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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】液状媒体を塗布するための装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/00 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
A45D29/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019510368
(86)(22)【出願日】2017-08-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2017070677
(87)【国際公開番号】W WO2018033538
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】102016215288.2
(32)【優先日】2016-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519051230
【氏名又は名称】ベーム,トマシュ-マクシミリアン
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベーム,トマシュ-マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】ポールマイヤー,レオン コルネリウス
(72)【発明者】
【氏名】クルチェック,ハンナ
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06508255(US,B1)
【文献】米国特許第03516423(US,A)
【文献】特開平05-015409(JP,A)
【文献】特表2014-524310(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0099875(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
A45D 40/26
A45D 29/00
B05C 7/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状または粉末状の媒体を表面に塗布するための装置であって、
(a)2つの支持要素(141、441、541、641、741、841、941)の間に位置し、その幅を柔軟に変更することができる、液状または粉末状媒体を塗布するのに役立つ塗布要素(49、59、69、79、89、99)と、
(b)前記塗布要素(49、59、69、79、89、99)の横方向に配置され、前記塗布要素(49、59、69、79、89、99)の柔軟な幅に適合するように構成され、媒体塗布を横方向に画定する、二つの画定要素(14、44、54、64、74、84、94)と
を備え、
前記塗布要素の奥行は、前記画定要素の幅よりも狭く、
それによって、前記二つの画定要素(14、44、54、64、74、84、94)は、表面の輪郭を検出し、かつ媒体塗布中に媒体塗布の幅を表面の輪郭に柔軟に適合させるように構成されている案内要素(56、66、76、96)を備え、
前記画定要素は、尖端部が前記表面の輪郭または構造に入り込み、それによって材料塗布を適切に案内するように、画定要素は先細になるように設計されるか、
または
前記案内要素はボールまたはローラであり、
前記塗布要素(49、59、69、79、89、99)は、少なくとも1つの剛毛束、少なくとも1つのローラ、少なくとも1つのスポンジまたは少なくとも1つの植毛手段を備え
前記塗布要素(49、59、69、79、89)は、一端で装置(10、40、50、60、70、80)に接続され、かつ剛毛束の個々の剛毛を均一に分散させるため、およびそれらを一平面内に広げるための展延補助器具(501)を有する、少なくとも1つの剛毛束から構成される、装置。
【請求項2】
液状または粉末状の化粧品または医療用製品をヒトまたは動物の体の表面に塗布するための装置であって、
(a)2つの支持要素(941)の間に位置し、その幅を柔軟に変更することができる、液状または粉末状媒体を塗布するのに役立つ塗布要素(99)と、
(b)前記塗布要素(99)の横方向に配置され、前記塗布要素(99)の柔軟な幅に適合するように構成され、媒体塗布を横方向に画定する、少なくとも1つの画定要素(94)と
を備え、
それによって、前記少なくとも1つの画定要素(94)は、表面の輪郭を検出し、かつ媒体塗布中に媒体塗布の幅を表面の輪郭に柔軟に適合させるように構成されている案内要素(96)を備え、
前記塗布要素は、前記ローラの軸に対して斜めに柔軟に動くことができ、かつ支持要素(941)の間に固定された柔軟に動くことができるローラ軸(901)上を好ましくは走る少なくとも1つのローラを備え、前記少なくとも1つの画定要素は、長方形、台形、三角形、楕円形または円形の外形を有する板状要素で構成され、それによって、円形プレートとして、回転軸を中心に回転可能であるように好ましくは取り付けられ
前記少なくとも1つの画定要素(94)は、前記塗布要素(99)の側部に直接取り付けられている装置。
【請求項3】
前記塗布要素(49、59、69、79、89)は、2本の棒状支持要素(141,441,541,641,741,841)の内側に横方向に各々取り付けられた2つの剛毛束で構成され、それによって前記2本の棒状支持要素は、対応する枢動軸(47、57、67)を中心に枢動するように連結され、それらの枢動運動に予張力をかけることができるように少なくとも1つのばね要素(48、58、68)によって好ましくは接続され、当該枢動運動の間、前記枢動運動を妨げる張力が蓄積される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
