクを呈さず、実施において専門家の医療に関する専門知識を必要としない。本明細書で説明される例示的な方法の実施形態を実施するのに医療従事者は必要とされず、以下の説明で明らかになるように、この美容の方法で処置される人には何の危険性もなく、健康の危険性も非常に少ない。
【0018】
本開示のこれらの、またその他の対象、特徴及び利点は、添付された特許請求の範囲と組み合わせて、以下の本発明の実施形態の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
【0019】
本開示のさらなる対象、特徴及び利点は、本開示の例示的な実施形態の具体例、結果及び/または特徴を示す添付した図面と組み合わせて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の例示的な実施形態に従う、皮膚組織内の色素沈着の減少を低温的に発生させるために使用可能な、第1の例示的な装置の側面図である。
【
図2】本開示の例示的な実施形態に従う、皮膚組織内の色素沈着の減少を低温的に発生させるために使用可能な、第2の例示的な装置の側方断面図である。
【
図3A】本開示の例示的な実施形態に従う、皮膚組織内の色素沈着の減少を発生させるために使用可能な、冷却プレートの第1の例示的な構成の底面図である。
【
図3B】本開示の例示的な実施形態に従う、皮膚組織内の色素沈着の減少を発生させるために使用可能な、冷却プレートの第2の例示的な構成の底面図である。
【
図3C】本開示の例示的な実施形態に従う、皮膚組織内の色素沈着の減少を発生させるために使用可能な、冷却プレートの第3の例示的な構成の底面図である。
【
図4】本開示の例示的な実施形態に従う、皮膚組織内の色素沈着の減少を低温的に発生させるために使用可能な、第3の例示的な装置の側方断面図である。
【
図5】本開示の例示的な実施形態に従う、皮膚組織内の色素沈着の減少を低温的に発生させるために使用可能な、第4の例示的な装置の側方断面図である。
【
図6】本開示の例示的な実施形態に従う、皮膚組織内の色素沈着の減少を低温的に発生させるために使用可能な、第5の例示的な装置の側方断面図である。
【
図7】本開示の例示的な実施形態に従う、皮膚組織内の色素沈着の減少を低温的に発生させるために使用可能な、第6の例示的な装置の側方断面図である。
【
図8】本開示の例示的な実施形態に従う装置によって生成された例示的なデータプロットであり、プロットは、生きたブタの皮膚の領域が皮膚の冷却及び局所凍結が開始するときの測定された表面温度及び光学反射の両方の変化を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を通して、同一の参照符号及び文字は、そうではないと記載されない限りは、図示された実施形態の同様の特徴、素子、構成要素、または部分を表すために用いられる。そのため同様の特徴は同一の参照符号で説明されることがあり、これを読む当業者に、明示的に説明されていなければ異なる実施形態間の特徴の交換が可能であることを示している。さらに、本開示はこれから図面を参照して詳細に説明されるが、例示的な実施形態と共になされ、図に示された特定の実施形態によって限定されるものではない。変更及び改良は、添付された特許請求の範囲に規定されるように、本開示の真の範囲及び思想を逸脱することなく説明された実施形態になされることが可能であると意図される。
【0022】
本開示の例示的な実施形態によれば、低温医療系の手法が、皮膚組織の領域を制御可能かつ非侵襲的に凍結させるために使用することが可能である。そのような凍結は、皮膚の外観全体を明るくすることができ、または過剰な色素を有する特定の皮膚の領域の全体的な暗さを減少させることができる。冷却体と接触する皮膚の領域は、その下にある皮膚の内部の色素の形成及び/または表出を抑制することができる。この効果は、処置される領域を長期間持続しまたは永続して明るくすることができる。
【0023】
図1は、本開示の例示的な実施形態に従う、制御可能に皮膚を凍結し、例えば皮膚組織内に色素沈着の減少を発生させるための例示的な装置100を示している。例示的な装置100は、冷却構成部120に取り付けられた接触プレート110を含むことができる。プレート110は、冷却構成部120と熱的に連通するように提供されることができる。特定の例示的な実施形態において、プレート110及び冷却構成部120は少なくとも部分的に単一の材料から形成可能である。任意のハンドル130は、プラスチックのような絶縁材料から形成可能であり、冷却構成部120に取り付けられて装置100の取り扱い及び位置決定を容易にすることが可能である。
図1に示された装置100は、必ずしも同一スケールで図示されていない。例えば、冷却構成部120及びプレートの一般的な寸法は、
図1に図示された比率に限定されない。1つの例示的な実施形態において、冷却構成部120は、横方向の寸法と比較して、上部から底部まで比較的厚い基板として提供されることができ、特定の実施形態においてプレート110よりもはるかに厚いものであってもよい。
【0024】
プレート110は、金属もしくは金属合金、または高い熱拡散率を有するその他の材料から形成可能であり、これらの熱物理的特性の値は皮膚組織の対応する値よりも大きい。例えば、プレート110は、真鍮、銅、銀、アルミニウム、グラファイト、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、従来の接触冷却プローブに用いられるその他の材料、またはそれらの組み合わせから形成することができる。冷却構成部120は、同一の材料または類似した熱物理的特性を有するその他の材料から形成することができる。例えば、プレート110は皮膚組織よりもずっと高い熱伝導率を有する材料から形成することができ、冷却プレート110が接触する組織の部分から熱を奪うことを促進するために用いることができる。さらに、皮膚の組織よりもずっと高い熱拡散率、例えば皮膚の少なくとも10倍の熱拡散率を有する材料が、低温に保持され、冷却プレート110が接触する皮膚の部分から熱を奪うことができる。
