(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】医療用観察システム、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20220801BHJP
A61B 90/20 20160101ALI20220801BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20220801BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20220801BHJP
【FI】
G02B21/06
A61B90/20
G02B21/36
G03B15/02 Z
(21)【出願番号】P 2019508752
(86)(22)【出願日】2018-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2018005585
(87)【国際公開番号】W WO2018179982
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】P 2017063367
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018010962
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後田 公
(72)【発明者】
【氏名】岡田 尚史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 憲志
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/152987(WO,A1)
【文献】特開2004-138818(JP,A)
【文献】特開2009-118955(JP,A)
【文献】特開2010-207460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/06
A61B 90/20
G02B 21/36
G03B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像信号を生成する撮像部と、
前記撮像部の撮像方向に向けて照明光を出射する光出射部と、
前記撮像部の使用状態を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記光出射部が照射する照明光を制御する照明制御部と、
を備え
、
前記判定部は、前記撮像部の撮像方向と予め設定された基準方向とがなす角度、前記撮像部が撮像する被写体から前記撮像部の先端部までの距離および前記撮像部が生成した前記画像信号に対応する画像のいずれかに基づいて前記使用状態を判定し、
前記照明制御部は、前記判定部による判定結果に基づいて、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う、
医療用観察システム。
【請求項2】
前記撮像部および前記光出射部を保持し、前記撮像部および前記光出射部を移動可能に支持する支持部と、
前記撮像部の撮像方向と予め設定された基準方向とがなす角度を検出する検出部と、
をさらに備え、
前記判定部は、前記検出部が検出した前記角度が所定の範囲外であるか否かを判定し、
前記照明制御部は、前記判定部が前記所定の範囲外であると判定した場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う請求項1に記載の医療用観察システム。
【請求項3】
外部から入力される指示に応じて、前記支持部を構成する複数の関節部の軸の一部を固定し、他の軸の動きによって前記撮像部の撮像視野を上下左右に変更可能な電動視野移動モード、および前記撮像部の撮像方向を自由に変更可能なオールフリーモードのいずれか一方を当該医療用観察システムに設定する第1モード設定部と、
前記第1モード設定部の設定に応じて、前記支持部の駆動を制御する駆動制御部と、
をさらに備え、
前記照明制御部は、前記判定部が前記所定の範囲外であると判定した場合において、前記第1モード設定部が当該医療用観察システムに前記オールフリーモードを設定したとき、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う請求項
2に記載の医療用観察システム。
【請求項4】
前記撮像部を内部に設けたカメラヘッドと、
前記撮像部の撮像方向と予め設定された基準方向とがなす角度を検出する検出部と、
をさらに備え、
前記判定部は、前記検出部が検出した前記角度が所定の範囲外であるか否かを判定し、
前記照明制御部は、前記判定部が前記所定の範囲外であると判定した場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う請求項1に記載の医療用観察システム。
【請求項5】
前記カメラヘッドに対するユーザの把持を検出する把持検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記把持検出部の検出結果に基づいて、前記ユーザが前記カメラヘッドを把持しているか否かを判定し、
前記照明制御部は、前記判定部によって前記ユーザが前記カメラヘッドを把持していないと判定された場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う請求項
4に記載の医療用観察システム。
【請求項6】
前記撮像部が撮像する被写体から前記撮像部の先端部までの距離を検出する検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記検出部が検出した距離が所定値以上であるか否かを判定し、
前記照明制御部は、前記判定部によって前記所定値以上であると判定された場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う請求項
2に記載の医療用観察システム。
【請求項7】
前記光出射部が照射する前記照明光の強度を変更する操作の入力を受け付ける第1入力部をさらに備え、
前記照明制御部は、前記判定部によって前記所定の範囲外であると判定されている場合において、前記第1入力部が前記操作の入力を受け付けたとき、前記操作に応じて、前記光出射部が照射する前記照明光の強度を変更する制御を行う請求項
2~6のいずれか一つに記載の医療用観察システム。
【請求項8】
前記光出射部に前記照明光を供給する光源装置と、
前記光源装置の停止を指示する入力を受け付ける第2入力部と、
をさらに備え、
前記照明制御部は、前記第2入力部が前記光源装置の停止を指示する入力を受け付けた場合、前記光源装置が供給する照明光を停止させる請求項
2~7のいずれか一つに記載の医療用観察システム。
【請求項9】
前記光源装置は、
第1の波長特性を有する第1の照明光を供給する第1光源部と、
前記第1の波長特性と異なる第2の波長特性を有する第2の照明光を供給する第2光源部と、
を有し、
前記照明制御部は、前記判定部によって前記所定の範囲外であると判定されている場合において、前記光源装置が前記第1の照明光および前記第2の照明光の少なくとも一方を前記光出射部に供給しているとき、前記第2の照明光を消灯または減灯する制御を行う請求項
8に記載の医療用観察システム。
【請求項10】
前記光源装置は、少なくとも青色の波長帯域の青色光を照射する青色光源を有し、
前記照明制御部は、前記判定部によって前記所定の範囲外であると判定されている場合において、前記光源装置が前記青色光を前記光出射部に供給しているとき、前記青色光を消灯または減灯する制御を行う請求項
8に記載の医療用観察システム。
【請求項11】
外部から入力される指示に応じて、前記照明制御部による制御を行う自動調整モード、および前記照明制御部による制御を禁止する手動調整モードのいずれか一方を当該医療用観察システムに設定する第2モード設定部をさらに備え、
前記照明制御部は、前記判定部が前記所定の範囲外であると判定した場合において、前記第2モード設定部が当該医療用観察システムに前記自動調整モードを設定したとき、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う請求項
2~10のいずれか一つに記載の医療用観察システム。
【請求項12】
前記照明制御部が前記照明光を消灯または減灯する制御を行っている旨を報知する報知部をさらに備える請求項1~
11のいずれか一つに記載の医療用観察システム。
【請求項13】
前記撮像部が撮像する被写体から前記撮像部の先端部までの距離を検出する検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記検出部が検出した距離が所定値以下であるか否かを判定し、
前記照明制御部は、前記判定部によって前記所定値以下であると判定された場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う請求項1に記載の医療用観察システム。
【請求項14】
前記撮像部が生成した前記画像信号に対応する画像から予め設定された所定の画像パターンを検出する画像検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記画像検出部が前記画像パターンを検出したか否かを判定し、
前記照明制御部は、前記判定部によって前記画像検出部が前記画像パターンを検出したと判定した場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う請求項1に記載の医療用観察システム。
【請求項15】
前記撮像部および前記光出射部の少なくとも一方を有する複数の観察ユニットのいずれかを着脱可能に保持する保持部と、
前記保持部に装着された前記観察ユニットの種別を検出する種別検出部と、
前記種別検出部の検出結果に基づいて、前記判定部の判定機能を有効または無効に切り替える判定制御部と、
をさらに備える請求項
2~14のいずれか一つに記載の医療用観察システム。
【請求項16】
前記光出射部が出射する前記照明光の強度、照明範囲および点滅の有無を含む照明パラメータを異ならせた複数の照明モードのいずれかを前記光出射部に設定する照明動作設定部と、
前記照明動作設定部が設定した前記照明モードを検出するモード検出部と、
前記モード検出部の検出結果に基づいて、前記判定部の判定機能を有効または無効に切り替える判定制御部と、
をさらに備える請求項
2~14のいずれか一つに記載の医療用観察システム。
【請求項17】
前記光出射部が出射する前記照明光の照明状態に関する照明情報を検出する照明検出部と、
前記照明情報を記録する照明情報記録部をさらに備え、
前記照明制御部は、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記光出射部が出射する前記照明光を減灯または消灯する制御を行う場合、直前に前記照明検出部が検出した前記照明情報を前記照明情報記録部に記録する一方、
前記光出射部が出射する前記照明光の減灯または消灯する制御を解除する場合、前記照明情報記録部が記録する前記照明情報に基づいて、前記光出射部が出射する前記照明光の照明状態を戻す制御を行う請求項
2~14のいずれか一つに記載の医療用観察システム。
【請求項18】
前記照明制御部は、前記判定部の判定結果に基づいて、前記光出射部が出射する前記照明光を消灯または減灯する制御を解除する場合、前記照明光の光量が最低値で出射されるように制御する請求項1~
17のいずれか一つに記載の医療用観察システム。
【請求項19】
被写体を撮像して画像信号を生成する撮像部と、前記撮像部の撮像方向に向けて照明光を照射する光出射部と、を備える医療用観察システムが実行する制御方法であって、
前記撮像部の使用状態を判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記光出射部が照射する照明光を制御する照明制御ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記撮像部の撮像方向と予め設定された基準方向とがなす角度、前記撮像部が撮像する被写体から前記撮像部の先端部までの距離および前記撮像部が生成した前記画像信号に対応する画像のいずれかに基づいて前記使用状態を判定し、
前記照明制御ステップは、前記判定ステップによる判定結果に基づいて、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う、