化粧品または医療用製品は、マニキュア液、除光液、ネイルケア製品、爪接着剤、接着剤ゲル、ネイルオイル、リップケア製品、歯科分野用コーティング、ボディパウダー、フェイスパウダー、パウダーコーティング、電気硬化性パウダーコーティング、UV光によって硬化するパウダーコーティング、化学プロセスによって硬化するパウダーコーティングを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、足の爪または指の爪、歯、皮膚または毛髪の表面に液状媒体を塗布するのに適していることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記案内要素(56、66、76、96)および/または前記画定要素(14、44、54、64、74、84、94)の少なくとも1つの表面は、非粘着性コーティング、疎水性もしくは疎油性もしくは超疎水性コーティング、ロータスコーティング、または非粘着性を有する微細構造もしくはナノ構造を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
(a)請求項1からのいずれか一項に記載の装置(10、40、50、60、70、80、90)と、
(b)中に前記装置を浸すことができる、塗布されるべき媒体を保持する容器(12、22、32)(媒体容器)とを備えるキット。
【請求項8】
前記媒体容器(12、22、32)は、前記案内要素(56、66、76、96)および/または前記画定要素(14、44、54、64、74、84、94)から液状媒体を掻き取るための掻き取り器具(25、35)を備えることを特徴とする、請求項に記載のキット。
【請求項9】
液状または粉末状媒体を表面に塗布する方法であって、
(a)請求項1からのいずれか一項に記載の装置の塗布要素を液状または粉末状媒体を保持する媒体容器に浸すステップであって、前記液状または粉末状媒体を拾い上げる、ステップと、
(b)過剰な液状または粉末状媒体を、掻き取り器具によって前記塗布要素および/または画定要素および/または案内要素から掻き取り、前記掻き取り器具は、媒体容器から離れる隙間として構成されるステップと、
(c)前記塗布要素を表面と接触させることによって、前記液状または粉末状媒体を前記表面に塗布するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状または粉末状媒体を塗布するための装置に関し、柔軟な幅を有する塗布要素を備え、この液状または粉末状媒体を正確かつ容易に塗布するために少なくとも1つの横方向画定要素を有する。本発明はまた、この装置と、液状媒体を保持し、液状または粉末状媒体を画定要素および/または塗布要素から掻き取るための掻き取り器具を有する容器とを備えるキットに関する。本発明はまた、本発明に係る装置を用いて液状または粉末状媒体を塗布する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最新技術では、特に化粧品の分野から、液状媒体を塗布するための多数の装置が開示されている。今日では、液状媒体はブラシまたはローラなどの塗布器具で塗布されているが、これは噴霧装置でも行うことができる。最新技術から知られている装置は、通常、塗布されるべき媒体を保持する容器と共に使用される。
【0003】
特に、指の爪や足の爪をきちんと塗装するのは難しい。爪は、輪郭が変化する曲面を有する。マニキュア液の最適な塗布は、隆起、気泡、気孔、介在物または流れのない滑らかな表面を生み出すべきである。さらに、コーティングは均一に厚くなければならず、全表面積を覆うべきである。しかしながら、最大の困難は、隣接する爪郭または甘皮にマニキュア液を塗布することなく、爪の全表面領域を塗装することである。
【0004】
これはマニキュア液の急速な硬化によってより困難になり、マニキュア液の急速な硬化は、ユーザがマニキュアを処理するための時間を非常にわずかしか残さない。最初の塗布が表面上で部分的に非常に速く硬化するため、その上に塗装するとしばしばマニキュア表面に不規則性をもたらす。
【0005】
したがって、上記の状況を考慮すると、従来のマニキュア液ブラシを用いてきちんとした輪郭の滑らかなマニキュア表面を作り出すことは非常に困難である。したがって、経験の浅いユーザは、爪を塗装するときにミスをしてしまう可能性があり、すなわち、隣接する爪床、あるいは指やつま先の皮膚にまで、あるいは爪の表面の一部だけを塗装することもあり、そうでなければ、汚い表面になってしまうことさえある。このことは、マニキュアされた爪に肯定的な意見を持っていても、女性の大部分(2016年にデュッセルドルフで行われた世論調査によると55%)がめったに爪を塗装しない、または決して塗装しない理由を説明する。
【0006】
この背景の前に、マニキュア液の改良された塗布のための最初の自動化装置が現在開発されている。きちんとした輪郭のマニキュア塗布を達成するために、画定する目的でテンプレートや粘着テープが使用される。この方法は扱いにくく、間違いを起こしやすく、多くの場合、後処理(例えば、テンプレートの清掃、またはテンプレートや粘着テープの下に「入り込む」マニキュアの除去など)を必要とする。
【0007】
代替として、マニキュア液をはじくシリコーン化合物または油で爪床をコーティングすることができる。これは追加の処理工程を含み、これらの化合物を爪床上にきちんと塗布しない場合、マニキュア液の汚い塗布にすぐにつながる。さらに、使用される製品は生体または環境に有害な物質を含有することが多い。
【0008】
独国特許出願公開第3708984号明細書は、特にマニキュア液用のブラシに関し、ホルダーは、2本の剛毛束(4、5)を備えた少なくとも2本のステム(2、3)を有す