【0025】
装置100が処置される皮膚の領域に配置されたときに、皮膚組織に対して良好な熱的接触を提供できるように、プレート110の底面は、実質的に平面及び/またはわずかに曲面とすることができる。プレート110は、皮膚の領域の表面と接触するように構成された大きな幅または直径を有することができ、例えば直径または幅は約3cmよりも大きく、または約5cmよりも大きく、皮膚の大きな領域を処置することを容易にする。皮膚の表面に接触するように構成されたプレート110の表面の最大寸法は、例えば、約20cm、15cm、10cm、8cm、5cmまたは3cm、例えば約3cmから20cmの間とすることができる。そのような寸法は、正確な温度及びプロセス制御、並びに/または皮膚表面の形状に対してより良好な形状追従性を容易にする一方で、皮膚のより大きな領域の迅速な処置を提供することができる。
【0026】
プレート110は、銅、銀またはアルミニウムのような金属から形成することができる。プレート110の材料よりもさらに高い熱拡散率を有するその他の材料の層または被覆が、プレート110の底面上に任意に提供されることが可能である。例えば、ダイヤモンド及びダイヤモンドライクカーボンは、非常に高い熱拡散率を有し、プレート110の底面上のこれらの材料の1つの層は、冷却プレート110と処置される皮膚との間の熱移送を改善することができる。
【0027】
装置100を特定の温度まで冷却するために低温環境を提供することができる。例えば、例示的な装置100は、プレート110及び冷却構成部120を特定の温度まで冷却する冷凍機の内部に配置可能である。代替的に、プレート110及び/または冷却構成部120は、液体窒素のような冷媒をスプレーすることによって、またはアルコール及び水の冷却された溶液もしくは低温塩水溶液のような冷浴槽内に浸漬することによって冷却することができる。好適には、槽は所定の温度に維持することができる。冷却後、次いでプレート110の底面が所定の時間、色を明るくする皮膚の領域に対して押し付けられて皮膚組織の一部を局所的に冷却及び/または凍結させることができる。例えば、プレート110及び冷却構成部120は、好適には少なくとも-5℃またはそれよりも低い温度まで、例えば-5℃もしくは-7℃から-10℃の間、または-15℃から-20℃にさえ冷却され、装置100が皮膚表面に接触した状態にされると、プレート110は皮膚組織を十分冷却し、皮膚組織の少なくとも一部を凍結させることができ、これによって色素沈着の減少反応も引き起こすことができる。
【0028】
さらなる例示的な実施形態において、装置100及び冷凍容器、冷却された溶液またはスラッシュを収容する冷浴槽、導管循環冷却液体もしくはガス、またはその類似のもののような、上述の冷却環境を含む皮膚凍結システムを提供することができる。低温環境は、装置100を特定の温度まで冷却または予冷するように構成されることができる。さらなる実施形態において、そのような低温環境及び本明細書で説明した例示的な装置のいずれかを含むシステムが提供可能であり、低温環境はそのような装置の少なくとも一部を冷却または予冷するように構成可能である。
【0029】
図2に示されるさらなる例示的な実施形態において、装置200が提供され、装置200の冷却構成部120は、冷媒220を格納する中空リザーバー210を含むことができる。冷媒220は、例えば0℃よりも低い温度で凍結する材料とすることができる。そのような冷媒220は、リザーバー210内で凍結した場合、冷却構成部120及び/またはプレート110を、より長時間、より低い温度で冷却することを可能にすることができる。
【0030】
本開示のある例示的な実施形態において、冷媒220は、特定の温度または温度範囲、例えば少なくとも約-5℃、例えば約-7℃から-10℃または任意には約-15℃から-20℃で固液相変化を示すように選択することができる。例えば、例示的な装置200は、相変化温度または温度範囲まで温められると(初期にはより低い場合)、冷媒220はおよそ相変化温度で、または特定の相変化温度範囲内で、冷却構成部120及び/またはプレート110の温度をより長時間維持することができる(例えば、プレート110と処置される皮膚組織との間のより長い接触時間の間、または装置200の、処置される皮膚の複数の領域への適用の間)。皮膚組織から奪われた熱は、プレート110及び冷却構成部120を介して冷媒220に導かれることができ、冷媒220は、冷媒220の相変化が進む間比較的一定の温度で熱を吸収することができる。この例示的な構成は、装置200によって提供される温度差が実質的に一定に保たれるので、プレート110に接触する皮膚からの熱移送流率を予測可能かつ繰り返し可能なものとすることができる。この例示的な実施形態はまた、特定の温度または温度の狭い範囲内、例えば約-5または-7℃から-10℃の間で皮膚組織の上部の冷却及び/または凍結を提供することもできる。
【0031】
プレート110が比較的薄く、例えば数ミリメートル程度の場合、皮膚組織と冷却構成部120との間の熱伝導を改善することができる。装置200が皮膚表面と接触するように配置されたときに、そのような薄いプレート110は、皮膚の表面温度を冷却構成部120の低温により近づけた状態に保つことを可能とすることができる。本明細書に開示された様々な実施形態において、プレート110は(もし存在するならば)好適には皮膚表面と冷却構成部120との間の良好な熱的な連通を提供するように構成される。
【0032】
冷却構成部120と熱的に連通するように提供された例示的なプレート110の底面図が、
図3Aに示される。この実施形態におけるプレート110は、ほぼ円形の形状を有して提供可能である。