制御方法。
【請求項20】
被写体を撮像して画像信号を生成する撮像部と、前記撮像部の撮像方向に向けて照明光を照射する光出射部と、を備える医療用観察システムに、
前記撮像部の使用状態を判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記光出射部が照射する照明光を制御する照明制御ステップと、
を実行させ、
前記判定ステップは、前記撮像部の撮像方向と予め設定された基準方向とがなす角度、前記撮像部が撮像する被写体から前記撮像部の先端部までの距離および前記撮像部が生成した前記画像信号に対応する画像のいずれかに基づいて前記使用状態を判定し、
前記照明制御ステップは、前記判定ステップによる判定結果に基づいて、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被観察体を撮像して観察する医療用観察システム、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被観察体である患者の脳や心臓等における微小部位の手術を行う際に微小部位を観察するため、手術用顕微鏡が使用されている。このような手術用顕微鏡は、術者が各種の医療機器や処置具を用いて微小部位に対して処置を行うため、使い勝手の向上が図られている。例えば、観察光学系を配した固定ハウジングに対して、対物レンズおよび照明光学系を収容し、対物光軸周りに回動自在に配した可動ハウジングを設け、可動ハウジングの回動操作によって、術野を変えることなく、観察方向を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来技術1の手術用顕微鏡や内視鏡等の医療用観察システムでは、被写体に照明光を照射する照明部を備えるとともに、この照明部による照明光の点灯および消灯を任意に切り換える機能を有する。これらの医療用観察システムに用いられる照明光は、一般的な室内照明の照明光より強度が大きいため、直接目視し続けることは好ましくない。
【0005】
また、医療用観察システムは、観察位置を変更する状況下において、照明光が不要な場合があるが、常に照明光を点灯しているため、照明光が意図せず、周囲に照射され、その照明光を目視する状況下が発生する虞がある。この場合、術者等の使用者は、観察位置を変更する際に照明光を消灯することが考えられるが、その都度、照明光を消灯する操作を行うことは、使用者にとって煩雑となるという問題点があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、照明光が周囲に照射されてしまう可能性を簡易に低減することができる医療用観察システム、制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る医療用観察システムは、被写体を撮像して画像信号を生成する撮像部と、前記撮像部の撮像方向に向けて照明光を出射する光出射部と、前記撮像部の使用状態を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記光出射部が照射する照明光を制御する照明制御部と、を備える。
【0008】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記撮像部および前記光出射部を保持し、前記撮像部および前記光出射部を移動可能に支持する支持部と、前記撮像部の撮像方向と予め設定された基準方向とがなす角度を検出する検出部と、をさらに備え、前記判定部は、前記検出部が検出した前記角度が所定の範囲外であるか否かを判定し、前記照明制御部は、前記判定部が前記所定の範囲外であると判定した場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う。
【0009】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、外部から入力される指示に応じて、前記支持部を構成する複数の関節部の軸の一部を固定し、他の軸の動きによって前記撮像部の撮像視野を上下左右に変更可能な電動視野移動モード、および前記撮像部の撮像方向を自由に変更可能なオールフリーモードのいずれか一方を当該医療用観察システムに設定する第1モード設定部と、前記第1モード設定部の設定に応じて、前記支持部の駆動を制御する駆動制御部と、をさらに備え、前記照明制御部は、前記判定部が前記所定の範囲外であると判定した場合において、前記第1モード設定部が当該医療用観察システムに前記オールフリーモードを設定したとき、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う。
【0010】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記撮像部を内部に設けたカメラヘッドと、前記撮像部の撮像方向と予め設定された基準方向とがなす角度を検出する検出部と、をさらに備え、前記判定部は、前記検出部が検出した前記角度が所定の範囲外であるか否かを判定し、前記照明制御部は、前記判定部が前記所定の範囲外であると判定した場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う。
【0011】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記カメラヘッドに対するユーザの把持を検出する把持検出部をさらに備え、前記判定部は、前記把持検出部の検出結果に基づいて、前記ユーザが前記カメラヘッドを把持しているか否かを判定し、前記照明制御部は、前記判定部によって前記ユーザが前記カメラヘッドを把持していないと判定された場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う。
【0012】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記撮像部が撮像する被写体から前記撮像部の先端部までの距離を検出する検出部をさらに備え、前記判定部は、前記検出部が検出した距離が所定値以上であるか否かを判定し、前記照明制御部は、前記判定部によって前記所定値以上であると判定された場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う。
【0013】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記光出射部が照射する前記照明光の強度を変更する操作の入力を受け付ける第1入力部をさらに備え、前記照明制御部は、前記判定部によって前記所定の範囲外であると判定されている場合において、前記第1入力部が前記操作の入力を受け付けたとき、前記操作に応じて、前記光出射部が照射する前記照明光の強度を変更する制御を行う。
【0014】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記光出射部に前記照明光を供給する光源装置と、前記光源装置の停止を指示する入力を受け付ける第2入力部と、をさらに備え、前記照明制御部は、前記第2入力部が前記光源装置の停止を指示する入力を受け付けた場合、前記光源装置が供給する照明光を停止させる。
【0015】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記光源装置は、第1の波長特性を有する第1の照明光を供給する第1光源部と、前記第1の波長特性と異なる第2の波長特性を有する第2の照明光を供給する第2光源部と、を有し、前記照明制御部は、前記判定部によって前記所定の範囲外であると判定されている場合において、前記光源装置が前記第1の照明光および前記第2の照明光の少なくとも一方を前記光出射部に供給しているとき、前記第2の照明光を消灯または減灯する制御を行う。
【0016】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記光源装置は、少なくとも青色の波長帯域の青色光を照射する青色光源を有し、前記照明制御部は、前記判定部によって前記所定の範囲外であると判定されている場合において、前記光源装置が前記青色光を前記光出射部に供給しているとき、前記青色光を消灯または減灯する制御を行う。
【0017】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、外部から入力される指示に応じて、前記照明制御部による制御を行う自動調整モード、および前記照明制御部による制御を禁止する手動調整モードのいずれか一方を当該医療用観察システムに設定する第2モード設定部をさらに備え、前記照明制御部は、前記判定部が前記所定の範囲外であると判定した場合において、前記第2モード設定部が当該医療用観察システムに前記自動調整モードを設定したとき、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う。
【0018】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記照明制御部が前記照明光を消灯または減灯する制御を行っている旨を報知する報知部をさらに備える。
【0019】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記撮像部が撮像する被写体から前記撮像部の先端部までの距離を検出する検出部をさらに備え、前記判定部は、前記検出部が検出した距離が所定値以下であるか否かを判定し、前記照明制御部は、前記判定部によって前記所定値以下であると判定された場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う。
【0020】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記撮像部が生成した前記画像信号に対応する画像から予め設定された所定の画像パターンを検出する画像検出部をさらに備え、前記判定部は、前記画像検出部が前記画像パターンを検出したか否かを判定し、前記照明制御部は、前記判定部によって前記画像検出部が前記画像パターンを検出したと判定した場合、前記光出射部が照射する前記照明光を消灯または減灯する制御を行う。
【0021】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記撮像部および前記光出射部の少なくとも一方を有する複数の観察ユニットと、前記複数の観察ユニットのいずれかを着脱可能に保持する保持部と、前記保持部に装着された前記観察ユニットの種別を検出する種別検出部と、前記種別検出部の検出結果に基づいて、前記判定部の判定機能を有効または無効に切り替える判定制御部と、をさらに備える。
【0022】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記光出射部が出射する前記照明光の強度、照明範囲および点滅の有無を含む照明パラメータを異ならせた複数の照明モードのいずれかを前記光出射部に設定する照明動作設定部と、前記照明動作設定部が設定した前記照明モードを検出するモード検出部と、前記モード検出部の検出結果に基づいて、前記判定部の判定機能を有効または無効に切り替える判定制御部と、をさらに備える。
【0023】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記光出射部が出射する前記照明光の照明状態に関する照明情報を検出する照明検出部と、前記照明情報を記録する照明情報記録部をさらに備え、前記照明制御部は、前記判定部の判定結果に基づいて、前記光出射部が出射する前記照明光を減灯または消灯する制御を行う場合、直前に前記照明検出部が検出した前記照明情報を前記照明情報記録部に記録する一方、前記光出射部が出射する前記照明光の減灯または消灯する制御を解除する場合、前記照明情報記録部が記録する前記照明情報に基づいて、前記光出射部が出射する前記照明光の照明状態を戻す制御を行う。
【0024】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示において、前記照明制御部は、前記判定部の判定結果に基づいて、前記光出射部が出射する前記照明光を消灯または減灯する制御を解除する場合、前記照明光の光量が最低値で出射されるように制御する。
【0025】
また、本開示に係る制御方法は、被写体を撮像して画像信号を生成する撮像部と、前記撮像部の撮像方向に向けて照明光を照射する光出射部と、を備える医療用観察システムが実行する制御方法であって、前記撮像部の使用状態を判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記光出射部が照射する照明光を制御する照明制御ステップと、を含む。
