(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】光源を特徴付ける工程および装置
(51)【国際特許分類】
G01J 3/26 20060101AFI20220801BHJP
G01J 3/45 20060101ALI20220801BHJP
G01M 11/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
G01J3/26
G01J3/45
G01M11/00 T
(21)【出願番号】P 2019523171
(86)(22)【出願日】2017-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2017067017
(87)【国際公開番号】W WO2018011063
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-05-22
(32)【優先日】2016-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519011876
【氏名又は名称】ブルー インダストリー アンド サイエンス
【氏名又は名称原語表記】BLUE INDUSTRY AND SCIENCE
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ デ オルノワ,ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】シマンスキー,バンジャマン
(72)【発明者】
【氏名】ハーディ=バランスキー,ベルトラン
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-168421(JP,A)
【文献】特表2015-518134(JP,A)
【文献】米国特許第04864578(US,A)
【文献】特開昭64-022087(JP,A)
【文献】特開2004-348136(JP,A)
【文献】特開2003-315160(JP,A)
【文献】特開2006-279030(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0201426(US,A1)
【文献】HONDA C , et al.,Transient local magnetic field measurement in a bumpy torus by rapid-frequency-scan laser spectroscopy,Review of Scientific Instruments,1987年09月,Vol.58, No.9,pp.1593-1596,https://doi.org/10.1063/1.1139406
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01M 11/00
H01S 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(1)を特徴付ける方法であって、前記光源は、自由スペクトル範囲を有する固定キャビティ(2)を備え、
前記光源(1)の異なる状態を調査しながら、前記光源によって第1の放射(3)を生成するステップであって、前記光源(1)の前記異なる状態は、前記光源(1)によって放射された前記第1の放射(3)の波長に影響を及ぼす、前記光源(1)の物理パラメータの相違によって区別される、ステップと、
少なくとも1つのセンサ(4)によって、前記第1の放射の少なくとも一部を受けるステップであって、前記少なくとも1つのセンサは、フォトダイオード(6)を伴ったファブリペローエタロン(5)を備える、ステップと、
前記光源の前記調査状態で前記少なくとも1つのセンサが受けた、前記第1の放射の少なくとも1つの部分の関数として、前記少なくとも1つのセンサを用いて、かつ前記光源の前記調査状態の各々に対して、信号を測定するステップと、
前記第1の放射の波長を表す第1のデータ項目の単位で表される前記固定キャビティの前記自由スペクトル範囲
による除法の剰余である定数(b)を決定または記録するステップと、
前記光源の前記調査状態の各々に対して、前記第1の放射の前記波長を表す、前記第1のデータ項目を計算するために、前記少なくとも1つのセンサにより測定された前記信号を用いるステップであって、前記計算するステップは、前記光源の前記調査状態の各々に対して、前記第1のデータ項目の値の選択と、前記第1のデータ項目の単位で表される、前記固定キャビティの前記自由スペクトル範囲
による除法の剰余である前記定数(b)と一致しない、前記第1のデータ項目の値を排除することを含む、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサが、フォトダイオードアレイを含まないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサの前記ファブリペローエタロンが、可動部品を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の放射の前記波長を示す、前記第1のデータ項目が、
前記第1の放射の前記波長、または
前記第1の放射の周波数、または
前記第1の放射の波数
であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記選択が、前記第1の放射の既知のスペクトル領域範囲(15)外にある、前記第1のデータ項目の値をさらに排除することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記各ファブリペローエタロンが、前記第1の放射の前記波長の関数として、前記第1の放射の強度の透過曲線(12、13、14)を有し、前記第1の放射の前記既知のスペクトル領域範囲以上の期間を有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の放射の少なくとも一部を受けるステップが、いくつかのセンサ(4)で受けることを含み、前記センサの各々が、フォトダイオード(6)を伴ったファブリペローエタロン(5)を備え、前記各ファブリペローエタロンが、前記第1の放射の前記波長の関数として、前記第1の放射の透過強度曲線を有し、前記異なるファブリペローエタロン(5)の前記透過強度曲線が、前記第1の放射の前記波長の関数として、前記第1の放射の全体的な透過強度曲線(16)を共に形成し、前記第1の放射の前記既知のスペクトル領域範囲以上の期間を有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサが、いくつかのセンサを含み、前記いくつかのセンサの前記異なるファブリペローエタロンが、少なくとも一対の2つのファブリペローエタロンを含み、前記2つのファブリペローエタロンは、
前記第1の放射の前記波長の関数として、前記第1の放射の第1の透過強度曲線を有する、第1のファブリペローエタロンと、
前記第1の放射の前記波長の関数として、前記第1の放射の第2の透過強度曲線を有する、第2のファブリペローエタロンとを含み、
その結果、
前記第1の放射(3)の同一の波長が、前記第1の透過強度曲線(13)の最大勾配(130)、および絶対値で前記最大勾配(130)の10%以下の、前記第2の透過強度曲線(12)の勾配(120)の両方と一致し、かつ/または、
