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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】自己保持型電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20220801BHJP
   H01F 7/18 20060101ALI20220801BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
F16K31/06 310Z
H01F7/18 Z
H01F7/16 R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019160325
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021038796
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 新治
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-248988(JP,A)
【文献】特開2009-063060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
H01F 7/18
H01F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用コイルと、
前記駆動用コイルの励磁により移動するプランジャと、
前記プランジャが吸着される吸着面を有する固定鉄心と、
前記プランジャを前記吸着面に吸着させた状態に保持する磁石と、
前記プランジャが前記吸着面に対して離間する方向へ前記プランジャを付勢して前記プランジャを前記吸着面から離間させた状態に保持するプランジャばねと、を有するソレノイドを備え、
前記駆動用コイルと4つのトランジスタとをHブリッジ接続して構成されるHブリッジ回路によって、前記駆動用コイルに流れる電流の向きが切り替えられ、
前記4つのトランジスタのオンオフ制御を行う制御部と、
外部電源からの電流を前記制御部に供給するための電源配線と、
前記電源配線から分岐されて前記外部電源からの電流を外部入力信号として前記制御部に入力するための信号配線と、を備え、
前記制御部は、前記外部電源から前記信号配線を介して前記外部入力信号が入力されているか否かによって前記4つのトランジスタのオンオフ制御を行う自己保持型電磁弁であって、
前記外部電源からの電圧が印加されることにより充電されるコンデンサを備え、
前記外部電源からの前記信号配線を介した前記制御部への前記外部入力信号の入力が行われたタイミングで、前記プランジャが前記吸着面に対して接離する方向の一方へ移動するように前記制御部による前記4つのトランジスタのオンオフ制御が行われて、前記外部電源から前記駆動用コイルへ電流が供給され、
前記外部電源からの前記信号配線を介した前記制御部への前記外部入力信号の入力が停止されたタイミングで、前記コンデンサに充電されている電流が前記制御部に供給されることにより、前記プランジャが前記吸着面に対して接離する方向の他方へ移動するように前記制御部による前記4つのトランジスタのオンオフ制御が行われて、前記コンデンサから前記駆動用コイルへ電流が供給され
前記外部電源から前記コンデンサへの電圧の印加を許容する印加許容状態と、前記外部電源から前記コンデンサへの電圧の印加を遮断する印加遮断状態と、に切り替え可能な印加切替部を備え、
前記制御部は、前記駆動用コイルへの電流の供給が停止されているときに前記印加切替部を前記印加許容状態に切り替え、前記駆動用コイルへの電流の供給が行われているときに前記印加切替部を前記印加遮断状態に切り替えており、
前記コンデンサからの前記駆動用コイルへの電流の供給を許容するコイル電流許容状態と、前記コンデンサからの前記駆動用コイルへの電流の供給を遮断するコイル電流遮断状態と、に切り替え可能な充電電流コイル用切替部と、
前記コンデンサからの前記制御部への電流の供給を許容する制御部電流許容状態と、前記コンデンサからの前記制御部への電流の供給を遮断する制御部電流遮断状態と、に切り替え可能な充電電流制御部用切替部と、を備え、
前記制御部は、
前記外部電源からの前記信号配線を介した前記制御部への前記外部入力信号の入力が停止されたタイミングで、前記充電電流コイル用切替部を前記コイル電流許容状態に切り替え、前記充電電流コイル用切替部を前記コイル電流許容状態に切り替えてから一定時間経過したタイミングで、前記充電電流コイル用切替部を前記コイル電流遮断状態に切り替えるとともに、
前記外部電源からの前記信号配線を介した前記制御部への前記外部入力信号の入力が行われたタイミングで、前記充電電流制御部用切替部を前記制御部電流遮断状態に切り替え、前記充電電流制御部用切替部を前記制御部電流遮断状態に切り替えてから一定時間経過したタイミングで、前記充電電流制御部用切替部を前記制御部電流許容状態に切り替えることを特徴とする自己保持型電磁弁。
【請求項2】
前記コンデンサと前記外部電源との間には、前記コンデンサにおける前記外部電源への放電を抑える放電抑制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自己保持型電磁弁。
【請求項3】
前記コンデンサは、前記制御部に供給するための電流が充電される制御部用コンデンサと、前記駆動用コイルに供給するための電流が充電されるコイル用コンデンサと、を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自己保持型電磁弁。
【請求項4】
前記自己保持型電磁弁の振動を検出する振動検出部を備えていることを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の自己保持型電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己保持型電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1の自己保持型電磁弁は、駆動用コイルと、駆動用コイルの励磁により移動するプランジャと、プランジャが吸着される固定鉄心と、プランジャを固定鉄心の吸着面に吸着させた状態に保持する磁石と、プランジャが固定鉄心の吸着面に対して離間する方向へプランジャを付勢するプランジャばねと、を有するソレノイドを備えている。プランジャばねは、プランジャを固定鉄心の吸着面から離間させた状態に保持する。
【0003】
このような自己保持型電磁弁は、駆動用コイルと4つのトランジスタとをHブリッジ接続して構成されるHブリッジ回路を備えている。Hブリッジ回路は、駆動用コイルに流れる電流の向きを切り替える。例えば、Hブリッジ回路によって、駆動用コイルに流れる電流の向きが順方向に切り替えられた場合、駆動用コイルの起磁力が、プランジャを固定鉄心に向けて吸着する方向に働き、駆動用コイルの起磁力及び磁石の吸引力が、プランジャばねの付勢力に抗して、プランジャが固定鉄心の吸着面に接近する方向へプランジャが移動する。そして、磁石の吸引力がプランジャばねの付勢力に打ち勝って、磁石の吸引力によりプランジャが固定鉄心の吸着面に吸着されると、駆動用コイルへの通電が停止し、磁石の吸引力によってプランジャが固定鉄心の吸着面に吸着された状態で自己保持される。
【0004】
一方、Hブリッジ回路によって、駆動用コイルに流れる電流の向きが逆方向に切り替えられた場合、磁石の吸引力が駆動用コイルの起磁力により低減するため、プランジャばねの付勢力によって、プランジャが固定鉄心の吸着面から離間する方向へプランジャが移動する。そして、プランジャばねの付勢力によってプランジャが固定鉄心の吸着面から離間すると、駆動用コイルへの通電が停止し、プランジャばねの付勢力によってプランジャが固定鉄心の吸着面から離間した状態で自己保持される。したがって、自己保持型電磁弁においては、プランジャを移動させるときのみ駆動用コイルへの通電を行えばよいため、電力消費が抑えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-69481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、プランジャ移動完了後の駆動用コイルへの無駄な通電時間を短くするために、駆動用コイルに流れる電流、又は電流に応じた電圧をマイコンで監視し、マイコンは、駆動用コイルに流れる電流、又は電流に応じた電圧が予め定められた値に達した時点から所定時間の経過後に、駆動用コイルへの通電を停止している。したがって、特許文献1では、駆動用コイルに流れる電流、又は電流に応じた電圧を検出するために、外部電源からマイコンに常に電力を供給しておく必要がある。つまり、外部電源から自己保持型電磁弁に常に電力を供給しておく必要があるため、外部電源からの電力を消費してしまっている。