る(図1参照)。この方法では、より広いマニキュア塗布が可能であり、数色のマニキュア液を1つの工程で互いに隣接して塗布することができる。しかしながら、このブラシは、マニキュア液が隣接する爪郭に容易に乗り上げるという欠点も有する。
【0009】
欧州特許出願第1836921号明細書は、ローラを備えたマニキュア液装置に関する。ローラは異なる表面を有することができる。これは制御された、すなわちより均一なマニキュア塗布を達成することを意図している。しかしながら、同様に制御された方法で、先にローラの掻き取りも行われることを前提としている。特に、ローラは、マニキュア塗布が側面に「にじみ」、したがって明確な境界が形成されないという欠点を有し、さらに、円筒形ローラは曲面上に均一な塗布を生じない。
【0010】
独国特許出願公開第199 60 511号明細書は、マニキュア液を指の爪に自動的に塗布する装置および方法に関する。ここでは、まずカメラが指の爪の画像を取得し、その画像が解析された後にそれを加工経路に変換することにより、アプリケータは加工経路をたどりながらマニキュア液を塗布する。この方法は複雑で高価であり、したがって個人的な使用には適していない。
【0011】
したがって、液状媒体用、特にマニキュア液の塗布用の改良された塗布装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、上述の欠点を減少させるか、さらには完全になくすという点で改良を構成する、粉末状または液状媒体を塗布するための装置を提供することである。
【0013】
本発明によれば、目的は請求項1に記載の装置によって達成される。本発明の特定の実施形態は、追加の従属請求項または独立請求項の主題である。
【0014】
第1の態様では、本発明は、粉末状または液状媒体を塗布するための装置を提案し、
(a)2つの支持要素の間に位置し、その幅を柔軟に変更することができる、液状または粉末状媒体を塗布するのに役立つ塗布要素と、
(b)塗布要素の横方向に配置されている少なくとも1つの画定要素と、
(c)塗布要素であって、塗布要素の柔軟な幅に適応し、媒体塗布を横方向に画定するように構成されている塗布要素と
を含む。
【0015】
本発明に係る装置は、最新技術から知られている容器に対して多数の利点を有する。
【0016】
まず第一に、本発明に係る装置は、幅を柔軟に変えることができる塗布要素を有する。ユーザまたは表面の輪郭のいずれかによって制御される方法では、これは媒体塗布の幅を変えることを可能にし、したがって表面の輪郭に適合させることを可能にする。したがって、装置は理想的にはへらのような爪の輪郭に適合し、装置は指の爪または足の爪の形状に適合するため、段やつかえがなく塗布することができる。
【0017】
この幅の適合はまた、1回の筆づかいで爪をきちんと塗装することを可能にし、これは一方では時間を節約し、他方では塗装ミスの危険性を最小にする。
【0018】
高速の媒体塗布はまた、急速に乾燥または硬化する媒体(例えば、揮発性の高い溶媒を含むマニキュア)でさえも塗布することができるという利点を有する。さらに短い処理時間を有する液状媒体は、今までは塗布の理由で使用することができなかったが、今初めて塗布用途でも利用可能である。
【0019】
塗布用具の幅は、塗布用具が均一に広がることで変化し、その結果、なお均質で最適な媒体塗布となり、細かい筆づかいの点で優れた特性を有するはみ出しのない塗布の要件も満たす。
【0020】
例えばブラシ、ローラ、スポンジまたはスプレー装置など、ほとんどあらゆる馴染みのある技術的構成を塗布器具として使用することができ、その結果この装置は広範囲の用途に使用することができる。
【0021】
塗布要素の横幅の柔軟性はまた、塗布器具を狭くすることによって装置を容器開口部に容易に挿入できるように、装置を従来の媒体容器と共に有利に使用することを可能にする。特に揮発性の高い溶媒を含むマニキュア液の場合は、狭い容器開口部が好ましい。
【0022】
さらに、装置は横方向に配置された画定要素を有する。単純な方法では、画定要素は液状または粉末状媒体が隣接する表面上にはみ出るのを防ぎ、したがって正確な横方向画定を有する媒体塗布をもたらす。
【0023】
そのため、この装置は、液状または粉末状媒体を正確な画定線で塗布しなければならないあらゆる技術的目的のために、幅広い用途で使用することができる。
【0024】
装置自体が画定を規定しているため、テンプレートまたは接着テープなどの外部の補助を省くことができ、いかなる後処理の必要性も排除される。その結果、媒体塗布を容易に素早く実行することができる。
【0025】
横方向画定要素はまた、対応してより大量の媒体を拾い上げることができる細長いブラシの使用を可能にする。このような長いブラシは、広がり過ぎて汚い媒体塗布を生み出していたため、これまでのところ最新技術では使用できなかった。したがって、塗布器具はまた、多くのマニキュア液を拾い上げることができるため、アプリケータをマニキュア液リザーバに頻繁に浸すことが回避される。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、装置の画定要素は表面構造および輪郭を検出する案内要素を含み、その結果、検出された構造または輪郭に基づいて画定を可変に制御することができる。特に足の爪または指の爪の場合、爪郭は明らかに検出可能な構造である。案内要素はこのひだに入ることができ、それに応じて媒体塗布の幅を調整することができる。したがって、経験の浅いユーザでも非常に正確に爪を塗装することができる。
【0027】
本発明に係る装置は比較的単純に構成されており、したがって製造するのに費用効果的であるだけでなく、使用するのにユーザフレンドリーでもある。
【0028】