【0026】
また、本開示に係るプログラムは、被写体を撮像して画像信号を生成する撮像部と、前記撮像部の撮像方向に向けて照明光を照射する光出射部と、を備える医療用観察システムに、前記撮像部の使用状態を判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記光出射部が照射する照明光を制御する照明制御ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、照明光が周囲に照射されてしまう可能性を簡易に低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る医療用観察システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る顕微鏡部と顕微鏡部の周辺の構成を示す拡大斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る医療用観察システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る医療用観察システムが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態2に係る医療用観察システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る医療用観察システムが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態3に係る医療用観察システムの概略構成を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態3に係る医療用観察システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態3に係る医療用観察システムが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態4に係る医療用観察システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施形態4に係る医療用観察システムが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態5に係る医療用観察システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、実施形態5に係る医療用観察システムが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を図面とともに詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は、各図で例示された形状、大きさおよび位置関係のみに限定されるものではない。
【0030】
(実施形態1)
〔医療用観察システムの概略構成〕
図1は、実施形態1に係る医療用観察システムの全体構成を示す図である。
図1に示す医療用観察システム1は、被観察体の微小部位を拡大して観察する顕微鏡としての機能を有する医療用の観察装置2と、光ファイバ等によって構成されたライトガイド4を介して観察装置2に照明光を供給する光源装置3と、観察装置2が撮像した画像を表示する表示装置8と、医療用観察システム1の動作を統括的に制御する制御装置9と、を備える。
【0031】
〔観察装置の概略構成〕
まず、観察装置2の概略構成について説明する。
観察装置2は、被観察体の微小部位を観察する顕微鏡部5と、顕微鏡部5の基端部に接続され、顕微鏡部5を回動可能に支持する支持部6と、支持部6の基端部を回動可能に保持し、床面上を移動可能なベース部7と、を備える。
【0032】
図2は、顕微鏡部5と顕微鏡部5の周辺の構成を示す拡大斜視図である。顕微鏡部5は、円柱状の外観を有し、その内部に、ズーム機能およびフォーカス機能を有する光学系と、光学系が結像した被写体像を受光して光電変換を行うことによって画像信号を生成する撮像素子(図示略)と、被観察体に照明光を照射する光出射部(図示略)と、を有する。また、顕微鏡部5の側面には、観察装置2の動作指示の入力を受け付ける入力部25を構成する各種スイッチが設けられている。顕微鏡部5の下端部の開口面には、内部の光学系等を保護するカバーガラスが設けられている(図示略)。術者等のユーザは、顕微鏡部5を把持した状態で各種スイッチを操作しながら、顕微鏡部5を移動したり、顕微鏡部5の角度を変更したり、観察装置2のモードを変更したり、ズームまたはフォーカス動作を行ったりする。このため、ユーザは、光学系の光軸の方向または顕微鏡部5の撮像視野の中心方向を直感的に把握することができ、顕微鏡部5を所望の位置へ容易に移動させることができる。なお、顕微鏡部5の形状は、円筒状に限定されることなく、例えば多角筒状であってもよい。
【0033】
図1に戻り、観察装置2の構成の説明を続ける。
支持部6は、先端側(顕微鏡部5側)から順に、第1関節部61、第1アーム部71と、第2関節部62、第2アーム部72と、第3関節部63と、第3アーム部73と、第4関節部64と、第4アーム部74と、第5関節部65と、第5アーム部75と、第6関節部66と、が連結されている。
【0034】
第1関節部61は、先端側で顕微鏡部5を、この顕微鏡部5の光軸と一致する第1軸O1のまわりを回動可能に保持するとともに、基端側で第1アーム部71の先端部に固定された状態で第1アーム部71に保持される。
【0035】
第2関節部62は、先端側で第1アーム部71を第1軸O1と直交する第2軸O2のまわりを回動可能に保持するとともに、基端側で第2アーム部72に保持される。同様に、第3関節部63~第6関節部66は、先端側で第2アーム部72~第4アーム部74をそれぞれ回動可能に保持するとともに、基端側で第3アーム部73~第5アーム部75の先端部にそれぞれ固定された状態で保持される。
【0036】
第6関節部66は、先端側で第5アーム部75を回動可能に保持するとともに、基端側でベース部7に固定された状態で保持される。
【0037】
第2アーム部72~第5アーム部75は、第3軸O3~第6軸O6をそれぞれ回転軸として回動可能である。第4軸O4および第5軸O5は、第2軸O2とそれぞれ平行である。第3軸O3と第4軸O4、第5軸O5と第6軸O6は、それぞれ直交する。
【0038】
第1関節部61~第6関節部66は、それぞれの先端側の顕微鏡部5、第1アーム部71~第5アーム部75の回動を禁止する電磁ブレーキ(図示略)および検出部として機能する角度センサ(図示せず)をそれぞれ有する。電磁ブレーキは、顕微鏡部5の入力部25が入力を受け付ける解除指示に応じて解除される。顕微鏡部5および第1アーム部71~第5アーム部75は、電磁ブレーキが解除された場合、第1関節部61~第6関節部66に対してそれぞれ回動可能な状態となる。以下、顕微鏡部5、第1アーム部71~第5アーム部75が第1関節部61~第6関節部66に対して、それぞれ回動可能である状態をオールフリーモードという。なお、電磁ブレーキの代わりにエアブレーキを適用してもよい。
【0039】
第1関節部61~第6関節部66には、顕微鏡部5、第1アーム部71~第5アーム部75の回動をそれぞれアシストするためのアクチュエータ(図示略)が設けられている。また、第1関節部61~第6関節部66には、各関節部の位置、速度、加速度、回転角度、回転速度、回転加速度、発生トルク等の少なくとも一部をそれぞれ検出するための検出部として機能する各種センサ(図示略)が設けられている。
【0040】
以上の構成を有する支持部6は、顕微鏡部5における並進3自由度および回転3自由度の計6自由度の動きを実現する。なお、実施形態1に係る支持部6では、全てのアクチュエータを設ける必要がなく、適宜変更してもよい。例えば、支持部6の第1アーム部71~第5アーム部75の一部にアクチュエータを設ければよい。
【0041】
光源装置3は、制御装置9の制御のもと、ライトガイド4を介して観察装置2に照明光を供給する。光源装置3は、キセノンランプやメタルハライドランプ等の放電ランプ、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の固体発光素子、レーザ光源またはハロゲンランプ等の発光部材等を用いて構成される。
【0042】
表示装置8は、制御装置9が生成した表示画像(映像信号)や医療用観察システムに関する各種情報を表示する。表示装置8は、液晶や有機EL(Electro Luminescence)等を用いて構成される。また、表示装置8は、モニタサイズが31インチ以上、好ましくは55インチ以上である。なお、実施形態1では、表示装置8は、モニタサイズを31インチ以上で構成しているが、これに限定されることなく、他のモニタサイズ、例えば2メガピクセル(例えば1920×1080ピクセルの所謂2Kの解像度)以上の解像度、好ましくは8メガピクセル(例えば3840×2160ピクセルの所謂4Kの解像度)以上の解像度、より好ましくは32メガピクセル(例えば7680×4320ピクセルの所謂8Kの解像度)以上の解像度を有する画像を表示可能なモニタサイズであればよい。もちろん、表示装置8は、3D画像を表示可能なモニタであってもよい。
【0043】
制御装置9は、医療用観察システム1の各部を統括的に制御する。制御装置9は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGA(Field Programmable Gate Array:図示略)を用いて構成するようにしてもよい。なお、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。なお、制御装置9の詳細な構成は、後述する。
【0044】
〔医療用観察システムの機能構成〕
次に、上述した医療用観察システム1の機能構成について説明する。
図3は、医療用観察システム1の機能構成を示すブロック図である。
【0045】
〔観察装置の構成〕
まず、観察装置2の機能構成について説明する。
観察装置2は、顕微鏡部5と、支持部6と、駆動部23と、検出部24と、入力部25と、第1制御部26と、を備える。
【0046】
顕微鏡部5は、被写体である被観察体の像を拡大して撮像することによって画像信号を生成する撮像部21と、光源装置3から供給された照明光を被観察体に向けて照射する光出射部22と、を備える。
【0047】
撮像部21は、ズームおよびフォーカス機能を有する光学系と、光学系によって結像された被観察体の像を受光して光電変換を行うことによって画像信号を生成する撮像素子と、を有する。撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いて構成される。撮像部21が生成する撮像信号は、伝送ケーブルを介して制御装置9に伝送される。なお、撮像部21が生成した撮像信号に対してE/O変換を行うことによって光信号によって制御装置9へ伝送してもよい。なお、撮像部21は、例えば2メガピクセル(例えば1920×1080ピクセルの所謂2Kの解像度)以上の解像度、好ましくは8メガピクセル(例えば3840×2160ピクセルの所謂4Kの解像度)以上の解像度、より好ましくは32メガピクセル(例えば7680×4320ピクセルの所謂8Kの解像度)以上の解像度があればよい。また、撮像部21は、所定の視差を設けた2つの撮像素子によって2つの画像信号を生成することによって3D画像信号を生成してもよい。
【0048】
光出射部22は、1または複数のレンズを用いて構成された照明光学系を有する。光出射部22は、ライトガイド4を介して光源装置3から供給された照明光を、撮像部21の撮像方向と同じ方向へ照明光を照射する。なお、光出射部22は、顕微鏡部5にLED(Light Emitting Diode)やレーザ光源等を設けることによって、ライトガイド等の光伝送を省略してもよい。
【0049】
支持部6は、上述した
図1および
図2のように、顕微鏡部5を回動可能に支持する。支持部6は、顕微鏡部5における並進3自由度および回転3自由度の計6自由度の動きを実現する。
【0050】
駆動部23は、上述した第1関節部61~第6関節部66にそれぞれ設けられる電磁ブレーキおよびアクチュエータを有する。電磁ブレーキは、オールフリーモード動作の際に入力部25が入力を受け付ける解除指示にしたがって解除される。アクチュエータは、検出部24による状態検出結果に応じて、後述する制御装置9から送信されてくる制御信号に応じて動作する。