また、外部電源からマイコンへ外部入力信号を入力するための信号配線の数を減らしたいという要望がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、外部電源からの電力の消費を抑えることができ、且つ信号配線の数を減らすことができる自己保持型電磁弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する自己保持型電磁弁は、駆動用コイルと、前記駆動用コイルの励磁により移動するプランジャと、前記プランジャが吸着される吸着面を有する固定鉄心と、前記プランジャを前記吸着面に吸着させた状態に保持する磁石と、前記プランジャが前記吸着面に対して離間する方向へ前記プランジャを付勢して前記プランジャを前記吸着面から離間させた状態に保持するプランジャばねと、を有するソレノイドを備え、前記駆動用コイルと4つのトランジスタとをHブリッジ接続して構成されるHブリッジ回路によって、前記駆動用コイルに流れる電流の向きが切り替えられ、前記4つのトランジスタのオンオフ制御を行う制御部と、外部電源からの電流を外部入力信号として前記制御部に入力するための信号配線と、を備え、前記制御部は、前記外部電源から前記信号配線を介して前記外部入力信号が入力されているか否かによって前記4つのトランジスタのオンオフ制御を行う自己保持型電磁弁であって、前記外部電源からの電圧が印加されることにより充電されるコンデンサを備え、前記外部電源からの前記信号配線を介した前記制御部への前記外部入力信号の入力が行われたタイミングで、前記プランジャが前記吸着面に対して接離する方向の一方へ移動するように前記制御部による前記4つのトランジスタのオンオフ制御が行われて、前記外部電源から前記駆動用コイルへ電流が供給され、前記外部電源からの前記信号配線を介した前記制御部への前記外部入力信号の入力が停止されたタイミングで、前記コンデンサに充電されている電流が前記制御部に供給されることにより、前記プランジャが前記吸着面に対して接離する方向の他方へ移動するように前記制御部による前記4つのトランジスタのオンオフ制御が行われて、前記コンデンサから前記駆動用コイルへ電流が供給される。
【0009】
上記自己保持型電磁弁において、前記コンデンサと前記外部電源との間には、前記コンデンサにおける前記外部電源への放電を抑える放電抑制部が設けられているとよい。
上記自己保持型電磁弁において、前記コンデンサは、前記制御部に供給するための電流が充電される制御部用コンデンサと、前記駆動用コイルに供給するための電流が充電されるコイル用コンデンサと、を含むとよい。
【0010】
上記自己保持型電磁弁において、前記外部電源から前記コンデンサへの電圧の印加を許容する印加許容状態と、前記外部電源から前記コンデンサへの電圧の印加を遮断する印加遮断状態と、に切り替え可能な印加切替部を備え、前記制御部は、前記駆動用コイルへの電流の供給が停止されているときに前記印加切替部を前記印加許容状態に切り替え、前記駆動用コイルへの電流の供給が行われているときに前記印加切替部を前記印加遮断状態に切り替えるとよい。
【0011】
上記自己保持型電磁弁において、前記コンデンサに充電される電流量を制御するための定電流ダイオードを備えているとよい。
上記自己保持型電磁弁において、前記コンデンサからの前記駆動用コイルへの電流の供給を許容するコイル電流許容状態と、前記コンデンサからの前記駆動用コイルへの電流の供給を遮断するコイル電流遮断状態と、に切り替え可能な充電電流コイル用切替部を備え、前記制御部は、前記外部電源からの前記信号配線を介した前記制御部への前記外部入力信号の入力が停止されたタイミングで、前記充電電流コイル用切替部を前記コイル電流許容状態に切り替え、前記充電電流コイル用切替部を前記コイル電流許容状態に切り替えてから一定時間経過したタイミングで、前記充電電流コイル用切替部を前記コイル電流遮断状態に切り替えるとよい。
【0012】
上記自己保持型電磁弁において、前記コンデンサからの前記制御部への電流の供給を許容する制御部電流許容状態と、前記コンデンサからの前記制御部への電流の供給を遮断する制御部電流遮断状態と、に切り替え可能な充電電流制御部用切替部を備え、前記制御部は、前記外部電源からの前記信号配線を介した前記制御部への前記外部入力信号の入力が行われたタイミングで、前記充電電流制御部用切替部を前記制御部電流遮断状態に切り替え、前記充電電流制御部用切替部を前記制御部電流遮断状態に切り替えてから一定時間経過したタイミングで、前記充電電流制御部用切替部を前記制御部電流許容状態に切り替えるとよい。
【0013】
上記自己保持型電磁弁において、前記自己保持型電磁弁の振動を検出する振動検出部を備えているとよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、外部電源からの電力の消費を抑えることができ、且つ信号配線の数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における自己保持型電磁弁の断面図。
図2】自己保持型電磁弁の一部を拡大した断面図。
図3】磁気回路を示す断面図。
図4】磁気回路を示す断面図。
図5】制御回路を示す回路図。
図6】自己保持型電磁弁の作用を説明するための回路図。
図7】自己保持型電磁弁の作用を説明するための回路図。
図8】自己保持型電磁弁の作用を説明するための回路図。
図9】自己保持型電磁弁の作用を説明するための回路図。
図10】別の実施形態における制御回路を示す回路図。
図11】別の実施形態における制御回路を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、自己保持型電磁弁を具体化した一実施形態を図1図9にしたがって説明する。
図1に示すように、自己保持型電磁弁10のボディ11は、長四角ブロック状の弁ボディ12と、弁ボディ12の長手方向の一端側の端部に連結される連結ブロック13と、連結ブロック13における弁ボディ12とは反対側の端部に連結される有底長四角筒状のハウジング14と、を有している。弁ボディ12、連結ブロック13、及びハウジング14は、例えば、合成樹脂材料製である。よって、弁ボディ12、連結ブロック13、及びハウジング14は非磁性材製である。
【0017】
図2に示すように、弁ボディ12には、ポペット弁15を往復動可能に収容する円孔状の弁孔16が形成されている。弁ボディ12には、供給ポート17、出力ポート18、及び排出ポート19が形成されている。供給ポート17、出力ポート18、及び排出ポート19は、弁孔16にそれぞれ連通するとともにポペット弁15の軸線方向においてこの順に並んで弁ボディ12に形成されている。ポペット弁15の軸線方向において、排出ポート19は、出力ポート18よりも連結ブロック13側に位置しており、供給ポート17は、出力ポート18よりも連結ブロック13とは反対側に位置している。本実施形態の自己保持型電磁弁10は、3ポート電磁弁である。
【0018】
弁孔16は、孔径がそれぞれ異なる第1孔16a、第2孔16b、第3孔16c、及び第4孔16dを有している。第1孔16a、第2孔16b、第3孔16c、及び第4孔16dは、弁ボディ12における連結ブロック13とは反対側の端面から連結ブロック13に向けてこの順で配置されるとともにポペット弁15の軸線方向にそれぞれ延びている。第2孔16bは、第1孔16aよりも孔径が小さい。第3孔16cは、第2孔16bよりも孔径が小さい。第4孔16dは、第2孔16b及び第3孔16cよりも孔径が大きく、且つ第1孔16aよりも孔径が小さい。
【0019】
第1孔16aと第2孔16bとは、ポペット弁15の軸線方向に対して直交する方向に延びる環状の第1段差面16eによって接続されている。第2孔16bと第3孔16cとは、ポペット弁15の軸線方向に対して直交する方向に延びる環状の第2段差面16fによって接続されている。第3孔16cと第4孔16dとは、ポペット弁15の軸線方向に対して直交する方向に延びる環状の第3段差面16gによって接続されている。第1孔16aは、供給ポート17及び出力ポート18に連通している。第2孔16bは、排出ポート19に連通している。また、第1孔16aにおける第2孔16bとは反対側の端部は、雌ねじ孔16hになっている。
【0020】
弁ボディ12には、弁孔16における連結ブロック13とは反対側の端部を閉塞する有底円筒状のプラグ20が取り付けられている。プラグ20は、円板状の底部20aと、底部20aの周縁部から弁孔16の内周面に沿って延びる円筒状の延在部20bと、を有している。底部20aの外周面には雌ねじ孔16hに螺合される雄ねじ20cが形成されている。プラグ20は、底部20aの雄ねじ20cが雌ねじ孔16hに螺合されることにより、弁ボディ12の弁孔16に取り付けられ、底部20aは、弁孔16における連結ブロック13とは反対側の端部を閉塞している。
【0021】
底部20aには、装着孔20dが形成されている。装着孔20dは、底部20aをポペット弁15の軸線方向に貫通している。装着孔20dには、吸着用手動軸21が取り付けられている。吸着用手動軸21は、延在部20bの内側から装着孔20dに挿入されることにより装着孔20dに装着されている。
【0022】
延在部20bは、供給ポート17における第1孔16aへの開口周囲を通過して、出力ポート18における第1孔16aへの開口周囲まで延びている。延在部20bの内側は、第1孔16aに連通している。延在部20bにおける供給ポート17と対向する部分には、連通孔20eが形成されている。
【0023】
延在部20bの外周面には、第1孔16aの内周面における供給ポート17と出力ポート18との間の部分と延在部20bの外周面との間をシールする円環状の第1シール部材22aが装着されている。そして、第1シール部材22aによって、第1孔16aの内周面における供給ポート17と出力ポート18との間の部分と延在部20bの外周面との間を介した供給ポート17と出力ポート18との間の流体の洩れが規制されている。
【0024】
また、延在部20bの外周面には、第1孔16aの内周面における供給ポート17よりも出力ポート18とは反対側の部分と延在部20bの外周面との間をシールする円環状の第2シール部材22bが装着されている。そして、第2シール部材22bによって、第1孔16aの内周面における供給ポート17よりも出力ポート18とは反対側の部分と延在部20bの外周面との間を介した供給ポート17からの流体の洩れが規制されている。
