IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒクマ・ファーマシューティカルズ・ユー・エス・エイ・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-液体ナロキソンスプレー 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】液体ナロキソンスプレー
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/485 20060101AFI20220801BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20220801BHJP
   A61P 25/36 20060101ALN20220801BHJP
【FI】
A61K31/485
A61K9/12
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/22
A61P25/36
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019508941
(86)(22)【出願日】2017-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 US2017046198
(87)【国際公開番号】W WO2018034920
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-08-07
(31)【優先権主張番号】15/238,909
(32)【優先日】2016-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/601,331
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519371529
【氏名又は名称】ヒクマ・ファーマシューティカルズ・ユー・エス・エイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アマンチャ,キラン
(72)【発明者】
【氏名】チラムパリ,シバーニー
(72)【発明者】
【氏名】ポッタ,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】イェン,ニンシン
(72)【発明者】
【氏名】ゴスコンダ,ベンカット・アール
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン,エッシュワラン
【審査官】福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/007245(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/038327(WO,A1)
【文献】特表2014-513683(JP,A)
【文献】国際公開第2015/136373(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1575795(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103637987(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
約2%~約10%w/wのナロキソン又はこの薬学的に許容される塩、約10%~約20%w/wのエタノール、水、及びキレート化剤を含む液体スプレー製剤であって、等張剤又は緩衝液を含有しない、鼻腔内投与のための、液体スプレー製剤。
【請求項2】
塩化ナトリウム、クエン酸、ベンジルアルコール又は塩化ベンザルコニウムを含有しない、請求項1に記載の液体スプレー製剤。
【請求項3】
グリコールをさらに含み;
キレート化剤がエデト酸二ナトリウム二水和物である、
請求項1に記載の液体スプレー製剤。
【請求項4】
グリコールがプロピレングリコールである、請求項に記載の液体スプレー製剤。
【請求項5】
約3.0~約6.0のpHを有する、請求項1に記載の液体スプレー製剤。
【請求項6】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の液体スプレー製剤。
【請求項7】
抗酸化剤がアスコルビン酸ナトリウムである、請求項に記載の液体スプレー製剤。
【請求項8】
水が、約35%~85%w/wの濃度であり;
キレート化剤が、約0.0001%~0.05%w/wの濃度である、
請求項1に記載の液体スプレー製剤。
【請求項9】
キレート化剤がエデト酸二ナトリウム二水和物である、請求項に記載の液体スプレー製剤。
【請求項10】
共溶媒としてプロピレングリコールを約5%~約10%w/wの濃度でさらに含み、キレート化剤がエデト酸二ナトリウム二水和物である、請求項に記載の液体スプレー製剤。
【請求項11】
経鼻スプレー装置で投与される、請求項1に記載の液体スプレー製剤。
【請求項12】
経鼻スプレー装置が、約125μL~127μLの製剤を含む単一のリザーバーを有する、請求項11に記載の液体スプレー製剤。
【請求項13】
約100μLの製剤が、単回の作動で送達される、請求項12に記載の液体スプレー製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体を含有する液体スプレー製剤を対象とする。本発明は、ナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体を含有する液体スプレー製剤を、これを必要とする患者に投与することによって、オピオイド依存症、オピオイド過剰摂取及び先天性無痛無汗症を処置する方法をさらに対象とする。
【背景技術】
【0002】
ナロキソンは以下の構造を有し、テバインから合成される:
【0003】
【化1】
【0004】
ナロキソンは、オピオイドの効果を阻止する競合的μ-オピオイドアンタゴニストであるので、オピオイド依存症又は過剰摂取を患う患者を処置するために最も一般的に使用されている。ナロキソンは、錠剤又は舌下フィルムストリップ製剤としてSuboxone(登録商標)(Suboxoneは、Reckitt Benckiser Healthcare(UK)Limitedの登録商標である。)で現在入手可能である。Suboxone(登録商標)は、ブプレノルフィン及びナロキソンを4:1比で含有する。ナロキソンは、4.42%w/wの塩酸ナロキソン二水和物、保存料として0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム(「BKC」)、等張剤として0.74%w/wの塩化ナトリウム、及び安定化剤として0.2%w/wのエデト酸二ナトリウム二水和物(「EDTA」)を含有する商標Narcan(登録商標)(Narcanは、Adapt Pharma Operations Limited LLC、「Adapt Pharma」の登録商標である。)下で水性経鼻スプレーとしても利用可能である。Adapt Pharmaは、Narcan(登録商標)4ミリグラムの経鼻スプレーについて米国食品医薬品局のオレンジブックに列挙されている米国特許第9,211,253号、同第9,468,747号及び同第9,561,117号を有する。これらの特許の各々は、等張剤を含有するナロキソン製剤を開示及び特許請求している。追加として、Adapt Pharmaは、2ミリグラムのナロキソン経鼻スプレーについてオレンジブックに列挙されている米国特許第9,480,644号も有し、この特許は、等張剤も含有するナロキソン製剤を開示及び特許請求している。Indivior、Incに譲渡された米国特許第9,192,570号及び同第9,289,425号は、緩衝液としてクエン酸及び抗微生物剤としてベンジルアルコールの両方を含有するナロキソン経鼻スプレーを開示及び特許請求している。
【0005】
他のオピオイド依存症処置に関する1つの課題は、それらが常習性になり得ることである。しかしながら、ナロキソンは常習性であるとは思われず、患者は耐性を構築しない。
【0006】
ナロキソンは、認知的無痛無汗症のための処置としても使用されてきた。認知的無痛無汗症は、患者が疼痛を感じることができない障害である。
【0007】
ナロキソンは、経口的に、静脈内に、注射によって、又は鼻粘膜を介して投与することができる。ナロキソンは、非経口で投与された場合に低い平均血清半減期を有する。迅速な代謝は、反復投薬を必要とする又は用量間で患者に不快感を引き起こすことがある。経腸投与は、肝臓の初回通過代謝により低い生物学的利用能を有する。
【0008】
したがって、現在利用可能な一部のナロキソン製剤がある一方で、物理的及び化学的に安定であることを含めて安定であるとともにナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体を含有する安全及び有効な液体スプレー製剤の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第9,211,253号明細書
【文献】米国特許第9,468,747号明細書
【文献】米国特許第9,561,117号明細書
【文献】米国特許第9,480,644号明細書
【文献】米国特許第9,192,570号明細書
【文献】米国特許第9,289,425号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明の液体スプレー製剤は、鼻腔内及び/又は舌下投与のためである。
【0011】