【0051】
検出部24は、観察装置2の状態情報を逐次検出する。観察装置2の状態情報は、撮像部21の位置、フォーカスおよびズームに関する情報、第1関節部61~第6関節部66の位置、速度、加速度、回転角度、回転速度、回転加速度、発生トルクの少なくとも一部に関する情報、第1アーム部71~第5アーム部75の位置、速度、加速度の少なくとも一部に関する情報、ならびに電動視野移動モード(ピボット動作モード若しくはXY動作モード)、オールフリーモード等の動作に関する情報を含む。検出部24は、これらの情報を検出するための各種センサを有する。具体的には、検出部24は、基準方向に対して第1アーム部71~第5アーム部75(第1軸O1~第6軸O6)それぞれの角度を検出する第1角度センサ部24a~第6角度センサ部24fを有する。ここで、基準方向とは、観察装置2(第1アーム部71~第5アーム部75)が床に設置されているときを基準としたときの重力方向(鉛直方向)である。即ち、実施形態1では、基準方向を0度として説明する。もちろん、基準方向は、観察装置2(第1アーム部71~第5アーム部75)の設置場所によって変化する。例えば、観察装置2(第1アーム部71~第5アーム部75)の設置場所が天井懸架の場合、床設置のときと比べて基準方向が180度異なる。また、観察装置2(第1アーム部71~第5アーム部75)の設置場所が壁固定(垂直な壁に固定)の場合、床設置のときと比べて基準方向が90度異なる。なお、第1角度センサ部24aが検出する第1軸O1の方向と撮像部21の撮像方向とが同一の場合、第1角度センサ部24aを省略してもよい。
【0052】
ここで、電動視野移動モード(XY動作モード)は、支持部6を構成する複数の関節部の軸の一部を固定し、他の軸の動きによって撮像部21の撮像視野を上下左右に変更可能な動作モードである。具体的には、電動視野移動モード(XY動作モード)は、第4軸O4~第6軸O6を固定したまま、第2軸O2と第3軸O3のみを電動で動作させることによって、撮像部21の撮像視野を上下左右に変更可能な動作モードである。
【0053】
また、ピボット動作モードは、撮像部21の撮像視野の中心方向の1点で固定した状態で、その1点を頂点とした円錐面上を顕微鏡部5が支持部6の動きによって移動する旋回動作であり、ポイントロック動作とも呼ばれる。このピボット動作モードの旋回軸は、円錐の高さ方向の中心軸である。ピボット動作モードでは、固定点と撮像部21との距離が一定に保たれる。手術の際には、例えば手術部位が上述した固定点として選ばれる。このようなピボット動作モードによれば、手術部位を等距離で異なる角度から観察することができるため、ユーザが手術部位をより正確に把握することができる。
【0054】
入力部25は、撮像部21および駆動部23に対する動作指示の入力を受け付ける。入力部25は、駆動部23が有する電磁ブレーキを解除してオールフリーモードを指示する入力を受け付けるアーム操作スイッチ、撮像部21におけるフォーカスおよびズーム操作をそれぞれ指示する入力を受け付けるフォーカススイッチおよびズームスイッチ、電動視野移動モードの指示入力を受け付ける電動視野移動モードスイッチ、ならびに、パワーアシストモードの指示入力を受け付けるパワーアシストスイッチを有する。入力部25を構成する各種スイッチやボタン等は、
図2に示すように、顕微鏡部5の側面に設けられる。なお、
図2では、入力部25を構成する各種スイッチやボタン等の一部を記載している。なお、実施形態1では、入力部25が第1入力部として機能する。
【0055】
第1制御部26は、入力部25が入力を受け付けた動作指示または後述する制御装置9から入力された動作指示に応じて撮像部21および駆動部23の動作を制御する。また、第1制御部26は、後述する制御装置9の第2制御部94と連携して観察装置2を統括的に制御する。第1制御部26は、CPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を用いて構成される。
【0056】
〔制御装置の構成〕
次に、制御装置9の機能構成について説明する。
制御装置9は、画像処理部91と、入力部92と、記録部93と、第2制御部94と、を備える。
【0057】
画像処理部91は、観察装置2から伝送された光信号の撮像信号に対して、E/O変換を行った後に、所定の画像処理を行って表示装置8が表示する表示用の表示画像(映像信号)を生成する。ここで、画像処理としては、色補正、色強調、輪郭強調およびマスク処理等の各種画像処理等が挙げられる。画像処理部91は、CPU、ASICまたはFPGA等を用いて構成される。
【0058】
入力部92は、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースを用いて実現され、各種情報の入力を受け付ける。なお、実施形態1では、入力部92が第2入力部として機能する。
【0059】
記録部93は、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて構成され、医療用観察システム1が実行する各種プログラムや処理中のデータを一時的に記録する。
【0060】
第2制御部94は、医療用観察システム1の各部を統括的に制御する。第2制御部94は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU等の汎用プロセッサやASIC等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGAを用いて構成するようにしてもよい。なお、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。第2制御部94は、駆動制御部941と、判定部942と、第1モード設定部943と、照明制御部944と、表示制御部945と、第2モード設定部946と、を有する。
【0061】
駆動制御部941は、支持部6の駆動を制御する。具体的には、駆動制御部941は、入力部25または入力部92が受け付けた操作内容に応じて、支持部6の各アクチュエータや電磁ブレーキの駆動を制御する。
【0062】
判定部942は、撮像部21の使用状態を判定する。具体的には、判定部942は、検出部24が検出した角度が所定の範囲外であるか否かを判定する。例えば、判定部942は、第1角度センサ部24aが検出した撮像部21の撮像方向と基準方向とがなす角度が所定の範囲外であるか否かを判定する。ここで、所定の範囲外とは、撮像部21の撮像方向が水平方向以上となる角度である。手術は、当然ながら患者が存在する。その患者は、多くの場合、手術台に寝た状態となっている。これに対して、術者等のユーザは、立位もしくは座位で手術を行い、患者に対して処置を行う。そして、ユーザの手は、患者に対して斜め上方から斜め下方に向けて延びており、まれに水平、極まれに斜め下方から斜め上方へ延びている。観察装置2が撮影する部位は、基本的に患者の処置部であるので、撮像部21の撮像方向が術者の手と同様の方向となる。一方、手術室には、患者、ユーザ以外にも、助手、看護師、麻酔医、見学者なども存在する。それらの者は、手術台の周辺に立位もしくは座位で存在しており、その顔の位置が患者よりも高い位置に存在することが多い。このような状況により、撮像部21の撮像方向(光出射部22の照射方向)が水平以上になった場合、周辺の者の顔に照明光が照射される可能性が高くなる。このため、実施形態1では、判定部942は、検出部24の検出結果に基づいて撮像部21の撮像方向が所定の範囲外、即ち、撮像部21の撮像方向が水平以上であるか否かを判定する。なお、実施形態1では、判定部942は、撮像部21の撮像方向が水平以上(90度以上)であるか否かを判定するが、これに限定されることなく、ユーザが入力部92の操作によって適宜変更することができる。
【0063】
第1モード設定部943は、入力部25または入力部92から入力される指示に応じて、撮像部21の撮像視野の中心方向の1点を固定した状態で、支持部6の動きによって撮像部21の撮像視野を変更可能な電動視野移動モード(ピボット動作モード)、支持部6のうち第2軸O2と第3軸O3のみを動作させて顕微鏡部5の撮像視野を変更可能な電動視野移動モード(XY動作モード)、および撮像部21の撮像方向を自由に変更可能なオールフリーモードのいずれか一方を医療用観察システム1に設定する。
【0064】
照明制御部944は、判定部942の判定結果に基づいて、光出射部22が出射する照明光を制御する。具体的には、照明制御部944は、判定部942の判定結果に基づいて、光源装置3を制御することによって、光出射部22が出射する照明光を制御する。例えば、照明制御部944は、判定部942が検出部24によって検出された撮像部21の撮像方向と基準方向とがなす角度が所定の範囲外であると判定した場合、光源装置3を制御することによって、光出射部22が出射する照明光を消灯または減灯する。
【0065】
表示制御部945は、画像処理部91を制御することによって、表示装置8の表示態様を制御する。具体的には、表示制御部945は、観察装置2が光出射の調整中である旨の情報を表示装置8が表示画像上に重畳することで報知する。
【0066】
第2モード設定部946は、入力部25または入力部92から入力される指示に応じて、照明制御部944による制御を行う自動調整モード、および照明制御部944による制御を禁止する手動調整モードのいずれか一方を医療用観察システム1に設定する。
【0067】
〔医療用観察システムの処理〕
次に、医療用観察システム1の処理について説明する。
図4は、医療用観察システム1が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【0068】
図4に示すように、まず、入力部92が光源装置3に対して点灯を指示する点灯操作の入力を受け付けた場合(ステップS101:Yes)、照明制御部944は、光源装置3を駆動する(ステップS102)。これにより、光源装置3は、観察装置2に照明光を供給する。
【0069】
続いて、判定部942は、光出射部22が光出射状態であるか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、判定部942は、光源装置3が起動した状態であるか否かを判定することによって、光出射部22が光出射状態であるか否かを判定する。判定部942によって光出射部22が光出射状態であると判定された場合(ステップS103:Yes)、医療用観察システム1は、後述するステップS104へ移行する。これに対して、判定部942によって光出射部22が光出射状態でないと判定された場合(ステップS103:No)、医療用観察システム1は、後述するステップS110へ移行する。
【0070】
ステップS104において、判定部942は、撮像部21が調整対象の範囲外であるか否かを判定する。具体的には、判定部942は、第1角度センサ部24a~第6角度センサ部24fそれぞれが検出した検出角度に基づいて、基準方向と撮像部21の撮像方向とがなす角度が水平以上(例えば顕微鏡部5の撮像方向および照射方向が見上げる方向である90度以上)になっているか否かを判定する。判定部942によって撮像部21が調整対象の範囲外であると判定された場合(ステップS104:Yes)、医療用観察システム1は、後述するステップS105へ移行する。これに対して、判定部942によって撮像部21が調整対象の範囲外でないと判定された場合(ステップS104:No)、医療用観察システム1は、後述するステップS112へ移行する。
【0071】
ステップS105において、判定部942は、観察装置2がオールフリーモードに設定されているか否かを判定する。具体的には、判定部942は、入力部25の操作に応じて、第1モード設定部943が観察装置2のモードをオールフリーモードに設定しているか否かを判定する。ユーザは、大きく撮像方向を動かしたい場合、オールフリーモードを設定する一方、微小に撮像方向を動かしたい場合、電動視野移動モードを設定する。このため、オールフリーモードは、ユーザが顕微鏡部5を動かしている最中に処置をすることがほぼないうえ、照明光が不要もしくは最小限でもよいが、撮像部21の撮像方向が大きく変えられるため、意図せず照明光が周辺の者に照射される可能性がある。これに対して、電動視野移動モードは、微小な調整のため処置をしながら行う場合が多く、照明光が必要となるうえ、処置をしている部位を撮像しながらの微小な方向の調整を行うため、照明光が周辺の者に照射される可能性が無い。このため、判定部942によって観察装置2がオールフリーモードに設定されているか否かを判定し、観察装置2がオールフリーモードに設定されている場合、後述する照明制御部944による制御を行う。即ち、判定部942によって観察装置2がオールフリーモードに設定されていると判定された場合(ステップS105:Yes)、医療用観察システム1は、後述するステップS106へ移行する。これに対して、判定部942によって観察装置2がオールフリーモードに設定されていないと判定された場合(ステップS105:No)、医療用観察システム1は、後述するステップS112へ移行する。