【0025】
延在部20bの先端面は、ポペット弁15の軸線方向において第1段差面16eと対向している。延在部20bの先端面には、円環状の第1弁座23が突設されている。第1段差面16eには、円環状の第2弁座24が突設されている。第2弁座24は、第1弁座23に向けて延びており、第1弁座23及び第2弁座24はポペット弁15の軸線方向で互いに向き合っている。第1孔16aにおける第1弁座23と第2弁座24との間は、ポペット弁15の外周面に装着された弁体15vが収容される弁室25になっている。
【0026】
ポペット弁15は、円柱状の軸部15aと、軸部15aの外周面から突出する円環状の大径部15bと、を有している。軸部15aは、第4孔16dから第3孔16c及び第2孔16bを通過して第1孔16a内に突出し、プラグ20の延在部20b内に入り込んでいる。軸部15aの外径は、第3孔16cの孔径よりも僅かに小さい。第3孔16cの内周面は、ポペット弁15が軸線方向に移動する際に、軸部15aの外周面と摺接し、ポペット弁15における軸線方向への移動をガイドするガイド面として機能する。
【0027】
弁体15vは、ゴム製であるとともに円環状であり、大径部15bの外周面を覆うように大径部15bに装着されている。弁体15vは、ポペット弁15の軸線方向で第1弁座23及び第2弁座24の間に配置されている。弁体15vは、第1弁座23及び第2弁座24に対して接離可能になっている。
【0028】
軸部15aにおけるプラグ20側の端面には、軸部材26が取り付けられている。軸部材26は、プラグ20の延在部20b内に配置されている。軸部材26は、圧入部26aと、圧入部26aの外径よりも大径である大径部26bと、大径部26bにおける圧入部26aとは反対側に連続する軸部26cと、を有している。そして、軸部材26は、圧入部26aが、軸部15aにおけるプラグ20側の端面に形成された圧入孔15cに圧入されることにより、軸部15aに取り付けられ、ポペット弁15と一体的に移動可能である。大径部26bの外径は、延在部20bの内径とほぼ同じである。軸部26cにおける大径部26bとは反対側の端面は、吸着用手動軸21と対向している。
【0029】
延在部20b内において、大径部26bとプラグ20の底部20aとの間はばね収容室27になっている。ばね収容室27には弁体ばね28が収容されている。弁体ばね28は、大径部26bと吸着用手動軸21との間に介在されている。弁体ばね28は、弁体15vが第1弁座23から離間する方向へ軸部材26及びポペット弁15を付勢している。
【0030】
大径部26bの外周面にはパッキン29が装着されている。パッキン29は、プラグ20の連通孔20eよりもプラグ20の底部20a側に位置している。そして、パッキン29によって、大径部26bの外周面と延在部20bの内周面との間を介した供給ポート17からばね収容室27への流体の洩れが規制されている。
【0031】
図3に示すように、連結ブロック13には、弁孔16に連通する貫通孔13aが形成されている。貫通孔13aの軸心は、弁孔16の軸心に一致している。また、ハウジング14は、底壁14aと、底壁14aの周縁部から延びる周壁14bと、を有している。周壁14bの軸線は、貫通孔13aの軸心、及び弁孔16の軸心に一致している。底壁14aには、挿通孔14cが形成されている。挿通孔14cの軸心は、周壁14bの軸線に一致している。
【0032】
ハウジング14には、磁性材製である磁気フレーム30が埋設されている。磁気フレーム30は、ハウジング14の底壁14aの内面に沿って延びる板状の底部30aと、底部30aの周縁部からハウジング14の周壁14bに沿って延びる筒状の延在部30bと、を有している。磁気フレーム30は、延在部30bがハウジング14の周壁14bに埋め込まれることにより、ハウジング14に一体化されている。延在部30bの内周面における先端側の部位は、ハウジング14の周壁14bの内周面から露出している。底部30aには雌ねじ孔30cが形成されている。雌ねじ孔30cは、挿通孔14cの内側に位置している。雌ねじ孔30cの軸心は、挿通孔14cの軸心に一致している。
【0033】
自己保持型電磁弁10は、ソレノイド31を備えている。ソレノイド31は、駆動用コイル32、固定鉄心33、プランジャ34、及びプランジャばね35を有している。固定鉄心33及びプランジャ34は、磁性材製である。ハウジング14内には、駆動用コイル32が巻回された筒状のボビン36が収容されている。ボビン36の軸線は、ハウジング14の周壁14bの軸線に一致している。
【0034】
固定鉄心33は、ハウジング14内に収容されている。固定鉄心33は、軸部33aと、軸部33aの端部から軸部33aの軸線方向に対して直交する方向に突出する環状のフランジ部33bと、を有している。軸部33aは、ボビン36の内側に対してハウジング14の底壁14a側から挿入されている。軸部33aの軸線方向の長さは、ボビン36の軸線方向の長さよりも短い。軸部33aにおけるフランジ部33bとは反対側の端面は平坦面状であり、プランジャ34が吸着される吸着面33eである。したがって、固定鉄心33は、プランジャ34が吸着される吸着面33eを有している。フランジ部33bは、ボビン36におけるハウジング14の底壁14a側の部位に当接している。
【0035】
図1に示すように、プランジャ34は、ボビン36の内側から連結ブロック13の貫通孔13aを介して弁ボディ12の弁孔16内に突出する柱状である。プランジャ34は、固定鉄心33よりも弁ボディ12側に位置している。プランジャ34の軸線は、固定鉄心33の軸部33aの軸線と一致している。プランジャ34における固定鉄心33側の端面34aは平坦面状である。プランジャ34の端面34aは、固定鉄心33の吸着面33eに面接触可能である。プランジャ34における固定鉄心33とは反対側の端面34bは、ポペット弁15に接離可能である。
【0036】
図3に示すように、プランジャ34の外周面には、環状の鍔部34cが突出している。鍔部34cは、連結ブロック13の貫通孔13aの内側に位置している。ハウジング14内には、有底筒状の収容部材37が収容されている。収容部材37は、プランジャ34の軸線方向において、ボビン36と磁気フレーム30の底部30aとの間に配置されている。収容部材37は、板状の底部37aと、底部37aの周縁部からハウジング14の周壁14bの内周面に沿って延びる筒状の延在部37bと、を有している。底部37aには、挿通孔37cが形成されている。挿通孔37cの軸心は、磁気フレーム30の雌ねじ孔30cの軸心と一致している。
【0037】
固定鉄心33のフランジ部33bは、収容部材37の内側に位置している。フランジ部33bの外周面は、収容部材37の延在部37bの内周面に接している。収容部材37の内側には、板状の磁石38が収容されている。磁石38は、プランジャ34の軸線方向において、固定鉄心33と収容部材37の底部37aとの間に配置されている。磁石38の外周面は、収容部材37の延在部37bの内周面に接している。
【0038】
磁気フレーム30の雌ねじ孔30cには、第1磁性コア39が螺着されている。第1磁性コア39は、外周面に雄ねじ39aが形成されている螺子部39bと、螺子部39bから突出するとともに収容部材37の挿通孔37cに挿通される柱状の挿通部39cと、を有している。挿通部39cにおける螺子部39bとは反対側の端面は、磁石38に接触している。挿通部39cの外周面は、挿通孔37cの内周面に接触している。
【0039】
図3及び図4に示すように、自己保持型電磁弁10においては、実線の矢印で示すように磁石38の磁束が発生している。磁石38の磁束は、磁石38→固定鉄心33のフランジ部33b→収容部材37→第1磁性コア39の挿通部39c→磁石38の順に通過している。
【0040】
磁気フレーム30の先端側の内側には、筒状の第2磁性コア40が配置されている。第2磁性コア40は、プランジャ34の軸線方向において、ボビン36よりも連結ブロック13側に位置している。第2磁性コア40の外周面は、磁気フレーム30の延在部30bの内周面における先端側の部位に接触している。プランジャ34は、第2磁性コア40の内側を通過している。
【0041】
プランジャばね35は、第2磁性コア40とプランジャ34の鍔部34cとの間に介在されている。プランジャばね35の一端は、第2磁性コア40の端面に支持されるとともに、プランジャばね35の他端は、プランジャ34の鍔部34cに支持されている。プランジャばね35は、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eに対して離間する方向へプランジャ34を付勢している。プランジャばね35の付勢力は、弁体ばね28の付勢力よりも大きい。
【0042】
ハウジング14には、カバー41が取り付けられている。カバー41内には、制御基板42と、マイコン43(MPU)と、制御回路50と、が収容されている。マイコン43及び制御回路50は、制御基板42に搭載されている。
【0043】
図5に示すように、制御回路50は、Hブリッジ回路51を備えている。Hブリッジ回路51は、4つのトランジスタ51a,51b,51c,51dを有している。そして、Hブリッジ回路51により駆動用コイル32への通電が行われる。
【0044】
各トランジスタ51a,51bは、p型チャネルの電界効果トランジスタである。各トランジスタ51c,51dは、n型チャネルの電界効果トランジスタである。各トランジスタ51a,51b,51c,51dのゲート端子は、それぞれマイコン43に電気的に接続されている。両トランジスタ51a,51dのゲート端子は、マイコン43に対して並列接続されている。両トランジスタ51b,51cのゲート端子は、マイコン43に対して並列接続されている。マイコン43は、各トランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御を行う。