一態様において、本発明は、有効量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、水及びキレート化剤を含む液体スプレー製剤であって、等張剤又は緩衝液を含有しない液体スプレー製剤を対象とする。
【0012】
別の態様において、本発明の安定な液体スプレー製剤は、鼻腔内投与に適当である。
【0013】
別の態様において、本発明の液体スプレー製剤は、等張剤を含有しない。
【0014】
別の態様において、本発明の液体スプレー製剤は、塩化ナトリウムを含有しない。
【0015】
別の態様において、本発明の液体スプレー製剤は、塩化ベンザルコニウムを含有しない。
【0016】
別の態様において、本発明の液体スプレー製剤は、緩衝液を含有しない。
【0017】
別の態様において、本発明の液体スプレー製剤は、クエン酸を含有しない。
【0018】
別の態様において、本発明の液体スプレー製剤は、アルコールを含有しない。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、オピオイド依存症処置を必要とする患者に本発明の液体スプレー製剤を投与することを含む、オピオイド依存症を処置するための方法であって、投与が、鼻腔内、舌下、又は鼻腔内及び舌下のいずれかで起こり、投与が鼻腔内及び舌下で起こる場合、投与が同時に、逐次に又は付随して起こる、方法を対象とする。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、オピオイド過剰摂取処置を必要とする患者に本発明の液体スプレー製剤を投与することを含む、オピオイド過剰摂取を処置するための方法であって、投与が、鼻腔内、舌下、又は鼻腔内及び舌下のいずれかで起こり、投与が鼻腔内及び舌下で起こる場合、投与が同時に、逐次に又は付随して起こる、方法を対象とする。
【0021】
追加の態様において、本発明は、先天性無痛無汗症のための処置を必要とする患者に本発明の液体スプレー製剤を投与することを含む、先天性無痛無汗症を処置するための方法であって、投与が、鼻腔内、舌下、又は鼻腔内及び舌下のいずれかで起こり、投与が鼻腔内及び舌下で起こる場合、投与が同時に、逐次に又は付随して起こる、方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】4mgの投与量に正規化された製剤#9A、#9A反復、#8A、#8AF及び#7AFの平均血漿濃度を示すグラフである。幾何平均に基づく値。
【発明を実施するための形態】
【0023】
出願人らは、緩衝液又は等張剤を含有していないにもかかわらず使用者にとって安定及び快適である新たな液体ナロキソン製剤を作製した。アルコールを含有しない製剤は、小児への投与に殊に適当である。さらに、アルコールフリー製剤は、アルコール中毒から回復時の患者に適当であり得る。
【0024】
好ましい実施形態において、液体ナロキソン製剤は、スプレーである。さらにより好ましい実施形態において、液体ナロキソン製剤は、単純な溶液形態である。本明細書で使用される場合、「単純な溶液」という用語は、溶質(単数又は複数)が溶媒中に完全に溶解している溶液を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「安定な」という用語は、物理的及び化学的安定性を含むが、これらに限定されない。
【0026】
一実施形態において、本発明は、有効量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、水及びキレート化剤を含む液体スプレー製剤であって、等張剤又は緩衝液を含有しない液体スプレー製剤を対象とする。
【0027】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、鼻腔内投与のためである。
【0028】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、塩化ナトリウム、クエン酸、ベンジルアルコール又は塩化ベンザルコニウムを含有しない。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、有効量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、アルコール、グリコール及びこれらの組合せからなる群から選択される共溶媒、水、及びキレート化剤としてエデト酸二ナトリウム二水和物を含む液体スプレー製剤であって、等張剤又は緩衝液を含有しない液体スプレー製剤を対象とする。
【0030】
アルコールがエタノール(無水アルコール)であり、グリコールがプロピレングリコールである、請求項4の液体スプレー製剤。
【0031】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、約3.0~約6.0、より好ましくは約4.5のpHを有する。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、有効量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、水、キレート化剤、及び抗酸化剤、好ましくはアスコルビン酸ナトリウムを含む液体スプレー製剤であって、等張剤又は緩衝液を含有しない液体スプレー製剤を対象とする。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、
約1%~約16%w/w、好ましくは約2%~約10%w/wのナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体;
約10%~約99%w/wの水;
約0.0001%~0.05%w/wのキレート化剤、好ましくはエデト酸二ナトリウム二水和物
を含む液体スプレー製剤であって、等張剤又は緩衝液を含有しない液体スプレー製剤を対象とする。
【0034】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、アルコールを含有しない。
【0035】
別の実施形態において、本発明は、
約1%~約16%w/w、好ましくは約2%~約10%w/wのナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体;
約80%~約98%w/wの水;
約0.0001%~0.05%w/wのキレート化剤、好ましくはエデト酸二ナトリウム二水和物
を含む液体スプレー製剤であって、等張剤、緩衝液又は共溶媒を含有しない液体スプレー製剤を対象とする。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、
約1%~約16%w/w、好ましくは約2%~約10%w/wのナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体;
約35%~約85%w/wの水;
約0.0001%~0.05%w/wのキレート化剤、好ましくはエデト酸二ナトリウム二水和物;並びに
エタノール、プロピレングリコール及びこれらの組合せからなる群から選択される約2%~約90%w/wの共溶媒、好ましくは、約2%~約50%w/wの濃度のエタノール、又は約5%~約10%w/wの濃度のプロピレングリコール及び約2%~約50%w/wの濃度のエタノールの組合せ、又は約20%w/wのエタノール及び約5%w/wのプロピレングリコールの組合せ、又は約50%w/wのエタノール及び約5%w/wのプロピレングリコールの組合せ、
を含む液体スプレー製剤であって、等張剤又は緩衝液を含有しない液体スプレー製剤を対象とする。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、
約1%~約16%w/wのナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、好ましくは約2%~約10%w/w;
約35%~約85%w/wの水;
約0.0001%~0.05%w/wのキレート化剤、好ましくはエデト酸二ナトリウム二水和物;及び
共溶媒として約5%~約10%w/wの濃度のプロピレングリコール、
を含む液体スプレー製剤であって、等張剤、緩衝液又はアルコールを含有しない液体スプレー製剤を対象とする。
【0038】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、安息香酸及びこれらの組合せからなる群から選択される保存料、好ましくは約0.005%~約0.2%w/wのメチルパラベン、より好ましくは0.1%w/wのメチルパラベンを含む。
【0039】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、保存料を含有しない。
【0040】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、経鼻スプレー装置で投与される。
【0041】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、組成物粒子の90%超が投与中に直径10ミクロ超である液滴サイズ分布を生成できる若しくは:
投与中に平均Dv(10)が約5~約40ミクロンである;
投与中に平均Dv(50)が約20~約80ミクロンである;及び
投与中に平均Dv(90)が約50~約700ミクロンである
液滴サイズ分布を生成できる経鼻スプレー装置、又は
約1.0~2.5の楕円比、若しくは投与中に約25~約70ミリメートルのスプレープルーム幅及び投与中に約15~約70度のスプレープルーム角度を有するスプレープルームにおいて投与される。
【0042】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、約125μl~127μLの製剤を含む単一のリザーバーを有する経鼻スプレー装置で投与される。