図3Bに示されたさらなる例示的な実施形態において、冷却構成部120の底部に提供されたプレート110は、実質的に正方形または長方形の形状を有して提供可能である。この例示的な形状のアスペクト比は、異なる実施形態において変更可能である。例えば、プレート110は
図3Bに示されるようにほぼ正方形とすることができ、または幅よりも長い長方形であってもよい。
図3Cに示されるまたさらなる実施形態において、プレート110は、実質的に六角形の形状を有して提供することも可能である。
図3B及び3Cに示されるように、プレート110の正方形、長方形または六角形の形状によって、皮膚組織の隣接する領域に装置200を順次配置することにより、皮膚組織のより大きな領域を均一に覆うことが可能となり、実質的に皮膚の所望の処置領域の全てが装置200によって、そのような処置領域の重なりがほとんどまたは全くない状態で冷却される。例えば、皮膚の特定の領域に形状を合わせるように、またより良好な接触及びより効果的な冷却を提供するために、その他のプレートの形状もまた提供可能である。プレート110の低い方の表面は平面とすることができ、または冷却される皮膚領域の起伏により良好に形状を合わせるために、曲面化または起伏ある状態(例えば凸面または凹面)とされるものであってもよい。
【0033】
例示的な装置100及び200は、皮膚のより大きな領域を実質的に均一に処理することを可能とする。例えば、装置100及び200は、接触表面の大きさよりも大きな領域を処置するために、皮膚の複数の隣接する領域に順次適用されてもよい。プレート110の周縁部近傍の端部伝導効果は、プレート周縁部に隣接する皮膚組織の領域において冷却の程度または熱の取出しをわずかに低下させることとなる可能性がある。皮膚上における装置100、200の連続的な配置が、これらの領域に幾分かの重畳を発生させる場合、そのような効果は、そのような領域における過剰冷却を防ぐ助けとなることができる。
【0034】
冷却構成部120及びプレート110の大きさはまた、処置される領域の大きさに部分的に基づいて選択されることも可能である。例えば、小さな領域の色素除去は、比較的小さい、例えば幅が3から5センチメートル程度の冷却構成部120及びプレート110を用いて達成することができる。より大きなプレート110(及びそれに対応してより大きな冷却構成部120)が、一回の適用で皮膚のより大きな領域を処置するために提供されることができ、隣接する皮膚処置領域に対して装置100、200の複数回の配置を必要とする、皮膚のより大きな領域について処置時間全体を低減することが可能となる。
【0035】
図3Aから3Cに関して上述したように、プレート110に関連する大きさ及び形状の様々な例示的な幾何学的特性は、本明細書で説明される様々な実施形態のいずれとも、共に用いることができる。
【0036】
例示的な装置100または例示的な装置200は、例えば装置全体を冷凍機内に配置することによって、及び/またはその他の低温材料または環境にさらすことによって冷却することが可能である。プレート110は、皮膚組織内の接触凍結を導入することができる温度まで冷却することが可能である。冷却構成部120もまた、同じ温度まで冷却することができる。装置100の一部(例えば、プレート110の下面)が皮膚組織と接触している間、プレート110を冷却された温度でまたは冷却された温度に近い状態で維持する助けとすることができる。装置100の一部(例えば、プレート110の下面)が皮膚組織と接触している間、冷却された冷却構成部120は、プレート110を冷却温度または冷却温度に近い状態に維持する助けとすることができる熱シンクまたはリザーバーを提供することができる。
【0037】
本開示のさらなる実施形態において、
図4Aに示されるように例示的な装置400が提供可能である。例示的な装置400の冷却構成部120は、それを通して1つ以上の導管または流路420を含むことができる。冷却された冷媒または冷却媒体は、流路を通って循環されて冷却構成部120及びプレート110を冷却することができ、任意にはそれらを特定の温度に維持することができる。冷媒は、本明細書で上述したような任意の冷媒、例えば塩溶液、水-アルコール混合物、水-グリコール混合物、スラッシュまたは相変化材料などであることができる。例えば、従来の流体ポンプ(図示されない)を、冷却構成部120内の流路420を通して冷媒または冷却媒体を循環させるために用いることができる。そのようなポンプは、装置400から離した状態で位置させることができ、または特定の実施形態においては、装置400に取り付けることが可能である。冷媒はまた、従来の技術を用いて絶縁され及び/または能動的に冷却されることができるリザーバー(図示されない)内に提供されることができる。装置はさらに、例えば本明細書で説明されたような能動冷却構成部に連通して提供された1つ以上の温度センサを用いて、冷媒を特定の温度に維持するように構成された熱制御構成部を含むことができる。冷媒リザーバーは、装置400から離した状態で位置させることができる。代替的に、リザーバーはこれに取り付けることができ、または更なる実施形態において装置400の一部として形成することができる。
【0038】
本開示のまたさらなる例示的な実施形態において、
図5に示されるように例示的な装置500が提供可能である。冷却構成部120は、装置500の一部を、例えば特定の温度まで冷却するように構成された1つ以上のペルチェデバイス510を含むことができる。ペルチェデバイス510の低温側はプレート110と熱的に接触した状態で提供可能である。さらなる例示的な実施形態において、プレート110(またはその一部)は省略可能であり、ペルチェデバイス510の低温側が皮膚表面に直接接触するように構成される。ペルチェデバイス510に電力を供給するための電源は、装置500の一部として提供可能であり、または代替的に外部電源がそれから離隔して提供可能である。ペルチェデバイス510の上部または高温側は、冷却された物体に接触することによって、空気もしくはその他のガスを少なくともその一部の上に流せるようにもしくは方向づけることによって、及び/またはその他の従来の冷却技術もしくは通風技術によって冷却することが可能である。