【0045】
各トランジスタ51a,51bのソース端子は、接続配線44を介して入力端子45に電気的に接続されている。接続配線44には、ダイオード46が設けられている。ダイオード46のアノードは、接続配線44の一部分を介して入力端子45に電気的に接続されている。ダイオード46のカソードは、接続配線44の一部分を介して各トランジスタ51a,51bのソース端子に電気的に接続されている。
【0046】
トランジスタ51aのドレイン端子は、トランジスタ51cのドレイン端子に直列接続されている。トランジスタ51bのドレイン端子は、トランジスタ51dのドレイン端子に直列接続されている。各トランジスタ51c,51dのソース端子は、グランドに電気的に接続されている。
【0047】
トランジスタ51aのドレイン端子とトランジスタ51cのドレイン端子とが直列に接続された中間点である第1中間点P1は、駆動用コイル32の一端である第1端32aに電気的に接続されている。トランジスタ51bのドレイン端子とトランジスタ51dのドレイン端子とが直列に接続された中間点である第2中間点P2は、駆動用コイル32の他端である第2端32bに電気的に接続されている。よって、Hブリッジ回路51は、駆動用コイル32と4つのトランジスタ51a,51b,51c,51dとをHブリッジ接続して構成されている。
【0048】
入力端子45には、外部電源47が電気的に接続されている。入力端子45と外部電源47との間には、外部スイッチ48が設けられている。外部スイッチ48は、外部電源47からの入力端子45への電流の流れを許容するオン状態と、外部電源47からの入力端子45への電流の流れを遮断するオフ状態と、に切替可能である。外部スイッチ48のオン状態とオフ状態との切替は、ユーザにおける外部スイッチ48の操作によって行われる。
【0049】
制御回路50は、レギュレータ52を備えている。レギュレータ52は、例えば、スイッチングレギュレータである。レギュレータ52は、接続配線49を介して入力端子45に電気的に接続されている。そして、レギュレータ52は、外部電源47から入力端子45及び接続配線49を介して印加された電圧をマイコン43の最大定格電圧に降圧する。
【0050】
レギュレータ52は、電源配線53を介してマイコン43に電気的に接続されている。電源配線53には、抵抗54及びダイオード55が設けられている。抵抗54の一端は、レギュレータ52に電気的に接続されている。抵抗54の他端は、ダイオード55のアノードに電気的に接続されている。ダイオード55のカソードは、マイコン43に電気的に接続されている。マイコン43には、レギュレータ52によって降圧された電圧に応じた電流が電源配線53を介してマイコン43に供給される。これにより、マイコン43が駆動する。抵抗54は、電源配線53を介してマイコン43に向けて流れる電流を制限する電流制限用の抵抗として機能する。
【0051】
また、制御回路50は、信号配線56を備えている。信号配線56の一端は、電源配線53における抵抗54とレギュレータ52との間に電気的に接続されている。したがって、信号配線56は、電源配線53における抵抗54とレギュレータ52との間から分岐している。信号配線56の他端は、マイコン43に電気的に接続されている。信号配線56には、抵抗57が設けられている。そして、マイコン43には、レギュレータ52によって降圧された電圧に応じた電流が、信号配線56を介して外部入力信号として入力される。したがって、信号配線56は、外部電源47からの電流を外部入力信号としてマイコン43に入力する。そして、マイコン43には、外部電源47から信号配線56を介して外部入力信号が入力される。抵抗57は、信号配線56を介してマイコン43に向けて流れる電流を制限する電流制限用の抵抗として機能する。
【0052】
マイコン43には、外部電源47からの電流が外部入力信号として入力されているか否かによって各トランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御を行う制御プログラムが予め記憶されている。したがって、マイコン43は、外部電源47からの電流が外部入力信号として入力されているか否かによって4つのトランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御を行う制御部として機能する。なお、マイコン43は、グランド配線58を介してグランドに電気的に接続されている。また、マイコン43は、タイマー43aを有している。
【0053】
制御回路50は、第1制御部用トランジスタ61、第2制御部用トランジスタ62、及び制御部用コンデンサ63を備えている。第1制御部用トランジスタ61及び第2制御部用トランジスタ62は、p型チャネルの電界効果トランジスタである。
【0054】
第1制御部用トランジスタ61のゲート端子は、マイコン43に電気的に接続されている。マイコン43は、第1制御部用トランジスタ61のオンオフ制御を行う。第1制御部用トランジスタ61のソース端子は、電源配線53におけるダイオード55のカソードよりもマイコン43側の部位に電気的に接続されている。第1制御部用トランジスタ61のドレイン端子は、制御部用コンデンサ63の一端に電気的に接続されている。制御部用コンデンサ63の他端は、グランドに電気的に接続されている。
【0055】
第2制御部用トランジスタ62のゲート端子は、マイコン43に電気的に接続されている。マイコン43は、第2制御部用トランジスタ62のオンオフ制御を行う。第2制御部用トランジスタ62のソース端子は、第1制御部用トランジスタ61のドレイン端子と制御部用コンデンサ63の一端との間に電気的に接続されている。第2制御部用トランジスタ62のドレイン端子は、電源配線53における第1制御部用トランジスタ61のソース端子との接続部位よりもマイコン43側の部位と電気的に接続されている。
【0056】
制御回路50は、第1コイル用トランジスタ71、第2コイル用トランジスタ72、及びコイル用コンデンサ73を備えている。第1コイル用トランジスタ71は、p型チャネルの電界効果トランジスタである。第2コイル用トランジスタ72は、n型チャネルの電界効果トランジスタである。
【0057】
第1コイル用トランジスタ71のゲート端子は、マイコン43に電気的に接続されている。マイコン43は、第1コイル用トランジスタ71のオンオフ制御を行う。第1コイル用トランジスタ71のソース端子は、接続配線44におけるダイオード46のカソードよりも各トランジスタ51a,51bのソース端子側の部位に電気的に接続されている。第1コイル用トランジスタ71のドレイン端子は、コイル用コンデンサ73の一端に電気的に接続されている。コイル用コンデンサ73の他端は、グランドに電気的に接続されている。
【0058】
第2コイル用トランジスタ72のゲート端子は、マイコン43に電気的に接続されている。第2コイル用トランジスタ72のゲート端子は、両トランジスタ51a,51dのゲート端子と共にマイコン43に対して並列接続されている。マイコン43は、第2コイル用トランジスタ72のオンオフ制御を行う。第2コイル用トランジスタ72のソース端子は、接続配線44における第1コイル用トランジスタ71のソース端子との接続部位よりも各トランジスタ51a,51bのソース端子側の部位に電気的に接続されている。第2コイル用トランジスタ72のドレイン端子は、第1コイル用トランジスタ71のドレイン端子とコイル用コンデンサ73の一端との間に電気的に接続されている。
【0059】
自己保持型電磁弁10は、外部からの衝撃によって自己保持型電磁弁10が振動したときに、自己保持型電磁弁10の振動を検出する振動検出部としての加速度センサ80を備えている。加速度センサ80は、マイコン43に電気的に接続されている。加速度センサ80は、自己保持型電磁弁10の振動による加速度を検出する。マイコン43は、加速度センサ80により検出された加速度に関する情報を受信する。
【0060】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図6に示すように、ユーザによって外部スイッチ48の操作が行われて、外部スイッチ48がオンになると、外部電源47からの電流が、入力端子45、接続配線49、レギュレータ52、及び電源配線53を通過してマイコン43に流れ、マイコン43が駆動する。また、マイコン43には、信号配線56から外部入力信号が入力される。つまり、外部スイッチ48がオンになると、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が行われる。なお、ユーザによって外部スイッチ48の操作が行われて、外部スイッチ48がオンになり、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が行われたタイミングでは、第1制御部用トランジスタ61、第2制御部用トランジスタ62、第1コイル用トランジスタ71、及び第2コイル用トランジスタ72は、全てオフになっている。
【0061】
詳細には、マイコン43は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が行われたタイミングで、第2制御部用トランジスタ62をオフにする。なお、第1制御部用トランジスタ61、第1コイル用トランジスタ71、及び第2コイル用トランジスタ72は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が行われたタイミングよりも前から既にオフに切り替わっている。
【0062】