【0043】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、単回の作動によって約100μLの製剤を送達する経鼻スプレー装置で投与される。
【0044】
アルコールを有する製剤
一実施形態において、本発明は、有効量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、溶媒として水、共溶媒、及び抗酸化剤又はキレート化剤を含む液体スプレー製剤を対象とする。好ましい実施形態において、ナロキソンは塩形態である。
【0045】
別の実施形態において、本発明は、有効量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、溶媒として水、共溶媒、及び浸透増強剤又はキレート化剤を含む液体スプレー製剤を対象とする。好ましい実施形態において、ナロキソンは塩形態である。
【0046】
共溶媒は、アルコール、グリコール又はこれらの混合物であってよい。製剤は、好ましくは、約5~約90%w/wの共溶媒を含有する。より好ましくは、製剤は、約10%~約70%w/w、又は約10%~約55%w/w、又は約40%~約65%w/w、又は約45%~約60%w/w、又は約45%~約55%w/wの共溶媒を含有する。好ましい実施形態において、製剤は、約10%w/w、約12%w/w、約25%w/w、又は約55%w/wの共溶媒を含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、共溶媒として約10%w/wのエタノール、又は共溶媒として約2%~約45%のエタノール、又は共溶媒として約10%~約20%のエタノール、又は共溶媒として約10%w/wのプロピレングリコール及び約2%w/wのエタノール、又は共溶媒として約20%w/wのエタノール及び約5%w/wのプロピレングリコール、又は共溶媒として約50%w/wのエタノール及び5%w/wのプロピレングリコールを含有する。
【0047】
適当な抗酸化剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオグリセロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、dL-アルファ-トコフェロール、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、システイン塩酸塩、グルタチオン及びこれらの組合せが挙げられる。現在好ましい抗酸化剤としては、BHA、BHT、チオ硫酸ナトリウム、dLアルファ-トコフェロール(ビタミンE)及びアスコルビン酸ナトリウムが挙げられる。
【0048】
好ましい実施形態において、製剤中に含まれる抗酸化剤の量は、約0.001%~約0.5%w/wである。
【0049】
別の好ましい実施形態において、抗酸化剤の量は、約0.01%w/wのBHAである。
【0050】
代替実施形態において、抗酸化剤は、約0.01%w/wのBHA及び約0.005%w/wのBHTの混合物である。
【0051】
さらに別の実施形態において、抗酸化剤は、約0.01%w/wのチオ硫酸ナトリウムである。
【0052】
好ましい実施形態において、抗酸化剤は、約0.3%w/wのdLアルファ-トコフェロールである。
【0053】
最も好ましい実施形態において、抗酸化剤は、約0.02%w/wのアスコルビン酸ナトリウムである。
【0054】
本製剤において、水が溶媒として使用される。好ましくは、本発明の製剤は、約10%~約99%w/wの水、より好ましくは約10%~約98%w/wの水、より好ましくは約35%~約85%w/w、より好ましくは約35%~約84%w/w、より好ましくは約29.8%、33.2%、31.32%、34.5%、又は35.5%,37.5%、65.2%、71.1%、79.3%、81.1%、又は83.9%w/wの水を含有する。本発明のヒドロ-アルコール製剤は、好ましくは約40%~約90%w/wの水、より好ましくは約50%~約90%w/wの水を含有する。好ましい実施形態において、ヒドロ-アルコール性製剤は、約30%~約80%w/wの水を含有する。
【0055】
好ましい実施形態において、本発明の製剤は、約2~約7のpHを有する。より好ましい実施形態において、本発明の製剤は、約3~約6、さらにより好ましくは約3~約4.5のpHを有する。
【0056】
最も好ましい実施形態において、本発明の製剤は、約3.0±0.2、又は3.5±0.2、又は4.0±0.2、又は4.5±0.2のpHを有する。
【0057】
別の好ましい実施形態において、製剤は、共溶媒としてエタノールを含有する。
【0058】
さらに別の好ましい実施形態において、製剤は、共溶媒としてプロピレングリコールを含有する。
【0059】
より好ましい実施形態において、製剤は、共溶媒としてエタノール及びプロピレングリコールの混合物を含有する。
【0060】
別の実施形態において、本発明の製剤は、キレート化剤を含有する。好ましい実施形態において、キレート化剤は、好ましくは約0.0001%~約0.5%w/w、より好ましくは約0.001%~約0.05%w/w、さらにより好ましくは約0.005%~約0.05%w/w、さらにより好ましくは約0.001%~約0.02%w/wの濃度のエデト酸二ナトリウム二水和物(エデト酸二ナトリウム又はエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩又はEDTAとしても知られている。)である。
【0061】
好ましい実施形態において、本発明は、約1%~約16%w/wの量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、約10%~約95%w/wの量の水、約2%~約90%w/wの量の共溶媒、及び約0.0001%~0.05%w/wの量のキレート化剤を含む液体スプレー製剤を対象とする。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明は、約1%~約20%w/wの量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、約30%~約99%w/wの量の水、約2%~約90%w/wの量の共溶媒、及び約0.0005%~0.05%w/wの量のキレート化剤を含む液体スプレー製剤を対象とする。
【0063】
好ましい実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、約0.001%~約10.0%w/wの量のメントール、約0.1%~10%w/wの量のカプリル酸、約0.001%~10%w/wの量の塩化ベンザルコニウム(「BKC」)、及びこれらの組合せからなる群から選択される浸透増強剤をさらに含む。
【0064】
別の好ましい実施形態において、製剤は、キレート化剤としてエデト酸二ナトリウム二水和物を0.001%w/w又は0.05%w/wで含有する。
【0065】
さらに別の実施形態において、本発明は、約24%~約16%w/wの量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、約20%~約85%w/wの量の水、約5%~約55%w/wの量の共溶媒、及び約0.0001%~0.05%の量のキレート化剤を対象とする。製剤の好ましい実施形態において、ナロキソンは塩である。さらに別の好ましい実施形態において、製剤は、約0.01%~約10%w/wの量のメントール、約0.1%~10%w/wの量のカプリル酸、約0.001%~10%w/wの量のBKC、及びこれらの組合せから選択される浸透増強剤をさらに含む。
【0066】
別の好ましい実施形態において、キレート化剤は、好ましくは約0.001%~約0.5%w/wの濃度のエデト酸二ナトリウム二水和物である。
【0067】
さらに別の実施形態において、本発明は、約1%~約10%w/wの量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、約30%~約85%w/wの量の水、約7%~約55%w/wの量の共溶媒、及び約0.0001%~0.05%の量のキレート化剤を対象とする。製剤の好ましい実施形態において、ナロキソンは塩である。別の好ましい実施形態において、製剤は、好ましくは約0.01%~約0.5%w/wの保存料をさらに含む。より好ましい実施形態において、キレート化剤はエデト酸二ナトリウム二水和物である。別の好ましい実施形態において、保存料はメチルパラベンである。
【0068】
別の実施形態において、本発明の製剤は、保存料を含有しない。
【0069】
さらなる実施形態において、本発明は、約1%~約10%w/wの量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、約35%~約85%w/wの量の水、約7%~約55%w/wの量の共溶媒、及び約0.001%~約0.02%w/wの量のキレート化剤を対象とする。この製剤の好ましい実施形態において、ナロキソンは塩である。別の好ましい実施形態において、製剤は、約0.05%~約0.2%w/wの量の保存料も含有する。さらに別の好ましい実施形態において、製剤は、キレート化剤としてエデト酸二ナトリウム二水和物を含有する。
【0070】
さらなる実施形態において、本発明は、約1%~約10%w/wの塩酸ナロキソン二水和物、約35%~約84%w/wの水、約2%~約50%w/wのエタノール、約0.001%~約0.02%w/wのEDTA、並びに任意選択的に約5%~約10%w/wのプロピレングリコール及び任意選択的に約0.1%w/wのメチルパラベンを含む液体スプレー製剤を対象とする。
【0071】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、等張剤を含有しない。