要約すると、本発明に係る装置は使用が容易であり、液状または粉末状媒体のより迅速でより高品質の塗布を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明によれば、装置の塗布要素は2つの支持要素の間に配置されている。好ましい態様では、支持要素の互いに対する間隔が可変であるため、それらの間に位置する塗布要素の幅はそれに応じて変えることができる。これに対する代替案として、支持要素は一定の間隔を有することができ、それらの間に配置される塗布要素の幅はそれとは無関係に変えることができる。
【0030】
本出願に記載されているように、塗布要素の幅は、媒体塗布の方向に対して垂直である
塗布要素の側面を指し、したがって媒体塗布の幅を規定する。
【0031】
さらに、幅の変化は、処理されるべき表面に接触している塗布要素の少なくとも部分に関連し、それによって液状または粉末状媒体の表面への直接移動を確実にする。言い換えれば、本発明によれば、塗布要素の幅が全体的に可変である必要はない。したがって、剛毛束の場合には、剛毛束の前方領域の幅だけが変化することで十分である。
【0032】
一実施形態では、塗布要素は支持要素に直接取り付けられている。別の実施形態では、塗布要素は別の要素を介して(例えばローラの軸を介して)間接的に支持要素に接合することができる。
【0033】
これに関連して、特にマニキュア液のアプリケータの分野から知られている通常の棒状支持体を支持要素として使用することができる。ここで使用できる材料は木、金属またはプラスチックである。例えばエラストマー材料などの可撓性材料の使用が好ましい。有利には、この材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルブロックアミド、ポリビニル、エチレン、プロピレンおよびジエンのターポリマー(EPDM)ならびにスチレンブタジエン配列のポリマー(SEBS-SIS)を含む群から選択される。特に、エラストマー材料は、35~90ショアAの範囲内、好ましくは50~70ショアAの範囲内の硬度を有する。同様に好ましい実施形態では、エラストマー材料は、D80のショア硬度を有する。
【0034】
本発明に係る画定要素の横方向の位置決めは、塗布要素の幅への適合を可能にする。これは、画定要素が塗布要素の幅の変化に追従すること、すなわち両側に存在する画定要素間の間隔が、それらの間に位置する塗布要素の幅と同じ程度に変化することを意味する。最も単純な方法では、この要件は、少なくとも1つの画定要素が塗布要素に接続され、それによって塗布要素と画定要素との間の間隔が本質的に不変である場合に満たされる。
【0035】
好ましい実施形態では、画定要素は案内要素を含み、案内要素は、表面の輪郭および/または構造を検出し、表面は、媒体塗布中に媒体塗布の幅を表面の輪郭に柔軟に適合させるように構成されている。したがって、表面自体が媒体塗布の幅を決定することが可能であり、ユーザは積極的に幅を制御する必要がない。
【0036】
この目的のために、最も単純な実施形態では、尖端部が表面の輪郭または構造に入り込み、それによって材料の塗布を適切に案内するように、画定要素は先細になるように設計される。代替の実施形態では、案内要素はボールまたはローラである。先細になった案内要素の幅BFEは、一つにはそれが表面の輪郭または構造を依然として正確に検出することができるが、表面がここで損傷を受けるほど尖っていないように選択される。
【0037】
別の実施形態では、画定要素は媒体塗布の現在の幅用のマーキングを提供する。これは、端部に向かって先細になっていて顕著な先端部を有する画定要素によって行うことができ、その結果、ユーザは媒体塗布の幅の明確な指示を受け取る。
【0038】
代替として、マーキングは、処理されるべき表面上に表示することができる。この目的のために、(好ましくは小型化された)光源を使用することができ、光源は装置から出て表面上に光信号を投射し、それによってユーザに塗布の境界を示す。
【0039】
本発明の特に好ましい実施形態では、画定要素は塗布要素の側面に直接取り付けられている。この方法では、塗布器具によって放出された液状または粉末状媒体は、画定要素によって直接保持され、媒体塗布に利用可能であり続けることができる。
【0040】
好ましい実施形態では、液状媒体は化粧品または医療用製品の分野から選択される。ここで挙げることができる例には、ローション、ジェル、マスク、マスカラ、アイシャドー、義歯ケア用製品、歯科分野用コーティング、ヘアコンディショナー、ヘアカラー製品、リップケア製品、マニキュア液、除光液、ネイルケア製品、爪接着剤、接着剤ゲルおよびネイルオイル、ならびにキャビティコーティング、医療用コーティングおよび抗菌コーティングの中から選択される医療用製品が含まれる。
【0041】
特に好ましい実施形態では、液状媒体は、マニキュア液(nail polish)、マニキュア液(nail varnish)、爪硬化剤、グルーブフィラー、除光液、ネイルケア製品、爪接着剤、接着剤ゲル、ネイルオイル、リップケア製品、例えばリップスティックまたはリップグロス、歯科分野用のメーキャップまたはコーティングの中から選択される。
【0042】
代替の実施形態では、塗布される媒体は、ボディパウダー、フェイスパウダー、パウダーコーティング、特に電気硬化性のマニキュア、ならびにUV光、熱または化学プロセスによって硬化するマニキュアを含む群から選択される粉末状媒体である。
【0043】
本発明の代替の実施形態では、装置は、例えば、家具、織物、皮革製品、紙、建設資材、建築要素、金属、プラスチック、機械、自動車の分野におけるコーティングなど、非生物学的用途のために液状または粉末状媒体を塗布するのに使用できるように構成されている。
【0044】
別の実施形態では、液状または粉末状媒体を塗布するための本発明に係る装置は、建物の壁、天井または床の表面、車体の表面、家具および食品の表面のうちの1つにおける使用に適している。
【0045】
好ましい実施形態では、この表面はヒトまたは動物の体の表面である。
【0046】