そして、マイコン43は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が行われたタイミングで、各トランジスタ51b,51cをオンにする。なお、各トランジスタ51a,51dは、信号配線56からマイコン43に外部入力信号が入力されたタイミングよりも前から既にオフに切り替わっている。また、マイコン43は、各トランジスタ51b,51cをオンにすると同時にタイマー43aをオンにし、タイマー43aによって一定時間を計測する。
【0063】
各トランジスタ51b,51cがオンであるとともに各トランジスタ51a,51dがオフである場合、外部電源47から入力端子45及び接続配線44を通過した電流がトランジスタ51b、駆動用コイル32、及びトランジスタ51cの順に流れる。したがって、駆動用コイル32に通電される電流の向きが順方向(図5に示す矢印X1の方向)となる。
【0064】
図3に示すように、駆動用コイル32に通電される電流の向きが順方向である場合、二点鎖線の矢印で示すように、固定鉄心33→プランジャ34→第2磁性コア40→磁気フレーム30→第1磁性コア39→磁石38→固定鉄心33の順に磁束が通過する磁気回路が形成される。この磁気回路の磁束が通過する方向は、磁石38の磁束が通過する方向と同じ方向である。
【0065】
そして、駆動用コイル32の起磁力が、プランジャ34を固定鉄心33に向けて吸着する方向に働き、駆動用コイル32の起磁力及び磁石38の吸引力が、プランジャばね35の付勢力に抗して、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eに接近する方向へプランジャ34が移動する。よって、プランジャ34は、駆動用コイル32の励磁により移動する。さらに、プランジャ34は、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eに接近する方向へ移動して、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eに吸着される。
【0066】
したがって、本実施形態の自己保持型電磁弁10は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が行われたタイミングで、プランジャ34が固定鉄心33の吸着面33eに対して接離する方向の一方へ移動するようにマイコン43による4つのトランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御が行われる。これにより、外部電源47から駆動用コイル32へ電流が供給される。
【0067】
このプランジャ34の移動に伴い、軸部材26及びポペット弁15が、弁体ばね28の付勢力によって、弁体15vが第1弁座23から離間する方向へ移動し、弁体15vが第2弁座24に着座する。これにより、図1及び図2に示すように、供給ポート17と出力ポート18とが、連通孔20e、延在部20bの内側、及び弁室25を介して連通し、供給ポート17から供給された流体が連通孔20e、延在部20bの内側、及び弁室25を介して流体圧機器に供給される。
【0068】
図6に示すように、第1制御部用トランジスタ61がオフである場合、電源配線53において抵抗54及びダイオード55を通過した電流の一部における制御部用コンデンサ63に向けた流れが、第1制御部用トランジスタ61により遮断される。これにより、外部電源47からの制御部用コンデンサ63への電圧の印加が遮断された状態となっている。したがって、第1制御部用トランジスタ61は、外部電源47から制御部用コンデンサ63への電圧の印加を遮断する印加遮断状態に切り替え可能である。そして、第1制御部用トランジスタ61が印加遮断状態に切り替えられていることにより、電源配線53において抵抗54及びダイオード55を通過した電流の全てが、マイコン43に供給される。したがって、マイコン43は、駆動用コイル32への電流の供給が行われているときに第1制御部用トランジスタ61を印加遮断状態に切り替える。
【0069】
第2制御部用トランジスタ62がオフである場合、制御部用コンデンサ63に充電されている電流における電源配線53に向けた流れが、第2制御部用トランジスタ62により遮断される。これにより、制御部用コンデンサ63からのマイコン43への電流の供給が遮断された状態となっている。したがって、第2制御部用トランジスタ62は、制御部用コンデンサ63からのマイコン43への電流の供給を遮断する制御部電流遮断状態に切り替え可能である。マイコン43は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が行われたタイミングで、第2制御部用トランジスタ62を制御部電流遮断状態に切り替える。
【0070】
第1コイル用トランジスタ71がオフである場合、接続配線44においてダイオード46を通過した電流の一部におけるコイル用コンデンサ73に向けた流れが、第1コイル用トランジスタ71により遮断される。これにより、外部電源47からのコイル用コンデンサ73への電圧の印加が遮断された状態となっている。したがって、第1コイル用トランジスタ71は、外部電源47からコイル用コンデンサ73への電圧の印加を遮断する印加遮断状態に切り替え可能である。そして、第1コイル用トランジスタ71が印加遮断状態に切り替えられていることにより、接続配線44においてダイオード46を通過した電流の全てが、トランジスタ51bを通過して駆動用コイル32に供給される。したがって、マイコン43は、駆動用コイル32への電流の供給が行われているときに第1コイル用トランジスタ71を印加遮断状態に切り替える。
【0071】
第2コイル用トランジスタ72がオフである場合、コイル用コンデンサ73に充電されている電流における接続配線44に向けた流れが、第2コイル用トランジスタ72により遮断される。これにより、コイル用コンデンサ73からの駆動用コイル32への電流の供給が遮断された状態となっている。したがって、第2コイル用トランジスタ72は、コイル用コンデンサ73からの駆動用コイル32への電流の供給を遮断するコイル電流遮断状態に切り替え可能である。
【0072】
図7に示すように、マイコン43は、各トランジスタ51b,51cをオンにしてからタイマー43aが一定時間を計測したタイミングで、各トランジスタ51b,51cをオフにする。つまり、マイコン43は、各トランジスタ51b,51cをオンにしてから一定時間経過したタイミングで、全てのトランジスタ51a,51b,51c,51dをオフにする。なお、マイコン43は、タイマー43aが一定時間を計測した後、タイマー43aをオフにし、タイマー43aのカウントをリセットする。
【0073】
全てのトランジスタ51a,51b,51c,51dがオフとなると、駆動用コイル32への通電が停止し、駆動用コイル32が非励磁の状態となる。すると、駆動用コイル32の起磁力が生じなくなるが、磁石38の吸引力がプランジャばね35の付勢力に打ち勝って、プランジャ34が、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eに吸着された状態で自己保持される。よって、磁石38は、プランジャ34を固定鉄心33の吸着面33eに吸着させた状態に保持する。プランジャばね35の付勢力は、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eに吸着された状態で、駆動用コイル32への通電が停止された場合に、磁石38の吸引力の方が打ち勝つ大きさに設定されている。
【0074】
また、マイコン43は、全てのトランジスタ51a,51b,51c,51dをオフにしたタイミングと同時に、第1制御部用トランジスタ61及び第1コイル用トランジスタ71をオンにする。
【0075】
第1制御部用トランジスタ61がオンである場合、電源配線53において抵抗54及びダイオード55を通過した電流の一部における制御部用コンデンサ63に向けた流れが、第1制御部用トランジスタ61により許容される。これにより、外部電源47から制御部用コンデンサ63への電圧の印加が許容された状態となっている。したがって、第1制御部用トランジスタ61は、外部電源47から制御部用コンデンサ63への電圧の印加を許容する印加許容状態に切り替え可能である。よって、第1制御部用トランジスタ61は、外部電源47から制御部用コンデンサ63への電圧の印加を許容する印加許容状態と、外部電源47から制御部用コンデンサ63への電圧の印加を遮断する印加遮断状態と、に切り替え可能な印加切替部として機能する。
【0076】
そして、第1制御部用トランジスタ61が印加許容状態に切り替えられていることにより、電源配線53において抵抗54及びダイオード55を通過した電流の一部が制御部用コンデンサ63に流れ、制御部用コンデンサ63が充電される。したがって、制御部用コンデンサ63は、外部電源47からの電圧が印加されることにより充電されるコンデンサである。マイコン43は、駆動用コイル32への電流の供給が停止されているときに第1制御部用トランジスタ61を印加許容状態に切り替える。
【0077】
第1コイル用トランジスタ71がオンである場合、接続配線44においてダイオード46を通過した電流の一部におけるコイル用コンデンサ73に向けた流れが、第1コイル用トランジスタ71により許容される。これにより、外部電源47からコイル用コンデンサ73への電圧の印加が許容された状態となっている。したがって、第1コイル用トランジスタ71は、外部電源47からコイル用コンデンサ73への電圧の印加を許容する印加許容状態に切り替え可能である。よって、第1コイル用トランジスタ71は、外部電源47からコイル用コンデンサ73への電圧の印加を許容する印加許容状態と、外部電源47からコイル用コンデンサ73への電圧の印加を遮断する印加遮断状態と、に切り替え可能な印加切替部として機能する。