前記第1の放射(3)の同一の波長が、前記第2の透過強度曲線(12)の最大勾配(121)、および絶対値で前記最大勾配(121)の10%以下の、前記第1の透過強度曲線(13)の勾配(131)の両方と一致することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記光源の異なる調査状態に従って、前記光源によって前記第1の放射(3)を生成する場合は、前記定数(b)を決定する工程が、
前記光源の前記異なる状態の各々に対する、前記第1のデータ項目の予備計算の実施と、
前記光源の前記異なる状態のすべてに対する、前記第1のデータ項目の前記第1の予備計算を用いて、前記定数(b)を決定することと、
を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のデータ項目の値の選択が、前記自由スペクトル範囲
による除法の剰余である前記定数(b)と一致しない前記第1のデータ項目の値を排除した後の、最終値の選択を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記最終値の選択が最小二乗法による、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記光源が、光パラメトリック発振器、またはレーザであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記光源が、少なくとも二重共振光源であって、1つの放射生成結晶(9)を共有する2つのキャビティを有し、前記キャビティが、
前記第1の放射(3)を生成する、可動キャビティ(7)と、
第2の放射(8)を生成する、固定キャビティ(2)と
を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記光源の異なる状態の各々に対して、前記第1の放射の前記波長を表す前記第1のデータ項目の前記計算の関数として、前記第2の放射の前記波長を表す、第2のデータ項目を計算するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
光源(1)を特徴付ける装置(10)であって、
計算ユニット(11)であって、光源(1)がどのような状態になるかを制御するために、かつ/あるいは前記光源(1)の状態の、または前記光源(1)の異なる状態の情報項目を受けるために、配置および/またはプログラムされる、計算ユニット(11)と、
少なくとも1つのセンサ(4)であって、前記光源の異なる状態に従って前記光源によって生成された、第1の放射(3)の少なくとも一部を受けるために配置され、前記少なくとも1つのセンサは、フォトダイオード(6)を伴ったファブリペローエタロン(5)を備え、前記少なくとも1つのセンサは、前記少なくとも1つのセンサが受けた、前記第1の放射の前記少なくとも1つの部分の関数として、前記光源の各状態に対する信号を測定するために配置される、少なくとも1つのセンサ(4)と、
前記第1の放射の波長を表す第1のデータ項目の単位で表される前記固定キャビティの前記自由スペクトル範囲
による除法の剰余である定数(b)を決定または記録する手段と
を備え、
前記計算ユニット(11)は、前記少なくとも1つのセンサによって測定され、かつ前記光源の前記各状態に対する前記信号から、前記第1の放射の前記波長を表す、前記第1のデータ項目を計算するために配置および/またはプログラムされ、前記計算ユニットは、前記光源の前記各状態に対して、前記第1のデータ項目の値の選択を実施するために配置および/またはプログラムされ、前記選択は、前記第1のデータ項目の前記単位で表される、前記自由スペクトル範囲
による除法の剰余である前記定数(b)と一致しない、前記第1のデータ項目の値を排除することを含む、装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を特徴付ける方法に関する。また、光源を特徴付ける装置、およびこのような装置を備えたシステムに関する。
【0002】
このような装置により、ユーザは、光源を特徴付ける、例えば、この光源によって放射された放射の波長を特徴付けることが可能になる。
【背景技術】
【0003】
光源によって放射された放射の波長を測定する、様々な装置が当業者に知られている。
【0004】
このような装置は、可能な波長の範囲の中で光源がどの波長を放射したかを判定するために、波長の範囲を調査する必要がある。この調査は、通常は以下のようにして実施することができる。
-費用がかかる方策として、フォトダイオードアレイによる調査。既存の方策ではファブリペロー構成を提案しており、これは機械部品を動かすことはないが、検出器としてアレイを用いる。部品を動かさない態様には、堅牢性および信頼性について一定の利点がある。一方、検出アレイの使用は、特に、1100nmを超える波長を測定する場合で、シリコンを使用できないときは、費用の面で不利な点がある。したがって、通信波長用のInGaAs、または中赤外光用のPbSeやMCTなどの、より高価な材料に変える必要がある。アレイは通常、数千ユーロの費用がかかる。
-時間がかかる方策として、可変ファブリペローによる調査。可変ファブリペロー方式は、アレイは使用せず、1つのみ、またはいくつかのフォトダイオードを使用する。しかしながら、所望の調査を実施し、所望の情報(ファブリペローの透過ピーク位置)を取得するためには、ファブリペローのミラーの1つを動かす必要がある。この走査によって、測定速度が著しく低下する。実際に、アレイ検出器の使用時は、インターフェログラム全体を同時に取得するのではなく、ミラーの各位置を取得することが必要になる。通常の応答時間0.1msで100個のミラー位置を測定する場合、1回の測定にかかる最小時間は10msになるが、リフレッシュレートが(処理時間は計算に入れずに)100Hzに制限される。
【0005】
本発明の目的は、光源を特徴付ける方法および/または装置を提案することであり、これによって従来技術よりも経済的かつ/または迅速な特徴付けが可能になる。
【発明の開示】
【0006】
この目的は光源を特徴付ける方法によって達成され、前記光源は、自由スペクトル範囲を有する固定キャビティを備え、前記方法は、
-光源の状態、または光源の異なる調査状態に従って、光源によって第1の放射を生成するステップと、
-少なくとも1つのセンサによって、この第1の放射の少なくとも一部を受けるステップであって、各センサは、フォトダイオードを伴ったファブリペローエタロンを備える、ステップと、
-各センサで、かつ光源の各調査状態に対して、光源のこの調査状態でこのセンサが受けた、第1の放射の少なくとも1つの部分の関数として、信号を測定するステップと、
-測定された信号から、かつ光源の各調査状態に対して、第1の放射の波長を表す第1のデータ項目を計算するステップであって、計算するステップは、光源の各調査状態に対して、いくつかの可能な値から第1のデータ項目の選択値の選択を含み、前記選択は、第1のデータ項目の単位で表される、固定キャビティの自由スペクトル範囲による除法の剰余である既知の定数と一致しない、第1のデータ項目の値を排除することを含む、ステップと
を含む。
【0007】
例えば、定数は、本発明による方法では、排除する手順の前に計算または決定する、あるいは記録することができる。定数は、例えば、排除する手順の前にユーザが入力することができる。
【0008】
固定キャビティの自由スペクトル範囲は、例えば、本発明による方法では、排除する手順の前に記録することができる。固定キャビティの自由スペクトル範囲は、例えば、排除する手順の前にユーザが入力することができる。
【0009】
光源の異なる状態は、好ましくは光源の物理パラメータの相違によって区別され、物理パラメータは、光源が放射した、第1の放射の波長に影響を及ぼす。