特に好ましい実施形態では、この表面は足の爪もしくは指の爪、歯、皮膚または毛髪の表面である。
【0047】
爪以外に、歯は、本発明に係る装置のための特に関連する適用分野である。案内要素は歯間スペースに入ることができ、それによって歯への医療用または化粧用媒体のきちんとした、かつ的確な塗布を可能にする。
【0048】
塗布要素は多くの異なる方法で設計することができ、当業者は最新技術から知られている全ての塗布様式を利用することができる。したがって、例えば、塗布要素は、繊維束、剛毛束、ブラシ、ローラ、植毛アプリケータ、綿棒、スポンジ、不織布、ループ、スパチュラまたはスプレーヘッドのように構成することができる。
【0049】
植毛アプリケータの場合、植毛繊維は、接着剤を使用して基材上に塗布される。
【0050】
ここで、塗布要素は、1つまたは複数の上述の塗布様式を含むことができる。2つの支持要素があるため、塗布要素はちょうど2つのそのような塗布様式、すなわち2つの剛毛束または2つのブラシを含むことが好ましい。
【0051】
有利には、本発明の第1の変形実施形態によれば、塗布要素は、本質的に平行に配置された剛毛の束の従来の方法で構成されている。特に、剛毛束は、8mmから40mm、好ましくは11mmから20mmの範囲の長さ(LAE)を有する。この場合、アプリケータはブラシである。
【0052】
画定要素の幅BBEに対して、塗布要素は画定要素の後縁部、中央部または前縁部に取り付けることができる。
【0053】
塗布要素は、画定要素の中央部に取り付けられるのが好ましい。ここで、塗布要素の奥行(図10:TAE参照)は、それに接続されている画定要素の幅よりも狭いことが好ましい(図10:BBE参照)。このようにして、画定要素は、マニキュアの塗布を容易に横方向に画定することができる。
【0054】
一実施形態では、剛毛束は、好ましくは最大1.5mmの距離ΔAE-BEが剛毛束の前縁部と案内要素の内縁部との間に存在するように、画定要素または支持要素に取り付けられる。このようにして、塗布要素は、それが案内要素に接触する前でさえも、この量だけ横方向に扇形に開くことができる。
【0055】
この変形例によれば、装置は、好ましくは約20から200本の剛毛、好ましくは約50から150本の剛毛の束を有し、その直径は、例えば4から25/100ミリメートル、好ましくは6から17/100ミリメートルの範囲であり、一般にポリアミド、例えばナイロン(登録商標)6,6-6,6-10,6-12またはナイロン(登録商標)11、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアセタールまたは酢酸セルロースから作られている。代替として、剛毛は天然起源のものであり得る。
【0056】
少なくともいくつかの剛毛は、それらの長さにわたってわずかに波状であり得る。剛毛は、円形、環状、多角形、十字形、長方形、多球形、U字形、C字形またはV字形の形態を含む、および/またはそれらは少なくとも1つの毛細管溝を有する群から選択された形状の断面を有することができる。アプリケータを形成する剛毛の自由端部は、特に例えば焼結による熱処理によって形成されたピンの頭部の形状に構成することができる。剛毛の自由端部は先細に構成することもでき、これは例えば研磨またはカーディングによって達成される。
【0057】
基本的には、剛毛束は、リングの形で、例えば円柱形の可撓性スリーブ内に、また楕円形、正方形、長方形または他の形状として、一緒に保持することができる。ここでは、幅適応のために、長さ方向の辺が変化した矩形または偏心が変化した楕円に変化する細長い矩形または楕円体が好ましい。
【0058】
さらに、剛毛束はまた、弧状またはC字状の断面を有することができ、それによって、凹状底部が凸状爪表面と接触することが意図される。別の実施形態では、剛毛断面は、制御された方法で表面と接触するようにその形状を変えることができる。したがって、凸状構成を有する剛毛束(対)は、それを同様に凸状の爪表面に押し付けることによって、凹状のブラシ断面に「裏返す」ことができる。
【0059】
剛毛の端部によって規定される表面は、完全にまたは少なくとも部分的に、例えば、直線状または斜めの円錐状、円錐台状、角錐状、角錐台状、または球台、またはその他の形状に構成することができ、アートペインティングで知られる細い毛の塗装ブラシで知られているようにかなり先細になるように構成することも、先細の球台の形状を持つこともできる。これらの形状の組み合わせも可能である。したがって、剛毛の端部によって規定される表面は、例えば円錐台形でもよく、上部分に丸みが付いていてもよい。
【0060】
好ましい実施形態では、剛毛の端部によって規定される表面は、凸状の湾曲を有することができる。
【0061】
一実施形態では、ブラシの端部が凸状構成を有する場合、案内要素は前方で同じ高さにあるか、そうでなければ最大2mm凹んでいる(図10の距離ΔAE-FE:convexを参照)。
【0062】
代替の実施形態では、ブラシの端部が凹状構成を有する場合、案内要素は前方で同じ高さにあるか、そうでなければ最大2mm突出する(図10の距離ΔAE-FE:concaveを参照)。
【0063】
剛毛を形成する材料は、その表面状態および/またはその滑り特性および/または水および/または溶媒との濡れ性を改質する物質を含有することができるか、あるいは帯電防止剤を含有することができる。
【0064】
有利には、繊維の滑り特性を改善し、かつ水および溶媒との濡れ性を低下させる物質は、0.2重量%~15重量%、好ましくは0.3重量%~5重量%の割合で剛毛の材料に組み込まれる。
【0065】
この滑剤は、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素、重硫酸モリブデン、グラファイト、シリコーン、フラー土およびタルクを含む群から選択される。
【0066】