【0039】
冷却構成部120またはプレート110の下部に近い側に温度センサ520を提供することができる。温度センサは、例えば1つ以上の熱電対またはサーミスタもしくはその類似のものを含むことができる。そのような温度センサ510は、プレート110に近い装置500の温度を指示する表示部530に接続されることができる。ディスプレイ530は、
図5に示されるように装置500上に提供されることが可能であり、または装置500から離した状態とすることが可能である。温度センサ520はまた、冷却構成部120及び/またはプレート110を所定の温度または所定の温度に近い状態に維持するために、制御システムの一部としてペルチェデバイス510またはその他任意の能動冷却構成部に接続可能である。換言すれば、処置中の人に危険を確実にもたらさないために、センサ520に基づいてフィードバック制御が提供可能である。そのため、望ましくないまたは過剰冷却が避けられるように、フィードバック信号が発生して冷却装置に送信されうる。このことは、高度に安全な処置を提供しうる。有線系通信及び/または無線通信が、本開示の装置の構成要素間に提供されうる。このことは、図面に関連して以下により詳細に説明される。そのようなセンサ及び温度制御は、本明細書に説明された実施形態のいずれとも組み合わせて用いることが可能である。
【0040】
さらに別の例示的な実施形態において、冷却構成部120、任意のハンドル130及び任意の冷却プレート110を含む
図6に示された例示的な装置600が提供可能である。冷却構成部120は、例えばペルチェデバイス510、温度制御されたリザーバー210もしくは冷媒を循環させる流路420(図示されない)または類似のものを含むことができ、それぞれ
図2、4及び5に示された装置200、400、500に類似したプレート110と熱的に連通して提供可能である。1つ以上の温度センサ610が、プレート110の下面上もしくは下面の近傍に、または冷却プレート110が提供されていない場合には冷却構成部120の底面上もしくは底面の近傍(例えば、ペルチェデバイス510の低温側)に提供可能である。例えば、温度センサ610はサーミスタ、熱電対、抵抗温度検出器(RTD)または類似のものを含むことができる。温度センサ610は、この底面の小さい部分を覆うことができ、底面と皮膚表面との間の局所的な熱移送に対するセンサの質量及び材料の効果を低減することができる。代替的に、センサ610は底面全体を実質的に覆うように構成することができ(例えば、薄膜センサとして提供可能である)、より安定し及び/または正確な信号を提供することができ、また局所的な熱移送について予測可能な効果も有する。特定の実施形態において、温度センサ610は、底面の大部分または実質的に全てを覆う高い熱伝導性を有する材料に埋め込まれまたはその材料を有して提供されることが可能である。これらの例示的な構成において、装置600が皮膚上に配置されたときに、センサ610はプレート110の底面の局所的な温度及び皮膚表面の温度の両方に依存する複合的な温度を検出するものであってもよい。
【0041】
配線625またはその他の通信構成部が、温度センサ610と熱制御構成部620との間及び熱制御構成部620と冷却構成部120(例えばペルチェデバイス510、リザーバー210を伴う温度制御部または流路420内の冷媒を冷却し循環させるのに用いられる温度制御及び/もしくはポンプ)との間に提供可能である。配線625は、冷却プレート110の一部を通過させることができ、または任意にプレート110の側部から、その底面に沿って、またはその両方を通すことができる。熱制御構成部620は、装置600の外部に提供されることができ、または装置600上にもしくはその内部に設置することができ、さらに冷却構成部120内に集積することも任意に可能である。任意に、センサ610と熱制御構成部620との間の無線通信が、この実施形態において提供されることが可能である。その結果、1つまたは複数のセンサ610と組み合わされた熱制御構成部620は、冷却プレート110で検出された温度に基づいて温度フィードバック制御を提供することができる。このことは、装置及び対応する方法の安全性及び/または信頼性を増大しうる。
【0042】
熱制御構成部620は、ペルチェデバイス510の動作の特性を、例えば、1つ以上の温度センサ610から受け取った信号に基づいて制御するように構成されることができる。例えば、熱制御構成部620は、温度センサ610からの信号を検出し、これらの信号に基づいて、ペルチェデバイス510に提供される電力特性を変更する(例えば、電源をオン/オフする、電力を低下/増加させる、及び/または電源のデューティサイクル特性を切り替える)ように構成されることができる。熱制御構成部610は、例えば、所定の温度でプレート110もしくはペルチェデバイス510の底面を維持するため、または時間経過に渡って所定の温度プロファイルを近似するために、ペルチェデバイス510の動作を制御するための比例、積分、及び/または微分フィードバックアルゴリズムを用いるように構成することができる。そのような制御アルゴリズムは当技術分野で知られている。上述のように、熱制御構成部620及びセンサ610は、例えば、(存在するならば)リザーバー210の温度を制御することによる、または流路420(存在するならば)を通過する冷媒の温度及び/もしくは循環率を制御することによる、または当技術分野で知られるさらにその他の種類の冷却構成部の温度を制御することによる、上述のその他の冷却構成部120を有して提供され、使用されることもまた可能である。
【0043】