【0010】
各センサは、好ましくはフォトダイオードアレイを含まない。
【0011】
各センサのファブリペローエタロンは、好ましくは可動部品を含まない。
【0012】
第1の放射の波長を示す第1のデータ項目は、
-第1の放射の波長、または
-第1の放射の時間周波数、または
-第1の放射の一時的な期間、または
-第1の放射の波数とすることができる。
【0013】
この選択により、第1の放射のスペクトル領域範囲外にある、第1のデータ項目の値をさらに排除することができる。この場合、
-各ファブリペローエタロンは、第1の放射の波長の関数として、第1の放射の透過強度曲線を有することができ、好ましくは第1の放射のスペクトル領域範囲以上の期間を有し、かつ/または、
-第1の放射の少なくとも一部を受けるステップが、好ましくはいくつかのセンサで受けることを含み、各センサがフォトダイオードを伴ったファブリペローエタロンを備え、各ファブリペローエタロンが、第1の放射の波長の関数として、第1の放射の透過強度曲線を有し、異なるファブリペローエタロンの透過曲線が、第1の放射の波長の関数として、第1の放射の全体的な透過強度曲線を共に形成し、好ましくは、第1の放射のスペクトル領域範囲以上の期間を有する。
【0014】
少なくとも1つのセンサは、好ましくはいくつかのセンサを含み、異なるセンサの異なるファブリペローエタロンが、好ましくは少なくとも一対の2つのファブリペローエタロンを含み、2つのファブリペローエタロンは、
-第1の放射の波長の関数として、第1の放射の第1の透過強度曲線を有する、第1のファブリペローエタロンと、
-第1の放射の波長の関数として、第1の放射の第2の透過強度曲線を有する、第2のファブリペローエタロンとを含み、
その結果、
-第1の放射の同一の波長は、第1の透過曲線の最大勾配、および絶対値でこの最大勾配の10%以下の、第2の透過曲線の勾配の両方と一致し、かつ/または、
-第1の放射の同一の波長は、第2の透過曲線の最大勾配、および絶対値でこの最大勾配の10%以下の、第1の透過曲線の勾配の両方と一致する。
【0015】
本発明による方法は、固定キャビティの自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数と一致しない、第1のデータ項目の値を排除する選択を実行する前に、定数を決定する、または知る工程を含むことができる。光源の異なる調査状態に従って、光源によって第1の放射を生成する場合は、定数の決定は、
-光源の各調査状態に対する、第1のデータ項目の予備計算と、
-光源の異なる調査状態のすべてに対して、第1のデータ項目を予備計算することから、定数を決定することとを含むことができる。
【0016】
第1のデータ項目の選択値の選択は、自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数と一致しない第1のデータ項目の値を排除した後の、好ましくは最小二乗法による、選択値の最終選択を含むことができる。
【0017】
光源は、光パラメトリック発振器、またはレーザにすることができる。
【0018】
光源は、少なくとも二重共振光源にすることができ、同一の放射生成結晶を共有する2つのキャビティを備え、2つのキャビティは、
-第1の放射を生成する、可動キャビティと、
-第2の放射を生成する、固定キャビティとを含む。
【0019】
本発明による方法は、光源の各調査状態に対して、第1の放射の波長を表す第1のデータ項目の計算の関数として、第2の放射の波長を表す第2のデータ項目を計算するステップをさらに含むことができる。
【0020】
本発明の別の特徴によれば、光源を特徴付ける装置が提案され、前記装置は、
-光源の状態、または光源の異なる調査状態に従って、光源によって生成された、第1の放射の少なくとも一部を受けるために配置された、少なくとも1つのセンサであって、各センサは、フォトダイオードを伴ったファブリペローエタロンを備え、各センサは、光源のこの調査状態でこのセンサが受けた第1の放射の少なくとも1つの部分の関数として、各調査状態に対する信号を測定するために配置される、少なくとも1つのセンサと、
-各センサによって、かつ光源の各調査状態に対して測定された信号から、第1の放射の波長を表す第1のデータ項目を計算するために配置および/またはプログラムされた計算ユニットであって、計算ユニットは、光源の各調査状態に対して、いくつかの可能な値からの、第1のデータ項目の選択値の選択を実施するために配置および/またはプログラムされ、前記選択は、第1のデータ項目の単位で表される、自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数と一致しない第1のデータ項目の値を排除することを含む。
【0021】
計算ユニットは、好ましくは定数を知るために配置/プログラムされる。
【0022】
本発明による装置は、定数を計算または決定、あるいは記録する手段を備えることができる。本発明による装置は、本発明による装置に定数を示すために配置された、通信手段または入力手段を備えることができる。
【0023】
本発明による装置は、固定キャビティの自由スペクトル範囲を記録する手段を備えることができる。本発明による装置は、本発明による装置に固定キャビティの自由スペクトル範囲を示すために配置された、通信手段または入力手段を備えることができる。
【0024】
光源の異なる状態は、好ましくは光源の物理パラメータの相違によって区別され、物理パラメータは、光源が放射した、第1の放射の波長に影響を及ぼす。
【0025】
光源は、好ましくは本発明による装置の一部を形成しない。
【0026】
計算ユニットは、光源がどのような状態になるかを制御し、かつ/あるいは光源の状態、または光源の異なる調査状態についての情報項目を受けるために、配置および/またはプログラムすることができる。
【0027】
計算ユニットはまた、
-光源がどのような状態になるかを制御し、かつ/あるいは光源の状態、または光源の異なる調査状態についての情報項目を受けるため、ならびに、
-光源の各調査状態を、各センサが光源のこの調査状態に対して測定した信号と関連付ける、または同期させるために、
配置および/またはプログラムすることができる。
【0028】
各センサは、好ましくはフォトダイオードアレイを含まない。
【0029】
各センサのファブリペローエタロンは、好ましくは可動部品を含まない。
【0030】
第1の放射の波長を示す第1のデータ項目は、
-第1の放射の波長、または
-第1の放射の時間周波数、または
-第1の放射の一時的な期間、または
-第1の放射の波数とすることができる。
【0031】
計算ユニットは、第1の放射のスペクトル領域範囲外にある第1のデータ項目の値をさらに排除することによって、選択を実施するために配置および/またはプログラムすることができる。この場合、
-各ファブリペローエタロンは、第1の放射の波長の関数として、第1の放射の透過強度曲線を有することができ、好ましくは第1の放射のスペクトル領域範囲以上の期間を有する。
-少なくとも1つのセンサは、いくつかのセンサを含むことができ、各センサが、フォトダイオードを伴ったファブリペローエタロンを備え、各ファブリペローエタロンは、第1の放射の波長の関数として、第1の放射の透過強度曲線を有し、異なるファブリペローエタロンの透過曲線が、第1の放射の波長の関数として、第1の放射の全体的な透過強度曲線を共に形成し、好ましくは第1の放射のスペクトル領域範囲以上の期間を有する。
【0032】