【0072】
ステップS106において、判定部942は、観察装置2が光出射部22によって出射される照明光を自動的に調整する自動調整モードが有効であるか否かを判定する。具体的には、判定部942は、入力部92の操作に応じて、第2モード設定部946が光出射部22によって出射される照明光を自動的に調整する自動調整モードまたは照明制御部944による制御を禁止する手動調整モードのいずれか一方が設定されているか否かを判定する。判定部942によって調整機能モードが有効であると判定された場合(ステップS106:Yes)、医療用観察システム1は、後述するステップS107へ移行する。これに対して、判定部942によって調整機能モードが有効でないと判定された場合(ステップS106:No)、医療用観察システム1は、後述するステップS112へ移行する。
【0073】
ステップS107において、判定部942は、ユーザが入力部25を介して光出射部22が出射する光出射の調整操作が行われたか否かを判定する。判定部942によって光出射部22が出射する光出射の調整操作が行われたと判定された場合(ステップS107:Yes)、医療用観察システム1は、後述するステップS111へ移行する。これに対して、判定部942によって光出射部22が出射する光出射の調整操作が行われていないと判定された場合(ステップS107:No)、医療用観察システム1は、後述するステップS108へ移行する。
【0074】
ステップS108において、照明制御部944は、光源装置3が供給する照明光を調光することによって、光出射部22が出射する光出射を調整する。例えば、照明制御部944は、光源装置3を制御することによって、光源装置3が供給する照明光の強度を低下させることで、光出射部22が出射する光を減光する調整を行う。この場合、照明制御部944は、第1角度センサ部24a~第6角度センサ部24fそれぞれが検出した検出角度に基づいて、光源装置3が供給する照明光の強度を徐々に小さくすることで、光出射部22が出射する光の強度を調整してもよい。例えば、照明制御部944は、顕微鏡部5が重力方向(鉛直方向)を基準方向(0度)とした場合において、第1角度センサ部24aが検出した角度が基準方向に対して90度の状態(撮像部21の撮像方向が水平の状態)から180度に遷移する期間において(撮像部21の撮像方向が天井を向いている状態)、光源装置3が供給する照明光の強度を徐々に小さくする。このとき、照明制御部944は、光源装置3が供給する照明光の強度を、指数関数的に減衰させてもよいし、段階的または直線的に減衰させてもよい。もちろん、照明制御部944は、光源装置3を制御することによって、光源装置3が供給する照明光を停止させることで、光出射部22が出射する光を消灯させてもよい。
【0075】
続いて、表示制御部945は、画像処理部91を制御することによって、観察装置2が光出射の調整中である旨の情報を表示装置8が表示画像上に重畳することで報知する(ステップS109)。これにより、実施形態1では、表示制御部945および表示装置8が報知部として機能する。なお、表示制御部945は、観察装置2が光出射の調整中である旨を音や光によって出力部(図示せず)に出力させてもよい。
【0076】
その後、入力部92が医療用観察システム1による観察の終了の入力を受け付けた場合(ステップS110:Yes)、医療用観察システム1は、本処理を終了する。これに対して、入力部92が医療用観察システム1による観察の終了の入力を受け付けていない場合(ステップS110:No)、医療用観察システム1は、上述したステップS101へ戻る。
【0077】
ステップS111において、照明制御部944は、入力部25が受け付けた操作に応じて、光源装置3が供給する照明光の強度を制御することによって、光出射部22が出射する光出射を調整する。この場合において、観察装置2に調整機能モードが設定されているときであっても、ユーザの操作を優先させる。例えば、ユーザが観察装置2に調整機能モードを設定して使用していても、急遽、手技によっては、見上げる方向で撮像部21による撮影が必要となる場合もあるため、照明制御部944は、ユーザの操作を優先させ、入力部25が受け付けた操作に応じて、光源装置3が供給する照明光の強度を制御することによって、光出射部22が出射する光出射を調整する。ステップS111の後、医療用観察システム1は、ステップS110へ移行する。
【0078】
ステップS112において、照明制御部944は、光出射部22が出射する光出射の調整を終了する。具体的には、照明制御部944は、光源装置3が供給する照明光の強度を、初期状態の強度に戻すことによって、光出射部22が出射する光出射の調整を終了する。
【0079】
続いて、表示制御部945は、画像処理部91を制御することによって、観察装置2が光出射の調整中である旨の情報を停止させる(ステップS113)。ステップS113の後、医療用観察システム1は、ステップS110へ移行する。
【0080】
ステップS101において、入力部92が光源装置3に対して点灯を指示する点灯操作の入力を受け付けていない場合(ステップS101:No)、医療用観察システム1は、後述するステップS114へ移行する。
【0081】
続いて、入力部92が光源装置3に対して消灯を指示する消灯操作の入力を受け付けた場合(ステップS114:Yes)、照明制御部944は、光源装置3を停止する(ステップS115)。これにより、光源装置3は、観察装置2に供給する照明光を停止することができる。なお、この場合、照明制御部944は、光源装置3を完全に停止させる必要はなく、直ぐに復帰できるように照明光の強度を最低値となるようにしてもよい。ステップS115の後、医療用観察システム1は、ステップS103へ移行する。
【0082】
ステップS114において、入力部92が光源装置3に対して消灯を指示する消灯操作の入力を受け付けていない場合(ステップS114:No)、医療用観察システム1は、ステップS103へ移行する。
【0083】
以上説明した実施形態1によれば、照明制御部944が判定部942の判定結果に基づいて、光出射部22が照射する照明光を制御することによって、特別な追加操作をしなくても、照明光が無用な方向へ照射されてしまうことを防止することができるので、照明光が直接目視されてしまう可能性を簡易に低減することができる。
【0084】
また、実施形態1によれば、判定部942が撮像部21の撮像方向と予め設定された基準方向とがなす角度が所定の範囲外であるか否かを判定し、照明制御部944が判定部942によって所定の範囲外であると判定された場合、光出射部22が出射する照明光を消灯または減灯する制御を行うので、特別な追加操作をしなくても、照明光が無用な方向へ照射されてしまうことを防止することができるとともに、ユーザ以外の周囲の者に誤って照明光が照射されてしまうことを防止することができる。
【0085】
また、実施形態1によれば、第1モード設定部943が観察装置2にオールフリーモードを設定した場合、照明制御部944が光出射部22によって照射される照明光を消灯または減灯する制御を行い、第1モード設定部943が観察装置2に電動視野移動モード(ピボット動作モード若しくはXY動作モード)を設定した場合には照明制御部944が光出射部22によって照射される照明光を消灯または減灯する制御を行わないので、処置を継続したい電動視野移動モードでは照明光を維持できて、処置が止まっている撮像部21の撮像方向を大きく変更する場合にのみ、特別な追加操作をしなくても照明光が無用な方向へ照射されてしまうことを防止することができる。
【0086】
また、実施形態1によれば、第2モード設定部946が観察装置2に自動調整モードを設定した場合、照明制御部944が光出射部22によって照射される照明光を消灯または減灯する制御を行うので、照明制御部944が光出射部22によって照射される照明光を消灯または減灯する制御を行う機能をユーザが利用するかしないかを任意に選択できる。
【0087】
また、実施形態1によれば、照明制御部944が判定部942によって所定の範囲外であると判定されている場合において、入力部25が光出射部22によって照射される照明光の強度を変更する操作の入力を受け付けたとき、この操作に応じて、光出射部22が照射する照明光の強度を変更する制御を行うので、ユーザの操作を優先した照明光の制御を行うことができる。
【0088】
また、実施形態1によれば、入力部92が光源装置3の停止を指示する入力を受け付けた場合、照明制御部944が光源装置3を供給する照明光を停止させるので、患者の処置終了後に、照明光が無用な方向へ照射されてしまうことを防止することができる。
【0089】
なお、実施形態1では、判定部942が第1角度センサ部24a~第6角度センサ部24fそれぞれによって検出された検出角度と基準方向とがなす角度に基づいて、撮像部21の撮像方向が調整範囲外であるか否かを判定していたが、例えば、顕微鏡部5に傾きセンサを設け、この傾きセンサの検出角度と基準方向とがなす角度に基づいて、撮像部21の観察方向が調整範囲外であるか否かを判定してもよい。もちろん、調整範囲を水平以上の範囲に適宜変更してもよい。
【0090】
また、実施形態1では、判定部942が第1角度センサ部24a~第6角度センサ部24fそれぞれによって検出された検出角度と基準方向とに基づいて、撮像部21の観察方向が調整範囲外であるか否かを判定していたが、例えば、被観察体と撮像部21との距離が調整範囲外(所定値以上)であるか否かを判定してもよい。この場合、撮像部21に、互いに平行な光軸を有する2つの光学系(ステレオ光学系)と、この2つの光学系それぞれに撮像素子と、を有する3D測距部を設け、この3D測距部が有する2つの撮像素子が生成した撮像信号に含まれる被観察体の視差に基づいて算出された被観察体と撮像部21との距離に応じて、判定部942が被観察体と撮像部21との距離が所定値以上であるか否かを判定してもよい。もちろん、撮像部21の撮像素子内に距離を検出可能な測距センサ(位相差画素)を設けて、この距離センサが検出した距離に基づいて、判定部942が被観察体と撮像部21との距離(測距による距離)が所定値以上であるか否かを判定してもよい。さらに、顕微鏡部5にレーザ光等を照射するレーザ測距部を設け、このレーザ測距部の測距結果に基づく距離に応じて、判定部942が被観察体と撮像部21との距離が所定値以上であるか否かを判定してもよい。
【0091】
また、実施形態1では、被観察体と撮像部21との距離が所定値以下であるか否かを判定してもよい。この場合、撮像部21に、互いに平行な光軸を有する2つの光学系(ステレオ光学系)と、この2つの光学系それぞれに撮像素子と、を有する3D測距部を設け、この3D測距部が有する2つの撮像素子が生成した撮像信号に含まれる被観察体の視差に基づいて算出された被観察体と撮像部21との距離が所定値以下であるか否かを判定してもよい。もちろん、撮像部21の撮像素子内に距離を検出可能な測距センサ(位相差画素)を設けて、この距離センサが検出した距離に基づいて、判定部942が被観察体と撮像部21との距離が所定値以下であるか否かを判定してもよい。さらに、顕微鏡部5にレーザ光等を照射するレーザ測距部を設け、このレーザ測距部の測距結果に基づく距離に応じて、判定部942が被観察体と撮像部21との距離が所定値以下であるか否かを判定してもよい。
【0092】