さらに、熱制御構成部620は、ペルチェデバイス510またはその他の冷却構成部120を、受け取った温度信号に基づいて制御し、冷却温度、冷却時間、冷却持続時間、及びそれらの任意の組み合わせを含む群から選択された少なくとも1つのパラメータを変更しまたはパラメータに影響を与えるように構成可能である。
【0044】
特定の温度まで特定の処置時間(組織の局所冷凍が始まる時間間隔として決定することができる)、皮膚の表面を冷却することによって、皮膚の基底層(例えば、真皮・上皮接合部の基部側)の冷却が観察された。従って、本明細書で説明された装置のいずれも、約-5℃またはそれよりも低い、例えば約-5℃から-10℃の間、または好適には約-7℃から-10℃の間の温度で1つ以上の表面(例えば、冷却プレート110、610)を提供するように構成されることができる。これらの温度に対応する処置時間は、例えば、約1分未満、例えば、約45秒から1分、またはいくつかの実施形態において約30秒の短さとさえすることができる。組織内の凍結を発生させる温度及び時間のそのような組み合わせは、色素脱失(すなわち、完全な色素の喪失)を引き起こすことなく、皮膚内に色素沈着減少の効果を発生させることができる。
【0045】
さらなる例示的な実施形態において、冷却プレート110、610は、過剰冷却に起因する組織の望ましくない損傷を引き起こすことなく組織の十分な局所冷却及び凍結を発生させるために、対応する、より短い接触時間または処置時間とともに、-10℃よりも低い温度、例えば-15℃から-20℃の低さの温度とすることができる。例えば、処置時間は、約-15℃から-20℃の間のこれらの温度において、15秒程度の短さまたはそれより短いものとすることができ、例えば約5秒とすることができる。そのようなより低い温度は、例えば、より速い処置時間を容易にするために、並びに/または冷却プレート110、610を通る熱伝導における熱効率の悪さ及び/もしくは局所血流によって温められる可能性がある皮膚の加温効果のような効果を補償するために、使用することができる。本明細書で説明された実施形態のいずれにおいても、温度、センサ及び/または制御パラメータ、配置及び構成部は、冷却プレート110が提供されない場合には冷却構成部120(例えば、ペルチェデバイス510の低温側)の底面に関連付けることができる。
【0046】
本明細書で説明された例示的な装置のいずれも、冷却プレートが皮膚表面に接触する場合に実質的に一定の温度で冷却プレート110、610の温度を維持するようにさらに構成することが可能である。実質的に一定の温度は、上述の温度のいずれも含むことができる。温度の維持は、例えば本明細書で説明されたような適切なセンサ、制御構成部及び/もしくは冷却フィードバックシステムを提供し、並びに/または装置が皮膚表面に接触して配置されている間温度を実質的に一定に維持するために十分高い熱拡散率及び/もしくは熱質量を有する、リザーバー210内の相変化材料を用いる冷却構成部及び/または冷却プレート110、610を提供する、能動冷却システムを用いて達成することができる。
【0047】
温度は、好適には冷却プレート110、610の底面が処置される皮膚の領域に接触している場合には、冷却プレート110、610の底面に近い皮膚組織の表皮の少なくとも一部を局所的に凍結させるのに十分低い。プレート110、610の底面は凍結領域の色素沈着の減少を引き続き発生させるのに十分な持続時間の間、処置される皮膚の領域に接触して配置されることができる。この例示的な持続時間は、皮膚組織の局所凍結の最初に続く時間間隔として決定されることができる。これらの温度で皮膚組織の上部層(例えば、基底層まで)の局所凍結を引き起こすことはまた、色素沈着の減少反応を改善することができる。上部真皮層の一部もまた凍結可能である。この持続時間は、約15秒よりも長くすることができる。処置時間は、好適には過剰凍結及び冷却または凍結した組織の損傷を引き起こすほど長くない。例えば、プレート110、610の底面が約-5℃から-10℃の間の温度で維持されている場合、約30秒から60秒の間の接触時間が、色素沈着の減少につながることのできる皮膚表面の領域の局所的な凍結を引き起こすのに十分でありうる。一般的に、接触の適切な時間は、本明細書で説明された装置の例示的な実施形態の幾何形状、材料及び初期冷却温度に基づいて決定することが可能である。用いられる時間及び温度は、特定の持続時間の間、プレート110、610に近い凍結した組織の領域を発生させるように選択することができる。
【0048】
特定の例示的な実施形態において、プレート110、610の材料は、対応する装置が最初に冷却され、プレート110、610が皮膚組織に長時間接触する間次第に加温されるように選択されることができる。従って、プレート110、610はより長い期間皮膚と接触するように提供することができ、プレート110、610を次第に加温することで、近接する皮膚の領域の過剰凍結を防ぐことができる。
【0049】
様々な実施形態に関して本明細書で説明したように、皮膚表面の接触冷却に基づく色素沈着減少効果は、表面近位の組織の局所的な体積が凍結される場合に、より効果的なものとすることができる。皮膚組織の冷却は、プレートまたは0℃未満に冷却された、例えば約-5℃から-10℃に冷却されたその他の物体に皮膚表面を接触させることによって得られる場合でさえも、常に局所的な組織の凍結を引き起こすわけではないことがありうる。そのような冷却手順は、その代わりに凍結していない局所的に過冷却された組織を引き起こす可能性がある。冷却手順中に組織の凍結の検出を可能とすることができる例示的な装置700が
図7に示されている。
【0050】
例示的な装置700は、冷却構成部120並びに、冷却構成部120及びハンドル130の下面上に提供された任意の冷却プレート110を含むことができる。冷却構成部120は、例えば