【0078】
そして、第1コイル用トランジスタ71が印加許容状態に切り替えられていることにより、接続配線44においてダイオード46を通過した電流の一部がコイル用コンデンサ73に流れ、コイル用コンデンサ73が充電される。したがって、コイル用コンデンサ73は、外部電源47からの電圧が印加されることにより充電されるコンデンサである。マイコン43は、駆動用コイル32への電流の供給が停止されているときに第1コイル用トランジスタ71を印加許容状態に切り替える。
【0079】
また、マイコン43は、全てのトランジスタ51a,51b,51c,51dをオフにしたタイミングと同時に、第2制御部用トランジスタ62をオンにする。第2制御部用トランジスタ62がオンである場合、制御部用コンデンサ63に充電されている電流における電源配線53に向けた流れが、第2制御部用トランジスタ62より許容される。これにより、制御部用コンデンサ63からのマイコン43への電流の供給が許容された状態となっている。
【0080】
したがって、第2制御部用トランジスタ62は、制御部用コンデンサ63からのマイコン43への電流の供給を許容する制御部電流許容状態に切り替え可能である。よって、第2制御部用トランジスタ62は、制御部用コンデンサ63からのマイコン43への電流の供給を許容する制御部電流許容状態と、制御部用コンデンサ63からのマイコン43への電流の供給を遮断する制御部電流遮断状態と、に切り替え可能な充電電流制御部用切替部として機能する。マイコン43は、第2制御部用トランジスタ62を制御部電流遮断状態に切り替えてから一定時間経過したタイミングで、第2制御部用トランジスタ62を制御部電流許容状態に切り替える。
【0081】
ここで、信号配線56からマイコン43に外部入力信号が入力されている状態では、外部電源47からの電流が、入力端子45、接続配線49、レギュレータ52、及び電源配線53を通過してマイコン43に流れている。よって、第2制御部用トランジスタ62がオンになったとしても、制御部用コンデンサ63からのマイコン43への電流の供給は行われず、電源配線53を流れる電流の一部が第1制御部用トランジスタ61を介して制御部用コンデンサ63に向けて流れて、制御部用コンデンサ63が充電された状態が継続している。
【0082】
図8に示すように、ユーザによって外部スイッチ48の操作が行われて、外部スイッチ48がオフになると、外部電源47からの電流が、入力端子45、接続配線49、レギュレータ52、及び電源配線53を通過してマイコン43に流れなくなるとともに、信号配線56からマイコン43に外部入力信号が入力されなくなる。つまり、外部スイッチ48がオフになると、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が停止される。
【0083】
このとき、第2制御部用トランジスタ62がオンになっているため、制御部用コンデンサ63からのマイコン43への電流の供給が第2制御部用トランジスタ62により許容されており、制御部用コンデンサ63に充電されている電流がマイコン43へ供給され、マイコン43の駆動が維持されている。したがって、制御部用コンデンサ63には、マイコン43に供給するための電流が充電されている。
【0084】
また、制御部用コンデンサ63から電源配線53に流れた電流が、外部電源47側へ流れることが、ダイオード55によって抑えられている。したがって、ダイオード55は、制御部用コンデンサ63と外部電源47との間に設けられるとともに、制御部用コンデンサ63における外部電源47への放電を抑える放電抑制部として機能している。
【0085】
マイコン43は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が停止されたタイミングで、第1制御部用トランジスタ61及び第1コイル用トランジスタ71をオフにする。
【0086】
さらに、マイコン43は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が停止されたタイミングで、各トランジスタ51a,51dをオンにする。このとき、第2コイル用トランジスタ72のゲート端子は、両トランジスタ51a,51dのゲート端子と共にマイコン43に対して並列接続されているため、両トランジスタ51a,51dがオンになったタイミングと同時に、第2コイル用トランジスタ72もオンになる。
【0087】
第2コイル用トランジスタ72がオンである場合、コイル用コンデンサ73に充電されている電流における接続配線44に向けた流れが、第2コイル用トランジスタ72より許容される。これにより、コイル用コンデンサ73からの駆動用コイル32への電流の供給が許容された状態となっている。したがって、第2コイル用トランジスタ72は、コイル用コンデンサ73からの駆動用コイル32への電流の供給を許容するコイル電流許容状態に切り替え可能である。よって、第2コイル用トランジスタ72は、コイル用コンデンサ73からの駆動用コイル32への電流の供給を許容するコイル電流許容状態と、コイル用コンデンサ73からの駆動用コイル32への電流の供給を遮断するコイル電流遮断状態と、に切り替え可能な充電電流コイル用切替部として機能する。マイコン43は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が停止されたタイミングで、第2コイル用トランジスタ72をコイル電流許容状態に切り替える。
【0088】
また、マイコン43は、各トランジスタ51a,51dをオンにすると同時にタイマー43aをオンにし、タイマー43aによって一定時間を計測する。各トランジスタ51a,51dがオンであるとともに各トランジスタ51b,51cがオフである場合、コイル用コンデンサ73から接続配線44に向けて流れた電流がトランジスタ51a、駆動用コイル32、及びトランジスタ51dの順に流れる。したがって、駆動用コイル32に通電される電流の向きが逆方向(図5に示す矢印X2の方向)となる。したがって、コイル用コンデンサ73には、駆動用コイル32に供給するための電流が充電されている。
【0089】
図4に示すように、駆動用コイル32に通電される電流の向きが逆方向である場合、二点鎖線の矢印で示すように、固定鉄心33→磁石38→第1磁性コア39→磁気フレーム30→第2磁性コア40→プランジャ34→固定鉄心33の順に磁束が通過する磁気回路が形成される。この磁気回路の磁束が通過する方向は、磁石38の磁束が通過する方向とは逆方向である。すると、駆動用コイル32の起磁力が磁石38の吸引力を低減させる。磁石38の吸引力が駆動用コイル32の起磁力により低減されると、プランジャばね35の付勢力によって、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eから離間する方向へプランジャ34が移動する。
【0090】
したがって、本実施形態の自己保持型電磁弁10は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が停止されたタイミングで、制御部用コンデンサ63に充電されている電流がマイコン43に供給される。これにより、プランジャ34が固定鉄心33の吸着面33eに対して接離する方向の他方へ移動するようにマイコン43による4つのトランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御が行われて、コイル用コンデンサ73から駆動用コイル32へ電流が供給される。このように、駆動用コイル32に流れる電流の向きは、Hブリッジ回路51によって切り替えられる。
【0091】
そして、プランジャばね35の付勢力が弁体ばね28の付勢力に打ち勝つことで、プランジャ34の端面34bがポペット弁15の軸部15aに当接しながら、ポペット弁15及び軸部材26を押圧し、弁体15vが第2弁座24から離間する方向へ移動し、弁体15vが第1弁座23に着座する。これにより、出力ポート18と排出ポート19とが、弁室25及び第2孔16bを介して連通し、出力ポート18から弁室25、第2孔16b、及び排出ポート19を介して外部に流体が排出される。
【0092】
図8に示すように、コイル用コンデンサ73から接続配線44に流れた電流が外部電源47側へ流れることが、ダイオード46によって抑えられている。したがって、ダイオード46は、コイル用コンデンサ73と外部電源47との間に設けられるとともに、コイル用コンデンサ73における外部電源47への放電を抑える放電抑制部として機能している。
【0093】
図9に示すように、マイコン43は、各トランジスタ51a,51dをオンにしてからタイマー43aが一定時間を計測したタイミングで、各トランジスタ51a,51dをオフにする。つまり、マイコン43は、各トランジスタ51a,51dをオンにしてから一定時間経過したタイミングで、全てのトランジスタ51a,51b,51c,51dをオフにする。なお、マイコン43は、タイマー43aが一定時間を計測した後、タイマー43aをオフにし、タイマー43aのカウントをリセットする。
【0094】