有利には、塗布要素は、例えば接着によって支持要素に取り付けられるが、これはまた、例えばクランプリング、またはいわゆる固定方法など、塗装ブラシの製造に通常使用される任意の他の既知の手段によっても行うことができる。
【0067】
別の好ましい実施形態では、塗布要素は、一端で装置に接続され、かつ剛毛束の個々の剛毛を均一に分散させるため、およびそれらを一平面内に広げるための展延補助器具を有する、少なくとも1つの剛毛束から構成される。この目的のために、展延補助器具は剛毛に接合されるか、または剛毛束の周囲で両側にクランプされる。好ましい方法では、展延補助器具は剛毛束に糊付けされる。
【0068】
有利には、この展延補助器具は、例えばエラストマーなどの弾性材料から作られ、引っ張りまたは圧縮歪み下で弾性的に変形することができるが、その後その元の変形していない形状に戻る。
【0069】
好ましい実施形態では、エラストマーは、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、イソプレン/イソブチレンコポリマーおよびスチレンブタジエンゴム、ポリ(オルガノ)シロキサン(シリコーン)、ならびにそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0070】
特に好ましい実施形態では、展延補助器具はシリコーン化合物から作られる。
【0071】
別の特に好ましい実施形態では、塗布要素は少なくとも1つのローラを備え、ローラは、ローラの軸に対して斜めに柔軟に動くことができる。結果として、ローラはまた、凹状または凸状の塗布面、または複雑な形状を有する塗布面さえも生成することができる。ローラは、マニキュア液の塗布の範囲内で、爪表面を最適に塗装するように適切に凹状に変形する。
【0072】
したがって、そのようなローラは、幅方向だけでなくそれに対して垂直にも柔軟に変化することができるため、複雑な構造を有する表面に液状または粉末状媒体を塗布するのに特に適している。
【0073】
ローラの場合、この幅の変動性を達成するために様々な技術的解決策を使用することが
できる。例えば、ローラは全体的に弾性材料で作ることができるか、またはハーモニカ様構造を有することができる。好ましい実施形態では、ローラは螺旋形状のローラであり、それによって螺旋はばね要素の形態で機能してローラに柔軟な幅を与え、さらに螺旋は液状または粉末状媒体の均質な塗布の上に有害な影響を与えない表面構造を有する。
【0074】
別の実施形態では、塗布要素として使用されるローラは転動補助具を有し、転動補助具は、好ましくは多角形の形態、特に好ましくはローラを表面上で転がしやすくする星形の形態である。
【0075】
好ましい方法では、この転動補助具は画定要素と同一であるため、本発明に係るローラは、例えば隆起部を有する(例えば「星型」の形態の)2つの隣接する円形の画定要素によって画定され、したがって転動プロセスを容易にする。
【0076】
代替の実施形態では、転動補助具は、画定要素から離れている。したがって、ローラが塗布要素として使用されるとき、尖端部を有するローラは、転動補助具としてローラの中央部に固定することができる。尖端部を有するローラが十分に薄い場合には、そのような中心配置であっても、マニキュアの均一な塗布は損なわれない。
【0077】
特に好ましい実施形態では、この転動補助具の先端部は、媒体の塗布のために意図された表面を容易に貫通する。
【0078】
特に好ましい実施形態では、塗布要素は、2本の棒状支持要素の内側に横方向に各々取り付けられた2つの剛毛束で構成され、それによって2本の棒状支持要素は、枢動軸を中心に枢動するように連結され、それらの枢動運動に予張力をかけることができるように少なくとも1つのばね要素によって好ましくは接続される。
【0079】
本発明に係る装置の別の実施形態では、少なくとも1つの画定要素はプレートおよびディスクから構成されるか、または支持要素の遠位端部を構成する。この場合、支持要素は、遠位領域内の画定要素に移行し、それによって、画定要素は、媒体塗布中に、中間に固定された塗布要素がこの液状または粉末状媒体を隣接領域に広げる危険性がある領域であると見なされる。
【0080】
特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの画定要素は、それ自体の軸の周りを回転することができる好ましくは円形の平らな要素として固定されている。
【0081】
2つの支持要素、ひいては互いに対する画定要素の必要な枢動可能性は、少なくとも1つの枢動軸および/または可撓性材料によって保証される。ここで、好ましい態様において、この枢動中に、枢動を妨げる張力が支持要素または画定要素に蓄積される。
【0082】
好ましい実施形態では、金属、プラスチック、木材またはガラス繊維強化プラスチックが可撓性材料として使用される。
【0083】
本発明に係る装置の好ましい実施形態では、案内要素および/または画定要素の表面の少なくとも1つは、使用されている液状または粉末状媒体に忌避効果を及ぼすコーティングを有する。疎水性媒体の場合、これは適切には疎油性、疎水性または超疎水性コーティングである。極性媒体の場合、ロータス効果を引き起こすコーティングを使用することが有利であり、言い換えると、それは水をはじくミクロ構造またはナノ構造を形成する。
【0084】
第2の態様では、本発明は、
a.本発明に係る装置と、
b.中に装置を浸すことができる、塗布されるべき液状または粉末状媒体を保持する容器(媒体容器)と
を備えるキットを提案する。
【0085】
媒体容器は任意の所望の形状を有することができ、直立容器が好ましい。
【0086】
代替として、容器は、ペンとして構成されている装置用のキャップとしても機能することができる。一実施形態では、キャップは同時に液状または粉末状媒体用のリザーバとして機能することができる。
【0087】
