(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】マルチパートタービンハウジングを有するタービン
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20220801BHJP
F02B 37/24 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
F02B39/00 S
F02B37/24
F02B39/00 D
(21)【出願番号】P 2019523652
(86)(22)【出願日】2017-10-31
(86)【国際出願番号】 US2017059156
(87)【国際公開番号】W WO2018085213
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】102016120897.3
(32)【優先日】2016-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ラム
(72)【発明者】
【氏名】レイフ・ハイディングスフェルダー
(72)【発明者】
【氏名】クリスチヤン・ハイブト
(72)【発明者】
【氏名】フランク・シェラー
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-231934(JP,A)
【文献】特開2008-215083(JP,A)
【文献】特開2015-034470(JP,A)
【文献】特表2015-516055(JP,A)
【文献】特表2015-518114(JP,A)
【文献】特表2016-518553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0084161(US,A1)
【文献】国際公開第2017/149747(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/24
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に使用するための可変タービン幾何学形状を有するタービンであって、
軸受ハウジング(100)と、
タービンハウジング(200)と、
複数の調節可能なベーン(320)を支持するためのベーン軸受リング(310)を特徴とするカートリッジ(300)と
、
リング状のシールドリング(500)と、
を含み、
前記シールドリング(500)が、ベーン軸受リング(310)の半径方向外側に配置さ
れ、
シール部(600)が、前記シールドリング(500)と前記タービンハウジング(200)との間で前記シールドリング(500)の半径方向外側に配置され、
前記シール部(600)が、前記タービンハウジング(200)の内面上の支持部であるレッジ(220)と前記軸受ハウジング(100)の前記タービン側ハウジング(200)側の側面との間に軸方向に配置される、ことを特徴とする、タービン。
【請求項2】
軸受ハウジング(100)とタービンハウジング(200)とをセパレートするセパレーターディスク(400)をさらに含み、前記セパレーターディスク(400)が、前記ベーン軸受リング(310)の半径方向外側に配置される、請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
前記セパレーターディスク(400)及び/または前記シールドリング(500)が、タービンハウジング(200)と軸受ハウジング(100)との間にクランプされることを特徴とする、請求項
2に記載のタービン。
【請求項4】
前記シールドリング(500)は、軸受ハウジング(100)に隣接し、軸受ハウジング(100)とタービンハウジング(200)との間に軸方向に配置されるか、または前記軸受ハウジング(100)と前記セパレーターディスク(400)の半径方向外側部分との間に配置され、前記部分は、シールドリング(500)とタービンハウジング(200)との間に配置されることを特徴とする、請求項
2または
3に記載のタービン。
【請求項5】
前記セパレーターディスク(400)の半径方向外側部分は、タービンハウジング(200)に隣接し、シールドリング(500)とタービンハウジングとの間、またはタービンハウジング(200)と軸受ハウジング(100)との間に軸方向に配置されることを特徴とする、請求項
2~4のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項6】
前記タービンハウジング(200)の内面上の支持部である他のレッジ(210)が、セパレーターディスク(400)及び/またはシールドリング(500)の位置を固定させることを特徴とする、請求項
2~5のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項7】
前記シール部(600)が
、V-リングシール部を含むことを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項8】
前記シール部(600)が、シールドリング(500)の外面とタービンハウジング(200)の内面との間に半径方向に配置されることを特徴とする、請求項
1~7のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項9】
前記ベーン軸受リング(310)と前記セパレーターディスク(400)との間に
通路(700)が形成され
、前記通路(700)が、ベーン軸受リング(310)の全周に沿って延びることを特徴とする、請求項