図1、2、4及び5に示されたもののような、本明細書において様々な例示的な実施形態で説明されたどのような冷却装置または構成部も含むことができる。例えば、冷却構成部120は、ペルチェデバイス510または類似のものを含むことができる。ハンドル130は、冷却構成部120または装置700のその他の部分に取り付けることができ、装置700の取り扱い及び位置決定を容易にする。1つ以上の光学導管710が装置700に提供されることができ、光学導管710の遠位端720は冷却プレート110の底面(または任意には、冷却プレート110が提供されていない場合には、冷却構成部120の底面)に近接して配置することができる。光学導管710は、例えば光ファイバー、導波路または類似のものを含むことができる。
【0051】
特定の実施形態において、1つ以上の光学導管710の遠位端720は、例えば、底面110の一部を通して穴あけ加工された小さな穴の内部に、または類似の構成を用いて光学導管710の遠位部を位置させることによって、冷却プレート110の底面に近接して提供することができる。光学導管710のその他の構成が、さらなる実施形態において提供されることも可能であり、装置700の底面が皮膚に対して配置される場合に、光学導管710の遠位端720が、皮膚表面に近接し、及び/または皮膚表面に光学的に連通する(例えば、光学導管710の遠位端720と皮膚表面との間に妨げるもののない光学経路が存在する)。
【0052】
本明細書で説明されるような冷却手順の間、皮膚表面の凍結を検出するために、少なくとも1つの光学導管710の近位端は、光源またはその他の光学エネルギー源(図示されない)に連通して提供されることができる。約600nmから約800nmの間の波長を有する赤色光を放出するLEDまたはその他の光源を用いることができる。光のその他の波長もまた、さらなる実施形態において用いられてもよい。例えば、近赤外光の範囲の光(例えば、約800nmから約2000nmの間の波長を有する光)を放出する光源を用いる物が用いられてもよい。そのような近赤外光は、処置される皮膚領域のメラニンの水準の変化に比較的感受性の低いものであってもよく、それによって、様々な種類の皮膚の凍結を検出するために用いることができる。
【0053】
冷却手順の間、光は少なくとも1つの光学導管710の遠位端から、装置700直下の皮膚表面の領域に放出されることが可能である。皮膚によって反射され及び/または散乱される光は、少なくとも1つの光学導管710の遠位端720に入り、光学導管710を通して光学検出器(図示されない)、例えば従来の露出計、電荷結合デバイス(CCD)、光学トランジスタまたは類似のものまで導かれることができ、光学検出器は光学導管710の近位端に提供されることができる。さらなる例示的な実施形態において、光学導管710の円周に向かう方向の光の検出を可能にするために、クラッディングが光学導管710の遠位端の代わりにまたは遠位端に加えて、光学導管710のその他の部分から除去されることができ、それによって皮膚に対する光学導管710のその他の方向を用いる光の検出を可能とする。
【0054】
光学的な光の強度またはその他の特性の変化は、局所的な組織凍結の発生を示すことができる。例えば、特定の実施形態において、散乱され及び/または反射された光を検出するのに用いられる光学導管710は、皮膚表面上に光を導くのに用いられる光学導管710と同じものとすることができ、または光を導くのに用いられる光学導管710に非常に近接して、例えば約1から2mm以内で配置されることができる。組織の凍結が発生すると、入射光の局所的な反射率が、検出する光学導管710によって受信される光の量を増大させることができる。光学信号のそのような増加は、装置700が特定の持続時間の間、皮膚上に配置される場合に、皮膚の組織の凍結を確認するのに用いることができる。さらなる実施形態において、光学導管710は、ファイバー端部及び組織表面からの鏡面反射を減少させまたは抑制させるために、1つ以上の分極要素を有して提供されることができ、このことは、局所的な組織凍結のより感度の高い検出を提供することができる。
【0055】
さらなる例示的な実施形態において、光を提供し及び/または検出するのに用いられる光学導管710の遠位端720は、例えば約3から4mmよりも大きな間隔で、さらに離れて位置させることができる。組織凍結が発生すると、組織の反射率は増大し、皮膚に向けられる光のより多くが表面領域から反射して戻され、その一方組織を通して横方向に散乱される光は減少することとなる。従って、そのようなより遠い検出光学導管710から検出される光の信号の減少もまた、皮膚組織の局所的な凍結を示すことができる。
【0056】
組織凍結を検出するためにまたは本明細書で説明されるように皮膚の凍結をより詳細に得るために、光学導管710の異なる構成が、さらなる実施形態において提供可能である。例えば、複数の光学導管710のそれぞれが、装置直下の皮膚の表面上に光を導き、皮膚組織によって散乱されまたは反射された光を検出するように構成可能である。複数のそのような光学導管710(例えば、3つ以上)は、組織の凍結の深さについて情報を提供するために用いることができる。代替的に、複数の離隔された光学導管710が、本明細書で説明されるように皮膚上に光を導きまたは光を検出するように構成されることが可能である。光学検出器は、1つ以上の光学導管710の遠位端に近接する凍結を示す光学信号レベルの閾値変化を検出するように構成され、較正されることができる。特定の実施形態において、指示部、例えばLEDまたは電球、音声発生器、デジタルディスプレイまたは類似のものが、装置700が皮膚表面に接触された状態に保持されている間に組織の凍結の発生を確認するために提供可能である。
【0057】
さらなる例示的な実施形態において、例えば