少なくとも1つのセンサは、好ましくはいくつかのセンサを含み、異なるセンサの異なるファブリペローエタロンが、好ましくは少なくとも一対の2つのファブリペローエタロンを含み、2つのファブリペローエタロンは、
-第1の放射の波長の関数として、第1の放射の第1の透過強度曲線を有する、第1のファブリペローエタロンと、
-第1の放射の波長の関数として、第1の放射の第2の透過強度曲線を有する、第2のファブリペローエタロンとを含み、
その結果、
-第1の放射の同一の波長は、第1の透過曲線の最大勾配、および絶対値でこの最大勾配の10%以下の、第2の透過曲線の勾配の両方と一致し、かつ/または、
-第1の放射の同一の波長は、第2の透過曲線の最大勾配、および絶対値でこの最大勾配の10%以下の、第1の透過曲線の勾配の両方と一致する。
【0033】
計算ユニットは、固定キャビティの自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数と一致しない、第1のデータ項目の値を排除する選択を行う前に、定数を決定する、または知るように、配置および/またはプログラムすることができる。定数を決定するために、計算ユニットはさらに、
-光源の各調査状態に対して、第1のデータ項目を事前に決定し、
-光源の異なる調査状態のすべてに対して、第1のデータ項目を予備計算することから定数を決定するために、配置および/またはプログラムすることができる。
【0034】
計算ユニットは、選択を実施するために配置および/またはプログラムすることができ、選択には、自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数と一致しない第1のデータ項目の値を排除した後に、好ましくは最小二乗法による、選択値の最終選択が含まれる。計算ユニットは、光源の各調査状態に対して、第1の放射の波長を表す第1のデータ項目の計算の関数として、第2の放射の波長を表す第2のデータ項目を計算するために、配置および/またはプログラムすることができる。
【0035】
本発明のさらに別の態様によれば、
-自由スペクトル範囲を有する固定キャビティを備える光源であって、前記光源は、光源の状態に従って、あるいは光源の異なる調査状態に従って、第1の放射を生成するために配置される、光源と、
-本発明による、この光源を特徴付ける装置とを備える、システムが提案される。
【0036】
光源は、光パラメトリック発振器、またはレーザにすることができる。
【0037】
光源は、少なくとも二重共振光源にすることができ、同一の放射生成結晶を共有する2つのキャビティを備え、2つのキャビティは、
-第1の放射を生成する、可動キャビティと、
-第2の放射を生成する、固定キャビティとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の他の利点および特徴は、決して限定的なものではない、実施および実施形態の詳細な説明を読むことによって、かつ以下に添付した図から明らかになるであろう。
【
図1】本発明による、システム100の好ましい実施形態の概略図であり、本発明による好ましい実施形態の装置10を備える。
【
図2】装置10の光源1の放射スペクトル範囲15における、装置10の3つのファブリペロー5の透過曲線を示し、測定ノイズが、これらの曲線上に垂線で図式的に示されている。
【
図3】光源1のミラー7aが動いている間に、システム100の光源1が放射した、モード跳びのシーケンスを示す。
【
図4】このシーケンスの間の、光源1の固定キャビティ2の自由スペクトル範囲(FSR)
による除法の剰余である、
図3の波数値を示す。
【
図5】・モジュロFSRを計算に入れる前に本発明によって計算された波数(円)、および ・実際に放射されたモードの波数(点)の様々な値の波数を示す。
【
図6】
図5の値の事例において、計算された測定値と、実際に放射された波数との相違を示す。
【
図7】放射され得る波数と、実際に放射された波数とを制限した後に、計算またはシミュレートされた測定値間の相違を示し、 ・モジュロの計算前を円で、 ・モジュロの計算後を星形で示す。
【
図8】FSRの情報を用いた(曲線82)、およびFSRの情報を用いない(曲線81)、ランダムな測定ノイズを伴う、1000シーケンスのモード跳びに見られる平均誤差を示す。
【
図9】ランダムな測定ノイズを伴う、1000シーケンスのモード跳びに見られる誤差の、FSRの情報を用いた場合(曲線92)、およびFSRの情報を用いない場合(曲線91)の、3×σの標準偏差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
これらの実施形態は、決して限定的なものではなく、本発明の変形例が考えられる。特に、以下に記載または図示された特徴からのある選択のみを含み、この特徴の選択が、技術的な利点を与えるのに十分であるか、あるいは本発明を先行技術の水準に対して区別するのに十分であれば、記載または図示されている他の特徴からは孤立した(この選択が、これら他の特徴を含む表現の中で孤立している場合であっても)この選択のみを含む本発明の変形例が考えられる。この選択は、少なくとも1つの、好ましくは機能的で、構造的な詳細のない特徴、および/もしくは、構造的な詳細の一部分が単独で、技術的な利点を与えるのに十分であるか、あるいは本発明を最新技術に対して区別するのに十分であれば、この構造的な詳細の一部分のみを伴う特徴を備える。
【0040】
まず
図1および2を参照して、本発明による装置10を備える、本発明によるシステム100について説明する。
【0041】
システム100は光源1を備え、光源1は、自由スペクトル範囲を有する2枚のミラー2a、2bで区切られた固定キャビティ2を含み、前記の光源は、光源の状態に従って、または光源の異なる調査状態に従って、第1の放射3を生成するために配置され、第1の放射3は、この放射3の生成中は、光源の状態に依存する。
【0042】
自由スペクトル範囲は、キャビティ2の2つの連続する共振ピーク同士の間の、(波長、周波数、期間、波数などにおける)距離と一致する。
【0043】
光源1は、通常は光パラメトリック発振器(optical parametric oscillator、OPO)、またはレーザである。
【0044】
光源1は、少なくとも二重共振光源であり、同一の放射生成結晶9を共有する2つのキャビティを備え、2つのキャビティは、
-2枚のミラー7a、7bで区切られ、第1の放射3を生成する、可動キャビティ7と、
-第2の放射8を生成する、固定キャビティ2とを含む。
【0045】
二重共振光源1は、非線形結晶9と、3枚のミラー、7aと、2aと、2b/7bとを備え、そのうちの2枚(2a、および2b/7b)が直接、結晶9と、可動ミラー7aとに配置される。
【0046】
これら3枚のミラーのうちの1枚、2b/7bは、2つのキャビティ2および7を共有する。
【0047】
この説明において、光源1の異なる「状態」は、光源1の物理パラメータの相違によって区別され、物理パラメータは、光源1が放射した、第1の放射3の波長に影響を及ぼす。
【0048】
図1のこの説明では、光源1の異なる状態が、ミラー7aの位置の違いによって区別される、非限定的な事例が考えられる。
【0049】
(光源1の異なる状態を、第1の放射3の同じ波長に対応させられる場合であっても)第1の放射3の波長を変更するために、光源1のいくつかの状態が調査されるが、キャビティ2の自由スペクトル範囲は保持される。
【0050】
以下、光源1の特定の、ただし非制限的な事例について検討し、光源1は、二重共振光パラメトリック発振器である。
【0051】