2~8のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項10】
前記セパレーターディスク(400)の第1の側面は、ベーン(320)に対向するベーン軸受リング(310)の前面と同一平面になるように配置されることを特徴とする、請求項
2~9のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項11】
前記シールドリング(500)が、中空円筒状に設計されかつ軸方向に延びることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項12】
前記シールドリング(500)の少なくとも主な部分が、タービンハウジング(200)から一定の距離を
半径方向に置いて配置され、それによって、シールドリング(500)の軸方向範囲の少なくとも大部分に沿ってシールドリング(500)とタービンハウジング(200)との間に半径方向にギャップが存在することを特徴とする、請求項11に記載のタービン。
【請求項13】
前記シールドリング(500)及びセパレーターディスク(400)が、ワンピース一体型構成部品として設計されることを特徴とする、請求項
2~12のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項14】
前記タービンハウジング(200)の軸方向
で、半径方向
の螺旋容積に接しているタービンハウジング(200)の
半径方向外側の面が、前記螺旋から軸受ハウジング(100)の方向に外壁の軸方向端部までアンダーカットを示さないことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のタービンを有する、ターボチャージャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチパートタービンハウジングを有するタービン及びこの種のタービンを有するターボチャージャーに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ過給装置を備えている最新世代の自動車の数が増加している。設計目標及び法的要件を満たすためには、パワートレイン全体とその個々の構成部品だけでなく、システム全体の信頼性及び効率を最適化する接近法を開発することが重要である。
【0003】
例えば、内燃機関からの排気ガス流がタービンホイールを有するタービンを駆動させる排気ガスターボチャージャーが知られている。タービンホイールとともに共通のシャフト上に配置された圧縮機ホイールは、エンジン用の新鮮な吸入空気を圧縮する。そうすると、エンジンに利用可能な空気、より正確に言えば酸素の量が増加し、したがって内燃機関の性能の増加をもたらす。
【0004】
この種のタービンはまた、排気ターボチャージャーから切り離されるとき、または例えば燃料電池エンジンの空気供給装置と組み合わせて使用され得る。
【0005】
タービンは排気ガスの流れによって駆動されるので、タービンホイール及びタービンハウジングの領域で非常に高い温度が発生する。タービンハウジングは、軸受ハウジングと連結され、タービンホイールが取り付けられているシャフトを支持するのに役に立つので、これらの高い温度も軸受ハウジングに伝達される。軸受ハウジング内の温度が高すぎると、効率と耐磨耗性に悪影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、特にタービンハウジングと隣接した軸受ハウジングとの間のフランジ部において、改善された温度管理を示すタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の可変タービン幾何学形状を有するタービン及び請求項15に記載のターボチャージャーに関する。
【0008】
内燃機関で使用するための可変タービン幾何学形状を有する本発明によるタービンは、軸受ハウジング、タービンハウジング及び複数の調節可能なベーンを支持するためのベーン軸受リングを特徴とするカートリッジを含む。タービンは、セパレーターディスク及び/またはシールドリング(shield ring)をさらに含み、セパレーターディスク及び/またはシールドリングは、ベーン軸受リングの半径方向外側に配置される。セパレーターディスク及び/またはシールドリングは、タービンハウジングと軸受ハウジングとの間の連結領域またはフランジ部における温度管理に有益な影響を与える。特に、軸受ハウジングに対する温度応力が低減する。
【0009】
実施形態において、セパレーターディスク及び/またはシールドリングは、タービンハウジングと軸受ハウジングとの間にクランプされ得る。
【0010】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、シールドリングは、軸受ハウジングに隣接し得、軸受ハウジングとタービンハウジングとの間に軸方向に配置され得るか、または軸受ハウジングとセパレーターディスクの半径方向外側部分との間に配置され得、上記部分は、シールドリングとタービンハウジングとの間に配置される。
【0011】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、セパレーターディスクの半径方向外側部分は、タービンハウジングに隣接し得、シールドリングとタービンハウジングとの間、またはタービンハウジングと軸受ハウジングとの間に軸方向に配置され得る。
【0012】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、タービンハウジングの内面上の第1のレッジ(ledge)は、セパレーターディスク及び/またはシールドリングの位置を固定させることができる。