【0072】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、塩化ナトリウムを含有しない。
【0073】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、塩化ベンザルコニウムを含有しない。
【0074】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、緩衝液を含有しない。
【0075】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、クエン酸を含有しない。
【0076】
一部の実施形態において、本発明の製剤は、pH調整剤としてクエン酸又は水酸化ナトリウム又は塩酸溶液を含有する。
【0077】
本発明に従って使用することができる薬学的に許容される塩としては、以下に限定されないが、塩酸塩、塩酸塩二水和物、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカル酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩(即ち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))が挙げられる。
【0078】
好ましい実施形態において、薬学的に許容される塩は塩酸塩である。
【0079】
本発明に従って使用することができるナロキソンの誘導体としては、以下に限定されないが、3-O-アシル誘導体、フェニルヒドラゾン誘導体及びメチオジド誘導体が挙げられる。
【0080】
本発明とともに使用される溶媒は、米国薬局方(「USP」)精製水である。
【0081】
本発明に従って使用することができる共溶媒は、アルコール及びグリコール又はこれらの混合物である。
【0082】
本発明に従って使用することができるアルコールとしては、以下に限定されないが、メタノール、エタノール(無水アルコールとしても知られている。)、プロピルアルコール及びブチルアルコールなどが挙げられるが、ベンジルアルコールを含まない。
【0083】
アルコールを含有しない本発明の製剤において、「アルコール」という用語は、ベンジルアルコールを含めた全てのアルコールを含む。
【0084】
本発明に従って使用することができるグリコールとしては、以下に限定されないが、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、並びにブチレングリコール、並びにPEG200、PEG300、PEG400及びPEG600などのようなポリエチレングリコールが挙げられる。
【0085】
好ましい実施形態において、共溶媒は、エタノール若しくはプロピレングリコール又はこれらの混合物である。
【0086】
別の好ましい実施形態において、製剤中に含まれる共溶媒の量は、約2%~約90%w/wである。他のより好ましい実施形態において、製剤中に含まれる共溶媒の量は、約5%又は約10%w/wのプロピレングリコールである。他のより好ましい実施形態において、製剤中に含まれる共溶媒の量は、約2%、約10%、約20%又は約50%w/wのエタノールである。
【0087】
他のより好ましい実施形態において、共溶媒は、約5%w/wのプロピレングリコール及び約50%w/wのエタノールの混合物、又は約5%w/wのプロピレングリコール及び約20%w/wのエタノールの混合物、又は約10%w/wのプロピレングリコール及び約10%w/wのエタノールの混合物、又は約10%w/wのプロピレングリコール及び約2%w/wのエタノール若しくは10%w/wのエタノールである。
【0088】
本発明に従って使用することができる可溶化剤は、ヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリン(「HPβCD」)及びスルホブチルエーテルシクロデキストリン又はこれらの混合物である。
【0089】
好ましい実施形態において、可溶化剤はHPβCDである。
【0090】
より好ましい実施形態において、HPβCDの量は、約30%w/wである。
【0091】
本発明に従って使用することができる浸透増強剤としては、以下に限定されないが、メントール、リモネン、カルボン、メチルキトサン、Tween(登録商標)80(ポリソルベート80;Tweenは、Uniqema Americas、LLCの登録商標である。)を含めたポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸グリセリル、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノレン酸、アラキドン酸、塩化ベンザルコニウム(BKC)、塩化セチルピリジウム、エデト酸二ナトリウム二水和物、デソキシコール酸ナトリウム、デオキシグリコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、ヒドロキシベンゾイルアミノカプリル酸ナトリウム、ドデシルジメチルアミノプロピオネート、L-リジン、オレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセリル、クエン酸及びペパーミント油が挙げられる。好ましくは、浸透増強剤は、メントール、塩化ベンザルコニウム、エデト酸二ナトリウム二水和物、カプリル酸、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0092】
好ましい実施形態において、浸透増強剤の量は、約0.001%~約10%w/wである。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.01%~約5.0%w/wの浸透増強剤を含有する。好ましい実施形態において、製剤は、約0.02%~約2.0%w/wの浸透増強剤を含有する。最も好ましい実施形態において、製剤は、2.0%w/wの浸透増強剤を含有する。
【0093】
好ましい実施形態において、浸透増強剤は、L-メントール、カプリル酸、BKC、エデト酸二ナトリウム二水和物(EDTA)又はこれらの組合せであり、L-メントールの好ましい量は約0.001%~約10.0%w/wであり、カプリル酸は約0.1%~約10%w/wであり、BKCは約0.001~約10%w/wであり、EDTAは約0.0005%~0.1%w/wである。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.01%~約0.5%w/wのL-メントール、約0.5%~約5%w/wのカプリル酸、約0.005%~約0.1%w/wのBKC、約0.005%~約0.05%w/wのEDTA、又はこれらの組合せを含有する。さらにより好ましい実施形態において、製剤は、約0.02%~約0.5%w/wのL-メントール、約1%~約2%w/wのカプリル酸、約0.01%~約0.1%w/wのBKC、約0.005~約0.05%w/wのEDTA、又はこれらの組合せを含有する。最も好ましい実施形態において、製剤は、約0.5%w/wのL-メントール、約2%w/wのカプリル酸、約0.01%w/wのBKC、約0.005%のエデト酸二ナトリウム二水和物、又はこれらの組合せを含有する。
【0094】
さらに別の実施形態において、浸透増強剤は、約0.5%w/wのメントールである。
【0095】
さらに別の好ましい実施形態において、浸透増強剤は、約2.0%w/wのカプリル酸である。
【0096】
最も好ましい実施形態において、浸透増強剤は、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム(BKC)である。
【0097】
最も好ましい実施形態において、浸透増強剤は、約0.005%、0.01%、0.015%又は0.02%w/wのエデト酸二ナトリウム二水和物(EDTA)である。
【0098】
さらに最も好ましい実施形態において、浸透増強剤は、2.0%w/wのカプリル酸及び0.01%w/wの塩化ベンザルコニウムの組合せである。
【0099】
本発明の製剤は、約2.0~約7.0、好ましくは約3~約6、より好ましくは約3~約4.5pH、最も好ましくは3又は4.5±01のpH範囲を有することができ、本発明に従って使用することができるpH調整剤としては、以下に限定されないが、クエン酸及び水酸化ナトリウムが挙げられる。好ましい実施形態において、水酸化ナトリウム又はクエン酸の量は、約0.002%~約0.03%w/wである。より好ましい実施形態において、水酸化ナトリウムの量は、約0.015%w/wである。他のより好ましい実施形態において、水酸化ナトリウムの量は、約0.012%w/wである。
【0100】
さらなる実施形態において、製剤は、浸透増強剤、甘味料、甘味増強剤、pH調節剤、香味剤、保存料又はこれらの組合せを含有する。
【0101】
好ましい実施形態において、製剤は、甘味料を含有する。より好ましい実施形態において、甘味料は、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、デキストロース、マンニトール、グリセリン及びキシリトールからなる群から選択される。好ましい実施形態において、製剤は、約0.001%w/w~約2%w/wの甘味料を含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.05%w/w~約1%w/wの甘味料を含有する。最も好ましい実施形態において、製剤は、甘味料として約0.8%w/wのスクラロースを含有する。
【0102】