図6に示されたもののような、温度センサ610が、局所組織凍結の発生を検出するように構成されることができる。例えば、典型的な冷却手順において、温度センサ610によって検出される温度は、接触する冷却プレート110の温度に対応することとなる。装置600が皮膚表面上に配置されると、冷却プレート110の底面が皮膚によってわずかに温められるため、検出される温度は上昇することとなる。プレート110による皮膚の伝導性冷却が進むと、測定される温度は低下することとなる。そのような低下の率及び程度は、いくつかの因子、例えばプレート110の初期温度、材料及び幾何形状、プレート110を冷却するのに用いられる冷却構成部の効率などに依存しうる。組織の凍結が冷却プレート110の底面に近接して発生すると、凍結相転移の間に放出される潜熱から発生する局所温度のわずかな一時的な上昇が検出されることがある。検出される温度は、次いで凍結組織のさらなる冷却が進むにつれて低下し続ける。従って、温度センサ610によって経時的な冷却曲線において検出される「凸部」は、局所組織凍結の発生を示すことができる。
【0058】
本開示の実施形態に従う、組織内の凍結の開始を検出する光学センサの使用を示す、例示的な研究がなされた。20mm×20mmの平坦なアルミニウム接触プレートが-7.5℃の温度まで冷却された。2つの1mmの光ファイバーがプレート内に穴あけ加工された穴の内部に挿入され、本明細書に記載のように、一方のファイバーは冷却された組織を照射するように構成され、第2のファイバーは組織からの光を検出するように構成された。冷却プレートは、メスのシンクレアブタの脇腹の部分の体毛を剃った皮膚表面に60秒間接触して配置された。冷却プレート及び皮膚表面の接触点における温度をモニターするために熱電対が使用された。この冷却手順において検出された光信号もまたモニターされ記録された。
【0059】
この冷却手順に関する例示的な1組のデータが、
図8に示される。最初に冷却プレートがより暖かい皮膚表面に接触されたときには、測定された温度(
図8では破線で示されている)は最初は急速に(約5から6秒において)上昇するのが観察された。次いで、プレートが熱伝導によって隣接する皮膚を冷却するにつれて、温度が低下した。この冷却は、
図8に示されるデータプロットでは約6から15秒の間で発生した。光学出力(光学トランジスタを用いて、電圧で測定され、
図8の実線で示された)は、この冷却プロセスの間、かなり一定の状態を保った。約15秒において、温度の小さな上昇が検出され、これは局所的な組織凍結の開始および皮膚の凍結の潜熱の放出を示している。この組織凍結の開始は、検出された光学信号の増加を伴った。光学信号は、凍結された皮膚が冷却され続ける間、上昇し続けた。冷却プレートが除去されると、皮膚の表面領域が凍結していることが確認された。この研究は、皮膚表面が低温の物体に接触されるときに検出される反射レベルの変化に基づいて組織凍結の開始を検出するための、本明細書で記載された光学センサの使用、及び凍結時の潜熱の放出に関連する局所温度の小さなプラトーまたは過渡上昇の存在によって、組織凍結の開始を検出するための温度センサの使用を実証するものである。
【0060】
またさらなる実施形態において、センサは、電気的または機械的インピーダンスの測定に基づいて、組織凍結の検出を可能にするように提供されることができる。例えば、電気的インピーダンスは、水及び組織を含む様々な材料の凍結の開始において変化することが示されている。例えば、A.A.Gage著、Cryobiology 16,pp.56-62(1979)、B.Rubinsky著、Ann.Rev.Biomed.Eng.02,pp.157-87(2000)及びT.H.Yuら著、Intl.J.Thermophysics,24(2)(March 2003)を参照のこと。1つの実施形態において、皮膚表面に接触する冷却プレート110の底面に沿った2つ以上の位置の間で、電気的インピーダンスが測定可能である。代替的に、離隔された表面電極が、冷却された領域に近接して配置され、皮膚の局所的な電気的インピーダンスを測定するのに用いられることができる。皮膚の電気的インピーダンスを検出するそのようなセンサは、本明細書で説明されたどのような実施形態とも共に用いることができる。代替的に、力センサが皮膚組織の局所的な機械的インピーダンスを測定するために提供可能である。例えば、力はそのような力センサで組織の変位の関数として局所的に測定可能である。加速度計またはその他のセンサもまた、低水準の衝撃または動的な事象に対する動的変化を測定するのに用いることができる。これらの種類のどのセンサも(熱、光学、機械、力など)、単独でまたはどのような組み合わせでも、本明細書で説明された発明の様々な実施形態において使用することができる。
【0061】
またさらなる例示的な実施形態において、組織凍結を検出するのに用いることができる、本明細書で説明された任意のセンサ及び装置と通信する指示構成部が提供可能である。そのような指示部は、例えば、指示ライト、ブザーまたはその他の音声発生器、ディスプレイパネルまたは類似のものを含むことができる。指示構成部は、皮膚凍結が検出されたときに指示するための第1の信号を使用者に提供するように構成されることができる。そのような信号は、所定の処置時間の開始を決定するのに用いることができる。タイミング構成部もまた、局所的な組織凍結の開始が検出されてからの経過時間を示すように提供されることができる。任意に、タイミング構成部は、局所凍結の開始から所定のまたはあらかじめプログラムされた時間間隔が経過すると、第2の信号を提供するように構成されることができる。この第2の信号は、局所冷却処置が終了したときに指示し、使用している装置の皮膚表面への接触を終了するように使用者に促すために使用することができる。さらなる実施形態において、タイミング構成部は、装置が皮膚から除去されるべきであるときを指示する第2の信号のみを提供し、局所凍結の開始を指示する第1の信号を提供しないものであってもよい。
【0062】