【0013】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、シール部(seal)は、シールドリングとタービンハウジングとの間のシールドリングの半径方向外側に配置され得る。シール部は、特にV-リングシール部を含むことができる。シール部は、タービンハウジングの内面上の第2のレッジと軸受ハウジングの半径方向側面との間に軸方向に配置され得る。シール部はさらに、シールドリングの外面とタービンハウジングの内面との間に半径方向に配置され得る。
【0014】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、ベーン軸受リングとセパレーターディスクとの間に半径方向に通路が形成され得る。通路は、特に、ベーン軸受リングの全周に沿って延び得る。
【0015】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、セパレーターディスク及び/またはシールドリングは、タービンの回転軸と同心になるように配置され得る。
【0016】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、セパレーターディスクの第1の側面は、ベーンに対向するベーン軸受リングの前面(front side)と同一平面になるように配置され得る。
【0017】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、セパレーターディスクは、軸方向にタービンハウジング内の螺旋(spiral)に接することができる。
【0018】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、シールドリングは中空円筒状に設計することができ、軸方向に延び得る。シールドリングの少なくとも主な部分は、タービンハウジングから一定の距離を置いて配置され、それによって、シールドリングの軸方向範囲の少なくとも大部分に沿ってシールドリングとタービンハウジングとの間に半径方向にギャップが存在する。これは、タービンハウジング及び軸受ハウジングのフランジ部だけでなく、シールドリングとタービンハウジングとの間の半径方向のギャップが高温からシールディング(shielding)を保護するので、有利である。
【0019】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、セパレーターディスク及びシールドリングは、ワンピース一体型構成部品として設計することができる。
【0020】
これまで説明したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、タービンハウジングの軸方向に延びる内面上に、半径方向でタービンハウジングの螺旋容積に接しているタービンハウジングの外壁は、螺旋から軸受ハウジングの方向に外壁の軸方向端部までアンダーカットを示さない。この設計を使用すると、使用された砂が極めて安全かつ容易に除去され得るので、タービンハウジングの鋳造工程(casting)を非常に単純化することができる。
【0021】
さらに、本発明は前述の実施形態のいずれか1つに記載のタービンを有するターボチャージャーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のさらなる詳細及び特徴は、以下のように図面を参照して説明される。
【
図1A】
図1Aは、本発明によるタービンの第1の実施形態の断面図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明によるタービンの第2の実施形態の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明によるタービンの第3の実施形態の断面図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明によるタービンのさらなる実施形態の詳細図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明によるタービンのさらなる実施形態の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によるタービンの実施形態について、以下のように図面を参照して説明する。
【0024】
図面に示されたすべての実施形態において当てはまることは、タービンは、軸受ハウジング100に隣接したタービンハウジング200を特徴とすることである。タービンは、可変タービン幾何学形状カートリッジ300をさらに含む。カートリッジは、複数の調節可能なベーン320を支持するためのベーン軸受リング310を有する。これらの特徴は、例えば
図1A、
図1B及び
図2で見ることができる。
図1Aに示した実施形態は、ベーン軸受リング310の半径方向外側に配置されたセパレーターディスク400をさらに特徴とする。したがって、セパレーターディスク400は、タービンハウジング200と軸受ハウジング100との間にクランプされ、軸方向にタービンハウジング300の螺旋に接する。
図1Bの代替実施形態において、タービンは、ベーン軸受リング310の半径方向外側に配置され、軸受ハウジング100とタービンハウジング200との間にクランプされるシールドリング500を含む。
図1Bに示した特別な実施形態において、タービンハウジング200は、半径方向内側に突出し、軸受ハウジング100の方向に軸方向螺旋に接する突出部210を特徴とする。