別の実施形態において、製剤は、香味剤を含有する。好ましい実施形態において、製剤は、ペパーミント油、メントール、スペアミント油、柑橘類油、シナモン油、イチゴ香味、サクランボ香味、ラズベリー香味、オレンジ油及びこれらの組合せからなる群から選択される香味剤を含有する。当業者によって知られている他の適切な香味剤も、本発明の製剤に添加することができる。好ましい実施形態において、製剤は、約0.001%w/w~約1%w/wの香味剤を含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.005%w/w~約0.5%w/wの香味剤を含有する。最も好ましい実施形態において、製剤は、香味剤として約0.08%w/wのイチゴを含有する。
【0103】
さらに別の実施形態において、本発明の製剤は、投与中に平均Dv(10)が約11~約35ミクロンである液滴サイズ分布を生成できる。
【0104】
さらなる実施形態において、本発明の製剤は、投与中に平均Dv(50)が約25~約55ミクロンである液滴サイズ分布を生成できる。
【0105】
さらに別の実施形態において、本発明の製剤は、投与中に平均Dv(90)が約75~約600ミクロンである液滴サイズ分布を生成できる。好ましくは、本発明の製剤は、投与中に平均Dv(90)が約85~約500ミクロンである液滴サイズ分布を生成できる。
【0106】
アルコールを有さない製剤
さらなる実施形態において、本発明は、有効量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、水、キレート化剤、及び任意選択的に共溶媒を含む安定な液体スプレー製剤を対象とし、製剤はアルコールを含有しない。
【0107】
さらなる実施形態において、本発明は、有効量のナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、水、及び浸透増強剤又はキレート化剤、並びに任意選択的に共溶媒を含む安定な液体スプレー製剤を対象とし、製剤はアルコールを含有しない。
【0108】
別の実施形態において、本発明の安定な液体スプレー製剤は、好ましくは約0.01%~約0.5%w/wの保存料を含有する。より好ましい実施形態において、保存料はメチルパラベンである。
【0109】
別の実施形態において、本発明の安定な液体スプレー製剤は、保存料を含有しない。
【0110】
別の実施形態において、本発明の安定な液体スプレー製剤は、経鼻投与に適当である。
【0111】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、等張剤を含有しない。
【0112】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、塩化ナトリウムを含有しない。
【0113】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、塩化ベンザルコニウムを含有しない。
【0114】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、緩衝液を含有しない。
【0115】
別の実施形態において、本発明の液体スプレー製剤は、クエン酸を含有しない。
【0116】
好ましい実施形態において、液体スプレー製剤は、約0.01%w/w~約20%w/wのナロキソン又はこの塩若しくは誘導体を含む。より好ましい実施形態において、液体スプレー製剤は、約1%w/w~約12%w/wのナロキソン又はこの塩若しくは誘導体を含む。さらにより好ましい実施形態において、製剤は、約2%w/w~約10%w/wのナロキソン又はこの塩若しくは誘導体を含有する。
【0117】
別の実施形態において、製剤は、約20%w/w~約99%の水を含有する。好ましい実施形態において、製剤は、約30%w/w~約98%w/wの水を含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、約80%w/w~約98%w/wの水を含有する。最も好ましい実施形態において、製剤は、約81%w/w~約98%w/wの水を含有する。本発明の水性製剤は、好ましくは約70%~約99%w/wの水、より好ましくは約80%~約99%w/wの水を含有する。最も好ましい実施形態において、水性製剤は、約84%~約98%w/wの水を含有する。
【0118】
ある実施形態において、製剤は、約5%w/w~約50%w/wのグリセロールを含有する。好ましい実施形態において、製剤は、約10%w/w~約40%w/wのグリセロールを含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、約15%w/w~約35%w/wのグリセロールを含有する。
【0119】
別の実施形態において、製剤は、約0.1%w/w~約50%w/wのポリエチレングリコール400を含有することができる。より好ましい実施形態において、製剤は、約10%w/w~約40%w/wのポリエチレングリコール400を含有する。
【0120】
別の実施形態において、製剤は、約0.1%w/w~約50%w/wのプロピレングリコールを含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、約10%w/w~約40%w/wのプロピレングリコールを含有する。さらにより好ましい実施形態において、本発明は、約5%~約10%w/wのプロピレングリコールを含有する。
【0121】
別の実施形態において、製剤は、ナロキソンの薬学的に許容される塩を含有する。好ましい実施形態において、製剤は、塩酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化物、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、アスコルビン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、炭酸塩、メシル酸塩及び乳酸塩からなる群から選択される塩を含有する。当業者は、本発明の製剤において他の薬学的に許容されるナロキソン塩を使用することができる。
【0122】
好ましい実施形態において、抗酸化剤は、アスコルビン酸、システインHCl一水和物、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、メチオニン、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、グルタチオン及びチオグリセロールからなる群から選択される。当業者によって知られている他の適切な抗酸化剤も、本発明の製剤に添加することができる。
【0123】
好ましい実施形態において、製剤は、約0.0001%w/w~約0.5%w/wの抗酸化剤を含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.005%w/w~約0.2%w/wの抗酸化剤を含有することができる。最も好ましい実施形態において、製剤は、0.05%w/w又は0.02%w/wの抗酸化剤を含有する。
【0124】
別の実施形態において、本発明の製剤は、キレート化剤を含有する。好ましい実施形態において、キレート化剤はエデト酸二ナトリウム二水和物である。
【0125】
ある実施形態において、製剤は、約0.0001%~約0.5%w/wのキレート化剤を含有する。好ましい実施形態において、製剤は、約0.001%~約0.50%w/wのキレート化剤を含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.005%~約0.05%w/wのキレート化剤を含有する。
【0126】
さらなる実施形態において、製剤は、浸透増強剤、甘味料、甘味増強剤、pH調節剤、香味剤、保存料又はこれらの組合せを含有する。
【0127】
別の実施形態において、製剤は、浸透増強剤を含有する。好ましい実施形態において、浸透増強剤は、メントール、リモネン、カルボン、メチルキトサン、カプリル酸ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノレン酸、アラキドン酸、Tween(登録商標)80を含めたポリソルベート、エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム(BKC)、塩化セチルピリジニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、クエン酸、デソキシコール酸ナトリウム、デオキシグリコール酸ナトリウム、オレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ヒドロキシベンゾイルアミノカプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ドデシルジメチルアミノプロピオネート、L-リジン、グリココール酸ナトリウム、クエン酸、ペパーミント油及びこれらの組合せからなる群から選択される。より好ましい実施形態において、浸透増強剤は、Tween(登録商標)80を含めたポリソルベート、エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム(BKC)、塩化セチルピリジニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、クエン酸、デソキシコール酸ナトリウム、デオキシグリコール酸ナトリウム、オレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、L-リジン、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、クエン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される。さらにより好ましい実施形態において、浸透増強剤は、メントール、カプリル酸及びBKCからなる群から選択される。