加熱構成部が、本明細書で説明される例示的な装置のいずれにも提供されることができる。加熱構成部は、特定の処置時間が経過した後に急速に凍結した組織を温め及び/または解凍するために使用されることができ、例えば局所皮膚凍結の持続時間のより正確な制御を可能とする。そのような加熱構成部は、例えば、皮膚に接触し冷却するように構成された本明細書で説明されたどのような装置の低温表面上にも、低温表面内にもまたは低温表面に近接しても提供される電気抵抗加熱素子を含むことができる。代替的に、加熱構成部は、電磁(EM)エネルギーを冷却または凍結された組織上に導きエネルギー吸収プロセスによって温めるように構成された電磁(EM)エネルギー源(例えば、石英ランプ又はその他の赤外線放出器、低出力レーザーなど)を含むことができる。加熱構成部はまた、暖かい流体を循環してそれにより低温表面及び隣接する冷却された組織を温めるように構成された、本明細書で説明されたどのような装置の低温表面にも近接する1つ以上の導管を含むこともできる。対流によって組織を温めることができる、暖かい空気の移動源(例えば、ヒートガンまたはヘアードライヤーに類似した構成部)などの、その他の従来の加熱構成部も使用可能である。冷却装置が皮膚の表面に接触している間も、または装置が皮膚表面から除去された後も、使用される加熱構成部及び冷却装置の種類に応じて、加熱構成部が使用可能である。
【0063】
本明細書で説明された任意の例示的な実施形態に従って、複数回の分割された低温治療処置が、皮膚をさらに明るくするために、皮膚の特定領域において実施可能である。そのような複数回の処置は、次の処置が実施される前に、特定の処置からの色素沈着効果が可視的に明らかになることができるように、より長い時間間隔、例えば数日または数週間で実施されることができる。そのような例示的な複数回の処置は、処置された領域の皮膚の外観を次第に明るくするために使用可能である。色素脱失した個所は空間的に離隔されるため、複数回の処置は識別可能な白い箇所を生成することなく、小さな領域に適用されてもよい。
【0064】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、低温技術を用いて色素沈着の減少を発生させることにより、皮膚組織の外観を次第にかつ制御可能に明るくするための方法が提供可能である。表皮皮膚組織の領域は、本明細書で説明された例示的な温度及び時間を用いて冷却または凍結され、色素沈着の減少を引き起こすことが可能である。凍結した表皮領域の下にある上部真皮層の部分もまた、そのような例示的な手順において凍結または冷却されることが可能である。これらの例示的な時間及び温度にさらすことは、冷却または凍結された皮膚の組織に色素沈着の減少反応を引き起こすことができる。従って、本明細書で説明された例示的な冷却色素沈着減少の方法は、処置される皮膚の領域を次第に明るくすることができる。
【0065】
本明細書で説明された例示的な手順は、皮膚の特定の領域において、皮膚をさらに明るくするために繰り返すことが可能である。好適には、連続した手順の間隔は色素沈着の減少効果が視覚的に明らかとなり、得られる明るさの全般的な程度をより良好に制御できるようになる程度に十分長くすることができる。望む場合、例えば皮膚の第1の領域において第2の領域に比べて色素沈着の減少の全般的な程度を向上させるために、1つ以上の特定の温度で1つ以上の特定の処置時間の間接触冷却することができる特定の装置を用いて、複数の手順がより短い間隔で繰り返されてもよい。
【0066】
冷却構成部、温度及び/または凍結検出器並びに本明細書で説明されたその他の装置や特徴の様々な組み合わせもまた、ある組み合わせが本明細書で単一の実施形態において明示的に図示または記載されていないとしても、本開示のさらなる例示的な実施形態において用いられてもよい。それぞれの特徴の利点または特性は、より多くの有利な実施形態さえ提供することが可能であるように組み合わせることができる。
【0067】
上記は単に本発明の原理を示すに過ぎない。開示された実施形態のその他の変更は、図面、開示及び添付された特許請求の範囲の研究から請求された発明を実施するうえで、当業者によって理解され、効果的なものとされることができる。特許請求の範囲において、「含む」との語句はその他の要素または段階を除外するものではなく、「1つの」との不定的な記載は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサまたはその他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目または段階の機能を満たしうる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができるということを意味しない。コンピュータプログラムは、その他のハードウェアと共にまたはその他のハードウェアの一部として供給される光学保存媒体または半導体媒体のような適切な媒体上に保存され/配布されてもよいが、インターネットまたはその他の有線もしくは無線遠隔通信システムを介するなど、その他の形態で配布されることもできる。特許請求の範囲における参照符号はいずれも、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。説明された実施形態に対する様々な改良及び代替は、本明細書の教示を考慮すれば当業者に明らかになるであろう。従って当業者は、本明細書に明示的には説明されていないが、本発明の原理を実施し、そのため本発明の思想及び範囲内にある多数の技術を考案することが可能となることは了解されるであろう。本明細書に引用されたすべての特許および出版物は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0068】
100、200、400、500、600、700 装置
110 プレート
120 冷却構成部
130 ハンドル
210 中空リザーバー
220 冷媒
420 流路
510 ペルチェデバイス
520 温度センサ
610 温度センサ
620 熱制御構成部
625 配線
710 光学導管
720 遠位端