また、実施形態1では、医療用観察システム1とナビゲーション装置とを組み合わせてもよい。ナビゲーション装置は、術前に患者に対してCTまたはMRI等の画像診断装置によって撮影された患者の画像データを記録する記録部と、顕微鏡部5もしくはその近傍に、所定の間隔毎に複数(例えば数十個)の電流により交流磁界を発生する磁気コイル等の発振器と、医療用観察システム1のフォーカス位置、ズーム倍率の少なくとも1つを医療用観察システム1から受信する受信部と、アンテナ等により顕微鏡部5の発振器から発信された磁界を検出し、各発振器の位置情報を検出することによって顕微鏡部5の各発振器の位置情報に基づいて顕微鏡部5の位置、観察方向を、医療用観察システム1から受信したフォーカス位置、ズーム倍率から顕微鏡部5の観察位置と画角を、推定する算出部とを備える。このナビゲーション装置は、算出結果と記録部が記録する患者の画像データとに基づいて、医療用観察システム1の観察している部分を患者の画像に表示する。このため、判定部942は、ナビゲーション装置によって検出された撮像部21の撮像方向と、基準方向(重力方向)に対する撮像方向の角度に基づいて、撮像部21の観察方向が調整範囲外であるか否かを判定してもよい。もちろん、判定部942の機能をナビゲーション装置に設け、この判定結果を制御装置9へ出力するようにしてもよい。なお、ナビゲーションの位置検出は磁気コイル等の発振器ではなく、反射器と非可視光による基準光を投射し反射器からの反射光をステレオカメラで検出し、反射器の位置を算出してもよい。
【0093】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2は、上述した実施形態1に係る医療用観察システム1の光源装置3と構成が異なるうえ、実行する処理が異なる。具体的には、実施形態2に係る光源装置は、照明光として白色光または特殊光を供給する。以下においては、実施形態2に係る医療用観察システムの構成を説明後、実施形態2に係る医療用観察システムが実行する処理について説明する。
【0094】
〔医療用観察システムの機能構成〕
図5は、実施形態2に係る医療用観察システムの機能構成を示すブロック図である。
図5に示す医療用観察システム1Aは、上述した実施形態1に係る光源装置3に換えて、光源装置3Aを備える。
【0095】
光源装置3Aは、第1の波長特性を有する第1の照明光(以下、「白色光」という)を観察装置2へ供給する第1光源部31と、第1の波長特性と異なる第2の波長特性を有する第2の照明光(以下「特殊光」という)を観察装置2へ供給する第2光源部32と、を備える。
【0096】
第1光源部31は、制御装置9の制御のもと、ライトガイド4を介して観察装置2へ白色光を供給する。第1光源部31は、キセノンランプやメタルハライドランプ等の放電ランプ、LEDやLD等の固体発光素子、レーザ光源またはハロゲンランプ等の発光部材等を用いて構成される。
【0097】
第2光源部32は、制御装置9の制御のもと、ライトガイドを介して観察装置2へ特殊光を供給する。第2光源部32は、キセノンランプやメタルハライドランプ等の放電ランプを用いて構成する場合、ライトガイド4とランプとの光路上に、所定の波長帯域を透過させるフィルタが設けられる。また、第2光源部32は、LEDやLD等の固体発光素子、レーザ光源を用いて構成される場合、所定の波長帯域を有する光を出射する。ここで、特殊光としては、赤外光(例えば790~820nm,905~970nm)、狭帯域光(390~445nm,530~550nm)、および蛍光試薬に対して励起させる励起光(例えば青色励起光(390~440nm))等のいずれか1つが含まれる。
【0098】
〔医療用観察システムの処理〕
次に、医療用観察システム1Aが実行する処理について説明する。
図6は、医療用観察システム1Aが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
図6において、ステップS201~ステップS206、ステップS208~ステップS216は、上述した
図4のステップS101~ステップS115それぞれに対応するため、説明を省略する。
【0099】
ステップS207において、判定部942は、観察装置2が特殊光観察モードに設定されているか否かを判定する。具体的には、判定部942は、入力部92の操作に応じて、第1モード設定部943が光源装置3Aに特殊光を供給させて光出射部22から特殊光を出射する特殊光観察モードに設定されているか否かを判定する。判定部942によって観察装置2が特殊光観察モードに設定されていると判定された場合(ステップS207:Yes)、医療用観察システム1Aは、ステップS208へ移行する。これに対して、判定部942によって観察装置2が特殊光観察モードに設定されていないと判定された場合(ステップS207:No)、医療用観察システム1Aは、ステップS211へ移行する。
【0100】
以上説明した実施形態2によれば、上述した実施形態1と同様の効果を有するとともに、判定部942によって所定の範囲外であると判定された場合において、光源装置3Aが特殊光を光出射部22に供給しているとき(第1モード設定部943が光源装置3Aに特殊光を供給させて光出射部22から特殊光を出射する特殊光観察モードに設定されているとき)、照明制御部944が特殊光を消灯または減灯する制御を行うので、特殊光が無用な方向へ照射されてしまうことを防止することができる。
【0101】
また、実施形態2によれば、非可視光の波長帯域の光がユーザ以外の周囲の者に照射されてしまうことを防止することができる。
【0102】
なお、実施形態2では、光源装置3Aが白色光として、単一の白色光源を用いて構成していたが、これに限定されることなく、赤色(R)の波長帯域の光(赤色光)を出射可能な赤色光源、緑色(G)の波長帯域の光(緑色光)を出射可能な緑色光源、および青色(B)の波長帯域の光(青色光)を出射可能な青色光源を設け、赤色光源、緑色光源および青色光源それぞれを同時に出射させることによって、白色光を実現させてもよい。この場合、照明制御部944は、判定部942の判定結果に基づいて、青色光源を消灯または減灯する。例えば、照明制御部944は、判定部942によって顕微鏡部5が調整対象の範囲内であると判定された場合、青色光源に対して消灯または減灯する制御を行ってもよい。これにより、青色光等の強度の強い光のみを消灯または減灯することができる。
【0103】
また、実施形態2では、判定部942によって所定の範囲外であると判定された場合において、光源装置3Aが特殊光を光出射部22に供給しているとき、照明制御部944が特殊光を消灯または減灯する制御を行っていたが、光源装置3Aが特殊光(例えば赤外光、狭帯域光、励起光および紫外線光)および白色光の2つの光を同時に光出射部22に供給しているとき、照明制御部944が特殊光のみを消灯または減灯する制御を行ってもよい。もちろん、照明制御部944は、光源装置3Aが特殊光(例えば赤外光、狭帯域光、励起光および紫外線光)および白色光の2つの光を同時に光出射部22に供給しているとき、白色光のみを消灯または減灯する制御を行ってよい。さらに、照明制御部944は、光源装置3Aが特殊光(例えば赤外光、狭帯域光、励起光および紫外線光)および白色光の2つの光を同時に光出射部22に供給しているとき、白色光および特殊光の各々を消灯または減灯する制御を行ってもよい。これにより、消灯または減灯が必要な波長帯域の光のみ消灯または減灯する制御を行うことができる。
【0104】
また、実施形態2では、照明制御部944は光源装置3Aの点灯、消灯および減灯等の駆動を制御していたが、これに限定されることなく、例えば、顕微鏡部5に設けられ、撮像部21が撮像する位置を示すマーカー光を被観察体に照射するマーカー照射部を制御してもよい。この場合、照明制御部944は、判定部942の判定結果に基づいて、マーカー光を消灯または減灯する。例えば、照明制御部944は、判定部942によって顕微鏡部5が調整対象の範囲内であると判定された場合、マーカー照射部に対して消灯または減灯する制御を行ってもよい。もちろん、照明制御部944は、被観察体と顕微鏡部5との距離を計測するために赤外光等を出射する測距部に対しても、上述した同様の処理を行ってもよい。
【0105】
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。上述した実施形態1では、被検体内部(生体内)または被検体表面(生体表面)における所定の視野領域を拡大して撮像する手術用顕微鏡を用いた医療用観察システムに本発明を適用していたが、実施形態3では、被検体内に挿入可能な硬性内視鏡(挿入部)を用いた医療用観察システムを適用する。なお、上述した実施形態1に係る医療用観察システム1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0106】
〔医療用観察システムの概略構成〕
図7は、実施形態3に係る医療用観察システムの概略構成を示す図である。
図7に示す医療用観察システム1Bは、医療分野に用いられ、生体等の被検体内を観察する装置である。なお、実施形態3では、医療用観察システム1Bとして、
図1に示す観察装置(挿入部2B)を用いた硬性内視鏡について説明するが、これに限定されず、軟性内視鏡であってもよい。
【0107】
図7に示すように、医療用観察システム1Bは、挿入部2Bと、光源装置3と、ライトガイド4と、カメラヘッド5B(内視鏡用撮像装置)と、表示装置8と、制御装置9Bと、伝送ケーブル10と、を備える。
【0108】
挿入部2Bは、硬質または少なくとも一部が軟性で細長形状を有し、患者等の被検体内に挿入される。挿入部2Bの内部には、1または複数のレンズを用いて構成され、観察像を結像する光学系が設けられている。
【0109】
カメラヘッド5Bは、挿入部2Bが着脱自在に接続される。カメラヘッド5Bは、制御装置9Bの制御のもと、挿入部2Bによって結像された観察像を撮像し、この撮像信号(電気信号)を光信号に変換して出力する。
【0110】
伝送ケーブル10は、一端が制御装置9Bに着脱自在に接続され、他端がカメラヘッド5Bに着脱自在に接続される。伝送ケーブル10は、カメラヘッド5Bから出力される画像信号を制御装置9Bへ伝送するとともに、制御装置9Bから出力される制御信号、同期信号、クロックおよび電力等をカメラヘッド5Bにそれぞれ伝送する。
【0111】
〔医療用観察システムの機能構成〕
次に、医療用観察システム1Bの機能構成について説明する。
図8は、医療用観察システム1Bの機能構成を示すブロック図である。
【0112】
カメラヘッド5Bは、姿勢検出部51と、把持検出部52と、レンズユニット53と、撮像部21と、入力部25と、第1制御部26と、を備える。
【0113】
姿勢検出部51は、カメラヘッド5Bの姿勢状態を検出し、この検出結果を制御装置9Bへ出力する。具体的には、姿勢検出部51は、挿入部2Bがカメラヘッド5Bに接続されている状態において、挿入部2Bを含むカメラヘッド5Bの姿勢状態を検出する。例えば、姿勢検出部51は、挿入部2Bがカメラヘッド5Bに接続されている状態において、基準方向に対するカメラヘッド5Bの角度を検出し、この検出した角度を制御装置9Bへ出力する。ここで、基準方向とは、重力方向(鉛直方向)の下向きである。
【0114】
把持検出部52は、ユーザがカメラヘッド5Bを把持しているか否かを検出し、この検出結果を制御装置9Bへ出力する。把持検出部52は、押圧センサ、圧力センサおよび熱センサ等を用いて構成され、ユーザがカメラヘッド5Bを把持するカメラヘッド5Bの外面に設けられる。
【0115】
レンズユニット53は、1または複数のレンズを用いて構成され、挿入部2Bにて集光された被写体像を、撮像部21を構成する撮像素子(図示略)の撮像面に結像する。1または複数のレンズは、光軸に沿って移動可能に構成される。そして、レンズユニット53には、1または複数のレンズを移動させて、少なくともピントの位置を変化させるフォーカス機構および画角を変化させるズーム機構を有する。なお、レンズユニット53は、絞り機構および光軸上に挿脱可能な光学フィルタ(例えば赤外光をカットするフィルタ)が設けられてもよい。
【0116】
〔医療用観察システムの処理〕
次に、医療用観察システム1Bが実行する処理について説明する。
図9は、医療用観察システム1Bが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
図9において、ステップS301~ステップS303、ステップS306~ステップS315は、上述した
図4のステップS101~ステップS103、ステップS106~ステップS115それぞれに対応するため、詳細な説明は省略する。
【0117】