図2、
図2A及び
図2Bに示したさらなる実施形態において、シールドリング500とセパレーターディスク400とは組み合わされて設けられる。したがって、シールドリング500及びセパレーターディスク400は、2つの分離された構成部品(
図2及び
図2A参照)、または一体型構成部品(
図2B参照)として設けられることができる。したがって、すべての図面から明らかなように、セパレーターディスク400及びシールドリング500は、軸受ハウジング及びタービンハウジングとは別個で常に分離された個々の構成部品または一体型構成部品である。したがって、
図1A及び
図1Bに示したように、セパレーターディスクまたはシールドリング(またはこれらの2つの組み合わせ、
図2~
図2B参照)は、タービンハウジングによって半径方向外側に囲まれ、半径方向内側に位置した第1のレッジ210によって支持される。また、セパレーターディスク400及び/またはシールドリング500は、タービンの回転軸と同心になるように配置される。
【0025】
セパレーターディスク400及び/またはシールドリング500は、タービンハウジング200と軸受ハウジング100との間の連結領域またはフランジ部における温度管理に有益な影響を与える。特に、軸受ハウジング100に対する温度応力が低減される。
【0026】
図1Aを見てわかるように、例えば、セパレーターディスク400は、螺旋の側壁を定義し、したがって、可変タービン幾何学形状カートリッジ300に対する調整機構が配置される領域からガスが流れるタービンの螺旋領域を(部分的に)分離するのに役に立つ。セパレーターディスク400の特定の部分は、タービンハウジング200と軸受ハウジング100との間の直接接触を防止するので、タービンハウジング200から軸受ハウジング100への熱伝逹は、これらの部分で減少し得、これにより軸受ハウジング100に対する熱応力を減少させる。公知のハウジングにおいて、このような分離は、タービンハウジングの内壁から突出する一種のクロスピース(crosspiece)によって達成される。それらが比較的高い応力に曝されることを考えると、この種のクロスピースは割れやすい。クロスピースが割れやすいことは、これをセパレーターディスク400と交換することによって解消することができる。セパレーターディスク400は、例えば、耐熱性材料で作ることができ、その結果、隣接した構成部品、例えば、軸受ハウジング100に対する高いタービン温度の影響をさらに減少させることができる。
【0027】
さらに、タービンハウジング200は、セパレーターディスク400によって(完全に)開放された設計とすることができる。これは、タービンハウジング200を製造するのに使用される鋳造プロセスに利点を提供し、例えば、コア及び/または砂が容易に除去されることを可能にする。また、開放型タービンハウジング200を使用すると、タービンハウジング200の機械加工が単純化され、タービンハウジングの初期導入が改善される。タービンの全体的な耐久性は、これらの利点に加えて、タービンハウジング200内のセパレーターディスク400の改良され、かつより可変的な位置によって向上し得る。
【0028】
図1B及び
図2は、同様に耐熱性材料から製造され得るシールドリング500を有する実施形態を示す。シールドリング500は、可変タービン幾何学形状調整機構が配置されるタービンハウジング200の半径方向外側部分に接する。シールドリング500は、軸受ハウジング100とタービンハウジング200との間の軸方向力を吸収し、軸受ハウジング100とタービンハウジング200との間の接触面積を減少させる。他の結果は、タービンハウジング200によって引き起こされた軸受ハウジング100上の熱応力の減少である。また、シールドリング500は、タービンハウジング200及び軸受ハウジング100のフランジ部を高温から遮断する。さらに、シール部600(例えば)は、シールドリング500の領域に設けられ(例えば、
図1B、
図2、
図2A及び
図2B参照)、軸受ハウジング100とタービンハウジング200との間の連結領域を過度の温度、及び汚れ、煤煙などのような粒子から保護することができる。
【0029】
前述のように、セパレーターディスク400をシールドリング500と組み合わせて簡単な方法で使用することが可能である。そうすることで、セパレーターディスク400とシールドリング500とを組み合わせば、一体型構成部品(
図2B)だけでなく、ツーピース構成部品(
図2及び
図2A)として実現することができる。
【0030】
例えば、
図1Bから分かるように、シールドリング500は、軸受ハウジング100に隣接し、軸受ハウジング100とタービンハウジング200との間に軸方向に配置される。
図2Aの代替実施形態において、シールドリング500は、軸受ハウジング100とセパレーターディスク400の半径方向外側部分との間に配置され、次いで、シールドリング500とタービンハウジング200との間に配置される。
【0031】
セパレーターディスク400の半径方向外側部分は、タービンハウジング200に隣接し、シールドリング500とタービンハウジング200との間(
図2参照)、またはタービンハウジング200と軸受ハウジング100との間に(
図1A参照)軸方向に配置される。
【0032】
すべての図面から分かるように、タービンハウジング200の内面上の第1のレッジ210は、セパレーターディスク400及び/またはシールドリング500の位置を固定させることができる。設計がセパレーターディスク400のみ(
図1A参照)またはシールドリング500のみ(