全てのトランジスタ51a,51b,51c,51dがオフとなると、駆動用コイル32への通電が停止し、駆動用コイル32が非励磁の状態となる。すると、駆動用コイル32の起磁力が生じなくなる。このとき、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eから離間していることにより、プランジャばね35の付勢力が磁石38の吸引力に打ち勝って、プランジャ34が、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eから離間した状態で自己保持される。よって、プランジャばね35は、プランジャ34が固定鉄心33の吸着面33eに対して離間する方向へプランジャ34を付勢してプランジャ34を固定鉄心33の吸着面33eから離間させた状態に保持する。プランジャばね35の付勢力は、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eから離間した状態で、駆動用コイル32への通電が停止された場合に、磁石38の吸引力に打ち勝つ大きさに設定されている。
【0095】
このように、自己保持型電磁弁10では、供給ポート17と出力ポート18とが連通した状態と、出力ポート18と排出ポート19とが連通した状態とを切り替える場合に、駆動用コイル32を通電状態とする。そして、自己保持型電磁弁10では、駆動用コイル32の非励磁における磁石38によりプランジャ34を保持した状態となることで、供給ポート17と出力ポート18とが連通した状態が維持される。また、自己保持型電磁弁10では、駆動用コイル32の非励磁におけるプランジャばね35によりプランジャ34を保持した状態となることで、出力ポート18と排出ポート19とが連通した状態が維持される。
【0096】
また、第2コイル用トランジスタ72のゲート端子は、両トランジスタ51a,51dのゲート端子と共にマイコン43に対して並列接続されているため、両トランジスタ51a,51dがオフになったタイミングと同時に、第2コイル用トランジスタ72もオフになる。したがって、マイコン43は、第2コイル用トランジスタ72をオンにしてから一定時間経過したタイミングで、第2コイル用トランジスタ72をオフにする。つまり、マイコン43は、第2コイル用トランジスタ72をコイル電流許容状態に切り替えてから一定時間経過したタイミングで、第2コイル用トランジスタ72をコイル電流遮断状態に切り替える。
【0097】
両トランジスタ51a,51dがオフになったタイミングと同時に、第2コイル用トランジスタ72もオフになることで、駆動用コイル32に電流を供給する必要が無いときに、コイル用コンデンサ73に充電されている電流における接続配線44に向けた流れが、第2コイル用トランジスタ72により遮断される。したがって、コイル用コンデンサ73に充電されている電流が無駄に放電されてしまうことが抑制されている。
【0098】
ところで、例えば、図7に示すように、駆動用コイル32の非励磁における磁石38によりプランジャ34を保持した状態で外部からの衝撃が加わると、加速度センサ80は、自己保持型電磁弁10の振動による加速度を検出する。そして、マイコン43は、加速度センサ80により検出された加速度に関する情報を受信すると、図6に示すように、各トランジスタ51b,51cがオンになるとともに各トランジスタ51a,51dがオフとなるように、各トランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御を行う。つまり、マイコン43は、各トランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ状態が、全てのトランジスタ51a,51b,51c,51dをオフとする前の状態に戻るように、各トランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御を行う。
【0099】
これにより、外部電源47から入力端子45及び接続配線44を通過した電流がトランジスタ51b、駆動用コイル32、及びトランジスタ51cの順に流れ、駆動用コイル32に通電される電流の向きが順方向(図5に示す矢印X1の方向)となり、プランジャ34が固定鉄心33の吸着面33eに接近する方向へ移動する。その結果、駆動用コイル32の非励磁における磁石38によりプランジャ34を保持した状態において、プランジャ34が微動してもプランジャ34が元の位置に復帰する。
【0100】
また、例えば、図9に示すように、駆動用コイル32の非励磁におけるプランジャばね35によりプランジャ34を保持した状態で外部からの衝撃が加わると、加速度センサ80は、自己保持型電磁弁10の振動による加速度を検出する。そして、マイコン43は、加速度センサ80により検出された加速度に関する情報を受信すると、図8に示すように、各トランジスタ51a,51dがオンになるとともに各トランジスタ51b,51cがオフとなるように、各トランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御を行う。つまり、マイコン43は、各トランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ状態が、全てのトランジスタ51a,51b,51c,51dをオフとする前の状態に戻るように、各トランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御を行う。
【0101】
これにより、コイル用コンデンサ73から接続配線44に向けて流れた電流がトランジスタ51a、駆動用コイル32、及びトランジスタ51dの順に流れ、駆動用コイル32に通電される電流の向きが逆方向(図5に示す矢印X2の方向)となり、プランジャ34が固定鉄心33の吸着面33eから離間する方向へ移動する。その結果、駆動用コイル32の非励磁におけるプランジャばね35によりプランジャ34を保持した状態において、プランジャ34が微動してもプランジャ34が元の位置に復帰する。
【0102】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)マイコン43は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が行われたタイミングで、プランジャ34が固定鉄心33の吸着面33eに対して接離する方向の一方へ移動するように4つのトランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御を行う。これにより、外部電源47から駆動用コイル32へ電流が供給される。また、マイコン43には、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が停止されたタイミングで、制御部用コンデンサ63に充電されている電流が供給される。そして、マイコン43は、プランジャ34が固定鉄心33の吸着面33eに対して接離する方向の他方へ移動するように4つのトランジスタ51a,51b,51c,51dのオンオフ制御を行う。これにより、コイル用コンデンサ73から駆動用コイル32へ電流が供給される。これによれば、制御部用コンデンサ63及びコイル用コンデンサ73それぞれに充電されている電流を利用して、マイコン43を駆動させたり、プランジャ34を移動させたりすることができるため、マイコン43を駆動させたり、プランジャ34を移動させたりするために、外部電源47から自己保持型電磁弁10に常に電力を供給しておく必要が無い。したがって、外部電源47からの電力の消費を抑えることができる。また、プランジャ34を固定鉄心33の吸着面33eに対して接離する方向の他方へ移動させる場合に、外部電源47からのマイコン43への外部入力信号の入力を行う必要が無いため、その分、信号配線の数を減らすことができる。以上のことから、外部電源47からの電力の消費を抑えることができ、且つ信号配線56の数を減らすことができる。
【0103】
(2)ダイオード55は、制御部用コンデンサ63と外部電源47との間に設けられるとともに、制御部用コンデンサ63における外部電源47への放電を抑える放電抑制部として機能している。これによれば、制御部用コンデンサ63から電源配線53に流れた電流が外部電源47側へ流れることをダイオード55によって抑えることができる。また、ダイオード46は、コイル用コンデンサ73と外部電源47との間に設けられるとともに、コイル用コンデンサ73における外部電源47への放電を抑える放電抑制部として機能している。これによれば、コイル用コンデンサ73から接続配線44に流れた電流が外部電源47側へ流れることを、ダイオード46によって抑えることができる。
【0104】
(3)自己保持型電磁弁10が備えるコンデンサは、マイコン43に供給するための電流が充電される制御部用コンデンサ63と、駆動用コイル32に供給するための電流が充電されるコイル用コンデンサ73と、を含む。これによれば、マイコン43に供給するための電流、及び駆動用コイル32に供給するための電流を、1つのコンデンサで充電する場合に比べると、1つのコンデンサに掛かる負荷を低減することができ、耐久性を向上させることができる。
【0105】
(4)マイコン43は、駆動用コイル32への電流の供給が停止されているときに、第1制御部用トランジスタ61及び第1コイル用トランジスタ71を印加許容状態に切り替え、駆動用コイル32への電流の供給が行われているときに、第1制御部用トランジスタ61及び第1コイル用トランジスタ71を印加遮断状態に切り替える。これによれば、駆動用コイル32への電流の供給が行われているときに、制御部用コンデンサ63及びコイル用コンデンサ73に対する充電が行われないため、駆動用コイル32へ供給される電流の量が不足して、プランジャ34の動作遅れが発生してしまうことを回避することができる。
【0106】