ステップS304において、判定部942は、姿勢検出部51が検出した挿入部2Bを含むカメラヘッド5Bの姿勢状態が調整対象の範囲外であるか否かを判定する。具体的には、判定部942は、基準方向に対する姿勢検出部51が検出した挿入部2Bを含むカメラヘッド5Bの撮像方向(光軸方向)の角度が調整対象の範囲外となっているか否かを判定する。例えば、判定部942は、姿勢検出部51が検出した挿入部2Bを含むカメラヘッド5Bの撮像方向(光軸方向)の角度が基準方向に対して90度以上となっているか否かを判定する。即ち、判定部942は、挿入部2Bを含むカメラヘッド5Bの撮像方向が水平以上になっているか否かを判定する。判定部942によって姿勢検出部51が検出した挿入部2Bを含むカメラヘッド5Bの姿勢状態が調整対象の範囲外であると判定された場合(ステップS304:Yes)、医療用観察システム1Bは、後述するステップS305へ移行する。これに対して、判定部942によって姿勢検出部51が検出した挿入部2Bを含むカメラヘッド5Bの姿勢状態が調整対象の範囲外でないと判定された場合(ステップS304:No)、医療用観察システム1Bは、ステップS312へ移行する。
【0118】
ステップS305において、判定部942は、把持検出部52が検出した検出結果に基づいて、ユーザがカメラヘッド5Bを把持している把持状態であるか否かを判定する。判定部942によってユーザがカメラヘッド5Bを把持している把持状態であると判定された場合(ステップS305:Yes)、医療用観察システム1Bは、ステップS312へ移行する。これに対して、判定部942によってユーザがカメラヘッド5Bを把持している把持状態でないと判定された場合(ステップS305:No)、医療用観察システム1Bは、ステップS306へ移行する。
【0119】
以上説明した実施形態3によれば、照明制御部944が判定部942の判定結果に基づいて、光出射部22が照射する照明光を制御することによって、照明光が無用な方向へ照射されてしまうことを防止することができるので、上述した観察装置2(支持装置)が無い医療用観察装置であっても、特別な追加操作をしなくても、照明光が直接目視されてしまう可能性を簡易に低減することができる。
【0120】
また、実施形態3では、医療用観察システム1Bとナビゲーション装置とを組み合わせてもよい。ナビゲーション装置は、術前に患者に対してCTまたはMRI等の画像診断装置によって撮影された患者の画像データを記録する記録部と、挿入部2Bの長手方向に沿って先端部までの全長にわたって、所定の間隔毎に複数(例えば数十個)の電流により交流磁界を発生する磁気コイル等の発振器と、アンテナ等により挿入部2Bの発振器から発信された磁界を検出し、各発振器の位置情報を検出することによって挿入部2Bの各発振器の位置情報に基づいて挿入部2Bの挿入長、焦点位置および観察方向を推定する算出部と、を備える。このナビゲーション装置は、算出結果と記録部が記録する患者の画像データとに基づいて、医療用観察システム1Bの観察している部分を患者の画像に表示する。このため、判定部942は、ナビゲーション装置によって検出された撮像部21の撮像方向と、基準方向(重力方向)に対する撮像方向の角度に基づいて、撮像部21の観察方向が調整範囲外であるか否かを判定してもよい。もちろん、判定部942の機能をナビゲーション装置に設け、この判定結果を制御装置9へ出力するようにしてもよい。なお、ナビゲーションの位置検出は磁気コイル等の発振器ではなく、反射器と非可視光による基準光を投射し反射器からの反射光をステレオカメラで検出し、反射器の位置を算出してもよい。これによって医療用観察システムで姿勢検出をしなくても実現できる。
【0121】
(実施形態4)
次に、実施形態4について説明する。実施形態4は、上述した実施形態1に係る医療用観察システム1の制御装置9と構成が異なるうえ、実行する処理が異なる。具体的には、実施形態4に係る医療用観察システムは、画像信号に対応する画像から予め設定された所定の画像パターンを検出し、この検出結果に応じて光出射部が出射する照明光を消灯または減灯する制御を行う。以下においては、実施形態4に係る医療用観察システムの構成を説明後、実施形態4に係る医療用観察システムが実行する処理について説明する。なお、上述した実施形態1に係る医療用観察システム1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0122】
〔医療用観察システムの機能構成〕
図10は、実施形態4に係る医療用観察システムの機能構成を示すブロック図である。
図10に示す医療用観察システム1Cは、上述した実施形態1に係る制御装置9に換えて、制御装置9Cを備える。
【0123】
制御装置9Cは、上述した実施形態1の制御装置9の記録部93および第2制御部94に換えて、記録部93Cおよび第2制御部94Cを備える。さらに、制御装置9Cは、画像検出部95をさらに備える。
【0124】
記録部93Cは、フラッシュメモリやDRAM等の半導体メモリを用いて構成され、医療用観察システム1Cが実行する各種プログラムや処理中のデータを一時的に記録する。また、記録部93Cは、画像検出部95が予め設定された所定の画像パターンを検出するためのテンプレート情報を記録するテンプレート情報記録部931と、後述する照明検出部947によって検出された光出射部22が出射する照明光の照明状態に関する照明情報を記録する照明情報記録部932と、を有する。ここで、テンプレート情報としては、人の顔、目および内臓に関するテンプレート、特徴量および学習器である。さらに、テンプレート情報として、鉗子やメス等の処置具、血液および水等に関する特徴量やテンプレートを含めてもよい。ここで、特徴量としては、輝度値、色および形状等である。
【0125】
第2制御部94Cは、上述した実施形態1の第2制御部94の構成に加えて、照明検出部947をさらに備える。
【0126】
照明検出部947は、光出射部22が出射する照明光の照明状態に関する照明情報を検出する。
【0127】
画像検出部95は、撮像部21が生成した画像信号に対する画像から予め設定された所定の画像パターンを検出し、この検出結果を判定部942へ出力する。画像検出部95は、画像比較部951と、検出対象設定部952と、を有する。
【0128】
画像比較部951は、撮像部21が生成した画像信号に対する画像と後述する検出対象設定部952によって設定された検出対象または検出条件とをパターンマッチングを用いて比較し、画像信号に対する画像に検出対象または検出条件を検出する。
【0129】
検出対象設定部952は、画像比較部951が撮像部21によって生成された画像信号に対する画像から検出する検出対象または検出条件を設定する。具体的には、検出対象設定部952は、入力部92によって選択された検出対象または検出条件に対応するテンプレート情報をテンプレート情報記録部931から取得し、この取得したテンプレート情報を画像比較部951に設定する。例えば、検出対象設定部952は、画像比較部951に顔や目の検出を設定する。
【0130】
〔医療用観察システムの処理〕
次に、医療用観察システム1Cの処理について説明する。
図11は、医療用観察システム1Cが実行する処理の概要を示すフローチャートである。ステップS401~ステップS403は、上述した
図4のステップS101~ステップS103それぞれに対応する。
【0131】
ステップS404において、判定部942は、画像検出部95が撮像部21によって生成された画像信号に対応する画像から検出対象を検出したか否かを判定する。判定部942によって画像検出部95が撮像部21によって生成された画像信号に対応する画像から検出対象を検出したと判定された場合(ステップS404:Yes)、医療用観察システム1Cは、後述するステップS405へ移行する。これに対して、判定部942によって画像検出部95が撮像部21によって生成された画像信号に対応する画像から検出対象を検出していないと判定された場合(ステップS404:No)、医療用観察システム1Cは、後述するステップS413へ移行する。
【0132】
ステップS405およびステップS406は、上述した
図4のステップS106およびステップS107それぞれに対応する。
【0133】
ステップS407において、照明検出部947は、光出射部22が出射する照明光の照明状態に関する照明情報を検出する。
【0134】
続いて、照明制御部944は、直前に照明検出部947が検出した照明情報を照明情報記録部932に記録する(ステップS408)。ステップS408の後、医療用観察システム1Cは、後述するステップS409へ移行する。
【0135】
ステップS409~ステップS414は、上述した
図4のステップS108~ステップS113それぞれに対応する。
【0136】
ステップS415において、照明制御部944は、光出射部22が出射する照明光の減灯または消灯する制御を解除する前に、照明情報記録部932が記録する照明情報に基づいて、光出射部22が出射する照明光の照明状態を調整開始前の状態に変更する制御を行う。これにより、光出射部22が出射する照明光の減灯または消灯前の状態に瞬時に復帰することができる。ステップS415の後、医療用観察システム1Cは、ステップS411へ移行する。
【0137】
ステップS416およびステップS417は、上述した
図4のステップS114およびステップS115それぞれに対応する。
【0138】
以上説明した実施形態4によれば、照明制御部944が判定部942によって画像検出部95によって検出対象を検出したと判定した場合、光出射部22が照射する照明光を制御することによって、特別な追加操作をしなくても、照明光が無用な方向へ照射されてしまうことを防止することができるうえ、顕微鏡部5を保持する保持部材が無いときであっても、照明光が直接目視されてしまう可能性を簡易に低減することができる。
【0139】
また、実施形態4によれば、照明制御部944が光出射部22の出射する照明光の減灯または消灯する制御を解除する前に、照明情報記録部932が記録する照明情報に基づいて、光出射部22が出射する照明光の照明状態を調光開始前の状態に変更する制御を行う。これにより、光出射部22が出射する照明光の減灯または消灯前の状態に瞬時に復帰することができるうえ、使用状態および消灯状態または減灯状態を自動的に切り替えることができる。
【0140】
なお、実施形態4では、画像検出部95が画像から人の目や顔をテンプレートマッチングによって検出していたが、周知のテンプレートマッチングを用いて画像から特定の臓器(例えば肝臓や胃)を検出してもよい。
【0141】
また、実施形態4では、画像検出部95が画像から人の目や顔をテンプレートマッチングによって検出していたが、画像から鉗子やメス等の処置具を周知のテンプレートマッチング(例えば鉗子の形状)を用いて検出してもよい。
【0142】
また、実施形態4では、画像検出部95が画像から人の目や顔をテンプレートマッチングによって検出していたが、画像に占める血液や水等の面積を検出してもよい。この場合、画像検出部95は、画像全体の輝度値が所定値以上である場合、血液または水が含まれているとして検出する。もちろん、画像検出部95は、輝度値以外にも、所定の色成分の割合、例えば血液の場合、画像全体に占める赤色の成分が所定値以上である場合、血液が含まれているとして検出してもよい。これにより、照明光が正反射する場合に減灯または消灯することができる。
【0143】
なお、実施形態4では、照明制御部944が光出射部22の出射する照明光の減灯または消灯する制御を解除する前に、照明情報記録部932が記録する照明情報に基づいて、光出射部22が出射する照明光の照明状態を調整開始前の状態に変更する制御を行っていたが、これに限定されることなく、例えば照明制御部944が光出射部22の出射する照明光の減灯または消灯する制御を解除する場合、光出射部22が出射する照明光の強度を最も小さい状態から、光出射部22が出射する照明光の照明状態を調整開始前の状態の強度になる状態まで徐々に強度を強くするようにしてもよい。これにより、消灯状態または減灯状態を自動的に解除した場合に、急激に強い照明光が出射されることを防止することができる。
【0144】
また、実施形態4では、照明制御部944が光出射部22の出射する照明光の減灯または消灯する制御を解除する前に、光出射部22が出射する照明光の光量が最低値で出射されるように制御してもよい。これにより、消灯状態または減灯状態を自動的に解除した場合に、急激に強い照明光が出射されることを防止することができる。
【0145】
(実施形態5)
次に、実施形態5について説明する。実施形態5は、上述した実施形態1に係る医療用観察システム1の観察装置2および制御装置9と構成が異なるうえ、実行する処理が異なる。具体的には、実施形態5に係る医療用観察システムは、撮像部および光出射部を備える観察ユニットの種別に応じて、消灯または減灯の機能を有効または無効に切り替える。以下においては、実施形態5に係る医療用観察システムの構成を説明後、実施形態5に係る医療用観察システムが実行する処理について説明する。なお、上述した実施形態1に係る医療用観察システム1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0146】