【0128】
好ましい実施形態において、浸透増強剤の量は、約0.001%~約10%w/wである。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.001%~約2.5%w/wの浸透増強剤を含有する。最も好ましい実施形態において、製剤は、約0.02%~約2.0%w/wの浸透増強剤を含有する。
【0129】
好ましい実施形態において、浸透増強剤は、メントール、カプリル酸、BKC又はこれらの組合せであり、L-メントールの好ましい量は約0.001%~約10%w/wであり、カプリル酸は約0.1%~10%w/wであり、BKCは約0.001%~10%w/wである。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.01%~約0.5%w/wのL-メントール、約0.5%~5%w/wのカプリル酸、約0.005%~0.1%w/wのBKCを含有する。さらにより好ましい実施形態において、製剤は、約0.02%~約0.5%w/wのL-メントール、約1%~2%w/wのカプリル酸、約0.01%~0.1%w/wのBKCを含有する。最も好ましい実施形態において、製剤は、約0.5%w/wのL-メントール、約2%w/wのカプリル酸及び約0.005w/wのBKCを含有する。
【0130】
さらに別の実施形態において、浸透増強剤は、約0.5%w/wのメントールである。
【0131】
さらに別の好ましい実施形態において、浸透増強剤は、約2.0%w/wのカプリル酸である。
【0132】
最も好ましい実施形態において、浸透増強剤は、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム(BKC)である。
【0133】
好ましい実施形態において、製剤は、甘味料を含有する。より好ましい実施形態において、甘味料は、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、デキストロース、マンニトール、グリセリン及びキシリトールからなる群から選択される。好ましい実施形態において、製剤は、約0.001%w/w~約2%w/wの甘味料を含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.05%w/w~約1%w/wの甘味料を含有する。最も好ましい実施形態において、製剤は、甘味料として約0.8%w/wのスクラロースを含有する。
【0134】
さらなる実施形態において、製剤は、甘味増強剤、アンモニウム塩形態の粗製及び精製グリシルリジン酸、例えば、Magnasweet(登録商標)製品(Mafco Worldwide Corporationから入手可能であり、Magnasweetは、Mafco Worldwide Corporationの登録商標である。)を含有することができる。Magnasweet(登録商標)製品は、アンモニウム塩形態の粗製及び精製グリシルリジン酸を使用している。グリシルリジン酸は、ナトリウム塩形態及びカリウム塩形態の純粋な誘導体としても利用可能である。
【0135】
別の実施形態において、製剤は、pH調節剤を含有する。好ましい実施形態において、pH調節剤は、製剤のpHを約2~約7に調整する。より好ましい実施形態において、pH調節剤は、製剤のpHを約3~約6、約4~約5又は約2~約4に調整する。最も好ましい実施形態において、pH調節剤は、製剤のpHを約2.5若しくは3又は4.5±0.1に調整する。
【0136】
別の実施形態において、製剤は、香味剤を含有する。好ましい実施形態において、製剤は、ペパーミント油、メントール、スペアミント油、柑橘類油、シナモン油、イチゴ香味、サクランボ香味、ラズベリー香味、オレンジ油及びこれらの組合せからなる群から選択される香味剤を含有する。当業者によって知られている他の適切な香味剤も、本発明の製剤に添加することができる。好ましい実施形態において、製剤は、約0.001%w/w~約1%w/wの香味剤を含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.005%w/w~約0.5%w/wの香味剤を含有する。最も好ましい実施形態において、製剤は、香味剤として約0.08%w/wのイチゴを含有する。
【0137】
さらに別の実施形態において、製剤は、保存料を含有することができる。好ましい実施形態において、保存料は、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム及び安息香酸からなる群から選択される。好ましい実施形態において、製剤は、約0.001%w/w~約1%w/wの保存料を含有する。より好ましい実施形態において、製剤は、約0.005%w/w~約0.2%w/wの保存料を含有する。最も好ましい実施形態において、製剤は、保存料として約0.1%w/wのメチルパラベンを含有する。
【0138】
さらなる実施形態において、本発明は、約1%~約16%w/wのナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、約10%~約98%w/wの水、約0.005%~約0.05%w/wのキレート化剤、好ましくはエデト酸二ナトリウム二水和物、及び任意選択的に約2%~約90%w/wの共溶媒、好ましくはプロピレングリコールを含む安定な液体スプレー製剤を対象とし、製剤はアルコールを含有しない。
【0139】
さらなる実施形態において、本発明は、約1%~約16%w/wのナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、約30%~約98%w/wの水、約0.005%~約0.05%w/wのキレート化剤、好ましくはエデト酸二ナトリウム二水和物、及び任意選択的に約5%~約55%w/wの共溶媒、好ましくはプロピレングリコールを含む安定な液体スプレー製剤を対象とし、製剤はアルコールを含有しない。
【0140】
さらなる実施形態において、本発明は、約1%~約10%w/wのナロキソン、この薬学的に許容される塩又はこの誘導体、約80%~約98%w/wの水、約0.005%~約0.05%w/wのキレート化剤、好ましくはエデト酸二ナトリウム二水和物、及び任意選択的に約5%~約10%w/wの共溶媒、好ましくはプロピレングリコール、及び任意選択的に約0.1%w/wの保存料、好ましくはメチルパラベンを含む安定な液体スプレー製剤を対象とし、製剤はアルコールを含有しない。
【0141】
さらに別の実施形態において、本発明の製剤は、投与中に平均Dv(10)が約12~約20ミクロンである液滴サイズ分布を生成できる。
【0142】
さらなる実施形態において、本発明の製剤は、投与中に平均Dv(50)が約25~約35ミクロンである液滴サイズ分布を生成できる。
【0143】
さらに別の実施形態において、本発明の製剤は、投与中に平均Dv(90)が約40~約150ミクロンである液滴サイズ分布を生成できる。好ましくは、本発明の製剤は、投与中に平均Dv(90)が約60~約110ミクロンである液滴サイズ分布を生成できる。
【0144】
本発明の全ての特許請求の範囲、態様及び実施形態、並びにこれらの具体例は、これらの等価物を包含すると意図される。
【0145】
さらなる実施形態において、本発明は、本発明の製剤(アルコールの有無を問わず)を患者に投与することによって患者を処置することを対象とする。好ましい実施形態において、製剤は、オピオイド依存症、オピオイド過剰摂取及び/又は先天性無痛無汗症を処置するために投与される。
【0146】
定義
本明細書で使用される場合、各々の特定の値に「約」として定義されている量及び重量などに関する全ての値は、プラス又はマイナス10%である。例えば、「約10%w/w」という成句は、「9%~11%w/w」と理解されるべきである。そのため、特許請求されている値の10%以内の量は、特許請求の範囲の範疇によって包含される。
【0147】
本明細書で使用される場合、「%w/w」は、製剤全体のパーセント重量を指す。
【0148】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、それを必要とする患者を処置するのに必要な量を指す。
【0149】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、以下に限定されないが、オピオイド依存症、オピオイド過剰摂取、無痛無汗症、又はナロキソンで処置することができる別の苦痛若しくは疾患のために処置されている人間を指す。
【0150】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という成句は、舌下又は鼻腔内剤形において生物学的に又はその他で望ましくないことがない成分を指す。
【0151】
本明細書で使用される場合、「安定な」は、約40℃で少なくとも4週後に95%超の純度を維持する製剤を指す。
【0152】
好ましくは、本発明の(アルコール及びアルコールフリー)製剤は、噴霧剤フリーである。本明細書で使用される場合、「噴霧剤フリー」は、圧縮ガスを使用して投与されない製剤を指す。
【0153】
本明細書で使用される場合、「等張剤」という用語は、製剤の浸透圧を変更又は調節するために使用される任意の化合物を指す。
【0154】
本明細書で使用される場合、「緩衝液」という用語は、製剤のpHを維持するために使用される任意の化合物を指す。
【0155】
以下の実施例は、本発明を例示すること並びに本発明を作製及び使用する方法を当業者に教示することが意図される。それらは、限定されると決して意図されない。
【実施例
【0156】
実施例1
エタノールを含有するナロキソン製剤の調製