光源1は例えば、Blue Industry and Science社製造のX-FLR8に準拠した光源である。
【0052】
システム100は、この光源1を特徴付けるための、本発明による装置10をさらに備える。
【0053】
装置10は、少なくとも1つのセンサ4(好ましくは少なくとも2つ、または理想的には少なくとも3つのセンサ4)を備え、各センサ4は、光源の状態、または光源1の異なる調査状態に従って、光源1が生成した第1の放射3の少なくとも一部を受けるために配置され、各センサ4は、フォトダイオード6を伴ったファブリペローエタロン5を含む。
【0054】
各センサ4は、光源1の各調査状態に対する信号を、光源のこの調査状態でこのセンサ4が受けた、第1の放射3の少なくとも1つの部分の関数として、測定するために配置される。
【0055】
装置10は、放射3を異なるセンサ4に分配するために配置された、少なくとも1つの半反射および/またはダイクロイックミラー71、72、73を備える。
【0056】
各センサ4のすぐ上流、すなわち、
-第1のセンサでは、ミラー(またはダイクロイック)71とファブリペロー51との間、
-第2のセンサでは、ミラー(またはダイクロイック)72とファブリペロー52との間、
-第3のセンサでは、ミラー(またはダイクロイック)73とファブリペロー53との間
に到達する、放射3の各部分の光強度は、初期較正(通常は装置10の製造時、または工場における)によって知られる、あるいは、
-ファブリペローなしで放射3の一部の強度を測定するために配置された、任意の基準センサ66(ファブリペローなし)と、
-各ミラー71、72、および73の反射係数および透過係数の情報とを用いることによって知られる。
【0057】
各フォトダイオード6、66は、例えば、Hamamatsu社製造のG6854-01に準拠したフォトダイオードである。
【0058】
各エタロン5は、例えば、LightMachinery社製造のOP-7423シリーズのエタロンである。
【0059】
各センサ4は、フォトダイオードアレイは含まないが、単一のフォトダイオード6を含んでいる。
【0060】
各センサ4のファブリペローエタロン5は、可動部品を含まない。
【0061】
装置10は、計算ユニット11を備える。
【0062】
ユニット11は、技術的手段のみを備え、好ましくは電子的な手段、かつ/あるいはハードウェアおよび/またはソフトウェア手段を備える。
【0063】
計算ユニット11は、
-光源1がどのような状態になるかを制御し、かつ/あるいは光源1の状態、または光源1の異なる調査状態についての情報項目を受けるため、および
-光源1の各調査状態を、各センサ4が、光源1のこの調査状態に対して測定した信号と関連付ける、または同期させるために、
配置および/またはプログラムされる。
【0064】
したがって、各フォトダイオード6の信号は、各ファブリペローを通る放射3の透過についての情報項目を与える。
【0065】
計算ユニット11は、各センサ4が測定した信号から、かつ光源1の各調査状態に対して、第1の放射3の波長を表す第1のデータ項目(例えばks)を計算するために配置および/またはプログラムされ、光源1の各調査状態に対して、計算ユニット11は、光源1の各調査状態に対して、いくつかの可能な値からの、第1のデータ項目(例えばks)の選択値の選択を実施するために、配置および/またはプログラムされる。
【0066】
第1の放射の波長を示す第1のデータ項目は、第1の放射の波長に依存する、または第1の放射の波長の関数になる、データ項目である。
【0067】
第1の放射の波長を示す第1のデータ項目は、例えば、
-第1の放射の波長、または
-第1の放射の時間周波数、または
-第1の放射の一時的な期間、または
-この例示的だが非限定的な例で示されている通りの、第1の放射3の波数ksである。
【0068】
第1の放射の波長を示す第1のデータ項目はまた、第1の放射のこの波長、または第1の放射のこの時間周波数、または第1の放射のこの一時的な期間、あるいは第1の放射3のこの波数ksに比例する任意のデータ項目とすることができる。
【0069】
より正確には、計算ユニット11は、以下の目的のために配置/プログラムされる。
-定数「b」を知るため。計算ユニット11は、光源1が、光源1の異なる調査状態に従って第1の放射3を生成する場合に、定数「b」を決定するために配置および/またはプログラムされ、この目的のために、
・光源1の各調査状態に対する、第1のデータ項目ksを予備計算し、第1の放射3のスペクトル領域範囲15の範囲外にある第1のデータ項目ksの値を排除して、好ましくは最小二乗法によって、光源1の各調査状態に対する、第1のデータ項目ksの値を選択し、
・光源1のすべての異なる調査状態に対する、第1のデータ項目ksの予備計算から、定数「b」を決定するために、
配置および/またはプログラムされる。
-各センサ4が測定した信号から、かつ光源1の各調査状態に対して、光源1の各調査状態に対する第1の放射3の波長を示す第1のデータ項目ksを計算するためであって、いくつかの可能な値から第1のデータ項目ksの選択値を選択し、計算ユニット11は、
・第1の放射3のスペクトル領域範囲15の範囲外にある、第1のデータ項目ksの値の排除(選択の一部を形成する)を実施し、
・第1の放射ksの単位で表される、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数「b」と一致しない、第1の放射ksの値の排除(選択の一部を形成する)を実施し、
・先の2回の排除の後に、好ましくは最小二乗法によって、選択値の最終選択(選択の一部を形成する)を実施するために、
配置および/またはプログラムされる。
【0070】
計算ユニット11は、光源1の各調査状態に対して、第1の放射3の波長を表す第1のデータ項目ksの計算の関数として、第2の放射8の波長を表す第2のデータ項目kcを計算するために、配置および/またはプログラムされる。
【0071】
第2の放射の波長8を示す第2のデータ項目kCは、例えば、
-第2の放射の波長、または
-第2の放射の周波数、または
-この例示的だが非限定的な例で示されている通りの、第2の放射8の波数kcである。
【0072】
計算ユニット11が配置および/またはプログラムされる方法については、装置10によって実施される、本発明による方法の実施形態を参照して以下で詳細に説明する。
【0073】
計算ユニット11は、定数bを知るために配置/プログラムされる。
【0074】
装置10は、定数bを計算および/または決定、ならびに/あるいは記録するために配置された手段(より正確にはユニット11)を備える。
【0075】
装置10は、装置10(より正確にはユニット11)に定数bを示すために配置された、通信手段および/または入力手段を備える。
【0076】
計算ユニット11は、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲を知るために、配置および/またはプログラムされる。
【0077】
装置10は、
-固定キャビティ2の自由スペクトル範囲を記録する手段(より正確にはユニット11)、および/または、
-装置10(より正確にはユニット11)に、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲を示すために配置された、通信手段および/または入力手段を備える。
【0078】
特に、装置10は、1種類の、または単一基準の光源1に対する測定の実施専用にすることができるので、通信または入力手段は必須ではなく、1つの光源1と別の光源1とで固定キャビティの自由スペクトル範囲は変化しない。