図1B参照)を有するかどうかに応じて、セパレーターディスク400またはシールドリング500は、タービンハウジング200と軸受ハウジング100との間にクランプされる。セパレーターディスク400のみが存在する場合、次に、セパレーターディスク400の半径方向外側部分は、軸受ハウジング100とタービンハウジング200との間、特に、この目的でタービンハウジング200(
図1A参照)に設けられたレッジ210の部分にクランプされる。1つのシールドリング500のみが設けられている場合、次に、シールドリング500の第1の端部は(タービン回転軸の方向におけるシールドリング500の長手方向の範囲に対して)軸受ハウジング100上に配置され、第2の端部はタービンハウジング200上に、特に、突出部210上に配置されるか、またはタービンハウジング200の内部円周上の段状構造上に配置され、これは同時にシールドリング500をセンタリングするのに役に立つ。
【0033】
セパレーターディスク400及びシールドリング500が設けられている場合(
図2、
図2A及び
図2B参照)、セパレーターディスク400とシールドリング500が2つの分離された構成部品として設けられると(
図2に示し、
図2Aに詳細に示す)、セパレーターディスク400の半径方向外側部分は、シールドリング500とタービンハウジング200との間にクランプされ、シールドリング500は、セパレーターディスク400と軸受ハウジング100との間にクランプされ、シールドリング500の第1の端部は軸受ハウジング100と接触し、シールドリング500の第2の端部はセパレーターディスク400と接触する。したがって、この場合、セパレーターディスク400及びシールドリング500は、軸受ハウジング100とタービンハウジング200との間に組み合わされて配置される。セパレーターディスク400及びシールドリング500が、ワンピース一体型構成部品(
図2B参照)として設けられると、この構成部品は、タービンハウジング200と軸受ハウジング100との間にクランプされる。
【0034】
図1B及び
図2~
図2Bの実施形態では、前述のシール部600は、シールドリング500とタービンハウジング200との間でシールドリング400の半径方向外側に配置される。特に、シール部600は、例えば、V-リングシール部を含むことができる。シール部600は、タービンハウジング200の内面上の第2のレッジ220と軸受ハウジング100の半径方向側面との間に軸方向に配置される。本出願の文脈において、半径方向表面とは、タービンシャフトの回転軸に垂直な方向に配置された平面内にある表面を指すことを、この時点で明らかにしなければならない。したがって、シール部600は、シールドリング500の外面とタービンハウジング200の内面との間で半径方向に配置される。
【0035】
また図面に示したように、通路700は、ベーン軸受リング310とセパレーターディスク400との間に半径方向に形成される。通路700は、ベーン軸受リング310の全周に沿って延び、タービン螺旋形と、カートリッジ300に対する調整機構が配置されるタービンの領域との間に軸方向の連通を構成する。また、セパレーターディスク400が少なくとも1つの貫通孔800を特徴とすることを提供することができる(
図1A及び
図2参照)。例えば、少なくとも2つの貫通孔800が円周方向に等間隔で形成され得る。特に、貫通孔(複数)800は、セパレーターディスク400の半径方向外側半分に、好ましくはタービンハウジング200の内壁付近に配置され得る。有利には、通路700及び/または貫通孔800は、ベーン軸受リング310の後面(ベーン320が配置される前面に対して)の領域においてある程度の高温ガスの貫通流を可能にする。こうすることにより、ベーン軸受リング310の前面と後面との間に過度の温度差が生じることを防止し、これは、対応する領域の熱膨脹の差によって、ベーン軸受リング310及びそれによるカートリッジ300全体の応力及び反りを生じさせる可能性がある。この利点はまた、ブレード320が詰まる危険性なく、ベーン軸受リング310とカートリッジ300のベーン320との間のギャップを狭くすることを可能にする。
【0036】
図1A及び
図2に示したように、例えば、セパレーターディスク400の第1の側面は、ベーン320に対向するベーン軸受リング310の前面と同一平面になるように配置され得る。
【0037】
シールドリング500は、中空円筒状に設計されかつ軸方向に延びる。シールドリング500の少なくとも主な部分は、タービンハウジング200から一定の距離を置いて配置され、それによって、シールドリング500の軸方向範囲の少なくとも大部分に沿ってシールドリング500とタービンハウジング200との間に半径方向にギャップが存在する(
図2A及び
図2B)。これは、タービンハウジング200及び軸受ハウジング100のフランジ部のみならず、シールドリング500とタービンハウジング200との間の半径方向ギャップが高温からシールディングを保護するので、有利である。その結果、タービンハウジング200から軸受ハウジング100へより少ない熱が伝達される。
【0038】
前述のように、シールドリング500及びセパレーターディスク400はまた、ワンピース一体型構成部品として設計され得る。これは
図2Bに示す。ツーピースの実施形態で、またはセパレーターディスク400あるいはシールドリング500のいずれかが設けられる場合、セパレーターディスク400は、例えば、打ち抜き片であり得、シールドリングは、例えば、打ち抜き曲げ片であり得る。ワンピースの実施形態において、一体型シールドリング500及びセパレーターディスク400から構成された組み合わせ型構成部品は、例えば、深絞り及び打ち抜き加工によって製造することができるか、または旋削することもできる。