液体スプレー製剤を第1の脱ガス用エタノール及びUSP精製水によって別々に作製した。次に、エタノール及び精製水を各々窒素でパージした。次いで、可溶性賦形剤をこれらの可溶性に基づいてエタノール中又は精製水中のいずれかに溶解させた。次に、溶液を合わせた。ナロキソンを最終溶液に添加し、溶解するまで混合した。
【0157】
香味剤の供給源として、イチゴ香味を使用した。
【0158】
【表1】
【0159】
実施例2
ナロキソン製剤の安定性試験
表1に列挙されている製剤を、8週間75%±5%の相対湿度下にて40℃及び55℃±2℃で安定性試験に供した。安定性データをゼロ週、1週、2週、3週、4週及び8週に55℃で並びにゼロ週、4週及び8週に40℃で収集した。紫外線検出器付の高速液体クロマトグラフィーを使用して、アッセイ物及び不純物を検出した。アッセイを288nmで行い、初濃度の%として表示した。全ての不純物について、分析を240nmで行い、%面積として表した。特定の不純物の量は、全不純物の量と一緒に各製剤の面積の百分率として、表2A~2F及び3A~3Hに列挙されている。「BQL」は「定量化可能な限界未満」を指し、「ND」は「検出されず」を指す。
【0160】
表2A~2F.75%±5%相対湿度下にて40℃±2℃で貯蔵された液体ナロキソンスプレー製剤についての安定性データ
【0161】
【表2】
【0162】
【表3】
【0163】
【表4】
【0164】
【表5】
【0165】
【表6】
【0166】
【表7】
【0167】
本発明の液体ナロキソン製剤は、40℃で8週後に1パーセント未満の全不純物を含有していた。これは、同じ時に7.6%の不純物を含有していた対照製剤と著しく対照的である。具体的に、チオ硫酸ナトリウム又はBHA及びBHTを含有していた製剤は、8週後に0%の検出不純物をもたらした。その上、アスコルビン酸ナトリウム(0.02%wt/wt)及びエデト酸二ナトリウム二水和物(0.005%wt/wt)を含有していた製剤は、3カ月後に0.29%のみの全不純物をもたらした。
【0168】
表3A~3H.55℃±2℃で貯蔵された液体ナロキソンスプレー製剤についての安定性データ
【0169】
【表8】
【0170】
【表9】
【0171】
【表10】
【0172】
【表11】
【0173】
【表12】
【0174】
【表13】
【0175】
【表14】
【0176】
【表15】
【0177】
40℃での安定性研究と同様、本発明の製剤の全ては、対照と比較して8週で大幅に少ない不純物を有していた。本発明の製剤の優位な安定性特性は、製剤が、患者によって使用される時に有効になるのを可能にする。
【0178】
実施例3
液滴試験
製剤#5Aのスプレープロファイルを決定するために、それを標準化液滴試験に供した。ナロキソン舌下及び/又は鼻腔内スプレー製剤を作製する課題は、それが、直径10ミクロン超であるスプレー液滴を生成できなければならないことである。10ミクロン以下のスプレー液滴は、肺に吸入され得る。舌下及び鼻腔内スプレー液滴のための最適な粒子サイズは、直径20~約200ミクロンである。製剤は20近くの液滴サイズを有することが望ましく、なぜならば、これは表面積を増加させ、増加された表面積曝露は、高い生物学的利用能に寄与する1つの因子であるからである。舌下及び鼻腔内製剤は、これの有効期間の全体にわたって一貫した液滴サイズを維持することができるべきである。
【0179】
当業者によって知られている標準的レーザー分析手順を使用して、液滴分析を行った。液滴サイズ分布(Dv10、Dv50、Dv90及びスパンを2つの距離、3cm及び6cmで試験した。)。Dv10は、全体積の10%が得られる液滴サイズを指し;Dv50は、全体積の50%が得られる液滴サイズを指し;Dv90は、全体積の90%が得られる液滴サイズを指し;スパンは、分布スパン(Dv90-Dv10)/Dv50を指し;%RSDは、パーセント相対標準偏差を指す。これらの試験の結果は、下記の表4~9において見ることができる。出願人は、本発明の製剤が舌下及び鼻腔内投与のための望ましい液滴サイズを生じさせたことを試験中に見出した。試験は、スプレーポンプで投与された場合に製剤用量が依然として一貫していることも明らかにした。
【0180】
【表16】
【0181】
【表17】
【0182】
【表18】
【0183】
【表19】
【0184】
【表20】
【0185】
【表21】
【0186】
表4~9において見ることができる通り、本発明の製剤#5Aは、優れたプルーム形状及びスプレーパターンをもたらした。
【0187】
実施例4
アルコールフリーであるナロキソン製剤の調製
ナロキソン液体製剤を調製するために、下記の「表10.製剤#1AFの構成成分」に表示されている通りの構成成分を秤量した。清澄な溶液が形成されるまで、構成成分を混合した。
【0188】
次に続く製剤中のナロキソンの供給源として、ナロキソンHCL二水和物ベースU.S.P.を使用した。保存料供給源として、メチルパラベン、U.S.P.(Spectrumから入手可能)を使用した。香味剤の供給源として、イチゴ香味、Nat&Art 915.0543 U(FONAから入手可能)を使用した。キレート化剤又は抗酸化剤の供給源として、エデト酸二ナトリウム二水和物、U.S.P.(Spectrumから入手可能)を使用した。溶媒の供給源として、精製された水、U.S.P.(RICCAから入手可能)を使用した。
【0189】
【表22】
【0190】
実施例5
追加のナロキソン液体製剤の調製
ナロキソン液体製剤を調製するために、下記の「表11.対照及び製剤#1AF~#6AFの構成成分」に表示されている通りの構成成分を秤量した。清澄な溶液が形成されるまで、構成成分を混合した。
【0191】
香味剤の供給源として、イチゴ香味料を使用した。
【0192】
【表23】
【0193】
実施例6
ナロキソン製剤の安定性試験
表11に列挙されている製剤を、8週間75%±5%の相対湿度下にて40℃及び55℃±2℃で安定性試験に供した。安定性データをゼロ週、1週、2週、3週、4週に55℃で及びゼロ週、4週に40℃で収集した。紫外線検出器付の高速液体クロマトグラフィーを使用して、アッセイ物及び不純物を検出した。アッセイを288nmで行い、初濃度の%として表示した。全ての不純物について、分析を240nmで行い、%面積として表した。特定の不純物の量は、全不純物の量と一緒に各製剤の面積の百分率として、表12A~12G及び13A~13Cに列挙されている。「BQL」は「定量化可能な限界未満」を指し、「ND」は「検出されず」を指す。「Ppm」は百万分の一を指す。
【0194】
表12A~12G.55℃で貯蔵された液体ナロキソンスプレー製剤についての安定性データ
【0195】
【表24】
【0196】
【表25】
【0197】
【表26】
【0198】
【表27】
【0199】
【表28】
【0200】
【表29】
【0201】
【表30】
【0202】
本発明の液体ナロキソン製剤は、55℃で4週後に0.8%未満の全不純物を含有していた。これは、55℃で1週後に0.96%の不純物を含有していた対照製剤と著しく対照的である。具体的に、アスコルビン酸ナトリウム又はエデト酸二ナトリウム二水和物を含有していた製剤は、4週後に、より低い不純物を呈した。追加として、エデト酸二ナトリウム二水和物を含有していた製剤は、非常に安定であった。
【0203】
表13A~13C.75%の相対湿度下にて40℃で貯蔵された液体ナロキソンスプレー製剤についての安定性データ
【0204】
【表31】
【0205】
【表32】
【0206】
【表33】
【0207】
本発明のナロキソン製剤は、40℃で4週後に0.45%未満の全不純物を含有していた。
【0208】
実施例7
凍結/解凍試験
製剤#1AF及び#6AFの安定性をさらに決定するために、製剤を標準的な凍結/解凍安定性試験に供した。結果は、下記の「表14.凍結/解凍試験に対する製剤#1AF及び#6AFの安定性」中にある。
【0209】
【表34】
【0210】
ナロキソン製剤#1AF~#6AFは、数サイクルの凍結及び解凍後に清澄及び無色であった。この研究は、製剤の安定性をさらに実証する。
【0211】
実施例8
液滴試験
製剤#1AFのスプレープロファイルを決定するために、それを標準化液滴試験に供した。前に説明されている通り、舌下及び鼻腔内スプレー液滴のための最適な粒子サイズは、直径20~約200ミクロンである。製剤は20近くの液滴サイズを有することが望ましく、なぜならば、これは表面積を増加させ、増加された表面積曝露は、高い生物学的利用能に寄与する1つの因子であるからである。舌下及び鼻腔内製剤は、これの有効期間の全体にわたって一貫した液滴サイズを維持することができるべきである。
【0212】
当業者によって知られている標準的なレーザー分析手順を使用して、液滴分析を行った。液滴サイズ分布(Dv10、Dv50、Dv90及びスパンを2つの距離、3cm及び6cmで試験した。)。Dv10は、全体積の10%が得られる液滴サイズを指し;Dv50は、全体積の50%が得られる液滴サイズを指し;Dv90は、全体積の90%が得られる液滴サイズを指し;スパンは、分布スパン(Dv90-Dv10)/Dv50を指し;%RSDは、パーセント相対標準偏差を指す。これらの試験の結果は、下記の表15~20において見ることができる。出願人は、本発明の製剤が舌下及び鼻腔内投与のための望ましい液滴サイズを生じさせたことを試験中に見出した。試験は、スプレーポンプで投与された場合に製剤用量が依然として一貫していることも明らかにした。
【0213】
【表35】
【0214】
【表36】
【0215】
【表37】
【0216】
【表38】
【0217】
【表39】
【0218】
【表40】
【0219】
表15~20において見ることができる通り、本発明の製剤#1AFは、優れたプルーム形状及びスプレーパターンをもたらした。
【0220】