【0079】
光源1は、好ましくは装置10の一部を形成しない。装置10は、光源1からは独立して光源1を特徴付ける、またはテストする装置として市販することができる。
【0080】
図2を参照すると、各ファブリペローエタロン5は、第1の放射3の波長の関数として、第1の放射3のスペクトル領域範囲15以上の期間を有する、第1の放射3の透過強度曲線12、13、14を有する。
【0081】
各ファブリペローエタロン5は、第1の放射3の波長の関数として、第1の放射3の透過強度曲線12、13、14を有し、異なるファブリペローエタロン5の透過曲線は、第1の放射3の波長の関数として、第1の放射のスペクトル領域範囲15以上の期間を有する、第1の放射の全体的な透過強度曲線16を共に形成する。
【0082】
少なくとも1つのセンサ4は、いくつかのセンサ4を含み、異なるセンサ4の異なるファブリペローエタロン5は、2つのファブリペローエタロン5の対を少なくとも一対(好ましくはファブリペローエタロンの対のみを)含み、各対は、
-第1の放射3の波長の関数として、第1の放射3の第1の透過強度曲線13を有する、第1のファブリペローエタロンと、
-第1の放射3の波長の関数として、第1の放射3の第2の透過強度曲線12を有する、第2のファブリペローエタロンとを備え、
その結果、
-第1の放射3の同一の波長が、第1の透過曲線13の最大勾配(すなわち第1の導関数)130、および絶対値でこの最大勾配130の10%以下の、第2の透過曲線12の勾配120の両方と一致し、かつ/または、
-第1の放射3の同一の波長が、第2の透過曲線12の最大勾配121、および絶対値でこの最大勾配121の10%以下の、第1の透過曲線13の勾配131の両方と一致する。
【0083】
なお、これは装置10のすべてのファブリペローエタロン5の、透過曲線のすべての対12、13、または13、14、あるいは14、12に有効である。
【0084】
また、異なる透過曲線12、13、14の同一符号(すなわち増加勾配、または減少勾配)の最大勾配121、130が、領域15内で、同一の離間間隔17で規則的に離間されていることにも留意されたい。
【0085】
したがって、この実施形態では、アレイ検出器に干渉パターンを結像することのない、(機械部品を動かすことのない)ファブリペローエタロン5が使用される。ファブリペローステージ5毎に、測定点が1つのみ作成される。
【0086】
精度を高めるために、コヒーレント光源1の1つのキャビティ7のみを修正することによって、光源1の放射利得帯域幅全体にわたって波長が調整される。したがって、波長はすべて、光源1のキャビティ2の、同一のモジュロFSRであることがわかる。これによって追加情報が与えられ、ビーム3、8の各放射波長を達成することが可能になる。
【0087】
この実施形態には、以下の利点がある。
-非常に小型であって、この方策により、長さの合計を10cm未満にすることができる。
-非常に迅速であり、適切な電子機器11を用いることによって、各レーザパルス(>100kHz)を測定することが可能になる。また本発明は、最大測定値での測定を行い、フォトダイオード6の処理用電子機器11を用いて、連続的な光源1で動作することができる。本発明は、調節可能なファブリペローの一部を動かすのに使用される、圧電トランスデューサの応答時間によって制限されない。
-高価な部品を備えておらず安価であり、調節できないファブリペローエタロン5、およびアレイのないフォトダイオード6は、アレイシステムに対して非常に経済的である。
【0088】
装置10およびシステム100によって実施される、本発明による方法の実施形態について、ここで
図1~9を参照して説明する。
【0089】
この方法は、以下の1)から8)までのステップを含む。
1)光源の状態、または光源1の異なる調査状態に従って、光源1によって、第1の放射3(および第2の放射8)を生成するステップ。コヒーレント光源1は、二重共振OPOである。波数kpの励起レーザビームは、周期分極反転を伴って非線形結晶9を通過する。結晶9は、波数ksの第1の放射3(信号とも呼ばれる)、および波数kcの第2の放射8(相補とも呼ばれる)の、2つの新たなビームを放射する。波数は、エネルギー保存の法則によって、次の式で表される。
kp=ks+kc
【0090】
図1に図式的に示されているように、放射3は、ミラー7aおよび7bによって形成された、可動キャビティ7で共振する。放射8は、ミラー2aと2bとの間の固定キャビティ2で共振する。可動キャビティ7は、(ミラー7aの位置に応じて)約0.26cm
-1の自由スペクトル範囲(FSR)Δksを有し、固定キャビティ2は、0.25cm
-1の自由スペクトル範囲(FSR)Δkcを有する。
【0091】
ミラー7aは可動であり、例えば、圧電素子に取り付けられる。
【0092】
光源1の通常のスペクトル許容性(パラメトリック利得帯域幅と呼ばれる)は、5cm-1である。つまり、非線形結晶9は、励起レーザの波数、結晶9の温度、分極反転格子がないなどのパラメータが設定された場合は、5cm-1のスペクトル範囲にわたってのみ放射することができる。
【0093】
相補キャビティの固定位置に対して放射され得るモード数は、したがって5/0.25=20モードになる。
【0094】
各ビームに対して、以下の波数が想定される。
・励起放射の波数は、9,394.5cm-1
・「信号」放射、または放射3の波数は、6,662.5cm-1~6,667.5cm-1(この間隔は、本明細書では、第1の放射のスペクトル領域範囲15と呼ぶ)
・「相補」放射、または放射8の波数は、2,727cm-1~2,732cm-1。
【0095】
2)ユニット11によって、光源1がどのような状態になるかを制御するステップ、および/あるいはユニット11によって、光源1の状態について、または光源1の異なる調査状態についての情報項目を受けるステップであって、前述のように、光源1の異なる状態は、光源が放射した第1の放射3の波長に影響を及ぼす、光源1の物理パラメータの変化、例えば、ミラー7aの位置の変化によって調査される。(光源1の異なる状態を、第1の放射3の同じ波長に対応させられる場合であっても)第1の放射3の波長を変更するために、光源1のいくつかの状態が調査されるが、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲は保持される。
【0096】
各ビーム3、8は、そのそれぞれのキャビティ7、2内に、可能なモードコムを有する。パラメトリック利得帯域幅内で、2つの信号および相補モード同士が十分に重なり合っている場合、すなわちエネルギー保存条件が尊重される場合は、振動が発生する。
【0097】
ミラー7aの圧電素子に圧力を印加することによって、可動キャビティ7は、わずかに数百ナノメートルだけ移動する。その後、関連するモードコムが移動し、一致するモードコムもまた、ビーム1信号と、ビーム8相補モードとが新たに重なり合うことによって移動する。
【0098】
図3は、ミラー7aの移動中に光源1によって行われる、一連のモード跳びk
sの例を示し、
図4は、相補キャビティ2の、この同じ波数k
sのモジュロFSRを示す。
【0099】
移動されるのはミラー7aのみである。したがって相補キャビティ2は、固定されたままである。キャビティ2によって放射され得る波数のコムは、したがって同一のままである。したがってビーム8のモードはすべて、定義上はキャビティ2のモジュロFSRと等しい(ここではFSRの分散は無視する)。エネルギー保存によって、これはビーム3の場合にも当てはまる。このために、ビーム8の波数はすべて式1によって、およびエネルギー保存によって表され、ビーム3の波数は、式2で表される。