代替の実施形態では、キャップは保護または閉鎖の選択肢としてのみ意図されている。この場合、液状または粉末状媒体は、別の容器から取り出すことができ、そうでなければ上から塗布要素に供給されるようにペンに一体化される。
【0088】
別の実施形態では、媒体容器は、2mlから20ml、好ましくは5mlから16ml、特に好ましくは8mlから13mlの容量を保持する。
【0089】
好ましい実施形態では、媒体容器は、液状または粉末状媒体を案内要素および/または画定要素および/または支持要素から掻き取るための掻き取り器具を備える。
【0090】
別の好ましい実施形態では、掻き取り器具は、以下の材料または手段、すなわちシリコーン、発泡体、静電作用を有する手段のうちの1つ、あるいはそれらの組み合わせで作られる。
【0091】
特に好ましい実施形態では、画定要素または案内要素のための掻き取り器具は、媒体容器から離れる隙間として構成され、好ましくは波形を有するように構成されている。このようにして、塗布要素は、液状または粉末状媒体に選択的に浸され、そこで媒体を拾い上げ、一方で画定要素または案内要素は、そこから別々に隙間を通過し、その結果、この過程でまだ存在している可能性がある全ての液状または粉末状媒体は塗布要素の両側から除去される。
【0092】
別の実施形態では、媒体容器はまた、過剰な液状または粉末状媒体を掻き取るために塗布要素用の掻き取り器具を有する。これは、ローラが液状または粉末状媒体に浸された後、過剰な媒体が除去されている間にローラ表面上に媒体を均一に分配することが特に必要とされるため、特にローラ形状の塗布要素に関して重要である。ここで、塗布要素用の掻き取り器具は、上述の掻き取り器具と同様にその形状および材料に関して構成することができる。ローラの場合は掻き取りグリッドが好ましい。
【0093】
別の実施形態では、媒体容器は液状または粉末状媒体を保持するための台形槽を有する。装置がこの槽に浸されると、塗布要素は制御された方法で液体を拾い上げることができる。台形設計は、ここで選択された幅が処理されるべき表面の幅と一致するように、槽を通って塗布要素の制御された幅まで装置を引っ張ることを可能にする。したがって、親指の爪が塗装されているとき、媒体の量は最適な量のマニキュア液を拾うことができるように事前に規定されている。
【0094】
別の態様では、本発明は、
(a)2つの支持要素の外側に位置し、幅を柔軟に変更することができる、液状媒体を塗布するのに役立つ塗布要素と、
(b)塗布要素の横方向に配置されている少なくとも1つの画定要素と、
(c)塗布要素であって、塗布要素の柔軟な幅に適応し、内側に向かって媒体塗布を横
方向に画定するように構成されている塗布要素と
を備える、液状または粉末状媒体を塗布するための装置を提案する。
【0095】
この実施形態では、マニキュア塗布に関する本発明に係る教示は逆になる。塗布要素は、今度は外側に位置し、すなわち、2つの支持要素に対して外側に向かって左右に位置する。幅を柔軟に適合させることができるため、2つの別々の塗布軌跡を作成できる。ここで、媒体塗布は次に内側で横方向に画定される。
【0096】
別の態様では、本発明は、
(a)本発明に係る装置の塗布器具を液状または粉末状媒体に浸すステップであって、液状または粉末状媒体を拾い上げる、ステップと、
(b)過剰な液状または粉末状媒体を塗布要素および/または画定要素および/または案内要素から掻き取るステップと、
(c)塗布要素を表面と接触させることによって、液状または粉末状媒体を表面に塗布するステップと
を含む、液状媒体を塗布する方法に関する。
【0097】
本発明のこれらおよび他の態様は、図面および実施形態の例において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1】カバーで閉じることができる本発明に係る媒体容器と共に、本発明に係る装置の実施形態を示す図である。
図2】側方断面図(A)と、同様に断面図であり媒体容器の横方向案内領域の拡大図を伴う上面図(B)と、同様に断面図であり容器内側の(破線で示す)吸引要素の異なる構成を有する(C)とを示す。
図3】この実施形態ではボトルとして構成されている、媒体容器を通る側面断面図である。
図4】容器として構成されたペンキャップと共にペンとして構成された、本発明に係る装置の一実施形態の断面線AAに沿った側面図(右側)または断面図(左側)である。
図5】剛毛束で構成される塗布要素を有する本発明に係る装置の好ましい実施形態の側面図、右側、および処理されるべき表面を有する側面図である。
図6】横方向の画定要素に固定された2つの剛毛束、すなわち処理されるべき表面と共に構成される支持要素を有する、本発明に係る装置の別の好ましい実施形態の右下の側面図および左下の斜視図である。
図7】各々関節を有する2つの画定要素を備えた、本発明に係る装置の別の実施形態の側面図である。
図8】棒状支持要素が枢動を可能にする可撓性材料から作られている、本発明に係る装置の別の実施形態の側面図である。
図9】塗布要素としてローラを有する本発明に係る装置の別の実施形態を示す側面図であり、さらに、処理されるべき表面を伴うこの実施形態の側面図である。
図10図6による装置の関連距離および寸法を示す図である。
【0099】
[実施例]
図1の実施形態は、液状媒体を塗布するための装置10と、媒体容器を閉じるためのカバー11を有する媒体容器12とを備える本発明に係るキットを示す。装置10は、収納するために開口部13を通して収納室に挿入される。製品を塗布するために、媒体容器12のカバー11を取り外し、装置10を上から媒体容器12に挿入し、そこで中央台形室内に存在する液状媒体に浸す。これに関連して、画定要素14または案内要素は、V字形の横方向案内に沿って移動し、過剰な液状媒体を画定要素14の両側から掻き取る。
【0100】