(5)マイコン43は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が停止されたタイミングで、第2コイル用トランジスタ72をコイル電流許容状態に切り替え、第2コイル用トランジスタ72をコイル電流許容状態に切り替えてから一定時間経過したタイミングで、第2コイル用トランジスタ72をコイル電流遮断状態に切り替える。これによれば、駆動用コイル32に電流を供給する必要が無いときに、コイル用コンデンサ73に充電されている電流における接続配線44に向けた流れが、第2コイル用トランジスタ72により遮断される。したがって、コイル用コンデンサ73に充電されている電流が無駄に放電されてしまうことを抑制することができる。
【0107】
(6)マイコン43は、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が行われたタイミングで、第2制御部用トランジスタ62を制御部電流遮断状態に切り替え、第2制御部用トランジスタ62を制御部電流遮断状態に切り替えてから一定時間経過したタイミングで、第2制御部用トランジスタ62を制御部電流許容状態に切り替える。これによれば、外部スイッチ48がオフになって、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が停止されたときに、第2制御部用トランジスタ62がオンになっているため、制御部用コンデンサ63からのマイコン43への電流の供給が第2制御部用トランジスタ62により許容される。したがって、外部スイッチ48がオフになって、外部電源47からの信号配線56を介したマイコン43への外部入力信号の入力が停止されても、制御部用コンデンサ63に充電されている電流がマイコン43へ供給されるため、マイコン43の駆動を維持することができる。
【0108】
(7)自己保持型電磁弁10は、外部からの衝撃によって自己保持型電磁弁10が振動したときに、自己保持型電磁弁10の振動を検出する振動検出部としての加速度センサ80を備えている。これによれば、駆動用コイル32の非励磁における磁石38によりプランジャ34を保持した状態と、プランジャばね35によりプランジャ34を保持した状態とにおいて、外力によってプランジャ34が微動してもプランジャ34を元の位置に復帰させることができる。
【0109】
(8)信号配線56の数を減らすことができるため、配線スペースを削減することができ、自己保持型電磁弁10の小型化を図ることができる。また、信号配線56の数を減らすことができるため、自己保持型電磁弁10の動作を制御する外部制御機器の小型化に寄与するとともに外部制御機器のプログラムをより簡易な構成にすることが可能となる。
【0110】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0111】
図10に示すように、自己保持型電磁弁10は、例えば、コイル用コンデンサ73に充電される電流量を制御するための定電流ダイオード81を備えていてもよい。この場合、自己保持型電磁弁10は、第1コイル用トランジスタ71を備えていなくてもよい。これによれば、駆動用コイル32への電流の供給が行われているときに、駆動用コイル32へ供給される電流の量が不足してしまうことを抑えることができるため、プランジャ34の動作遅れが発生してしまうことを抑制することができる。
【0112】
図11に示すように、制御回路50は、フォトカプラPC1,PC2,PC3,PC4,PC5,PC6を備えている構成であってもよい。各トランジスタ51a,51b,51c,51dは、各フォトカプラPC1,PC2,PC3,PC4の一部を構成している。また、第1コイル用トランジスタ71は、フォトカプラPC5の一部を構成するとともに、第2コイル用トランジスタ72は、フォトカプラPC6の一部を構成する。この場合、各トランジスタ51a,51b,51c,51d、第1コイル用トランジスタ71、及び第2コイル用トランジスタ72は、フォトトランジスタである。また、各フォトカプラPC1,PC2,PC3,PC4,PC5,PC6は、各フォトダイオードDpa,Dpb,Dpc,Dpd,Dpe,Dpfをそれぞれ有している。
【0113】
各トランジスタ51a,51b,51c,51dのベース端子は、それぞれフォトダイオードDpa,Dpb,Dpc,Dpdと光学的に結合されている。各トランジスタ51a,51dのベース端子に光学的に結合する各フォトダイオードDpa,Dpdのアノードは、それぞれ各抵抗82a,82dを介してマイコン43に電気的に接続されている。各トランジスタ51b,51cのベース端子に光学的に結合する各フォトダイオードDpb,Dpcのアノードは、それぞれ各抵抗82b,82cを介してマイコン43に電気的に接続されている。
【0114】
第1コイル用トランジスタ71のベース端子は、フォトダイオードDpeと光学的に結合されている。第1コイル用トランジスタ71のベース端子に光学的に結合するフォトダイオードDpeのアノードは、抵抗82eを介してマイコン43に電気的に接続されている。第2コイル用トランジスタ72のベース端子は、フォトダイオードDpfと光学的に結合されている。第2コイル用トランジスタ72のベース端子に光学的に結合するフォトダイオードDpfのアノードは、抵抗82fを介してマイコン43に電気的に接続されている。第2コイル用トランジスタ72のベース端子に光学的に結合するフォトダイオードDpfのアノードは、各トランジスタ51a,51dのベース端子に光学的に結合する各フォトダイオードDpa,Dpdのアノードと共にマイコン43に対して並列接続されている。各フォトダイオードDpa,Dpb,Dpc,Dpd,Dpe,Dpfのカソードはグランドに電気的に接続されている。
【0115】
これによれば、マイコン43に印加される電源電圧と、自己保持型電磁弁10の駆動用コイル32に印加される電圧とが異なる場合に、各トランジスタ51a,51b,51c,51d、第1コイル用トランジスタ71、及び第2コイル用トランジスタ72が、常にオフになってしまうことを回避することができる。
【0116】
・ 実施形態において、ダイオード55に代えて、スイッチング素子を電源配線53に設けてもよい。そして、制御部用コンデンサ63からマイコン43に電流が供給されているときには、スイッチング素子をオフにすることにより、制御部用コンデンサ63における外部電源47への放電を抑えるようにしてもよい。この場合、スイッチング素子は、制御部用コンデンサ63と外部電源47との間に設けられるとともに、制御部用コンデンサ63における外部電源47への放電を抑える放電抑制部として機能する。
【0117】
・ 実施形態において、ダイオード46に代えて、スイッチング素子を接続配線44に設けてもよい。そして、コイル用コンデンサ73から駆動用コイル32に電流が供給されているときには、スイッチング素子をオフにすることにより、コイル用コンデンサ73における外部電源47への放電を抑えるようにしてもよい。この場合、スイッチング素子は、コイル用コンデンサ73と外部電源47との間に設けられるとともに、コイル用コンデンサ73における外部電源47への放電を抑える放電抑制部として機能する。
【0118】
・ 実施形態において、制御回路50は、電源配線53にダイオード55が設けられていない構成であってもよい。
・ 実施形態において、制御回路50は、接続配線44にダイオード46が設けられていない構成であってもよい。
【0119】
・ 実施形態において、制御回路50は、電源配線53にダイオード55が設けられておらず、さらに、接続配線44にもダイオード46が設けられていない構成であってもよい。
【0120】
・ 実施形態において、制御回路50は、マイコン43に供給するための電流、及び駆動用コイル32に供給するための電流を、1つのコンデンサで充電する構成であってもよい。
【0121】
・ 実施形態において、制御回路50は、第1制御部用トランジスタ61を備えていない構成であってもよい。
・ 実施形態において、制御回路50は、第1コイル用トランジスタ71を備えていない構成であってもよい。
【0122】
・ 実施形態において、制御回路50は、第1制御部用トランジスタ61及び第1コイル用トランジスタ71を備えていない構成であってもよい。
・ 実施形態において、制御回路50は、第2制御部用トランジスタ62を備えていない構成であってもよい。
【0123】
・ 実施形態において、制御回路50は、第2コイル用トランジスタ72を備えていない構成であってもよい。
・ 実施形態において、制御回路50は、第2制御部用トランジスタ62及び第2コイル用トランジスタ72を備えていない構成であってもよい。
【0124】
・ 実施形態において、制御回路50は、第1制御部用トランジスタ61、第2制御部用トランジスタ62、第1コイル用トランジスタ71、及び第2コイル用トランジスタ72を備えていない構成であってもよい。
【0125】
・ 実施形態において、自己保持型電磁弁10は、加速度センサ80を備えていない構成であってもよい。
・ 実施形態において、自己保持型電磁弁10は、5ポート電磁弁であってもよい。
【符号の説明】
【0126】
10…自己保持型電磁弁、31…ソレノイド、32…駆動用コイル、33…固定鉄心、33e…吸着面、34…プランジャ、35…プランジャばね、38…磁石、43…制御部として機能するマイコン、47…外部電源、51…Hブリッジ回路、51a,51b,51c,51d…トランジスタ、46,55…放電抑制部として機能するダイオード、56…信号配線、61…印加切替部として機能する第1制御部用トランジスタ、62…充電電流制御部用切替部として機能する第2制御部用トランジスタ、63…コンデンサである制御部用コンデンサ、71…印加切替部として機能する第1コイル用トランジスタ、72…充電電流コイル用切替部として機能する第2コイル用トランジスタ、73…コンデンサであるコイル用コンデンサ、80…振動検出部としての加速度センサ、81…定電流ダイオード。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11