kc=a[FSRc] 式1
ks=b[FSRc] 式2
ここで「a」および「b」はそれぞれ定数であり、より正確にはゼロ以上の実数であり、定数「b」は、本明細書で既に述べたものであり、[FSRc]は、「固定キャビティFSRcのモジュロFSR」を意味し、FSRcは、波数の単位(長さの逆数)で表された、固定キャビティのFSRになる。一般に、本発明のこの原理は、任意の光源1に対して、有効でありかつ一般化できることに留意されたく、その利得媒体(レーザ結晶、非線形結晶など)は、共振キャビティに収容される。これら2つの式は当然、時間周波数、または一時的な期間、あるいは波長として表すことができる。例えば、式2の場合、
fs=b’[FSRc’] 式2’
ts=b’’[FSRc’’] 式2’’
λs=b’’’[FSRc’’’] 式2’’’
であり、ここで、
-「b’」「b’’」および「b’’’」はそれぞれ定数であり、より正確にはゼロ以上の実数であり、
-fsは放射3の時間周波数であり、
-[FSRc’]は、「固定キャビティFSRc’のモジュロFSR」を意味し、FSRc’は、時間周波数の単位(時間の逆数)で表される、固定キャビティのFSRになり、
-tsは、放射3の一時的な期間であり、
-[FSRc’’]は、「固定キャビティFSRc’’のモジュロFSR」を意味し、FSRc’’は、一時的な期間の単位(時間)で表される、固定キャビティのFSRになり、
-λsは、放射3の波長であり、
-[FSRc’’’]は、「固定キャビティFSRc’’’のモジュロFSR」を意味し、FSRc’’’は、波長の単位(長さ)で表される、固定キャビティのFSRになる。
【0100】
3)少なくとも1つのセンサ4によって、また本実施形態ではいくつかのセンサ4によって、第1の放射3の少なくとも一部を受けるステップ。
【0101】
4)各センサ4によって、かつ光源1の各調査状態に対して、光源1のこの調査状態でこのセンサ4が受けた、第1の放射3の少なくとも1つの部分の関数として、信号を測定するステップ。
【0102】
ファブリペロー51、52、53は、これらの自由スペクトル範囲(FSR)がそれぞれ961.29μm、961.54μm、および961.79μmになるように寸法決めされる。パラメトリック利得帯域幅内の波数の関数としてのこれらの透過については、
図2で説明されている。
【0103】
図2では、
図3の各モードに対して、各フォトダイオード6によって読み取られる強度もシミュレートしており、これに最大値の3%のホワイトノイズが、3×σで追加され、σはノイズの標準偏差を表す。
【0104】
5)ユニット11によって、光源1の各調査状態を、各センサ4が光源1のこの調査状態に対して測定した信号と関連付ける、または同期させるステップ。
【0105】
6)定数「b」を事前に知るステップであって、光源1の異なる調査状態に従って、光源1によって第1の放射3を生成する場合、定数「b」は、この定数「b」を決定する工程によって知られ、この定数「b」を決定する工程は、以下のa~bの項目を含む。
a.光源1の各調査状態に対する、第1の放射3の波長を表す、第1のデータ項目k
sの予備計算であって、計算には、光源1の各調査状態に対して、いくつかの可能な値から第1のデータ項目k
sの値を選択することが含まれ、前記の選択は、以下のi~iiの項目を含む。
i.第1の放射3のスペクトル領域範囲15外にある、第1のデータ項目k
sの値を排除すること。この目的は、これ以降、フォトダイオード6の情報項目から、光源1が放射した放射3の波数k
sが、6,662.5cm
-1~6,667.5cm
-1、すなわち5cm
-1のその可能な放射範囲内にあると認めることである。2・10
-3cm
-1の分解能を達成するために、放射範囲15は、2・10
-3cm
-1ずつ離間されて、2500の点でサンプリングされる。3つのフォトダイオード6からの透過のトリプレットは、これらの点に対応する。
ii.好ましくは最小二乗法によって、選択値を選択すること。センサ4の数がN
cと等しい場合、かつ光源1の各状態に対して、放射範囲15をN
P個の点(N
Pの数が大きいほど、より正確になる)でサンプリングするために選択がなされた場合、N
C(ここではN
C=3)個のセンサ4によって測定されたN
C個の信号は、N
p(ここではN
P=2500)組の理論値と比較され、理論値の各組は、N
C個のセンサ4のN
C個の理論信号を含み、
図2、あるいは公式または相当値表に従って、すなわちN
C個のファブリペロー51、52、53の透過に従って、波数k
sの関数として、k
Sの値と関連付けられる。最小二乗法によって、測定されたトリプレットのそれぞれは、式3に従って2500の理論的なトリプレットと比較される。
m
j=√[(T
j
th1-T
m1)
2+(T
j
th2-T
m2)
2+(T
j
th3-T
m3)
2] 式3
ここでT
j
thiは、j
thトリプレット(2500から可能)のi
thファブリペロー(3から可能)の理論的な透過に相当し、かつT
miは、i
thファブリペローの測定された透過に相当する。測定されたトリプレットのそれぞれに対して、ビーム3の波数k
Sの値は、2500の可能性の中から保持されて、「m
j」の値を最小化する。
【0106】
このように計算された波数k
sが、
図5に示されている。
残念なことに、測定ノイズが計算の妨げとなって、結果の精度を落としている。
図6は、計算値と、実際に放射された波数との相違を点毎に示す。
b.光源1の異なる調査状態のすべてに対して、第1のデータ項目k
sの予備計算から定数「b」を決定すること。実際には、
図5におけるこのようなノイズの多い測定からでも、式2に示す「b」の正確な計算を行うことが可能である。実際には、測定ノイズはその後、250の取得のすべてにわたって平均化される。これがガウス型白色ノイズであれば、15よりも大きい因数(√250)によって、ノイズはその後減少する。異常値の影響を制限するために、平均ではなく中央値(med)が使用される。したがって、
b=med(k
s
measured[FSR
c]) 式4
となる。
【0107】
この例では、b=0.1404cm-1である。見てきたように、光源1は、(式4で)こうして計算した値「b」を持つ、式2に従った波数でのみ放射できることがわかる。
【0108】
bを決定する別の代替手段は、(例えば、工場で)装置10にbを記録することであるが、これでは、温度変化などのbの変化を考慮に入れることができない。
【0109】
7)測定された信号から、かつ光源1の各調査状態に対して、第1の放射3の波長を表す第1のデータ項目k
sを、光源1の各調査状態に対して計算するステップであって、計算には、光源1の各調査状態に対して、いくつかの可能な値から第1のデータ項目k
sの選択値を選択することが含まれ、前記の選択は、以下のa~cの項目を含む。
a.前述のステップ6のaのiにあるように、第1の放射3のスペクトル領域範囲15外にある、第1のデータ項目k
sの理論値を排除すること。
b.第1のデータ項目の単位で表される、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲
による除法の剰余である定数「b」と一致しない、第1のデータ項目k
sの値を排除すること。放射範囲15をN
P個の点(N
Pの数が大きいほど、より正確になる)でサンプリングするために選択された場合は、N
p(ここではN
P=2500)組の理論値があり、理論値の各組は、N