〔医療用観察システムの機能構成〕
図12は、実施形態5に係る医療用観察システムの機能構成を示すブロック図である。
図12に示す医療用観察システム1Dは、上述した実施形態1に係る観察装置2および制御装置9に換えて、観察装置2Dおよび制御装置9Dを備える。
【0147】
〔観察装置の構成〕
まず、観察装置2Dの機能構成について説明する。
観察装置2Dは、上述した実施形態1の顕微鏡部5および第1制御部26に換えて、観察ユニット5Dと、第1制御部26Dを備える。さらに、観察装置2Dは、保持部27をさらに備える。保持部27は、観察ユニット5Dを着脱自在に保持する。
【0148】
観察ユニット5Dは、撮像部21と、光出射部22と、種別ID記録部28と、を有する。観察ユニット5Dは、保持部27に対して着脱自在に装着される。
【0149】
種別ID記録部28は、ROMを用いて構成され、観察ユニットの種別を示すID情報を記録する。
【0150】
第1制御部26Dは、入力部25が入力を受け付けた動作指示または後述する制御装置9Dから入力された動作指示に応じて撮像部21および駆動部23の動作を制御する。また、第1制御部26Dは、CPUやASIC等を用いて構成され、後述する制御装置9Dの第2制御部94Dと連携して観察装置2Dを統括的に制御する。また、第1制御部26Dは、種別検出部261を有する。
【0151】
種別検出部261は、保持部27を介して観察ユニット5Dの種別ID記録部28から観察ユニット5DのID情報を検出し、この検出結果を制御装置9Dへ出力する。
【0152】
〔制御装置の構成〕
次に、制御装置9Dの機能構成について説明する。
制御装置9Dは、上述した実施形態1に係る制御装置9の記録部93および第2制御部94に換えて、記録部93Dおよび第2制御部94Dを備える。さらに、制御装置9Dは、上述した実施形態4の画像検出部95をさらに備える。
【0153】
記録部93Dは、フラッシュメモリやDRAM等の半導体メモリを用いて構成され、医療用観察システム1Dが実行する各種プログラムや処理中のデータを一時的に記録する。記録部93Dは、上述した実施形態4のテンプレート情報記録部931と、照明情報記録部932に加えて、照明パラメータ記録部933をさらに有する。照明パラメータ記録部933は、光出射部22が出射する照明光の光量、照明範囲および点滅の有無を含む照明パラメータを異ならせた複数の照明動作モードの各々に関する照明パラメータ設定情報を記録する。
【0154】
第2制御部94Dは、医療用観察システム1Dの各部を統括的に制御する。第2制御部94Dは、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU等の汎用プロセッサやASIC等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGAを用いて構成するようにしてもよい。なお、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。第2制御部94Dは、上述した実施形態4の第2制御部94Cの構成に加えて、照明動作設定部948と、モード検出部949と、判定制御部950と、をさらに有する。
【0155】
照明動作設定部948は、光出射部22が出射する照明光の強度、照明範囲および点滅の有無を含む照明パラメータを異ならせた複数の照明モードのいずれかを光出射部22に設定する。具体的には、照明動作設定部948は、入力部92から入力された指示信号に応じて選択された照明モードに対応する照明パラメータを照明パラメータ記録部933から取得し、取得した照明パラメータを光源装置3に設定することによって、照明モードを光出射部22に設定する。
【0156】
モード検出部949は、照明動作設定部948が光出射部22に設定した照明モードを検出する。
【0157】
判定制御部950は、モード検出部949の検出結果に基づいて、判定部942の判定機能を有効または無効に切り替える。
【0158】
〔医療用観察システムの処理〕
次に、医療用観察システム1Dの処理について説明する。
図13は、医療用観察システム1Dが実行する処理の概要を示すフローチャートである。ステップS501~ステップS503は、上述した
図4のステップS101~ステップS103それぞれに対応する。ステップS504は、上述した
図11のステップS404に対応する。ステップS505は、上述した
図4のステップS106に対応する。
【0159】
ステップS506において、判定部942は、モード検出部949が検出した照明モードが調整対象であるか否かを判定する。判定部942によってモード検出部949が検出した照明モードが調整対象であると判定された場合(ステップS506:Yes)、医療用観察システム1Dは、後述するステップS507へ移行する。これに対して、モード検出部949が検出した照明モードが調整対象でないと判定された場合(ステップS506:No)、医療用観察システム1Dは、後述するステップS514へ移行する。
【0160】
ステップS507~ステップS518は、上述した
図11のステップS406~ステップS417それぞれに対応する。
【0161】
以上説明した実施形態5によれば、照明制御部944が判定部942によってモード検出部949が検出した照明モードが調整対象であると判定された場合、光出射部22が照射する照明光を制御することによって、特別な追加操作をしなくても、保持部27に装着される観察ユニット5Dの種別に応じて、照明光が無用な方向へ照射されてしまうことを防止することができるうえ、照明光が直接目視されてしまう可能性を簡易に低減することができる。
【0162】
また、実施形態5によれば、判定制御部950が種別検出部261によって検出された検出結果に基づいて、判定部942の判定機能を有効または無効に切り替えるので、必要な観察ユニット5Dの種別に対してのみ消灯または減灯する制御を行うことができる。
【0163】
また、実施形態5によれば、判定制御部950がモード検出部949によって検出された照明モード、例えば照明動作設定部948によって設定された照明モードの強度に基づいて、判定部942の判定機能を有効または無効に切り替えてもよい。これにより、必要な照明モードの強度に対してのみ消灯または減灯する制御を行うことができる。
【0164】
また、実施形態5によれば、判定制御部950がモード検出部949によって検出された照明モード、例えば照明動作設定部948によって設定された照明モードの照射範囲に基づいて、判定部942の判定機能を有効または無効に切り替えてもよい。これにより、必要な照射範囲に対してのみ消灯または減灯する制御を行うことができる。
【0165】
また、実施形態5によれば、判定制御部950がモード検出部949によって検出された照明モード、例えば照明動作設定部948によって設定された照明モードの点滅の有無に基づいて、判定部942の判定機能を有効または無効に切り替えてもよい。これにより、出射する光が刺激の強い点滅光の場合のみ消灯または減灯する制御を行うことができる。
【0166】
なお、実施形態5では、種別検出部261が観察ユニット5Dの種別を検出し、判定制御部950が種別検出部261によって検出された検出結果に基づいて、判定部942の判定機能を有効または無効に切り替えていたが、例えば上述した実施形態3のライトガイド4とカメラヘッド5Bであっても適用することができる。この場合、ライトガイド4に種別ID記録部28や形状によってライトガイド4の種別を示すマークを設け、カメラヘッド5Bに設けた種別検出部261によってライトガイド4の種別やマークを検出するようにすればよい。この場合、判定制御部950が種別検出部261によって検出された検出結果に基づいて、判定部942の判定機能を有効または無効に切り替える。これにより、ライトガイド4の種別に応じて、照明光を制御することができるので、必要なライトガイド4の種別に対してのみ消灯または減灯する制御を行うことができる。
【0167】
(その他の実施形態)
また、本開示の実施形態1~5では、照明制御部が光源装置を停止することによって消灯していたが、例えば光源装置の駆動電圧や駆動電流を低下させることによって減灯させてもよい。もちろん、光源装置が照明光を供給する供給路上に、透過率の異なるフィルタを挿入することによって、光源装置が供給する照明光を減灯してもよいし、ミラー等を設けることによってライトガイドに照射されないようにしてもよい。
【0168】
また、本開示の実施形態1~5では、照明制御部が判定部の判定結果に基づいて、光出射部が照射する照明光を減灯または消灯する制御を行っていたが、例えば照明光を減灯状態または消灯状態に遷移する時間を瞬時に切り替える制御を行うことなく、徐々に減灯状態または消灯状態に遷移するように切り替える制御を行ってもよい。これにより、ユーザは、完全に減灯状態または消灯状態に至る前に、出射される照明光の変化から遷移が開始されたことを直感的に把握することができるので、戸惑いを軽減することができる。さらに、ユーザは、完全に減灯状態または消灯状態に切り替わる前に、必要に応じて照明光の光量を復帰させることができる。
【0169】
また、本開示の実施形態1~5では、照明制御部が判定部の判定結果に基づいて、光出射部が照射する照明光を減灯または消灯に切り替える制御を瞬時に行っていたが、例えば判定部が判定した後から、判定部がその判定結果を一定時間以上継続して同じ判定を行っている場合、照明制御部が光出射部によって照射される照明光を減灯または消灯する制御を開始するようにしてもよい。これにより、減灯または消灯の制御が実施される判定結果(動作条件)に一瞬なっただけで減灯または消灯してしまう過敏な状態を防止することができる。もちろん、照明制御部が制御を開始する時間は、入力部等によって適宜設定してもよいし、判定内容に応じて適宜変更してもよい。
【0170】
本明細書における医療用観察システムの処理の説明では、「まず」、「その後」、「続いて」および「そして」等の表現を用いて各ステップの前後関係を明示していたが、本発明を実施するために必要なステップの順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。即ち、本明細書で記載した医療用観察システムの順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0171】
また、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上述した実施の形態に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、各実施の形態で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0172】
また、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
【0173】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態を含みうるものであり、請求の範囲によって特定される技術的思想の範囲内で種々の設計変更等を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0174】
1,1A,1B,1C,1D 医療用観察システム
2,2D 観察装置
2B 挿入部
3,3A 光源装置
4 ライトガイド
5 顕微鏡部
5B カメラヘッド
6 支持部
7 ベース部
8 表示装置
9,9B,9C,9D 制御装置
10 伝送ケーブル
21 撮像部
22 光出射部
23 駆動部
24 検出部
24a~24f 第1角度センサ部~第6角度センサ部
25,92 入力部
26 第1制御部
27 保持部
28 種別ID記録部
31 第1光源部
32 第2光源部
51 姿勢検出部
52 把持検出部
53 レンズユニット
61~66 第1関節部~第6関節部
71~75 第1アーム部~第5アーム部
91 画像処理部
93,93C,93D 記録部
94,94C,94D 第2制御部
95 画像検出部
931 テンプレート情報記録部
932 照明情報記録部
933 照明パラメータ記録部
941 駆動制御部
942 判定部
943 第1モード設定部
944 照明制御部
945 表示制御部
946 第2モード設定部
947 照明検出部
948 照明動作設定部
949 モード検出部
950 判定制御部
951 画像比較部
952 検出対象設定部