【0039】
例えば、
図1A及び
図2の実施形態において、タービンハウジング200の軸方向に延びる内面上に、半径方向でタービンハウジング200の螺旋容積に接しているタービンハウジング200の外壁は、螺旋から軸受ハウジング100の方向に外壁の軸方向端部までアンダーカットを示さない。言い換えれば、タービンハウジング200の側面は、軸受ハウジング100の方向に完全に開放されるように設計される。この設計をタービンハウジング200に使用すると、鋳造工程中に使用されるコアまたは砂が極めて安全かつ容易に除去され得るので、タービンハウジング200の鋳造工程を非常に単純化することができる。
【0040】
本発明は、前述の実施形態のいずれか1つに記載のタービンを有するターボチャージャーをさらに含む。
【0041】
本発明が上述され、添付された特許請求の範囲に定義されているが、本発明はまた、以下の実施形態に従って代案的に定義されてもよいことを理解すべきである:
【0042】
1.内燃機関に使用するための可変タービン幾何学形状を有するタービンであって、
軸受ハウジング100と、
タービンハウジング200と、
複数の調節可能なベーン320を支持するためのベーン軸受リング310を特徴とするカートリッジ300と、を含み、
セパレーターディスク400及び/またはシールドリング500を特徴とし、セパレーターディスク400及び/またはシールドリング500が、ベーン軸受リング310の半径方向外側に配置される、タービン。
【0043】
2.セパレーターディスク400及び/またはシールドリング500が、タービンハウジング200と軸受ハウジング100との間にクランプされることを特徴とする、実施形態1に記載のタービン。
【0044】
3.シールドリング500は、軸受ハウジング100に隣接し、軸受ハウジング100とタービンハウジング200との間に軸方向に配置されるか、または軸受ハウジング100とセパレーターディスク400の半径方向外側部分との間に配置され、上記部分は、シールドリング500とタービンハウジング200との間に配置されることを特徴とする、実施形態1または2に記載のタービン。
【0045】
4.セパレーターディスク400の半径方向外側部分は、タービンハウジング200に隣接し、シールドリング500とタービンハウジングとの間、またはタービンハウジング200と軸受ハウジング100との間に軸方向に配置されることを特徴とする、実施形態1~3のいずれか1つに記載のタービン。
【0046】
5.タービンハウジング200の内面上の第1のレッジ210が、セパレーターディスク400及び/またはシールドリング500の位置を固定させることを特徴とする、実施形態1~4のいずれか1つに記載のタービン。
【0047】
6.シール部600が、シールドリング500とタービンハウジング200との間でシールドリング400の半径方向外側に配置され、上記シール部600が、特に、V-リングシール部を含むことを特徴とする、実施形態1~5のいずれか1つに記載のタービン。
【0048】
7.シール部600が、タービンハウジング200の内面上の第2のレッジ220と軸受ハウジング100の半径方向側面との間に軸方向に配置されることを特徴とする、実施形態6に記載のタービン。
【0049】
8.シール部600が、シールドリング500の外面とタービンハウジング200の内面との間に半径方向に配置されることを特徴とする、実施形態6または7に記載のタービン。
【0050】
9.ベーン軸受リング310とセパレーターディスク400との間に半径方向に通路700が形成され、特に、通路700が、ベーン軸受リング310の全周に沿って延びることを特徴とする、実施形態1~8のいずれか1つに記載のタービン。
【0051】
10.セパレーターディスク400及び/またはシールドリング500が、タービンの回転軸と同心になるように配置されることを特徴とする、実施形態1~9のいずれか1つに記載のタービン。
【0052】
11.セパレーターディスク400の第1の側面は、ベーン320に対向するベーン軸受リング310の前面と同一平面になるように配置されることを特徴とする、実施形態1~10のいずれか1つに記載のタービン。
【0053】
12.セパレーターディスク400が、軸方向にタービンハウジング300の螺旋に接することを特徴とする、実施形態1~11のいずれか1つに記載のタービン。
【0054】
13.シールドリング500が、中空円筒状に設計されかつ軸方向に延びることを特徴とする、実施形態1~12のいずれか1つに記載のタービン。
【0055】
14.シールドリング500の少なくとも主な部分が、タービンハウジング200から一定の距離を置いて配置され、それによって、シールドリング500の軸方向範囲の少なくとも大部分に沿ってシールドリング500とタービンハウジング200との間に半径方向にギャップが存在することを特徴とする、実施形態13に記載のタービン。
【0056】
15.シールドリング500及びセパレーターディスク400が、ワンピース一体型構成部品として設計されることを特徴とする、実施形態1~14のいずれか1つに記載のタービン。
【0057】
16.タービンハウジング200の軸方向に延びる内面上に、半径方向でタービンハウジング200の螺旋容積に接しているタービンハウジング200の外壁が、螺旋から軸受ハウジング100の方向に外壁の軸方向端部までアンダーカットを示さないことを特徴とする、実施形態1~15のいずれか1つに記載のタービン。
【0058】
17.実施形態1~16のいずれか1つに記載のタービンを有する、ターボチャージャー。