図2は、装置を収納するための開口部23を有する媒体容器22を示す。Bの断面が示すように、円形の収納室23は吸収性材料(射影線で示す)によって囲まれており、これは過剰な材料が除去されること、および/または溶媒につけたときに液状媒体の乾燥を防ぐことを保証する。装置は、塗布要素がV字形の横方向案内26の間で液状媒体に浸るように挿入され、そこで媒体を拾い上げることができる。案内要素または画定要素は、液状媒体と接触しないように隙間201内に挿入される。残った液状媒体は、掻き取り器具25として機能する隙間201を通って引っ張られながら掻き取られる。拡大図は、媒体容器22内の掻き取り器具(この実施形態では発泡体)の位置を示す。(C)に示す実施形態では、下部収納領域と上部塗布領域は接合発泡体要素を形成し、その結果、(A)の装置とは対照的に分離は生じない。
【0101】
図3に媒体容器32の別の実施形態を示す。この場合、掻き取り器具35はボトルの首部の上部に組み込まれている。
【0102】
図4は、一実施形態において、ペン型装置の媒体容器としても同時に機能することができる閉鎖キャップ401を有するペンの形態の装置40の特別な実施形態を示す。媒体容器の実施形態では、閉鎖キャップは開口側に掻き取り器具45を有する。ここでは、支持要素441は、枢動軸47を中心にして互いに対して枢動することができ、ばね要素の形態の可撓性ストリップ48を介して接合されている。2つの塗布要素49は、画定要素44の内側に各々固定されている。
【0103】
図4の補足として、図5は、装置50のこの実施形態において、塗布要素59の個々の剛毛を均一に分散させ、それらを平面内に広げる展延補助器具510を提供する。さらに、装置50は、概略的に示された指の爪の表面502上に媒体が塗布されるところが描かれている。
【0104】
図6の装置60は、図5とは対照的に、1つではなく2つの塗布要素69を有し、これらは2つの画定要素64の横方向に固定され、概略的に示された指の爪表面602上に媒体が塗布される際に扇形に広がり、それによって塗布面を形成する。
【0105】
図7は、装置70の別の実施形態を示し、塗布要素79はステム701から延在する剛毛束として固定され、その媒体塗布中に、枢動軸77を各々有する2つの画定要素74によって画定される。
【0106】
図8には装置80の別の実施形態が示されており、ここでは、2つの剛毛束が、塗布要素89としてスリーブに保持され、スリーブは、支持要素841の内側に固定されている。平行に走るこれらの支持要素は、可撓性材料から作られ、それらは最終位置で画定要素84に向かって開いている。
【0107】
図9は、媒体塗布中に初期位置にあり、かつ概略的に示された指の爪の表面902上にあるローラ形状の塗布要素99を有する装置90の実施形態を示す。ここで、ローラ99は、幅を変えることを可能にする螺旋形の刻み目で構成されている。さらに、このローラは、2つの支持要素941の間を渡る可撓性の回転軸901に取り付けられている。画定要素は、案内要素として外縁部96を有する円形端板94としてローラの両端部に構成され、その結果としてそれらは溝、折り目または縁部などの表面構造または輪郭に沿って追従することができる。
【0108】
図10は、図6に示す装置に基づいて、本発明に関連する寸法または距離を示す。図示の装置は、長さLAEを有する塗布要素として2つの剛毛束を有する。剛毛束は、剛毛束
の縁部と案内要素の内縁部との間に距離ΔAE-BEが形成されるように固定される。案内要素は幅BFEを有する先端部に向かって開く。凹状または凸状に終わる一対の剛毛束の場合、案内要素は、それに対して距離ΔFE-AE:convexまたはΔFE-AE:concaveで前方に配置される。(B)において、斜視図で示されている装置は、奥行TAEを有する塗布要素として、内側に固定された剛毛束の奥行よりも幅BBEが広い画定要素を有する。
【0109】
定義
本発明の文脈において、「外側」への媒体塗布の画定は、塗布要素に面する画定要素側から塗布要素の反対側に面する画定要素側への媒体の広がりが防止されることを意味する。
【0110】
当業者は、前述の開示から、図面から、そして特許請求の範囲から、本発明のさらなる変形およびそれらの実行を見つけることができる。
【0111】
特許請求の範囲において、「包含する」、「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、追加の要素またはステップを排除するものではない。不定冠詞の使用は複数形を排除するものではない。個々の装置は各々、特許請求の範囲に引用されているいくつかのユニットまたは装置の機能を実行することができる。特許請求の範囲に示されている参照番号は、使用される手段およびステップの限定として解釈されるべきではない。

参照番号のリスト
装置:10,40,50,60,70,80,90
容器カバー:11
媒体容器:12,22,32
装置を収納するための開口部13,23
容器開口部:33
画定要素:14,44,54,64,74,84,94
案内要素:56,66,76,96
掻き取り器具:25,35
横方向案内:26
枢動軸:47,57,67,77
ばね要素:48,58,68
塗布要素:49,59,69,79,89,99
案内要素を受け取る隙間:201
ペンキャップ:401
展延補助器具:501
表面:502,602,902
ステム:701
弾性案内:901
支持要素:141,441,541,641,741,841,941

寸法の参照
AE:塗布要素の長さ
FE:先端部の案内要素の幅
AE:塗布要素の奥行
BE:画定要素の幅
ΔAE-BE:塗布要素と画定要素との間の距離
ΔFE-AE:concave:凹状構成を有する案内要素と塗布要素との間の前方の距離
ΔFE-AE:konvex:凸状構成を有する案内要素と塗布要素との間の前方の距離
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10