実施例9
追加のナロキソン液体製剤の調製
ナロキソン液体製剤を調製するために、下記の「表21.製剤#8A、#9A、#7AF及び#8AFの構成成分」に表示されている通りの構成成分を秤量した。清澄な溶液が形成されるまで、構成成分を混合した。
【0221】
香味剤の供給源として、イチゴ香味料を使用した。
【0222】
【表41】
【0223】
実施例10
追加のナロキソン経鼻スプレー製剤の調製
ナロキソン液体製剤を調製するために、下記の表22、23及び24に表示されている通りの構成成分を秤量した。清澄な溶液が形成されるまで、構成成分を混合した。
【0224】
【表42】
【0225】
【表43】
【0226】
【表44】
【0227】
表22、23及び24の全ての製剤は、混合に際して安定であった。表22、23及び24の製剤は、従来技術のナロキソン経鼻スプレー製剤と異なっているが、なぜならば、表22、23及び24の製剤は、等張剤、具体的には塩化ナトリウム、緩衝液、具体的にはクエン酸、抗微生物剤、具体的にはベンジルアルコール又は塩化ベンザルコニウムを含有しないからである。さらに、表22、23及び24の製剤は、0.05%w/w以下の濃度でEDTAを含有する。
【0228】
【表45】
【0229】
ナロキソン製剤#8A及び#9Aは、数サイクルの凍結及び解凍後に清澄及び無色であった。この研究は、製剤の安定性をさらに実証する。
【0230】
実施例11
液滴試験
製剤#9Aのスプレープロファイルを決定するために、それを標準化液滴試験に供した。前に説明されている通り、舌下及び鼻腔内スプレー液滴のための最適な粒子サイズは、直径20~約200ミクロンである。製剤は20近くの液滴サイズを有することが望ましく、なぜならば、これは表面積を増加させ、増加された表面積曝露は、高い生物学的利用能に寄与する1つの因子であるからである。舌下及び鼻腔内製剤は、これの有効期間の全体にわたって一貫した液滴サイズ維持することができるべきである。
【0231】
当業者によって知られている標準的なレーザー分析手順を使用して、液滴分析を行った。液滴サイズ分布(Dv10、Dv50、Dv90及びスパンを2つの距離、3cm及び6cmで試験した。)。Dv10は、全体積の10%が得られる液滴サイズを指し;Dv50は、全体積の50%が得られる液滴サイズを指し;Dv90は、全体積の90%が得られる液滴サイズを指し;スパンは、分布スパン(Dv90-Dv10)/Dv50を指し;%RSDは、パーセント相対標準偏差を指す。これらの試験の結果は、下記の表26~41において見ることができる。出願人は、本発明の製剤が舌下及び鼻腔内投与のための望ましい液滴サイズを生じさせたことを試験中に見出した。試験は、スプレーポンプで投与された場合に製剤用量が依然として一貫していることも明らかにした。
【0232】
【表46】
【0233】
【表47】
【0234】
【表48】
【0235】
【表49】
【0236】
【表50】
【0237】
【表51】
【0238】
【表52】
【0239】
【表53】
【0240】
【表54】
【0241】
【表55】
【0242】
【表56】
【0243】
【表57】
【0244】
【表58】
【0245】
【表59】
【0246】
【表60】
【0247】
【表61】
【0248】
表26~41において見ることができる通り、本発明の製剤#9A、#10A及び11Aは、優れたプルーム形状及びスプレーパターンをもたらした。
【0249】
[実施例12]
薬物動態学的分析
本明細書の実施例9、表21に記載されているナロキソン製剤を使用した。製剤#7AF及び#8AFについて、4mg用量を投与した。製剤#8A及び#9Aについて、16mg用量を投与した。
【0250】
薬物動態学的及び生物学的利用能分析
プロトコールは単一用量クロスオーバー研究であった。各々およそ40キログラムの体重である5匹の健康な雄性ユカタンミニブタに、表21の製剤を舌下投与した。ミニブタを終夜及び投与後4時間の間絶食させた。投与の後に、1週の休薬期間が続いた。投与の前に、並びに用量後1分、3分、5分、7分、10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間及び24時間に、血液試料を採取した。液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法を介してナロキソン濃度について、血液試料を測定した。
【0251】
以下の薬物動態学的パラメータを算出した:血漿中ピーク濃度(Cmax)及びゼロ時間~最終定量化可能濃度の時間の濃度時間曲線下面積(AUC0~t)。
【0252】
結果及び結論
本発明の表21におけるナロキソン製剤についての薬物動態学的及び統計的分析の結果は、表42に示されている。
【0253】
表42.絶食条件下でユカタンミニブタに対するナロキソン製剤4mg及び16mgの単一用量の舌下投与後のナロキソンについての薬物動態学的パラメータの概要。
【0254】
【表62】
【0255】
ピーク平均ナロキソン濃度は、製剤#9A及び#8Aが#8AF及び#7AFよりも大幅に高かった。追加として、ゼロ時間~最終定量化可能濃度の時間の濃度時間曲線下面積は、製剤#9A及び#8Aが#8AF及び#7AFよりも大幅に高かった。この結果は、製剤#9A及び#8Aにおけるナロキソンの用量が#8AF及び#7AFよりも4倍増加していることに基づいているのかを決定するため、幾何平均を4mg用量に正規化した。図1を参照されたい。同様のパターンは、正規化後でさえそのままである。さらに、ピーク平均ナロキソン濃度は、製剤#9Aが#8Aよりも大幅に高かったが、これは、製剤#9A及び#8Aが各々16mg用量で投与されたので、投与量によって説明することができない。
【0256】
追加として、製剤#9Aは、投与の3分以内にこれのピーク平均ナロキソン濃度の約80%に達した。比較において、製剤#8Aは7分以内でこれのピーク平均ナロキソン濃度のたった35%に、#8AFは7分で38%に、及び#7AFは7分で19%に達していた。同様の比較において、製剤#9Aは投与の15分以内でこれのAUC(0~t)の19%に達し、#8Aは15分で7.9%に達し、#8AFは15分で8.8%に達し、#7AFは15分で5.6%に達した。
【0257】
共溶媒を用いる製剤におけるナロキソンの投与は、優位な生物学的利用能をもたらした。製剤#9A及び#8A~#8AF及び#7AFを比較されたい。さらに、カプリル酸及びBKCのような浸透増強剤の添加は、生物学的利用能のさらなる増加をもたらした。製剤#9A~#8A及び#7AF~#8AFを比較されたい。
【0258】
実施例13
追加のナロキソン製剤の安定性試験
上記の表21からの製剤#9A、#10A及び11Aを、25℃/60%のRH±5%、40℃/75%±5%の相対湿度及び55℃±2℃で安定性試験に供した。安定性データを所定の時点で収集した。紫外線検出器付の高速液体クロマトグラフィーを使用して、アッセイ物及び不純物を検出した。アッセイを288nmで行い、初濃度の%として表示した。全ての不純物について、分析を240nmで行い、%面積として表した。特定の不純物の量は、全不純物の量と一緒に各製剤の面積の百分率として、表43A~Iに列挙されている。
【0259】
【表63】
【0260】
【表64】
【0261】
【表65】
【0262】
【表66】
【0263】
【表67】
【0264】
【表68】
【0265】
【表69】
【0266】
【表70】
【0267】
【表71】
【0268】
データは、製剤#9A、#10A及び#11Aが、個々の不純物又は全不純物の大幅な増加を有さずに満足な安定性を実証することを示唆している。これらの結果に基づき、抗酸化剤として0.02%w/wのアスコルビン酸ナトリウム及びキレート化剤として0.001%のエデト酸二ナトリウム二水和物を含有する製剤は、化学的に安定である。追加として、キレート化剤として0.01%及び0.005%のエデト酸二ナトリウム二水和物を含有する製剤は、化学的に安定である。
【0269】
実施例14
ナロキソンスプレー製剤の鼻腔内及び舌下投与
方法
プロトコール設計は、I相非盲検無作為化単一用量の5方向クロスオーバー研究であった。研究は、絶食条件下でナロキソンの単一の0.4ミリグラム筋肉内用量に対する、鼻腔内又は舌下のいずれかでの本発明の製剤におけるナロキソンの単一の8ミリグラム及び16ミリグラムの用量の生物学的利用能を査定した。145人の対象を、8ミリグラムの舌下用量、16ミリグラムの舌下用量、8ミリグラムの鼻腔内用量、16ミリグラムの鼻腔内用量及び0.4ミリグラムのナロキソン用量を含めた5つの群の1つに無作為に割り当てた。用量前、用量後0.03時間、0.07時間、0.1時間、0.13時間、0.17時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間及び12時間に、血漿濃度を計った。
【0270】
結果
下記の表31において見られる通り、鼻腔内投与及び舌下投与の各々は、投与後最大1時間まで試験された全ての時点で筋肉内投与よりも大幅に高い血漿濃度をもたらした。ナロキソンのさらなる鼻腔内投与は、投与後最大1時間まで試験された全ての時点で舌下投与よりも大幅に高い血漿濃度をもたらした。
【0271】
しかしながら、用量後2時間及び4時間で、ナロキソン16ミリグラムを鼻腔内投与された対象におけるナロキソンの平均血漿濃度は、ナロキソン16ミリグラムを舌下投与された対象のそれよりも大幅に低かった。ナロキソンの8ミリグラム用量を投与された対象に、同じパターンが見出された。
【0272】
さらに、血漿中ピーク濃度(Cmax)及び用量後ゼロ時間~1時間の濃度時間曲線下面積(AUC)は、平均血漿濃度について上に記載されている通りの正確な同じパターンをたどった。
【0273】
【表72】
図1