C個のセンサ4のN
C個の理論信号を含み、
図2、あるいは公式または相当値表に従って、すなわちN
C個のファブリペロー51、52、53の透過に従って、波数k
sの関数として、k
Sの値と関連付けられる。固定キャビティ2の自由スペクトル範囲
による除法の剰余である定数「b」と一致しない、第1のデータ項目k
sの理論値をこのように排除することにより、N
PからN
Rまでの理論値の組の数を減らすことが可能になる。
c.次に、前述の2つを排除した後の、好ましくは最小二乗法による、選択値の最終選択。ここでも最小二乗法が用いられ、式2に従って、可能な解をパラメトリック利得帯域幅(スペクトル範囲15)の波数のみに制限する。センサ4の数がN
cと等しく、N
R組(ここではN
R=19)の可能な理論値が残っている場合は、光源1の各状態に対して、N
C個(ここではN
C=3)のセンサ4によって測定されたN
C個の信号は、N
R(ここではN
R=19)組の理論値と比較され、理論値の各組は、N
C個のセンサ4のN
C個の理論信号を含み、
図2、あるいは公式または相当値表に従って、すなわちN
C個のファブリペロー51、52、53の透過に従って、波数k
sの関数として、k
Sの値と関連付けられる。したがって、ステップ6とは異なり、2500の可能なトリプレット間ではなく、モジュロ条件に従った19の可能なモード間で選択される。b=0であれば、20の可能なモードがある。19の可能なトリプレットについてのみ、式3の「m
j」の計算が繰り返される。所与の測定のために保持された波数値は、19の計算値の中で、「m
j」を最小化するものである。したがって
図7が得られ、これは、
図6で示した結果60(分散した円)に加えて、これらの新しい最小二乗から生じた結果70(ほぼすべてが一直線に並んでいる星形)を表す。
【0110】
図7は、ノイズがほとんどゼロであり、最も近いFSRに対して、1つの測定点のみが誤りであることをはっきりと示している(測定196)。モード跳びに近い測定点を排除するフィルタが、これを排除することができる。このようなフィルタは、分光法で知られており、実際には、モード跳びに近い点は、スペクトル的に完全に純粋ではない光源を反射する。したがってこれらは波数の測定とは無関係に、測定品質を保証するためにフィルタリングされる。
【0111】
したがって説明した例では、以下の表に示す結果が取得される。
【表1】
【0112】
結果は、固定キャビティ2のFSRの情報を用いることで、際立って良くなっている。また、フィルタリングは、第2の計算ではなく第1の計算(モジュロを使用しない)に適用されると、それ以上多くの測定点を除去しないこともわかる。両方の事例において、取得したうちの約70%が残っている。
【0113】
図8および
図9は、以下の結果を示す。
-第1の計算(符号81、モジュロは使用せず)、および第2の計算(符号82、式2のモジュロを使用)における平均誤差、ならびに
-第1の計算(符号91、モジュロは使用せず)、および第2の計算(符号92、式2のモジュロを使用)における標準偏差
これらは、一連のモード跳びの数多くのシミュレーションに対するもので、ノイズは、1つのシーケンスからもう1つのシーケンスまでランダムになる。
【0114】
(ユニット11によって)定数bが知られるのは、ステップ7)において、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数「b」と一致しない、第1のデータ項目ksの値を排除するときである。例えば、定数bは、本発明による方法では、ステップ7)における、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数「b」と一致しない、第1のデータ項目ksの値を排除するステップの前に、(前述のステップ6)で説明したように)計算または決定する、あるいは記録することができる。定数bは、例えば、ステップ7)の、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数「b」と一致しない第1のデータ項目ksの値を排除するこのステップの前に、ユーザが入力することができる。
【0115】
(ユニット11によって)固定キャビティ2の自由スペクトル範囲が知られるのは、ステップ7)において、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数「b」と一致しない、第1のデータ項目ksの値を排除するときである。固定キャビティ2の自由スペクトル範囲は、例えば、本発明による方法では、ステップ7)の、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数「b」と一致しない、第1のデータ項目ksの値を排除するステップの前に記録することができる。固定キャビティの自由スペクトル範囲は、例えばステップ7)の、固定キャビティ2の自由スペクトル範囲による除法の剰余である定数「b」と一致しない第1のデータ項目ksの値を排除するこのステップの前に、ユーザが入力することができる。
【0116】
8)本発明による方法の、この実施形態では、可動キャビティ7は、第1の放射3を生成し、固定キャビティ2は、第2の放射8を生成する。この方法は、光源の各調査状態に対して、第1の放射3の波長を表す第1のデータ項目ksの計算の関数として、第2の放射8の波長を表す第2のデータ項目kcを計算するステップをさらに含む。-知られて制御され、その推測値は光源1の状態変化中に変化しない、励起のkp値と、
-光源1の異なる調査状態に対して計算された、ksの異なる値と、
この2つの値がわかれば、光源1の異なる調査状態に対して計算されたksの異なる値は、次の式で計算される。
kc=kp-ks
【0117】
無論、本発明は、説明した例に限定されることはなく、本発明の範囲を超えることなく、これらの例に多くの調整を行うことが可能である。
【0118】
したがって、前述した実施形態の変形例には、以下のことを組み入れることができる。
-本発明による方法は、定数「b」を必ずしも計算しなくても、既に知られている場合がある(例えば、工場その他での較正によって)。この場合、本発明による方法または装置は、光源1の1つの状態、すなわち
図7の単一のドット70を調査することによって実施でき、
-光源1は、可動キャビティ7を有さずに、1つの固定キャビティ2のみを有してもよい。この場合、キャビティ2は、固定ミラー2aと2bとの間に結晶9を備えることができる。キャビティ2の自由スペクトル範囲FSRcは、常に固定され、光源1の状態は、例えば、結晶9の温度が変化することによって変化し、本発明による装置および方法は、このときは次の式k
c=b[FSRc]に基づいて実施され、定数bは、前述したものと同じ原理で知られ、または決定され、第1のデータ項目はk
cになり、
-本発明による装置および方法は、センサ4が、可動ミラー2aまたは2b、および好ましくは固定ミラー7aを含む筐体内において、キャビティ7の信号ではなくキャビティ2の信号を測定することに基づくことができ、例えば、結晶9の代わりにガスが用いられ、
-第1のデータ項目は必ずしも波数でなくてもよく、本発明による装置および方法は、第1のデータ項目を時間周波数、一時的な期間、または少なくとも1つのセンサ4が受けた放射の波長として用いて実施することも可能である。
【0119】
無論、本発明の様々な特徴、形態、変形、および実施形態は、それらが適合しないか、または互いに矛盾しない限りにおいて、様々な組み合わせで組み合わせることができる。特に、前述したすべての変形例および実施形態は、互いに組み合わせることができる。